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急性心筋梗塞(ST上昇型)の診療に関するガイドライン
循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2006 − 2007 年度合同研究班報告) 急性心筋梗塞(ST 上昇型)の診療に関するガイドライン Guidelines for the management of patients with ST-elevation myocardial infarction (JCS 2008) 合同研究班参加学会:日本循環器学会,日本冠疾患学会,日本救急医学会,日本胸部外科学会,日本集中治療医学会, 日本心血管インターベンション学会,日本心臓血管外科学会,日本心臓病学会, 日本心臓リハビリテーション学会,日本心電学会,日本動脈硬化学会 班 長 髙 野 班 員 小 川 聡 慶應義塾大学呼吸循環器内科 笠 貫 宏 早稲田大学理工学術院 木 村 一 雄 後 藤 葉 一 国立循環器病センター心臓血管内科 住 吉 徹 哉 日本心臓血圧研究振興会附属榊原記 代 田 浩 之 順天堂大学循環器内科学 田 中 啓 治 日本医科大学付属病院集中治療室 長 尾 建 駿河台日本大学病院循環器科,心肺 平 山 篤 志 日本大学内科学講座循環器内科部門 幕 内 晴 朗 聖マリアンナ医科大学心臓血管外科 山 口 徹 虎の門病院 山 科 章 東京医科大学病院第二内科 吉 野 秀 朗 杏林大学第二内科 浅 野 竜 太 日本心臓血圧研究振興会附属榊原記 協力員 照 夫 日本医科大学 協力員 横浜市立大学附属市民総合医療セン ター心臓血管センター 念病院循環器内科 蘇生・救急心血管治療 石 綿 清 雄 虎の門病院循環器センター内科 大 村 寛 敏 順天堂大学医学部附属順天堂医院循 小 菅 雅 美 横浜市立大学附属市民総合医療セン 小 林 俊 也 聖マリアンナ医科大学心臓血管外科 佐 藤 俊 髙 木 厚 東京女子医科大学心臓病センター循 高 山 守 正 日本心臓血圧研究振興会附属榊原記 立 花 栄 三 川口市立医療センター循環器科 寺 岡 邦 彦 東京医科大学病院健診予防医学センター 肥 後 太 基 九州大学病院循環器内科 水 野 裕 八 大阪大学循環器内科学 安 武 正 弘 日本医科大学内科学循環器部門 四 倉 正 之 杏林大学保健学部臨床工学科 藤 原 久 義 兵庫県立尼崎病院 堀 正 二 大阪府立成人病センター 環器内科 ター心臓血管センター 明 慶應義塾大学呼吸循環器内科 環器内科 念病院循環器内科 念病院循環器内科 外部評価委員 自治医科大学附属さいたま医療セン ター心臓血管外科 安 達 秀 雄 一 色 高 明 帝京大学内科 木 村 剛 京都大学大学院医学研究科内科系専 攻内科学講座 循環器内科学 (構成員の所属は 2008 年 8 月現在) 目 次 Ⅰ.緒 言………………………………………………………1348 4.本ガイドラインで使用した略語 …………………1350 1.ガイドライン作成の経緯と目的 …………………1348 2.ガイドラインの対象と構成 ………………………1349 3.クラス分類とエビデンスレベル …………………1349 Ⅱ.成 因………………………………………………………1350 1.ACS の概念 …………………………………………1350 2.急性粥腫変化の役割 ………………………………1350 Circulation Journal Vol. 72, Suppl. IV, 2008 1347 循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2006−2007 年度合同研究班報告) 3.疫学 …………………………………………………1351 4.病態生理 ……………………………………………1351 5.他の原因で起こる心筋梗塞 ………………………1352 Ⅲ.発症から病院まで…………………………………………1352 1.患者による症状の認識 ……………………………1352 2.病院到着前心停止 …………………………………1352 3.救急医療体制 ………………………………………1353 4.医師による救急現場での胸痛対応 ………………1354 5.救急車(ドクターカーを含む)での搬送プロトコール 1355 Ⅳ.初期診断・治療・管理……………………………………1355 1.トリアージ …………………………………………1355 2.患者の初期評価 ……………………………………1356 3.標準的初期治療 ……………………………………1361 Ⅴ.再灌流治療…………………………………………………1363 1.血栓溶解療法 ………………………………………1364 2.経皮的冠インターベンション(PCI) ……………1365 3.緊急手術による再灌流ならびに合併症修復術 …1367 4.再灌流の評価 ………………………………………1367 5.再灌流治療の補助療法としての抗血栓薬 ………1368 6.再灌流補助薬 ………………………………………1369 7.造影剤腎症について ………………………………1369 Ⅵ.入院後早期の管理…………………………………………1369 1.CCU の重要性 ………………………………………1369 2.早期の一般的処置 …………………………………1370 3.CCU の新たな役割 …………………………………1371 4.心筋梗塞後の不整脈 ………………………………1372 5.血行動態の障害または異常 ………………………1378 6.機械的合併症 ………………………………………1384 7.STEMI 後の再発する胸痛への対応 ………………1386 8.その他の合併症 ……………………………………1388 9.梗塞サイズの評価 …………………………………1389 10.冠動脈バイパス術(CABG) ………………………1392 Ⅶ.回復期および退院後の患者管理…………………………1394 1.退院時のリスクの層別化 …………………………1394 2.心臓リハビリテーション …………………………1396 3.退院後管理 …………………………………………1401 Ⅷ.二次予防……………………………………………………1403 1.退院前の患者教育と包括的 心臓リハビリテーションプログラム………………1403 2.禁煙 …………………………………………………1404 3.血圧管理 ……………………………………………1405 4.脂質管理 ……………………………………………1405 5.糖尿病管理 …………………………………………1405 6.体重管理 ……………………………………………1406 7.身体活動 ……………………………………………1406 8.抗血小板治療 ………………………………………1406 9.β遮断薬 ……………………………………………1407 10.カルシウム拮抗薬 …………………………………1408 11.硝酸薬(ニコランジルを含む)……………………1408 12.レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系阻害薬 1408 13.ワルファリン治療 …………………………………1409 14.一次予防について …………………………………1410 文 献……………………………………………………………1411 (無断転載を禁ずる) 環として 2000 年に「急性冠症候群の診療に関するガイ Ⅰ 緒言 ドライン」作成班が発足した.同時期に,平成 11 年度 厚生科学研究費補助金による医療技術評価総合研究事業 (主任研究者:上松瀬勝男)として「急性心筋梗塞の診 療エビデンス集─ EBM より作成したガイドライン」が 1 ガイドライン作成の経緯と目的 作成され,ST 上昇型急性冠症候群の治療指針として発 表された.そのため,「急性冠症候群の診療に関するガ イドライン」では不安定狭心症および持続性 ST 上昇を 1348 急性冠症候群は冠動脈粥腫破綻,血栓形成を共通基盤 伴わない急性心筋梗塞(非 ST 上昇型)のみを扱うよう として急性心筋虚血を呈する臨床症候群であり,急性心 になった経緯がある.本ガイドラインは日本循環器学会 筋梗塞,不安定狭心症,心臓性突然死までを包括する疾 として初めての ST 上昇型急性心筋梗塞の診療に関する 患概念である.急性冠症候群が発症すると,冠動脈内血 ガイドラインであり,上松瀬班のガイドラインを参考に 栓のでき方や側副血行の有無などによって様々な程度の しつつ最新のエビデンスを追加したものである. 心筋虚血が生じる.冠動脈の完全閉塞により貫壁性心筋 本ガイドラインの目的は,本疾患群の診断,治療,管 虚血が生じれば ST 上昇型急性冠症候群,しからざる場 理に関して一般に容認された方法をまとめ,医師が臨床 合は非 ST 上昇型と二分され,治療指針が異なる(図 1). 上の決定を行うのに役立つ診療指針を作成し,根拠に基 日本循環器学会は,1998 年から心臓血管系疾患の診 づく医療(EBM:Evidence-Based Medicine)を推進す 断,治療に関するガイドライン作成に取り組み,その一 ることにある.本ガイドラインは多くの状況下で,種々 Circulation Journal Vol. 72, Suppl. IV, 2008 急性心筋梗塞(ST 上昇型)の診療に関するガイドライン 図 1 急性冠症候群の初期診断と最終診断 急性冠症候群(ACS) 発症 胸痛+心電図 持続性 ST 上昇,CLBBB ST 低下,冠性 T など 初期診断 非 ST 上昇型 ACS ST 上昇型 ACS 治療方針決定 (12 時間以内) リスク層別・抗虚血治療 可及的早期再灌流療法 冠インターベンション・冠動脈バイパス術・各種薬物治療 心筋マーカー (CPK,トロポニンなど) * 最終診断 (24 時間∼) 不安定 狭心症 非 ST 上昇型 急性心筋梗塞 ST 上昇型 急性心筋梗塞 非 Q 波梗塞 Q 波梗塞 (本ガイドラインで扱う範囲を青で示す,*治療・自然経過で心筋梗塞に至らない場合) の患者に対応しうる普遍的な診療指針を作成することを ラインが別途策定されているものに関しても,最低限の 目指している.しかし,個々の患者における最終判断は, 内容は可能な限り網羅し,1 つのガイドラインとして完 当該患者の状況をもっともよく知る担当医師と患者の双 結したものを目指した. 方により総合的に下されるべきもので,本診療ガイドラ インはそれを支援するものである. 2 ガイドラインの対象と構成 3 クラス分類とエビデンスレベル クラスⅠ :手技・治療が有効,有用であるというエビ デンスがあるか,あるいは見解が広く一致 本ガイドラインでは,心電図 ST の持続的上昇を認め る ST 上昇型急性冠症候群の成人患者,あるいはその疑 している クラスⅡ いのあるものを対象とする.ST 上昇急性冠症候群の 90 %以上は心筋マーカーの上昇を伴い,急性心筋梗塞(ST デンスあるいは見解が一致していない. Ⅱ a :エビデンス,見解から有効,有用である可 能性がたかい 上昇型)と診断される.ガイドラインのタイトルは「急 性心筋梗塞(ST 上昇型)の診療に関するガイドライン」 Ⅱ a´ :エビデンスは不十分であるが,手技治療が であるが,ST 上昇型急性冠症候群のうち,治療や自然 有効,有用であることに本邦の専門家の意 経過により急性心筋梗塞に至らない場合も含む.また, 急性冠症候群のうち左脚ブロックを呈するもの,純後壁 見が一致している Ⅱ b :エビデンス,見解から有効性,有用性がそ れほど確立されていない 梗塞,冠攣縮が主因と判定される急性心筋梗塞も本ガイ ドラインで扱う.持続性の ST 上昇を認めない非 ST 上昇 :手技,治療の有効性,有用性に関するエビ クラスⅢ :手技,治療が有効でなく,ときに有害であ 型急性冠症候群は対象外である.従って,不安定狭心症・ るというエビデンスがあるか,あるいは見 急性心筋梗塞(非 ST 上昇型)に関しては「急性冠症候 解が広く一致している 群の診療に関するガイドライン(2007 年改訂版)」を参 照されたい. レベル A :400 例以上の症例を対象とした複数の多施 本ガイドラインは,発症から入院まで,救急外来また 設無作為介入試験で実証された,あるいは は CCU での初期治療,入院回復期あるいは退院後の患 メタ解析で実証されたもの 者管理と,時間軸を基に構成した.項目の中で,ガイド レベル B :400 例以下の症例を対象とした多施設無作 Circulation Journal Vol. 72, Suppl. IV, 2008 1349 循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2006−2007 年度合同研究班報告) レベル C 為介入臨床試験,良くデザインされた比較 ていた血管が時間経過とともに再開通することが明らか 検討試験,大規模コホート試験などで実証 にされ,病理解剖での血栓の頻度の差が線溶による血栓 されたもの の経時的な消失に伴うものによることが示された.さら :無作為介入試験はないが,専門医の意見が 一致したもの に冠動脈造影だけでなく,血管内視鏡で責任病変を直接 観察することにより,92 %に赤色および混合血栓が存 在することが明らかにされた 3).これらの臨床的データ 本邦では未承認の手技,治療法,治療薬で,海外では有 が蓄積されてくると血栓のある急性心筋梗塞の病変の多 効性,有用性について十分なエビデンスがあるか,専門 くは 4),薄い線維性被膜で覆われた多量の脂質を含み, 家の見解が広く一致しているものについても,適宜記載 その内部に活性化されたマクロファージや T リンパ球が した.また本邦の保険医療で認められていない適応や用 多数存在するプラークであることが明らかにされた 5). 法,用量についても必要に応じ言及した.本邦で認可さ こ の よ う な プ ラ ー ク は 不 安 定 プ ラ ー ク(vulnerable れている薬剤はカタカナで,認可されていない薬剤は英 plaque)とよばれ,破綻と同時にマクロファージが多量 語で表記した. に産生する組織因子が管腔内に放出され,血流下でも急 4 本ガイドラインで使用した 略語 激に血栓性閉塞をきたす機序が示された.これらの事実 から Davies ら 6)や Fuster ら 7)により“冠動脈粥腫の破裂・ 崩壊とそれに伴う血栓形成から冠閉塞や高度の冠狭窄を きたす症候群”として ACS の病態概念が提唱されるに ACS(acute coronary syndrome) 急性冠症候群 STEMI(ST-elevation myocardial infarction) ST 上昇型心筋梗塞 PCI(percutaneous coronary intervention) いたった.最近では,プラークの破綻だけでなく血管内 膜のびらんによっても血栓性閉塞を生じる事も明らかに されている. 2 急性粥腫変化の役割 経皮的冠インターベンション CABG(coronary artery bypass grafting) 冠動脈バイパス術 CCU(coronary care unit) 動脈硬化の進行に伴い粥腫が形成され成長しても,図 2 の 3 に示すように血管内腔は一定に保たれる(positive remodeling).しかし,さらに粥腫が成長して血管拡張 冠疾患集中治療室 の代償機序が破綻すると,プラークは血管内腔に出現し 冠動脈造影では軽度の狭窄病変として認められるように Ⅱ 1 成 因 ACS の概念 急性心筋梗塞の発症に血栓が関与することは,病理解 剖所見から示されていたが,原因か結果かについては不 明であった.結果とされる根拠は,①急性心筋梗塞の責 任病変に血栓の認められる頻度が,病理解剖の報告で差 異があり決して高くないこと,②動脈血流の下で,管腔 を閉塞するような血栓が形成される機序が明らかでなか ったことによる.しかし,1979 年ストレプトキナーゼ を用いた冠動脈再疎通により,冠動脈閉塞の原因が血栓 で あ る こ と が 明 ら か に さ れ た 1). さ ら に 1980 年 に は DeWood ら 2)により急性心筋梗塞発症早期に完全閉塞し 1350 Circulation Journal Vol. 72, Suppl. IV, 2008 なる.このような多量の脂質コアを含むプラークには活 性化されたマクロファージや T リンパ球が存在する.脂 図 2 プラークの進展と破綻 急性心筋梗塞(ST 上昇型)の診療に関するガイドライン 質コアは比較的柔らかく,遊離コレステロール結晶より に当たり男性で 63.4,女性で 50.0 であり(平成 16 年), もむしろコレステロールエステルを多量に含む.こうし 欧米諸国の約 1/2 から 1/3 ときわめて低い.全国から無 た,プラークの形態学的な特徴に加えて,マクロファー 作為抽出された 30 歳以上の成人を対象として質問表か ジや T リンパ球が蛋白分解酵素(エラスターゼ,コラゲ ら心筋梗塞と推定された有病率は,30 歳以上の男子で ナーゼ,メタロプロテイナーゼなど)を放出し,これに は千人当たり 23.9 人,女性では 10.8 人であった 18).急 よって細胞外基質が分解され線維性被膜が菲薄化す 性心筋梗塞の発生については,CCU を有する施設を対 8) 9) る .わが国の厚生省の班研究をはじめとして ,多く 象にした調査では,人口10万人に対して東京都は30.4人, の臨床研究から心筋梗塞を来たす病変が軽度狭窄病変で 13 政令指定都市では 27.4 人,地方都市では 17.7 人と相 あることが示され 4),このような不安定プラークを冠動 違はあるが,これは救急システムに関連する要素が多い 脈造影で同定することは不可能であった.しかし,血管 と考えられる 19).MONICA 調査から推定される我が国 内エコーや血管内視鏡などの血管内イメージング法の進 の心筋梗塞罹患率は 10 万当たり男性で平均 38(20 ∼ 歩により,病理学でしか明らかにできなかった病変を可 50)人 / 年,女性で平均 12 人(10 ∼ 30)人 / 年であり, 視化することができるようになった.結果,不安定プラ また中村らの滋賀県における調査では粗罹患率 49 人で ークは血管内エコーで,外膜より低輝度のソフトプラー あった 20). クを有し線維性被膜が薄いものとして 10),あるいは血管 わが国における冠動脈疾患の罹患率の推移は,久山町 11) 内視鏡で濃黄色を呈するプラークとして 捉えることが 研究 21),広島,長崎での追跡調査によれば低下している 可能となってきた.このような不安定プラークにプラー か,ないしは 1980 年以降は大きな変化を示していな クを破裂させる促進力即ち“トリガー”が作用し,破綻 い 22).しかし,糖尿病,高血圧,高コレステロール血症 を来たすとともに急速に血栓形成が進行する(図 2). など動脈硬化を促進する疾患の罹患率が急速に増加して しかし,必ずしも心筋梗塞にいたらず,無症候性の場合 いることを考えれば,今後増加する可能性が考えられる. もある.心筋梗塞既往の患者では,責任血管以外に多く の破綻したプラークがあることが報告されている 12).無 4 病態生理 症候性の破綻したプラークだけでなく,不安定プラーク と考えられる黄色プラークも数多く認めることから,心 急性心筋梗塞の病態生理の本質は心臓,特に左室の機 筋梗塞は責任病変だけでなく総ての冠動脈に不安定プラ 能不全である.冠動脈閉塞により酸素・エネルギー源を ークが多数存在していることが判明し 13) ,Vulnerable 遮断された心筋は速やかに収縮能を消失する.障害心筋 Patient という概念が生まれた .さらに最近,破綻し の 範 囲・ 程 度 に 応 じ て 壁 運 動 は hypokinesis か ら ている無症候性プラークの数と CRP が相関することか akinesis,dyskinesis の異常を呈する 23).側副血行路の状 ら,炎症と ACS の関連が注目されている 15). 況などによっては梗塞責任血管の灌流域以外にも壁運動 急性心筋梗塞の責任血管を病理的に検討するとその約 異常を生じることがある.また,障害心筋の範囲が大き 40 %にプラークの破綻を認めず,比較的厚い線維性被 ければ全体としてのポンプ機能に影響を与え,心拍出量, 14) 膜の上に形成された血栓を認めることがあり,Erosive 血圧,dP/dt などが低下する.高度の血圧低下は冠動脈 Thrombosis とされている 16).この血栓形成機序につい 圧すなわち心筋灌流圧をも低下させ,心筋の虚血をより ては明らかにされていないが,①メタロプロテイナーゼ 助長する結果となる.一方,左室充満圧は上昇し,特に により内皮や線維性皮膜を含めた剥離が起こり皮膜内に 収縮末期圧の上昇の程度は予後の有用な予測因子である ある平滑筋の組織因子が作用して血栓が形成される,② ことが報告されている 24).壊死心筋は浮腫・細胞浸潤を マクロファージの集積により形成された小さなプラーク 経て線維組織に置換されるが,正常な構築を保てなくな が破綻して血栓が形成される,③冠攣縮による血管内皮 る結果,梗塞部位は菲薄化する.一方で梗塞によって生 障害に引き続く血栓形成,などいくつかの機序が考えら じた血行動態の変化は非梗塞領域にも影響し,1 回拍出 れている いるが 3 17) .女性や糖尿病患者に多いことが報告されて 16) ,原因や機序については明らかでない. 疫学 量を維持するための代償機転として Frank-Starling の法 則に従い非梗塞領域の拡大が生じる.このように,特に 梗塞後に生じた左室のサイズ・形態・壁厚の一連の変化 を左室リモデリングと総称し 25),梗塞後の心不全あるい は生命予後の規定因子として重要である.また,梗塞周 わが国における虚血性心疾患の死亡率は,人口 10 万 辺領域においては壊死部分と正常部分とが混在し,電気 Circulation Journal Vol. 72, Suppl. IV, 2008 1351 循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2006−2007 年度合同研究班報告) 的興奮伝播が不均一化すること,さらに伝導遅延が起こ 期に心停止に陥る患者は含まれていない.この病院前心 るために局所でのリエントリーを生じやすく,致死性不 停止に陥る患者は総 STEMI 患者の 14 %以上にも達す 整脈の基質となる.リモデリングの程度は梗塞の大きさ・ る 32)−34).したがって,STEMI の発症超早期の患者教育 梗塞責任血管の開存・神経体液性因子などによって規定 と病院前救護対策が重要な課題となる. され,アンジオテンシン変換酵素阻害薬はリモデリング を抑制することが報告されている 26). 1 患者による症状の認識 左室機能不全・充満圧上昇に伴う血行動態の変化は二 次性に全身へ波及し,肺においてはうっ血・間質への水 分貯留・低酸素血症が生じる.また,代謝内分泌系にお クラスⅠ 1.虚血による胸部症状が出現した患者は,直ちに 119 いてはレニン−アンジオテンシン−アルドステロン系の 番通報し救急車を要請する(レベル B). 亢進,ナトリウム利尿ペプチドの分泌が生じる一方,膵 2.医師は,硝酸薬(舌下投与または舌下噴霧)を処方 血流の低下によるインスリン分泌不全・交感神経活性化 する際,硝酸薬の効果判定と無効時の対応を教育す に伴う高血糖や遊離脂肪酸の上昇などを認める 5 27) . 他の原因で起こる心筋梗塞 る(レベル B). STEMI の主訴(CCU 収容時)は,84 %が胸痛,6 % が呼吸困難,2%が意識障害である 35).高リスクの胸痛 STEMI を発症したにもかかわらず,冠動脈造影およ とは,安静でも 20 分以上持続する胸痛または,今回の び autopsy で冠動脈硬化を認めない症例が全体の約 6 % 胸痛出現前 2 日以内にも胸痛発作が出現し,その頻度や に存在したという報告がなされている .特に,35 歳以 程度が増加する梗塞前狭心症を有する胸痛である 34),36). 下の梗塞発症例の 24 %がこのような症例に該当したと ACC/AHA2004 ガイドラインでは,硝酸薬の舌下は 1 されており,動脈硬化の程度が比較的軽い若年者におい 回で,5 分後にその効果が不充分(胸痛が改善しない, てはそれ以外の原因を念頭に置く必要がある.動脈硬化 または増悪)な場合,救急車を要請すべきとした.以前 以外の発症機序としては,動脈炎(高安病・川崎病・梅 は救急車要請までに 5 分間隔で 3 回までの使用が容認さ 毒・脊椎炎など),外因性(外傷・医原性・放射線治療 れたが,収容施設での治療までの時間短縮が死亡率や合 など),代謝性疾患または内膜肥厚性疾患に伴う冠動脈 併症率を有意に低下させることが示され 37)−40)修正され 壁肥厚(Hurler 病・ホモシステイン尿症・Fabry 病・ア た(クラスⅠ,レベル A). 2) ミロイドーシスなど)・その他の原因に伴う冠動脈狭小 化(急性大動脈解離・冠動脈攣縮など),冠動脈塞栓症(感 2 病院到着前心停止 染性心内膜炎・僧帽弁逸脱・粘液腫・壁在血栓など), 先天性の冠動脈奇形(起始異常・動静脈吻合・冠動脈瘤 など),心筋における酸素需給のアンバランス(大動脈 クラスⅠ 1.あらゆる地域において,chain of survival(迅速な 弁狭窄・CO 中毒・甲状腺中毒症・低血圧遷延など), 119 番通報,迅速な心肺蘇生法,迅速な電気的除細 凝固異常(真性多血症・DIC など)など多彩な原因が挙 動,迅速な二次救命処置)の 4 つの命の鎖を構築(レ げられる 28).このうち,本邦においては冠攣縮性狭心症 ベル C). ,高血圧患者が多いことから冠動 2.心疾患を有する患者とその家族に,chain of survival 脈攣縮および急性大動脈解離に合併した心筋梗塞の頻度 の最初の 3 つの鎖を習得してもらう市民向け講習会 が高いと推測される. を,各々の地域で開催(レベル B). の頻度が高く Ⅲ 17),29),30) 発症から病院まで STEMI 総患者の 14 %以上が,発症超早期に致死性不 整脈〔大多数が心室細動(ventricular fibrillation; VF)〕 を併発し死亡している.この VF 出現率は心臓性院外心 停止例の 60 %を占める 33).しかし,消防隊員,救急隊 1352 STEMI の院内死亡率は,CCU の管理と冠再灌流療法 員 が 患 者 に 接 触 し, 自 動 体 外 式 除 細 動 器(automated の普及により 7%前後となった 31).しかし,これは真の external defibrillator ;AED)を装着するまでに虚脱を目 死亡率ではない.病院到着前,すなわち STEMI 発症早 撃してから 14 分前後を要する.より迅速な AED による Circulation Journal Vol. 72, Suppl. IV, 2008 急性心筋梗塞(ST 上昇型)の診療に関するガイドライン 電気的除細動は生存率を有意に改善させることより(除 細動が 1 分遅れると生存率は 7 ∼ 10 %ずつ減少する), 市民による迅速な AED の運用が必要である 34) .近年, 3.循環器専門施設は各々の地域の消防署・庁と連絡を 密にし,迅速に患者を受け入れる体制を構築する(レ ベル A). 我が国でも公共の場に AED が設置され始めた.AED が 届くまでに,市民による迅速な 119 番通報と迅速な心肺 STEMI では,正しい治療を受けるまでの時間を短縮 蘇生法(cardiopulmonary resuscitation ; CPR)を実施す すれば,死亡率と合併症発生率を有意に低下させること る.2005 年 AHACPR ガイドラインでは,この市民によ が出来る 37)−40),43).したがって,救急医療従事者(救急 る CPR では絶え間ない胸骨圧迫の重要性が確認された. 隊員〔本邦では,救急救命士,救急隊員(旧Ⅰ及び旧Ⅱ 最近我が国の大規模観察研究では,胸骨圧迫のみの 課程),消防ポンプ隊員〕)や救急情報センターの救急隊 CPR が従来の口対口人工呼吸+胸骨圧迫 CPR より優れ 員は,正しい病院選択の知識を習得するとともに,循環 ているかまたは同程度であることが報告されている 41), 器専門施設の循環器専門医と交流を密にし,迅速な患者 42) .AED が届くまでまたは救急隊が来るまでの市民に 受け入れ体制を検証し構築していくことが必要である. よる救助活動を図 3 に,救急車を呼ぶ手順を図 4 に示す. 総務省消防庁や東京消防庁が毎年報告している救急活動 3 の現況または実態では,119 番通報から病院収容までの 救急医療体制 平均活動時間は約 30 分(119 番から救急車現場到着まで の時間が 6 分,救急隊の現場活動時間が 15 分,救急隊 の現場から病院到着までの時間が 9 分)である 44),45). クラスⅠ 1.胸痛を有する患者や心停止が疑われる患者に対応す なお,我が国の救急救命士は,心肺停止傷病者に対し る医療従事者は,胸痛のトリアージと CPR(AED てのみ,器具を用いた気道確保(一部の救急救命士には と標準的救命処置を含む)の知識と技能を備える(レ 気管挿管も可能)と AED を用いた電気的除細動,およ ベル A). び末梢静脈路確保と細胞外液製剤の投与(一部の救急救 2.119 番通報に対応する救急隊員は,医学的訓練を受 命士にアドレナリン 1mg/ 回の静脈投与)が許可されて け,各々の地域の活動マニュアルに従い,迅速かつ いる.しかし,12 誘導心電図記録は標準化(4 点誘導の 的確な助言を行う(レベル C). 心電図モニターが標準化)されていない 44),45).したが 図 3 市民の命を救う救急対応 図 4 救急車を呼ぶ手順 突然倒れた 119 番 通報 意識の有無? いいえ 助けを呼ぶ 119 番と AED 要請 気道の確保 充分な呼吸? 消防所 通報者 火事ですか? 救急ですか? 救急です そこは何区,何町, 何番,何号 何丁目, ですか? 通報している住所 どうしましたか? 見たまま,事故の状況, 傷病者の状態を説明 わかりました. 救急車向かいます 救急車が着くまで周囲の 人と協力して応急手当, 救急隊の案内 いいえ 胸骨圧迫 (100 回 / 分) 強く・早く・絶え間なく AED・救急隊? はい いいえ AED の音声に従う Circulation Journal Vol. 72, Suppl. IV, 2008 1353 循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2006−2007 年度合同研究班報告) って,心肺停止以外の傷病者に救急隊員(救急救命士を 引き続き,経静脈的血栓溶解療法の適応の有無を表 1 の 含め)が提供できる救急医療行為は,バイタルサイン・ チェックリストを用いて評価する.欧米の大規模多施設 身体所見の観察・酸素投与・体位管理・心電図モニター 無作為試験およびメタアナリシスは,STEMI 患者に対 とパルスオキシメータの観察などに限られる 44),45). する可及的早期の血栓溶解療法が,死亡率を有意に減少 4 医師による救急現場での 胸痛対応 クラスⅠ させることを明らかにした 46)−48).病院到着前に血栓溶 解療法を開始すれば,病院到着後に開始した場合に比し, 死 亡 率 は 有 意 に 低 下( オ ッ ズ 比 0.83,95 % .C.I 0.70 -0.98)し,その時間差は 60 分であった 49).このことより, ACC/AHA2004 ガイドラインでは,病院到着までの時間 1.第一線の医療施設,往診時または外出先で虚血性胸 が 60 分以上要する例は,病院到着前の血栓溶解療法は 痛が疑われる患者に対し,迅速な 119 番通報を要請 妥当であるとした. し,バイタルサインと身体所見をチェックし可能で しかし,救急搬送時間が 4 分(中央値)と短いスイス あれば 12 誘導心電図を記録(レベル B). のある都市では,病院到着後の血栓溶解療法の症状出現 2.STEMI と診断したならば,救急車内で MONA(塩 酸モルヒネ,酸素,硝酸薬,アスピリン)を考慮し, から開始までに要する時間は,病院到着前投与に比し, 100 分遅延していたと報告している 50).我が国の渡辺ら の報告では,TIMI 3 flow 達成までの時間が 78 分以上遅 同時に末梢静脈路を確保(レベル B). 3.STEMI と診断したならば,救急隊員に病院選定の 延すると有意に梗塞サイズが大になったと報告した 51). 助言(緊急再灌流療法が即座に実施可能な病院). 中尾らの報告でも発症 2 時間以内の血栓溶解薬先行投与 同時に選定先の循環器医師に直接,現在の臨床像を による facilitated PCI は TIMI 3 flow 達成率が高く梗塞サ 報告(電話または FAX)(レベル C). イズを縮小したとしている 52).また,木村らの報告でも, クラスⅡ a 救命救急センターと地域病院との比較では,血栓溶解薬 1.経静脈的血栓溶解療法を考慮(レベル B). 先行投与群が primary PCI 群より早い冠動脈再灌流を得 ていた.そして地域病院では,入院後 90 分の TIMI 3 医師は可能であれば 12 誘導心電図を記録評価し,Ⅳ flow 達成率は血栓溶解薬投与例が 68 %で,primary PCI 章の初期診断・治療・管理のプライマリケアを開始する. 例の 43 %より有意に高値で,再灌流までの時間短縮が 表 1 経静脈的血栓溶解療法のチェックリスト Step 1. 虚血性胸痛(不快感)の持続時間は,15 分以上かつ 12 時間以内? ○ はい ○ いいえ 適応なし 12 誘導心電図所見の隣接する 2 誘導以上で ST 上昇,または新規に出現した脚ブロック? ○ はい ○ いいえ 適応なし Step 2. 以下の 10 項目すべて「はい」であれば血栓溶解療法を実施 ①収縮期血圧 180mmHg 以下 ②収縮期血圧の左右差 15mmHg 以内 ③拡張期血圧 110mmHg 以下 ④頭蓋内疾患の既往症 なし ⑤ 3 ヶ月以内の明らかな非開放性頭部または顔面外傷 なし ⑥ 6 週間以内の明らかな外傷,手術,消化管出血 なし ⑦出血・凝固系異常 なし ⑧心停止時の CPR は 10 分以内 ⑨妊娠していない ⑩進行性または末期の悪性腫瘍,重篤な肝または腎疾患 なし ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ はい はい はい はい はい はい はい はい はい はい ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ いいえ いいえ いいえ いいえ いいえ いいえ いいえ いいえ いいえ いいえ ○ ○ ○ ○ はい はい はい はい ○ ○ ○ ○ いいえ いいえ いいえ いいえ Step 3. 以下の 1 項目以上を満たす高リスク例は緊急 PCI が直ちに開始できる施設へ救急車で搬送 ①心拍数 ≧ 100 回 / 分 かつ 収縮期血圧 < 100mmHg ②湿性ラ音を聴取(Killip 分類Ⅱ以上) ③ショック徴候・症状あり ④血栓溶解療法が禁忌(Step 2 の①∼⑩の 1 項目以上「いいえ」 ) 1354 Circulation Journal Vol. 72, Suppl. IV, 2008 急性心筋梗塞(ST 上昇型)の診療に関するガイドライン 顕 著 で あ っ た と 報 告 し て い る 53). 守 内 ら は facilitated 実施できる病院が多い.したがって,各々の地域で,よ PCI 時の血栓溶解療法の先行投与量を検討し,先行投与 りよい救急医療体制を構築して行く必要がある. の血栓溶解薬は通常量が望ましいとしている 54) .我が国 の救急活動時間は 30 分要することを考慮すると,第一 Ⅳ 線の医療施設での血栓溶解療法の開始は妥当と考える (クラスⅡ a). 5 救急車 (ドクターカーを含む) での搬送プロトコール 1 クラスⅠ 初期診断・治療・管理 トリアージ STEMI 診断の指針 55) 1.心原性ショックを併発した 75 歳未満の STEMI 患者 は,直近の緊急 PCI または緊急 CABG が可能な病 クラスⅠ 1.患者到着後 10 分以内に再灌流療法の適応を判断し 院に搬送する(レベル A). 2.血栓溶解療法が禁忌である STEMI 患者は,直近の 治療を行うための診断手順の作成・活用(レベル B) 緊急 PCI が可能な病院に搬送する(レベル B). 3.STEMI が疑われる,もしくは確認された患者の病 STEMI 発症早期の再灌流療法は予後を改善する確立 院選定は,救急隊の活動規準に明記する(レベル C). クラスⅡ a された治療法であり,早期診断,早期治療が重要である. あらかじめ定められた手順により,患者の病態を評価し, 1.高リスク患者(表 1,Step3 参照)は,直近の緊急 直ちに初期治療を開始する.患者到着後 10 分以内 56),57) PCI が可能な病院に搬送する(レベル B). に,バイタルサインのチェック,連続心電図モニターを 行い,簡潔かつ的確な病歴聴取とともに 12 誘導心電図 地域の消防,循環器認定医療施設と第一線の医療機関 を記録し,血液生化学検査を行う.STEMI の場合,再 は定期的に人的交流と情報交換を行い,STEMI に対す 灌流療法として血栓溶解療法を選択した場合には患者到 るトリアージ,病院選定規準,病院前救護,病院収容後 着後 30 分以内に血栓溶解薬の投与,冠インターベンシ 救急医療体制(緊急 PCI,緊急 CABG を含む)を検証し, ョンを選択した場合には到着後 90 分以内に初回バルー 絶えず構築していくことが必要である.そして,STEMI ンを拡張することが目標である 57)−60).(図 5) 患者に対し,発症から充分な再灌流(TIMI 3)達成ま での時間を 120 分以内に保つ努力をしていくことが妥当 である.我が国は欧米に比べ,各々の地域に緊急 PCI を 図 5 STEMI の診断アルゴリズム 第 1 段階 問診 身体所見 10 分以内 第 2 段階 12 誘導心電図 1) 第 3 段階 心エコー,胸部 X 線写真 3) 採血 2) 再灌流療法の適応の決定,実行 ■心電図モニタリング ■アスピリンの咀嚼服用 ■酸素投与 ■塩酸モルヒネ投与 ■静脈ライン確保 ■硝酸薬(ニトログリセリン)投与 1)急性下壁梗塞の場合,右側胸部誘導(V4R)も記録する. 2)診断確定のために採血結果を待つことで再灌流療法が 遅れてはならない 3)重症度評価や他の疾患との鑑別に有用であるが必須ではなく 再灌流療法が遅れることのないよう短時間で行う Door-to-needle time : 30 分以内 Door-to-balloon time : 90 分以内 Door-to-needle time:病院到着から血栓溶解療法開始までの時間, Door-to-balloon time:病院到着から初回バルーン拡張までの時間 Circulation Journal Vol. 72, Suppl. IV, 2008 1355 循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2006−2007 年度合同研究班報告) 2 とも 20 分以上で数時間に及び,性状は痛みというより 患者の初期評価(表 2) も局在がはっきりしないある程度の範囲をもって示され る重苦しい,締め付けられる,圧迫される,絞られる, 焼け付くような感じなどと表現されることが多い.しか 病歴 1 し,時にズキズキ,ヒリヒリした感じ,刺されたような クラスⅠ 感じなどの症状を訴えることもあり,このような非典型 1.患者到着後 10 分以内の簡潔かつ的確な病歴聴取(レ 的な症状はとくに高齢者,糖尿病および女性の患者でし ばしばみられる 63)−65).さらに高齢者では心筋虚血によ ベル C) る症状として息切れを訴えることがあり 66),全身倦怠感, 病歴は STEMI の診断や治療に極めて重要であり,治 食欲不振や意識レベルの低下などが唯一の症状のことも 療が遅れることのないよう迅速かつ詳細な聴取が必要で ある.塩酸モルヒネを必要とする強い痛みは約半数の例 ある.病歴による評価は,胸部症状,関連する徴候と症 で認められるが,症状の強さと重症度とは必ずしも一致 状,冠危険因子,急性肺血栓塞栓症や急性大動脈解離の しない.また随伴症状として,男性では冷汗が,女性で 可能性,出血性リスク,脳血管障害および狭心症,心筋 は嘔気,嘔吐,呼吸困難感が多いとされている 63)−64). 梗塞,冠血行再建の既往の有無に重点を置く.症状とし 胸痛の鑑別疾患は,頻度としては消化管疾患が多く, ては前胸部の不快感を自覚することが多いが,顎,頚部, 逆流性食道炎の痛みは胸焼けのような灼熱感で,食後の 肩,心窩部,背部,腕へ放散することや時に胸部症状を 仰臥位で増強し制酸薬で軽減する.食道痙攣は,痛みが 認めずにこれらの部位にのみ症状が限局することもあり 胸骨裏面に生じ頚部や背部に放散する.労作とは無関係 注意が必要である.一般的に,顎,頚部,肩,背部,腕 で持続時間も一定せず,飲食によって誘発され,しばし への放散は女性で多く認められる 61)−64).症状は少なく ば飲水により寛解を認める.硝酸薬・カルシウム拮抗薬 表 2 初期評価項目のチェックリスト 問診 簡潔かつ的確な病歴聴取 …胸部症状,関連する徴候と症状,冠危険因子,急性大動脈解離・急性肺血栓塞栓症の可能性,出血性リスク, 脳血管障害・狭心症・心筋梗塞・冠血行再建の既往 身体所見 バイタルサイン, (大動脈解離を疑う場合は四肢の血圧も) 聴診…心音,心雑音,呼吸音(湿性ラ音の有無とその聴取範囲) ,心膜摩擦音 血管雑音(頸動脈,腹部大動脈,大腿動脈) 眼瞼所見…貧血 頚部所見…頚静脈怒張 腹部所見…圧痛,腹部大動脈瘤,肝腫大 下腿所見…浮腫 神経学的所見 心電図 12 誘導心電図…T 波の先鋭・増高(Hyperacute T) ,T 波の陰転化, R 波の減高,ST 上昇 / 低下,異常 Q 波 右側胸部誘導(V4R 誘導)…右室梗塞の合併 採血 血液生化学検査 …心筋傷害マーカー : 心筋トロポニン,CK,CK-MB,ミオグロビン,心臓型脂肪酸結合蛋白(H-FABP) 血算,生化学,電解質,凝固 心エコー 局所壁運動異常(左室壁運動,下壁梗塞の場合は右室壁運動も) 左室機能 機械的合併症…左室自由壁破裂(心膜液貯留, 右室拡張期の虚脱) , 心室中隔穿孔(シャント血流) , 乳頭筋断裂(僧 帽弁逆流) 左室壁在血栓 他の疾患との鑑別…急性大動脈解離(上行大動脈や腹部大動脈の intimal flap,大動脈弁逆流,心膜液貯留),急 性肺血栓塞栓症(右房および右室の拡大,左室の圧排像) ,急性心膜炎(局所壁運動異常の ない心膜液貯留)など 胸部 X 線写真 心陰影…拡大 肺野…肺うっ血,肺水腫,胸水 肋骨,胸膜,縦隔陰影 注)下線をひいた項目は特に優先度の高いもの 1356 Circulation Journal Vol. 72, Suppl. IV, 2008 急性心筋梗塞(ST 上昇型)の診療に関するガイドライン が有効とされるが,診断の根拠となる特異的検査に乏し では Bezold-Jarisch 反射による徐脈などの副交感神経過 い.消化性潰瘍や胆石胆嚢炎の痛みは食事摂取と関連が 緊張を示唆する所見が,前壁梗塞では頻脈などの交感神 ある上腹部痛で圧痛を伴う.また,急性心膜炎の痛みは, 経過緊張を反映する所見が見られ,90mmHg 以下の低 深呼吸,咳嗽,体動,臥位で増強し,胸膝位で軽減する 血圧はショック状態で認められる. 2.聴診所見 のが特徴である. 致死的疾患の鑑別として,急性肺血栓塞栓症と急性大 (1)心音,心雑音: 救急外来でⅢ音の有無を確認する. 動脈解離がある.急性肺血栓塞栓症ではしばしば急性心 Ⅲ音は左室充満圧上昇を伴った重症左室機能不全を反映 筋梗塞と類似した前胸部症状や背部症状を認めるが,呼 する所見であり,Killip 分類 68)の評価に用いられる.(表 吸困難や頻呼吸を伴い,重症例ではショックを呈するこ 3)経過中に出現する収縮期雑音は,左室拡大や乳頭筋 とや一過性に意識消失を認めることもある 67) .術後の安 不全および腱索や乳頭筋断裂による僧帽弁逆流あるいは 静臥床後の初めての歩行,深部静脈血栓症や凝固異常, 心室中隔穿孔の合併を考える.腱索や乳頭筋断裂による 悪性腫瘍などの臨床背景をもつ患者で起こしやすい.急 僧帽弁逆流は,心尖部に最強点を有し時に振戦(thrill) 性大動脈解離は,心筋梗塞と比べ痛みの程度が強く,激 を伴う顕著な全収縮期雑音として聴取し,血行動態の悪 烈なことが多い.通常,前駆症状を伴わず突然引き裂か 化を伴う.心室中隔穿孔による心雑音も同様の性状を有 れるような背部へ放散する鋭い痛みが出現し,呼吸困難 するが,心尖部よりむしろ第 4 肋間胸骨左縁で最強点を や意識消失を伴うこともあり,解離の進行とともに腰部, 有することが多い.心膜摩擦音は,発症直後は稀で,梗 稀に下肢にまで痛みが移動する. 塞範囲の大きい貫壁性心筋梗塞で発症 2 ∼ 3 日後に主に 2 吸気時に聴取されるが,一過性のことが多い. 身体所見 (2)呼吸音:左室コンプライアンスの低下した状態で体 液が肺胞や気道に漏出することにより湿性ラ音が生じ クラスⅠ 1.患者到着後 10 分以内の身体所見および簡潔な神経 る.肺野の聴診では,この湿性ラ音の有無とその聴取範 囲が重要で,前述のⅢ音とともに Killip 分類 68)としてポ 学的所見の診察(レベル C) ンプ失調の重症度を評価する. 身体所見の注意深い診察は診断のみならず合併症の有 3.鑑別診断 無や胸痛を起こす他の疾患との鑑別に役立つ.また,特 胸痛をきたす他の疾患との鑑別には,四肢血圧の差, に血栓溶解薬投与前には脳卒中の既往や認知症の有無を 大動脈弁逆流性雑音(急性大動脈解離),心膜摩擦音(急 簡潔な神経学的所見の診察から判断する. 性心膜炎),左右肺野での呼吸音の比較(気胸),圧痛の 症状の程度は個人差があり,症状が強い場合は苦悶様 確認(腹壁・腹腔内臓器由来の症状)が重要である.急 表情を呈し,痛みで動けずに耐えていることが多い.肺 性大動脈解離では解離が冠動脈入口部にまで及び 水腫を合併例は,呼吸困難や起坐呼吸,咳嗽や泡沫状血 STEMI を合併することがある(Stanford A 型でこの合併 痰を認める.ショック例では,顔面蒼白で皮膚は冷たく 率は 5%前後,特に右冠動脈入口部を巻き込むことが多 湿潤で青いまだら状の斑点を認め,口唇や爪床にはチア い).身体所見の特徴から疾患を推測することは重要で ノーゼを認める.また,心拍出量低下に起因する脳循環 あるが,必ずしも診断を確定できないことに留意する. 障害により錯乱状態など意識レベルの低下がみられる. 4.その他 1.バイタルサイン 右室梗塞を合併した急性下壁梗塞例では,頚静脈怒張, 合併症のないものは正常血圧のことが多い.一方,不 肝腫大,下腿浮腫などの右心不全徴候を認める場合があ 安感が強い場合や興奮状態では交感神経亢進により一過 る.また,頸動脈や腹部大動脈や大腿動脈などの血管雑 性に血圧上昇をきたすことがある.一般的に,下壁梗塞 音,貧血,腹部大動脈瘤などの有無から心臓カテーテル 表 3 Killip 分類:身体所見に基づいた重症度分類 クラスⅠ ポンプ失調なし 肺野にラ音なく,Ⅲ音を聴取しない クラスⅡ 軽度∼中等度の心不全 全肺野の 50% 未満の範囲でラ音を聴取あるいはⅢ音を聴取する クラスⅢ 重症心不全,肺水腫 全肺野の 50% 以上の範囲でラ音を聴取する クラスⅣ 心原性ショック 血圧 90mmHg 未満,尿量減少,チアノーゼ,冷たく湿った皮膚,意識障害を伴う Circulation Journal Vol. 72, Suppl. IV, 2008 1357 循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2006−2007 年度合同研究班報告) 検査のアプローチを含む再灌流療法の妨げとなる所見が い例での血栓溶解療法はむしろ有害とされている 74),75). あるか否かを確認する. 純後壁梗塞では後壁の ST 上昇の対側性変化として V1- 3 V4 誘導で ST 低下のみを認めることがあり,この場合背 心電図 側部誘導(V7-V9 誘導)の記録が診断に有用である.心 筋梗塞症例の中で ST 上昇を示す例は 50 %程度に過ぎ クラスⅠ 1.胸部症状を訴える患者や他の症状でも ACS が疑わ ず,約 40 %は ST 低下,陰性 T 波,脚ブロックなどの非 れる患者に対する到着後 10 分以内の 12 誘導心電図 特異的な心電図異常を,残る 10 %は正常心電図を呈す の記録(レベル C) るとされている 76)−79).一方,ST 上昇は必ずしも心筋虚 2.初回心電図で診断できない場合でも症状が持続し 血を反映しているとは限らず注意が必要である 80).左室 ACS が強く疑われる患者に対する 5 − 10 分ごとの 肥大例ではしばしば V1-V3 誘導で ST 上昇,QS パターン 12 誘導心電図の記録(レベル C) を認め前壁梗塞に類似することがある.他に ST 上昇を 3.急性下壁梗塞患者に対する 12 誘導と V4R 誘導の心 電図記録(レベル B) 高率に認める疾患として急性心膜炎があげられるが,心 膜炎による ST 上昇は冠動脈の支配領域とは一致せず対 側性変化は認められない.aVR 誘導を除く誘導で広範 本ガイドラインでは典型的な持続性 ST 上昇(2 つ以 囲に上に凹型の ST 上昇と PR 部の下降,aVR 誘導で ST 上の隣接した誘導での 0.1mV 以上の ST 上昇)を呈する 低下と PR 部の上昇を認める.また,心室ペーシング例, もの以外に,胸部症状を有する左脚ブロック,純後壁梗 WPW 症候群や脚ブロック合併例では 2 次性 ST-T 変化の 塞も STEMI として扱う. ため心電図診断は困難なことが多いが,左脚ブロック例 STEMI の早期診断において,心電図は最も簡便で診 で も 上 向 き QRS を 示 す 誘 導 で 1mm 以 上 の ST 上 昇, 断的価値の高い検査である 69).しかし,心筋虚血の程度 V1-V3 誘導で 1mm 以上の ST 低下,下向き QRS を示す誘 が軽度な例や心筋虚血の範囲の狭い例の他,心筋梗塞の 導で 5mm 以上の ST 上昇を認めた場合は STEMI の可能 既往があり発症前から異常心電図を呈する例などでは心 性が高いとされる 81).右脚ブロック例では,QRS 波形 電図診断が困難なことも多く注意を要する 70),71). が V1 誘導から V3 または V4 誘導で qR パターンでこの誘 心筋逸脱酵素が未だ上昇していない心筋梗塞超急性期 導での ST 上昇は左前下行枝近位部病変を,また,QRS においても,心電図では T 波の先鋭・増高(hyperacute T) 波形が V1 誘導で rR あるいは R パターンの場合は左主幹 を 認 め る こ と が 多 く, こ れ が 診 断 の 鍵 と な る. 部病変を疑う所見である 82).また,Yamaji ら 83)は,aVR Hyperacute T が出現する時期には,明らかな R 波の減高, 誘導の ST 上昇度が V1 誘導の ST 上昇度よりも高度な場 ST 上昇および異常 Q 波など典型的な STEMI の所見を認 合に左主幹部病変が疑われることを報告している. めないことも多いが,これは心筋傷害が可逆性である可 能性を意味し,この時期の再灌流による心筋救済効果は 大きい 72).初回心電図で心電図所見が乏しい場合でも, 症状が持続し ACS が強く疑われる場合には 5 − 10 分ご 4 臨床検査 クラスⅠ 1.患者到着後 10 分以内の血液生化学検査(レベル C) とに繰り返し心電図を記録し診断する. 急性下壁梗塞では右側胸部誘導(V4R)も記録し右室 診断確定のために生化学的マーカーの結果を待つこと 梗塞の合併の有無を診断する.V4R の 1mm 以上の ST 上 で再灌流療法が遅れてはならない. 昇は右室梗塞の診断に有用であり,この所見を認めた場 STEMI で,貧血や腎機能障害の存在,高度な白血球 合にはニトログリセリンなど血管拡張薬の投与は顕著な 数増多や高血糖を認める例の予後は不良であることが報 血圧低下を招くことがあり原則として投与を避ける.し 告されている 84)−88). かし,通常,右室梗塞に伴う ST 上昇は早期に消失しや 急性心筋梗塞の臨床診断において心筋壊死を示す生化 すく,右室虚血合併例の約半数で 10 時間以内に右側胸 学マーカーの一過性上昇を認めることは必須であり,こ 部誘導の ST 上昇が消失したと報告されている 1358 73) . れに加え虚血の存在を示唆する遷延する胸痛や心電図所 心電図は STEMI の診断のみならず,梗塞責任血管や 見のいずれかの存在が必要となる.しかし発症早期には 閉塞部位,心筋傷害の程度や範囲など多くの情報が得ら 心筋傷害の生化学的マーカーは未だ上昇していないこと れる.特に ST 上昇の存在は再灌流療法施行を決定する も多く,早期再灌流の重要性から症状と心電図所見を中 重要な所見であり,純後壁梗塞を除き ST 上昇を認めな 心に診断,治療を進めていく. Circulation Journal Vol. 72, Suppl. IV, 2008 急性心筋梗塞(ST 上昇型)の診療に関するガイドライン 虚血により心筋壊死に至る過程では,まず心筋細胞膜 あるために軽度の心筋傷害のレベルで循環血中に逸脱し が障害され,細胞質可溶性分画マーカー(クレアチンキ やすく,ミオグロビンと同様に鋭敏な遊出動態を示す. ナーゼ:CK,クレアチンキナーゼ MB:CK-MB,ミオ H-FABP 全血迅速診断法は心筋トロポニン T 全血迅速診 グロビン,心臓型脂肪酸結合蛋白:H-FABP)が循環血 断法では診断できない発症 2 時間以内の超急性期の急性 中に遊出する.さらに虚血が高度で長時間に及ぶと筋原 心筋梗塞の診断が可能となるが,心筋特異性が低く,大 線維が分解され,心筋筋原線維の構造蛋白である心筋ト 動脈解離,骨格筋障害,腎機能障害例などでも陽性とな ロポニン T,I,ミオシン軽鎖が流出する.心筋トロポ ること報告されている 100).(表 4)101) ニン T は一部(約 6%)が細胞質に可溶性分画として存 在し,STEMI では虚血早期の細胞質からの遊出(発症 画像診断 5 12 ∼ 18 時間後の第 1 ピーク)と筋原繊維壊死(発症 90 胸部 X 線写真 ∼ 120 時間後の第 2 ピーク)の 2 峰性の遊出動態を示し, クラスⅠ 1 峰性の遊出動態を示す心筋トロポニン I とは異なる 89). CK は最も一般的な心筋壊死のマーカーであり 90),91) , 現在でも広く心筋梗塞の診断,予後の予測に用いられて いる 1.重症度の評価(レベル C) 2.急性大動脈解離や他の肺・胸膜疾患,縦隔疾患との 鑑別診断(レベル C) .STEMI では発症後 3 ∼ 8 時間で上昇し,10 ∼ 92) 24 時間で最大となり,3 ∼ 6 日後に正常化する.血中 胸部 X 線写真は鑑別診断と重症度評価の上で重要な CK の最高値は心筋壊死量を反映するが,早期再灌流療 検査である.心陰影の拡大,肺うっ血,肺水腫,胸水の 法施行例ではピーク到達時間が早くなり最高値も高くな 有無を客観的に評価できる.胸部 X 線写真のみで胸痛の る.CK は健常人でも検出され心筋特異性が低いのに対 鑑別が可能となる疾患は限られているが,肋骨疾患,気 し,心筋トロポニンは心筋特異性が高く,健常人で上昇 道疾患,肺・胸膜疾患,縦隔疾患,心臓および心膜疾患, .心筋トロポニン することはない(基準値< 0.01ng/ml) 肺・体血管疾患の形態的診断には有用である.緊急に診 の上昇は健常人の 99%値を越える場合と定義され,CK 断治療が必要となる急性大動脈解離と急性肺血栓塞栓症 が上昇しない程度の微小心筋傷害も確実に検出される. では,胸部 X 線写真で上縦隔陰影の拡大,二重陰影,大 しかしながら,このマーカーは発症早期には上昇してい 動脈壁内膜石灰化の偏位を認める場合には前者を,肺動 ないことが多く 93),超急性期の診断には有用性が低い. 脈の途切れ,遮断,区域性乏血が認められた場合には後 しかし,確定診断に有用であり,ESC/ACC ガイドライ 者を疑い検査を進めるが,このような所見は必ずしも見 ン 2000 では急性心筋梗塞の最終診断は心筋トロポニン られないことに注意する.また,留意点として,仰臥位 の上昇と定義した 94).また,主に非 ST 上昇型 ACS での の正面胸部 X 線像は立位正面胸部 X 線像と異なること 診断やリスク層別において臨床的有用性が高い 95)−99) . があげられる. しかし,心筋トロポニンは心不全,心筋炎,急性肺血栓 塞栓症など虚血以外の原因による心筋傷害でも上昇する 心エコー法 ことに注意が必要である.H-FABP は,心筋細胞質に比 クラスⅠ 較的豊富に存在する低分子可溶性蛋白であり,低分子で 1.標準的診断法で確定できないが急性心筋梗塞が疑わ 表 4 発症からの経過時間別に見た各心筋傷害マーカーの診断精度 <2h 2 ∼ 4h 4 ∼ 6h 6 ∼ 12h 12 ∼ 24h 24 ∼ 72h >72h ミオグロビン * ○ ○ ○ ○ ○ △ × 心臓型脂肪酸結合蛋白(H-FABP)* ○ ○ ○ ○ ○ △ × 心筋トロポニン * × △ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ CK-MB × △ ◎ ◎ ◎ △ × CK × △ ○ ○ ○ △ × ミオシン軽鎖 × △ ○ ○ ○ ○ ○ ◎ 感度,特異度ともに高く診断に有用である ○ 感度は高いが,特異度に限界がある △ 感度,特異度ともに限界がある × 診断に有用でない * 全血迅速診断が可能である Circulation Journal Vol. 72, Suppl. IV, 2008 1359 循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2006−2007 年度合同研究班報告) れる患者の診断(レベル C) 2.心筋虚血に曝されている領域の評価(レベル C) STEMI ではすみやかに重症度を評価し迅速かつ的確 な治療を行うことが予後の改善に重要である.このため 3.梗塞急性期における左心機能の評価(レベル C) 病歴,身体所見,12 誘導心電図,臨床検査所見など来 4.下壁梗塞で右室梗塞の合併の可能性がある患者の診 院時に得られる情報を駆使してリスクの層別化を行う. 断(レベル C) 予後に影響する因子としては,年齢,性別,収縮期血圧, 5.機械的合併症の診断(レベル C) 心拍数,低体重,発症から治療までの時間,梗塞部位, 6.左室壁在血栓の診断(レベル C) 高血圧,糖尿病,心筋梗塞の既往などがあげられる 104)− 107) クラスⅡ a .Killip 分類(表 3)は主に聴診所見により重症度を 1.再灌流療法後の心機能の評価(レベル C) 評価でき予後の予測にも有用である 68).Killip Ⅳの心原 性ショック例の死亡率は未だ 40 − 70%と高く,院内死 クラスⅡ b 1.標準的診断法で確定した急性心筋梗塞の診断(レベ ル C) 亡の最大原因である.しかし,ショック合併例において も早期の再灌流療法を中心とした治療法の進歩により生 存率が向上することが示されている 108)−110).心筋梗塞 心エコーは,局所壁運動異常による急性心筋梗塞の診 による心原性ショックは,一般的に左室充満が十分な状 断,左室収縮機能・拡張機能の評価のみならず外科的治 況で末梢循環不全の徴候を合併した 30 分以上持続する 療の適応となることが多い機械的合併症の診断や大動脈 低血圧(< 90mmHg)と定義されるが,血圧が 90mmHg 解離との鑑別に有用である.局所壁運動異常による急性 以上でも組織低灌流状態が見られる場合にはプレショッ 心筋梗塞の診断率は 90 %を超え,心電図診断が困難な クと考えショックと同様の対応をする必要がある.多数 場合にも有用である 102),103) .壁運動異常部位の範囲から の心原性ショック例を検討した SHOCK registry のなか 虚血範囲や責任冠動脈を推測することができる.梗塞発 で,来院時にショック状態を呈した例は 9%と少ないに 症早期に低血圧を呈する最も多い原因は急性下壁梗塞例 もかかわらず,心筋梗塞発症 6 時間以内には 47 %,24 でみられる迷走神経過緊張である.このような例は心エ 時間以内には 74 %の例でショック状態となっている. コー図で前側壁領域の壁運動が良好であり,広範な右室 この理由として,来院時点で重症心不全やプレショック 梗塞や後述の機械的合併症を認めなければ左室心筋原性 の診断が十分になされていないか,ようやく代償されて ショックは否定される.機械的合併症の中で,左室自由 いる患者に血圧低下作用のある薬剤を投与するなどの要 壁破裂は最も重篤で急速に死に至ることも多い.心膜液 素も考えられる.このような重症例を見逃さずに診断し, の貯留(echo free space)を認めるが,貯留量が少ない ショックになる前に必要に応じて再灌流療法を含む的確 場合でも右室拡張早期の虚脱(diastolic collapse)は心 な治療を行うことで,ショックを予防することが重要で タンポナーデの指標となる.心室中隔穿孔はカラードプ ある. ラー法でシャント血流の存在より穿孔部位を確認でき 重症度は複数の因子から総合的に判断することでより る.乳頭筋が心筋虚血に陥り,機能不全あるいは断裂が 包括的な評価が可能となる.このため様々なリスク層別 起こると僧帽弁逆流を生じる.特に乳頭筋断裂では僧帽 化の指標が考案されている.TIMI リスクスコアでは 8 弁逆流により急激に重篤な心不全を生じる.断層像では つの因子の合計ポイント数が大きいほど予後は不良とさ 断裂した乳頭筋が腱索に付着し可動性の塊状エコーとし 2 れている 111).また, 〔心拍数×(年齢 /10) 〕÷収縮期血圧〕 てみられる.胸痛を認める心血管疾患で,急性大動脈解 で算出される simple risk index も予後を予測する簡便な 離(上行大動脈や腹部大動脈の intimal flap,大動脈弁逆 指標であり,数値が大きいほど早期死亡は高率であ 流,心膜液貯留),急性肺血栓塞栓症(右房および右室 る 112).CADILAC リスクスコアは冠インターベンショ の拡大,左室の圧排像),急性心膜炎(局所壁運動異常 ン施行例を対象に,従来から提唱されてきた臨床因子に のない心膜液貯留)などの疾患との鑑別にも心エコーは 冠動脈造影所見と左室機能を加味して予後を予測する指 有用である. 標であり,年齢,Killip 分類,貧血,腎不全,3 枝病変, 6 包括的リスク評価法 クラスⅠ 1.患者背景,身体所見,心電図所見に基づいたリスク 評価(レベル C) 1360 Circulation Journal Vol. 72, Suppl. IV, 2008 左室駆出分画率,冠インターベンション後の TIMI 分類 の 7 つの各項目にポイントで重みをつけ合計ポイント数 が大きいほど予後が不良とされている 113). STEMI 患者の予後には多くの因子が複雑に関与する. 個々の症例ごとに患者背景,身体所見などからリスクを 急性心筋梗塞(ST 上昇型)の診療に関するガイドライン 評価し,再灌流療法を中心として予想されるリスクと利 がある.末梢静脈の拡張は左室前負荷や左室容量を軽減 益とあわせ総合的に判断することが治療法を決定する上 し,また末梢動脈の拡張は血圧を低下し後負荷を軽減す で重要である. ることで心筋酸素消費量を減少する.さらに冠攣縮の解 3 除や予防に加え,側副路の血流を増加することで虚血心 標準的初期治療 筋の血流を改善するため広く用いられている.この結果 として虚血による胸部症状に対し鎮痛効果を有する.再 灌流療法以前のいくつかの臨床試験では硝酸薬の早期静 酸素 1 脈内投与による梗塞サイズ縮小や死亡率減少効果が示さ れたが 116),経皮吸収製剤 117)や経口薬 118)を用いた無作為 クラスⅠ 1.肺うっ血や動脈血酸素飽和度低下(90 %未満)を 認める患者に対する酸素投与(レベル B) 大規模試験では硝酸薬による死亡率の有意な改善は認め なかった.虚血による胸部症状のある場合には,舌下ま クラスⅡ a たはスプレーの口腔内噴霧で,痛みが治まるか血圧低下 1.全ての患者に対する来院後 6 時間の酸素投与(レベ ル C) のため使用できなくなるまで,3 ∼ 5 分ごとに合計 3 回 まで投与する.経静脈的投与は確実で用量調節が容易で, 副作用を認めた場合に直ちに中止できるという利点があ 酸素投与により虚血心筋傷害が軽減される可能性が報 り,胸部症状が持続する場合,高血圧や肺うっ血を認め 告されており 114),また合併症のない心筋梗塞患者でも る場合に適応がある.しかし,収縮期血圧 90mmHg 未 初期には換気血流不均衡や肺の液体貯留などが原因で軽 満あるいは通常の血圧に比べ 30mmHg 以上の血圧低下, 度の低酸素状態にある場合があることから 115) ,緊急治 高度徐脈(< 50bpm),頻脈(> 100bpm)を認める場合, 療開始から最初の 6 時間は全例で酸素投与が勧められ 下壁梗塞で右室梗塞合併が疑われる場合には投与を避け る.通常は経鼻カニュレまたはフェイスマスクにより る(クラスⅢ).また,高齢者や脱水を伴っている場合 100%酸素を 2 ∼ 5 l/ 分で開始する.重篤な慢性閉塞性肺 にも硝酸薬投与により過度の血圧低下をきたすことがあ 疾患の患者では,酸素投与により炭酸ガスナルコーシス るので注意する必要がある.勃起不全治療薬(バイアグ をきたす可能性があり,低濃度から慎重に投与する.ま ラⓇなど)服用後 24 時間以内の硝酸薬使用は過度な血圧 た,高度の肺うっ血や肺水腫,機械的合併症により低酸 低下から心筋虚血やショックを誘発する可能性があり禁 素血症が高度な場合は気管挿管を行い人工呼吸管理とす 忌である 119). る. 2 硝酸薬 クラスⅠ 1.虚血による胸部症状のある場合に,舌下またはスプ 3 鎮痛薬 クラスⅠ 1.硝酸薬使用後にも胸部症状が持続する場合の塩酸モ ルヒネ投与(レベル C) レーの口腔内噴霧で,痛みが消失するか血圧低下の ため使用できなくなるまで 3 ∼ 5 分ごとの計 3 回ま 胸痛の持続は心筋酸素消費量を増加させ梗塞巣の拡大 での投与(レベル C) や不整脈を誘発するため,鎮痛,鎮静は速やかに行わな 2.虚血による胸部症状の緩解,血圧のコントロール, ければならない.再灌流療法により早期に良好な再灌流 肺うっ血の治療目的としての静脈内投与(レベル C) が得られれば,胸痛は速やかに軽減消失する.硝酸薬で クラスⅢ 1.収縮期血圧 90mmHg 未満あるいは通常の血圧に比 改善のみられない持続する疼痛には塩酸モルヒネが有効 である.また塩酸モルヒネは血管拡張薬であり,肺うっ べ 30mmHg 以上の血圧低下,高度徐脈(< 50bpm), 血にも有効であるが,循環血液量が減少している可能性 頻脈(> 100bpm)を認める場合,下壁梗塞で右室 のある患者には投与すべきでない.もし血圧低下をきた 梗塞合併が疑われる場合の投与(レベル C) した場合には,下肢を挙上し輸液負荷を行うが,肺うっ 2.勃起不全治療薬(バイアグラⓇなど)服用後 24 時間 以内の投与(レベル B) 血の増悪に注意する.塩酸モルヒネは 2 ∼ 4mg を静脈内 投与し,効果不十分であれば 5 ∼ 15 分ごとに 2 ∼ 8mg ず つ追加投与していく.しばらくは呼吸状態や血圧変動や ニトログリセリンは冠動脈や末梢の動静脈の拡張作用 嘔吐などの副作用に注意する.胸部症状には塩酸ブプレ Circulation Journal Vol. 72, Suppl. IV, 2008 1361 循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2006−2007 年度合同研究班報告) ノルフィン(0.1 ∼ 0.2mg)や鎮静目的でジアゼパム(2.5 の血流が得られている率が高いことが報告されてい ∼ 5mg)の静脈内投与も有用であるが,呼吸抑制に注意 る 129).tPA にヘパリン投与を併用することで再疎通率が する. 向上することが報告されており 130),131),tPA を使用した 4 血栓溶解療法においてはヘパリンを 48 時間静脈内投与 アスピリン を行い (クラスⅡa) , aPTT(activated partial thromboplastin time)を測定し目標を50∼70秒に維持するのが望ましい. クラスⅠ 1.アスピリン 160(レベル A)∼ 325mg(レベル C) (バ フ ァ リ ン 81mg 2 ∼ 4 錠 ま た は バ イ ア ス ピ リ ン Ⓡ Ⓡ 100mg 2 ∼ 3 錠)の咀嚼服用 ヘパリンは抗凝固活性が一定ではなく薬物動態も不安定 なため,投与量を調節する必要がある.ウロキナーゼな どの血栓親和性のない血栓溶解薬を使用した血栓溶解療 法ではヘパリンの使用は避ける. アスピリンは単独投与でも死亡率や再梗塞率を減少さ せることがいくつかの臨床研究から明らかにされてお り,早期に投与するほど死亡率が低下することが示され ている 120)−127).このため,アスピリンアレルギーの既 往がある患者を除き,STEMI が疑われる患者全例に, できるだけ早くアスピリンを投与する.病院外でも救急 外来でも,早急に効果を得るためにアスピリン 160 ∼ 325mg(バファリン 81mg 2 ∼ 4 錠またはバイアスピリ Ⓡ 6 β遮断薬 クラスⅠ 1.STEMI 発症後早期のβ遮断薬に対する禁忌のない 場合の使用(レベル A) クラスⅢ 1.中等度−高度の左室機能不全患者,心原性ショック (レベル C) ン 100mg 2 ∼ 3 錠)を噛み砕いて服用させる.アスピ 2.収縮期血圧 100mmHg 未満の低血圧(レベル C) リン坐薬の投与は安全であり,嘔気,嘔吐症状が強い患 3.心拍数 60 / 分未満の徐脈(レベル C) 者や,上部消化管疾患のある患者に対しては適応である. 4.房室ブロック(Ⅱ,Ⅲ度)(レベル C) アスピリンアレルギーがある場合にはチエノピリジン系 5.重症閉塞性動脈硬化症(レベル C) 薬剤で代用するが,効果発現には時間を要する. 6.重症慢性閉塞性肺疾患または気管支喘息等(レベル Ⓡ 5 未分画ヘパリン クラスⅠ 1.PCI 施行時の ACT モニタリング下での使用(レベ C) 再灌流療法が施行される以前は,発症早期のβ遮断薬 の投与により梗塞サイズの縮小および死亡,再梗塞,心 ル C) 破裂,心室細動,上室性不整脈のいずれも減少すること クラスⅡ a が示されている 132)−136).血栓溶解療法施行例でもβ遮 1.tPA,pro-UK,mutant tPA など血栓親和性のある血 断薬の投与により再梗塞,虚血再発率が減少し,特に早 栓溶解薬を使用した場合の aPTT モニタリング下で 期(2 時間以内)に静脈内投与した場合には死亡率も低 の静脈内投与(レベル C) 下し得ることが示されている 137).発症数時間以内にβ クラスⅢ 1.ウロキナーゼなどの血栓親和性のない血栓溶解薬を 使用した場合の使用(レベル C) 遮断薬を投与すると心拍数,血圧,心筋収縮性が減少し, 心筋酸素需要が低下する.また心拍数の減少により拡張 期時間が延長し,主に心内膜下における傷害心筋への灌 流が改善する可能性がある.このような機序により発症 1362 ヘパリンが有効であるという知見の多くは再灌流療法 直後にβ遮断薬の投与を開始することは梗塞サイズを縮 が施行される以前の大規模試験から得られたものであ 小させ,慢性期の合併症および再梗塞の発生率を減少さ る 128).再灌流療法が施行される患者では,再灌流療法 せると考えられる.しかし,PCI 施行例ではβ遮断薬の の種類や使用薬剤によりヘパリンの使用法が異なる. 有効性について大規模無作為試験では検討されていな PCI が施行される場合にはヘパリンの一回静注投与が推 い.後ろ向き検討ではβ遮断薬の静脈内投与により死亡 奨されている.一般的には ACT(activated clotting time) 率が低下したが,このような予後改善効果は全例でみら が 250 秒を超えるようモニタリングしながら使用する. れたわけではなく低心機能例や多枝病変例,発症前にβ 入院直後にヘパリンを投与することにより,特に発症 2 遮断薬の治療歴がない例において認められたと報告され 時間以内の症例では,冠動脈造影の時点で TIMI 2 以上 ている 138),139).しかし,救急外来で低心機能例に対する Circulation Journal Vol. 72, Suppl. IV, 2008 急性心筋梗塞(ST 上昇型)の診療に関するガイドライン β遮断薬の投与は慎重に考慮することが必要である.こ に明らかな優劣をつけていない.無作為臨床試験の解析 のように再灌流療法施行例でのβ遮断薬の有効性を検討 結果では PCI の死亡率減少における有効性は発症 60 分 した試験は少ないが,非再灌流療法時代の成績やこの薬 以内に PCI が可能な場合に得られ,その後 15 分間遅れ 剤の特性を考慮するとβ遮断薬は,再灌流療法の有無に るごとに死亡率が上昇することが示された 60).また,早 かかわらずβ遮断薬に対する禁忌のない患者には使用す 期の TIMI 3 回復は短期,および 1 年の長期予後を有意 る.(慢性期のβ遮断薬投与についてはⅧ.二次予防の に改善する事も示されている 43). 項を参照のこと) 本邦では,現在 PCI が STEMI 治療の主体として多く 行われている.欧米において PCI が血栓溶解療法に勝る Ⅴ 成績が多く報告されているが,明らかな PCI の有用性を 再灌流治療 示す無作為臨床試験の結果では発症後平均 44 分という 短時間で TIMI 3 が得られている 140)−144). 一方,病院間の患者移送で PCI 治療が 60 分以上遅れ STEMI では,血栓溶解療法,PCI を問わず,いかに早期 るような場合には,血栓溶解療法に対する死亡率減少効 に TIMI 3 の再灌流を得るかが,短期および長期の予後を 果の優位性は損なわれる 60).しかし,血栓溶解療法の禁 改善する.重要なことは,血栓溶解療法においては door- 忌,不成功の患者,心原性ショックの患者,60 分以内 to-needle time を 30 分 以 内 に,PCI で は door-to-balloon で治療可能な患者,症状が改善しない発症 2 から 3 時間 time を 90 分以内にすることである(図 6). 以内の患者は直ちに PCI 施行可能な施設に搬送するべき AHA と ILCOR では 3 時間以内の PCI と血栓溶解療法 ) である 144),145(図 7). 図 6 緊急 PCI が施行可能な施設における STEMI への対応アルゴリズム STEMI 患者 いいえ 12 時間以上 虚血性胸痛と ST 上昇>1mm 持続 はい 発症からの時間は? 3 時間以内 3∼12 時間 いいえ 到着 - バルーン時間を 90 分以内にできるか? 原則として緊急 PCI を選択 (長い待期時間,広い梗塞範囲等では 血栓溶解療法+facilitated PCI を考慮) 早期冠動脈造影を考慮(24-72 時間) さらに残存虚血・心筋生存性 を評価し治療方針を決定 はい いいえ 到着 - バルーン時間を 90 分以内にできるか? はい 血栓溶解療法と facilitated PCI を考慮 緊急冠動脈造影,適応があれば PCI(到着‐バルーン時間 90 以内を目標) あるいは CABG 心原性ショック(または進行した左心不全)の場合,発症 36 時間以内かつショック発現 18 時間以内は PCI・外科手術を検討する. Circulation Journal Vol. 72, Suppl. IV, 2008 1363 循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2006−2007 年度合同研究班報告) 図 7 緊急 PCI が施行できない施設における STEMI への対応アルゴリズム STEMI 患者 いいえ 12 時間以上 虚血性胸痛と ST 上昇>1mm 持続 はい 発症からの時間は? 3 時間以内 3∼12 時間 いいえ 搬送時間を考慮し 90 分以内かつ発症 12 時間以内に バルーン拡張可能か? いいえ はい 原則は緊急 PCI 施設へ搬送 長時間要するなら搬送先と 相談し血栓溶解療法実施を考慮 搬送時間を考慮し 90 分以内にバルーン拡張 可能か? はい 搬送先と相談し, 血栓溶解療法を考慮 あり 再灌流徴候* なし 24 時間以内に PCI が 可能な施設へ搬送 直ちに PCI が可能な施設へ搬送 心原性ショック(または進行した左心不全)の場合,発症 36 時間以内かつショック発現 18 時間以内は PCI・外科手術施行可能施設 へ搬送する.(再灌流徴候 *:胸痛の消失,ST 上昇の軽減,T 波の陰転化など) 1 血栓溶解療法 2.発症 12 時間以内で,新規左脚ブロックが認められ る 75 歳未満の患者(レベル A) クラスⅡ a STEMI の急性期治療は欧米においては簡便な経静脈 1.発症 12 時間以内の純後壁梗塞(レベル C) 的血栓溶解療法が主流を占めてきた.しかし,本邦での 2.発症 12 時間から 24 時間以内で虚血症状および ST 上松瀬らのアンケート調査によると,平成 10 年から平 成 11 年の 1 年間における STEMI 患者の第一選択肢とな る治療法は,48%が経皮的冠動脈形成術(PCI)であり, 上昇が持続する場合(レベル B) クラスⅢ 1.症状が消失し,治療までに 24 時間以上経過した患 血栓溶解療法の 11%に比べ約 5 倍の頻度で施行されてい た.その院内死亡率はそれぞれ 4.7%と 9.9%であった. 者(レベル C) 2.後壁梗塞が除外された非 ST 上昇型 ACS の場合(レ 2000 年に行われた東京都 CCU ネットワークの活動実績 報告によると,参加施設の 62%で direct PCI が行われて いた.よって,本邦では STEMI 初期治療として PCI が 最も多く選択され,治療成績も良好であることが示され ている. 1 血栓溶解療法の適応 クラスⅠ 1.発症 12 時間以内で,0.1mV 以上の ST 上昇が 2 つ以 ベル A) 2 血栓溶解療法の禁忌 (A)絶対的禁忌 1 出血性脳梗塞の既往(時期を問わず),1 年以内の 脳梗塞,脳出血 2 既知の頭蓋内新生物 3 活動性出血 4 大動脈解離およびその疑い 上の隣接した誘導で認められる 75 歳未満の患者(レ ベル A) 1364 Circulation Journal Vol. 72, Suppl. IV, 2008 (B)相対的禁忌 急性心筋梗塞(ST 上昇型)の診療に関するガイドライン 1 診察時,コントロール不良の重症高血圧(180/110 mmHg 以上) 2 禁忌に属さない脳血管障害の既往 a.症状の持続時間が 3 時間以内であり,カテーテ ル検査の穿刺から PCI までを ⅰ )1 時 間 以 内 に 行 う こ と が で き る 場 合 の 3 出血性素因,抗凝固療法中 4 頭部外傷,長時間(10 分以上)の心肺蘇生法,ま primary PCI.(レベル B) ⅱ)1 時間以上要する場合には血栓溶解療法を たは大手術(3 週間未満)などの最近の外傷既往(2 ∼ 4 週間以内) 5 圧迫困難な血管穿刺 6 最近(2 ∼ 4 週以内)の内出血 7 線溶薬に対する過敏反応 8 妊娠 9 活動性消化管出血 10 慢性重症高血圧の既往 考慮.(レベル B) b.症状が3時間以上持続する場合の primary PCI. (レ ベル B) c.重症うっ血性心不全,または Killip Ⅲ度以上の 肺水腫を伴う場合の primary PCI.(レベル B) クラスⅡ a 1.発症 12 から 24 時間前で,次の項目のどれか一つ以 上を満たす場合. a.重症うっ血性心不全(レベル C) 年齢が 75 歳以上の場合や発症後 12 時間を超過してい る場合でも状況に応じて適応となるが,高度の高血圧を 認めるものや,発症後 24 時間以上を経過して症状のな い場合や,ST 低下のみの場合にはクラスⅢである.特 に高齢者や,発症後時間の経過した状況では脳出血,心 破裂(自由壁破裂,心室中隔穿孔)の発症頻度が高くな b.不安定な血行動態または心電図所見(レベル C) c.持続する虚血徴候(レベル C) クラスⅢ 1.血行動態が不安定な患者で,虚血がないと判断され る非梗塞領域を灌流する冠動脈への primary PCI. (レベル C) り,使用にあたっては血栓溶解療法の絶対及び相対的禁 2.発症後 12 時間以上経過しており,血行動態や心電 忌を十分認識しておく必要がある.本邦では,圧倒的に 図所見が安定していて症状が消失している患者への PCI が普及し,血栓溶解療法の使用頻度は減少している primary PCI.(レベル C) が,非専門施設から搬送に時間がかかることが予測され る場合や医療過疎地などでは十分考慮されるべき治療で 3.厚生労働省の定める施設基準を満たさない施設や, PCI に熟練していない術者が行う primary PCI ある. 2 経皮的冠 インターベンション(PCI) 2007 年 12 月 現 在,STEMI の primary PCI に お け る ベ アメタルステント使用に関してはすでに十分なエビデン スがあるが,薬剤溶出ステントに関するエビデンスはま だ不十分である.血栓溶解療法に比して primary PCI は PCI は,熟練した術者が適切な施設環境において行う ①高い再灌流率,②梗塞後の狭心症などの心事故の減少 ことを原則とする.熟練した術者とは,PCI に関する学 と予後の改善,③早期退院が得られ,④心原性ショック 会指導医,認定医等の一定の基準に達した医師であり, 症例にも有効と報告されている 110),145)−166).但し責任冠 PCI の実施は熟練者によるか,またはその監督の下に行 動脈の開存率,左室駆出分画率,心筋残存量,副作用, われるべきである.適切な施設環境とは,厚生労働省の 再梗塞率,死亡率などにおいて両者に差がないという報 定める施設基準に準じるものである. 告も一部にある 167)−170).STEMI の急性期治療における 1 (図 6,図 7) primary PCI の指針 110),145)−170) クラスⅠ 1.発症 12 時間以内で,来院後 90 分以内に病変をバル 治療選択の決定において欧米の事情と異なることを考慮 する必要がある.実際,欧米では PCI を行える施設が日 本ほど多くなく,患者が各地域に分散し,PCI 治療によ る再灌流療法が可能な施設に搬送できないことがあり, ーン拡張できる場合に primary PCI(ステント留置 必然的に血栓溶解療法の需要が多い.本邦ではほとんど を含む)を考慮.(レベル A) の患者は PCI 施行施設に収容可能である.ただし専門医 2.primary PCI は病院に到着してから責任病変をバル 療施設から遠隔な農林漁業地域や離島もあり,さらに諸 ーン拡張するまでの時間が 90 分以内を原則.(レベ 事情による PCI 実施の遅れに対しては,発症 3 時間以内 ル B) であれば血栓溶解療法は十分考慮されるべきである.さ Circulation Journal Vol. 72, Suppl. IV, 2008 1365 循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2006−2007 年度合同研究班報告) らに,その後 PCI を行える施設の搬送が推奨され,再灌 流の所見がなければ rescue PCI を考慮すべきである. 2 血栓溶解療法禁忌の患者に対する primary PCI171)−175) クラスⅠ 5 クラスⅠ 1.ショック状態が進行している 75 歳未満の患者に行 1.血栓溶解療法禁忌で,発症 12 時間以内の STEMI 患 者に対する primary PCI.(レベル C) 3 緊急心臓外科手術体制が整って いない状況での primary PCI176) rescue PCI(血栓溶解療法後も, 心筋虚血が持続または繰り返す 178)−180) 患者に行う PCI) う.(レベル B) クラスⅡ a 1.ショック発症後 18 時間以内に血行再建可能な 75 歳 以上の患者に行う.(レベル B) 2.下記の項目のうちいずれか一つ以上に該当する患者 に行う. クラスⅡ b 1.近隣病院の心臓外科手術室に安全かつ迅速に転送で a.不安定な血行動態または心電図所見(レベル C) きる場合に限り,primary PCI を考慮.ただし患者 b.持続する虚血徴候.(レベル C) 到着後 90 分以内にバルーン拡張できる場合に限る. (レベル B) クラスⅢ 1.緊急心臓外科体制が整っていないだけでなく,かつ 原則発症後 36 時間以内の rescue PCI は狭窄・閉塞病 変枝数を減らすことによって,虚血心筋の再灌流をもた らし,再閉塞の危険性を減らし,予後を改善する 178)−180). 近隣病院の心臓外科手術室に安全かつ迅速に転送す ることができない施設における primary PCI.(レベ ル C) 4 facilitated PCI 177) (血栓溶解療法後の PCI) クラスⅠ 1.発症後 36 時間以内に心原性ショックとなりショッ ク発症後 18 時間以内に PCI が実行可能な 75 歳未満 の患者に行う.(レベル A) クラスⅡ a′ 1.症状持続時間が 3 時間以内で,来院 90 分以内に PCI によるバルーン拡張術が困難と予測される症例に行 心原性ショック患者に対する PCI 109),110),181)−183) 6 クラスⅡ a 1.発症後 36 時間以内に心原性ショックとなりショッ ク発症後 18 時間以内に PCI が実施可能な 75 歳以上 う.(レベル B) の患者に行う.(レベル B) facilitated PCI とは薬物療法(血栓溶解療法,抗血小 板療法,両者の併用)に続いて予定として行われる PCI ショックを伴う STEMI 患者に緊急血行再建術を施行 治療を言う.facilitated PCI が心筋梗塞領域を縮小させ すると,6 ヶ月後,1 年後の死亡率は有意に低下し,特 たり,患者の予後を改善させるという証拠はない.直ち に 75 歳未満の患者において有効である 110).但し 75 歳以 に PCI を施行することができない,ハイリスク患者にお 上であっても患者の機能状態が良好であれば血行再建術 いては facilitated PCI は有用である可能性がある.ただ により生存率は高まることが報告されている 109),181)− し出血性合併症の増加(特に高齢者において)や高コス 183) . トであることを留意する必要がある. 7 血栓溶解療法の成功例,または 初期再灌流療法の未施行例に 対する PCI 184)−192) クラスⅠ 1.心筋梗塞を繰り返しているという客観的な証拠があ り,かつ冠動脈の解剖学的構造が PCI に適している 患者に行う.(レベル C) 2.回復期において,中等度から重度の心筋虚血が認め 1366 Circulation Journal Vol. 72, Suppl. IV, 2008 急性心筋梗塞(ST 上昇型)の診療に関するガイドライン られ,かつ冠動脈の解剖学的構造が PCI に適してい る患者に行う.(レベル B) A) 5.左主幹部に狭窄度 50%以上の病変を有するか,3 枝 3.心原性ショックまたは血行動態が不安定で,かつ冠 病変を有し,致死的不整脈を伴っている患者.(レ 動脈の解剖学的構造が PCI に適している患者に行 う.(レベル B) クラスⅡ a ベル B) クラスⅡ a 1.STEMI 発症後 6 時間から 12 時間以内の患者で,血 1.左室駆出分画率が 40 %以下,心不全または重篤な 栓溶解療法や PCI の適応が無く,特に多枝病変また 心室性不整脈を認める患者に行う.(レベル C) 2.急性期に心不全の臨床徴候が認められる患者に行う は左主幹部病変を有する場合.(レベル B) 2.75 歳以上の心筋梗塞発症後 36 時間以内にショック が進行しており,重症 3 枝病変または左主幹部病変 (レベル C) クラスⅡ b を有する場合.ただしショック状態となってから 1.血栓溶解療法に続けて行う.(レベル C) 8 血栓吸引療法 クラスⅡ a 18 時間以内に血行再建が可能な場合の緊急 CABG. (レベル B) クラスⅢ 1.持続する胸痛を伴うも,血行動態が安定している場 合の緊急 CABG.(レベル C) STEMI の PCI では,血栓吸引療法の先行を考慮す る(レベル B) 2.主要な冠動脈の血行再建に成功したが,微小血管レ ベルの再灌流が不十分な患者に対する緊急 CABG. STEMI の PCI 時に血栓吸引療法を先行させることは, (レベル C) 末梢へ飛散する粥腫破片や血栓の量を減らし,no reflow 現象の軽減や心機能の改善に寄与する可能性がある.こ STEMI 発症後 6 時間以内に施行される CABG 症例に れまで多量の血栓の存在が予測される場合に経験的に用 は心原性ショック症例など重症例が多く含まれるため, いられてきたが,最近の大規模研究より 193),194),閉塞部 手術死亡率が高くなる場合がある 195),196).また虚血発生 位・TIMI 血流グレード・血栓量を問わず,より良好な から再灌流までの時間は CABG よりも PCI の方がはる 再灌流と予後改善が得られることが示唆された. かに短い.それゆえ STEMI 治療においては緊急 CABG 3 緊急手術による再灌流 ならびに合併症修復術 より PCI による血行再建術が選択されることが一般的で ある.但し急性の重症僧帽弁閉鎖不全を伴う乳頭筋断裂, 梗塞後の心室中隔穿孔,自由壁破裂の場合は内科的治療 での救命率は極めて不良であるため,外科的修復術によ クラスⅠ 1.PCI が不成功に終わり,持続する胸痛または不安定 る治療が推奨される 197).左冠動脈主幹部病変を責任病 変とするショック症例では内科治療の成績は特に不良で な血行動態を伴い,冠動脈が解剖学的に手術に適し あり,緊急血行再建術が必要となる 198)−200).ただし, ている場合(レベル B) 近年の PCI の手技の向上と器具の改良に伴い,緊急の 2.薬物治療に抵抗性の持続的あるいは繰り返す虚血所 見を認め,責任病変により広範な心筋虚血を来すと 予測され,PCI や血栓溶解療法の適応がない場合. PCI も状況により考慮すべき血行再建術となりうる. 4 再灌流の評価 (レベル B) 3.梗塞後の心室中隔破裂または自由壁破裂,急性重症 再灌流の徴候として,症状の軽減,血行動態または電 僧帽弁閉鎖不全を伴う乳頭筋断裂に対して修復手術 気生理的安定化があげられる.再灌流が成功すれば,治 を要する場合.(レベル B) 療後 60 − 90 分の心電図監視にて,初期の ST 上昇の少 4.STEMI 発症後 36 時間以内にショック状態が進行し なくとも 50 %の減高がみられる.これらが達成されな ており,ST 上昇,左脚ブロック,後壁梗塞のいず い場合は再灌流されていない可能性が高いので,rescue れかを認め,重症多枝病変・左主幹部病変のいずれ PCI を検討すべきである. かを伴う 75 歳未満の患者.ショック状態となって 再灌流後の心機能,心筋梗塞量,予後の評価として から 18 時間以内に手術可能な場合に限る.(レベル TIMI グレードや blush グレードが有用である.TIMI グ Circulation Journal Vol. 72, Suppl. IV, 2008 1367 循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2006−2007 年度合同研究班報告) レードは冠動脈造影に基づく再灌流の指標であるが,例 リンの使用に関してはⅣ− 3「標準的初期治療」の項も えグレード 3 が達成されても微小循環が障害されていれ 参照) ば予後は悪い 201) .これを補うものとして blush グレード がある 202)−205).これは心筋内の微小循環に主眼をおい 2 低分子ヘパリン た評価法で,心筋梗塞量や予後の推定に有用である.通 低分子ヘパリンは未分画ヘパリンと比較し STEMI 患 常では,冠動脈造影時の心筋濃染の程度を指標にするが, 者で再灌流率の上昇,再梗塞の低下,死亡率の低下にお 心エコー法による評価の有効性も報告されつつある 206) . いて同等以上の効果をあげる 219)−223).しかしながら出 前述の ST 上昇の 50%以上の減高は,心筋再灌流のみな 血性合併症が多い可能性があり,未分画ヘパリンに対す らず,心機能回復,梗塞領域の減少,予後良好の指標で る明らかな優位性は不明である. もある 5 207)−211) . 3 再灌流治療の補助療法として の抗血栓薬 抗トロンビン薬 クラスⅡ b(レベル B) ヘパリン起因性血小板減少症を合併した患者におけ るアルガトロバンの使用 不安定プラークが破裂した後,その内容物は血中に流 出する.プラーク内の脂質,コラーゲン,組織因子が放 本邦で未分画ヘパリンの代わりに静脈内投与できる抗 出されると凝固系が活性化されフィブリンが沈着し,血 トロンビン薬はアルガトロバンのみである.米国では, 小板が活性化し凝集する.トロンビンはフィブリン凝集 血栓溶解療時の併用薬として未分画ヘパリンと同等の有 と血小板活性化の最重要分子である.それゆえにこの凝 用性が認められ 224),ヘパリン起因性血小板減少症(HIT) 固カスケードを阻害することは STEMI 患者において重 を合併した ACS 患者の PCI にも使用される 225).本邦で 要なことである. の HIT に対する推奨投与量は 0.7mg/kg/ 分で,米国の約 1/3 で あ る.PCI 時 は, 初 回 0.1mg/kg ボ ー ラ ス 投 与 後 未分画ヘパリン 1 6μg/kg/ 分で維持し ACT または aPTT を投与前の 2 − 3 倍となるよう調節する 226).終了後は 0.7μg/kg/ 分とし, クラスⅠ(レベル C) 1.PCI により再灌流治療を行う患者での使用 ACT または aPTT の値を参考にして血小板数が回復する 2.ヘパリン起因性血小板減少症の発生を予知するため まで継続する. の血小板数測定 4 クラスⅡ a(レベル C) 1.血栓溶解療法との併用(tPA,pro-UK,mutant tPA アスピリン クラスⅠ(レベル A):治療直前からの投与 など血栓親和性の高い薬剤使用時) STEMI 患者には禁忌がない限り,無期限にアスピ リンを経口投与する. STEMI の緊急 PCI 中の未分画ヘパリンの投与法は, 待期的 PCI に準じる 212),213).血栓溶解療法時の併用投与 に関して ACC/AHA2004 ガイドラインでは, 「60U/kg(最 大 4000U)をボーラス静注し,その後 aPTT をコントロ 5 チエノピリジン系薬剤 クラスⅠ(レベル B):チクロピジンまたはクロピドグ レルの治療直前からの投与 ール時の 1.5 − 2.0 倍(約 50 − 70 秒)に維持するように 持続投与(最大 1000U/hr)」としているが,本邦では投 冠動脈ステント治療を行う STEMI 患者ではチクロピ 与量について検討された報告はない.ACT または aPTT ジンとアスピリンの併用が推奨される 227)−229).クロピ を投与前の 2 から 3 倍に保つことが推奨されている ドグレルはチクロピジンより副作用が少なく同等の効果 214), 215) があり,チクロピジンに代わる薬剤として期待され 約 3%にヘパリン起因性血小板減少症が発症するとさ る 230),746),747). ク ロ ピ ド グ レ ル は 初 期 負 荷 投 与( 通 常 れ 216),血小板数が 10 万以下になった場合は注意を要す 300mg/ 日,その後 75mg/ 日を継続)により数時間後に る.また,突然の中止はトロンビンを活性化して血栓性 はその作用が発現するが 230),チクロピジンには初期負 . ,中止する場合は斬減する 荷投与による即効性・安全性を示すデータがない.ベア 方法が推奨される(例:6 時間毎に半減).(未分画ヘパ メタルステント挿入後は少なくとも 1 ヶ月間,薬剤溶出 が高まる可能性があり 1368 217),218) Circulation Journal Vol. 72, Suppl. IV, 2008 急性心筋梗塞(ST 上昇型)の診療に関するガイドライン ステント挿入後は少なくとも 12 ヶ月間投与する(Ⅷ章: クラスⅡ b 抗血小板治療も参照). 腎機能低下を認める患者にカテーテル検査・PCI 施 副作用のある場合はシロスタゾール(ホソホジエステ 行後に行う血液透析(レベル B) ラーゼⅢ阻害抗血小板薬)を代替薬として使用でき る 231),232).シロスタゾールは即効性があるため,クロピ 造影剤腎症の明確な定義はないが,ヨーロッパ泌尿生 ドグレルが認可される以前はチクロピジンに代わる抗血 殖放射線学会によると造影剤使用後 3 日以内に血清クレ 小板薬として期待された.小規模の臨床研究でチクロピ アチニン値が 0.5 mg/dl または 25%以上上昇する場合と ジンと同等の有用性が示されたが 併症が多かった 6 231) ,やや血栓性の合 されている 237).造影剤腎症の頻度は 2 − 7%程度と報告 されているが,血清クレアチニン値が 1.5mg を超える腎 232) . Ⅱ b/ Ⅲ a 阻害薬 機能障害症例においては造影剤腎症の発生率は 5 − 10 倍に増えると報告されている 238).それゆえ腎機能障害 静脈内投与可能な抗血栓薬であるⅡ b/ Ⅲ a 阻害薬は, がある患者には造影剤を使用しないことが望ましいが, 米国で PCI の併用薬として推奨されているが(クラス やむを得ず使用する場合には造影剤腎症を防御する最善 Ⅱ a,レベル B),本邦では有効性を立証するデータがな の策を講じる必要がある.Cigarroa らによると造影剤許 く,発売されていない. 容量は(最大造影剤許容量)= 5 ml ×体重(kg)[最大 6 再灌流補助薬 300 mm]/ 血清クレアチニン値(mg/dl)で表される 239). 造影剤腎症に対する唯一有効とされる処置は補液とさ れている 240),241).造影剤腎症を予防するためにカテーテ 1 カルペリチド ル検査・PCI 後に血液透析を施行することの有効性は示 されておらず 242)−244),血液透析により腎機能が悪化し たとする報告もある 245).その他,造影剤使用前後に特定 クラスⅡ a(レベル B) 発症 12 時間以内の STEMI 患者に PCI を行う際のカ の薬物を投与することにより造影剤腎症が抑制されるこ ルペリチドの静脈内投与.(できれば再灌流前より とを示したエビデンスもなく,確立された予防法はない. 投与開始し,0.025μg/kg/ 分で 3 日間使用する)(保 険適応外) 前臨床試験にて心筋保護効果の認められた多くの薬剤 Ⅵ 入院後早期の管理 のうち,STEMI 患者を対象とした大規模臨床試験によ りクラスⅠの推奨を得た薬剤はない.その中,本邦で施 行された J-WIND 試験 233) により,急性心不全治療薬で あるカルペリチド(A 型ナトリウム利尿ペプチド)の静 脈内投与が発症 12 時間以内の STEMI 患者の PCI 後の虚 STEMI 発症早期の管理は CCU またはそれに準じた施 設で行われることが望ましい. 1 CCU の重要性 血再灌流傷害を有意に減少させ,心機能・予後改善効果 を有することが示された.同試験においてニコランジル CCU の創設は,1962 年に Day246)によって米国 Kansas の静脈内投与についても検討されたが,有用性は見出せ の Bethany 病院で行われたものが最初と言われ,ほぼ同 ず以前の結果 234),235)と一致しなかった.ニコランジルは, 時に Philadelphia の Presbyterian 病院 247)やカナダの 冠動脈内投与により梗塞領域の微小循環の改善が報告さ Toronto 総合病院 248)でも開設された.その背景には電気 れ,PCI 再灌流時の“no reflow 現象”の治療に用いられ 的除細動器,人工ペースメーカ,心電図監視システムな 236) る場合がある.(1 − 2mg 冠動脈内ボーラス投与) どの開発がある.我が国では 1968 年頃よりその必要性 7 造影剤腎症について が叫ばれ 249)全国に普及した.しかし,純粋な急性冠症 候群のみを対象とする CCU の形式を取る施設はまれで, Cardiac Care Unit あるいは Circulatory Care Unit として クラスⅠ 心不全,不整脈,心筋炎,急性大動脈解離,急性肺血栓 腎機能低下を認める患者に PCI 施行前から後にかけ 塞栓症などもその対象疾患となっている.最近では て行う補液(レベル B). Chest Pain Center と呼ばれる胸痛を有する疾患全てを対 Circulation Journal Vol. 72, Suppl. IV, 2008 1369 循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2006−2007 年度合同研究班報告) 象とする循環器救急システムも登場した 250). スⅡ a;レベル C) 以下に述べる基本処置(前述のⅣ;初期診断・治療・ CCU の規格 1 管理の項に引き続いて行われるべきものである)に関し 日本集中治療医学会の CCU の基準 251)によれば,専従 ては,我が国には明確な方式やエビデンスがほとんど無 する医師がいつも CCU 内に勤務しており,常に緊急 く,欧米のガイドラインにおいてもわずかである.従っ PCI ができ,胸部外科医のバックアップにより CABG な てこのガイドラインにおいて,あえて我が国独自の指針 どの緊急手術を行うことの出来る体制が必要である.我 を示し,今後の再検討を待つことにする. が国では 300 を超える主要病院に CCU があると推察さ れるが 19),実際にはそれぞれの施設の実情にあった構成 が な さ れ て い る.ACC/AHA の ガ イ ド ラ イ ン に よ れ ば 252) ,心電図(クラスⅠ;レベル B)とパルスオキシ メータ(クラスⅠ;レベル C)によるモニターができ, 1 酸素吸入 PCI を施行中には,約 1 割の症例で低酸素血症が出現 するとの報告がある 257).従って PCI 中にはパルスオキ シメータにて動脈血酸素飽和度をモニターしながら酸素 心血行動態の監視と除細動の可能な施設とある(クラス 吸入を行うが,再灌流に成功して CCU に収容しても 12 Ⅰ;レベル C).スタッフにも専門性の高さが要求され ∼ 24 時間は同様な酸素投与(2 ∼ 5L/ 分 258)を続行する(ク る(クラスⅠ;レベル C). ラスⅡ a;レベル C). 2 モニターリング 2 安静度 初期の CCU の目的は発症直後の致死性不整脈の治療 従来我が国では梗塞発症直後は絶対安静を強いること にあり,心電図モニタリング,電気的除細動,心ペーシン が一般的であった.しかし最近では,良好な早期再灌流 グなどにより梗塞患者の死亡率を著しく低下させた 253) が得られ,明らかな合併症を伴わない場合には早期離床 (クラスⅠ;レベル B).さらに Swan-Ganz カテーテルの 254) ) -2 参照).CCU 収容当 を目指すことが推奨される 259(Ⅶ 登場によりポンプ不全の治療が大きく進歩した (クラ 日はベッド上安静とし,第二病日にはベッドサイドに立 スⅠ;レベル B).さらに早期の冠動脈再灌流療法の導 ち心電図やバイタルサインに変化の無いこと確認,血清 入によって,治療後のこれら合併症の頻度や死亡率がさ CPK 値がピークアウトした 2 日後にはトイレ歩行や洗面 ) B),CCU の らに減少したため 255),256(クラスⅠ;レベル をスタッフの介助と監視を受けながら開始する(クラス 役割は PCI に伴う新たな合併症の監視・治療が主体とな Ⅱ a;レベル C). っている.これに加え虚血巣の縮小や左室リモデリング 抑制という大きな課題がある. 2 早期の一般的処置 3 食事 PCI 直後は絶食とし,数時間後に介助にて飲水を開始 する.飲水が問題なく出来れば,800Kcal/ 日,塩分制限 7g/ 日程度,飽和脂肪とコレステロールを制限した五分 基本的に CCU は静かな快適な環境にあるべきであ 粥 を 開始 し, 一食 ごとに 内容 を 上 げていく(米国の ) る 252(クラスⅠ;レベル C).従って,重篤な合併症を CCU での食事 260)を日本人向きに修正)(クラスⅡ b;レ 伴わない場合は,壁紙や照明などにも気を配った個室で ベル C).熱いもの,冷たい飲み物も梗塞患者に悪影響 治療が行われるのが望ましい(クラスⅡ b;レベル C). は無いと言う 261). 治療はコンピュータ内蔵の連続監視装置によるモニタリ 心筋梗塞急性期は重症なものほど耐糖能が低下す ングのもとに行われる.モニターされる対象には基本的 る 262),263).しかし,極端なカロリー制限はせず 264),高 なバイタイルサイン(心拍数,血圧,呼吸数,体温)に ) 血糖はインスリンを用い是正する 265(クラスⅡ a;レベ 加え,動脈血酸素飽和度,尿量,中心静脈圧などが挙げ ル C). られる.ポンプ不全を伴う症例では Swan-Ganz カテー テルによって肺動脈楔入圧,混合静脈血酸素濃度,心係 1370 4 排尿,排便 数がモニターされる(後述の血行動態の障害または異常 時間尿の測定が必要な場合以外は尿道留置カテーテル の項を参照).またトロポニンや CPK などの生物学的マ を挿入すべきでない.すなわちポンプ不全の合併や既存 ーカーを連続測定することによって,再灌流療法の有効 の腎不全,排尿障害を伴うか,造影剤腎症などが危惧さ 性や梗塞巣の形成過程が推測できる可能性がある(クラ れる場合,あるいは排尿が著しい身体的緊張を伴う場合 Circulation Journal Vol. 72, Suppl. IV, 2008 急性心筋梗塞(ST 上昇型)の診療に関するガイドライン 以外では尿道留置カテーテルはクラスⅢに分類され る 266) 則であり,予防対策も必要である. . CCU 内での排便の際に心拍数の増加を来たし 267) ,再 発作や心破裂を来しやすいという経験から酸化マグネシ ウムなどでスムーズな排便を促すことが推奨されている (クラスⅡ b;レベル C). 5 症などが挙げられる.いずれも早期発見,早期治療が原 鎮静,睡眠,精神療法 1 責任冠動脈の再閉塞防止 前述のⅤ.再灌流治療の項に引き続き,再灌流に成功 した責任冠動脈の再閉塞を防止するために,アスピリン 内服の継続(クラスⅠ;レベル A),ヘパリンの持続投 与(クラスⅠ;レベル A),硝酸薬(クラスⅡ b)やジル 厳しい監視,モニター音,強いられた安静,不眠,点 チアゼム(クラスⅡ a)などが用いられている 257),258). 滴ラインによる拘束,Foley カテーテルによる苦痛,不 STEMI 患者の 1.4%に消化管出血が生ずるという 274). 十分な病状の説明などが不安や抑うつ状態を引き起こす アスピリン投与がその大きな要因の一つと考えられ ことがある 268).睡眠導入薬による充分な睡眠,抗不安 る 275).アスピリンの開始とともにプロトンポンプ阻害 薬の投与,専門の精神科医やカウンセラーによる面接が ) 薬を併用すると出血が防止される可能性がある 276(クラ 269) 必要である (クラスⅠ;レベル C).さらに譫妄や痴 スⅡ a;レベル C). 呆あるいは薬剤(リドカイン,β遮断薬,ジギタリスな 未分画ヘパリンは,広範囲梗塞,心房細動,塞栓の既 ど)などの外因性精神症状にも充分注意を払わなくては 往,左室内血栓,心原性ショックでは有用であるもの いけない.そのためには患者の入院前の生活内容を確認 ) の 252(クラスⅠ;レベル C),この様な合併症を伴わな しておくことが必要である 270). い症例に,いつまで投与を続けるべきか明確な答えはな 6 家族面会と患者教育 い.歩行可能となるまで続けるのが深部静脈血栓症 (DVT)の予防(クラスⅡ b;レベル C)も含めて妥当 要らざる不安や抑うつを防止,治療するためには,患 とされるが 252),我が国の梗塞患者の DVT の頻度も明ら 者およびその家族に対する早期の病状説明や生活指導が かでない現状では,これがガイドラインとして適当であ ) C).特に配偶者の病 重要である 271(クラスⅠ;レベル るかは不明である.本邦では,48 時間が一応の目安で 状の理解はその後の患者の回復に大きく影響すると言わ ある 258).出血性合併症の防ぐために注意しなくてはな 272) ,病態,治療内容,予後ばかりでなく,発 らないのは,ウロキナーゼと併用(クラスⅢ;レベル C) 症要因(A 型行動パターン,遺伝的素因,食事などの生 し な い こ と と, ヘ パ リ ン 起 因 性 血 小 板 減 少 症 277) 活習慣,ストレス要因など)についての知識を CCU で (heparin-induced thrombocytopenia:HIT)を早期発見す れるので の回復過程に併せ教育する. 7 CCU の滞在日数 再灌流療法に成功し合併症を伴わない症例の CCU 滞 るために血小板数をモニターすることである. 持続性あるいは再発性の狭心症やうっ血性心不全を伴 う場合のニトログリセリン静脈内持続投与は,発症から ) 48 時間以内であれば極めて有効であり 252(クラスⅠ;レ 在日数は年々短くなっており 273),最近では 3 ∼ 4 日で一 ベル C),さらに 48 時間以上の投与を続けても有用性を 般病棟への転出が行われる.ACC/AHA のガイドライン ) 示すことができる 252(クラスⅡ a;レベル C).しかし, によれば,簡単なモニタリングが可能なステップダウン 狭心症やうっ血性心不全を伴わない場合,ニトログリセ ユニットを有する施設では,PCI に成功した低リスクの リンの 24 ∼ 48 時間以上の投与は有用性を証明するのが 症例は直接ステップダウンユニットに収容すべきとい ) 困難である 252(クラスⅡ b;レベル C).硝酸イソソルビ う 252). ドやニコランジルもこれに準ずると考えられるが,各薬 3 CCU の新たな役割 CCU の新たな役割とは再灌流療法によって生じた 剤間で動静脈に対する効果のバランスや薬剤耐性の発現 状態などが異なっている. 2 再灌流後の心筋保護と再灌流傷害 種々の合併症に対する対策である.新たに登場した合併 再灌流療法に成功しても,すでに壊死した心筋と生き 症には,再灌流性不整脈,ステント・トラブル,冠動脈 残った心筋の間にはまだ壊死に移行しうる境界部があ 解離・破裂,再閉塞,no reflow 現象あるいは再灌流性 る.また救済してもしばらく収縮力が元にもどらない心 心筋障害,冠動脈造影の合併症としての出血や造影剤腎 筋がある(気絶心筋;stunned myocardium 278)). Circulation Journal Vol. 72, Suppl. IV, 2008 1371 循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2006−2007 年度合同研究班報告) 一方,冠動脈側からみても,再灌流に成功しても冠動 脈血流が十分回復しない 279) ,あるいは再灌流療法後血 流が回復しても組織灌流が傷害されている no reflow 現 象と呼ばれる病態があるとも知られている 280). 硝酸薬 281) の投与を開始すべきである(クラスⅠ;レベル A)(詳 細は,Ⅷ 二次予防の項参照). 4 心筋梗塞後の不整脈 1 心室性不整脈 282) ,カルシウム拮抗薬 (ベラパミル,ジル チアゼム,ニカルジピン),アデノシン 283),パパベリ ン 284),ニコランジル 285),心房性ナトリウム利尿ペプチ ド 286),287)などがこのような病態の心筋保護や回復に有用 である可能性を示す(クラスⅡ b,レベル C).しかしそ の臨床的効果を評価するためのゴールドスタンダードが ①心室細動 / 無脈性心室頻拍 クラスⅠ 統一されていないため,その有用性も大規模試験で証明 心室細動に対して,非同期下,電気ショックをおこ する難しさがある.2007 年に発表された J-WIND 試験 なう.初回のエネルギー量は,単相性なら 360J, では,心房性ナトリウム利尿ペプチドが STEMI 後の心 二相性の場合,矩形波形なら 120J,切断指数波形 筋保護治療として有用であった.(クラスⅡ a,レベル なら 150J-200J,不明であれば 200J でおこなう.2 233) B) 3 回目の電気ショックをおこなう場合は,同じかそれ 予防的大動脈内バルンパンピング (IABP) 以上のエネルギー量でおこなう(レベル B). クラスⅡ a 1.電気ショック無効の心室細動に対してアミオダロン 再灌流後の責任冠動脈の再閉塞防止や再灌流傷害の防 125mg を静注し,その後再度電気ショックをおこな 止対策として IABP の有用性を示す報告がある 288)−290). う(レベル B). しかし,その後 PAMI- Ⅱ試験の解析から予防的な IABP 2.心室細動が停止した後,電解質・酸塩基平衡を是正 の使用は,責任冠動脈の再閉塞率に差がなく,むしろク し再発を予防する.(血清カリウム> 4.0mEq/L,血 ラスⅢに分類されるのが妥当で,脳血管障害の合併が有 清マグネシウム> 2.0mg/dL を維持)(レベル C). 意に多いという結果が報告された 291) .しかし,LMT 病 (例:塩化カリウムを 10 − 20mEq/ 時で持続静注, 変や三枝病変,PCI が不可能な病変を持った症例,冠動 硫酸マグネシウム 1 − 2g を 5 分以上かけて静注(保 脈 解 離 や PCI 不 成 功 例 な ど は 除 外 さ れ て お り, 本 来 険適応外)). IABP が必要と思われる症例での評価ではない.よって, クラスⅡ a′ 本ガイドラインでは従来のガイドライン 258)を踏襲し, 電気ショックによって停止しない心室細動,あるい LMT 病変や三枝病変,PCI が不可能な病変を持った症 は 無 脈 性 心 室 頻 拍 に 対 し て, ニ フ ェ カ ラ ン ト 例の緊急 CABG までの血行動態の維持,PCI が不成功・ 0.15-0.3mg/kg を静注し,その後再度電気ショック 不十分症例の経過観察には有用(クラスⅡ a;レベル C) をおこなう(レベル C). とした. 4 クラスⅡ b 早期リモデリングへの対策 心筋とくに左室リモデリングは梗塞発症直後から始ま り,数年もの経過をかけて進展する左室形態の再構築で ある.ここでは急性期リモデリングすなわち梗塞巣の急 292) 激な伸展(expansion )について記す.expansion は梗 電気ショック後も遷延する心室細動にプロカインア ミドを 20mg/ 分で持続静注し,再度電気ショックを おこなう.(レベル C). クラスⅢ STEMI に対して血栓溶解薬を使用するとともに, 予防的に抗不整脈薬を投与する(レベル B). 塞直後の柔らかな壊死巣に起きる伸展と菲薄化で,しば 1372 しば心破裂の要因となる.最も良い予防法は早期に再灌 図 8 に頻脈性不整脈治療のフローチャートを示す. 流療法と充分な心筋保護を行うことであり,expansion STEMI に伴って発生する心室細動は突然死の主な原 の防止は心破裂の防止にも繋がる 293).expansion が慢性 因で,高齢者(>75 歳)に多い 294).心原性ショックや 期のリモデリングに移行するのであれば,禁忌が無い限 重度の心不全症状を伴わない心室細動(primary VF)は り,早期にアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬, 心筋梗塞発症後最初の 4 時間に多く以後漸減する 295). アンジオテンシンⅡ受容体遮断薬(ARB)やβ遮断薬 一方,心原性ショックや重症の心不全症状にともなう心 Circulation Journal Vol. 72, Suppl. IV, 2008 急性心筋梗塞(ST 上昇型)の診療に関するガイドライン 図 8 頻脈性不整脈治療フローチャート 1)心室細動 / 無脈性心室頻拍 非同期電気ショック.初回は二相性なら 150J−200J,単相性なら 360J 心室細動が停止したとき 心室細動が停止しない,あるいは再発したとき 再発予防のため K>4.0mEq/L,Mg>2.0mg/dL へ補正 1)アミオダロン 125mg を静注し再度電気ショック 2)ニフェカラント 0.15−0.3mg/kg を静注し再度電気ショック 3)プロカインアミド 20mg/ 分持続静注し再度電気ショック 2)持続性心室頻拍 波形は? 多形性心室頻拍 単形性心室頻拍 非同期電気ショック,単相性なら 200J 治療抵抗性の多形性心室頻拍 1)アミオダロン 125mg を静注 2) β遮断薬の投与,IABP,緊急 PCl を考慮 3)K>4.0mEq/L,Mg>2.0mg/dL へ補正 4)ニフェカラント 0.15−0.3mg/kg を静注 1)狭心症,肺水腫を合併,あるいは血圧 <90mmHg 同期電気ショックを単相性なら 100J から開始. 2)狭心症,肺水腫は合併せず,血圧 >90mmHg a. アミオダロン 125mg を 10 分かけて静注 b. 同期電気ショックを単相性なら 50J から開始 3)頻拍をともなう心房細動 / 心房粗動 血行動態は? 血行動態の悪化をともなう 1)同期電気ショックをおこなう 単相性なら心房細動では 100−200J 粗動では 50J 同期電気ショックが無効,あるいは直後に再発 ジゴキシン 0.25−0.5mg を 4 時間毎に静注 総量は 1−2mg まで 血行動態の悪化を認めない 1)β遮断薬の投与 塩酸プロプラノロール 2−10mg 静注 塩酸ランジオロール 0.125mg/kg 静注 塩酸エスモロール 0.1ml/kg(1mg/kg)静注 2)ベラバミル 2.5−5mg を 5 分かけて静注 3)発症後早期であれば同期電気ショック 4)抗凝固療法を考慮 室細動(secondary VF)は,その 50 %が心筋梗塞発症 器と同等かそれ以上であり,今後は二相性除細動器が普 12 時間後以降に出現するとされる.蘇生成功の可能性 及する可能性は高い. が最も高いのは,細動発生後最初の 3 ∼ 4 分であり,9 電気ショックによって停止しない心室細動に対して, 分以上経過すると成功率は 10 %以下に低下する.した ACC/AHA2004 ガイドラインでは,アミオダロンを急速 がって,致死的不整脈の早期発見と早期除細動が重要で 静注し,その後再度電気ショックをくり返す治療法をク ある.左心不全症状を伴わない場合,心室細動に対し除 ラスⅡ a(レベル B)として推奨している 38).アミオダ 細動が成功すれば,特に心筋梗塞発症後 4 時間以内発生 ロン急速静注時の投与量は 300 mg あるいは 5 mg/kg で の心室細動であれば,その既往の有無は遠隔期予後に影 あり,心室頻拍に対する 150 mg あるいは 5 mg/kg を 10 響を及ぼさない 296),297).現在,日本で利用されている除 分以上かけてという点滴静注時と同量からその倍量まで 細動器の多くは単相性除細動器である.AHA のガイド の急速投与を認めている 299).日本でも,難治性の心室 ラインでは心室細動の除細動に要する初回エネルギー量 細動にたいするアミオダロン静注薬の製造が承認され は単相性の場合 360J であるが 298),日本のガイドライン た.ただし,日本で承認をうけた投与方法は 125mg を では 200 ∼ 360J とされている 101) .二相性除細動器は除 10 分かけて静注するものであり,急速静注時の投与量 細動に必要なエネルギー量が少なく, 心筋障害も少ない. については示されていない.高齢者と低体重の症例では 二相性除細動器による心室細動停止効果は単相性除細動 血圧の変動をきたすことがあり,減量または投与速度を Circulation Journal Vol. 72, Suppl. IV, 2008 1373 循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2006−2007 年度合同研究班報告) 調節する必要がある.アミオダロンは可能な限り中心静 脈より投与する. 1.アミオダロン 125mg を 10 分かけて静注,引き続き 持続静注をおこなう.(レベル B) 日本で選択的 K チャネル遮断薬として開発されたニ 2.β遮断薬の投与,IABP の使用,緊急 PCl を考慮す フェカラントは,陰性変力作用を示さず抗不整脈作用を るなど,積極的に心筋虚血を解除しアドレナリン作 発揮することが期待されている.難治性,再発性の心室 動性刺激を減少させる.(レベル B) 細動および心室頻拍に対して,ニフェカラントは有効で 3. 血 清 カ リ ウ ム > 4.0mEq/L, 血 清 マ グ ネ シ ウ ム > あるという報告があり 300),301),電気的除細動後も遷延す 2.0mg/dL を維持するため電解質を補正する(レベ る心室細動に対してニフェカラントの投与も考慮する. ル C).(例:塩化カリウムを 10 − 20mEq/ 時で持続 心室細動の予防にプロカインアミドの静注が有効なこ 静注,硫酸マグネシウム 1 − 2g を 5 分以上かけて静 とがある 302) .しかし,投与に長時間を要するため,有 4.60/min 未満の徐脈や QTc 延長を有する患者は,一 用性には限界がある. 大規模臨床試験のメタ解析では,リドカインの予防的 投与により primary VF の発症率は減少したが,死亡率 は増加する傾向を示した 303).STEMI 症例においても, リドカインの予防的投与の有無による死亡率の有意な差 は認められなかった 注(保険適応外)). 304) .したがって,リドカインの予 防的投与を,全例においておこなうことは正しいとはい 時的ペーシングにより心拍数を増加させる(レベル C). クラスⅡ a´ 治療抵抗性の心室頻拍に対して,ニフェカラントを 0.15 − 0.3mg/kg を 5 分かけて静注し,以後持続静 注を継続する.(レベル B) クラスⅡ b えない. 血行動態が保たれ,徐脈を認めなければ,β遮断薬の 狭心症,肺水腫,低血圧(血圧 90mmHg 未満)の 早期投与開始が望ましい.心筋梗塞症例においてルーチ ない持続性単形性心室頻拍に対して,プロカインア ンのβ遮断薬の静注が,早期の心室細動予防に有効であ ミドを 20mg/ 分で持続静注する.(レベル C) ったという報告がある 305) . ②心室頻拍 クラスⅢ 血栓溶解療法施行時,心室性不整脈予防目的で全例 に抗不整脈治療をおこなう.(レベル B) クラスⅠ 1.多形性持続性心室頻拍に対して,非同期下,電気シ ョックをおこなう.(レベル B) 速やかな治療を必要とするものを持続性心室頻拍と呼 (初回のエネルギー量は,単相性なら 200J,二相性 び,30 秒以内に自然停止するものを非持続性心室頻拍 の 場 合, 矩 形 波 形 な ら 120J, 切 断 指 数 波 形 な ら と呼ぶ.ほとんどの心室頻拍は心筋梗塞発症後 48 時間 150J-200J,不明であれば 200J でおこなう.2 回目 以内に発症する.48 時間以降に発症した持続性心室頻 以降は,同じかそれ以上のエネルギー量でおこな 拍や,170bpm 未満の単形性心室頻拍は心筋梗塞急性期 う.) の心室頻拍としては非典型的であり,不整脈源性基質の 2.単形性持続性心室頻拍に対して,狭心症,肺水腫, 存在を示唆する 306),307). あるいは低血圧(血圧 <90mmHg)をともなう場合, 血行動態の破綻をもたらす持続性心室頻拍は,電気シ 同期電気ショックをおこなう.(レベル B)(単相性 ョックの適応となる.また,速い多形性心室頻拍は心室 なら 100J から,頻拍が停止しない場合は,出力を 細動と同様に,非同期下で電気ショックをおこなう.持 あげる) 続性単形性心室頻拍に対して,単相性なら 100J から同 3.単形性持続性心室頻拍に対して,狭心症,肺水腫, 低血圧(血圧 <90mmHg)をともなわない場合 期電気ショックをおこなう.血行動態が保たれた持続性 心室頻拍に対しても同期電気ショックは適応である 308). 同期電気ショックをおこなう.(レベル B)(単相性 難治性かつ緊急治療を要する血行動態不安定な心室頻 なら 50J から,頻拍が停止しない場合は,出力をあ 拍に対してアミオダロンを静注する場合 125mg を 10 分 げる) かけて静注する.引き続き 300mg を 6 時間かけて持続静 クラスⅡ a 注,次に維持投与として 450mg を 18 時間かけて,2 日 難治性かつ緊急治療を要する血行動態不安定な心室頻 目以降は 600mg を 24 時間かけて持続投与する.心室頻 拍や多形性心室頻拍に対して 1374 心室頻拍が 30 秒以上持続するか,血行動態が破綻し Circulation Journal Vol. 72, Suppl. IV, 2008 拍や細動が再発した場合 125mg を 10 分かけて追加投与 急性心筋梗塞(ST 上昇型)の診療に関するガイドライン してもよいが,総累積用量が 1750mg/24 時間を超えては 心筋梗塞慢性期において,心室期外収縮が多発する症 ならない.投与開始後血圧低下や徐脈がおこることがあ 例では予後が悪いことが知られていた.一方,心室期外 るが,その際は投与速度を遅くする.ACC/AHA 2004 収縮,二連発および非持続性心室頻拍が出現した場合, ガ イ ド ラ イ ン で は, 狭 心 症, 肺 水 腫, 低 血 圧( 血 圧 その後全例において心室細動が発症するわけではない. 90mmHg 未満)をともなわない持続性心室頻拍に対し 心室性不整脈を認めた場合,まず電解質(K,Mg)や ても,アミオダロンの静注投与をクラスⅠ(レベル B) 動脈血 pH を補正すべきである.CAST では,心室期外 として推奨しているが 299),日本におけるアミオダロン 収縮を認めた心筋梗塞慢性期の患者に Na チャネル遮断 の適応は,難治性かつ緊急治療を要する血行動態不安定 薬が投与された 314).その結果,心筋梗塞後の心室期外 な心室頻拍である.アミオダロン静注薬の効果が確認さ 収縮は抑えられたが,突然死にいたる死亡率が高いこと れ普及するまでの間は,その代替薬としてリドカインを が明らかになり試験は中止された.現在 STEMI 発症後, 持続性心室頻拍にたいして投与してもよい.一方で,非 Na チャネル遮断薬による心室期外収縮の抑制は勧めら 持続性心室頻拍を抑制するため全例においてリドカイン れない. を予防的に投与することは勧められない. 治療抵抗性の心室頻拍に対して,ニフェカラントの静 注が有効であるという報告がある 300),301).ニフェカラン トは 0.15 − 0.3mg/kg を 5 分かけて静注し,以後 0.4mg/ kg/hr で 持 続 静 注 を 開 始 す る. 高 齢 者 で は Torsades de Pointes 発症を予防するために,初期の投与量を少なく するだけでなく(0.1 − 0.3mg/kg),持続投与量も少な ④頻脈性心室調律(AIVR)および頻脈性接合部調律 クラスⅢ 1.頻脈性心室調律に対し,抗不整脈薬を投与する(レ ベル C). 2.頻脈性接合部調律に対し,抗不整脈薬を投与する(レ ベル C). くし(0.1 − 0.4mg/kg/hr) ,早期に漸減中止する. 頻脈性心室調律は,心筋梗塞発症後 12 時間以内や再 血行動態の保たれた持続性単形性心室頻拍に対して, 灌流療法後にしばしば認められるが,心室細動発症の危 .プロカイン 険因子であることを示唆する報告はない 315),316).心筋梗 アミドは 20mg/ 分で持続静注し,総量は 17mg/kg までと 塞後に頻脈性心室調律や頻脈性接合部調律を認めても経 する. 過観察するだけでよい.心室細動予防のため抗不整脈薬 STEMI 発症後,治療抵抗性の多形性心室頻拍が出現 を使用する必要はない. プロカインアミドの静注は有効である 309) したり,頻回な除細動を必要とする心室細動が繰り返し 起きる場合(electrical storm)がある.その機序として 心筋虚血や交感神経の亢進の関与が疑われており,β遮 断薬の投与 310) ,IABP の使用,緊急 PCl を考慮する必要 ⑤ STEMI 後の患者における除細動器の植込み 致死的不整脈による心臓突然死のリスクは,心室細動・ 持続性心室頻拍による心停止の既往の有無で大きく異な がある.一時的ペーシングにより心拍数を増加させるこ る.よって,STEMI 慢性期の心臓突然死の予防は,心 とが有効である 311),312).血清カリウムの低下やマグネシ 停止蘇生生存者を対象とした二次予防と,心停止の既往 ウムの低下は心室頻拍の出現を増加させるため 313),速 のない症例を対象とした一次予防に分けられる. やかに正常化させる. 心停止蘇生生存者における,薬物療法と植込み型除細 ③心室期外収縮 クラスⅡ a 動 器(implantable cardioverter-defibrillator:ICD) に よ る再発予防(二次予防)効果の比較では,ICD による治 療が有意に死亡率を低下させた 317)−320).本邦の不整脈 血 清 カ リ ウ ム >4.0mEq/L, 血 清 マ グ ネ シ ウ ム の非薬物治療ガイドラインでは,心筋梗塞後の突然死二 >2.0mg/dL を維持するため電解質を補正する(レベ 次予防のための ICD 植込みはクラスⅠ適応である 321). ル C).(例:塩化カリウムを 10 − 20mEq/ 時で持続 STEMI 発症後急性期以降(>48 時間)に発症し,一過性 静注,硫酸マグネシウム 1 − 2g を 5 分以上かけて静 あるいは可逆性の虚血または再梗塞をともなわない心室 注(保険適応外)). 細動や血行動態の悪化をともなう持続性心室頻拍も,ク クラスⅢ 1.血行動態の悪化のない孤立性心室期外収縮,二連発, および非持続性心室頻拍に抗不整脈薬を投与する (レベル A) ラスⅠ適応とされた. 心臓突然死の一次予防に関して,本邦のガイドライン では STEMI 発症後 1 ヶ月以降に非持続性心室頻拍を認 め,重度な左室機能低下(左室駆出分画率≦ 35 %)を Circulation Journal Vol. 72, Suppl. IV, 2008 1375 循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2006−2007 年度合同研究班報告) ともなう場合,電気生理学的検査により心室細動あるい a.頸動脈洞マッサージ.(レベル C) は持続性心室頻拍が誘発され,薬物治療が無効または使 (頸動脈に雑音が聴取されないことを確認して 用できない場合は ICD 植込みのクラスⅠ適応とされた. b.ATP を静注する(レベル C). き 322),心筋梗塞発症後 1 ヶ月以降あるいは冠動脈再建 (1 ∼ 2 秒 か け て 10mg を, 無 効 で あ れ ば 1 ∼ 2 術施行 3 ヶ月以降に左室機能が低下している症例(左室 分後に 20mg を静注する.必要があればさらに 駆出分画率≦ 30%)に対する ICD 植込みはクラスⅡ a 適 20mg の投与をくり返す.) 応とされた 299) .本邦では心筋梗塞後の低左室機能症例 の死亡率は欧米より低いという報告と 323),左室駆出分 画率 35 %以下の冠動脈疾患で十分な薬物治療をおこな c.ベラパミルあるいはβ遮断薬を静注する(レベ ル C). クラスⅢ ったにもかかわらず NYHA クラスⅡ以上の心不全症状 心房性期外収縮に対し抗不整脈薬を投与する(レベ があれば,突然死の頻度は高いという報告がある 324). ル C). 2 上室性不整脈 / 心房細動 STEMI に合併する上室性不整脈のなかで最も頻度が 多い不整脈は心房細動である.心筋梗塞に罹患した,65 クラスⅠ 1.血行動態の悪化をともなう,持続性心房細動および 心房粗動に対して a.同期電気ショックを行う.(レベル C) (初回エネルギー量は,心房細動では単相性の場合, 歳以上の症例あるいは左心不全を伴う症例のうち,とも に約 20 %が心房細動を発症する.血行動態の悪化をと もなう持続性心房細動に対しては単相性なら 100 − 200J から同期電気ショックを行う.除細動にともなう心筋障 100 − 200J,二相性なら 100 − 120J.心房粗動 害をさけるには,一回目より出力を上げ除細動回数と総 では 50J.) エネルギー量を減らす場合があり 325),連続して除細動 b.同期電気ショックが奏効せず頻脈をともなう心 を行う場合は 1 分以上の間隔をあける 326). 房細動が遷延する場合,重篤な左室機能障害あ 血行動態の悪化や慢性心不全がなければ,薬物療法に るいは心不全を合併していればジゴキシン 0.25 よる心房細動の心拍数調節をおこなう.重篤な閉塞性肺 − 0.5mg を 4 時間毎に総量 1 − 2mg まで静注す 疾患やアレルギーがないかぎりβ遮断薬の投与が望まし る.(レベル C). い.欧米で推奨されているメトプロロールやアテノロー 2.血行動態の悪化をともなわない,持続性心房細動お よび心房粗動に対して ルの静注薬は日本では認可を受けていない.塩酸プロプ ラノロール 2 − 10mg の静注(1 分間に 1mg 以上は投与 a.β遮断薬を投与する.(レベル C) しない),塩酸ランジオロール 0.06 − 0.125mg/kg を 1 分 (塩酸プロプラノロール 2 − 5mg の静注,塩酸 間で投与し以後 0.01 − 0.04mg/kg/min を静注,あるいは ラ ン ジ オ ロ ー ル 0.06 − 0.125mg/kg を 1 分 間 で 塩酸エスモロール 1 回 0.1ml/kg あるいは 1mg/kg を 30 秒 投与し以後持続静注(手術時,手術後のみ保険 間で静注する.血圧が 100mmHg 未満に低下したり,心 適用),あるいは塩酸エスモロール 1 回 0.1ml/ 拍数が 50bpm 未満まで減少すれば投与を中断する. kg あるいは 1mg/kg を 30 秒間で静注する(手術 β遮断薬の投与が禁忌であれば,ベラバミルあるいは 時のみ保険適用).) ジルチアゼムの静注をおこなう.これらのカルシウム拮 b.ベラバミルを静注する.(レベル C) 抗薬は陰性変力作用をもつため心不全の増悪に注意す (2.5-5mg を 2 − 5 分かけて静注する.効果がな る.左心不全をともなう心筋梗塞の症例ではジルチアゼ け れ ば さ ら に 5 − 10mg を 15 − 30 分 毎 に 総 量 ムの投与により死亡率が増加した 327).したがって,心 20mg まで投与する) 房細動を発症した心筋梗塞の症例では,カルシウム拮抗 c.STEMI 発症以前に心房細動あるいは心房粗動 の既往がない場合,同期電気ショックを行う. (レベル C) d.抗凝固療法を考慮する(レベル C) 3.リエントリー性発作性上室性頻拍では心拍数が非常 に高いため,以下に示す順序で治療を行う. 1376 からおこなう.) ACC/AHA ガ イ ド ラ イ ン で は MADIT- Ⅱ 試 験 に 基 づ Circulation Journal Vol. 72, Suppl. IV, 2008 薬の長期投与はさける. 電気的除細動後も心房細動が再発遷延し,重篤な左室 機能障害あるいは心不全をともなう場合,心拍数調節の ためにジゴキシンを静注する.高齢者や低 K 血症,腎機 能障害がある症例では過剰投与に注意する.しかし,そ の効果発現には通常 60 分以上かかり,効果が最大とな 急性心筋梗塞(ST 上昇型)の診療に関するガイドライン るのは 6 時間後以降である.交感神経優位のときにはジ 与する.イソプロテレノールやアミノフィリンの投与は ゴキシンの効果は減弱する. 催不整脈作用を有するため推奨されない.さらに徐脈が アミオダロンの静注は,交感神経をおさえるとともに 遷延する場合は,経皮的あるいは経静脈的に(できれば カルシウム拮抗薬としての効果を発揮し,房室伝導能を 心房において)一時的ペーシングを行う.一方,房室結 抑制する.通常の治療後も遷延する,頻脈をともなう心 節より末梢での伝導ブロックに対する硫酸アトロピン投 房頻拍の症例に有効であったという報告もあるが 328), 与は,洞機能を亢進するだけで,房室結節より末梢での 心筋梗塞の症例において有効であるかどうかは不明であ 伝導を改善させず逆に房室伝導率をさげ心拍数が低下す る. る可能性がある.したがって,STEMI 後の房室ブロッ 3 徐脈性不整脈 クあるいは房室結節より末梢での伝導ブロックにともな う徐脈に対する硫酸アトロピンの投与は推奨されない. ①心静止 ③徐脈に対する一時的経静脈ペーシングの適応 クラスⅠ クラスⅠ 心肺蘇生,アドレナリン,硫酸アトロピン,一時的 1.心静止 ペーシング,バソプレシン(保険適応外)などを迅 2.完全房室ブロック 速に行う.(レベル B) 3.硫酸アトロピンに反応しない症候性洞性徐脈 4.交替性左脚および右脚ブロック 心静止は,洞不全や完全房室ブロックに加え,心房, 房室結節,心室からの補充調律が出現しないためにおこ る.心肺蘇生を開始するとともに,経皮的ペーシングの 5.Mobitz Ⅱ型第 2 度房室ブロックに,二枝ブロックあ るいは新規脚ブロックを合併 クラスⅡ a 準備,アドレナリン,硫酸アトロピン,バソプレシンを 1.上記 5. 以外の Mobitz Ⅱ型第 2 度房室ブロック 投与する.バソプレシンは昇圧薬であり,アドレナリン 2.上記 5. 以外の房室結節伝導障害をともなう,二枝 と同様に,除細動後も遷延する心室細動や無脈性電気活 動(pulseless electrical activity) ,院外での心停止に対し ても有効である 329). ②徐脈に対する硫酸アトロピンの適応 クラスⅠ STEMI 後の症候性洞性徐脈(3 秒以上の洞停止,あ るいは心拍数 40bpm 未満の洞性徐脈に血圧低下あ るいは血行動態の悪化をともなう場合)(レベル C) クラスⅢ STEMI 後の房室ブロックあるいは房室結節より末 ブロックあるいは新規脚ブロック 3.QTc 延長をともない,くりかえす多形性心室頻拍 クラスⅡ b 1.房室伝導障害をともなわない,二枝ブロックあるい は新規脚ブロック 2.STEMI 発症前からの脚ブロック クラスⅢ 1.第 1 度房室ブロックに,左脚前(後)枝へミブロッ クあるいは STEMI 発症前からの脚ブロックの合併 2.Mobitz Ⅰ型第 2 度房室ブロック単独,あるいは左脚 前(後)枝ヘミブロックの合併 梢での伝導ブロック(レベル C) STEMI 発症後,徐脈や徐脈に伴う症状がなくとも, 洞性徐脈は,STEMI に関連する不整脈の 30 − 40%を 今後完全房室ブロックへの移行が疑われる場合には一時 しめ,房室ブロックの合併は STEMI の 6 − 14 %に認め 的ペーシングが必要となる場合がある.経静脈ペーシン られる. グのクラスⅡ a 適応とされた Mobitz Ⅱ型第 2 度房室ブロ 洞性徐脈は,とくに下壁心筋梗塞発症後 1 時間以内あ ックに,左脚前(後)枝ヘミブロックや STEMI 発症前 るいは,右冠動脈の再灌流後に認められることが多い. からの脚ブロックを合併した場合と,二枝ブロックある β遮断薬,カルシウム拮抗薬投与により,洞機能不全が いは新規脚ブロックに,第 1 度房室ブロックや Mobitz I 出現することもある.3 秒以上の洞停止,あるいは心拍 型第 2 度房室ブロックを合併した場合は,経皮ペーシン 数 40bpm 未満の洞性徐脈に血圧低下あるいは血行動態 グパッチをはってペーシングせずに様子をみてもよい. の悪化をともなう症候性洞性徐脈には,硫酸アトロピン STEMI 急性期において一時的ペーシングが必要とされ 0.5mg を 5 分毎に,全 0.04 mg/kg(2 mg / 50 kg)まで投 ても,その全例が恒久的ペーシングの適応となるわけで Circulation Journal Vol. 72, Suppl. IV, 2008 1377 循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2006−2007 年度合同研究班報告) ある場合が多く,一時的ペーシングが必要になっても, はない. できるだけ恒久的ペースメーカーの植込みはさける. ④恒久的ペースメーカーの植込み適応 STEMI にともなう房室伝導障害に対する恒久的ペース ⑤ペーシングモードの選択 メーカーの植込み STEMI 患者におけるペーシングモードの選択につい クラスⅠ ての無作為臨床試験はおこなわれていない.一般的に, 1.STEMI 後,両側脚ブロックを伴う His-Purkinje 系で 洞調律の症例では二腔ペーシング型(DDD など)を, のⅡ度房室ブロック,His-Purkinje 系あるいはより 持続性心房細動の症例では,単腔ペーシング型(VVI な 末梢でのⅢ度房室ブロックが持続する(レベル B). ど)を使用するのが妥当である.DAVID 試験では,心 2.房室結節より末梢での,脚ブロックをともなう,一 機能が低下し ICD の適応となった症例において,VVI 過性の高度房室ブロックあるいはⅢ度房室ブロッ バックアップペーシング群(40bpm)の方が DDD ペー ク.(レベル B) シング群(70bpm)に比べ死亡率が低く,心不全による 3.症状をともなうⅡ度あるいはⅢ度の房室ブロックの 持続.(レベル C) 入院が少ない傾向にあった 331).MOST のサブ解析では DDDR ペーシングにおいても心室ペーシングの頻度が 高くなるほど(> 40%),心不全により入院する頻度が クラスⅡ b 房室結節におけるⅡ度あるいはⅢ度の房室ブロック ふえ,心房細動の発症率が高くなった 332).したがって, の持続.(レベル B) 右室心尖部ペーシングは可能なかぎり避け自己の房室伝 クラスⅢ 導を温存できるように,ペーシングモードおよびプログ 1.心室内伝導障害を伴わない一過性房室ブロック(レ ベル B). ラムを設定すべきである.ただし,長期予後を改善する のかどうかは未だ不明である. 2.左脚前枝ブロックだけをともなう一過性房室ブロッ ク(レベル B). STEMI 患者に恒久的ペーシングの適応を検討には, ICD 植 込 み の 適 応, 心 臓 再 同 期 療 法(Cardiac 3.房室ブロックを伴わない後天性左脚前枝ブロック (レベル B). Resynchronization Therapy; CRT)の適応,あるいはそ の両方の機能をもった CRT-D 植込みの適応を考慮する. 4.陳旧性,あるいは発症時期が不明な脚ブロックがあ 心不全症例で,著明な左室機能低下と QRS 幅が延長し る場合の持続性Ⅰ度房室ブロック.(レベル B) た症例では,心臓再同期療法が心不全症状を改善するこ とが報告されている.すでにペースメーカーが植え込ま 房室ブロックに対する恒久的ペーシングの適応は, れた後に心筋梗塞を発症し,β遮断薬やアミオダロンの His-Purkinje 系あるいはより末梢での伝導障害があるか 投与にともない心室ペーシング率が高くなった症例や, 否かによる.必ずしも症状の有無により恒久的ペーシン 心不全が増悪した症例では,通常のペースメーカーから グの適応が決定されるわけではない.STEMI 急性期に CRT や CRT-D への移行も検討する 321).現在の CRT の適 おいて一時的ペーシングが必要とされても,その全例が 応基準とは心不全症例で左室駆出分画率≦ 35 %,内科 恒久的心室ペーシングの適応条件を満たすわけではな 的治療に抵抗性であり,NYHA クラスⅢ∼Ⅳ,QRS 延 い.房室ブロックの消失が期待される場合や長期予後に 長(≧ 130 msec)の患者である 333). 悪い影響を及ぼさない場合は,ペースメーカーの植込み を急ぐ必要はない.房室ブロック合併後 1 週間以上経過 5 血行動態の障害または異常 1 血行動態の評価 してから自己の房室結節伝導能が回復した例もある.房 室ブロックを合併した症例の長期予後は,房室ブロック の程度に関連するのではなく,心筋障害の大きさや心室 内伝導障害の特徴に関連する 330). 洞機能不全に対する恒久的ペースメーカーの適応は心 筋梗塞の有無によって変わらない.不整脈の非薬物治療 ガイドライン(2006 年改訂版)に準じて治療する 321) . ただし,洞機能不全が,下壁心筋梗塞発症後 1 時間以内 あるいは右冠動脈の再灌流後に出現した場合は一過性で 1378 Circulation Journal Vol. 72, Suppl. IV, 2008 ① Swan-Ganzカテーテルによるモニタリングの適応 クラスⅠ 1.輸液が無効あるいは禁忌と思われる原因不明の血圧 低下(レベル C) 2.機械的合併症(心室中隔穿孔,乳頭筋断裂,自由壁 急性心筋梗塞(ST 上昇型)の診療に関するガイドライン 破裂)が疑われる場合で心エコーが実施できないと 図 9 Forrester の分類 き(レベル C) クラスⅡ a 1.輸液が無効で肺うっ血を伴わない血圧低下(レベル 心係数 (ℓ/min / m2) C) 2.心原性ショック(レベル C) 3.治療抵抗性の重篤な肺うっ血,肺水腫(レベル C) 4.低血圧あるいは肺うっ血を伴わない末梢循環不全 (レベル C) Ⅰ 正常 Ⅱ 肺うっ血 Ⅲ 乏血性ショック Ⅳ 低心拍出量と肺うっ血 (心原性ショックを含む) 2.2 5.血管収縮薬,強心薬投与中(レベル C) クラスⅢ 1.血行動態が安定しており呼吸障害のない患者(レベ 18 肺動脈楔入圧(mmHg) ル C) ②観血的動脈圧モニタリングの適応 尿薬と血管拡張薬の適応となる. subset Ⅲ:PCWP ≦ 18mmHg,CI ≦ 2.2 ℓ / 分 / ㎡ クラスⅠ 1.重篤な低血圧(収縮期血圧 80mmHg 未満) (レベル C) 左室前負荷が十分でない状態.脱水,右室梗塞, 2.血管収縮薬,強心薬投与中(レベル C) 高齢,徐脈などが関与している.治療の第一は 3.心原性ショック(レベル C) 輸液を行うことであるが,カテコラミンの点滴 クラスⅡ a 静注が必要になることもある.徐脈に対しては 1.強力な血管拡張薬投与中(レベル C) 一時的ペーシングを行う. subset Ⅳ:PCWP > 18mmHg,CI ≦ 2.2 ℓ / 分 / ㎡ クラスⅡ b 1.強心薬投与中(レベル C) クラスⅢ 半数以上が心原性ショック例であり広範囲の梗 塞と考えられる.カテコラミン投与で改善傾向 1.肺うっ血および組織灌流異常のない患者(レベル C) が な け れ ば, 大 動 脈 内 バ ル ー ン パ ン ピ ン グ (intra-aortic balloon pumping: IABP),経皮的 Swan-Ganz カテーテルから得られる血行動態の諸指 心 肺 補 助 装 置(percutaneous cardiopulmonary 標より心筋梗塞急性期の重症度をより正確に把握できる support system: PCPS)などの補助循環を考慮 ようになった 334).Forrester らは 200 例の心筋梗塞患者 する. の急性期血行動態を測定し,肺うっ血や末梢循環不全な 合併症のない心筋梗塞例のほとんどは観血的な血行動 どの臨床症状の出現と血行動態測定値とがよく一致する 態評価を行わなくても,血圧,心拍数,胸部聴診所見, こ と を み い だ し, 肺 動 脈 楔 入 圧(pulmonary capillary 胸部 X 線所見などからポンプ失調の重症度,治療に対す wedge pressure: PCWP)と心係数(cardiac index: CI) る反応をみることが可能である 336).Swan-Ganz カテー を用いて以下に示す 4 つの血行動態群(hemodynamic テルから得られる各種測定値はカテーテルの先端の位置 335) subset)に分類した(図 9) . が不適切な場合必ずしも正確な数値が反映されないこと subset Ⅰ:PCWP ≦ 18mmHg,CI > 2.2 ℓ / 分 / ㎡ もある.また頻度は低いがカテーテル挿入手技には心室 ポンプ失調のない群であり,鎮痛,安静などの 性不整脈,右脚ブロック(左脚ブロック患者では完全房 一般的治療を行う.ただし,禁忌がなければ硝 室ブロックになりうる),肺出血,感染などの合併症が 酸薬点滴静注,ACE 阻害薬もしくはアンジオ あるため,得られる情報による利益がそのリスクを上回 テンシンⅡ受容体遮断薬投与は行った方がよ るときに施行すべきである.また Nohria らは病歴と身 い. subset Ⅱ:PCWP>18mmHg,CI > 2.2 ℓ / 分 / ㎡ 体所見からうっ血および組織低灌流の有無を判断し, Forrester 分類に類似した 4 つの病態に分け,治療方針決 左心不全状態.左室収縮力および拡張能が低下 定に利用することを提唱している(図 10)337). し,二次的に左室前負荷が増加して心拍出量を 低血圧,心原性ショックを呈する患者に対しては橈骨 維持している状態.通常肺うっ血を認める.利 動脈から動脈圧をモニタリングすることが有用である. Circulation Journal Vol. 72, Suppl. IV, 2008 1379 循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2006−2007 年度合同研究班報告) 脈圧低下,交互脈,四肢冷感, 低血圧,乏尿,腎機能悪化, 傾眠傾向,意識障害など 組織低灌流所見 図 10 急性心不全の非侵襲的重症度評価 うっ血所見 起座呼吸,頚静脈怒張,浮腫,腹水,湿性ラ音など なし あり なし あり warm and dry warm and wet (ForresterⅠ相当) (ForresterⅡ相当) cold and dry cold and wet (ForresterⅢ相当) (ForresterⅣ相当) 文献 337)より改変引用 3 低心拍出状態 クラスⅠ 1.容量負荷の所見がない患者に対する迅速な輸液(レ ベル C) 2.強心薬による血行動態補助(レベル B) 3.IABP の使用(レベル B) 4.PCI もしくは CABG による冠血行再建(レベル B) 5.機械的合併症に対する外科手術(レベル B) クラスⅢ 1.低心拍出状態の患者に対するβ遮断薬あるいは陰性 変力作用の強いカルシウム拮抗薬の投与(レベル B) これにより動脈血ガス分析なども繰り返し行うことがで きる.Swan-Ganz カテーテルおよび動脈ラインのいずれ 正常血圧で低心拍出状態の患者では四肢冷感,チアノ も 5 日を超えて同一部位に留置しないことが望ましく, ーゼ,乏尿,精神機能低下などがみられる 339).このよ 必要性が少なくなった際には速やかに抜去すべきであ うな患者の死亡率は高く,ショックと同等に積極的に診 る 338). 断治療すべきである.初期の薬物治療としてカテコラミ 2 低血圧の対応 クラスⅠ 1.容量負荷の所見がない患者に対する迅速な輸液(レ ベル C) 2.低血圧の原因となりうる不整脈(調律障害,伝導障 害)の治療(レベル C) 3.冠動脈再灌流療法が行えない場合の IABP 使用(レ ベル B) 4.迅速な輸液に反応しない低血圧例に対する血管収縮 薬投与(レベル C) 5.心エコーによる機械的合併症の評価(レベル C) ンの点滴静注(通常ドブタミン 1 ∼ 5μg/kg/ 分)が行われ, 反応が不良である場合には IABP を必要とする.血圧の 維持が可能であれば血管拡張薬を併用し後負荷を低下さ せる.また PCI あるいは CABG によって血行再建を行 うことは心筋虚血を改善し,血行動態を安定化させるた めに有効である.心室中隔穿孔,乳頭筋断裂,自由壁破 裂などの機械的合併症に基づく血行動態の障害に対して は薬物治療のみでは無効であり,早期の積極的な外科治 療が必要である. 4 肺うっ血の対応 クラスⅠ 1.肺うっ血患者に対する酸素療法(レベル C) 低血圧を呈する病態としては循環血液量の減少,不整 2.肺うっ血患者に対する塩酸モルヒネ投与(レベル C) 脈,心不全,心筋梗塞に伴う機械的合併症(心室中隔穿 3.低血圧(収縮期血圧 100mmHg 未満もしくは平常時 孔,僧帽弁乳頭筋断裂,左室自由壁破裂)などがある. の 30mmHg 以上の低下)を伴う肺うっ血患者に対 近年では心筋梗塞急性期の再灌流療法が一般的となって する血管収縮薬,強心薬投与および IABP による循 いるため PCI や血栓溶解療法に伴う出血合併症が原因と 環補助(レベル C) なる場合もある.したがって低血圧患者に対しては明ら 4.低血圧がない場合の硝酸薬投与(レベル C) かな容量負荷の証拠がなければ治療の第一選択は迅速な 5.低血圧,腎不全,両側腎動脈狭窄などの禁忌がない 輸液である.心エコーによる心機能評価,機械的合併症 場合の ACE 阻害薬投与(短時間作用型を低用量か 評価と血液検査による貧血などの確認は必須である.高 ら開始し漸増)(レベル A) 度徐脈が原因となっている場合には体外式ペーシングを 行う.心収縮力が低下しており輸液による改善がみられ ない例に対してはドパミンの点滴静注を行うが,不十分 6.容量負荷を伴う肺うっ血患者に対する利尿薬投与 (レベル C) 7.重篤な腎機能障害がなく,LVEF40%未満ですでに な場合にはノルアドレナリンを併用する.さらに IABP ACE 阻害薬の投与されている患者に対するアルド 使用を考慮する. ステロン拮抗薬の投与(レベル A) 8.心エコー検査による心機能,機械的合併症の評価(レ 1380 Circulation Journal Vol. 72, Suppl. IV, 2008 急性心筋梗塞(ST 上昇型)の診療に関するガイドライン 助が必要となる. ベル C) 初期治療の原則は患者の血行動態を安定させ早期に再 クラスⅡ b 1.薬物治療抵抗性の肺うっ血患者に対する IABP 使用 灌流療法を行うことである.特に重症心不全例では血栓 溶解療法よりも primary PCI が有効であるといわれてい (レベル C) る 345),346).酸素吸入は組織低酸素状態を改善するために クラスⅢ 1.中等度∼高度肺うっ血のある患者に対する急性期の 必要である.酸素飽和度を指標に適宜投与量を増減する β遮断薬あるいは陰性変力作用の強いカルシウム拮 が,酸素化が不十分な際には,呼気終末陽圧呼吸(positive 抗薬投与(レベル B) end expiratory pressure: PEEP)を用いた人工呼吸が有 効である.最近では気管挿管を行わずマスクを用いた非 心不全とは「心機能低下のため全身組織における代謝 侵 襲 的 陽 圧 換 気 療 法(noninvasive positive pressure に必要な血液量を心臓より駆出できない状態,あるいは ventilation: NPPV)も行われ,良好な成績が報告され 心室充満圧の上昇という代償機序を介してのみ拍出を維 ている 347)−349). 持している状態」と定義され,臨床的な病態は肺うっ血 急性期に前負荷を減少させるための薬物としては塩酸 と低心拍出量である 340).STEMI の場合には活動可能な モルヒネ,硝酸薬,利尿薬がある 350).塩酸モルヒネは 心筋量の絶対数が急激に減少することによって心臓全体 鎮痛効果だけでなく血管拡張作用と鎮静による心拍数減 として収縮能および拡張能が低下する.左室心筋の 20 少作用があり,3 ∼ 5mg を静注する 351).硝酸薬(ニト %以上が梗塞に陥ると心不全徴候が出現し,40 %を超 ログリセリン,硝酸イソソルビド,ニコランジル)は低 .1 回の梗塞 用量では静脈系を拡張して前負荷を軽減し,高用量で動 による心筋壊死量が小さくても陳旧性心筋梗塞を有する 脈系に作用して後負荷を減弱させることにより肺動脈圧 患者に新たな梗塞が加わった場合や,入院時に心不全徴 を低下させ心係数を上昇させる.投与量は収縮期血圧 候がなくても経過中に梗塞拡大(extension)をきたした 90 − 100 mmHg を維持する範囲でできるだけ低用量で 場合心不全を併発する.また心室中隔穿孔,乳頭筋断裂 用いる.ただし高齢者,動脈硬化の著しい例,高血圧の などの機械的合併症を伴う場合には薬物治療のみでは治 既往がある例などは尿量や末梢循環状態を観察しながら 療困難であり,心エコーによる早期診断が重要である. 目標血圧を高めに設定しなければならない場合がある. 心筋梗塞急性期のポンプ失調の重症度を理学的所見か ニトロプルシドは他の硝酸薬と比較して動脈拡張作用が ら判定する代表的なものに Killip 分類(表 5)があり, 強力であり,急性僧帽弁閉鎖不全などに有効であるが, 治療方針の決定や急性期予後の推定に有用であるため, 心筋梗塞急性期の有効性は確立されていない.また本邦 今日でも日常臨床において繁用されている 68),342).再灌 では手術時の低血圧維持および手術時の異常高血圧に対 流療法が普及した今日でも,急性心不全を合併した する緊急処置として認められており,心不全治療薬とし えると心原性ショックに陥るといわれる STEMI の死亡率は依然として高い 341) 104),111),343),344) .心筋 ての使用は適応外である.特に肝腎障害のある例ではシ 梗塞では通常交感神経緊張のため頻脈となり血圧は上昇 アン中毒を生じる可能性があるために注意を要する.利 していることが多いが,血圧上昇を伴っていない場合に 尿薬の第一選択はフロセミドであるが,発症前に利尿薬 は心原性ショックを念頭において治療しなければならな 内服をしていない例では 20mg の少量から静注し反応を い.心原性ショックあるいはプレショック状態と判断し みる.脱水のある例では著明な血圧低下をきたすため注 た場合にはカテコラミン点滴静注や IABP による循環補 意が必要である.一方腎不全,利尿薬内服中の慢性心不 表 5 Killip 分類と院内死亡率 Killip 分類 (症例の比率) Ⅰ 心不全徴候なし(68 ∼ 74%) Ⅱ 軽∼中等度の心不全(19 ∼ 21%) (湿性ラ音聴取域 : 全肺野の 50% 未満) 原著死亡率(Killip) 1967 年 血栓溶解療法導入後 1992 ∼ 1994 年 primaryPCI 時代 1999 ∼ 2001 年 6% 5% 2.4 − 3.7% 17% 21% 7 − 16% Ⅲ 肺水腫(19 ∼ 21%) (湿性ラ音聴取域 : 全肺野の 50% 以上) 38% 35% 19 − 24% Ⅳ 心原性ショック(2 ∼ 3%) 81% 67% 61% 文献 68) ,343) ,344) ,346)より改変引用 Circulation Journal Vol. 72, Suppl. IV, 2008 1381 循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2006−2007 年度合同研究班報告) 全患者に対してはさらに高用量投与が必要である.利尿 薬使用時は,血清 Na,K,Mg 値などの電解質に変動を 2.75 歳以上の患者で侵襲的治療が禁忌でない場合の PCI あるいは CABG による早期血行再建(レベル B) 生じるためこれらを適宜補正する必要がある. 欧米では遺伝子組み換え B 型ナトリウム利尿ペプチド 心原性ショックは極めて死亡率の高い病態であり,多 (BNP)である nesiritide が使用され,急性心不全の治療 くは広範な左室収縮力低下によるが,心筋梗塞後の機械 薬としてガイドラインにも記載されているが 352)−354), 的合併症に引き続いて起こっている場合もあるため心エ 本邦では A 型ナトリウム利尿ペプチド(ANP)である コーによる原因検索は重要である 364).①収縮期血圧 カルペリチドが心不全治療薬として認可されている.カ 90mmHg 未満もしくは通常より 30mmHg 以上の血圧低 ルペリチドは強力な血管拡張作用と利尿作用をもつが, 下,②乏尿(20ml/ 時未満),③意識障害,④末梢血管 それだけではなく交感神経系,レニン−アンジオテンシ 収縮(四肢冷感,冷汗)のすべてを満たしている場合心 ン系,バソプレシンなどに対して生理的拮抗作用があり, 原性ショックと診断されるが,そのような病態が疑われ 心保護薬としての効果や腎保護作用も期待できる 355)− た 場 合 に は 原 因 検 索 と 同 時 に 緊 急 処 置 を 開 始 す る. 357) STEMI 後の心原性ショック例の 10 ∼ 15%は体内水分量 ACE 阻害薬は,禁忌がない限り心筋梗塞発症後なる が不足しているといわれ 365),また約 30%の症例では胸 べ く 早 期 に 開 始 す る こ と の 有 用 性 が SAVE 試 験 358), 部 X 線上肺うっ血を認めないため 366),動脈カニューレ . TRACE 試験 359),AIRE 試験 360)などにより証明されてい と Swan-Ganz カテーテルで血行動態をモニタリングし る.また ARB も心不全に患者の予後改善効果が明らか つつカテコラミン,利尿薬の投与,輸液量の調節を行う. にされているが,STEMI 後に ARB と ACE 阻害薬の有用 基本的に低血圧のある場合はドパミン 5 ∼ 15μg/kg/ 分, 性を比較した OPTIMAAL 試験 361) ,VALIANT 試験 362) で 分の点滴静注を行う.単剤で効果不十分の場合は両者を アルドステロン拮抗薬を心不全を合併した心筋梗塞症 併用する.ドパミンはノルアドレナリン前駆物質であり 例に対して早期から投与することで,総死亡,心血管イ 用量により作用が異なる.低用量(<2μg/kg/ 分)では ベントを有意に改善することが示されている 363).使用 末梢のドパミン受容体にのみ作用し腎血流増加作用を示 に際しては高カリウム血症に注意する必要がある. し,中等量(>2μg/kg/ 分)ではβ受容体に作用し心筋収 心筋梗塞発症早期からβ遮断薬を投与することは梗塞 縮性を高め,5μg/kg/ 分以上でα作用による血管作用を サイズの縮小や慢性期合併症の低減に効果があり予後改 持つ.ドブタミンはβ1 受容体を介して心筋収縮力を増 ,急性期に中等度∼高度の肺うっ血 加させる.一般に 2μg/kg/ 分程度の低用量で開始し漸増 を合併している場合にはβ遮断薬投与は行わず,退院ま する.カテコラミンの点滴静注で効果がない場合は PDE でに少量からの経口投与を開始することが推奨される. - Ⅲ阻害薬(ミルリノン,オルプリノンなど)やアデニ 善につながるが 5 258) 心原性ショック クラスⅠ 1.薬物治療抵抗性の心原性ショック例に対する IABP 使用(レベル B) 2.心原性ショック例に対する動脈圧モニタリング(レ ベル C) 3.75 歳未満の患者対する PCI あるいは CABG による 早期血行再建(レベル A) 4.PCI あるいは CABG による早期血行再建が不適切な 場合の血栓溶解療法(レベル B) 5.心エコー検査による心機能,機械的合併症の評価(レ ベル C) クラスⅡ a 1.心原性ショック例に対する Swan-Ganz カテーテル による血行動態モニタリング(レベル C) 1382 血圧が保たれている場合にはドブタミン 2 ∼ 15μg/kg/ は両薬剤の優劣は明らかにされていない. Circulation Journal Vol. 72, Suppl. IV, 2008 ル酸シクラーゼ刺激薬(コルホルシンダロパート)を投 与することもあるが,一般的にはカテコラミンに対する 反応が不良である場合は IABP の適応と考えてよい 367). また今日では冠動脈再灌流療法が広く行われている が,特に心原性ショック例についてはすみやかな再灌流 の成否が予後を左右する.1996 年から 1998 年に本邦で STEMI 3113 例を対象として行った多施設後ろ向き検討 では心原性ショック合併は 126 例(4 %)で,その死亡 率は 59 %高率であるが,このうち再灌流療法に成功し た群の死亡率は 42%であったとしている 368).心原性シ ョック例を無作為に PCI もしくは CABG による緊急冠 動脈血行再建を行った 152 例と初期内科的安定化をはか った 150 例の 2 群に割り付け,30 日,6 ヶ月および 1 年ま での全死亡率を比較した SHOCK 試験によると,緊急冠 動脈血行再建は 30 日の全死亡率は低下させなかったが (46.7% vs. 56%),6 ヶ月および 1 年での死亡率を有意に 急性心筋梗塞(ST 上昇型)の診療に関するガイドライン 低下させていた(53.3% vs. 64.4%,p<0.03).また 75 歳 4.輸液による循環血液量の適正化(レベル C) 未満では 30 日死亡率も低下させることが明らかにされ, 5.輸液による改善がない場合の強心薬,IABP による 重症心不全例や心原性ショック例ほど血行再建を積極的 血行動態補助(レベル C) 6.併発する左室機能障害の治療(レベル C) に考えるべきであるとしている 109),110).緊急の血行再建 が行えない場合や専門施設への搬送までに時間を要する クラスⅡ a 1.重篤な右室機能障害がある場合 CABG は右心機能 場合には血栓溶解療法が有用であるとされている 369). β遮断薬や ACE 阻害薬などの降圧薬を内服している の回復を待って実施(レベル C) 場合は,血行動態が安定するまではこれらを中断するが, ショックから回復した後には肺うっ血のガイドライン 下壁の STEMI の約半数に右室の虚血が認められると (前述)に従い退院までにこれらの薬剤を少量より開始 いわれているが,臨床的に問題となる右室梗塞は 10 ∼ すべきである. 15 %程度で,右室障害範囲の広い場合には低拍出状態 STEMI に合併したポンプ失調治療の指針を示す(図 となる 370),371).右冠動脈近位部の閉塞にともなう右室枝 11). の虚血により右室自由壁が梗塞に陥り,V4R などの右側 胸部誘導で 1mm 以上の ST 上昇を生じる.身体所見では, 右室梗塞 6 低血圧,ショックに加えて,静脈怒張,Kussmaul 徴候 が重要である 370).右室梗塞時の低心拍出状態発生機序 クラスⅠ 1.右室梗塞を診断するために右側胸部誘導 V4R の評価 と心エコー検査を実施(レベル B) は,①右室収縮力低下により左室の前負荷が減少するこ と,②右室拡張にもとづく心室中隔左方偏位および心嚢 2.可能な限り早期に再灌流療法を実施(レベル C) 内圧上昇による左室のコンプライアンスの低下である. 3.房室同期の維持,徐脈の是正(レベル C) 右室梗塞の診断基準を表 6 に示す 372),373). 図 11 STEMI におけるポンプ失調の治療 酸素投与 / CPAP/ NPPV 塩酸モルヒネ 3−5mg 静注 利尿薬,血管拡張薬 機械補助の必要性を判断 心エコーによる機械的合併症評価 収縮期血圧 >100mmHg 収縮期血圧 70−100mmHg 機械的合併症(+) 収縮期血圧 < 70mmHg (IABP) 外科的治療 ショック徴候 なし あり 血管拡張薬 NTG:0.05−1.0μg/kg/分, ISDN:0.2−2.0μg/kg/分, カルペリチド:0.0125−0.1μg/kg/分 ニコランジル:1∼3μg/kg/分 ドブタミン ドパミン 0.5−20μg/kg/ 分 0.5−20μg/kg/ 分 効果あり 効果不良 硝酸薬を経口(経皮)薬に変更 ACE 阻害薬(もしくは ARB) 低心機能例はβ遮断薬を積極的に考慮 CPAP: NPPV: IABP: PCI: CABG: 持続陽圧呼吸 非侵襲的陽圧呼吸 大動脈内バルーンパンピング 経皮的冠インターベンション 冠動脈バイパス術 ノルアドレナリン 0.03−0.3μg/kg/ 分 機械補助を再考慮 強心薬増量 PCI,CABG による血行再建 NTG: ニトログリセリン ISDN:硝酸イソソルビド ACE: アンジオテンシン変換酵素 ARB: アンジオテンシンⅡ受容体遮断薬 文献 353) ,377)より改変引用 Circulation Journal Vol. 72, Suppl. IV, 2008 1383 循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2006−2007 年度合同研究班報告) 表 6 右室梗塞診断基準 低分子デキストランによる急速大量輸液を行い,左室の A.剖検 B.大基準 1)心電図 V4R の ST 上昇(0.1mv 以上) 2)心エコーで右室の akinesis または dyskinesis 3)平均右房圧≧ 10mmHg かつ(平均肺動脈楔入圧−平均右 房圧)≦ 5mmHg 4)右房圧の noncompliant 波形 5)肺動脈圧の交互脈または早期立ち上がり 前 負 荷 を 増 加 さ せ る 必 要 が あ る. そ の 場 合 PCWP を C.小基準 1)下壁梗塞 2)心エコーの右室拡大 3)平均右房圧≧ 6mmHg(安静時) 4)Kussmaul 徴候 5)99mTc- ピロリン酸の右室への集積 慎重でなければならない.房室ブロックや心房細動など 15mmHg 程 度 に 保 つ よ う こ こ ろ が け る.PCWP が 18mmHg 以上に上昇すると左心不全徴候が出現する可 能性がある.急速大量輸液 500 ∼ 1000ml で反応がない 場合はカテコラミンさらには IABP の適応となる.硝酸 薬の投与は著明な低血圧を招く危険性があるため極めて の不整脈を合併した場合には,心房心室順次ペーシング や電気的除細動を早期に行う必要がある 374).早期の再 灌流療法は右室機能を改善し,房室ブロックの発現を予 防するとされている 375),376).ただし CABG の場合は右室 確定診断 1.剖検診断 2.臨床診断 1)大基準 2 項目以上 2)大基準 1 項目と小基準 2 項目以上(心エコー,平均右 房圧の項目は重複しないこと) 3)小基準 4 項目以上 梗塞合併例に対する発症 6 時間以降の施行例は極めて死 亡率が高いため,4 週以後で右室機能が改善するまで待 つことが推奨される 377). 6 機械的合併症 1 診断 文献 372)より改変引用 右室梗塞の治療の原則は右室前負荷の早期維持,右室 機械的合併症は,通常 STEMI 発症後一週間以内に発 後負荷の低下,強心薬による右室機能障害の治療,早期 生する.理学的所見で,新しい心雑音の出現を認めた場 再灌流,房室同期の維持である.血行動態管理として 合,心室中隔穿孔か乳頭筋断裂による僧帽弁閉鎖不全発 Swan-Ganz カテーテルを用いたモニタリングは必須で 症の可能性を示唆する.これら機械的合併症の詳細な特 ある.典型例では右房圧が 10mmHg 以上に上昇し,右 徴は(表 7)に示す 378).確定診断は経胸壁ないし経食 房圧と PCWP の差が 5mmHg 以下となり,右房圧波形で 道心エコー法により可能である.Swan-Ganz カテーテル 深く急峻な y 谷(noncompliant 波形)が認められること による右心カテーテル所見も診断確定およびその後の管 が多い.心拍出を維持するためには生理食塩水もしくは 理に有用である. 表 7 心室中隔穿孔,左室自由壁破裂,乳頭筋断裂の特徴 1384 特徴 僧帽弁乳頭筋断裂 心室中隔穿孔 左室自由壁破裂 頻度 約 1% 再灌流療法なし 1 3% 0.8 6.2% 後乳頭筋 > 前乳頭筋 血栓溶解療法あり 0.2 0.34% 心原性ショック患者 3.9% 血栓溶解療法はリスクを低下させない primary PCI はリスクを低下させる可 能性あり 発症時期 二つのピーク :24 時間以内と 3 5 日 二つのピーク :24 時間以内と 3 5 日 期間 :1 14 日 期間 :1 14 日 二つのピーク :24 時間以内と 3 5 日 期間 :1 14 日 臨床症状 突然の呼吸困難と肺水腫,低血圧 胸痛,呼吸困難,低血圧 胸痛,失神,低血圧,不整脈,嘔気 不穏,突然死 身体所見 柔らかい心雑音,thrill(−) 右室負荷所見,重症肺水腫, 心原性ショック 粗い汎収縮期雑音,thrill(+) ,Ⅲ音 肺水腫,両室不全,心原性ショック 頸静脈怒張(29%) ,奇脈(47%) Pulseless Electrical Activity 心原性ショック 心エコー所見 左室の過剰収縮,乳頭筋ないし腱 心室中隔穿孔,左 - 右シャント 索の断裂,弁尖の過剰な動き,重 右室負荷所見 症僧帽弁逆流 右心カテーテル 所見 右房 - 右室間の酸素飽和度上昇な 右房から右室での酸素飽和度の上昇, 心室造影では確認困難,心タンポナ ーデの典型的所見は常には現れず し,v 波増大,肺動脈楔入圧上昇 Circulation Journal Vol. 72, Suppl. IV, 2008 5mm 以上の心膜液貯留,心膜腔内の 高エコー輝度(血腫) ,心筋の亀裂, タンポナーデの所見 急性心筋梗塞(ST 上昇型)の診療に関するガイドライン 機械的合併症が疑われた場合には,内科的治療のみで CABG とともに行われるが,近年左室内腔を広範囲にパ は致死率が非常に高いため,直ちに外科的治療を考慮せ ッチで被い穿孔部位を隔離する方法も行われるようにな ねばならない.IABP の挿入は,乳頭筋断裂や心室中隔 っている 385),386).手術死亡率は 20 %∼ 50 % 380)−383),387), 穿孔の場合では特に,循環動態を安定させるのに役立つ. 388) 早期に外科治療を行うために,術前の侵襲的検査は最小 亡率は特に高く 382),389),SHOCK registry では 87%である. 限にとどめる必要があるが,冠動脈造影を行って冠動脈 しかし,手術患者の死亡率は内科治療を行った患者に比 病変を評価しておくことは,大多数の心室中隔穿孔およ べれば有意に低く,GUSTO-I380)によれば,外科治療群 び乳頭筋断裂の症例に有益である. 2 僧帽弁閉鎖不全(乳頭筋断裂) と報告されているが,心原性ショックの患者では死 と内科治療群の死亡率はそれぞれ 47%と 94%である. カテーテル治療による心室中隔穿孔の閉鎖はごく少数 例にのみ行われているのみであり,今後が期待され る 390). クラスⅠ 1.急性乳頭筋断裂を伴った患者には,早急な外科的修 復を考慮する.(レベル B) 2.僧帽弁手術と同時に CABG を考慮する.(レベル B) 4 左室自由壁破裂 クラスⅠ 1.自由壁破裂の患者には,迅速な外科的修復を行う. STEMI 後の重症僧帽弁閉鎖不全で心原性ショックを 伴っている場合,予後は不良である.SHOCK registry によれば,重症僧帽弁閉鎖不全でショックを伴っている (レベル B) 2.自由壁破裂の修復と同時に CABG を考慮する.(レ ベル C) 患者の入院死亡率は 55 %であり,外科治療を行った場 合の死亡率が 40 %であるのに対し,内科治療のみでは 心破裂は STEMI の 1 %∼ 6 %に発症する 378),391)−394). 71%であった 379). 典型的な左室自由壁破裂は胸痛と心電図上の ST-T 波変 3 心室中隔穿孔 化で始まり,急激な血行動態の虚脱をきたして無脈性電 気 活 動(PEA:pulseless electrical activity) と な る. 心 破裂の発生頻度には,心筋梗塞発症後 24 時間以内の急 クラスⅠ 1.心室中隔穿孔を合併した患者には,早急な外科的修 復を考慮する.(レベル B) 2.心室中隔穿孔の修復と同時に CABG を考慮する. (レ ベル B) 性期と発症後 3 日∼ 5 日の 2 つのピークがある.心破裂は, 初回心筋梗塞,前壁梗塞,高齢者,女性に多くみられ, 心筋梗塞後急性期の高血圧や側副血行路の未発達,心電 図 の Q 波, ス テ ロ イ ド や 非 ス テ ロ イ ド 系 消 炎 鎮 痛 薬 (NSAIDs)の使用,発症後 14 時間以上経過後の血栓溶 心室中隔穿孔の発生頻度は再灌流療法の発達とともに 解療法などが危険因子となる 394),395).血栓溶解療法は発 減少してきており,STEMI 患者の 1%未満になってきて 症後 14 時間以上経過してからの投与では破裂の危険を 378),380) いる(GUSTO-I) .発症から穿孔までの期間は, 高くするものの,全体としては心破裂の危険を減少させ 以 前 は 3 日 ∼ 5 日 と さ れ て い た が,GUSTO-I お よ び る 393),396).破裂を防ぐための最も重要な因子は早期の血 SHOCK registry によれば,血栓溶解療法を受けている 行再建と側副血行路の存在である 392),393).仮性瘤は自由 患者では心筋梗塞後最初の 24 時間が最も穿孔の可能性 壁破裂の重篤な合併症であり,破裂を防ぐために早急な が高い 380),381).緊急手術に関しても,以前は肺水腫や心 外科治療が必要である. 原性ショックの患者に対してのみ必要と考えられていた 心嚢穿刺によりタンポナーデを解除し,緊急手術を行 が,現在では左心機能が良好で血行動態の落ち着いてい って止血することが救命に必要であり 397),398),できる限 る患者においても,穿孔部位の拡大から急激な循環動態 り早期に患者を手術室に運び,人工心肺の準備を行う. の破綻を来たすことがあるため,緊急手術が重要である この場合,冠動脈造影を行って時間を遅らせることは得 とされている 382)−384) .IABP を挿入し迅速に外科治療を 策ではない 399). 行うことが,急性心室中隔穿孔の患者に推奨される.最 手術は直接縫合ないしはパッチを用いて穿孔部を被覆 適な血行動態を維持するために,観血的なモニタリング し,左室自由壁破裂発症前に予め冠動脈造影が行われて と昇圧薬や血管拡張薬の使用がすべての患者に推奨され いれば,必要に応じて CABG を追加するが,手術室に る.手術は通常,穿孔部の壊死組織除去とパッチ修復が 搬送して修復ができる患者は少なく,手術死亡は 60 % Circulation Journal Vol. 72, Suppl. IV, 2008 1385 循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2006−2007 年度合同研究班報告) に達する 399),400). 7 左室瘤 5 STEMI 後の再発する 胸痛への対応 クラスⅡ a 治療抵抗性の心室頻拍や心不全を伴うには,左室瘤 STEMI 発症後に起きる胸痛のうちで最も重要で頻度 切除や CABG を考慮する.(レベル B) の高いものは,心筋虚血と心膜炎である.胸痛が再発し た際には,直ちに心電図を記録し,発症以降の心電図と STEMI 後の左心室瘤は,通常左前下行枝の完全閉塞 に伴う広範な梗塞により前壁に発生する.臨床所見とし ては,狭心症,心不全,血栓塞栓症,心室性不整脈が認 められる.血栓溶解療法を行って梗塞責任血管の再疎通 が得られた患者は,そうでない患者に比し有意に左心室 瘤 を 形 成 す る 頻 度 が 減 少 す る(7.2 % vs 18.8 %) . 401) 比較すべきである. 1 再梗塞・梗塞後狭心症 クラスⅠ 1.硝酸薬やβ遮断薬による内科治療を強化し,さらに 経静脈的抗凝固療法を行う.(レベル B) STEMI 後早期に心室瘤に対する外科治療が必要となる 2.梗塞危険領域が広範で,血行動態の不安定化徴候を ことはまれであるが,通常の治療に反応しない心不全や 認めるか低左室機能を合併する場合,内科治療の強 402) .手術 化とともに緊急の冠動脈造影検査を行う.必要なら 手技には縫縮や切除・修復,心腔内パッチを用いた左室 IABP を開始し,緊急の血行再建術を考慮する.(レ 形成などがあり 402)−405),残存左室の大きさと機能が予 ベル C) 心室性不整脈に対して必要となることがある 後を規定する.最近の手術死亡率は 3.3%∼ 7.2%と報告 3.以前の冠動脈造影検査により血行再建術の適応があ されている 402),403)が,左室駆出分画率 20%未満の低左心 ると判定される患者では,PCI ないし CABG を考慮 機能症例では死亡率は 19%と高値を示す する.(レベル B) 406) .手術生存 者では NYHA クラスの改善,5 年生存率の改善が認めら れる. 6 4.ステントを用いた primary PCI 施行例では,ステン ト内血栓症の発症を念頭に緊急冠動脈造影検査を考 機械的補助(IABP,PCPS,LVAD) 慮する.(レベル C) クラスⅡ a IABP は拡張期の冠血流量を増加させ,心筋の仕事量 冠動脈造影検査や PCI がすぐには行えない状況下に を減少させる.これらの効果は虚血の残存や再発,心機 (理想的には胸部症状発症から 60 分以内),ST 上昇 能低下による血圧低下,心原性ショックの患者に特に有 とともに胸部症状が再発した際には,血栓溶解療薬 効である.心臓カテーテルや血行再建を予定している患 投与を考慮する.(レベル C) 者に対しても血行動態を安定させるのに役立つ. STEMI 後の心原性ショックの患者で IABP を用いても 胸部症状が発症時のものと類似していれば,心筋虚血 循環補助が不十分な場合,機械的補助循環が考慮される. 由来である可能性が高く,まず硝酸薬やβ遮断薬による PCPS(percutaneous cardiopulmonary support)は経皮的 内科治療を強化する.続いて,鑑別のために CK-MB, に挿入可能であるため簡便で,呼吸不全を合併する患者 H-FABP などの心筋傷害マーカーや,心電図変化(ST に有用である.しかし,出血や血栓症の問題があり,一 上 昇 な い し ST 下 降, 陰 性 T 波 の 偽 正 常 化[pseudo- 週間程度の短期間しか有効ではなく,また左室の前負荷 normalization])を評価する 407).心筋梗塞の再発には, 軽 減 作 用 の 低 い こ と が 問 題 で あ る.LVAD(left 同一部位で再度心筋壊死が発生する場合と,異なる部位 ventricular assist device)は PCPS よりも左心補助作用お で発生する場合がある.発症後 24 時間以内に胸痛が再 よび左室前負荷軽減作用が強く,より長期の使用が可能 発した場合,心電図は自然経過の中で変化しており,血 である.しかし,装着の際に開胸操作が必要であり,ま 液生化学的心筋傷害マーカーも正常値を越えて上昇して た心移植の可能性の少ない日本においては適応が限られ いるため,心筋梗塞の再発を診断するのはかなり困難で る. ある.直前および経過中の心電図とよく比較し,新たな 心筋虚血の発生を確認する.また,緊急で経胸壁心エコ ーを施行して,それ以前の所見と比較することで新たな 心筋虚血の発生が推測できる.心筋虚血の再発・拡大が 1386 Circulation Journal Vol. 72, Suppl. IV, 2008 急性心筋梗塞(ST 上昇型)の診療に関するガイドライン 示唆されるときは,緊急冠動脈造影検査を再度施行すべ 2.心膜液貯留が出現もしくは増加するなら,抗凝固療 きか否かを念頭に対応すべきである.初回発作から 18 時間を過ぎており,心電図の ST 再上昇が確認された場 法は中止を考慮する.(レベル C) クラスⅡ a 合には,心筋梗塞再発を強く疑う.24 時間を経過した アスピリンが無効な場合は,アセトアミノフェンを あとに発症する再発では,心電図変化や CK-MB などの 心筋傷害マーカーの再上昇などで診断できる. わが国では,入院早期の緊急冠動脈造影検査とステン 投与する.(レベル C) クラスⅡ b 1.難治性である心膜炎に対して,コルチコステロイド トを用いた再灌流療法が普及し,約 7 割の対象患者に PCI が施行された 3000 人規模の観察研究の報告による を使用する.(レベル C) 2.痛みの除去を目的に,非ステロイド系消炎鎮痛薬を と入院中の再梗塞発生頻度は 2.5 ∼ 3 %程度である 344), 408),409) .一方,欧米の血栓溶解療法のみを受けた患者の 使用する.(レベル B) クラスⅢ 報告では,約 4 ∼ 5% 391),410),411)とされる.梗塞後狭心症 鎮痛を目的としてイブプロフェンを使用する.(レ の発生頻度は,血栓溶解療法のみ施行された場合には ベル B) 20%,primary PCI が施行された場合には 6% 170),410)とさ れ,ステントが使用されると頻度はさらに低下する 412). STEMI に伴う心膜炎は,心筋壊死が心内膜側から進 再梗塞は,梗塞責任血管領域でおきやすいが,責任冠動 展し心筋の全層を通じて心外膜側に達した際に発生す 脈以外に病変が存在する場合にも注意が必要である.死 る.心膜炎を合併する広範な梗塞を持つ患者は,心拍出 亡・重症心不全・重篤な不整脈は心筋梗塞再発直後に起 量低下によるうっ血性心不全を生じることが多い 416), こりやすく,心原性ショックや心停止などの発生頻度も 417) 高い 391),410),413) . .心膜炎は STEMI 発症数日後で多く発生し,数週間 までに及ぶ.心筋虚血に似た胸部不快感のこともあるが, 急性期にステントを用いた primary PCI 施行例では心 通常は以下の特徴によって,鑑別可能である.肋膜性の 筋梗塞の再発率は低いが,ステントを用いた primary 痛み,体位による変動のある不快感,左肩,肩甲骨,僧 PCI 施行例に心筋虚血由来の胸痛が発生した場合には, 帽筋などへの放射痛などである.心膜の摩擦音を聴取す 第一にステント内血栓症(急性および亜急性血栓症)を れば診断は確定的であり,心電図所見の特徴は,下に凸 考慮すべきであり,緊急冠動脈造影検査を施行する必要 の ST 上昇と PR 部低下を伴う J ポイントの上昇である. がある.この合併症が発生すると,突然死するなど重症 心膜液貯留は,40 %以上の症例において心エコー法 化することが多い. で確認されたと報告があるが 407),心膜液自体が血行動 心不全,貧血,不整脈は,二次的な心筋虚血の原因に 態に重大な影響をあたえることは稀である.しばしば前 なる.また,心不全や不整脈は心筋虚血によってさらに 壁中隔梗塞や,広範梗塞,左心不全合併例に観察される. 悪化しやすく,これらの状態を是正する必要がある. 梗塞後に貯留した心膜液は,吸収が遅く,しばしば数ヶ 心筋虚血由来の胸部不快感が再発した症例では,緊急 月を要する.多くの STEMI で少量の心膜液は認められ 冠動脈造影検査を施行し虚血責任冠動脈病変を調べる. るから,少量の心膜液があっても心膜炎とは診断できな 急性期に血栓溶解療法のみを施行し,冠動脈所見が明ら い 418).Q 波の完成したいわゆる貫壁性でかつ広範囲型 かでない場合には,直ちに冠動脈造影検査を施行する. の心筋梗塞や,急性期に再灌流療法の遅れた心筋梗塞に 再灌流療法施行時に冠動脈の解剖が評価されている場合 おいて,症状が乏しいが心膜液貯留の増加が観察された は,梗塞責任病変部位の再閉塞であるか,他病変である 場合には,“oozing rupture”も念頭におく必要がある. かを念頭に再血行再建術の適応を考慮する.急性期には STEMI 発症後の最初の 1 週間に,心膜炎に典型的な 梗塞責任病変部位のみを治療し,他にも血行再建術の適 症状とともに持続的な陽性 T 波または,最初には陰転化 応となる病変がある場合には,PCI ないしは CABG を行 していた T 波が陽転化するなどが観察された場合には, う 414),415). 心膜炎の発生を疑う.しかしながら,心筋梗塞後の類似 2 心膜炎 クラスⅠ 1.梗塞後の心膜炎には高用量アスピリンを投与する. レベル B) した T 波の変化は,心膜液貯留のみで心膜炎がなくても 観察される 419).心膜炎は CK-MB などの心筋傷害マーカ ーの再上昇は伴わない.再灌流療法の普及により心膜炎 の発生率は減少し,自己免疫性心筋炎であるドレスラー 症候群(心筋梗塞後症候群)を経験することはほとんど Circulation Journal Vol. 72, Suppl. IV, 2008 1387 循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2006−2007 年度合同研究班報告) なくなった 420). 細動は STEMI 後の塞栓性脳卒中発症の危険因子である 治療の第一選択はアスピリンである.高用量(1 回 414),427),428) .梗塞部位も重要で,前壁梗塞で発症頻度が 660mg1 日 3 回 6 時間から 8 時間毎に投与)を要する場合 高いとされているが,他の梗塞部位でも同等の発症頻度 もある 421).非ステロイド系消炎鎮痛薬は痛みを軽減す であるという報告もある 427),429).心房細動は,これら危 る目的で使用してもよいが,心筋瘢痕の菲薄化や梗塞拡 険因子の中で最も重要な因子である.SAVE 試験428)では, 大を招く恐れがあり,長期間使用すべきではない.特に, 左室駆出分画率の低下とともに長期的な脳卒中発症率の イブプロフェンは,アスピリンの抗血小板作用に干渉す 増加が観察された.左室内血栓の形成は,広範な壁運動 るため用いるべきではない 422) .コルチコステロイドも 低下,とくに左室心尖部に無収縮,奇異性収縮を合併す 同様に痛みの軽減に有効だが,梗塞瘢痕の菲薄化や心破 る際に起こりやすい.また,Killip Ⅲ,Ⅳでも頻度が高 .よって,他に治療手段が くなる 430).左室内血栓や左房内血栓による塞栓性脳卒 ないと判断される場合に限り使用されるべきである.急 中は,血栓溶解療法を施行した患者でも起こり,積極的 性心膜炎を合併しても抗凝固療法の続行は可能だが,心 な抗凝固療法は脳塞栓の発症予防を可能にする 431),432). 裂に関与するとされる 423),424) 膜液の増加や血行動態の不安定化がおこらないか否かを STEMI 発症後 28 日以内が最も発症率が高く,1 年後ま 用心深く観察することが必要である.心タンポナーデの では発症の危険がある 426).脳内出血と異なり,脳梗塞 危険があると判断されれば,抗凝固療法は直ちに中止す の神経所見は,軽微であり昏睡などの重篤な意識障害は べきである. 比較的まれである 433). 8 その他の合併症 STEMI 後に脳局所神経徴候が発現した際,早期の病 変の検出には,MRI,MRA が有効である.X 線 CT 検査 では発症早期は陰性のことが多く,繰り返し施行する必 虚血性脳卒中 1 要がある.また,頚動脈エコーも施行し,頚動脈に外科 的治療適応のある狭窄病変があるか否かを検索すべきで ある 434).心原性塞栓の原因検査には心エコーが有用だ クラスⅠ 1.虚血性脳卒中を発症した場合は,神経内科専門医に 診察を依頼する.(レベル C) 2.虚血性脳卒中を発症した場合は,心エコー検査,頭 部 X 線 CT/MRI,頭頚部 MRA,頚動脈エコーを行う. (レベル C) が,心房細動に伴う左心房血栓の検出には,経食道心エ コーを用いる. STEMI 後のアスピリン投与は虚血性脳卒中の発症頻 度を減少させる 435).PCI 後,心原性血栓症のリスクが ないのに虚血性脳卒中を合併した患者では,クロピドグ 3.持続性心房細動を合併した患者が虚血性脳卒中を発 症した場合は,ワルファリンを投与する. (レベル A) 4.心房細動,左室内血栓,心尖部無収縮を合併する患 レ ル 75mg/ 日(12 ヶ 月 以 上 ) と 少 量 ア ス ピ リ ン 81 − 162mg/ 日(永続的投与)の併用が効果的であるとする 報告がある 436). 者では,虚血性脳卒中を発症するしないにかかわら 心房細動,左室内血栓,左室の広範な無収縮など心原 ず,アスピリンに加え抗凝固療法を行う. (レベル B) 性塞栓源をもつ患者の場合には少量アスピリンの投与と ともに INR 2 前後を目標にワルファリン投与を行うべき クラスⅡ a すべての症例で虚血性脳卒中のリスクを評価する. (レベル A) である.ワルファリン治療の期間は,心原性塞栓の原因 となる基礎疾患によって考慮する.持続的心房細動患者 クラスⅡ b では,心エコー所見にかかわらず生涯にわたるワルファ 少なくとも 50 %以上の内頸動脈狭窄が原因で急性 リン治療を継続すべきである.一般的に左室内血栓を持 虚血性脳卒中を発症した場合,脳卒中後 4 ∼ 6 週後 つ STEMI では,少なくとも 3 ヶ月間の抗凝固療法が必 に頸動脈内膜除去術ないしステント留置を考慮して 要である.「3 ヶ月」の理由は,左室内血栓が左室壁か もよい.(レベル C) ら剥がれにくくなり表面が内皮で覆われるのに十分な期 間と考えられている.しかし,3 ヶ月後においても,血 急性脳卒中は,STEMI の 0.75%∼ 1.2%に発症すると 報告されている 414),425),426) .STEMI の生存率が向上して いる一方で,STEMI 後脳卒中の死亡率は 40 %とまだ高 い 1388 425) .脳梗塞の既往,高血圧,高齢,低心収縮,心房 Circulation Journal Vol. 72, Suppl. IV, 2008 栓形成のリスクが消失しない場合には生涯にわたる抗凝 固療法が望まれる. 臨床所見を説明できる内頚動脈の狭窄が発見された場 合には,内膜除去術か 434),437),438),distal protection device 急性心筋梗塞(ST 上昇型)の診療に関するガイドライン を用いた頚動脈ステント留置術の適応である 439),440).頚 予防 動脈内膜除去術は,その手術に伴う死亡率,合併症発生 深部静脈血栓症と肺塞栓症は歴史的にも,STEMI の 率 を 納 得 し た 上 で 梗 塞 後 4 ∼ 6 週 後 に 行 う の が よ い. 重要な合併症であった.しかし最近では,STEMI の患 307 例を対象とした 2002 年に発表された報告 441)では, 者のほとんどが,抗凝固療法を受けるため特別な予防を 30 日予後(死亡,心筋梗塞,脳梗塞の合計)は,外科 必要とすることは少ない.心不全合併患者が,入院の長 的内膜除去術より頚動脈ステントの方が良好であった 期化,長期臥床を強いられ,他の方法による抗凝固療法 (5.8 % vs. 12.6 %,p=0.047).外科的内膜除去術の方が を受けていない場合は,少量の低分子へパリンが有効で 頚動脈ステント留置術より脳神経障害が高頻度に発生し ある 444).わが国における STEMI の急性期治療の特徴は, た(0 % vs. 5.3 %,p<0.01)が,TIA や脳出血の頻度は 再灌流療法では多く PCI が選択されていることであり, 両群間に差がなかった. これによって死亡率をはじめ合併症の発生頻度は低下 2 深部静脈血栓症と肺動脈血栓塞栓症 クラスⅠ し,入院日数は現在欧米並みに短縮している.しかし, 合併症による長期間の臥床が見込まれる症例では上記で 述べたように深部静脈血栓症と肺塞栓症の予防的処置が 1.梗塞後の深部静脈血栓症または肺動脈血栓塞栓症に 考慮されるべきであろう.深部静脈血栓症の発症のリス はヘパリンを使用する.ワルファリンも同時に開始 ク評価については,本邦のガイドラインを参照された し,PT-INR2 ∼ 3 を目標とする.(レベル A) い 442). 2.心不全合併例で,長期臥床が必要または深部静脈血 栓症の発症リスクが高い場合,予防的ヘパリン治療 9 梗塞サイズの評価 を行う.(レベル A) 梗塞サイズの評価は,STEMI 患者の治療全般にわた 治療 って,重要な情報をもたらす.とくに梗塞範囲の広がり 深部静脈血栓症や肺動脈血栓塞栓症の合併が疑われた および梗塞部の心筋生存性(viability)の評価が重要で 場合には,本邦のガイドライン 442)に基づいた診療を行 ある. うべきである.深部静脈血栓症と肺塞栓症を合併したほ とんどの患者ではヘパリンを用いた抗凝固療法が行われ るべきである.米国のガイドラインでは低分子へパリン による抗凝固療法を推奨しているが,わが国では,低分 子へパリンの使用は一般的ではない.低分子へパリンは, 総死亡率について通常のヘパリン(未分画ヘパリン)と 同等かそれ以上に効果的であることが報告されてい る 443).未分画ヘパリンは,効果がしばしば不安定であり, 投与量を調節するため頻回の採血検査が必要であるが, 低分子へパリンは,そのような煩わしさはない.ワルフ ァリンはヘパリンの投与開始と同時に投与を開始する. ヘパリンは PT-INR が治療域である 2 ∼ 3 になるまで継 1 心電図 クラスⅠ 1.すべての STEMI 患者は,梗塞サイズ評価のために 12 誘導心電図を少なくとも,来院時,入院 24 時間後, (あるいは推定発症時刻から 24 時間後)および退院 時に記録する.(レベル B) 2.下壁梗塞例で 12 誘導心電図と右側胸部誘導(V4R) を記録する.(レベル B) クラスⅡ a 1.下後壁梗塞例で 12 誘導心電図と左背部誘導(V7 − V9)を記録する.(レベル B) 続する 444),445).ワルファリンの投与期間は個々の患者の リスクや病態を考慮して決定する 446).ヘパリンによる 心電図は梗塞の範囲に関する情報を提供する最も簡便 抗凝固療法が禁忌である患者は,ヘパリンにかわる治療 な検査法である.心電図検査により,梗塞サイズの大ま が必要であり,下大静脈フィルターの留置も必要によっ かな評価,責任冠動脈病変部位の推定,心筋生存性の有 ては考慮されねばならない.ワルファリン治療継続期間, 無の推定が可能である. ヘパリン以外の抗凝固療法,下大静脈フィルターの適応 基準などは静脈血栓塞栓症のガイドラインを参照してい ただきたい 442),445). ①責任冠動脈病変部位の推定 心電図から冠動脈閉塞部位が推定できる.前壁梗塞に おいて,aVR の ST 上昇が V1 のそれより大きいか同じと きは,左冠動脈主幹部の閉塞である可能性がある(感度 Circulation Journal Vol. 72, Suppl. IV, 2008 1389 循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2006−2007 年度合同研究班報告) 81 %,特異度 81 %)447).aVR の ST 上昇,新たな完全右 正しくないことが明らかになった.最近の心臓 MR によ 脚ブロック,2.5mm 以上の V5 の ST 低下,V1 の ST 上昇, る研究では Q 波の存在は貫壁性の有無よりも,その広が あるいは V4 − V6 の septal Q 波の心筋梗塞発症後の消失 りに影響されることが明らかとなった 459).T 波の変化 は,左前下行枝近位部(第一中隔枝より近位部:Seg.6) から心筋生存性を推定することもできる.再灌流療法成 の閉塞であることを強く示唆する.逆に,V4 − V6 の 功例すなわち心筋生存性が存在する場合は早期(発症 septal Q 波の梗塞発症後の温存は,第一中隔枝より末梢 24 時間以内)に深い陰性 T 波が出現する.しかし,前 の閉塞を示唆する.また,aVL の異常 Q 波は,第一対角 壁梗塞における異常 Q 波を認める誘導の慢性期の陰性 T 枝より近位部の左前下行枝の閉塞と関連している.一方, 波陰持続は,壁全体が線維化した貫壁性梗塞と関連して aVL における ST 低下は,第一対角枝より末梢の閉塞を いる.一方,異常 Q 波のある誘導での T 波の陽性化は心 .下壁誘導における 1mm 以上の ST 低下 筋生存性を持つ心筋があり,非貫壁性梗塞であるとされ と aVL の ST 上昇は左前下行枝近位部の閉塞(第一中隔 ている 460).Q 波梗塞における異常 Q 波の退行および R 枝および対角枝の中枢側)であるのに対して,下壁誘導 波の出現は心筋生存性の存在が示唆され,R 波が高いほ で ST 低下を認めない場合は左前下行枝末梢の閉塞が関 ど左心機能の改善が期待できる 461). 448) 示している 連している .下壁梗塞における V5,V6 の 2mm 以上 449) の ST 上昇は大きな下壁梗塞を示唆(感度 94%,特異度 98%)している 450).Ⅲ誘導の ST 上昇が,Ⅱ誘導のそれ より大きいとき,あるいは I 誘導と aVL 誘導における ST 低下が同時に認められときは右冠動脈近位部あるい は中部の閉塞であり,左回旋枝による可能性は低い(感 451),452) .Ⅱ誘導の ST 上昇がⅢ誘導 度 94%,特異度 98%) と同等ないしそれ以上で,V1 − V3 の ST 低下あるいはⅠ, 2 生化学的マーカー クラスⅠ 1.CK あるいは CK-MB の経時的な測定により心筋梗 塞サイズを推定する.(レベル B) クラスⅡ a′ 1.発症 72 時間以内におけるトロポニン値により心筋 梗塞サイズを推定する.(レベル B) aVL の ST 上昇を伴う場合は左回旋枝の閉塞が示唆する が 453),454),右冠動脈末梢(Seg.4AV)の閉塞でも同様の 梗塞サイズの定量化はこれまで CK あるいは CK-MB 所見が認められることがある. によって行われてきたが,最近では心筋特異性が高く梗 塞サイズをより正確に反映するトロポニン I やトロポニ ②追加誘導記録 ン T が心筋傷害のマーカーとして利用されている. 標準 12 誘導で捉えられる領域には限界があり,必要 CK あるいは CK-MB の経時的な測定による心筋梗塞 に応じて追加誘導を記録する.下壁梗塞では,右側胸部 サイズ推定は病理学的な梗塞範囲との良好な相関が実証 誘導(V3R-V6R),下後壁梗塞では左背部誘導(V7-V9) されており 462),463),死亡率を含む予後と直接関連するこ .右側胸部誘導(とくに V4R)の 1mm 以 とが示されている 464).しかし,最近では心筋特異性が 上の ST 上昇は右室梗塞の診断に有用である.左背部誘 高く広い診断時間幅をもつトロポニン I やトロポニン T 導(V4 の高さで左後腋窩線が V7,左肩甲中線が V8,脊 が心筋傷害のマーカーとして利用されており,2000 年 椎左縁が V9)で ST 上昇および異常 Q 波を認めるときは, に発表された ESC/ACC の急性心筋梗塞診断基準改定で を記録する 455) 後壁まで梗塞がおよんでいる所見であり 456),457) ,下壁梗 は CK や CK-MB に代わって,トロポニンが心筋マーカ 塞でこれらの所見をみるときは梗塞範囲が広いことを意 ーの第一選択となった 465),466).心筋壊死量が 1g 未満で .また,後壁に限局した梗塞では,背部誘導 も検出できるほど感度が良好であり 465),発症 72 時間に のみに異常 Q 波や ST 上昇,T 波変化を認めることがあ おけるトロポニン T 値が梗塞量を最も反映するとされて る.心筋梗塞が疑われ標準 12 誘導で心電図変化が乏し いる 467),468).入院時のトロポニン T が 0.1ng/ml 以上であ い場合は必ず背部誘導を記録すべきである.正常では背 ると,PCI 後も責任冠動脈の TIMI 3 未満の血流低下や 部誘導で 1mm 以上の ST 上昇,陰性 T 波,Q 波を認める no reflow の頻度が高く,30 日死亡率も高い 469),470).ト 味する 457) ことは 1%以下である 458) . ③心筋生存性の有無 1390 ロポニン I,トロポニン T の上昇は心臓死や再梗塞の頻 度増加とも関連している 471),472).また,トロポニンの上 昇程度は,発症 30 日間の死亡率,および長期予後を規 従来,Q 波梗塞は貫壁性,非 Q 波梗塞は非貫壁性(心 定する 95),97).急性期に侵襲的治療を受けた場合でも, 内膜下)と考えられていたが,例外が多く,この概念は トロポニンが高いほど,病院内死亡が多く,長期予後も Circulation Journal Vol. 72, Suppl. IV, 2008 急性心筋梗塞(ST 上昇型)の診療に関するガイドライン 不良である 471). 3 段階評価を行い,その合計点を観察可能であった分画数 で除して平均点(スコア)を求め,全体の壁運動異常を 心エコー法 評価することができる 475).こうして心エコーから求め るスコアは,CPK や核医学検査から推定される梗塞サ クラスⅠ 1.責任冠動脈および梗塞サイズの推定を目的として心 エコーを行う.(レベル B) イズと相関する 477)−479).また,壁運動異常領域が広い ほど重篤な合併症の危険性が高く,厳重な管理を要する 高リスク群である 480),481).しかし,STEMI の急性期では, 局所壁運動異常の部位とその広がりから,責任冠動脈 気絶心筋(stunned myocardium)に陥っていて心筋生存 および梗塞サイズの推定が可能である.また,重大合併 性が残存していても無収縮のことがしばしばみられ,急 症の診断および再灌流療法の効果判定も可能である.コ 性期の壁運動異常の広がりは実際の梗塞を過大評価して ントラスト心エコー法(心筋コントラストエコー法)を いる可能性がある 482).こういった現象は再灌流療法に 用いれば,急性心筋梗塞の壁運動異常部位の心筋生存性 成功した例で多く,そういった領域の心筋生存性評価に が判定できる.(表 8) コントラストエコーが有用とされている.梗塞領域でも 急性心筋梗塞において,心電図変化で診断が困難な例 心筋染影が良いほどその後の心収縮能の改善が良好であ (左脚ブロック,WPW 症候群,など)で,局所的な壁 る 483). 運動異常が観察できれば診断に有力な情報となる.壁運 心エコーについては循環器超音波検査の適応と判読ガ 動異常の部位と広がりから責任冠動脈を診断し,梗塞サ イドライン 484)のⅩ章に詳細な記述がある. イズを評価できる 473),474).米国心エコー図学会(ASE) では左室壁を 16 分画(心基部を 6 分画,中部を 6 分画, 心尖部を 4 分画)して,各セグメントの壁運動評価を行 うことを提唱した .しかし,2002 年に米国心臓協会 475) 4 核医学による画像診断 クラスⅠ 1.梗塞サイズと心筋生存性評価および梗塞危険領域の (AHA) は さ ら に 心 尖( 頂 部 ) を 加 え た 17 分 画 を 提 検出を目的として血流シンチを行う.(レベル B) 案 476)しており,このほうが妥当である.壁運動の程度 2.再灌流療法の効果を目的として血流シンチを行う. を 視 覚 的 に 正 常(normokinesis;1 点 ), 低 収 縮 (hypokinesis;2 点 ), 無 収 縮(akinesis;3 点 ), 奇異性 運動(dyskinesis;4 点),瘤形成(aneurysm;5 点)の 5 (レベル B) クラスⅡ a′ 1.梗塞周辺の気絶心筋の診断を目的として 123I-BMIPP シンチを行う.(レベル C) 表 8 急性心筋梗塞における心エコー法の適応 クラス Ⅰ 1. 標準的診断法で確定できないが急性の心筋虚血や心筋梗 塞が疑われる症例の診断 2. 心筋梗塞サイズや心筋虚血に曝されている領域の同定 3. 梗塞急性期における左心機能の評価 4. 下壁梗塞で右室梗塞の合併の可能性がある症例 5. 機械的合併症の診断,壁在血栓の診断 6. 今後の治療方針決定のための院内における左心機能の評 価 7. 血行再建術の適応判定のための心筋虚血,心筋生存性評 価(負荷心エコー法による) クラス Ⅱ a 1. 進行性の心筋虚血における虚血部位とその重症度の診断 2. 心電図の解釈を妨げるような心電図異常のない場合にお ける心筋虚血の院内あるいは退院後早期の診断 3. 治療方針の決定に重要な場合,心機能の再評価 4. 再灌流療法後の心機能の評価 クラス Ⅱ b 1. 長期(心筋梗塞発症 2 年以上)の予後を推定するための 心エコー法 . 2. 標準的方法で診断の確定した急性心筋梗塞の診断 循環器超音波検査の適応と判読ガイドライン 484) より引用 STEMI の予後は,おもに左室機能,梗塞サイズ,お よびリスク心筋の大きさによって決定される.これらは いずれも核医学イメージングにより評価可能であり,初 期治療後の安定した時期の核医学イメージングにより管 理上の重要な情報がえられる 485).本邦では,心筋血流 製剤として 201Tl が主に用いられ 486),487),欧米では 99mTc- MIBI,99mTc-tetrofosmin などの 99mTc 製剤が用いられて いるが 488)−491),梗塞サイズ推定や心筋生存性評価にお ける診断精度はほぼ同等とされている 492)−494).心エコ ー と 同 様 に 左 室 を 17 分 画 476)な い し Berman ら の 20 分 画 495)で集積程度を視覚的に 5 段階評価(0:正常,1: 軽度低下,2:中等度低下,3:高度低下,4:欠損)する. スコアの総和が大きいほど梗塞範囲が広い.局所の集積 程度を健常部の集積程度と比較して算出する% uptake が 低いほど心筋生存性のある可能性が低くなるが,一般的 に安静像において% uptake 50 %以上を心筋生存性存在 の基準としている.メタ解析では,99mTc-MIBI による心 Circulation Journal Vol. 72, Suppl. IV, 2008 1391 循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2006−2007 年度合同研究班報告) 筋生存性判定では,感度 83%,特異度 69%と報告され, 評価できる.心室容積はシンプソン法で三次元的に測定 201 できるため正確である. Tl より特異度が高いとされている 496) .また,検査前 に硝酸薬を事前に投与しておくと診断率が向上する 497) . ガドリニウム遅延造影(Late Gadolinium Enhanced; 99m Tc 製 剤 は 心 電 図 同 期 定 量 解 析(Quantitative Gated LGE)MRI では急性期から慢性期まで心筋梗塞巣は高 SPECT; QGS)に向いており,それにより心機能評価 信号領域として認められ,LGE の領域は病理学的梗塞 が可能である.壁運動の存在あるいは壁厚の増加は心筋 巣と極めて一致している 511),512).心筋梗塞における心筋 生存性を示唆し,QGS の併用が診断能,予後予測能を 細胞壊死は内膜側から始まり,外膜側へと広がるが, 向上させる 498) . LGE-MRI は空間分解能が高いために内膜側から外膜側 脂 肪 酸 代 謝 障 害 イ メ ー ジ ン グ で あ る 123I-BMIPP への壁内進展度を明瞭に描出することができる.したが SPECT は,梗塞心筋の診断精度において心筋血流イメ って,従来の画像診断では描出できなかった心内膜下梗 ージングと同等である 499),500) .再灌流療法が成功すると, 塞や右室梗塞の診断も可能である 513),514).心内膜下梗塞 Tl による血流と 123I-BMIPP により示される代謝の乖離 の診断感度は心筋 SPECT 28%に比べて LGE-MRI 92 が明らかとなり,乖離の領域はその後の心機能の回復が %と著しく高い 515).梗塞サイズの測定は,急性期 / 慢性 201 .ただし,この領域は同時にリスク心筋 期とも,再現性が高く 516)−518),しかも定量性に優れて でもあり,放置するとイベント発生率が高く予後予測因 いる 518).急性期の血行再建療法が成功しても心筋組織 期待できる 501) 子として有用である 502). レベルの血流が再開しない no reflow 現象を呈する微小 壊死心筋を陽性描出する 99mTc-pyrophosphate(ピロリ 循環閉塞(microvascular obstruction; MO)の診断にも ン酸)は梗塞心筋の定量化を可能にし,peak CK との相 有用である.MO をきたした STEMI では,梗塞辺縁に 関もよく 503) ,遠隔期の予後予測に有用 504) ではあるが, は MR 造影剤(ガドリニウム)が達しても,梗塞中心部 他の画像診断が進歩した今日,その有用性は限られてい には造影剤が到達しないために梗塞辺縁部のみが LGE る. される特徴的な像を呈する.MO を認める症例では,心 心臓核医学については,心臓核医学検査ガイドライ 室リモデリングが高度で,心血管イベントの発生率も高 ン 505)に詳細な記述がある. い 519).LGE-MRI は STEMI における心筋生存性の評価 5 核磁気共鳴イメージング(MRI) にも優れており,心内膜側から心外膜側へと広がる壁内 進展度から,慢性期の壁運動の改善を予想できる.Choi らによれば,LGE の壁内進展度が壁厚の 0%のときは 77 クラスⅡ a′ 1.心機能および壁運動評価を目的としてシネ MRI を %で壁運動が改善するのに対し,76 %以上では改善度 はきわめて低く 4.7 %のみである 520).201Tl-SPECT との 行う.(レベル C) 2.心筋梗塞巣描出を目的としてガドリニウム遅延造影 比較でも LGE-MRI のほうが STEMI における心筋生存 性診断能に優れており,Kitagawa らは STEMI 23 例に MRI を行う.(レベル C) LGE-MRI と 201Tl-SPECT を行い,慢性期の回復を指標 シネ MRI による心機能評価およびガドリニウム遅延 とする心筋生存性評価において感度,特異度,正診率が, 造影による心筋梗塞病変が高い空間解像度で描出できる LGE-MRI で 98 %,75 %,92 %,201Tl-SPECT が 90 %, ため,MRI は STEMI の梗塞巣の評価にきわめて優れて 55%,81%であると報告している 521). いる.しかし,これを用いた臨床研究が少なくエビデン スとして確立されていない. 10 冠動脈バイパス術(CABG) シネ MRI は造影剤を必要とせず,肺気腫や肥満など 心エコーで評価しにくい場合でも死角なく評価ができる 長所がある.右室 / 左室の両心室の局所壁運動,壁厚, 収縮期壁肥厚率,心室容積,左室機能の評価が定量的に 手術の時期と症例選択 クラスⅡ a .壁運動は心エコー 1.梗塞発症後安定した患者で左室機能が有意に低下し やシンチと同様に左室の 17 セグメントモデル 476)をもち ている場合,手術を延期して心筋の回復を待つ.(レ 再現性をもって評価できる 506)−510) いて視覚的に評価するのが一般的であるが,拡張末期か ら収縮末期にかけた壁厚の変化(% thickening)や内腔 の変化(% radial shortening)で局所収縮能を定量的に 1392 1 Circulation Journal Vol. 72, Suppl. IV, 2008 ベル B) 2.冠動脈病変が重症な場合,手術は同一入院中に行う. (レベル B) 急性心筋梗塞(ST 上昇型)の診療に関するガイドライン STEMI 後における CABG の至適時期については明確 ている 531)−533).しかし,胃大網動脈や橈骨動脈は,標 なデータはない 522)−526).STEMI 後の緊急 CABG の適応 的冠動脈の狭窄度が比較的軽度の場合には開存率が低下 は,V-3 の項に記載したとおりである.一般に STEMI することが指摘されており 534),535),さらに遠隔成績につ 後 早 期 の CABG の 成 績 は 不 良 で あ り,Creswell ら の いては明確ではない.一方大伏在静脈グラフトもいまだ 2296 例の心筋梗塞後患者に対する CABG のデータでは, に多く用いられている. 手術死亡率は心筋梗塞後 6 時間以内で 9.1%,6 時間から 48 時間で 8.3 %,2 日から 14 日で 5.2 %,2 から 6 週間で 6.5%,6 週間以上で 2.9%である 527).しかし,高齢,腎 3 再発性虚血に対する CABG の適応 クラスⅠ 機能障害,心筋梗塞発症回数,高血圧などの危険因子を 血行再建が必要で PCI に適さない冠動脈病変に対し あわせて検討すると,心筋梗塞から CABG までの時間 ては,早急に CABG を行う.(レベル B) は有意な予測死亡因子とはならない.左室機能が保持さ れている安定した STEMI 患者が外科的血行再建を必要 STEMI 後の患者で繰り返す心筋虚血があり,血行再 とした場合,梗塞後数日以内に CABG を行ってもリス 建が必要であるが冠動脈の形態が PCI に適さない場合に クは上昇しないと考える.さらに,心室中隔穿孔や乳頭 は,CABG を考慮すべきである.手術死亡率は左室駆出 筋断裂のような機械的合併症を伴った患者や,他の内科 分画率に深く関係しており,左室駆出分画率が正常の場 的治療に反応しない進行中の虚血があり,バイパスに適 合は待機的 CABG とほぼ同等である 536)−538).左室機能 した血管がある場合などは手術を遅らせてはならない. の低下した患者に対しても,CABG を行うことで生存率 一方,STEMI 後有意に左室機能が低下しているものの は改善する. 血行動態的には安定している(進行する虚血,血行動態 障害,致死的不整脈のない)患者の場合,外科的血行再 建までに十分時間をとって内科治療を行い,心筋を回復 させるのが良い.冠動脈病変が左冠動脈主幹部の 75 % 以上狭窄のように重症な場合,手術は同一入院中に行う 残存冠動脈病変に対する 待期的 CABG の適応 クラスⅠ 1.左冠動脈主幹部に有意狭窄のある狭心症患者.(レ ベル A) べきである. 2 4 2.左前下行枝と左回旋枝の近位部に有意な(70%以上) 動脈グラフト 狭窄がある左冠動脈主幹部病変と同等の病変をもつ クラスⅠ 狭心症患者.(レベル A) 有意狭窄のある左前下行枝にはできる限り内胸動脈 3.3 枝病変をもつ狭心症患者(レベル A) を用いる.(レベル B) 4.左前下行枝近位部に有意な狭窄はないが,生存心筋 の領域が広く,非侵襲的検査上の高リスク基準を満 左内胸動脈を左前下行枝に吻合し他を大伏在静脈でバ イパスした群と,大伏在静脈のみでバイパスした群とを たす 1 枝ないし 2 枝病変の狭心症患者.(レベル B) 5.左前下行枝近位部の有意狭窄を伴う 2 枝病変があり, 比べると,内胸動脈を使用した群のほうが狭心症の再発 左室駆出分画率が 50 %未満もしくは非侵襲的検査 や心筋梗塞が有意に少ない.さらに,再手術や PCI の頻 で明らかな虚血の認められる狭心症患者.(レベル 度も低く,10 年生存率が良い A) 528) ことから,左前下行枝 へのグラフトには常に内胸動脈を用いることが一般的に 受 け 入 れ ら れ て い る.Hirose ら 529)や Hirotani ら 530)は, STEMI 後の血行再建術には PCI と CABG があり,個々 心筋梗塞発症後早期の患者においても動脈グラフトを用 の患者の状態に応じて選択する必要がある.外科的血行 いての良好な手術成績を示しており,内胸動脈の使用は 再建の役割については,CABG に関する ACC/AHA ガイ STEMI 患者においても手術死亡率を増加させず,遠隔 ドラインに広範な記述がある 539).狭心症状がなくても, 成績の向上に役立つと考えられる. 非侵襲的検査で明らかな虚血が認められる場合(無症候 内胸動脈以外の動脈グラフトである,胃大網動脈およ 性心筋虚血)には,CABG を考慮する.3 枝病変例では, び橈骨動脈を用いた多枝動脈グラフトによるバイパス術 左室駆出分画率が 50 %未満であれば CABG のメリット も近年増加してきており,大伏在静脈グラフトに比べて は大きい.外科手術の至適時期についてはいまだ確立は 遠隔期グラフト開存率の改善と生存率の向上が期待され されていない.梗塞後最初の 48 時間以内が最もリスク Circulation Journal Vol. 72, Suppl. IV, 2008 1393 循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2006−2007 年度合同研究班報告) が高く,次の 2 週間で低下していく.低左心機能,高齢, 女性,腎機能障害,末梢血管疾患,糖尿病,慢性閉塞性 肺疾患,CABG 既往のある患者では,手術リスクが高く なる 527),538),540). Ⅶ 回復期および退院後の患者管理 近 年, 人 工 心 肺 を 使 用 し な い CABG(off pump coronary artery bypass:OPCAB)の優位性が示されつ つあるが 541)−543),STEMI 後の患者に対しても有用であ 1 退院時のリスクの層別化 るかについては,十分なエビデンスはない. CABG と抗血小板薬 5 クラスⅠ 1.梗塞後の CABG 施行前にアスピリンを中止しない. (レベル C) 2.禁忌がない限り,CABG 後できるだけ早期(24 時 間以内)にアスピリンを開始する.(レベル B) CABG 後 48 時間以内にアスピリン(81 ∼ 325mg/ 日) を開始することには有意な効果があり,30 日死亡率の 低下,心筋梗塞,脳梗塞,腎不全,腸管虚血の発生率の STEMI の退院時から慢性期治療への移行の過程で, 虚血の残存の有無や慢性心不全に関する心機能を評価 し,心臓突然死の危険性とその予知が重要である.但し, 一概に STEMI 後といっても,急性期の冠動脈造影検査 やカテーテル治療の有無,発症からの経過時間やβ遮断 薬などの治療の選択や入院期間などが個々の症例で異な り,それらを踏まえた判断が求められる 549)−552). 1 クラスⅠ 1.退院前に冠動脈造影の予定がなく,リスクが高くな 低下が認められている 544).これらは,アスピリンの抗 炎症作用と抗血栓作用の両方の効果であると思われ る い場合の心筋虚血の有無と程度の評価.(レベル A) 2.運動負荷心電図評価が困難な場合における負荷心エ 545) コー法や負荷心筋シンチグラム(レベル B) .出血の合併症もアスピリン投与群で低かった. 血行再建術を受ける STEMI 患者では,ヘパリンのほ 運動負荷試験の役割 クラスⅡ a かに 1 剤以上の抗血小板薬が投与されていることが多 1.退院後の運動処方の参考にする い.これらの薬剤はすべて心臓手術中ないし術後に重篤 2.冠動脈造影で指摘されている狭窄が虚血を生じるか を評価する(レベル C) な出血の生じるリスクを高くする可能性があるが,多く の場合,血小板機能が回復するまで手術を延期すること クラスⅢ は適切ではないと思われる.投与されている抗血小板薬 1.再灌流治療を受けていない患者の発症早期 の種類と手術の緊急度によって対処の方法は異なってく 2.梗塞後不安定狭心症,治療不十分な心不全,致死性 不整脈を有するもの る.アスピリン単独投与例では,緊急手術はもちろん, 待期手術の場合でも術前にアスピリンを中止しないこと が推奨される 546).血小板輸血や人工心肺中のヘパリン STEMI の回復期に運動負荷試験を行う目的は,1)退 量の減少,抗線溶薬の使用などの方法もある.クロピド 院後の生活,運動能力の参考にする,2)心臓リハビリ グレルに関しては,アスピリンと併用すると手術中の出 の際の運動能力の指標とする,3)現在の内科治療の妥 血のリスクが高くなるため,待期的 CABG を予定して 当性を評価する,4)今後の心血管イベントの発生の予 いる患者においては,術前少なくとも 5 日間,できれば 測することである 553)−555).慢性期に症候限界的に最大 7 日間はクロピドグレルの投与を中止すべきである 547), 運動量まで負荷をかける方法と,比較的早期に運動量を 548) 限定して行う方法がある.メタ解析では,運動負荷試験 . の除外規定を有する場合は最も予後が不良であり 556), 負荷による血圧低下や運動能不良は予後が悪い 557).虚 血性の ST 変化を示す場合の予後も不良である 549),558), 559) .完全左脚ブロック,早期脱分極症候群,心肥大, ジゴキシン内服中,安静時心電図で 1mm 以上の ST 偏位, 心室ペーシングの患者では心電図の評価が困難でありそ の他の検査を選択する. 1394 Circulation Journal Vol. 72, Suppl. IV, 2008 急性心筋梗塞(ST 上昇型)の診療に関するガイドライン 心エコー法の役割 2 心筋画像診断 3 クラスⅠ クラスⅠ 1.梗塞後の左室機能の評価,僧帽弁逆流の有無などを 1.冠動脈造影検査を行わない患者で運動負荷が困難な 評価(レベル B) 例の負荷心筋シンチグラムによる心筋虚血判定(レ 2.梗塞に伴う僧帽弁閉鎖不全症,心原性ショック,梗 塞部位の拡大,心室中隔穿孔,心室内血栓,心膜液 ベル B) 2.慢性期に心筋生存性の判定のために運動負荷心筋シ ンチグラム(レベル B) 貯留などの合併症の評価(レベル C) 3.運動負荷による虚血の誘発を目的とし,心電図評価 3.梗塞範囲の評価と長期予後の予測の目的での心筋シ が困難な場合の負荷心エコー法(レベル B) ンチグラム(レベル B) クラスⅡ a クラスⅡ a′ 1.回復期における心エコーを用いた治療効果の判定 1.梗塞周辺の気絶心筋検出を目的とした 123 I-BMIPP (レベル C). 検査(レベル C) 2.再灌流療治療後に左室造影を行っていない場合の心 2.MRI による心筋梗塞の範囲,深達度や微小循環障 エコー(レベル C) 害の評価(レベル C) クラスⅡ a′ 1.薬剤負荷心エコー法による左室心筋生存性の評価 99m Tc 製剤は,臨床的には 201Tl とほぼ同様の有用性が 示されており,201Tl 製剤で示されたエビデンスは 99m Tc (レベル A)(保険適応外) 製剤に応用できると考えられている 584).安静時の 201Tl クラスⅡ b 1.左室拡張障害など心エコー指標を用いた予後の予測 (レベル B) SPECT 欠損像は心筋梗塞範囲に相関する 487),585).いず れの核種によっても,負荷シンチグラムが陰性の予後は 良好である 586)−591).なお,ジピリダモール負荷や ATP ベッドサイドで非侵襲的に繰り返して施行可能な心エ による虚血の誘発は保険適応がないが,アデノシンの代 コー法は,左室機能のみならず局所心機能の評価に優れ 用として長年に渡って使用されてきた実績がある 588), ている 560) .心エコー法から得られる心機能の指標とし て, 左 室 駆 出 分 画 率 561),562) , 半 定 量 的 な wall motion 562),563) 564)−566) 592) . 梗塞後の心筋生存性(viability)の評価には様々な手 ,肺高 法がある.心筋の血流および心筋細胞の生存を評価する 血圧の合併 567)などがあり,STEMI の予後の評価を可能 方 法 と し て は,201Tl が あ り, 一 般 に 50 % 以 上 の % up にする 568). take 計測を残存心筋とすることが多い.一方,梗塞周辺 従来より,左室拡張末期圧は STEMI 後の予後予測因 部には,急性の心筋虚血が解除されたのちも壁運動が低 子であったが,心エコー法により非侵襲的に僧帽弁の流 下した気絶心筋(stunned myocardium)が存在する.こ 入血流パターンや組織ドプラ法から左室末期圧の上昇お のような部位では心筋は残存していても虚血性の脂肪酸 よび左室拡張障害を予測することが可能であり有用であ 代謝を呈することが多く,123 I-BMIPP(脂肪酸代謝)イ る 569)−574).同様に左室拡張障害を反映する左房の拡大 メージが有用であり,いわゆる血流との乖離現象を呈す score index ,僧帽弁閉鎖不全の合併 も予後予測因子となる 575),576) . るが,数週間から数ヶ月の経過で壁運動とともに回復す 本邦では保険適応がないが,STEMI 後の予後予測に る 499),593),594).STEMI 後の患者を対照にした研究では血 ドブタミン負荷心エコー法は有用である 577)−579).海外 流代謝の集積乖離や BMIPP 欠損の大きさは,心事故の で広く使用されており,安全性や検査としての信頼度は 予後規定因子と考えられる 595).心収縮予備力から残存 高いが,訓練された術者が行う必要がある.ドブタミン 心筋を評価する方法として,ドブタミン負荷心エコー図 負荷心エコー法が陰性の場合予後がよく 580) ,ドブタミ ン負荷後も壁運動が悪い場合に予後が不良である 581) . 近年では比較的早期に薬剤負荷心エコーを行うことの有 用性も報告されている 582),583) . 検査は臨床的な意義が高く,核医学検査と比較して残存 心筋の検出における特異度は高いとされている 577). 造影心臓 MRI 検査によって,心筋梗塞の範囲,その 貫壁性深達度や微小循環障害が評価でき.それらの程度 が強いほど壁運動の改善が悪く心筋リモデリングを生じ やすくなり 520),521),596),長期予後が不良となる 597)−599). Circulation Journal Vol. 72, Suppl. IV, 2008 1395 循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2006−2007 年度合同研究班報告) 左室機能および B 型ナトリウム 利尿ペプチド(BNP)の役割 4 そのために入院中に生じた心筋虚血発作,非侵襲的な手 法でリスクが中等度以上と判断された場合,機械的合併 症を有する場合,不安定な血行動態の遷延などが冠動脈 造影の適応となる 612).特に血栓溶解療法後の再梗塞は クラスⅠ 1.退院前の左室駆出分画率の測定.(レベル A) クラスⅡ a 予測不可能であり,一度生じると死亡率が高い.その場 合はリスク層別のために冠動脈造影を行い,CABG や 2.退院前の BNP の測定.(レベル B) PCI 治療を検討する必要がある 191),613). STEMI の原因として冠動脈の動脈硬化病変部の血栓 再灌流治療の有無に関わらず,左室機能は STEMI の 予後予測に最も重要な因子である 550),600) .その計測には 様々な手法が用いられるが,検査法によってその意義が 若干異なる 601),602).さらに発症からの経過時間でその予 測感度が異なるために急性期のものは予後判定に使用し ない 603),604) .心筋梗塞後の左室機能低下は,心臓突然死 の最も重要な予測因子であり植込み型除細動器の効果が 性閉塞という通常の病態以外,例えば塞栓症,特殊な代 謝,血液学的病態,冠攣縮などが考えられる場合には慢 性期に冠動脈造影を行う意義が大きい. クラスⅡ a′ 1.不整脈の合併を評価するためのホルター心電図検査 (レベル B). 期待される.植込みが有効な左室機能低下の基準は左室 駆出分画率で 30%から 40%の間にあると考えられるが, 確立されているとはいえない 319),605)−607). 不整脈と心臓突然死の評価 6 クラスⅡ b 1.予後推定のための加算平均心電図検査や T 波交代性 B 型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)は,梗塞範囲の の評価(レベル B). 進展と左室拡張能を反映し 608),単独もしくは左室駆出 分画率とあわせて評価することで,STEMI 後の予後推 定に役立つ 5 609)−611) . 冠動脈造影未施行例における 冠動脈造影の適応 クラスⅠ 1.入院中に日常生活レベルの労作で心筋虚血を生じた 場合(レベル A) STEMI 発 症 直 後 か ら 予 防 的 に 植 込 み 型 除 細 動 器 (ICD)を用いることには未だに議論の余地があり 322), 614) ,複数の手法による心臓突然死の予測が重要であ る 615) .心機能低下は心臓突然死の予測に最も有用な指 標であり ICD が有用である 605)−607). ホルター心電図により,心室性不整脈のドキュメント のみならず 616),心拍変動などによる交感神経緊張度を 評価でき,心臓突然死の予測に有用である 617)−619).加 2.非侵襲的な手法で虚血が疑われた場合(レベル B) 算平均心電図における周波数解析法での QRS 時間が長 3.不安定な血行動態が持続する場合(レベル B). いと重症不整脈の予測因子となる 620),621).また,低心機 4.急性期に原因が不明な心不全を合併した場合(レベ 能の患者でも T 波交代性(alternans)が陰性の場合比較 ル C) 的予後が良いとされる 622).非侵襲的な方法で致死性不 クラスⅡ a 整脈のリスクが高いと判断された場合の電気生理学的検 1.動脈硬化プラークの破綻やびらんとは異なる機序が 予想される場合(レベル C) 2.糖尿病,心不全,血行再建術の既往,左室機能低下 や致死性不整脈を合併する場合(レベル C) 査も ICD を選択する際のリスクの層別化に有用との報 告もある 623)−625). 2 心臓リハビリテーション 3.急性期に経静脈的血栓溶解療法のみをうけた患者に 対し,リスク層別化のために行う場合 クラスⅢ 1.血行再建術の適応がないと考えられる場合. クラスⅠ 1.心臓リハビリテーション / 二次予防プログラム,特 に複数の冠危険因子を有するか中等度∼高度リスク の患者における監視型運動療法の実施.(レベル C) STEMI の亜急性期の冠動脈検査の主な意義は,責任 冠動脈の開存性を含めた冠動脈病変および左室駆出分画 率を評価し,血行再建術の適応を判断することにある. 1396 Circulation Journal Vol. 72, Suppl. IV, 2008 急性心筋梗塞(ST 上昇型)の診療に関するガイドライン 1 心臓リハビリテーションに関する 基本的事項 ①これまでのエビデンス 予後に関するものは無いが,運動耐容能,冠危険因子, QOL が改善すると報告されている 632)−636). 実施状況に関して,1996 ∼ 1998 年に実施された多施 設調査では,STEMI 患者の回復期心臓リハビリテーシ ョン参加率は全国推計で 5 ∼ 12%にすぎないと報告され 心臓リハビリテーションとは,「心疾患患者の最適な た 637).2004 年に実施された全国 1059 施設を対象とした 身体的,心理的,社会的状態を回復および維持し,基礎 実態調査 638)の結果では,日本循環器学会認定循環器専 にある動脈硬化の進行を抑制し,さらに罹病率と死亡率 門医研修施設 526 施設および研修関連施設 194 施設にお を低下させることをめざす多面的介入」である 626)−628). いても,緊急 PCI 実施率はそれぞれ 92 %,56 %であっ 心臓リハビリテーションプログラムは,①運動トレーニ たのに対し,退院後の外来通院型心臓リハビリテーショ ングと運動処方,②冠危険因子の軽減と二次予防,③心 ン実施率はわずか 9%,2%にすぎず,PCI の普及に比べ 理社会的因子および復職就労に関するカウンセリング, て心臓リハビリテーションの普及がきわめて遅れてい の 3 つの構成要素を含み,実施時期から「急性期(第Ⅰ る.またガイドライン 626),628),633),639)で推奨されている患 期 phase Ⅰ)」, 「回復期(第Ⅱ期 phase Ⅱ)」, 「維持期(第 者教育プログラム,個別的運動処方,呼気ガス分析によ Ⅲ期 phase Ⅲ)」の 3 つの時期に分類される.わが国では る運動耐容能評価などの実施率も低率であり,心臓リハ STEMI に対する心臓リハビリテーションは,平成 18 年 ビリテーション実施施設の増加とともにプログラムの内 4 月から「心大血管疾患リハビリテーション」と改訂さ 容についても質の向上を図る必要がある 640),641). れ,開始日から 150 日間の算定が認められている. 心臓リハビリテーションが虚血性心疾患患者の運動耐 ③運動療法の禁忌 容能を改善するほか,冠危険因子を改善し,QOL を向 心疾患患者に対する運動療法の禁忌を(表 9)に示 上させ,心血管死亡や総死亡率を低下させるなどの有益 す 633),639).2001 年の AHA 基準 639)では,発症 2 日以内の な効果をもたらすことはすでにエビデンスとして確立さ STEMI は運動負荷試験の絶対的禁忌とされ,強い運動 れている 627)−630).Taylor ら 630)は,虚血性心疾患患者合 負荷試験や積極的な運動療法は勧められないが,室内排 計 8940 名を対象とした 48 編の無作為割り付け試験(介 便負荷や室内歩行程度の活動は 12 ∼ 24 時間後には許可 入期間の中央値 3 ヶ月間,追跡期間の中央値 15 ヶ月間, される.再灌流非施行または不成功例は心破裂のリスク 32 編が心筋梗塞患者のみを対象とする)をメタ分析し, があるため,一般的に発症 2 ∼ 3 日以内に血圧上昇を伴 心臓リハビリテーションは通常治療に比較して総死亡を う運動負荷試験を施行すべきではない.さらに再灌流療 20 %(p=0.005),心死亡を 26 %(p=0002)有意に減少 法非施行または不成功で,発症後 2 ∼ 3 日以降も ST 上昇 させ,有意ではないものの非致死性心筋梗塞を 21 % が持続する例,いったん出現した陰性 T 波が消失し ST (p=0.15)減少させると報告している.さらにサブグル 再上昇を示す例,心膜液が進行性に増加する例は心破裂 ープ解析により,再灌流療法が一般的になった 1995 年 のリスクが高いと考えられ,心破裂リスクが持続する発 以前と以降の報告で総死亡減少効果は同等と報告してい 症 9 日目までは血圧上昇を伴う積極的な運動療法を控え る. ることが望ましい. これらを踏まえて,米国心臓病学会および心臓協会の ACC/AHA 2004 ガイドライン 36)および 2007 年改訂版 631) において,STEMI 後に心臓リハビリを実施することが 2 急性期リハビリテーション クラスⅠ クラスⅠとして推奨されている.これらの事実は,心臓 1.STEMI 患者で,繰り返す虚血性胸部症状や心不全 リハビリテーションが単に社会復帰までの理学療法・身 症状,または重篤な不整脈がない場合,入院早期(入 体トレーニングにとどまらず,薬物治療と並んで虚血性 院 12 時間∼)にベッド上安静の解除を考慮する(レ 心疾患患者の長期予後改善をめざす治療法の一つである ベル C). ことを示している. ②わが国における状況 わが国における STEMI 患者に対する心臓リハビリテ ーションの有効性に関するエビデンスとして,長期生命 クラスⅡ a 1.血行動態が不安定または虚血が持続する患者でも, 12 ∼ 24 時間後にはベッドサイドでの室内便器の使 用を許可してよい(レベル C). クラスⅢ Circulation Journal Vol. 72, Suppl. IV, 2008 1397 循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2006−2007 年度合同研究班報告) 表 9 心疾患患者に対する運動療法の禁忌 Ⅰ.絶対的禁忌 1)不安定狭心症または閾値の低い(2METs[平地ゆっくり歩行]以下で誘発される)心筋虚血 2)コントロールされていない不整脈(心室細動,持続性心室頻拍など) 3)非代償性(体液量がコントロールされていない)心不全 4)重症かつ症候性の弁狭窄症,弁逆流症,先天性心疾患,左室流出路狭窄 5)活動性の心筋炎,心膜炎 6)急性全身性疾患または発熱 7)運動療法が禁忌となるその他の疾患(中等症以上の大動脈瘤,重症高血圧,血栓性静脈炎,2 週間以内の塞 栓症,重篤な他臓器障害など) Ⅱ.相対的禁忌 1)STEMI 発症 9 日以内で,心破裂のリスクが高い例(ST 上昇が持続または再上昇を示す例,心膜液が進行性 に増加する例)* 2)運動により収縮期血圧が低下する例 3)中等症の弁狭窄症または左室流出路狭窄 4)運動誘発性の中等症不整脈(非持続性心室頻拍,頻脈性心房細動など) 5)高度房室ブロック 6)運動による自覚症状の悪化(疲労,めまい,発汗多量,呼吸困難など) * 心破裂リスクの高い STEMI では,発症 9 日目までは血圧上昇を伴う積極的な運動療法は控えることが望ましい . 1.再灌流療法が成功していない STEMI では,発症 2 クリニカルパスを採用することにより,STEMI の診療 ∼ 3 日以内に運動負荷試験を実施すべきではない 内容の標準化,入院期間の効率的短縮,二次予防教育・ (レベル C). 回復期心臓リハビリテーションへのスムーズな移行が可 ①急性期リハビリテーションの目的 急性期とは,心筋梗塞発症からおよそ 1 ∼ 2 週間以内 ③急性期の患者教育 の期間である.急性期リハビリテーションの目標は,食 在院日数が短縮し,入院中に十分な患者教育の時間を 事・排泄・入浴などの自分の身の回りのことを安全に行 確保できないので,急性期においては,二次予防教育の うことができるようになることと,早期から二次予防に すべてをめざすのではなく最小限の重要事項を教育し, 向けた教育を開始することである.急性期の安静臥床の 残りは回復期心臓リハビリテーションプログラムで教育 目的は,身体労作や交感神経刺激による心拍数や心筋酸 を受けるよう推進することが望ましい.急性期に実施す 素消費の増加を抑制することであるが,過剰な安静臥床 べき最小限の事項として,①胸痛が生じた際の対処方法 は身体デコンディショニングを生じるので有害であ と連絡先,②ニトログリセリン舌下錠またはスプレーの 642) .したがって安静臥床期間は必要最小限にとどめ 使用方法,③家族を含む心肺蘇生法講習,④患者の有す るべきであり,繰り返す心筋虚血,遷延する心不全,重 る冠危険因子についての説明,⑤二次予防のための心臓 症不整脈などを合併する例を除いては,ベッド上安静時 リハビリテーション参加と生活習慣改善への動機付け, 間は 12 ∼ 24 時間以内とする る 36) .ただし急性期には,身 ⑥禁煙(すべての患者は入院中禁煙しているのでこれを 体労作に伴うバルサルバ手技(いきみ)を避けることが 継続させる),が挙げられる 36).すなわち,緊急時の対 必要である 36). 処方法と二次予防行動への動機付けが急性期心臓リハビ ②クリニカルパス 近年では,STEMI の診療に急性期リハビリテーショ ンを包含するクリニカルパス(クリティカルパス)が用 いられ,診療の質の向上に有効とされる 643).例として, 表 10 に国立循環器病センターにおける 14 日間クリニカ ルパスを示す.安静度拡大の各段階で負荷試験を行い, リにおける患者教育の 2 本柱である. 3 回復期リハビリテーション クラスⅠ 1.回復期の STEMI 患者には,心臓リハビリテーショ ン / 二次予防プログラムが推奨される.(レベル B). 2.運動負荷試験によるリスク評価と運動処方に基づ 自覚症状,心拍数,血圧,心電図変化を観察し,次の段 き,30 ∼ 60 分の運動を少なくとも週 3 ∼ 4 回(でき 階へ進む.病棟での負荷試験での判定基準を表 11 に示 れば毎日)行い,日常生活での身体活動を増加させ す 644).6 日目以降は,運動療法の禁忌 633),639)がない限り るよう指導する(レベル B). 回復期心臓リハビリテーションプログラムに移行する. 1398 能となる. Circulation Journal Vol. 72, Suppl. IV, 2008 急性心筋梗塞(ST 上昇型)の診療に関するガイドライン 表 10 STEMI14 日間クリニカルパス(国立循環器病センター) ・200m 歩 行 負 荷試験 : ・合格後 200m 歩行練習 1 日 3 回 ・栄養指導依頼 ・心臓リハ ビリ依頼 ・心臓リハ ビリ開始 日の確認 食事 ・ 負 荷 後 ・200m 病棟内自由 トイレま で歩行可 10 ・心筋虚血が起 きない ・退院後の日常 生活の注意点 について理解 ができる 11 12 13 14 ・亜最大負荷 で虚血がない ・退院後の日 常生活の注意 点について言 える 日目 退院 ・末梢ラ イン抜去 ・トイレ 排泄許可 9 日目 ・ S T E M I ・心筋虚血が起 ・心筋虚血が起きない に伴う合 きない ・服薬自己管理ができる 併症を防 ・退院後の日常生活の注意点 ぐ について知ることができる 8 日目 7 6 日目 日目 安静度 ・ 圧 迫 帯 除 去 ・室内自由 後,床上自由 5 日目 日目 負荷検査・リハビリ ・圧迫帯除去,・ 尿 カ テ ー テ 創部消毒 ル抜去 ・室内排便許 可 : 4 日目 日目 ・STEMI および カテーテル検 査に伴う合併 症を防ぐ 3 日目 日目 ・STEMI および カテーテル検 査に伴う合併 症を防ぐ 達成目標 2 日目 日目 病日 PCI 後 1 日目 ・心臓リハビリ室 ・心臓リハビリ室で運動療法 で エ ン ト リ ー テ (心臓リハビリ非エントリー例で スト は,マスターシングル試験または ・心リハ非エント 入浴負荷試験) リー例では 500m 歩行負荷試験 ・亜最大負荷試験合格後は入浴可および院内自由 ・循環器疾患普通食(1600Kcal, 塩分 6g) ・循環器疾患普通食(1600Kcal,塩分 6g) ・飲水量指示 ・飲水制限無し 排泄 ・尿留置カテ ーテル ・排便 : ポータ ブル便器 ・ 尿 留 置 カ テ ・排尿・排便 : トイレ使用 ーテル ・排便 : ポータ ブル便器 清潔 ・ 洗 面 ベ ッ ド ・洗面 : 洗面台使用 ・全身清拭,背・足介助 上 ・ 全 身 清 拭, 背・足介助 ・洗面 : 洗面台使用 ・清拭 : 背部のみ介助 ・洗面 : 洗面台使 ・洗面 : 洗面台使用 ・患者の希望に合わせて入浴 用 ・患者の希望に合 わせて清拭 組み込み基準:再灌流療法が成功し,Killip Ⅰ型で合併症がなく,CK 最高値≧ 1500U/L の症例に適用する.CK 最高値 <1500U/L の 症例に対しては,10 日間クリニカルパスを適用する. 表 11 STEMI に対する急性期リハビリテーション : 次の段階へ進むための判定基準(文献 644) 防教育,④復職・心理カウンセリングなどを包括的かつ 1.自覚症状 : 胸痛,呼吸困難,動悸などの自覚症状が出 現しないこと. 2.心拍数 : 心拍数が 120/ 分以上にならないこと,または 40 回 / 分以上増加しないこと 3.不整脈 : 危険な不整脈が出現しないこと. 4.ST 変化 : 心電図上 1mm 以上の虚血性 ST 低下,または著 明な ST 上昇がないこと . 5.収縮期血圧 : 室内便器使用時までは 20mmHg 以上,歩 行負荷以降は 30mmHg 以上の収縮期血圧上昇がないこ と.(ただし 2 週間以上経過した場合は血圧に関する基 準は設けない. ) 負荷試験に不合格の場合は,薬物追加などの対策を実施 したのち,翌日に再度同じ負荷試験をおこなう. STEMI の合併症が減少したこと,早期離床により患者 体 系 的 に 実 施 す る. 近 年 再 灌 流 療 法 の 普 及 に よ り の身体デコンディショニングが軽症化したこと,クリテ ィカルパスの導入や社会経済的要請が増大したこと,な どの要因が重なって入院期間が大幅に短縮した結果,入 院型の回復期心臓リハビリテーションを実施することが 困難となっている 638).したがって入院中に回復期リハ ビリテーションプログラムにエントリーし,退院後も引 き続き外来通院型回復期リハビリテーションプログラム として継続することが望ましい(図 12).回復期心臓リ ハビリテーションの具体的実施方法については,運動療 法に関するガイドラインに記載されている 633),639). ①回復期心臓リハビリテーションの目的 ② STEMI 患者に対する運動負荷試験 回復期とは,STEMI 発症約 1 週間後から 1 ∼ 3 ヶ月後 クラスⅡ a までの期間をさす.回復期心臓リハビリテーションの目 的は,身体活動範囲を拡大し,良好な身体的・精神的状 1.発症 4 日目以降に,予後予測・運動処方・治療評価 のために亜最大負荷試験を実施する 態をもって職場や社会に復帰することであり,そのため 2.発症 14 日∼ 21 日に,予後予測・運動処方・治療評価・ に①運動負荷試験による予後リスク評価,②運動処方に 心臓リハビリテーションのために症候限界性負荷試 基づく積極的な運動療法,③生活習慣改善を含む二次予 験を実施する Circulation Journal Vol. 72, Suppl. IV, 2008 1399 循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2006−2007 年度合同研究班報告) 図 12 STEMI 急性期および回復期心臓リハビリテーションプログラムの例 6 7 3 ∼ ヶ月後 6 ∼ 日目 5 5 14 日目 ∼ 日目 5 外来通院リハビリ(週 1∼3 回) (エアロビクス体操、自転車こぎ) 在宅運動療法(週 3∼4 回) (運動処方に基づく運動) 維持期在宅リハビリ 入院中リハビリ(毎日) 心臓リハビリ室で 監視下運動療法 (歩行、自転車こぎ) 回復期心臓リハビリ終了 患者教育プログラム (病気・服薬・食事・運動などに関して多職種が実施) 退 院 回復期心臓リハビリ開始 終了時医師面接 運動耐容能評価 冠危険因子評価 退院時医師面接 運動耐容能評価 冠危険因子評価 歩行︶ 心臓リハビリ開始時歩行テスト・医師面接 病棟で歩行練習 2 0 0 m 歩行試験 トイレ排泄負荷︵約 圧迫帯除去後室内排便負荷 心筋梗塞発症・緊急カテーテル治療 50 m 4 日目 3 日目 入院 1 日目 後 日目 P C I 急性期再灌流療法が成功し,Killip Ⅰ型で合併症がなく,CK 最高値≧ 1500U/L の場合,14 日間で退院とする.第 4 日目に病棟で 200m 歩行負荷試験を実施し,合格なら 5 ∼ 7 日目以降,心臓リハビリテーション(リハビリ)室での回復期心臓リハビリテーショ ンプログラムに参加する.退院後は外来通院型監視下運動療法と在宅運動療法を併用する.心臓リハビリ開始約 1 週間後および 3 ヶ 月後に心肺運動負荷試験および血液検査により運動耐容能および冠危険因子を評価し,運動処方を決定する. 3.発症 3 ∼ 6 週後(退院後)に,予後予測・運動処方・ での亜最大負荷とする 633),639).回復期心臓リハビリテー 治療評価・心臓リハビリテーションのために症候限 ションプログラムの開始約 1 週間後(すなわち心筋梗塞 界性負荷試験を実施する 発症約 2 週間後)および一定期間後(通常約 3 ヶ月後) に症候限界性(最大負荷)運動負荷試験を実施して,運 STEMI に対する運動負荷試験は,①リスク層別化と 動耐容能を評価し運動処方を決定することが推奨され 予後予測,②社会復帰・復職・心臓リハビリテーション る 633),639),645),646). のための運動耐容能評価と運動処方,③治療の妥当性や 効果の評価,に関する情報を得る上で有用である 36),645), 維持期リハビリテーション 646) 維持期とは,STEMI 発症 2 ∼ 3 ヶ月以降で社会復帰を ただし安全性に関して,STEMI 後の運動負荷試験を 達成したあとの時期をさす.維持期心臓リハビリテーシ いつから開始してよいかに議論がある 646).3 日目に実施 ョンの目的は,回復期リハビリテーションで得た良好な . しても安全性に問題はなかったとの報告 647) があるが, 身体的・精神的機能を維持し,生涯にわたり快適な生活 早期運動負荷試験の安全性と有用性が未確立であるため を継続することである.この目的のために,自宅または ACC/AHA のガイドライン 645),646)では亜最大負荷試験は 地域での運動施設などで運動療法を実施するとともに, 4 日目以降,症候限界性負荷試験は 14 日目以降に実施す 食事療法・禁煙などの二次予防活動を継続することが必 るとされている.わが国の多施設調査の結果では,冠動 要である 633). 脈ステントを留置された患者において,亜最大負荷試験 は発症 4 ∼ 8 日目,最大負荷試験は発症 14 日目から施行 しても問題はなかったと報告されている 648). 通常発症後 5 ∼ 6 日目に回復期心臓リハビリテーショ ンプログラムにおけるエントリーテストを実施する(図 12).この際の運動終点は安全性を考慮して,予測最大 心拍数の 70 ∼ 75%またはボルグ指数 6 ∼ 20 点の 15 点ま 1400 4 Circulation Journal Vol. 72, Suppl. IV, 2008 急性心筋梗塞(ST 上昇型)の診療に関するガイドライン 3 ②退院後管理の意義 退院後管理 上述の長期予後データを踏まえると,STEMI 患者の 外来におけるフォローアップ 1 指導事項(クラスⅠ,レベル C) 長期予後改善のためには,患者を将来の心血管イベント に対するリスクにより層別化し,高リスク例に対しては 退院後の心筋梗塞再発,心不全,不整脈の予防に関する 医学的管理 36),657)を厳重に実施するとともに,低リスク 1.心血管症状の有無と身体活動レベルの評価. 例を含む全例に対して二次予防対策 631),657)を継続するこ 2.服薬内容の再評価と,ACE 阻害薬,β遮断薬,スタ とが重要である. チンの投与量の最適化. 3.退院時の予後リスク評価と検査計画の検討(左室機 能 評 価 お よ び 左 室 機 能 低 下 例[LVEF ≦ 35 %] の ICD 適応の評価を含む). 4.患者および家族とともに,二次予防の順守事項を検 討し,その重要性を確認する. 2 退院後の身体活動許容範囲 ①運動療法における許容範囲 心臓リハビリテーションプログラムにおいて運動処方 に基づく適切な強度の運動療法を実施することにより, 5.うつ病,不安,睡眠障害の症状や社会的サポートな どを含む患者の心理社会的状態の評価. 退院後の身体活動許容範囲が明らかになる.できれば運 動負荷試験によるリスク評価と運動処方に基づき,30 6.身体活動,復職,性生活再開,自家用車や飛行機に 分以上の運動(ウォーキング,ジョギング,自転車,そ よる旅行に関する相談と身体活動の代謝当量 の他の有酸素運動)をできれば毎日(少なくとも週 3 ∼ 4 回)行い,さらに日常生活での身体活動(仕事の合間 (METs)に関する資料の提供. 7.患者および家族に対し心肺蘇生術の習得についての の歩行,庭いじり,家事など)を増やすよう指導を受け るべきである 36).複数の冠危険因子を有するかまたは中 情報提供. 8.心臓リハビリテーション / 二次予防プログラムの推 等度∼高度リスクの患者では監視型運動療法を実施する こ と が 推 奨 さ れ る 36),633),639). 注 目 さ れ る こ と は, 奨. STEMI の ACC/AHA 2004 ガイドライン 36)では「できれ ば毎日(少なくとも週 3 ∼ 4 回)」と記載されていた運 ① STEMI 患者の長期予後 動回数が,最新の 2007 年版 631)では「週 7 回(少なくと STEMI 患者の退院後の予後に関して,欧米では退院 後の 1 年死亡率は 11 ∼ 16 %,5 年死亡率は 19 ∼ 39 %と さ れ る 649),650). わ が 国 で は,1 年 死 亡 率 は 5.7 ∼ 6.2 % ,5 年死亡率は 19 ∼ 27%と欧米に比べてやや低い 649),651) も週 5 回)」に上方修正されている点である. ②日常生活における許容範囲 一方,日常生活での労働やスポーツにおける身体活動 .発症後 6 年以内に, 許容範囲に関しては,日本循環器学会合同委員会からガ 男性患者の 18 %と女性患者の 35 %が再梗塞を発症し, イドラインが出版されている 658).そこでの基本的考え 男性患者の 22 %と女性患者の 46 %が心不全に陥るとさ 方は,心疾患患者をその重症度に応じて,「軽度リスク」 死亡率が報告されている れる 649),652),653) 654) .また院外心停止のリスクは,心疾患のない者 (健常人と同様),「中等度リスク」(5METs 以下では虚 0.8/1000 人・ 年 に 対 し て 心 筋 梗 塞 既 往 が あ る 場 合 は 血なし),「高度リスク」(日常生活で虚血・心不全あり) 13.6/1000 人・年,心不全がある場合は 21.9/1000 人・年 に分類する一方(表 12),運動をその強度に応じて, 「軽 .さらに糖尿病を有 い 運 動 」( < 3METs),「 中 等 度 の 運 動 」(3.0 ∼ する心筋梗塞患者は糖尿病を有さない心筋梗塞患者に比 6.0METs),「強い運動」(≧ 6.1METs)に分類し,それ べて 1 年死亡率(16.1 % vs 11.9 %)が 35 %高く 655),7 ぞれの組み合わせで, 「すべて許容」, 「条件付き許容」, 「禁 年後の心筋梗塞再発率(45.0 % vs 18.8 %)が著しく高 忌」と判定するというものである(表 13). 率である 656). 具 体 的 に は, 軽 度 リ ス ク 例 で は, 中 強 度(3.0 ∼ へと上昇すると報告されている 654) 6.0METs)以下の運動はすべて許容され,強い運動(≧ 6.1METs)のみ条件付き許容とされる.中等度リスク症 例では,軽い運動(< 3METs)はすべて許容であるが Circulation Journal Vol. 72, Suppl. IV, 2008 1401 循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2006−2007 年度合同研究班報告) 表 12 冠動脈疾患患者のリスク分類(文献 659) 軽度リスク 中等度リスク 高度リスク (症状が安定し,以下のすべてを満たす) (症状が安定し,以下のいずれかに該当) (症状が不安定で,以下のいずれかに該当) NYHA Ⅰ度 NYHA Ⅱ度 NYHA Ⅲ∼Ⅳ度 症候限界運動負荷試験 : 狭心症,虚血性 ST 変化,重篤な不整脈ともなし 症候限界運動負荷試験 :5METs 以下では狭 心痛,ST 変化,重篤な不整脈なし 症候限界運動負荷試験 :5METs 以下で狭心 痛,ST 変化,重篤な不整脈を認める 運動耐容能≧ 10METs* 運動耐容能 :5 ∼ 10METs* 運動耐容能 :<5METs* LVEF ≧ 60% LVEF:40 ∼ 60% LVEF: < 40% 心不全症状なし 日常生活で心不全症状はないが,CTR ≧ 55% または軽度肺うっ血あり 日常生活で心不全症状あり BNP < 100pg/ml BNP ≧ 100pg/ml LMT ≧ 50% および他の主要血管に 75% 以 上狭窄 心停止の既往 * 女性患者では低く見積もる必要がある . 表 13 冠動脈疾患患者における労働・運動許容条件(文献 659) 軽い運動 (<3METs) 強度(METs) 中等度の運動 強い運動 (3.0 ∼ 6.0METs) (≧ 6.1METs) 軽度リスク(健常人と同様) すべて許容 すべて許容 条件付き許容 *1 中等度リスク(5METs 以下では虚血なし) すべて許容 条件付き許容 *2 条件付き許容 *3 高度リスク(日常生活で虚血・心不全あり) 条件付き許容 *3 条件付き許容 *4 禁忌 リスク分類は表 12 にしたがって決定する. *1.運動負荷試験で確認された強度以下はすべて許容. *2.運動耐容能の 60% 以下で , かつ虚血が出現しない強度を許容. *3.運動耐容能または虚血出現の 60% 以下の強度を許容. *4.専門医の管理下において許可された労働のみ許容. それ以上の運動は条件付き許容となる.高度リスク症例 は,勃起不全治療薬のシルデナフィル(バイアグラ)や では,軽い運動でも条件付き許容で,中等度の運動は専 その他のホスホジエステラーゼ -5 阻害薬を使用すべき 門医の管理下に置いて許可された労働のみ許容され,強 でない. い運動(≧ 6.1METs)や競技スポーツは禁忌とされてい る 658). なお車の運転は,米国では,問題ないと判定されれば ほ と ん ど の 職 業 上 の 身 体 活 動 は 5METs 以 下 で あ 退院 1 週間後から開始可能とされる 36).わが国では明確 る 646).米国では重い手作業に従事する労働力は全体の な基準はないが,心筋虚血,重篤な不整脈,心不全がな 15%にすぎないが 627),このグループの患者では,運動 い例では,退院 1 ∼ 2 週間後から可能と考えられる.た 負荷試験の結果だけで復職の可否を判定してはならな だしラッシュアワー,悪天候,夜間,高速運転は避ける い.なぜなら,通常の運動負荷試験では評価できない重 必要がある.飛行機での旅行は,上空では機内の気圧が 量物運搬,高温,環境ストレスなどの影響を考慮に入れ 低下するので,狭心症や呼吸困難のある患者では発症後 る必要があるからである 646). 2 週間は避けるべきである 36).なお現在では機内に AED なお「心疾患患者の学校,職域,スポーツにおける運 が設置されている. 動許容条件に関するガイドライン」658)には以下のように 性生活については,通常の性行為における心拍数上昇 659) 記載されている.「公共交通機関の運転(パイロット, ,合併症のない 電車,バス)については,冠動脈疾患の既往および疑い 安定患者ではいつものパートナーとの性生活は退院 7 ∼ のある者の就業は一般的に禁忌である.パイロットに関 10 日後に可能とされる 36).中等度以上のリスクを有す しては航空身体検査基準により冠血行再建後であっても る場合や性行為により症状が出現する場合は,個別に相 就業は禁止されており,電車に関しても動力車操縦者運 談し判断する.硝酸薬を投与中の患者または発作時に硝 転免許に関する省令において運転に支障がないこととの 酸薬舌下錠またはスプレーを使用する可能性のある患者 条件が付けられている.しかしバスやタクシーに関して は階段昇降レベルに相当するとされ 1402 ③職場における許容範囲 Circulation Journal Vol. 72, Suppl. IV, 2008 急性心筋梗塞(ST 上昇型)の診療に関するガイドライン は,自動車第二種免許に関して免許取得時点での規制は ない.」 Ⅷ ④職場復帰に関するエビデンス 二次予防 職場復帰の予測因子として心機能の影響は弱く,糖尿 病,高齢,Q 波梗塞,梗塞前狭心症が関連因子である. 心筋梗塞二次予防に関しては,「心筋梗塞二次予防に しかし,患者の心理的因子(確信,仕事の安全性,障害 675) 関するガイドライン(2006 年改訂版)」 が作成されて の自覚,改善への期待,心身症の程度など)の方がより いるので参照されたい.以下に二次予防を目的とした 強力な因子であるとされる 660)−662).したがって最近の STEMI 患者の退院時の管理指針をまとめる. 積極的な PCI 治療が職場復帰率に好影響を与えるか否か は未確定である 36).なお,復職希望に対してリハビリテ ーションで適切に対応した患者はより早期に復職したと 1 退院前の患者教育と包括的心臓 リハビリテーションプログラム の報告がある 663).また PAMI-II 試験では,明らかに予 後リスクが低い患者(70 歳未満,LVEF > 45%,1 枝ま たは 2 枝病変,PCI 成功)に対して 2 週間後に職場復帰 することが許可され,特に悪影響は生じなかったとされ 1.退院前までに,生活習慣の改善と薬物療法の遵守に ついて教育する.(レベル B) 2.患者本人および家族に対し,狭心症および心筋梗塞 る 664). 3 クラスⅠ の症状を理解し,発症時に適切な行動がとれるよう 患者と家族に対する 心理社会的環境整備 教育する.(レベル C) 3.患者の家族には,BLS(一次救命法)と AED の心 STEMI 患者の 15 ∼ 20%に重症うつ病が発生し,何ら かのうつ状態に陥る患者は約半数にのぼる 665) .抑うつ は患者の QOL を著しく悪化させる 36)ばかりか,長期予 後不良にも関係する.すなわち STEMI 後に抑うつを有 肺蘇生訓練プログラムを積極的に紹介し,その重要 性を説く.(レベル C) 4.包括的心臓リハビリテーションプログラムへの参加 を勧める.(レベル C) する患者は,死亡リスクが高い 666).したがって,うつ病, 不安,睡眠障害の症状や社会的サポート状態などを含む 心血管イベントの再発予防のためには,患者自ら生活 . 習慣を改善し,危険因子を修正する努力が必要 676)−678) また,認知行動療法と選択的セロトニン再取り込み阻 である.患者の危険因子に対する薬物治療を開始するだ 害薬の併用により,うつ症状と社会的機能が改善すると けでなく,服薬指導を徹底し薬物療法遵守の必要性を充 ,退院後 1 年以内にうつ病を発症 分理解させる(表 14).食生活の改善や有酸素運動に代 患者の心理社会的状態を評価することが推奨される 報告されており 36) 667),668) した STEMI 患者に推奨される.わが国の成績としては, 表される適度な運動習慣の習得,禁煙,過度な飲酒の制 入院した STEMI 患者の 27 %が抑うつ傾向を示したが, 限などの生活習慣の修正には家族の協力が必要で,患者 3 ヶ月間の心臓リハビリテーション実施後に抑うつスコ 本人のみならず,その家族を含む教育が必要である.ま アの改善が認められたとの報告がある 636) . た,再発時の対応や心肺蘇生に関する知識や情報の提供 抑うつ以外に,社会的孤立(social isolation,配偶者・ も行うべきである. 家族・友人の欠如や独居)も予後不良に関連する 669),670). 患者家族の教育,精神的ストレスに関するカウンセリ これまでの研究では,社会的支援と抑うつ管理により生 ングや職業上の支援を併せて行うのが包括的心臓リハビ 命予後は改善しないが社会的孤立が軽減すること 667) , 電話訪問・心臓リハビリテーション・グループ活動など 671) リテーションプログラムである 626),636),679)−681).包括的 心臓リハビリテーションは STEMI を含めた冠動脈疾患 ,心臓リハビリテーションプログ 患者の運動耐容能や生活の質(QOL),血清脂質プロフ ラムにおける心理社会的介入により死亡率や再発率が改 ァイルを改善し,心血管事故や心血管死亡,総死亡率の 善すること 672),673)が報告されている.不安は入院した 低下に有効である 682)−684). が有効であること STEMI 患者の中では頻度が高いが,退院後に比較的急 速に軽減するとされる 674). Circulation Journal Vol. 72, Suppl. IV, 2008 1403 循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2006−2007 年度合同研究班報告) 表 14 STEMI の二次予防(クラスⅠ及びこれのない場合 Ⅱa を用い[Ⅱa]と示した) 一般療法 患者教育 ◆生活習慣の改善と薬物療法の遵守 ◆患者本人および家族が発作時の症状を理解し,適切な対処ができる ◆包括的心臓リハビリテーション / 二次予防プログラムへの参加 禁煙指導 ◆禁煙 食事療法 血圧管理 ◆塩分摂取量は 1 日 6g 未満 ◆純アルコール摂取量は 1 日 30ml 未満 ◆年齢とリスクに応じて血圧管理目標値を決定する 脂質管理 ◆脂質やコレステロール摂取の制限と適正な飽和脂肪酸の摂取 ◆ LDL コレステロール値を 100mg/dL 未満を目標に管理 体重管理 ◆理想体重の達成・維持(BMI 22kg/m2)するためのカロリー摂取とエネルギー消費バランス ◆ウエスト周囲径や BMI を測定し,治療目標を計画するとともに評価を行う 糖尿病管理 ◆糖負荷試験による糖代謝の評価と厳格な血糖管理(HbA1c 6.5% 未満) ◆食事療法と運動療法によるカロリー摂取とエネルギー消費バランス 運動療法 ◆運動負荷試験によるリスク評価と運動処方に基づいて,30 分以上の有酸素運動をできれば毎日(少な くとも週 3 ∼ 4 回) 薬物療法 抗血小板治療 ◆禁忌がない限り,全症例に発症直後から無期限にアスピリンを投与 ◆アスピリン禁忌の患者に対するトラピジル(300mg/ 日)の投与 ◆少なくともベアメタルステント挿入後は 1 ヶ月,薬剤溶出ステント挿入後は 12 ヶ月チクロピジンまた はクロピドグレルを投与 脂質異常症治療 ◆ LDL コレステロール値 100mg/dL 未満を管理目標にした薬物療法 ◆高 LDL コレステロール血症患者に対する急性期からのスタチン投与 レニン・アンジオテンシ ◆禁忌がない限り,全症例に ACE 阻害薬を早期から投与 ン・アルドステロン系阻 ◆ LVEF40% 以下で症候性心不全を合併する患者に対する ACE 阻害薬とアルドステロン拮抗薬の長期併 害薬 用投与 ◆ ACE 阻害薬に認容性がない患者に対する ARB 投与 β遮断薬 ◆低リスク患者,および禁忌のある患者以外の全症例にβ遮断薬を投与 カルシウム拮抗薬 ◆頻脈性心房細動の脈拍コントロールを目的としたベラパミルまたはジルチアゼム投与[Ⅱ a] ニコランジル ◆安定狭心症を伴う心筋梗塞患者に対するニコランジル(20mg/ 日)の投与[Ⅱ a] ワルファリン治療 ◆持続性あるいは発作性心房細動を合併症例に対するワルファリン投与 ◆左室内血栓が画像的に認められた症例に対するワルファリン投与 2 禁煙 調査である JPHC 研究 690)では,喫煙者の心筋梗塞発症リ スクは男性 3.64 倍,女性 2.90 倍で,かつ,喫煙本数と の用量依存的な関係が認められた.NIPPON DATA80 で クラスⅠ 1.全ての患者に,喫煙歴の有無について調査する.(レ ベル A) 2.喫煙歴のある STEMI 患者に対して,禁煙と間接禁 は,1 日喫煙量が多いほど心疾患死亡率が高く,1 日 20 本以内の男性喫煙者の年齢調整相対リスクは 4.2 倍,20 本を超えると 7.4 倍であった 691).一方,禁煙による死亡 率 の 低 下 も 比 較 的 早 期 に 認 め ら れ, 禁 煙 1 年 後 か ら 煙を強く奨励すべきである.薬理学的療法とともに STEMI 患者の死亡率と再梗塞の発症率が減少し 692)−694), カウンセリングをおこない,禁煙プログラムを勧め 15 年で非喫煙者のレベルに達するという 695).日本人に る.(レベル B) おける STEMI 患者の追跡調査である OACIS でも,禁煙 1 年後より総死亡に対するリスクは低下し,約 5 年間の 1404 喫煙は内皮障害,低 HDL コレステロール血症,高ホ 長期死亡率が 61%低下した 696).二次予防試験のメタ解 モシスチン血症,血小板凝集能・凝固能亢進,などを介 析 697)でも禁煙により総死亡は 36%低下することが確認 して動脈硬化進展や ACS 発症に関係することが知られ されている. ている 685)−689). 受動喫煙の問題も重要で,受動喫煙者は軽喫煙者と同 日本人男女約 4 万人を対象とした 10 年間のコホート 程度に頚動脈硬化を認め,血管内皮依存性血管拡張反応 Circulation Journal Vol. 72, Suppl. IV, 2008 急性心筋梗塞(ST 上昇型)の診療に関するガイドライン の低下,運動耐容能低下,HDL コレステロール低下, 動脈硬化リスクの評価および脂質管理をおこなうため LDL コレステロール上昇,血小板凝集能亢進などが証 には,過去の記録から脂質プロファイルを入手するか, 明されている 698) .疫学調査研究のメタ解析では,受動 STEMI 発症後 24 時間以内に採血して評価すべきである. 喫煙者における冠動脈疾患の相対リスクは非喫煙者に比 LDL コレステロールを含めた血清脂質値は STEMI 発症 べて 1.25 倍(男性 1.22,女性 1.24)で,喫煙本数と用量 後数時間以内から低下し始め,回復するまでに数週間か 依存的関係が認められた 699). かるためである 707). 心筋梗塞回復期の患者では,ニコチンガムやニコチン 脂質管理においても,生活習慣の改善や食事療法は重 700)− ) 14).心筋梗塞二 要であることはいうまでもない 675(表 パッチなどの薬理学的療法も禁煙達成に有用である 702) 次予防における脂質異常症に対する薬物治療の有効性は . 3 すでに確立しており 708)−713),LDL コレステロールを標 血圧管理 的とした厳重な脂質管理,治療戦略が必要である.わが 国の臨床介入試験や追跡調査の結果でも,厳格な脂質管 クラスⅠ 理の重要性や積極的な脂質低下療法による心血管イベン 1.摂取食塩 1 日 6g 未満とする.(レベル A) ト抑制効果が示されている 714),715).MUSASHI-AMI 試 2.純アルコール摂取量を 1 日 30ml 未満とする.(レベ 験 716)では,STEMI 発症後早期のスタチン治療が,有意 ル A) な冠動脈イベント抑制効果,特に心不全と不安定狭心症 3.体重の管理として BMI を 18.5 ∼ 24.9 の範囲に保つ. (レベル A) の発症予防に有用であることが示唆された. LDL コレステロール低下治療による冠動脈イベント 4.最大酸素摂取量 50%程度の身体活動を行う.(レベ ル A) 抑制効果は治療前の LDL コレステロールレベルに関わ らず,治療後の到達 LDL コレステロールレベルと相関 5.65 歳以上の高齢者では 140/90mmHg 未満,若年と することが明らかにされている 717)−719).近年,より積 中年者では130/85mmHg 未満を降圧目標とする. (レ 極的 LDL コレステロール低下治療が,通常治療に比較 ベル B) して,より臨床的なイベント抑制効果をもたらすこ 6.糖尿病,あるいは蛋白尿や慢性腎疾患(血液透析患 と 720)−722),プラークの進展抑制や退縮効果が得られる 者を除く)を合併した患者では,130/80mmHg 未満 ことが血管内超音波をもちいた試験で確認されてい を目標とする.(レベル B) る 723)−725).しかし,わが国での十分なエビデンスはなく, 日本動脈硬化学会『動脈硬化性疾患予防ガイドライ 降圧治療により得られる効果は合併する冠動脈リスク 726) では,二次予防の LDL コレステロール管理目標値 ン』 が高いほど大きく,収縮期血圧の降圧効果が大きいほど を 100mg/dl 未満としている. 冠動脈死亡率が低下する 703)−705) .STEMI 患者の血圧管 高トリグリセリド血症や低 HDL コレステロール血症 理は,日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン(JSH の管理も重要で,減量によりトリグリセリド低下や 2004 HDL コレステロール上昇を認める.高トリグリセリド 4 706) )に準じる. 脂質管理 血症に対しては節酒・禁酒が必要である.また,禁煙や 身体活動の促進によって HDL コレステロール値は上昇 する.フィブラート系薬剤による二次予防効果も報告さ クラスⅠ 1.入院後 24 時間以内に脂質管理のための空腹時採血 を実施する.(レベル C) れている 727),728). 5 糖尿病管理 2.食事療法では,総摂取エネルギー・栄養素配分の適 正化,脂質やコレステロール摂取の制限,適正な飽 和脂肪酸の摂取を指導する.(レベル A) 3.LDL コレステロール値を 100mg/dl 未満を目標に管 理する.(レベル B) 4.急性期の高 LDL コレステロール血症に対して,ス タチンを投与する.(レベル B) クラスⅠ 1.発症直後から厳格な血糖管理を行い,退院するまで に,栄養指導を患者と家族に受講させる. (レベル B) 2.理想体重を達成,維持するために,食事療法と運動 療法による,カロリー摂取とエネルギー消費バラン スを考慮する(レベル A) Circulation Journal Vol. 72, Suppl. IV, 2008 1405 循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2006−2007 年度合同研究班報告) 能異常,高血圧,炎症促進状態や血栓促進状態などの病 クラスⅡ a 1. 糖 尿 病 を 合 併 す る 患 者 で は, ヘ モ グ ロ ビ ン A1C 態を介して動脈硬化を促進する結果,ACS をはじめと (HbA1C)6.5%未満を目標に管理する.(レベル B) する冠動脈イベントの発症リスクを増加させる 735)−737). 2.STEMI 患者では,糖負荷試験によって,積極的に 糖代謝を評価する.(レベル B) 現在,わが国で実施されている 2 型糖尿病患者を対象 と し た 大 規 模 臨 床 介 入 試 験 で あ る Japan Diabetes 7 身体活動 クラスⅠ 1.運動処方の決定およびリスクを評価するために,心 Complications Study(JDCS)の 8 年次の中間報告では, 肺運動負荷試験を実施することが推奨される.(レ 糖尿病患者における冠動脈疾患の発症率(/1,000 人・年) ベル B) は男性 10.6,女性 6.8 で,近年の久山町研究の結果(男 2.心肺運動負荷試験によるリスク評価と運動処方に基 性 3.48,女性 1.81)と比べて男女ともに高い.また,耐 づき,30 分以上の有酸素運動(ウォーキング,ジ 糖能異常および食後高血糖を示す患者は冠動脈疾患発症 ョギング,自転車など)をできれば毎日(少なくと 率も高く,長期予後も不良である 656),729). も週 3 ∼ 4 回)行う.(レベル B) STEMI 発症直後からの血糖コントロールは重要で, 3.退院後の身体活動許容範囲を明らかにするために, インスリンを用いた急性期からの積極的血糖管理によっ すべての患者に心臓リハビリテーション / 二次予防 て,院内死亡や 1 年後の死亡率は有意に低下する 730), プログラムへの参加を勧める.(レベル C) .UKPDS 35 731) 732) では,HbA1C のコントロールと心筋 梗塞の発症率が相関し,HbA1C を 1%低下させることで, 身体活動レベルが低い集団において冠動脈疾患や心血 心筋梗塞の発症リスクを 14 %低下させうる可能性が示 管疾患の発症率が増加する 738),739)一方,心筋梗塞発症後 されている.また,耐糖能異常の改善による心血管イベ に身体活動レベルを増加させることで,総死亡や再梗塞 や,冠動脈疾患を合併する 2 の発症率が低下することが報告されている 740).その理 型糖尿病患者に対するインスリン抵抗性改善薬による二 由としては,プラーク安定化,心室細動閾値の上昇,冠 ントの発症リスクの低下 733) 次予防効果も報告されている 734) .慢性の冠動脈疾患で 予備能改善による心筋虚血閾値の上昇などが考えられて の厳格な血糖コントロールが予後を改善するかについて いる 741),742).運動療法には,高血圧治療と予防の目的も は, い ま だ十 分 な エ ビ デ ン ス が な い が,少 なくとも あり,最大酸素摂取量の 50 %程度の軽い身体活動が推 HbA1C を 6.5 %未満に管理することが望ましい.また, 奨される.1 日 30 分程度,少なくとも週に 3,4 回,で 診断されていない多くの耐糖能異常の患者を検出するこ きれば毎日実施することが望ましい. とも重要である. 6 体重管理 8 抗血小板治療 クラスⅠ クラスⅠ 1.ウエスト周囲径(臍上)や肥満指数(BMI)をモニ ターする習慣を確立し,治療計画に役立てる.(レ ベル B) 2.BMI は 18.5-24.9 の範囲に保ち,理想体重(BMI 22 相当)を達成,維持するために,カロリー摂取とエ 1.アスピリン(81 ∼ 162mg/ 日)を発症直後から可能 な限り継続投与する.(レベル A) 2.アスピリン禁忌の患者には,チクロピジン(200mg/ 日)またはクロピドグレル(75mg/ 日)を使用する. (レベル C) 3.ベアメタルステント挿入後は少なくとも 1 ヶ月間の ネルギー消費バランスを考慮する.(レベル A) チクロピジン(200mg/ 日)またはクロピドグレル 3.包括的心臓リハビリテーションとして,体重管理と (75mg/ 日)を投与する.薬剤溶出ステント挿入後 身体活動に関する適切な指導をする.(レベル C) は少なくとも 12 ヶ月間投与し,出血リスクの高く ない患者やステント血栓症のハイリスク群では可能 肥満は動脈硬化リスクを増加させる.メタボリックシ ンドロームの重要な要素である内臓肥満(内臓脂肪蓄積) は,動脈硬化惹起性脂質異常,インスリン抵抗性や耐糖 1406 Circulation Journal Vol. 72, Suppl. IV, 2008 な限り投与を継続する.(レベル B) クラスⅡ a 1.アスピリンが禁忌の患者には,トラピジル(300mg/ 急性心筋梗塞(ST 上昇型)の診療に関するガイドライン 日)を使用する.(レベル B) は,アスピリン単独と比較しても有害事象の増加なしに, 2.低用量アスピリン(81 ∼ 162mg/ 日)とジピリダモ 治療開始約 1 ヶ月後の冠動脈死亡,心筋梗塞の再発およ ール(150mg/ 日),チクロピジン(200mg/ 日)ま び脳卒中の複合イベント発症を有意に抑制し,アスピリ たはクロピドグレル(75mg/ 日)を併用する.(レ ンとの併用療法の安全性と有効性が証明された.また, ベル B) ACC/AHA/SCAI ガイドライン 748)および米国 FDA749)で クラスⅢ は,薬剤溶出ステント挿入後の超遅発性ステント血栓予 1.ジピリダモール単独投与.(レベル B) 防のため,出血リスクの低い患者に対してはアスピリン 2.イブプロフェンとアスピリンの併用.(レベル C) に加えて少なくとも 12 ヶ月間のクロピドグレル併用投 3.消化性潰瘍,重篤な血液異常,アスピリン喘息や過 与を推奨している.しかし,ステント血栓を予防するた 敏症の患者における,アスピリンの使用. (レベル C) めの至適投与期間を決定するだけの十分なエビデンスは まだない. 抗血小板薬としては,わが国で既に承認されているア スピリン,ジピリダモール,チクロピジン,クロピドグ 9 β遮断薬 レル,シロスタゾール,トラピジルの他に,血小板膜糖 タンパク(GP)Ⅱ b/ Ⅲ a 受容体拮抗薬(日本未発売) などがあり,いずれも異なる作用機序により抗血小板作 1.低リスク * 以外の患者にはβ遮断薬を投与する.少 なくとも 2 − 3 日以内に開始し可能な限り継続する. 用を発揮する. ISIS-2 試験 クラスⅠ 121) により,STEMI 発症直後からのアスピ リン(160mg/ 日)投与が,35 日後の冠動脈死や非致死 的心筋梗塞の再発を予防することが始めて報告され,そ (レベル A) (低リスク *:再灌流治療に成功し,重篤な心室性不整 脈はなく,心機能がほぼ正常) の後 10 年間にわたる長期追跡観察調査でも総死亡を抑 2.中等度,あるいは重篤な左室機能不全を有する患者 .287 の無作為比較臨床試 には,徐々に増量しながらβ遮断薬を投与する.(レ 制していることが示された 743) 験 の メ タ 解 析 を お こ な っ た Antithrombotic Trialists’ 744) Collaboration(ATC) では,主としてアスピリンを用 いた抗血小板治療が,STEMI 患者における 1 ヶ月後の 非致死的心筋梗塞や脳卒中,心血管死亡の複合心血管事 故を 30 %低下させた.また,陳旧性心筋梗塞患者に対 しても,27 ヶ月後までの複合心血管事故が 25 %減少し ていることを明らかにし,アスピリンの長期二次予防効 ベル B) クラスⅡ a 1.低リスク * の STEMI 患者にβ遮断薬を投与する. (レ ベル A) クラスⅢ 1.冠攣縮の関与が明らかな患者に対するβ遮断薬の投 与.(レベル C) 果が証明された.また,1 日用量 75 ∼ 150mg のアスピ リン使用は,高用量と同等の効果を示した.少数の試験 STEMI に対するβ遮断薬投与は,急性期死亡の減少 でチクロピジンやクロピドグレルの有効性も明らかにさ と慢性期の合併症抑制のいずれにも有効である.アスピ れているが,アスピリンとジピリダモールの併用効果に リンや血栓溶解療法が広く普及する以前,プロプラノロ ついては有意差が認められなかった. ールが STEMI の院内死亡率を大幅に低下させることが により,発症後 1 ヶ月以内の 示され 750),欧米の大規模臨床試験 751)−753)や,大規模臨 STEMI 患者に対するアスピリン 81mg/ 日の投与が,心 床試験のメタ解析 136),754)の結果から,STEMI 患者に対 筋梗塞の再発を有意に抑制することが示された.トラピ するβ遮断薬の短期および長期予後改善効果が立証され わが国では,JAMIS 127) ジル 300mg/ 日の投与も再発抑制効果を示す傾向を認め た.心筋梗塞発症直後にβ遮断薬の投与を開始すること た.また,JMIC-M745)では,陳旧性心筋梗塞が対象では が梗塞サイズを縮小させ,慢性期の合併症発生率と再梗 あるが,トラピジルの冠動脈イベント抑制効果が同様に 塞発生率を減少させると考えられる 755).また,ACE 阻 報告されている. 害薬同様に心室リモデリング抑制効果も報告されてい クロピドグレルは,欧米で冠動脈ステント留置術後に る 756). 広く使用されている.近年,STEMI に対してクロピド 本邦における無作為割付臨床試験の報告はないが,心 グレルを用いた 2 つの大規模臨床試験が報告された 746), 筋梗塞患者の後ろ向き調査結果から,β遮断薬の二次予 747) 防効果が欧米同等に認められている 757),758).しかし,虚 .急性期からのクロピドグレルとアスピリンの併用 Circulation Journal Vol. 72, Suppl. IV, 2008 1407 循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2006−2007 年度合同研究班報告) 血性イベント発症に冠攣縮の関与が欧米に比べて多い本 一方,心拍低下型のカルシウム拮抗薬(ベラパミルや 邦においては,β遮断薬は冠攣縮を増悪させる危険性も ジルチアゼム)を用いた二次予防試験 773)−778)では,有 29) 759) では,STEMI 患者に対する冠動脈死 意な有害事象の増加なしに,心血管イベント抑制効果が 亡や再梗塞の発症率は,カルシウム拮抗薬とβ遮断薬で 確認されている.左室機能が保持されている心筋梗塞や 同様であったが,心不全および冠攣縮の発症率がβ遮断 非 Q 波心筋梗塞の症例でβ遮断薬が使用できない場合 薬治療群で有意に高率だった.したがって,わが国にお には,ベラパミルやジルチアゼムの使用することができ けるβ遮断薬の投与は,少なくとも冠攣縮が明らかに虚 る. 血イベントに関与していると考えられる症例には使用す 少なくとも血行再建を実施し,血行動態が安定してい べきではない. る STEMI 患者において,他の薬剤で不十分な降圧が得 近年の臨床試験で,非選択性β遮断薬でα1 受容体遮断 られない場合には,長時間作用型カルシウム拮抗薬を投 作用を併せ持つカルベジロールの有効性が,特に慢性心 与してもよい. ある .JBCMI 不全に対する予後改善効果を中心に確認されている 760), 761) .本邦でも MUCHA 試験において,欧米より低用量 11 硝酸薬 (ニコランジルを含む) で用量依存性に慢性心不全患者に対する予後改善効果を 示すことが報告されている 762).また,CAPRICORN 試 クラスⅡ a 験は,LVEF40%以下の心筋梗塞患者に対するカルベジ 安定狭心症を伴う心筋梗塞患者に対しニコランジル ロールの有効性を初めて立証した 763),764). を投与する.(レベル B) 10 カルシウム拮抗薬 心筋梗塞二次予防ガイドライン(2006 年改訂版)675)で は,虚血発作や心不全のない心筋梗塞の慢性期患者に対 クラスⅡ a する硝酸薬(長時間作用型)の長期間持続投与はクラス 1.β遮断薬が禁忌または忍容性が不良で,左室機能不 Ⅲとした.大規模試験において有効とするエビデンスが 全やうっ血性心不全,房室ブロックのない患者に対 なく,無効であるとする 2 つの試験があり 117),118),有害 する,心筋虚血の軽減,または頻脈性心房細動の脈 かもしれないことを示唆する本邦の観察研究を考慮して 拍コントロールを目的としたベラパミルまたはジル 決定されが,観察研究のみでクラスⅢを規定するのは時 チアゼムの投与.(レベル B) 期尚早とする意見もあったことが詳細に述べられてい 2.他の薬物でコントロールができない狭心症または高 る.現段階では,長期的な硝酸薬投与が心筋梗塞の予後 血圧症に対して,長時間作用型ジヒドロピリジン系 を悪化させるというエビデンスはなく,本邦の多施設観 カルシウム拮抗薬を使用する.(レベル B) 察研究である JCAD 試験 779)では,硝酸薬の長期投与は クラスⅢ 1.発症後早期の短時間作用型ジヒドロピリジン系カル シウム拮抗薬投与.(レベル A) 少なくとも心筋梗塞患者の予後を悪化させることはな く,むしろ改善する傾向を示した.よって,本ガイドラ インではあえてクラスⅢとして取り上げない立場をとる ことにした. 心筋梗塞二次予防におけるカルシウム拮抗薬の使用 ニコランジルに関しては,J-WIND 試験 233)で静脈内 は,血圧管理や狭心症が他の薬剤でコントロールできな 投与による急性期の心筋保護効果は示されなかったもの い場合に限られる.臨床比較試験 765)−769)やメタ解析 770), の,20mg1 日 2 回経口投与による IONA 試験のサブグル 771) ープ解析 780)において,安定狭心症を伴う陳旧性心筋梗 型カルシウム拮抗薬投与による総死亡低下に対する有効 塞患者の心血管イベントを有意に抑制した. の結果において,心筋梗塞発症早期での短時間作用 性が確認されなかったためである.わが国の臨床試 験 772)でも,STEMI 後患者に対する短時間作用型カルシ ウム拮抗薬の投与は複合心血管イベントを増加させる傾 12 レニン・アンジオテンシン・ アルドステロン系阻害薬 向にあった.交感神経の反射活性化,頻脈,低血圧の発 現から心筋虚血を誘発する可能性があるため,STEMI 患者への短時間作用型ジヒドロピリジン系カルシウム拮 抗薬投与は通常禁忌である. 1408 Circulation Journal Vol. 72, Suppl. IV, 2008 クラスⅠ 1.禁忌がなければ,ACE 阻害薬を,早期に開始し可 能な限り継続する.(レベル A) 急性心筋梗塞(ST 上昇型)の診療に関するガイドライン 2.すでに ACE 阻害薬が投与されており,LVEF が 40 害薬および ARB には新規糖尿病発生予防効果 790)や心房 %以下で症候性心不全または糖尿病を合併する患者 細動発症予防効果 791)も同等に認められる. には,禁忌がない限り,アルドステロン拮抗薬を使 STEMI の急性期以降に生ずるレニン・アンジオテン 用する.(レベル A) シン・アルドステロン系の活性化によって,アンジオテ 3.LVEF が 40%以下で,臨床的あるいは胸部 X 線上で ンシンⅡのみならず,心臓局所のアルドステロン産生が 心不全の徴候があるが,ACE 阻害薬に忍容性がな 心筋線維化に関与していると考えられている.これに対 い患者には,ARB を使用する.(レベル B) して,ACE 阻害薬とスピロノラクトンの併用投与が左 クラスⅡ a 室リモデリング抑制に有効であることが報告されてい 1.LVEF が 40%以下で,臨床的あるいは胸部 X 線で心 る 792)−794). 不全の徴候がある患者に対し,ACE 阻害薬の代用 LVEF35%以下で,ACE 阻害薬および利尿薬治療をす として ARB を使用する.(レベル B) でに実施している心不全患者を対象とした RALES795) は,スピロノラクトン 25mg の追加投与が総死亡を 30%, クラスⅡ b 1.LVEF40%以下で,症候性の慢性心不全を有する患 心不全増悪による入院を 35 %それぞれ有意に低下させ 者の長期管理には,ACE 阻害薬と ARB の併用を考 た.さらに LVEF40%以下の左室機能障害,または心不 慮する.(レベル B) 全合併を伴う STEMI を対象とした EPHESUS では,ア ルドステロン拮抗薬のエプレレノン(本邦では高血圧症 アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬の心筋梗 治療薬として認可)追加投与が全死亡に対して 30 日目 塞二次予防効果の重要な機序としては,左室リモデリン から抑制効果を示し,16 ヶ月後には有意な効果を認め グ抑制 定化 781) および,神経体液性因子の抑制やプラーク安 782) ている 363),796).したがって,特に心不全合併または左室 機能が低下した症例において,腎機能および血清 K 値に が考えられる. STEMI 発症後 36 時間以内の超急性期から ACE 阻害薬 注意したうえで,ACE 阻害薬または ARB 投与に加えて の経口投与を開始し,観察期間が 4 − 6 週間の短期試 アルドステロン拮抗薬を投与することが望ましい. 験 783)−785),および,発症後数日から 10 日で ACE 阻害薬 の経口投与を開始し,1 年以上の観察期間で実施された 長期試験 13 ワルファリン治療 358)−360) は,ともにその安全性と総死亡,およ び心臓死,突然死,心不全発症に対する抑制効果が証明 されている.また,対象者のほとんどは左室駆出分画率 (LVEF)40 %以下であり,メタ解析の結果でも,低左 心機能患者(LVEF ≦ 40%)に対する有意な総死亡,心 臓死に対する抑制効果が認められている 786) .わが国に おける臨床試験は少なく,JAMP 研究 787)では,ACE 阻 害薬による複合心血管イベント抑制効果は実証されなか った. アンジオテンシンⅡ受容体遮断薬(ARB)は ACE 阻 害薬と同様に,左室リモデリング抑制効果や,アンジオ テンシンⅡによる炎症性サイトカイン生成を抑制し,抗 炎症作用を有することが明らかにされている. クラスⅠ 1.持続性あるいは発作性心房細動を合併する患者に対 するワルファリン投与.(レベル A) 2.画像診断にて左室内血栓を認める患者に対して,ワ ルファリンを少なくとも 3 ヶ月間,出血リスクが少 なければ可能な限り継続使用する.(レベル C) クラスⅡ a 1.左室機能障害と広範な局所壁運動異常,および左室 瘤を有する患者にワルファリンを投与することは妥 当である.(レベル A) クラスⅡ b 1.うっ血性心不全の有無に関わらず,重篤な左室機能 心不全を合併した STEMI 患者(LVEF ≦ 35%)を対象 障害のある患者には,アスピリンとワルファリンの に,ARB と ACE 阻害薬の効果を比較した大規模臨床試 併用投与を考慮してもよい.(レベル C) 験では,両薬剤の総死亡に対する抑制効果は同等で,有 意差を認めなかった 361),788).一方,ACE 阻害薬と ARB 再 灌 流 療 法 が 施 行 さ れ る 以 前 の 1980 年 代 ま で は, の併用投与が ACE 阻害薬単独投与よりも心不全入院を STEMI 患者に対するワルファリン経口投与が総死亡や 減少させる可能性も示唆されている 789).したがって, 心筋梗塞の再発率を低下させ,脳卒中や肺塞栓の予防に 何らかの理由で ACE 阻害薬が使用できない場合には, も有用であることが報告されていた.一方,出血性合併 ARB を代替治療として選択可能である.また,ACE 阻 症が問題となり,アスピリンの二次予防効果が確立する Circulation Journal Vol. 72, Suppl. IV, 2008 1409 循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2006−2007 年度合同研究班報告) とともに,ワルファリン単独投与またはアスピリンとの 併用投与による安全性と有用性が多くの臨床試験で検討 された 14 一次予防について .1960 年から 1999 年までに実施された臨 797),798) 床試験のメタ解析の結果 799)では,プロトロンビンテス 心筋梗塞を含めた虚血性心疾患の一次予防について ト国際標準比(PT-INR)を 2 以上にコントロールした は,「虚血性心疾患の一次予防ガイドライン(2006 年改 場合には,心筋梗塞の再発および脳卒中のリスクを有意 訂版)」に詳述されている.このガイドラインにおいて に低下させたが,出血性合併症のリスクは 6 ∼ 7 倍と高 は望ましい生活習慣として受動喫煙も含めた完全な禁 率だった.現在まで,ワルファリン単独またはアスピリ 煙,中等度以上の運動の継続,適切な栄養摂取,体重の ン併用投与は出血性合併症のリスクが高く,二次予防に コントロール,過度のストレスおよびタイプ A 行動の回 おいて,アスピリン単独投与を上回る安全性と有効性が 避が挙げられるとともに,糖尿病・高脂血症・高血圧と 立証されていない 800)−802) . いった危険因子の管理目標が定められている.また,薬 再灌流療法および急性期に PCI が施行され,アスピリ 物治療としてアスピリンの適応・有効性について述べら ンやチクロピジンおよびクロピドグレルの有効性が確立 れている. している現在,STEMI 患者に対するワルファリンの投 最近,日本人におけるスタチンの一次予防効果に関す 与は限られる.すなわち,画像診断にて左室内血栓を認 る研究結果が集積されており,高度高脂血症患者を対象 める患者や,持続性あるいは発作性心房細動を合併する とした KLIS803)および LISK804)試験,PATE 試験 805)また 患者に限ってワルファリンが用いられる. 中等度高脂血症患者を対象とした MEGA 試験 806)などに より,本邦においてもスタチンの投与が一次予防に有効 であることが証明されつつある.また,イコサペント酸 のスタチンとの併用も有用とされる(JELIS 試験 807)). 1410 Circulation Journal Vol. 72, Suppl. 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