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世界史ミュージアムの旅(1)<パリ編③>
世界史ミュージアムの旅(1)<パリ編③> 世界史分野 3 年 井上まな 研究のキーワード:西洋美術史、初期イタリア・ルネサンス、〈受胎告知〉 ⑤サクレ・クール寺院(Basilique du Sacré-Coeur) パリで一番高い丘、モンマルトルの上にある白亜 の塔は、普仏戦争の戦死者を祀るために、19 世紀後 半に建立されました。パリに数ある教会堂はゴシッ ク様式のものが多いですが、この寺院に限りロマネ スク様式・ビザンティン様式です。私も、この特徴 ある外観を間近で一目見ようと、この寺院に続く階 段を息を切らしながら登ったことを覚えています。 観光客が多過ぎたため内部に入っていませんが、こ の寺院近くには絵描きが集まるテルトル広場があり、 フランス映画『アメリ』の舞台としても有名なカフ ェがあります。 開門時間:6 :00~22 :30 (年中無休) 入場料:無料 (ドーム・地下聖堂は5€) アクセス:地下鉄 2 番線、Anvers 駅または地下鉄 12 番線、Abbesses 駅 住所:35 Rue du Chevalier de la Barre ⑥ノートルダム大聖堂(Cathédrale Notre-Dame) パリ中心部シテ島にそびえる、ゴシック様式を代表する大司 教座聖堂。有数の観光スポットで、聖堂前の広場にはいつも長 蛇の列が続きますが、聖堂正面に刻まれた聖書の物語を眺めな がら待っていると、意外とすぐ中へ入れます。 内部に入ると、まずゴシック建築の特徴である高い天井とス テンドグラスに目を奪われます。中でも是非見て頂きたいのは、 聖堂内の翼部に対にしてあるバラ窓(左下写真)です。バラ窓 とは、円形の枠にステンドグラスが放射状に嵌められたもので、 車輪のようにも見えます。私は今まで数々のバラ窓を観ました が、この聖堂のものが、とりわけ大きく、光り輝いていたよう に思います。 また、大聖堂前の広場の石畳には、パリ、そしてフランスの 中心であることを指し示すプレートがはめられています。これ が、パリから各地への距離を表す起点となっています。 1 セーヌ川から見た聖堂背部 聖堂内部のバラ窓 開門時間:月~金 8:00~18:45 土・日 8:00~19:15 (閉門日なし) 入場料:無料 (聖堂内にある塔 8.5€) アクセス:地下鉄 4 番線、Cité 駅または RER A,B 線、Saint Michel Notre-Dame 駅 住所:6 Parvis Notre-Dame, Place Jean-Paul II 75004 Paris ⑦サント・シャペル(Sainte Chapelle) 13 世紀半ばに、 シテ島に立てられた後期ゴシック建築の礼拝堂。 20 人ほどで人いっぱいになりそうな狭い空間には、天井と床以外 すべてステンドグラスで埋め尽くされています。天候や時間によ る太陽光の加減で色合いが変化する様子は、この空間全体がまる で生きているかのように感じさせます。 人の出入りが多い大きな教会堂だと、注意が行き届かないため か来訪者の話し声が響きがちです。しかし、この小さな礼拝堂に 関しては、その息を飲むほど美しさに圧倒されて、皆自ずと口を 閉ざすようです。私自身も、この幻想的な雰囲気の中、穏やかな 気持ちでその時々の佇まいを味わうことができました。留学中に 訪れた教会堂の中で、一、二を争うほどのお気に入りです。 開門時間:3~10 月 9:30~18:00 11~2 月 9:00~17:00 入場料:8.5€ ※18 歳未満は無料。コンシェルジュリ(裁判所)との共通チケット 13.5€ アクセス:地下鉄 4 番線、Cité 駅または RER B,C 線、Saint-Michel Notre-Dame 駅 住所:8 boulevard du Palais 75001 Paris 裁判所(Palais de Justice)敷地内 2 【モンマルトルとシテ島】 シテ島は、パリを貫通するセーヌ川に浮かぶ舟の形をした長さ約 1kmの島です。パリ発祥の地で、紀 元前 3 世紀中頃にはケルト人の一部族パリジーの中心集落がありました。世紀を経て、パリはこのシテ 島を中心としてセーヌ川の両端に発展を遂げました。ポン・ヌフなど 8 つの橋で川岸と結ばれ、隣の小 島サン・ルイ島ともひとつの橋で結ばれています。 一方、モンマルトルは、このシテ島の北 3kmにあるパリの下町です。丘の上の女子修道院でワイン造 りが行われていた背景からか、この地区は飲み屋が多く、パリ随一の歓楽街でもあります。また、移民 が多く集まる界隈でもあるので、治安はあまり良くありません。 私がパリを訪れたのは、La Toussaint(諸聖人を祝う日、11 月 1 日)の休暇中で、10 月末から 11 月 初めにかけてでした。私の滞在中のパリは秋晴れが続いていて、パリの紅葉がかった街並みを眺めなが らの散策は、この上なく楽しかったです。また、この時期から防寒具を着ることが多くなりますが、防 犯対策としてコートの下に小ぶりの斜め掛け鞄を隠し、早歩きをしていれば観光客と見なされることが 少ないように思います。パリは芸術の町であると同時にスリの多さでも有名ですが、行動のしやすさか らも、個人的にはこの時期にパリを訪れることをお勧めします。 ポン・ヌフから見たセーヌ川 アトリエとその隣カフェでチェスに興じる画家たち 3 モンマルトルの丘から見たパリの全景