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インド
インド 輸液のリーディングカンパニーとしてインド医療に貢献 株式会社大塚製薬工場 専務取締役 吉川 博巳氏/常務執行役員 伊東 健二氏 見込まれています。大塚製薬工場は、 この人口増加が著しいインドに良質 な基礎輸液と未上市の栄養輸液を 供給し、 インドの医療に貢献すると同 時に、大塚の海外輸液事業展開に おける重要拠点の1つと位置づけて Claris Otsuka Private Ltd. インドに進出しました。 合弁先のクラリス・ライフサイエンシズ社は、輸液売上高でインド2位の実 吉川専務 伊東常務 績を有し、 インドで唯一環境に配慮したNon-PVC製品 を製造するなど、生 * 1921年、大塚グループ発祥の会社として創業した株式会社大塚製薬 産技術力と先進性がある企業です。輸液製品の輸出先は50ヵ国を超え、 高 工場 (本社:徳島県鳴門市) 。同社の製品としては、 メディカルフーズの 「経 度な生産設備やスタッフの教育レベルなどに加え、 ファミリー企業で意思決 などが広く 口補水液 オーエスワン 」や一般用医薬品「オロナインH軟膏」 定が速く、企業文化的にも当社と親近感があることからパートナーに選定し 消費者に浸透しているが、 主力製品である輸液 (点滴液) は国内トップシェア ました。 を有し、 輸液のリーディングカンパニーとして市場を牽引している。 クラリス大塚社は、 現在従業員約1,920名 (うち、 日本人駐在員7名) で輸 大塚グループとしては1973年12月のタイ進出を皮切りに、 中国やインドネ 液の製造販売を行っています。生産拠点のあるグジャラート州は電力と水の シア、 ベトナム、 エジプトなど8ヵ国13社で輸液事業を展開し、近隣諸国へも インフラが整備されており、 輸液製造に適した環境で、 24時間3交代勤務で 輸出している。近年アジアを中心に海外市場を拡大しており、 インドは2013 生産を行っています。 年7月に合弁で現地法人「Claris Otsuka Private Ltd.」 (以下、 「クラリス大 Q.市場拡大への取り組みと今後についてお聞かせください 塚」) をグジャラート州アーメダバードに設立した。今回、 インド事業を中心に、 大きなポテンシャルを持つインドは有望市場であり、 将来大きく成長するこ 専務取締役の吉川博巳氏と常務執行役員の伊東健二氏に話を聞いた。 とに疑いの余地はありませんが、現在の病床数は175万床 (10,000人当り Q.トップシェアを誇る御社の輸液事業の強みは? 15床弱) と十分ではなく、患者の多くは経済的に安い基礎輸液しか使用で 輸液は、 水分や糖、 アミノ酸などの栄養素を補給する薬剤として患者の栄 きないため、 クラリス大塚社もこれまでは主に価格競争で営業をしてきた面 養管理に使用されますが、 近年、 治療薬の投与と並行してこうした輸液によ が否めませんでした。今後は、高い品質、安定した供給 (配送サービス) に加 る栄養療法を行い、治療成績を向上させる傾向が強まっています。当社は え未上市の栄養輸液を積極的に市場導入し、 それにともなってMRの意識 基礎輸液から栄養輸液までさまざまな種類、容量の輸液や、栄養を経腸的 改革や新しい営業体制の構築を行い、 他社との差別化を図っていきます。 に摂取できる経腸栄養剤など、 さまざまな患者への栄養療法に対応できる アミノ酸など高価な栄養輸液はインド全体で約350万本とまだ市場は小 製品をフルラインで取り揃えています。 さいですが、毎年20%程度使用が増加しており、継続した需要拡大が見込 また、 これまで必ずしも栄養療法への関心が高くなかった医師が、栄養療 まれています。今後は栄養輸液や経腸栄養剤の販売を強化し、栄養療法 法に関して豊富な知識を持つ当社のMRに相談するなど、情報面における の普及に向けて医師への情報提供に取り組み、 製品と情報の両軸で差別 付加価値も提供しており、製品と情報の両方を提供できることも当社の強 化を図っていきます。 また、売上の4割を占めるインド南部において新たな生 みではないかと考えています。 産拠点の設立も検討しています。 Q.インドに進出した経緯・目的について教えてください 市場拡大にはインドの経済成長による医療機関の増加と、医療保険の インドの医薬品市場は、 日本、中国に次いでアジア3位であり、医薬品の 拡大および加入者の増加が必要ですが、患者の状況に合わせた治療とそ 生産量では世界4位の医薬品大国です。輸液は年間約10億本規模の市 れをサポートする栄養輸液の活用ができるような医療環境づくりをしていくこ 場があり、毎年10~15%で需要が とは、早期の治癒を可能にし、患者、医師、当社のような医薬品メーカーの 増加しています。 また、人口12億人 全てにベネフィットをもたらし、 インドの医療に大きく貢献できるものと確信して の半数が25歳以下の若年層である います。 ことから、今後の大きな市場拡大が * ポリ塩化ビニルを含まない樹脂の輸液バッグを用いた製品 ® 基礎輸液やアミノ酸製剤などの主要製品 14 mizuho global news | 2016 JAN&FEB vol.83