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JapaN 日本 - Fujitsu
地域別レビューとお客様事例 JapaN 日本 お客様事例 へと帰還しました 。 このミッションで当社は「軌道決定システム」 「 衛星状態リア ルタイムモニタ・異常診断システム」 「 地上デ ー タ伝送システ ム」の開発・運用を行い、ミッションの成功に貢献しています。 「軌道決定システム」は、探査機の現在位置と速度を特定する ためのデータ処理システムで、この軌道決定の結果に基づいて 探査機の飛行経路が修正されます。当社は「はやぶさ」の打ち上 げから地球帰還までの 7 年間にわたり 、探査機の位置速度を正 確に把握し続け 、小惑星「イトカワ」への到着、ならびに大気圏 突入軌道への精密誘導に大きく貢献しました。 「衛星状態リアルタイムモニタ・異常診断システム」は 、探査 機に搭載された各種機器の状態を伝えるデータを変換・リアル タイム表示し、データの複雑な条件組み合わせによって自動的 イラスト:池下章裕 に異常診断を行い 、結果を運用者に通知するシステムです 。 独立行政法人宇宙航空研究開発機構 小惑星探査機「はやぶさ」による世界初となる 小惑星サンプルを採取し地球へ持ち帰る 「サンプルリターン」 ミッションに成功 様々な機器に故障やトラブルが発生する中で、的確な情報を速 やかに運用チームに伝え、満身創痍の「はやぶさ」を地球へと導 くことを支援しました 。 「地上データ伝送システム」は、探査機と電波通信を行う国内 日本の航空宇宙開発政策を担う独立行政法人宇宙航空研究開 および海外の地上局群と、神奈川県相模原市にある衛星管制セ 発機構( JAXA )が 2003 年 5 月に打ち上げた小惑星探査機「はや ンターとの間のデータ伝送を担うシステムで、 「はやぶさ」をは ぶさ」は 、太陽系の誕生や進化を探る貴重な手がかりとなる小 じめ、相模原衛星管制センターから運用される全ての衛星運用 惑星の岩石サンプルを採取し地球に持ち帰るという世界初の を支えています 。 ミッションに挑み、数々の困難やトラブルを乗り越えて、2010 これからも富士通は、JAXA の地上システムの開発と運用を継 年 6 月に 、小惑星「イトカワ」から採取した微粒子とともに地球 続して担い、我が国の宇宙開発技術の発展に貢献していきます。 市場動向 2011 年の国内 IT 市場成長率は、前年比 4.2% 減と見込んでいます 。g Graph 2 Graph 1 2010 年国内 IT サービス市場シェア 国内景気は、東日本大震災の影響を受け厳しい見方が広がっています 。製造ラ (金額ベース) インの被災による部品供給問題や電力供給問題が今後の経済活動にどの程度影響 n富士通 nA 社 nB 社 nC 社 nD 社 nその他 を与えるのか不透明な状況にあります 。また、福島第一原子力発電所問題の影響 1 2 3 4 5 6 13.5% 10.0% 9.6% 8.8% 7.4% 50.7% は国内にとどまらず 、製品の輸出や海外からの渡航者減少などグロ ー バルに影 1 6 5 2 響を及ぼしています 。こうした背景から、企業業績に対する不安が広がり、設備 3 投資に対しても慎重になり復旧・復興を優先した投資対象の絞り込みが予想され 4 ます 。公共分野においても 、震災復興に予算を振り向けるため 、IT 関連予算は当 面縮減されていくと考えられます。 こうした影響を受け、サーバ市場は前年比で 10% を超える市場縮小を見込んで (出典:Gartner, Market Share: IT Services, 2010 31 March 2011) います。IT 投資の先送り懸念に加え、リスク回避の観点からデータセンター活用 の広がりや 、サー バ統合・集約の動きが加速すると想定され 、低価格化が加速す ると見込まれます。 050 FUJITSU LIMITED ANNUAL REPORT 2011 地域別レビューとお客様事例 日本 また通信機器市場は 、NGN 関連投資が一巡したものの 、次世代技術( LTE )の携 Graph 2 国内 IT 市場予測 帯基地局整備が本格化し、震災対応の投資も予定されているため、市場規模はわ ずかながら拡大すると見込んでいます 。 (十億米ドル) 160 143.8 137.7 142.6 144.4 IT サービス市場も、IT 関連予算全体の縮減に伴い、前年に引き続き 1–2% の市場 144.4 縮小を想定しています 。震災影響により新規のシステム構築案件の中止や延伸が 120 見込まれ、さらにシステム運用にかかる費用の削減も想定されます 。 80 しかしながら、一方では災害対策としての事業継続( BCP ) を意識した IT システ ム運用の見直しや、震災からの復興に向けてクラウド・コンピューティングのよ 40 2010 0 2011 2012 2013 うな新たな IT サービス利用の導入は進むと見込まれます 。また、法改正に対応し 2014 (出典:IDC The Worldwide Black Book Q1 2011) たシステム更新需要も想定され、中期的には IT サービス市場は再び拡大に向かう と予想しています。 今後の取り組み IT サ ー ビス市場において 、圧倒的に強い存在を目指します。クラウド・コン ピュー ティ ングが広がりを見せる中、当社の持つネ ッ トワ ー ク、サ ー バ、スト レー ジ、ミドルウェア、アプリケー ショ ンといっ た高品質プロダクトを結集し 、 高い信頼性を持つクラウドサー ビスを提供します 。 Graph 3 売上高 * 、売上高営業利益率 サ ーバは 、今後も拡大が見込まれる PC サ ーバを中心に拡販強化を継続してい (十億円) (%) 4,077.1 4,229.7 4,000 3,000 2,000 4.7 3,789.9 5.7 3,400.5 10 り 、今期は中堅中小市場向けの省スペ ース、省電力型のマイクロサ ーバや 、デ ー 3,389.2 8 タセンター向け高集約ラックサーバなど、成長分野への製品投入を強化していき 6.4 6 ます 。また、プライベートクラウドの構築に必要なハードウェアやソフトウェア 4.9 4 2.8 1,000 0 2 2007 2008 2009 2010 (3 月 31 日に終了した会計年度) n n売上高 (左目盛り) 売上高営業利益率(右目盛り) * セグメント間の内部売上高を含む 2011 0 PERFORMANCE 5,000 きます 。高性能と低消費電力・静音を実現した PC サ ーバはシ ェアを拡大してお をパッ ケ ー ジ化し 、プライベ ー トクラウド稼動までの期間を大幅に短縮する 「 Cloud Ready Blocks( クラウドレデ ィー ブロ ックス)」を拡販するなど 、競争力 のある製品を投入し、国内トッ プシェ アを目指します 。 ネットワークプロダクトでは、LTE の展開を加速するとともに、LTE や光アクセ スなどのネットワークを活用したホームエリアの ICT 化など、新しいビジネス領 域への展開を目指します。 サービスでは、クラウド・コンピューティングを軸に新しいサービスの展開を 進めます 。具体的には、SaaS を活用した地域医療ネットワークサービスや、CAD サービスなど製造業向けのエンジニアリングクラウド、走行中のタクシーから得 た情報を活用する道路交通情報サービス、スーパーコンピュータを活用したIT 創 薬の研究など、これまでにない新しいサー ビスの創造に取り組みます 。 また、パブリッククラウドのシステム基盤商品として、当社データセンターを 中核に 、独自の技術をベ ースとした「 FGCP/S5(エフジ ーシ ーピ ー/ エスフ ァイ ブ)」や 、マイクロソフト社の「 Windows Azure platform 」を活用した「 FGCP/A5 (エフジー シー ピ ー/ エー フ ァイブ)」の商用サ ービスをグロ ー バルに開始しま した 。これに加え、クラウド型のシステム構築フレームワーク 「 INTARFRM(イン ター ファー ム)」を整備し、システム開発の基盤として効率化を図ります 。 また、これらクラウド・コンピューティングの広がりに伴い、アプリケーショ ン開発に従事する SE を運用サー ビスやビジネスプロデ ュー スの機能へシフトさ せ 、お客様との接点をこれまで以上に増やし 、新たな ICT 利活用へ向けた提案力 の強化を図っていきます。 FUJiTSU LIMITED ANNUAL REPORT 2011 051 地域別レビューとお客様事例 欧州・中近東・アフリカ EMEa 欧州・中近東・アフリカ お客様事例 の大規模ストレージソリューションを提供しています。このソ リューションにより、物理的なテープ技術の必要性を取り除く とともに、災害時のデータ復旧作業を簡素化・自動化するディ スクベースのデータ保護システムを立ち上げることが目的で す。 「 ETERNUS CS 4000 システム」1 台と「 ETERNUS DL 1500 シ ステム」2 台を使用すれば、最小コストで機能を最大化すること ができます。さらに 4 年間の 24 時間 365 日ノンストップのサー ビス契約を締結しており 、同システムの可用性・信頼性を保証 しています。BBVA グループが掲げるグローバル戦略の一環と して 、メキシコ国内のモンテレイとメキシコシティ間で事業 バーチャルテープ 「 ETERNUS CS 」 BBVA グルー プ データの複製を作成するために今回の投資を行っています。 富士通は BBVA グループの要望に対して柔軟性を持つ提案をし たことで今回のプロジェクト受注に成功しました。富士通はBBVA グループの要求に合わせて、独自の重複除外技術と効率的な圧縮 BBVa グルー プのニー ズに応じた 革新的なストレー ジシステムを提供 技術を組み合わせた特有のモデルを作成し、各情報が最適な形で スペインの金融機関である BBVA グル ー プは 、個人・法人顧 り、将来的にコストを大幅に削減することが可能となります。 客向けに非常に多岐にわたる金融および非金融商品、サービス BBVA グループの欧州データ処理センターのストレージシス ストレージされるようにしました。これにより機能は無限とな をグローバルに提供しています。BBVA グループは世界 30 ヵ国 テム長であるレドンド・プリエト氏は次のように述べています。 以上で事業を展開し 、社員数は 10 万 4 千人、顧客件数は 4,700 「このソリューションではシステムの機械的な部分における物 万件を超えます。BBVA グループは 1995 年以降、米州、特にラ 理的故障を排除し 、またディスク性能が向上するので 、バッチ テンアメリカで事業ネットワークを拡大しており、現在メキシ 処理およびバックアップ時間を最小限に抑えることができま コでは同国最大の金融機関となっています 。 す。さらにカートリッジがディスクに置き換えられるため 、 富士通はBBVAグループに、 「 ETERNUS CS 」を使った多重構造 カートリッジでのデータ読み込みエラーがなくなります。」 市場動向 2011 年のEMEAにおけるIT 市場は、世界金融危機から緩やかな回復を見せた前年 Graph 1 の流れを受け、前年比6.8% 増と回復基調が続くと予測されています。 g Graph 2 東 2010 年英国 IT サービス市場シェア (金額ベース) 1 2 3 4 5 6 7 nA 社 nB 社 nC 社 nD 社 n富士通 nE 社 nその他 影響により歳出削減を行っている英国を除き、輸出を中心に景気が回復傾向にある 6.5% 5.8% 5.5% 4.9% 1 ドイツなどを中心とした西欧諸国も好調に推移すると見込まれています。当社の 2 3 4 4.3% 3.6% 69.4% 欧・アフリカは景気拡大により市場拡大が続くと期待されていますが、景気悪化の 5 7 6 主要市場である英国については、政府の歳出削減が長期化すると見込まれており、 2011 年以降も IT 投資の回復は緩やかな成長にとどまると予測されていますが、一 方、調達、シェアードサービス、オフショア、インフラ・アウトソーシング、BPO な ど、コスト削減につながる投資分野については、今後も成長が期待されています。 (出典:Gartner, Market Share: IT Services, 2010 31 March 2011) 052 FUJITSU LIMITED ANNUAL REPORT 2011 地域別レビューとお客様事例 欧州・中近東・アフリカ 製品別で見ると、IT サービス市場は、前年比 2.3% 増と緩やかな回復になると予 Graph 2 EMEA IT 市場予測 測されています 。しかしながら、当社アウトソーシングビジネスの最大顧客であ る英国政府の IT 予算削減や 、競合他社との価格競争激化など 、市場環境について (十億米ドル) 800 600 538.8 575.5 610.1 は予断を許さない状況です 。 679.4 644.8 サー バ市場は 、東欧・アフリカなどを中心に市場拡大が期待されますが 、成熟 市場である西欧諸国は、価格競争の激化などを背景に前年比若干の減少と見込ま 400 れており、EMEA 地域全体でも前年比 0.2% 増とほぼ横ばいと予測されています 。 特にハイエンドサー バ市場では 、ロ ー エンドサ ー バへの需要シフトによっ て前 200 2010 0 2011 2012 2013 年に引き続き大きな落ち込みが見込まれていますが 、当社の主要製品である PC 2014 (出典:IDC The Worldwide Black Book Q1 2011) サー バやミ ッドレンジサ ーバについては 、クラウド・コンピ ュー テ ィ ングなど 新たなニーズが高まっており、市場の拡大が期待されています 。ストレージ市場 は 、サ ーバ市場と同様、前年比横ばいと見込まれています。パソコン市場は 、東 欧やアフリカが前年に続き大幅な成長が見込まれるほか、西欧諸国についても、 景気回復の影響を受けて成長すると見込まれており 、前年比 5.0% 増と予測され ています 。 今後の取り組み Graph 3 売上高 * 、売上高営業利益率 これまで EMEA においては、インフラサービスを中心にビジネスを拡大してき (十億円) (%) 900 975.6 736.3 769.9 12 849.5 3.3 300 2.0 0.1 0 –300 2007 9 シュ アランスグル ープ」と連携することで 、不採算プロジ ェ クトの撲滅を進め 、 6 EMEA 地域での収益改善を目指します。また 、日本とドイツの富士通テクノロ 3 ジー・ソリューションズ (以下、FTS )に分散していた PC サー バ・ストレー ジなど 612.8 600 2008 2009 –0.3 –2.2 0 2010 2011 –3 (3 月 31 日に終了した会計年度) n n売上高 (左目盛り) 売上高営業利益率(右目盛り) * セグメント間の内部売上高を含む た。これに対処するため、グローバルにおけるアシュアランス機能を有する「ア PERFORMANCE 1,200 ましたが、一部において不採算プロジェクトが発生し、収益は大幅に悪化しまし 組織の一体化を行いましたが 、さらに PC サーバでは 、ヘッ ドクォーター をドイ ツに置き、グロー バル商品の強化を図ります 。このように、グロー バルで商品や ビジネス基盤を共通化することで、国内同様安定した高い利益と成長を望むこと ができる強い事業体質の構築を目指します 。 地域別でみると 、英国 & アイルランド地域では 、民需ビジネス拡大により政府 公共部門中心の体質転換(顧客セグメントの最適化) を進めるとともに、インフラ サービスの効率化、およびクラウドビジネスの展開により事業体質の強化を図り ます。また、現状売上構成の 7 割を占めるインフラサービスを拡大するとともに、 サー バ、ストレ ー ジなど自社製品の拡販、アプリケ ー シ ョ ンやネッ トワ ー クソ リューショ ンの強化により、製品ポー トフォリオの拡充を図ります 。 欧州大陸は 、市場の成熟度・売上規模等をベ ー スに 、 「ドイツ」 「 西欧」 「 新興市 場」の 3 つに分類し 、アカウントマネジメント、各ビジネスの専属営業の導入、マ ルチチャネルの拡販など営業体制の強化により 、ビジネスの拡大を目指します 。 また 、PC サ ーバや PC に強い FTS の特長を活かし 、プロダクトビジネス、保守など 基盤となるビジネスを強化することで、安定的な成長と利益拡大を目指します 。 北欧は 、地域内の調達業務、サー ビスデスクの統合等により効率を高め 、利益 率改善を図ります 。また、グローバル企業をターゲットとしたプロジェクトチー ムを編成し、営業力を強化することで、北欧市場でのさらなるシェア拡大を目指 します 。 FUJiTSU LIMITED ANNUAL REPORT 2011 053 地域別レビューとお客様事例 米州 The americas 米州 お客様事例 セントルイス・カレッ ジ・オブ・ファー マシー では 、入学し た学生全員にパソコンを支給するので、丈夫で何年もの使用に 耐える高信頼の製品が必要です 。当社のタブレ ッ ト PC である 「 LIFEBOOK® T シリーズ」は、長年富士通のお客様である同大学 に、大きさ、重さ、フルサイズのキーボードに加え、豊富な機能 や頑丈な構造、脱着式バ ッテリ ー、価格、そしてなによりも富 士通の品質とサービスに対する高い評判を評価され、採用して いただきました 。 セントルイス・カレッジ・オブ・ファーマシーのCIO でIT 部門 のバイス・プレジデントである F. Chad Shepherd 氏からは 、 「大学の内容についていくために 、学生たちはパソコンをとて も酷使するので 、信頼性が高く 、そして最先端の技術を搭載し たパソコンは我々にとってとても重要なのです 。過去数年にわ スレート PC「 STYLISTIC Q550」 写真:Jennifer Silverberg たり、富士通のタブレット PC は、そのような我々の要求を満た す、もしくはそれ以上のものを提供し続けてくれました 。現在 セントルイス・カレッジ・オブ・ファーマシー は、他社の製品にはない優れたエンタープライズ向けの性能を 薬科大学の学生に 高信頼のパソコンを「投与」 備えた Windows OS 搭載のスレ ー ト PC「 STYLISTIC Q550」に興 味を持っ ています 。既存のネッ トワー クにそのままつながる 1864 年に設立されたセントルイス・カレッジ・オブ・ファー 機能や 、長時間の授業にも対応できる 8 時間持つ脱着式バッテ マシーは、米国において最も古い歴史を持つ大規模な薬科大学 リー、指紋認証を用いた高いセキュリティも備えています 。こ の一つです。6 年間の課程は、一般教養および科学、そして薬学 うした特長は、より生産的で実りの多い大学生活の実現のため 博士号を取得できるプロフェッ シ ョ ナルプログラムにより構 に我々 がコンピ ュー タを最大限に活用することを可能にして 成されています 。現在、25 の州から 1,200 人を超える学生が同 くれると考えています 。」との感想をいただいています 。 課程で学んでいます 。 市場動向 2011 年の米州 IT 市場は前年比 10.1% 増と大幅な成長に転じた 2010 年は下回る Graph 1 2010 年北米 メトロWDM 市場シェア ものの 、成長基調は継続し 、前年比 7.4% 増と比較的高い成長が見込まれていま (金額ベース) す。米国では製造業をはじめ小売や運輸などの分野で景気が上向きつつある一 n富士通 nA 社 nB 社 nC 社 nその他 方、労働市場の回復ペースは鈍く、中小企業を中心とした経営環境の厳しさが継 1 2 3 4 5 28.7% 17.4% 16.6% 14.8% 22.5% 続しています 。g Graph 2 5 1 2011 年の米州 IT サービス市場は前年比 4.6% 増と 、2010 年の前年比 3.9% 増の 成長に続く緩やかな伸びが予測されています。企業の投資活動が活発化し始めて 4 3 2 おり、特に「仮想化」や「クラウド・コンピューティング」をキーワードとする回復 が見込まれています。それらに加え、スマートフォンの利用拡大などにより新し い市場の枠組みが生まれ、既存ベンダーの市場のポジショニングに再定義を促す (出典:Ovum, Market Share: 1Q11 ON Global, June 2011) 054 FUJITSU LIMITED ANNUAL REPORT 2011 ことにより、前年に続き企業による M&A 活動は活性化すると考えられています。 地域別レビューとお客様事例 米州 ハードウェア市場は総じて大きく回復した 2010 年からは減速し、プロダクト Graph 2 米州 IT 市場予測 ごとにまだら模様が見られるものの 、引き続き全体としての成長基調は継続す ると見込まれています 。サー バ市場全体では 、前年比 9.4% 増と大幅な回復を達 (十億米ドル) 1,000 800 666.7 715.7 763.4 成した 2010 年からは落ち込みますが 、前年比 2.5% 増の成長が見込まれていま 843.3 804.6 す。ハイエンドサ ー バ市場に関しては前年比 6.1% 増と比較的堅調に回復した 600 2010 年から落ち込み 、13.0% 減と大幅に縮小する予測です 。ミ ッ ドレンジサ ー 400 バ市場は前年比 27.7% 増と前年をさらに超える大きな成長が見込まれ、ローエン 200 ドサーバ市場についても前年比4.1% 増と引き続き伸長する見通しです 。ストレー 2010 0 2011 2012 2013 ジ市場は 、前年比 19.8% と大きく回復した 2010 年からは縮小するものの 、前年 2014 (出典:IDC The Worldwide Black Book Q1 2011) (米州:北米および南米) 比 5.2% 増と堅調な成長が予測されています 。パソコン市場では 、タブレッ ト PC のコンシューマー向けに加え企業での展開が進むと見られており、前年比 8.9% 増と成長に転じた 2010 年からは落ち込むものの、前年比 1.8% 増と緩やかな回復 は続く見込みです 。通信機器市場は、前年比 6.8% 増と、前年に続く成長が見込ま れています 。 今後の取り組み 当社は 、2009 年 4 月に北米子会社 3 社を統合して富士通アメリカを設立し 、米 Graph 3 売上高 * 、売上高営業利益率 州におけるビジネスの中核としての強化を行ってきましたが、2011 年も引き続 (十億円) (%) 450 442.3 365.2 293.8 300 1.9 298.4 0.6 0 0.9 6 り 、コンサルテ ィングおよびアプリケ ー ショ ンサ ー ビスの立て直しを図ると同 4 時に 、プロダクトビジネスの拡大に向け 、販売体制強化とチャ ネル整備に取り組 2 みます。また、POS( Point of Sale ) やセルフチェックアウトシステム関連サービ 0 –0.4 2007 まず、北米においては、営業活動の強化とインセンティブプランの見直しによ 2.0 150 –150 8 469.9 2008 2009 2010 (3 月 31 日に終了した会計年度) n n売上高 (左目盛り) 売上高営業利益率(右目盛り) * セグメント間の内部売上高を含む 2011 –2 PERFORMANCE 600 き米州ビジネスの変革に向けて様々 な施策を打っ ていきます。 スなど、主に北米の小売業界向けのお客様にこれまで提供してきたサービスを、 他の地域へ横展開していきます 。デー タセンタ ー ビジネスに関しては 、国内で 2010 年10 月に開始したクラウド・プラットフォーム展開を米国でも進め、2011 年 5 月にサービスを開始しました 。今後、 (株)セー ルスフォース・ドッ トコムや マイクロソフト社とのパートナーシップを活用し、クラウドビジネスの拡大に努 めていきます 。南米では、引き続きブラジルを中心にシステムプラットフォーム や手のひら静脈認証装置のビジネスを進める一方で、欧州・日本のお客様の中南 米事業展開を支援すべく、サービス事業も含め他の諸国へのビジネス拡大を図り ます 。 北米の光伝送システムは 、デー タトラフ ィッ ク増に対応したモバイルバ ッ ク ホー ルなどのバ ッ クボー ン増強に向けた投資が 2011 年も継続すると見込まれ ており、メトロ WDM を中心に売上を拡大することで、No.1 シェアの維持を目指 します 。また、グローバルキャリアのアウトソーシング、グローバル展開商談の 獲得を目指します 。 FUJiTSU LIMITED ANNUAL REPORT 2011 055 地域別レビューとお客様事例 アジア・パシフィック、中国 apaC, China アジア・パシフィック、中国 お客様事例 る富士通のサポートチームの人員も年々増強されてきました。 また、マネー ジドサー ビス、ハー ドウェア・ソフトウェアの ソリ ュー シ ョ ンと関連サー ビスも提供しています 。これらの 契約下において 、FAL は具体的には以下のような業務を実施し ています。 ・210 以上のサーバで構成される同警察のメインデータセンターの構築 と保守 ・Unix サー バと Wintel サー バで構成される開発テスト用デー タセン ターの構築とマネジメント ・メインデータセンタ ー において運用している主要なアプリケー ショ ンの緊急時バックアップのための施設構築とマネジメント ・デスクトップ PC 、ノートブック PC 、サーバ、スイッチと SAN ストレー ジなどの IT 機器の提供 オー ストラリア・ヴィクトリア州警察 富士通オーストラリアの力をフルに用いて 警察業務をサポー ト 2010 年 4 月にはヴ ィ クトリア州警察から SAP をベ ー スとし た新しい人事、給与、ネ ッ ト求人システムの運用を委託され 、 FAL はこのシステムのサポー トと強化も行っ ています。 オーストラリア・ヴィクトリア州警察のミッ ショ ンは、500 また 、最近では 、FAL のコンサルテ ィ ング・グルー プがヴ ィ 以上の同州における拠点をベースとして、法律に則った警察業 クトリア州警察の抱える多くのデスクト ッ プ PC の消費電力を 務の執行を 24 時間 365 日行うことにより、540 万人を超える住 削減するためのアドバイスも行っ ています。 民に安全な社会を提供することです。 現 在 では 150 名 以 上 の FAL 富士通オーストラリア (以下、FAL ) は、15 年以上にわたって、 のスタ ッ フが警察内のシステ IT プロダクト、サ ービス、アプリケー シ ョ ンなど FAL の力をフ ムへアクセスし 、全ての部門 ルに活用してヴィクトリア州警察の業務を支えてきました 。 が一丸となってヴィ クトリア この間、FAL はヴィ クトリア州警察に対して 、警察業務に関 州警察のニ ー ズに迅速に 、か 連するアプリケー シ ョ ンのみならず 、数々 の組織運営のため つプロフェッショ ナルに応え のアプリケーション・サポートを提供してきており、中核とな ています。 市場動向 2011 年の中国 IT 市場の成長率は 、短期的に は東日本大震災に よ る景気へ の Graph 1 中国 IT 市場予測 影響は あ る も の の 、積極的財政政策継続に よ り約 18% 増が見込ま れ て お り 、 2010 年から 2014 年までの年平均成長率で見ても 、約 16% 増と高成長が続くと (十億米ドル) 250 195.2 200 170.2 150 106.4 125.3 146.9 す。 「物聯網(ウーリエンワン)」 ( Internet of Things ) というコンセプトのもと、 環境保護・省エネ、交通 ITS 、遠隔医療、スマー トグリッ ドなど 、様々 な社会イン 50 2010 2011 2012 2013 2014 (出典:IDC The Worldwide Black Book Q1 2011) (中国:香港を含む) 056 おいては、新エネルギー・素材、省エネ・環境、バイオ・医療、先端製造業と並び、 情報ネッ トワー ク分野を戦略的に発展させ 、育成すべき分野と位置づけていま 100 0 見られています 。 g Graph 1 2011 年よりスタートした「第 12 次五ヵ年規画」に FUJITSU LIMITED ANNUAL REPORT 2011 フラ整備のため政府主導による大型資金投入が計画されています。 地域別レビューとお客様事例 アジア・パシフィック、中国 中国を除く APAC の IT 市場の 2011 年成長率は、約 15% 増になると見込まれてい Graph 2 APAC IT 市場予測 ます 。 g Graph 2 東日本大震災が一時的に部材調達や生産活動に下振れ影響を与 えるおそれがありますが、中長期的には経済発展に伴いインフラ整備が進み、成 (十億米ドル) 250 200 150 136.8 156.6 174.2 長企業での IT 投資が進むことから、2010 年から 2014 年までの年平均成長率で約 215.0 193.8 12% 増と高成長が続くと見られています 。アセアン諸国では政府による大規模 なインフラ投資が計画されており、個人消費や設備投資が拡大していく中で、必 100 要とされる政府と民間企業の IT 投資の拡大が続きます。インドは公共投資や個人 50 消費を中心とする内需、輸出産業としてのソフトウェアサービス等の外需が高い 2010 0 2011 2012 2013 経済成長をもたらすと考えられています 。こうした背景から IT 投資意欲も拡大 2014 (出典:IDC The Worldwide Black Book Q1 2011) ( APAC:日本、中国、香港を除く) しており、2010 年の約 5% 増から 2011 年は約 13% 増、2010 年から 2014 年まで の年平均成長率は約 12% 増と高い成長が見込まれています。オセアニア地域で は 、短期的にはオ ー ストラリア新政府の財政削減方針や洪水の影響、さらに ニュージーランドで発生した地震の影響で IT 投資の遅れが見込まれますが、その 後は IT サービスを中心に拡大基調が続くと予想されます 。 今後の取り組み 中国においては 、当社のコアビジネスであるテクノロジ ー ソリュー シ ョ ンを Graph 3 売上高 * 、売上高営業利益率 拡大するほか 、新しいビジネスを育成します 。具体的には 、日系企業や外資系企 (十億円) (%) 807.1 6.0 855.0 750 4.5 656.0 505.4 500 405.1 2.6 250 0 1.4 2007 3.0 2.7 1.7 1.5 1.0 2008 2009 2010 (3 月 31 日に終了した会計年度) n n売上高 (左目盛り) 売上高営業利益率(右目盛り) * セグメント間の内部売上高を含む 2011 0 客様ビジネス拡大を優れた IT インフラで支えていきます。また、PC サーバやスト PERFORMANCE 1,000 業向けサービスビジネスのさらなる拡大と中国地場ビジネスへの展開を進め、お レー ジを中心としたプラットフォー ムビジネスを既存顧客中心に拡大していく 一方で、携帯電話等の新規ビジネスを立ち上げ、新たな顧客層に向けた拡販を行っ ていきます 。さらに 、グロー バルで急成長しているクラウド市場でのシ ェ ア拡 大を狙い、データセンターへの投資を積極的に行うことで、クラウドをベースに したソリューショ ンビジネスを展開していきます 。 アセアン地域では、今まで現地顧客と並行して、日系のグローバル企業向けビ ジネスを開拓してきましたが 、欧米のグロ ー バル顧客も開拓対象に加え 、専門 チー ムを作り商談を発掘していきます 。また 2011 年 3 月に本稼動したクラウド サー ビスを提供する基盤となるサー ビス指向プラッ トフォー ムやクラウド専門 のマー ケティング部門の構築を通じて 、クラウドビジネスを本格的に立ち上げ 、 成長戦略の柱として強化します 。 東アジア地域では 、サ ー バや POS 等のプラッ トフォー ムビジネスが中心です が、現地企業とのパートナーシップによる食品・流通向けや医療・農業向けのク ラウドサービスを推進し、サー ビスビジネス化へ強力にシフトしていきます 。 インドでは従来のオフショ アリソ ー スの拡充による欧米からのビジネス拡大 に加え、富士通テクノロジー・ソリュー ショ ンズをインドの IT インフラビジネス の推進主体として、スケールと経営品質両面でビジネスの改善を図っており、PC サー バをはじめとするシステムプロダクトの拡販を積極的に行っ ていきます 。 オセアニア地域では、富士通のクラウドサービスを市場全体で展開し、ICT 市場 における優位性をさらに高めるべく 、マ ー ケッ トシ ェ ア拡大を狙います 。また 業種別では現在政府系ビジネスに強みを持っ ていますが 、今後はネ ットワ ー ク や金融分野等にビジネスの裾野を広げていきます 。 FUJiTSU LIMITED ANNUAL REPORT 2011 057