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Future of AR×VR ~日本の未来を変える新技術

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Future of AR×VR ~日本の未来を変える新技術
第14回
日経STOCKリーグ
応募区分
中学
筑波大学附属駒場中学校3年
チーム名
メンバー
HUSKY
◎ 里正
天
○ 山口 達寛
○ 秀島 宇音
○ 魚住 亮介
○ 倉持 勇汰
指導教員
大野
新
業種
コード
銘柄名
上場市場
購入額(円)
割合(%)
建設
1801
大成建設
東証一部
236726
4.78
情報・通信
2327
新日鉄住金ソリューションズ
東証一部
279840
5.65
機械
6460
セガサミーホールディングス
東証一部
283068
5.74
電気機器
6501
日立製作所
東証一部
293746
5.93
電気機器
6752
パナソニック
東証一部
324000
6.56
電気機器
6758
ソニー
東証一部
285345
5.79
電気機器
6773
パイオニア
東証一部
260480
5.26
輸送用機器
6902
デンソー
東証一部
276480
5.55
精密機器
7733
オリンパス
東証一部
254405
5.17
電気機器
7751
キヤノン
東証一部
334620
6.79
電気機器
7752
リコー
東証一部
246654
4.98
その他製造
7911
凸版印刷
東証一部
288972
5.84
その他製造
7912
大日本印刷
東証一部
308074
6.22
その他製造
7974
任天堂
東証一部
298080
6.03
情報・通信
9432
日本電信電話
東証一部
340560
6.89
情報・通信
9433
KDDI
東証一部
380480
7.66
情報・通信
9600
アイネット
東証一部
255592
5.17
※企業の点数化によって割合を決め 2013/11/29 の終値で購入株数を計算し、手数料、消費税をふま
えて購入したため割合と購入金額とには若干の違いがある
※割合は小数点第三位を四捨五入した値
2
将来、日本を変えていく。そんな新たな革命となるような技術はなんなのか。という疑
問提起から始まった私たちのポートフォリオのテーマは「AR:拡張現実感 VR:人工現実感」
という形に収束した。この AR、VR 技術は現在どこまで進歩しているのか、そしてこれか
らどのような発展を遂げられるのかを書籍、インターネット等での下調べ、研究者や、企
業訪問を通したポートフォリオ学習で考察したところ、この技術が広く普及すれば私たち
の生活はより良いものになるという考えが深まっていった。
この技術の開発、活用に力を注いでいる企業への仮想投資を通じて得た経験をもとに、
これからもこの技術だけでなくいろいろな分野の成長を、日本経済に参加している一人の
国民として見届けていきたい。
0.
要旨 ···················································································· 3
1.
テーマ設定までの道のり ························································· 4
2.
AR の研究 ············································································ 6
3.
VR の研究 ·········································································· 15
4.
企業スクリーニング ····························································· 22
5.
企業点数化の結果 ································································ 39
6.
企業訪問 ············································································ 52
7.
選んだ銘柄の株価の推移と考察 ·············································· 59
8.
終わりに~日経STOCKリーグを通じて~ ····························· 70
9.
参考資料 ············································································ 73
3
なぜ私たちがこのテーマにしたのか。
テーマを決めるにおいてまず、この日経STOCKリーグで、過去のチームがどんなテーマ
を選んでいるのかを見てみた。すると、本当に多彩なテーマがあることに驚いた。私たちの学
校の先輩に「植物工場」をテーマにしたグループがあり、そのマニアックさからテーマは特に
分野を問われないと分かったので、班員みんなで、会合を開いたり、Fresh Meeting というチ
ャットを使ったりしていろいろなことを話し合った。
最初に話題にあがったのは、
「現代の人のニーズ」である。そこでまず思いついたのが現代の
若者の消費意欲が減退しているということだ。
去年の流行語大賞にもノミネートされたいわゆる「さとり世代」というもので、不況しか知
らない彼らは現実的な将来を見通して悟ったようになり、過度に期待したり夢を持ったりせず、
浪費をしないで合理的に行動するようになった、と言われている。
そんな「昨今の若者のニーズ」を考えると私たちが投資するべきものは「もの」
、というより
も、もっと新しい「技術」であると考えるようになった。
それを踏まえてその後も様々なテーマが出た。資源関連であったり、SNS 関連だったり、ホ
ットな話題であるオリンピック関連であったり、だがそのどれも私たちに「これだ!」と思わ
せるようなものではなかった。オリンピックをテーマにしようという議論はかなり長くなされ
たのだが、結局はありきたりすぎる、という結論で、もっとこれから育てていかなくてはいけ
ない技術、というチームの総意にはあまりあてはまるものではなかった。
テーマに悩んで長い時間がたったある日、僕(里正)は、ある(名前は忘れてしまった)テ
レビ番組を見ていた。そこで取り上げていたのが「AR(拡張現実感)」という最先端の技術で
その中では AR 技術を用いたカーナビをはじめとして様々なものが紹介されていた。
軽くは知っていたが、この技術がこんなにも大きな可能性を秘めていることは知らなかった。
そして次の会合の時にこの話をすると、意外にも誰も知らないということが発覚した。ただ AR
という言葉を知らないだけで、内容は多少知っている人もいた。そして班員の総意は、
「やばい、
この技術いい!」というものだったので、テーマをこの AR というものに落ちつけたわけだ。
これは株式会社パイオニア製の AR 技術を用いたカーナビである
4
そこでこのテーマがふさわしいものかどうか、考えることになった。これは AR が最先端の
技術で、未熟な技術でもある、ということを踏まえている。
一つ目に、このストックリーグの趣旨に沿っているか。というところだが、これは全く問題
ないという結論に至った。というのもこのポートフォリオは長期保有を見越してするもので、
自分たちが成長してほしいと思う企業、あるいは業界に投資するのが自然で、それは、まだ未
成熟な企業、業界であったとしても然りだ。むしろそちらの方が投資するべきである。
二つ目に、AR に関連している企業は多いのかどうか、という問題で、これがなかなかの難問
だった。なまじ上場している企業が少ない。企業数はそれなりにあるのだが、投資するために
は上場している必要があり、そんな企業を見つけるのが非常に大変だった。
そこで私たちは「VR(人工現実感)」に目を付けた。AR について調べている途中で見つけた
言葉だが、AR が今いる現実の上に重ねて、実際にはないものを提示するのに対し、VR はその
現実から作り出すというもので、今話題にもあがっているヘッドマウントディスプレイ(HMD)
はこの技術を用いている。これについても詳しく後に書くが、この VR もテーマに加えよう、
という意見で一致した。この VR から派生して AR が生まれたというためだ。さらにこの業界も
廃れているということは全くなく、むしろいまだに未熟であるということも分かったからでも
ある。
これはソニー製の HMD で、これを頭に装着すると右のような映像が目の前に広がる
このような経緯を経て、私たちが選んだテーマが「Future of AR×VR」である。この of には
二つの意味を込めている。この AR と VR が将来どこまで進歩するのか、という意味での「AR
と VR の未来」と、AR と VR が生活に深く関わっている未来を想像して「AR と VR の未来」
という意味だ。
まだまだ未熟なこの技術が、どのようにすればもっと世界中に広がり、日々の生活を便利な
ものにしていけるのか、そんなことを考えつつ、どんな企業があるのかを調べていこうという
意思を固めたのだ。
ここから企業を探していくことになるのだが、この技術が最先端であるがゆえに、企業も情
報をなかなか洩らそうとしないため、なかなか簡単には情報をつかめない、ということでこの
チームでは、いろいろな情報を知っているであろう研究者に協力を仰いだ。その甲斐もあり様々
な情報を知ることが出来た。次章ではその情報を主に、自分たちでメディアを駆使して調べた
情報も加えて、AR、VR についてまとめておく。
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まず、AR について説明する。AR について研究し、企業の選定をするために私たちは慶應義
塾大学メディアデザイン学科教授稲見昌彦教授とメンバーの二人で Skype を用いて会談した。
(1) 稲 見 昌 彦 教 授 と は
稲見昌彦教授は、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科の教授で、専門はインタラ
クティブ技術、複合現実感、ロボット工学、リアルメディアなどである。漫画『攻殻機動隊』
に登場する技術「熱光学迷彩」をモチーフとした、再帰性反射を利用した光学迷彩を実際に
開発した研究者として世界的に有名。東京工業大学在学時は入学当初より学生サークル『東
工大ロボット技術研究会』に所属し、趣味でバーチャルリアリティシステムを多数自作した。
2003 年、米国「TIME」誌 Coolest Inventions2003 に選定されるなど AR の世界的権威であ
るのだ。また、上記のように「攻殻機動隊」の他にもアニメに造詣が深く AR が作品に登場
する「電脳コイル」というアニメの監修も行った。そんな教授との会談で得たことから考え
られる AR とはどのようなものか、について書く。
(2) AR の 定 義
まず AR(Augmented Reality)という言葉はもちろん海外から流入した言葉だ。ではそれを
しっかり理解するために日本語に直すとするといったいどうなるのか。
AR は拡張現実、ではなく正しくは拡張現実感と訳される。なぜ感が付くのかといえばあく
まで現実ではなく感覚をだましているにすぎないというニュアンスを生み出すためだそうだ。
そして AR とは基本的には CG を現実世界に重ね、その CG が現実であるかのように見せ
る技術、と定義される。よって一般的に AR といえば視覚を操作するものがイメージされる
かもしれないが、AR とは現実を拡張するものであるため聴覚、触覚、嗅覚、味覚を操作する
ものも AR と定義される。
(3) AR の 始 ま り
AR というもの自体は初めて VR という技術が世に出た 1960 年代 Ivan Sutherland 教授の
開発したヘッドマウントディスプレイをシースルーにすることで AR 自体は開発されていく。
そして本格的に AR の研究自体が始まったのは 1990 年代初頭である。しかしその時 AR を
再現するには大掛かりなコンピューターが必要だった。よって必然的に機械のメンテナンス、
医療、軍事目的で開発、研究されていた。今のような大衆向けの娯楽用の AR など存在もし
ていなかった。
6
そこで登場したのが AR の父と呼ばれる東京大学大学院情報学環教授の歴元純一教授であ
る。歴元教授はコロンビア大学にてマーカー型の AR を完成させたのだ。これの発明により
AR の普及がより容易になったためこれが AR の始まりといえると考える。
そしてマーカー型以外にも AR の方式は考案されていった。マーカーではなく GPS 情報と
町の風景の特徴を認識することで AR を実現させるのである。例としては iPhone アプリで一
時期流行った「セカイカメラ」が挙げられる。しかしこれはいまだ GPS の正確性の問題や計
算コストがかかりすぎるという難点があるため実現する機会はなかなかないだろう。
(左)超音波センサーによって頭部位置を検出しコピー機に CG を重畳することで、
補修の教示を行うことを目指したコロンビア大学 Steven Feiner 教授による研究。)
(右)ソニーCSL(現東京大学)暦本教授により開発された世界初のマーカー型 AR。
(4) AR が 活 用 で き る 範 囲
AR の活用できる分野としてはまず AR の目的を考える必要がある。一般的には AR は現実
を拡張するものであるといわれている。稲見教授は、AR は「見えないものを見る」技術だと
話されていた。つまりあわせると AR のポテンシャルは現実を拡張し見えないものを見る、
というものだと理解できる。そこから私たちが考えた AR の目的は「自分たちの能力を拡張
し今までできなかったことをできるようにすることで人生をより有用にする」ものである。
私たちは AR の技術によって今まで見えていたが同時には見えなかったことを同時に見える
ようになることで新しい発見や感動を人々に与えることができるのではないか、と考えた。
では一体 AR はどのようなものに活用されているのか。大きく3つに分類できる。
① プ ロ ジ ェ ク タ ー 型
一つはプロジェクター型というものだ。現実世界に映像を投影することで AR とするもの
である。細かく分けるとプロジェクションマッピングが挙げられる。プロジェクションマ
ッピングとはコンピューターで現実の建物や空間にあわせて CG を作成し、投影する技術
のことだ。YouTube にて東京駅のプロジェクションマッピングの様子を見ることができた
がその様子は壮大、かつ美しくしっかりと作りこまれた高度な技術にとても興奮した。
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東京駅プロジェクションマッピングの様子(イメージ)
また他にはマイクロソフトリサーチからペン型のプロジェクターが発表されているとい
う。これにより設備の規模を小さくすることができるだろう。そして外出先に手軽に持っ
て行けるというのは、例えばその場でもしも AR を用いて説明することになったとしても対
応できるということだ。これは AR の活用を普及させる大きな一歩である。
さらに「Vein Viewer」という血管を外部から切開することなく把握することができる装
置がある。この仕組みは近赤外線によって血管の位置をコンピューター上に表しそれをプ
ロジェクターで患者の皮膚の上に投影するというものであり、手軽、かつ安全であること
からで手術、検診の効率、正確性を上げることが期待できる。
この技術を使えば血管が細い幼児でもはっきりと認識することができ注射などのときに
ミスが減らせるようになると思われる。
↑「Vein Viewer」が実際に使われている様子
最後に、MIT Media Lab の Ramesh Raskar 准教授と慶大稲見教授らにより開発された
技術があり、それは「Shader Printer」という車や靴などの商品にサーモクロミックインク
を塗り、レーザーを当てることでその商品の色を変えていくというものだ。どのような商
品がいいか実際にシミュレートすることが目的で、冷やせば色は元に戻るため何度でも行
えることも強みだ。これもコンピューター上で作り出したものを現実と重ねる AR といえる
だろう。少しプロジェクションマッピングに近いかもしれない。
8
「Shader Printer」が実際に使われている様子
(左)レーザー光により色付けされている (右)冷やすと模様が消えている。
② ヘ ッ ド ア ッ プ デ ィ ス プ レ イ 型
ヘッドアップディスプレイとはヘッドマウントディスプレイに位置センサーからの情報
による映像への視線の追従機能が付いたもののことを言う。例えばカーナビゲーション。
フロントガラスに CG 画像を投影し交通情報を伝えてくれる。またアメリカでは軍事にも
転用されている。AR で戦闘機の訓練を行ったり実際の戦闘機を遠隔操縦したりするのだ。
後者はすでに実戦投入されており判断から行動までに通信のタイムラグがあるのが難点で
ある。また google glass などもヘッドマウントディスプレイだが AR といえる。
google から発表された「google glass」。
図の右側のようにハンズフリーで電話、道案内等諸々のことができる。
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そして僕らが投資した企業の中ではキヤノンがあげられる。キヤノンの技術「MREAL」
である。これはマーカー型の AR で、見る位置によって見える角度も変化するというものだ。
「MREAL」が用いられた時、見えるイメージ
これはほぼタイムラグなしで視点の移動ができ、また双眼鏡のような形の HMD なので
二人以上でも容易に情報が共有できるのだ。
他には視覚障がい者のための AR など面白いだろう。
「Aux Deco」と呼ばれる視覚障がい
者支援システムは電気通信大学梶本裕之准教授らにより開発された技術を用い株式会社ア
イプラスプラスにより製品化された。下の図のように使用者の頭に設置された小型カメラ
で使用者の顔の向きの景色を向きの景色を撮影し、撮影した画像をその「Aux Deco」によ
って大体の形を電気信号へと変換し、額に設置した電極へと出力し額でそれを感じ取り前
方の景色をイメージするという仕組みだ。白杖も用いることでより安全な移動が可能にな
るだろう。
↑Aux Deco の仕組み
↑この様に輪郭がぼんやりと使用者の脳に伝わる
10
(5) 視 覚 以 外 の AR
今まで話したのは視覚の AR と呼ばれるものだが AR というのは視覚を拡張するだけにとど
まらない。
① 触 覚 の AR
触覚コンタクトレンズというものがある。これは名名古屋工業大学佐野明人教授とトヨ
タの共同研究により開発され 2004 年にグッドデザイン賞を受賞した。手袋の表面にこれを
付けることで触覚刺激を増幅させるというものだ。又、ディズニーの研究所では、すでに
ものに触れる時に起こる静電気を利用して質感を再現する技術が開発されている。
② 味 覚 の AR
東京大学情報理工学系研究科鳴海拓志助教授の開発した「Mate Cookie」というものだ。
下の写真のようにクッキーに AR マーカーを乗せ、頭のカメラでそれを読み取り合ったクッ
キーの画像と匂いを体験者に与えるという仕組みだ。それだけで体験者はさまざまな味の
クッキーを味わえるというのだ。人に認識される味というものは科学的な信号のみではな
く見た目、匂い、触感、今までの記憶など実に様々なものが統合されることで決定される
ものであるというのだ。例えば「ファンタ」という炭酸飲料をご存じだろうか。これはさ
まざまな味で発売されているが色と匂いを変えただけであるというのだ。それほど簡単に
我々の脳は騙されてしまう。面白い研究ではあるがいかんせん未だ下の写真のように装置
の規模が大きいため実用化にはまだまだかかるようだ。
実際に(Mate Cookie)を使用している様子。5種類のクッキーが楽しめるようになっている
また電気味覚というものもある。これは明治大学大学院総合数理学部メディアサイエン
ス学科宮下研究室の開発で食べ物に微弱な電流を流すことで舌の味雷が感じる味が変化す
るというもの。現時点ですでにフォーク型の機械ができておりこれから味のバリエーショ
ンが増えていくことが期待できる。
他にも鏡を見ると笑顔になっているような AR などユニークなものが考え出されている。
11
(6) AR が 活 用 さ れ る に は
これらは AR とテクノロジーがうまく目的に向かって合致した形である。しかし、目的と
AR の特性が合致しないままに推し進めてしまった企画も多くある。とくに AR ブームが起き
た 2008~2010 年は顕著だったようだ。それは企業での AR の採用が遅れ、未来の AR の普及
を遅らせることにつながってしまうかもしれない。またそれだけではない。AR と企業のマー
ケティングはとても親和性が高いのだ。その理由としては 2 つある。
一つは目新しさと驚きにより強烈に企業が記憶されるということだ。これはマーケティング
をする企業にとっては見てもらいやすい、覚えてもらいやすい、ということは大変有利なこ
とだ。
もう一つは分かりやすいという事である。現実の情報に現実では表せないような情報を複
合してみせる事でその説得力、把握しやすさは増すのだ。例えばキヤノンは恐竜の骨格に合
わせた当時の恐竜の姿が見える AR 技術を制作した。
「MREAL」を用いて見た恐竜の骨格。当時の再現イメージも同時に見える
つまり AR を企業があまり使わなくなるという事は AR 業界にとっての損失となるだけでは
なく企業にとっての損失にも繋がってしまうのだ。
そのようなことを起こさないために、企業はどのように考えて AR を活用しようとしてい
るのだろうか。次のページで図を見ながら考えてみる。
12
(出典:ITmedia マーティング 連載第 5 回拡張現実の技術を導入するための手順1/2 より)
まず、顧客の希望に沿うように企画をまとめ提案する。そして用いる AR プラットフォー
ムや AR 技術を業者に相談し、できることとできないことをしっかり把握する。その後何の
コンテンツに AR を用いるのか選定し業者に依頼する。そのまま細かい日程やコンテンツな
どを固めていき依頼した業者へ提供する。最後にテストとして動作確認し公開に踏み切る。
という流れである。
しかしこの流れを円滑に進めるために必要なことがある。それはコミュニケーションだ。
顧客の希望に沿った企画書を作る時も、AR のプログラムをプログラマーに依頼する時も相手
のやりたいこと・やれることを理解しなければ企画は往々にして頓挫、あるいは失敗してし
まうのだ。よってこれから AR・VR を開発・活用する企業には製品を企画し、発表するまで
の間に顧客とともに何度も「これが本当にニーズに合っているのか」を確認し、その製品の
リリースの頻度を高め顧客のニーズを常においかけるようにすることが求められると考える。
これからの AR・VR 業界と企業のさらなる発展のために頑張ってほしいと思う。
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(7) AR の 明 日
以上で紹介したように AR とは生活に密接に関わることができ実用化が望まれるものが多
くある。視覚の AR に関しては十分といえるほどの小型軽量化が行われている。しかし、例
えば「google glass」にはまだまだ改良の余地があると考えられるため大きさを保ったまま性
能の向上の研究が推し進められることを期待する。
そして最後に紹介したような視覚以外の AR についてはまず小型化のための研究が進むこ
とが期待できる。しかし、大学の研究室レベルから実用化には 10 年はかかるといわれており
私たちに手に届くはずっと先になってしまうだろう。
AR のこれからの普及について稲見教授に尋ねると、AR はスマートフォンの普及により気
づいていないだけで日常に存在している、そして今日本ではアニメなど文化を媒介として AR
が世界へと発信されていると答えてくださった。又、自身の「透明マント」の開発の経験よ
り日本では若者の世代のフィクションとテクノロジーは互いに影響を与えているという事も
話されていた。
私たちは、AR はこれからの世界にもっと深く広く浸透していくものと考えている。そして
そのテクノロジーのモデルとなっているのは SF 分野、つまりフィクションである。これは人
間の想像力に科学が追いつきだしたという事であり、これからの科学の進歩に胸が高まる。
そして最後に稲見教授は私たちにあることを伝えてくださった。
「大学の研究室とは世の中
にないものを作り出す。しかし世の中に出てきて実用化される商品というものは必ずしもそ
ういうものではない。つまり最先端の技術は必ずしもいいものになるわけではない。」という
ことだ。この言葉を受け、私たちが技術をテーマとしてスクリーニングを行っていく上
で、企業が「ただ最新技術を取り入れ、ただニーズにあわせただけの商品」ではなく
「顧客層にあう潜在的なニーズを探りだし、驚きをもって商品」を売り出せているか
という視点を持つことにした。
14
今回私たちは VR の研究をするにあたり慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメン
ト研究科の小木哲郎教授のもとを訪ね、いろいろなお話をうかがった。
(合わせていくつかの文
献をあたって得た知識をもとに書いている。)
(1) 「 VR」 の 意 味
「VR」という言葉は、英語の「Virtual Reality」の略称である。その読みは「バーチャル
リアリティ」であり、日本でもこの表記が浸透していると言える。例えば、
「3D&バーチャル
リアリティ展」という名称の専門展が毎年開かれている(http://www.iVR.jp/)
。
さて、この意味(和訳)としてしばしば「仮想現実」という語があてられる。
「Virtual」を
「仮想」としているのだが、これには誤りがある。
「仮想」というと「想像上の物」になるが、
本当は「見かけは違うが『本質』を備えたもの」である。この言葉の意味が VR の理解に重
要である。ここでは VR の意味(和訳)を「人工現実感」とする。
VR が目指しているのは、現実世界の「本質」を抽出・再現すること、そしてそれを足掛か
りに「本質」を見つめ直すことなのだ。
この「本質」は不変なものでは無い。
「例えば『バーチャルヘリコプター』が、操縦士のト
レーニングを目的とするものであれば、フライトシュミレータがそれにあたる。また、ヘリ
コプターに乗っている感覚を味わい楽しむためのものとすれば、それはゲームマシンのよう
なものになるのかもしれない。輸送が目的であれば、ヘリコプターの機動性と積載量を併せ
もった飛行船のようなものもバーチャルヘリコプターといえる。」(舘暲 バーチャルリアリテ
ィ入門より引用)
ここでは、具体的に何が「VR」を「VR」たらしめるのか、そしてその発展について説明し
たい。
15
(2) VR の 歴 史
VR 研究の起源は、1960 年代に遡る。今では「コンピューター・グラフィックの父」と呼
ばれるサザランドが「Sketchpad」という、感光ペンを用いてコンピューターで絵を描き編集
する技術を研究・発表した。これによって初めて、それまでのコンピューターの用途(計算・
文字編集)以外に使用することを提示したのだった。
スケッチパッドとサザランド氏
彼はその後も研究を続け、1965 年、
「アルティメットディスプレイ(究極のディスプレイ)
」
という概念を発表したのだ。コンピューターによって三次元空間を人工的に創出し、そこに
人間が入り込んでリアルタイムでコンピューターと対話するというものだった。今でこそ VR
の概念が一般的になったために驚きは少ないが、当時は「電子計算機」というコンピュータ
ーの和名からも分かるように、高速で計算をさせる存在だったコンピューターを大きく超越
している概念だった。
さらに 1968 年、彼はユタ大学にて「HMD(Head Mounted Display:ヘッド・マウンティ
ド・ディスプレイ=頭部搭載型ディスプレイ)」を初めて提唱し、1970 年には最初の装置を完
成させた。
最初の HMD。かなり大型で、天井に繋がっていた。
HMD は現在でも研究が続けられている装置であるから、かなり時代を先取りしたものであ
った。
同時期の 1964 年に、映写技師で映像作家のモートン・ハイリグが「SENSORAMA」とい
うアーケードゲームを発表いた。エンジン音が聞こえたり、ハンドルに振動が伝わったり、
町の風景が目の前を流れたり、顔に前方から風が当たったり、ピザ店の横を通過すると匂い
16
までしてきたりと、三次元映像・ステレオ音響・風・振動・匂いを駆使して VR の概念に近
いものであった。
このように、VR の起源と言える概念は 1960 年代に既に登場していたが、科学技術は長い
間追い付かなかった。
様々な分野からの VR への進展(『バーチャルリアリティ入門』舘暲)
1980 年代初頭から、様々な分野で VR に関係する研究が進められた。具体的には図のよう
になる。
しかしこの時点では互いの研究の関係性に気付いていなかった。
そんな中、1989 年に VPL リサーチ社(ベンチャービジネス)がデータグローブ・アイフォン
を発表。その製品紹介の中に会社創始者ジャロン・ラニアーによってバーチャルリアリティ
という言葉が登場した。これによって、世間一般に VR という言葉と概念が広まった。
そして翌年 1990 年には MIT が中心となって、VR に関する様々な分野の研究者を世界中
からカリフォルニア州サンタバーバラに呼び集め、会議が開かれた。異なる分野で「等身大
で三次元空間をインタラクティブに扱うことができる」ことを目指して研究がおこなわれて
いたことが確認され、ここでようやく「バーチャルリアリティ」という分野が確立された。
これを契機に研究が加速推進されたことより、この年を今では「VR 研究のビッグバン」と呼
ぶ。日本でも、1995 年~1999 年に旧文部省の重点領域研究「人工現実感の基礎的研究」が
行われ、幅広い分野の研究が進められたり、1996 年に日本 VR 学会が設立したりした。こう
して、現在の VR の研究に至る。
17
(3) VR の 三 要 素
VR の最も特徴的な点は「三次元空間」「実時間相互作用」
「自己投射性」と言われる。
まず「三次元空間」というのは、コンピューターの生成する人工環境が人間にとって自然
な三次元空間を構成していることだ。つまり立体的な視覚空間と聴覚空間が人間の周りに広
がることである。例えば、3D 映画はこれを持っている。
次に「実時間相互作用」は、人間がコンピューターの生成する人工環境の中で、環境との
実時間の相互作用をしながら自由に行動できることだ。具体的には、別の角度から見る、物
体の後ろに回り込む、見ている物体を触ったり動かしたりする、などのことで、例えばコン
ピューターゲームがあてはまる。。
最後に「自己投射性」は、その環境と使用している人間の環境とがシームレスになってい
て、環境に入り込んだ状態がつくられていることだ。人間の手のあるべきところに手を投影
する、などを指す。
VR とは、これら三要素を有したシステムを構築して、人間が実際の環境を利用しているの
と本質的に同じ状態でコンピューターの生成した人工環境を利用することを狙った技術なの
である。
(4) VR の 設 備
VR でコンピューターの生成する人工環境を実際の環境のように人間に感じさせるために
は、人間の認知機構を知ることが必要である。というのも、人間が周囲の環境を認知する際、
そこにある「物体自体」を感じるのではなく、
「感覚器が受け取った現象を基に脳が処理した
結果」を感じているのだ。逆に、感覚器に実際と同じ発火パターンを外部からの力によって
再現(励起)すれば人工の環境を表現できる。
例えば私達の色覚は、Red・Green・Blue の三原色の錐体細胞が感覚器として存在し働い
ている。そのため、何か自然の色を見せたければ、それとスペクトルが等しい光を送る必要
は無く、RGB それぞれを担う錐体細胞に等しい発火パターンを励起させれば良い。具体的に
言えば、次の画像を見たときに「紅葉の色」として感じている色は勿論本物の色ではない。
コンピューターの扱う RGB 値で言う#ff0020 などの色をディスプレイに表示していて、そこ
からの光が錐体細胞に対して同じ発火パターンを励起させているために同じに見えるのだ。
紅葉の色が見える
18
人間の感覚は「五感」の 5 つであるから、VR ではこの 5 つの感覚器を扱えばいいとなる。
その中で最も多くの情報を人間が得るのが視覚であるため、それを再現する研究が盛んに行
われてきた。そこで重要なのは、遠近感の存在する三次元の映像を見せること、人間の目線
の動きに応じて映像を変えることである。
最初に開発されたものは HMD(ヘッドマウントディスプレイ)だった。帽子やメガネのよ
うな形のディスプレイを頭部に装着して使うもので、それぞれの目に別の画像を見せること
で立体視を可能にしている。
「VR」という言葉はこれとともに誕生したと言える。
SONY の HMD
目と画像の接近防止と小型化を両立するために、レンズ等で虚像を作って見るようにする。
網膜に直接像を結ばせる「網膜投影型」というものもあり、近眼でもはっきりとした映像を
認識できるという利点があるが、眼球の動きに対応しきれてないため実現は遠い。
HMD に磁気センサー等を取り付けて位置情報を取得し、表示する画像をそれに追従させる
ようにしたものは「HUD(Head-Up Display:ヘッドアップディスプレイ)」と呼ばれる。
HMD の利点は小型であり持ち運びが容易であることと、ディスプレイを透過するものにす
るかビデオカメラを装着することで外の様子も見せることができることだ。
次に「CAVE」という装置が開発された。別名を立体視システム。複数のスクリーンで囲ん
だ空間に体験者が入るものだ。名前の由来は「人間は洞穴(CAVE)の中で、世界そのもので
はなく、炎によって映し出された世界の影ともいうべき映像を見ているにすぎない」という
プラトンの洞窟の比喩である。
CAVE の構造と使用している様子
19
CAVE は HMD と違い、右目用の光が左目の位置(またその逆)にも届くという欠点があ
る。そこで、体験者が偏光メガネをかけることで片目には片目の光が届くようにする。3D 映
画などの偏光メガネは縦振動の光と横振動の光で左右別の光を出しているが、VR ではそれを
採用することが出来ない。なぜなら、目線の向きを変えることで左右の目に逆の光が入って
しまうからだ。そこで、VR では円偏光を用い、右回りの円偏光と左回りの円偏光で光を分け
て正しく見せるようにしている。
CAVE の利点は、人間の広い視野をカバーしているということと、画像の解像度を上げや
すいことだ。HMD ではどうしても装置の小型化を求められるから、これらの面では CAVE
は優れている。
CAVE の欠点は、装置がかなり大がかりになることだ。費用でいうと 1000 万円ほどで、家
庭に普及するのは将来的にも難しい。また、HMD では体験者自身を VR にできるが CAVE
では不可能である。
この二種類の装置が現在 VR の中心となっている。他には、アームの先を掴んで動かし、
VR の環境内にある物体にぶつかった際に反発することで触覚に伝えるものがある。これはボ
ーイング社の工場の研修に利用されている。
2 種類の触覚ディスプレイ
また、VR 技術は装置さえあれば成り立つ技術ではない。VR で表現するコンテンツの製作
があって初めて VR は完成するのだ。
(5) 技 術 の 進 歩 と VR
VR の研究はコンピューターの発展と大きく関係している。特に 3D 映像の描画は技術的な
壁に幾度となくぶつかってきた。
基本的に 3D 映像内の物体は三角形を組み合わせて組まれている(この三角形をポリゴンと
呼ぶ)。平面の n 角形は(n-2)個の三角形を組み合わせる。曲面は小さく区切ることで平面の連
続に変換するのが基本的な方法だ。そこで、3D 映像の描画の速度は、一秒間にどれだけの数
のポリゴンを描けるかで比べる。
人間が映像を動画として認識するためには毎秒の描画フレーム数(fps)が 60 程必要であ
る。更に 3D にするためには、一度に 2 種類の画像を描画しなければならない。それを繊細に
20
描画するにはかなりのポリゴン描画が必要になる。
しかも 10 年ほど前まではフルカラーの映像を表示するために 3 つのプロジェクターで
RGB それぞれの光を当てる必要があった。そうすると偏光板を使うことができないため、短
い時間単位で右目用の画像と左目用の画像を入れ替える「シャッター方式」しか使えなかっ
たので 120fps が必要だった。
これらの条件をクリアするために、1996 年に東京大学で CAVE を製作した時には描画用ス
パーコンピューターを購入したという。その価格は 2 億円(プロジェクト予算は 3 億円)も
の額だったが、現在は約 50 万円でこの 10 倍近くの描画速度を持っているコンピューターが
買える。この進歩はかなり大きいことが分かる。
また、大変時間のかかっていた、物体が他の物体を隠す範囲の計算にも画期的な進歩が訪
れた。物体と視点の距離を「Z バッファ」として記録し比較することで計算を大きく減らした
のだ。
このようにして、技術の進歩も VR 研究を後推ししてきた。そしてこれからも、相互作用
的に進歩を遂げるだろう。
この 2、3 章での内容をふまえ、次章ではどのように企業を選んでいくかを考えることにす
る。私たちは以下 3 点を企業選択のポイントとしたい。
・VR のキーワードは「物の本質」ということであり、それをいかに企業はうまく捉えられ
ているか。このことは VR でしか書かなかったが、私たちは AR においても同じであると
考えている。
・ただ最新技術を取り入れるだけでなく、しっかりと潜在的なニーズを捉えられているか、
これも双方に関して言えることであり、重要なことであるから、評価する際の一つの視
点とする。
・数値的に、つまり客観的に見た企業の経営状況、私たち投資家目線で見た主観的、相対
的な指標で見る企業像をもとに評価する。
21
(1) 概 要
ポートフォリオ作成にあたって、2 段階の企業スクリーニングを行った。
•メディアを活用し、AR・VRに関する記事に載っている企業を抽出
•AR・VRの研究者に、関係する企業名を聞く (35社)
全銘柄
第一次スクリ
ーニング
第二次スクリ
ーニング
•そのうち、上場しているかどうか確認し企業を選別
•現在もAR・VRの技術開発・活用を行っているか確認
•20社が残る
•指標を用いて選別
•最終17社に決定、投資
最終結果
私たちで書籍やインターネットを用いて調べ、見つけた企業、稲見教授と小木教授の話に
出てきた企業をまとめたのが次のページの表である。
22
AR・VR への関わり方
企業名
旭エレクトロニクス
自社開発製品「VirDSE」を中心としたバーチャルシステムの提供
アイスマップ
多人数共有型ディスプレイ「Illusion Hole」の開発
キヤノン
京セラ
クリスティー・デジタル・システムズ
スリーディー
ソフトキューブ
V
レンズ技術を応用し HMD で虚像を見せる技術の研究
R
プロジェクションマッピング等、AR を投影する機器の製作・販売
学
VR 技術を用いたソフト開発専門の企業
会
協
AR マーカーで自社の製品を置くイメージをしやすくした
AR を用いて遠隔地での作業の支援がおこなわていれる
日立製作所
フォーラムエイト
広告にAR技術を使ったプロモーション
VR により 3D モデルをより自在に動かせるようにした製品の開発
日本バイナリー
パナソニック
VR の機材の開発
VR の機材の組み立て(CAVE)
ソリッドレイ
凸版印刷
現在活動は確認できない
賛
土木関係企業への作業を円滑にする AR システムの提供
リアルビズ
VR による飛行機の操縦シュミレーションシステムの開発
リードエグジビションジャパン
VR をイベントで用いるイベント企業
アイネット
スリーディー社を買収するもその後放出
エクサ
VR をイベントで用いるイベント屋システムの組み立て
オリンパス
小型で軽量の HMD「AR Walker」の開発
サイバネットシステム
スマホ向けアプリの作成サービス、PortableVR の開発
サムスン
タイトルディスプレイに適した縁の小さいテレビの開発
スチュクート
K‐CAVE の開発
セガサミーホールディングス
ゲームのキャラクターを AR で動かすシステムの開発
ソニー
AR メガネの開発、AR を用いたカタログの商品閲覧方法
大日本印刷
AR を活用したイベントの開催などを行う
東京電力
電力使用状況を AR で見る技術の研究
東芝
3D テレビレグザがレンチキュラー方式を採用
バルコ
実寸大の自動車の投影技術の開発
ビュープラス
CAVE 等で用いるプロジェクターの制作及び販売
Cyber Touch
触角の AR、データグローブの改良
KDDI
Satch Viwer という AR のアプリを無料で提供している
N.H.K.
東京駅のプロジェクションマッピング
NEC
AR 技術による緊急・防災情報の発信などのサービスを提供
NTT
Smart Cloud という AR のプラットフォームを安価で提供
PHANToM
外科医練習用の力覚ディスプレイ
SGI
コンピューターグラフィックスの開発
23
(2) 指 標 に つ い て
① 指 標 の 考 え 方
第一次スクリーニングで残った 22 社を選別するにあたって、株式指標、安定度評価、相
対的評価の 3 つの視点から企業を評価した。
総合評価(100点)
株式指標
(30点)
安定度評価
(30点)
4つの指標か
ら財政面、資
金運用などを
評価
相対的評価
(40点)
企業へのアン
ケートやホー
ムページをも
とに企業の取
り組みなどを
評価
独自に安定度
評価を考え、
点数化
② 株 式 指 標
株式指標として PBR、PER、ROE、PEG レシオの 4 つの指標を使って企業を評価した。
以下、それぞれについて説明する。
・PBR(7 点)
PBR とは株価÷1 株当たりの株主資本によってあらわされる指標。PBR の
数値が小さいほど株価が割安ということになる。PBR は各業種間で差が大き
い、ということで業種ごとに PBR の偏差値を求め、偏差値によって企業を評
価した。
偏差値
48
43
7点
6点
52
5点
55
4点
24
59
3点
70
64
2点
1点
0点
・PER(7 点)
PER とは株価÷1 株当たりの純利益によってあらわされる指標。PER の数
値が小さいほど利益に対する株価が割安ということになる。PER も PBR 同
様各業種間で差が大きいので偏差値を求め、偏差値によって企業を評価した。
偏差値
48
43
7点
52
55
5点
6点
4点
59
3点
70
64
2点
1点
0点
・ROE(8 点)
ROE とは 1 株当たりの純利益÷1 株当たりの株主資本によってあらわされ
る指標。ROE の数値が大きいほど株主資本を効率よく利益に結び付けている
ということになる。ROE は各業種間にあまり差はないと考え、偏差値を用い
ず、数値によって企業を評価した。
14
16
ROE
8点
7点
12
6点
10
5点
8
4点
6
3点
4
2点
2
1点
0点
・PEG レシオ(8 点)
PEG レシオとは PER÷利益成長率であらわされる指標。成長している企業
の PER は割高になる傾向があるため、成長率を加味して株価を判断するた
めの指標。AR・VR のような新興産業の PER は高くなることがあり、PER
の高くても成長している企業を判断するために使う。PEG レシオが小さいほ
ど株価が割安ということになる。PEG レシオも偏差値を使う必要はないと判
断し、数値によって企業を評価した。
PEG レシオ
4点
6
11
5点
2.5
6点
0.5
7点
0
8点
-0.5
0点
-2.5
1点
-6
2点
3点
以上、PBR、PER、ROE、PEG レシオの 4 つの指標で判断した 22 社の株式指標の点数
は以下のようになった。
25
PEG
企業名
PBR
PER
ROE
大成建設
5
3
2
5
15
日立製作所
5
6
5
7
23
シャープ
0
0
2
2
4
デンソー
0
5
5
7
17
アイシン精機
2
5
4
2
13
オリンパス
1
1
8
2
12
キヤノン
5
5
4
2
16
リコー
6
6
4
1
17
日本電信電話
6
6
3
4
19
アイネット
6
7
5
7
25
戸田建設
5
6
3
7
21
新日鉄住金ソリューションズ
6
6
4
5
21
セガサミーホールディングス
3
6
6
3
18
凸版印刷
6
2
1
2
11
任天堂
4
2
2
6
14
パナソニック
4
2
2
6
14
ソニー
6
2
1
2
11
パイオニア
6
0
0
4
10
大日本印刷
6
3
1
2
12
KDDI
5
6
6
8
25
レシオ
合計
<補足>
① PER、PBR による指標の際に使った偏差値を求める方法だが、もちろん業種ごとの標
準偏差や平均値などは、掲載されていないため、『日経会社情報』をもとに、それぞれ
の業種(電気機器や情報・通信など)における全企業の PER、PBR データから標準偏差、
平均を出して、各企業のその業種の中での偏差値を計算した。
② PEG レシオに関しては、求め方は PER/利益成長率である。この利益成長率を私たちは
10 年の間での変化で求めることにした。要するに、今季の EPS/10 年前の EPS の 10
乗根を求め、1 を引いた値を出すということである。今季の EPS は『日経会社情報』か
ら、10 年前の EPS は
http://warren--buffett.blogspot.jp/2012/04/10-20120422.html このサイトからとった。
このサイトのデータ取得元は『msn マネー』http://money.jp.msn.com/で信頼できると
考えたからだ。このようにして PEG レシオも指標の一つとして扱った。
26
③ 安 定 度 評 価
AR・VR は新しい分野であるだけに、企業がすぐに倒産する可能性がどうしても高くな
ってしまう。また、株式指標では安定度が高い企業に投資が集中することからどうしても
安定している企業、大企業の点数が低くなり、新しい企業の点数が高くなる、ということ
が考えられる。この 2 つの理由から、企業の安定度を図る指標が必要、ということでこの
項目を作った。
今回、安定度の指標として、キャッシュフロー、過去 5 年の株価、配当利回り、時価総
額、自己資本比率、設立年の 6 つの項目を使った。以下、それぞれの項目を説明する。
キャッ
シュ
フロー
過去 5
年の株
価
設立年
安定度
自己資
本比率
配当
利回り
時価
総額
27
・キャッシュフロー
キャッシュフロー計算書からは、企業が、企業活動を通じてどれだけの資金
を獲得し、このうちどれだけの資金を投資活動や株主配当として利用している
かの情報を得ることができる。キャッシュフローには 3 種類あって、
「営業活
動によるキャッシュフロー」
、
「投資活動によるキャッシュフロー」、
「財務活動
によるキャッシュフロー」に分類される。
「営業活動によるキャッシュフロー」
は、営業活動によりどの程度の資金を獲得できるかを示している。つまり、こ
れはプラスであることが望ましい。「投資活動によるキャッシュフロー」は、
企業活動に不可欠な設備投資にどの程度の資金を支出し、どの程度の資金を回
収したかを示している。この指標はマイナスであることが望ましい。「財務活
動によるキャッシュフロー」は、借入や増資によりどの程度の資金が調達され、
また借入金の返済にどの程度の資金が支出されたかを示している。これはプラ
スであることが望ましい。まず、この 3 種類の+、-の状態によって評価した。
※カッコ内は営業、投資、財務の順
(+-+)とても望ましい企業
3点
(--+)
(+++)どれか一つは望ましくない企業
2点
(+--)
(++-)
(---)2 つの項目が望ましくない企業
1点
(-++)
(-+-)すべての項目において望ましくない企業
0点
次に、フリーキャッシュフロー(営業+投資+財務)を各企業で計算し、
2 点満点で評価した。投資型の企業は不利になってしまうが、安定度をはか
りたいのでこれを利用した。
フリーキャッシュフローが 50000 以上
2点
フリーキャッシュフローが 0 以上 50000 未満 1 点
フリーキャッシュフローが 0 未満
0点
以上、5 点満点。
28
・過去 5 年の株価(5 点)
これは過去 5 年の株価推移がどのようなものかを図る指標として考えた。
株価の騰落が大きすぎると投資することをためらわれる。そのため、企業の
株価推移を評価するために考案した。まず、2009 年から 2013 年の 5 年間、
毎年の株価の最高値と最安値の差を計算する。最高値と最安値の差、5 年分
を平均し、今の株価で割る。この値の大小によって評価する。
・配当利回り(5 点)
配当利回りとは購入価格に対しての配当の割合がどのくらいかを示す数値
である。配当利回りの高さは特に決められていないため、配当利回りが高い、
ということはそれだけの財政的余裕があるということである。そのため、配
当利回りの高さは安定度に結びつく。(%)
・自己資本比率(5 点)
自己資本比率は自己資本÷総資本×100 という式によって%であらわされ
る指標。自己資本とは返済義務のない資本のことで、この割合が高い企業は
総資本に占める自己資本の割合が高く、安定していると言える。(%)
29
・時価総額(5 点)
時価総額とは株価×発行済み株式数であらわされる。株価が高ければ高い
ほど、発行済み株式数が多ければ多いほど時価総額は大きくなる。よって、
時価総額の大小はその企業の業績を表すといってもよい。この数値が大きい
ほど安定度は高いと考えた。(億円)
・設立年(5 点)
設立年の早さは企業の安定度に直結すると考えられる。例えば 100 続く企
業と設立して 10 年もたたない企業では、普通は 100 年続く企業の方が安定度
は高いはずだ。この指標では単純に設立年のみを比較した。(年)
30
以上、キャッシュフロー、過去 5 年の株価、配当利回り、時価総額、自己資本比率、設
立年の 6 つの指標で判断した 22 社の株式指標の点数は次のようになった。
企業名
キャッシュ
フロー
過去 5 年
配当
時価総額
自己資本
比率
設立年
合計
大成建設
4
5
2
2
1
4
18
日立製作所
3
4
2
3
1
4
17
シャープ
1
0
0
2
0
4
7
デンソー
4
4
2
4
3
3
20
アイシン精機
4
3
3
3
2
3
18
オリンパス
4
2
0
2
0
4
12
キヤノン
4
2
5
4
4
4
23
リコー
3
2
4
2
2
4
17
日本電信電話
4
4
4
5
2
2
21
アイネット
3
4
4
0
2
1
14
戸田建設
1
2
2
1
1
5
12
新日鉄住金ソリューションズ
2
3
3
2
3
2
15
セガサミーホールディングス
3
4
2
2
3
0
14
凸版印刷
5
3
3
2
2
4
19
任天堂
1
1
3
3
5
3
16
パナソニック
4
2
2
3
1
3
15
ソニー
3
1
2
3
0
3
12
パイオニア
3
1
0
1
1
3
9
大日本印刷
3
2
4
2
3
5
19
KDDI
4
4
3
4
3
2
20
31
④ 相 対 的 評 価
今までは株式や安定度など会社の財政データを評価をしてきたが、今回は会社の取り組
み、事業の評価をする。
AR・VR 関連の企業について深く調べるうちに、私たちは今回評価する 22 社は大きく 3
つに分けられるということに気付いた。それは①AR・VR を開発する会社(以下開発企業)、
②AR・VR を活用する会社(以下活用企業)、③AR・VR の開発・活用の両方を行う会社(以
下重複企業)である。なお、ここでいう開発とは、AR・VR 技術の開発をする会社のこと
である。そして、活用とは自社の製品の広告などに積極的に AR・VR を活用している、あ
るいは AR・VR の新しい活用の仕方を自社の広告に限らずに研究している会社のことであ
る。
まず、22 社を 3 つのグループ分けをした結果が下の表である。
企業の種類
企業名
大成建設
日立製作所
シャープ
デンソー
アイシン精機
開発企業
オリンパス
キヤノン
リコー
日本電信電話
アイネット
戸田建設
新日鉄住金ソリューションズ
活用企業
セガサミーホールディングス
凸版印刷
任天堂
パナソニック
ソニー
重複企業
パイオニア
大日本印刷
KDDI
32
ここで考えなくてはならないのは、この 3 つの企業型があるため、企業の取り組みにつ
いて評価するとき、開発企業と活用企業で評価の項目や基準が同じでは比べられないとい
うことである。そのため、全ての企業で共通の項目のほかに、開発企業と活用企業で別の
項目を作り、評価することにした。また、重複企業は開発企業と活用企業、それぞれの項
目で採点したあと、それを平均し、ボーナス点として 5 点を加えた。
以下が開発企業、活用企業、重複企業の項目である
共通項目
開発項目
活用項目
項目
点数
将来性
5
ほかの機関との連携
3
広告・ホームページ
6
会社の理念・目標
2
僕らの意見
10
技術貢献
5
特許数
4
新技術への投資
5
開発と
実用化
5
活用を
対象年代
4
社会貢献
5
重複は
平均して
+5 点
第二次スクリーニングを行うための資料集めとして私たちは企業アンケートを行った。
まず企業に電話で確認をとってからアンケートを送ったのだが、アンケートを取ることの
許可をもらえたのは 15 社で、そのうち回答を得たのは 9 社だった。また、ほとんどの質問
に対し空欄という企業も多かった。さらにアンケートの最後にこの回答をレポート上で公
開してもいいか、と尋ねたところ、
「はい」は 1 社だけであった。
やはり最先端の技術をテーマにすると、多くの企業が公開をためらうのだ、と改めて感
じさせられた。そのこと自体は非常に残念だったが、これは企業がそれだけ AR・VR の技
術に注目している、ということを意味しているのだと思う。そして、アンケートが返って
こなかった企業はホームページ等での情報や今まで私たちが調べてきた知識のみで評価し
たが、実際に個人の投資家が得られる情報もそのようなものだと考え、特別な処置はしな
かった。
それでは、それぞれの指標について説明する。最初に共通項目次に特別項目を説明する。
33
まず、共通項目について説明する。
・将来性(5 点)
企業のこれからを考えるうえでその企業の商品が売れるかは根本的な問題で
ある。そこで各企業の AR・VR の技術開発・活用した製品を確認し、その技術
や製品がこれからの世の中の需要に応えている、応えられるものかどうかとい
う事を判断した。
・広告・HP(6 点)
企業の商品の売り上げなどはその商品自体のポテンシャル以上に知名度が大
切である。そこで顧客に知ってもらうため企業がどれほど努力しているかを広
告・HP から判断した。
・会社の理念・目標(2 点)
投資するうえで企業が何を考え何のために動いているのかを知ることは、安
心して投資するための一つの指標となると考える、そのため、HP の投資家情報
の中の企業理念、または経営理念から判断した。
・ほかの機関との連携(3 点)
企業が新しい技術・製品を開発するに当たり一社だけでは意見の方向性が固
まり独創性にあふれるものは出にくいと考えた。よって企業が他の機関とどれ
ほど連携を密にしているのか、その数で判断した。
・班員評価(10 点)
私たちは投資する企業を選定するためにさまざまな指標を用いてきたが最終
的には消費者の目線に立つことが必要と考える。そこで、班員一人の持ち点を
2点とし、5人それぞれが「その企業は投資するにふさわしいか」を考えて採
点し、その合計点で評価した。
34
他の機関
企業名
将来性
大成建設
2
2
4
日立製作所
3
2
シャープ
2
デンソー
開発
企業
活用
企業
重複
企業
会社の理
班員評価
小計
1
3
12
3
1
4
13
3
5
2
9
21
3
1
4
1
3
12
アイシン精機
3
1
3
1
4
12
オリンパス
3
2
4
2
7
18
キヤノン
3
2
6
1
9
21
リコー
2
2
2
1
2
9
日本電信電話
4
3
4
2
8
21
アイネット
2
0
6
1
1
10
戸田建設
2
1
4
1
2
10
新日鉄住金ソリューションズ
3
2
4
2
7
18
セガサミーホールディングス
2
3
4
1
8
18
凸版印刷
4
3
4
2
6
19
任天堂
4
3
4
2
9
22
パナソニック
4
3
5
2
10
24
ソニー
4
3
5
1
9
23
パイオニア
5
3
4
1
10
23
大日本印刷
2
2
4
2
9
19
KDDI
4
3
5
1
10
23
との連携
35
広告・HP
念・目標
次に、開発企業への項目を説明する。
・技術貢献(5 点)
企業というのは必ず同じ分野の企業と切磋琢磨し技術を向上させてゆく。そ
のためにある程度は技術を還元すべきだと考える。よって企業発信のニュース
からその技術貢献の度合いを判断した。
・特許数(4 点)
そのため数字ではっきりと表れる特許数で技術力を判断した
AR と VR の特許数を調べるために以下のサイトにて「企業名 AR」または「企
業名
VR」で特許数の検索を行った。
http://www2.ipdl.inpit.go.jp/begin/be_search.cgi?STYLE=login&sTime=138
・新技術への投資(5 点)
これからの企業の拡大のためには当たり前だが既存技術だけでは足りない。
新技術を開発するためには勿論投資が必要である。よって開発投資の規模を
HP から発表される新技術の頻度で判断した。
36
最後に、活用企業への項目を説明する。
・実用化(5 点)
AR ・VR の分野はまだまだ開拓の余地があり早く製品化に成功した方が強
いと考える。よって現時点でどれほど実用化されているのかを調べ、判断した。
・対象年代(4 点)
製品には対象としている世代があるが、その対象は広いほど商品は売れる。
よって対象年代が広い商品をどれだけ売り出しているかを指標とした。
・社会貢献(5 点)
企業は社会の一員であることを常に意識していなければならない。よって社
会貢献にどれほど熱心であるかを企業の HP の CSR 情報から判断した。
37
企業名
技術
貢献
特許数
新技術
投資
実用化
対象
社会
年代
貢献
小計
合計
大成建設
2
0
3
5
17
日立製作所
3
3
3
9
22
シャープ
2
4
3
9
30
デンソー
3
3
3
9
21
開発
アイシン精機
3
0
3
6
18
企業
オリンパス
3
2
3
8
26
キヤノン
4
4
3
11
32
リコー
2
4
3
9
18
日本電信電話
4
3
3
10
31
アイネット
2
0
3
5
15
活用
企業
重複
企業
戸田建設
2
1
3
6
16
新日鉄住金ソリューションズ
2
1
2
5
23
セガサミーホールディングス
2
3
5
10
28
凸版印刷
4
4
4
12
31
任天堂
4
2
5
11
33
パナソニック
3
3
2
4
4
5
15.5
39.5
ソニー
2
3
4
3
4
3
14.5
37.5
パイオニア
3
1
4
4
2
4
14
37
大日本印刷
4
1
3
4
4
4
15
34
KDDI
5
0
2
3
2
2
12
35
38
ここでは、一つ一つの企業ごとに私たちの採点をまとめてみた
企業名
合計点
安定度評価
株価指標小計
相対的評価
安定度小計
相対的小計
コメント
39
合計
(1) 開 発 企 業
大成建設
安定度評価
得点
キャッシュフロー
4/5
過去5年の株価
5/5
配当利回り
時価総額
50
相対的評価
得点
将来性
2/5
他の機関との連携
2/3
広告・ホームページ
4/6
2/5
会社の理念・目標
1/2
2/5
技術貢献
2/5
特許数
0/4
自己資本比率
1/5
新技術への投資
3/5
設立年
4/5
班員評価
3 / 10
安定度小計
18 / 30
相対的評価
17 / 40
株価指標評価小計
15 / 30
安定度小計
相対的評価小計
18 / 30
17 / 40
合計
50 / 100
大成建設は、遠隔地の建築作業に対してAR技術を用い、現場の情報をリアルに得て、より正確な指
示を出すことを可能にした。これは現場責任者の負担を減らし、コストカットにつながると考えられる。
社員が買い取った企業という背景があるからか、経営理念のうち「使命」と「行動指針」にとても説得
力を感じた。よって、企業の理念は1点とした。
40
日立製作所
安定度評価
得点
キャッシュフロー
3/5
過去5年の株価
4/5
配当利回り
62
相対的評価
得点
将来性
3/5
他の機関との連携
2/3
広告・ホームページ
3/6
2/5
会社の理念・目標
1/2
時価総額
3/5
技術貢献
3/5
自己資本比率
1/5
設立年
安定度小計
株価指標評価小計
23 / 30
特許数
3/4
新技術への投資
3/5
4/5
班員評価
4 / 10
17 / 30
相対的評価
22 / 40
安定度小計
相対的評価小計
17 / 30
22 / 40
合計
62 / 100
日立製作所もNTT同様、遠隔作業地支援システムの構築や、建築物の完成予想図のAR化
を行う。これにより、建物を建てたときのイメージがより容易になった。この技術はこれからもっ
と使われていくと考えられる。
日立は手がける分野が広く、検索した結果かなりの数のAR関連の特許が見つかった。その
ため、特許は4点とした。
シャープ
安定度評価
キャッシュフロー
41
得点
相対的評価
1/5
得点
将来性
2/5
他の機関との連携
3/3
過去5年の株価
0/5
広告・ホームページ
5/6
配当利回り
0/5
会社の理念・目標
2/2
時価総額
2/5
技術貢献
2/5
自己資本比率
0/5
設立年
安定度小計
株価指標評価小計
4 / 30
特許数
4/4
新技術への投資
3/5
4/5
班員評価
9 / 10
7 / 30
相対的評価
30 / 40
安定度小計
相対的評価小計
7 / 30
30 / 40
合計
41 / 100
ディズニーの研究室に、シャープの研究者がよく転職する研究室がある。その研究所が「REVEL」と
いう触覚のARを発表した、と慶應大学の稲見教授から伺った。このことから、シャープ内でもそのよう
な研究が行われていると推測した。
経営理念と経営信条では一企業としてだけではなく、社会の一員であるという認識が根底にあるも
のであると感じた。そのため、企業の理念は2点にした。また、シャープの特許でAR、VRに関係するも
のを調べたところ、数多くの特許があることが確認されたので、特許は4点とした。
41
デンソー
安定度評価
得点
キャッシュフロー
4/5
過去5年の株価
4/5
配当利回り
58
相対的評価
得点
将来性
3/5
他の機関との連携
1/3
広告・ホームページ
4/6
2/5
会社の理念・目標
1/2
時価総額
4/5
技術貢献
3/5
自己資本比率
3/5
設立年
安定度小計
株価指標評価小計
17 / 30
特許数
3/4
新技術への投資
3/5
3/5
班員評価
3 / 10
20 / 30
相対的評価
21 / 40
安定度小計
相対的評価小計
20 / 30
21 / 40
合計
58 / 100
デンソーもパイオニアと同様、自動車のフロントディスプレイを使ったAR技術を発表した。これ
は世界一の大きさのディスプレイだった。ただ、パイオニアとは違い、コストの関係上まだ製品
化されていないのが残念である。これからのコストダウンに期待する。
アイシン精機
安定度評価
キャッシュフロー
得点
49
相対的評価
4/5
得点
将来性
3/5
他の機関との連携
1/3
過去5年の株価
3/5
広告・ホームページ
3/6
配当利回り
3/5
会社の理念・目標
1/2
時価総額
3/5
技術貢献
3/5
特許数
0/4
自己資本比率
2/5
新技術への投資
3/5
設立年
3/5
班員評価
4 / 10
安定度小計
18 / 30
相対的評価
18 / 40
株価指標評価小計
13 / 30
安定度小計
相対的評価小計
18 / 30
18 / 40
合計
49 / 100
アイシンでは、自動車の企業として、ARによる道の案内の模擬体験を2013年10月に行った。
他の企業が続々とARによるナビゲーションシステムを実用化に至らせている中で、この状況に
は少し不安が残る。しかし実際に活動していることは確かである。
また、もともと自動車・航空機部品の製造からの操業であるのにも関わらず、新規事業の開
拓に余念がなく、とても幅広い活動がみられた。よって、技術貢献は3点とした。
42
オリンパス
安定度評価
得点
キャッシュフロー
4/5
過去5年の株価
2/5
配当利回り
50
相対的評価
得点
将来性
3/5
他の機関との連携
2/3
広告・ホームページ
4/6
0/5
会社の理念・目標
2/2
時価総額
2/5
技術貢献
3/5
自己資本比率
0/5
設立年
安定度小計
株価指標評価小計
12 / 30
特許数
2/4
新技術への投資
3/5
4/5
班員評価
7 / 10
12 / 30
相対的評価
26 / 40
安定度小計
相対的評価小計
12 / 30
26 / 40
合計
50 / 100
オリンパスは、AR用のヘッドマウントディスプレイ「ARアイウェア」を発表した。メガネ程度のサ
イズであり、将来的なARハード軽量化の第一歩として期待できる。
また、企業理念はしっかりと自社の役割を把握しており、また、それらの理念を有言実行して
いる様も説明されていて感心した。よって、企業の理念は2点とした。
キヤノン
安定度評価
キャッシュフロー
得点
71
相対的評価
4/5
得点
将来性
3/5
他の機関との連携
2/3
過去5年の株価
2/5
広告・ホームページ
6/6
配当利回り
5/5
会社の理念・目標
1/2
時価総額
4/5
技術貢献
4/5
特許数
4/4
自己資本比率
4/5
新技術への投資
3/5
設立年
4/5
班員評価
9 / 10
安定度小計
23 / 30
相対的評価
32 / 40
株価指標評価小計
16 / 30
安定度小計
相対的評価小計
23 / 30
32 / 40
合計
71 / 100
キヤノンは、ARをよりリアルに近づけた「MR」を使用した「MREAL」をリリースした。それによっ
て未来において求められるARに一歩近づいたと考えられる。
他の機関との連携に関しては、異業種の機関や研究所、大学と連携してより良いシステムを
つくろうとする「オープンイノベーション」という考えを取り入れている。実際に、京都大学などと
連携しているので2点。また特許は、ネット上の「Patent Result」というサイトにおいてAR、MRの
特許総合力がランキングされているのを見つけた。その中でキヤノンが一位であったため、4
点とした。
43
リコー
安定度評価
52
得点
キャッシュフロー
3/5
過去5年の株価
2/5
配当利回り
相対的評価
得点
将来性
2/5
他の機関との連携
2/3
広告・ホームページ
2/6
4/5
会社の理念・目標
1/2
時価総額
2/5
技術貢献
2/5
自己資本比率
2/5
設立年
安定度小計
株価指標評価小計
17 / 30
特許数
4/4
新技術への投資
3/5
4/5
班員評価
2 / 10
17 / 30
相対的評価
18 / 40
安定度小計
相対的評価小計
17 / 30
18 / 40
合計
52 / 100
リコーは、ワンショットで360×180度のパラノマVR撮影を可能にするカメラの制作を行う。
2013年初頭にプロトタイプ第2段が発表されたが、あくまで試作段階であるので、将来性は2
点とした。特許は、検索サイトで調べたところ、7000件以上もの特許が見つかったため、4点と
した
日本電信電話(NTT)
安定度評価
キャッシュフロー
得点
相対的評価
4/5
71
得点
将来性
4/5
他の機関との連携
3/3
過去5年の株価
4/5
広告・ホームページ
4/6
配当利回り
4/5
会社の理念・目標
2/2
時価総額
5/5
技術貢献
4/5
特許数
3/4
自己資本比率
2/5
新技術への投資
3/5
設立年
2/5
班員評価
8 / 10
安定度小計
21 / 30
相対的評価
31 / 40
株価指標評価小計
19 / 30
安定度小計
相対的評価小計
21 / 30
31 / 40
合計
71 / 100
NTTは、ARアプリを動かすプラットフォーム「smart cloud」の公開や、遠隔地の作業支援者が
現場作業者に指示を出す「ARサポート機能」の実証実験を開始した。これはAR業界を拡大す
るものだと考えられる。
また、NTTグループは、その多数の傘下会社により通信業界を牽引してきた。よって、そのノ
ウハウや技術は相当なものだと考え、技術貢献は4点とした。
44
アイネット
安定度評価
得点
キャッシュフロー
3/5
過去5年の株価
4/5
配当利回り
時価総額
54
相対的評価
得点
将来性
2/5
他の機関との連携
0/3
広告・ホームページ
6/6
4/5
会社の理念・目標
1/2
0/5
技術貢献
2/5
特許数
0/4
自己資本比率
2/5
新技術への投資
3/5
設立年
1/5
班員評価
1 / 10
安定度小計
14 / 30
相対的評価
15 / 40
株価指標評価小計
25 / 30
安定度小計
相対的評価小計
14 / 30
15 / 40
合計
54 / 100
アイネットは、ARアプリの制作を行う。会社規模はあまり大きくなく、また、手がけている幅が広いの
でARアプリの改良はあまり期待できないと考えるが、普及活動に期待する。
45
(2) 活 用 企 業
戸田建設
安定度評価
得点
キャッシュフロー
1/5
過去5年の株価
2/5
配当利回り
49
相対的評価
得点
将来性
2/5
他の機関との連携
1/3
広告・ホームページ
4/6
2/5
会社の理念・目標
1/2
時価総額
1/5
実用化
2/5
自己資本比率
1/5
対象年代
1/4
社会貢献
3/5
設立年
5/5
班員評価
2 / 10
安定度小計
12 / 30
相対的評価
16 / 40
株価指標評価小計
21 / 30
安定度小計
相対的評価小計
12 / 30
16 / 40
合計
49 / 100
戸田建設は、病院の間取りをVRを用いてわかりやすく確認するシステムを作成した。今はま
だこれだけだが、これから活用の幅が広がることに期待する。
CSR活動はしっかりとスケジュールが組み立てられており、取り組み具合が分かりやすく工夫
されていると感じた。よって、社会貢献は3点。
46
新日鉄住金ソリューションズ
59
安定度評価
得点
得点
キャッシュフロー
2/5
過去5年の株価
3/5
配当利回り
相対的評価
将来性
3/5
他の機関との連携
2/3
広告・ホームページ
4/6
3/5
会社の理念・目標
2/2
時価総額
2/5
実用化
2/5
自己資本比率
3/5
対象年代
1/4
社会貢献
2/5
設立年
2/5
班員評価
7 / 10
安定度小計
15 / 30
相対的評価
23 / 40
株価指標評価小計
21 / 30
安定度小計
相対的評価小計
15 / 30
23 / 40
合計
59 / 100
新日鉄住金ソリューションズは、ARマーカーを作業現場に設置し、それをAR向けヘッドマウン
トディスプレイによって読み込む仕組みを取り入れた。これにより、作業の流れが見えるように
なり、技術の共有が容易になった。この使い方はなかなか良いと感じた。
実用化に関しては、まだ自社内の技術であることと、ARグラスを通して見たという画像を見る
限り少しおぼろげであることから、まだまだ改良の余地があると感じた。よって、実用化は2点と
した。
セガサミーホールディングス
安定度評価
キャッシュフロー
得点
相対的評価
3/5
60
得点
将来性
2/5
他の機関との連携
3/3
過去5年の株価
4/5
広告・ホームページ
4/6
配当利回り
2/5
会社の理念・目標
1/2
時価総額
2/5
実用化
2/5
自己資本比率
3/5
対象年代
3/4
社会貢献
5/5
設立年
0/5
班員評価
8 / 10
安定度小計
14 / 30
相対的評価
28 / 40
株価指標評価小計
18 / 30
安定度小計
相対的評価小計
14 / 30
28 / 40
合計
60 / 100
子会社のSEGAが、任天堂と同じくキャラクター「初音ミク」をARカードなどを用いてAR化させている。
こちらでは「ライブモード」というものも存在し、より動かせるようになっている。
あくまで子会社なので、将来性は2点とした。CSR活動においては、CSR憲章や行動規範がしっかり
と相手によって区別されており、綿密につくられたことが窺えた。また、実際に幅広く行われていること
も伝わったので、社会貢献は5点。
47
凸版印刷
安定度評価
得点
キャッシュフロー
5/5
過去5年の株価
3/5
配当利回り
3/5
時価総額
2/5
61
相対的評価
得点
将来性
4/5
他の機関との連携
3/3
広告・ホームページ
4/6
会社の理念・目標
2/2
実用化
4/5
対象年代
4/4
自己資本比率
2/5
社会貢献
4/5
設立年
4/5
班員評価
6 / 10
安定度小計
19 / 30
相対的評価
31 / 40
株価指標評価小計
11 / 30
安定度小計
相対的評価小計
19 / 30
31 / 40
合計
61 / 100
凸版印刷は、携帯で広告を認識することによってARのクーポンを発行し、店へ誘導するシステムの
構築を行う。これは、日常にARを浸透させる一歩となると考えられるため、将来性は4点とした。
企業理念は、自社を支えるものを大切にしていこうという姿勢がみられ、好感が持てた。よって、企業
の理念は2点。また、CSR活動の指標として国連グローバル・コンパクトを支持しており、企業として正
しい姿を追求していると感じた。よって、社会貢献は4点とした。
任天堂
安定度評価
キャッシュフロー
63
得点
相対的評価
1/5
過去5年の株価
1/5
配当利回り
3/5
時価総額
3/5
得点
将来性
4/5
他の機関との連携
3/3
広告・ホームページ
4/6
会社の理念・目標
2/2
実用化
4/5
対象年代
2/4
自己資本比率
5/5
社会貢献
5/5
設立年
3/5
班員評価
9 / 10
安定度小計
16 / 30
相対的評価
33 / 40
株価指標評価小計
14 / 30
安定度小計
相対的評価小計
16 / 30
33 / 40
合計
63 / 100
任天堂は、3DSに「ARゲームズ」というARを用いたゲームを内蔵したり、キャラクターを現実
に出現させる「ARカード」を制作したりしている。ARはゲームと親和性が高いため、より高度な
ものをこれから作ってもらいたい。
任天堂の広告はTV、駅などで多く見かける。また、ホームページでは自社のゲームコンテン
ツを前面に押し出し、企業情報などが小さくてあまり目立っていない。しかし、これはこのホー
ムページを訪れる人の年齢層を理解した処置だと考えた。そのため、広告・ホームページは4
点とした。また、ゲームを有効活用したCSR活動以外にも、大企業としてのCSR活動も全世界
で行っている。そのため、社会貢献は5点にした。
48
(3) 重 複 企 業
パナソニック
安定度評価
得点
相対的評価
4/5
過去5年の株価
2/5
配当利回り
2/5
時価総額
3/5
自己資本比率
1/5
設立年
3/5
安定度小計
15 / 30
14 / 30
得点
将来性
4/
他の機関との連携
3/
広告・ホームページ
5/
会社の理念・目標
2/
班員評価
10 /
開発企業
得点
活用企業
技術貢献
3/5
実用化
特許数
3 / 4 対象年代
新技術
2 / 5 社会貢献
開発と活用の平均+5
15.5 /
キャッシュフロー
株価指標評価小計
68.5
安定度小計
15 / 30
5
3
6
2
10
得点
4/5
4/4
5/5
20
相対的評価
39.5 / 45
相対的評価小計
合計
39.5 / 45
68.5 / 105
パナソニックは、車両のフロントウィンドウを用いたヘッドアップディスプレイを発表し
た。これは3種類同時に発表しており、この商品の幅広さはニーズに対応しやすいと考え
られる。
他の機関との連携については、活用する企業の一つがアンケートに「VR技術をパナソ
ニックに委託している」と回答していたことと、「CM方式」という大学との共同研究の取り
組みを2002年から始めていることを考慮し、3点とした。また特許に関しては、AR、MRの
特許総合力で2位にランクインしたため、3点。社会貢献については、自社製品を活用し
たCSRを行っているので5点とした。
ソニー
安定度評価
得点
相対的評価
得点
将来性
4/
他の機関との連携
3/
広告・ホームページ
5/
会社の理念・目標
1/
班員評価
10 /
開発企業
得点
活用企業
技術貢献
2/5
実用化
特許数
3 / 4 対象年代
新技術
4 / 5 社会貢献
開発と活用の平均+5
14.5 /
キャッシュフロー
3/5
過去5年の株価
1/5
配当利回り
2/5
時価総額
3/5
自己資本比率
0/5
設立年
3/5
安定度小計
12 / 30
株価指標評価小計
60.5
安定度小計
5
3
6
2
10
得点
3/5
4/4
3/5
20
相対的評価
37.5 / 45
相対的評価小計
合計
11 / 30
12 / 30
37.5 / 45
60.5 / 105
ソニーは、アプリを利用したARカタログのほかに、ヘッドマウントディスプレイも発
表。これが実用化に至ったことは評価に値すべきことであり、またコストダウンによ
りこれからの需要も高まっていくものと考える。
特許に関しては、キヤノンなどと同じくAR、MRの特許総合力で4位にランクインし
たため、3点とした。また、対応する製品のラインナップによれば、広い層に人気が
出そうだと考え、対象年代も満点にした。
49
パイオニア
安定度評価
56
得点
相対的評価
キャッシュフロー
3/5
過去5年の株価
1/5
配当利回り
0/5
時価総額
1/5
自己資本比率
1/5
設立年
3/5
将来性
他の機関との連携
広告・ホームページ
会社の理念・目標
班員評価
開発企業
得点
技術貢献
3/5
特許数
1/4
新技術
4/5
開発と活用の平均+5
安定度小計
9 / 30
相対的評価
株価指標評価小計
10 / 30
安定度小計
相対的評価小計
9 / 30
37 / 45
得点
5
3
4
1
10
活用企業
実用化
対象年代
社会貢献
14
/5
/3
/6
/2
/ 10
得点
4/5
2/4
4/5
/ 20
37 / 45
合計
56 / 105
パイオニアは、自動車のフロントガラスにCG運転をナビゲートするカーナビの開発・発売を行
う。これぞ、私たちのイメージしていた通りのARだと感じた。さらに、製品化に成功していること
も評価できる。
社会貢献に関しては、パイオニア主催の「聴覚障碍者のための身体で聞こう音楽会」という
イベントを過去何度か開催していることを評価して4点とした。
大日本印刷
安定度評価
得点
相対的評価
3/5
過去5年の株価
2/5
配当利回り
4/5
時価総額
2/5
自己資本比率
3/5
設立年
5/5
安定度小計
19 / 30
12 / 30
得点
将来性
2/
他の機関との連携
2/
広告・ホームページ
4/
会社の理念・目標
2/
班員評価
9/
開発企業
得点
活用企業
技術貢献
4/5
実用化
特許数
1 / 4 対象年代
新技術
3 / 5 社会貢献
開発と活用の平均+5
15 /
キャッシュフロー
株価指標評価小計
65
安定度小計
19 / 30
相対的評価
相対的評価小計
34 / 45
5
3
6
2
10
得点
4/5
4/4
4/5
20
34 / 45
合計
65 / 105
大日本印刷は、AR技術を用いた広告活動などを行う。今までも様々なイベントに
おいてAR技術を活用してきた。
また、一般的なCSR以外にもARを用いた子供向けのワークショップなどを実施し
ているため、社会貢献は4点とした。
50
KDDI
安定度評価
80
得点
相対的評価
キャッシュフロー
4/5
過去5年の株価
4/5
配当利回り
3/5
時価総額
4/5
自己資本比率
3/5
設立年
2/5
将来性
他の機関との連携
広告・ホームページ
会社の理念・目標
班員評価
開発企業
得点
技術貢献
5/5
特許数
0/4
新技術
2/5
開発と活用の平均+5
安定度小計
20 / 30
相対的評価
株価指標評価小計
25 / 30
安定度小計
相対的評価小計
20 / 30
35 / 45
得点
4
3
5
1
10
活用企業
実用化
対象年代
社会貢献
12
/5
/3
/6
/2
/ 10
得点
3/5
2/4
2/5
/ 20
35 / 45
合計
80 / 105
KDDIは、スマートフォンで手軽にARをつくれるツール「SATCH VIEWER」を公開した。これ
は、もっとも一般的で身近なAR作成ツールと言える。
しかしながら、近々サービスを終了してしまうようなので、実用化は3点とした。
この中で 50 点に満たしていないシャープ、アイシン精機、戸田建設を除いた 17 企業に対して投
資を行った。投資額はこの企業の点数化によって割合を決め、2013/11/29 の終値で購入株数を計算
し投資した。
51
私たちはこれまで AR、VR についての研究をし、内容をかなり深くまで知ったうえでどんな
企業が使っているのかをいわば間接的に調べてきた。今度は実際に企業がこの技術を使うため
にどんなアプローチをしているのかをこの目で見て耳で聞いて知るべく、大日本印刷株式会社
様に訪問させていただいた。
(1) 大 日 本 印 刷 の 概 要
大日本印刷は、東京都新宿区の本社をはじめとし、全国各地、さらには世界にも拠点を持
つ大規模な印刷会社である。印刷や出版のほかにも、マーケティングコミュニケーションや
情報セキュリティー、電子デバイスなど多岐にわたる事業を展開している。
その中でも、C&I 事業部では 2007 年頃から AR 技術を積極的に活用している。日本の「AR
元年」と呼ばれるのが 2008 年なので、初期の頃から AR 技術に取り組んでいる企業だと言え
る。
では、なぜ印刷会社である大日本印刷が AR 事業に取り組むのだろうか。実は、
「印刷」と
「AR 事業」というのは関連している事柄である。
もともと、印刷会社というのはいろいろな企業が印刷を依頼しに来るところであった。そ
のような意味で、印刷会社は企業と企業のコミュニケーションの場の一つとなっていた。そ
のコミュニケーションの手段の一つとして AR 技術が活用されるようになったのである。ま
た、印刷会社には画像処理や CG などに関する技術があり、それが AR 技術につながった、
ということもある。
このような理由から、印刷会社で AR 技術を活用しているところは多い。例えば、私たち
の投資先の企業にも大日本印刷、凸版印刷、共立印刷、などがある。
私たちは今回、C&I 事業部の佐藤氏、立川氏、コーポレートコミュニケーション本部の新
海氏にお話を伺った。
(2) AR 技 術 の 特 徴 と そ の 活 用 例
ここからは大日本印刷が実際に AR 技術を活用している例を見ながら、その特徴について
考えていきたいと思う。
AR 技術は最新の技術であり、それを活用することによって私たちの生活はさらに便利にな
っていく。具体的にどのように便利な生活になっていくのだろうか。
① 「 か み し る べ 」
大日本印刷は JR と共同で「かみしるべ」という装置を開発した。これは駅で道案内など
をする装置で、2013 年 10 月 1 日(月)~10 月 14 日(日)の間、JR 大宮駅に置かれて試行さ
52
れた。
まず、この装置のテーブルの上に専用のリーフレットを置く。すると、そのページに対
応するコンテンツがテーブルの上に投影される。例えば、食品店に関するページを開いて
置くと、それぞれの店の情報がテーブルに投影される。次に、気になる情報にタッチする。
テーブルはタッチパネルになっており、タッチすればそこまでの道のりやさらに詳しい情
報が表示されるようになっている。
かみしるべの全体像
店への道のりが表示される
この「かみしるべ」の場合は、リーフレットの左上に AR マーカーが書かれていて、それ
を頭上にあるカメラで読み込む仕組みになっている。ページごとに左上の AR マーカーが異
なるため、ページをめくれば別の情報が投影されるようになっている。
この装置は新しい道案内としてとても有効なものではあるが、まだ課題もある。まず、
新しくて慣れない技術が使われているため、使い方のわからない人が多い。また、駅など
に設置する場合、周囲に物を置く台などがないため、どうしても人々の物置となってしま
う。特に大宮駅のような大きな駅だと物置にされてしまうことも多いようだ。
まだ完全な実用化には至っていないが、実用化される日が楽しみである。
53
② 家 具 配 置 ア プ リ
家具の販売で有名な IKEA のカタログ・アプリにも AR 技術が使われている。
まず、家具を配置したい部屋の写真を撮る。そして、カタログの中から配置したい家具
を選ぶ。すると、写真上で家具が実物大で配置される。家具を画面上で動かしたり、大き
くしたり小さくしたり、回転させたりもできる。このアプリによって、部屋と家具がマッ
チするかどうか、購入前にチェックすることができ、家具の返品などを減らすことができ
る。
部屋の写真を撮る
家具を選んで…
配置
このアプリの場合、部屋の写真を 3D の空間として認識して、家具を実物大で表示できる
ようにしている。AR 技術はこのような形としても活用されている。
さらに AR 技術の大きな特徴として、インパクトが大きいということが言える。そのため、
特別な展示など、強調して表現したいときに活用されることもある。以下は展示で使われ
た AR の例である。
③ 青 森 県 立 美 術 館 で の ピ ラ ミ ッ ド の 展 示
2013 年 9 月 14 日~11 月 24 日に青森県立美術館で「吉村作治のエジプトと古代文明展
~太陽の船と七大文明~」という展示が行われた。この中のピラミッドの模型の展示で大
日本印刷の AR 技術が活用された。
この展示では、あたかもピラミッド内部を透視しているかのような体験ができた。利用
者は 3D メガネをかけてピラミッドの模型を見る。そして、ピラミッドに向けて指をさすと、
指さした先のピラミッドの表面が半透明になり、内部の通路や部屋などの構造物を立体的
54
に透視することができた。また、腕を動かすとピラミッドのさまざまな位置の内部も見る
ことが可能であった。
ピラミッドの内部が見える
これは 3D メガネ、3D プロジェクター、距離画像センサーを組み合わせた AR で、今後
さまざまな形に応用されていくと思われる。
④ 仙 台 で の ジ ョ ジ ョ 展
2012 年 7 月に仙台メディアテークで「荒木飛呂彦原画展 ジョジョ展 in S 市杜王町」と
いう展示が行われた。この中の「ジョジョの奇妙な杜王町 MAP」でも大日本印刷の AR 技
術が活用されていた。
まず、利用者は専用のカメラアプリを地図にかざす。すると、その地点に関する漫画の
絵が浮かび上がるようになっていた。そして、その絵にタッチすると漫画のストーリーの
一部を読むことができるようになっていた。
地図にかざすと絵が表示される
この場合は、地図に書かれた☆のマークが AR マーカーとなっていた。それを専用のカメ
ラアプリで読み取ることでさまざまな漫画の絵が表示されるようになっていた。
55
また、AR 技術は、楽しむことを目的に活用されることもある。特に、子ども向けの遊び
やアトラクションに活用される例は多い。最後は、そのような子ども向けの AR についてで
ある。
⑤ コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン プ ラ ザ
ド ッ ト DNP
大日本印刷は「ドット DNP」という体験型のコミュニケーションスペースも提供してい
る。私たちはこの施設にも行ってみた。ドット DNP でも AR 技術が活用されていた。
例えば、下の写真は「AR 魔法のえほん」というコーナーである。このコーナーでは、台
の上の絵本のページが上のスクリーンに投影される。
AR 魔法のえほん
2 つのカメラで認識する
そして、カメラに向かってスティックをかざすとスクリーンに投影された絵が動く仕組
みになっている。例えば、下の写真は月の満ち欠けを変化させるスティックをかざした様
子である。
何もしないと、満月
スティックをかざすと、三日月に
この絵本の場合、絵本のページの右上に AR マーカーが書かれている。それをカメラで読
み込むことによって上のスクリーンに絵本のページと同じ絵を投影している。
また、スティックにも別の AR マーカーが書かれている。そのため、スティックをカメラ
にかざすとその AR マーカーを読み込み、スクリーンに投影した絵を変化させている。
絵本のページは全部で 5 ページ、スティックが 10 本程、またスティックの裏表で別の
56
AR マーカーが書かれているので、計 100 パターン程の絵を楽しめるようになっている。
他にも、
「Enjoy!フォトパーク」というコーナーでは AR 技術を活用した写真撮影も体
験できた。この写真撮影では、人が動くのを感知して、
「イラスト」を写真の上で移動させ
られる。例えば下の写真では、人が手を振っているのを感知し、雪の結晶のイラストが写
真上を動いている。
雪の結晶のイラスト
手を振るとイラストが動く
⑥ 小 学 生 の 名 刺
大日本印刷は CSR 活動の一環として、小学生に向けた AR 技術の紹介も行っている。そ
こで配布された名刺にも AR 技術が活用されていた。
この名刺にはいくつかの種類があり、それぞれに違う絵が描かれている。専用のカメラ
アプリでこの名刺をかざして見る。すると、その種類に応じて別々の職業の絵が立体的に
表示される。また、それに関連した音声も流れるようになっている。例えば、消防士の名
刺を専用アプリで見ると、消防士の立っている姿が立体的に表示され、消防車の音が流れ
てくる。
さらに、2 枚の別の種類の名刺をつなげて並べてみる。それをカメラでかざして見ると、
また別の職業の絵が現れるようになっている。このように、友達どうしで名刺をつなげて
遊ぶことも可能となっている。
この名刺の場合は、名刺全体が AR マーカーとなっていて、それをカメラで読み込む仕組
みになっている。仕組みはジョジョ展で使われた AR と同じである。
今回の取材で、やはり AR は最先端の技術であると強く感じた。AR について学習していた
私たちでさえ実際に AR 技術を見て驚かされることが多かった。ただ、この技術が最先端で
あるため、まだあまり普及していないのがとても残念である。今実用化されているところ以
外にも、AR はもっと多様な場面で活用できると思う。私たちの生活はまだまだ便利になりう
ると感じた。
57
(3) こ れ か ら の AR
今後 AR 技術がさらに発展、活用されていくことは間違いない。しかし、まだ課題もある。
まず、ほとんどが視覚に関する AR であるということだ。先ほどまで見てきた例も全て視
覚に関するものだった。大学の研究所のレベルではすでに触覚や味覚などに関する AR 技術
も開発されている。しかしそれらは大掛かりな装置を必要とするため、多額の費用がかかる。
それに比べ、視覚を利用した AR はコストを抑えることができる。このような理由から、企
業が実用化する AR 技術は視覚に関するものばかりとなってしまう。十分な費用があれば視
覚以外の AR も実用化が可能となる。今後コストが下がれば AR の可能性はさらに広がるかも
知れない。
他にも AR プラットフォーム(現実のものを認識して CG を映し出すための基盤)の不統
一という課題もある。例えば先ほどの事例から言うと、
「仙台でのジョジョ展」と「小学生向
けの名刺」
、これはどちらも同じような AR 技術を用いている。どちらも AR マーカーを専用
のカメラアプリで読み取り、画面上に CG を表示している。しかし使用しているカメラアプ
リや認識に使われる AR マーカーは全く違う。そのため、
「ジョジョ展」で使われたカメラア
プリをインストールしても、そのカメラを「小学生向けの名刺」の AR マーカーに使用する
ことできない。どちらも大日本印刷が開発した AR だが、依頼した企業が異なるためにこの
ような違いが出てしまう。AR マーカーが統一されれば、このような問題は解決され、さらに
AR が便利で身近なものとなるだろう。
取材をした佐藤氏と立川氏に、AR の将来についてもお聞きした。二人は次のように答えて
いた。「もっと子供が親しみやすいような AR を開発していきたい」
(佐藤氏)。
「もっと大き
な装置を使うなどして AR でしかつくれないリアリティーを追究していきたい」(立川氏)。
このように社員一人一人が AR についての具体的なビジョンを持っていて、大変好感をもっ
た。
また二人が何度も強調して話しておられたのが、
「AR はあくまで手段の一つに過ぎない」
ということである。いろいろな情報提示手段がある中で、本当に AR が最適なのか、そこを
しっかり考えたうえで AR を用いているのだ。
6 年後の 2020 年には東京でオリンピック・パラリンピックが開催される。その時、AR 技
術は必ず何かしらの形で活用されることになるだろう。その頃には AR 技術はもっと向上し
ていて、触覚や味覚などの AR も実用化されているかもしれない。今後どのように AR 技術が
発展していくかとても楽しみである。
58
(1) そ れ ぞ れ の 銘 柄 の 株 価 の 推 移 と そ の 原 因
今回私たちは 11 月 30 日の終値で株式を購入、ポートフォリオを開始した。以下に、11 月
30 日から 12 月 30 までの各銘柄の株価の推移と、その原因と考えられるものについて書く。
企業名
取得株数
○○株
株価変動
11/30 終値→12/30 日終値
日経スマートチャート(11/30~12/30)
株価の推移状況とその原因の説明
59
大成建設
取得株数
518 株
株価変動
\466→\478
横ばい。営業増益だが、労賃費の上昇で見
通しが下方修正される。しかし社債の格付け
がAと好評価を得たため持ち直した。
日立製作所
取得株数
386 株
株価変動
\755→\796
やや上昇。社会インフラ関係が伸び、円安の
影響もあり3月期の営業益の見通しが高く、
じわじわと株価を伸ばす。
60
デンソー
取得株数
54 株
株価変動
\5130→\5550
上昇。デンソーの今期の営業益が前年同期
の約1.5倍との見通しという報の影響だと考
える。
オリンパス
取得株数
73 株
株価変動
\3445→\3330
下降。1000億円を超える公募増資が原因
と考えられる。
61
キヤノン
取得株数
99 株
株価変動
\3410→\3330
ほぼ横ばい。デジタルカメラ部門が振るわず
時価総額が減少した。
リコー
取得株数
213 株
株価変動
\1175→\1118
下降。新製品の売り上げがあまり伸びず、又
複写機の出荷台数が予想を下回りメリルリン
チ日本証券による3月期の決算の見通しの
予想が下方修正されたため。
62
デンソー
取得株数
54 株
株価変動
\5130→\5550
上昇。デンソーの今期の営業益が前年同期
の約1.5倍との見通しという報の影響だと考
える。
日本電信電話
取得株数
66 株
株価変動
\5140→\5660
上昇。政府による12/5,22のNTT株の計
2000億円売却予定の発表が原因か
63
アイネット
取得株数
344 株
株価変動
\743→\841
上昇。11/21に営業・経常最高益との報道
がありそれがもとで徐々に株価を伸ばしてき
ていると考える。データセンター・クラウドサ
ービスの利用が拡大しているのが原因か。
新日鉄住金ソリューションズ
取得株数
120 株
株価変動
\2343→\2327
横ばい。
情報が少なく取引数も少ないからか。
64
セガサミーホールディングス
取得株数
108 株
株価変動
\2699→\2677
上昇のち、下降。そのまま横ばい。中韓での
スマホゲーム配信で好感触を得るもカジノ法
案の提出の影響で下落したものと考える。
凸版印刷
取得株数
349 株
株価変動
\828→\841
下降するもその後持ち直す。CB(転換社債)
800億円分の発行が原因か。
65
任天堂
取得株数
23 株
株価変動
\13130→\14010
上昇。クリスマスを前にして目玉商品「3DS」
のさらなる売上を期待してのものか。
パナソニック
取得株数
270 株
株価変動
\1175→\1224
横ばい。11月上旬から順調に上昇していた
が、三洋技術に液晶関係の特許侵害で和解
し38億円支払ったことでその上昇の流れが
鈍化したと考える。
66
ソニー
取得株数
153 株
株価変動
\1867→\1826
やや下降。12月初頭の米ダウの下落やスカ
パーJ株の全売却の影響か。
パイオニア
取得株数
1184 株
株価変動
\216→\220
横ばい。情報が少なく取引数もかなり少ない
からか。
67
大日本印刷
取得株数
289 株
株価変動
\1056→\1116
やや上昇。米社と台湾の子会社を統合した
影響か。
KDDI
取得株数
58 株
株価変動
\6430→\6470
横ばい。前記も順調で連続で営業最高益を
記録するも、KDDIのラック(3857)への出資
が3割になった後ラックの株価が急に下落し
たため売買が慎重になったものと考える。
68
(2) 株 価 推 移 か ら 考 え ら れ る 考 察
まず、総額の推移のグラフである。
今回のポートフォリオでは、株価が上昇した銘柄が 6 つ、ほぼ横ばいだった銘柄が 9 つ、
下降した銘柄が 2 つという結果になった。17 社のうち 15 社の株価が横ばい、あるいは上昇
という結果は評価できる。ただ、AR・VR という新分野への投資であるからか、一部株価の
変動が大きかった企業があり、まだ安定的な株価上昇は望めそうにないということが改めて
分かった。
2013 年は、アメリカのダウ平均が過去最高値を更新したこと、アベノミクスでの金融緩和
による円安傾向だったことなどから日経平均が急激に上昇した。そして 2013 年終値は 1 万
6291 円 31 銭と、2013 年の最高値で終わった。このことを考えるとこのポートフォリオでは、
総額での上昇幅が小さいと思うが、真っ先に株価上昇が望める大企業をあまり入れていない
ことを考慮すると、この結果はうなずける。
そして、2014 年は 4 月に消費税増税があり、少なからずその影響を受けると考えられる。
しかし、現在の円安、株高状況が続く限り今回投資した企業も成長していけるはずだ。今回
投資した企業には中小企業もあるが、そのような企業を含めたすべての AR・VR 企業の成長
を期待したい。
69
今回のチーム名「HUSKY」は、全員のメンバーの頭文字から 1 文字ずつとり、
「殻をやぶる」
という願いを込めた。AR、VR の分野はまだまだ未成熟な分野である。今後この分野が発展、
成長していくことを望む。
私たちがこのチームで登録をしたのが6月、そしてこのレポートを書いているのは 2014 年を
迎えたばかりの1月、つまり半年近くもこの日経STOCKリーグに費やしてきたことになる。
それは本当に長い道のりだった。まず初めのテーマ決め。本当はテーマを考える前に、この日
経STOCKリーグとは何か、ひいては株とは何か、投資とは何か、経済について何も知らな
い私たちはこれを考える時間もあったのだが。それからテーマが決まったらその下調べと関連
企業の選択に移った。ここでは学校での校外学習の時の経験がためになり、自分で研究者の方
にアポを取ったり、いろいろな方面から調べたり、なかなか深い知識を得られた。最後に投資
とその経過を見守り、その昇降に一喜一憂した。下がった場合は何が悪かったのか、上がった
場合は何が良かったのか。その都度その都度私たちのチームでは考えることにしていた。そし
て今ここまで来ているわけだが、本当にいろいろなことを経験した。まずこんなに多くの企業
の名前と触れたのも初めての経験で、世の中にはこんなに多くの企業がひしめき合っていて、
競争を展開しているのだと知ると、ものすごい世界だな、と班員が皆思ったようだった。ただ
今回の学習を通して企業が、そして日本経済が、今までよりずっと身近に感じられるようにな
ったことは確かである。ニュースなどを見ていても、日経平均は今このくらいなのか、とか、
この会社聞いたことないから後で調べてみよう、とか、いろいろと考える機会が増えた。この
習慣はこれからも続けていきたいと思う。そして、最初の要旨にも書いたがこれから社会を担
っていくという自覚を持って、さまざまな分野の今後を見届けていきたい。ここから僕(里正)
以外の人の簡単な感想を書く。
今回のストックリーグは、僕にとって得るものが多かった。僕は AR についてのまとめと企
業評価のコメントを任された。AR に関して伺った稲見教授のお話はとても面白く興味深かった
し、それゆえ AR についてまとめるのは本当に楽しかった。また、各企業の AR・VR への関わ
り方は調べてみると多種多様であり今まで気づいていなかったものが AR だった、ということ
が往々にしてあり日常生活の中でもニュースなどを聞くことが増えたと思う。来年も機会があ
れば自分を高めてくれたストックリーグをやってみたいと思う。(倉持)
ストックリーグに参加し、経済に関して興味を持つようになったと思う。新聞やニュースで
私たちの投資先の企業が出てくると自然と内容が知りたくなり、新しい発見などもあった。ま
た、今回の私たちのテーマは最先端の技術であったため、新しく学ぶことが多く、珍しい体験
70
もできた。普段は会えない大学教授に話を聞いたり、一般公開されていない技術を見せてもら
ったりもした。ストックリーグに参加したことで、とても貴重な体験ができたと思う。参加し
ていて本当によかった。(魚住)
今回のストックリーグでは、AR や VR に関する研究者に会うことができた。彼らの話を伺い、
私は最先端技術のさらなる可能性を感じた。今後も最先端の技術の躍進に期待する。
また、レポートにまとめる際、私はレイアウトを担当したが、改めてその難しさを実感した。
班員全員で作ったレポートはきっと最高のレポートになったと思う。(秀島)
おもしろそう、と思って始めたストックリーグ。しかし、テーマがテーマなのでアポがなか
なか取れなかったり、投資する企業を決められなかったりととても大変だった。しかし、AR、
VR の技術を実際に体験するとこのテーマにして良かったと思えるようになった。今回のレポー
トは最後まで見やすさを追求したので、良いものになったと思う。(山口)
それから今回一貫して調べてきた、AR と VR の未来についても述べておく。
私たちのチームは、この技術が本当に無限の可能性を秘めていると考えている。視覚だけで
なく、話にも取り上げた触覚やそのほかにも味覚、聴覚の AR、VR が進歩すれば、仮想の人間
を立体的に映し出し、それに触れることだって、できるようになるかもしれない。自分がまる
で全く違う現実にいるような感覚だって作り出せるかもしれない。あくまで AR、VR が目指し
ているものは、現実世界の本質を完璧に再現することで、それこそが究極の「拡張現実感」
「人
工現実感」へとつながっていくのだ。これに成功すれば、現実世界で起こるであろう問題をシ
ミュレートして、事前に回避することだってできるかもしれない。それこそラプラスの悪魔で
はないが、ある程度未来を予測することすらできるのかもしれない。とまあこれは話が大きく
なり過ぎだが、これだけの可能性を AR、VR は秘めていて、進歩していく中で私たちの暮らし
に大きな、恩恵をもたらしていくはずである。だがそのためにはまず、ハードを行きわたらせ
ること。これは昨今のスマートフォン普及である程度解消してきているが、問題はもう一つ、
プラットフォームを統一すること。これが今の一番のネックとなっていると私たちは考える。
どの会社も自社が作成したプラットフォームを使いたがるのはしょうがないことで、そのせい
でプラットフォームが全く統一されないできた。だがこの状況は何とか打開しなくてはならず、
それには大企業一つだけでなく、何社かが協力して一つの高品質のプラットフォームを開発す
ることが必要不可欠であると思う。今回私たちが投資した企業の中からも近い将来、協力して
プラットフォームを作ってくれるのではないかと、考えるとこれからの動向が楽しみでならな
い。
私たちが思い描く未来の世界というものは、今以上に情報化の世界になっていることは間違
いなく、街を歩いているだけでとてつもない量の情報が飛び交っているのが確認できる、そん
な世界である。その中では情報提示の手段として AR、VR 技術が大いに活躍していて、個人個
71
人に必要な情報を与える素晴らしいものになっているはずだ。このように今とは違い、AR と
VR がもっともっと私たちの生活に密接にかかわってくる時代がこれから来ると、信じている。
だからこそ今回はこのテーマで投資に臨んだのだ。
最後に突然の電話にも対応してくださりアンケートにも協力してくださった数多くの企業の
方々、私たちの訪問を快く受け入れてくださった小木教授と大日本印刷様、わざわざ貴重な時
間を縫って Skype でのミーティングを提案してくださり、その後の質問にも詳しく丁寧に答え
てくださった、稲見教授。そして今回私たちが日経STOCKリーグに参加するきっかけを与
えてくれ、顧問として面倒をみてくださった大野先生。私たちは本当にいろいろな方たちに支
えられてこの日経STOCKリーグに参加し、様々なものを得ることが出来ました。この場を
借りてお礼を申し上げます。本当にありがとうございました。
今回得た経験を糧に、これからも私たちの学校目標、
「挑戦し、創造し、貢献する生き方」を
目指していこうと思います。
72
『バーチャルリアリティ入門』舘暲(2002 年 ちくま新書 369)
http://www.ivr.jp/
3D&バーチャルリアリティ展[IVR]
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Listen Radio とパイオニア製カーナビの連携
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