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大宮駅支所職員による公金着服事案 報告書(PDF形式

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大宮駅支所職員による公金着服事案 報告書(PDF形式
大宮駅支所職員による公金着服事案 報告書
平成27年2月
1 事件の概要
平成26年10月、大宮区役所区民生活部大宮駅支所職員による、市民の
方が納入した税金等の公金3件、つり銭1件合わせて20万3千円を着服し
ていた事件が発覚した。その内容は次のとおりである。
発覚日
平 成 26 年 10 月
市民納付日
公金種別
1 日(水) 平成26年8月29日(金)
金
額
市県民税
28,000 円
平 成 26 年 10 月 14 日(水) 平成26年9月30日(火)
国民健康保険税
65,000 円
平 成 26 年 10 月 24 日(金) 平成26年9月 5日(金)
市県民税
60,000 円
つり銭
50,000 円
平 成 26 年 10 月 24 日(金)
つり銭は、供述により平成26年8月28日(木)犯行。
本人への聴取によると、市民の方が納入した収納金と納付書、事務処理上
で使用する納付確認書(納税者氏名、預り金額、つり銭、税目、担当者名な
どを記入したもの)の3点及びつり銭を、他の職員がいない早朝などの時間
帯に抜き取っていたということであった。
2 経緯
10月1日に、市県民税の督促状が送付された市民の方から、
「大宮駅支所
で納付済みなのに督促状が来るのはおかしい」との連絡が北区役所収納課に
あり、支所で納付書の控を捜したが発見できず、納付の確認が取れなかった。
そのため、納税者と直接お会いし領収書の原本を確認し、間違いなく納付済
みであったため、不明金が発生していることが発覚した。
その後、支所事務室内での紛失の可能性も含め、内部調査を行っていたと
ころ、まったく同様の連絡が10月24日までに都合3件あり、その都度納
税者の方に領収書の原本を確認し、同様の不明金があることを把握した。
当初の不明金が発覚した直後の10月2日∼3日、支所の全職員を対象に、
支所内で所長が事情聴取を行った。この事情聴取は、一人ずつ、今回の件に
ついて隠さず全てのことを話すよう伝え、職員の間で変わった話は聞いてい
ないか等も含めて聞き取りを行ったが、全員が関与を否定した。
しかしながら、1の市民納付日も含めた毎日の収納金の集計業務では、現
金・納付書・納付確認書の金額が一致しており、保管するこの3点が同時に
紛失・盗難に合うことは考えにくい為、さらに警備会社が保管する支所への
入室記録を確認するなどの内部調査を行った。その結果、休日等に不審な入
室を繰り返している職員がいたので、改めて副区長、区民生活部長、所長が
当該職員に事情聴取を行った結果、着服を認めたものである。
1
なお、着服が判明した公金は、既に全額返還されている。
3 事件発生までの公金管理体制等の概要
(1)公金管理体制
納税者が窓口に市税等の納付書等を持参した場合は、窓口受付職員が納入
金額を確認後、納付書と領収書に領収印を押印し、納付確認書を作成して領
収書を納税者にお渡ししたのち、収納金の現金・納付書・納付確認書の3点
を所定の場所に保管する。
現金・納付書・納付確認書については、業務終了後に最終集計を行わずに、
所定の場所から金庫へ移して保管する。
翌開所日の朝に金庫から担当職員が納付書・納付確認書を取り出し、集計
担当者が前日預かった収納合計額を集計し集計内訳書を作成する。
その後、集計担当者が集計内訳書に記載されている前日の収納合計額の現
金を確認後、上司が再度確認して公金警備輸送会社用の施錠付バッグに入れ、
所長又は所長補佐が、公金警備輸送会社の巡回職員へ現金等の受け渡しを行
うという公金管理体制だった。
(2)つり銭の管理状況
つり銭に関しては、大宮駅支所では、従前から繰り越された現金を使用し
ており、区総務課より支給されたつり銭は、使用せずに金庫に保管したまま
にしていた。
なお、他の支所・市民の窓口においては適正なつり銭管理を行っており、
大宮駅支所だけの特異な管理状況であった。
(3)鍵の管理体制
変則勤務体制であるため、全職員が支所事務室への入退出に必要な鍵と入
室カード(ICスティック)を所持しており、自由に入室が可能であった。
また、金庫の鍵は、全職員が保管場所を知っており、鍵の保管箱に施錠も
しておらず、使用簿もなかった。
4 発生の原因・問題点
(1)職員個人の要因(動機)
当該職員は、
「仕事が面白くなく、むしゃくしゃしていて、公金をとってし
まった。」と供述している。こうしたことから、当該職員の倫理観の欠如が最
大の原因であると考えられる。
(2)職場環境の問題点
一方で公金の取扱いや管理体制が十分でなかった点も事案発生の要因の一
つと考えられ、具体的には次のとおりである。
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①一時保管する公金等の把握に関し、公金等を金庫に一時保管する際に、
保管金額等を控えていなかった。このため現金の抜き取り等があっても覚
知できなかった。
②支給されたつり銭を使用せず、定期的な金額の確認も怠っていた。
③全職員がいつでも機械警備されている支所事務室に入退出できる鍵とI
Cスティックを所持していた。
④収納金等を収める金庫は、全職員がいつでも開錠できる状態となっていた。
5 再発防止策
(1)大宮駅支所における再発防止策
事件発生後、大宮駅支所では次のような改善を行った。
①-1 収納金の集計について、所長又は所長補佐を含めた複数の職員で確認
し、記録簿に記録、押印するようにした。
①-2 収納金の集計回数を1日2回から4回に増やし、業務終了の午後7時
以降に当日の最終集計を行い、当該結果の記録を支所長に渡し保存するこ
ととした。
①-3 納付確認書については、一枚ごとナンバリングで連番を付番した。
②つり銭は、支給されたつり銭を適正に使用し、業務終了後につり銭金額
を確認して、つり銭確認簿に記録することとした。
③事件発生後、入室カード(ICスティック)については、所長及び所長補
佐のみが所持することとし、他の職員が緊急で入室する際には、所長又は
所長補佐の許可を受けたうえで、大宮駅支所が入居する駅ビルを管理する
警備室において入室許可手続きをするようにし、入室記録簿を備え、入室
記録を行うようにした。
④-1 金庫の開錠に際して、必ず所長の許可を受けて複数で開錠し、その都
度、記録簿に記録するようにした。
④-2 金庫の鍵は、業務終了後に鍵の保管場所を施錠し、遅番の主査以上の
職員が鍵を保管する。また、それとは別に所長と所長補佐が鍵を各自で保
管する。朝の開錠は所長もしくは所長補佐が行うこととした。
(2)区政推進室における再発防止策
平成26年12月に開催した区民課長会議において、各区役所区民課長に
対し、区民課・支所等における公金収納事務の「さいたま市会計規則の遵守」
について、改めて職員への周知徹底を図るよう依頼した。
また、各区において、各区会計管理者等の指示のもと、公金収納事務の流
れを再点検し、見直し等を実施していることを確認した。
このほか、危機管理体制等の強化策として、支所等施設への職員の入退室
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について、契約警備会社から入退室記録をメールで受領し管理している見沼
区役所の事例を報告し、同様の取組を全区役所の全支所等施設において実施
することとした。
(3)公金収納、管理体制等の見直し
①平成26年11月21日付けで会計管理者から文書で所属長を通し、窓
口での現金収受時の確認方法や公金の保管など、改めて事務処理体制の点検
と適正かつ確実な事務処理の執行を指示した。
また、会計管理者による会計事務実地検査を、平成26年12月4日か
ら平成27年1月28日まで、各局から抽出した20課所を対象に、現金
の収納及び保管状況、帳簿等の作成状況などの検査を実施した。
さらに、区役所における会計事務実地検査及び検査結果の報告について
は、各区の会計管理者に依頼した。
②平成26年12月17日に第2回会計管理者会議を臨時招集し、各区会
計管理者に対し、区会計管理者の職務確認、区出納員(支所長等)及び区
現金取扱員(支所職員等)の委任事務等について再確認を行い、各区にお
いて公金の取扱い等につき注意喚起の徹底を依頼した。
具体的には、小口払い資金(つり銭)の管理、現金出納簿の管理・確認、
窓口における金銭取り扱いで日々の業務終了時において必ず現金の確認と
書面による記録の徹底を依頼した。
③平成27年1月26日に平成26年度新たに課長級に昇格した職員等
(新任出納員等含む)を対象に会計事務コンプライアンス研修を実施し、
不正経理や不適切な会計処理への対策強化を図った。
④今後、収納事務については、指定金融機関等収納取扱店での収納方法を
参考にして、使用している事務機器等の導入に伴う運用経費や効率性など
の費用対効果や他市の状況等を含め様々な観点から研究していく。
(4)職員のコンプライアンス意識の維持向上策
これまでも職員のコンプライアンス意識の維持・向上を図るために、職位
別にコンプライアンス研修を実施し、全職員が定期的に受講する体制を築い
ており、今後もこの研修体制を継続し、意識の徹底に努めていく。さらに職
員のコンプライアンス意識を維持するには、集合研修だけでなく、日頃から
各職場において職員がコンプライアンスを意識する職場風土の醸成が欠かせ
ないところである。このため、各職場において「コンプライアンス・ミーテ
ィング」を実施することや、チェックシートを用いて職員が自分のコンプラ
イアンス意識や行動を再確認する「コンプライアンス・セルフチェック」を
実施するなど、コンプライアンスを日常的に徹底する職場風土を根付かせて
いくための取組を強化していく。
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このほか、各局区において実施する自主研修へのDVDの貸与や各職場の
要請に応じて行う出前研修に内部講師の派遣を行うなど、各局区において適
時、適切にコンプライアンス強化の取組ができるよう支援していく。
6
関係職員の処分
関係職員について、地方公務員法の規定に基づき、次のとおり懲戒処分等を
行った。
(1)本人の処分
ア 処分の内容
免職
イ 理由
地方公務員法に規定する以下の懲戒処分理由に該当するため。
・法令違反
・職務上の義務違反
・全体の奉仕者としてふさわしくない非行
(2)管理監督職員の処分
ア 処分の内容
大宮区役所 区長
訓告
大宮区役所 副区長
訓告
大宮区役所 部長
訓告
大宮区役所 所長
減給10分の1 1月
大宮区役所 所長補佐 減給10分の1 1月
イ 理由
所属職員に対する指導、監督の責務を十分に果たさなかった職員に対し、
その責任の度合いに応じて処分を行った。
(3)処分年月日
平成26年11月20日
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