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Instructions for use Title 暖房用ストーブの燃焼性能

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Instructions for use Title 暖房用ストーブの燃焼性能
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暖房用ストーブの燃焼性能に関する研究(第2報) : 温風
,FFおよびポータブル型各種ストーブの燃焼実験
園田, 隆; 谷口, 博; 田中, 辰雄; 早坂, 洋史
北海道大學工學部研究報告 = Bulletin of the Faculty of
Engineering, Hokkaido University, 106: 21-31
1981-11-30
DOI
Doc URL
http://hdl.handle.net/2115/41702
Right
Type
bulletin (article)
Additional
Information
File
Information
106_21-32.pdf
Instructions for use
Hokkaido University Collection of Scholarly and Academic Papers : HUSCAP
北2毎}亘大学=L二学:音}∼石汗究報牽午
Bulletin of the Faculty of Engineering,
第106−ttj“ (ll沼考…[156向三)
1{okkaido University, No.106 (1981)
暖房用ストーブの燃焼性能に関する研究(第2報)
一温風FFおよびポータブル型各種ストーブの燃焼実駿一
園田 隆“ 谷口 博* 田中辰雄* 早坂洋史’
(1…髭{禾1:]56’f・li 6」考 30 貸(受P甦H)
Study on the CombustioR Performance of Stoves for Space
HeatiRg (2Rd Report)
Combustion ExperimeRts of eack stove ef hot air supply, forced
flue(]FF) and portable types一
Takashi SoNoDA, Hiroshi TANIGucHI, Tatsuo TANAKA, Hiroshi HAYASAKA
(Received June 30, 198!)
Abstract
The 2nd report deals with each stove of hot air supply, forced flue(FF) and portable types.
The method of experiment is the same as that of !st report. For portable type of stoves,
however, the variations of temperature and components of gas in a room using stoves without
ventilation are obtained.
The data reported here points out that the variations of the efficiency of hot air supply
type with fuel consumption is relatively small and that of forced f}ue type is the largest in
the stoves dealt with here. Furthermore the combustion experiment with portable type
stoves shows that the concentrations of CO aRd NOx in the room becomes much higher in
about two hourE . ln using them actually it is very irnportant to ventilate forcedly.
1.ま え が き
第1報では円筒形の放熱面本体から放射と蔭1然対流伝熱によって暖房効果を得るポット式灯油
ストーブの燃焼と放熱性能実験,排出ガス中に含まれるNOxなどの分析および燃焼室内ガス流動
シミュレーションを行ってその熱効率は強制通風燃焼下では最大約73%,霞然通風下では約80%
に達すること,また排出NOx濃度が最高で約80 ppm(02換算値〉であることなどを明らかにした。
現在市販されている石独ストーブの型式をみると一時期よりその台数は減ったかに見受けられる
ものの温風式とよばれる強制対流三熱によるストーブ,また燃焼用空気の吸入と燃焼ガスの排出
を戸外にて行うとともにその給排気管内で吸入空気を予熱して燃焼室に導くFF式ストーブお
よびポータブル型として従来より使用数の多い芯上下式あるいは最近の石油ガス化ファンヒー
菅 機1戒二に鮮訴斗 熱機1蝿尋ξ二第Ii溝tt−ii,i
22
2
園IE隆・谷[:1博・田中脹雄・早坂洋史
タの取扱い量は多い状況にある。温風式ストーブは室内空気を直接加熱して強制的に循環させる
型式であり黛内の湿度低下,釜内気流の発生による人体への不快感および塵埃の浮遊さらに必要
とされる換気回数が放射伝馬を利用するストーブより多くなるなどいくつかの欠点を有している
がその熱効率は一般に高いと欝われて販売されている。またポータブル型でもそのバーナ部にノ
ズルを使用して灯油と空気の混合噴霧方式をとり入れたガス化ファンヒータは芯上下式と同様燃
焼ガスを戸外に排出する型式ではないことから熱効率100%,さらには点火や燃焼量制御の取扱
いが簡単であるとのことで北海道内でも注目をあつめている機種の1つであるが,最近のように
家屋が密閉構造化し自然換気量の少い室内では排気ガスによる室内空気の汚染がどの程度に達す
るかは懸念されるところである。
本報告はポット型バーナを有する温風式ストーブとFF式ストーブ,さらにポータブル型として
芯上下式ストーブとガス化ファンヒータを対象として第1報同様燃焼性能実験とNO。濃度など
の排出ガス分析を行った結果を述べるものである。とくにポータブル型の2機種については換気
を全く行わない密閉室内で継続燃焼させ室内の温度,空気中の各ガス成分を一定時間ごとに計測,
分析して調べた。
2.供試ストーブと実験方法
図1∼5には本実験に供したストーブ,また表1∼5はそれぞれのストーブの要目(メーカ側
表示のもの)を示している。温風式ストーブは図1∼3と5のものであるが,図1,2の機種は
いずれもポットバーナ上部に火炎と燃焼ガスによって加熱されるグリッド状および円筒上の放熱
体を有しそこから放射伝熱によっても放熱できるよう製作されている。さらに室内空気をス
トーブ本体裏面に設けられた取入口より導いて上部に位置する熱交換器に接触受熱させ加熱空気
(温風)として正面上部のルーバから吹き出す。図3はFF式ストーブであり,これは温風吹き出
しのみである。また図5はガス化ファンヒータであり室内から吸入された空気が燃焼ガスと直接
混合して吹き出す構造となっている。
実験装置および流量,温度計測さらにガス分析などの方法は図1∼3のストーブについては第
1報と同様であるが、図4,5のポータブル2機種は完全密閉室内で数時聞継続燃焼させて室内
の温度,空気中のガス組成分析を行った。図6はその試験室形状と各測定点などを示す。室内のほ
ぼ中央に温度測定のための熱電対とガス採取口,および実験中のモニターとして使用した酸素濃
熱交換器
放射体
排気筒
応ir熱ガラス筒
熱交換器
放熱筒
ンク
燃焼り/ク
[]
ポット
肉
反射板
自 冊 口 扁
@ 四 国 薗
一 堺 一 ■ 一
T珊艮膵島 ■1腱 駒 巳1■,
@一
卜
燃焼リング
ポット
。圏ロ
まト
○。ロ
,二軸
826
図1 供試ストーブA
図2 供試ストーブB
3
23
暖務用ストーブの燃焼性能に開する研究(第2報)
熱交換器
灯油タンク
赤熱ネット
勇
⑱⑦
ポ・ノト
Q
o o
ゆω寸
Φ
雀5
図4 .供試ストーブD
図3 供試ス1・ 一ブC
バーナ
灯油タンク
δの
77
図5 供試ストーブE
衰1 温風式ストーブAの仕様
表4 ポータブル型ストーブDの仕様
穣類・型式
強制通風式・強ξ1}II対9流型
種類・型式
しん上丁’式・放射式
使胴燃料
鰍r油(JIS!号灯油)
使用燃料
麟舳(JIS 1」暦灯’推1)
燃料溝費搬
最火!.2な/h, ま{吏ノ」・0.33¢/h
標準逓室
燃料消費量
標 適蓋
α26¢/h
16,5∼79.2m2
重 鑑
52kg
露 鍵
112k9
表2 温風式ストーブBの仕様
10∼/4m2(6∼9畳)
表5 ポータブル型ストー一ブEの仕様
刀日贋三式 ガス ’燃焼.万式
種類・型式
弓童{倒通1鐵3℃・づ虫鐸1罎対’温己揖望
種類・型式
使用燃料
由灯油(J夏S湯火.rl由)
使用燃料
白灯油(JIS 1号煩ilり
燃料消費量
嚢吏ヅく1.!£/h, 舞走/」・O.39/h
燃料消費量
0.30∼0.三9¢/h
標準遍室
木造30m2, コンクリート42m2
10∼/7m2(6∼10畳)
重 量
30kg
標準適窺
重 鰯:
2まkg
表3 FF式ストーブCの仕様
種類・型式
強1倒通1軋式・強封鋒1対’1充型
硬用燃料
白灯油(J正S1号灯油)
燃料穂費量
5没大0.495{∀ h, ま泣ノト0.21《/h
標準適蓋
重 量
オく造18m2 コンクリート25m2 ,
32,5kg
ュ制対流型
24
4
園田 隆・谷口 博・田中辰雄・早坂洋史
度計のセンサーをとりつけてある。温度は自動記録させたが室内のガス採取は一定時間ごとに行
いCO2,02, N2についてはかスクvマトグラフ, COは非分散赤外型CO計およびNOx分析はNO−
03の化学発光法を用いた自動分析器を使用して各成分濃度を求めた。さらに芯上下式のストーブ
Dでは放熱ネット上2cm,ストーブEでは温風吹き患しルーバの位置に熱電対とガス採取管をと
りつけてその点での温度,ガス組成も測定した。
ストーブA,Bではドラフトを一定(一〇.8mmAg)に保ち燃料消費量を段階的に変えて燃焼さ
せる方法をとり,ストーブD,Eは点火後直ちに最:大燃焼位置になるよう調節して実験を行った。
A4,
2160
`g Ba
一 一 騨
2150
ON
鴇⑩N
C
240
300
oo塗
o寸口
oA
500
4820
試験室(4,82×2,635×2,99m)
AL∼A4:温度測定∴1〔, BΣ, B2:ガス採取位置
C二酸素濃度計センサー
図6 ポータブル型ストーブの実験装置図
3.実験結果および考察
図7∼15はスi・一ブA,B, Cについての実験結果を示しているが各図とも横軸に燃料消費量を
とって図7∼9は熱効率と損失,図10∼12は各ガス組成と空気過剰係数および図13∼15はNOx
濃度分析値と排ガス温度を表している。
温風式ストーブA,Bの熱効率の値は燃焼量に対しほぼ一定であり低燃焼範囲でむしろ高くな
る傾向を示している。第一報にて供試した放射と自然対流による放熱を行うストーブでは低燃焼
になるにしたがって熱効率は減少し放酎と強制対流による放熱を行うストーブA,Bの傾向と異
なることがわかる。これは燃焼量が減少して放熱面温度が低下し主に放射による伝熱量は少くな
るが強制対流伝熱を行う温風式A,Bでは低燃焼位置に移行しても対流放熱量の全放熱量に占
める割合がそれ程小さくならないためにこのような結果を示すことによるものと思われる。
FF式スi・一ブCの熱効率の傾向は図9にみるとおり燃料消費量の増加に伴って大きくなり最:
高では90%を越える値を示している。これは燃料港費量あたりの熱交換器伝熱面積が大きいこ
と,給排気管における空気予熱の効果等が高効率を承す理由であるが燃焼時のストーブCの消費
電力を1とするとストーブがA,BはそれぞれO.69,0.5!であるので実際使用にあたっては電力
5
25
暖房粥ストーブの燃焼性能に関する研究(第2報)
使用董をも考慮したエネルギ効率の点からも検討する必要がある。さらに北海道など積雪が多く
外気温度の相幽低い寒冷地にあってはFF式ストーブの場合給排気管を壁を通して戸外にだす構
造にせねばならぬことから雪による給排気管部分での通風阻害あるいは凍結事故が考えられるの
で実際使用にあたっては十分な注意が必要となり単に熱効率が高いということだけで適当な機種
と判断することはできない。
排ガス分析の結果を示したものが図10∼12である。ストーブAでは燃焼用空気量を燃料流貴の
変化に応じてダンパによって,ストーブBではモータの圏転数(速度)変化によって制御する方
1.O
O.5
o
o
O・3 cmS/s O・4
O,2
o.i
O.5
15
L/h
1,0
燃料消費嶽:
図7 ス1・ 一プAの熱効率,損失率
10
O.5
o
o
O.3 cm3/s Q4
O.2
O.1
ID
O,5
燃料消費量
ee 8 ストーブBの熱効率,損失率
1.5
L/h
26
6
園田隆・谷口博・田中辰雄・早坂洋史
式をとっているがストーブCは第1報のものと同様一定送風である。それらの空気過剰係数の燃
料消費量による変化をみるとストーブA,Bでは低燃焼域を除いて比較的変化しない傾向である。
しかし,とくにストーブAの最大燃焼域における空気過剰係数が約2であることから排ガス損失
減少のためにはより精密な空気量制御が必要である。図7に表わされるように燃焼量の多い範囲
におけるストーブAの熱効率が幾分低下する傾向を示していることは空気量をより適正に制御す
ることによって改善が計られるものと考えられる。またストーブBの分析値を示す図11をみると
空気過剰係数の変化傾向はストーブA,Cとは異なり比較的良好な制御結果となっているのでドラ
フト調整とあわせて適切な空気量簿1御がなされうるものと思われる。しかし図14にみるように排
ガス温度が他に比べてかなり高いことから伝熱面積のとり方などに検討の余地があるものと考え
しぬ鳳
10
印O醐〇一
ゼ編t
p鳴撤
O.5
o
O.1
O,3 cm$/s Q4
O,2
o
1.5
o・s ms igin. ee ge, 1−O L/h
図9 ストーブCの熱効率,損失率
100
△r△
△ △・
△____△
4
(N2)
E
、
3
口
ほ
50
口\□
2
口 m
口鵯
(02)
働・⑭
(CO2)O.○
o
D
1
8=:=8
㊥陣一蘭融
O・3 cm3/s O・4
O.2
O,1
O,5
1.5
1.0
燃料梢費量
L/h
図10 ストーブAのガス分析値および空気過剰係数
7
27
暖房fEストーブの燃焼性能に関する研究(第2報)
られる。さらにストーブCの結果が図12に示されるが空気過剰係数の変化傾向は第1報で供試し
たストーブと同じである。
一方環境保全上考慮せねばならない排出ガス成分としてのNOxおよび排ガス温度を各ストー
ブについて示したものが図!3∼15である。排ガス温度が比較的高いストーブBの場合のNOx濃
度はストーブAに比べて高く最大燃焼時の値は70ppm(02換算値)に達している。また燃焼範囲
が他機種に比べて小さいにも拘らずFF式ストーブCのNO、濃度の値はかなり高くなる傾向を有
している。このストーブの排ガス温度は給排気管において吸入空気に対する熱交換を行ったあと
の温度となるため他のストーブよりは低くでることになり平均燃焼温度としてみなすには必ずし
も適切でなはないことになる。したがってNO。生成に大きな影響を及ぼす燃焼室内の温度はかな
100
(N2)△△
4
△_
△
E
$
50
3
@m ・口
口8
口
2
o、
1
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o
@=
O.2
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o
O.3 cmS/s O.4
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O.5
燃糊難 レk
図11 ストーブBのガス分析値および空気過剰係数
leo
轍△r△一
4
一(N2)
E
詳
3
50
口
\
2
臼\
、rn
1
(02)’、(CO含)
鴨⑱ 》魎《印○
o
o
O.1
O.2
O.3 crnS/s O.4
O.5
1.O
燃料澱墾、 レト
図12 ストーブCのガス分析値および空気過剰係数
1.5
28
8
園田 隆・谷口 博・田中辰雄・早坂洋史
り高いことが予想される。各ストーブとも最:大NO。濃度が50∼70ppmとかなり高い値を示してい
るので低減のための技術的方策が検討されねばならない。
図16,17はポータブル型ストーブD,Eについて密閉室内で数時間の継続燃焼を行わせた場
合の室内のほぼ中央位置における採取ガス組成と温度の時間的変化をみたものである。ポータブ
ル型の中ではかなり以前から春や秋などに補助的暖房機器として使用されることが多く芯上下式
バーナを有し赤熱ネットからの熱放射を主として利用する方式のストーブDの場合が図16に示
されている。点火後3時間後の酸素濃度(0、)は約19%,一酸化炭素(CO)濃度は約10PPmさ
らにNOx濃度は約0。2ppmに達していることがわかる。つぎに石油ガス化ファンヒータ方式のス
mo
.U K
500
100
㊥’t臼
E
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50
S/
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300
宦fρ
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500
o NOx
爾ρ
メ
700
O
100
300
o
O.1
o
O・3 crre/s O・4
O.2
O.5
睾.O
燃料溝費最
L/h
15
図13 ストーブAのNO。濃度および排ガス温度
wn
セ9 ⑭’
eU
x
sw
100
mo
E
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NOx
ー
㊥’麟
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300 一m
50
mo
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σ○
評
v
100
,
o
o
O.1
G2
O・3 cms/s O・4
O.5 ID . 1.5
燃欄醐 L/h
図14ストーブBのNO.濃度および排ガス温度
300
9
29
暖募用ストーブの燃焼性能に関する研究(第2報)
トーブEの場合が園17であるが同じく3時間後の02濃度は約18%,CO濃度は約12 ppmさらに
NO.濃度は約5ppmに達している。両者では燃料消費量,バーナ構造および放熱方式の糊違があ
るので同∼の比較はできないことになるが,長時間換気を行わない状態での使用は釜内空気の汚
染をかなり進行させる結果となり健康上からも十分留意が必要なものとなることがわかる。メー
カ側の説明書には1時間に数回の換気を行うよう記載されてはいるがそれをどの程度まで行うの
am
K
eO
100
500
E
700
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e
ox
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oo
NOx
50
500
/ O
1セ9
タ9
詳
100
v
mo
o
o
O+3 cms/s O・4
O.2
O.1
Q5。料消費ゼOL/h 15
國15 ストーブCのNOx濃度および排ガス温度
廃内中央.愚度
9
蜜内rや央温度
60
6
9
50
5
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’
/
竈内単央ガス組成
室内中央ガス組戒
2
x
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@(COa)〇一
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60 320 . 180
時 闘 min
図16 密閉室内燃焼実験(ストーブD>
90
◎
o
@…
n一(CO2) ぴ
O
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時 悶
rnin
図17 密閉艦ミ内燃焼実験(ストーブE>
30
le
園闇隆・谷口博・田中辰雄・早坂洋史
5
①v・④⑨ 都市ガス
憲
⑤一⑪⑳ 灯油
志Q5
⑫一⑱⑳⑳重油
E
O 第1報のストーブ
m ストーブA
A B
A O.4
禽 C
舞
/
自家発電
ボイラ
II
暖房用ボイラ
家庭用
警0.3
2
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v O.2
業務用
火力発ec・Kイラ
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10
燃焼童
108
9
10
kcat/h
図18 各種定常型燃焼装羅におけるNO.排出量
か,さらに実際使用にあたってそのとおり実施されるかどうかは疑問のあるところであり北海道
のように冬期の気象状況がきわめて寒冷であり家屋構造も自然換気量を少くする傾向に変わって
きている今日ではこれらのストーブの使用にあたっては十分なる注意を要するところである。と
くに強制的に温風を循環させるストーブEの場合,そのバーナ部,点火から燃焼調節そして消火
までの操作が自動化されているなど技術的にはかなりの工夫が施されているものの高効率とい
う面だけをとらえて使用が推奨されることは適切とは考えられない。さらに戸外へ燃焼ガスを排
出しないストーブの場合には不完全燃焼が生じなければこの熱効率は100%になることになるが
換気を行った場合の損失を考慮すべきであり,他機種との効率比較のためにはとくに換気損失を
含めて表示されることが心要と考える。
図18は,著者らの所属する研究室で測定して求めた各種定常型燃焼装置におけるNO.排出量
(mg/kcal)を示したものである。第1報およびここで供試したストーブ各機種の総排出量を示す
点は従来の諸装置の排出量と同程度の範囲にあることがわかり大気汚染防止のために暖房用ス
トーブなどの小型燃焼機器に対しても何らかの規制措置の検討が必要になってきているものと思
われる。
4.結
論
ポット型温風式ストーブ2台,FF式ポット型温風ストーブ1台およびポータブル型ストーブ
2台の燃焼実験を行って熱効率,排出ガス成分などを求めた。
結果を要約すると次のようになる。
(1)放射と強制対流灯芯組合せの放熱型式を有’するポット型温風式ストーブの熱効率は燃料消
費量の変化に拘らず比較的一定の傾向を示しその最:高効率値は約80%である。さらに温風吹き出
しのみのFF式ストーブでは最高燃焼時のところで約93%に達するが電力使用量はかなり多く実
11
暖房用ストーブの燃焼性能に関する研究(第2報)
31
際使用にあたっては単に熱エネルギーの収支ばかりでなく電力消費も含めた検討が必要である。
さらに北海道などの積雪寒冷地においてFF式ストーブを使用する際には給排気管部での通風
阻害や凍結などの事故が考えられるため十分な注意が必要であるとともに適切な改良がのぞまれ
る。
② 燃焼用空気の供給方法についてみると燃料消費量の変化に応じてダンパ制御,送風機の回
転数制御および一定送風のものなど各種の方法がとられているが燃焼調節範囲の大きな機種の場
合には一定送風式のものだと低燃焼域においてかなりの過剰空気状態となり排ガスによる損失
増大の主要な原因となる。ここで供試した温風式ストーブ2台は空気量制御を行うものであるが
ドラフト設定とともにより適正な空気量確保がなされるため検討が必要である。
(3)排出ガス中のNOx濃度はポータブル型2台を除いた3機種のストーブともかなり高く最
高で約70ppmとなっている。他の燃焼装置との比較においても同程度の排出量を示していること
から低減のための方策がとられていくべきである。
(4)ポータブル型2台のストーブについては密閉室内で数時間継続燃焼させた場合の室内の温
度および空気組成の変化を求めた。その結果全く換気が行なわれない状態でこれらのストーブを
数時間燃焼させると酸素濃度(02)が大きく減少するとともに一酸化炭素(CO)およびNO.濃度
の増加を招き通常大気環境に対して定められているNO.濃度規準値の約100倍にも達する。最近
のように自然換気を少くした家屋構造において長時聞これらのストーブを使用して暖房すること
は適切とは書い難い。
5.あ と が き
本概究を実施するにあたり費用の一部は空気調和・衛生工学会北海道支部研究助成金(支部研
究助成金および市民生協,北大生協委託研究費)の補助をいただいた。
また実験を行うにあたり北海道工業試験場工業装置部熱技術科の方々よりご協力いただき,測
定やガス分析および図版の作成には北大工学部学生岸上晃海氏,柳瀬雅人氏,鷲沢輝芳氏さらに
北大大学院学生小熊正人氏の助力を得た。ここに付記して謝意を表する次第である。
参 考 文 献
1) 谷口・園田ほか:暖房用石油ヒータの燃焼性能に関する研究(第2報 温風式およびFF式ストーブの燃焼
実験),空気調和・衛生工学会北1毎道支部第15圃学術講渥{論文集,(昭56−3,札幌〉,p.42
Fly UP