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第2章 第3、4節(PDF:3939KB)

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第2章 第3、4節(PDF:3939KB)
第3節
『資源循環型社会の構築』
1. ごみゼロを目指す資源循環型のまちづくり
(1)ごみ処理の歴史
草津市のごみ処理については、昭和35年から、ため池を利用した埋立を開始し、昭和
40年~昭和47年にあっては、一部事務組合によりコンポスト方式を取り入れ処理してき
ました。
昭和48年から、プラスチックごみについては、市民の協力を得て分別収集を実施し、
再資源化を基本とした計画のもとに、重油還元方式の処理にあたりました。しかし、塩素
の混入やランニングコスト等の問題から継続が困難となり、再度研究の結果、昭和51年
度からプラスチック溶融固化法の有効性に着目した溶融方式を用い、成型品(植木鉢、
プランター、広幅板)への再生をはじめました。
昭和52年からの清掃工場各施設の稼動に伴い、ごみの5種類分別収集を実施し、ご
みの減量とびん・金属・プラスチックの取り組みを開始しました。昭和57年には、週1回30
品の予約収集制による粗大ごみの特別収集と手分解による処理を開始し、昭和60年か
らは市内の公共施設を拠点とする廃乾電池の拠点回収を実施し、再資源化を図っていま
す。
その後、人口の増加や新たな都市施設、商業施設の開発によりごみ量が増加してきた
ことや、ごみ処理施設の老朽化などにより、平成5年度から焼却炉改修工事ならびに破砕
ごみ処理施設の整備に着手しました。焼却炉改修工事は平成8年度末に完成し、1日の
処理能力が90tから150tに向上しました。また、焼却炉を円滑に稼動させるため、平成1
8年度から20年度までの3年にわたり、大規模改修工事を実施しました。破砕ごみ処理施
設については、平成7年度に完成し平成8年度から稼動したことにより、処理能力が飛躍
的に向上し、月2回の粗大ごみの定期戸別収集を始めました。
平成9年10月からは「容器包装リサイクル法」の趣旨に基づきペットボトルの分別収集
を実施し、市の処理施設において前処理を行った後、法に基づく再資源化を図っていま
す。
平成13年4月から「特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)」によりメーカーに
再資源化の義務が課せられたことから、家電4品目(テレビ、冷蔵庫、洗濯機、エアコン)
は従来の粗大ごみの対象から外しました。平成16年4月から冷凍庫、平成21年4月から
衣類乾燥機が家電4品目の対象に追加されました。
平成13年7月からは、蛍光管についても市役所と各市民センターに回収ボックスを設
置し、拠点回収を開始し、再資源化を図っています。
平成13年8月から、ごみの分別徹底および市民1人ひとりの分別意識の向上を図るこ
とを目的として、普通ごみ類(焼却ごみ類)用ごみ袋を従来の紙袋から半透明のポリエチ
ー
48 ー
レン袋に変更しました。
平成15年10月から「資源の有効な利用の促進に関する法律」に指定再資源化製品と
して定められているパソコンについては、製造業者等が自主回収し再資源化されることと
なったため、粗大ごみの対象から外しました。
平成17年3月には「容器包装リサイクル法」の趣旨に基づくプラスチックごみの圧縮梱
包処理施設が竣工し、再資源化の一層の推進を図っています。この施設の稼動に伴い、
従来の成型品の再生は終了しました。
一方、市民・行政・事業者が協力して、ごみの減量・再資源化の推進を図るため、平成
2年10月に「ごみ問題を考える草津市民会議」を発足させ、ごみの減量化と再資源化の
啓発に取り組んでいます。
また、資源回収奨励金交付事業、生ごみ処理容器購入補助事業等を実施し、増え続
ける家庭ごみを削減し、資源化を図っています。
平成21年度からは、ごみの不法投棄対策の強化を図るため、市の専従職員が不法投
棄多発箇所を中心に、市内パトロールを実施し、不法投棄の防止および地域の環境の保
全に努めており、併せて、徹底したごみ分別を行い、資源化の推進を図ることを目的に啓
発指導を行っております。
平成22年度からは、ごみ処理施設の老朽化により、焼却施設等の更新に向けた準備
を進めています。
平成23年10月から、10種類のごみの分別区分を11種類に変更し、古紙類の行政回
収を行うことで、更なるごみの資源化・減量化の推進を図っています。
平成25年度からは、さらなるごみの減量化を図るため、市の専従職員が事業所へ訪
問し、ガイドブックにて、廃棄物の適正処理の説明を行い、事業系一般廃棄物減量の啓
発指導を行っています。
表3-1-1
昭和35年12月~42年 5月
昭和40年11月~47年 3月
昭和42年 8月~44年 8月
昭和43年 7月~47年 7月
昭和44年10月~45年 4月
昭和46年 7月~47年12月
昭和47年11月
昭和51年10月
沿革
山田町(埋立)
コンポスト処理(湖南衛生プラント)
不動浜(埋立)
北山田町(埋立)
大力池(埋立)
不動浜(埋立)
御倉池(埋立)
清掃工場廃プラ再生処理施設竣工
清掃工場焼却施設竣工
昭和52年 5月
金属プレス処理施設竣工
ガラス破砕施設竣工
粗大ごみ特別収集開始
資源ごみコンテナ収集実施(金属、びん)
廃乾電池収集開始
清掃工場からクリーンセンターに名称変更
昭和57年
昭和59年
昭和60年
平成 4年 4月
ー
49 ー
平成 7年 9月~13年 3月
平成 8年 3月
平成 8年 4月
平成 9年 3月
平成 9年 9月
平成 9年10月
平成13年 7月
フロンガスの回収
破砕ごみ処理施設竣工
小型破砕ごみ、不燃物類収集開始
焼却施設基幹整備完了
ペットボトル圧縮梱包処理施設竣工
ペットボトル類収集開始
蛍光管拠点回収開始
普通ごみ類指定袋を紙袋から半透明のポリエチレ
ン袋に変更
プラスチック圧縮梱包処理施設竣工
使い捨てライター拠点回収開始
古紙類収集開始、指定ごみ袋引換券方式に変更
段ボールコンポストモニター事業開始
平成13年 8月
平成17年 3月
平成21年12月
平成23年10月
平成25年度
(2)ごみの分別収集とリサイクル
本市のごみの分別処理は、昭和40年からの2分別(生ごみ、その他)、昭和48年からの
3分別(生ごみ、プラスチック、その他)を経て、昭和52年の清掃工場稼動にあわせ、5種
類の分別を基本に、収集と処理を行ってきました。その後、破砕ごみ処理施設の導入等
により、表3-1-2のとおり10種類による分別収集を実施してきました。また、平成23年
10月から、新たに古紙類(新聞・広告、雑誌・雑紙、段ボール)を分別区分に加え、現在
は表3-1-3のとおり11種類による分別収集を実施しています。
表3-1-2 平成23年9月までのごみの収集方法
種類
焼却処理
ス
テ
ー
シ
ョ
ン
方
式
収集容器等
収集回数
普通ごみ類
市指定袋
週2回
プラスチック類
市指定袋
月2~3回
ペットボトル類
市指定袋
月1回
金属類
コンテナ容器
月1回
びん類(食品用)
コンテナ容器
月1回
破砕処理
小型破砕ごみ類
直接か適当な袋
月1回
埋立処理
不燃物類
適当な袋
月1回
乾電池
回収箱
3週間に1回
蛍光管
回収箱
2週間に3回
粗大ごみ(事前申込制)
粗大ごみ処理券
月2回
資源ごみ
拠点回収
定期戸別収集
ー
50 ー
表3-1-3
平成23年10月からのごみの収集方法
収集容器等
収集回数
市指定袋
市指定袋
市指定袋
コンテナ容器
コンテナ容器
紐でくくる
直接か適当な袋
適当な袋
回収箱
回収箱
粗大ごみ処理券
週2回
月2~3回
月1回
月1回
月1回
3種類を月1回
月1回
月1回
随時
随時
月2回
種類
焼却処理
ス
テ
ー
シ
ョ
ン
方
式
資源ごみ
破砕処理
埋立処理
拠点回収
定期戸別収集
焼却ごみ類
プラスチック製容器類
ペットボトル類
空き缶類
飲・食料用ガラスびん類
古紙類
破砕ごみ類
陶器・ガラス類
乾電池
蛍光管
粗大ごみ(事前申込制)
市指定ごみ袋は、焼却ごみ類、プラスチック製容器類、ペットボトル類の3種類で、市
民の方々に一定枚数を無償配付し、無償配付分に不足が生じた場合は、購入いただい
ています。平成23年10月から、指定ごみ袋引換券方式を導入し、市民の方々に一定枚
数分の指定ごみ袋引換券を無償配布し、市指定ごみ袋は取扱店にて、引き換えもしくは
購入いただいています。また、空き缶類と飲・食料用ガラスびん類については、コンテナ
容器により収集しています。
表3-1-4
ごみ処理量
(単位:t)
プラスチック
粗大ご
焼却ごみ 製容器類 ペットボ 空き缶
年度
びん その他
(普通ごみ) (プラスチッ
トル
(金属)
み
ク)
H21
34,954
2,538
275
468
840
747
283
H22
34,740
2,535
290
451
855
722
269
H23
33,900
1,901
281
342
862
764
294
H24
33,469
1,187
280
254
850
776
318
H25
33,908
1,120
280
243
849
722
342
古紙
合計
-
-
734
1,363
1,330
40,105
39,863
39,078
38,496
38,795
※「その他」は、破砕(小型破砕)、陶器・ガラス(不燃物)、乾電池、蛍光管の 4 種類
表3-1-5
年度
H21
H22
H23
H24
H25
ごみ量(t)
40,105
39,863
39,078
38,496
38,795
一人および一世帯あたりの1日のごみ量
人口(人)
1人あたり(g)
120,632
122,423
124,595
125,611
126,853
911
892
857
840
838
※人口は各年10月1日現在の行政区域内人口
ー
51 ー
世帯数(世帯)
49,177
50,279
51,703
52,217
53,170
1世帯あたり(g)
2,234
2,172
2,065
2,020
1,999
表3-1-6
年度
金属
H21
H22
H23
H24
H25
びん
656
618
560
468
451
798
807
811
785
785
ごみの資源化量
破砕
プラスチ ペットボ 乾電池・
不燃物
ック
トル
蛍光管
等
1,184
283
31
112
1,203
298
39
113
1,232
279
35
69
1,027
273
35
13
1,000
270
34
13
(単位:t)
古紙
-
-
740
1,369
1,337
合計
3,064
3,078
3,726
3,970
3,890
※古紙は、平成23年10月から行政回収開始
(3)ごみの減量に向けて
①分別収集の実施
平成13年度から平成23年9月まで、ごみを10種類に分け、普通ごみ類、プラスチッ
ク類、ペットボトル類、金属類、びん類、小型破砕ごみ類、不燃物類の7種類はステー
ション方式により、乾電池、蛍光管の2種類は拠点回収方式により、粗大ごみは定期戸
別収集方式により収集していました。平成23年10月からは、11種類分別とし、焼却ご
み類、古紙類、プラスチック製容器類、ペットボトル類、空き缶類、飲・食料用ガラスび
ん類、破砕ごみ類、陶器・ガラス、古紙類の9種類はステーション方式により、乾電池、
蛍光管の2種類は拠点回収方式により、粗大ごみは定期戸別収集方法により収集して
います。
②指定袋制
焼却ごみ類、プラスチック製容器類、ペットボトル類については、ごみ袋を市指定の
ものとし、分別の徹底と排出量の抑制を行っています。
③生ごみ処理容器購入補助
生ごみは堆肥化することにより、ごみの減量につながることから、平成3年度より畑等
に置く簡易生ごみ処理容器(A型)に対し補助を開始し、平成8年度からは畑等土地の
ない家庭のために、電気式等の生ごみ処理容器(B型)を補助対象に追加しました。そ
の後、平成14年度からは補助希望者が多いB型の生ごみ処理容器のみを補助対象と
していましたが、平成22年度から、A型の生ごみ処理容器を再び補助の対象としまし
た。
ー
52 ー
表3-1-7
年度
補助件数
H21
H22
H23
H24
H25
69件
61件
56件
33件
38件
生ごみ処理容器購入補助実績
補助金合計
備考
1,355,600円
644,500円
585,700円
353,100円
340,400円
B型69件
A型22件、B型39件
A型15件、B型41件
A型12件、B型21件
A型19件、B型19件
○段ボールコンポストについて
段ダンボールによる生ごみの堆肥化は家庭で
簡単に取り組める減量方法としては近年注目を浴
びています。くん炭と、ピートモスを加え、段ボー
ルの中で堆肥化を進めるもので比較的簡単です。
この普及に向け、平成25年度からモニター事業
に取り組んでいます。
④資源回収実施団体等への奨励金交付
紙や布は、リサイクルが可能であり、資源回収による資源の有効利用はごみの減量
にもつながることから、平成5年度より資源回収実施団体に対して、回収実績に応じ奨
励金を交付しています。
また、円滑な古紙等の回収を促進すべく、平成10年度から、資源回収業者に対し
ても回収実績に応じ奨励金を交付しています。
表3-1-8
資源回収の実績
(単位:kg)
年度
新聞
H21
2,264,000
829,830
710,710
220,340
4,024,880
H22
2,233,810
848,760
791,670
214,470
4,088,710
H23
2,219,710
913,030
863,310
237,480
4,233,530
2,306,580
828,255
991,290
237,400
4,363,525
2,402,930
829,760
1,079,680
238,620
4,550,990
H24
H25
雑誌
段ボール
ー
53 ー
繊維類
合計
⑤転入者への窓口指導
市外からの転入者に対し、草津市の分別方法を理解いただくために、転入時にパン
フレット等で説明し、分別の徹底を図っています。
⑥粗大ごみの有料制
粗大ごみについては、戸別収集に伺うか、排出者によりクリーンセンターへ搬入いた
だき、所定の料金を徴収しています。また、買い替え時は、できる限り業者引取りをお
願いされるよう呼びかけています。
⑦「ごみ問題を考える草津市民会議」との連携
「ごみ問題を考える草津市民会議」と連携し、市民・事業者・行政が一体となり、ごみ
減量をはじめとする3R の推進、散乱ごみ対策に取り組んでいます。
⑧草津市廃棄物減量等推進審議会
ごみの分別方法や収集体系の見直し、ごみ処理費の住民負担のあり方など、ごみの
処理にかかる施策の見直しを審議しています。
⑨事業所訪問
平成25年度より、市内の事業所を訪問し、市の専従職員がガイドブックを活用し、
廃棄物適正処理の説明を行い、事業系一般廃棄物減量への啓発指導を行っていま
す。
(4)ごみ処理関連施設
①草津市立クリーンセンター
草津市の中間処理施設として、下記施設を設けています。
表3-1-9 クリーンセンターの中間処理施設
施設名
形式
能力
ごみ焼却処理施設
ストーカ方式
プラスチック圧縮梱包処理施設
油圧プレス方式
9t/日
*
溶融固化方式
10t/日
金属処理施設
油圧プレス方式
10t/日
破砕ごみ処理施設
破砕・選別方式
10t/日
ペットボトル圧縮梱包処理施設
油圧プレス方式
1.5t/日
プラスチック減容処理施設
*平成23年10月に停止
ー
54 ー
150t/日
②草津市処分場
草津市の廃棄物の処分場として設置していますが、現在は埋立処分を行わず、収
集した不燃物を仮置きし、埋立に適した状態にしてから大阪湾の最終処分場等に搬出
しています。
施設名
草津市処分場
面 積
16,374㎡
(5)その他
○ごみ集積所整備事業に対する補助
平成8年度より、町内会が維持管理するごみ集積所を一定の基準により改修または
新設した場合、5万円を限度として補助を行い、ごみ集積所の適切な管理やごみ出し
マナーの向上、まちの美観の向上等を図っています。
表3-1-10 ごみ集積所整備事業補助実績
年度
町内会数
補助件数
補助金額
H21
12
16
716,247 円
H22
12
15
750,000 円
H23
9
23
1,149,000 円
H24
11
23
1,088,757 円
H25
15
16
768,250 円
2.ごみ処理施設の更新整備
(1)ごみ処理施設の更新整備計画
昭和52年度から市内の一般廃棄物を処理してきたごみ処理施設については、老朽化
により、早急な更新整備が必要になっています。そのため、一般廃棄物の減量化・資源
化を推進し、二酸化炭素排出量の削減等の環境負荷の低減に努め、焼却施設からの効率的
なエネルギー回収を行なうなど、地球環境に配慮した施設整備を目指し、平成22年度か
ら、環境省の循環型社会形成推進交付金の交付を受け、施設更新の準備を進めています。
≪計画施設の概要≫
ごみ焼却施設
リサイクルセ
ンター
127t/日(63.5t/24h×2炉)
全連続燃焼式ストーカ炉、廃熱ボイラ+発電機
13.6t/日
空き缶類(選別圧縮)、びん類(選別破砕)、粗大ごみ・破砕ごみ(選別
破砕)
、陶器・ガラス類(選別破砕)
ー
55 ー
≪これまでの取組み≫
平成22年度
平成23年度
・焼却処理方式の検討
・環境影響評価(準備)
・測量、地質調査
・環境影響評価(実施計画書公告・縦覧、現地調査)
・文化財試掘調査
平成24年度
・施設整備基本計画の策定
・環境影響評価(現地調査)
平成25年度
・環境影響評価(準備書公告・縦覧、評価書公告・縦覧)
・総合評価方式による入札準備
(2)今後の予定
平成26年度に、
「公共工事の品質確保の促進に関する法律」に位置付けられた総合評
価方式による入札手続きによって、設計・施工を行なう事業者を選定し、平成27年度
から平成29年度の3ヵ年で設計および施工を行ない、平成29年度中の稼働を目指し
ます。
総合評価方式とは、価格だけで評価をしていた落札方式と異なり、品質を高めるた
めの新しい技術やノウハウなど、価格に加えて価格以外の要素を含めて総合的に評価
をする落札方式のことです。
3.ごみ問題を考える草津市民会議との協働
市民生活に密着したごみ問題の重要性に基づき、市民・事業者・行政が一体となり、
ごみの減量をはじめとする3Rの推進、地域環境美化の推進等に対して、広く市民の総
意を結集して取り組むべく、平成2年10月に発足しましたが、市民との協働でより一層
の事業展開を行うため、会員の公募など組織改革をされつつ今日に至っています。
(構
成) 各自治連合会代表者、各種団体の代表者、公募の市民、事業者、行
政等で構成し、会員は58名(平成26年4月1日現在)
(組
織) 会長(1名)・副会長(2名)・監事(2名)
○ 部
会・・・3R推進部会、 地域環境部会
○ 委員会・・・事業運営委員会、 広報委員会
ー
56 ー
(事業内容) ごみの減量化促進に関する事業
ごみの資源化、3R に関する事業
環境美化意識の高揚に関する事業
生産、流通段階におけるごみ発生・排出抑制に関する事業等
(活動内容) ポイ捨て防止市民行動の日(5月)
見て・聞いて・体験バスツアー(7月)
リサイクルフェア草津(9月)
市内散在性ごみ一斉清掃(11月)
会員視察研修(12月)
各ふれあいまつり出展
その他市民への啓発、ごみ問題に関する調査研究
(事 務 局) 草津市ごみ減量推進課
リサイクルフェアの様子
4.美しい湖国をつくる会草津支部
「美しい湖国をつくる会」は昭和46年に県内で結成され、その支部が草津市に組織されまし
た。今日まで、毎年7月1日の「びわ湖の日」を中心とした日に清掃活動や啓発、啓蒙活動を
実施され、また、県下一斉清掃や、支部独自に琵琶湖岸や道路、公園等の清掃活動が行わ
れています。草津支部は「明るい社会づくり運動滋賀県協議会の草津地区」で組織されていま
す。
湖岸清掃の様子
ー
57 ー
第4節 『自然とともに生活する環境づくり』
1.自然環境保全地区
自然環境保全地区の指定の制度は、「草津市の良好な環境保全条例」に基づき、残された
自然環境を少しでも多く保全し次世代に継承すべく、良好な自然状況を残している 3,000 ㎡
以上の面積をもつ地域などを「自然環境保全地区」として指定しています。
(立木神社自然環境保全地区)
(山田正八幡宮自然環境保全地区)
(山田正八幡宮自然環境保全地区)
(立木神社自然環境保全地区)
表4-1-1
自然環境保全地区一覧表
指定面積
(㎡)
指 定 日
草津4 丁目
10,197
S61.8.7
高木層にクスノキが優占する自然度の高い常緑広葉
樹林である。境内には大径木のクロガネモチ、クロマツな
どが生育している。
小
槻
神
社
自然環境保全地区
青
町
16,946
S61.8.7
ヒノキの混生したコジイ林で丘陵地に発達しているた
め、鳥類や昆虫類の種類も豊富で、人為の及ぶ平野部
のコジイ林に比べて良好な自然環境を形成している。
熊
野
神
社
自然環境保全地区
平井3 丁目
8,000
S62.8.18
常緑広葉樹のコジイ林にスギとヒノキが混生した、住宅地の
中の数少ない自然度の高い針広混交樹林である。鳥類・昆虫
類も多くの種類が生息している。
印 岐 志 呂 神 社
自然環境保全地区
片
岡
町
7,041
S63.7.8
ヒノキやクロマツの植林に、常緑広葉樹のスダジイ、オガタマ
などが生育する樹林である。樹林全体が北部田園地帯のランド
マーク的な存在となっている。
芦 浦 観 音 寺
自然環境保全地区
芦
浦
町
11,000
S63.7.8
落葉広葉樹の優占する自然度の高いケヤキ-ムクノキ
群落が、歴史的文化的遺産の館跡と一体となって良好な
自然環境を形成している。
天神社( 川原町)
自然環境保全地区
川原4 丁目
7,248
H4.4.20
高木層にはスギ・ヒノキ植林が、亜高木層にはマダケ・モウソ
ウチク林が繁茂している人工林である。社殿横には市内では珍
しいナギの古木が生育している。
老
杉
神
社
自然環境保全地区
下
笠
町
12,660
H4.4.20
大部分はマダケ・モウソウチク林で占められ、社殿周辺
にはサカキの混生するヒノキ植林が発達している。境内
にはイヌマキの古木も見られる。
天神社( 木川町)
自然環境保全地区
木
川
町
5,946
H4.4.20
ヒノキ植林やマダケ・モウソウチク林、クスノキ、クロガネモ
チ、サカキなどの常緑広葉樹とヒノキの混交林など、多様な樹
林が発達している。
山 田 正 八 幡 宮
自然環境保全地区
北 山 田 町
5,934
H4.4.20
コジイ優占の常緑広葉樹林とヒノキ植林が生育している。コジ
イ林はコジイの大径木も多く、環境省の特定植物群落に選定さ
れている貴重群落である。
保 全 地 区 名 称
所 在 地
立
木
神
社
自然環境保全地区
地
ー
58 ー
概
要
治
田
神
社
自然環境保全地区
南
町
6,631
H4.4.20
社叢林の大部分はヒノキ優占の植林となっているが、
部分的にヒノキ植林に常緑広葉樹のクスノキ、サカキなど
が高い被度で混生する樹林も見られる。
新
宮
神
社
自然環境保全地区
野路6 丁目
5,770
H6.4.15
この社叢林はアカマツを交えたヒノキ植林によって占められ
ているが、境内の一部には小面積のマダケ・モウソチク林も生
育している。
若 宮 八 幡 神 社
自然環境保全地区
西矢倉3 丁目
4,616
H6.4.15
典型的なコジイ林でヤブツバキ、アラカシ、サカキなどの常
緑広葉樹が多く生育している。林内には幹周200cm以上のコジ
イが7本も見られる。
八幡神社( 追分)
自然環境保全地区
追分5 丁目
4,160
H6.4.15
社殿周辺にはヒノキとアカマツの混生した針葉樹林が発達
している。本来は山地の森林に生息するコゲラなどの森林性
の鳥類も確認されている。
八幡宮神社( 馬場町)
自然環境保全地区
馬
場
町
5,751
H6.4.15
高木層にヒノキが優占し、亜高木層には常緑広葉樹が
顕著な生育をしている植林である。尾根部近くではヒノキ
とアカマツが混生した植林となっている。
十 二 将 神 社
自然環境保全地区
山
寺
町
13,408
H6.4.15
大部分がヒノキ優占の植林で、林内には樹高が20m以上にも
及ぶヒノキが見られる。尾根部ではヒノキ植林にアカマツの混
生した針葉樹林となっている。
鞭
崎
神
社
自然環境保全地区
矢
橋
町
7,143
H24.3.1
主に、コジイ、ケヤキ、クスノキ、ヒノキが、部分的に優先する
混交林である。また、滋賀県内でも珍しいナナミノキの大径樹
が生育している。
笠
2.保護樹木
保護樹木の指定の制度は、良好な環境を確保するため、市内にある樹木のうち、健全で学
術的または歴史的に意義がある一定の基準を満たす樹木について保護樹木として指定し、次
世代へ残していこうとするものです。
(下寺町・天満宮のケヤキ)
(青地町・志津小学校のクスノキ)
(青地町・志津小学校のクスノキ)
(下寺町・天満宮のケヤキ)
表4-2-1
保護樹木
青地町・志
津小学校
のクスノキ
(3 本)
種名
科名
樹高
保護樹木一覧表
幹周
推定
樹齢
①クスノキ
クスノキ
24m
360cm
180 年
②クスノキ
クスノキ
20m
328cm
170 年
③クスノキ
クスノキ
18m
287cm
140 年
ー
59 ー
指定日
樹木の概要
H17.3.1
志津小学校の校門前の道路
沿いに並んでいるクスノキ 3 本
が保護樹木である。これらクスノ
キは、かつて旧青地城の堀の
周囲を固めるために植えられた
とされている。
クスノキからは樟脳がとれ、腐
りにくいため仏像や器具の材と
されてきた。
西矢倉一
丁目・湖南
農業高校
の
クスノキ(17
本)
クスノキ
クスノキ
20m
(平
均)
345cm
(最大)
40~
100 年
H17.3.1
大路二丁
目・小汐井
神社のムク
ノキ
ムクノキ
ニレ
18m
270cm
500 年
(伝承)
H17.3.1
渋川二丁
目・伊砂砂
神社のモッ
コク
モッコク
ツバキ
14m
178cm
150 年
H17.3.1
西矢倉三
丁目・正光
寺、天満宮
の
ムクロジ
ムクロジ
ムクロジ
20m
204cm
130 年
H17.3.1
モチノキ
15m
207cm
120 年
モチノキ
16m
120 年
モチノキ
15.5m
269
(172
+97)cm
130cm
野路町
・稲荷神
社の
クロガネモ
チ
(3 本)
野路五丁
目・旧東海
道筋の
アベマキ、
エノキ
①クロガネモ
チ
②クロガネモ
チ
③クロガネモ
チ
H17.3.1
80 年
アベマキ
ブナ
17m
263cm
150 年
エノキ
ニレ
18m
265cm
100 年
100 年
H17.3.1
120 年
H17.3.1
H17.3.1
南山田町・
大宮若松
神社の
イロハモミ
ジ
イロハモミジ
カエデ
16m
271
(171
+100)
cm
下寺町・天
満宮のケヤ
キ
ケヤキ
ニレ
26m
375cm
ー
60 ー
湖南農業高校のグラウンドと農場
をへだてる川沿いに植えられた17
本のクスノキの並木が保護樹木で
ある。これらクスノキは自然に近い
環境のもとで生長したため、平均樹
高が20mにも達しており、市街地の
並木としては圧巻である。
地上3m付近で東側の細いクロガ
ネモチと西側の太いムクノキが合
体しており、そのうちムクノキが保
護樹木である。クロガネモチの赤
い実とムクノキの黒い実が陰陽の
男女の木として尊ばれ、当神社の
御霊験である安産、縁結びの御霊
木とされている。
このモッコクは、当神社の御神木
となっている。モッコクは、本来海
岸地域に生育する樹木であるが、
内陸部にあってこのような大径木に
まで生長するのは珍しい。
昔は樹皮から茶褐色の染料を採
取したり、燃料の薪炭材としてい
た。
このムクロジは、市内に見ら
れるムクロジのなかでは幹周が
最大である。樹冠の広がりは大
きくはないが、葉がよく繁茂して
樹勢は良好である。
ムクロジは落葉広葉樹で、黒
いかたい種子は正月の羽根つ
きの羽根の球に使われていた。
境内に生育する3本のクロガネモ
チが保護樹木で、そのうちの2本は
幹周が2mを超える大径木である。
クロガネモチは雌雄異株で、雌
株には小さな球形の果実をつけ、
熟すと赤くなり、秋空に赤と葉の緑
のコントラストは美しい。
アベマキとエノキの2本が保護樹
木である。アベマキは里山を構成
する代表的な樹木で、いわばこの
地域の原風景を今日に伝えてい
る。エノキは、かつて旧街道沿いの
一里塚にランドマークとして植えら
れた樹木の代表である。
このイロハモミジは、樹高16mに
も及ぶ市内における最大木で、高
さ90cmのところで幹が2本に分かれ
ている。スギやヒノキの植林の中に
植えられたために、横に枝を広げ
て生長できず、上に伸長した特異
な樹形をしている。
このケヤキは遠くからでも確
認でき、地域のランドマーク的
な存在となっている。
ケヤキとは目立つ木の意味
で、材は今でも重要な建築材で
あるが、そのほか器具や家具、
土木、彫刻など多方面に利用さ
れている。
下物町・観
音堂のクロ
マツ
200 年
クロマツ
マツ
15m
H17.3.1
373cm
(伝承)
下物町・天
神社のクス
ノキ
クスノキ
クスノキ
27m
380cm
190 年
H21.3.1
矢 橋 町 ・
「矢橋の帰
帆」の
イチョウ
イチョウ
イチョウ
24m
340cm
250 年
H21.3.1
志那町・志
那神社参
道 の クロ マ
ツ
*(6本)
14m~
155cm~
70 年
クロマツ
マツ
16m
203cm
(最長)
H21.3.1
(H24.12.
11)
このクロマツは、下物観音堂の敷
地に景勝や防風の目的で植えられ
たものと考えられる。
クロマツは海岸地方に広く分布
する樹木であるが、琵琶湖岸が海
岸とよく似た気候や立地条件となっ
ているために、湖岸には多く植栽さ
れている。
地上5m付近から枝をだしはじ
め、全体として枝張りが顕著で、こ
んもりとしたクスノキ特有の自然樹
形を形成している。小さな鎮守の森
における存在感とランドマーク性、
さらに市内最大級の大木であること
から、地域の象徴的な存在である。
このイチョウは市内最大で、太い
枝の基部から気根(俗に乳という)
が下がっている。幹に水分が多く
火熱によく耐えることから、近江八
景のひとつである「矢橋の帰帆」の
この地に、港の蔵宿や旅宿の防火
を目的に植えられたと伝えられて
いる。
本殿前の延長約108mの参道
は、自然樹形が保たれているクロ
マツを主体とした松並木となってい
る。保護樹木は、この松並木のなか
の、指定基準に該当するクロマツ7
本である。
潮風に強いので江戸時代から各
地の海岸に防風林として植えられ
た。
*クロマツ 1 本は枯死したため、H24.12.11 に指定解除し現在は 6 本
3.ヨシ群落保全区域
琵琶湖の優れた自然景観であり、鳥類・魚類など生物の繁殖・生息に欠かせない役目を担
っているヨシ群落を保全するため制定された「滋賀県琵琶湖のヨシ群落の保全に関する条例」
では、守る(地域の指定、届出許可)、育てる(ヨシ植栽、消波柵設置、清掃、刈り取り)、活用
する(環境学習、ヨシ紙漉き、ヨシ腐葉土)の三本の柱が立てられ、保全に向けての施策が推
進されています。
※ヨシ群落:ヨシ・マコモ等の抽水植物とヤナギ・ハンノキの混生植物群落をいいます。
○ 「ヨシ群落保全区域」の区分について
ヨシ群落の保全に努める必要があると認められる区域が、次の3種類に分けて、ヨシ群落
保全区域として指定されています。
● 保護地区
ヨシ群落保全区域の中でも、優れたヨシ群落が形成され、魚や鳥などの動物にも有
効に利用されており、その生態系の保全を図る上で特に重要であると認められるところ
を保護地区として指定しています。
ー
61 ー
● 保全地域
ヨシ群落保全区域の中でも、相当規模のヨシ群落を有するか、またはある程度のヨシ
群落が存在し、そのヨシを保全することにより、隣接するヨシ群落と一体となって群落を
形成することが可能なところを保全地域として指定しています。
● 普通地域
ヨシ群落保全区域の中で、保護地区および保全地域以外のヨシ群落保全区域を普
通地域としています。
図4-3-1
草津市付近のヨシ群落保全区域図
4.自然公園
自然公園とは、国立公園・国定公園・都道府県立自然公園の総称で、優れた自然の風景
地の保護と利用を目的として定められています。
草津市域の湖岸は琵琶湖国定公園に面しており、私たちは毎日を優れた風景の中で生活
しており、この恵まれた生活を次世代へ引き継ぐ義務を負っていることを認識せねばなりませ
ん。
自然公園の地域は保護が必要な度合いにより、特
別保護区、特別地域、普通地域の3種類の指定がなさ
れており、工作物の新築や増改築、土石の採取、水面
の埋立て、広告物の表示行為等に届出が必要となっ
ています。
図4-4-1 草津市関係の琵琶湖国定公園区域指定図
ー
62 ー
5.ラムサール条約登録湿地
○ラムサール条約の名称の由来
正式名称を「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」といい、
1971年(昭和46年)イランの地方都市であるラムサールで採決されたことからこのような名
前で呼ばれています。
○ラムサール条約の内容
国際的な重要な湿地を国際間の協力で保全することを目的とし、その名称から水鳥の生
息地としての関わりが強いが、湿地そのものの役割と共に湿地に依存する特有な動植物の
保護も対象となっています。また、この条約は、湿地を厳格な保護地域に定めて、人の立ち
入りを厳しく規制するようなことまで要求するものではなく、湿地のありかたは「賢明な利用
(ワイズユース)」という基本原則に基づいています。
日本は1980年(昭和55年)に釧路湿原を登録湿地として加盟して以来、登録湿地が増
えており、琵琶湖は1993年(平成5年)に登録されました。
琵琶湖が登録された時点で国内のラムサール条約登録湿地の数は9ヵ所でしたが、その
後も多くの湿地が追加登録され46箇所となりました。
○ラムサール条約の定める湿地
湿地とは、天然のものであるか人工のものであるか、永続的なものであるか一時的なもの
であるかを問わず、更には水が滞っているか流れているか、淡水であるか汽水であるか
鹹水(かんすい(塩水))であるかを問わず、沼沢地、湿原、泥炭地または水域をいい、低潮
時における水深6mを超えない海域を含みます。琵琶湖の水深は6mを超えるところが多く
ありますが、特に水鳥の生息地として重要である場合には、水辺及び沿岸の地帯であって
湿地に隣接するものならびに鳥または低潮時における水深が6mを超える海域であって湿
地に囲まれているものを含めることができるという定めがあることから、琵琶湖も登録されてい
ます。
○琵琶湖ラムサール条約連絡協議会の設立
湿地登録された琵琶湖周辺の21市町が、情報交換および協力・連携を行うことで、琵琶
湖の湿地保全活動を促進するため、平成12年2月5日に滋賀県自然保護課(現・自然環境
保全課)の協力を得ながら、草津市が初代会長として設立されました。現在は、市町村合併
もあり、8市によって構成されています。
(事業内容) ・湿地保全活動についての情報交換およびワークショップ(研修会)の開催
・啓発用パンフレットの作成および会報の発行
・世界湿地の日(2月2日)に近い日に、「びわ湖一斉水鳥観察会」の実施
ー
63 ー
表4-5-1
びわ湖一斉水鳥観察会(烏丸半島)参加者
平成23年度
平成24年度
平成25年度
31名
42名
28名
6.自然記念物
恵まれた自然環境を保護し、さらにより豊かな自然環境を創造するため、県民・行政・事業
者の責務を明らかにし、地域指定、行為の規制を示した「滋賀県自然環境保全条例」に基づ
き「緑地環境保全地域」・「自然記念物」が指定されています。
このうちの「自然記念物」とは、植物・地質鉱物等であって、住民に親しまれているものまた
は由緒あるものが指定されており、この要件を備えた県内29ヵ所の推定(伝承)樹齢200年~
1200年の樹木が指定されており、草津市内では次の2ヵ所が指定されています。
表4-6-1
名
称
自然記念物
立木神社のウラジロガシ
三大神社の藤
平成 3 年 3 月 1 日
草津四丁目 1 番 3 号
推定 300 年以上
6.3m
10m
平成 8 年 3 月 27 日
志那町吉田 309 番地
伝承 400 年
株立ち
2m
指 定 日
所 在 地
樹
齢
幹 周 囲
樹
高
7.野生鳥獣の保護
滋賀県では「野生動物ドクター制度」が制定され、滋賀県獣医師会等の協力を得て、治療・
救護活動が行われています。
この制度の対象となるのは県内の野生の哺乳類、鳥類のうち、何らかの理由により病気また
は傷ついたもので、所有者のある鳥獣、野良猫、野良犬、ネズミ、モグラ、カラス、スズメ、ドバト、
カワウ、ニホンジカ、ニホンザル、イノシシ、外来鳥獣等は対象外です。
草津市内においても、環境の変化に対応できず、衰弱したり、負傷したりする野生の鳥や獣を見か
けることがあります。
“自然淘汰”と言ってしまえばそれまでですが、人間が抱く自然や野生鳥獣に対する優しい気持ち、
生命尊厳の気持ちを育み、さらに野生鳥獣との正しい関わり方を啓発することは重要なことです。
※春には鳥のヒナが保護されることがよくありますが、親鳥が近くで見守っていることがあります。
むやみに人が手をさしのべると、最終的に野生に帰るのが難しくなる場合もありますので、そっ
と見守ってあげてください。
ー
64 ー
また、近年、草津市では、サルやイノシシ、シカが人里に現れ、農林作物への被害や、生活
環境上の問題など毎年報告があります。山林の開発などにより、シイやコナラなどの動物の食
べ物が少なくなったり、生活様式が変化し、農林地における人間の活動が低下したことによる
耕作放棄地や、放置竹林の増加が原因の一つとして言われています。
えさをやったり、ごみを放置しないよう、注意が必要です。万が一出くわしても、相手にしな
いことが大切です。
8. 外来生物
近年、草津市においてもアライグマ等の外来生物の目撃情報が増加しています。特にアラ
イグマは 関西一円で生息数が爆発的に増加しており、目撃情報、捕獲数が平成24年度から
著しく増加しています。アライグマは、雑食性で果樹、野菜等の農作物への被害が出ており、
また人家や寺社などの木造建築物への侵入による生活環境や文化財への被害も懸念されま
す。また、ヌートリア、ハクビシンの目撃情報や、過去には、ワニガメ、セアカゴケグモの捕獲も
あり、今後も注意が必要です。
その他、琵琶湖岸で外来種の水生植物の繁茂が問題になっています。草津市の湖岸でもミ
ズヒマワリ、ナガエツルノゲイトウやオオバナミズキンバイが繁茂し、管理者や NPO 等での駆除
活動が行われています。特にオオバナミズキンバイについては、急速に生育域を拡大させて
いることから、平成26年3月に県において、草津市をはじめとする6市と NPO などで琵琶湖外
来水生植物対策協議会を立ち上げ、オオバナミズキンバイの生態解明、それに基づく効果的
な駆除方法の検討と対策を進めているところです。
表4-8-1
アライグマ捕獲数
平成23年度
平成24年度
平成25年度
1頭
16頭
28頭
図4-8-1 アライグマ
ー
65 ー
○特定外来生物
外来生物(海外起源の外来種)であって、生態系、人の生命・身体、農林水産業へ被害を
及ぼすもの、又は及ぼすおそれがあるものの中から指定されます。
特定外来生物は、平成 26 年(2014)3 月現在、哺乳類 23 種(アカゲザル・アライグマ・キョン
など)、鳥類 4 種(ソウシチョウなど)、爬虫類 16 種(カミツキガメなど)、両生類 11 種(ウシガエ
ルなど)、魚類 13 種(オオクチバス・カダヤシ・ブルーギルなど)、クモ・サソリ類 10 種(セアカゴ
ケグモなど)、甲殻類 5 種(ウチダザリガニなど)、昆虫類 8 種(アルゼンチンアリなど)、軟体動
物等 5 種(カワヒバリガイなど)、植物 12 種(オオキンケイギクなど)が指定されています。
9.生物多様性に向けた取組
(1)
いきもの調査
「草津市の自然と人との共生を進める施策の推進計画」のリーディングプロジェク
トの一つである「くさつの生き物総合調査プロジェクト」としていきもの調査を平成
23年度から市民の方々と一緒に取り組んでいます。また、平成23年度からの第2次草
津市環境計画において、
「環境学習社会づくり」や「自然とともに生活する環境づく
り」を進めるための取り組みとしても位置付けています。
また、昭和55年に発刊した、「草津の自然」から30年以上経過し、その間の自然の変遷や
実態を把握すべく、草津の自然の総合的な調査を、平成24年度から2ヵ年にわたり実施しま
した。 調査項目は、植物、動物、鳥、昆虫、地質など多方面にわたっています。
○調査方法
身近な生き物を市民主体で調査し、市内のいきものの分布状況とその変化に関す
るデータを収集します。また、調査結果の公表を通じて、市民の方に市内の自然に
関心を深めていただき、生物多様性などの環境問題に対する意識啓発をはかるもの
です。
表4-9-1 生き物調査の実施内容
調査期間
報告件数
第 1 回いきもの調査…アカトンボ調査
平成 23 年 9 月 1 日~平成 23 年 11 月 30 日
188 件
第 2 回いきもの調査…水鳥調査
平成 23 年 12 月 1 日~平成 24 年 2 月 29 日
357 件
第 3 回いきもの調査…オオキンケイギク調査
平成 24 年 5 月 1 日~平成 24 年 6 月 30 日
111 件
第 4 回いきもの調査…カエル調査
平成 24 年 7 月 15 日~平成 24 年 9 月 15 日
98 件
第 5 回いきもの調査…カマキリの卵調査
平成 24 年 10 月 15 日~平成 24 年 12 月 15 日
50 件
第 6 回いきもの調査…身近にいる鳥調査
平成 24 年 12 月 23 日~平成 25 年 2 月 28 日
203 件
第 7 回いきもの調査…セミ調査
平成 25 年 7 月 22 日~平成 25 年 9 月 30 日
244 件
第 8 回いきもの調査…ミノムシ調査
平成 25 年 12 月 2 日~平成 26 年 1 月 31 日
566 件
ー
66 ー
図4-9-1調査報告書の一例
(2)「湖南 企業いきもの応援団」との連携
滋賀経済同友会では2009年4月「琵琶湖いきものイニシアチブ~生物多様性の恵み
豊かな社会を未来に引き継ぐために~」を発表し、滋賀の経済人として、「企業は持
続可能な経済活動」と「地域の自然再生への貢献」を両輪とした活動の展開を宣言し、
この活動に賛同した、湖南地域に立地する企業11社が「湖南 企業いきもの応援団」
を組織し、地元の「狼川」をフィールドとして平成22年度から活動されています。
また、調査を通じ企業社員の生物多様性に関するリテラシーの向上とともに、草津
市の計画「草津市の自然と人との共生をすすめる施策の推進計画」と連携することを
目的とされており、草津市も活動に参加しています。この活動は、平成25年度に滋賀
生物多様性大賞を受賞されました。
○活動内容
狼川の源流から、河口までの調査ポイント(草津市の河川の調査場所、図5-1
-1とほぼ同じ)で、水質及び魚類等水生生物の調査がおこなわれています。調査
頻度は、年4回を基本に、滋賀県からもアドバイザーとして参画されています。
ー
67 ー
○調査結果
平成25年度の調査では、生息の確認できた生物としては下記のとおりですが、時
期によっても種類が異なります。また、外来種の調査なども今後の課題です。
魚類:カワムツ・ヌマムツ・オイカワ・ギンブナ等
甲殻類:スジエビ・ヌマエビ・タニシ・サカマキガイ・アメリカザリガニ
その他:ヤゴ類
<参考> 平成 26 年夏にブラックバスの小魚も下流で発見されています。
図4-9-2 調査風景
ー
68 ー
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