...

4ヘッドハイファイビデオVC-HF830, VC-HF80

by user

on
Category: Documents
23

views

Report

Comments

Transcript

4ヘッドハイファイビデオVC-HF830, VC-HF80
4ヘッドハイファイビデオ VC-HF830, VC-HF80
4ヘッドハイファイビデオ VC-HF830, VC-HF80
Hifi Video Cassette Recorder VC-HF830, VC-HF80
桜 谷 元 秀 *
Motohide Sakuratani
まえがき
上 野 真 二 *
Shinji Ueno
1 . 製品概要
昨今の環境保護に対する認識は種々のメディアを通
じて国民的なレベルで急速な高まりを見せており,当
社でもこの環境対応を最重要課題の1つとして取り組
んでいる。当事業部では業界に先駆け 98 年4月 SVHS VC-ES100B で待機時電力 0.65W の省エネモデル
を製品化した。ここで紹介する VC-HF830(写真1)
VC-HF80(写真2)は更なる省エネをすすめ待機時電
力 0.3W を実現し,さらに人にやさしい使いやすいビ
デオをめざし400倍速高速早送り巻き戻し,液晶リモ
コン等の機能を盛り込み製品化した。
VC-HF830 / VC-HF80 はビデオの中でもボリュウ
ムゾーンとなる普及機ではあるが,待機時 0.3W(表
示切時)の低消費電力,120 分のテープを約 54 秒で早
送り巻き戻す 400倍速,見やすく使いやすい Gコード
対応液晶リモコン(VC-HF80)の他,くっきりした映
像が見れるピクチャークリーナ,CM カット録画,自
動時計合わせのジャストクロック,
予約録画で録画切
れを防ぐぴったり録画等の便利な機能を備えている。
2 . 特長機能
2・1 待機時低消費電力
写真1 VC-HF830
ビデオデッキの場合一般的に時計表示のみの動作や
予約録画待ちの通電状態,すなわち待機状態(電源切
時)で使用されている時間が長く,この時に消費され
る電力がビデオの消費電力のほとんどを占めている。
(使用実態調査によると1日24時間の内,待機時が23
時間,動作時が1時間。
)
この待機時の消費電力を削減するため,
不要な電力
を削減するとともに省エネルギー電源回路を搭載し待
機時の消費電力を従来モデルの 1/11 の 0.3W に抑えて
いる。
2・2 400倍速高速早送り/巻き戻し
ビデオ操作の中でも早送り/巻き戻し時間の短縮は
重要な改善課題である。従来モデルで360倍速を達成
したが,今回テープの長さや厚さをさらに細かく判別
するソフトウェアを追加しテープの走行状態を正確に
把握する事により400倍速にスピードアップし操作性
を改善している。
写真2 VC-HF80
* AV システム事業本部 ビデオ事業部 海外技術開発部
2・3 液晶リモコン
(HF80)
ビデオの操作はもっぱらリモコンによるものであ
り,操作性に重点を置き,今回,新規液晶リモコンを
開発した。このリモコンは液晶表示,G コード変換機
能,TV 操作機能を備えている。
― 57 ―
シャープ技報
第73号・1999年4月
図1 電源回路ブロック図
一般ユーザからよく聞かれるタイマー予約が難しい
との意見に対し,
液晶表示により手元で表示を確認し
ながら時刻,
チャンネル等を入力することができるよ
うにした。さらにGコードを入力するとその場で液晶
表示に録画時間,チャンネル等が表示され確認でき
る。
3 . 技術概要
くなればなるほど周波数が高くなる(動作時 60kHz,
待機時180kHz程度)
。ビデオの待機状態は発振周波数
が高くなりスイッチングトランジスタでの損失が増加
するため,ある一定レベル以下の電力削減は困難だっ
た。
その解決のため,
2次側回路の負荷が極端な軽負荷
となる待機時(表示切時)ではフォトカプラを用いて
間欠発振に切り替えて動作するようにした。(図1)
この時にはフォトカプラ1によりトランジスタのゲー
トに加わる電圧を制御し,ON / OFF デューティを
1/10とする間欠発振モードとしている。この間欠発振
モードによりマイコン電源5Vのみ安定化し供給を行
うシステムにしている。
3・3 スリープモード開発
従来と同等の操作性を持たせながら電力を削減する
ため,待機時(表示切時)においては,マイコンを低
速クロックによるスリープモードで動作させている。
スリープモードではタイマー,
リモコン受信等基本機
能のみを働かせマイコンの消費電力を削減している。
3・1 表示管の消灯
電力削減のため,当モデルでは待機時に,1.5W 程
度の電力を消費する蛍光表示管を消灯している。
待機
時の時計/チャンネル等の表示は必ずしも必要でない
ため消灯しているが,ユーザによる任意の選択機能と
して待機時でも常時点灯モードも設けている。
消灯時
には最も低消費電力化が図られるシステムとしてい
る。
3・2 効率改善
効率改善では今回新規に電源回路を開発し,
通常使
用時と待機時の2つの動作モードを持たせ,このモー
ドを切り替えることにより待機時(表示切時)の消費
電力を抑えた。従来のビデオに使用されていた RCC
(Ringing Choke Converter)型スイッチング電源では2
次側回路の負荷により発振周波数が変化し,負荷が軽
3・4 パワーマネージメント
待機時に動作しない2次側回路への電源を遮断し,
これにより不要な電力を削減するマイコン制御による
パワーマネジメントシステムを採用した。その他カ
セット挿入の検知にはメカ式スイッチを使用し,また
通電表示用 LED には低電流高輝度タイプを使用,
トータル消費電力の削減を図っている。
むすび
人にやさしく,環境にやさしいビデオを目指して
HF830 / HF80 を開発し,省エネルギーの面で前進す
ることが出来た。
今後も機能の充実と省資源/省エネ
ルギーの両立を図りながら,
より多くの人に愛用いた
だける商品の開発に取り組んでいきたい。
(1
99
9年2月2
6日受理)
〈お問い合わせ先〉
AV システム事業本部
ビデオ事業部 商品企画部
〒3
2
9-2
193 栃木県矢板市早川町1
74番地
電話 (02
8
7)4
3−1
13
1(大代表)
― 58 ―
Fly UP