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2014 総合職採用案内

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2014 総合職採用案内
Ministry Of Justice
法務省
2014 総合職採用案内
M i n i s t r y
O f
J u s t i c e
私達が
法務省です。
人による人のための行政
1
2
C O N T E N T S
法務省の総合職採用について ・・・ 4
政策の最前線から
民事・訟務・人権擁護 ・・・・・・・・・・・ 5-8
矯正 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9-16
保護 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17-22
入国管理 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 23-26
施設設計 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 27-28
総合職職員として働くということ
事務系キャリアステップ ・・・・・・・・・ 29-30
人間科学キャリアステップ ・・・・・・・ 31-32
工学区分キャリアステップ ・・・・・・・ 33-34
法務省を志望するみなさんへ
採用Q&A ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 35
人事課長メッセージ ・・・・・・・・・・・ 36
O R G A N I Z A T I O N
法務大臣
大臣政務官
大臣官房
秘書課
人事課
副大臣
事務次官
会計課
施設課
最高検察庁
公安審査委員会
高等検察庁
支部
地方検察庁
支部
区検察庁
公安調査局
公安調査庁
公安調査事務所
公安調査庁研修所
訟務部門
厚生管理官
司法法制部
民事局
法務局
刑事施設視察委員会
支局
刑務所
地方法務局
出張所
刑務支所
少年刑務所
刑事局
拘置支所
拘置所
矯正局
保護局
矯正管区
保護観察所
人権擁護局
内部部局
地方支部部局
外局
入国管理局
審議会等
3
分院
少年鑑別所
分所
支部
婦人補導院
保護司選考会
出張所
司法試験委員会
地方入国管理局
支局
出張所
入国者収容所
入国者収容所等視察委員会
特別の機関
施設等機関
少年院
地方更生保護委員会
検察官適格審査会
中央更生保護審査会
日本司法支援センター評価委員会
法務総合研究所
支所
法制審議会
矯正研修所
支所
検察官・公証人特別任用等審査会
M i n i s t r y
O f
J u s t i c e
法務省の求める人材
「法務行政は人による人のための行政」
法務省は、日常生活における基本的なルールを定めるとともに、罪を犯した者
の処罰とその社会復帰の援助、自然人や法人の権利実現を助ける登記・公証制度
の運用、人権擁護活動、外国人の出入国管理といった私たちが生活していく上で
欠かせない様々な業務を行っています。
全国各地に地方機関が設置され、職員がそれぞれの部署で国民と直接向き合っ
て業務を行っています。このような「人による人のための行政」という性質上、
相手の立場に立って物事を考えること、様々なニーズや状況の変化に柔軟に対応
することが必要です。
1) コミュニケーション能力が高く、
2) 環境の変化に的確に対応でき、
3) 自己変革力を持ち成長できる、
人材を法務省では求めています。
■ 法務省Ⅰ種職及び総合職職員 採用実績
施設課
民事局
矯正局
保護局
入国管理局
試験区分
(総合職)
工学
行政
法律
行政
政治国際
法律
経済
人間科学
行政
政治国際
法律
経済
人間科学
行政
政治国際
法律
経済
(Ⅰ種)
理工Ⅰ
法律
行政
法律
経済
人間科学Ⅰ・Ⅱ
行政
法律
人間科学Ⅰ・Ⅱ
行政
法律
経済
平成25年度
工学1
(0)
行政 1
(0)
法律 2
(1)
行政
1(1)
法律
4(1)
人間科学 10(7)
人間科学Ⅱ 1(1)
法律
経済
人間科学
2(0)
1(1)
4(3)
行政
法律
1(0)
3(2)
31
(17)
平成24年度
0
法律 1(1)
法律
6(4)
人間科学Ⅰ 4(2)
人間科学Ⅱ 6(4)
行政
法律
人間科学Ⅰ
人間科学Ⅱ
1(0)
2(1)
3(3)
2(1)
法律
4(2)
28
(18)
法律 3(1)
法律
5(1)
人間科学Ⅰ 4(2)
人間科学Ⅱ 7(5)
法律
2(1)
人間科学Ⅰ 2(1)
人間科学Ⅱ 2(2)
法律
経済
2(1)
1(1)
29
(16)
平成23年度
理工Ⅰ 1
(1)
合計
平成22年度
0
法律 3(1)
法律
6(2)
人間科学Ⅰ 3(2)
人間科学Ⅱ 6(4)
法律
3
人間科学Ⅰ 4(2)
人間科学Ⅱ 1(1)
法律
4(1)
30
(13)
平成21年度
0
法律 3(1)
法律
6(2)
人間科学Ⅰ 4(2)
人間科学Ⅱ 4(2)
法律
2
人間科学Ⅰ 8(5)
人間科学Ⅱ 2(1)
法律
経済
4(1)
1(1)
34
(15)
4
民 事 局
訟 務 部 門
人 権 擁 護 局
M i n i s t r y
O f
J u s t i c e
国民の基本的な権利の実現のために
民事局は、登記、戸籍、国籍等に関する事務や民事基本法制の整備を行っています。
登記事務では、土地等の不動産を始め、会社・法人等の情報を登記簿に記録し、公示す
ることで、国民の権利の保全を図り、取引の安全と円滑を図っています。戸籍事務では、
戸籍が親族関係及び日本国籍を公証する唯一の制度であるため、全国統一的に処理される
よう、市区町村に対し、助言等を行っています。国籍事務では、外国人が日本国籍を取得
するための帰化事務等を行っています。民事基本法制の整備では、社会・経済情勢の変化
などに伴い、民法等の民事基本法の果たす役割が、より一層重要となるため、多くの立法
課題に力を入れて取り組んでいます。
訟務部門は、国を当事者とする民事訴訟及び行政訴訟などの訴訟を追行しています。訟
務部門の役割は、個別の国民と国との間の訴訟において、国の立場から法と証拠に基づい
た主張立証を適切に行うことです。これによって、個人の権利・利益と国民全体の利益と
の間に正しい調和が図られ、法律による行政の原理が確保されることが期待されています。
人権擁護局は、人権擁護に関する事務を行っています。具体的には、人権に関する様々
な相談や、人権が侵害された場合の調査救済などの活動を行うとともに、国民に広く人権
尊重思想を知ってもらうための啓発活動を行っています。
ハンセン病に関する親と子のシンポジウム
5
法廷の風景
政策の最前線から
全国の法務局の連携・協力による復興事業の推進
東日本大震災の復興事業に関する法務局の事務・事業として、登記関係では、登記相談、倒
壊等建物の職権による滅失登記、土地の境界の復元及び地図修正作業等を実施しており、戸
籍関係では、戸籍の原本が滅失した4市町について、震災直後に、法務局において滅失戸籍
の再製を実施しました。
このような震災復興に関する法務局の事務・事業を円滑に実施する
ため、被災地の法務局だけでなく全国の法務局が被災地域への事務応援等を実施しており、
私は、民事局総務課において、各法務局による事務応援の調整等を行っています。
法務局等の窓口、現場を持つ法務省では、国民の声を感じながら、国民生活に身近な法律
を実践していくことができますし、法務局の利用者や、法務局職員の声を絶えず意識しなが
ら仕事をすることが大切だと考えております。学生時代に学んだ法律知識を実務の場で活用
し実践してみたい方、国民生活に身近な制度の運用やその見直しに関わってみたい方、是
非、入省をお待ちしております。
Profile.
齊藤 雄一
1日のタイムスケジュール
9:20 出勤、
メールのチェック、一日の予定の確認
10:00 部下職員の起案文書の決裁処理
12:00 昼休み
13:00 登記所の適正配置に関する係内打合せ
15:00 震災関係の事務応援に関する調整
17:00 法務局の施設に関する官房部門との打合せ
18:00 残務処理
20:00 退庁
民事局総務課補佐官
平成7年入省・法律
平成17年4月 経済産業省商務情報政策局情報経済課長補佐
平成19年4月 法務省民事局総務課法務専門官・補佐官
平成22年4月 法務省民事局商事課補佐官
平成25年4月 現職
仕事で心がけていること
私は学生時代不動産関係の会社や司法書士事務所でアルバイトをしたときに、東京や大阪
の法務局によく出かけ、法務局の仕事に関心を持ったこと等から、民事局を希望しました。現
在は、国の利害に関係のある訴訟について、国として、統一的・一元的に主張・立証などの活
動を行う訟務部門の行政訟務課で、課全体の総括的な業務を担当しています。今までの仕事
の中では、
「離婚後300日規定」
「民法772条による無戸籍児」などと呼ばれ、社会で注目され
た民法772条(嫡出推定制度)の問題について、
いろいろと対応したこと、国連人種差別撤廃
委員会の政府報告審査に参加したことが強く印象に残っています。
どの部署でもさまざまな
難しい問題を抱えており、関係者と協議を行い、方針を固めて速やかに対応する必要があり
ます。そこで、普段から関連情報を広く収集分析し、問題点の把握や対応策の検討に努める
ように心がけています。
Profile.
江原 幸紀
1日のタイムスケジュール
9:30 出勤、
メール・新聞記事チェック
10:00 各種照会に対する回答文書の作成
13:00 部下職員が作成した文書のチェック
17:00 会議・打合せ
18:15 至急案件に対する回答文書の作成
20:00 退庁
大臣官房行政訟務課補佐官
平成2年入省・法律
平成13年4月 法務総合研究所研修第三部教官
平成16年4月 法務省民事局参事官室局付
平成19年4月 法務省人権擁護局調査救済課補佐官
平成20年4月 法務省人権擁護局人権啓発課補佐官
平成22年4月 内閣府男女共同参画局調査課課長補佐
(企画調整担当)
平成24年4月 法務省大臣官房租税訟務課補佐官
平成25年4月 現職
人が人らしく、幸せに生きられる社会を築くために
私が所属している人権擁護局人権啓発課では、国民の皆さん一人一人の人権意識を高め、
全ての人の「人権」が守られる社会を築くため、様々な啓発活動に取り組んでいます。具体的
には、各種メディアや広告・広報媒体を活用した事業の企画・実施などを担当しています。
「人
権」
という目に見えないものを普及させていくことは、決して容易ではありません。
しかし、一
人でも多くの人に「人権」についての認識を深めてもらうため、創意・工夫を凝らして啓発手
法を検討するプロセスはやりがいがあります。
私は、広く人の役に立てる仕事がしたいと思い、法務省を志望しました。
より良い制度づく
りに貢献し、
この国で生活する人たちの幸せを支えるために働ける法務省という職場に、職
員となった今、改めて魅力を感じています。
忙しさに追われ、
つい目の前にある仕事の山を片付けることばかりに気を取られてしまい
そうなときもあります。
しかしそんなときにも一度立ち止まり、自分の仕事が国民の皆さんに
どのように関わってくるのか、真に望まれる行政サービスとは何かを考え、公務員の在るべ
き姿を再確認するようにしています。
熱い思いを持った皆さんと法務省で一緒に働ける日を楽しみにしています。
Profile.
北川 花子
法務省人権擁護局
人権啓発課人権啓発第一係
平成23年入省・法律
平成23年4月 法務省民事局商事課
平成24年4月 東京法務局港出張所
平成25年4月 法務省人権擁護局人権啓発課
1日のタイムスケジュール
9:00 出勤・メールチェック一日ですべき仕事の整理
9:30 朝礼課内で仕事の進捗状況について情報共有
11:00 各種照会に係る決裁の起案・処理
12:00 昼食その日の気分によって利用する食堂を変えて
リフレッシュ
13:00 ポスターの製作業者と原稿についての打合せ
15:00 啓発冊子の仕様書の作成・起案
19:00 退庁 6
M i n i s t r y
O f
J u s t i c e
地 方 支 分 部 局
第一線の指揮官として
東日本大震災が発生したのは、法務本省で戸籍行政を担
が実務の中で活かされているのを目の当たりにし、改めて
当していた頃です。被災地では、津波によって戸籍データが
法務省・法務局が一丸となって地域や国民一人一人に関
破壊されるなど、地域行政にも甚大な被害が生じました。法
わっていることを実感しています。
務省では、戸籍行政の運用指針を自治体に示すという通例
の役割にとどまらず、保管していたバックアップデータを元
に被災地の戸籍データを復元したり、事務処理を支援する
ため法務局職員を自治体の戸籍窓口に派遣しました。
平成25年4月から、東京法務局法人登記部門に勤務して
います。
東京法務局の法人登記部門は、関東甲信越及び静岡県の
地方法務局の指導・監督のほか、千代田区・中央区などの会
社・法人の登記を直轄しています。証明書発行業務の受託事
業者も含めると100人近い職員を要する大登記所です。中
心となる業務は、企業から提出される登記申請の審査です
が、上場企業の法務担当者や顧問弁護士からの組織再編や
増資の適法性に関する事前確認、起業を計画中の方や法令
に不案内な会社経営者からの登記手続に関する相談等への
対応も多く、職員の手慣れた対応と的確な法律判断能力は、
利用者の皆様の信頼に応える組織の礎です。
商業・法人登記行政については、かつて、5年間にわたり本
省で企画・立案に携わりました。自ら企画して運用にまでこ
ぎつけた施策や夜遅くまで議論して結論を出した法令解釈
7
Profile.
杉浦 直紀
東京法務局民事行政部首席登記官
(第一法人登記担当)
平成元年入省・法律
平成12年4月 厚生省生活衛生局指導課長補佐
平成14年4月 法務省民事局商事課・民事第二課補佐官
平成17年8月 経済産業省経済産業政策局企業財務室長
平成19年4月 法務省民事局商事課・民事第一課・総務課補佐官
平成24年4月 水戸地方法務局総務課長
平成25年4月 現職
課長級職員からのメッセージ
人権尊重思想の普及高揚を目指して
私は、現在、人権擁護局人権啓発課に所属しています。人
昨年度は、
「ネプ&イモトの世界番付」で人権週間を取上げ
権啓発課は、人権啓発及び民間における人権擁護運動に関
てもらいました。
このように、法務省の中でも、人権擁護に関
する事務を所管しています。
する仕事は、皆さんの創意工夫で様々な活動を行うことがで
皆さんも憲法等の講義の中で、
「 人権」について学んだと
きます。私達と一緒に人権尊重思想の普及をしてみません
思います。人権啓発活動は、国民に対し、人権尊重思想の普
か。
及高揚を図ることにより、人権を尊重することの重要性を正
また、法務局の仕事は、
これまで述べてきた人権に関する
しく認識してもらうことを目的としています。
すなわち、他人
仕事のほかに、登記、戸籍、国籍等の民事行政に関する事務
の人権を尊重するとともに、自らの人権を侵害されないよ
及び国を当事者とする訴訟に関する事務等、様々な事務を
うにするために、まず、国民一人一人に、
「 人権とは何か」、
扱っており、それらを経験することにより、企画能力や調整
「人権の尊重とはどういうことか」、
また、
「人権を侵害された
能力等、公務員として必要なバランス感覚等も養うことがで
場合に、これを排除し、救済するための制度がどのように
きると思います。
なっているか」等について正しい認識を持ってもらい、
これ
意欲ある皆さんと一緒に仕事ができることを楽しみにし
らの認識が国民の日常生活の中で、態度面、行動面等におい
ています。
て根付くようにすることを目的としています。
啓発活動の実施に当たっては、
『幅広く理解と共感が得ら
れる人権啓発の推進』をモットーに、親しみやすく分かりや
すいテーマや表現に配慮することはもとより、具体的な事例
を踏まえた啓発、対象者の発達段階に応じた啓発、地域の実
情に即した啓発、マス・メディアや民間の斬新なアイデアを
活用した啓発を実施しています。
毎年12月10日を最終日とする1週間を
「人権週間」
とし
て、国民に広く人権尊重の思想の高揚を呼びかけています。
Profile.
野崎 昌利
人権擁護局人権啓発課長
昭和60年入省・行政
平成17年4月 法務省民事局総務課登記情報センター室補佐官
平成19年4月 札幌法務局会計課長
平成21年4月 厚生労働省健康局企画官
平成23年4月 法務省大臣官房訟務企画課訟務調査官
平成24年4月 現職
8
矯 正 局
M i n i s t r y
O f
J u s t i c e
社会に開かれ、信頼の輪に支えられる矯正施設へ
矯正局は、
日本全国に所在する刑事施設
(刑務所・拘置所)
、
少年院及び少年鑑別所等の矯正施
設を指導、監督しています。全国に約300庁ある矯正施設で、23,000人を超える職員が勤務し
ており、
国民が安心して暮らせるように国家の治安維持に対して重要な役割を果たしています。
平成24年7月には、犯罪対策閣僚会議において、
「再犯防止に向けた総合対策」が決定され、
今後10年間で、刑務所に再入所する者等の割合を20パーセント以上削減するという数値目標
が掲げられました。
これを受けて、矯正局では、各種処遇プログラムの開発、対象者の特性に応
じた処遇の充実、円滑な社会復帰を図るための指導や支援の充実・強化等、創意工夫を凝らし
た新たな取組を推進しています。
また、平成22年12月に法務大臣宛てに提出された「少年矯正を考える有識者会議提言」の趣
旨を踏まえ、少年院・少年鑑別所が適正な運営を実現させるとともに、施設機能を一層充実さ
せ、少年の健全育成という国民の負託にしっかりと応えられるようになるため、施行後60年以
上経過した少年院法の全面改正に向けた準備に取り組んでいるほか、各種施策を鋭意推進して
います。
府中刑務所
9
小倉少年鑑別支所
四国少年院
課長級職員からのメッセージ
P r of i l e .
名執 雅子
法務省矯正局総務課長
昭和58年入省・行政
平成18年4月 青葉女子学園長
平成20年4月 法務省大臣官房秘書課広報室長
平成23年4月 法務省矯正局少年矯正課長
平成25年1月 現職
国民の幸せな生活のために
国の治安を支え、犯罪と非行を減らす
社会から犯罪や非行を減らすためには、
どうしたらよい
育システムの整備、薬物依存や性犯罪等各種教育プログラ
か。この問いは、刑事司法や刑事政策上の観点にとどまら
ムの策定の仕事に携わりました。多忙を極めましたが、
この
ず、経済情勢、教育、福祉、医療の在り方、就労や住宅の問題
時に、若い頃につまらないと感じていた仕事も含め、
これま
等々、世の中のあらゆる分野にわたって広く考えなければな
で経験した全ての仕事はつながっていて、意味があったと感
らない、国として大きな政策課題となっています。
じました。仕事は継続しているうちに自分の「運命の仕事」に
矯正局は、現場施設の緊張感の中で対象者の処遇に当た
なり、その時々の任務について、今、
この問題を最も真剣に考
るとともに、彼らの再犯を防ぐための施策を企画・実現す
えているのは私だという自負を持って取り組めるようにな
る、その両方を経験しながら、
この問いに向き合い、自らが
るのだと思います。
成長できる職場です。
また、矯正の仕事は、国の治安を支え、
その後、女子少年院長として、帰る先のない女子少年の引
再犯を防止することで社会の役に立つ仕事であり、一人の人
受人を探す中で地元の福祉関係者の温かい支援を受けまし
間として対象者の人生に立ち直りのきっかけを与えること
た。
また、矯正局で官民協働刑務所の運営業務を担当した際
のできる仕事でもあります。
には、民間事業者が、刑務所の問題に斬新なアイディアを示
私は、就職活動の中で少年院を見学したことがきっかけで
してくださることに驚きました。様々な仕事に関わる中で、
この仕事を知り、法務省に入りました。若い頃には、仕事の意
最近は多くの方が分野を超えて再犯防止のために協働して
義が実感できずに思い悩む時期もありましたが、法務省は現
くださっていることを実感しています。矯正は、今後ますます
場施設の勤務も含めて様々な経験を積めるように人事ロー
外に開き、積極的に発信し、地域社会にこのような協働の輪
テーションが組まれており、ほぼ2年毎の異動で新しい任務
を広げていかなければなりません。
と職場に出会い、その度に活力を得ることができました。
目立たなくても人や社会の役に立つ仕事をしたい方、
これ
本当の意味で仕事に対する責任とやりがいを感じたの
までの発想を脱却して改革に取り組むパワーと柔軟さを兼
は、20年近く勤務した頃からです。矯正局において、開かれ
ね備えた方、国民の幸せな生活のために一緒に働きましょ
た刑務所を実現するための諸改革や法改正に伴う刑務所教
う。
10
M i n i s t r y
O f
J u s t i c e
地 方 支 分 部 局
矯正管区の業務説明及び社会的役割
矯正管区は、全国8か所(札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、高松及び福岡)に設けられており、矯正局の事務を分掌
し、管轄区域内の多数の矯正施設を統括している地方支分部局です。各矯正施設の適正な管理運営を図るため、被収容者
の規律、警備、収容、分類、移送、改善指導、教科教育などについて、施設の指導監督、調整等に当たるとともに、矯正施設に
対する実地監査を行っています。
矯正管区の役割∼本省、現場、関係機関の橋渡し
大学での専攻の心理学を活かしつつ、生き生きと人と関わ
ることのできる職場として魅力を感じ、矯正で働くことを選
びました。実際、少年鑑別所や刑務所で、年齢も抱える問題
や環境も様々に異なる対象者たちと向き合い、その立ち直り
や成長に向けた手立てを探る作業を重ねていく中で、人間
の持つ強さや弱さ、底力をまざまざと感じながら、出逢いを
通して私自身も成長させられてきた気がします。
現場で長く勤務し、管理職になってからは職員の育成にも
携わって、刺激的な毎日を送ってきました。現在は矯正管区
において、少年矯正調整官として、主に少年院と少年鑑別所
にまたがる施策や他機関との連携を推進する業務に当たっ
ています。少年鑑別所から少年院等の処遇施設へ、あるいは
施設内処遇から社会内処遇へ、少年の立ち直りに向け、効果
的な連携を図るにはどうすれば良いかを考え、各所のニー
ズや意見を調整しながら、
アイディアを具現化したり、新た
な施策に血を通わせるべく施設や機関をまたいだ橋渡し役
を担ったりすることができるといった点で、矯正管区勤務に
は現場とはまた違うやりがいや充実感があります。
大切にしているのは「つながり」です。犯罪者や非行少年
を取り巻く援助者がそれぞれの専門性を尊重しつつ繋がっ
ていくことで、可能性が広がっていくことを実感しています。
魅力的な先輩や同期、同僚等、全国に広がる仲間たちとのつ
ながりも心強い財産です。是非あなたもご一緒に!
Profile.
影山 英美
大阪矯正管区第三部少年矯正調整官
平成9年入省・心理
平成 9 年4月 東京少年鑑別所
平成11年4月 大阪少年鑑別所専門官
平成16年4月 和歌山少年鑑別所統括専門官
平成17年4月 大阪少年鑑別所鑑別指導官
平成19年4月 京都少年鑑別所統括専門官
平成24年4月 大阪刑務所上席統括矯正処遇官
平成25年4月 現職
11
施 設 等 機 関
S p e c i a l
F i e l d s
刑事施設の業務説明及び社会的役割
刑事施設には、懲役及び禁錮受刑者などを収容する刑務所、少年受刑者などを収容する少年刑務所、被告人、被疑者な
ど、主に刑の確定していない人を収容する拘置所があります。
受刑者の処遇は、その改善更生や円滑な社会復帰を図ることを目的としています。そのため、個々の受刑者の人格特性
や社会適応について科学的な調査を行い、
これに基づいて個々の受刑者に適した施設に収容しています。施設において
は、個々の受刑者に最も適した処遇計画を立て、各種作業、職業訓練、改善指導及び教科指導などを行っています。
変わりゆく刑事施設の中で
「刑務所」
という言葉を聞いて、皆さんはどのようなイメー
ジを思い浮かべるでしょうか。高い塀に囲まれた規律でがん
じがらめの空間、あるいは多少知識のある方の中には、地域
と共生する刑務所の姿を想起する方もいらっしゃるかもし
れません。今、刑務所は、業務の一部を民間に委託している
ほか、第三者の視点を取り入れる制度を設けるなど、社会に
開かれた存在に変わっています。私が勤務する黒羽刑務所
は、栃木県の大自然の中にあり、主に初めて刑務所に入る者
を収容する大規模施設ですが、その大きな特徴として、民間
との大規模な協働運営が挙げられます。私はここで、受刑者
の処遇全般に関わる業務のほか、官民間の調整業務を担当
しています。受刑者への指導や訓練に民間のノウハウが導入
されることにより、創意工夫に富んだ取組がなされる一方、
時に官民の考え方の相違が顕在化するケースもあり、そう
した課題を一つ一つクリアして、
よりよい施設運営を目指し
ていくところにやりがいを感じています。
私がこの世界に入った動機は、犯罪による社会損失の大
きさを知り、矯正が社会全体の幸福度を上げるための要で
あると感じたからですが、そのためには、有機的な人とのつ
ながりと、無機的な危機管理という相反する要素が不可欠
です。受刑者という「個」に相対し人情をもって処遇する一
方、常に危機意識を持ちあらゆる事態をシミュレーションし
ておく冷静さ、こうした奥の深い仕事に興味を持たれた方
は、是非矯正の門を叩いてみて下さい。
Profile.
樋口 彰範
黒羽刑務所処遇部次席矯正処遇官
平成9年入省・行政
平成 9 年4月 法務省矯正局
平成11年4月 法務省刑事局
平成12年4月 法務省大臣官房人事課
平成13年4月 文部科学省初等中等教育局係長
平成15年9月 法務総合研究所研究部研究官補
平成22年9月 矯正研修所教官
平成23年4月 法務省矯正局総務課法務専門官
平成25年4月 現職
12
M i n i s t r y
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J u s t i c e
施 設 等 機 関
少年鑑別所の業務説明及び社会的役割
少年鑑別所は、主として家庭裁判所から観護措置の決定によって送致された少年を収容し、審判等のため、医学、心理学
等の専門的な知識に基づき、心身の鑑別を行います。鑑別は、面接、心理検査、行動観察などを通じて、その心身の状態を調
査し、非行の原因を解明するとともに、改善更生に向けた処遇指針を立てるものです。
また、保護処分等の執行のため、少年院や保護観察所等からの依頼に基づく鑑別も行うほか、非行、いじめ、家庭内暴力
などについて、保護者や学校の先生など、一般の方からの相談にも応じています。
心理の専門職であり行政官でもある者として
少年鑑別所、女子刑務所、矯正局勤務を経て、平成25年4
月から福岡少年鑑別所統括専門官(考査担当)
として勤務し
ています。鑑別結果通知書の作成を中心とした収容鑑別、一
般少年鑑別等の業務を統括しており、自ら鑑別を担当し、面
接や心理検査を実施するのはもちろんのこと、若手鑑別技
官の育成にも力を入れています。
もともとは、犯罪や非行に走ってしまう人の心の不思議さ
に強い興味を抱き、
この仕事に就きました。採用当初は、目
の前の少年の改善更生のために必要な処遇を考えることに
精一杯で、
また、心理の専門家として一人ひとりの少年に対
する支援を行うことが最も重要だと思っていました。今で
も、少年と共に少年自身の自己理解を深めることを通して、
時に、少年に気付きや変化が芽生える姿を間近で見ること
ができるのは望外の喜びです。加えて、矯正局での勤務を経
て、それまでよりも広い視野で犯罪や非行に係る各種施策を
眺めることができるようになったことで、少年の更生は少年
自身のためのみならず、社会からの要請でもあることを強く
意識し、その責任をひしひしと感じながら少年とより真摯に
向き合うことができるようになりました。
このように、様々な職場で勤務する総合職の醍醐味を味
わいつつ、心理の専門職であり行政官でもある自分の立場
や経験を最大限にいかしながら、人の生き方に関わるとい
う極めて人間臭い矯正行政に貢献したいと考えています。
Profile.
髙橋 智晃(ちあき)
福岡少年鑑別所統括専門官
平成12年入省・心理
平成12年4月 東京少年鑑別所
平成17年4月 麓刑務所統括矯正処遇官
平成18年4月 佐賀少年鑑別所統括専門官
平成20年4月 法務省矯正局少年矯正課
平成25年4月 現職
13
S p e c i a l
F i e l d s
少年院の業務説明及び社会的役割
少年院は、家庭裁判所から保護処分として送致された少年等を収容し、矯正教育を行っています。
少年院では、個々の少年について、非行の原因となっている問題性や今後伸長すべき長所などを明確にし、心身の発達
状況、資質の特徴、将来の生活設計などを総合的に検討して個別的処遇計画を立てた上、生活指導、職業補導、教科教育、保
健・体育、特別活動などを実施しています。
法務省矯正局の総合職の魅力
私が、法務省矯正局の総合職を志した理由は、政策の企画
立案などにより、我が国における刑事政策の方向性を示す
といった、我が国のグランドデザインを描くようなスケール
の大きい仕事から、直接、矯正施設において被収容者に関わ
り、更生・社会復帰のための働き掛けを行う仕事まで、幅広
い職務に携われることに魅力を感じたからです。
また、充実した研修制度が実施されていることも法務省
矯正局の総合職を志した理由の一つです。法務省矯正局は、
矯正職員として必要な知識及び技能を習得するための教育
及び訓練を行う初任研修の他にも、矯正職務の実務家、専門
家として必要な知識及び技能を習得するための専門研修な
ど、多種多様な研修を実施しています。
また、総合職として採
用された場合、人事院主催の初任行政研修など、矯正局外の
研修にも積極的に参加することができます。
私は今、久里浜少年院庶務課長補佐として、人事管理や予
算管理といった施設の運営に係る業務に携わっています
が、以前には、法務総合研究所(国際連合アジア極東犯罪防
止研修所)において、刑事政策の国際会議の運営やODA(政
府開発援助)事業の実施に携わるなど、多岐にわたる業務を
経験することができました。
法務省矯正局は、
このように幅広い知識と多様な価値観
を身につけられる場所です。常に努力を惜しまず、チャレン
ジ精神が旺盛な方をお待ちしております。
Profile.
鈴木 貴之
久里浜少年院庶務課長補佐
平成19年入省・人間科学Ⅱ
平成19年4月 多摩少年院
平成22年4月 法務総合研究所(国際連合アジア極東犯罪防止研修所)
国際研修専門官
平成24年4月 関東医療少年院専門官
平成25年4月 現職
14
M i n i s t r y
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J u s t i c e
人 間 科 学 区 分 職 員
矯正局の人間科学区分職員の特徴
法務技官は、主に少年鑑別所や刑事施設等において、心理学の専門的な知識・技術等を生かした非行少年の資質の鑑別
業務、受刑者の改善指導プログラムの実施業務等に従事し、法務教官は、主に少年院や少年鑑別所等において、個々の少
年の特性や心身の発達の程度を考慮して、
「育て直し」のための働き掛けや教育を行います。
その他、矯正局等における再非行・再犯防止に係る政策の企画・立案業務においても活躍が期待されています。
心理学の専門性を生かして
刑が確定した受刑者に面接や心理検査を行い、
その人の性格や犯罪に及んだ原因を探り、改善更
生に向けた処遇方針を立てる業務に就いていま
す。
また、心情把握や処遇方針の変更の必要性を検
討するために、定期的に受刑者と面接したり、性犯
罪受刑者に対して認知行動療法をベースとしたグ
ループワークを実施したりすることもあります。受
刑者の改善更生を目指したアセスメントにとどま
らず、
トリートメントにも参画できることがこの仕
事の醍醐味だと感じています。
Profile.
前田 将太
川越少年刑務所分類審議室調査専門官
平成22年入省・人間科学Ⅰ
平成22年4月 東京少年鑑別所
平成23年4月 八王子少年鑑別所専門官
平成24年4月 現職
法務教官の業務とやりがい
私は、少年院の教育部門に勤務しています。集団
寮当直業務、教科指導等の主要業務に加え、企画立
案に係る業務も担当しています。
やりがいを最も感じるのは、少年指導です。問題
や責任から目を逸らしてきた少年が、個別面接や
日記指導を通じ、自己の改善更生に意欲的に取り
組む勇気ある少年へと成長する姿を見ると強く感
動します。また、少年への指導が、結果として私自
身の生き方を反省的に振り返るきっかけとなるな
ど、少年から学ぶことも数多くある職場です。
P r of i l e .
浅見 正洋
赤城少年院専門官
平成23年入省・人間科学Ⅱ
平成23年4月 多摩少年院
平成25年4月 現職
15
政策の最前線から
刑務所から社会が見える
私は、現在は矯正局総務課で勤務しており、刑務所、少年院等の矯正施設に係る情報公開、
個人情報保護、行政文書管理の運用や、女子刑務所の運営に係る検討などを担当していま
す。矯正局では事務的な業務が多いですが、刑務所で勤務していた時には、そこに収容され
ている多くの受刑者の処遇に携わりました。刑務所は「現代社会の縮図」、
「現代社会を映す
鏡」だと言われることがあり、実際、高齢受刑者、障害を有する受刑者、他者とのコミュニケー
ションがうまく取れない受刑者、虐待経験がトラウマになっている受刑者などへ、
きめ細かな
対応を行い、改善更生・社会復帰に向けて支援することを考えていくと、今、社会が抱えてい
る問題に深くつながっていることがあります。刑の執行・再犯防止という、国民が安心して暮
らせる社会の実現のための重要な役割を担いつつ、その仕事を通して社会や人を考えるこ
とができる点が、矯正行政のやりがいの一つだと思います。
Profile.
堀内 美奈子
1日のタイムスケジュール
矯正局総務課法務専門官
平成11年入省・法律
平成11年 4月 法務省矯正局総務課
平成11年11月 栃木刑務所主任矯正処遇官
平成13年 4月 法務省刑事局
平成14年 4月 法務省大臣官房司法法制部
平成15年4月 文部科学省初等中等教育局係長
平成21年4月 内閣府公共サービス改革推進室参事官補佐
平成23年4月 美祢社会復帰促進センター首席矯正処遇官
平成25年4月 現職
9:00 出勤 予定やメールのチェック。
10:00 女子刑務所に係る取組について、外部協力者等と電話で調整。
11:00 矯正施設における個人情報保護の取組について、係内で打合せ。
12:00 昼食 売店のお弁当を自席で食べたり、食堂へ行ったり。
13:00 情報公開やその不服申立に係る起案文書を決裁。
15:00 女子刑務所の現状について、説明用資料を作成。
17:00 行政文書管理について、職員研修用の資料を作成・確認。
21:00 退庁
再非行防止に向けた「居場所」
と
「出番」の確保
採用後は、少年院勤務のみならず、刑事施設の改善指導、
また、保護観察官として社会内処
遇にも携わり、少年と成人の指導における在り方の差異と共通性、施設内処遇と社会内処遇
の連続性についても考える経験ができ、矯正内外の多くの人たちと出会い、支えていただき
ながら業務に当たってきました。
現在は、社会における「居場所」
と
「出番」を確保し、孤立化や社会不適応に起因する再非行
を防止するための少年院在院者の円滑な社会復帰に係る施策作りに当たっています。社会
復帰に係る支援には、就業先確保のための協力体制の構築、在籍校との復学調整や上級学
校への進学に係る修学支援方策、適切な福祉的支援を受けるための連携の在り方等、少年院
が有する社会資源だけでは実現できない施策も多くあるため、他部局、他省庁、学校、地方自
治体、さらには民間団体等の方々の取組とも連携を深めながら当課の実施すべき施策の充
1日のタイムスケジュール
9:15 出勤 メールや1日の業務内容の確認
9:30 係内ミーティング(毎週月曜日は課全員でミーティング)
対外的な予定及び業務内容の報告、上司からの指示
10:30 保護局観察課と打合せ
社会復帰に係る施策について説明
12:00 昼食 自席で係内のメンバーと雑談しながらワンコイン弁当
13:00 矯正管区からの相談 教育プログラム開発の方向性の確認
15:00 厚生労働省と打合せ
就労支援策の充実化に向けてお互い知恵を絞る
17:00 係ミーティング
少年院法改正に向けた訓令・通達案作成の作業分担の調整
22:00 退庁 少年院法等改正の準備で帰りが遅くなり気味
時には、仕事を切り上げ同期や課のメンバーでリフレッシュ
実化に向けて日々奔走しています。
Profile.
長能 浩典
矯正局少年矯正課少年院第一係長
平成18年入省・人間科学Ⅱ
平成18年4月 多摩少年院
平成20年4月 東京矯正管区第三部教育課
平成22年4月 さいたま保護観察所処遇部門
平成24年4月 現職
新しい刑務所の役割を求めて
大学生の時に裁判を傍聴する機会があり、そこで行われていたのは窃盗の累犯事件でし
た。私はそれまで罪を犯した人を遠い存在としか思っていませんでしたが、検察官が被告人
の不遇な成育環境を述べる中で、年老いた被告人が濁った目をし、背中を丸めて立つ姿を見
て、
こうした人達の再犯を防止し、社会復帰をさせることが必要ではないかと感じました。そ
して官庁訪問をする中で、刑務所の中から受刑者が社会復帰する仕組みを作ることが必要
だと感じ、矯正局を志望しました。
しかし、実際に現場とつながりの深い部署で働いていると、罪を犯した人の家庭環境や交
友関係、性格は千差万別であり、
また累犯になるほど彼らを更生させるのがいかに難しいこ
となのか改めて感じさせられます。
「矯正は人なり。」
という言葉が表すように、矯正は人と人とのつながりが深い組織です。そ
のような職場で、罪を償い社会に復帰したいと考える人が刑務所の中から新たにチャレンジ
できる仕組みを一緒に作ってみませんか。
Profile.
植羅 真人
矯正局成人矯正課警備係、処遇第一係併任
平成25年入省・法律
平成25年4月 現職
1日のタイムスケジュール
9:00 出勤、
メールチェック
9:30 照会文書の確認
弁護士や地方自治体に電話で照会文書の訂正を求める
10:30 照会文書の処理
新たな事例につき係内で検討を行う
12:00 昼食 係業務の特性上、有事に備え、原則自席で食事
13:00 雑務処理
16:00 決裁文書の処理
19:00 警備機器の整備年度について取りまとめを行う
22:00 退庁
16
保 護 局
M i n i s t r y
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J u s t i c e
「おかえり。」と言える社会を作りたい。
更生保護制度は、犯罪や非行をした人を地域社会の中で適切に処遇することにより、その
再犯を防止し、立ち直りの支援を行うものです。警察、検察、裁判、矯正といった一連の刑
事司法制度の最終段階を担っており、保護司を始めとする民間協力者や関係機関等とも連携
しながら実施されています。
犯罪をなくし、安全・安心な社会を実現することは、すべての人の願いです。中でも刑務
所出所者等の再犯防止は、現在、政府全体の重要な課題となっており、刑務所出所者等の住
居や就労の確保、高齢・障害、薬物依存といった犯罪者の特性に応じた指導・支援の充実が
求められる中、地域においてこれらの施策の実施を担う更生保護制度の果たすべき役割は大
変重要なものとなっています。
犯罪や非行は、地域社会で発生するものであり、罪を犯した人も、いずれ地域社会に戻っ
てきます。彼らから目を背けたり、排除する社会では、地域に居場所もないまま、罪を重ね
ることになりかねません。彼らを地域社会の一員として受け入れ、共に生きていくことので
きる社会こそ、彼らの立ち直りを可能とする、真に安全・安心な社会と言えます。柔軟な発
想と熱い思いを持った皆さんとともに、このような社会を実現したいと願っています。
保護観察における面接場面
17
専門的処遇プログラムの実施場面
歌手の谷村新司さんの御協力も得て、犯罪予防の
啓発活動を街頭で実施
政策の最前線から
人が好きですか?
採用前であったか、採用後であったか、
また、
どのように応答したかも今となっては不確か
ですが、保護局の採用に関わる面接場面で「君は人間が好きか?」
と問われたことだけは、
はっきりと覚えています。更生保護についてほとんど知らないまま、
「人と関わる仕事がした
い」
との思いから法務省を志望し、採用されて十数年を経ましたが、
「人が好きか?」
という問
いは、今でも時々、自分自身に投げ掛けてみることがあります。私は現在、罪を犯した人の社
会復帰のため、必要な生活基盤(住居や就労)の確立方策を企画・立案する室に所属していま
す。あらゆる対人援助業務に共通すると思いますが、
いかに良い仕組みがあったとしても、
こ
れを機械的にケースに当てはめるだけでは決して機能しません。援助者において、援助の相
手方に積極的な関心を持ち、個別性を意識した仕組みの適用に配慮すること、援助の相手方
の主体的な関わりを引き出すことなど、仕組みの「使い方」が重要です。そしてこの「使い方」
を向上させるものは結局、
「人が好きである」か否かにかかっているのかもしれません。
Profile.
大日向 秀文
保護局更生保護振興課社会復帰支援室法務専門官
平成10年入省・心理
1日のタイムスケジュール
9:10 登庁、
メールの確認・返信等
10:00 決裁文書の処理
11:00 関係省庁・関係団体等からの電話対応・協議
12:00 昼休み
13:00 省内他部局との打合せ
15:00 施策関係資料の読み込み
17:00 各種施策・会議の開催等に関する室内打合せ
20:00 残務整理の後、帰宅
平成16年4月 九州地方更生保護委員会事務局審査第一課保護観察官
平成17年4月 保護局観察課仮釈放係長
平成19年4月 新潟保護観察所処遇部門保護観察官
平成23年4月 保護局総務課恩赦管理官室兼被害者等施策班法務専門官
平成25年4月 現職
誰もが安心して暮らせる社会のために
薬物依存のある刑務所出所者等に対する処遇の充実や、社会貢献活動の導入に関する体
制整備を担当しています。いずれも法改正に関連した大きな施策であり、企画立案や情報収
集、そして関係機関・団体との調整に係のメンバーや上司と協力して取り組んでいます。更生
保護に限らず、施策の推進には他省庁や自治体、民間の方々との連携がますます大切になっ
てきています。安心して暮らせる社会の実現は誰もが願うところですが、犯罪(者)に対する
不安などもあり、地域における社会復帰施策がすんなりと受け入れられるとは限りません。
制度の趣旨を理解いただき、施策を形にするまでには多くの時間や気力が必要です。そのよ
うな中でも、
「立ち直り支援は必ず社会のためになる。自分はそこに関わりたい」
という入省
時の思い、そして地道な活動に日夜取り組んでくださっているたくさんの理解者・ボランティ
1日のタイムスケジュール
9:20 登庁、
メールチェック
9:40 課内ミーティング参加。今日の予定、作業の進捗、重
要案件等の情報共有
10:30 社会貢献活動に関する有識者会議について関係省庁と協議
11:00 刑の一部の執行猶予制度を見据えた処遇体制につ
いての打ち合わせ資料を作成、他課担当者と事前協議
12:00 昼休憩、昼食
13:00 社会貢献活動の本格実施に向けた課題についての
検討、係内ミーティングの実施
14:30 関係団体の責任者が来庁、薬物事犯に対する処遇に
関する相談対応
15:00 薬物依存のある刑務所出所者等に対する処遇に関
する保護観察所と関係諸機関との連携状況の取りまとめ
16:30 各種照会、依頼等に関する回答案の作成又は決裁
20:00 退庁
アの方々の存在が、私の支えとなっています。自分がやろうとしていることを、誰に対しても
自信を持って説明できる、そういう行政官でありたいと思っています。
Profile.
赤木 寛隆
保護局観察課観察係長
平成16年入省・人間科学Ⅰ
平成23年4月 横浜保護観察所処遇部門保護観察官
平成16年4月 長崎保護観察所総務課
平成24年4月 保護局更生保護振興課更生保護事業係長
平成17年4月 長崎保護観察所観察課保護観察官
平成25年4月 現職
平成18年4月 保護局総務課
平成21年4月 川越少年刑務所分類審議室調査専門官
犯罪の少ない社会を目指して
犯罪に巻き込まれて笑顔を失う人を減らすために、犯罪の少ない社会作りに携わりたい、
そんな想いを抱いていた時に、保護局の「罪を犯した者を受け入れる社会を築くことで、再犯
防止を目指す」
という取組みに出会い、法務省を志望しました。
現在は、保護局が所掌する法令等の企画立案を始め、他省庁で立案された法令が更生保護
の分野においてどのような影響を及ぼすのか検討したり、保護局の渉外担当窓口として、諸
外国の提案、決議等を受け入れるかどうかや、日本国としての発言等について、担当課室に
照会を掛けながら対応しています。法学・人間科学等の知識がほとんど無い状態で入省した
ために、業務に取り組む中で悩むこともありますが、温かい上司、先輩方に支えられ、刺激的
で楽しい毎日を過ごしています。今後も、全ての人の可能性を信じ、たくさんの人が笑顔で過
ごせる未来を目指して、業務にまい進していきたいです。
Profile.
髙橋 舞
保護局総務課法規係員
平成25年入省・経済
平成25年4月 現職
1日のタイムスケジュール
9:00 出勤、
メールの確認
10:00 各種照会に対応
(窓口担当として、関係各課室あてに照会をかけます。)
12:00 昼食(同期と過ごす楽しい時間です。)
13:00 法規データベースの更新作業
14:00 他課室との打ち合わせ
15:30 各種照会に対応
(関係各課室からの回答を取りまとめ、決裁を仰ぎます。)
19:00 残務処理後、退庁
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地 方 支 分 部 局
保護観察所の業務説明、社会的役割
保護観察所は、全国50か所に置かれ、地域社会において、犯罪や非行をした者の再犯・再非行を防止し、社会復帰に向け
た支援を行う第一線の処遇機関です。保護観察所では、保護司を始めとする民間協力者と連携・協力し、指導や援助、専門
的処遇プログラム等を行う「保護観察」、矯正施設収容中の者について、その釈放後の住居や就業先等の調整を行う「生活
環境の調整」等を主要な業務として行っています。近年、安全・安心な社会づくりが強く求められる中、刑務所出所者等の社
会内処遇を担う保護観察所の役割はますます大きくなっています。
地域とともに歩む更生保護
「更生保護」
という言葉も知らないままにこの世界に入っ
しての役割だけでなく、医療観察制度等その守備範囲が広
た駆け出しの頃は、担当している保護観察対象者の再犯の
がり、
また、再犯防止に向けて様々に創意工夫が求められる
知らせに青くなり、私に何ができるのだろうかと途方に暮れ
ようになりました。犯罪類型に応じた専門的処遇プログラム
ることもありました。
の効果検証など処遇の科学化も進んでいます。
その後、処遇体験を積み重ねるとともに、処遇技法の調査
現場の所長としては、社会情勢の変化や国民からの要請、
研究や少年鑑別所で非行少年の内面を深く掘り下げる経験
更には更生保護行政全体の進んでいこうとする方向をしっ
等を通して、少しずつ対象者が抱える問題やその解決への
かりとらえながら、県内の地域や文化に合った方策を職員と
道筋が見えてきました。
また、海外の刑事司法関係者との研
ともに模索しています。対象者が社会に再統合され自立して
修や人事交流先の環境省で国内外のNPO、NGOとパート
いくためには、地元の福祉や地方公共団体等多くの機関との
ナーシップを組み環境教育に携わる中で、我が国の社会内
連携、企業や住民の御理解、御協力が不可欠であり、積極的
処遇のシステム、官民協働の素晴らしさ
(罪を犯した人を排
な広報や協議を重ねています。
また、
ともに活動してくださ
除することなく隣人として受け入れ、地域のために骨身を惜
る更生保護ボランティアの方々が生き生きとやりがいが持
しまない方々の存在がいかに重要か)を再確認できたことは
てるような環境整備にも努めているところです。
とてもよい経験になりました。
ところで、近年の更生保護は、刑事司法機関のアンカーと
Profile.
西瀬戸 伸子
静岡保護観察所長
昭和56年入省・心理
平成19年4月 東京保護観察所首席保護観察官 平成21年1月 新潟保護観察所長
平成23年4月 中部地方更生保護委員会事務局長
平成25年4月 現職
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F i e l d s
地方更生保護委員会の業務説明、社会的役割
地方更生保護委員会は、全国8か所に置かれ、刑務所等に収容中の者の仮釈放の許可や管内の保護観察所に対する事務
の監督等の権限を有する機関です。地方更生保護委員会には事務局が置かれ、刑務所等に収容中の者と面接するなどの、
「仮釈放審理のための調査」等を主要な業務として行っています。仮釈放制度は、犯罪や非行をした者の改善更生・社会復
帰のため重要な制度であり、慎重な判断が求められることから、地方更生保護委員会の役割は非常に重要です。
人を支え、自分も磨ける仕事
仕事を選ぶ際、多くの人にかかわることのできる仕事に就
観察所からのフィードバックを本省へ伝えることで、本省と
きたいと考え、法務省を志望しました。採用後は、本省では再
地方更生保護委員会、保護観察所が円滑に連携し、再犯防止
犯防止施策の企画・立案に関する業務を、保護観察所では保
対策が更に充実したものとなるように努力しています。
護観察に付された人の社会復帰支援に関する業務を、それ
これまでの業務を通して、本省では再犯防止のために何
ぞれ行ってきました。
が必要かという視点で仕事ができることに、地方更生保護
また、他省への出向や公務員試験問題作成など、幅広い経
委員会や保護観察所では過ちを反省し更生を誓った人の立
験を積む機会もありました。
ち直りを支えることや多くの更生保護ボランティアとの出会
現在は、管区機関である中部地方更生保護委員会で保護
いにやりがいを感じています。様々な立場の多くの人々と出
観察所の事務の監督、
更生保護に関するボランティアとの連
会い、刺激を受けながら業務ができることに感謝していま
絡調整、行き場のない刑務所出所者等に対する支援を行う
す。
更生保護法人の指導監督等の業務などに従事しています。
業務においては、管区機関として更生保護に関する施策
の企画・立案を行う本省と最前線で再犯防止に取り組む保
護観察所の間のつなぎ役となるよう意識しており、本省の方
針を保護観察所へ伝えつつ、実際の業務から得られた保護
Profile.
藤田 博
中部地方更生保護委員会事務局更生保護管理官
平成6年入省・社会
平成 6 年4月 保護局観察課
平成 7 年4月 名古屋保護観察所保護観察官
平成11年4月 保護局観察課
平成20年4月 厚生労働省健康局生活衛生課長補佐
平成22年4月 富山保護観察所統括保護観察官
平成24年4月 現職
20
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J u s t i c e
人 間 科 学 区 分 職 員
人間科学区分職員の特徴
犯罪や非行をした人は、地域社会に帰ってきます。彼らは、それぞれが重い過去を背負いながら、二度と同じ過ちを繰り
返さないよう、地域社会の中で必死に生きていかなければなりません。保護観察官は、専門的知識や経験に基づき、そのよ
うな人たちと向き合い、厳しい境遇に置かれることの多い彼らに寄り添うとともに、地域の様々な人の協力を受けながら、
少しでも明るい未来を一緒に考え、実現していく、そうした仕事をしています。
就農による再犯防止を目指して
私の勤務する茨城就業支援センターでは、
「就農
による再犯防止」という観点で、県やハローワー
ク、農家の方などと協働し、農業を志す刑務所出所
者等に対して農業訓練や就農支援、日々の生活指
導等を24時間体制で行っています。
困難な課題を抱えた人でも、四季折々の自然に
触れつつ、時に厳しさや難しさを感じる農業を経
験することで、二度と犯罪をしないという強い決意
と、その決意を支える農業中心の安定した生活環
境を手に入れることができます。挫折を繰り返しな
がらも、当センターでの生活を通じて一つ一つの
課題を乗り越え、立派に自立していく彼らを見る
と、私にとっても大きな実りを感じます。
Profile.
原 淳一郎
水戸保護観察所ひたちなか駐在官事務所
(茨城就業支援センター)保護観察官
平成17年入省・人間科学Ⅰ
平成17年 4 月 札幌保護観察所観察課
平成17年10月 札幌保護観察所更生保護振興課保護観察官
平成20年 1 月 保護局観察課
平成22年 4 月 保護局総務課
平成24年 4 月 保護局観察課
平成25年 4 月 現職
保護司の方と一緒に
現在私は、保護観察官として、犯罪や非行をした
人が社会復帰できるよう、指導や助言を行ったり、
その家族や関係機関に働きかけたりしています。
更生保護業務は、民間ボランティアである保護司
の方の協力を得てすすめられています。地域をより
良くするために日夜活動し、犯罪や非行をした人
の更生を熱く願う保護司の方と一緒に、一人一人
の人生に関われることにやりがいを感じます。
P r of i l e .
鈴木 真理子
新潟保護観察所保護観察官
平成18年入省・人間科学Ⅱ
平成18年4月 広島保護観察所総務課
平成19年4月 広島保護観察所処遇部門保護観察官
平成21年4月 保護局総務課
平成23年4月 愛光女子学園専門官
平成25年4月 現職
21
課長級職員からのメッセージ
P r of i l e .
吉田 研一郎
保護局観察課長
昭和56年入省・社会
平成16年4月 関東地方更生保護委員会事務局審査第一課長
平成17年4月 保護局総務課総括補佐官
平成19年4月 大津保護観察所長
平成21年4月 保護局更生保護振興課保護調査官
平成23年4月 保護局参事官
平成25年4月 現職
官民の連携による安全・安心な社会の実現
大学で社会学を専攻し、
犯罪や非行の問題に関心をもちま
重要な課題の一つです。
した。
当時、
少年非行が戦後第三のピークを迎え、
覚せい剤の
多くの人にとっては、犯罪や非行の問題は、できれば避け
乱用も大きな社会問題になっており、何かこうした問題に関
て通りたい事柄であり、犯罪者に対しても、排除したり、単に
われる仕事をということで、
法務省に入りました。
以来、
30年
厳罰を科せばよいとの見方がされることも少なくありませ
余りが経ちましたが、特にこの10年ほどの間に、更生保護を
ん。それだけに、私たちの仕事も様々な困難が伴います。一
取り巻く状況は大きく変わってきています。
安全・安心な社会
方で、
「人は変われる」
と信じ、立ち直りや社会復帰のために
の実現のため、再犯の防止が重要な政策課題となり、犯罪や
支援の手を差し伸べる人たちが、保護司など更生保護ボラ
非行をした者の社会内処遇を担う更生保護に対する期待が、
ンティアの方々を始めとして、数多くいることも事実です。全
以前と比べ格段に高くなっていることを痛感します。
国におられるそうした方々と出会い、共に仕事ができること
私自身は、
ここ数年、保護局で勤務しています。最初の2年
は、大きな喜びです。私は、
これらの方々から、犯罪をした者
間は、行き場のない刑務所出所者等に対する受け皿の多様
や非行のある少年を一人の人間としてみる視点と、自分た
化を図るための「自立準備ホーム」制度の創設、経済界等の
ちの住む地域を自分たちの力で良くしていこうという姿勢
協力を得た就労支援事業者機構(NPO法人)の設立支援、民
を学ばせていただいたように思います。そして、それらを施
間のノウハウを活用してきめ細かな就労支援を行う「更生保
策の立案等に活かしていくことが重要な使命であろうと
護就労支援モデル事業」の企画立案など、刑務所出所者等の
思っています。
「居場所」
と
「出番」を作るための政策に関与しました。その
就職して最初に配属された部署の上司から頂いた1冊の
後、刑の一部の執行猶予制度の創設と、保護観察の特別遵守
本に、
「処遇官であるとともに行政官である道を極められる
事項に社会貢献活動を加えるための立法作業に携わり、現
ように」
というメッセージが添えられていました。未だに道
在は、仮釈放や保護観察に関する施策の運用と企画立案に
半ばであることに忸怩たる思いを抱きながら、
このチャレン
当たっています。目前に迫っている社会貢献活動の本格実
ジングな課題に共に取り組んでくれる皆さんと仕事ができ
施や刑の一部の執行猶予制度の施行を見据えた体制整備も
ることを楽しみにしています。
22
入 国 管 理 局
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ルールを守って国際化
入国管理局は、
「出入国管理及び難民認定法」
(以下「入管法」
といいます。)を基本法として、出
入国及び外国人の在留の管理並びに難民の認定手続を所管しています。その業務は、次のとお
り4つに大別されます。
一つめは、
すべて人の出入国の公正な管理です。我が国の空・海港において、日本人に対して
は出帰国の確認、外国人に対しては上陸の審査を行っています。
二つめは、外国人の在留の管理です。我が国に在留している外国人は、通常、入国時の審査に
よってその活動や身分に基づいた在留資格と在留期間が付与されていますが、活動内容を変更
する場合や期間を延長する場合に、入国管理局が審査を行い、外国人の在留の適正な管理に努
めています。
三つめは、退去強制です。不法に我が国に入国する、在留許可の範囲を超えて我が国に滞在
するなど、我が国にとって好ましくない外国人を法令に基づいて強制的に国外に退去させ、国
民の安全や利益が害されるのを防いでいます。
どういう場合に退去強制されるかは入管法に規
定されています。
四つめは、難民の認定です。我が国は、昭和56年に「難民の地位に関する条約(難民条約)」に
加入し、入管法に難民認定手続が規定されています。難民条約に規定されている難民の定義に
該当するか否かを判断しています。
東京入国管理局
23
名古屋入国管理局
大阪入国管理局
政策の最前線から
入国管理局に求められる役割
現在の業務は、政府全体として各種の政策決定を行うに当たって、入国管理局としての意
思決定が必要な課題について、局内の関係部署や他の省庁との調整を行った上で、一定の結
論を出すというものです。
「少子高齢化の進展を踏まえた外国人労働者の受入れの在り方」、
「観光立国の実現」、
「テロリストの入国の未然防止」、
「多文化共生社会の実現」など様々な課
題がありますが、意思決定の一連の流れを目の当たりにし、その渦中で、出入国管理行政に
求められる役割は、
ますます大きなものとなってきていることを実感しています。
例えば「円滑な入国審査」
と
「厳格な入国審査」など、相反するニーズに対応しなければな
らないことも多いのですが、いずれにしても、我が国で生活する日本人・外国人の双方が利
益を享受できる政策の企画・立案を心がけ、そのための解決策を模索し続けています。
Profile.
竹内 悠介
入国管理局総務課法務専門官
平成13年入省・法律
平成19年4月 入国管理局総務課情報分析係長
平成20年4月 法務省入国管理局総務課法規係長
平成23年4月 総務省自治行政局住民制度課
外国人住民基本台帳室課長補佐
平成24年4月 法務省入国管理局入国在留課法務専門官
平成25年4月 現職
1日のタイムスケジュール
9:30 出勤、
メールの確認
10:00 至急対応が必要な決裁の処理
13:00 会議への出席
15:00 照会案件の処理方針について室内で打ち合わせ
17:00 書類作成
19:00 残務整理
21:00 退庁
地域住民としての外国人
私は現在、入国在留課在留管理業務室というところで、入管当局と市区町村の連携に関す
る業務を担当しています。
具体的には、平成24年7月から運用開始となった新しい在留管理制度の下で市区町村が
法定受託事務として行っている在留関連事務に関し、市区町村からの照会事項への回答を
したり、都道府県単位で開催される在留関連事務に関する研修会に講師として赴き、講義を
行ったりしています。市区町村職員の方々と接する機会が多いため、霞が関勤務でありなが
らも、各地における外国人住民の実情や、市区町村の窓口で今何が問題となっているかにつ
いて、
いち早く把握することができます。
私はイギリスへの留学経験がありますが、グローバル化が進展し、在留外国人が増加する
中で、
どのように外国人を地域住民として受け入れ、向き合っていくかは、当時のイギリス入
管行政における大きな課題の一つとなっていました。
これは現在の我が国においても同様で
あることを、市区町村職員の方々との対話を通じて、日々実感しているところです。
1日のタイムスケジュール
9:30 出勤
9:30 メール確認等
10:00 市区町村からの照会対応①
13:00 市区町村からの照会対応②
15:00 打ち合わせ(関係課室)
16:00 市区町村からの照会対応③
17:00 打ち合わせ(室内)
18:00 研修会の事前準備
20:00 退庁
Profile.
遠藤 由美
入国管理局入国在留課在留管理業務室市町村連携業務係長
平成16年入省・法律
平成16年4月 法務省入国管理局総務課
平成19年4月 法務省大臣官房秘書課
平成20年8月 長期在外研究
平成23年4月 金融庁検査局総務課金融証券検査官
平成25年4月 現職
1年目の職務を通して学んだこと
不法滞在者の厳格な取締りと我が国に有益な外国人の入国の促進を両立させることで、
我が国の治安維持と経済発展の両方に貢献できると思い、入国管理局を志望しました。
現在は、審判課訴訟係の係員として、地方入国管理官署が行った行政処分に対する取消訴
訟等のデータ管理や、判決書の概要作成等の業務に従事しています。仮に国側が敗訴し、当
局処分が取り消されることになれば、その案件のみならず、今後の入管行政に大きな影響を
及ぼす可能性があることを忘れずに、緊張感を持って日々の業務に取り組んでいます。
仕事をしていく上で、
「自分」の範囲を広くすることを意識しています。現在の上司の姿を見
て、自分が行った仕事だけでなく、前任者や同僚が行った仕事にも責任を持つこと、自分が物
事の主体、一員であると認識することが大切であることを学びました。今後、入管行政の重要
性が増し、向き合うべき課題も複雑化する中で、入管行政を担う一員として、課題解決に尽
力したいと考えています。
Profile.
麻生 唯華
入国管理局審判課訴訟係員
平成25年入省・法律
平成25年4月 現職
1日のタイムスケジュール
9:00 出勤、
メールチェック
9:30 新規訴訟案件の受理報告作成
12:00 先輩方や同期と食堂で昼食
13:00 訴訟データの入力 16:00 判決書の概要作成
18:30 事件記録簿の作成等
21:00 退庁
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地 方 支 分 部 局
TOKYO IMMIGRATION
(職場の前で
「トーキョーイルミネーションはここですか?」
と聞かれました。そんなところで働きたい!)
「今後の外国人の受入れはどうしていったらいいと思
で、厳正な審査も行わなくてはなりません。両者に気を配る
う?」平成3年の夏、法務省を官庁訪問した私が問われた言
よう心がけています。
葉です。外国人労働者の受入れ政策に興味を持ち法務省を
出入国管理政策は経済・社会に様々な影響を及ぼすため、
志望していた私ですが、面接官の質問にしどろもどろになっ
情勢の変化に応じて常に見直しが必要です。冒頭の面接官
たのを憶えています。それでも、答がテキトーいや適当だっ
の質問に対する正解はなく、答は変化していくものです。だ
たのか、内定を受け、当時大手町にあった東京入国管理局を
からこそ、一緒に考えてくれる若い力が一人でも多く法務省
見学する機会を得ました。そこでは、今までに見たことのな
の門を叩いてくれることを期待しています(本当に門をガン
い数の外国人に圧倒されて、
「 日本の中の世界」を実感しま
ガンやると、警備員さんに怒られちゃいますので御注意
した。
を!)。
現在は港区港南に移転した東京入国管理局で勤務してい
ますが、何ら違和感がありません。私が慣れたのか、世の中
が変わったのか、たぶん、
どちらのせいでもあるのでしょう。
観光などで我が国を訪れる外国人、仕事や留学、結婚などに
より長期間在留する外国人のいずれも当時の約2倍となり、
今後も更に増加が見込まれます。その意味で出入国管理行
政は「成長産業」
といえるでしょう。
私の現在の仕事は、外国人の入国・在留に関する審査の責
任者です。本省において企画・立案に携わった制度を実際に
運用することはやりがいのある仕事です。毎日千件以上の
申請がありますが、その大多数は我が国が歓迎すべき方々で
すから速やかな手続が必要です。一方で、中には審査の網を
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かいくぐって不正に入国・在留しようとする者もいますの
Profile.
根岸 功
東京入国管理局審査監理官
平成4年入省・行政
平成18年4月 法務省入国管理局入国在留課補佐官
平成21年4月 東京入国管理局審査管理部門首席審査官
平成22年4月 東京入国管理局総務課長
平成23年4月 法務省入国管理局出入国情報分析官
平成25年4月 現職
課長級職員からのメッセージ
「出入国管理」 −わが国社会の発展に貢献する外国人関係行政を目指して−
平成25年9月8日早朝。日曜日の朝にもかかわらず、多く
に受け入れた外国人と我々が隣人として、
ともに支えあい暮
の国民がテレビに釘付けとなり、2020年オリンピック・パ
らしていくために、
どの様な仕組みづくりをしていくべきな
ラリンピックの開催地に東京が選ばれたことに歓喜しまし
のか。このような施策を通じて、わが国に暮らすすべての
た。皆さんの記憶にも強く残っていることでしょう。
人々が、豊かで幸せに暮らしていける社会づくり。21世紀の
法務省では、東京選出が決定した直後に省内に連絡会議
わが国社会のあり方について、外国人の受入れを所管する
を設置し、7年後の開催に向けた準備を開始しました。私が
立場からそのグランドデザインを描いていくことも、今、入
現在所属している入国管理局入国在留課は、その中心と
国管理局が取り組むべき大きな課題になっています。
なって今後準備を進めていくことになります。大会の観戦や
"Ministry of Justice"−これが法務省の英訳です。
この英
その前後にわが国を訪れる世界中の人々に対し、スピー
訳が示すように、法務省は正にjustice(公正・正義)を実現す
ディーな入国審査を実施し、
できるだけ円滑に入国していた
る役所です。入国管理局も常にjusticeを求めて、その行政を
だく一方、テロリストや犯罪者、更には暴力集団の入国を水
運営しています。一人でも多くの皆さんが、法務行政、入国管
際で確実に阻止し、大会が安全に開催されることに貢献し
理行政に興味を持っていただき、近い将来職場の同僚とし
なければなりません。
このような観点から、
どの様な入国審
て、justiceな外国人受入れのあり方について議論できる日
査を行うべきか、入国審査のあり方について検討していきた
が来ることを楽しみにしています。
いと考えています。
入国管理局は、
このような空港等での出入国審査業務の
ほか、永住の許可などの在留審査業務、不法滞在外国人の摘
発・送還の業務を担当しており、その所掌事務は、わが国の
外国人受入れに関するあらゆる事項に関係してきます。
少子高齢化が進む中でわが国社会、経済の活力を維持し、
国民生活が経済的にも文化的にも更に豊かになるために、
どの様な外国人を受け入れていくべきなのか。
また、わが国
Profile.
石岡 邦章
入国管理局入国在留課長
昭和61年入省・行政
平成16年8月 外務省領事局政策課企画官
平成18年4月 法務省入国管理局入国在留課審査指導官
平成21年4月 法務省入国管理局総務課入国管理企画官
平成22年4月 法務省入国管理局審判課長
平成24年1月 現職
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M i n i s t r y
施 設 課
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業務説明
大臣官房施設課では、法務省の施設担当部門として法務行政の実施される「舞台づくり」を通して法務行政が円滑、確実に執
行されるようHumanity(人間)、Security(安全)、Harmony(調和)をコンセプトに、長年培ってきた技術力、創造力を結集して施
設整備を行っています。
政策トピックス
法務省の所管する施設の整備を担当する施設課の業務は、企画・計画から、業務の大半を占める設計、工事監理、そして財産
の維持管理まで多岐にわたりますが、近年は、施設の立地に関わる業務が比重を増していると感じています。
法務省所管各部局の増大する行政需要に応えるためには、施設の円滑な整備が不可欠ですが、そのためには敷地の確保が
重要となってきます。施設の整備を行うための敷地は国有地を使用することが一般的ですが、適切な国有地がない場合、土地
購入を行うこともあります。各施設の立地する敷地の確保、選定も都市計画、建築計画の専門家集団としての施設課の大切な
業務の一つです。
収容施設を中心とする法務省の施設は、近隣にとっても決して迷惑な施設ではないはずなのですが、固定されたイメージが
あるのか、地元から施設の移転受け入れを忌避される事例が多くあります。近年の収容施設内人口の増大から来る大規模、か
つ多数の収容施設の建設工事に際しては、工事着手に至るまでの地元との折衝はきわめて重要、かつ困難な業務です。
都市部での移転案件では、一年以上にわたる自治体や関係機関を交えた協議会に参加し、受け入れのための条件を提示し
ながら説得を続ける必要があります。
また最近では、収容施設を含む法務省の施設を核とした大規模な街づくりを、区画整理の
手法で行うプロジェクトも進んでいます。
自治体と折衝する場合の相手となるのは、政策担当課や都市計画課、街づくり課といった街づくりを担当している部署です
が、一度理解し合えると、
ものづくりに対する価値観を共有していますので、深い信頼関係を構築することができます。
施設課では、法務行政を支える施設づくりを通して、
アジア近隣各国の安定した社会発展を援助しようと、1991年頃から海
外での施設整備分野における国際協力を行っています。今までにタイやフィリピンで無償資金協力による少年院などを援助
し、タイに延べ16人、
フィリピンに3人の専門家を派遣してきました。その協力を通じて培ってきた人的関係を基に、平成21年
度から「アジア矯正建築実務者会議」
という国際会議を立ち上げ、
アジア各国との情報交換と技術支援を行っています。当会議
は、昨年度はタイのチェンマイで開催し、今年度もマレーシアで実施する予定となっています。参加国も徐々に増え、昨年度は9
カ国の参加を見ることができました。
中央官庁にも技術系の部署が数多くありますが、技術系総合職職員として業務に従事する上では、高い技術力を磨くことは
もちろんのこと、
「その技術力を持って何をするのか」を意識し続けることが大切です。大臣官房施設課では建築計画分野の技
術力を持って、社会の安全を守り、国民の基本的な権利を保護する法務行政に参画します。そして、それは技術者として重い責
任を感じるとともに、大きな喜びを感じるところでもあります。
ぜひ、我々と一緒に、我が国の法務行政を支える業務に従事してみませんか。
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札幌刑務所全景
アジア矯正建築実務者会議
課長級職員からのメッセージ
設計部門のリーダーとして
■この仕事を選んだ動機
官庁訪問で当時の営繕課を訪問したときに、先輩方から矯正施設建築の社会的
な重要性や国際協力にかける思いを聞かされたのですが、その際、熱い思いが伝
わるとともに、建築の専門技術をもって社会に貢献ができる組織であるということ
が分かり、入省を決意しました。
■現在の業務内容、今までの中で印象に残った仕事、当該業務を通じて学んだこと
現在は、法務省所管施設の計画、設計、工事監理など技術的な分野を統括する業
務をしています。担当している設計部門は、建築の設計・計画の担当が5チーム、電
気・機械設備の設計・計画の担当が6チームという組織編成となっています。法務省
では初めての無償資金協力で建設したタイ王国の少年院の設計や、国際会議の立
ち上げを経験させてもらったことなど、海外での仕事も思い出深いものがたくさん
ありますが、一番の印象に残っている仕事というと八王子市から立川市への、
「司
法関連機関の一体移転プロジェクト」になるかと思います。裁判所の移転ととも
に、検察庁、拘置所、保護観察所の一体の移転プロジェクトでしたが、地元自治体や
関係機関との調整、住民の方々への説明、議員への説明など、数え切れないくらい
の所で法務省施設の重要性を説明して回りました。最大のハードルであった立川市
の駅前市街地での大規模な矯正施設の設置について合意に達したときには、非常
1日のタイムスケジュール
9:00 少し早めに出勤、今日のスケジュールを確認
9:40 課長室でミーティング。施設課の当面の課題について幹部間で認識
を共有する。
10:30 新規案件の計画案協議を開催。施設を利用する部局の関係者や予
算担当者等同席の上、設計担当者から計画案のプレゼンを受ける。
12:00 昼食、休憩
13:00 入札監視委員会、競争資格審査委員会など工事発注手続き関係の委
員会に出席
16:00 設計担当者の作成した図面の審査。膨大な量の図面を見ますが、ポイ
ントを絞って、短時間のうちに審査を完了します。
18:30 帰宅
に感慨深いものがありました。
自治体など関係機関との折衝は、
まず誠意を持って信頼関係の構築をすること
が第一ですが、加えて専門分野の知識と法務省所管の各行政分野に精通している
ことが必要です。技術者として日頃の研鑽の大切さを痛感しました。
■仕事をしていく上で意識していることや大切に思っていること、今後の目標等
施設整備には、その施設を利用する人に加えて、設計・工事関係者などきわめて
多数の人々が関わってきます。施設課の担当者には、プロジェクトマネージャーと
して、それらの人たちとの良好な関係を築き、彼らの持つ能力を最大限に引き出す
役割を果たすことが期待されています。施設設計調整官として、そういった調整能
力を持つ職員をいかに育てていくかが最大の課題であると思っています。
■学生へのメッセージ
施設課では、
これからの法務行政を支える若い技術者を必要としています。我々
とともに、技術力と人間力を駆使して、法務省の施設整備に携わってみませんか。
政策の最前線から
Profile.
那花 弘行
大臣官房施設課施設設計調整官
昭和62年入省・建築
昭和62年4月 法務大臣官房営繕課(現大臣官房施設課)
法務省所管施設の設計を担当
平成 6 年5月 タイ王国司法省技術顧問
平成10年4月 タイ王国内務省矯正局派遣専門家
平成15年4月 法務省大臣官房施設課施設企画官
平成16年4月 同企画担当補佐官
平成22年4月 国土交通省中部地方整備局
営繕部保全指導・監督室長
平成24年4月 国土交通省中部地方整備局営繕調査官
平成25年4月 現職
法務省の建物と向き合う醍醐味
■この仕事を選んだ動機
今では遠い記憶になりますが、食・寝・職・暇の場の全てが揃っている収容施設は
エネルギー環境的に、負荷予測もしやすく、循環型のクローズドなシステムが構築
できるのではと興味深く思ったことです。
■現在の業務内容、今までの中で印象に残った仕事(面白かった仕事や苦労した仕事)
当該職務(経験)を通じて学んだこと基本的には、入省して以来、立ち位置や裁量
の違いはあれ、一貫して法務省施設の整備業務に携わっています。今は、
より実務
に近い建築設計部門にいるわけですが、何が一番印象に残っているかと問われる
と、実務を抱えていると過去は遠い昔で、答えは”今”なのです。施設整備の分野は、
建物本体だけではなく、それを支える地盤から、自然環境から、エネルギーの流れ
から、顧客満足の観点から、予算の確保と執行も含めて多岐に渡っており、配慮す
1日のタイムスケジュール
9:00 出勤
9:30 設計等業務調整(同時進行する複数案件について、業務調整(計画、
提案、情報提供、助言、チェックバック等))
12:00 昼食、休憩
13:00 設計等業務調整
19:30 退庁
べき点に際限はありません。日々、新しい知識や情報に触れ、知的好奇心が刺激さ
れているところです。
といいながらも、ほんの少しだけ過去を振り返ってみると、JICA専門家としてタ
イ王国へ赴任した経験は特別なことというより、今の私の当たり前のような日常の
一部になっているという感覚ですが、設計期間も工事期間も工事費もとてもスリリ
ングだった入国管理局施設の整備事案や、平成21年度にこなした膨大な業務量や
広島での新庁舎完成に立会ったこと等、やはり、挙げるときりがなくなってしまいま
Profile.
葛原 浩美
大臣官房施設課施設企画官
平成2年入省・機械
平成 2 年4月 法務大臣官房営繕課(現大臣官房施設課)
法務省施設の企画・計画・設計に従事
平成11年5月 J
ICA専門家としてタイ王国法務省に赴任
平成17年4月 J
ICA専門家としてタイ王国法務省へ2度目の赴任
平成23年4月 広島高等検察庁事務局専門職
平成25年4月 現職
す。
■仕事をしていく上で意識していることや大切に思っていること、今後の目標等
誠実であること。専門性をもったプロフェッショナルとして振る舞えているかと
日々自問しています。
■学生へのメッセージ
いろいろな職場を訪問されているであろう今は、新しい知見を得ることができる
チャンスです。大いに楽しんで下さい。建物(施設)を見るだけでも興味深く、今のみ
なさんの立場は大変だろうけれど、少しうらやましいという気持ちです。
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事務系区分
キャリアステップ
M i n i s t r y
O f
J u s t i c e
一般的なキャリアステップ
事務系区分(行政・法律・経済・政治国際区分)で採用さ
れた方は、法務本省、地方機関、法務総合研究所(法務省の
研修・研究機関)、他府省など様々な組織の勤務を経験しま
す。その中で企画・立案業務から政策実施まで携わり、現
場の実態を踏まえた身近で血の通った政策を実現してい
く能力を養います。
まだまだ裏方ですが。∼内閣府から∼
実際に地方局で勤務してみて
入省1年目の昨年度は本省入国管理局で勤務し、今年度は名古屋入
国管理局に配属されました。就労審査部門とはその名のとおり、日本
に就労目的で入国する外国人の入国事前審査や、既に日本で働いて
いる外国人の在留審査等をしている部署です。
名古屋局に異動してきてからは、窓口対応や在留カードの発行を始
め、日本に働きに来る調理師等の審査や実態調査等を行っており、同
じ入国管理局の仕事とはいえ、昨年度との業務の違いに最初は戸惑う
ことも多くありました。
しかし、
これらは実際に地方局で働いてみなけ
ればできないことばかりであり、日々やりがいを感じながら仕事をし
ています。現場で得られた貴重な経験を将来に生かせることができれ
ばと考えています。
入国管理局に対する期待は、人口減少・少子高齢化社会が進行する
中で高まっており、やりがいを感じられる機会もこれから一層増えて
いくことと思います。
P r of i l e .
採用
Profile.
木下 拓紀
内閣府犯罪被害者等施策推進室主査
平成21年入省・法律
平成21年4月 保護局更生保護振興課
平成22年3月 鳥取保護観察所処遇部門保護観察官
平成23年4月 大臣官房人事課企画第一係
平成24年4月 大臣官房会計課保護予算係
平成25年4月 現職
5年目
和田 壮人
名古屋入国管理局就労審査部門入国審査官
平成24年入省・法律
平成24年4月 法務省入国管理局入国在留課
平成25年4月 現職
平成16年に「犯罪被害者等基本法」が成立し、それまで各省庁ごと
に行われていた犯罪被害者等のための施策は、総合的かつ計画的に
推進されることになりました。その時に、各省庁のとりまとめ役として
内閣府に置かれたのが、私が出向している犯罪被害者等施策推進室
です。法務省でも犯罪被害者等施策を推進しており、連携強化のため、
内閣府へ出向しています。内閣府では、現在、平成23年に閣議決定さ
れた「第2次犯罪被害者等基本計画」に基づき、被害者等施策を推進し
ており、その中で、私は、有識者会議の運営や予算要求、関係省庁との
連絡調整などを行っています。それらの業務は、一見すると地味な仕
事ではありますが、施策を推進する上で必要不可欠なものであり、
こ
の国はこうやって動いているのかと実感することがあります。
2年目
現場感覚を大切に・・・
平成25年4月から不法滞在外国人の審判に関する部署に配属となり、主として退去強制処分の決定を告
知する業務に従事していました。法務省の特徴として、法務本省と地方支分部局の両方で働く機会がありま
すが、実際、本省で自分が企画・立案したものを、その後現場において運用する立場を経験することとなり、
生身の人間が相手の現場では想定外の状況も発生し、もっとこうしておけばよかったなど反省したりしまし
た。
また逆に、現場を経験することで、本省での立案作業において実際の運用の様子を想像することができ
るなど、反省を今後につなげることもできます。私たちの仕事は、人の人生に深く関わる業務であり、現場で
は杓子定規にいかないことが常に起こりえます。現場にいる今、本省では味わえない空気をしっかり吸って、
更に現場感覚を養っていきたいと思います。
P r of i l e .
新田 紗織
東京入国管理局審判部門入国審査官
平成19年入省・法律
平成19年4月 法務省入国管理局警備課
平成22年4月 法務省大臣官房会計課
平成23年10月 法務省入国管理局入国在留課研修審査係長
平成24年4月 法務省入国管理局警備課企画調整係長
平成25年4月 現職
(平成25年10月から育児休暇取得中)
29
7年目
総合職職員として働くということ
18年目
まだまだ裏方ですが。∼内閣府から∼
施設で勤務するということ
私は、重篤な身体疾患や精神疾患を有する受刑者を多数収容して
いる、刑務所と病院の二つの側面を持つ八王子医療刑務所という施設
で刑務官として勤務しています。
これまで施設以外では、法務省本省
や他省庁で、不服審査、職員不祥事の調査、情報公開に関する業務等
を経験してきましたが、現場施設での勤務は、刑事政策の一端である
矯正行政の正に「実践」に関わる部分であり、霞が関での勤務だけでは
決して得られない、生身の人間を相手にした経験を与えてくれます。
総合職試験を志望している方々は中央省庁での勤務をまずイメージし
ているかもしれませんが、施設という「現場」を知ってこそ、本省にお
いても机上の空論ではない地に足の着いた議論や立案ができるよう
になると思いますので、中央省庁に限らない業務を広く経験したいと
いう方に来ていただけることをお待ちしています。
Profile.
正井 潤
八王子医療刑務所処遇部統括矯正処遇官
平成18年入省・法律
平成18年4月 法務省矯正局少年矯正課
平成19年4月 横浜刑務所処遇部
(処遇部門)
主任矯正処遇官
平成21年4月 法務省矯正局総務課矯正監査室
平成23年4月 内閣府情報公開・個人情報保護審査会事務局審査専門職 平成25年4月 現職
櫻庭倫
民事局商事課 補佐官
平成8年入省・法律
一般的なキャリアプラン
民事局
保護局
入国管理局
民事局商事課では、商業・法人登記、動産・債権譲渡登記、供託、電子
認証業務等を扱っており、通達、事務連絡や意見照会の回答等を通じ
て現場の登記所や供託所を支えています。
東京法務局の供託課、法人登記部門では窓口業務を行い、農林水産
省、内閣官房に出向中は、農業協同組合法等の改正、映画の盗撮の防
止に関する法律の企画立案を担当したほか、法務省民事局民事第二
課でも不動産登記法の全部改正を担当しました。法律案の作成作業を
通じて、様々な関係者との調整が必要なこと、条文作成のための技術
を習得する必要があることなど、多くのことを学びました。
本省勤務、現場勤務を交互に繰り返すことによって、幅広い法律知
識、大局的な判断能力などが身に付けられると思います。是非、法務省
を志望していただき、一緒に法務行政に取り組みましょう。
Profile.
8年目
1 年目
これまでの体験について
2 年目
本省
採用局
勤務
矯正局
地方
機関
勤務
3 年目
4 年目
本省採用局
以外の局部
課勤務
本省採用局
以外の
局部課勤務
地方機関勤務
(2 年間)
5 年目→
他府省
出向
本省採用局
以外の
局部課勤務
地方機関
勤務
本省
採用局
勤務
平成 8 年4月 法務省訟務局民事訟務課
平成 9 年4月 東京法務局民事行政部供託第一課供託専門職
平成11年4月 農林水産省経済局農業協同組合課係長
平成13年4月 法務省民事局民事第二課係長
平成17年4月 内閣官房知的財産戦略推進事務局主査
平成20年4月 東京法務局民事行政部第一法人登記部門統括登記官
平成22年4月 法務省民事局総務課補佐官
平成25年4月 現職
経験を積んで
平成18年の入省からこれまで、民事局、人権擁護局等の本省内部部局で勤務したほか、現場機関
である法務局での勤務や他省庁への出向を経験してきました。
複数の異なる部署等での勤務を経て、現在は、大臣官房訟務企画課訟務調査室において、国の利
害に関係のある争訟に関する事項についての企画及び立案に関する事務を担当しています。
全国各地に社会的な耳目を集める様々な国の利害に関係する訴訟が提訴され、その内容も複雑
困難化してきている中、個々の国民の利益と国民全体の利益の調和の実現に向け、訟務制度が果
たすべき役割は今後ますます重要になってくるものと考えられます。
制度の一端を担う責任感とその一端を担える充実感とを感じつつ、業務に取り組む毎日です。
Pr of i l e .
手塚 久美子
大臣官房訟務企画課訟務調査室法規係長
平成18年入省・法律
平成18年4月 法務省人権擁護局人権啓発課
平成19年4月 宇都宮地方法務局登記部門
平成20年4月 法務省民事局民事第一課
平成21年4月 法務省大臣官房行政訟務課
平成22年4月 林野庁出向
平成24年4月 法務省民事局総務課
平成25年4月 現職
30
人間科学区分
キャリアステップ
M i n i s t r y
O f
J u s t i c e
一般的なキャリアステップ
人間科学区分で採用された方は、採用後2∼3年は採用
局の現場機関で勤務し、その後も採用局の現場機関での
勤務を経験しつつ本人の希望や適性などに基づき、おお
むね1∼3年のサイクルで、法務本省や他省庁での勤務、
矯正・保護の人事交流などの経験も積むことができます。
人間科学区分採用職員には、優れた専門性と現場感覚を
生かした政策の企画・立案とが期待されています。
育児休業を取得して
人を支えられる社会を作りたい
現在私は、犯罪予防活動や更生保護施設への支援などを通じて、人
が尊重される明るい社会作りを行っている更生保護女性会の活動を
促進させるため、更生保護女性会会員との連絡調整業務や、会員研修
会の企画業務等を行っています。
更生保護行政は、犯罪や非行をせずとも、その人が地域社会で人と
して尊厳を持って生きていけるように、犯罪や非行をした人と関わる
ことはもちろん、社会に対しても働きかけることができます。
ここにほ
かにはない更生保護の魅力があると思います。犯罪や非行のない地
域社会を作ろうと懸命に努力する人々と一丸となって活動する体験
は、人や地域の持つ、人を支える力の大きさに気付かせてくれますし、
ここで得た視点は、犯罪や非行をしたその人への処遇を行うときも活
かされるものと思っています。
私は、保護局観察課勤務中に産前休暇を取得し、現在、育児休業2年
目に入っています。
仕事を休み、子どもとじっくり向き合う中で、様々な発見がありまし
たが、私が一番新鮮に感じたことは、地域のつながりの大切さでした。
子ども中心の生活になり、行動範囲が狭くなる中で、近所の子育て仲
間の存在は重要なものとなりましたし、地域の行事に子どもと参加す
ることも多くなりました。
また、子育てにおいて疑問が生じたり、仲間
を探したりする際に、子育て支援センターなどが役に立ち、行政サー
ビスが、必要なときにいつでも安心してアクセスできるものであるこ
との重要性を実感することができました。
職場復帰後は、
こうした経験を、犯罪や非行をした人々について理
解を深め、行政サービスがどうあるべきかを考える際に、少しでも役
立てることができればと思っています。
Profile.
藤井 景子
関東地方更生保護委員会
平成16年入省・人間科学Ⅰ
平成16年4月 前橋保護観察所更生保護振興課
平成19年4月 内閣府犯罪被害者等施策推進室
平成21年4月 愛光女子学園教育部門
平成23年4月 保護局観察課
平成24年4月 現職
(平成25年5月から育児休業取得中)
P r of i l e .
佐藤 未央
函館保護観察所企画調整課保護観察官
平成24年入省・人間科学Ⅰ
平成24年 4月 函館保護観察所処遇部門
平成24年10月 函館保護観察所処遇部門保護観察官
平成25年 4月 現職
採用
8年目
2年目
適正な医療を提供するために
私は法務教官として採用され、現在は東京矯正管区において医療に関する業務に携わっています。
「法務省な
のに医療?」
と疑問に思う方も多いかもしれません。
しかし、私たちが健康でなければ仕事も趣味もままならない
ことと同様に、被収容者が作業をしたり内省を深めたりするためには、心身の健康が大前提となります。
つまり、矯
正処遇を行う上での基盤となる医療体制を維持・強化することが現在の業務です。矯正施設という特殊な環境下
で適正な医療を提供するには、医師の確保や医療機器の整備等、多くの点で非常に困難を伴いますが、様々な方
に支えていただきながら、日々業務を遂行しています。
いろいろな考えを持つ方々と関わりあい、刺激的な毎日を
送ることができるという点も、法務省職員の魅力の一つだと感じています。
P r of i l e .
臼杵 美紀
東京矯正管区第一部矯正医療調整官付
平成18年入省・人間科学Ⅱ
平成18年4月 愛光女子学園
平成20年4月 法務総合研究所国際研修事務部門国際研修専門官
平成24年4月 関東医療少年院庶務課長補佐
平成25年4月 現職
31
10年目
総合職職員として働くということ
36年目
教育の限界と可能性
私は現在、
少年院の教育処遇の責任者を務めています。
チー
ム全員で一つの目標を見据え、
個々の少年が抱える問題や言動
の理由を見立てこれに手当てすることが、
処遇チームを束ねる
管理職としての仕事です。
政策立案と処遇現場が近くて行政官
としての勤務に就くこともあるなど、総合職の魅力は様々あり
ますが、私は、教育の限界と可能性を感じながら見立てと手当
てを繰り返す今の仕事が大好きです。
司法関連の対人援助職である家庭裁判所調査官や保護観
察官等との間で進路を迷っていらっしゃる方もあるでしょう
が、少年院法改正が現実のものとなりつつあるこの時期、有為
の皆さんに法務教官を志望していただけたら心強く嬉しいで
す。お待ちしています。
Profile.
藤田 知美
青葉女子学園首席専門官
平成9年入省・教育
平成 9 年4月 愛光女子学園
平成11年4月 総理府男女共同参画室
平成17年4月 榛名女子学園庶務課長
平成18年4月 法務省大臣官房人事課企画第三係長
平成21年4月 法務省矯正研修所教官
平成24年4月 現職
17年目
いつもチャレンジ
26年目
地方更生保護委員会の仕事は2つ。適正な仮釈放を行うこと
と管内保護観察所が適切に運営されるよう監督することです。
35年前、大学で学んだ社会学や心理学を実地で活かせるのは
法務省しかないと確信して入省。当時は水と安全はタダといわ
れる時代でしたが、社会構造の変貌とともに安全と安心の確保
が第一に求められるようになりました。この間、現場の第一線
で、
ときにはひねくれた非行少年相手に格闘し、住居のない高齢
者と共に相談機関を梯子したことも。本省では、保護司や更生保
護施設が安んじて活動できる予算を確保しようと、財務当局相
手に頭を振り絞りました。心神喪失等の状態で重大な他害行為
をした人の社会復帰を支援するいわゆる医療観察法の創設に
関わったことは大きな試練でした。今、
これまでの経験を総動員
して、国民の安全に寄与する仮釈放の実現に取り組んでいます。
法務省の仕事は終わることのないチャレンジです。
Profile.
蛯原 正敏
中国地方更生保護委員会委員長
昭和53年入省・社会
平成15年7月 保護局総務課精神保健観察企画官
平成18年4月 さいたま保護観察所長
平成19年4月 関東地方更生保護委員会事務局長
平成20年4月 保護局観察課長
平成23年4月 保護局総務課長
平成25年4月 現職
少年鑑別所の社会的役割 ∼個人の力と組織の力∼
少年鑑別所長の仕事は、施設全体の管理・運営です。施設運営の基本方針を示し、種々
の意思決定をすることはもとより、施設の隅々に目を向け、常に組織全体が最適な状態
にあるよう気を配ることが大切であると感じています。
ところで、私たちは心理の専門職として採用されるものであり、個々の専門性の維持・
向上に努めることはとても重要です。所長という立場においても、そうした芯の部分の
充実がなければ、役割を全うすることはできません。他方、職員が一人でできることは限
られています。個人の力を基盤としつつ、職員全員が協調して物事に取り組み、組織全体
を有効に機能させることこそ、少年鑑別所が社会的役割を果たす上で何より重要なこと
であると考えています。
また、所長として、そのような組織作りに意を用いなければなら
ないと思っています。
Pr of i l e.
古橋 徹也
旭川少年鑑別所長
昭和63年入省・心理
平成14年4月 矯正局医療分類課法務専門官
平成19年4月 福岡矯正管区医療分類課長
平成22年4月 盛岡少年鑑別所長
平成24年4月 現職
32
工学区分
キャリアステップ
M i n i s t r y
O f
J u s t i c e
一般的なキャリアステップ
工学区分で採用された方は、採用後1∼4年目までは大
臣官房施設課の設計部門で勤務し、5年目以降は、希望や適
性などに応じて、企画・計画部門(施設設計官)での勤務や
他府省庁での勤務を経験します。そのような中で、専門性と
他機関との調整能力などを培い、行政機能と一体化した建
築を行う法務行政建築家を養成します。
より機能的・効率的な施設整備を目指して
施設整備担当職員に求められる素養
これまで、設計部門において施設の計画・設計、技術企画室において
入札・契約制度に係る事務、企画担当係において施設企画業務などを
担当してきた経験から、施設整備を担当する職員に求められる素養
は、
「やる気」
と
「根気」、そして「ひらめき」だと考えます。度々直面する
困難な局面にも凹まない「やる気」は、プロジェクトに着手して軌道に
乗せるための初期段階で特に重要です。
スタートからゴールまでが長
期に及ぶことの多い施設整備においては、
いかなる状況においても地
道に計画を前に進める「根気」も絶対に必要です。
また、技術者の宿命
として、新しいことに取り組み、採り入れる姿勢が不可欠ですが、それ
を支えるのは「ひらめき」です。
ここで問題なのはその比率で、個人的
には、40%の「やる気」、40%の「根気」、20%の「ひらめき」が最適な
内訳だとにらんでいます。総合職とはいえ、いわゆる天才肌ではなく、
どちらかというと努力型の資質が必要とされていると感じます。
大学では母校の附属病院を卒業設計にしたのですが,複雑な機能
の建物ほど、建築の基本である「明快なゾーニング、動線の分離と短
縮、適正な規模を忠実に実現することで、使いやすく無駄のない美し
い建物になる。」
と学び、刑務所等は総合病院に近く面白そうだと思っ
たため法務省に入省しました。
入省後は、法務省において刑務所、少年院、拘置所等の計画や設計、
建設省に出向して地方合同庁舎、高等検察庁に出向して管内の所管施
設の計画や設計に携わりました。セキュリティを非常に重視する法務
省の施設と外来窓口を重視する地方合同庁舎、そしてその相反する機
能を融合させないといけない検察庁の施設をいろいろな角度(使う側
等)から見ることや比較することが出来たので、非常に多くの必要な
機能や効果を業務を通じて学んできました。
現在、法改正、予算の抑制・透明性や効率性の確保、職員の削減など
多くの難しい制約を受け、
より機能的、効率的な施設整備が必要とさ
れており、機能性や効率性について一緒に学び実践してくれる方の入
省をお待ちしています。
Profile.
坂本 格太郎
大臣官房施設課上席施設企画官
昭和61年入省・建築
昭和62年4月 法務省大臣官房営繕課(現大臣官房施設課)
平成 8 年4月 建設省(現国土交通省)大臣官房官庁営繕部営繕計画課係長
平成25年4月 現職
平成11年4月 法務省大臣官房施設課施設設計官
平成17年4月 大阪高等検察庁事務局専門職
平成20年4月 法務省大臣官房施設課施設企画官
平成25年4月 現職
28年目
Profile.
石綱 恒
大臣官房施設課施設企画官
平成6年入省・建築
平成 6 年4月 法務大臣官房営繕課
(現大臣官房施設課)
平成18年4月 法務省大臣官房施設課官署施設企画係長
平成25年4月 現職
平成21年4月 名古屋高等検察庁事務局会計課国有財産係長
平成25年4月 現職
採用
20年目
1年目
1年目の職務を通じて学んだこと
大臣官房施設課にて、建築専門の技官として、法務省所管の矯正施設等の設計を担当しています。入省から約半
年間、施設課で働いて感じたことは、今まで学んできた建築に関する専門知識を十分に活かせる職場だということ
です。施設の設計を進めていくためには、現地庁等、施設運営側からの様々な意見をとりまとめ、図面と建物に反映
させなければなりません。さらに、施設の新営に対しては、現地庁からの期待も大きく、技官として、常に高い技術
力を持つことが重要であると感じました。
また、矯正施設の設計には、その特殊性から、施設の現状や、日本の刑事
司法制度に至るまで、多くのことを理解しなければなりません。
まだわからないことも多いのですが、誰もが納得
できる施設が実現できるよう、日々、業務に取り組んでいます。
Profile.
小山 幸洋
大臣官房施設課法務技官
平成25年入省・工学(建築)
33
海外勤務
M i n i s t r y
O f
J u s t i c e
カウンターパートとの信頼関係
大使館においては、法務省出身者として査証審査業務に従事するとともに、法務省からの派遣職員として、
韓国の出入国管理制度に関する調査及び韓国法務部との連絡・調整等を行っています。韓国は、近年、新たな
出入国管理政策・制度を積極的に導入しているので、日本の出入国管理政策等を検討する際の参考として、韓
国の政策等を調査し、日本に報告することが重要な業務となっています。
また、人の往来の活発な日韓間にお
いては、円滑かつ適正な出入国管理を行うために日韓出入国管理当局が緊密に連携する必要があり、そのた
めに韓国法務部との連絡・調整等を行うことも重要な業務の一つです。
法務省からの派遣職員としての業務を行う際には、韓国法務部のカウンターパートと調整等を行うことに
なります。
このときに大切なことは、
カウンターパートとの信頼関係です。信頼関係が構築されていれば、誤解
を未然に防ぎ、円滑に調整等を進めることができます。特に、言葉や考え方の異なる外国において業務を円滑
に進めていくためにはカウンターパートとのより強い信頼関係の構築が必要だと感じています。
日韓出入国管理当局間の協力の重要性が高まる中、今後も、
カウンターパートとの信頼関係を大切にして、
自分に課された任務を遂行していきたいと考えています。
P ro f ile .
木村 俊生 外務省在大韓民国日本国大使館一等書記官兼領事 平成8年入省・経済
平成15年4月 法務省入国管理局総務課計画係長
平成16年4月 法務省入国管理局総務課法規係長
平成19年4月 警察庁刑事局組織犯罪対策部企画分析課課長補佐
平成21年4月 名古屋入国管理局就労審査部門統括審査官
平成23年3月 現職
摩天楼を見上げて
グランドセントラル駅から徒歩5分。在ニューヨーク総領事館はパークアベニュー沿いのビルの18階と19
階にあります。私の所属する領事部の窓口は旅券申請や各種届出に来る在留邦人、査証申請に来る外国人で
いつも賑やかです。法務省(入国管理局)出身の私は主に査証、訴訟関連文書の送達、日系コミュニティの支援
を担当しています。
日々の査証業務では米国が移民国家であり、当地が世界経済の中心であること、そして日米間のダイナミッ
クな人的交流を実感します。世界中から集まった企業関係者、学生、研究者、エンターテイナー、国連職員、外
交官等多種多様な人々が訪日を希望するので、当館は北米一の業務量、100か国を超える国籍を取り扱いま
す。米国や管轄州の諸制度を勉強しながら、我が国の利益と安全の維持を意識して、山積みの申請書類と格闘
しています。
また、
約10万人とされる、
管轄州内の在留邦人の支援も当館の重要な業務です。
日常的な相談に加えて、
国際
的な子の連れ去り問題をめぐってハーグ条約の締結が国会で承認された際には、
日系コミュニティと連携して、
国際結婚に関するシンポジウムを開催するなど在留邦人への各種情報発信にも積極的に取り組んでいます。
海外での勤務は、法務省での勤務で得た経験を様々な場面で生かすことができるほか、グローバルな視点
で国内の諸制度に向き合い、世界に通用する政策立案能力を身に付けるのにとても良い機会だと思います。
このような多様なチャレンジの機会があることも法務省の魅力の一つです。
Profile.
菱田 泰弘 外務省在ニューヨーク日本国総領事館領事 平成10年入省・行政
平成19年4月 内閣官房副長官補(安全保障・危機管理担当)付参事官補佐
平成21年4月 法務省入国管理局在留管理制度PT翻訳官
平成22年4月 法務省大臣官房秘書課国際室法務専門官
平成24年4月 大阪入国管理局審査管理部門統括審査官
平成25年3月 現職
私は平成22年6月末から約2年間、人事院の長期在外研究制度を利用し、米国のミシガン大学フォードス
クールで、移民政策の研究を中心に、政策分析の手法や行政マネジメントについて学びました。米国は移民国
家として発展してきた歴史から、移民政策に係る研究が豊富で、官民における議論も非常に盛んです。学生時
代からこの問題に関心があり、出入国管理・難民政策をライフワークにしたいと考えてきた私にとって、米国
で研究を行い、政策に関する議論のダイナミズムに触れることは長年の夢でした。そして、当時の上司に力強
く励ましていただいたこともあり、私の愛読書の著者である移民政策研究者が在籍するフォードスクールに入
学することができました。
同スクールでは、計量経済学を用いての政策分析手法等を学ぶととともに、恩師となる移民政策研究者に
マンツーマンで指導していただき、移民受入れのコスト・ベネフィット評価、社会統合政策、外国人流入が社会
秩序に与える影響等、政策上のホット・イシューについて深く掘り下げることができました。さらに、米国のみ
ならず世界各国から集まってきた、多様なバックグラウンドを持つ仲間たちと家族ぐるみの濃密なコミュニ
ティを形成することで、互いの価値観や生活様式等について学び合うことができました。
これは、私のテーマで
ある社会の多様性と統一性について実地で学ぶ絶好の機会となりました。
帰国して早1年半が経ちましたが、業務で課題に直面するたび、留学時代のテキストをひもとき、壁を乗り越え
るヒントを求めています。
「移民の国」
で学んだことを我が国の将来のためにどう活用するか。模索の日々は続いています。
P ro f ile .
山口 優樹 入国管理局審判課上陸審判係長 平成18年入省・経済
平成18年4月 法務省入国管理局総務課
平成21年4月 法務省刑事局国際課
平成22年6月 長期在外研究
平成24年5月 法務省入国管理局審判課審判企画係長
平成25年4月 現職
34
法務省を志望するみなさんへ
採 用 Q & A
Q
法務省では法律の知識が重視されるのですか?
A
法務行政には、学生時代に学んだ内容だけでは対応できない事柄も多く、入省前に有している
知識よりも、入省後に得る知識や経験の方がより重要になります。
また、職員の最終学歴は大
学、大学院、法科大学院と様々です。出身学部については、法学部出身者は多いですが、文学部、
教育学部、工学部、人間科学部、経済学部、商学部、外国語学部等、様々な学部出身者が多数在籍
しています。
Q
仕事や研究で海外に行く機会はありますか?
A
人事院の行政官長期在外研究(2年)や行政官短期在外研究(1年又は6月)等を利用して、留学
又は国際機関等での研究を行うことができます。
また、一等書記官や領事として在外公館で勤
務する機会や国際会議への出席等で海外出張する機会もあります。
Q
法務省では、仕事と育児の両立は可能でしょうか?
A
法務省では、
「スマイル子育て応援プランⅡ」等に基づき、育児休業等を取得しやすい勤務環境
の整備や男性職員の休暇取得の促進等に取り組み、男女ともに仕事と育児の両立が可能とな
るよう努めています。
育児休業はもちろん、育児短時間勤務や早出遅出勤務を活用することにより、仕事と育児を両
立している職員も多くいます。
Q
どのような研修制度があるのですか。
A
入省後まもなく法務省初任行政研修を実施します。
この研修では、省内各局の政策について学
び、研修員同士で討議することを通じて、法務省の組織と所掌事務についての基礎知識を習得
するとともに、法務省職員としての使命感と一体感を培うことを目的としています。そのほか、
各局が独自に行う高等科研修や語学研修、法務総合研究所において実施する研修、人事院主催
の初任行政研修等様々な研修に参加する機会があります。
Q
何時ぐらいに帰れますか?
A
各自の業務の進捗状況等によっては、残業することもあります。
しかし、毎週水曜日の全省庁一
斉定時退庁日や毎月19日の育児の日には、省内放送により定時退庁の励行を呼びかける等、
超過勤務時間縮減に積極的に取り組んでいます。
35
人事課長メッセージ
人による人の行政を目指して
大臣官房人事課長 小山 太士
法務省は、
「人の役所」
と呼ばれることがあります。
それは、法務省では人々が安心して取引するために必要な登記制度などの運用、人権擁護活
動、罪を犯した者の処罰とその社会復帰の援助、再犯防止に対する取組及び外国人の在留管理
等を通じて、日本の基盤を支え、人々が安心・安全に暮らせる社会の実現を目指し、5万2千人を
超える法務省の職員が、法務行政を実現するために日々汗を流しているからです。
そのため法務省では、相手の立場に立って、相手が求めることを把握し、必要としていること
に迅速に対応するため、
コミュニケーション能力の高い人材を必要としています。
また、少子高齢社会の進展、市場の拡大・グローバル化、犯罪の複雑化など刻々と変化する社
会情勢の中にあっては、国民からのニーズも日々変化していきます。そのような行政需要の変
化に迅速に対応するためには、環境の変化を的確に捉え、その中で自分が何をすべきかを考
え、行動に移すことができる能力も必要です。
「人のために働きたい」
そんな高い志を持った皆さん、是非法務省に足を運んでみてください。
「人による人のための
行政」を一緒に実現し、人々が安心して暮らせる社会をともに築いていきましょう。
36
問い合わせ先: 東京都千代田区霞が関 1-1-1
法務省大臣官房人事課企画第三係
03-3580-4111(代表)
法 務 省 H P : http://www.moj.go.jp
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