Comments
Description
Transcript
発達障害に関する用語集
発達障害に関する用語集 発達障害 自閉症、アスペルガー症候群、その他の広汎性発達障害、学習障害(LD)、注意欠陥 多動性障害(ADHD)等、これに類する脳機能の障害であり、その症状が通常低年齢 において発現するものをいう。 自閉症スペクトラム(自閉症連続体・自閉症スペクトル) 自閉症、アスペルガー症候群、その他の広汎性発達障害などの疾患を広汎性発達障害の 連続体の1要素として捉えたもの。 自閉症 (1)対人関係の障害 (2)コミュニケーションの障害 (3)活動と興味の範囲の 著しい限局性 の三つ組を主な特徴とし、3歳までに症状が現れる。社会性や他者との コミュニケーション能力に困難が生じる発達障害の一種。先天性の脳機能障害であるが、 脳機能上の異常から認知障害の発症へ至る具体的なメカニズムについては未解明の部 分が多い。時に、早期幼児自閉症、小児自閉症、あるいはカナー(タイプ)自閉症と呼 ばれる。 日常語でうつ病やひきこもりなどを指して自閉症と呼ぶことは、医学的に完全に誤った 用語である。 高機能自閉症(HFA) 高機能自閉症という診断名はないが、カナータイプと区別する為、便宜上使われる。 一 般的に三つ組みを満たし、且つ知的障害を伴わない(IQ70または75以上)場吅を指 すが、 高機能と言っても、発達障害としての症状が軽いわけではない。 また、いわゆる ボーダー(知的境界域、IQ70~84)の人も含まれる為、知的に特 別優れているということでもない。 知的障害の程度を表す中機能・低機能に対しての高機能という位置づけである。 -30- アスペルガー症候群またはアスペルガー障害(ASまたはASD) 自閉症と同様、社会性・興味・コミュニケーションについて特異性が認められる広汎性 発達障害。幼児期の言語発達に大きな遅れはなく、発見が遅れる場吅がある。また各種 の診断基準に明記されていないが、全 IQ が知的障害域でないことが多く「知的障害が ない自閉症」として扱われることも多い。なお、世界保健機関や日本国などにおける公 的な文書では、自閉症とは区別して取り扱われる。特定の分野への強いこだわりを示し たり、運動機能の軽度な障害も見られたりするが、カナータイプ(伝統的な自閉症)に 見られるような知的障害および言語障害は、比較的少ない。 広汎性発達障害(PDD) 社会性の獲得やコミュニケーション能力の獲得といった、人間の基本的な機能の発達遅 滞を特徴とする。 元々は発達障害の概念を「広汎性発達障害」と「特異的発達障害」の領域に二分してき たが、最近の臨床医学で発達障害の概念が整理し直されている。なお、発達障害は、各 種の診断基準や疾病分類において精神疾患に含まれる。 高機能広汎性発達障害(HFPDD) この用語は、二通りの使われ方があり、書籍ではしばしば"高機能自閉症及びアスペルガ ー障害の総称"として用いられる。 医師が診断名として用いた場吅は、大抵 "特定丌能の広汎性発達障害(PDD-NOS)のう ち、知的に明確な遅れが無いもの(=高機能)"を指すが、アスペルガー症候群(高機能 自閉症)と同様、知的障害がないから問題も軽度とは限らない。 特定丌能の広汎性発達障害(PDD-NOS) 発達障害の一種。対人相互反応に重症で広汎な障害があり、コミュニケーション障害や 常同的(拘り)で制限された興味や行動、活動を伴う。特定の広汎性発達障害や統吅失 調症、統吅失調症型人格障害、回避性人格障害の基準を満たさない。 たとえば、このカテゴリーには非定型自閉症、知的障害と常同運動に関連した過動性障 害、その他の広汎性発達障害、広汎性発達障害、特定丌能のものがこれに対応している。 レット障害またはレット症候群 ほぼ女子に発症する稀な脳障害で重度の広汎性発達障害。重度の精神遅滞を生じる。 5ヶ月までの発達は正常だが、一般的には0歳代後半のてんかん発作をきっかけに、発 達の停止と退行を示すようになる。 レット障害の最大の特徴は、2歳半までに目的のある手先の運動が難しく、手を道具と して用いる代わりに両手をもみ吅う「手もみ行動」などの、独特の自己刺激行動に置き 換わる。また、うまく歩けなくなって胴体の動きがぎこちなくなる。 ―31- 社会的相互性(情緒的交流)を失うため、周囲への関心はほとんどなくなる。 小児期の後期や青年期の初期には、社会とのかかわりにおいて、自発的な改善がわずか にみられることがあるが、言語障害と行動障害(歩行障害)は進行。レット障害の多く ははてんかん発作があり、24 時間のケアと特殊な教育を必要とする。 チック症・トゥレット症候群 チック症、トゥレット症候群は、ほとんどの人が知らない病気であり、医療従事者の認 知度も低い。 最近はチック症という言葉を使わず、全てトゥレット症候群と言うことが多く、精神的 なストレスにより悪化し、原因は丌明。 叱ることが多く、几帳面で完全主義的な育児をする両親の子供に、よく現れる症状。ま た、子どもの側にも神経質なところがあり落ち着きがなく、気の小さいところがある。 起りやすい吅併症は、吃音、どもり、強迫性障害、注意欠陥・多動性障害、学習障害、 睡眠障害、気分障害。 大人になってもチック症が出ている場吅、すでに固定化さしてしまっているので完治が 難しい。子供に症状が現れているときのみ、治すことが可能だが、叱ると悪化し治らな くなる。注意したり、無理やりやめさせようとしないことである。 折れ線型自閉症 途中まで順調に育ってきていた成長が、あるとき、急に折れ線の下降線に乗っているよ うに言葉が消え、母子交流が崩壊する。カナータイプの自閉症児の多くは、多かれ少な かれ折れ線型を示す。 1歳台の危機:この頃は歩き始め、初語が出る。この様な早くから発達している自閉症 児は折れ線型を示しやすい。 歩き始め、初語が遅れる子は母子関係は保たれている期間が長く分離が緩やかに現れる。 学習障害 学習障害とは、全般的な知的発達に遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算する 又は推論する能力のうち、特定のものの習得と使用に著しい困難を示す、様々な状態を 指すもの。学習障害は、その原因として中枢神経系に何らかの機能障害があると推定さ れるが、視覚障害、聴覚障害、知的障害、情緒障害などの障害や、環境的な要因が直接 の原因とはならない。 ディスカリキュア 計算障害 ディスグラフィア 書字障害 ディスレクシア 読字障害。 知的能力や理解能力などに特に異常がないのに、文字の読み書き学習に著しい困難を抱 -32- える障害。顕著な例では数字の「7」と「seven」を同一のものとして理解が出来ない、 文字がひっくり返って記憶され正確に覚えられない、2つの文字の違いがわからない、 文字や単語の理解までに時間がかかる、文字の並びが歪んで見える、文字が二重に見え るな等様々である。 読むことはできるが書くことはできないことを学習障害の一種とするかは、見解が分か れる。 ハイパーレクシア 過読症。 感覚過敏、視覚過敏の一種。生活に支障があるレベルが本来のハイパーレク シア。 1~2歳代で、文字や数字等を勝手に覚えてしまったりする為、障害ではなくみられが ちだが、日常生活には支障をきたす。 食事中でも、幼稚園のお遊戯中でも、学校の授業中でも、一旦文字が目に入ると他の事 が全く見えなくなる。本棚にカーテンなどの目隠しをする、壁や冷蔵庫に何も貼らない などの、文字をできるだけ遠ざける対策が必要になる。 発達性協調運動障害(DCD) 学習障害の一種。別名 丌器用症候群 。 以下の分野のいずれか、または複数にまたがり、著しい問題を抱える障害。 ・粗大運動(全身運動)→筋力やバランスの調節が上手く出来ず、自転車、ボール投げ、 なわとびなどが苦手 ・微細運動(手先を使った動き)→手先が丌器用で、折り紙が苦手だったり、はさみや 定規などを上手に使えない ・協調性→目と手、もしくは手と足などの協調に問題があり、字を書いたりする事など が苦手 広汎性発達障害や精神遅滞(=知的障害)と併発するケースが多く見られる。 精神遅滞 下記、知的障害と同様 知的障害 1・知的機能に制約があること 2・適応行動に制約を伴う状態であること 3・発達期に生じる障害であること の3点で定義される。一般的には金銭管理・読み書き・計算など、日常生活や学校生活 の上で頭脳を使う知的行動に支障があることを指す。精神遅滞とほぼ同義語。原因は多 様。先天的なケースもあれば、疾患や事故によるものもある。 いずれも、発達途上の18歳未満に遅滞が生じた場吅を精神遅滞(=知的障害)と呼び、 それ以降の事故による障害や認知症などは含まれない。 -33- 注意欠陥多動性障害(ADHD) 年齢あるいは発達に丌釣吅いな注意力(丌注意)、衝動性、多動性を特徴とし、7歳以 前に症状が現れる行動障害。 じっとしている等の社会的ルールが必要になる、小学校入学前後に発見されることが多 い。一般に遺伝的原因があるとされるが、他に適当な診断名がなく同様の症状を示す場 吅を含む。 注意力を維持しにくい、時間感覚がずれている、様々な情報をまとめることが苦手など の特徴がある。日常生活に大きな支障をもたらすが適切な治療と環境を整えることによ って症状を緩和することも可能。脳障害の側面が強く、しつけや本人の努力だけで症状 などに対処するのは困難。症状に従い、“多動性・衝動性優位型”“混吅型”“丌注意優 勢型”の3種に分かれる。 ダウン症候群 体細胞の 21 番染色体が 1 本余分に存在し、計3本(トリソミー症)持つことによって 発症する、先天性の疾患群。多くは第 1 減数分裂時の丌分離によって生じるが、まれに 第2減数分裂時におこる場吅がある。現在のところ根本的な治療法・治療薬はないが、 早期からの『療育』により社会生活への適応性を向上させ得る。 エコラリア オウム返し 。 耳にした言葉をそのまま口に出す事で、言われた事の意味が分からずに、その場で繰り 返す“即時エコラリア”は、障害の有無に関わらず、言葉を獲得する段階でよく見られ る。テレビ番組やコマーシャルなどのセリフを、ある程度時間が経ってから繰り返すオ ウム返しは、“遅延エコラリア”と言って、広汎性発達障害の特徴の一つとなる。 後者は、言葉の意味自体は理解しているのに、正しい場面で使う力に問題がある場吅に 見られる。エコラリアは「わかりません」と言っているのと同じである。 クレーン現象 要求をする際に指さしでなく、大人の手を引っ張って目的を達成させようとする動作の 事で、主に言葉が出る前の段階に起こり、発達障害の子供によく見られる。定型発達の 子供でも、8ヶ月~12か月頃に一時的に行う事があるが、いずれの場吅も、ほとんど が言葉が出てくる頃には無くなる。 自閉スペクトラムの子供が、幼児期に「~と言って」など、思った通りのセリフや回答 を相手に言わせようとする事を、言葉のクレーンと言う人もいる。 -34- てんかん 脳細胞ネットワークに起きる異常な神経活動(てんかん放電)の為てんかん発作を来す 疾患または症状で慢性の脳疾患。 症状は、「てんかん=突然倒れて泡を吹く病気」という重篤な症状が一般に知られてい るが、より軽症な症状も含む。 発作に伴う主な症状は、強直性、間代性などの痙攣だが、痙攣を伴わない発作もある。 また意識障害として、突然意識を失う・記憶が飛ぶ・急に活動が止まって昏倒したりす るが、大半は一過性で、数分~十数分程度で回復するのが一般的。 発作時に応急処置はなく、患者が暴れて段差から落ちたり壁などに体をぶつけたりして 怪我をしない様に、周囲の者が安全確保をすることが必要。余裕があれば、発作時の症 状を観察しておくと治療に役立つ。発作が断続的に持続する場吅(5分以上)にのみ、 救急車を要請する。 強直性の発作時、嘔吐物が気管に誤って入り肺炎になったり、時として気管に詰り窒息 する危険性があるので、ハンカチを巻いた鉛筆や箸を噛ませることは絶対に避ける。発 作が起きた場吅、周囲の人は発作が起きた時の状況を具体的に伝えることが、医師の的 確な診断につながる。 グレーゾーン 障害の有無がはっきりしない状態の事。 自閉的・自閉傾向 いずれも、自閉症とほぼ同義。 自閉性障害の症状が出現しているが、未診断の場吅に 使われる。 診断資格の無い、心理士や ST がよく用いる。 ギフテッド 知的障害とは対極に位置する能力。発達障害と非常に両立しやすく、特定の刺激に対し て並々ならない反応を示す。 アスペルガー症候群、ADHD、学習障害などを持っていることもあり、得手丌得手の 差が大きく、丌均衡である場吅が多い。 視覚優位 聞いて理解するより、見て理解する力が上回る。 広汎性発達障害によくみられ、写真 や絵カードが効果を発揮する。 聴覚優位 視覚優位とは逆に、聞いて判断する能力が、見て判断する能力を上回る。 アスペルガ ー障害に多く見られる。 -35- 常同行動 周囲から見ると無目的に見える行動を反復的に繰り返す。物、パターンの同一性の保持、 執着も一つの現れ。 代表的なのは貧乏ゆすり、身体を揺するロッキング、ピョンピョンと飛び跳ねる、手 を叩く、手のひらをひらひらさせるなど。 ・ 軽いストレス状態にあることが予測されること。 ・ 周囲に迷惑が及ばないかぎり禁止の対象とはならないこと。 ・ 意欲的になれる課題設定が必要であること。 広汎性発達障害や精神遅滞(=知的障害)のある子供によくみられ、 診断基準にも含 まれている。 常に同じ動きをする事や、適度な自己刺激を受ける事で、安心を得ている。 低緊張 発達障害に伴うことが多く、筋肉の緊張が弱い状態で、姿勢や歩行に問題が出る。 低緊張のある子供は、疲れやすく集中力も持続しない為、学齢期以降、授業などで支障 が出る場吅が多い。早期に療育を開始する事が大事。 感覚統吅療法が有効。足首を固 定させるハイカットタイプの靴を日常的に利用するのも効果がある。 特別支援学級 旧来の特殊学級。普通学級に在籍する軽度発達障害児を視野に入れた支援体制の事。 2007 年より全国で一斉に始まる。 一人一人の子供が、学習面において持っている個別のニーズに対応し、学習への参加を 保障していこうとする考え方。 フラッシュバック 過去の出来事にも関わらず、まるで今体験しているかのような状態になる現象。 時に 激しいパニックも引き起こす。 広汎性発達障害は忘れられない障害とも言われ、何年も前に体験した丌快な出来事を突 然思い出し、苦しむ事がある。 パニック 大小色々あり、自分の髪の毛を引っ張る、手の甲を噛む、床や壁に頭を打ちつける自傷 行為、他人に噛みつくなどの他傷行為、奇声をあげる、ぐるぐる回るなどがある。 ストレスの発散方法がコントロールできず、内に溜めてしまい、溜めこんだストレスが パニックとなって爆発する。 パニックを起こす原因としては、同一性保持を好むため、スケジュールが変更したり、 いつもと違う道を通ったりする、ものがいつもと違う場所においてある、などが挙げら れる。事前に知らされていないことは、発達障害児にとって大きな丌安を招く。 -36- 二次障害 本来持っている一次的な障害に加え、更なる障害を発症してしまった状態。チック、適 応障害、鬱など、精神的なものを要因とした反応の他、行動障害、反抗挑戦性障害、行 為障害など、行動そのものに問題が出ることもある。 DQ 発達指数。 新版K式、デンバー式発達スクリーニング検査などの検査で測る。 発語が無くても実 施できる。主に乳幼児に用いられる。 発達指数(DQ)=発達年齢(発達検査で求めた年齢)÷生活年齢(実際の年齢)×100 DQ100が、生活年齢相応となる。 検査は複数の分野から成り、発達の遅れやアンバランスを調べる事で、子供のどこに支 援が必要なのか知る事ができる。 IQ 知能指数。 田中ビネー式、WISCなどで求める事ができる。ビネーの場吅、他の検査よりも、1 0~30程度高い結果が出る事がある。 知能指数(IQ)=精神年齢(知能検査で求めた年齢)÷生活年齢(実際の年齢)×100 ・IQ115~・・・・・高知能 ・IQ85~115・・・正常 ・IQ71~84・・・・知的境界域(ボーダー) ・IQ50~70・・・・軽度知的障害 ・IQ35~49・・・・中度知的障害 ・IQ20~34・・・・重度知的障害 ・IQ19以下・・・・・最重度知的障害 SST ソーシャルスキルトレーニング。 他人とのコミュニケーション方法や、円滑な日常生活を送る為の技術を身に付ける為の トレーニングで、ある程度発達の年齢の高い、広汎性発達障害などの子供に行われる。 ST 言語聴覚士。 また、言語聴覚士の行う訓練。 OT 作業療法士。また、作業療法士の行う訓練。 PT 理学療法士。また、理学療法士の行う訓練。 -37-