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全文PDF - 精神神経学雑誌オンラインジャーナル

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全文PDF - 精神神経学雑誌オンラインジャーナル
総
精神 神経学雑誌 節 1
0
9巻 第 3号 (
2
0
0
7
)1
9
9
2
1
4頁
説
脳外傷の高次脳機能障害 (
神経心理学的障害)
- 精神科的問題がみ られた症例 をもとに先 崎 章
Aki
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aSe
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aki:Ne
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be
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昨今 日本 で話題 にな ってい る高次脳 横能 障害 とは,欧米 で は神 経行 動 障害 (
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b
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,神経心理学的障害 (
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)に該当す るものである.脳外傷
d
i
s
a
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l
i
t
y
)
後の症状の特徴 は,蝶形損傷 と, びまん性軸索損傷に由来する.脳外傷後の永続的な高次脳機能障害
の様相 は様々である.本稿 では, (
1
)全般性 の注意障告, (
2) 記憶障害, (
3-a)注意転換 の障害 や
高次の保続, (
3b)遂行機能障吉, (
4)発動性 の低下,行動 の開始 の困難, (
5
)情 動 の障雷 , (
6)
自分の行動の帰結 を認知で きず自己の行動 を修正できない障害,が 目立つ症例 を提示 し,各種神経心
理障害の様相,経過 と精神科的問題 について概説 した.脳外傷 による認知や行動の障害 には,診断,
治療,社会復帰の全額域 にわたって様々な問題が山積 してお り,精神科医に求 められ るものは大 きい.
<索引用語 :高次脳機能障害,神経行動W.
害,神経心理学的障害,脳外傷,びまん性軸索I
L
1傷>
【
昨今話題 になっている高次脳機能障害 とは】
力の低下 な どの神経心理学的障害や,前頭葉∼辺
昨今 日本で話題 になっている高次脳機能障害 と
縁系損傷 による情動障害,行動障害 を もちなが ら,
は,脳外傷や脳血管障害,低酸素脳症 などの脳損
残 りの長 い人生 をす ごさざるをえない者が増加 し
傷 に由来する記憶障害,注意障害,遂行機能障害
て きた1
9
)
. これ らの者への支援対策 を推進 す る観
(
実行機能障害),判断 ・問題解決能力 な どの障害
点か ら,高次脳機能障害を 「
行政的に」広 く定義
をい う. また,主 として前頭葉 の損傷 に起因す る
す ることになったl
B
)
.障害者 自立支援法下 で は精
社会的行動障害 も 「
行政的 に」高次脳機能障害の
神障害者保健福祉手帳 にて諸制度 を利用す る14,29)
範暗 に含 めて扱 う13・18). そ もそ も 「
学術的 に」 は
なお この 「
行政的な」高次脳機能障害 は,欧米で
hi
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n) と
高次脳機能 障害 (
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は神 経 行 動 障 害 (
いえば,比較的局在の明確 な大脳 の巣症状 である
失語,失行,失認, あるいは半側空間無視 な どを
t
y)
3
7
)
,神 経 心 理 学 的 障害 (
ne
ur
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hol
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i9al
i
mpai
r
ment
) に対 応す る もので あ る. なお 日本
指す概念である. ところが,救命救急医療 の進歩
で は,銃器 による開放性脳外傷 はまれであ るため,
によって,従来な ら脳浮腫や脳循環不全,合併症
本稿の脳外傷 は閉鎖性脳外傷 (
cl
os
edheadi
n
j
u-
で死亡 していた例が救命 されるようにな り,記憶
r
y)のみを扱 う.
や注意の障害,遂行機能障害,判断 ・問題解決能
著者所属 :埼玉県総合 リハ ビリテーションセンター神経科,De
p
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r
編
注 :編集委員会か らの依頼 による総説論文である.
2
0
0
精 神経誌 (
2
0
0
7
)1
0
9巻 3号
【
損傷 に由来する症状特性】
c
l
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dhe
adi
n
j
ur
y)の症状の特徴 は,
脳外傷 (
【
脳外傷 による高次脳機能障害の類型】
脳外傷後 の永続的な高次脳機能障害 は,受傷直
蝶形損傷 (
s
phe
noi
dali
n
j
ur
y) と,び まん性軸索
後の意識障害や通過症候群か ら脱却 した後 に正確
損傷 (
di
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f
us
eaxonali
n
j
ur
y,以下 DAIと略す)
に評価で きる.
に由来す る20).両者 の合併 も多い.煤形損傷 とは,
脳外傷後 の永続 的 な高次脳 機能 障害 の様相 は
頭蓋骨 と脳実質 との相対的な関係か ら脳の前頭葉
様々であるが,い くつかの類型がある.以下のよ
底面 (
眼嵩面) と側頭葉の前方∼外側底面 に損傷
うに分 ける とわか り易 い.(
1
)
全般性 の注意障害が
を負 うことである.加速度的な衝撃 による脳 の動
他の障害 に比べて目立 つ例 (
前頭前野損傷例,軽
きが,蝶形骨の大翼や前頭骨 によってはばまれ脳
症 の DAI例)
,(
2
)
記憶障害が 目立 ち,知能低下や
が損傷す る. この損傷 は前頭前野 を含 む情動回路
注意障害,遂行機能 障害が軽度 な例 (
DAIの一
を損 な う.一方 DAIで は,大脳全体 の皮質下,
部,急性期 の循環不全 による海馬損傷例)
,(
3)
前
すなわち白質の神経繊維 にび まん性 の断裂が生 じ
頭前野背外側部の損傷や皮質下のネ ッ トワークの
る3
0
)
.神経 ネ ッ トワークの障害 によ り情報処理 ス
3-a) 注意転換 の障害や高次 の保続
障害 によ り (
ピー ドの低下が生 じ,注意障害,遂行機能障害や
が 目立 つ例,同時処理 がで きない例 , (
3-b) 逮
易疲労性 と関連す る20・26)
行機能障害が 目立つ例,(
4)
発動性の低下,行動の
脳外傷 の急性期 に脳浮腫,低血流や低酸素 によ
開始の困難が 目立つ例 (
前頭葉内側部損傷,重症
り側頭葉内側部,すなわ ち海馬 ・扇桃体の損傷が
5
)
情動の障害 (
易怒性 な ど)がみ
の DAIな ど),(
加わ ろ. これは記憶障害や情動障害 と関連す る.
られ,社会的行動障害が前景 に立 っている例 (
前
さらに打撲部位の損傷 (
c
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n
j
ur
y)
,そ して打
頭前野 ・眼嵩野損傷,辺縁系の損傷 を合併 してい
cont
r
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n撲部位 と対極 にある部分の損傷 (
6)
自己の行動 の帰結 を認知 で きず,行
る場合),(
j
ur
y) と対応する局在機能の障害がみ られ る. こ
動 を修正で きない,あるいは外界の言外 にある意
の ように,脳外傷 の症状 は,損傷部位の解剖学的
味や, 自己の障害 に対する認識が低下 していて適
な理 由に基づいている.
切 な行動が とれ ない例 (
前頭前野損傷),(
7)
全般
ちなみに,錐体路 を含 む範囲に挫傷があれば片
的な知能低下の影響が大 きく,記憶や注意,遂行
麻痔 を,脳幹の挫傷があれば四肢麻痔 を生 じるが,
機能の障害 について個別 に取 り扱 うよりは,全般
完全麻痔 は少ない. びまん性軸索損傷 の身体症状
的な知能低下 として対応するのが現実的である例
で比較的頻度の高い ものは,体幹や構音の失調で
1)
∼(
7)
のい くつかが重
(
広汎な脳挫傷例).実際 は(
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n
j
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y
あ る.上部 脳幹 (
中脳 背 側)の s
複 していて, しか もそれ ぞれ の障害 の重症度 は
が生 じた場合 にみ られ る.一方,頭頂葉や片半球
様々である.
にのみ限局 した損傷 は通常み られないため,失行
や半側空間無視 は少ない.
本稿では,脳外傷では神経心理学的障害 によっ
て様々な精神医学的,心理的問題が生 じることを
明 らかな脳挫傷 が CT や MRIで確認 され る蝶
示す.総説であるが,神経心理学的評価の実際や
形損傷 に比 べ て,DAIで は,急性期 に大脳 皮 質
経過, リハ ビリテー ションの流れがわかるよう,
下,脳梁,基底棟,脳幹 な どに散在 している組織
長期間治療 に関与 した症例 を交 えて述べる.症例
断裂 による小 さな点状出血が画像では確認 しづ ら
1)
∼(
6)
の番号 に対応する.プライバ シ
番号 は上記(
い.受傷後数カ月の内に,損傷 した軸索が変性,
ー保護のため,個人が特定できる情報や,年齢性
吸収 され,大脳 ・小脳 にまたが る全体的な皮質下
別 を省いた. また本人 よ り本誌掲載の同意 をとっ
Ⅴ脳室の軽度拡大
の軽度萎縮 と側脳室,第Ⅰ
Ⅰ
Ⅰ
,第Ⅰ
た.
が完成す る (
症例 1
,症例 2
)
.
2
01
先崎 :脳外傷の高次脳機能障害
表 1 神経心理 ピラ ミッ ド3
3
)
ニュー ヨーク大学医療センター脳損傷者通院プログラムで
Be
n-Yi
s
hay3
)らが用 いてい る図表
(
pac
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or
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i
onalt
as
k)で しば
しば低下が明 らか になる22).
【
易疲労性】
注意力の低下 を補 うために,過度 な努力が必要
である.脳外傷者 に単語学習課題 をさせ る と,再
認 の成績が健常者 と差がない場合 で も,課題遂行
中に脳血流量が増加する割合が健常者 に比 べて高
い24
)
.すなわち,注意力が低下 してい る脳外傷者
では,課題 で同程度の成績 を得 るために健常者 よ
co
gni
t
i
vee
for
t
) を必 要
りも高 い認 知 的労力 (
とす る. また,前頭葉症状で ある思考の硬 さがみ
られ, 自身 に適切 な事柄 を臨機応変 に行 うことが
で きない.融通 をきか して休息が とれない.脳外
【
各種神経心理学的な機能障害 について】 (
表1
)
各種神経心理学的障害 はそれぞれが独立 して存
傷者 はしば しば過度 に注意 を持続 させ ることで疲
労 し破綻す る3
7
)
.
在す るので はない3,22). まず は覚醒度や注意力が
基盤 にあ り,記憶や遂行機能が保たれ, さらに上
【
症例 1
】注意障害 と易疲労性 が前景 に立 つ び
位の機能である論理的な思考力や自身の障害 に対
まん性軸索損傷例.過度の認知的労力 を必要 とし
する気づ さが成 され る.一例 として表 1のような
幻覚妄想が出現 した.
仮説がある.上位 の働 きが十分 なされ るためには,
それ より下位の機能が適切 に働 くことが必要であ
2
0歳代 に受傷.J
apa
n Co
ma Scal
e(
以下,
J
CSと略)2桁以上の意識障害が 2カ月間続 く.
る.以下,各機能障害別 に概説する.
意識障害か ら回復 し,受傷 3カ月 目には体幹失調
や構音障害が軽減 し, 自立歩行が可能 となった.
【
注意障害】
記銘力障害 〔
三宅式記銘力検査有関係 (
以下,三
全般性の注意 はすべての認知機能 の基盤である.
宅式 ・有 と略)5
8
8,無関係 (
以下,無 と略)0
-
注意障害が重い場合 には,他の各種機能検査 もす
0
0
〕の代償手段 として 日常生活 でメモ リー ノー
べて低 く結果が出て しまい,あまり意味 をなさな
ト12・13) を利用す ることを習慣化 し,在宅生活 に戻
い.注意 は視覚,聴覚の感覚野のみでなされ るの
った.
WAI
S受傷 1年半後 には,知 的低下 は軽 度 (
で は な い.前 頭 前 野 の働 き に よ る知 覚 の t
op
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olが必 要で ある.すなわ ち, どの外
R VI
Q6
2 PI
Q8
2
)で,記銘力 障害 も日常生活
部刺激を意識的に選択 して拾い上げ, どの刺激 を
に支障のないレベル にまで改善 (
三宅式 ・有 7
9
-
捨てるのか,調節や重み付 けをする働 きが必要で
1
0
,無 2
2
2
) し た.注 意 障 害 は 数 値 上 軽 度
ある.課題 に関連す る文脈情報 を保持 し,情戟 を
〔
PASAT2秒 総 反 応 数 29
/
5
0 正答数 2
7
/
5
0
,
処理する過程で,競合的な ものに重みをつけるこ
)
. そして必要があれ ば,注意の
とが必要である37
対象 を,別の ものに変更す る.
,
選択
注意は 「
」「持続」「分配」「転換」の要素
に分 けられ る.脳外傷では, よ り複椎 な注意 の力,
す な わ ち 「分 配
」「転 換 」 を み る PASAT
Tr
ai
lMaki
ngTe
s
t(
以 下 ,TMT と略)A1
2
2
B1
7
9秒〕で あったが,易疲労性が 目立 ち,
5分間程度集 中す る と,頭重感 が 出現 し
課題 に 1
秒
検査 に取 り組 めな くなった.MRIで は図 1の と
お り,大脳全体の軽度萎縮 と脳室 の拡大がみ られ
た. この受傷 1年半時に,本人の強い希望で復職.
'
2
0
2
粁神経誌 (
2
0
0
7)1
(
)
9巻 3号
(
対 1 症 例 1の .
MRITl強調画像
人J
悩令体の軽度 萎縮 と脳室 (
荊1
日, 節 l
\
'
) の軽度拡大がみ らi
Lる
配置転換 にて時間プレッシャーのない単純作業部
に山来する症状 とが重なる.
門 に移 った.会社の労働評価 は良 く,復職 2年後
に受傷前 と同様 の職種 に戻 った.
【
幻覚妄想】
ところが,流れ作業のス ピー ドについてい くた
脳外傷後の幻覚妄想状態が,た また ま合併 した
めには,常 に注意 を持続 させ,過度の認知的労 力
疾揖なのか, 脳外傷 による疾患なのかの判別 は難
が必要であった.疲労が臨界点 を超 えると作業効
しい. しか し,脳外傷が重症 の場合 は軽症の場合
率 は低下 し,急激 に ミスが多 くなった.精神疲労,
に比べて幻覚妄想状態 になる割合が高 く,脳外傷
頭重感,頭痛,め まい (
(
l
i
zzi
nes
s),焦 りと緊張
後 の精神病が存在す る6).
が持続 した.遅れた仕事 を取 り戻 そうとして休息
をとらず,職場での焦燥が さらにひどくな り 「
仕
【
記憶障害】
事がで きないやつ」 と自分の ことを噂 し合い,広
脳 外傷 で は記 憶 障 害 に つ い て,(
1
)
逆 向健 忘
く放送 してし)る幻聴が出現す るようになった.
sper
i
don内服 によ り諸症状 は軽快 し,
休職 と ri
(
r
et
r
ogr
ade amnesi
a),(
2)
外傷 後健 忘 (
I
)
ostい・
aumaL
i
c amt
l
eSi
a-PTA),(
3)前 向 健 忘
2ヵ月後 に復職 した. その後 6年間,時間 プ レッ
(
anL
er
ogradeamnesi
a) とに分 けて議論 され る.
シャーのない職種 で仕事 が続 いてい る.「
休憩時
この うち(
2)
の外傷後健忘 は,意識障害か らI
q復 し
間にはきちん と休 む,疲れ る前 に休息 を とる,無
た後,受傷後の記憶 を想起で きない期間で,注意
理 をしない,頑張 らない」 という標語 を遵守す る
の障害が入 り交 じった病態である3
り. 日常生活上
ように指導 している.適度 な休息 を口分 で臨機応
問題 になるのは(
3)
前向健忘である.びまん性軸索
変 に とれないため,職場 では保健師が介入 し休息
損傷 の場合, この健忘 の原因 は,海馬 CAl錐体
させ る体制 をとっている.
細胞の損傷の他 に,前頭葉底面 (
前脳基底部)の
機能不全, 白質の神経回路網 ネ ッ トワー クの障害
【
身休愁訴】
入院治療 を要 した脳外傷者の半数以上 に,疲れ
が考 えられ る2日.
日常記憶 (
ever
yc
l
a)
・mcmor
)
r
) の評価 法 とし
やす さ,頭痛,め まい,い らい ら (
i
汀i
L
abi
l
i
L
y)
て開発 された リバー ミー ド行動記憶検査 (
Re\
r
eト
がみ られ る23).脳外傷 による脳神経系の損傷 に虐
meadBehavi
or
alMen
l
Or
yTest
,以下 , RBMT
接由来す る症状 と,注意力低下 を補 う過度 な労 力
と略)にて,記憶障害者が可能 な「l
常生析 レベ ル
光l
崎 :l
J
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苅タト伽の高次肺機 能 肝
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.
1
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・
図 2 症 例 2の MRITl強 調痢像
折I
l
l
,第 l
V) の輯度拡人 が み られ る. L
XH に比 べて側疏腿内
大 脳今休 の冊 立葛綿 と脳賀 (
側 部の 萎縮 が 廿 l
l
j
:
って い る.
が把握 で きる3
5
)
.標 準 プ ロフ ィー ル点 2
∠
l点満 点
示 し看護 師 と常 時 確 認 す る こ と と,c
h)
or
pr
om-
で,7点以上 な ら病棟 内の 自室 や トイ レ,訓練室
azi
1
1
eの投与 によ り落 ち訴 いた. しか しその後 も,
への道順 を間違 える ことが ない,9点以下 な ら多
時々周囲の状況 を被害的 に とらえ 「
看護婦 さんに
5
くの ∩常生活上 の行動 に指示 や監視 を要す る,1
殺 され る」 と不安気 に訴 えた. おだて られ るとそ
点前後 な ら 1人 で の通 院 が可能 で あ る,1
7点 以
れ までの体験 や発言 は忘 れ,笑顔 で病棟行司1に参
上 な ら計画的 な買 い物 が可能であ る, と∩安 がつ
lH,退 院 を希 望 し,「退 院 で きな
加 した.4カJ
く9
)ので臨床上有用である.
いのな ら死 ぬ」 と病棟 のベ ランダの柵 に足 をか け
よ じ登 り飛 び降 りようとす る ところを保kFされた.
6
7
復期 に記憶 障害 ・見 当識 障 害 が著
【
症例 2】r
その数分後 には, 円分 の行動 は忘却 していた.抑
o種
明 で困惑 が強 か った び まん性 軸 索損傷 例. l
うつ感情 は否定 した. 廿宅 に退院 し,家族 との生
後 の現在 も記憶障害 が症状 の中核 にある.
柄で落 ち着 いた.
「
い学生時 に受傷 . 1カ月間 の昏 睡状 態 (
JCS3
1
VI
SC R
受 傷 後 1年 6カ 月 時 に は,射1能 (
宿)か ら回復 した.SLTA検 査 で失 語 な し.受
VI
Q6
6 PI
Q80),記 銘 )
J(
三 宅 式 ・有 03L
l
)
傷 3カ月 tlには失調 も蛙減 し応用歩行が可能 とな
ともにわずかに回復 した. メモ リー ノー トや カ レ
った. この時,知 能 は軽 度 低下 レベ ル に回復 し
ンダー を利 用す る生活習慣 を碓得 し,見当識 は同
(
l
Vt
SC-R VI
Q6
6 PI
Q6
1),注意 障害 も大 き く
役 (
MMSE時間項 nL
l
/
5,場 所項 目 5
/
5) した.
順 境 5桁). ところが,重
は Fl
立 た な くな った (
立たず 〔
遂
受傷後 3年時 には遂行機能 の低下 は「l
-1
-1 比ey
度 の記鈴 )
J障害が あ り (
三宅 式 ・有 1
haVi
our
al As
s
es
s
mel
l
L of L
l
l
e
行 機 能検 査 Be
図形模 写 3
0
/
3
6 即 時再 生 0
/
3
6
)
,時 間 や場 所 の
以 下 ,BADS と 略 )
Dys
eI
(
c
cut
i
veSyndr
ome (
Mi
niMel
l
L
alSL
aL
e
見 当識障害が重度 であった 〔
1
6
/
2
4〕,知 的 に は境 界 以 上 に な っ た (
\
VI
SC-R
Exami
nat
i
on (
以下 ,Mi
11
SE と略)時 間項 RO
/
VI
Q82 PI
Q94). しか し一方,記銘力障害 の回
5,場所 項n I
/
5〕.数十秒前 の記憶 も残 らな いた
RBMT標 準 プ ロフ ィール点 4点),
復 は乏 し く (
めに,入院病棟 で は 「なんで ここにい るの ? 夢
新 しい場所 で は家族 とメモや地図 を確認 しなが ら
なの ? 僕 の病気 はなんなの ?」「(
自分 は)生 き
行動す ることが必要であった.誤 った ことが一度
ているの ?」 と困惑 と不安 が強か った.経過 を掲
記憶 され る と,後 でなか なか修正がで きない とい
204
精 神経誌 (
2007)1
09巻 3号
う特徴 が あ る.1
0年経過 した現在, ボイス レコ
表 2 脳外傷後 の行動障害の分類 B)
ーダー とメモ リーノー トを活用 して地域作業所 に
ps
y
c
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r
i
cs
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s
強迫不安障害 (
pho
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canxi
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ydi
s
or
de
r
)
気分障害 (
a仔e
c
t
i
vedi
s
or
de
r
s
)
適所中である.
記憶障害者 に も 「
潜在学習」 (
i
mpl
i
ci
t l
ear
ni
ng) の能力が残存 している. さ まざ まな情報 や
代償方法の習得に際 して試行錯誤 をして学習す る
と,誤 りを排 除で きず に,逆 に誤 りが強化 され
る2
)
. そ して,誤 った ことが一度記憶 され る とな
かなか修正が きかない.一般的 に,記憶障害 を有
す る患者 に対 しての再学習, リハ ビリテーション
は,誤 りな し学習 の課題であることが必要である.
なお困惑 は, この症例 のように意識障害か らの
回復期 や記銘力障害例で よ くみ られ る8).年表 や
写真, ホワイ トボー ドを利用 して自身の経過 をい
つ も確認 で きる環境 をつ くること,安心感 を与 え
る環境 を整 えることが必要である.
牒 うつ病
うつ病
ヒステ リー
s
c
hi
z
ophr
e
ni
f
or
m di
s
or
de
r
s
)
統合失調症様障害 (
pos
t
conc
us
s
i
onals
yndr
ome
f
r
on
t
all
o
bes
yndr
ome
s
前頭葉眼嵩野 (
di
s
i
nhi
bi
t
e
d,e
go
c
e
nt
r
i
c
)
前頭葉背外側 (
dys
e
xe
c
ut
i
ve
)
前頭葉内側 ・帯状 回 (
as
po
nt
ane
o
us
)
t
e
mpor
o1
i
mbi
cs
yndr
ome
s
挿話性制御不能症 候群 (
e
pi
s
odi
c dys
c
o
nt
r
ol s
yn・
dr
ome
)
辺縁系気分障害 (
t
e
mpor
o1
i
mbi
caf
f
e
c
t
i
vedi
s
o
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r
s
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pr
e
s
s
i
ve
anxi
e
t
y/
pa
ni
c
ps
yc
hot
i
c
【
行動障害】
脳外傷後 には,表 2に示す ように様々な行動障
害がみ られ る.回復期 を過 ぎた脳外傷者の行動障
害 の多 くが,前頭葉損傷 に由来す る神経心理学的
障害である8).
一つの ことに固執す る,些細 な ことにとらわれ
てのイメージに,情動的な信号 を伴わせ ることが
で きない5,10) (
症例
6
)
.
さらに,脳外傷後 には本稿の各症例 に示す よう
に様々な精神症状がみ られ,行動障害 と一体 とな
ってい る.
て肝心 な重要事項が抜 け落 ちて しまう,臨機応変
に物事が行 えない群 には, しばしば高次の保続,
【
セ ッ トの維持 ・転換 の障害】
セ ッ トの切 り替 えの障害,ステレオタイプの思考
前頭 葉性 の機能 障害 の一 つ に心 の構 え (
セッ
か ら抜 け出せない神経心理学的障害 をみることが
ト)の維持 ・転換の障害がある.一つの概念や心
で きる (
症例 3
a)
.
の構 え (
セ ッ ト)か ら,他の概念や心 の構 えに移
注意,記憶,知能,流暢性がほぼ正常域 にあっ
ることが困難 になる.高次の保続 といえるもので,
て も, 日常生活上の物事 を一人では行 ってい くこ
発想や視点の転換が困難で,一つの考 えや視点 に
とがで きない, 自ら行動が遂行で きない群がある.
こだわ り,柔軟 な思考 が で きな くな る.検 査1
6
)
この場合,遂行機能障害 として細か くその原因,
では,W i
s
cons
i
n Card Sort
i
ng Tes
t(
以下,
介入法 を吟味する余地がある (
症例 3
b)
.
W CST と略)で達成 カテ ゴ リー数が低下 してい
また, 自己の行動 の帰結 を適切な情動 を伴 った
lM aki
ng Tes
t(
TMT) で par
t Bが
る, Trai
形 で認識 で きない群がある.行動や意志決定 に際
partA に比 べて極端 に時間がかか る,あるいは
して,罪や不安,危供 といった,辺縁系か らの情
失敗 す る,M odi
丘ed St
roop Tes
t(
MST) Ⅰ
Ⅰ
Ⅰ
動の情報 を, うま く活かす ことがで きない.すな
(
字 を読 まず に字の色 をい う課題)で間違 えて し
わち,前頭前野腹内側面 (
眼嵩面)の損傷 によっ
まう.ステレオタイプな反応 を抑制す ることがで
て,現在体験 されていることや将来の帰結につい
きない. このような神経心理学的障害が, しばし
光崎 :脳外傷o)高次脳機能p[
/.
l
f
f
T
l
f
i
[
叫3a 1
;
[
三
例 3aの h′
l
RIT】強調 I
d
i
r
F
l
F
J
L
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i
L
i
盛皮'
E
f卜の1
t
l
f
l
jが y
l
・
E
L
l
l
であ る.イT
'
前頭柴の1日傷 は潜lリ)で門外側部 もI
u似 されている.
ば行動障害 の基盤 をな している.
〔
Modi
f
i
edSt
l
・
00PTes
tI76秒 (
誤 0) 1
日 02秒
(
誤1
)l
I
l1
80秒 (
誤 6),TMT A 1
55秒 (
誤 0)
B
j
に
【
症例 3a】前頭 葉挫傷 後 の 回復 期∼維 持 l
不安障鴇 (
パニ ック障害)が生 じr
=例. その基盤
B失 敗 多 く数 分 間 で 中 断,慶 膿 バ ー ジ ョ ン
WCST第 1段 階達成 カテ ゴ リー数 1(
本 人 が混
苧外側部損傷 に由来 す る思考 の切
には,前頭葉 の1
.MRIを図 3-aに
乱 し第 2段 階 は実施 イこ
可 能)〕
り替 えの悪 さがある.
示 す.受傷 5年 日の現在,柔軟 に思考が切 り荷 え
中年時 に受傷.運動麻樺,失語 な く,受傷 2カ
られ ない様子 は続 いてい るが,val
pl
・
OaL
e内服 と
月で在宅生活 になった.普段 とは違 う場面 に遭遇
ルーチ ン化 した在宅生活 をお くることによって不
す る と不安,過呼吸,動 陣が出現 し行動で きな く
安 障害 は落 ちついている.
l
iい物袋 と財布が ない と
な る.例 えば, いつ ものf
玄関で動作が止 まって外出で きない. いつ も買 い
この例で は,神経心理学 的検査で明 らか になっ
物 している店 が閉 まっている と他の店 へ行 けず立
た高次の水準 での保続 ,思考 の切 り潜 えの悪 さが,
ちす くんで し ま う.抑 うつ気 分 は否 定.par
°:
く
I
本人 の行動様 式 に現れている.すなわ ち,発想や
ncや bcl
l
ZOdl
azepi
ne系 抗 不 安 薬 内服 で は改
eLi
視点 の転換 が阿難 で,一つの考 えや視点 に こだわ
善せず.「
頭 が 切 り替 わ らない
」「一 つの ことが現
り柔軟な思考がで きない様子 は, 脳損傷 山兼 の機
にの ぼ る と,他 の こ とに考 えが 阿 らない」「いつ
能障筈 その t
)
ので あ る.本人 を和解 す るうえで,
いが真 っ臼に
もの ことでない ことがお こると頭 の 「
神経心理学的検査 (
評価)が宥I
l
lであ ることがj
)
な る」 と訴 えた.生活全般 において一 つの ことに
か る.
こだわ り,考 えを他 に切 り替 え られず,常時家人
の監視,助言 を必 要 とした.受傷 6カ月時点の神
経心F
J
!
学的検査結果 では,知能 や全般性注意 力 は
ほ ぼ正 常 (
WAI
S 良 VI
QI
02 PI
Q76,順 唱 8
【
遂行機能障半】
当初,遂行機能 (
実行機能) は,H的 を もった
一連 の活動 を有効 に成 し遂 げるために必要 な機能
柄,逆 唱 7桁)で,記憶 障害や遂行機能障害 も軽
で, 円 ら11
倍 を設定 し,計画 をたてて,行動 を効
皮 (RBM T 標 準 プ ロ フ ィ ー ル 点 1J点 ,
果的 に行 う能 力 と Lezakに よ り定 義 され た 15・16)
BADS1
6
/
24)で あ ったが,前頭 葉性 の高次 の保
その 要素 は(
1
)vol
i
t
i
on (
動機付 け と意 図.未来 に
続 ・セ ッ トの切 り替 えの陣営 が明 らかで あ った
向 けて思考 し,何 を したいのか を構想 す る能力),
2
0
6
精 神経 誌 (
2
0
0
7)1
0
9巻 3号
(
2)pl
anni
ng (
目標 を達成す るための段階を考 え,
それ らの評価および選択 を行 い,行動 を導 く枠組
み を決定 す る能 力),(
3)
pur
pos
ef
ul
lac
t
i
on (
複
稚 な行動 を構成す る一連 の各行為 を,順序 よ く,
まとまった形で,開始,維持,変換 し, また中止
す る能力),(
4)
ef
f
ect
i
veper
f
or
mance (
常 に目標
を意識 し,遂行中の行動が どの程度 目標 に近づい
ているか を評価す る能力. 自己監視能力, 自己修
表 3 遂行機能障害の 3段階の階層 とそれぞれに対応 する
前頭葉機能 1)
I.立案する階層 (
Sc
h
e
maa
s
s
e
mbl
y
)
ゴールを設定 することやプランニングの障害
意 図を明確 に述 べ る こと, ゴール をわか りやす く設
定 すること, プランニ ング,予測
Ⅰ
Ⅰ.賦活す る階層 (
Sc
he
maa
c
t
i
va
t
i
o
n)
開始 と配列 の障害
自発性,行動 の調整,展望記憶
I
H.調整す る階層 (
Sc
he
mar
e
gul
a
t
i
on
)
正能力,行動制御能力) と区分 され る. さらに遂
I
l
トa.抑制 と制御 の障害
行能力 には,周囲の環境刺激や状況 を正 しく認識
1
1
1
b.監視 と評価 の障害
利用行動,衝動性,保続,脱抑制,攻撃性
す る能力,発動性,注意 の持続 な どの要因 も深 く
判断,決定,推論,問題解決,作言
も 自己監視,
関与 している.そ して,前頭葉背外側部に限局 し
注意 と気づ き
た損傷がな くて も,広 くネ ッ トワークの障害 とし
て遂行機能障害は しばしば認 め られ る.
遂行機能障害 は,Andr
ewl
)が表 3にま とめて
えが悪 い,工夫がで きない, 自分の障害 を認識で
いるように,行動 を 「
立案
」「賦活」「調整」す る
きない」 ことがあった.厚生労働省編一般職業適
3段階の階層のいずれが障害 されているのか, と
性検査 (
GATB)で はすべての項 目で E ラ ンク
い う視点 をもつ とわか りやすい.
であった.
更生施設 に入所 して復職訓練 12・13)を開始 した.
【
症例 3
b】前頭葉挫傷後 に著明 な遂行機能 障
復職 に関する職場 の受 け入れ は好意的で,受傷 1
害,病識 の低下がみ られた例.職業 リハ ビリテー
年半後,清掃の職種 に配置転換 し,訓練士が同行
シ ョンによ り社会復帰 した.
し職場での実習 を始 めた. ところが,現場では具
3
0歳代 に受傷 した会社員.開頭 血腫除去術 に
体的な指示がない と行動 を開始せず座 り続 ける.
よ り救命 されたが,右前頭葉背外側部 を中心 に前
「で きるだけきれいにす る」 といった漠然 とした
頭葉 を大 き く損傷 した.失語,運動麻痔や失調 は
指示には,サブ ・ゴール (
明確で実現可能 な とり
ない.受傷 か ら 1年後,知能,注意,流暢性 はほ
あえずの目標) を設定で きず無為 を続 けた.臨機
(
応変 に トイレに行 くこともで きず失禁 した.そこ
ぼ正常域 まで回復 し 「
知能 」WAI
SRVI
Q8
3
「
注意」順 唱 6桁,逆 唱 4桁,
「
流 暢性 」
PI
Q87,
頭文字,カテ ゴ リー とも 1
0個 以上/
分),記銘 力
ニ ュアル として作成 し,それ をチェックしなが ら
(
「
聴覚記憶」三宅式 ・有 8
-
行動すること,わか らない ときや困った ときには
は軽度低下 していた
で,1日の行動 をパ ター ン化 し,仕事 の手順 をマ
8
8
,「視覚記銘」ペ ン トン視 覚記銘正確数 6/10)
人 に聞 くな どの援助 を求 めることを更生施設で半
が, 日常生活上の口頭指示は記憶可能であった.
年間繰 り返 し練習 した. その場 その時の肯定的な
しか し,遂行機能障害 とセ ッ トの維持や転換の障
フィー ドバ ック とマニュアルへの記載,行動の言
害が著明 (
BADS1
0
/
2
4
,慶鷹バージ ョン WCST
語化 を原則 にした. トイレはタイマーを 1時間毎
第 2段階 にて も達成 カテゴ リー数 0) で, これ ら
に鳴 るように設定 して行動開始の手がか りを与 え
機能低下 に対する認識 はなかった.本人 は直 ちに
た.結局,機能障害の気づ きも得 られ,復職 に至
元 の仕事 に戻れる と思 っていた.
った.受傷 5年後,勤務先が事業撤退で閉鎖 され
本人 の特徴 として 「
計画が立 て られない,行動
失職 したが,障害者職業セ ンターのジ ョブコーチ
を開始で きない,作業が中断 して しまう,結果 を
の介入 (
基本的には,上記 と同様) により,障害
気 にしない,段取 りが悪 い,思考が硬 くて切 り替
者枠雇用で,新たな会社 に清掃職 として就労 した.
2
0
7
先崎 :脳外f
ねの高次脳機能師 !
r
l
子
t
xI
3b 症例3bの CT
r
■
I
'
i
L
i
呈
r
J
前琉前世
f
のl
t
l
イ
鮎が EUl
である.特に,イ丁
前頭fl戯作外側部 I
J
:
欠J
i
l
している
【
就労 ・復職の成否】
【
発動性の低下】
この例が再雇用に至 った安岡 として,障害特性
前頭葉損傷由来の無気力,発動性の低下や無感
にあった職業訓練 を行 った こと,た また ま本人の
情の中で,最 も著明な ものは,前帯状 阿回路 を含
l
「尊心が高 くな く,以前の仕事 には固執 しないよ
む,前頭葉 内側面 の損傷 による ものであ るl
)
.節
うになった こと,家族の障害 に対す る理解があ り
部′
帯状 阿は,辺縁系の構成物であ り,高次の行動
本人 を心二
哩的に支 えていた ことがあげ られ る.逆
の発動や開始に閲与 している.葛藤状況の監視や
に,本人のn尊心が高 く能力 にあった職種 を受 け
行動 の述択機能 に閑適が深 い.一 jj, 前頭前野 1
J
f
入れない場合や,家族が障害の受 け入れや適切 な
外側部 の損傷 で も,遂行機能 の低下,あ るい は
対応 をしない場合 には,就労 は岡難 を極 める. ま
wor
ki
n
gme
mo
l
T の障害 に よ り,結果 として無
た,脳外傷者の就労の成否 は,職業 リハ ビリテー
気力がみ られ る. また,前頭前野腹内側面 (
限筒
ション,カウンセ リングの有無 に大 きく影響 され
面)の障害で も,辺縁系の情動が適切 に喚起 さjt
るIll38)
ず,結果 として無気力がみ られ る32).
訓練で は,本人 に肯定的にフィー ドバ ックす る
ことを横 み上 げ,障害への気づ さと本人 な りの対
【
症例 4】前野言
葉性 の 粁しい n発性 の低下 が み
処法 を習得 させ ること, それ らを継続 してい くこ
られ,川 年以上 にわ た り社会参加 を うなが して
とが必要である38).
いる例.知能,記憶の回復が頭打 ちになった後 に
ち,能力障害,社会参加 の程度 に向 Ⅰ
二
がみ られて
【
l
「己の障害 についての気づ さの低下】
脳 外傷者 には症例 3
I
)の よ うに, しば しば 自
いる.
2
0歳 代 に受傷.受傷 1年後 には,四肢 不全麻
己認知 (
s
e
l
r
aWa1
e
n
e
S
S
)の低下, ∩己の障害 に
痔のため動作緩慢ではあるが,つか まり歩行が可
対す る気づ さの低下がみ られ る1
7
)
. 自己認知の低
能 とな り在宅生活 になった.無為
下 は,長期的な予後,社会生活上の予後 を悪 くす
が著 しく, うなが さないと終 「‡
臥床 を続 けた.抑
る30・34).気づ さの低下 を治療 す るためには,信腫
うつ気分 は否定 した. この受傷 1年後の神経心l
l
l
i
,l
l
J
発性 の低下
された治療関係 をつ くり支持的な雰幽気のI
f
l
で,
学的検査では,l
J
:
・
l
l
能 をはじめ とす る諸機能 に低下
両面 した こ とや失敗 を取 り扱 う ことが必 要で あ
を認 め 〔
「
見 当識 」MMSE時間項 「=)
/
5 場所項
る 17).
目2
/
5
,「知 能」WAT
S R VI
Q6
6 PI
Q6
9
,「聴
桃神経誌 (
L
2
0
0
7)1
0
9巻 31
3
・
I
t
xI
J 症 例 1の MRITl・
)
'
S
.
調画 像
I
l
l
一
服 蛸f
軌 L
J
f
J
l
野の1
1
1
伽が 掛 り
」で, 州 別部 を含 めて ほ とん ど火山 して い る. また,
脳 や体 の 基節 が み られ ,特 にI
L
t
d
仙川l
雌i
矧 付 則部の 萎縮 が lい一
えっ.
覚 注 意 」Audi
(
) M(
)
t
orMet
hod (
以 下 ,AMM
【
機能障害 と社会 的適応状況 との関連 】
と略)総 反応 数 日/
50正 答 数 4
/
50,「
記 憶」三 宅
この例で は,神経心理学的検査 によって把握 さ
,無 1 1 0
〕,特 に 「
流暢性」の低下
式 ・石 3]3
れ る機能障鞘 の改善がすで に頭打 ち となって も,
3
/
分, カテ ゴ リ- 2.
〃分)
(
頭 文 字 し ・い ・れ 2.
t度で は向上が認 め
能力障害 や社会的適応状況のJ
が著 しか った.
られ うることを示 している. この例 で は,恕者本
-」年後 まで は, 円宅外 に生清 の場 が な
受 傷3
人 の要因,すなわ ち神経心理学 的検査 では把握 で
い状 態であ ったが,外来通院での作業嫉法や薬物
きていない機能 に向上 がみ られ た こと,患者 を取
amanL
adi
ne,mcL
hy)
pheni
daL
c) の 効 果
療法 (
り巻 く事柄 の要田,す なわち,た また ま本人 の気
もあってか,受傷 5年後 には,家族 の送 り迎 えに
に入 る趣 味所動場所が見つか った,介護 者 に送迎
よって,地域 での趣 味的な所動 に参加 で きるよ う
がで きるだ けの余裕 がで きた ことが埋 山 として考
になった.受傷 6年後 には作業所 レベルの活動が
え られ る.
0年 後 の
で きる まで社 会的適応状 況 は向上 し,1
t
)つ とも, この ような機能障害 の尺度 での改善
度 と能力障溝や社会的適応状況の尺度 での改善度
現在 に至 る.
FL
l
nCL
i
onal As
s
es
s
受 傷 6年 ま で の FAM (
menL Meas
ur
e)39)の Empl
(
)
)
,
abi
l
i
t
y(
雇 用 ・家
との碑離 は,神経心理学的検査の意義 を否定す る
i
)ので はない.機能障告 を 「
数値 」評価.
して把握
7段 階) は 「
1年 後 」1(
全介
事 ・家 業)項 目 (
し,障害 の程度 に合わせ て環境調節 を行 い,生活
5年 後 」2 (
最 大 介 助 ) ,「
6年 後 」
助 ) ,「
を整 えさせ てい くことが社会的適応状況 の レベル
3 (叫等度 介 助 ) と向上 した.一 方, その経過 小
向上 に必要であ る.機能障害 自体 の回復 は頭打 ち
の神経心理学 的検査 で は,受傷 5年後 ,6年後 と
となって も,適 切な訓練や環境設定 によって能力
5年後 」
でI
J
:
大 きな変 化 が なか った (
以 下 ,「
障 鴇や社会的適応状況 の改善が得 られ うるという
,
「
6年 後」の 昭 に,HDS l
ミ21 ,L
9
,WAT
S l
く
こと, しか もそれが受傷後数年 を過 ぎて もいえる
VI
Q8] ,76 PI
Q9
2 ,9
9
,All
r
v
l総 反 応 数 35
ことを強調 したい.
・3
8正答数 3 ,3
3
,RBMT標準 プロ フ ィー ル
()
点 11 ,1]
,流暢性頭文字 し ・い ・
れL
I ,3.
7
/
分,
3 ,L
l
,
7
/
分 ,BADSll ,】0).
カテゴ リー 5.
I
_
)
n
t
)
光崎 こ脳外 f
i
jの高次 脳機能 町.
i
:
・
図 5 症 例 5の i
uRlT2感 調 L
E
t
l
i
I
簡
両側1
前i
L
1
'
i
紫脈祁即 に以似 が み られ,相 にイT
'
側 で 押目で あ る.イ;
前血 盟 と対極 の ん:
側i
)
r
l
・
-紘
i
)
1
L
i
射こもI
L
1
朗 がみ られ ろ (
C
(
)
upl
n
J
L
l
l
・
)
・と C
(
)
nue
c
oupmJ
ur
y)
.
【
前頭葉性 の情動障韓】
激性 と衝動性 の他 に,通過症候肝 とお もわれ る幻
前頭前野 ・旧謂野損傷 によ り,情動 の抑制障'
占,
聴が あ り hal
oPeri
dolを投与 していた.
攻 撃性元進が出現 す る.限間脳 回路 日の不全 で,
気分の急激 な変動 や欲求 の変化 を,周岡の状況
や
受傷 4カ月 口には 「もう一人 の 「1
分が (
頭 の中
に) いる」 と語 り,見知 らぬ男性 の声 で絶 えず
r
l
社会規職 に合わせて制御 す ることがで きない.情
分 の行動 をチェ ックす る幻聴 にr
kI
惑 していた. H
動 を誘発す る刺激が あ り, 苛々 した気分が生 じる
常動作 を促 す と 「もう一人 の l
t
l
分 が部 屋 をI
L
l
'
.
る
と,抑制 す ることがで きないまま,過剰 な感情的
な と言 っている」 とr
'
7
室 に閉 じこもった. しか し
反応 や攻 撃的行動 に移行 しエスカ レー トし,病的
病識 は乏 し く
,
「
(
悪 い ところは)な い」 と服 薬 は
な過剰 興喬,攻 撃行動 に至 る.攻 撃的行動 を抑制
L
l
'
.
棟
拒否 した.易怒性 が n立 ち,検 h'
L
や訓鮎 への .
す る聞値が低下 している. この病態 は,周岡か ら
の声 か けな ど些卿 な働 きか けに形相 を変 え,仁王
得 られ る様 々な認知 的情報 を手がか りとして, n
立 ち し拳 を握 りふ りあげ 「
貴様 に,俺 を帯同す る
らの感情 を抑 制 ・調整 す る過程 が障 害 され て い
資格 はない !」 と大声 で怒鳴 り立てた.
る7) と考 え認知障碧 に含 め うる.
にゑJ
聴 は消過
その後 「1
然経過 か,受傷 6カ月「I
し,受傷 1
5カ月 口に は,見 当識,注意,記 憶,
可復 した後 も易 怒 ・
【
症例 5】通過症候群 か らl
言語性知能 ともか な り改 善 した (
M MSE時 間項
塵 え向精神薬 内服 にて社会的 に適応 した年活 を継
n4
/
5 場所項 n5
/
5
,順旧5桁,三宅式 ・有 1」
3
, WAI
S-R VI
Q6
4 PI
Qス ケ ー ル ア ウ ト
続 している.
FI
Q49).拳 で壁 を殴 り,手指骨 を骨折 した こ と
興邦がみ られた前頭前野 ・限筒野損傷例.環境 を
0歳 代 に受 傷.保 存
精神科疾 患 の既往 な し. 2
i
)あ ったが,易刺激性 と衝 動煙 は hal
operi
dolを
(
J
C
S3
-2桁) よ
規則的 に服薬 す るようにな り軽減 した.受傷 2年
り阿復 した. 喚覚脱 出以外 の神経学的異常 な し.
「は らに神経心理学的陪賓 は改享
年をみせ (
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SLTA上 失語 な し.受傷 3カ H H,注意 力低 下
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順 唱 3桁),持 続 力低 下,見 当識 障 害 (
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時間項 nO
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5 場所項 R 1
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,知 能 低下,記銘 プJ
,PASAT2秒 正 答 数 5
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障害 (
三宅式 ・宥 (
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)がみ られた. また易刺
所で作業が可能 になった.社会的立場 がで き情動
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9巻 3号
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症例 6の MRIT'
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両側 前頭 柴皮 '
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旧端野 を介 む) に損俊 が み られ る. また,イT
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下 の 朋I
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であ る.
はさらに落 ちついた. REHi物理的 に家人 と離れ
ない. てんかん と合併 しうるが てんかん とは別 な
るため,家人 への暴言 も減 った.
もの とされている25).
0年間,現場 で作業 を行 う会社員 とし
その後 1
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て保 護 的就 労 が続 い て い る.現 在 ,s
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宅外 で は情 動 はほ ぼ
【
n己 の振 る舞 いが周 囲 に どの よ うに波及 す る
かについての認矢川障害】
安定 している.家人 に対 しては しば しば声 を荒げ
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己の振 る舞 いが どの ように周
n己の状態や, r
て怒 るが,暴j
J行為 に至 ることはない.家族 ・親
囲に波及す るかについて認知 が乏 しい場合 には,
族 内で本人 に役割が あた えられ, 自尊心が保 て る
社会生活上大 きな支障 をきたす. この者で は,行
とい うこと,毎 「Ⅰ
の行動 を∩記 に記 し,怒 りに至
動障害 の項 で述 べたように,他人 の情動 の情報 を
る過程 を後でふ りか える習慣 を身 に着 けた ことが
有用 に活か した り, ∩己の本来 ある情動 を適切 に
精神症状 の安定 につなが っている.
利用 した りす る ことがで きない.すなわ ち,喜 び,
達成感,快 といった,意思決定や行動 を促進 させ
【
辺縁系のI
h
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j
・
動障鴛 】
る情動的 な脳 の信号 を, 白分の行動 に結 びつけて,
一方,辺縁系 を含 む側頭葉 内側部 にダメー ジを
社会通念上有 用 に利 用 す る こ とが で きな い3
2
)と
うけた例 で,誘 L
木卜
な く突然,激 しい情動興部や破
いう欠陥 をみ ることがで きる.
壊行動 が生 じることが あ り,挿話性衝動制御不能
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) とよば
症候群 (
【
症例 6】 自己 の障害 に対 す る認識 が な く,か
れ る8
)
.ヘルペ ス脳 炎後退症 として有 名 だが,脂
つ ∩己の行動 の帰結が 情動 を伴 った形で認知で き
外傷後 に もみ られ る.突然 かみつ く, ひ っか く,
ず行動 を修正で きない例.
大声 で怒 る,食器 をなげる等,一定時間持続 し,
中年期 に受傷 した有能 な会社 員.2週 間の昏睡
突然平静 に もどる.誘 因な く攻撃 し,対象者 の区
JCSl
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1300) か ら回復 し,l
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q肢 麻 痔 な く
状態 (
別 な く生 じる点で,前述 の前頭葉性 の抑制障割̀ こ
受傷半年 で在宅生所 になった. この受傷半年時点
よる攻撃性冗進 とは区別 され る36).発作様 に生 じ
で記憶障害や見 当識 障密 はほぼ境界域近 くまで改
るため側頭葉 内側部 の電気生理的異常 との聞達 が
RBMT標 準 プ ロ フ ィ ー ル 点 1
9点,三 宅
善 (
示唆 され るが, てんかん波 との関連 は明 らかで は
1
0-1
0,無 243,HDS-R2
8点) し,
式 ・宥 9-
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先崎 :脳外傷 の高次脳機能 障害
前頭葉性 の注意障害 も目立 たな くな った (
MST
事故や災害,暴力の心理的な トラウマによる精神
I21秒,ⅠⅠ22秒,Ⅰ
Ⅰ
Ⅰ24秒 いずれ も誤 りな し)
.
SR VI
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Q8
0と
受傷 1年後 には,WAI
症状 なのか判別が難 しい場合 ,(
2
)
脳外傷 で意識障
知能 もほぼ平均 レベル にまで回復 した. この とき
正常)で画像上
gow ComaScal
e1
4点か 15点 (
易怒性,抑制欠如がみ られ,家人 に暴力 を振 るい,
所見が な く, その後 の MRIや SPECT な どの画
oper周囲の人々に対 して暴言がみ られ るため hal
像検査や脳波がすべて正常な場合,(
3
)
乳幼児期か
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dolを 投 与 し て い た. そ の 後 ,ri
ら児童期 に脳損傷 の既往があ り,青年期以後 に行
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eに変更 し,易 怒性 は軽減 し現
動神経学的ない しは精神神経学的症候が発症 した
在 に至 る.
場合,外傷 前 にすで に多動症候 群 (
ADHD) で
本人 は機能低下や能力低下 の自覚がな く,受傷
1年半後 に復職 した.職場で は,周囲の状況 を配
害の持続時間が短 く,救急病 院搬入時 には Gl
as・
あった場合,(
4)
脳外傷後 に,幻覚や妄想 を呈す る
場合,である.
慮 して物事 を行 うことがで きず,チーム ワークを
また リハ ビリテー ション領域で は,本稿 に示 し
保 って仕事 を遂行す ることは困難であった.礼節
た ように長 い期間にわた る治療,訓練, カウンセ
もなかった.会社では勤務中に 「もっと自分の能
リング,環境調節,家族指導 ・援助が必要である.
力 を発揮で きる職業 に就 きたい」 と発言 し,職務
脳外傷後の高次脳機能障害 (
神経心理学的障害)
を遂行せず転職活動 を公然 と行 う.仕事 とは関係
には診断,治療,社会復帰の全領域 にわたって,
のないメールやサイ トの閲覧 を仕事中に同僚が見
様々な問題が山積 していて,精神科医 に求 め られ
ている前で平然 と行 う. また,社会道徳的に逸脱
るものは大 きい.
した行動 を繰 り返す.返却す る気持 ちがないのに
借金 をす る.行動の帰結 について指摘 して も内省
や罪の意識が乏 しい.本人 は,悪い ことをしてい
るという感情がわいて こない,周囲の人達が自分
謝 辞
いつ も勉強 の機会 と励 ましを与 えて下 さる加 藤
元一 郎先生,腔 島晴雄先 生 をは じめ とす る虚雁 義弘大学 医
学部粁神神経科学教室神経心理研究グループの皆様に深謝
いた します.
を非難 しているのがわか らない と語 った.
文
この例では右側頭葉 も大 き く損傷 されている.
右半球損傷後 にはしば しば相手 の顔 の表情や声の
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【お わ り に】
脳 外傷 後 の高次脳機能 障害 (
神経心理学的障
害) は,障害の様相が一律ではな く, また重症度
によ り治療効果や帰結 も様々である. そして精神
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松 捕雅人訳 :精神
を,損害保険や賠償上 の理由か らも求め られる.
医学 ・行動神経学コンサイスガイド.メディカル ・サイエ
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6
)
ンス ・インターナショナル,東京,1
1)
診 断 に関 す る困難 な場 合 を,加 藤 12) は以 下 (
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4
)
のように指摘 している.(
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)
どこまでが脳器質
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支援モデル事業, とくに診断基準 と対象の選択について.
高次脳機能研究,2
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次脳機能障害支援モデル事業,最終報告臼,及び集計表.
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Neurobehavioral Disability following Traumatic Brain Injury:
7 Cases that Exhibited Neuropsychological Impairments and Neuropsychiatric Syndromes
Akira SENZAKI
Department of Neuropsychiatry, Saitama Prefectural Rehabilitation Center
The term "higher brain dysfunction" is used to describe neurobehavioral disability or
neuropsychological impairment in Japan. Patients with sphenoidal injury and diffuse axonal
injury after traumatic brain injury manifest clinical and neuropsychological symptoms.
Following closed head injury, patients exhibit a variety of symptoms. In this paper, the
author describes neuropsychological dysfunctions/courses and neuropsychiatric syndromes in
7 representative cases who were characterized by: (1) attention deficit, (2) memory dysfunction, (3-a) perseveration, (3-b) dysexecutive syndrome, (4) disorders of drive and motivation, (5) emotional deficits, and (6) lack of ability to recognize the effects of his/her behavior.
There are wide varieties of difficulties in assessment, treatment, and rehabilitation for
cognitive impairment and behavioral disability after traumatic brain injury. Neuropsychiatrists are expected to participate in this field in Japan.
<Author's abstract>
<Key words: higher brain dysfunction, neurobehavioral disability, neuropsychological
impairment, traumatic brain injury, diffuse axonal injury>
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