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仙台二高の生徒たちが新日鉄住金の本社を訪問。様々な製品の見本などが並べられた机に生徒たちが集まった(詳細は 4・5 面)
巻頭特集
第66回 高円宮杯 英語弁論大会
上位3人が英国研修
2・3
学校×企業 仙台二高×三菱商事、新日鉄住金
社会で働く意味 考える機会に
リポート
新聞の読み方研修 6 教員の免許更新講習 7
手作りの新聞できた! 8 福島で特別授業 竜王戦を読む 9
夏休み親子新聞教室 10 リレーエッセー 11
4・5
2015.9
Vol.8
Yomiuri Education Network
設展示「日本ギャラリー」など
を見て回った。2週間の授業の
あとのロンドンでの経験は、自
(IAEA)事務局長のほか、有村治子女性活躍相、服部幸應(ゆき
基金の出身者に、天野之弥(あまの・ゆきや)国際原子力機関
お)服部学園理事長ら。
今回、吉村わかばさんは、昨年度の英語弁論大会上位3人の引
率者として英国研修に同行した。
Japan National Student Association Fund
読 売 新 聞の 支 局 も 訪 問
した。
3人は、フランスや中国など
世界各地から集まった約 人の
9歳から 歳の若者たちと合宿
生活を送りながら、教室での英
語の授業のほか、博物館や近郊
の 街 巡 り、 ボ ウ リ ン グ 大 会 と
いった課外活動を通じて本場の
英語に触れ、仲間たちとの親睦
● 鈴木君
「 文 化 や歴 史 も 学べた 」
鈴木君は、「英語だけでなく、
英国の文化や歴史も学べる質の
高い授業だった」と感銘を受け
た様子。英語の勉強の仕方一つ
とっても、ただプリントと向き
合うのではなく、ゲームを通し
て学んだり、クラスメートと意
見を出し合ったりと、いろいろ
なアプローチの仕方があること
を学んだという。さらに、様々
な国の若者と交流する中で、英
語をツールの一つと捉えるよう
になり、さらに英語以外の外国
語に対する関心も強く持つよう
になったという。
● 中嶋君
「 自 然になじむことができた 」
中嶋君は、当初は初めて会う
人々と英語で過ごすことにとて
にわたり、研修の様子などを話
し合った。
大 英 博 物 館 で は、 キ ュ レ ー
ターに日本の展示を案内しても
てくるということではないで
しょうか」と説明を受け、うな
ずいていた。
読売新聞のロンドン支局で
は、森太欧州総局長と1時間半
からは「キャリアを積んでいく
中で海外で働くチャンスが巡っ
国への理解も深めたいと力強く
話していた。
た。同時に、展示を見て、日本
の歴史や文化に関する知識がま
だまだ足りないことも痛感した
という。
3人とも異口同音に「あと
週間はここにいたい」と、ロン
ドンを立ち去りがたい様子だっ
たが、帰国後は英語だけでなく、
世界史や他国の文化、そして自
ているのは日本だけ、などとい
う説明に熱心に聞き入ってい
も不安を感じていたという。し
かし、午前中のクラスを中心に
心を開ける友達を見つけること
らったが、一つの国で先史時代
から現代までを通して展示され
ティーで、週末はカンタベリー
やロンドンで課外活動に励ん
だ。また、海やプールに行った
り、キャンプファイアをしたり
を深めた。
主なプログラムは、午前中は
クラスに分かれて語彙や文法な
ど 英 語 の 学 習、 午 後 は ス ポ ー
ツやゲームなどのアクティビ
50
と、イギリスの夏を楽しんだ。
2週間「有意義な体験」
この研修は、英語弁論大会に
協賛している三菱商事からの副
賞として毎年行われており、今
回は、広島学院高校(広島市)
1 年 の 鈴 木 健 斗 君( )
、栄光
学園高校(神奈川県鎌倉市)1
年 の 中 嶋 勇 太 君( )
、金城学
院高校(名古屋市)1年の尾島
百合子さん( )の3人が参加
16
2
2015.9〈vol.8〉
上位3人が英国研修
さ ん は、
「外国人のクラスメー
トが積極的に発言する姿に、い
い刺激を受けた」と言い、2週
分たちの英語力を試す機会とも
なった。英国は日本と同じ島国
でありながら、日本よりも多様
発展ならびに国際親善に寄与すること」
(JNSA基金定款第3条よ
16
英語弁論大会
間の研修では、積極的に英語で
話しかけるうちに親しい友人が
でき、別れてからも連絡を取り
り)を理念としている。
17
第 回 高円宮杯
ができた。勉強面でもアクティ
ビティー面でも様々な経験をす
ることができ、有意義な二週間
だ っ た と 振 り 返 り、
「英語しか
通じない環境だったが、クイズ
形式の授業やレクリエーション
熟達させる事業を行うとともに、広くその普及を図り、日本文化の
●三菱商事、
合うほどの仲になった、とうれ
しそうだった。
青少年を育てるために、国際語である英語を全国の学生、生徒に
3人はロンドンで、読売新聞ロ
ン ド ン 支 局、 三 菱 商 事 ロ ン ド
は楽しく、自然になじむことが
できた」と強調した。
70年近い歴史を誇る。現在は「21世紀の日本を担う国際性豊かな
な人種が住んでいて、あらゆる
ところで様々な言語が飛び交っ
ており、国際化が進んでいるこ
とを感じたという。
基金の前身の日本学生協会は終戦直後の1946年に設立され、
2週間のバックスモア・プラ
ンプトン・カレッジでの研修後、
おり、本部と事務局は読売新聞東京本社内にある。
● 尾 島 さん
「 親 しい友 人 ができた 」
吉村わかば・日本学生協会(JNSA)基金運営委員長
語弁論大会をはじめとする諸行事の企画・運営を主な活動として
ン・オフィスを訪問、三菱商事
が後援している大英博物館の常
昨年12月の第66回高円宮杯全日本中学校英語弁論大会で1~3位に入賞した3人が、
一方、2020年東京五輪・
パラリンピックで通訳のボラン
ティアになることを目標に英語
学習に励んでいる、という尾島
帰国した。
「とても有意義な体験だった」
と3人は研修を振り返っていた。
び東京近郊の大学生約60人によって構成されている任意団体。英
1
州総局、三菱商事ロンドン・オフィスを訪問、大英博物館見学後に帰路に着き、8月14日
高円宮杯全日本中学校英語弁論大会出場経験者など東京およ
15
週 末に、クラスメートたちと
バッキンガム宮殿を訪れた
トン・カレッジで英語の特訓プログラムを終えた。3人はプログラム終了後、読売新聞欧
70年近い歴史 高円宮杯を支え
三菱商事のロンドン・オフィ
スでは、欧州・アフリカの事業
を統括しているという商社の仕
事に関心を深めたようで、欧州
三菱商事の環境・CSR推進部
マネジャー、ジェイムズ・ゴム
さんに「入社後、三菱商事のロ
ンドンで働くためには、どうし
観光を楽しむ3人
三菱商事のロンドン・オフィスで同社のスタッフと鈴木健斗君
(右から3人目)
、中嶋勇太君
(同4人目)
、尾島百合子さん
(同5人目)
、吉村
わかばさん
(左から2人目)
たらいいか」と質問。ゴムさん
研修後、ロンドン市内で
66
7月28日から8月11日の日程で、英・イーストサセックス州にあるバックスモア・プランプ
日本学生協会(JNSA)基金
2015.9〈vol.8〉
3
巻頭特集
巻頭特集
Yomiuri Education Network
社会で働く意味 考える機会に
三 菱 商 事 に は 1、2 年 生 人
の生徒が訪問。会社の概要や具
自 動 車 用 鋼 管 、法 務 、
新 商 品 開 発 、広 報 … …
部門から黒澤辰昭さん、それに
総務部広報センターから吉住剛
さんの4人がそれぞれの部門の
話 を、 自 ら の 高 校 時 代 の エ ピ
ソードを交えながら、話した。
と同社の概要を説明。その後、
営業部門から佐藤千秋さん、法
務部門から千葉修平さん、技術
一 方、 新 日 鉄 住 金 本 社 に は
1、2 年 生 人 が 訪 問。 ま ず 総
務部広報センターの藤原知佐子
さんが、素材メーカーとして鉄
鉱石を主原料に高度な技術で高
機能の鉄鋼製品を作っている、
織 図 を 示 し な が ら、
「三菱商事
は、地球環境・インフラ事業、
新産業金融事業、エネルギー事
業、金属、機械、化学品、生活
産業の7グループにビジネス
サービス部門を加えた体制で幅
環境・CSR推進部の寺島吉
昭さんがスクリーンに映した組
サ ー モン養 殖 、アルミ 精 錬 、
東日本大震災復興支援……
体的な仕事の内容について、若
手社員の話に聞き入った後、8
グループに分かれ、社員と同社
OBのディレクトフォース会員
とディスカッションを行った。
73
現在、主に自動車用鋼管の営
広い産業を事業領域とし
ている総合商社」と会社
の概要を説明。
貿易のみならず、パー
トナーとともに、世界中
の現場で開発や生産・製
造などの役割も担ってお
り、国内及び海外約 か
国に200以上の拠点を
持 ち、 6 0 0 社 を 超 え
る連結対象会社と提携
してビジネスを展開し
て い る こ と を 説 明。「 連
結対象会社の従業員は
約7万2000人に上
り、 三 菱 商 事 単 体 の 約
5600人の 倍以上に
相当する」という話に生徒たち
の間から、小さな驚きの声も漏
れた。
プ金属資源本部アルミ事業部の
佐藤伸昭さんは、アフリカのモ
ザンビークで、国家プロジェク
トとして立ち上げられたアルミ
製錬工場(4社共同出資)に駐
在していた頃の仕事や、現地で
の学校づくりなどの社会貢献活
動 を 説 明 し、「 国 籍 が 違 い、 目
標も違う4社がひとつの目標に
向かっていく、やりがいのある
仕事だった」と振り返った。
さらに、環境・CSR推進部
復興支援チームの木目田健二さ
んが、同社の社会貢献の大きな
柱、東日本大震災の復興支援活
動を紹介。延べ3700人にの
ぼるボランティア派遣、自治体
やNPO団体などへの支援・助
成、産業復興・雇用創出などの
活動を説明すると、震災県・宮
城の高校生徒だけに、真剣な表
情で聞き入っていた。
「 価 値 観 、常 識 の 違いを
認 識 、尊 重 して 」
この後、既に登場した若手社
員4人と、三菱商事OBでディ
レクトフォース会員の4人の計
8人が生徒たちの八つのグルー
プに一人ずつ参加してディス
カッションが行われた。OBの
4人は、いずれも海外経験が豊
富な熊谷春水、田部揆一郎、小
林健、白方純さん。
続いて、三つのグループで働
く社員が自らの経験を織り込み
ながら担当の仕事を紹介した。
最初に登場した生活産業グ
ループ生活原料本部水産部で
サーモン事業担当の若林奈津子
さんは「日本だけでなく、世界
的に人気の魚であるサーモンの
事業に力を入れている」と解
説。「 チ リ や ノ ル ウ エ ー で 養 殖
業に参入しており、私自身ヨー
ロッパや南米に何度も出張して
いる」と仕事の内容を、海外出
張での苦労話を交えて話した。
「 日 本 の 常 識、 世 界 の ジ ョ ー
新日鉄住金時代にオーストラ
リア勤務を経験した向坂さんは
7人が、生徒たちの六つの班に
参 加 し て、「 今 取 り 組 ん で い る
ことが、将来仕事にどう活かし
ていけるのか」をテーマにグルー
プディスカッションを行った。
4人にディレ
この後、講師の
むこうさか
クトフォースの向坂勝之、藤村
峯一、長崎文康さんを加えた計
「 会 話の技 術 より
伝える中 身を」
何かに真剣に打ち込んでほし
い」と呼びかけた。
後、生徒たちには「これ以上は
絶対にできない、と思えるほど
次に講師に立った金属グルー
業 を し て い る 佐 藤 さ ん は、「 車
種、部品ごとに自動車メーカー
からの要望にコスト、納期など
を勘案して、最適な答えを導き
出し、顧客から信頼を得た時は
喜びを感じる」と語った。
国内法務室の千葉修平さん
は、 法 務 の 仕 事 に は ① 契 約 支
援、②トラブルの未然防止、③
起こった法的トラブルの処理
が あ る、 と 説 明。 グ ロ ー バ
ル 企 業 ら し く「 海 外 法 制 の 調
─
こう や いた
査、英文契約書の確認などの仕
事があり、海外出張もある」こ
とを強調した。
営業エンジニアとして、東北
支店(仙台市)で、堤防などで
英語の学習について「日本の英
語教育はすばらしいと思う。会
話の技術よりも相手に伝える中
身が重要だ」と強調。また吉住
さんも「仕事はチームワークが
大事だ」と熱く語っていた。
グループワークの後、各班が
ま と め を 発 表。「 会 社 で は 組 織
で活動することが多くなる。同
じ年齢の人だけでなく様々な年
代の人とコミュニケーション
できる能力を高めたい」
「他人
の心を理解する思いやりや仲間
と情報を共有することがチーム
ワークの形成につなげられる。
新しいことに挑戦し、何か一歩
シキ」のテーマで行われた討議
では、社員やOBが「グローバ
ル社会では、言語を理解するだ
けでなく、価値観や常識の違い
も 認 識 し、 尊 重 す る 必 要 が あ
る」と、経験に基づいて意見や
感想を述べた。
もう一つのテーマ「高校時代
に培う力」をめぐる討議では、
生徒たちから語学力の向上のほ
か、「コミュニケーション能力」
「団結力や強い意志」などの声
が上がり、社員やOBは「失敗
を恐れず、何事にも挑戦してほ
しい」とエールを送った。
最後に仙台二高の各グループ
の代表がこの日の感想や意見を
披露。その一人、奈良樹さんは
「海外に出て人と接するときに
は、一人ひとり考え方が違うと
いうことを胸に刻んで、自分を
客観的に見ていくことが大事だ
と思った」と話していた。
グロ ー バ ル 化 を 実 感
引率した仙台二高の若林春日
教諭はこの企業研修を振り返
り、「 生 徒 た ち に な ぜ 学 ば な け
ればいけないのかを考えさせた
り、大学の先にある目標を意識
させたりすることができ、とて
も有意義な機会だった」と手ご
たえを感じているようだった。
また、ディレクトフォースの
盤若浩孝さんは「仙台から東京
に来て、グローバル化の実際を
身近に感じることができ、しか
も今やローカルがグローバルと
重なっていることを実感できた
のでは」と話していた。
4
2015.9〈vol.8〉
東京駅から三菱商事、新日鉄住金本社に向かう
http://www.directforce.org/index.html
三菱商事OBとのディスカッションの後、感想を発表する仙台二高生
使用する鋼矢板の新商品開発に
取り組む黒澤辰昭さ
んは、より大きな鋼
矢板を開発するた
め、本当に使えるか
を試す製造試験、ど
れくらいの荷重に耐
えられるかを見る破
壊試験などを行うこ
とを説明した。
最後に登場した吉
住剛さんは、広報の
を踏み出す勇気につなげたい」
などの意見が出た。
2002 年に上場企業の役員経験者らが、企業での様々な経験や
培った知見を今一度社会に役立てよう、との趣旨で設立。中小
企業・ベンチャー企業支援、教育・環境などの分野で社会貢
献事業を行っている、会員 600 人の組織。教育分野においては、
実践的な大学講義、講演を行っているほか、小中高生向けに、
理科実験やキャリア教育の出前授業を実施している。
90
仕事についての説明
一般社団法人ディレクトフォース
12
佐藤、千葉、黒澤
さんはいずれも仙台
二高OBとあって、
生徒たちは熱心に耳
を傾けていた。
法務の仕事を説明する仙台二高OBの千葉さん
77
三菱商事
新日鉄住金
宮城県仙台第二高等学校(渡邊幸雄校長)の1、2年生150人が夏季研修プログラムの一環
として8月5日、東京・丸の内の三菱商事、新日鉄住金を訪問した。グローバル企業の第一
線で活躍する人たちの実際の仕事や経験を通じて社会で働く意味を考える機会に、と企画し
たもので、読売教育ネットワークに参加している一般社団法人ディレクトフォースの協力で
実現した。朝9時過ぎ、新幹線で東京駅に到着した生徒たちは二つのグループに分かれ、徒
歩でそれぞれ三菱商事本社、新日鉄住金本社に向かった。
(写真は秋元記者が撮影)
× 三菱商事、新日鉄住金
仙台二高
2015.9〈vol.8〉
5
学校×企業
学校×企業
Yomiuri Education Network
新聞の読み方研修
入社2・3年目の若手社員に新聞の構成を解説する和田浩二専門委員
企業人のスキルアップに
同社はトヨタ自動車の販売店
に対する経営コンサルティング
などを業務としている。この日
研修に臨んだのは、総務・経理
部 門 に 所 属 す る 入 社 2、3 年 目
の社員5人。講師は、大学での
講義経験が豊富な和田浩二専門
委員が務めた。
まず、新聞から拾い上げたい
くつかのキーワードをクイズに
し て ウ ォ ー ミ ン グ ア ッ プ。「
した。紙面のどの位置に記事が
あ る か、 見 出 し の 大 小 な ど で
ニュースの重要度を示している
と い う 指 摘 を、 受 講 生 た ち が
ページをめくって確認する。多
様な記事を一覧できるという新
聞の特徴を生かし、短時間で情
続いて、紙面のレイアウトや
記事の構成について、実際の新
聞を手にしてもらいながら解説
紙 面 構 成 を 知って
短 時 間 で情 報 入 手
増 減 」「 チ ャ レ ン ジ と い う 圧
力」といった政治・経済から、
「太眉」の流行まで、
「G ─jo」
幅広い内容が載っていることを
実感してもらう。
10
新聞を活用することで社会人、企業人としての力を高めても
らおうと、教育ネットワーク事務局は7月 日、東京・芝浦の
トヨタアドミニスタ株式会社で研修を行った。若手社員たちが、
新聞の効率的な読み方や、紙面の情報を取捨選択して上司への
報告書を作成する方法などを体験した。
29
報をつかみ取る読み方を伝えて
いく。
記 事 を使って報 告 書 作 り
記事を使った報告書作りがこ
の日のまとめとなった。大手家
電量販店が複数の店舗を閉鎖
し、都市型店舗に注力するとい
う記事を素材にした。受講者を
2グループに分け、片方は全国
展開のライバル量販店の広報部
員、もう一方は茨城県内で展開
する家電店の社員で、どちらも
上司に報告するという設定。
それぞれがメインタイトルを
つ け、 報 告 ポ イ ン ト を 三 つ に
絞 り 込 む。 全 国 展 開 グ ル ー プ
は「4期連続減益」を報告の筆
頭 に 置 い た が、「 こ の 記 事 の 書
き方では、減益は既報。上司は
もう知っているし、閉鎖要因の
一つにすぎないので、ほかの情
報を入れたいですね」と和田講
師。 他 方、
「県内6店舗閉鎖」
をメインにした茨城グループに
は、「 具 体 的 に 県 内 の ど の 店 舗
かを書けばもっとよかった」と
紙面の閉鎖店舗一覧表を指し、
新聞はグラフや表を多用してい
て、詳細な情報が確認しやすい
とつけ加えた。
読み手の立場や目的によって
関心は異なるため、相手が欲し
い情報が何かを考えることは、
新聞取材の基本でもある。重要
なことを冒頭に手際よくまとめ
るのも記事の常道。新聞を通じ
て、こうしたスキルを身につけ、
報告書や企画・提案書の作成に
役立ててほしいと話した。
受講生たちは、今後半年にわ
たって、継続的に新聞活用を学
んでいく予定だ。
「情 報の取 り方 わかった」
「 新 聞 は 就 職 活 動 時 に ピ ン ポ
イントで読んだだけ」と明かす
受講生もいたが、意識は変化し
たようだ。鮫島亮太さんは「新
聞の構成や読み方を気にしたこ
とはなかった。これからは時間
を か け ず に 読 め そ う 」、 村 山 加
恵さんは「好きな分野のニュー
スだけチェックしがちだった。
今日、経済記事もそれほど難し
くないとわかった」と話す。伊
藤淳さんは「新聞からの情報の
取 り 方 が わ か っ た 」、 荒 井 義 弘
さんは「様々な分野の面白そう
な記事が載っていて、読み込み
たくなった」と振り返った。
今回の研修を企画した総務部
人材開発グループの三枝宏至担
当 課 長( ) は、「 本 社 で は 2
年目の社員でも役員にプレゼン
テーションする機会がある。ふ
だん接する機会のない新聞記者
からいろいろな話を聞き、表現
力や文章力を磨いてほしいと考
えた」と話していた。
6
2015.9〈vol.8〉
56
10
読売新聞×トヨタアドミニスタ社
リポート
また、新聞記事を使用した教材
「ワークシート」作成の指導も
行われるなど、教育現場に持ち
帰って実践してもらえる内容が
盛り込まれた。
報道写真が新聞に掲載される
までの流れや、連日、ライバル
新聞と激しい競争を繰り広げる
内容を伝えられるような研修を準備しています。
「まわしよみ新聞」で、楽しくグルー
DVDには、大阪発のメディア遊び
プディスカッションをしながら、社会
への関心やプレゼン力を高めていく
様子や、情報収集の重要性、メディア
の特色を教える講義の一部が収録さ
れています。長さは約12分間。
問い合わせは、教育ネットワーク事務局(☎03・3217・1966)へ。
教員の免許更新講習
講義では、記者の仕事を疑似
体験する記事執筆の演習も行わ
れ、講師を務めた記者が「直す
ところのない完全原稿」と称賛
する記事を書き上げた教員もい
て、会場を沸かせていた。
「早 速 2 学 期 か ら取 り組 みたい」
く、文章の書き方、情報の分析や整理の方法、訴求力のある発信の仕方
玉川大学が開講する教員免許状更新講習「新聞で育む『言語
力・人間力』」が8月 、 日、読売新聞東京本社と玉川大学
を会場に行われ、首都圏の小中高校の教員 人が参加した。
など、新聞取材や編集の中で長年培ってきたスキルから、仕事に役立つ
写真部記者の日常を伝える講義
もあり、参加した教員からは、
「新聞を教材にという視点が足
り な か っ た と 実 感 し た 」「 役 に
DVDの作成は、
こうした声にこたえたもので、新聞の活用法ばかりでな
2日目は、グループワーク中
心の講義となった。
「 ま わ し よ み 新 聞 」 で は、 当
日の朝刊から各人が面白いと
向けた研修の要望が強まっていました。
みとなった。
1 日 目 は、 同 大 教 師 教 育 リ
サーチセンター非常勤講師も務
める鹿野川喜代美・読売新聞N
IE企画デザイナーが、新聞活
用の効果や実践例などを紹介。
学校でのスマートフォンの問題
ない」
「読み方を知らない」
といった声が企業側から寄せられ、社会人に
を取材している読売新聞編集局
教育部記者や元台北特派員らが
ついての講演を行ってきましたが、近年は「新入社員が新聞を読んでい
立 つ 楽 し い 講 義 だ っ た 」「 早 速
2学期から取り組んでいきた
い」などの感想が寄せられた。
読売新聞はこれまでも、企業からの依頼に応じて、記者が専門分野に
た。同大の今年度の教員免許状
更新講習は、 の講習が設けら
れ、391人が応募。それぞれ
が希望の講習を選択受講した。
見出しを考えるグループワークも行われた
思った記事を三つ選び、プレゼ
ンテーションを通して、グルー
プでひとつの新聞にまとめた。
内研修の担当者などに配布して活用していただこうと考えています。
35
現職の教員は、教員免許状の
更新のため、 年ごとに 時間
の更新講習を受ける必要があ
る。1日目は東京・大手町の読
「まわしよみ新聞」
で完成した作品を各グループが紹介した
講義に立ったほか、読売新聞社
の見学ツアーが実施された。
企業に向けて、読売新聞がどのような研修ができるかを映像で説明す
11
読売新聞社が請け負ったのはそ
のうちの一つで、今回が初の試
るDVD「読売新聞の記者講師派遣」が完成しました。関心を持たれた社
21
10
30
売新聞東京本社で、2日目は東
京都町田市の玉川大学で行われ
「読売新聞の記者講師派遣」完成
10
2015.9〈vol.8〉
7
文章の書き方、情報の分析、
整理方法、発信の仕方……
DVD
News
まわしよみ新聞や
ワークシート作り
リポート
Yomiuri Education Network
リポート
の編集現場さながら。午後3時
過ぎ、プリンターから最初の大
ゲラが刷り出されると、記者の
紙面は会期の 日まで会場に掲
示され、来場者の注目を集めて
いた。
指導する記者側も相当にハード
な作業となるが、それだけに校
了時の感激はひとしお。9枚の
東京国際
フォーラム
手作りの新聞は
会場に掲示され
た
「 こ こ は ど う い う 意 味? わ
かりやすく書き直して」
「写真
がピンぼけだ。撮り直し!」
「見
出 し を 早 く。 も う 締 め 切 り だ
小学6年生・梶田明子さんは目
を輝かせて自分の紙面に見入っ
ていた。
梶 田 さ ん の 父、 武 彦 さ ん は
「こんなに子どもが集中して取
り組むワークショップはほかに
ない。学校でも取り入れてほし
い。新聞社も大変だと思います
が、こういった企画はぜひ続け
てほしい」と話していた。
手作 りの 新聞 できた!
本 紙 記 者 が 指 導
世界でただ一枚の「自分だけの新聞」を作ろうという
子ども向けワークショップが8月の3日間、
都内の2つのイベント会場で行われた。完成紙面は
「読売新聞」のロゴが入った本格的なもの。
参加した子ども記者も、サポートしたプロ記者も、
子ども新聞社
汗まみれになって「校了」を目指した。
科学技術館
14
丸の内キッズ
ジャンボリー
取 材 、撮 影 、
記 事・見 出 しの作 成 … …
このワークショップでは、ま
ずプロ記者(教育ネットワーク
事務局の石田汗太専門委員)が
「 取 材 の 心 得 」 講 義 を し た 後、
露
よ」― 。
8月 日、東京・日比谷の東
京国際フォーラムで開催され
た「丸の内キッズジャンボリー
2015」で、読売教育ネット
ワーク主催のワークショップ
「丸の内キッズジャンボリー新
聞社」が行われた。参加したの
は小学5年生から中学1年生ま
科学技術館で大
・展望展を取材
する子ども記者
取材後は執
筆と印刷
⇔
50
子ども記者がイベント会場を取
材し、写真を撮り、記事を執筆
し、見出しを考え、活字で組ん
18
また、 日と 日には東京・
北の丸公園の科学技術館でも同
30
だ新聞を完成させるというも
の。半日たらずで一人が一枚ず
つ新聞を作るため、子ども側も、
11
8
2015.9〈vol.8〉
11
様のワークショップが行われ
た。同月 日まで開催された夏
休み特別展「くらしの技術
年 大・展望展」を取材し、計
人の子どもが「自分だけの新
聞」を作り上げた。
15
での9組計 人。
会場の一角に設けられた編集
部には、パソコン数台と大型プ
リンターが持ち込まれ、子ども
記者と指導役の読売新聞記者が
真剣にやり取りする様は、本物
出来た新聞を披
12
リポート
性を伝えたいと企画し、福
島民友新聞社の協力で実現
伝わってきます」と、読み
物としても面白いと解説。
九段は観戦記を読み上げ、
「戦っている雰囲気がよく
竜王戦を読む
読売新聞の将棋欄と1面
コラム「編集手帳」を題材
した。将棋や囲碁の対局の
模様を再現する観戦記は、
福島で特別授業
にした特別授業「竜王戦を
読む」が8月8日、福島市
昭和初期から読売新聞の名
物連載として好評を得てお
り、
「観戦記文学」とも称
されている。
す」と語った。さらに「パ
ソコンやスマホは便利です
が、すべてをそれに頼らず、
「将棋欄の指し手を最後ま
で 読 ん で、( 翌 日 の 新 聞 に
掲載される)次の一手を考
えるのは有効な上達法。社
会人になっても役立ちま
「観 戦 記 か ら考 える 力 を」
授業は2時間行われた。
1時間目で講師を務めた島
活字を読み取る力、考える
力を身につけてほしい」と
子どもたちに呼びかけた。
「子 どもには
努 力 したときにほめる」
また、島九段は子育てに
つ い て、「 勝 っ た 時 に ほ め
る と、 子 ど も は 成 功 し な
ければいけないとプレッ
シ ャ ー に な る。 努 力 し た
時、頑張った時にほめるの
が大事」と話すと、会場に
いた父母らは大きくうなず
いていた。
2時間目は、中村修九段
夫人でフリーアナウンサー
の雅子さんが、編集手帳を
「日本語のお手本」と紹介
し、参加者と一緒に朗読し
郡山市から参加した小学
6年の男の子( )は、
「停
滞期の乗り越え方を聞くこ
局ずつ対局を行い、実践形
式で好手や疑問手などを挙
げてアドバイスした。
この後、島九段と飯塚祐
紀七段が、子どもたちと一
授業後、島九段から参加
者一人ひとりに修了証が手
渡された。
参 加 者には 修 了 証 授 与
国語力も将棋もどんどん強
くなりますよ」と話した。
た。「 新 聞 を 熟 読 す れ ば、
飯塚祐紀七段
(左)
の指導対局
とができて励まされた。新
聞を切り抜いて勉強してい
るので、続けていきたい」
と話していた。
島九段から修了証を受け取る参加者
将棋と新聞の魅力
2015.9〈vol.8〉
9
12
の福島民友新聞社で開かれ
た。福島、山形両県の小中
学生と保護者ら 人が集ま
り、将棋と新聞の魅力を学
んだ。
この催しは、初代竜王で
日本将棋連盟常務理事の島
朗九段が、活字文化の重要
将棋の観戦記をもとに
「考える力」
の重要性を強調する島九段
42
Yomiuri Education Network
個 性 光る新 聞 作り
夏休み親子新聞教室
新聞を切り貼りして、自分だけの新聞を作る「夏休み親子
新聞教室」が8月1日、東京・大手町のよみうり大手町ホー
ルで開かれ、1都7県からきた 組約170人の親子らが
新聞作りを楽しんだ。
充 実 し た 親 と 子の対 話
68
子どもたちがとり上げたの
は、戦後 年に関連した玉音放
送やギリシャの債務危機問題、
世界遺産、自然保護などさまざ
ま。それぞれが気になる記事や
写真などを切り抜き、レイアウ
トを工夫しながら、オリジナル
の新聞作りに励んだ。
鹿野川さんと教諭3人が会場
内を回ってアドバイスをした
後、最後は8組の親子が壇上に
上り、それぞれの作品を紹介、
参加者は真剣な表情で聞き入っ
ていた。
今回の体験を通じて、子ども
からは「自分で考えて作るのが
楽しかった」などの声が挙がり、
親からは「こんな硬派な話を娘
としたのは初めて。楽しい時間
でした」
「息子が自分でテーマ
を決めてどんどん作品を仕上げ
ていくのが頼もしかった」など、
子どもとの時間を喜ぶ親や祖父
母の声が多く聞かれた。
(夏休み親子新聞教室の詳報は
8月 日付の朝刊で掲載されま
した)
26
2008年のスタートから毎
夏行われている、読売新聞東京
本社主催の取り組みで、学習指
導要領改訂に合わせ、小中学校
の教科書には、新聞活用単元が
増えているためか、今年は募集
組に166組と、2倍以上の
応募が殺到する人気ぶりだった。
参加した子どもたちは4歳児
から中学2年生で、夏休みを利
用して海外の日本人学校から参
加 し た 小 学 生 も。 ま た、
「4年
連続で応募して、ようやく今回
当選できた」と、初めての新聞
教室に感無量の様子の中学1年
生と母親も。
冒頭、鹿野川喜代美・本社N
IE企画デザイナーが、新聞を
楽しんで読むコツをアドバイ
ス。さらに千葉市立鶴沢小の高
橋庸介教諭、東京都北区立滝野
川小の石井百合子教諭、埼玉県
川越市立初雁中の高橋由香里教
70
10
2015.9〈vol.8〉
諭が、日頃行っている新聞を活
用した授業や子どもたちの作品
を 紹 介 し た 後、 子 ど も た ち は
早速、読売新聞や読売KODO
作品づくりは気に入った記事の切り抜きから始まる。親子の会話もはずんだ
70
MO新聞、読売中高生新聞をめ
くって記事選びを始めた。
8組の親子が自作の新聞を発表した。左は鹿野川・本社NIE企画デザイナー
NIE
リポート
Newspaper In Education
海外で学ぶ・リレーエッセー⑧
つ え も と
はるか
杖本 遥
さん ある先輩がこう言った。4万
人の学生の5分の1を占める
149の国々の留学生がいるブ
リティッシュコロンビア大学(U
2 0 1 4 年 8 月 末、 新 入 留
学生のために行われた2週間
の「ジャンプ・スタート・プロ
グラム」で8人の仲間と出会っ
ができる。このパイがなかなか
固くて、当たると痛いのだが、
わたしも8人の輪と一緒に教授
や友達に投げつけた。工学系の
学生生活は勉学的にはタフだ
り、この間はだれもが友達や教
授たちの顔にパイを慈善で投げ
ることができる。パイを一つ買
えば教授の顔に投げつけること
( 会 報 編 集 部 抄 訳 The Japan
2015年3月 日)
News
なって初めて重要な作用を果た
すことができるのだ。UBCで
わたしはそれを見つけることが
できた。
が、仲間は一人で耐えることを
許してくれない。歯車はひとつ
では動かない。つまり、一緒に
た。そして8人の輪は期間中に
生まれた。みな工学部の学生だ
から、それほどの抵抗もなくま
とまった。結びついたのは本当
に偶然だ。ドバイ、香港、イン
ド、パキスタン、ロシア、スイ
ス、シリアそして日本からのユ
ニークな留学生たちが一つの輪
になったことに今でも驚いてい
る。
我々はみな母国以外の国で数
年間を過ごした経験があるか
ら、違う文化や価値を共有し尊
重できた。例えば、母国同士は
長年張り合っている、パキスタ
ンとインドの出身者が母国の宇
宙開発の進捗状況の違いについ
てさえ、ジョークを言い合って
いる。我々は、いつでもひやか
し合えるほど仲がいいのだ。
我々は一生懸命に勉強する
し、助け合う。わたしは化学を
教える一方、パキスタンとロシ
( http://ryu-fellow.org)
へ。
BC:カナダ・バンクーバー)
では、人生を変えるような出来
事が4年間で起こったり、一生
の友達ができたりするかもしれ
ない。
実にその先輩の言っていたこ
とは確かなものであった。わた
しは仲間意識を持てる「8人の
ア の 友 人 か ら は、 数 学、 コ ン
ピューター・プログラミングを
教えてもらうことができる。み
なそれぞれ自分の得意分野で仲
間に教えあう。
をリレー連載します。留学フェローシップの詳細はウェブサイト
加藤学園暁秀高校(静岡県沼津市)卒、加ブリティッシュコロンビア大学2年 UBCキャンパスで
(本人提供)
2015.9〈vol.8〉
英語の原文は http://the-japan-news.com/news/article/0001996617でお読みいただけます。
11
輪」に自然と溶け込んでいた。
これこそ自分が長年探していた
ものだった。毎週こなさなけれ
ばならない宿題や試験に圧倒さ
海外留学を目指す高校生に進学支援を行っているNPO法人
26
「留学フェローシップ」のメンバーが、海外のキャンパスライフ
U.S.
遊びについても真剣だ。パイ
週間、と呼ばれる工学部生のみ
の特別な一週間が学期始めにあ
1908年創立。カナダの大学で最も評価の
高い大学のひとつとされている。全日制、
夜間、通信教育の12学部がある。
Vancouver
University
of British
Columbia
れそうになったとき、いつも助
けを求めることが出来るのがこ
の輪だった。
ブリティッシュコロンビア大学
Canada
加ブリティッシュコロンビア大学
「未来のエンジニアたちの絆」
リレーエッセー
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