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2研究概要 - 山形大学医学部

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2研究概要 - 山形大学医学部
2 研究概要
2-1 国際共同研究 Vol
.1ユタ大学
拠点サブリーダー
山形大学大学院医学系研究科
分子疫学部門生命情報科学
山形大学医学部器官病態統御学講座
血液・循環分子病態学分野
久保田 功
教授 教授 I
saoKubot
a
TakeoKat
o
山形大学 21世紀 COEプログラム「地域特性を生か
も成り立つか否かを検証するためのシステムを構築し、
した分子疫学研究」は山形県在住の日本人集団を対象
さらに日本人以外の人種集団において検証するシステ
として生活習慣病の発症に関与する遺伝的素因を明ら
ムを構築した。国外の共同研究先として米国ユタ大学
かにしようとするものである。しかし、1つの日本人
を選んた。その理由は同大学が遺伝的 QT延長症候群
集団で明らかになったことが、他の日本人集団、さら
の原因遺伝子特定など分子疫学研究では世界をリード
には人種の壁を越えて人類共通のものであるか否かは
する立場にあり、かつ豊富なデータベースを有してい
知ることができない。この問題を解決するために、私
るからである。
達は高畠町の住民から得られた結果が舟形町の住民で
以上の経緯により、山形大学 21世紀 COEプログラ
図 1 ユタ大学との共同研究契約
22
加藤 丈夫 (生命情報内科学)
ム側の山形大学医学部、地域・大学発研究所 COMEセ
山形大学、
COMEセンター及びヒュービットに開示し、
ンター(以下、COMEセンター)、ヒュービットジェ
全ての当事者間で総合的な検討を行う。同時に、各当
ノミクス株式会社(以下、ヒュービット)とユタ大学
事者は、本共同研究のもとに、教職員、研究者及び教
心血管遺伝学研究所との間に 2007年 1月 1日に共同
育研究資料の交換を行うとするものである。
研究契約が締結された(図 1)
。この共同研究の骨子は
ユタ大学との共同研究はスタートしたばかりである
以下の 3点である。1)山形大学、COMEセンター及
が、既に幾つかの研究成果が得られている。山形の一
びヒュービットは、ユタ大学に対して、山形大学と
般住民を対象とした血清の脂質を規定する肝リパーゼ
ヒュービットが山形(日本)の住民を対象に実施した
遺 伝 子 の 多 型 と HDLコ レ ス テ ロ ー ル と の 関 係(J
山形大学 21世紀 COEプログラムによる結果(共同研
)
、飲酒習慣がない人を対象とし
Hum Genet
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npr
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究の対象となる遺伝子と臨床パラメーターのみ)を開
たアルデヒド脱水素酵素 2の遺伝子多型と HDLコレ
示するとともに、その結果の遺伝的な妥当性の検証の
ステロールとの関係(論文投稿中)
、GNB3多型と血糖
ための研究手法を検討する、2)ユタ大学は、山形大
値との関係(論文投稿準備中)等についてユタ地域の
学、COMEセンター及びヒュービットから開示された
一般白人集団での検討がなされている(図 2)
。今後、
分子疫学研究の統計解析結果について、ユタにて測定
分子疫学研究の研修のため若手研究者をユタ大学に派
された臨床パラメーターを用いて、遺伝的な妥当性の
遣し、生活習慣病の遺伝的素因についての共同研究の
検証研究を行う。3)ユタ大学は、当該研究の結果を、 さらなる推進を図る予定である。
図 2 研究の具体例
23
2 研究概要
2-1 国際共同研究
Vol
.2「山形県舟形町研究 眼科領域における国際共同研究」
山形大学医学部情報構造統御学講座
視覚病態学分野
川崎 良
助教 RyoKawasaki
1 目 的
教授)およびオーストラリア・シドニー大学・Ce
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本研究は山形県舟形研究の眼科領域の研究課題につ
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いて、
国際的に標準化された方法を用いて解析を行うこ (PaulMi
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l教 授、Ji
eJi
nWang准 教 授)で あ る。
と、
それにより本研究が諸外国の疫学研究と比較可能性
本研究の共同研究にあたっては個人情報について特定
の高い研究となることを目的としてシドニー大学、
メル
不可能な状態に匿名化した原資料についてそれぞれの
ボルン大学
(ともにオーストラリア)
、
ジョンスホプキン
研究施設で閲覧を行うことを倫理委員会において審査
ス大学
(米国)
の研究者と共同研究を行うものである。
を受け、承諾された。
山形県舟形町では山形大学医学部と共同で定期的に
眼底写真の判定:
疫学研究を目的とした検診が行われてきたが 2000
眼底写真の判定については専門の判定施設で専門の判
年- 2002年の検診から眼科検診を導入した。
眼科検診
定員によって行われるのが国際的に標準となっている。
で得られたデータの解析、特に眼底写真に基づいて病
そこで舟形町で 2000年- 2002年に行われた眼科検診
変の有無、重症度の判定を行うにあたってシドニー大
の結果の中から眼底写真について個人情報について特
学およびメルボルン大学の眼科疫学研究者と情報交換
定不可能な状態に匿名化したうえでシドニー大学の専
を行った。当時、米国、オーストラリアを中心として
門 の 眼 底 写 真 判 定 施 設(FundusGr
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ngCent
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より再現性の高い判定方法、より定量性の高い判定方
Cent
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a)で判定を受けた。
法が開発され大規模な疫学研究に応用され国際的な標
この判定施設は国際的に評価の高い眼科疫学研究 t
he
準となっていた。そこで舟形町研究の眼科データの解
Bl
ueMount
ai
nsEyeSt
udyの判定を行った施設であ
析にあたってそれらの国際的に標準化された病変の判
る。このことでその後の研究解析においては舟形町研
定方法、および統計解析方法について情報を交換し、 究の結果と t
heBl
ueMount
ai
nsEyeSt
udyの結果の
共同研究として研究を進めていくことを計画した。本
直接比較が可能となった。判定の内容は網膜細動脈硬
共同研究によって国際的に評価の高い研究となること
化所見、網膜血管径計測、網膜症、加齢黄斑変性、黄斑
が期待される。
上膜、
その他の眼底病変である。それぞれの所見の判定
は専門の訓練を受けた判定員が眼底写真以外の情報を
2 企画、研究方法
マスクした上で行い、さらにその結果を上級判定員も
共同研究施設および共同研究者:
しくは網膜疾患の専門医が確認した。専門の判定員は
共同研究施設(共同研究者)はオーストラリア・メル
判定の再現性の確認のため、定期的に判定者間一致率、
ボルン大学・Ce
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Ti
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判定者内一致率について試験を受けている。その結果
、アメリカ合衆国・ジョンスホ はデータベース化されその後の統計解析に用いられた。
Yi
nWong教授[写真])
プキンス大学・公衆衛生学部・疫学(J
amesM.Ti
el
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ch 統計解析:
眼底写真の判定結果、特に眼科疾患の有無、重症度の
データを解析するにあたって以下の点に主眼を置いて
共同研究機関と情報交換を行った。
(1)判定基準を国際的な標準とする。
(2)統計解析方法を他の疫学研究に合わせて行う。
(3)舟形町研究の結果と諸外国の疫学研究結果とを
比較する。
また、本研究では眼底写真の判定を Bl
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EyeSt
udyの 判 定 施 設 で 行 っ た こ と か ら Bl
ue
Mount
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udyの原資料を用いることにより年
齢で標準化し直接比較を行ってより詳細な比較を行っ
24
た。そ の 目 的 で シ ド ニ ー 大 学 か ら Bl
μm 95%信頼区間 :1.
μm)に関連
ueMount
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ns 張(+4.
69
20-8.
19
EyeSt
udyの原資料の提供を受け解析を受けた。
していた。メタボリックシンドロームは網膜所見と関
連していることが明らかとなった。ただその際に、
個々
3 実 績
のメタボリックシンドローム構成因子を複数有するこ
本研究の結果は以下の論文に報告した。
とによる相乗効果は認められなかった。
(1)Kawas
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2006;113:
13781384.
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本論文では非糖尿病者における網膜細動脈硬化所見の
本論文では高齢者の失明原因として重要な加齢黄斑変
有病率と網膜血管径について報告するとともに、全身
性の有病率とその危険因子について報告した。早期加
所見とのかかわりについて報告した。高齢、高血圧は
齢黄斑変性の有病率は男女とも 3.
5%で、晩期加齢黄斑
網膜細動脈硬化所見および網膜細動脈狭細化と有意に
変性の有病率は男性で 0.
8%、女性で 0.
2%であった。
関連していた。一方で網膜症は高齢と血糖値と関連し
危険因子としては高齢(10歳あたりのオッズ比 1.
01,
95%信頼区間 1.
001.
17)と喫煙習慣(オッズ比 5.
0,
と関連していることが明らかとなった。
95%信頼区間 1.
025.
0)が有意に関連していた。本研
(2)Kawas
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a 加齢黄斑変性は舟形町研究で 4.
1%、BMESで 4.
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m. ほぼ同様であった。晩期加齢黄斑変性は女性では舟形
町研究で 0.
Accept
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3%、BMESで 1.
7%と舟形町研究では低かっ
本論文では先の論文の結果を受け、糖尿病、糖尿病境 たが男性では舟形町研究で 1.
1%、BMESで 1.
2%とほ
界型、糖代謝異常正常それぞれでの網膜症の有病率を ぼ同様であった。これは舟形町研究で男性の 30%以上
報告した。糖尿病患者においては 23.
0%に網膜症がみ が喫煙していることによると思われた。
(I
られ、糖代謝正常者、i
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FG)、 (5)Kawas
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ance(I
GT)においてもそれぞ occl
れ 7.
7%,10.
3% and14.
6%に網膜症が認められた。糖 本論文では網膜静脈閉塞症の有病率とその危険因子に
ており、非糖尿病者においても網膜症がみられ血糖値
尿病、糖尿病境界型では年齢、性別などで調整を行っ
つ い て 報 告 し た。網 膜 中 心 静 脈 閉 塞 症 の 有 病 率 は
たうえでも正常型に比べて有意に網膜症が多く認めら
0.
06%、網膜中心静脈分子閉塞症は 0.
47%に認められ
れた。さらに糖尿病境界型を I
GTと I
FGとに分けて解
た。危険因子としては網膜細動脈所見である網膜細動
析すると、I
GTでは有意に網膜症が多くみられるのに
、
脈口径不同(オッズ比 5.
8,95%信頼区間 1.
325.
7)
対し、I
FGでは正常型における網膜症の有病率と有意
網膜細動脈血中反射亢進(オッズ比 8.
0,95%信頼区
な差は見られなかった。以上より、網膜症は糖尿病境
(オッズ比 7.
間 1.
834.
5)に加え低 BMI
9,95%信頼区
界型特に I
GTにおいても有意に多く認められること
間 1.
542)が有意に関連していた。
が明らかとなった。
(3)Kawas
akiR.etal
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nalof に用いてその他の眼底疾患の有病率について(研究課
題:黄斑上膜の有病率と危険因子)
、また遺伝子解析結
Opht
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ogy.2008;92:161166.
本論文では網膜細動脈硬化所見、網膜血管径、網膜症 果と眼科所見(Angi
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ngEnzyme遺伝
がメタボリックシンドロームおよびその構成因子とど 子多型と網膜所見、
β3adr
ener
gi
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or遺伝子多型
のように関連しているかを報告した。メタボリックシ
と網膜所見)との関連を中心に解析を進めている。
ンドロームは I
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また、2005年- 2007年には 5年後の舟形町研究の
義で診断した。メタボリックシンドロームの個々の構
新たに導入した検診に
追跡調査が行われた。今後は 1)
成因子と網膜所見には以下のような関連が認められ
基づく眼科疾患の有病率(視力障害、屈折異常、角膜
た:肥満とびまん性静脈拡張および網膜症、高血圧と
所見、網膜疾患)
、2)眼科疾患の 5年発症率(網膜症、
網膜細動脈の局所狭細化・動静脈交叉現象・血柱反射
加齢黄斑変性、黄斑上膜)およびその危険因子の解析、
亢進・びまん性狭細、高トリグリセリド血症と血柱反
3)全身疾患の 5年発症率に関連する眼科所見(動脈
射亢進。メタボリックシンドローム自体は網膜症
(オッ
硬化所見と高血圧、肥満、糖尿病、脳卒中、虚血性心
ズ比 1.
64,95%信頼区間 :1.
022.
64)とびまん性静脈拡
疾患など)について明らかにすることを計画している。
25
2 研究概要
2-2 各事業担当者の研究概要
P28 消化器 Commondi
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e発症にかかわる遺伝素
P38 慢性腎臓病の分子疫学研究
因に関する研究―個の健康科学をめざして
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今田 恒夫 山形大学医学部器官統御学講座循
Heal
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環・呼吸・腎臓内科学分野 准教授
河田 純男 山形大学理事・副学長、消化器病
態制御内科学
P40 脳卒中検診とデータベース作成
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P30 パーキンソン病、脳血管障害および糖尿病の分
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子疫学研究
嘉山 孝正 山形大学大学院医学系研究科生命
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環境医科学専攻臨床的機能再生部門神経機能再
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生学講座 教授
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加藤 丈夫 山形大学大学院生命環境医科学
専攻分子疫学部門生命情報内科学講座 教授
P42 ウイルスおよび生活習慣に起因する肝炎に関す
る研究統合データベースの構築
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P32 糖尿病の分子疫学研究・教育
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斎藤 貴史 山形大学医学部器官病態統御学講
genes
座消化器病態制御内科学分野 准教授 大門 真 山形大学大学院生命環境医科学専攻
分子疫学部門生命情報内科学講座 准教授
P44 歩行障害の病態に関する分子疫学的研究・教育
Mol
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P34 糖尿病の分子疫学研究・教育
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富永 真琴 山形大学医学部器官統御学講座液
早坂 清 山形大学医学部発達生体防御学講座
性病態診断医学分野 教授
小児医科学分野 教授
P36 眼疾患の分子疫学的研究
P46 虚血性心疾患、慢性閉塞性肺疾患の分子疫学
―舟形町研究をもとに―
研究
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山下 英俊 山形大学医学部情報構造統御学講
di
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e
座視覚病態学分野 教授
久保田 功 山形大学医学部器官病態統御学
講座循環・呼吸・腎臓内科学分野 教授
26
P48 中高年女性の健康に関する分子疫学研究・教育
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P58 インターロイキン 21による免疫制御機構の解
析
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倉智 博久 山形大学医学部発達生体防御学講
I
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n21
座女性医学分野 教授
浅尾 裕信 山形大学医学部発達生体防御学講
座免疫学分野 教授 P50 高畠町住民を対象とした生活習慣、食習慣、運
動習慣に関する疫学調査
P60 生体機能における脂質性二次メッセンジャー代
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謝酵素の機能的役割の解析と地域特性を生かし
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た分子疫学研究
深尾 彰
FUNCTI
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ONS OF THE
山形大学大学院医学系研究科生命
環境医科学専攻社会環境予防医学部門公衆衛生
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ACYLGLYCEROLKI
NASEFAMI
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学講座 教授
後藤 薫 山形大学医学部情報構造統御学講座
組織細胞生物学分野 教授
P52 Cyt
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omeP4502C19遺伝多型が健常人の人
格特徴に与える影響
P62 疾患の分子細胞学的病態機序の解明
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ome P4502C19
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大谷 浩一 山形大学医学部発達生体防御学講
s
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or
sBaxandBak
座発達精神医学分野 教授
北中 千史 山形大学医学部器官機能統御学講
座腫瘍分子医科学分野 教授 P54 生活習慣病としての循環器疾患の病態解明と治
療の基礎的研究・教育
P64 「地域特性を生かした分子疫学研究」画像診断お
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よび解析 MRIを用いた脳病態の解明
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石井 邦明 山形大学医学部器官機能統御学講
di
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座循環薬理学分野 教授
細矢 貴亮 山形大学医学部環境病態統御学講
座映像解析制御学分野 教授 P56 活性酸素のかかわる疾患に対する抗酸化・レ
ドックス系による防御機構
Ant
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P66 遺伝子改変マウスを利用した病態モデルの確立
と生体内遺伝子発現解析
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藤井 順逸 山形大学大学院医学系研究科生命
genemani
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環境医科学専攻分子疫学部門生体分子機能学講
中島 修 山形大学遺伝子実験施設 准教授
座 教授
27
2 研究概要
消化器 Commondi
sease発症にかかわる遺伝素因に関する研究
― 個の健康科学をめざして
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拠点リーダー
山形大学理事(副学長)
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河田 純男
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yamagat
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昭和 49年 大阪大学医学部医学科卒業
昭和 58~ 60年 米国 DUPONT社および英国ロンドン大学留学
平成 6年 大阪大学医学部分子制御内科助教授
平成 12年 山形大学教授(医学部第二内科)
平成 19年より現職
研究概要
Research Summary
21世紀 COEプログラム「地域特性を生かした分子
Genet
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疫学拠点」では、山形県において高畠コホート(生活
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習慣病全般)、舟形コホート(糖尿病)および川西コホー
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ト(肝疾患)を運営している。それぞれのコホートに
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高畠コホートでは肝機能異常(ALT値上昇)が飲酒、 pr
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メタボリックシンドロームあるいはウイルス肝炎(B, i
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C型)いずれが最も係わっているかを検討したが、統
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計学的には飲酒、ウイルス肝炎の寄与はなく、メタボ
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リックシンドロームが関与していることが明らかに
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なった。また、住民におけるアディポネクチンの男女
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差、年齢分布を検討し、飲酒により男女ともにアディ
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ポネクチンが軽度ではあるが減少することを確認した。 hi
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現在、アディポネクチン SNPとの関連を検討中である。 and de
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るが、高畠コホートにおいて、希望者約 500人に糖負
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荷試験と腹部超音波検査を施行した。超音波検査にお
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いて、約半数にいわゆる whi
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easを認め、脂肪
膵の存在が示唆された。とくに注目されるのは、whi
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eas群で正常群に比較して、有意に BMIが大きく、
血清 adi
ponect
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n値が低く、かつインスリン抵抗性の
指標である、HOMAI
R値が高く、whi
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epancr
eas群
ではメタボリックシンドロームが多いことが明らかに
なった。
28
研究組織:山形大学医学部器官病態統御学講座 消化器病態制御内科学分野
主任教授:河田 純男(教授)kawat
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研究分担者:
冨樫 整(教授)ht
武田 弘明(准教授)ht
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akeda@med.
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斉藤 孝治(講師)kos
牧野 直彦(講師)nmaki
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渡辺 久剛(助教)h伊藤 純一(助教)j
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奥本 和夫(助教)okumot
白幡名香雄(助教)s
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戸沢 智浩(助教)t
西瀬 雄子(医員)yni
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石井 里佳(医員)r
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研究協力者:
村松 正明(東京医科歯科大学難治疾患研究所 教授)mur
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江見 充(ヒュービットジェノミクス研究所 教授)me
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児矢野 聡(ヒュービットジェノミクス研究所)s
koyano@hubi
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鳥山紗由美(ヒュービットジェノミクス研究所)s
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新澤 陽英(県立日本海病院 院長)s
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さらに、平成 16年度から開始した高畠コホート(3308
人)において、胃がん、大腸がん、膵がんおよび肝細
胞がん発症を追跡中であり、解析に十分な症例が蓄積
された際に、それぞれのがんにおいて SNP解析データ
との照合を行い、発症にかかわる遺伝子の検索・同定
を行う。
川西コホートでは、40歳以上の住民において C型肝
炎ウイルス(HCV)抗体陽性が 40%を超える地域が
あり、この地域で 1040人の協力を得て SNP解析を
行っている。
このうち、HCV抗体陽性でかつ HCV RNA陽性であ
る持続感染群と抗体陽性であるが RNA陰性の既感染
群において、免疫関連遺伝子 SNPを中心に比較検討し
た。このことにより、HCVに対する感染防御遺伝子候
補を検出できると考えている。現在までのところ、10
数個の候補遺伝子に絞り込み、機能解析を行っており、
感染防御機構の解明と創薬につながることを目指して
いる。
Major Publications
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5661.
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283541.
3. Sai
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33541.
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36426.
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13714.
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29
2 研究概要
パーキンソン病、脳血管障害および糖尿病の分子疫学研究
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拠点サブリーダー
山形大学大学院生命環境医科学専攻
分子疫学部門生命情報内科学講座
加藤 丈夫
教授 TakeoKat
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研究概要
私達の研究チームでは、パーキンソン病、脳血管障
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昭和 54年 山形大学医学部医学科卒業
昭和 59~ 61年 Mont
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神経病理学部門 Res
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平成 4年 AL
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o)客員研究員
平成 9年 山形大学教授(医学部第三内科)
平成 16年より現職
Research Summary
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キンソン病は山形県の全域で、糖尿病は山形県舟形町 pat
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畠町および寒河江市の住民を対象に分子疫学研究を行 ki
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なってきた。これらの分子疫学研究の特徴は、①対象 pat
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住民の遺伝的多様性がきわめて小さいこと、②追跡調 accumul
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査をほぼ完璧に実施可能なこと、③臨床データの精度 i
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がきわめて高いこと、④コホート集団の規模が大きい
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こと、⑤遺伝子解析の同意率が高いこと(80%以上) phos
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等である。そして、この 3疾患についていくつかの新 cat
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知見を見出し学術誌に報告した。このうちパーキンソ genet
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ン病については、私達の研究成果を基盤にして「創薬 oft
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に向けて大手製薬企業と共同研究」を行っている。以 t
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下にパーキンソン病の研究成果の現状を述べる(糖尿 GRK5expr
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病については 32~ 33ページ、脳血管障害については phos
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de
13~ 15ページを参照)。
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害および糖尿病の分子疫学研究を行なっている。パー
煙パーキンソン病
パーキンソン病 (
PD)の有病率は人口 10万人当たり 100~ 120人であり、神経変性疾患の中ではアルツハイ
マー病に次いで多い疾患である。今後、人口の高齢化に伴い、PDの有病率はさらに上昇するものと思われる。
PDの治療として、現在、薬物療法や定位脳手術等が行われているが、これらの治療法は全て対症療法である。
したがって、病気の進行を抑制することはできず、多くの患者は発症後 10~ 15年で臥床状態に陥り、肺炎な
どの感染症を併発し死亡する。したがって、PDの根本的治療法の確立、つまり、黒質のドパミン神経細胞死の
分子病態を解明し、細胞死を抑制できる治療法の開発が切望されている。
PDは、病理学的には中脳黒質の「ドパミン神経細胞の脱落」と「Lewy小体の出現」を特徴としている。Lewy
小体は、PDの病変部位に出現する病的な細胞質内封入体である。この Le
wy小体の主成分は「リン酸化された
αs
ynucl
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n」で あ る こ と が 報 告 さ れ て い る。I
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nを リ ン 酸 化 す る 酵 素 と し て、cas
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、CK2、Gpr
、GRK5が知られている。そこで私達は、
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GRK2)
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これらのキナーゼに対する抗体を用いて Le
wy小体を免疫染色したところ、抗 GRK5抗体により Lewy小体は
強く免疫染色され、αs
ynucl
ei
nと共存した(図1)。
図1.孤発性パーキンソン病患者の黒質ドパミン神経細胞に認められた Le
wy小体
μm
Lewy小体の主成分はαs
ynucl
ei
n(赤)であり、そこに GRK5(緑)も共存していた(黄)。Bar
=20
30
研究代表者:加藤丈夫(山形大学大学院 生命環境医科学専攻 分子疫学部門 生命情報内科学講座)
研究分担者:大門 眞(山形大学大学院 生命環境医科学専攻 分子疫学部門 生命情報内科学講座)
栗田啓司(山形大学医学部 附属病院第三内科)
川並 透(同上)、田嶋克史(同上)
荒若茂樹(山形大学医学部 器官病態統御学講座 生命情報内科学分野)、
和田 学(同上)、山口 宏(同上)、大泉俊英(同上)、諏佐真治(同上)、加藤裕一(同上)
この結果を分子疫学的に検討するため、私達は山形県内に在住の「PD患者 286例」と「健常高齢者 496例」を
対象に遺伝統計学的解析を行った。その結果、GRK5遺伝子の i
nt
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on1~ 2に存在する 3つの SNPsm22m23ot
ypeが GAC(
m22m23m24)の時、PD発症のリスクは有意に高くなった(オッズ比
m24が構成する hapl
1.
91;p=0.
0002)。さらに機能解析を行い、以下の結果を得た。
1)リスク hapl
ot
ype上に機能 SNPm24を発見し、m24(
C/
T)のアレルがCの時、CREB1と強く結合し、
レポーター遺伝子(l
uci
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e遺伝子)の転写を亢進した。
2)GRK5とαs
ynucl
ei
nを共発現した培養細胞およびヒト脳組織で、GRK5はαs
ynucl
ei
nと緩く結合して
いた。
3)GRK5はαs
ynucl
ei
nの Ser
129をリン酸化した。
4)GRK5はαs
ynucl
ei
nの重合体形成や aggr
egat
i
onを促進した。
)では、α5)GRK5cDNAとαs
ynucl
ei
ncDNAを導入した線虫(C.el
egans
s
ynucl
ei
nがリン酸化され、
神経細胞の機能が障害された。
以上の結果より、私達は孤発性 PDの新しい病態メカニズムを提唱した。つまり、「GRK5遺伝子に at
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ynucl
ei
nのリン酸化が亢進し、αs
ynucl
ei
n
hapl
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ypeが存在すると GRK5の発現が亢進し、その結果、α‐s
の重合体形成や aggr
egat
i
onが促進され、やがては細胞死に至り孤発性 PDが発症する」との仮説である。した
がって、GRK5によるαs
ynucl
ei
nのリン酸化を阻止できる安全な低分子物質を開発できれば、この病的代謝過
程の初期段階をブロックでき、ドパミン神経細胞死、つまり、病気の進行を抑制できる新たな治療薬の開発が可
能と考えられる(図2)。
図2.パーキンソン病の治療ターゲット
GRK5によるαs
ynucl
ei
nのリン酸化を阻害できる安全な低分子物質は、黒質ドパミン
神経細胞死を抑制し、パーキンソン病の進行を抑制できる可能性がある。
Major Publications
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751758.
31
2 研究概要
糖尿病の分子疫学研究・教育
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山形大学大学院生命環境医科学専攻
分子疫学部門生命情報内科学講座
大門 真
准教授 Makot
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昭和 32年 富山県井波町生まれ
昭和 61年 山形大学大学院医学研究科修了
昭 和 61年 ~ 昭 和 63年 ア メ リ カ、ク リ ー ブ ラ ン ド の Cas
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yにて研究
昭和 63年 山形大学医学部第三内科
(現生命情報内科学)所属。
平成 14年 同助教授
平成 19年より同准教授。
研究概要
2型糖尿病の病因にはカロリー及び脂質の摂取過多、
Research Summary
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肥満及び運動不足等の環境因子(生活習慣因子)の他
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に遺伝因子も関与している。遺伝形式の研究から病因
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遺伝因子は多岐にわたる(多因子遺伝)ことが分かっ
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ている。私達は、この多岐にわたる遺伝因子の幾つか
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を見つけることを目的として、2004年より、山形県高
畠町の住民検診に共同参画している。2005年度終了時
で、DNA解析同意者が 2,
930名おり、これらを対象に
関連解析を行っている。
こ れ ま で に、ABCA1、Ne
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K3C2G
遺伝子と糖尿病との関連を、世界で始めて報告した。
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また、TNFα遺伝子と糖尿病との関連については、 t
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種々の報告があり、結論が出されていないのが現状で ge
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多型が、実は機能性多型で、糖尿病と関連している事
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いる。なお、本研究にて、大学院生2人を指導。1人
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は医科学修士取得後、研究分野に就職。他の1人は医
学博士過程大学院生で研究中。
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32
研究代表者:山形大学大学院 生命環境医科学専攻 分子疫学部門 生命情報内科学講座
研究代表者:加藤丈夫(教 授)
研究分担者:大門 真(准教授)
大沼 寛(講 師)
山口 宏(助 教)
大泉俊英(同 上)
A
B
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図 1:TNFαI
VS1G123A多型の機能解析。
A:ゲルシフトアッセイ .Aアレルに特異的に結合する核内蛋白が存在する(レーン 5,
6)。
B:A アレルへの特異的結合は転写因子 YY1の特異的塩基配列(プローブ、cYY1)にて阻害されるが(レーン 3)、変
異プローブでは阻害されない(レーン4)。また、YY1抗体にてシフト バンドのスパーシフトが認められた。
(1個)、3X
(3個順番に並べた)はレポーターベクターに挿入したプロモー
C:プロモーター レポーター アッセイ .1X
ター断片の数。Aアレルの方が Gアレルより転写活性にあたえる影響が大きかった。
Major Publications
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365:
466471,2008
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3. M.Dai
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329:
205210,2005
33
2 研究概要
糖尿病の分子疫学研究・教育
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山形大医学部器官統御学講座
液性病態診断医学分野
富永 真琴
教授 Makot
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昭和 23年 新潟県新発田市生まれ
昭和 48年 新潟大学医学部卒業
昭和 51年 山形大学医学部第三内科助手
昭和 59年~ 61年 テキサス大学留学
平成 8年 山形大学医学部臨床検査医学講座教
研究概要
Research Summary
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ライフスタイルの変化に伴い糖尿病が増加している
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92年に、40歳以上の全住民を対象に 75gOGTTを一
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次検査とする糖尿病の有病率調査を行った。
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尿 病 が 強 く 疑 わ れ る 人」が 690万 人 と 推 定 さ れ、
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1990- 92年の検診の受診者を対象にコホート集団
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分け、死亡診断書を閲覧し、耐糖能障害のレベルから、 s
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(3)Funagat
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1995- 1997年の検診受診者のアデイポネクチンを
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測定し、2000- 2002年の検診で、アデイポネクチン
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研 究 組 織:山形大学医学部器官病態統御学講座液性病態診断医学分野
研究代表者:富永 真琴(山形大学医学部器官病態統御学講座液性病態診断医学分野 教授)
研究分担者:五十嵐雅彦(山形大学医学部器官病態統御学講座液性病態診断医学分野 准教授)
大門 眞(山形大学大学院医学系研究科生命環境医科学専攻分子疫学部門生命情報内科学 准教授)
山口 宏(山形大学大学院医学系研究科生命環境医科学専攻分子疫学部門生命情報内科学 助教)
大泉 俊英(山形大学医学部附属病院第三内科 助教)
Major Publications
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35
2 研究概要
眼疾患の分子疫学的研究 ― 舟形町研究をもとに ―
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山形大学医学部情報構造統御学講座
視覚病態学分野
山下 英俊
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研究概要
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昭和 56年
昭和 56~ 59年
昭和 60~ 61年
昭和 62~平成 11年
平成 11年~
東京大学医学部医学科卒業
東京大学医学部附属病院
自衛隊中央病院
東京大学医学部附属病院
山形大学医学部
Research Summary
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udyと同様 among nonに、専門の判定員により国際的に標準化された方法によっ
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○舟形町眼科検診とは
山形大学情報構造統御学視覚病態学分野では、2000年よ
り山形県舟形町と共同で 35歳以上の全住民を対象とした
眼科検診を開始した。2005年からの検診では検診項目を大
幅に増やし、受診者全員に視力検査(裸眼および矯正視力)、
眼圧検査、他覚的屈折測定、角膜曲率半径測定、両眼の眼
底写真撮影を開始、2007年より角膜内皮測定検査を検診の
項目に加えた。本検診は 3年間で舟形町全ての地区(舟形、
堀内、長沢)に対して検診を行っており、2000~ 2002年
1786名、2005~ 2007年 1448名の受診を得られている。
○研究概要
本検診の受診者を対象に行った主な研究の概要を以下に
記載した。
1)糖尿病患者および非糖尿病患者における網膜症の有病率
糖尿病患者に網膜症が見られることは広く知られている
が、眼底写真を用いた詳細な眼底検査を行うと非糖尿病患
者においても網膜症病変が認められることが報告されてい
る。そこで舟形町研究の対象者で糖尿病患者(n=
165)、
糖 代 謝 正 常 者(n=
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0%に網膜症がみられた。糖代謝正常者、I
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7%、10.
3% and14.
6%に網膜症が認められ
た。年齢、性別、高血圧、喫煙習慣、bodymas
si
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整したうえで、I
GTでは糖代謝正常者に比べて有意に網膜症
が多くみられた(オッズ比 1.
63,95%信頼区間 1.
072.
49)。
一方で I
FGでは糖代謝正常者に比べて有意に網膜症が多
く見られることはなかった (オッズ比 1.
23,95%信頼区間
。これらの結果は細小血管障害である網膜症が
0.
423.
58)
現在の糖尿病判定の基準値以下においても認められること、
また、負荷後 2時間血糖値が空腹時血糖値よりも有意に網
膜症に関連していることを示していると考えられる。
36
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研究代表者:山下 英俊
研究分担者:川崎 良、菅野 誠、上領 勝、眞神尾聡美、佐藤 浩章、佐藤さくら、今野 伸弥、土谷大仁朗
望月 典子、永沢 倫、田辺 祐資、田邊 智子、中野早紀子、羽根田思音、難波 広幸、桐井枝里子
2)メタボリックシンドロームと網膜所見の関連
メタボリックシンドロームは主に大血管の障害との関連
を元に定義されているが、最近の研究から細小血管障害と
の関連も明らかにされている。我々は過去にメタボリック
シンドロームの構成要素である高血圧や肥満などが網膜細
動脈硬化所見および網膜症と関連していることを報告した
(Kawas
akietal
.Opht
hal
mol
ogy2006)。そこで今回はメ
タボリックシンドロームを有することが網膜所見と関連す
るか、さらにその際に個々の構成要素間で相乗効果が見ら
れるか舟形町研究の対象者(n=
1638)で検討した。メタボ
リックシンドロームは I
nt
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の定義で診断した。網膜症およびその他の網膜細動脈硬化
所見は眼底写真を元に判定した。メタボリックシンドロー
ムの個々の構成要素と網膜所見には、肥満とびまん性静脈
拡張および網膜症、高血圧と網膜細動脈の局所狭細化・動
静脈交叉現象・血柱反射亢進・びまん性狭細、高トリグリ
セリド血症と血柱反射亢進などの関連があった。メタボ
リックシンドローム自体は網膜症(オッズ比 1.
64,95%信
頼区間 :1.
μm,95%信
022.
64)とびまん性静脈拡張(+4.
69
μm)に関連していた。これらの結果か
頼区間 :1.
20-8.
19
ら、メタボリックシンドロームは網膜所見と関連している
ものの、個々のメタボリックシンドローム構成要素による
相乗効果は認められなかった。
斑症と ACE遺伝子多型 Dal
l
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eとの間には関連は認めら
れなかった。
○これからの展望
2000~ 2002年と比較し、2005~ 2007年における検診
では、より充実した臨床データが得られた。今後もさらに
追跡調査を続けていき、より精度の高い解析を行っていく
予定である。
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あり、いまなお治療困難な疾患である。これまでに様々な
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Major Publications
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2 研究概要
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山形大学医学部器官統御学講座
循環・呼吸・腎臓内科学分野
今田 恒夫
准教授 Tuneo Kont
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研究概要
【
(CKD)は増加の一
を
や高齢化により、慢性腎臓病
跡調査による予後解析や遺伝素因の検討を行い、一般
り、その早期発見治療の重
住民から CKD高リスク群を効率的に検出し治療する
目されている。CKDの最も初期段階であるア
ルブミン尿は
に測定できることから、欧米では効
日
率的な CKDスクリーニング法として用いられるが、
本では
及しておらず、その詳細は不明である。日本
人を含むアジア人と欧米人は生活習慣や遺伝的素因な
ど
うことから、アルブミン尿の頻度や危険因子は日
本人と欧米人では異なる可能性がある。日本人におけ
日本人の生活
る CKDの発症進行を予防するためには、
習慣や遺伝的素因を考
に入れた、アルブミン尿の効
果的な検出法、
介入法について明らかにする必要がある。
【方法】対象は山形県高畠町 40歳以上の一般住民の中
問診、
一
で、
本研究について説明し同意を得た 3115人。
般採血、尿検査、DNA抽出用採血を行った。国際腎
臓学会のアルブミン尿性別基準(KDI
GO)に従い、ス
ポ ッ ト 尿 の ア ル ブ ミ ン・ク レ ア チ ニ ン 比(UACR)
20mg/
g以上(男性)、30mg/
g以上(女性)をアルブ
ミン尿陽性とした。
【結果】アルブミン尿の頻度:アルブミン尿は全対象者
の 22.
3%で認め、男女とも加齢とともにその頻度が増
の
加した。60歳以上、高血圧、糖尿病、肥満(BMI≧ 25)
中 で ア ル ブ ミ ン 尿 陽 性 の 割 合 は、
そ れ ぞ れ 27.
2%、
29.
6%、38.
8%、27.
2%と高値であった。アルブミン尿
の危険因子:多変量解析では、
年齢、
高血圧、
糖尿病、塩
分摂取量増加、
高尿酸血症(女性のみ)、メタボリック症
候群、抗核抗体がアルブミン尿発現と有意に相関した。
また炎症性ケモカイン CCc
hemoki
nel
i
gand5の遺伝
多型と UACR値は関連した。アルブミン尿の検出:高
血圧や糖尿病など高リスク群における尿試験紙法での
の約 70尿蛋白(±)
80%がアルブミン尿の範囲であっ
た。このことから、
より安価な尿試験紙を低コストの1
次スクリーニング法として使用できる可能性がある。
【まとめ】以上の結果より、CKDの初期段階であるア
ルブミン尿は一般住民に高頻度に存在し、その発現に
は様々な環境要因が関与している。今後は本集団の追
38
昭和 40年 山形県米沢市生まれ
平成 2年 山形大学医学部卒業
平成 11年~ 13年 英国ロンドン大学留学
平成 20年より現職
Research Summary
】生活習慣病の
要性が
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方法の確立を目標としている。
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研 究 組 織:山形大学医学部器官病態統御学講座 循環・呼吸・腎臓内科学分野
研究組織代表者:今田 恒夫(准教授)
、市川一誠(同医員)
、池田亜美(同医員)
研 究 分 担 者:安孫子 広(同医員)
Major Publications
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山形大学医学部脳神経外科学教授
同大附属病院長
同大医学部長
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卒中症例の登録を行ってきた。本事業の特徴として
(1)急性期脳卒中の入院する主幹病院の全て(22施設)
が参加し山形県全域を網羅しており登録率が高い、
(2)全例で頭部 CT/ MRIを施行し、脳卒中専門医が
診断しているため病型診断が正確である、ことが挙げ
られる。本研究は、一地域における脳卒中登録として
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)の収集を行い、脳卒中のリスク
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ら、脳卒中におけるリスクファクターの疾患関連遺伝
子多型がどの程度発症に関与しているかに関しては未
だ解明されていない。
本 COEにおいては山形県におけ
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中予防法の確立することで脳卒中撲滅を目指す。
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研 究 組 織:山形大学大学院医学系研究科生命環境医科学専攻臨床的機能再生部門神経機能再生学講座
研究組織代表者:嘉山 孝正(教授)
研 究 分 担 者:佐藤 慎也(同助教授)現籍:山形大学医学部総合医学教育センター(教授)
小久保安昭(同講師)
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41
2 研究概要
ウイルスおよび生活習慣に起因する肝炎に関する研究統合データベースの構築
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山形大学医学部器官病態統御学講座
消化器病態制御内科学分野
斎藤 貴史
准教授 Takaf
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研究概要
C型肝炎ウイルス (
HCV)の感染者は、世界で約 1億 7千
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昭和 60年 山形大学医学部卒業
平成 6年~ 9年 米国 FDA研究留学
平成 18年 山形大学医学部消化器病態制御内科助教授
平成 19年 山形大学医学部消化器病態制御内科准教授
Research Summary
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民の協力を得て、臨床疫学データと遺伝子サンプルを採集
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して、好発がん性のウイルス株の同定を試み、HCV(
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生活習慣に起因する重要な肝炎として位置付けられる。脂
肪性肝障害は、アルコール多飲や肥満により生ずるが、メ
タボリックシンドロームによる脂肪性肝炎は非アルコール
性脂肪性肝炎 (
NASH)として、肝硬変や肝がんなどの重い
肝臓病へ進行するため、特に重要な疾患と言える。わが国
の肝炎ウイルス感染のない一般成人において、肝機能検査
値異常とメタボリックシンドロームの関連性の有無を疫学
的に明らかにすることは重要である。
42
研究組織:山形大学医学部器官病態統御学講座 消化器病態制御内科学分野
主任教授:河田純男(教授)kawat
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研究分担者:
冨樫 整(教授)ht
武田 弘明(准教授)ht
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akeda@med.
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斉藤 孝治(講師)kos
牧野 直彦(講師)nmaki
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渡辺 久剛(助教)h伊藤 純一(助教)j
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奥本 和夫(助教)okumot
白幡名香雄(助教)s
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戸沢 智浩(助教)t
西瀬 雄子(医員)yni
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石井 里佳(医員)r
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研究協力者:
村松 正明(東京医科歯科大学難治疾患研究所 教授)mur
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江見 充(ヒュービットジェノミクス研究所)me
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児矢 野聡(ヒュービットジェノミクス研究所)s
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鳥山紗由美(ヒュービットジェノミクス研究所)s
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新澤 陽英(県立日本海病院 院長)s
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しかし、今まで、一般成人における肝機能異常のリスク
においては、血清トランスアミナーゼの上昇に関連する独
因子を解明する目的で、多くの代謝因子や飲酒、あるいは
立したリスク因子は、飲酒ではなく、肥満やインスリン抵
メタボリックシンドロームと深く係わるアディポサイトカ
抗性といったメタボリックシンドロームに関連する因子で
イン、等の肝機能異常への関与について、わが国の一般成
あることが判明した(図)。また、飲酒がアディポネクチン
人を対象とした大規模研究は見当たらなかった。私達は、
値に負の影響を及ぼすことを初めて明らかにした。今後、
40歳以上の約三千名の一般住民の協力を得て(高畠研究)、 肝機能異常者の更なる追跡調査を行い、脂肪性肝障害の病
生活習慣に起因する肝臓病に関する臨床疫学データベース
態と遺伝要因の関係の一端を解明したいと考えている。
を構築し、遺伝子サンプルの収集を行った。わが国の成人
わが国の成人(40歳以上)における血清トランスアミナーゼ上昇の関連因子
Major Publications
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43
2 研究概要
歩行障害の病態に関する分子疫学的研究・教育
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山形大学医学部発達生体防御学講座
小児医科学分野
早坂 清
教授 Ki
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研究概要
[目的]高齢者では歩行困難や障害が認められても、加齢
による神経・筋の衰えの当然の結果として理解されるこ
とが多く、詳細な病態は不明である。しかし、高齢者に
おいても、健康な人では自立した日常生活が保たれ、活
動性は維持される。多くの疾病は遺伝的素因に環境因子
が作用し発症するが、加齢は、ある意味で環境因子とし
て作用すると考えられる。潜在する遺伝的負荷が加齢に
より顕在化し、発症に至る疾病も多く存在すると考えら
れる。
Char
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CMT)病は有病者が 2500人に 1
人と、最も頻度の高い遺伝性ニューロパチーである。私
達は CMT病の病態を解明するために、多数の症例を解析
してきた。しかし、欧米人と異なり、病因遺伝子が不明
な症例が約半数を占めている。日本人の CMT病の遺伝的
背景を明らかにするために、既知および候補遺伝子の変
異について SSCP法、DGGD法、最近では DHPLC法を
用いたスクリーニングを確立し、検索を継続してきたの
で結果を報告する。
[方法]対象は、1996年から 2007年までに、国内医療機
関から遺伝子検索依頼があった症例のうち、臨床的に髄
鞘型 CMT病と考えられ、 17q11.
2領域の重複を認めな
かった 161例と軸索型 CMT病(di
st
alHMNおよび分類
不能例を含む)と考えられる 91例である。髄鞘型 CMT
病では、PMP22,MPZ,GJ
B1,LI
TAF,EGR2,GDAP1,
MTMR2,PRX の変異についてスクリーニングを行った。
また、軸索型 CMT病では PMP22,MPZ,GJ
B1,MFN2,
HSP27,HSP22,NEFL の変異についてスクリーニング
を行った。
[結果]髄鞘型 CMT病においては、MPZ 変異を 19例に、
GJB1 変異を 20例、 PMP22 変異を 8例に、EGR2 変異
を1例に、PRX 変異を 4例に認めた。軸索型 CMT病に
ついては、MPZ変異を 3例に、GJ
B1変異を 2例に、MFN2
変異を 10例に認めた。また、HSP27 の変異を 2例の
di
st
alHMNに認めた。髄鞘型 CMT病 109名、軸索型 CMT
病 74名には、遺伝子変異が検出出来なかった。
[考察]当科でこれまで検索した髄鞘型 CMT病の結果は、
日本人では 17q11.
2領域の重複例が少なく、42%で病因
が不明である。一方、軸索型 CMT病では、MFN2 が約
10%をしめ、多くは病因が不明である。軸索型における
最も頻度の高い MFN2 において、これまで検出された変
異は全て特定のエクソンに位置している。これらの領域
は重要な部位をコードする領域であり、今後スクリーニ
ングに際して、これらのエクソンに限定することが可能
かもしれない。
[結論]日本人における CMT病では、病因遺伝子が特定
されない症例が多く、スクリーニング法の改善を図ると
ともに、量的変化を含めた既知および候補遺伝子の検索
が必要である。
44
Pr
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昭和 23年 福島県生まれ
昭和 48年 群馬大学医学部卒業
昭和 50年~ 64年 東北大学医学部小児科
平成元年~ 5年 秋田大学医学部小児科に勤務
平成 5年より山形大学医学部教授
Research Summary
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研究代表者:早坂 清(山形大学医学部発達生体防御学講座小児医科学分野 教授)
研究分担者:小田切徹州(山形大学医学部発達生体防御学講座小児医科学分野 医員)
研究分担者:阿部 暁子(山形大学医学部発達生体防御学講座小児医科学分野 大学院)
Major Publications
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2 研究概要
虚血性心疾患、慢性閉塞性肺疾患の分子疫学研究
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平成 14年より現職
研究概要
Research Summary
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は長期間の喫煙や粉塵暴露
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おいて下気道の易感染性を規定する原因遺伝子を明らか
にした(文献6)。CCL1という免疫細胞の遊走に関与す
る遺伝子上の一つの SNPによって、肺炎に罹り易さが大
きく異なり、前向き研究によって予後(死亡率)にも決
定的な影響を及ぼしていた。今後は、これらの知見を
COPDの新たな治療法の開発に繋げたいと考えている。
また一般住民において、心不全の血中マーカーであ
る BNPを規定する SNP(文献3)や呼吸機能に影響
を及ぼす SNPを同定し(文献1)、また心疾患の診断
に用いられる HFABP値は年齢、体格指数、腎機能、
心電図スコアの影響を受けることを示した(文献2)
。
46
研究組織
研究代表者:久保 田功(教授) i
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研究分担者:竹石 恭知(准教授)t
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柴田 陽光(講師) s
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Major Publications
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2 研究概要
中高年女性の健康に関する分子疫学研究・教育
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研究概要
疫学的な研究成績によりからも、閉経後女性には、
症、動脈硬化、高コレステロール血症、 タ
リック症
が 増することが明らかとされている。
最近、日本人女性の
寿命は 86歳を超えたが、閉
経年齢は 400年以上にわたってかわらず 50歳のまま
なので、多くの女性は 35年以上にわたる めて長い閉
経後の生活を ることとなる。さらに、50歳以上の日
本人女性の人 は 2,
800 人に達しようとしていると
定され、
今後もさらなる増加が確実である。したがっ
て、閉経後女性の ルス アは、医療経済的にも、
的にも重要な
である。
私たちは、下図に示すように、① 卵巣摘出によって
エストロゲンが減少すると、
わずか 1週間で血管の内皮
機能を反映する Fl
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FMD)
が有意に低下すること、② 術後 1週間後から、血管に
おいてはエストロゲン作用を発揮するラロキシフェン
を投与すると、FMDの値はほぼ術前のレベルまで回復
すること、
を明らかとした。
この成績は、
エストロゲンが
血管の内皮からの一酸化窒素 (
NO)の産生分泌に重要
な働きをしていることを示唆する。最近の大規模臨床
は心血管系
試験の結果では、
ホルモン補充療法
(HRT)
疾患を予防しないと報告されたが、閉経後のエストロ
ゲンの減少が心血管系疾患の増加をもたらすことは確
実である。
したがって、
今後は閉経以後に治療を開始す
る医療から、
閉経以前から疾病の予防を意識した生活
習慣の改善や指導を行うことが重要であると思われる。
このように、閉経は女性にとって多くの疾病発症の
重要なリスク因子と考えられている。女性一人ひとり
の閉経後の疾病の発症しやすさを知ることができれば、
個々の生活習慣に沿った指導が可能であり、また医療
経済効率もよいものと考えられる。
私たちは健診に参加していただいている住民を対象
として、閉経以後の疾病の有無とその状態、およびヒ
トゲノム上に見いだされる遺伝子における一塩基変異
多型 (
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連を解析することを目的として研究を続けている。
本研究により、閉経というリスクに関わる疾患感受性
と、その個体差に関わる疾患関連遺伝子を見いだし、
臨床応用への発展に貢献したいと考えている。
48
昭和 24年生まれ
昭和 51年 大阪大学医学部卒業
昭和 59年~ 61年 米国国立衛生研究所へ留学
平成 8年より大阪大学医学部講師
平成 11年より大阪大学医学部助教授
平成 12年より山形大学医学部教授
Research Summary
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研 究 組 織:山形大学医学部発達生体防御学講座女性医学分野
研究代表者:倉智 博久(教 授)hkur
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研究分担者:中原 健次(准教授)knakaha@me
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高橋 一広(講 師)kt
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Major Publications
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2 研究概要
高畠町住民を対象とした生活習慣、食習慣、運動習慣に関する疫学調査
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東北大学医学部卒業
東北大学医学部第 3内科医員
東北大学医学部公衆衛生学助手
東北大学医学部公衆衛生学助教授
山形大学医学部公衆衛生学教授
研究概要
Research Summary
2005年 5月、高畠町の 40歳以上住民 15,
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研 究 組 織:山形大学大学院医学系研究科生命環境医科学専攻公衆衛生学講座
研究代表者:深尾 彰(教授)af
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研究分担者:石川 仁(準教授)h.
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邵 力(助教)s
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山形大学医学部発達生体防御学講座
発達精神医学分野
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昭和 56年 弘前大学医学部卒業
昭和 59年 スウェーデン・カロリンスカ研究所留学
平成 9年 山形大学医学部精神神経医学講座 教授
研究概要
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人格の形成には、遺伝的要因が強く関与すると報告
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CYP2C19遺伝多型は人格特徴に影響を与える可能性
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が示唆される。そこで、本研究では健常日本人におい
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て、CYP2C19遺伝多型と人格特徴との関係を検討した。 J
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対象は 487人の健常日本人(男性 244例、女性 243
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例)であった。人格特徴は日本語版 Te
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)にて評価し、CYP2C19代謝
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欠損遺伝子 (
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性において、代謝欠損者は代謝正常者と比較し、報酬
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依存、協調性、自己超越性の項目の点数が低値であっ
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g.1)。一方、男性においては、TCIの
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7項目全てにおいて、代謝正常者と代謝欠損者の間に
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有意差は認められなかった(Tabl
e1)。以上より、本
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研究において、
CYP2C19遺伝多型は健常日本人女性の
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Tabl
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人格特徴に影響を与えることが示された。
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.
52
研 究 組 織:山形大学医学部発達生体防御学講座発達精神医学分野:
研究代表者:大谷 浩一(教授)
研究分担者:鎌田 光宏(准教授)、青嶋 利明(講師)、鈴木 昭仁(助教)、石井 玄樹(医員)
Fi
g.
1 CYP2C19が女性の報酬依存、協調性、自己超越性に与える影響
Tabl
e1.CYP2C19活性が I
CIの7項目に与える影響
Major Publications
01.I
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462465,2007.
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t427:99102,
2007.
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t425:
192194,2007.
04.Suz
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2007.
05.I
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t411:
7780,2007.
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5558,2006.
53
2 研究概要
生活習慣病としての循環器疾患の病態解明と治療の基礎的研究・教育
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山形大学医学部器官機能統御学講座
循環薬理学分野
石井 邦明
教授 Kuni
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研究概要
虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)は生活習慣病と
Pr
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e
昭和 56年
昭和 61年
平成 8年
平成 17年
東北大学医学部卒業
東北大学医学部助手
山形大学医学部助教授
同 医学部教授
Research Summary
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が心不全の病態にどのように関与しているのかについ
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結果を得た。1)イヌ心室筋において ET1は単独で dependi
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軽度のβ受容体刺激下では陽性変力作用を惹起し、高 pr
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Ksを修飾した(一過
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性の増大に引き続く持続的な減少)
。4)β受容体刺激
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下においては ET1による I
Ksの減少作用がより強く現
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れ、また逆に高濃度の ET1存在下ではβ受容体刺激 act
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の増大が抑制された。
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はなく、シグナル伝達系間のクロストークについても s
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より詳細な検討を加える必要があることを示している。 pat
考えられているが、重度の虚血性心疾患では心臓のポ
ンプ機能が低下し心不全が生じたり、興奮性の異常に
54
研 究 組 織:山形大学医学部器官病態統御学講座循環薬理学分野
研究代表者:石井 邦明(教授)kui
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大倉 正道(講師)mohkur
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西丸 和秀(助教)ni
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図 交感神経系とエンドセリン系のクロストーク
β受容体活性化の程度によって ET1による変力作用が全く異なる。
β受容体、ETA受容体の活性化の有無によってお互いの I
KS修飾機構が影響を受ける。
Major Publications
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2003)92,10241032.
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2007)152,456463.
55
2 研究概要
活性酸素のかかわる疾患に対する抗酸化・レドックス系による防御機構
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山形大学大学院医学系研究科生命環境
医科学専攻分子疫学部門
生体分子機能学講座
藤井 順逸
教授 Juni
chiFuj
i
i
昭和 57年 3月
昭和 59年 3月
昭和 63年 3月
昭和 63年 4月
平成 2年 4月
平成 3年 2月
平成 4年 10月
平成 8年 12月
平成 11年 7月
平成 16年 4月
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研究概要
酸素分子が一電子還元を受けて生じるスーパーオキシド
からは、ラジカル連鎖反応により様々な活性分子種が生じ
る。生体では、各種抗酸化・レドックス系が、活性酸素の
毒性から身を護る防御系として働いている。本研究では主
に、活性酸素種の中で、光老化反応について関与が指摘さ
れながらも、解明の遅れている一重項酸素による細胞傷害
の機構を調べ、また、抗酸化酵素として老化防止や酸化ス
トレスからの防御の上で中心的な役割を担う Supe
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SOD1)の欠損マウスの新たな表現型の検出
とその機構について解析を進めた。さらに新規抗酸化酵素
の遺伝子改変マウスを作製し、表現型解析を進めている。
得られた結果は以下の通りである。まず、アポトーシス
を引き起こすと考えられていた一重項酸素が、アポトーシ
スの実行にかかわる分子種を酸化的に不活性化することで、
むしろアポトーシスの進行を抑制する事を明らかにした。
しかしこのアポトーシス抑制により、本来除去される傷害
細胞が貪食されずに残るため、炎症反応を激化させる要因
となっていると考えられる。
SOD1の変異が家族性筋萎縮性側索硬化症 (
FALS)の原
因となることが知られているが、SOD1欠損マウスは症状
を示さない。しかしながら詳細な解析から、赤血球の寿命
が6割程度に短縮しており、それは酸化の亢進が原因であ
ることをつきとめた。その結果、著しい貧血を呈する上に、
加齢に伴い赤血球に対する自己抗体が生成し、自己免疫様
の症状を呈することを明らかにした。酸化ストレスと自己
免疫との関連を明らかにするために、赤血球特異的にヒト
SOD1を発現するトランスジェニックマウスを作製し、
SOD1欠損マウスと交配することで、全身性に SOD1を欠
き、赤血球にのみヒト SOD1を発現する遺伝子改変マウス
を作製した。その結果、赤血球の酸化ストレスの軽減・寿
命の正常化・貧血の改善に加えて、抗赤血球抗体の産生も
抑制された。以上の結果は、自己免疫性疾患への酸化スト
レスの関与を示し、抗酸化剤はその予防に有効である可能
性を示唆している。
また、数年前から手がけて来たチオレドキシン依存性ペ
ルオキシダーゼ活性を有する酵素ペルオキシレドキシン4
のノックアウトマウス作製に成功した。このマウスは当初
の予想通り精子形成細胞に傷害が見られることから、配偶
子形成を保護していると考えられ、精子形成異常症などの
遺伝子疾患との関連が示唆された。
56
静岡大学理学部生物学科卒業
静岡大学大学院理学研究科修士課程修了(理学修士)
大阪大学大学院医学研究科博士課程修了(医学博士)
トロント大学ベスト研究所博士研究員
学術振興会特別研究員(大阪大学医学部生化学教室)
大阪大学医学部生化学教室 助手
同 講師
同 助教授
山形大医学部生化学第二講座 教授
山形大学大学院医学系研究科生命環境医科学専攻
新設に伴い異動、現職
Research Summary
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研究分担者:岡田 太(同准教授)f
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井内 良仁(同 助教)yi
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図 酸化ストレスにより赤血球膜の脂質が過酸化され、4ol
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生じる。こうした酸化産物は生体にとっては異物と認識さ
れるため、それに対する抗体が生じる。過酸化脂質をもつ
老化赤血球に抗体が結合することで、破壊を促進する。こ
の反応が繰返されることで抗体の産生が増幅され、臨界濃
度を超えた時に自己免疫性溶血性貧血をもたらす可能性が
ある。
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57
2 研究概要
インターロイキン 21による免疫制御機構の解析
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山形大学医学部発達生体防御学講座
免疫学分野
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昭和 35年 宮城県仙台市生まれ
昭和 60年 東北大学医学部卒業
平成 3年 東北大学大学院医学系研究科修了
平成 8年~ 10年 エール大学医学部病理学教室研究員
平成 12年 東北大学医学部助教授
平成 15年 山形大学医学部教授
研究概要
免疫系は感染症やアレルギー、自己免疫などの免疫疾患
のみならず、様々な疾患の病態に深く関わっている。サイ
トカインはその免疫応答を調節する極めて重要な液性因子
である。近年新たなサイトカインが次々と発見され、その
機能が明らかにされている。
2000年に発見されたインターロイキン (
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L15と 共 に、共 通 受 容 体 γ 鎖(γc)
を共有するサイトカインであり、B細胞や T細胞など多く
の免疫担当細胞に対して多彩な機能を有することが知られ
ている。I
L21は B細胞に対して最終分化を促すと同時に
I
gE産生を抑える機能を持ち、アレルギー性疾患との関連
が注目されている。また近年、関節リウマチや炎症性腸炎
など多くの炎症性疾患を引き起こすと考えられる I
L17産
生性の TH17細胞分化に I
L21が重要な役割を担っている
ことが明らかになってきた。しかし、これらはマウスを用
いた研究が多く、ヒトの免疫機構とは明らかに異なる。
今回、未解明なヒト I
L21の産生細胞や機能を解明する
ことを目的に研究を行い、以下の点を明らかにしてきた。
1)リコンビナントヒト I
L21を作成し、マウスに免疫す
ることにより抗ヒト I
L21単クロン抗体(4BG1)を作成し
た。この抗体を用いてヒト I
L21産生細胞を解析したとこ
ろ、活性化 CD4+セントラルメモリーT細胞(TCM)とエフェ
クターメモリーT細胞(TEM)に発現し、CD4+ナイーブ T
細胞や CD8+
T細胞からは産生されないことが判明した。他
のエフェクターサイトカインとの共発現解析により、I
L21
はI
FN-γ産生 TH1細胞や I
L17産生 TH17細胞から産生さ
れ、I
L4産生 TH2細胞からは産生されなかった。この結果
は、ヒト I
L21が TH1細胞や TH17細胞の機能発現に関わ
ることを示唆した。
2)リンパ球はウイルス感染などにより生体内で減少する
と、恒常性を保つためにホメオスタティックな抗原刺激非
依存性の増殖反応を起こす。この反応は免疫記憶の維持に
も重要であると考えられており、この機能を調節している
のがγ cサイトカインファミリーである I
L7と I
L15であ
る。我々は I
L21もこの機能を持つのではないかと考え解
析した。I
L21単独ではこれを誘導しなかったが、I
L7や
I
L15の存在下で誘導される CD4+記憶 T細胞の増殖を強
く促進し、さらに I
L7や I
L15に対して反応性の乏しい
CD4+ナイーブ T細胞の増殖も促進した。この増殖促進機
能に関わる情報伝達経路を解析した結果、MAPキナーゼ系、
PI
3キナーゼ系の経路の他、I
L21の主な情報伝達分子と考
え ら れ る STAT3を 介 し て CD4+
T細 胞、特 に ナ イ ー ブ
CD4+T細胞のホメオスタシスを制御している可能性を示
した。
58
Research Summary
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研究代表者:浅尾 裕信(教授)as
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研究分担者:奈良 英利(助教)nar
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RahmanMi
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3)I
L21には RNAスプライスの異なるアイソフォームが
存在することを発見した。ヒト I
L21アイソフォームは細
胞外に分泌されず、細胞内に留まっている点でこれまでに
報告されている I
L21と異なる。しかし、このアイソフォー
ムは細胞内で情報伝達が可能であることを見出している。
この結果は I
L21アイソフォーム産生 TH1や TH17細胞が、
周囲の細胞に影響することなく、自律的に機能出来ること
を示唆している。
今後 TH1や TH17細胞が引き起こす各種免疫疾患での I
L21や I
L21アイソフォームの機能解析を進め、免疫疾患の
発症要因の特定や治療法の開発につなげて行きたいと考え
ている。
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【図】
により活性化された TH1細胞や TH17細胞の一部はそれぞれ I
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L17と共に I
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Major Publications
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59
2 研究概要
生体機能における脂質性二次メッセンジャー代謝酵素の機能的役割の
解析と地域特性を生かした分子疫学研究
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山形大学医学部情報構造統御学講座
組織細胞生物学分野
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昭和 38年 山形県天童市生まれ
昭和 62年 山形大学医学部卒業
卒業後一貫して基礎研究に従事し、現在は脂質代謝機
構と様々な病態に興味を持つ。
平成 9年より現職
研究概要
生体膜は、種々の蛋白分子を含有する脂質二重層から構
成されており、細胞内外あるいは細胞内の各コンパートメ
ントを境界するバリアーとして働くのみならず、情報の変
換部位としても重要な役割を果している。近年、細胞膜脂
質の主要構成成分であるリン脂質が、情報伝達系に深く関
与していることが明らかになってきた。我々は、この生体
膜の微量成分であるイノシトールリン脂質の分解産物であ
る脂質性二次伝達物質ジアシルグリセロール (
DG)のリン
酸化酵素 DGキナーゼ (
DGK)に注目し研究を行っている。
とりわけ、外界ならびに個体内の情報を収集・統合し、生
命維持および環境適応を担当する生体情報中枢が脳である。
この情報中枢の基本単位をなすものが神経細胞であり、遺
伝子の転写・翻訳や蛋白質の機能発現を介して神経情報伝
達機構が制御される。我々はこれまで、ラットから5種の
DGKア イ ソ ザ イ ム (α ,-β ,-γ ,-ζ ,-ι )を 単 離 し、
その分子多様性を明らかにしてきた。
我々は近年、DGK アイソザイムの蛋白レベルでの解析を
進めており、遺伝子導入細胞および特異抗体を用いた形態
学的解析を中心として各アイソザイムの神経系における機
能解析を行っている。その結果、これらアイソザイムは各々
細胞レベルにおいても特徴的な細胞内局在を示すことが明
らかとなってきた。
1)神経細胞における DGK βの役割:培養神経細胞へ
の DGK遺伝子導入実験により、DGKアイソザイムのうち、
DGKβ(ベータ)が海馬ニューロン樹状突起の棘突起に局
在することが明らかとなった。脳内において DGK βの
mRNAが主要なドーパミン投射領域である線条体に発現
することからドーパミン受容の情報伝達機構との関連が示
唆される。さらに、イタリアの研究グループとの共同研究
により、ヒト DGK βが躁鬱(そううつ)病において発現
変化を示す遺伝子の一つである可能性も報告されている。
我々は近年、DGK βの微細局在について電子顕微鏡的解析
を行っており、このアイソザイムがシナプス後部に局在し、
棘突起形成を促進させることを明らかにした。
2)細胞周期における DGK ζの機能的役割:DGK ζ
(ゼータ)は核移行シグナルを有し、種々の生体細胞内にお
いて核内に斑点状構造物として認められる。我々は、核内
における DGK ζの機能的役割を追求する目的で、NI
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培養細胞および生体内の増殖系細胞である精巣の生殖細胞
において、細胞周期各ステージでの細胞内局在を免疫細胞 /
組織化学的に解析した。
60
Research Summary
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研究代表者:後藤 薫 (山形大学医学部組織細胞生物学分野教授)kgot
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研究分担者:八月朔日泰和(同 助教)yahodumi
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その結果、DGKζは培養細胞および生体内の増殖細胞において、細胞周期間期では分散クロマチン領域に一致する局在を
示すが、分裂期クロマチンの凝集化に伴ってクロマチン領域から解離することが明らかになった。また生殖細胞において
は、濃縮したヘテロクロマチンの形成とともに DGKζの発現が消失することを見出した。これらのデータは、DGKζの
細胞内 /核内局在および発現調節がクロマチンの活動状態と密接に関連する可能性を示唆すると考えられる。
Major Publications
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2 研究概要
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昭和 62年 東京大学医学部卒業
昭和 62年~平成 5年 東京大学脳神経外科
(日本脳神経外科学会専門医)
平成 5年 国立がんセンター研究所生物物理部研究員
平成 9年 同 室長
平成 16年より現職
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代謝(=ワールブルグ効果)ががんの発生に重要であると
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する説を唱えた。
「ワールブルグ効果」は、現在がん検診で
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非常に注目されている PET検査の原理となっている重要
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ながんの特徴であるが、なぜ増殖に多量のエネルギーを必
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要とするがん細胞があえて効率の悪いエネルギー産生を行
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うのかは謎とされてきた。
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これに対して私達は、細胞に自殺をひきおこす際に鍵と
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i
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;Bax conf
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mat
i
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なる Bax、Bakという二つの分子に着目し、エネルギー産
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pi
t
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i
on and
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生に酸素を使う状態と使わない状態でこれらの分子の働き
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mmunobl
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cf
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i
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を調べた。Bax,Bakはミトコンドリアの膜に存在し、普段
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ed by dye
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or
mat
i
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は不活性状態にあるが(図1)、細胞内に「自殺シグナル」
(図
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2、紫色の折れ線矢印)が生じると活性化してミトコンド
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リアに「穴」を開け、ミトコンドリアに隔離されていた
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n
「毒」を細胞内にまきちらして細胞の自殺を引き起こす(図
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2)
。ところが、実験の結果、エネルギー産生に酸素を使わ
and TNFαi
nduced Bax and Bak act
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ない状態では両方の分子の働きが抑えられ、細胞の自殺も
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おきなくなることが明らかになった(図3)。
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n A,mean = 10.
0.
%,95%CI= 0% t
o
正常な細胞ではがんの発生を未然に防ぐため、細胞内に
n,mean = 13.
1%,95%CI= 5.
7% t
o
21.
7%;ol
i
gomyci
がんを引きおこすような種々の「異常」が生じると自殺の
20.
5%; t
uni
camyci
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nduced MCF7cel
l deat
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スイッチが入ることが知られている(図2)。一方、多くの
6% t
o36.
8%;
hour
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,mean =29.
2%,95%CI=21.
「異常」を細胞内に抱えながら生きているがん細胞にとって
ant
i
myci
nA,15.
3%,95%CI=0.
8% t
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8%;ol
i
gomyci
n,
は、細胞自殺を回避することが何にもまして重要なことと
i
nduced
mean =11.
5%,95%CI=3.
9% t
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1%;TNFαなる。これに対して、Bax,Bakは細胞が自殺するかしない
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ldeat
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,mean = 24.
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95%CI= 12.
6% t
o 35.
4%,ant
i
myci
n A,mean = 8.
9%,
かを最終決定するマスタースイッチとして働いていること
95%CI= 3.
9% t
o 13.
9%,ol
i
gomyci
n,mean = 13.
3%,
から、この2つのマスタースイッチをオフにできれば、がん
95%CI= 10.
4% t
o 16.
2%)
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ng and decr
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細胞が自殺を回避するうえで非常に有利になる。従って、が
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i
ん細胞が酸素を利用せず一見無駄なエネルギー産生してい
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るのは、自殺のマスタースイッチをオフにしつつ必要なエ
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ネルギーを確保するという非常に理にかなったサバイバル
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戦略であることが私達の研究から理解できるようになった。 Bakac
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vat
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on.
細胞は通常ミトコンドリアで酸素を利用しながらブドウ
62
研 究 組 織:山形大学医学部器官機能統御学講座腫瘍分子医科学分野
研究代表者:北中 千史(教授)
研究分担者:富山 新太(助教)
立花 研(助教)
また、放射線や化学療法によるがん細胞の殺傷効果は、多
くの場合細胞自殺の誘導に依存している。従ってワールブ
ルグ効果により Bax,Bakが働かなくなった状態ではがん
細胞は治療に抵抗性になっていると考えられ、逆にがん細
胞の代謝状態を「酸素を利用しない」状態から「酸素を利
用する」状態へとシフトすることができれば、治療抵抗性
の難治がんも治療反応性のがんに変えられる可能性が見え
てきた。今後はこのような新たなコンセプトに基づき、新
規がん治療法の開発を目指したいと考えている。
図1
Concl
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図2
図3
Major Publications
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6,p.
905)
63
2 研究概要
「地域特性を生かした分子疫学研究」
画像診断および解析 MRI
を用いた
脳病態の解明
El
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msofcer
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s
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ngMRI
山形大学医学部環境病態統御学講座
映像解析制御学分野
細矢 貴亮
教授 TakaakiHosoya
Emai
l
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hos
oya@med.
i
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yamagat
au.
ac.
j
p
Pr
of
i
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昭和 29年 北海道札幌市生まれ
本籍、山形県新庄市
昭和 53年 順天堂大学医学部卒業
昭和 56年 山形大学
平成 12年 現職
研究概要
Research Summary
CTや MRIといった画像診断機器の発達に伴い、脳
Ce
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agnos
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の病態は臨床的に極めて容易に把握できるようになっ
devel
opmentofdi
agnos
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i
ci
magi
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us
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てきた。同時に、脳の病態解明も飛躍的に進歩してい
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aneous
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y,mechani
s
ms of
as CT and MRI
る。 我々は、
MRIで脳の微細構造を 3次元的に描出す
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ebr
aldi
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esar
eel
uci
dat
ed.Wedevel
opedMRI
る技術や脳の白質線維の走行を解析する技術を開発し、 t
ngcer
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epr
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el
yi
n
echnol
ogydes
cr
i
bi
脳神経や脳血管、脳の深部構造の微細な変化を画像的
t
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mens
i
onsandt
het
echnol
ogyofanal
yzi
nga
に捉えることに成功した。
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「地域特性を生かした分子疫学研究」においては、 s
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yofcr
ani
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検診における画像評価を担当しており、すでにいくつ
かの成果が公表されている
1)
5)
。また、椎骨脳底動脈解
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BPAS)を開発した 3)。本法は、従来観察で
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きなかった脳動脈の外観を簡便に表示する方法で、椎
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骨脳底動脈解離のスクリーニングだけでなく、確定診
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断法としても期待されている。現在、臨床的評価につ
havedevel
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ng3)
いての成果を国内外の学会で公表中である。本法は、 (
BPAS)asa s
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厚生労働省の班研究(循環器病研究委託費 12指- 1
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「若年世代の脳卒中の診断、治療、予防戦略に関する全
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ayi
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国多施設共同研究」主任研究者 峰松一夫)に画像診
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y,whi
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断法として採択され、臨床的有用性を検証中である。
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64
研究代表者:細矢 貴亮(山形大学医学部映像解析制御学分野教授)Emai
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yamagat
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研究分担者:駒谷 昭夫(山形大学医学部附属病院放射線診断科講師)Emai
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:akomat
an@med.
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yamagat
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j
p
小田 敦子(山形大学医学部映像解析制御学分野助教)Emai
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oda@med.
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d.
yamagat
au.
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j
p
鹿戸 将史(山形大学医学部附属病院放射線診断科助教)Emai
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:mkanot
o@med.
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BPAS)で、右椎骨動脈遠位端、脳底動脈近位部に拡張を認める(矢印)。
MRangi
ogr
aphy(
MRA)で、同部は拡張と狭窄を示し、拡張部には濃淡の二重信号が認められる。椎骨脳
底動脈解離の所見である。
Major Publications
1) Nagas
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2007)
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2006)
3) Nagahat
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2005)
4) Komat
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489494(
2004)
5) Kameda W,KawanamiT,Kur
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694699(
2004)
65
2 研究概要
遺伝子改変マウスを利用した病態モデルの確立と生体内遺伝子発現解析
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山形大学遺伝子実験施設
中島 修
准教授 Osamu Nkaj
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Emai
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yamagat
au.
ac.
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平成 4年 東京大学薬学部卒業
平成9年~ 同大学大学院医学系研究科博士課程修了
筑波大学先端学際領域研究センター施設研究員、
同センター・基礎医学系助手を経て
平成 12年より、現職
研究概要
Research Summary
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学解析の成果に基づき,候補遺伝子の疾患への関与を
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yzed t
hei
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検証するため,トランスジェニックマウス等を作製し,
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cher
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その表現型の解明を行ってきた。以下に,我々が中心 Yamagat
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ySchoolofMedi
ci
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に行ってきたプロジェクトの成果について報告する。 I
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1 環状鉄芽球形成モデルの確立
mi
ce.
我々は,
山形大学医学部の研究者と連携して,
分子疫
環状鉄芽球とは,ミトコンドリアに鉄が異常蓄積し
た病的な赤芽球であり,X染色体連鎖型鉄芽球貧血
(
XLSA)などの患者骨髄中に認められる。XLSA原因遺
For
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伝子である ALAS2遺伝子破壊マウ
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as
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スにおいて環状鉄芽球が認められな
かったことから,トランスジェニッ
クマウスを用いた部分レスキュー法
により,XLSA患者と同様に ALAS2
の部分欠損状態にすることで,遺伝
子改変マウスを用いて,初めて,環
状鉄芽球形成モデルを確立した(図
1)。
図1 胎児血中で
形成された環
状鉄芽球
2 ポルフィリン症モデルの確立
ヘム生合成系初発酵素である 5-アミノレブリン酸
合成酵素(ALAS2)およびヘム分解酵素であるヘムオ
キシゲナーゼ1 (HO1)の全身性過剰発現トランス
ジェニックマウスの解析から,これらのマウスが,そ
れぞれ,多様性ポルフィリン症,および晩発性皮膚ポ
ルフィリン症を発症することを明らかにした。これま
で,ヘム生合成系酵素の欠損症として報告されてきた
ポルフィリン症が,新しいタイプの分子基盤で発症す
る可能性を示唆した。また,HO1トランスジェニッ
クマウスでは,ポルフィリン症発症が肝臓への鉄過剰
が主な原因であることを示し,HO1の生理機能の新
たな側面を見出した。
66
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or Ri
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研究代表者:中島 修
研究協力者:岡野 聡(山形大学遺伝子実験施設助教 s
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富樫 義之(山形大学遺伝子実験施設技術職員 yt
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周 凌云(山形大学大学院医学系研究科生命環境医科学専攻博士課程後期大学院生 z
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清水 和弘( 同 kaz
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3 ヘム生合成・分解酵素遺伝子の生体内発現制御解析
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非組織特異型 ALAS(
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5.
子座へ蛍光タンパク質を相同組換により挿入した遺伝
子破壊マウスをそれぞれ作製し,ヘテロ接合体におい
て各遺伝子の生体内での発現制御下で蛍光タンパク質
が発現するマウスを確立し,ALAS1・HO1の組織特
異的な発現を解析した。これらの解析から,ALAS1
は気管支上皮(図2)や脈絡叢など,これまで報告さ
れていない組織での発現が明らかとなった。一方,ス
トレスにより誘導される HO1発現は,無刺激下で,
主に組織球マクロファージ系等に認められ,ストレス
負荷により,その発現が増強される傾向が認められた。
また,本解析から ALAS1遺伝子破壊マウスが胎齢 8.
5
日までに胎生致死し,発生初期に必須であることを世
界に先駆けて明らかにした。
図2 気管支上皮細胞での ALAS1の発現
Major Publications
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