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人権教育における実践と評価
本書の主な内容は、「人権教育全体計画」に示された各学校の「育てたい資
質・能力」を育むためにどんな取組をするのか明確にし、PDCAサイクルに
則して児童生徒の成長を評価することで、取組や授業を継続的に改善する方法
について示したものです。
各学校でこれから必要だと考えられる作業について、PDCAの各段階ごと
にモデルを示しながら紹介しています。
また、巻末には授業改善に向け、グループ活動を効果的に進めるテクニック
を具体的な教材とともに紹介しています。
○「人権教育全体計画」にもとづく実践を行う。
・「育てたい資質・能力」のための方策や担当者の明確化
○継続的に改善を図る仕組みをつくる。
・PDCAサイクル(計画、実践、評価、改善)の流れ
○グループ活動を効果的に進めるテクニック
・発散思考と収束思考
平成21年4月
鳥取県教育委員会
人権教育課
人 権 教 育 における実 践 と評 価
目
次
1.
Plan 活用できる全体計画にする ・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
2.
Check 評価してみる ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3
3.
Do 具体的方策を評価する・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5
4.
Do 全体計画を基にした年間指導計画にする・・・・・・・・・・・ 7
5.
Do 授業研究会に生かせる指導案にする・・・・・・・・・・・・・ 9
6.
Check 学校評価のサイクルの中に入れる ・・・・・・・・・・・ 11
7.
Method グループ活動を効果的に進めるテクニック・・・・・・・ 12
8.
Method 発散思考:量>質・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13
9.
Method 収束思考:質>量・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16
*参考資料・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 19
Plan
1.活用できる全体計画にする
人権教育全体計画の活用イメージ
P全体計画作成
C全体計画の評価
○目標、重点的方策を明確に
A改善
○達成できたか、近づいたか
・育てたい資質・能力
・有効な方策は継続し、
・人権教育目標
・推進担当者(評価担当者)
有効でないものは変える
・育てたい資質・能力
○具体的方策は有効か
D具体的実践
・授業
・学級、学年など日常の取り組み
・児童会生徒会活動
・学校行事
など
全体計画をひと工夫する
(1)分かりやすい記号をつける。
○「育てたい資質・能力」に記号をつける。
○この記号を、資質・能力を育てるための「具体的な方策」にも明記する。
・「育てたい資質・能力」に通し番号、または「知3」「技1」…、または「知識」を
1、2、…、「技能」をア、イ、…、「態度」をa、b、…
など
→どんな資質・能力を育てるための方策なのかが明確になり、全職員で指導のチャンスを逃す
ことなく意識的に取り組むことにつながります。
→方策の提案について協議する場合、方策を実践する場合、さらに方策を評価する際の観点が
明確になり、人権教育の推進をより具体的で確実なものとすることができます。
(2)担当者を明記する。
○「具体的な方策」について、それぞれの担当者を明記する。
校務分掌との関連を大切にして、取組の提案、実践中の調整、取組の評価を中心に担
当者を決めておきます。
→方策の遂行リーダーが明確になり、確実な実践につながります。
→人権教育は学校教育全体を通じて取り組むものであり、各担当が様々な取組を提案する際や
評価する際に、人権教育の視点が明確になり、より効果的な実践につながります。
より実効性のある全体計画になる
人権教育全体計画は、学校教育全体として、どんな目標に向かってどのようにして人権
教育を推進していくのかを示したものです。授業、行事、日常の指導などは、この全体計
画をもとにして行います。1年間のうちでたびたび参照して取組を確認したり、変更点を
記録しておいたりしたいものです。
-1-
モデル1
-2-
Check
2.評価してみる
※全体計画をもとにして…
P全体計画作成
C全体計画の評価
○目標、重点的方策を明確に
A改善
○達成できたか、近づいたか
・育てたい資質・能力
・有効な方策は継続し、
・人権教育目標
・推進担当者(評価担当者)
有効でないものは変える
・育てたい資質・能力
○具体的方策は有効か
D具体的方策の実践
・授業
・学級、学年など日常の取り組み
・児童会生徒会活動
・学校行事
など
意識調査や学校評価、反省資料の形式を変えて位置づける
○児童生徒の自己評価アンケートをする(児童生徒による評価)。
・設定した「育てたい資質・能力」の各項目について、知識、技能、態度など、項目の趣
旨が変わってしまわないように気をつけながら児童生徒に分かりやすい表現に直す。
・得られた結果をもとに、担当者や校内委員会、職員会等で全体計画の見直しをする。
・児童生徒による学期末反省等でも応用できる場合は扱う。
→多くの小中学校で取り組まれてきた、意識調査の形式を、「育てたい資質・能力」に沿った
内容に変更することで、人権教育全体計画の人権教育目標や卒業時までに「育てたい資質・
能力」、「具体的な方策」などの評価・改善に直結させることができます。
(県内のある中学校区では、小3、小6、中3用にアンケートを作成しています。)
○学校評価や学期末教育反省等に「育てたい資質・能力」や具体的方策についての項目を
設定する(主に教職員による評価)。
・学校評価や学期末教育反省等、全職員の意見を集約するような場面で、アンケート資料
の中に「育てたい資質・能力」の高まりを評価する部分を設定する。
→学校評価の項目に位置づけることで「人権教育全体計画」の改善に直結できます。また、担
当者が評価計画まで明らかにして具体的方策の取組を提案することで、取組の意義が明確に
意識され取組の効果が高まります。
全体計画の評価・改善に直結できる
-3-
モデル2
「○○町
・これは小学生版の例
人権教育ふりかえりシート」
・中学校区で一緒に取り組む前提で
(
)小学校6年
名前(
)
これから、小学校での人権教育についてふりかえってもらいます。みなさんが書いたもの
を小学校の先生と中学校の先生が
趣旨を明らかにし
ておく
○来年度以降の小学校の授業をよくするために
○4月からのみなさんの中学校生活がよりよいものになるために
しっかり読みます。
たくさん質問しますが、テストではないので、あわてずよく考えて正直に答えてください。
負担を軽くするため、
単純な選択肢にする
これまでの学習を思い出して、次の質問ごとにあてはまるほうに○をつけてください。
【ふだんの学習について、4点質問します。】
(ア)一時間一時間の授業を大切にしよう
と思いますか。[態1]
1
思う
2
思わない
(イ)家庭で自主的な学習に取り組んでい
ますか。[技1]
1
はい
2
いいえ
(ウ)あなたは、夢や願い、目標を達成す
るための方法を知っていますか。[知1]
1
知っている
2
知らない
質問は、「育てたい資質・能力」の各項目
の文をもとにして、項目の趣旨が変わってし
1 思う
2 思わない
まわないように気をつけながら、児童生徒に
分かりやすい表現に直して設定する。
(エ)学習や活動にねばり強く取り組もう
と思いますか。[態2]
【あなたのことや考えについて、4点質問します。】
(オ)自分や友だちの個性やよさを認めよ
うと思いますか。[態5]
1
思う
2 思わない
(カ)友だちの気持ちや意見を大切にしな
1 できる
2 できない
○設定した「育てたい資質・能力」に対する達成度が見えやすくな
がら、自分の考えも話すことができ
る。
ますか。[技5]
○具体的な数値データを得ることで、次年度の人権教育全体計画を検
討するための協議が具体的になる。
(キ)自分のためを思って友だちが助言や
1 している
2 していない
忠告をしてくれたとき、できるだけ
受け入れようとしていますか。[技4]
-4-
Do
3.具体的方策を評価する
※全体計画に記入した「育てたい資質・能力」の記号を利用する。
P全体計画作成
C全体計画の評価
○目標、重点的方策を明確に
A改善
○達成できたか、近づいたか
・育てたい資質・能力
・有効な方策は継続し、
・人権教育目標
・推進担当者(評価担当者)
有効でないものは変える
・育てたい資質・能力
○具体的方策は有効か
D具体的方策の実践
・授業
・学級、学年など日常の取り組み
・児童会生徒会活動
・学校行事
など
たとえば、重点的な具体的方策として学校行事をあげている場合…
行事の実施要項や反省資料にひと工夫する
○計画書や実施要項に「育てたい資質・能力」の記号を書く。
・全体計画で具体的方策として取り上げた重点的な取組のうち、特に学校行事などの全校的
な取組については、その計画書や実施要項のねらい・目標の部分に関連の深い「育てたい
資質・能力」の記号を書き込んでおく。
○取組の反省資料では、ねらいや目的の達成度を大切にする。
・全体計画に明記した具体的な方策の担当者が評価を企画する。
・児童生徒に書かせる行事の振り返りシートなどの項目にも、取組のねらいや目的に沿った
項目を設定しておく。
→取組のねらいや目標と「育てたい資質・能力」との関連が明確になり、その取組のねらいや
目標を実現することによって「育てたい資質・能力」も高められます。
→具体的な評価データがあると次年度の取組の改善の協議もしやすくなります。
ねらいに沿った有効な取組になり、改善点も明確になる
具体的方策の評価
具体的方策の計画
<人権学習年間指導計画>(別頁に掲載)
<反省資料や児童生徒によるアンケートの活用>
<行事などでは実施要項>
・取組のねらいに照らして評価する。
・結果として、高めようとする「育てたい資質・
・ねらいに、高めようとする「育てたい資質・
能力」の評価につながる。
能力」の記号を明記
-5-
モデル3
【学校行事(運動会)での評価の例】
①実施要項に少しだけ書き込んでみる。
能力」を明記しておく。
秋季大運動会実施要項(案)
○○町立△△中学校
・全体計画で設定した記号を使えばいい。
平成21年度
1
目
・関連の深い「卒業時までに育てたい資質・
的
(1)学級で協力や工夫することにより仲間意識(連帯感)を深め、お互いを認め合い大切にする
学級づくりの場とする。【人教7,8】
(2)自主的な計画・運営をとおして生徒会活動の活性化を図り、実践力を高める。【人教 13】
(3)学校公開の一つとして地域との交流を図る。
2
日
時
9月12日(雨天順延)9:00開会
3
種
(昼休憩12:00~13:50)
目
種目
学年
種別
種目名・内容
生徒会責任者
担当教員
1年
団体
みんなで歩もう
1年団
2年
〃
ツイスター
2年団
3年
〃
ムカデ競走
3年団
○行事の中で、人権教育としてのねらいを意識したより有効な取組になり
やすい。
○意識して取り組んだことは評価しやすい。
②行事反省にも少しだけ書き込んでみる。
平成21年度
秋季大運動会の反省
○○町立△△中学校
◎運動会の取組、みなさんお疲れ様でした。来年度に向けて、お気づきの点を記入してくださ
い。記憶の新しいうちによろしくお願いします。
1
目的の達成度
(1)
・反省のトップ項目に目的の達成度を置く。
・実施要項で行事の目標と関連が深いとした
「育てたい資質・能力」について、簡単に答
えられるようなアンケート項目を加える。
(2)
(3)
⑦人間関係上の対立や誤解などに、ぶつかったときに、協力して解決できる。
[1高まった
2やや高まった
3あまり高まらなかった
4高まらなかった]
⑧自分の考えを、相手の気持ちを考えながら伝えることができ、相手の考えも受け入れることがで
きる。
[1高まった
2やや高まった
3あまり高まらなかった
4高まらなかった]
⑬授業や学校行事に真剣に取り組もうとする。
[1高まった
2やや高まった
3あまり高まらなかった
4高まらなかった]
※コメント
○評価結果は次年度の運動会の提案で改善に生かせる。
○全職員で評価した経験は、全職員による自分の取組の見直
2 日程(当日、練習・準備等含めて)について
しのきっかけになる。
-6-
Do
4.全体計画をもとにした年間指導計画にする
P全体計画作成
C全体計画の評価
○目標、重点的方策を明確に
A改善
○達成できたか、近づいたか
・育てたい資質・能力
・有効な方策は継続し、
・人権教育目標
有効でないものは変える
・推進担当者(評価担当者)
・育てたい資質・能力
○具体的方策は有効か
D具体的方策の実践
・授業
・学級、学年など日常の取り組み
・児童会生徒会活動
人権学習年間指導計画
・学校行事
など
授業実践&評価
・「育てたい資質・能力」のために
必要な学習、核になる学習
・「育てたい資質・能力」は高
まったか
・有効な学習か
年間指導計画に「育てたい資質・能力」の記号を記入する
(1)最低限必要な項目は設定する。
○「題材・主題」、「教科・領域」、「ねらい(「育てたい資質・能力」)」
・形式は様々でも上の3つは備えておくとよいと思います。項目の表題にあげなくても、
必要なことが書き込んであればいいです。
→「教科・領域」と「ねらい」を見比べられるようにしておくと、人権学習としても大前提と
なる、教科・領域の特質を踏まえた学習内容かどうか判断しやすくなります。
(2)「育てたい資質・能力」の記号を書く。
○「ねらい」の中に、関連の深い「育てたい資質・能力」の記号を明記する。
・特に重点的に意識する学習について、その学習をとおして高めることができると考える
「育てたい資質・能力」の記号を書き込んでおきます。
・学習のねらいや資質・能力の記号は、授業研究会などでの学習指導案にも書き込むこと
が大切です。
→資質・能力の記号を記入することで、どんな力をつけることにつながる授業なのか明確にな
ります。そして、資質・能力を育てるための学習の有効性について検証する時の大切な視点
になります。
学習の有効性を検証しやすくなり、質の高い学習内容の設定につながる
-7-
モデル4
6年生 人権学習年間指導計画
○○町立△△小学校
知識
技能
⑥お互いを大切にした聞き方・話し方ができる。
⑦助言や忠告を受け入れることができる。
(1)最低限必要な項目を設定する
⑧差別や不合理に気付き、人に伝えることができる。
○「題材・主題名」、「教科・領域」、「ねらい(「育てたい
⑨情報を確認し正しく活用することができる。
態度
卒業時までに育てたい資質・能力
①自分たちとは異なる文化を大切にしている人がいることを知っている。
②ふるさとのよさを知っている。
③いくつかの権利と身の回りの人権問題について知っている。
④自分の将来の夢を実現するための道筋を知っている。
⑤あいさつも含めて人と人とがつながるあたたかい言葉遣いを知っている。
⑩問題の解決に向けて協力して行動しようとする。
・何のためのどんな授業なのかが分かりやすい。
⑪よりよい学校生活を目指して行動しようとする。
⑫正しいことをみんなで確認し、やり通そうとする。
⑬主体的に学習や活動に取り組もうとする。
資質・能力」の記号を明記しておく)」
月 題材名・主題名
教科・領域
ねらい(資質・能力)
記録(○△×)
4 最高学年として
学級活動
最高学年としての責任を自覚し、入学
式、縦割り班、委員会活動、クラブ活動、
登校班などでの行動の仕方について考え、
実践しようとする態度を育てる。⑩⑪
指示や説明することが多
くなってしまい、自主的
な態度が育っていない。
工夫する必要がある。
5
生きがいを求めて
道徳
「なぜ子どもは学校に行
かねばならないか」(学
研)
伝え合おう、私の意見
国語
招かれなかったお誕生会 道徳
夢や希望を持ち自分を高めていこうとす △主題はいいが、教材本
る心情を高める。④
文は長い。差し替え必
要。
(2)「育てたい資質・能力」の記号を書く
○この学習をとおして高めたい、高められると考える
自分の考えや意図が伝わるように、工夫 ○
「育てたい資質・能力」の記号を書く。
して話したり、話し手の意図を考えながら
聞くことができる。⑥
・なぜその授業を重点的に扱うのかについて授業者自身
の考えが明確になり、その有効性を評価する際の指標
部落差別の不合理に気付き、それをなく △要検討
も明確になる。
していこうとする心情を育てる。③⑧
気持ちのよい話し方をし 国語
よう -相手や伝える内
6 容に気を配った言葉づか
いをしよう-
7
相手の状況や伝える内容に気を配り、そ ○
の場に応じた言葉づかいを考えて会話をす
ることができる。⑤⑥
イヤな言葉とうれしい言 学級活動
葉
(構成的グループエンカウンター)
イヤだと思う言葉とうれしくなる言葉を
言ったり言われたりの体験で、お互いの気
持ちを味わい、語り合うことができる。⑤
部落解放月間のポスター 総合
部落差別の存在に気づき、それをなくす △時間に追われた
ための取組が行われていることを知る。③
運動会に向けて
最高学年として、運動会をどのように盛 ○昨年のVTRが効果的
り上げていくかを考え、主体的に活動する
態度を育てる。⑬
学級活動
-8-
Do
5.授業研究会に生かせる指導案にする
P全体計画作成
C全体計画の評価
○目標、重点的方策を明確に
A改善
○達成できたか、近づいたか
・育てたい資質・能力
・有効な方策は継続し、
・人権教育目標
有効でないものは変える
・推進担当者(評価担当者)
・育てたい資質・能力
○具体的方策は有効か
D具体的方策の実践
・授業
・学級、学年など日常の取り組み
・児童会生徒会活動
・学校行事
人権学習年間指導計画
など
授業実践&評価
・「育てたい資質・能力」のために
必要な学習、核になる学習
・「育てたい資質・能力」は高
まったか
・有効な学習か
指導案で「育てたい資質・能力」について記述する
○「単元について」、「目標」、「評価規準・評価計画」、学習過程の「評価」等の
部分に「育てたい資質・能力」の記号や内容を書いておく。
・「単元について」の中で、教科・領域の目標と、その目標を達成することを通じて高
められる「育てたい資質・能力」との関係について書きます。
・単元や本時の「目標」、「評価規準・評価計画」、学習過程の「評価」等の中では、
「育てたい資質・能力」の記号を書いておきます。
→全体計画で決めた「育てたい資質・能力」の記号を記入することで、どんな「育てたい資
質・能力」を高めるために重要な授業なのかが明確になり、学習の有効性について検証す
る規準となり、授業の質も高まります。
授業の意義が明確になり検証しやすくなる
-9-
モデル5
【学習指導案の例】
第 1 学年国語科学習指導案
1
単元名
みんなにしらせたいな
中核教材
きいて
2
きいて
/
よんで
よんで
/
は
へ
を
単元について
~前略~
本教材では、自分の経験から伝えたいことを選び、話したり書いたりして表現する活動
が軸となっている。また伝える相手を想定して活動する設定になっていて、伝える楽しさ
と共に相手によくわかる伝え方を工夫するなど表現の基礎となる学習である。「きいてきい
・「題材について」の中に文章表記する。
て」では、休み時間にしたことを思い出し、教科書の話例を参考に「いつ
・国語科本来のねらいを達成することによって「育てたい資
だれと
なにを
した」を意識して話す。そして、「よんでよんで」では、それらを書いて伝える。伝える相手
質・能力」の(技能6)を育てることにつなげるという意図
を思い浮かべながら、句読点の打ち方や主述の照応に留意して文を書く。同時に、助詞「は
を表す。
へ
を」の理解の定着をめざし、升目を使ってまとまった文を書く学習のスタートとなってい
る。
このように、この学習は今後の表現活動への基礎となると共に、人権教育における本校児童
に育てたい資質・能力の(低学年
技能 6)「自分の気持ちや思いを表現できる」のねらいに沿
った学習が展開できる。
~後略~
5
単元の評価規準
国語への
話す・聞く能力
書く能力
関心・意欲・態度
言語についての
知識・理解・技能
休み時間にしたこと
話型に注意しながら話
主述の照応や句
助 詞 「 は 」
を積極的に話そうと
したり聞いたりしてい
読点の表記等に注
「へ」「を」につ
している。
る。
意し、相手を意識
いて理解し、正し
して文章を書いて
く読み書きしてい
いる。
る。
書く内容や書く相手
を進んで考えようと
している。
大きな声ではっきりと
話したり、友 達の発表 を
しっかり聞い たりして い
る。
6
(技能6)
・目標や評価の部分に「育てたい資
質・能力」の記号を書き込む。
本時の展開
(1) 本時目標
遊んだことやしたことを、みんなの前でわかりやすく話すことができる。
(2) 本時の評価規準
○
みんなに聞こえる声で文末まではっきりと話している。
○
ものの様子を思い浮かべながら聞いている。
(低学年
(3) 学習過程
※「指導上の留意点及び支援」の欄に(2)と同様の記述をする。
- 10 -
技能6)
Check
6.学校評価のサイクルの中に入れる
学校評価による改善サイクル
C学校評価
○学校評価の中に関連づける
・人権教育と重なる項目
(学習、人権が尊重された環境、
人権感覚・意識等)
P全体計画作成
C全体計画の評価
○目標、重点的方策を明確に
A改善
○達成できたか、近づいたか
・有効な方策は継続し、
・育てたい資質・能力
・推進担当者(評価担当者)
有効でないものは変える
・人権教育目標
・育てたい資質・能力
○具体的方策は有効か
D具体的方策の実践
・授業
・学級、学年など日常の取り組み
・児童会生徒会活動
・学校行事
など
学校評価に位置づける
○学校評価の中に人権教育の重点取組に関する項目を設定する。
・今年度の人権教育全体計画の中から特に重点的に取り組んでいる事項に着目し、学校評
価の項目として設定する。「育てたい資質・能力」や「具体的方策」の中で、分掌の取
組として定着していて、すでに学校評価の項目に上がっているものについてはそれを利
用する。
・学期末教育反省等に「育てたい資質・能力」についての項目を設定する方法もある。
→学校評価の項目に位置づけることで自校の人権教育の改善に確実に反映できます。また、
担当者が評価まで明らかにして具体的方策の取組を提案することで、取組の意義が明確に
意識され、取組の効果が高まります。
※文部科学省「人権教育の指導方法等の在り方について[第三次とりまとめ]~指導等の在り方編
~」P18「学校としての取組の点検・評価」には教職員、児童生徒、保護者等による点検や評価の
考え方が、同「~実践編~」P13~P15「事例3:点検・評価アンケートの項目(教員向け/児童生
徒向け/保護者等向け)」には点検・評価アンケートの項目例が示されていますので参考にしてく
ださい。
人権教育についても継続的な評価・改善ができる
- 11 -
Method
7.グループ活動を効果的に進めるテクニック
グループ活動の重要性
文部科学省「人権教育の指導方法等の在り方について[第三次とりまとめ]~実践編~」(以下
「実践編」)は、人権教育におけるグループ活動の重要性を以下のように述べています。
人権感覚を育成する基礎となる価値的・態度的側面や技能的側面の学習においては、児童生徒が
自ら主体的に、しかも学級やその他の児童生徒とともに学習活動に参加し、協力的に活動し、体験
することが不可欠である。このような能力や資質を育成するためには、児童生徒が自分で「感じ、
考え、行動」することが求められる。こうした学習の取組においては、基本的には個別的活動より
もグループ活動が必要となってくる。(「実践編」P37)
その上で「実践編」は、グループ活動を効果的に進めるために、教師が熟練していることが望まし
い12のテクニックを紹介しています。(「実践編」P37~P41)
テクニックの特性を理解する
テクニックを有効に活用するためには、それぞれのテクニックの特性を理解しておく必要がありま
す。以下に、アメリカの心理学者J.P.ギルフォードが提唱した「発散思考」と「収束思考」とい
う分類に従って、「実践編」とは異なる12のテクニックを紹介します。【参考】として「実践編」
が掲載している事例のうち、応用しやすいものを紹介しておりますので、有効に活用してください。
(1) 発散思考
「後で非難される」「つじつまがあわなくなる」といった発想か
らできるだけ自由になり、「可能性としてはこんな考え方もでき
る」といった形で、なるべく多くの視点からアイディアを出そう
とする思考法です。アイディアの質は問わず、量に価値を求めま
す。個人で考えるのが有効な場合と、グループ活動を通して他の
論理性に捉われず、様々
な視点からアイディアを出
そうとする思考
※ 特性: 量 > 質
人の意見に刺激を受けながら考えるのが有効な場合とがあります。
(2)収束思考
なるべく多くのデータ・事実を集め、そこから論理的に「正し
論理的に「正しい答え」
い答え」を導き出そうとする思考法です。「なぜそう言えるか」
を求め、有用性を追求する
「主張は一貫しているか」「前提は正しいか」「社会的に有用か」 思考
といった形で、論理の質を重要視します。グループ活動を通して
※ 特性: 質 > 量
「正しさ」を検証しながら考えるのが有効です。
テクニックを有機的に組み合わせる
発散思考型の活動は思考の自由度が高いため、「何かを生み出そう」「ワクワクした感じ」といっ
た雰囲気を生み出します。その一方で、それだけで終わっては「何か物足りない」という印象を生み
出しがちです。そこで、発散思考型の活動で出されたたくさんのアイディアを、収束思考型のワーク
で方向づけるというのが基本的な流れになります。その際、付箋、カード、マジックなどの小道具を
準備しておくと便利です。それぞれの特性を理解した上で、活動を有機的に組み合わせることが大切
です。
- 12 -
Method
8.発散思考: 量 > 質
テクニック① チェックリスト1(視点の変更)
参考事例「スローガンの有効性を点検しよう」
1 5人程度の班をつくり、大きめのワークシートを1枚配布する。
2 チェック項目ごとに意見を付箋に書き、肯定的なら左寄りに、否定的なら右寄りに貼る。
3 賛成できる意見(5つ程度)に「賛成シール(ドットシール)」を貼る。
【発展】書き込んだ付箋を用いて、ディベートを行う。
【参考】事例12:聴く技能を育てる指導(「実践編 P30」)
事例14:感受性を高める指導(「実践編 P32」)
「差別に負けるな」というスローガンの有効性に関するチェックリスト
チェック項目
肯定的←
→否定的
先輩の視点から見たらどうか
後輩の視点から見たらどうか
今まさにその瞬間だったらどうか
5年前ならどうか
5年後ならどうか
似た表現はないか
別の表現にならないか
別のところに価値をおいたらどうか
目標は変えられないか
・・・
テクニック② チェックリスト2(権利の一覧)
参考事例「教室の中の権利を点検しよう」
1 各自にワークシート「権利の一覧表」★を配布する。
★「権利の一覧表【世界人権宣言】」「権利の一覧表【子どもの権利条約】」(本書 P19,P20 参照)
2 権利の内容が教室にも当てはまると思う場合は、「A」の欄に○をつける。相談は禁止。
3 ○がついたもののうち、自分の教室の中で守られ(保障され)ていると思う場合は、「B」の
欄に○を、守られ(保障され)ていないと思う場合は×を書き、理由を添える。相談は禁止。
4 ペアで比較し、意見交換する。
5 ペアで意見交換した内容を発表し、クラス全体で課題を共有する。
【発展】「クラス憲章」作成につなぐ。権利の一覧表を教室掲示するのも有効。
【参考】事例11:人権についてのイメージを育てる指導(「実践編 P29」)
事例14:感受性を高める指導(「実践編 P32」)
事例15:建設的な問題解決法についての指導(「実践編 P33」)
- 13 -
テクニック③
ブレーンストーミング1(強制連想)
参考事例「理想のクラス像を描こう」
1
5人程度の班を作り、各自にワークシートを配布す
理想のクラス像
る。
2
各自が思いつくアイディアを3つ付箋に書き、自分
のシートの1の列のABC欄に貼る。相談は禁止。
3
全員が貼り終わったら(最大5分程度)シートを隣
の人にまわす。
4
各自まわされたシートの2の列のABC欄に、新し
いアイディアや、前の人のアイディアを発展させたも
A
B
C
1
2
3
4
5
のを貼る。
5
1周するまで繰り返す。書ききれなくても次に進む(最大25分程度)。
【発展】書き込んだ付箋をグルーピングしてタイトルをつけ、「クラス憲章」を作成する。
【参考】事例10:人権概念を明確にする指導(「実践編 P27」)
事例21:学級における協力的な人間関係づくりと自主的なルール作りの取組
(「実践編 P44」)
テクニック④
ブレーンストーミング2(対比表)
参考事例「生命倫理を考えよう」
1
5人程度の班をつくり、大きめのワークシー
トを1枚配布する。
2
設定されたテーマについてメリット、デメリ
遺伝子の選択的妊娠
メリット
デメリット
ットを付箋に書き、それぞれの欄に張る。
【発展】班で討論し、合意できたもののみを貼っ
ていく収束思考型のワークとする。その
場合「未合意」欄及び「未合意の理由」
欄を設けると良い。
【参考】事例12:聞く能力を育てる指導(「実践編 P30」)
事例17:外部講師の講和の教材化/生命の大切さに関する教材(「実践編 P35」)
事例18:同世代の児童生徒の書いた作品の教材化/声明の大切さに関する教材
(「実践編 P36」)
事例30:高等学校における取組(生命倫理について考える) (「実践編 P57」)
- 14 -
テクニック⑤
ジョハリの窓
参考事例「私たちの学校自慢」
1
ペアごとに大きめのワークシートを
私たちの学校自慢
1枚配布する。
2
Aさん
各自が思いついたアイディアを付箋
に書く。
3
知っている
知らない
①開かれた窓
③見えていない窓
②隠された窓
④未知の窓
知
Aさんはワークシートの②の欄に、
っ
Bさんはワークシートの③の欄に付箋
て
を貼る。
4
②③に共通するものを①に移す。
5
②③に残ったものについて意見交換
する。
B
い
さ
る
ん
知
ら
【発展】エゴグラム等、自己のふりかえ
りと組み合わせる。
な
い
【参考】事例20:自分を見つめ、自分の夢について調べ、発表する取組(「実践編 P43」)
事例21:学級における協力的な人間関係づくりと自主的なルール作りの取組
(「実践編 P44」)
事例27:小学校低学年における取組(ぼく・わたしを発見する) (「実践編 P53」)
テクニック⑥
マトリックス
参考事例「ケータイ・インターネットのルール・マナー・モラルを考えよう」
1
5人程度の班をつくり、大きめのワークシートを1枚配布する。
2
比較検討したい項目を横列の最上段の欄に書く。
3
分析の視点を縦列の左端の欄に書く。
4
項目/視点の組合せごとに意見を付箋に書き、該当する欄に貼る。
5
賛成できる意見(5つ程度)に「賛成シール(ドットシール)」を貼る。
【発展】「教室のルール」「家庭のルール」を作成する。
【参考】事例21:学級における協力的な人間関係づくりと自主的なルール作りの取組
(「実践編 P44」)
事例29:中学校における取組(情報モラルの大切さ) (「実践編 P55」)
ケータイ・インターネット上の人権侵害への対応策
方策
対象
戦術(短期的)←
持込禁止
→戦略(長期的)
許可制
法教育
小学生
中学生
高校生
・・・
- 15 -
モラル教育
・・・
Method
9.収束思考:
テクニック⑦
質
>
量
連想図
参考事例「幸せの条件」
1 5人程度の班をつくり、大きめのワーク
シートを配布する。
2 テーマをふきだしにして中央に書く。
3 テーマから連想される言葉を、線で結び
ながらふきだしにして書き込んでいく。
4 新たに書かれたふきだしから連想される
言葉を、同様にしてどんどん書き込んでい
く。
友達
趣味
お金
笑顔
仕事
幸せの条件
健康
早寝早起き
運動
【発展】権利カード★を、関連が深いと思わ
【参考】「私たちの生活と人権」鳥取県人権文化センター
れる条件のところに貼る。他の班と
比較し、意見交換する。
★「世界人権宣言カード」「子どもの権利条約カード」(本書 P21~P24 参照)
【参考】事例10:人権概念を明確にする指導(「実践編 P27」)
事例13:イマジネーション能力を育てる指導(「実践編 P31」)
テクニック⑧
ランキング
参考事例「人権の普遍性(いつでもどこでも)と優先性(あれかこれか)を考えよう」
1 各自にワークシートを配布し、「今の自分にとって優先順位の高いもの」という観点から権
利カード★を順番に並べる。
★「世界人権宣言カード」「子どもの権利条約カード」(本書 P21~P24 参照)
2 ペアで意見交換した後、クラス討議を行う。
【発展】国際理解教育につなげる。☆
☆ 基本的人権の原則は「普遍性、不可分性、相互依存性」であり(「ウィーン宣言及び行動計
画(1993)」)、安易に順位をつけられるものではない。その一方で、人権の実現状況は国ご
と、地域ごとに大きく異なっており、「優先性」をめぐって国際的な議論が活発に行われて
いる。
【参考】事例13:イマジネーション能力を育てる指導(「実践編 P31」)
事例21:学級における協力的な人間関係づくりと自主的なルール作りの取組
(「実践編 P44」)
事例25:達人・名人への弟子入り修行体験の取組(「実践編 P50」)
ピラミッド型
4
3
3
2
2
2
1
1
1
1
ダイヤモンド型
1
2
2
3
3
3
4
4
5
- 16 -
はしご型
1
2
3
・
・
※「順位のつけやすさ」
①ピラミッド型
↓
②ダイヤモンド型
↓
③はしご型
テクニック⑨
XY座標1
参考事例「人権学習のふりかえり」
各自にワークシートを配布する。
2
変数を2つ設定し、4つの象限からなる
人権学習のふりかえり
XY座標を作成する。
3
+
自分の考えを付箋に書き、象限のふさわ
許せない
しい位置に貼る。相談は禁止。
4
自己イメージ
1
かわいそう
ペアで意見交換した後、クラス討議を行
ひどい
良い社会をつくる
あんな人になる
社会イメージ
う。
-
※過大なストレスを抱えている児童生徒の存
+
在が判明したときは、個別の対応を基本と
人を傷つけるかも
する。
逆効果も
-
【発展】5人程度の班を作り、一斉に行う。
【参考】事例20:自分を見つめ、自分の夢について調べ、発表する取組(「実践編 P43」)
事例23:保育所・幼稚園との交流と保育実習体験の取組(「実践編 P48」)
テクニック⑩
XY座標2(第1象限のみ)
参考事例「地球温暖化防止と私たちのくらし」
2
変数を2つ設定し、第1象限のみのXY
地球温暖化防止と私たちのくらし
座標を作成する。
3
自分の考えを付箋に書き、第1象限のふ
私益
各自にワークシートを配布する。
高
1
野焼き
さわしい位置に貼る。相談は禁止。
4
太陽光発電
ペアで意見交換した後、クラス討議を行
う。
※XY座標の簡略版。社会的ジレンマ(公益
と私益の間での葛藤)を扱うのに有効。
ノーマイカー
低
【参考】事例16:地域の教材化
公益
低
高
(「実践編 P34」)
事例19:地域の人々からの聞き取りを通じて、地域の課題を発見し、自分たちにで
きることをさがす取組(グループで調べる学習の取組)
(「実践編 P42」)
事例28:小学校高学年における取組(環境問題から考える「共に生きる社会」)
(「実践編 P54」)
- 17 -
テクニック⑪
ロジックツリー(目標-手段関係図)
参考事例「地球温暖化防止プロジェクト」
1
5人程度の班をつくり、大きめのワークシートを1枚配布する。
2
最終的に達成したい大目標を①の欄に書く。
3
①を達成するために必要な手段(=中目標)を付箋に書き、②の欄に貼る。
4
②を達成するために必要な手段を付箋に書き、③の欄に貼る。
【発展】「教室のプロジェクト」を作成する。
【参考】事例16:地域の教材化(「実践編 P34」)
事例28:小学校高学年における取組(環境問題から考える「共に生きる社会」)
(「実践編 P54」)
①
手
②
目
手
③
地
段
家庭用ソーラーパネルの普及
標
段
補助金の支給
温
手
③
暖
段
余剰電力の買い上げ
③
球
化
防
手
②
目
手
止
段
ノーマイカー通勤の拡大
標
段
テクニック⑫
魚の骨
参考事例「おばあちゃんの幸せプロジェクト」
1
5人程度の班を作り、大きめのワークシートを1枚配
おばあちゃんの幸せ
布する。
2
下の枠に現在の課題を、上の枠に「あるべき理想」(課
題を反転させただけのものとならないよう注意)を設定する。
長要因を左側に矢印で示す。影響力の強弱を矢印の太さ
や長さで表す。
(阻害要因)
目標達成に対する阻害要因を中央の矢印の右側に、助
(助 長要 因 )
3
【発展】(識字学級に関連する)体験談・体験記などを通し
て教室の外の現実とつなげる。
【参考】事例14:感受性を高める指導(「実践編 P32」)
おばあちゃんは字が読めない
事例22:交通安全ウォーキングを通じた高齢者
との交流体験の取組(「実践編 P47」)
事例24:1人暮らしや体の不自由な高齢者との交流・ボランティア体験の取組
(「実践編 P49」)
- 18 -
- 19 -
- 20 -
世界人権宣言カード
第1条 人間の本質
第2条 差別はダメ
人間は自由・平等なものとして生まれ
人種、性、言葉、信念、生まれ、財産
る 。 人間は 理 性と良 心を授けら れて お などを理由として差別してはいけない。
り、同胞の精神をもって行動するべきで
ある。
第3条 安全にくらせる
生命、自由、身体の安全は守られる。
第4条 奴隷はダメ! 絶対
奴隷にすること、奴隷的労働を強いる
こと及び人身売買は、どんな形でも絶対
にしてはいけない。
第5条 拷問はダメ
第6条 人として認められる
拷問や非人道的な取り扱いはしてはい
いつでもどこでも、法によって人とし
けない。
て認められる。
第7条 法は人を平等に扱う
第8条 裁判所の助けを受けられる
この宣言に反するどんな差別からも守
法で認め られた 権 利を犯 され た場 合
られる。
は、裁判所による効果的な救済を受ける
法は人を平等に扱う。
ことができる。
第9条 取調べは手続きを守って
第 10 条 裁判は公正に
逮捕、身柄の拘束、国外追放などは、
裁判は公正・公平に、公開で行われ
きちんと手続きをふんだ上でないと行え る。
ない。
第 11 条 容疑者=犯人とは限らない
第 12 条 プライバシーは守られる
訴えられた人は、有罪が確定するまで
私生活や通信をあばかれたり、名誉や
は犯人とはみなされない。罪と罰は法律 信用を傷つけられたりする行為から守ら
で定められていなければならない。
れる。
第 13 条 住みたいところに住める
第 14 条 危険な国からは避難できる
行きたいところに行ける。住みたいと
迫害を免れるため、他国に避難するこ
ころに住める。出国し、帰国できる。
とができる。
第 15 条 国籍を持てる(選べる)
第 16 条 結婚は 2 人で決められる
国籍を持てる。国籍を選べる。国籍を
結婚は当事者2人の合意で成立する。
奪われてはいけない。
家庭は社会や国の保護を受けられる。
- 21 -
世界人権宣言カード
第 17 条 財産をむやみに奪われない
第 18 条 思想・良心・宗教は自由
個人や共同の財産所有を認められる。
思想、良心、宗教を自由に決めたり、
不当に財産を奪われることはない。
変更したり、表明したりできる。
第 19 条 表現は自由
第 20 条 集会・結社は自由
干 渉され ずに 自分 の 意 見を決 められ
平和的な集会に参加し、団体を作るこ
る。自分の意見を表明したり、他人の意 とができる。団体に参加することを強制
見を求めたりできる。
されない。
第 21 条 政治に参加できる
第 22 条 人間性を発展させられる
政治に参加できる。選挙は普通選挙と
人間性を 発展さ せ られる よう な経 済
し、投票は秘密投票とする。
的、社会的、文化的環境でくらせる。国
はできるだけのことをする。
第 23 条 自由に豊かに働ける
第 24 条 しっかり休める
職業を選べる。労働条件を良いものと
(有給で)しっかり休め、余暇を楽し
することができる。失業から守られる。 める。労働時間は合理的に制限される。
第 25 条 健康を保てる
第 26 条 良い教育を受けられる
衣・食・住・医療などの面で、健康で
人格の発展、人権の尊重、平和の実現
幸福な生活を保てる。生活が困難な場合 に向けた良い教育を受けられる。義務教
は保護を受けられる。
育はタダとする。
第 27 条 文化を楽しめる
第 28 条 宣言の実現を求められれる
文化生活に参加し、芸術を楽しみ、科
この宣言に掲げられた権利と自由が実
学の恩恵にあずかれる。著作権は保護さ 現できるような社会的・国際的秩序を求
れる。
められる。
第 29 条 他人の権利も大切に
第 30 条 権利を奪う<権利>はない
権利を行使するときは他人の権利を尊
この宣言に掲げられた権利と自由を破
重し、道徳・公の秩序・福祉の要求の制 壊するような行為は、権利とは認められ
限に従う。
ない。
- 22 -
子どもの権利条約カード
第1条 子どもは18才未満
第2条 差別されない
この条約では18才になっていない人を子ど
子どもは、人種、性別、文化、意見、障害、
もとします。
生まれたところなどの理由で差別されません。
国はできることを全てします。
第3条 その子どもにとって最もよいことを
第4条 国がするべきこと
子どものために何かを行うときは、その子ど
国は、この条約で認められた権利を実現する
もにとって最もよいことは何かを考えた上で行
ために、できることは全てします。
います。
第5条 父母(保護者)はふさわしい指導を
第6条 一人一人の子どもの生命を大切に
父母(保護者)は、その子どもの成長のた
子どもの生命は大切にされます。子どもの生
めにふさわしい指導する責任と権利がありま
命が大切にされ、子どもが成長できるよう、国
す。
はできるだけのことをします。
第7条 名前と国籍(こくせき)を持てる
第8条 国籍(こくせき)や名前等は大切にされる
生まれた子どもは、名前と国籍(こくせき)を
子どもの国籍(こくせき)や名前等は大切に扱
持てます。また、できるだけ父母を知り、父母
われます。これらが大切に扱われていない時
によって育てられます。
は、国はなるべく早くよい状態にします。
第9条 父母からひきはなされない
第 10 条 違う国にいる父母と会える
子どもは父母からひきはなされません。いっ
子どもが父母と別の国に住んでいる時、国は
しょにくらさない方がその子どもにとって最も
いっしょにくらせるよう、または定期的に会え
よいと考えられる場合を除きます。
るよう努力します。
第 11 条 自分の国でくらせる
第 12 条 自分の意見を表明できる
子どもは自分の国でくらせます。国は、子
子どもは自分の意見を表明できます。子ども
どもが外国につれ去られたり、外国から帰れな
の意見は、子どもの成長ぶりにあわせて大切に
くなったりしないようにします。
されます。
第 13 条 自由に表現できる
第 14 条 思想・良心・宗教を決められる
子どもは色々な方法で情報を手に入れたり、
子どもは思想・良心・宗教を自分で決められ
表現したりできます。ただし、他の人に迷惑
ます。父母(保護者)の考えは、子どもの成長
(めいわく)をかけてはいけません。
ぶりにあわせて大切にされます。
第 15 条 集会を開ける
第16 条 プライバシーを守れる
子どもは自分たちの会を作ったり、その会
子どもは私生活をあばかれたり、名誉(めい
に集まったりできます。ただし、他の人に迷惑
よ)を傷つけられたりしません。国はそのよう
(めいわく)をかけてはいけません。
な行いから子どもを守ります。
第 17 条 よい情報を手に入れられる
第 18 条 子どもの成長は父母(保護者)の責任
子どもが心や体を成長させるためによい情
父母(保護者)は子どもの成長に責任をもち
報を手に入れられるよう、国はテレビ番組を作
ます。国は、父母(保護者)が責任をはたせる
る人や本を作る人たちに働きかけます。
よう応援(おうえん)します。
第 19 条 ひどい行為から守られる
第 20 条 家族をうばわれた子どもは守られる
子どもの心や体に暴力をふるう、子育てをや
何かの理由で、家族をうばわれた子どもや、
めてしまう、その他の色々なひどい行いを受け
家族といっしょにくらせなくなった子どもが成
ないよう、国は子どもを守ります。
長できるよう、国は子どもを守ります。
- 23 -
子どもの権利条約カード
第 21 条 養子縁組(えんぐみ)をよい形にできる
第 22 条 難民の子どもは守られる
養子縁組(えんぐみ)をする時は、それが子ど
難民の子どもが成長できるよう、また、はな
もにとって最もよいこととなるよう、国はてい
ればなれになった父母(保護者)と会えるよ
ねいに手続きを進めます。
う、国はできるだけのことをします。
第 23 条 障がいのある子どもの成長は保障される
第 24 条 健康を保てる
障がいのある子どもができるだけ自立し、社
子どもは健康を保てます。子どもが病気の治
会に参加しやすくなるよう、国はできるだけの
療(ちりょう)や予防を受けられるよう、国はで
ことをします。
きるだけのことをします。
第 25 条 よい治療(ちりょう)が受けられる
第 26 条 医療(いりょう)保険等を受けられる
心や体の治療を必要とする子どもは、よい治
子どもは、医療(いりょう)保険等からお金を
療(ちりょう)を受けられるよう、国に定期的に
出してもらえます。家計が苦しい等の家庭の事
病院等の状況をチェックしてもらえます。
情を考えながら、国はお金を出します。
第 27 条 生活水準を保障される
第 28 条 教育を受けられる 義務教育はタダ
子どもは、心や体が成長するために必要な生
子どもはタダで義務教育を受けられます。ま
活水準を保障されます。家計が苦しい家庭に対
た、上級学校へ進むチャンスを与えられます。
しては、国はできるだけのことをします。
学校のきまりは子どもを大切にします。
第 29 条 よい教育を受けられる
第 30 条 少数民族・先住民の文化は守られる
こどもは、心や体の能力を精いっぱい発達さ
少数民族や先住民の子どもは、自分たちの文
せ、人権・文化・文明・地球環境を大切にする
化を大切にし、宗教を信じ、言葉を使うことが
ようなよい教育を受けられます。
できます。
第 31 条 休みを楽しめる
第 32 条 ひどい働き方をさせられない
子どもは休みを与えられ、子どもらしい遊び
子どもが安すぎる給料で働かされ、また、危
をすることができます。また、文化的・芸術的
ない仕事や、心や体の成長によくない仕事をさ
な生活に参加できます。
せられないよう、国は子どもを守ります。
第 33 条 麻薬(まやく)等から守られる
第 34 条 性的にイヤなことをさせられない
子どもが麻薬(まやく)を使って心や体を壊し
子どもがお金もうけのために性的にイヤなこ
たり、麻薬(まやく)の製造・売買の仕事につい
とをさせられたり、性的な暴力を受けたりしな
たりしないよう、国は子どもを守ります。
いよう、国は子どもを守ります。
第 35 条 ゆうかいされない 取引されない
第 36 条 あらゆる悪用から守られる
子どもがゆうかいされたり、売られたり買わ
子どもが、子どもの成長によくないことをさ
れたりすることがないよう、国は予防に努めま
せられながらお金もうけをさせられたりしない
す。
よう、国は子どもを守ります。
第 37 条 自由をうばう時も子どもらしく
第 38 条 戦争から守られる
子どもをたい捕し、自由をうばう時は、子ど
15 才未満の子どもは兵士とされてはいけま
もの年齢(ねんれい)にあった取りあつかいをし
せん。戦争の被害(ひがい)にあった子どもを守
ます。ごう問・死刑(しけい)はいけません。
るため、国はできることを全てします。
第 39 条 被害(ひがい)から回復できる
第 40 条 将来を大切にした裁判を受けられる
ひどい取りあつかいを受けたり、戦争の被害
子どもは公正な裁判を受けられます。また、
(ひがい)にあったりした子どもの心や体が回復
他の人の人権を尊重できる人間となって社会に
するよう、国はできることを全てします。
復帰できるよう取りあつかわれます。
- 24 -
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