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フル・レポート - 証券リサーチセンター

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フル・レポート - 証券リサーチセンター
ホリスティック企業レポート
Hamee
3134 東証マザーズ
フル・レポート
2015年8月21日 発行
一般社団法人 証券リサーチセンター
証券リサーチセンター
審査委員会審査済 20150818
Copyright© 2012 Stock Research Center. All Rights Reserved. 本レポートの権利は一般社団法人 証券リサーチセンターに属します。いかなる形でも無断での複写・転載・
利用を禁じます
ホリスティック企業レポート(一般社団法人 証券リサーチセンター 発行)
Hamee(3134 東証マザーズ)
発行日 2015/8/21
スマホグッズの販売とネット通販支援のシステム開発を手掛ける複合型ネット企業
両事業のシナジー効果と海外展開で成長を目指す
1.会社概要
・Hamee(ハミィ、以下、同社)は、スマートフォン用のアクセサリーを中心
としたインターネット販売と卸販売(コマース事業)、EC 事業者向けクラウ
アナリスト:大間知淳
+81(0)3-6858-3216
レポートについてのお問い合わせはこちら
[email protected]
ド型バックオフィス業務支援システムの開発・提供(プラットフォーム事業)
【主要指標】
を手掛ける複合型のインターネット関連企業である。
2015/8/14
2.財務面の分析
・10/4 期~15/4 期の業績は年平均 20.2%増収、41.6%営業増益と、売上
株価 (円)
3,275
発行済株式数 (株)
1,935,900
時価総額 (百万円)
6,340
高、営業利益ベースで過去最高を更新し続けている。
・他社との比較では、財務体質が健全であるほか、コマース事業、プラッ
トフォーム事業ともに成長性が高く、収益性に優れている。
3.非財務面の分析
・同社の知的資本の源泉は、小売と卸売、コマース事業とプラットフォー
ム事業など事業間のシナジーを追求する経営センスにある。
前期実績 今期予想 来期予想
PER (倍)
26.4
20.6
15.7
PBR (倍)
3.6
3.1
2.6
配当利回り (%)
0.0
0.0
0.0
12カ月
【株価パフォーマンス】
4.経営戦略の分析
・13 年のシステムのプラットフォーム化により、契約社数の増加と顧客単
1 カ月
3 カ月
リターン (%)
-9.4
3.8
―
対TOPIX (%)
-9.7
4.4
―
価の引き上げが期待され、プラットフォーム事業を今後の利益成長のけ
ん引役とすることを目指している。
【株価チャート】
・コマース事業を運営している米国と韓国の子会社では現地版ネクストエ
(円)
3134(左)
相対株価(右)
(倍)
ンジン(クラウド型 EC バックオフィス業務支援システム)の開発を進めて
3,900
1.2
おり、早期のサービス開始を目論んでいる。
3,700
1.0
3,500
0.8
5.アナリストの評価
・EC 運営のノウハウを、小さな市場における競争力の源泉にとどめず、
3,300
0.6
3,100
0.4
自社の開発したシステムを通じて外部に広く提供することで、より大きな
2,900
0.2
収益獲得を目指した同社の経営戦略を評価する。
2,700
・現在、小売業に指定されている所属業種が、将来、情報通信業に変更
される可能性がある。「仕入れ販売中心で収益性の低い小売企業」とい
0.0
15/04
15/05
15/06
15/07
(注)相対株価は対TOPIX、基準は2015/4/20
う市場の認識が、「限界利益率や資産収益率の高い IT 企業」という評
価にシフトする可能性がある。
【3134 Hamee 業種:小売業】
決算期
売上高
前期比
営業利益
前期比
経常利益
前期比
純利益
前期比
EPS
BPS
配当金
(百万円)
(%)
(百万円)
(%)
(百万円)
(%)
(百万円)
(%)
(円)
(円)
(円)
2014/4
4,681
12.3
226
23.8
222
5.3
121
-14.0
78.9
437.7
0.0
2015/4
5,657
20.9
336
48.1
329
47.9
192
58.4
123.9
907.6
0.0
2016/4
CE
6,349
12.2
464
38.3
432
31.3
271
40.7
141.8
―
0.0
2016/4
E
6,412
13.3
501
49.1
490
48.9
307
59.5
158.9
1,055.9
0.0
2017/4
E
7,205
12.4
644
28.5
634
29.4
402
31.0
208.2
1,264.1
0.0
2018/4
E
8,040
11.6
810
25.7
801
26.3
509
26.3
262.9
1,527.0
0.0
(注) CE:会社予想、E:証券リサーチセンター予想
フル・レポート
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本レポートに掲載された内容は作成日における情報に基づくものであり、予告なしに変更される場合があります。本レポートに掲載された情報の正確性・信頼性・完全性・妥
当性・適合性について、いかなる表明・保証をするものではなく、一切の責任又は義務を負わないものとします。
一般社団法人 証券リサーチセンターは、本レポートの配信に関して閲覧し投資家が本レポートを利用したこと又は本レポートに依拠したことによる直接・間接の損失や逸失
利益及び損害を含むいかなる結果についても責任を負いません。最終投資判断は投資家個人においてなされなければならず、投資に対する一切の責任は閲覧した投資家にあり
ます。また、本件に関する知的所有権は一般社団法人 証券リサーチセンターに帰属し、許可なく複製、転写、引用等を行うことを禁じます。
ホリスティック企業レポート(一般社団法人 証券リサーチセンター 発行)
Hamee(3134 東証マザーズ)
発行日 2015/8/21
目次
1.会社概要
-
-
-
-
事業内容
ビジネスモデル
業界環境と競合
沿革・経営理念・株主
2.財務面の分析
- 過去の業績推移
- 他社との比較
3.非財務面の分析
- 知的資本分析
- ESG 活動の分析
4.経営戦略
- 対処すべき課題
- 今後の事業戦略
5.アナリストの評価
-
-
-
-
強み・弱みの評価
経営戦略の評価
今後の業績見通し
投資に際しての留意点
補.本レポートの特徴
フル・レポート
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本レポートに掲載された内容は作成日における情報に基づくものであり、予告なしに変更される場合があります。本レポートに掲載された情報の正確性・信頼性・完全性・妥
当性・適合性について、いかなる表明・保証をするものではなく、一切の責任又は義務を負わないものとします。
一般社団法人 証券リサーチセンターは、本レポートの配信に関して閲覧し投資家が本レポートを利用したこと又は本レポートに依拠したことによる直接・間接の損失や逸失
利益及び損害を含むいかなる結果についても責任を負いません。最終投資判断は投資家個人においてなされなければならず、投資に対する一切の責任は閲覧した投資家にあり
ます。また、本件に関する知的所有権は一般社団法人 証券リサーチセンターに帰属し、許可なく複製、転写、引用等を行うことを禁じます。
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発行日 2015/8/21
1.会社概要
> 事業内容
◆ モバイル周辺アクセサリーのネット通販と卸売が創業事業
Hamee(ハミィ、以下、同社)は、スマートフォン用のアクセサ
リーを中心とした一般消費者向けインターネット販売と卸販売(コマ
ース事業)
、EC 事業者向けクラウド型バックオフィス業務支援システ
ムの開発・提供(プラットフォーム事業)を手掛ける複合型のインタ
ーネット関連企業である。1999 年から携帯電話用ストラップを中心
とした雑貨等の商品の販売を、小売(自社直営サイトによるネット通
販)と卸売(大手雑貨店、大手家電量販店などへの供給)の 2 つの形
態で開始した。
他社商品の仕入れ販売だけに安住するのではなく、自社で企画、デザ
インした自社企画商品も手掛けており、コマース事業における自社企
画商品売上高の比率は 15/4 期において 54.2%にまで上昇してきてい
る。
コマース事業の売上の 51.1%は卸売によって構成されている。最大顧
客のロフト向けの売上は、同社の全社売上の 9.5%、コマース事業の
売上の 10.7%を占める他、東急ハンズ、ヴィレッジヴァンガードコー
ポレーション(2769 東証 JQS)、ヨドバシカメラ、ビックカメラ(3048
東証一部)、ドンキホーテホールディングス(7532 東証一部)などが
主要販売先となっており、通常は採算が悪い卸売事業が同社では自社
企画商品の拡販につながり、収益力向上の手段となっている。リアル
とネットを上手く融合させている点では、オムニチャネル的な企業と
言えよう。
小売では、顧客ターゲットの属性に合わせた、品揃えが異なる 7 種類
のサイト(店舗)を、自社の直営サイトの他、楽天(4755 東証一部)
、
ヤフー(4689 東証一部)
、アマゾンなど他社の運営するインターネッ
トショッピングモール内に出店している。15/4 期末現在のネット通販
の店舗数は、国内 14 店、海外 9 店に達している。
◆ EC バックオフィスのデファクトスタンダードを目指す
同社は、07 年に自社のネットショップを効率的に運営するのを目的
にメール自動対応、受注伝票一括管理、在庫自動連携、商品ページ一
括アップロードなどの機能を備えたクラウド型バックオフィス業務
支援システム「ネクストエンジン」を開発した。その使い勝手の良さ
に自信を持った同社は、08 年に同システムを社外の EC 事業者に対
して提供する新規事業(プラットフォーム事業)を始めた。
同システムは、異なるインターネットショッピングモールに出店した
複数のネットショップの管理を一元化したり、在庫数表示を同期させ
フル・レポート
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本レポートに掲載された内容は作成日における情報に基づくものであり、予告なしに変更される場合があります。本レポートに掲載された情報の正確性・信頼性・完全性・妥
当性・適合性について、いかなる表明・保証をするものではなく、一切の責任又は義務を負わないものとします。
一般社団法人 証券リサーチセンターは、本レポートの配信に関して閲覧し投資家が本レポートを利用したこと又は本レポートに依拠したことによる直接・間接の損失や逸失
利益及び損害を含むいかなる結果についても責任を負いません。最終投資判断は投資家個人においてなされなければならず、投資に対する一切の責任は閲覧した投資家にあり
ます。また、本件に関する知的所有権は一般社団法人 証券リサーチセンターに帰属し、許可なく複製、転写、引用等を行うことを禁じます。
ホリスティック企業レポート(一般社団法人 証券リサーチセンター 発行)
Hamee(3134 東証マザーズ)
発行日 2015/8/21
たりする機能を持つことから、特に複数のネットショップを運営する
EC 事業者に評価された結果、契約社数は順調に増加し、15/4 期末の
契約社数は 1,816 社に達しているが、日本ネット経済新聞(2014 年
8 月 28 日号)によれば、14 年時点で同社が契約社数で業界トップと
なっている。
また、同社は 13 年にネクストエンジンの API(注)を公開し、従来
のメイン機能(標準仕様)に加え、顧客毎に異なる特殊なニーズに対
して、同社だけではなく他社が開発したアプリケーション(拡張機能、
以下「アプリ」)を利用できるように進化させた。このことで、顧客
の支持が更に広がることが期待できるため、同社はネクストエンジン
を EC バックオフィスのデファクトスタンダードにすることを目指
している。
(注)API(=Application Programming Interface)とは、あるコン
ピュータプログラム(ソフトウェア)の機能や管理するデータなどを、
外部の他のプログラムから簡単に呼び出して利用できるようにする
インターフェース(機能の呼び出し手順や記述方法などを定めた仕様)
のこと。
◆ プラットフォーム事業が将来の利益成長の鍵に
同社の事業はコマース事業とプラットフォーム事業からなるが、売上
の柱は売上構成比で 88.8%を占めるコマース事業である。一方、プラ
ットフォーム事業は売上構成比こそ低いものの、営業利益率(19.5%)
と増収率(29.2%、以上 15/4 期)が高いため、営業利益の構成比は
14/4 期の 32.6%から 15/4 期の 36.7%へと急速に高まってきている
(図
表 1)。
同社は今後、両事業の海外展開にも注力する方針であるが、当面は国
内のプラットフォーム事業が利益成長のけん引役となろう。プラット
フォーム事業では顧客数拡大と顧客単価の上昇が期待され、同社では
3~5 年の内に、プラットフォーム事業の営業利益がコマース事業を
大きく上回ることをイメージしている。
【 図表 1 】事業別売上高及び営業利益
売上高
事業
14/4
コマース事業
プラットフォーム事業
合計
(単位:百万円)
15/4
営業利益
前期比
14/4
15/4
前期比
利益率
4,191
5,024
19.9%
153
212
38.6%
4.2%
489
632
29.2%
73
123
68.5%
19.5%
4,681
5,657
20.9%
226
336
48.1%
5.9%
(出所)決算短信より証券リサーチセンター作成
フル・レポート
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本レポートに掲載された内容は作成日における情報に基づくものであり、予告なしに変更される場合があります。本レポートに掲載された情報の正確性・信頼性・完全性・妥
当性・適合性について、いかなる表明・保証をするものではなく、一切の責任又は義務を負わないものとします。
一般社団法人 証券リサーチセンターは、本レポートの配信に関して閲覧し投資家が本レポートを利用したこと又は本レポートに依拠したことによる直接・間接の損失や逸失
利益及び損害を含むいかなる結果についても責任を負いません。最終投資判断は投資家個人においてなされなければならず、投資に対する一切の責任は閲覧した投資家にあり
ます。また、本件に関する知的所有権は一般社団法人 証券リサーチセンターに帰属し、許可なく複製、転写、引用等を行うことを禁じます。
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> ビジネスモデル
発行日 2015/8/21
◆ 卸販売を兼営することで規模の利益を追求するコマース事業
小売業と卸売業は対象とする顧客に違いがあり(一般消費者か、小売
業者か)、商売の仕方が異なるため、通常、別々の事業者により行わ
れている。ただし、同社は自社で企画、デザインしたモバイルグッズ
(単純な仕入れ商品よりも利益率が高い)を自社のサイトだけで売る
のではコスト負担が重く、規模の利益を得られないと判断し、他社の
インターネットショッピングモールで売るのにとどまらず、大手家電
量販店や大手雑貨量販店へも積極的に卸売で供給している。こうした
方針により、小売業・卸売業でありながら、販売数量の拡大だけでは
なく自社の企画・デザインの付加価値を取り込むことで利益率の向上
も狙えるビジネスモデルとなっている(図表 2)
。
15/4 期の国内小売の粗利率が 50.0%であるのに対し、卸売の粗利率
は 27.7%にとどまるが、自社企画商品のコマース事業における売上構
成比が、13/4 期の 37.4%から 15/4 期には 54.2%へと上昇したことか
ら、卸売の粗利率も 13/4 期の 26.9%から改善してきている。
【 図表 2 】コマース事業の事業系統図
(出所)目論見書
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一般社団法人 証券リサーチセンターは、本レポートの配信に関して閲覧し投資家が本レポートを利用したこと又は本レポートに依拠したことによる直接・間接の損失や逸失
利益及び損害を含むいかなる結果についても責任を負いません。最終投資判断は投資家個人においてなされなければならず、投資に対する一切の責任は閲覧した投資家にあり
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発行日 2015/8/21
商品に関しては自社企画商品を含め、1 万種類以上のアイテムについ
て国内外 500 社を超える仕入れ先から調達しているが、その多くが
中国で製造されている。近年の円安の影響は皆無ではないが、競合相
手も調達先が似通っているほか、商品サイクルが短いため価格改定が
容易であり、為替変動による事業への影響は軽微と判断される。
販管費に計上されている物流アウトソーシング費はコマース事業の
物流費であり、コマース事業の売上の 10.0%(15/4 期)に相当する。単
体のコマース事業全体の粗利率は 34.8%(同)であるため、当事業の
限界利益率は約 25%と推測される。
15/4 期のコマース事業の営業利益率は 4.2%にとどまっているが、自
社企画商品の売上構成を更に引き上げると共に、省力化により部門人
員を増やさずに多店舗化による増収を実現させることで、同社は中期
的には営業利益率を 7~8%以上に改善させることを目指している。
◆ EC 支援システムを収益源に変えたプラットフォーム事業
ネクストエンジンは EC 事業者の業務フローを包括的に管理するク
ラウド型サービスであり、基本機能(メイン機能)については月額 1
万円(以下、全て税抜き)の基本料金に受注件数に応じた従量課金が
加わるというシンプルな料金体系で提供している。月間受注件数 400
件まで 1 件当たり 0 円(基本料金のみ)、401 から 1,000 件までは同
25 円、1,001 から 3,000 件までは 20 円、3,001 から 5,000 件までは
15 円、5,001 から 5,500 件までは 10 円、5,501 から 15,000 件までは
0 円、15,000 件超は別途相談となっている(他に、年間サポート料
が、契約 2 年目から年 15,000 円)。
前述したように、ネクストエンジンは複数のネットショップを一元管
理できる機能面のメリットが評価されているが、何店増やしても店舗
追加にかかわる料金が発生しないという料金面でのメリットもある
ため、契約社数の伸び(13/4 期 1,197 社→15/4 期 1,816 社、+51.7%)
以上に、利用店舗数(同 6,640 店→13,472 店、+102.9%)、受注処理
件数(1,722 万件→3,300 万件、+91.6%)の拡大が続いている(図表
3)。
【 図表 3 】プラットフォーム事業の契約社数等の推移
(出所)決算説明会資料より証券リサーチセンター作成
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発行日 2015/8/21
同社は現在、API を公開することで、メイン機能以外の機能を使用し
たいユーザーからアプリ利用にかかわる追加収入を受け取り始めた
が、その比率はまだ小さいものと思われる。よって、当事業の売上を
全てメイン機能からの収入と仮定して一顧客当たりの平均受注処理
件数(年間)を算出すると、15/4 期で前期比ほぼ横ばいの約 1 万件
であった。このことから、同社の現在の顧客の中心は月間の取引件数
が 8 百件程度の中規模 EC 事業者とみられる。
ネクストエンジンの営業方法は、まず EC 業者向けのイベントやセミ
ナーに参加、出展して、興味を持った見込み客に 30 日間の無料体験
を提案することから始まる。その後、同意した見込み客に対し同社サ
ポート要員によるコンサルテーションと初期設定のサポートを行い、
実際にテスト運用をしてもらう。無料体験終了後、本契約のセールス
を行うと、契約する顧客はすぐ本契約/本サービス開始に至るという
ことである。また、同社に代わって営業活動を行う代理店や紹介をす
るユーザーに対してはパートナー制度の中で顧客紹介手数料(紹介客
が支払うメイン機能に対する料金の 3 割をサービス開始時から 5 年
間)を支払っている(図表 4)。
ネクストエンジンのアプリ開発を行う企業(パートナー)に対しては、
そのアプリから得られた利用料の 7 割をパートナーに支払っている。
【 図表 4 】プラットフォーム事業の事業系統図
(出所)目論見書
フル・レポート
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Hamee(3134 東証マザーズ)
> 業界環境と競合
発行日 2015/8/21
◆ 同じ業態の会社は見当たらない
同社のように、ある商材を自社で企画・デザインして、インターネッ
トを使って一般消費者に販売しつつ、大手量販店にも卸販売し、自社
で使用している情報システムを外部にもクラウド形態で提供してい
る会社は今のところ見当たらない。一つの企業で、小売業、卸売業、
情報通信業を手掛けている珍しい例であると言える。そのため、ここ
ではコマース事業とプラットフォーム事業に分けて分析を行う。
◆ コマース事業はエレコムとの棲み分け
スマートフォン、タブレット端末などのケースや充電器などのモバイ
ルアクセサリーのメーカーとなると、日本のトップ企業はエレコム
(6750 東証一部)と言われている。ちなみに、14 年のスマートフォン
用ケースの販売個数シェアでエレコムは 30.7%とトップシェアを誇
っている(デジタル家電の実売調査会社の株式会社 BCN 調べ)
。モ
バイルアクセサリーの EC 市場だけを調べた統計は発表されていな
い。エレコムのスマートフォン・タブレット関連の売上は 15/3 期で
194.7 億円であるが、そのほとんどは家電量販店などを通じてリアル
店舗での販売と推測され、自社の EC サイトを通じた販売はかなり少
ないと思われる。
一方、同社の小売売上(15/4 期 24.6 億円)から、一般の雑貨などの
非モバイルアクセサリーの販売を除くと 20~23 億円程度と推測され
るが、同社はほとんどタブレット関連商品を扱っていないため、スマ
ートフォン用アクセサリーの EC 市場において同社がトップクラス
の存在であることは間違いないと思われる。
商品特性においては、同社が若い女性や学生の趣味に合った可愛いデ
ザインや機能性を謳ったスマートフォン用ケースや充電器などを、機
種に左右されない汎用タイプの商品を中心に企画しているのに対し、
エレコムはビジネスマン向けをメインターゲットとして iPhone など
の特定機種専用商品を中心に開発しているようであり、現状において
は同社とエレコムの間にはある種の棲み分けがなされていると思わ
れる。また、同社はこうした特定機種専用商品を中心にエレコムから
も商品を仕入れており、エレコムは同社にとって競合相手であると同
時に、取引先としての面も有している。
◆ 国内の B to C EC 市場と越境 EC 市場の状況
同社は 07 年までは、モバイルアクセサリーという小さな市場で EC
を主体とする小さなプレーヤーに過ぎなかったが、EC バックオフィ
ス業務支援システムをクラウドサービスの形で提供することにより、
広大な B to C
EC(消費者向け電子商取引)市場に存在する事業者
全体を対象とするインフラサービス企業へと変貌を遂げる機会を持
つに至った。
フル・レポート
9/26
本レポートに掲載された内容は作成日における情報に基づくものであり、予告なしに変更される場合があります。本レポートに掲載された情報の正確性・信頼性・完全性・妥
当性・適合性について、いかなる表明・保証をするものではなく、一切の責任又は義務を負わないものとします。
一般社団法人 証券リサーチセンターは、本レポートの配信に関して閲覧し投資家が本レポートを利用したこと又は本レポートに依拠したことによる直接・間接の損失や逸失
利益及び損害を含むいかなる結果についても責任を負いません。最終投資判断は投資家個人においてなされなければならず、投資に対する一切の責任は閲覧した投資家にあり
ます。また、本件に関する知的所有権は一般社団法人 証券リサーチセンターに帰属し、許可なく複製、転写、引用等を行うことを禁じます。
ホリスティック企業レポート(一般社団法人 証券リサーチセンター 発行)
Hamee(3134 東証マザーズ)
発行日 2015/8/21
本年 5 月 29 日に発表された経済産業省の「電子商取引に関する市場
調査」によると、14 年の日本国内の B to C EC 市場規模は、12.8 兆円
(前年比 14.6%増)まで拡大し、全ての商取引金額に占める電子商取
引の比率を表す EC 化率は 4.37%(前年比 0.52%ポイント増)とイン
ターネット技術の進歩やユーザーのリテラシーの向上などにより、近
年着実に上昇している(図表 5)。同社のプラットフォーム事業は、
この市場に存在している膨大な数の EC 事業者がシステム関連にかけ
る費用が同社にとっては売上となる性質上、ほぼ B to
C EC の市場
の伸びと連動して EC バックオフィス業務支援システムの市場も伸び
ているものと推測される。
【 図表 5 】日本の B to C EC 市場規模の推移
(単位:億円)
(注)EC 化率とは、全ての商取引金額に占める電子商取引の割合を表す
(出所)経済産業省
なお、同社がこれから本格展開を目指す海外に関しては、経済産業省
の同じ調査において公表された「日本・米国・中国の 3 か国間におけ
る越境電子商取引の市場規模」が参考になる。同調査によれば、14
年の日本の消費者による米国及び中国からの越境 EC による購入額
は 2 千億円(前年比 8.9%増)、米国の消費者による日本及び中国事業
者からの越境 EC による購入額は 8 千億円(前年比 13.0%増)、中国
の消費者による日本及び米国事業者からの購入額は 1.2 兆円(前年比
53.0%増)ということであり、18 年までの日米中 3 か国間の越境 EC
規模を試算したところ、消費国としての推計市場規模は、14 年から
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本レポートに掲載された内容は作成日における情報に基づくものであり、予告なしに変更される場合があります。本レポートに掲載された情報の正確性・信頼性・完全性・妥
当性・適合性について、いかなる表明・保証をするものではなく、一切の責任又は義務を負わないものとします。
一般社団法人 証券リサーチセンターは、本レポートの配信に関して閲覧し投資家が本レポートを利用したこと又は本レポートに依拠したことによる直接・間接の損失や逸失
利益及び損害を含むいかなる結果についても責任を負いません。最終投資判断は投資家個人においてなされなければならず、投資に対する一切の責任は閲覧した投資家にあり
ます。また、本件に関する知的所有権は一般社団法人 証券リサーチセンターに帰属し、許可なく複製、転写、引用等を行うことを禁じます。
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Hamee(3134 東証マザーズ)
発行日 2015/8/21
18 年までの間に、日本は約 1.4 倍、米国は約 1.6 倍、中国は約 2.3
倍の規模となり、日米中 3 か国間における越境 EC による購入総額合
計は、18 年までに約 4.4 兆円にまで拡大する可能性があるとしてい
る。
◆ プラットフォーム事業は業界のリーダーの地位にある
EC 事業者は EC ショップを運営する場合、EC サイトの構築、運用に
関わる機能(フロント機能)に関し、汎用性のあるクラウドやパッケ
ージを利用するか、顧客専用のシステムを開発するかを決定する。次
に、在庫管理や、商品登録、注文管理などバックオフィス業務に関し
ては、小規模業者であれば人手で対応する場合もあるが、それでもビ
ジネスが軌道に乗れば、クラウド型のシステムか専用システムを利用
せざるを得ない。
同社はクラウド型の EC バックオフィス業務支援システムを提供して
おり、この分野では契約社数で 2 位以下に大差をつけ、業界トップと
言われている(日本ネット経済新聞 2014 年 8 月 28 日号)
。ただ、契
約社数のデータは競合各社からの開示が乏しいほか、各社のサービス
の売上に関しても同社以外の数値は全く分からない。しかしながら、
各種媒体の報道などから、証券リサーチセンター(以下、当センター)
では、同社が業界におけるリーディング・カンパニーであるとみてい
る。
同社の競合相手として挙げられるのが、上場企業ではアイル(3854 東
証 JQS、サービス名クロスモール)と、楽天グループのテクマトリッ
クス(3762 東証一部、同楽々バックオフィス)である。アイルの同サー
ビスの契約社数は 800 社程度と言われているが、会社からの正式な開
示は見当たらない。同サービスの売上が含まれている Web ソリュー
ション事業の売上は 14/7 期において 9.8 億円となっているが、同サー
ビスだけの数値は開示されていない。テクマトリックスに関しても、
契約社数、サービスの売上は非開示だが、フロントシステムとのトー
タルソリューションに強みがあり、トレンドマイクロ(4704 東証一
部)や山善(8051 東証一部)などの大企業と取引があるようである。
非上場企業の競合製品としては、テコラス社の「テンポスター」とソ
フテル社の「通販する蔵」が挙げられる。テコラス社の契約社数は非
開示だが、楽天、ヤフオクやアマゾンに出店するネットショップから
の評価が高いと推測される。一方、インプレスホールディングス(9479
東証一部)が運営するサイト「ネット担当者フォーラム」の調べによ
ると、ソフテル社の契約社数は約 250 社で、カスタマイズ性が高い点
が評価され、やはり楽天やアマゾンの有力ネットショップに強みを持
っている模様である。
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>沿革・経営理念・株主
発行日 2015/8/21
◆ 樋口社長が大学在学中にストラップのネット通販事業を開始
同社は 1998 年に神奈川県小田原市において、現社長の樋口敦士氏が
慶応大学在学中に、携帯電話用のストラップなどのモバイル周辺アク
セサリーの企画・販売・EC を目的にマクロウィル有限会社(01 年に
株式会社ストラップヤ.com、13 年に Hamee 株式会社に組織、社名
変更)を設立したことで誕生した。樋口社長は家族が企業を経営して
いたことから、元々自分も起業するつもりだったらしい。当時、ちょ
うどネット通販が日本においても勃興期を迎えていた中、資本や在庫
スペースが少なくて済み、配送も容易な携帯電話用ストラップという
商材であればベンチャー企業でも競争に勝てると判断したことが起
業のきっかけとなった。
◆ 自社企画商品と卸販売への注力で EC の競争力が向上
同社は設立時から売れる商品を自社で企画・デザインするメーカー発
想を持っていた。しかし、売れると確信した自社企画商品であっても、
まだ知名度が低い自社の EC だけでは十分な量をさばけなかったよう
である。そこで、樋口社長は繁華街の雑貨店などに対し飛び込み外交
を繰り返し、自社企画商品を店頭に置かせてもらったところ、同社の
商品は結構な売れ行きとなり、卸販売も徐々に軌道に乗っていった。
数年前からはロフトや東急ハンズといった大手雑貨店や、ヨドバシカ
メラ、ビックカメラといった大手家電量販店との取引が本格化し、卸
販売は単にコマース事業の売上拡大に大きく貢献するだけではなく、
今では自社企画商品の拡販を通じて EC 事業にもスケールメリットを
もたらしている。
◆ インターネットショッピングモールを利用した多店舗化展開
会社設立時は自社直営サイトのみで EC を実施していたが、00 年に
「楽天市場」、03 年に「Yahoo!ショッピングモール」と他社が運営す
るインターネットショッピングモールへ出店したほか、10 年に iPhone
グッズ専門店「iPlus」、可愛いモバイルアクセサリー専門店「KAWAII
館」の運営を開始するなど、商品の品揃えを変更した専門店の展開も
始めた。また、07 年に米アップル社が iPhone を発売し、スマートフ
ォンが世界的に普及し始めると、同社の主力商材も従来型携帯電話用
のストラップからスマートフォン用ケースへと移行した。
◆ 「ネクストエンジン」の自社開発と外部向けサービス開始
多店舗展開により EC 事業は急速に忙しくなったが、外部に依存して
いたシステムではバックオフィス業務に支障をきたしていたことか
ら、同社では 05 年に入社した技術者の鈴木淳也氏(13 年取締役就任)
を中心にバックオフィスシステムの内製化を目指した。こうして 07
年に出来上がったのが、クラウド型 EC バックオフィス業務支援シス
テムの「ネクストエンジン」だった。まず、自社の EC サイトで導入
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12/26
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し、その使い勝手の良さに自信を持った同社は、08 年に外部向けの
サービス提供に乗り出した。複数のネットショップを管理する機能面
に優れたネクストエンジンは 09 年ごろから契約社数が伸び始め、
11/4 期以降は年間の契約社数の純増数が 300 社前後のペースで急拡
大し、今では契約社数で業界トップと言われる存在となっている。
13 年には同社はネクストエンジンの API 公開に踏み切り、ネクスト
エンジン上で自社のみならず外部の会社が開発した各種のアプリの
展開を可能とする、いわゆるプラットフォーム化に動いた。このこと
により、顧客ニーズに合わせたネクストエンジンのカスタマイズ化が
容易となり、それまでは難しかった大規模 EC 事業者の開拓が可能と
なった。
◆ 海外展開へも挑戦
01 年にグローバル対応 EC サイト「StrapyaWorld」の自社サイトで
の運営を開始するなど、同社は海外への取り組みも早くから始めてい
たが、展開が本格化したのは 11 年に「StrapyaWorld」を世界最大の
EC サイトである米国アマゾンへ出店してからである。同年には韓国
に、13 年には米国に現地法人(現在は両社とも連結子会社)を設立
した。同社では 15/4 期末現在 9 店の海外 EC サイトを運営するほか、
米国と韓国で現地版ネクストエンジンを開発中である。
◆ 経営理念
同社は「より“e”世界につながるもっと“e”を創造する。」という
経営理念の下、
「happy mobile, easy e-commerce」
(下線部分をつな
げて社名としている)というビジョンを掲げ、個人のモバイルユーザ
ーをハッピーにするためのモバイル(スマートフォン及び携帯電話)
アクセサリーの企画・デザイン、インターネット販売及び卸販売事業
(コマース事業)と、企業がより簡単にネット販売を行えるようにす
るための EC 事業者向けクラウド型 EC バックオフィス業務支援シス
テムの開発・提供事業(プラットフォーム事業)の 2 事業を展開して
いる。
◆ 株主
上場直前の 15 年 2 月末と上場直後の 15 年 4 月末の株主の状況は図
表 6 の通りである。
15 年 4 月末時点で、社長の樋口敦士氏の資産管理会社である AOI 株
式会社が筆頭株主であり、社長個人の保有分と合わせて 66.3%を保有
している。第 3 位の北村和順氏は同社執行役員、第 7 位の樋口知成
氏は社長の弟で、以前は同社の社員であったが退職し、現在は同社と
の関係は単なる株主に過ぎない。その他の大株主には、従業員持株会
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13/26
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や、海外のカストディアン名義、信託銀行(信託口)、金融機関が名
を連ね、大株主上位 10 名で 82.4%の株式が保有されている。
【 図表 6 】大株主の状況
15年2月末時点
株主(敬称略)
株数(株)
15年4月末時点
割合
順位
株数(株)
割合
AOI株式会社
664,000
40.0%
1
664,000
34.7%
1
樋口敦士
664,000
40.0%
1
604,000
31.6%
2
北村和順
80,000
4.8%
3
80,000
4.2%
3
Hamee従業員持株会
65,600
4.0%
4
75,600
4.0%
4
-
-
-
43,700
2.3%
5
BNYM SA/NV FOR BNYM CLIENT
ACCOUNT MPCS JAPAN
株式会社SBI証券
樋口知成
日本証券金融株式会社
備考
順位
代表取締役社長の資産管理会社
代表取締役社長
-
-
-
28,000
1.5%
6
20,000
1.2%
5
20,000
1.0%
7
-
-
-
18,900
1.0%
8
-
-
-
11,900
0.6%
9
上場時に60,000株売り出し
執行役員
代表取締役社長の二親等以内の血族
日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社
(信託口)
大澤孝嗣
-
-
-
10,000
0.5%
10
中根正登
20,000
1.2%
5
10,000
0.5%
10
-
-
-
10,000
0.5%
10
小俣勇次
8,000
0.5%
7
-
-
-
鈴木淳也
7,000
0.4%
8
-
-
-
取締役 上場時に3,000株売り出し
三尋木準
7,000
0.4%
8
-
-
-
取締役 上場時に3,000株売り出し
水島育大
4,400
0.3%
10
-
-
-
取締役 上場時に3,000株売り出し
1,540,000
115,200
1,659,200
92.8%
6.9%
100.0%
1,576,100
115,200
1,913,500
82.4%
6.0%
100.0%
-
松井証券株式会社
(大株主上位10位)
(新株予約権による潜在株式数)
発行済株式総数
上場時に10,000株売り出し
元取締役副社長(15年7月退任)
-
上場時に8,000株売り出し
(出所)有価証券報告書、目論見書より証券リサーチセンター作成
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(出所)有価証券報告書、目論見書より証券リサーチセンター作成
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2.財務面の分析
> 過去の業績推移
◆ 過去の業績
同社の業績は、10/4 期以降の分が開示されているが、10/4 期~15/4
期まで年平均 20.2%のペースで売上高が拡大してきた。直近の 2 期
の平均でみても、年 16.5%の増収と、売上拡大ペースはさほど鈍化し
ていない。
一方、営業利益は、同期間で年平均 41.6%増加してきている。特筆す
べきは、この間、営業利益ベースでの減益が一期もないことである。
成長投資を継続しつつ、営業利益を着実に増やしてきた経営姿勢は社
歴の短い新興企業の中では高く評価されてしかるべきであろう。
なお、14/4 期の当期利益段階での減益は、自社企画商品の携帯電話
用ソーラー式充電器の充電時間に係る表示について、消費者庁より一
般消費者に実際のものよりも著しく優良であることを示す「優良誤認」
に該当するとの指摘を受けて商品回収費用(27 百万円)を計上する
など、総額 36 百万円の特別損失が発生したことが影響した。
◆ 15 年 4 月期は大幅な増収で営業利益は連続最高益を更新
15/4 期は、売上高が前期比 20.9%増の 5,657 百万円、営業利益が同
48.1%増の 336 万円、経常利益が同 47.9%増の 329 百万円、当期利益
が同 58.4%増の 192 百万円という大幅な増収増益となり、営業利益は
10/4 期より 5 期連続して過去最高を更新した。
4 月 20 日の上場時に発表した会社計画に対する達成率は、売上高が
110.0%、営業利益は 95.2%、経常利益は 95.1%、当期利益は 90.1%と
なった。売上高については、保守的に前期並みと想定していた卸販売
が例年閑散期となる 2 月以降も堅調であったため、計画を超過した。
一方、利益に関しては、海外子会社における人件費などの先行投資負
担が想定よりも増加したことや、長期滞留在庫について棚卸資産健全
化を目的に商品廃棄損を 24 百万円計上したことなどから、計画をや
や下回った。利益計画の未達は、予想がやや強気だったことが影響し
ており、前期比で利益率が改善した事実をより評価すべきと考える。
> 他社との比較
◆ モバイルアクセサリー、EC、クラウド業界の企業と比較
前述したように同社と同じ事業形態の競合企業は見当たらないため、
同社が事業展開しているそれぞれの業界において比較する意味があ
る企業との比較を試みた。
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モバイルアクセサリー業界からはメーカーではあるが有力な競合先
であるエレコム、EC 業界からは野菜などの食品を販売するオイシッ
クス(3182 東証マザーズ)と PC 家電ショップ「EC カレント」を運
営するストリーム(3071 東証マザーズ)、クラウド業界からは EC バ
ックオフィス運営支援サービスで直接競合するアイルを比較対象企
業として選定した(図表 7)
。
【 図表 7 】類似企業との財務指標比較
項目
規模
収益性
成長性
安全性
銘柄
Hamee
エレコム
オイシックス
ストリーム
アイル
コード
3134
6750
3182
3071
3854
直近決算期
15/4
15/3
15/3
15/1
14/7
売上高
百万円
5,657
75,785
18,060
20,344
経常利益
百万円
329
7,553
668
300
626
総資産
百万円
2,906
49,721
6,331
4,223
3,494
6,786
自己資本利益率
%
16.0
17.5
9.7
24.6
22.4
総資産経常利益率
%
14.2
16.5
11.1
8.2
20.0
売上高原価率
%
59.9
67.1
52.3
81.1
59.2
売上高販管費率
%
34.2
22.2
44.1
17.5
31.8
売上高営業利益率
%
5.9
10.7
3.6
1.4
9.0
売上高(3年平均成長率)
%
17.0
6.6
12.7
-15.7
21.0
経常利益(同上)
%
32.1
7.2
3.9
133.7
58.2
総資産(同上)
%
40.5
16.4
23.0
-9.5
21.4
自己資本比率
%
59.8
55.7
59.7
32.1
51.5
流動比率
%
345.6
225.1
204.0
131.8
215.5
固定長期適合率
%
9.1
19.1
33.0
55.1
38.6
(出所)有決算短信、目論見書、有価証券報告書より証券リサーチセンター作成
各社を全社ベースで比較すると、安全性に関しては同社が他社比で健
全な財務体質を有していると言える。収益性、成長性に関しては、同
社の 2 つの事業に分けて他社と比較する必要があると考える(同社の
セグメント情報の開示期間に合わせて他社も過去 2 期で比較する)。
コマース事業に関しては、エレコムのスマートフォン・タブレット関
連の売上は 15/3 期で 194.7 億円であるが、過去 2 期の平均増収率は
22.3%となっている。オイシックスは、同期間で年平均 11.3%増収、
6.0%営業減益、
前期営業利益率 3.6%、
ストリームは同じく 5.2%減収、
黒字転換、1.4%であった。一方、同社のコマース事業は 14.6%増収
32.0%営業増益、4.2%と比較企業に比べて好調であった。まだ、売上
規模が小さい面もあろうが、同社のコマース事業は他社によりも成長
性、収益性に優れていると言えそうである。
プラットフォーム事業に関しては、アイルの対象セグメントの Web
ソリューション事業の売上は 14/7 期で 9.8 億円であったが、同期間で
9.9%増収、赤字継続であった。一方、同社の同事業は 36.3%増収、42.0%
営業増益、営業利益率 19.5%であり、同社の成長性、収益性に軍配が
上がる。
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3.非財務面の分析
◆ 事業間のシナジーを追求する経営センスに注目
> 知的資本分析
前述したように、同社はコマース事業において、ネットで小売をリア
ルで卸売を同時に手掛けることによって、自社で企画・デザインした
商品から得られる利益を最大化させようとしている。また、自社の
EC で利用するために開発したシステムを、外販することで更なる利
益成長を目指している。当センターでは、こうした同社の経営方針は、
一つの事業形態に囚われることなく、柔軟な発想力で事業間のシナジ
ーを追求する経営センスに由来しており、それこそが同社最大の知的
資本であるとみている。同社の手掛ける事業一つ一つに関しては、真
似をすることは可能であると思われるが、トータルで同社の脅威とな
るような競合企業が出現する可能性は低いであろう。
【 図表 8 】知的資本の分析
項目
顧客
・ネクストエンジン総契約数
1,816社
・受注処理件数の純増数
9百万件
・受注処理件数
33百万件
・小売の顧客数
・小売の既存店増収率
非開示
7.4%
・コマース事業の自社商品比率
54.2%
・ネクストエンジンの市場認知度
特になし
・ECの国内他社運営モールへの展開状況
・国内他社運営モールでの店舗数
11店
・ECの海外他社運営モールへの展開状況
・海外他社運営モールでの店舗数
7店
・ネクストエンジンの利用状況
・モバイルアクセサリー市場において、消費者や卸
売先からのHameeブランド商品への評価は高い
ECバックオフィス支援サービス市場における同社
システムへの認知度
事業パー トナー
・ネクストエンジンの国内外ECモールへの対応状況 ・国内モール数
18モール
(受注機能)
・海外モール数
2モール
・プラットフォーム事業のSIパートナー
・パートナー数
9社
・イベント/セミナー参加社数
非開示
・無料体験コース申込社数
非開示
・サイトアクセス数
非開示
・成約率
非開示
・研究開発費
12,954千円
・従業員数増加率(連結)
19.1%
・平均年齢(単体)
31.3歳
・平均勤続年数(単体)
4.0年
・従業員持株会
75,600株(4.0%)
・ストックオプション
115,200株(発行済株式数の6.0%)
・ネクストエンジンの顧客獲得活動
組織資本
プロセス
・EC事業におけるサイトへの誘導/成約状況
知的財産
経営陣
数値
320社
・ECの顧客基盤
・ECの顧客満足度の高さ
ブランド
項目
・ネクストエンジン契約純増数
・ネクストエンジンの顧客基盤(OEM除く)
関係資本
KPI
分析結果
・プラットフォーム事業の研究開発活動に注力
・若いが優れた経営センスを持つ取締役メンバー
・シナジー効果を追求した事業構成
・大手量販店を開拓した交渉力
・中途入社を中心に若い感性を持つ人材を積極的に
人的資本
従業員
採用
・バランスの取れたインセンティブ制度
(注)開示データは15/4期、又は15/4期末
(出所)有価証券報告書、決算短信、決算説明会資料、ヒアリングをもとに証券リサーチセンター作成
フル・レポート
17/26
本レポートに掲載された内容は作成日における情報に基づくものであり、予告なしに変更される場合があります。本レポートに掲載された情報の正確性・信頼性・完全性・妥
当性・適合性について、いかなる表明・保証をするものではなく、一切の責任又は義務を負わないものとします。
一般社団法人 証券リサーチセンターは、本レポートの配信に関して閲覧し投資家が本レポートを利用したこと又は本レポートに依拠したことによる直接・間接の損失や逸失
利益及び損害を含むいかなる結果についても責任を負いません。最終投資判断は投資家個人においてなされなければならず、投資に対する一切の責任は閲覧した投資家にあり
ます。また、本件に関する知的所有権は一般社団法人 証券リサーチセンターに帰属し、許可なく複製、転写、引用等を行うことを禁じます。
ホリスティック企業レポート(一般社団法人 証券リサーチセンター 発行)
Hamee(3134 東証マザーズ)
> ESG活動の分析
発行日 2015/8/21
◆ 環境対応(Environment)
同社のホームページや IR 資料に環境対応に関しての考え方、具体的
な取り組みなどについての記載は見当たらない。ただし、ネクストエ
ンジンの様なクラウドサービスは、顧客毎に異なる専用システムを構
築、運用する場合と比べ、IT インフラを効率的に利用しているため、
同社の事業が間接的には環境負荷を軽減する取り組みになっている
面はあろう。
◆ 社会的責任(Society)
同社は、
「私達は、お取引先様をはじめ、社会との相互発展を目指し、
公正な企業活動を行います。」と行動指針で宣言している。同社は小
田原市に本社を置いているが、地元経済の活性化に対する意識が高く、
具体的には以下の活動に積極的に取り組んでいる。
1) 地域クラウドファンディング「FAAVO 小田原箱根」の運営
2) 地元の農業法人(六次産業化目的)への出資
3) 参加自由型のナレッジ共有コミュニティ「ハミダセ」の運営
◆ 企業統治(Governance)
同社の取締役会は現在 6 名(その内、社外取締役は 1 名)で構成される。
7 月 30 日の株主総会で社外取締役に選任された八木啓太氏は、07 年
に富士フイルムに入社した後、11 年にビーサイズを設立した若手経
営者である。12 年、
「一人家電メーカー」としてメディアにも報道さ
れたが、同社ではその経験や知見、感性を当社経営の様々な側面で活
かしたいとして、取締役に招聘した。
監査役会は社外監査役 3 名で構成され、内訳は、常勤監査役 1 名、監
査役 2 名である。齊藤修一氏は、一条工務店(住宅メーカー)やリク
ルーエージェント(転職支援サービス)で内部統制の経験を積み、13
年に同社の常勤監査役に就任している。金島秀人氏は、アストロバイ
オファーマ代表取締役との兼任であるが、米国のベンチャービジネス
の知見が深い。本行隆之氏は、Stand by C Advisory 監査役、Stand by C
取締役、シロウマサイエンス取締役との兼任であるが、公認会計士で
あり経営の監視役を担っている。
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18/26
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当性・適合性について、いかなる表明・保証をするものではなく、一切の責任又は義務を負わないものとします。
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ます。また、本件に関する知的所有権は一般社団法人 証券リサーチセンターに帰属し、許可なく複製、転写、引用等を行うことを禁じます。
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Hamee(3134 東証マザーズ)
発行日 2015/8/21
4.経営戦略
> 対処すべき課題
◆ 優秀な人材の確保、育成
同社においては、プラットフォーム事業と海外事業を今後の成長の柱
と位置付けているが、優秀なシステム開発エンジニアや海外のインタ
ーネットビジネスの経験者は現在、特に採用難の環境にあり、小田原
に本社がある同社にとって、優秀な人材の確保が成長のボトルネック
となる可能性は否定できない。
しかしながら、同社従業員の平均年齢は 31.3 歳と若く、会社全体が
伸び盛りの状況にあるため、意欲のある若手社員が短期間に成長して
いくこともありえよう。また、今回の IPO によって、優秀な人材確
保が進むかにも注目したい。
◆ グローバル化への対応
同社では現在、海外において、コマース事業の拡大とプラットフォー
ム事業の立ち上げを両にらみで展開しようとしているが、EC 市場は
国によって言語や商習慣が異なるため、各言語、各国別の対応が必要
となってくる。そこで、同社はまず、マーケットが大きい米国を中心
とした英語圏で EC 運営の経験を積み、EC バックオフィスシステム
に必要とされる機能を見極めつつ、英語版ネクストエンジンの開発に
取り組んでいるが、日本と求められる機能が異なるとなると日本で成
功した要因が言語や国によっては役に立たないこともありうるため、
英語版ネクストエンジンの動向は同社のグローバル展開を占う試金
石として注視する必要があろう。
> 今後の事業戦略
◆ コマース事業は利益率の向上に軸足
同社はコマース事業において、新規顧客開拓による売上拡大と(海外
展開の推進、国内による多店舗展開)、顧客単価の上昇による収益性
の向上(自社企画商品の拡販による粗利率の改善、更なる IT 活用に
よる効率改善)を目指しているが、当センターでは、どちらかという
と利益率の改善に同社の軸足があるとみている。社内人員のリソース
をプラットフォーム事業や海外事業に手厚く配分する結果として、コ
マース事業については人を増やさずに多店舗展開を進める方針を打
ち出しているからである。
◆ 国内プラットフォーム事業が中期的な利益成長のけん引役に
先に述べたように、同社は 13 年にネクストエンジンの API を公開し、
プラットフォーム化に踏み切った。この結果、それまでの中規模 EC
事業者中心の顧客構成だったが、最近では大規模 EC 事業者との契約
が見られるようになってきた。大規模 EC 事業者の顧客化は、契約社
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ます。また、本件に関する知的所有権は一般社団法人 証券リサーチセンターに帰属し、許可なく複製、転写、引用等を行うことを禁じます。
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発行日 2015/8/21
数の増加に繋がるだけではなく、顧客単価の引き上げにも大いに寄与
するため、プラットフォーム事業の収益に大きなインパクトをもたら
すものと思われる。
顧客全体に提供されるメイン機能に追加して、ユーザーが選択して利
用する各種のアプリの拡充や、ユーザー独自システムとの接続に対応
する案件に対しては、現状 9 社の SI 事業者からなるパートナーと共
同して対応する方針である。
また、同社は今期から日本の顧客の海外進出(越境 EC)をサポート
するサービス提供を本格化させている。第一弾として 15 年 5 月に「米
Amazon(Amazon.com)用自動連携」というアプリをリリースした。こ
れは国内のネクストエンジンの顧客に、国内の EC と米アマゾンでの
EC とで在庫・受注管理の一元化と出荷通知自動反映の機能を提供し
たものである。料金は売上額の 2%としており、ユーザーにとっては
低コスト、
低リスクで米アマゾンでの EC が可能となった。同社では、
今後も顧客の収益機会を増やすことで同社の売上も拡大するといっ
た、Win-Win なビジネスを構築したいと考えている。
◆ グローバル戦略は米国、韓国、中国、台湾から展開へ
同社は海外においてもまずコマース事業で対象国に進出して現地の
EC ビジネスのノウハウを吸収し、その地で必要とされる機能を兼ね
備えた各国(各言語)版のネクストエンジンを開発することでプラッ
トフォーム事業を展開していく方針を打ち出している。
既にコマース事業を運営している米国と韓国の子会社では現地版ネ
クストエンジンの開発を進めており、早期のサービス開始を目論んで
いる。15 年 7 月には中国と台湾にもコマース事業(台湾はプラット
フォーム事業も事業内容としている)を運営する子会社を設立した。
将来には各国で開発したネクストエンジンをネットワーク化し、各国
の EC 事業者にグローバル展開の機会を提供することを目指している。
なお、グローバル展開の基本は自前主義であり、当面、M&A で積極
的に進出する考えはないようである。
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発行日 2015/8/21
5.アナリストの評価
> 強み・弱みの評価
◆ SWOT 分析
同社の内部資源(強み、弱み)、及び外部環境(機会、脅威)は、図
表 9 のようにまとめられる。
【 図表 9 】SWOT 分析
・スマホグッズ流通において川上から川下まで一気通貫で事業展開する仕組み
・スマホグッズ市場における若者向けの自社商品の高い企画力
強み (Strength) ・直営ECからのノウハウを活かしたEC事業者向けバックオフィスシステムの開発力
・API公開によるプラットフォーム化で先行
・急拡大するネクストエンジンの契約社数
・社長の経営力に対する高い依存
弱み (Weakness)
・コマース事業における商品ラインナップの少なさ、顧客層の狭さ、売上の季節性の大きさ
・EC市場の拡大(国内&海外)
機会 (Opportunity) ・ネクストエンジンのプラットフォーム化による大規模事業者の開拓促進、顧客単価の上昇
・海外展開
・ネクストエンジンの不具合、その他のシステムトラブルの可能性
脅威 (Threat) ・海外子会社のオペレーションに失敗する可能性
・インターネット業界の技術革新への対応が遅れる可能性
(出所)証券リサーチセンター作成
> 経営戦略の評価
◆ 独自性の強い経営戦略が成長の持続性を支えよう
同社の経営戦略のポイントは、スマートフォングッズ市場において自
社で企画した魅力的な商品を、自社の EC のみならず他社の販路も利
用して大量に販売することを狙うと共に、EC 運営のノウハウを小さ
な市場における競争力の源泉に止めるのではなく、自社で開発したシ
ステム通じて EC 業界全般に広くサービスとして提供することでより
大きな利益の獲得を目指していることにある。
ネクストエンジンの API 公開によるプラットフォーム化に関しても、
同じ文脈で考えれば理解しやすい。自社の開発リソースではすぐには
対応できなかったアプリの拡充、大規模 EC 事業者への対応や海外モ
ールとの連携といった課題に関し、他社の協力を得て解決への道を開
き、対象とする顧客層、市場の拡大に成功しつつあるのは、リスクを
恐れて小さな殻に閉じこもるのではなく、大きな可能性にチャレンジ
する志を持っているからであろう。
プラットフォーム事業の強化と並行して事業拡大を目論むグローバ
ル展開に関しては、人材リソースの不足がボトルネックとなることや、
海外子会社のオペレーションで失敗することが懸念されるが、他社の
真似ではない、独自性の強い経営戦略を維持できれば、海外事業にお
いても収益源を確立できる可能性はあろう。
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利益及び損害を含むいかなる結果についても責任を負いません。最終投資判断は投資家個人においてなされなければならず、投資に対する一切の責任は閲覧した投資家にあり
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> 今後の業績見通し
発行日 2015/8/21
◆ 会社は 16 年 4 月期も高い増益率の継続を見込む
16/4 期の会社計画は、売上高 6,349 百万円(前期比 12.2%増)
、営業
利益 464 百万円(同 38.3%増)
、経常利益 432 百万円(同 31.3%増)
、
当期純利益 271 百万円(同 40.7%増)であり、前期に続き大幅増益を
見込んでいる(図表 10)
。
【 図表 10 】15 年 4 月期と 16 年 4 月期会社計画
セグメント
売上高
コマース事業
うち小売
うち卸売
プラットフォーム事業
売上総利益
14/4
実績
(単位:百万円)
15/4
実績
16/4
会社計画
前期比
4,681
5,657
6,349
12.2%
4,191
2,138
2,053
489
5,024
2,457
2,567
632
5,546
2,762
2,783
803
10.4%
12.4%
8.4%
27.0%
19.1%
1,894
2,270
2,704
売上総利益率
40.5%
40.1%
42.6%
-
販売管理費
販売管理費率
営業利益
1,667
35.6%
1,934
34.2%
2,240
35.3%
15.8%
-
営業利益率
経常利益
226
4.8%
153
3.7%
73
14.9%
222
336
5.9%
212
4.2%
123
19.5%
329
464
7.3%
322
5.8%
141
17.6%
432
38.3%
-
51.9%
-
14.6%
-
31.3%
経常利益率
4.8%
5.8%
6.8%
-
121
192
271
40.7%
営業利益率
コマース事業
営業利益率
プラットフォーム事業
当期純利益
(出所)決算短信及び決算説明会資料をもとに証券リサーチセンター作成
同社が 16/4 期にコマース事業で大幅増益を見込むのは、粗利率が高
い自社商品のコマース売上に占める構成比(前期 54.2%→今期計画
61.2%)の上昇と、同様に粗利率が相対的に高水準にある、コマース
事業における小売向け売上比率(同 48.9%→49.8%)の改善により、
同事業全体の粗利率が 1.5%ポイント上昇するとみているためである。
プラットフォーム事業に関しては、契約社数の増加(前期比 27.8%増)
を前提に 27.0%の増収を見込む一方で、積極的な人員増強に伴う同部
門の販管費増加を背景に営業利益率が 1.9%ポイント悪化するとみて、
14.6%の営業増益を計画している。
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Hamee(3134 東証マザーズ)
発行日 2015/8/21
◆ 証券リサーチセンターの業績予想
当センターでは、同社の 16/4 期業績を、売上高 6,412 百万円(前期比
13.3%増)、営業利益 501 百万円(同 49.1%増)、経常利益 490 百万円
(同 48.9%増)、当期純利益 307 百万円(同 59.9%増)と、会社計画
に対して売上高 63 百万円、営業利益 37 百万円、経常利益 58 百万円、
当期純利益 36 百万円の上振れを予想する(図表 11)
。
コマース事業に関しては、細かい点では多少の差はあるものの、営業
利益は会社計画と同じ 322 百万円と見込んでいる。
プラットフォーム事業に関しては、ネクストエンジンの API 公開の
効果が本格的に生じてくると想定し、契約社数、顧客単価共に、会社
計画を上回ると考えた。また、同事業のコスト計画は保守的に見積も
られていると判断したため、営業利益は会社計画を 38 百万円上回る
と予想した。
経常利益については、前期比で 15 百万円増えるとしている営業外費
用の同社の前提は保守的と判断した。
17/4 期以降は、コマース事業は、国内売上で年 7~8%程度の伸びを、
海外売上は年 1~2 億円程度の増収を見込む中、自社商品比率の上昇
を背景とする粗利率の改善を前提に、営業利益は年 2 割前後の増益を
予想した。プラットフォーム事業は、同社の越境 EC への対応効果な
どにより、引き続き契約社数と顧客単価の伸びが売上拡大をけん引す
るとみる一方、増収効果による利益率の改善を想定して、営業利益は
年 3~4 割程度の増益と予想した。
なお、同社は今期から海外においてもプラットフォーム事業をスター
トさせるとしているが、その開始時期や事業拡大のペースなどは不透
明な状況にあり、当センターの売上予想には織り込んでいない。海外
においてネクストエンジンが順調に販売できるようだと、当センター
の予想に対して業績の上振れ余地が生じてくると想定される。
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利益及び損害を含むいかなる結果についても責任を負いません。最終投資判断は投資家個人においてなされなければならず、投資に対する一切の責任は閲覧した投資家にあり
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発行日 2015/8/21
【 図表 11 】証券リサーチセンターの業績予想
(損益計算書)
14/4
15/4
(単位:百万円)
16/4CE
16/4E
17/4E
18/4E
損益計算書
売上高
前期比
セグメント別
コマース事業
プラットフォーム事業
4,681
5,657
6,349
6,412
7,205
8,040
12.3%
20.9%
12.2%
13.3%
12.4%
11.6%
-
-
-
-
-
-
4,191
5,024
5,546
5,570
6,095
6,665
1,375
489
632
803
842
1,110
1,894
2,270
2,704
2,692
3,111
3,560
前期比
9.4%
19.8%
19.1%
18.6%
15.6%
14.4%
売上総利益率
40.5%
40.1%
42.6%
42.0%
43.2%
44.3%
1,667
1,934
2,240
2,190
2,467
2,750
販売管理費率
35.6%
34.2%
35.3%
34.2%
34.2%
34.2%
226
336
464
501
644
810
前期比
23.8%
48.1%
38.3%
49.1%
28.5%
25.7%
営業利益率
4.8%
5.9%
7.3%
7.8%
8.9%
10.1%
-
-
-
-
-
-
153
212
322
322
393
475
335
売上総利益
販売管理費
営業利益
セグメント別
コマース事業
プラットフォーム事業
73
123
141
179
251
222
329
432
490
634
801
前期比
5.3%
47.9%
31.3%
48.9%
29.4%
26.3%
経常利益率
4.7%
5.8%
6.8%
7.6%
8.8%
10.0%
121
192
271
307
402
509
-14.0%
58.4%
40.7%
59.5%
31.0%
26.3%
経常利益
当期純利益
前期比
(注)CE:会社予想 E:証券リサーチセンター予想
(出所)目論見書、有価証券報告書、決算説明会資料をもとに証券リサーチセンター作成
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【 図表 12 】証券リサーチセンターの業績予想
(貸借対照表・キャッシュフロー計算書)(単位: 百万円)
(単位:百万円)
14/4
15/4
16/4CE
16/4E
17/4E
18/4E
貸借対照表
現預金
526
1,437
-
1,446
1,554
1,706
売掛金
640
757
-
869
986
1,128
棚卸資産
その他
238
374
-
380
416
454
128
1,533
143
2,712
-
141
2,837
165
3,106
173
3,449
有形固定資産
54
46
-
55
56
133
無形固定資産
66
77
-
90
105
122
投資その他の資産
85
57
-
90
125
140
206
0
181
11
-
235
7
286
3
395
0
1,740
219
2,906
174
-
2,082
231
2,574
252
3,016
276
流動資産
固定資産
繰延資産
資産合計
買掛金
短期借入金
120
0
-
0
0
0
1年以内返済予定の長期借入金
119
174
-
154
134
58
未払金
120
205
-
227
249
272
57
88
66
163
-
75
110
85
120
95
130
流動負債
725
785
-
800
841
832
社債および長期借入金
その他
318
20
357
26
-
202
32
68
39
9
45
固定負債
純資産合計
338
384
-
235
107
55
675
1,736
-
2,044
2,447
2,956
(自己資本)
675
1,736
-
2,044
2,447
2,956
187
328
-
490
634
801
売上債権の増減額(-は増加)
47
-176
58
-117
-
68
-111
83
-117
102
-141
棚卸資産の増減額(-は増加)
-15
-136
-
-5
-35
-38
仕入債務の増減額(-は減少)
64
-54
-44
-10
-
57
0
21
-25
23
-10
20
18
44
39
-
22
-13
21
20
23
-3
未払費用
その他
キャッシュフロー計算書
税金等調整前当期純利益
減価償却費
未収入金の増減額(-は増加)
未払金の増減額(-は減少)
その他
法人税等の支払額
-93
-52
-
-202
-204
-259
営業活動によるキャッシュフロー
有形固定資産の取得による支出
-1
-43
110
-6
-
304
-24
397
-17
497
-93
無形固定資産の取得による支出
その他
-41
-54
-
-63
-81
-102
投資活動によるキャッシュ・フロー
-50
-135
-8
-69
-
-32
-121
-35
-134
-15
-211
短期借入金の増減額(-は減少)
長期借入金の増減額(-は減少)
120
189
-120
94
-
0
-174
0
-154
0
-134
株式の発行による収入
0
840
-
0
0
0
財務活動によるキャッシュ・フロー
現金及び現金同等物に係る換算差額
309
4
814
11
-
-174
0
-154
0
-134
0
現金及び現金同等物の増減額(-は減少)
現金及び現金同等物の期首残高
175
350
867
526
-
9
1,437
108
1,446
151
1,554
0
0
0
-
1,446
1,554
1,706
新規連結に伴う現金及び現金同等物の増加額
現金及び現金同等物の期末残高
0
43
526
1,437
(注) CE:会社予想 E:証券リサーチセンター予想
(出所)目論見書、有価証券報告書、決算説明資料をもとに証券リサーチセンター作成
フル・レポート
25/26
本レポートに掲載された内容は作成日における情報に基づくものであり、予告なしに変更される場合があります。本レポートに掲載された情報の正確性・信頼性・完全性・妥
当性・適合性について、いかなる表明・保証をするものではなく、一切の責任又は義務を負わないものとします。
一般社団法人 証券リサーチセンターは、本レポートの配信に関して閲覧し投資家が本レポートを利用したこと又は本レポートに依拠したことによる直接・間接の損失や逸失
利益及び損害を含むいかなる結果についても責任を負いません。最終投資判断は投資家個人においてなされなければならず、投資に対する一切の責任は閲覧した投資家にあり
ます。また、本件に関する知的所有権は一般社団法人 証券リサーチセンターに帰属し、許可なく複製、転写、引用等を行うことを禁じます。
ホリスティック企業レポート(一般社団法人 証券リサーチセンター 発行)
Hamee(3134 東証マザーズ)
> 投資に際しての留意点
発行日 2015/8/21
◆ 当面は配当が見送られる公算が大きい
同社は、利益配分について、経営成績及び財政状態を勘案して、株主
への利益配当を実現することを基本方針としているが、成長過程にあ
るため、将来の事業展開と財務体質強化のための必要な内部留保の確
保を優先しているとして、創業以来無配を続けている。
配当を実施する条件となる利益水準や財務指標は公表しておらず、海
外展開での先行投資が当分続く可能性もあることから、配当というか
たちでの株主への還元は、しばらくは見送られる公算が大きいと予想
される。
◆ 留保金課税の適用除外により法人税率が低下する可能性
同社は現在、特定同族会社と認定され、留保金課税の対象となってい
るため、対象となっていない場合と比べ、4.9%ポイント高い法人税
率が課せられている。将来、社長や社長の資産管理会社が保有する株
式の売り出しなどが行われ、留保金課税の適用から外れた場合は、法
人税率は 4.9%ポイント引き下げられ、当期利益が当センターの予想
に比べ約 8%上方修正される要因となる。
◆ iPhone の販売時期や売れ行きに株価が影響を受ける可能性
同社のスマートフォンアクセサリーの中で、米アップル社の iPhone
に用いられるケースの売上構成比は比較的高く、iPhone の新製品の発
売時期には特に大きくなる傾向がある。従って、iPhone の発売時期が
延期されたり、その売れ行きが市場の予想と大きくかい離したりする
場合は、同社の株価が乱高下する可能性がある。
◆ 所属業種の変更や収益構造の変化が株価に影響を及ぼす可能性
同社は現在、小売業種に指定されているが、会社の思惑通りに利益構
成比でプラットフォーム事業がコマース事業を大きく上回った場合、
将来、所属業種が情報通信業に変更される可能性がある。また、所属
業種が変更されなかったとしても、収益構造の変化を市場が正しく理
解すれば、「仕入れ販売中心で収益性の低い小売企業」という市場の
認識が、
「限界利益率や資産収益率の高い IT 企業」という評価にシフ
トする可能性がある。通常、高収益の IT 企業については株価の変動
性が株式市場の平均に比べて大きくなりがちであるものの、そのバリ
ュエーション指標(株価評価指標)も高くなる傾向があり、同社の収
益構造の変化には注視する必要がある。
フル・レポート
26/26
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ます。また、本件に関する知的所有権は一般社団法人 証券リサーチセンターに帰属し、許可なく複製、転写、引用等を行うことを禁じます。
ホリスティック企業レポート(一般社団法人 証券リサーチセンター 発行)
トライステージ (2178 東証マザーズ)
Hamee (3134 東証マザーズ)
発行日2015/8/21
証券リサーチセンターについて
証券リサーチセンターは、株式市場の活性化に向けて、中立的な立場から、アナリスト・カバーが不十分な企業を中心にアナリス
ト・レポートを作成し、広く一般にレポートを公開する活動を展開しております。
独自にカバー対象企業を選定し、
Web サイト、スマホアプリ等を
東証、証券会社、監査法人など
取材・レポート作成
通してレポート提供(原則、無償)
協賛
証券リサーチセンター
上場企業
投資家・マスコミなど
上場企業による費用負担なし

協賛会員
(協賛)
東京証券取引所
みずほ証券株式会社
優成監査法人
(準協賛)
三優監査法人
(賛助)
日本証券業協会
SMBC 日興証券株式会社
有限責任あずさ監査法人
株式会社 ICMG
大和証券株式会社
有限責任監査法人トーマツ
太陽有限責任監査法人
株式会社 SBI 証券
日本証券アナリスト協会
監査法人 A&A パートナーズ
野村證券株式会社
新日本有限責任監査法人
いちよし証券株式会社
本レポートの特徴
「ホリスティック企業レポートとは」
ホリスティック企業レポートとは、証券リサーチセンターが発行する企業調査レポートのことを指します。ホリスティック企業レ
ポートは、企業側の開示資料及び企業への取材等を通じて収集した情報に基づき、企業価値創造活動の中長期の持続可能性及び株
価評価などの統合的分析結果を提供するものです

魅力ある上場企業を発掘
新興市場を中心に、アナリスト・カバーがなく、独自の製品・技術を保有している特徴的な企業を発掘します

企業の隠れた強み・成長性を評価
本レポートは、財務分析に加え、知的資本の分析手法を用いて、企業の強みを評価し、企業の潜在的な成長性を伝えます。さらに、
今後の成長を測る上で重要な KPI(業績指標)を掲載することで、広く投資判断の材料を提供します

第三者が中立的・客観的に分析
中立的な立場にあるアナリストが、企業調査及びレポートの作成を行い、質の高い客観的な企業情報を提供します
本レポートは、企業価値を「財務資本」と「非財務資本」の両側面から包括的に分析・評価しております
本レポートの構成
企業の価値は、「財務資本」と「非財務資本」から成ります。
「財務資本」とは、これまでに企業活動を通じて生み出したパフォーマンス、つまり財務諸表で表される過去の財務成果であり、
目に見える企業の価値を指します。
それに対して、「非財務資本」とは、企業活動の幹となる「経営戦略/ビジネスモデル」、経営基盤や IT システムなどの業務プロ
セスや知的財産を含む「組織資本」、組織の文化や意欲ある人材や経営陣などの「人的資本」
、顧客との関係性やブランドなどの「関
係資本」、社会との共生としての環境対応や社会的責任などの「ESG 活動」を指し、いわば目に見えない企業の価値のことを言いま
す。
本レポートは、目に見える価値である「財務資本」と目に見えない価値である「非財務資本」の両面に
着目し、企業の真の成長性を包括的に分析・評価したものです。
1.会社概要
1.会社概要
企業価値
企業価値
2.財務資本
2.財務資本
••
••
••
••
3.非財務資本
3.非財務資本
企業業績
企業業績
収益性
収益性
安定性
安定性
効率性
効率性
4.経営戦略/
4.経営戦略/
ビジネスモデル
ビジネスモデル
••
••
••
事業戦略
事業戦略
中期経営計画
中期経営計画
ビジネスサイクル
ビジネスサイクル
知的資本
知的資本
関係資本
•• 関係資本
(顧客、ブランドなど)
(顧客、ブランドなど)
•
組織資本
• 組織資本
(知的財産、ノウハウなど)
(知的財産、ノウハウなど)
•
人的資本
• 人的資本
(経営陣、従業員など)
(経営陣、従業員など)
5.アナリストの評価
5.アナリストの評価
ESG活動
ESG活動
••
••
••
環境対応
環境対応
社会的責任
社会的責任
企業統治
企業統治
ホリスティック企業レポート(一般社団法人 証券リサーチセンター 発行)
トライステージ (2178 東証マザーズ)
Hamee (3134 東証マザーズ)
発行日2015/8/21
指標・分析用語の説明
 PER(Price Earnings Ratio)
 ESG
株価を 1 株当たり当期純利益で除し
Environment:環境、Society:社会、 顧客関係や業務の仕組みや人材力な
たもので、株価が 1 株当たり当期純
Governance:企業統治、に関する情
どの、財務諸表には表れないが、財務
利益の何倍まで買われているのかを
報を指します。近年、環境問題への関
業績を生み出す源泉となる「隠れた経
示すものです
心や企業の社会的責任の重要性の高
営資源」を指します
 PBR(Price Book Value Ratio)
まりを受けて、海外の年金基金を中心
株価を 1 株当たり純資産で除したも
に、企業への投資判断材料として使わ
ので、株価が 1 株当たり純資産の何
れています
倍まで買われているのかを示すもの
 SWOT 分析
です
企 業 の 強 み ( Strength )、 弱 み
 配当利回り
1 株当たりの年間配当金を、株価で除
(Weakness)
、機会(Opportunity)、
脅 威 ( Threat ) の 全 体 的 な 評 価 を
したもので、投資金額に対して、どれ
SWOT 分析と言います
だけ配当を受け取ることができるか
 KPI (Key Performance Indicator)
を示すものです
企業の戦略目標の達成度を計るため
 知的資本
 関係資本
顧客や取引先との関係、ブランド力な
ど外部との関係性を示します
 組織資本
組織に内在する知財やノウハウ、業務
プロセス、組織・風土などを示します
 人的資本
経営陣と従業員の人材力を示します
の評価指標(ものさし)のことです
免責事項
・ 本レポートは、一般社団法人 証券リサーチセンターに所属する証券アナリストが、広く投資家に株式投資の参考情報として閲覧
されることを目的として作成したものであり、特定の証券又は金融商品の売買の推奨、勧誘を目的としたものではありません。
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す。本レポートの作成者は、インサイダー情報の使用はもとより、当該情報を入手することも禁じられています。本レポートに
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本レポートは投資家が必要とする全ての情報を含むことを意図したものではありません。
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内で直接又は間接的に取り上げられている株式は、株価の変動や発行体の経営・財務状況の変化、金利・為替の変動等の要因に
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予想であり、実際のパフォーマンスとは異なることがあります。したがって、将来のパフォーマンスについては明示又は黙示を
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