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平成14年5月19日長野県矯正研究会

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平成14年5月19日長野県矯正研究会
カリオロジーを基にした矯正歯科治療
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第2回矯正研究会 (2001.5.19)
会員発表:大塚勝男先生・窪田裕一先生
特別講演:
1.カリオロジーを基にした矯正歯科治療
─ダイレクトラミネートベニアの矯正歯科治療への応用─
後藤滋巳(愛知学院大学歯学部歯科矯正学講座教授)
2.ダイレクトラミネートベニアの審美歯科治療への応用
三輪英幸(名古屋市開業・
愛知学院大学歯学部歯科矯正学講座非常勤講師)
5月19日出席者
小林範明・菅沼聰介・青木伸之・犬飼 健・伊佐津和朗・玉井憲二
窪田裕一・大塚勝男・北川原 健・小塚一芳・竹内勝泉・川浦茂雄
福沢正規・山本雅英・雫田和成・佐藤 洋・布施修一郎
野口純一・中田幸一・中田真太朗
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カリオロジーを基にした矯正歯科治療
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カリオロジーを基にした矯正歯科治療
ダイレクトラミネートベニアの矯正治療への応用
愛知学院歯学部歯科矯正学講座
後藤
滋巳
不正咬合が心身に及ぼす影響
不正咬合は遺伝的な原因や環境的な原因が複合的に関わり合うことによって生じ、不正咬合があること
で、
生理的、心理的両面より心身に対して悪影響を与える可能性を持っている。
1)咀嚼、発音機能など口腔機能の発育への影響
2)顎顔面部の形態の成長発育への影響
3)歯への影響(カリエス)
4)歯周組織への影響
5)顎関節や口腔周囲筋への影響
6)外傷の頻度、内容への影響
7)咬合修復操作への影響
8)心理面への影響
矯正治療の目的
不正咬合の改善により、種々の悪影響を排除し、心身の健全なる育成と健康の維持をもたらす
不正咬合を生じさせうる可能性の高い要因を除去し、固体の持つ本来の成長発育を上手く誘導す
る・・・予防
矯正治療による具体的効果
歯の移動、顎の移動による口腔周囲の形態的変化とそれに伴う機能的変化、そしてそれらの変化から得
られる
心理的変化など、矯正治療による効果は局所のみならず全身に及ぶ。
矯正治療の特殊性
1)矯正装置を使用する
2)永久歯の抜歯を必要とすることがある
3)治療期間が長期に及ぶ
4)患者本人の努力と協力を必要とする
5)患者周囲の人たちの理解と協力
6)一部の不正咬合を除き、自費診療
7)他科との連携を必要とすることが多い
8)後戻り現象がある
矯正治療の特殊性「矯正治療の問題点」
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患者を含め、治療に関わる者の努力によって治療の効率化がなされ、より良い治療効果が得られる。
矯正治療中のう触予防対策
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口腔衛生概念の教育と指導
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効率的な治療法の確立
z
安全な治療法の確立
ダイレクトボンディング法による
マルチブラケット装置の問題点
1)ブラケット装着時のエッチングによるエナメル質への影響
2)装置装着中のブラケットベース周囲およびワイヤー下の不潔域の存在
3)ブラケット撤去時の機械的操作によるエナメル質への影響
z
ブラケットの装着位置の修正、脱落など装着操作の繰り返しにより、エナメル質の被る悪影響はよ
り大きくなる。
z
石灰化度の高い表層エナメル質を人為的に擦傷することで、歯面が先天的に有している抗う触機構
に悪影響を及ぼす。
装置装着時のブラケットベース周囲およびワイヤー下の不潔域の存在
ブラケットベースの周囲やワイヤー下の隣接面⇒
⇒自浄作用が悪く不潔域になりやすい
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⇒歯面の白濁(ホワイトスポット)
⇒う触が発生しやすい環境
矯正治療を開始するにあたっては、矯正装置の使用上の注意点や効果の説明等と同時に、口腔清掃の重
要性に
ついて十分に説明し、患者の理解とブラッシングの励行の徹底を促すように指導を行う。
しかし、これによってもすべての症例に十分な効果が得られないのが現状である。
また、何らかの障害を持ち自分では十分な口腔清掃が行えない症例もあり、矯正治療を行う上で常に留
意しな
ければならない問題点である。
問題点の解決
歯面の保護、う触の予防
⇒歯面全体を被覆、フッ素の応用
⇒新しいボンディングシステムの開発
⇒ダイレクトラミネートベニアの矯正治療への応用
ダイレクトラミネートベニアの矯正治療への応用
フッ素除放性を有するグラスアイオノマーセメントによって歯面全体を被覆し(ダイレクトラミネート
ベニア)
この表面にブラケットをボンディングすることで、治療期間をとおして歯面の保護を図る。
矯正治療中のう触予防
患者主導型予防(セルフケア)
z
ブラッシング
z
フッ素化合物による洗口
術者主導型予防(プロフェッショナルケア)
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TBI
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フッ素塗布
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シーラント
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PMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning)
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3DS(Dental Drug Delivery System)
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ダイレクトラミネートベニア
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歯質に対して、非切削でエッチングを行うことなく装着が可能である。
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歯質に接着性を有するグラスアイオノマーセメント層とそれを被覆するレジン層の二重構造からな
っており、
直接法によって歯面に築盛される。
ベニアの厚み(歯周組織への影響)
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被覆冠を装着したことによる0.7∼1.0mmの頬舌径の増加は、臨床的に許容される。
z
適切な研磨とカントウァーを与えられたレジン修復物は歯肉の健康に悪影響を及ぼすことはない。
z
修復物の頬舌幅は、直接レジンベニアで360±300µm、ポーセレンベニアで500±300µm増加す
る。
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本ベニアの厚みは、600±100µmで研磨の必要のない滑択な面が得られる。
ベニアの接着安定性
GICと歯質の接着機序
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ポリアクリル酸中のカルボキシル基(COO)とハイドロキシアパタイト中のリン酸イオンとの置
換による接着である。
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20%ポリアクリル酸によるエナメル質の表面処理によって、GICの歯質接着性は向上する。
GICとレジンの接着機序
z
光重合型レジンと光硬化型グラスアイオノマーセメントの接着は、両者に含まれるレジン成分
(MEMAなど)
による化学結合によって、強固に接着する。
ベニアの耐久性
ブラケットの接着強さ
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歯に直接装着したブラケットにかかる応力は、最大30kg/c㎡(3.06Mpa)である。
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実際の臨床において必要なブラケットの接着力は、40kg/c㎡(4.08Mpa)である。
z
2年7ヶ月の口腔内環境を想定した実験結果より、ベニアの接着強さは4.2Mpaを記録した。
GICの有するフッ素イオンのリチャージ特性について
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グラスアイオノマーセメントは、元素含有しているフッ素イオンを放出するのみでなく、外来のフ
ッ素に
接することによってそれを取り込み、再び放出するという性質を有している。
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臨床におけるフッ素の応用方法
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来院毎など、定期的にフッ素化合物(ジェル)の塗布を行う
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日常のブラッシングにおいて、フッ素含有歯磨剤を使用する。また、フッ素含有洗口剤も有効であ
る。
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まとめ
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矯正治療中は、装置および患者の年齢や身体的条件を考慮した適切なカリエスコントロールが必要
である。
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カリエスコントロールは、セルフケアのみに頼らず、積極的なプロフェッショナルケアを併用すべ
きである。
z
フッ素によるう触予防効果を最大限有効に利用するシステムを構築する必要がある。
z
ダイレクトラミネートベニアは、エナメル質に加わる侵襲を物理的に遮断するとともに、フッ素を
デリバリー
する能力を有している。よって、矯正治療中の歯面をカリエスフリーの状態にするための有効な方
法である。
z
臨床におけるさらなる操作性の向上を図るため、インダイレクトーブラケットボンディングの手法
を応用し、
ベニアとブラケットの同時装着を可能にした。これは、現在発表準備中である。
カリオロジーを基にした矯正臨床
審美歯科学
美の具象化
三輪英幸先生(名古屋市開業)
形態、色彩、機能(咬合機能、咀嚼機能、嚥下機能、発語機能
など)
歯の色彩 変色歯の改善、歯冠修復、ブリーチング(漂白)
歯冠修復:切削が必要である。色調自由度は高い。ポーセレンラミネートベニアは安定し
た材料である。
1983年にアメリカで発表された。
ブリーチング:ナイトホワイトエクセル(ホームブリーチ)
松風のハイライト(オフィスブリーチ)
オフィスとホームの両方の組み合わせが効果的である。
ダイレクトラミネートベニア 非切削でエッチングを行わずにつける。
1. 充分なマスキング効果
2. 表面滑沢性が必要である。
ポーセレンラミネートベニアはダイレクトよりきれい。
ダイレクトラミネートベニアはやや透明感がない。
色調調整:マスキング効果 遮光性を付与し、ベース層として使う。マスキング剤は入れ
すぎると固まってしまう。
色調表現:GICとレジンの間に低粘性のモディファイヤーレジンを使用。切縁には青い
色、透明感がでる
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表面の質感:耐摩耗性、光透過性に優れたコンポジットレジンを使用する。
エッチングはタグをつくる。
ポリアクリル酸は表面のハイドロキシアパタイトのイオン構造を変える。クリスタルライ
ンデポジット。
イオンの配列状態が変わる。
GIC:
グラスアイオノマーセメント:フジオルソーLC(アルミナシリケートガラスとポリ燐酸)
フジアイオノマータイプ2LC パウダーが細かい。 液の量を通常より倍にして使う。
光重合20秒
ボンディング剤を塗って10秒照射。プラズマ照射器は2~3秒。
マスキング剤:エリートセメントの粉(酸化亜鉛)を混ぜる。
ボンディング剤は3Mのシングルボンド。ボンディング剤はなんでも良い。
モディファイヤーレジン:GCコスモテックレジンのキット中の青いレジンやブラウン色。
ハイブリッドセラミックレジン:GCのグラディア 操作性が良い。松風のビューティフル
のBW
デンツプライのエステック 白いレジンは非常に硬い。
GCの低粘性のフロアブルレジン:A-2
が使いやすい。
マトリックスの作成方法:副模型で歯をバラバラ、スペーサーマニキュア、バキュームア
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ダプター
0. 5mmのアクリル板を軟化、圧接し、模型上で適合調整する。名南歯科産業
が張ってあるので、
マニキュアが使いないので使いやすい。1回作れば再利用可能です。
術前の状態
ベース層塗布(表面にレジン充填に使うボンディング剤を塗る)
ァイヤー塗布
(歯頚部に ベニア装着前に茶色
フィルム
モディフ
切縁に青)
ブリーチングする。ポーセレンラミネートベニアにすることができる。
マスキング効果のないノーマルなグラスアイオノマーに少し白っぽいレジンを被せるとき
れい。
マトリックス内面は歯の表面を忠実に再現する。
マトリクッスにレジンを盛ったら、叩いて柔らかくなるのでそれから圧接する。
隣接面をセパレートする。
デンタルフロスで隣接面のレジンをとる。
レジンであるので表面は若干傷ついたり、光沢がなくなる。
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着色、磨耗、破損が起こる。2~3年が寿命です。1を白くするより3を白くしたほうが口
の中を明るくできる。
2の遠心や3の近心にネイルストーンもつける。
可逆的な審美治療、ブリーチングや歯冠修復後のイメージを具体的にコミュニケーション
を行える。
時間的制約があるとき、短期間で改善できる。
除去はアドヒーシブリムービングプライヤーで歯頚部のレジンのステップにかけて除去す
る。
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