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世界全体の構造変化と 人材移動の重要性

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世界全体の構造変化と 人材移動の重要性
世界全体の構造変化と
人材移動の重要性
東京大学大学院経済学研究科
柳川範之
1
急速に変化する世界の産業構造
• 急拡大する中国・インド経済
• EU諸国の成長・拡大
• 世界全体でのM&Aの拡大
(サブプライム問題発生後も高水準)
• ICTの進展と生産性向上スピード
わが国におけるサービス産業でのIT活用
の遅れ
(ICTは変化している一例にすぎない)
2
世界の将来予測
”Raising productivity growth: key messages from the European Competitiveness Report 2007” より
3
日本銀行「金融システムレポート」2008年3月より
4
ICTの影響があまり大きくなっていない日本
OECD“MICRO-POLICIES FOR GROWTH AND PRODUCTIVITY: FINAL REPORT”より
5
6
産業構造審議会情報経済分科会 情報サービス・ソフトウェア小委員会 人材育成ワーキンググループ報告書より
特に近年サービス産業でICTがうまく活用できていない
OECD“MICRO-POLICIES FOR GROWTH AND PRODUCTIVITY: FINAL REPORT”より
7
米国における構造変化:変化の速さ
米国経常収支と米国産業の構造変化の関係 に関する予備調査」国際金融情報センターより
• アメリカの最大の貿易収支赤字相手国
1985年 日本 シェア35%
2003年 中国 シェア23%。
中国向け直接投資や委託生産という多国籍企業や
アメリカ企業のforeign sourcing(在外調達)行動が
大きく関係
• 2002年では財の貿易収支は総計では4,800億ドル
の赤字であったが、農産物貿易は112億ドルの黒字、
サービス貿易は721億ドルの黒字。
8
米国経常収支と米国産業の構造変化の関係 に関する予備調査」国際金融情報センターより
9
EUの成長、拡大
Raising productivity growth: key messages from the European Competitiveness Report 2007より
10
EUにおけるサービス分野の重要性 JETRO ユーロトレンド 2007.7より
11
JETRO ユーロトレンド 2007.7より
12
急速な制度改革の進展
• 世界全体で、様々な制度改革が行われている。
• ヨーロッパでは、EU委員会を中心として、近年、
様々な改革を実行
(EU委員会の指令等が直ちに改革に結びつくと
は限らないものの・・)
• Growth and Job strategyと呼ばれる一連の改革を
実施
• サービス分野に関する改革政策
• EU域内での自由化の促進
• 規制改革・競争力強化政策
13
EUにおける
サービス分野に関する改革政策
JETRO ユーロトレンド2007.7より
• EUのサービス指令は、域内でのサービス自
由移動の実現を目的。
• 2006年末には指令案が採択され、発効した。
• 加盟国は2009年末までに同指令を国内法化
することになり、EUのマクロ経済にも好影響
が見込まれる。
• サービスの自由移動は、加盟国による労働
者の移動制限の開放と相まって進む。
14
Action Programme for Reducing Administrative Burdens in the European Union
15
Raising productivity growth: key messages from the European
Competitiveness Report
2007 P52
• OECD (2007) finds that labour productivity has
accelerated since the mid-1990s in lightlyregulated economies while it either grew more
slowly or declined in highly-regulated countries.
• Nicoletti and Scarpetta (2005) analyses possible
links between product market regulation and
total factor productivity growth in the OECD area
over the past two decades. Their results suggest
that lower barriers to trade and less regulation
have increased the level and rate of productivity
growth by stimulating business investment and
promoting innovation and technological catch-up.
16
MICRO-POLICIES FOR GROWTH AND PRODUCTIVITY: FINAL REPORT
17
Quantitative assessment of structural reforms:
Modelling the Lisbon strategy
Industrial Policy and Economic Reforms Papers No. 5
18
人材活用を通じた
産業構造高度化の必要性
• 世界全体の急速な動きに合わせた、スピード
感のある産業構造の変化が必要。
• 高付加価値部門に、人材と資源を集中的に
投下し、それによって、経済全体のパイを増
加させる必要がある。
• その結果、実質賃金も増加し、国内消費も増
加する。
• サービス産業の高付加価値化がひとつのポ
イント
19
産業間労働移動の重要性
(人をヨコに動かす)
• 人材育成や教育は、そのためにはもちろん必
要。
• しかし、変化のスピードに対応するためには、
既存人材の産業間労働移動が重要。
• 特に少子高齢化のわが国においては、中高
年の産業間労働移動を促進し、産業構造変
化のスピードを促進する必要がある。
20
産業間労働移動の重要性(続き)
• わが国では、高生産性部門に生産要素が十
分に移動していないという問題点が指摘され
てきた。
• その傾向は、近年でも続いている。
• 生産要素の中で、資金は比較的移動が容易。
人的資源、人材をいかに早く移動させるかがポ
イントとなる。
21
人材活用の副次的効果
• 将来の不安、老後の不安が軽減すれば、消
費拡大につながる。
• (将来的には)社会保障費の削減にもつなが
る。
• 雇用対策にもなり、不採算企業(部門)の退
出を促すことができる。
22
人材移動のルート
• 既存企業の埋もれている人材を、必要として
いる他企業・他産業に移転させることにより、
生産性を高める。
現在では、この点に、非常に大きなミス
マッチが発生している。
多くの大企業で、働き場所の無い優秀な
人材が存在。
事業再生事例等からみても、そのような人
材ニーズと働き場所は多数存在。
23
人材移動のルート(続き)
• 既存企業にいる中高年に対して、一定のト
レーニング・再教育機会を提供して、より生産
性の高い部門・産業における活躍場所を提
供する。
• 既存企業がM&Aを行うことにより、(内部労
働市場を用いて)人材移動を行う。
• 企業の参入・退出を促進することにより、人
材が高生産性部門に流れていくようにする。
24
人材移動のルート(続き)
• いずれにしても、人材の流動性を高めるには
人材の流れを、一定の大きさ(Critical Mas
s)以上、確保する必要がある。
• そのための政策的手当ての必要性。
• 人材移動に対応して、資金等他の生産要素
も当然、産業間移動ができる環境を整える必
要がある。
25
経済産業省通商白書2005より
•
26
経済産業省通商白書2005より
27
就業者は第三次産業へ若干のシフト
第一次産業
2005年
2000年
第二次
産業
5%
5%
27%
30%
65%
68%
第三次産業
6303万人
就業者総数
6150万人
(-2.4%)
28
出所: 総務省統計局
国勢調査
電
気
・ガ
ス
・熱
供
給
・水
情 道業
報
通
信
業
運
輸
卸
業
売
・小
売
金
業
融
・保
険
不 業
飲
動
食
産
店
業
,宿
泊
医
業
教
療
育
,学 ,福
複
習 祉
合
支
サ
援
ー
業
ビ
ス
事
業
14,000,000
12,000,000 (人)
10,000,000
8,000,000
6,000,000
4,000,000
2,000,000
0
注: 複合サービス事業とは、複数の大分類にわたる各種のサービスを提供する事業所であって,法的に事業の種類や
範囲が決められている郵便局,農業協同組合等が分類される。
出所: 総務省統計局 国勢調査
29
市場経済の再設計
• 市場メカニズムをより良く機能させるためには、
制度をより向上させていく必要はある。
• 消費者・企業がともに安心して取引ができる環
境整備が必要。
• その意味で新たな「信頼関係」の構築が重要。
• その構築のためには、制度面としては、インセ
ンティブ・コンパティブルな制度設計が必要。
30
(参考資料)
○2001年から2006年のサービス業における就業者数の増加分が、
電気機械、一般機械、輸送用機械の就業者において増えると仮定すると、
産業計の国内総生産の伸び率は1.86%から2.33%に上昇し、
TFPの伸び率は1.21%から1.68%に上昇する。
2001年~2006年のTFPと就業者数の伸び率
労働生産性の比較
TFP伸び率(%)
0.050
0.0483
20
0.048
0.0472
0.046
電気機械
0.044
15
就
業
者
数
伸
び
率
10
一般機械
建設業
5
輸送用機械
鉱業
-6
-4
-2
0.040
0.038
01年実績値
06年実績値
国内総生産の比較
0
2
4
6
8
10
12
14
(十 億 円 )
540,000
524,458
512,703
520,000
農業
-5
06年試算値
(
%
0
-8
)
繊維
0.0424
0.042
サービス業
石油・石炭
500,000
480,000
-10
467,480
460,000
(備考) 内閣府「国民経済計算」により作成。
左図:色つきのドットは試算値。
右上図:労働生産性=国内総生産÷(就業者数×就業時間)
440,000
420,000
01年実績値
06年実績値
06年試算値
31
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