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DNAを切らずに塩基を書き換えるゲノム編集技術
生物工学会、DNAを切らずに塩基を書き換えるゲノム編集技術「TargetAID」を神戸... 1/2 ページ 今月のポイント残数:399 総合トップ > 基礎・研究支援 > 生物工学会、DNAを切らずに塩基を書き換えるゲノム編集技術「TargetAID」を神戸大の西田特 命准教授が発表 生物工学会、DNAを切らずに塩基を書き換えるゲノム編集技術 「TargetAID」を神戸大の西田特命准教授が発表 河田孝雄 2015年10月27日 00:00 共有 『日経バイオテク』最新号・11月9日号目次 0 「Webマスターの憂鬱 Premium」閲覧記事数の 制限を廃止しました DNAを切らずに塩基情報を書き換えるゲノム編集技術 システム入れ替えに伴うポイント残数リセットの お知らせ 「TargetAID」を、神戸大学自然科学系先端融合研究環 重点研究部の西田敬二特命准教授が、鹿児島市で開催中 書籍「日経バイオ年鑑2016」 12/16発行 の第67回日本生物工学会大会で2015年10月26日にポス トランスレーショナルメディシンの課題(12/1 開催セミナー) ター発表した。標的配列内に狙った点変異を高効率に導 入して遺伝子機能を改変できたという成果を、出芽酵母 人材募集、セミナー・学会などの投稿方法の変更 について と大腸菌について示した。13時から15時までのポスター 発表は前半が奇数番号の演題、後半が偶数番号の演題と いう配分だったが、演題番号1P-079の西田准教授の発表 は聴衆が途切れず2時間連続した質疑となった。 画像のクリックで拡大表示 TargetAIDでは、狙った4塩基程度の範囲内という精 度で高効率にDNA塩基の点変異を行うことができる。今 昨日 回は発表しなかったが、出芽酵母や大腸菌の他、グラム 陽性菌や高等植物、哺乳動物細胞も含めた幅広い材料に おいても機能することを実証しているという。DNAを切 断せずにより自然に近いプロセスで高効率に変異導入で きることから、次世代育種技術として微生物工学に続い て農産物や動物細胞工学の分野での応用化に向けて研究 画像のクリックで拡大表示 今回の発表では、ゲノム上の標的部位を特定するDNA配列認識モジュールとして JCRファーマ、再生医療等製品の薬価につ いて交渉中 2位 小野薬品の中間決算、オプジーボの通期予 想を上方修正 3位 Wmの憂鬱、再生医療新法施行で悩ましい 幹細胞の定義【日経バイオテクONLINE Vol.2172】 4位 患者由来iPS細胞を用いた成果、慶應大な ど、ADとALSの症状に関連するニューロン る“はさみ”の機能を持つCas9に変異を入れたdCas9は、DNAの2本鎖を切断する機能を持 たない。CRISPR/dCas9は、ガイドRNAによってゲノム上の標的部位にピンポイントで結 合するモジュールとして広く利用されている。特許が未公開のため今回は発表しなかった が、西田准教授らは、CRISPR/dCas9とは別のDNA配列認識モジュールとの組み合わせで も、TargetAID法を実現できているという。 TargetAIDでは、ゲノム編集技術の第1世代のZFN、第2世代のTALEN、第3世代の CRISPR/Cas9で用いられているDNAの2本鎖を切断するヌクレアーゼは、利用しない。 で新技術 5位 イーベックとBI社の提携対象は抗GM-CSF 抗体、自己免疫疾患狙う 6位 林原が独自2酵素で澱粉から製造する水溶 性食物繊維を11月に発売、腸内菌叢の改善 で肥満対策にも 7位 第一三共、キナーゼ阻害薬PLX3397は癌免 疫療法への展開も期待 8位 Wmの憂鬱、早稲田だけか? 小保方学位 剥奪決定にみる科学教育の荒廃【日経バイ オテクONLINE Vol.2343】 9位 Bio Japan2008、ドイツBI社との大型契約 に成功したイーベックが登場 DNA塩基の脱アミノ化酵素であるデアミナーゼを、塩基配列の書き換えに利用する。 今回の発表では、シトシンデアミナーゼを用いた結果を示した。このシトシンデアミナ ーゼを、CRISPR/dCas9とリンカーで結合しておくと、CRISPR/dCas9のガイドRNAで特 定するゲノム上の標的部位にあるシトシン塩基を、チミン塩基に書き換えることができ た。CRISPR/dCas9のガイドRNAで指定した部位のDNA2本鎖を解き、そのうちの1本鎖 のシトシン塩基をウラシル塩基に置換するのだ。RNAのウラシル塩基は、DNAではチミン 塩基になるので、ゲノムDNAの塩基情報としては、シトシン塩基からチミン塩基への書き 換えができる。またこの塩基の2本鎖上の反対側も利用できるので、シトシン塩基の相棒 月間 1位 を進める予定だ。 CRISPR/dCas9を用いた結果を示した。CRISPR/Cas9システムでDNAの2本鎖を切断す 週間 10位 テルモの開発担当者、「『ハートシート』 の承認まで14年かかった」 のグアニン塩基を、チミン塩基の相棒のアデニン塩基に書き換えることもできる。 CRISPRなどのヌクレアーゼを利用したゲノム編集ツールは、標的部位においてDNA2本 鎖切断を引き起こして、その後に宿主細胞が修復する過程で配列の変換を期待する方法。 これまで相同組換えやジーンターゲッティングが困難であった材料においても有効である ことから、動物など高等真核生物を中心に急速に導入が進んでいる。しかし、ヌクレアー ゼによるDNA2本鎖の切断は毒性が強く、特に単細胞微生物では多くが致死的で導入が困 難。西田准教授らのTargetAIDは、DNA2重鎖を切断するわけではないので、染色体切断 による細胞毒性という問題は無い。また、ヌクレアーゼタイプのゲノム編集ツールでは難 しい、必須遺伝子への点変異導入も、TargetAIDでは可能だ。 医薬 ・医療 食品・農業 ・環境 投資・行政 ・社会 1位 日経バイオテク9月28日号「リポート」、 グローバル大手製薬のパイプライン 2位 Novartis社がCOPD治療薬の米国承認を取 得、導出元のそーせいに2250万ドル 3位 オンコリスの腫瘍溶解ウイルスOBP-301、 放射線との併用でCRを観察 4位 Amgen社、メラノーマを対象とした組換え 腫瘍溶解性ウイルス製剤が承認取得 DNA塩基の脱アミノ化反応は自然界においても頻繁に起こっている現象で、多くは修復 されるが一部がうまく修復されずに点変異となる変異原である。西田准教授らは、この現 基礎 ・研究支援 5位 象を積極的に利用してDNAを切らずに書き換えることを着想し、デアミナーゼをDNA配列 培養受託を手掛けるピルム、将来的には第 1種や第2種の細胞培養も視野 6位 https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20151026/188152/ 2015/11/09 生物工学会、DNAを切らずに塩基を書き換えるゲノム編集技術「TargetAID」を神戸... 2/2 ページ 認識モジュールに連結するTargetAIDを開発した。既に「実用化」したとしている。実用 化の状況は近く、発表になるもようだ。 日本人HER2陰性乳癌へのアバスチンの効 果再確認 関連記事 7位 弘前市内の企業、自己軟骨細胞加工製品を 開発、2016年春にも治験を開始へ 8位 生物工学会、大政教授率いるMAB組合が40 件超発表、白書へのコメント100件超 9位 Vertex社、CRISPR社とCRISPRを用いた 日経バイオテク10月26日号「特集」、ゲノム編集育種の実用化 (2015-10-26) 【機能性食品 Vol.211】腸内フローラと「腸腎相関」、生物工学会とゲノム編集 (2015-10 -30) 東大農の丸山潤一助教ら、CRISPRで麹菌をゲノム編集、醸造用株のKO育種続々へ (201510-24) 日経バイオテク12月2日号「特集」、新技術“ゲノム編集”が威力 (2013-12-3) 遺伝性疾患治療薬の開発で提携、オプショ ン権も保有 10位 日経バイオテク10月12日号「特集」、動 きだした再生医療の新ビジネス 群馬大の畑田教授ら、CRISPR/CasによるKOマウス作製ではRNAの細胞質への注入が高効 率、エピゲノム編集の成果続々 (2014-4-4) 九大と広大、DNA結合型PPRたんぱく質の特許を出願、ゲノム編集の国産技術開発へ (2013 -4-24) テーマサイト 新春展望2014、ゲノム編集からエピゲノム編集へ (2014-1-1) 東京大学、ゲノム編集のためのガイドRNA設計ソフトウェアCRISPRdirectを公開 (201411-26) ライフテクノロジーズ、簡便ゲノム編集ツールCRISPRキットを発売、トータルサポートを提 供へ (2013-11-18) 【山本研ゲノム編集アップデイト(5)】米MIT、細胞内でのCRISPR/Cas9のゲノムワイドな結 合特異性を解明 (2014-5-13) 広告ガイド お問い合わせ 会社情報・お知らせ Copyright ご利用ガイド 著作権/リンク 日経バイオテクONLINE アカデミック版 日経バイオテクONLINE Webマスターの憂鬱 Premium 日経バイオ年鑑2015 日経バイオ年鑑2014 日経バイオ年鑑2013 利用規約 記事の二次利用 個人情報について 日経ID利用案内 2015 Nikkei Business Publications, Inc. All Rights Reserved. https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20151026/188152/ 2015/11/09