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パウンドの詩とヘブライ詩
Kobe University Repository : Kernel Title パウンドの詩とヘブライ詩(Pound's Poetry and Hebrew Poetry) Author(s) 菱川, 英一 Citation 神戸大学文学部紀要,22:43-62 Issue date 1995 Resource Type Departmental Bulletin Paper / 紀要論文 Resource Version publisher DOI URL http://www.lib.kobe-u.ac.jp/handle_kernel/81001509 Create Date: 2017-03-29 パ ウ ン ドの詩 とヘ ブ ライ詩 菱 川 英 一 本論 はパ ウ ン ド ( Ez r aPound) の詩 を、聖書学 にお ける並行 法 ( par al l e l i s m) の観点か ら考 え よ うとす る ものであ る(, 既 に、 ロ ジ ャー ( Al e xRodger ) が行 った 「メ トロ詩」 ( " Ⅰ naSt a t i onoft he Me t r o" ;1 91 3年発表) の文 法 的分析 に よ り、並行構 造 の導 入が この詩 の理解 に 寄 与す るこ とが明 らか になってい る ( 5 86 0)。 その方法 論上 の基礎 は、菱川が ロジ ャー論の検討 で述べ た通 り、第一一 義 的 には リーチ ( Ge of f r e yN.Le e c h) と ハ リデー ( M.A K.Hal l l da y) にあ り、さらにその奥 にはヤ ーコブ ソン ( Roman 92)O J akobs on) があ る ( 本論 は、並行法 につ いて、ヤー コブ ソンらの議 論 の基礎 にあ ったヘ ブ ライ詩 の議論の地平 に一度I J T l ・ して批判 的検討 を加 えるこ と、 さらに、その再検討 をへ た並行構造 の認識 を もとに、「メ トロ詩」 を含 むパ ウ ン ドの詩 に新 しい光 をあ て るこ とを目的 と している。 1 c opul aの欠如 とメ タフ ァにつ いて 1. 1 フライの問題提起 Davi di st heki ng' 'とい う場合 の H i s "に相 当す る よ ヘ ブ ライ語 には、英語で " うな C opul aと しての動詞 は存在 しない。セ ム語一般 と同 じく、この ような場合 、 J uXt apOS l t l On)して、名詞 的文 ( nom i nal ヘブ ライ語で は、名詞 ( 相 当語句)を併 置 ( Bar r5 8) 。筏言 11. 22はその例 で あ る。 s e nt e nc e ) を件 る ( - 43 - パウンドの詩とヘブライ詩 A) e we lofgol dl naS Wl ne' ss nout . Af al rWOmanWl t houtd】 s c r e t 1 0n. これは、AV ( t heAut hor i z e dVe r s l On) の現行のテ クス トか らイ タリック体 の 部分 ( 原文 にないが訳者が補 った部分) を取 り去 った形 にほぼ近い。 さらに、 woma nの直後の " whl C hl S ' '( イタリックで はない) も取 り去 ってある。 フライ ( Nor t hr opFr ye) はこの ような、be動詞 のない形のテ クス トを挙げ、 それ をパ ウ ン ドの 「メ トロ詩」 と対比 させ て論 じる ( 5 6 5 7 ) 。 Theappar i t i onoft he s ef ac e si nt hecr owd, Pe t al sonawe t ,bl a c kbough. この詩 も、危言のテ クス トと同様 、beを欠 く。 フライは 1行 目の終 わ りを、歳言 に合わせ るためか、コ ンマに しているO現 1 99 0) のテ クス トで はここはセ ミコロ ンである 行 のパ ウン ドの改訂版短詩集 ( ( 111 )。 また、改訂版が 出るまでの完本であ った短詩集 ( 1 9 71 ) で もセ ミコロ 1 09)。 ただ、 この詩の詩作過程 を回顧 した文章 ( 1 91 4)ではコロン ンである ( にな って いる ( 89)。 しか し、 コンマ とい うの はパ ウ ン ド学者 には通常知 られ ていない。 フライの改変 は、意 図的な もの とすれば、やや根拠 を欠 く0 e xpl l Cl t フライは beを欠 くメ タフ ァの ことを、beを備 える明示的 メ タフ ァ ( me t aphor ) と区別 して、暗示 的 メ タフ ァ ( i mpl i ci tme t aphor ) と呼 び、「メ ト ロ詩」 も放言 11. 22も、 ともにその例 であ るとす るO フライに よれば、明示的 J os ephi saf r ui t f ulbough"[ 創 世記 49. 2 2 ]の ように " i s "による述 メ タフ ァとは " 部 を含 む もの。 それに対 し、暗示的 メ タフ ァは、… l S "を省 き、 イメジを併置 さ 5 6 ) 。 せ ることに よって生 まれ る ものであ る ( 2 2の比 較 には意味が あるのであ ろ うか。 ここで、 フ 「メ トロ詩」 と放言 11. ライの議論が成立す る前提 につ いて考察す る。本来はそれぞれにつ いて精密 に -4 4- パウンドの詩とヘブライ詩 調べ 、 しか る後 に両者が重 な り得 る部分 を考 えるべ きだか らであ る。 1. 2 歳言 11. 22 まず 、歳言 11. 22の AV の表現 につ いて。 これ は、元 々はヘ ブ ライ語 の直訳 01 dTe s t ame nt )底本 と して は MT ( Ma s or e t i c に発 した ものであ る。AV は OT ( Br uc e144)。今 日、翻訳底 本 に広 く用 い られ る MT を収 Te xt ) を用 いてい る ( め た BHS ( Bl bl i ahe br al C aS t ut t gar t enS l a) か ら子音 字 の み を示 す ( 1 289)。ヘ ブ ラ イ文 字 の ロー マ ン文 字 へ の翻 字 方 式 は Koe hl er と Baumgar t ne rに従 う ( 1. I 又v1 xvi i )0 nz m z hb bT p hz yr ' s h yph ws r t tm̀ ここで は、 略 ( Dz yr ) のす ぐ後 に女 ( ' S h) が来 て い る こ とが 、 印 象 的 な効 果 を生 んでい る。ここに並ぶ こ とば を字義通 りに 日本語 にす る と次 の ようになる。 輪 金 鼻に 豚 女 美 しい が捨 て る 思慮 m は鼻 や耳 に付 ける リングで あ り、nz m 最初 の 3語 は美 しい出 だ しで あ る。nz とz hb とは心 地 よ く響 き合 う。 「 金 の輪 が鼻 に」 と読 み進 んだ後 で、読者 は 4 語 目には当然女性 が 出て くる と予想 す る。 ところが 、豚。後句 に入 る と、その 女性 が登場 す る。 しか も美 しい女性 。 ' S h と yphは音韻 的 に も響 き合 い、 この 両語 は緊密 に結 びつ く。 W の あ とに は yph と意 味 的 に並 ぶ こ とばが 来 る と読 者 は予想す るが、急転 回。続 くの は s wr ( 捨 て る) とい う動詞 、 さ らにその 目 的語 と して tm̀。 美 しくて も思慮 を欠 く女性 は、豚 の鼻 にぶ らさげた金の輪 とO 即 ち、無思慮 -4 5- パウンドの詩とへフライ詩 は忌 むべ き豚 に借す る もの、それは金 とも見 える美 を も台無 しにす る とい うの であ るO原語の語順通 りに捉 える と、この並行関係が鮮明に浮かび上が るD各 句 の前半 に美 しい価値 を持つ もの、後半 に醜 い価値 しか持 たぬ もの をそれぞれ 配 してあ る。 しか も、各句 の中央部 には丁番 の役 目を果 たす両義的な ' p( nos e と snout ) とW ( and と ye t ) が置かれてお り、絶妙 なバ ランスをとっている。 この よ うに見て くる と、歳言 1 1. 22は並行法の研究 には恰好の材料 を提供す Robe r tLowt h) 以 来の伝統的分類 に従 え る。18世紀 の英国国教会主教 ロウス ( s ynonymouspar al l e l i s m) をなす。 さらに各句 ば、 この両句 は同義 的並行体 ( の内部 にあ る丁番 に考慮 して現代の分類法 を適用す ると、各句 はヤーヌス並行 体 Oanuspara1 1 e l i s m) をな している。 他 の見解 もあ る。 ロス ( Al l enP Ros s ) は、 1行 目が 2行 目の メタフ ァであ るとみて、 これ を象徴的並行体 ( embl e ma t i cpar a l l el i s m) としてい る ( 964)O S E.G川I ngham) は、後述 の ように、さらに別の分頬 を している。 ジ リンガム ( また、中には、 ウ ィリアムズ ( J amesG.Wi l l i ams ) の ように、 1 行 目を謎かけ ( 「 豚 の鼻 につ けた金 の輪 ほ ど不釣 り合 いな ものはなに ?」)、 2行 目をその謎 解 きとみて、歳言 11. 22はなぞ ( hydh) の例であ る とい う学者 もある ( 272 )。 しか し、分類 しただけで は問題 は終 わ らない。分類方法その ものに学者の意 見が分かれてい ることや、同一の対 象に対 して この ように異なった分類 を行 う こ とが珍 しくない こともあるが、それ以上 に、並行関係 をなす要素 どうしの関 係 その ものに最大の問題が ひそんでいる。簡単 に割 り切 れぬ並行関係のは らむ 緊張 こそが、 この ような詩句の色 あせぬ喚起力 を保証 している。 この緊張 を何 に起 因す る もの とみなすか によって、分類 も変 わって くる, , Ade l eBe r l i n) 並行法の観点 か らメタフ ァに至 る道 は、た とえば、バ ー リン ( らの主張す る、並行法 の言語学 的分類 中の意味論的モデルによ り示 されている ( Anc ho r159;Dynamic s99-1 02 )。並 行行 に潜 在す る比暁 的言語 の具現化 の例 2で触 れる。 につ いては2. 22につ いて 、AV の1 611 年版のテクス トとその欄外注 を引いてお く。 歳言 11. - 46- パウンドの詩とヘブライ詩 Asai e we l lofg ol del naS Wl ne SS nOWt : s oI Saf a i r ewomanwhi c h† i swi t houtdi s cr e t l On. † He b .de Par t e t hfr洲 このテ クス トは TheHol yBi b l e :A Fa c s i mi l eo ft heAut ho r i s e d Ve r s i o nPub l i s he d 南 雲 堂 ,1 982) に よる。 この版 は、1 911 年刊 行 の A W.PoI l nt heYe ar1611 ( l ar d監修の 0Ⅹf or df a cs l mi l e( いわゆ る " He ' 'Bi bl e) を原本 とす る ものであ る。 " He"Bi bl eとはル ツ記 3. 1 5の最 後が " a ndhewe nti nt ot hecl t l e"となって い る 敬 ( Br uc el O7)。今 日の AV の流布本で は " he"で はな く " s he' 'になっている。 1 611 年の版本で は本文 はゴシ ック体 ( bl a c kl e t t e r ) で、 また、原ヘ ブライ語 にない部分 はローマ ン体で、活字が組 まれていたO ここで はそれ を、現行の流 布版の活字の組 み方の ように、 ゴシ ック体 をロー -マ ン体で、ローマ ン体 をイタ リック体で示 してある。そのイ タリック部分 を差 し引 けばフライのテ クス トに 近づ く。 Chに相 当す る関係 代 名詞 は原文 にはない。 しいて言 えば、原 ここで の whl 文 の Wの勢 い を写 そ うとした ものかOその後の s r tは動詞 s wr ( AV 欄外注 の de par tf r om" ) の女性 変化形 であ るo AV にお け るよ うな beと前置詞 で 記す " はない。 で は、AV 以外 の他 の英訳で は、蔵言 11. 22は どの ように表現 されてい るの だろ うか。以下 、現行の英訳聖書 な どを比較検討す る。その際、で きるだけ共 通の基盤 に立 って比較対照す るために、 分か る限 り翻訳底本 を記す ようにす る。 底本 は殆 どが MT であ るO スカ ンリン ( Har ol dP.Sc anl i n) に よれば、死海写 De a dSe aSc r ol I s ) 中、筏 言 につ いて は、 1、 2、1 4、 1 5の各章 が クム ラ 本 ( ン第 4洞 窟 で発 見 され て い るが 、 11章 の存 在 は現 在 まで に知 られ て い ない ( 1 58)0 現行の英訳聖書の一つ NI V( Ne wI nt e r na t i onalVer s l On)で は次 の ようになる。 - 47 - パウンドの詩とヘブライ詩 Ll keagol dr i ngi napl g' ss nout l Sabe aut l f ulwomanwhos howsnodl S C r e t l On. これはよ く通 る英語である。 しか し、これ を 「 生 きた」現代英語 と見るか、薄 味の表現 と見 るかの評価 は分かれるであろ う。AV のテクス トに比べ るならば、 NI V のテ クス トは前 後 のつ なが りが滑 らか、あ るいは滑 らか過 ぎるため、流 Vは詩 は詩の形で本文 が祖 んであ る れて しま う感 じが あ るの は否 め ない。 NI ( Le wI S296)。 ところが、詩文学 と して見 た場合 には、この箇所 は、格調の点 で、 また詩的喚起力の点で 、AV に及ばない。 NI V において、聖書 全書 の翻訳 が刊 行 され たの は1 978年で あ るが、放 言 に V は本 文 ・脚注 ・記号 ・組 み方が電 子 つ いて は1977年 に刊 行 されてい る。 NI 的に記録 されているので、フ ォーマ ッ トの変更が容易であ り、種 々の版があるo ここで引 いたのは1985年 の研 究版 。NI V は OT 底本 としては基本的 に MT を用 Bar ke rxi l) 。 いている ( さらに、現行 の英訳聖書 の一つで 、Tyndal e、AV、RV ( Re vI S e dVe r s i on)、 AS∨ ( Ame r i c anSt andar dVe r s i on)、RSV ( Re vI S e dSt anda r dVer s l On) に連 な N印,RevI S e dSt anda r dVe r s l On)か ら引い る英訳聖書 の本流 を 自認す る NRSV( てお く。 Ll keagol dr i ngl napl gSS nout i sabe aut i f ulwomanwi t hot l tgoods ens e . NI V よ り締 ま りはある。 ただ、NRSV に して も l i keか ら逃れ られていない。後 VI S I OnOf 半 の 処 理 は フ ラ イ の テ ク ス トに や や 近 い。 NRSV は 1989年 に DI Chr i s t i an Educ at l On Oft heNa L I OnalCounc l loft heChur c he sofChr l S tl nt he Uni t e dSt a t e sofAme r l C aか ら認可 されて い る。種 々の版 が あ るが、 ここで引 - 48- パウンドの詩とへ7、 ライ詩 9 9 1 年 の研究版 。 NRSV は OT 底 本 と して は基 本 的 に BHSの 1 9 7 7 年 いたの は1 版の子 音テ クス トと1 9 8 3 年版の改訂 テ クス トを用 いてい る ( Met z gerandMur phyx)。なお、興味深 いことに、文学的香気 の点で NJ B( New J er usal em Bi bl e) と双壁 といわれ る REB ( Revi s edEngl i shBi bl e) は、 この蔵言 1 1. 2 2が 、NRSV と全 く同 じ表現 になっている ( Suggs.Sakenf el dandMuel l er6 6 3 ) oREB は OT 底本 として基本的に BHSの1 9 6 6 / 7 7 年版 を用いている ( Lewi s3 5 2 ) 0 nCl usl Vel anguageを用 い なお、RSV は、その改訂版 であ る NRSV の よ うな l ていないので、今 で も使 われ る訳 で あ る。底 本 は基本的 に MT の子 音テ クス トだが 、MT とは違 う読み を採用 している箇所が6 0 0にのぼる ( Lewi s1 1 0) 。 Ll keagol dr l ngl naSWl ne' ssnout l Sabeaut i f ulwomanwl t houtdl S Cr et l On. ジ リンカムは この訳 の 1行 目が " l l ke…' 'で始 まってい るこ とを基 に、 これ を A>B par al l el l Sm と分 類 して い る ( 9 5 ) 。 これ は ロ ウ スの い う総合 的並 行体 ( synt he t l CPar al l e) I s m)の変形である。 NASB ( New Ameri canSt andar dBl bl e) は ASV を継承す る現行版である。 Asarl ngOfgol di naswl ne' ssnout , soI Sabeaut i f ulwomanwhol a cksl di s cr et 1 0n. t . .t as t e 1 Li AV の影響が明瞭 に残 る訳であ る。 NASB にお いて、聖書 全書 の翻訳が刊 行 さ 9 7 0 年であるが、ここに引いたのは1 9 9 3 年の研究版。テ クス ト中の イ れたのは1 l V) 。 この タリック体 は、原文 にはないが原文 に よ り示唆 され る言葉 を示す ( イタリック部分 を取 り去 って考 えれば、 フライのテ クス ト同様 、並行関係 は浮 Rudol fKl t t el ) き彫 りになるo NASB は OT 底 本 と して は基本 的 にキ ッテル ( - 49- パウンドの詩とヘブライ詩 b l t ahe b r ai c aの第 3版 ( 1 952) を用 いている ( Le i s1 w 68)0 の Bi NASBで注 目され るのはdi s cr e t i onに付 した注であ る。本文で は AV の訳語 を 継承 しつつ、注で、原文の 与m̀ の本義 に対 し注意 を促 しているのであるo Lか し、 ここで は、t 一 mは神の戒 め に由来す る識別力 を意味 し、それ を欠 く女性 に 対 して、 この よ うな比 職 が用 い られ て い るの で あ る とい うア レグザ ンダー ( Ra l phH.Al e xander ) の指摘 は重要であ る ( 352)。加 えて道徳的要素 もここ Cr a wf or dH.Toy) はいい、人格 の歪み ( de f or mi t y では含意 されている と トイ ( ofmi nda ndc har ac t er ) とい う言葉 まで使 っている ( 233)。 ロスの場合 はこれ unc has t e ) とい う ( 964)。 を不 貞 ( Ne w Ame r i c anBl bl e )を 現行 の英訳 カ トリック聖書 の代 表 と目され る NAB( 見 る。 Li keagol de nr l ngi nas wl ne' ss nout i sabe aut i f ulwomanwi t har e be l l l OuSdi s pos i t i on. NJ B よ りも直訳 に近 い といわれ る NAB だが、 ここで は、同 じ く直訳 に近い と t h を使 ってその後 に否定 いわれ る NRSV に似 た表現 になってい る。 ただ、wl 的名詞句 を配 してあ る表現 は珍 しい。 この部分 につ いては、力強い表現 とす る 評価 とバ ラ ンス的 に長す ぎる とす る評価 とが分かれるであろ う。 ここに引いた の は1991年 の改訂版詩編 を含 む研 究版 。NAB は OT 底本 として は入手 し得 る Se nl Ori a)。 そ こで、サ ムエ ル記 の ように クム 最古 の テクス トを用 いてい る ( Le wi s ラ ン第 4洞 窟資 料 と MT との異 同 の注 を251箇 所 も含 む場 合 もあ る ( 21 7)。 NJ B は BJ ( Bi bl edeJ e r us al em) と並 び、今 日の カ トリック聖書学 の一つの 到達点 を示す といわれ る訳である。 - 50 - パウンドの詩とヘブライ詩 Agol de nr i ngi nt hes noutofapl g l Sal ovel ywoma nwhol a c ksdl S C r e t i on. 必要最小 限の IS が補 われてい る とはいえ、原文 の力強 さをよ く表現 し、 その 結果 として強靭 な ( 明示的) メ タフ ァを成立 させ ている訳である。 さらに、行 内部の母音 ・子音 の響 き合いが意味上の対照 と緊張 関係 をもち、詩 的効果 を高 r i ngPi g.L ovel yl acks)。 ここに引 いたの は 1 985年 の標準版 oNJ Bは めてい る ( Wans br oughxll) 。 ヘブライ語 OT底本 と しては MT を用 いている ( NJ Bを超 えると思われ るのが、その元 になった BJの仏訳であ る0 Una nne a ud' ora ugr ol nd' unpour c e a uニ unef e mmebel l emat sdepour vuedes e ns ここで はコロンに大 きな役割が負 わ されている とはいえ、現代語で もここ まで 原文 に肉薄で きるとい うことをよ く示す訳であ る。筆者が調べ た限 りの現行 の 現代語訳の中で は暗示的 メ タフ ァを達成 している唯一の訳であ る。 さらに、た sに よって原文の W の勢 いが写 されてい る また ま響 きが似 ている単音節語 mai こと、 またコロ ンをセ ミコロンに変 えれば殆 どイマ ジズム詩 ともいえるこ と、 これ らはパ ウン ドの詩学 に も通ず る点である。 ただ、パ ウ ン ドな らおそ ら く、 この冠詞です ら目障 りだ とい うであろ う。ヘ ブライ語 には不定冠詞 はない。 こ 973年版 。BJはヘ ブ ライ語 OT 底本 と して は基本 的 に MT を こに引 いたの は1 1 3)。 用いている ( もう一つ、原文 に対す る精密 な読 み を踏 まえている点 は他 の訳 と変 わ らない が、原文 を口語的な諺 とみて、書 き言葉で な く、現代 の口語 として表現す るス R.B Y.Sc ot t )の訳 は、異色の個人訳 であ る ( 86)。底本 は基本的に MT。 コ ソト ( - 51- パ ウン ドの詩 とヘ ブライ詩 " Li keagol dnos er l ngi nawl l dpl g' ss nout l sapr e t t ywomanwhol ac ksgoodma nner s . 1. 3 「メ トロ詩」 パウン ドの 「メ トロ詩」には動詞がない。先 に、この詩 について、イメジが 併置 され、間にbeを欠 く、 と述べた。 ここか ら、この詩についての一般的な見 方が導かれる。即 ち、 1行 目のイメジと 2行 目のイメジとが併置 され、間のセ ミコロン( 現行テクス ト)を beの機能の ように読み 、2行 目を 1行 目の メタファ と読 むや り方である。 この詩に含 まれるメタファの一つ を読 む方法 としては、 それは決 して誤 りではないが、 動詞の問題はそれだけでかたづ く問題ではない。 よ り本質的な意味で この詩に動詞が表 れていない理 由 を探 るこ とが可能であ る。即 ち、この詩に動詞がないのはその ように 「 見える」だけであって、そ う 「 見える」 ことには意味があるとす る立場である。 その立場の一つ を代表す るのがロジャーの見解であるoロジャーの方法論に ついては既 に拙論で扱 ったので詳 しくは繰 り返 さないが、要点だけを記す と、 その見方の基本にあるのが 1行 目の appar l t l Onの捉 え方である。 この語がここ にあるのは、これが表す動作 を表現す る英語の動詞の語菜がないか らであって、 それ故にここはこの名詞 を使 うしか表現の方法がない、 とする見解である。そ うだ とす ると、 この詩 には動詞がないように一見 「 見える」が、その実、本質 的には動詞 は存在 していることになる。即 ち、地下鉄駅での美女の群の、亡霊 と見紛 うほ どの、利邪の現れ方、その動 きは、 1行 目を読 む者の脳裏にはっき りと浮かぶのである。亡霊 とその属性 を同 じくす る現れ万 ・消え方 を、この女 ppa r l t l Onが示唆する内容。 しか 性達 ( の顔)が したのである。それが この名詞 a も同 じ行の t he s eとい うダイクシスの働 きに よって、この体験 は遠い ものでな く、時間的、空間的にi 自 二 近の迫力 をもって、読むたびに蘇る。いわば永遠の現 在の瞬間の うちに、 目の前 にいつ も蘇 る。その ような類希 なる動 きを書 き留め たのが この詩 といえる0 - 52 - パウンドの詩とヘブライ詩 t l OnOfの省 るとす る (2行 目冒頭 、つ ま り 1行 目との並行位 置 に Theappari 略 を想定す る)。 この分析方法 は、先 にフライが問題 を提起 した領域 に新 たな 光 を当てるように思われる。即 ち、パ ウン ドの詩 とヘ ブライ詩 との比較考察 と い う領域 において新 たな示唆 とな り得 るので はないか と考 え られ る。 ヘブライ詩の並行法 の行構成 ( l i net ype) の中には、 ロジ ャーが示 した この 型 と同種の ものがあ るD一つの動詞が 1行 目に存在 し、 2行 目で は省略 されて 1 8を と り、バ ーデ ィー ( De nni sPar de e ) い る タイプで あ る。例 と して放言 2. による原型復元 を示す ( 122)。 ky 皇hh ( k y 1mwt byt h hh)']-r pl ymm g̀ lt yh S これはゲ ラ- ( St e phe nA °e l l e r ) の方式 を応用 した分析 中に見 られ る もので あ る。別種 の方式 を用いるコ リンズ ( Te r enc eCol l i ns ) の用例 中に この タイプ 1 07)Oそれほ どあ が見 られないのは不 可解であ るとバーデ ィーは述べ ている ( りふれた タイプである とい うことである。詩編 に も見 られ る。 バーデ ィー とロジ ャーの示す型が 同種である以上 、フライが提起 した問題 に、 少 な くとも意味が な くはないのであ る。 2. 並行法 2. 1並行法の議論 1. 2や1. 3で瞥見 した ように、並行法の分析方法 は少 な くない。その議論 の歴 史 的経 過 お よ び現 状 につ い て はバ ー リ ンが 既 に優 れ た要 約 を書 い て い る ( Ancho r1 5 5 6 2 ) 。 この要約 は1 9 8 0 年代以降の発展 を踏 まえた立場 で書かれて いる。そのi 自_ 前 の状況、即 ち Ne w Cr i t i cI S m の影響 もあ って、テクス トその も ー 53- パウンドの詩とヘブライ語 の に聖書 学 研 究 の関心 が 向 か って行 った頃 の状 況 につ い て は オコナ - (M. 0' Connor ) が触 れている ( 8)。 しか し、歴史的経過の認識 には学者 間で揺 れがある。た とえば、並行法の発 見の起源 をロウスでな くヘ ルダー ( J ohannGot t f r l e dYonHe r de r)に帰す るヴェ ス ターマ ン ( C1 ausWes t er mann) の ような意見が ある ( 21 )O これ は、アロ ン ソ-シェケル ( Lul SAl ons oSc h6kel )が述べ る通 り、ロウスの影響下 にあるヨー ロ ッパ にヘ ルダーが現 れた とす るのが普通の見解である ( 48).ヤーコブソンは、 西欧の学者の注意 を初めて並行法 に向かわせ た学者 として ロウスを捉 えている ( " par a l l el l S mり1 46)。 オール ター ( Robe r tAl t e r ) は、 ロウスは再発見 したの であ る ( r e di s c over e d) とい う言 い方 を している ( 61 2) 0 また、並行法研究の現状 の認識 につ いて も、学者間で差異 は小 さ くないO こ の ような差異 は、否定的 に捉 えるよ りも、ヤーコブ ソンの ように、新 しい方法 を生み出す契機 と して肯定的に捉 える方が利益が多い と思われ る ( " L1 ngul S t l C S 62)O 現段階では、並行法の議論 は、詩文学 を共通の焦点 として、聖書学 と文学の 両方の研究者 をます ます巻 き込みつつあ るように思われる。聖書学 における並 行法 の議 論 は、並 行性 あ るい は同義性 を強調 す る従 来 の立場 に対 し、前 進 ( Pr ogr e s s l On) とか 因果関係 ( c ons e que nc e ) とい う概念 を加 えるオ-) レター な どの、文学批評畑 出身者の刺激的な論考 を契機 に、百家争鳴の段階に入 って 615,61 9)。 その後、 この議 論 は、学者 間の議論 の共通 の指標 と しての いる ( 言語学的モデル をめ ざすバ - リンやゲラ- らの着実 な成果 を取 り入れなが ら、 進 んでいる。文学 ・詩学 においては、詩の根本原理 として並行法 を考 えたホブ キ ンズ ( Ge r ar dManl e yHopkl nS ) の議論、 それ に言語学 的基盤 と広が りとを 与 えたヤ ーコブ ソンの議論 な どを契機 として、発展 している。結果 として、聖 書学 と詩学の両研究 は並行法の周 りに大 きなうね りを形成 しているように思わ れる。 ここにジ リンガムらの韻律研究の成果が取 り入れ られて、詩の研究 とし てバ ランスの とれた ものが現 れて くるであろ う。 -5 4- パウンドの詩とヘブライ詩 2. 2 「メ トロ詩」 と並行法 バー リンの論ず る並行法のメ タフ ァの中に、双方向的 とい って もよい ような Dyw mt c s1 01 1 0 2 ) O即 ち、行 Aと行 Bか らな る並行行 メ タフ ァが登場す る ( において 、 Bが Aの メタフ ァであるだけでな く、立場 を変 えて読 む とAが Bの メ タフ ァである ような例 ( コへ レ ト7. 1 ) であ る ( この例 の場 合、厳密 には A は Bの メ トニ ミ)。 この議論 を 「メ トロ詩」 に適用す ることがで きないか。 既 にロジ ャーはこの詩の中に少 な くとも4種類 のメタフ ァが存在す るこ とを 示 している ( 60; 菱川 87)。それに加 えて、 バ ー リンの示唆 に よ り新 たなメ タフ ァ が発見で きれば、議論 は新 しい段階 に入る。即 ち、聖書学 における並行法 の観 点か らパ ウン ドの詩 を捉 えることに有効性がある と考 え られるようになる。 さらに、並行行 にお ける s e mant i ce qui va l e nc eに、pa r adi gma t i cな面 だ けで ynt a gmat i cな面 を重 視す るヤ ー コブ ソ ンやバ ー リンの議論 がパ ウ ン ド な く、s の詩 に適用 され る時 、イマ ジズム的 な短詩 のみな らず、長詩 『 詩章』( TheCant o s ) における多 くの詩行 ( 例 えば2 9 /1 4 4 )の研究 に多大の示唆 を与 える と考 え られ る。 また、付 け加 えるべ きことは、ここで メ トニ ミを考慮 に入れる重要性 であ る。 その点 については既 にヤーコブ ソンが、 並行法 におけるメタフ ァの議論 の中で、 " Li ngui s t i c s "8 48 5 ,8 9 9 0 ) 。 そ れ だ けで な く、ハ ンデ ルマ ン 指摘 して い る ( ( sus a nA Ha nde l ma n) の捉 える ラ ビ的思想 の中心概 念 には メ トニ ミが あ る ( 76)O この議論 は s ynt a gmat i cな面 の考 察 と興 味深 い関係 を持 つ こ とが予想 されるO 以上 を考 えあわせ れば、並行法 とメ タフ ァ、加 えてパ ウン ドの詩 をめ ぐる議 論は、新 たな地平 に開かれ るべ きである。 2. 3パ ウン ドの詩 と並行法 2. 2で触 れた実例 につ いての萌芽的検討 を してお く。 まず、バ ー リンの挙 げ -5 5- パウンドの詩とヘブライ詰 る双方向的メ タフ ァのモデル。 これ を 「メ トロ詩」 に適用 してみる。 ロジ ャーの挙 げ る第 3の命題 ( The s epar t l C ul arf ac e s=pe t a一 s ) と第 4の命 題 ( Thecr owd】 naMe t r os t a t l On=aWe t .bl a c kbough) について、この詩を読 む者 は、通常、各命題 において後項が前項 の比倫 になっている と受 け取 るOつ ま り、 2行 目が 1行 目のメタフ ァであ ると読 むのである。 この ような読み方の り I naSt a t i onoft heMを t ' ・ o' ' ) にあ るO タイ トル を見て、読者 原 因は タイ トル ( はこの詩のテーマが地下鉄駅 における何か をめ ぐる ものであろ うと T , 想す るO その通 り、 1行 目にはその ような出来事が語 られる。その段階で読者は軸足 を 1行 目に置 く。しか し、2行 目では、それ とは全 く異質な世界の事が語 られる。 異質で ある とい うのは、 ( 1 91 3年 当時の) パ リの地下鉄駅構 内に木が生 えてい るとか、 ま して花が咲いているな どとい う連想 はまず働 かないか らである。そ こで、読者 は 2行 目は 1行 目の比曜である と受 け取 る。 ここまでは、分析 にお いて タイ トル と詩本文 との相 互_ 作用 を重視するロジャーの立場 にそ った議論で ある。 しか し、仮 にこの タイ トルを脇 において、詩行のみ を見た場合 にはどうなる か。2行 目に軸 を置いてそこか ら 1行 目を振 り返 り、1行 目を 2行 目のメ タフ ァ と見 ることは、全 く不可能 とはいえない。 タイ トルのことや2 0世紀文学史など に関心のない後世の読者が この 2行のみを見た場合 を想定す ると、 2行 目は既 知の季節 的な事象であろ うが 、 1行 目は非常 に特殊 な、おそ らく未知の事例で あろ うOそ こで、 この 2行の配置か らみて互いに何 らかの関連があると察 した 読者 は、その関連 を考える際 に基礎 を 2行 目に置 く。つ まり、既知 を基準 に未 知 を考 えようとす る。そ こで、バ ー リンの言 い方 を借 りれば、「 後 ろか ら前 - 」 ( " f r om ba c kt of r ont " ) アナ ロジーを読み とり、結局 、 1行 目を 2行 目の メタ Dynami c s1 02)O その場合 の読み は、我 々に とっ フ ァとす るに至 るのであ る ( て も、新鮮 な ものになる。 この ように、「メ トロ詩」 につ いて メタフ ァを双方 向的に設定す ることは、 少 な くとも理論的には可能である。 しか し、実際 には、 タイ トル行のす ぐあ と -5 6- パウンドの詩とヘブライ詩 詩章』 に 2行 の詩が続 くとい うこの短詩 の形態で は無理が あ る。 ところが、 『 のように諸行が長 く続 く場合 は事情が別であ る。 タイ トルな ど提示 されぬ まま 続いてい く各所 において、「 前 か ら後 ろ-」 のみ な らず 「 後 ろか ら前-」 アナ ロジーが読める箇所 はあ って もおか しくないo e mant i ce qui val enc eにお い て、par a di gmat l Cな面 だ けで な く、 syn次 に、s t a gmat i cな面 も重視 す るヤーコブソンやバ ー リンの立場。 これ を 「メ トロ詩」 と 『 詩章』2 9 /1 4 4に応用 してみ る。 バー リンは、我 々は通常 、s e mant l Cpa r al l e l i s m につ いて par a dl gmat l Cにの a gma t i cs emant i cr e l a t i ons hi pの可能性 を排 除すべ きで はない み考 えるが 、synt とい う。つ ま り、 2行 の うちに意味上 の継続 ( s e mant i cc ont l nua t i on) や思考 の前進 ( pr ogr e s s 】 onoft hought ) がみ られる関係 である ( Dy nami c s9 0)。即 ち、 A に引 き続いて、あ るいはその結果 として 、 Bが起 こるとみな され るような例 0. 9、 イザヤ1 6. 5 ) 0 である ( イザヤ4 「メ トロ詩」 においては、 タイ トルがテ クス ト- の導 入部分 ない しは場面 の ynt a gma t 設定 の役 目を果た している と考 える と、 1行 目か ら 2行 目へか けて s 1 C な読み はで きない。 ロジャーの第 3、第 4命題 の ような wor dpal rにつ いて ・ a dl gmat l Cに読 む しか ない。つ ま り、t hes ef a c e s//pe t al sや t hecr owd は、paI //awe t .bl a c kboughは、par a dl gmat l Cな wor dpal rとみな される。 しか し、再 び、仮 にこの タイ トル を脇 において、詩行 のみ を見 た場合 には ど うなるか を考 えてみ る と、s ynt a gmat l Cな読 み は不 可能で ない。 1行 目は最初 の感想 、2行 目はその後の事実の観察 とた とえば読 むのである。その場合 には、 ち ょうど、イマ ジズム初期 ( 1 9 0 8 年 7月) に、イマ ジス ト・グループの フ リン F.S.F】 l nt ) が書評で取 り上 げた守武の 「 落花枝 に帰 る と見 れば胡蝶 かな」 ト ( と同類の もの として読め ることになる。即 ち、顔 と見 えた ものは実 はよ く見 る d と花 び らで あ った とい うこ とで あ る。 そ の読 み の場 合 は、先 の 2組 の wor pai rはs ynt a gma t l ePa i rになるr , a gma t l Cに読 むこ とは理論的 には可能であ る この ように、「メ トロ詩」を synt 。 - 57- パ ウ ン ドの詩 とヘ ブ ライ詩 しか し、実際 には、文学史 を知 る者 に とっては、 この読みには撫理がある。あ まりに も有名 なイマ ジズム詩で、 タイ トルが周知の ものであること。 さらに、 パ ウ ン ド自身が本詩 の詩作過程 を回顧 して説明 した文章 " vor t i c i s m' '( 1 91 4) が広 く知 られ て お り、 そ こで は " onel ma gepOe m' 、とは重 置形 式 ( af or m of s upe r・ Pos i t l On) の詩 であ る とい われ、そ の実例 と して、 当初30行であ った地 下鉄駅の体験 の詩 を 1年半 かけて 2行 に圧縮 した、この 「メ トロ詩」が、発句 ho k k u1 i kes e nt e nc e ) と して挙げ られてい ること ( 89)。以上 を基 の ような文 ( にす ると、par adl gma t i cな読みが当然導かれるであろ う。 タイ トル付 きの短詩 で はな く、長詩 『 詩 章』 中の 詩行 の場 合 は ど うか。 29/1 44をみる。 We i n,Welb,TANAOI DAN Chl e f e s toft he s et hes e c ond,t hef e mal e l sane l e me nt ,t hef e mal e l sac ha os Anoc t opus A bl Ol o gi c alpr oc e s s ル ター ( Mar t i nLut he r ) の歌 の引用 ( の も じり) か ら始 ま り、 コ リン ト人の第-の手紙 13. 1 3のエ コ-を経 て、ブル ック-ローズ ( chr l S t l neBr o okeRos e) のい う、met amor phos I Sで あ る m l e t aphorに至 る、 この有名 な箇所 の中 に、明 瞭 な構 文上 の並 行構 造 が 見 られ る。即 ち、" t hef e mal e【 1 】 sa ne l e me nt "と " t he f e ma l el l l sac ha os "の並 行 で あ る。 こ れ につ い て、 通 常 は a ne l eme nt//a adl gma t l Cな wordpal rとみ る。つ ま り、後者 は前者 を代 替可能で c haosを par あ る とす る。 しか し、el e me ntと c ha osの間に因果関係 をみれば、s ynt a gma t l C pai rとみ ることもで きる。つ ま り、e l e me ntで あれば当然 c ha osの状態 に至 る と考 えた場合である0 - 58- パウンドの詩とヘブライ詩 この見方 は、 ブル ック-ローズの 、me t amor phos I Sで あ る met aphorとい う 考 え方 に新 たな示唆 を加 える ( 1 31 )。即 ち、メ タフ ァである と同時 に変身が起 こる よ うなパ ウ ン ドの 詩行 にお い て は、 paradl gma t l Cで あ る と同 時 に s ynCな par al l el l S m が見 られ る可能性 が あ る とい うこ とで あ る。 さ らに、 t a gmat l その ような メタフ ァは、よ り厳密 にい うとメ トニ ミと考 え られ る。その点 はバ ー リンのコへ レ ト7. 1の議論 につ なが る ( Dynami c sl O2)o従 って、 ここで も、聖 書学 における並行法の議論、ない しは聖書 テ クス トを対象 とす る並行法の議論 は、パウン ドの詩学 を考 える上で、有効な面がある と考 え られ る。 本論冒頭 に挙 げたフライの問題提起 の評価 につ いては、パ ウン ドの タイ トル 付 きの短詩 につ いての この種 の議論が理論的な ものに とどまる とみ るか どうか にかか って くるであろ う。 しか し、仮 に理論的な ものに とどまった と して も、 これは、詩のテ クス トの分析法 として、パ ウン ドに限 らず、広 く有効性 を持 ち 得 ると考 え られる。 最後 に、その方向が正 しいことを予感 させ る言葉 として、ブル ック-ローズ の きわめてヤーコブ ソン的な指摘 を引いてお きたい ( 1 32 n)0 Poe t r yl St hepr oj e c t i onoft hepar a dl gmat i caxI SOnt ot hes ynt a gma t i c . 引用文献 AL e xa nde r .Ral phH."t aàm. ‖7 l he o l o gt c aLWo Y . db o o ko ft heOl d Te s t a me 7 Z t ,Vol .1 . Ed.Robe r tLai r dHar r l S ,Chi c ag o:MoodyP,1 9 80.352. Al ons oI Schokel .Lui s .り Poe s i ehebr al que / Di c t i ml nai r edel a Bi b l e ,Su p Pl e ' me nt . .8.Parュs,1 9 72.471 9 0. VoL Ba r ke r ,Ke nne t h.e d.TheNIV St ud y Bi b l e . ANe wI nt e mat i o nalVe r s toyz . Gr a nd e,1 9 85 [ NI V] Rapi ds .Zonde r va nPubl l S hlngHous - 5 9 - パ ウ ン ドの詩 とヘ ブライ詩 Al t e r .Robe r t ." TheChar a c t e r i s t l C SO fAnc i e ntHe br e w Poe t r y" TheI J i t e r ar y Gui del ot heBi b l e EdsRobe r tAl t erandFr a nkKe r mode .Cambr l dge .Ha r var d UP.1 987.611624. Ba r r ,J ame s7 1 heSe mant wso fBt b l t c alLangl t age .Oxf or d:oxf or dUP,1 961 .Rpt . London・SCM P,1 991 . Be r l l n,Ade l e TheDynamt ( ・ so fBl b l t c alPar al l e l i s m.Bl ooml ng t On・I ndl a naUP, 1 985. - - -. " Par a 日el i s m. 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