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平成27年10月29日(PDF:951KB)

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平成27年10月29日(PDF:951KB)
堺市監査委員公表第 29 号
地方自治法第 242 条第 1 項の規定に基づき平成 27 年 9 月 2 日に監査委員
に提出された住民監査請求について、監査委員の合議によりその結果を下記の
とおり決定したので、同条第 4 項の規定に基づき公表する。
平成 27 年 10 月 29 日
堺市監査委員
藤
坂
正
則
同
小
杉
茂
雄
住民監査請求に係る監査結果
(平成 27 年 9 月 2 日請求)
<政務活動費等の返還請求について>
目
次
堺市監査委員公表第 29 号
第1 監査の請求
1 請求人
……………………………………………………………
P 1
…………………………………………………………………
P 1
2 監査請求書の提出
……………………………………………………
3 監査請求書の補正の提出
……………………………………………
P 1
………………………………………………
P 1
……………………………………………………………
P15
4 監査請求書の記載内容
第2 監査の実施
1 要件審査及び請求の受理
……………………………………………
2 請求人の証拠の提出及び陳述
3 監査対象部局
P 1
P15
………………………………………
P15
…………………………………………………………
P15
4 監査対象部局からの事情聴取等
……………………………………
P15
5 関係人調査
……………………………………………………………
P19
第3 監査の結果
……………………………………………………………
P32
1 本件の監査対象事項
…………………………………………………
2 政務調査費及び政務活動費の制度について
………………………
P32
…………………………………………
P35
……………………………………………………………………
P51
3 本件政務活動費等について
4 結論
P32
記
第1 監査の請求
1 請求人
1 名(氏名は省略)
2 監査請求書の提出
平成 27 年 9 月 2 日
3 監査請求書の補正の提出
本件の住民監査請求書については、平成 27 年 10 月 9 日に「堺市職員措
置請求書の補正について」が提出された。
この経過から、次の「4
監査請求書の記載内容」については、補正後
の監査請求書の内容を記載した。
4 監査請求書の記載内容
請求の趣意
1.小林よしか市会議員は住民監査請求をされた平成 25 年度分で堺市長か
ら不法行為を指摘され、申告した政務活動費の不法行為認定分の返還に
応じたが、平成 23 年、平成 24 年度分にも平成 25 年度分で指摘を受けた
ものと経緯・内容を同じくする事柄が有るにも関わらず、指摘された平
成 25 年度分のみの返還で済ませている。
因みに同時に監査請求を受けた他の市議たちは過去の分まで遡って誰
かに指摘される事無く、自主的に返還している。
平成 23 年度、平成 24 年度、更に平成 26 年度分の該当するものに対し
ても監査委員より下記金額の返還をするように市長への勧告を求めます。
平成 23 年度分
3,300,000 円
平成 24 年度分
3,300,000 円
平成 24 年度 3 月分
平成 25 年度
300,000 円
32,845 円
平成 26 年度分
2,668,803 円
上記総合計額
9,601,648 円
内訳
平成 23 年度分
整理番号 1-17、18-31、33-41、44-46、48、
49-58
平成 24 年度分
整理番号 1,2、4,5,7、8、10、13-16、19-21、
24-27、29、33-36、39-43、46-48、
- 1 -
51-56、59-61、63-65、68-70
平成 24 年度 3 月分
整理番号 1-5
平成 25 年度分
整理番号 1、7、20
平成 26 年度分
整理番号 1-32
2.平成 26 年 11 月 7 日、小林よしか市会議員に対して出された住民監査
請求に対して平成 26 年 12 月 25 日に監査委員が出された結論へ導く為の
前提基礎となる小林よしか市会議員の証言に虚偽があり、一事不再理の
原則がありますが再調査を求めます。
①
平成 25 年度整理番号 02、09、14、19、25、31、36、41、46、51、57、
61、
上記合計 48 万円の返還請求をするように市長への勧告を求めます。
②
平成 25 年度
整理番号 4、8、53、56
上記合計 488,170 円を返還請求するように市長への勧告を求めます。
理由
①.ホームページに関する管理費について(合計 48 万円)が高額であると
の住民監査請求を受けて、監査委員との尋問において本人の答弁に「一
般他社 4 社の管理費比較をした結果、決して高額では無い」旨の発言が
あります。
これは委員会を謀った虚偽発言です。
小林よしか市会議員がホームページと言っているモノは“ブログ”で
す。
ではホームページとは、ブログとは何なのかについてご説明を致しま
す。
ホームページとは一旦出来上がれば早々(年に 2、3 度も)に内容の変
更を行わない完成されたものです。
多くの企業のホームページにその形を多く見る事が出来ます。
ホームページを作成する場合はコンピューターに関する知識を有して
いるならば市販のソフトウエアを購入して見栄えのするものを作成する
ことは可能ですが、やはりどこか野暮ったい感を見た者に与えてしまい
ます。
そこで多くの企業は専門業者に依頼をします。請け負った専門業者は
JAVA ないしは HTML(コンピュータープログラム言語)を駆使して見栄え
の良いものを作成してくれます。
一般的にホームページと言われるものを創るには“高度な専門知識が
- 2 -
必要”なのです。
また、その“原版”を保存する為にサーバーが必要となります。
サーバー(データーの保存を目的としたコンピューター)は専門業務
を請け負った会社が自前で持つ場合とデーター保存そのものを業務とし
て行っているレンタルサーバー会社に料金を支払ってそこのサーバーの
中に“原版”を置かせてもらいます。
ではブログとは何なのか。
確かに概念上ではブログもホームページの中に内包されるものですが
その使い方・性格は似て非なるものです。
ブログは極めて簡易に美しく、変更・更新・追記・削除が出来るもの
なのです。
ブログは電子版日記帳と言われており、日々起こる事柄を書き綴り、
対外に向かって発信するものです。
ブログを持ちたいと欲すれば、欲した者が専門知識は無くともコンピ
ューターを使って検索をする能力程度があれば創ることは安易にできま
す。
作成方法はブログを運営する企業側でフォーマット(ひな型)を多数
取り揃えてくれており、掲示されるものを順次選択していけば出来上が
ってしまうのです。
自身の顔写真でも貼り付ける事など何の苦労もありません。
小林よしか市会議員のホームページと称しているものは検索エンジン
の世界企業であるグーグル社が運営する“ブログ”なのです。
因みに小林よしか市会議員の“オフィシャルブログ”と称しているも
のは株式会社サイバーエージェント社が運営するアメーバーブログでこ
ちらもグーグルのブログと性格・操作性は同じです。
ではそのブログに関して監査委員に対して何を謀ったのかをご説明し
ます。
(ア) ホームページ(高度な知識が必要)の場合、本人は当然に関係者(秘
書等)
・第 3 者(委託業者)での変更・更新等の作業は当然に問題あり
ません。
一般に多くの企業・商店が採っているスタイルです。
ブログは電子版日記帳の性格からコンピューター知識が無くても作
成・更新・追記・変更・削除が極めて安易に出来、“ブログ主本人がそ
の作業をする”ものです。
関係者・第 3 者がそれを行うのには大いに違和感を覚えます。
議員活動が多忙で自身で更新等をする時間が無いから関係者・第 3
- 3 -
者に業務委託した、と議員が弁明するならば何故に平成 27 年 1 月から
4 月までの 4 か月間も更新がなされていないのか。
その間小林よしか市会議員は妊娠・出産をしています。
真実は更新を第 3 者に業務委託していたのではなく、小林よしか市
会議員自身で更新等をしていたのではないのか。
そうとしか説明がつかない無更新期間・空白の 4 か月間です。
(イ) 「ホームページ管理だけではなく、データー管理・ドメイン管理・
ネット上の情報収集を業務委託していた」とあるので検証してみます。
a、 データー管理:これはコンピューター業界ではバックアップ(デ
ーターの保存)を指します。
そしてこの作業はブログの運営会社(レンタルサ
ーバー会社)が自動的に行ってくれます。
誰の手間も要りません。
よって業務委託しているとの主張は虚偽です。
b、 ドメイン管理:ドメインとはネット上で使う識別の為の名前の事
です。
これは一般社団法人日本ネットワークインフォメ
ーションセンター通称 JPNIC というところが日本国
の全ての識別名を管理しており、ここに年 1 回識別
名継続使用の為にプロバイダー会社と通じて少額(2
千円迄/年)を支払うだけです。
そしてプロバイダー契約時にクレジットカードを
登録し、毎年自動更新で自動的に支払うものです。
誰かの手間を必要とはしません。
そしてブログなのでドメイン管理料が必要なのか
と考えるとそれは不要となり、あくまでもインター
ネットプロバイダーに対してのみ支払義務が生じま
す。
よって委託業務しているとの主張は虚偽です。
c、 ネット上での情報収集作業とありますが、思考する為の情報とい
うものは他者に依頼するものではなく、思考する者自身が収集する
ものです。
この作業はホームページ業者などに業務委託するものでありませ
ん。
よって業務委託先・業務委託すること自体に違和感を覚える。
d、 該当会社(個人)とのホームページ管理・更新業務委託契約書を
- 4 -
提出されていますが後日に提出されている。
監査請求を受けた後に急ぎ契約書を作成した可能性がある。
操作の簡易なブログの更新等を(1 回更新するのに 5 分未満の)外注し、
多額の報酬を支払っているとの申告には大いに疑問を持つだけでなく、
政務活動費を通じた特定人物への利益供与の疑いを免れないと請求人は
考えます。
また最初の申告で市民を謀ったばかりか、監査委員への答弁でも製作
には高度な知識が必要な方のホームページの事例を出し、素人でも作れ
るブログであることの真実を糊塗し収支報告だけでなく再度監査委員ま
でも故意に謀っています。
この行為は“過失による不法行為”などではなく、一般人も、そして
監査委員もコンピューター・ネット技術等に明るくない事を良いことに
意図をもって行われた偽装・偽証であり、政務活動費という税金を市民
から騙し取る詐取・詐欺行為であると断定します。
参考までにネット通販大手の楽天の口コミサイトでのヤラセが露呈す
る事件がありました。請け負った業者のニセの感想の書き込みに対する
請負金額はひと月に 115 件の書き込み作業を月額 8 万円で請け負ってい
ました。
1 件当たり 695 円です。
このヤラセ口コミの書き込み行為もほんの数分で完了する程度のもの
です。
②.この 30 年の間に印刷業界でもデジタル技術の導入によって革命的に作
業効率があがり、昔の様に文字板を組み合わせる労力など無く新聞さえ
も印刷できる様になりました。
時間もお金も掛ける事無く印刷物がカンタンに出来る時代なのです。
平成 25 年度分を監査請求された際の監査委員と小林よしか市会議員の
資料を情報公開制度で入手し、監査委員に証拠として提出された議会報
告書 2 部の聴き取り調査を行いました。
結果、小林よしか市会議員の議会報告を見たとの記憶をお持ちの方は
皆無でした。
聞き取り調査対象は北区内エリアを一か所に集中することなくあちら
こちらと散らして集めました。
住民 28 名の方々にご協力を頂き、1 名の方だけが“わからない・見た
ような”とお答えになられ、の他 27 名の方は“見たことが無い”と明確
に回答されました。(別紙参照:第 1 回目平成 25 年度分チラシ調査)19、
- 5 -
20 項参照
本来は聞き取りした人たちの名前・住所等の名簿を監査委員会にご提
出してこそわたくしの主張に信憑性が付くのはわかっておりますが、ご
協力頂く方々のプライバシーに配慮し、氏名住所の一部を消してのご提
示になった事を監査委員の皆様にはご理解を願うものです。
調査人数母数 28 人の数にあって 1 人の方も明確に議会報告書を見た記
憶が在りませんでした。(調査期間は平成 27 年 6 月 12 日から 16 日の間)
平成 26 年 11 月 7 日付けで住民監査請求をされた方の請求書内にも集
合住宅で調査をしたが議会報告を見た者は皆無であった旨の文言があり
ましたが、共に同じ結果になりました。
更に改めて別の日に平成 26 年度の成果物である小林よしか市会議員の
議会報告書を手に、北区在住の市民の方々に見せての調査を実施しまし
た。
記名・記住所でご協力頂いた方々が 42 名いらっしゃいます。
こちらの調査にご協力頂いた方々も全員“見たことが無い”との回答
でした。
(別紙参照:第 2 回目平成 26 年度分チラシ調査)21、22、23 項参照
更に北区百舌鳥エリアに在住の方々9 名にも聴き取り調査を実施しま
したが総て“知らない”との返答を得ております。(こちらは無記名)
2 つの調査人数母数 79 人に対して見ていない・知らないとの回答子数
78 人、わからない 1 人でした。この数字は何を意味するのか?そして監
査委員に提出された議会報告書は何なのか、との自問に対して平成 25 年
度分は住民監査請求をされてから慌てて辻褄合わせの為に作成したモノ。
平成 26 年度分は収支報告書に添付提出する為だけに作られたモノで共に
配布はされていないとしか説明が付かないと行き着きました。
前にも書きましたが現代においてはカラーで美しい印刷物を制作する
ことなどは何でもない事なのです。
平成 23 年度、平成 24 年度、平成 26 年度の政務活動費の議会報告印刷
物、政党に関する印刷物、それらのポスティングに要したとされる費用
詐取分を返還請求するように市長へ勧告することを求めます。
③
名刺印刷に関して
平成 25 年度分では領収書の発行人名義の問題から政務活動費からの支
出を認められなかった名刺印刷に関しまして(整理番号 7、20、37)78,750
円(税込)の収支報告が同議員より上がっておりますが印刷枚数が不明
です。
- 6 -
街中にある印刷店・印刷会社に入手した小林よしか議員の名刺の現物
を見せて版下代金・印刷代金を調査しました。総じて 15 円/枚前後との
返答でした。
小林よしか市会議員は度々名刺印刷を発注していますが一体何枚印刷
をしたのでしょうか?
平成 23 年度整理番号 3、13、30、48、56(領収書額面 152,250 円)
平成 24 年度整理番号 4、16、29、43、56(領収書額面 131,250 円)
平成 25 年度整理番号 7、20、37、(領収書額面 78,750 円)
平成 26 年度整理番号
“ゼロ”
3 年間で 336,000 円(領収書額面総計額)を版下代金 10,500 円(税込・
一般的値段)として残額 325,500 円(税込)から@15.75 円(税込)/枚
としたら 20,666 枚となり、更に単純に 3 年で割れば 6,888 枚/年となる。
これは常識では“必要”とは考えられない印刷枚数であり、更にそれ
を総て使ったとの主張をするならもっと不自然であるとの感を持たざる
を得ない。
また、平成 26 年度分の名刺印刷が“ゼロ”であることを過去の残分が
あるので、との理由で印刷をしていないのであるならば過去とのあまり
の落差から容易にその言い分を受け入れることは困難である。
平成 25 年度だけで 78,750 円(5%税込)を使っているが 75,000 円(税
別)を 15 円(税別)/枚で割りますと 5,000 枚/年を印刷したことにな
ります。
因みに大阪府議会議員 1 名、堺市議会議員 1 名に聞いたのですが府議
会議員の方は年によって変動があるとの前置きをしながらも多くて
4,000 枚/年(ご自身で印刷されています)だと。ある堺市議会議員の方
は 2,000 枚/年未満とのことでした。それに堺市議の方の名刺の値段は
やはり 15 円/枚との事でした。
小林よしか市議は一体いつどこで誰に“ばら撒いた”のでしょうか?
政治家の資金集めの大きなパーティーでしょうか?
政治家の資金集めパーティーを仮定場面として考えてみました。
資金集めのパーティーの多くは開会時間から閉会迄大抵 150 分前後で
す。
主催者・来賓あいさつで 45 分から 60 分が使われる事を考えれば残り
90~105 分の間にあいさつ・名刺交換・会話 60 秒/名で会場を周ったと
しても 90 枚~105 枚を使うのが精いっぱいです。
- 7 -
仮定として 5,000 枚のうち 1,000 枚を日常の相談事や会議で使ったと
して残る 4,000 枚をパーティーで使うには 38~44 回/年出席をしなけれ
ば使い切れません。約 3~4 回/月間です。
その通りだと主張されたならそれは常識的に考えて在り得ない出席回
数であり、行動といえます。
推察するに先に受けた監査請求で名刺印刷代金が発行人名義の問題か
ら認められなかったことから平成 26 年度は“別の手立て”を考えた為に
平成 26 年度の収支報告には上げなかったと考える。
もはや名刺印刷代と銘打って領収書発行先への金銭供与ないしは自己
への詐取の為との疑いを持たないわけにはいかない。
平成 23 年度から平成 25 年度までの 336,000 円を返還する様に市長へ
勧告することを求めます。
④
ホームページに関して
平成 23 年度 5 月 10 日付けの領収書にてホームページを(株)モバロッ
トに対して 450,000 円(整理番号 1)で初期構築をさせたとして計上して
います。
更に平成 24 年度 4 月 10 日付けでもホームページ初期構築費・データ
ー移管費用で 450,000 円を、並びに管理費等で 80,000 円を計上されてい
ますが、一般社会常識で 450,000 円も掛けたホームページを僅か 11 か月
で棄てる事があるでしょうか?
使い勝手が問題ならばプログラミングの修正で済ませて使うのが常識
です。
そして何よりも注目すべき事柄は(株)モバロット社の代表者と個人屋
号であるオフィスコーヴその人、並びに給与を毎月得ている秘書が同一
人物であり、現在は西区選出の市議会議員で小林よしか市会議員と同じ
政党に属している黒瀬大氏であることです。(添付資料登記簿謄本参照)
18 項参照
これは一体何を指し示すのか?
表向きの名前は違っても同一人物が 2 度もホームページを作成し、初
期構築費の二重盗りを目的として意図的に平成 23 年度のホームページを
廃棄することを謀ったのではないのか?そしてこのホームページの存在
は確認が取れていません。
更に月々に渡り金銭を詐取する事を目的として本来は必要としない業
務項目を並べて費用計上をしたとしか説明が付かないのではないか。
維持管理費等で平成 23 年 5 月から平成 24 年 3 月までのモバロット社
- 8 -
時は 35,000 円/月、平成 24 年 4 月から平成 26 年度 3 月迄の個人屋号オ
フィスコーヴ時は 80,000 円/月となっているが、同一人物が同一業務内
容でどうして管理費が 2 倍以上に跳ね上がるのか?
また平成 26 年度からは案分率までも 50%から 80%に上がっている。
この理由は何なのか?議会報告書では紙面に全体に対しての自身の写
真の大きさの割合とでもいうのか?(平成 26 年分では写真が小さく成っ
ているが内容が堺市 HP からのコピーでお粗末)
また“真面目さ”を装う為に記事更新が無かった事を事由として減額
支払いを行っている期間が有るが、この度の詐欺行為は指南役の存在さ
えも疑われる。
全体事象から鑑みて偽装工作を謀ったとの疑念を払拭することが出来
ない。
推察するに先の住民監査請求で虚偽の弁明をもって辛うじて認められ
た事項に関してならば一時不再理から今後は追及されることの心配もな
く、案分率を増加させることで政務活動費からの詐取金額の増額を達成
し得るからとしか説明が付かない。
上記色々述べたが、理由①で述べた事柄と同理由により小林よしか市
会議員からの収支申告書の記載内容が虚偽である可能性が高い事を事由
とし、ホームページに関して平成 23 年~平成 26 年に支払われた費用全
額の返還請求を求めます。
平成 23 年度分整理番号 1、2、6、12、18、24、31、36、41、46、51、
55、(合計 417,500 円)
平成 24 年度分整理番号 1、2、10、15、21、27、36、42、48、55、61、
65、(合計 665,000 円)
平成 24 年度 3 月分整理番号 1(合計金額 40,000 円)
平成 25 年度整理番号 2、9、14、19、25、31、36、41、46、51、57、61
(合計 480,000 円)
平成 26 年度分整理番号 1、5、7、10、12、14、18、20、22、26、28、
29(合計 704,000 円)
⑤
人件費に関して
平成 25 年度で監査委員が政務活動費を充てるには違法とし、返還を示
された人件費に関して、平成 23 年度、平成 24 年度、にも領収書発行人
名義の問題が存在するので監査を願う次第です。
- 9 -
平成 23 年度分整理番号 4、5、9、10、14、15、16、17、20、21、22、
23、26、27、28、29、33、34、38、39、40、44、45、49、50、52、53、
54、57、58、(合計 2,854,000 円)
平成 24 年度分整理番号 7、8、13、14、19、20、24、25、26、33、34、
35、39、40、41、46、47、52、53、54、59、60、63、64、68、69、70(合
計 2,356,000 円)
平成 24 年度 3 月分整理番号 4、5(合計 200,000 円)
平成 25 年度は既に返還済みであり、平成 26 年度分は人件費が“ゼロ”
となった代わりに各諸で案分率の増加と返還勧告が出なかった他使途が
増額されている。
⑥
議会報告印刷とポスティングに関して
平成 23 年度整理番号 11、19、25
事業実施報告にて“広報誌維新プレス”の配布とあります。これは政
党機関紙です。また“約 3 万部を手配りで配布した”とあります。印刷
代金も配布手間賃も政務活動費からの支出は違法です。
“議会活動報告ビラの配布を行った。配布部数は約 10 万部で配布方法
は手配りを用いた“とありますが、該当年の印刷発注先は 3 社である。
(有)ジーピートレーディング社(領収書・日付:168,000 円、平成 23
年 7 月 4 日付け)、10 万部なら 1.68 円/枚
(株)モバロット社(領収書・日付:87,000 円、平成 23 年 8 月 12 日付
け)、10 万部なら 0.87 円/枚
そしてペーパーテック(請求書・日付:39,018 円、平成 23 年 8 月 8 日
付け、屋号であり個人の為に振込口座は個人名である)また、ペーパー
テックの請求明細書には“堺維新プレス B4 チラシ(政党機関紙?)、2,000
枚”となっており、“約 3 万部”や“約 10 万部”とも整合しない。
秘書である黒瀬大氏が過去代表であったモバロット社(後にオフィス
コーヴ)ですがホームページを創り、運営し、約 10 万部の印刷から名刺
印刷までを請け負える会社とは常識的に見て考えられません。
その意味する処は該当会社を通すことによって一見合法的に見える商
取引を装ってはいるものの、真相は金銭・利益供与ではないのかとの疑
問が生じる。
平成 24 年度整理番号 5、51、
事業実施報告に“維新プレスを約 3 万部手配りにて配布”、“議会報告
-- 10 --
を約 10 万部手配り”とあります。
(有)プライアントサービス社(この時は印刷を請け負っている。印刷
枚数記載無)チラシ印刷(領収書・日付
200,000 円、平成 24 年 4 月 17
日)3 万部なら 6.6 円/枚、10 万部なら 2 円/枚
(有)プライアントサービス社(この時はチラシ配布を請け負っている。
ポスティング枚数記載無)(領収書・日付
261,870 円、平成 24 年 11 年
29 日)小林よしか市会議員申告の印刷金額と配布枚数・配布時期と大い
に齟齬が在り、理解をすることが不可能です。
平成 24 年度 3 月分
平成 25 年度
整理番号 2
整理番号 4、8、53、56
事業実施報告に議会報告約 10 万部+約 5 万部で共に手配りとある。
(有)プライアントサービス社(今回はポスティングを請け負う。ポス
ティング枚数記載無)(領収書・日付
268,170 円、平成 26 年 1 月 30 日)
オフィスコーヴ(今回は印刷を請け負う。印刷枚数記載無)(領収書・
日付
220,000 円、平成 26 年 1 月 30 日)
印刷を請け負ったところと配達を請け負ったところが同日の領収書を
発行している。一般の会社の様に請求締日、支払日が過去一貫して一定
していない小林よしか市会議員であってもなぜに同日になるのか?
仕事の前に全額支払いをしたのか?全くもって不可思議であり、単な
る辻褄合わせの偽装領収書であると考える。
先の監査請求時の貴委員の尋問の中で北区エリアと接する他区にも配
布することが有る云々とあるが偶然にもデイケアサービスの会社からチ
ラシ配布を依頼された配布業者が配っているところを見たことがあるが
“プロ”は地図を以て施主に対してチラシの無駄が出ないように指示さ
れたエリア内だけを配布するもの。その観点からすれば配布エリアを間
違う恐れがある業者が税金を使う政務活動費の支払先として不適切と考
える。また先の尋問答弁から依頼者の指示も曖昧模糊としたものである
ことは大いに不適切である。
印刷及び配布物の数に関しても小林よしか市会議員は“約 3 万部、約 5
万部、約 10 万部”と記載されているが、自己の議会報告書の枚数を把握
してないのではないのか。
印刷発注に当たり、“約 5 万部を印刷してください”とでも言って、受
ける側の印刷会社も“ハイ、約 5 万部を印刷ですね?”とでも言ってい
るのか。
-- 11 --
常識的には在り得ない話である。
平成 26 年度
整理番号 2、3、8、9、16、17、23、24、30、31(合計
1,806,229 円)
この年から案分比率を 50%から 80%に上げていますがその理由は何で
しょうか?
秘書でもある人の屋号であるオフィスコーヴに印刷の発注
をされています。
(有)プライアントの代表者共々何か深い繋がりがあるのはないかとの
疑いがある。市民目線で見ますと無理繰りにそこに対して仕事を発注し
ている様に見える。
①に記載しました様に平成 26 年度の議会報告を見た人は皆無です。
またその内容は議会での答弁を丸写ししたに過ぎず、市役所のホーム
ページから個人的にも取得出来得るものです。市民とすればまったくも
って不満を覚えるお粗末極まりない内容です。本来ならば質問と返答を
簡潔に纏め、読み手には読みやすく、理解しやすい様に腐心をして作成
されてこそ税金を使っても印刷・配布されるに価します。
申告枚数の印刷・配布が虚偽であり、提出物の目的は収支報告書の申
告内容との整合性を整えることであり、内容よりもチラシ自体が存在す
る事、それが“目的”であると考えます。
上記色々在りますが、既に①で述べた様に小林よしか市会議員の議会
報告の存在を確信的に“見たことが無い”といった市民ばかりであり、
“見た”と言う人が皆無であった事から最初から印刷物自体が存在せず、
それに伴って当然に配布行為もされていないとの疑いがある。
付け加えて平成 26 年度に成果物として提出された発行物の中には平成
25 年度に監査委員に対して印刷物の“証拠”として提出されたものがあ
る。杜撰極まりない単なる見た目だけの数合わせでの収支報告書です。
⑦
購入品費用に関して
平成 23 年度
整理番号 35
ゴム印代 4,625 円
詳細不明
ゴム印を監査委員に提出させ、監査委員としても巷の印舗店 4 店舗で
値段が適正かどうかの検証を願います。
事例として年賀状の差出人によく見られるゴム印は業界では“風雅”
と呼ばれており、一般的に税込 2,000 円未満で販売されております。
整理番号 37
封筒作成 35,000 円
詳細不明
調査の結果、角 2(A4 が入る)封筒でもひと箱 500 枚入りで 1 枚当た
-- 12 --
り 20 円です。(10,000 円/箱)です。どの様な封筒を何枚印刷したのか
監査委員への提出並びに返答を求め、価格が適正かどうかを監査委員独
自に調査願います。
平成 25 年度
整理番号 1
スタンプ代(6,595 円)
領収書額面金額 13,190 円とあります。
過去にもゴム印を購入されていますが今回はどの様なものを購入され
たのでしょう
事例:シャチハタ社のスタンプは大型でも 3,000 円前後です。
監査委員に対して対象物の提出と貴監査委員にあっては街中の対象物
を扱う店 4 店舗にて価格調査を実施され、価格の妥当性を検証されるこ
とを望みます。
これも監査委員が市場価格の調査までは行わないとのことでしたら、
提出物を引き渡し頂ければわたくしが調査させて頂きます。
⑧
携帯電話代金に関して
平成 24 年度
同年 3 月
整理番号 17(TEL 代 1,297 円)
整理番号 3(TEL?内容不記載なので上げる 4,153 円)
平成 25 年度
申告無し(0 円)
平成 26 年度
整理番号 4、6、11、13、15、19、21、25、27、32(合計
158,574 円)
ソフトバンクモバイル社からの電話代金が計上されている月が過去に
は平成 24 年度の 2 回だけです。
ところが平成 26 年になって突如として過去に比して高額な電話料金が
政務活動から支出されています。
所属政党の活動に使ったならば当然に政務活動費用からの支出は違法
です。
各電話会社からかけ放題という幾ら通話しても一定料金のプランが出
てから既に 1 年経ちます。
自身の懐を痛めないからと野放図な使い方をするべきではありません。
政務活動費を使う観点から節約対策を普段から心がけるべき注意義務
があると考えます。
何故に平成 26 年度分だけ他年度に比して何倍にもなったのでしょう
か?
例えば平成 23 年度分と比して 6 倍から 12 倍にも増えています。
-- 13 --
注意義務違反として返還請求されるよう市長へ勧告が出るように求め
ます。
小林よしか市会議員が使っているソフトバンクならばかけ放題・スマ
放題の定額プランは平成 26 年 7 月 1 日から始まっています。
また通帳からの引き落としですが該当支払が本人だけなのか家族名義
は含まれてはいないかを第 3 者でもわかる形(ソフトバンクモバイル社
からの請求書等)の提示を求め、小林よしか議員に(平成 26 年度分
158,574 円)の返還請求を市長へするよう勧告を求めます。
最終結論
監査委員に対しては小林よしか市会議員へ上記指摘分である平成 23 年
度分から平成 26 年度分のうち既に指摘を受けて返還された分を除き、こ
の度指摘した総合計額 10,569,818 円を返還請求するよう市長への勧告を
求めます。
終わりに
小林よしか市会議員へは先の選挙で 7,233 票も自身へ寄せられた市民
の負託に対してその信頼を大いに裏切った事の重大さを考えて猛省をし、
自ら議員を辞職してもらいたい。
堺市議会に対しては政務活動費の使途問題がこれほど世間を騒がせ、
堺市議会でもベテラン議員の辞職者を出す不始末が起きているにも関わ
らず 1 年の時を経ずして未だ納まらない事を考えて、自ら襟を正すこと
を市民に示すためにも政務活動費支給の全廃を採択するように求めます。
全廃がどうしても不可であるなら最低限市民が使い道の検証を容易に
出来るように購入品のレシートの添付や品番公表・サイズわかる様にし
た写真の提出・後払い制度・不明朗になりがちな人件費への充当を不可
にする等の検討位はしても当然と考えます。
また、早急にインターネット上に公開することも求めます。
そして小林よしか市会議員が自ら辞職しない場合は堺市議会として辞
職勧告決議を採択されて、議会には自浄作用が在ることを示し、市民か
ら負託されている事の責任の重さに対しての自らの姿勢を体現されるこ
とを望みます。
堺市長に対しては昨年平成 26 年度にも不法行為を指摘されているにも
関わらず、反省どころか姑息にも更なる策を弄して再発を起こした小林
よしか市会議員に対して虚偽公文書作成、同行使を事由として刑事告訴
をされ、堺市民に対して社会正義の実現、後世への範を示されるように
-- 14 --
求めます。
“疑わしきは罰せず”との言葉がありますが、“疑わしきはクロ”これ
は一般市民が政治家に対し持っている考えです。グレーは単にグレーに
終わらず“クロ”なのです。
“瓜田に履を納れず・李下に冠を正さず”の言葉があります。
議員の方々にはこの事を頭に叩き込んで行動してもらいたいものです。
以上
(原文のとおり。なお、別紙は省略。)
第2 監査の実施
1 要件審査及び請求の受理
本件請求は、債権管理の権限を有する市長に、違法不当に支出された政
務調査費及び政務活動費の小林議員に対する返還請求を怠る事実があるこ
とを主張するものと解されることから、地方自治法第242条第1項に規定す
る住民監査請求の要件を具備していると認め、平成27年9月10日にこれを受
理した。
なお、池尻秀樹監査委員、山口典子監査委員は、堺市議会議員として政
務活動費の交付を受けている。よって、本件請求は「自己の従事する業務
に直接の利害関係のある事件」に当たることから、地方自治法第199条の2
の規定により除斥となった。
2 請求人の証拠の提出及び陳述
地方自治法第 242 条第 6 項の規定に基づき、平成 27 年 10 月 5 日、堺市
役所高層館 19 階・監査室において、請求人に対し証拠の提出及び陳述の機
会を設けたところ、請求人が出席し、請求書の記載について陳述が行われ
た。
3 監査対象部局
財政局(財政部 財政課)、議会事務局(総務課)
4 監査対象部局からの事情聴取等
本件について、平成 27 年 9 月 10 日に市長に対して請求に係る意見書の
提出を求めた。また、同年 10 月 5 日、監査対象部局の職員から、本件請求
に関する事実及び意見について事情を聴取した。
それらの概要は以下のとおりである。
(1) 事情を聴取した者
-- 15 --
(財政局)財政局長、財政部長、財政課長ほか
(議会事務局)議会事務局長、議会事務局次長、議会事務局副理事兼総
務課長ほか
(2) 本件請求に関する市長等の意見等
ア
小林議員は、平成 27 年 9 月 28 日付けで、平成 23 年度、平成 24 年
度の広報・広聴費のうちアルバイト代及び平成 25 年度の事務・事務所
費のうちスタンプ作成代を取り消す旨の収支報告書等の訂正を行った。
このことから、残余の額が生じることを確認した。
人件費及び事務・事務所費のうち携帯電話代金については、挙証書
類の提出を求めたところ、現時点では提出がないことから、堺市議会
政務調査費の交付に関する条例(以下「政務調査費交付条例」という。)
第 7 条第 2 項及び堺市政務活動費の交付に関する条例(以下「政務活
動費交付条例」という。)第 8 条第 2 項に該当するか否かを判断できな
い。
広報・広聴費のうちホームページ初期構築費用、ホームページ維持
管理費、名刺印刷代、封筒作成代、事務・事務所費のうちゴム印代に
ついては、同議員の説明により、政務調査費交付条例第 7 条第 2 項及
び政務活動費交付条例第 8 条第 2 項に該当しないと考える。
イ
広報・広聴費のホームページ初期構築費用等について、同議員に対
し、聞き取りによる確認調査を行ったところ、まず、平成 23 年 5 月 10
日に支出している「ホームページ初期構築費用」で作成したホームペ
ージは、株式会社モバロット(以下「モバロット」という。)が量販用
に作成していたホームページ管理システムのパッケージを利用したも
のとのことであった。しかし、モバロットの業績不振により、同社が
ホームページ管理システムの事業から撤退することとなり、パッケー
ジを利用することができなくなったため、改めてホームページを構築
する必要が生じ、オフィスコーヴァにホームページの構築及び前ホー
ムページからのデータ移管を依頼したものとのことであった。
政務調査費の運用指針では、広報・広聴費として、ホームページの
作成に係る費用に、政務調査費を充当することは認められている。
以上のことから、議員の説明により、政務調査費交付条例の規定に
明らかに違反しているとは言えないと考える。
ウ
広報広聴費のホームページ維持管理費等について、同議員に確認し
たところ、請求人は「ブログであるから維持管理経費はかからない」
と決めつけているが、議員のホームページは、単なる「ブログ」では
-- 16 --
なく、ブログシステムを利用した「ホームページ」であるとのことで
あった。そして、当該ページの維持管理等には、一定の知識等が必要
であるため、当該作業を第三者にお願いしているもの、とのことであ
った。政務調査費の運用指針及び政務活動費の運用指針では、広報・
広聴費として、ホームページの管理に係る費用に、政務調査費及び政
務活動費を充当することは認められている。
また、同議員に確認したところ、ブログではドメイン管理が不要で
あることは事実であるが、ここで管理対象としていたドメインは、ブ
ログのドメインではなく、平成 23 年度にホームページを構築するに当
たって取得したドメイン(「to-sen」ドメイン)とのことであった。ホ
ームページ再構築後もこのドメインを保有していたのは、当該ドメイ
ンを使用した同議員のメールアドレスがあり、同議員の政務活動に当
該メールアドレスを利用していたため、とのことであった。なお、同
議員が言うメールアドレスについては、議会事務局から同議員への情
報提供等を行う際のアドレスとして利用していたことを確認できてい
る。
また、同議員に確認したところ、平成 23 年度に構築したホームペー
ジは、モバロットが量販用に作成していたホームページ管理システム
のパッケージを利用したものであるため、比較的安価で維持管理を行
ってもらっていたが、平成 24 年度に構築したホームページは、量販用
のパッケージを利用したものではなく、個別の対応が必要なものであ
るため、維持管理経費が高くなったもの、とのことであった。
また、平成 27 年 5 月 8 日付けで、平成 26 年度に交付を受けた政務
活動費に係る収支報告書、事業実施報告書及びその支出に係る領収書
の写しその他の証拠書類の写しの提出が、同議員から市議会議長に対
してあったが、その中で、ホームページ維持管理費等の支出について、
按分率を 80%として提出があった。同議員のホームページの内容を確
認したところ、政務活動費を充当することができない、政務活動以外
の活動については、ほとんど掲載されていない状況が確認できた。
また、ホームページ維持管理費等のうち、ホームページの更新作業
に係る経費について、同議員に確認したところ、トータル経費として 8
万円ということであり、作業ごとの内訳を示すことはできない、との
ことであった。政務活動費の運用指針には、「按分割合については、会
派又は議員において、それぞれの状況に応じて適切に判断するもの」
との規定があり、ホームページを更新していない期間については、按
分率を 40%とすることが適切であるとする同議員の判断を尊重したも
-- 17 --
のである。なお、ホームページ維持管理費については、当月作業分を
翌月に支払うかたちとなっているため、2 月支払分から按分率を 40%
としていることを確認している。
以上のことから、議員の説明により、政務調査費交付条例及び政務
活動費交付条例の規定に明らかに違反しているとは言えないと考える。
エ
広報・広聴費のチラシ印刷代及びポスティング費用等について、同
議員に確認したところ、全額返還する旨の意思表示があった。今後、
同議員から市議会議長に対して支出を取り消す旨の書面が提出される
予定である。これから返還手続等の対応をしたいと考えている。
オ
広報・広聴費のチラシ維新プレス印刷代について、平成 24 年 4 月 27
日付けで、平成 23 年度に交付を受けた政務調査費に係る収支報告書、
事業実施報告書及びその支出に係る領収書の写しその他の証拠書類の
写しの提出が、同議員から市議会議長に対してあった際、当該チラシ
については、表面が議会報告、裏面が会派の紹介等を記載したもので
あり、全てが政務活動に関する内容であるため、按分率が 100%となっ
ていることを、確認している。
以上のことから、当該チラシ印刷については政務活動に当たるもの
と考えるため、政務調査費交付条例の規定に明らかに違反していると
は言えないと考える。
カ
広報・広聴費の名刺印刷代等について、同議員から提出のあった資
料により、1枚あたり 25 円、1回あたり 1,000 枚の印刷業務が発注さ
れた事実を確認できた。また、名刺の印刷枚数が会議の出席回数で決
まるとは一概に言えず、政務調査費交付条例及び政務活動費交付条例
の規定に明らかに違反しているとは言えないと考える。
キ
人件費について、平成 25 年度の状況と異なることを示す挙証書類の
提出を求めているが、現時点では提出がないことから、政務調査費交
付条例及び政務活動費交付条例の規定に明らかに違反しているか否か
は判断できない。
ク
広報・広聴費のアルバイト代について、平成 27 年 9 月 28 日付けで、
同議員から市議会議長に対して、支出を取り消す旨の書面が提出され、
同月 30 日付けで市長にもその写しが送付されている。なお、訂正額は、
平成 23 年度においては 69 万 8,000 円、平成 24 年度(政務調査費)に
おいては 66 万 2,000 円、平成 24 年度(政務活動費)においては 4 万
6,000 円となり、訂正後の決算額は平成 23 年度においては 304 万 9,540
円、平成 24 年度(政務調査費)においては 272 万 6,969 円、平成 24
年度(政務活動費)においては 27 万 3,153 円となり、平成 23 年度に
-- 18 --
おいては 25 万 460 円、平成 24 年度(政務調査費)においては 57 万 3,031
円、平成 24 年度(政務活動費)においては 2 万 6,847 円の残余額が発
生している。
以上のように、既に当該支出を取り消す手続がなされている。
ケ
事務・事務所費のゴム印代及び広報・広聴費の封筒作成代について、
支出に係る挙証資料として、金融機関の利用明細が提出されているが、
金融機関の利用明細を証拠書類として扱う場合、政務調査費の運用指
針においては、品名(内容)が記載された請求書等がない場合は、品
名(内容)を領収書等貼付用紙の「その他」の欄に追記することによ
り可とします、と規定していることから、当該利用明細を有効と判断
した。
以上のように、支出していた事実を確認できたことから、政務調査
費交付条例の規定に明らかに違反しているとは言えないと考える。
コ
事務・事務所費のスタンプ作成代について、平成 27 年 9 月 28 日付
けで、同議員から市議会議長に対して、支出を取り消す旨の書面が提
出され、同月 30 日付けで市長にもその写しが送付されている。なお、
訂正額は 6,595 円であり、この金額の全てが残余の額となるので、そ
のまま返還額となる。
以上のように、既に当該支出を取り消す手続がなされている。
サ
事務・事務所費の政務活動用携帯電話について、同議員に確認した
ところ、過年度と比較して、平成 26 年度の携帯電話代金が増えている
ことについて、以前は、受電専用の携帯電話分のみを計上し、同議員
から発信する側の携帯電話については計上していなかったが、現在は、
政務活動に使用するために契約している携帯電話全般に係る経費を計
上しているため、費用が増額しているとのことであった。
しかし、支払の内訳を示す書類の提出を求めているが、現時点では
提出がないことから、政務活動費交付条例の規定に明らかに違反して
いるか否かは判断できない。
5 関係人調査
(1) 文書による質問及び回答について
平成 27 年 9 月 10 日に、地方自治法第 199 条第 8 項の規定に基づき、
本件住民監査請求に係る関係人である小林議員に対し、請求人の主張に
対する考え並びに請求人の示す同議員の政務調査費及び政務活動費(以
下「本件政務活動費等」という。)について、政務調査費及び政務活動費
を充てることができる経費に該当するという明確な説明ができるか文書
-- 19 --
で回答を求めたところ、同月 25 日、同年 10 月 2 日、5 日及び 8 日に同議
員から、次の文書回答があった。
ア
広報・広聴費のホームページ初期構築費用等(平成 23 年度 整理番号
01 ほか 1 件、計 45 万円)及びホームページ維持管理費等(平成 23 年
度 整理番号 02 ほか 46 件、計 185 万 6,500 円)について
(ア) ブログであるとの指摘について
ご指摘のとおり、現在の私のホームページはグーグルのブログシ
ステムをもとに作成されております。しかし、ブログシステムを用
いているものがすべてブログであるわけではなく、近年はブログシ
ステムをもとにホームページを作成するというケースも一般的にな
ってきているとのことで、私のホームページは、単なる記事の書き
込み等を行うだけのいわゆるブログではなく、グーグルのブログシ
ステムを利用したホームページであると聞いています。
(イ) 自身で更新等をしていたとの指摘について
私自身がホームページの更新をすることはなく、黒瀬氏(モバロ
ットもしくはオフィスコーヴァ)に依頼して行っていました。ご指
摘の平成 27 年 1 月から 4 月までの 4 か月間に更新がなされていない
理由ですが、私は同年 2 月 8 日に双子の子を出産しております。そ
のため、平成 26 年 12 月半ばころから切迫流産の危険があるという
ことで入院をしており、出産後もしばらくは産休状態にありました。
そのため、27 年 1 月から 4 月までの間は、議会に出席することもで
きず、ほとんど議員としての活動ができませんでした。それにもか
かわらず、議員としての活動報告・情報発信の場であるホームペー
ジのみを更新するということは、実態を伴わず不適切であると考え
ましたので、この期間については更新をしないよう依頼しておりま
した。
(ウ) データ管理、ドメイン管理について
データ管理及びドメイン管理とも私個人では知識もなくできませ
んでしたので、委託していました。
ドメイン管理については、私が、ホームページ再構築後も独自ド
メインのメールアドレスを引き続き使用したいと申し出たために発
生した管理費用です。
(エ) 平成 24 年度にホームページを初期構築している点について
平成 23 年度は、モバロットにホームページ構築を依頼しました。
当時のホームページが一部残っておりましたので、資料として提出
いたします。その費用 45 万円は、モバロットが開発した政治家向け
-- 20 --
ホームページ管理システムのパッケージを利用した開発費用です。
しかし、モバロットの業績不振により、同社が政治家向けホームペ
ージ管理の業務から撤退したため、同システムを利用することがで
きなくなり、ホームページを新たに構築せざるを得なくなりました。
そこで、平成 24 年度に、新たにホームページ作成をオフィスコーヴ
ァに依頼したのです。
先ほど述べたとおり、平成 24 年度に構築した現在の私のホームペ
ージはグーグルのブログシステムを利用したホームページですが、
グーグルのブログシステムをもとにホームページを構築する方法に
ついての説明の一例を資料で提出します。この資料には、専門用語
も多々あり、ホームページ関連知識の少ない者にとって、ホームペ
ージを自力で構築することが容易でないことは明らかです。少なく
とも、私にはまったくわかりません。また、単にホームページを作
成するだけでなく、政治家としての情報発信をわかりやすく十分に
できるようにするための機能やデザインを行うためには、外部委託
することが必要でした。その費用についても、特別に高額なもので
はないと考えています。
(オ) 平成 23 年度と平成 24 年度の維持管理費
先ほど述べたとおり、平成 23 年度のホームページ管理費用につい
ては、モバロットで開発した独自のシステムを使用しており、その
パッケージ料金が月 3 万 5,000 円と設定されていました。同社の代
表であった黒瀬大氏によれば、同金額は、量販を視野に入れたもの
であり、相場から比しても格安の料金設定としていたとのことでし
た。
平成 24 年度については、維持管理費が 8 万円となっていますが、
量販展開から撤退した中で、以前と基本的に同等のサービス内容を、
引き続き個別提供してもらうため、パッケージ料金より高額となら
ざるを得なかったものです。相場からしても決して高くないと考え
ています。
また、実際の更新回数も、平成 24 年 6 月から平成 25 年 3 月まで
の間に合計 260 回、月平均でも 26 回と多数回にわたっており、実態
面からしても決して高額な費用ではないと考えています。
(カ) 平成 26 年度の按分率について
平成 26 年度の内容を見直したところ、ホームページ記載の情報は、
政務活動にかかわる内容が多くを占めていましたので、それにあわ
せて按分比率を変えました。
-- 21 --
(キ) ホームページ構築費用について
グーグルのブログシステムを利用してホームページを構築してい
る業者の価格設定を一例として挙げます。同社の価格設定では、初
期費用は合計 40 万円とされています。ただし、テキストや画像は依
頼者から提供のうえ、図など細かい素材制作が発生する場合は、別
途費用がかかるとされています。オフィスコーヴァは画像の加工を
含めた価格設定でした。
(ク) モバロットの政治家向けホームページ開発事業について
初期の私のホームページ開発・運用を担当していたモバロットが、
どの程度政治家のホームページ開発に関わっていたかについて、同
社の代表であった黒瀬氏に確認いたしました。黒瀬氏からの回答は、
次のとおりです。
モバロットは、平成 22 年に、ホームページで献金や会員の登録・
管理などができる政治家向けのホームページ・サービスの提供を行
うため、外部委託によりシステム開発を行い、平成 22 年ないし 23
年に、同サービスの顧客獲得のための営業活動を行った。営業活動
の対象となった議員は、衆議院議員、参議院議員、大阪府会議員、
兵庫県会議員など、20~30 名程度だったと記憶している。ただし、
ホームページでの献金システムは不要などというお客さんの意向も
あり、実際に同システムによるホームページ開設・運営に至ったの
は、小林議員のみであった。
営業不振とそもそも営業活動自体ができなかったことにより、平
成 24 年に同事業を打ち切ることとし、前記システム委託業者との契
約を解除したため、前記システムの利用はできなくなった。平成 24
年、政治家 2 名からホームページ作成の依頼を受け、これを初期構
築した。すでに前記システムは利用できない状態であったため、同
システムは利用していない。その時点ではモバロットは廃業の意向
であったため、個人として請け負ったと記憶している。
以上が黒瀬氏より聴き取った内容です。
イ
広報・広聴費のチラシ印刷代及びポスティング費用等(平成 23 年度
整理番号 11 ほか 18 件、計 285 万 5,334 円)について
(ア) 平成 23 年度及び平成 24 年 4 月までのチラシ印刷・配布について
この時期については、すべてアルバイト職員を利用した手配りで
チラシを配っていました。街頭での配布やポスティングも行ってい
ました。ただし、その枚数については、現在正確な枚数を明らかに
する資料や実際に配ったことを証明できるだけの資料は残っておら
-- 22 --
ず、配布したチラシ自体も残っておりません。
前記のとおり、現在、印刷、配布の実態を証明することができま
せんので、これにかかる印刷代金として受け取っていた政務活動費
については、返還したいと思います。
(イ) 平成 24 年度 11 月以降のチラシの印刷・ポスティングについて
この頃より、手配りに限界があることから、ポスティングを業者
に委託することとしました。私は、チラシの印刷・ポスティング業
者の選定を黒瀬氏に任せたのですが、黒瀬氏から、以前から名刺印
刷等を依頼していた有限会社プライアントサービス(以下「プライ
アントサービス」という。)が、不動産業務関連の延長としてポステ
ィングも行っているということを聞きましたので、ポスティングを
プライアントサービスに依頼することとしました。
また、チラシの印刷はオフィスコーヴァに依頼することとしまし
た。チラシ印刷をオフィスコーヴァに依頼することとしたのは、私
の政治家としての活動をよく理解している黒瀬氏に依頼した方が、
市議会議員として活動を伝えていくのにふさわしいデザインになる
と考えたためです。
チラシのデザインは黒瀬氏が行い、私もその内容を確認していま
した。ただし、印刷については、オフィスコーヴァはプライアント
サービスに下請に出していたとのことでした。
しかし、このたび、プライアントサービスの代表 A 氏に聞き取り
調査を行ったところ、A 氏は、依頼を受けたポスティングや印刷を約
束通りに行ったことはなく、ポスティングを実施したとしても、せ
いぜい A 氏 1 人がポスティングをすることが可能な 1 万部程度であ
り、直近の 3~4 回については、印刷もポスティングも全く行ってい
ないことが判明しました。
A 氏からは、配布完了報告書をもらっていたり、黒瀬氏を通じて配
布完了報告を聞いていたほか、手配り用の印刷物を届けてもらった
り、出来上がった印刷物の見本を毎回もらったりしていました。ま
た、9 月 25 日付の回答書で述べましたとおり、名刺の印刷について
はきっちりやってもらっていましたので、チラシについて一部しか
印刷せず、ポスティングも行っていないとは思いもよりませんでし
た。
明らかな債務不履行ですので、この度、A 氏と話し合いのうえ、こ
のポスティング委託契約を全て解除し、支払済みの代金を全て返金
してもらう合意が成立いたしました。
-- 23 --
また、A 氏が、オフィスコーヴァから下請した印刷を行っていなか
ったということは、オフィスコーヴァについても印刷請負契約の債
務不履行があることが明らかですので、同契約を解除し、支払済み
の代金を全て返金してもらうこととしました。
なお、プライアントサービス名義の平成 24 年 11 月 29 日付及び平
成 25 年 3 月 11 日付の領収書はポスティング請負費に関してのみで
あり、各時期の印刷については領収書を収支報告書にあげていませ
んが、プライアントサービスにポスティングを依頼する前提として
オフィスコーヴァに印刷を依頼しておりますので、今回この印刷代
についても、返金してもらう予定となっています。
業者に依頼したチラシの印刷・配布について、確実になされてい
なかった点については、私の管理責任であり、大変申し訳なく思っ
ております。今後、二度とこのようなことがないよう、確実に信頼
できる業者を選定し、印刷・配布の完了についてもきちんと確認し
ていきたいと思います。
印刷・配布にかかる代金として受領した政務活動費は、全て返還
したいと思います。
(ウ) A 氏にチラシの印刷・ポスティングを依頼した際には、毎回、印刷
見本 100 枚程度を黒瀬氏を通じて受け取っていました。A 氏が印刷・
ポスティングを全く行っていないと述べていた直近 3~4 回について
も、印刷見本 100 枚程度は同様に受け取っていました。この点につ
いて述べた A 氏の陳述書を提出いたします。
なお、A 氏からは平成 27 年 10 月 5 日に、合意書通り 228 万 9060
円の返還を受けた。
また、この度の A 氏の債務不履行を受け、オフィスコーヴァがプ
ライアントサービスに下請に出していた印刷請負契約についても解
除し、代金の返還を約する合意ができたとのことでした。
私がオフィスコーヴァに依頼していた印刷請負契約についても、
オフィスコーヴァの債務不履行を理由として解除し、代金 186 万円
を返還してもらう合意が成立しました。
ウ
広報・広聴費のチラシ維新プレス印刷代(平成 23 年度 整理番号 25、
3 万 9,018 円)について
平成 23 年度の堺維新プレスの印刷代については、実際に印刷しても
らったチラシを資料として提出いたします。
エ
広報・広聴費の名刺印刷代等(平成 23 年度 整理番号 03 ほか 11 件、
計 16 万 8,000 円)について
-- 24 --
名刺の印刷については、1 枚あたり 25 円、1 回あたり 1,000 枚で印
刷を依頼していました。初回の名刺の印刷に際しては、デザイン料も
発生しているため、47,250 円となっております。
なお、名刺印刷の発注先であるジーピートレーディングについては、
平成 23 年 8 月にプライアントサービスに社名変更されているため、こ
の発注書については、本来は発注先がジーピートレーディングと記載
されていなければなりませんでした。この点、A 氏に聴き取りをしたと
ころ、本人が社名を混同していたとのことで、領収書についても、プ
ライアントサービスになってからも誤ってジーピートレーディング名
義のものを発行してしまっていたとのことでした。
私は、発注先については黒瀬氏に任せており、「A 氏の会社に依頼す
る」という程度でしか把握していなかったため、発注書や領収書の誤
りに気づきませんでした。なお、黒瀬氏に聴き取りを行ったところ、
黒瀬氏は、A 氏がジーピートレーディングとプライアントサービスと 2
つの会社を経営しており、社名を使い分けているものと思っていたと
のことでした。
できあがった名刺は、デザインにも問題なく、注文した枚数が届け
られました。
初回発注後に、デザインを変更することはありませんでしたので、
少なくなってくると 1,000 枚単位で注文するという形でした。ただ、
まだ名刺が余っていても、電話番号やホームページの URL、メールアド
レスを変更した場合などは、刷りなおさなければなりませんでしたの
で、新たに発注をしていました。
平成 25 年度については、第一子の妊娠・出産で議員活動があまりで
きなかったこともあり、名刺が余っていましたので、平成 26 年度はそ
の余った名刺を使っておりました。
名刺の印刷については、プライアントサービスに発注していました
が、印刷した名刺は、黒瀬氏が A 氏から直接受け取り、私は黒瀬氏か
ら直接受け取っていました。受領したことが分かる資料等はありませ
ん。
オ
人件費(平成 23 年度 整理番号 04 ほか 22 件、計 400 万 4,000 円)
について
平成 26 年 12 月 25 日付住民監査請求結果(以下「平成 26 年監査」
という。)に係る監査の際にお答えした内容と、実際の勤務状況等につ
いて基本的に異なるところはありませんが、以下、補足してこの点に
ついてお答えします。
-- 25 --
(ア) 労働条件について
平成 26 年監査時に既に提出済みの雇用契約書及び労働条件通知書
記載のとおり、黒瀬氏とは平成 23(2011)年 4 月 28 日に労働契約を
締結のうえ、同年 5 月 1 日より、勤務してもらっていました。
業務内容は、労働条件通知書記載のとおり政策アドバイザー業務
及び政務補助でした。基本給は、平成 23 年度は 28 万円でしたが、
平成 24 年度については、財政的な困窮から、黒瀬氏合意のうえ基本
給を 22 万円としています。その際、新たに基本給 22 万円とする雇
用契約書を交付しておりますが、その他の勤務条件等には変更はな
いため、労働条件通知書は交付していません。
黒瀬氏の業務は、後に述べますとおり、業務の性質上、事業場外
で業務に従事することが多く、労働時間を算定し難いため、事業場
外みなし制とし、9 時から 18 時まで(うち休憩時間 1 時間)を就業
時間とみなすことで合意していました。
(イ) 業務内容と業務実態について
黒瀬氏の業務は、私の政策に必要な調査及び情報収集、委員会や
議会の答弁資料の作成、政策の提案を行うほか、議会事務局や各部
局とのやりとりを行うことなどでした。黒瀬氏は、勤務日には、資
料の作成や調査のために堺市役所等に行くほか、他の市町村が実施
している政策なども調査し、それらをもとに政策についての提案を
行うほか、議会や委員会で発表する文書の起案を行うといった業務
をしてもらっていました。
また、その他には議会事務局や各部局との打合せ等も、黒瀬氏に
任せるところが多かったので、各担当者との間でメールや直接会っ
た上で必要なやりとりを行ってもらっていました。
調査や情報収集の報告、政策の提案や答弁案等については、直接
報告を受けることのほか、メールで報告を受けることも多々ありま
した。平成 26 年監査時に、メールのやりとりの一部を提出しました
が、提出が一部であったことを理由として、同監査では「平成 25 年
度の 11 か月における黒瀬氏の政務活動費を充てることができる経費
としての雇用実態、勤務実態等を確認することができなかった。」と
されています。しかし、当時メールを一部しか提出しなかったのは、
議会事務局の方から、「同じようなメールを何通も出しても意味が
ない」と言われたため、提出を控えたからです。今回、黒瀬氏の政
策アドバイザー業務の遂行に関する資料として、黒瀬氏から私個人
のメールアドレスに送られてきた調査や情報収集の報告、政策の提
-- 26 --
案等メールの一部を、資料として提出します。
黒瀬氏からのメールは、「moballot.com」のアドレスか、小林よし
か事務所のアドレス([email protected])から送られて
くることがほとんどでしたが、黒瀬氏の Gmail アドレスから送られ
てくるものも数件ありました。
今回提出いたしますのは、平成 23 年 5 月 1 日から平成 25 年 3 月
31 日までの間に、「moballot.com」から送られてきたメールの総数が
353 件であるということを示す資料、同期間中に小林よしか事務所ア
ドレスから送られてきたメールの総数が 127 件であることを示す資
料、同期間中黒瀬氏の Gmail アドレスから送られてきたメールの総
数が 10 件であることを示す資料及び、黒瀬氏から送られてきたメー
ルの本文の各資料になります。
なお、黒瀬氏からの業務報告は、メール以外にも、電話や直接対
面で受けることも多々ありました。
(ウ) 業務遂行の管理体制について
黒瀬氏については、出勤簿を作成し、その出勤簿へ黒瀬氏自身が
出勤日に印をつけ、私が後ほど確認するという体制をとっていまし
た。黒瀬氏が業務を遂行しているか否かについては、上記のとおり、
調査・情報収集等の報告を、対面のほか電話やメール等で受けてい
ましたし、それ以外にも勤務日にはほぼ必ず電話連絡等をしていま
したので、業務を遂行していることは確認していました。また、黒
瀬氏が業務を怠り私の業務に支障が出るようなこともありませんで
したので、これ以上に厳密な出退勤の管理は行っていませんでした。
なお、黒瀬氏は当時個人事業主であり、株式会社の代表者でもあ
りましたが、勤務日の勤務時間内には、それらの業務を行わないこ
とを当然の前提としたうえで、労働契約を締結していました。また、
モバロットやオフィスコーヴァに委託していたホームページに関す
る業務等は、休日や勤務時間外に行うことで対応していたとのこと
です。
(エ) 結論
以上のとおり、黒瀬氏は、私と雇用契約を締結のうえ、私の行う
調査研究活動を補助する業務を行っておりましたので、黒瀬氏への
給与は政務活動費を充てることができる経費に該当致します。
カ
広報・広聴費のアルバイト代(平成 23 年度 整理番号 05 ほか 35 件、
計 140 万 6,000 円)について
アルバイト職員については、平成 26 年監査でご指摘を受けたとおり、
-- 27 --
勤務状況を証明できる資料がありませんので、平成 23 年度及び 24 年
度のアルバイト職員の人件費として支給を受けた金額については返還
したいと思います。
キ
事務・事務所費のゴム印代及び広報・広聴費の封筒作成代(平成 23
年度 整理番号 35、37、計 1 万 9,812 円)について
見積書、発注記録等は残っておりませんが、現物がありますので、
ゴム印についてはその印影と実物の写真を、封筒については現物を資
料として添付いたします。
この時期に作成したものであることがわかる事実としては、封筒記
載の URL が平成 24 年にホームページを新しく作り変える以前のもので
あること、ゴム印についてはメールアドレスが現在使用しているアド
レスとは異なるということが挙げられます。
ク
事務・事務所費のスタンプ作成代(平成 25 年度 整理番号 01、6,595
円)について
見積書等の記録は残っておらず、購入品の内容が確認できませんの
で、これについては返金したいと思います。
ケ
事務・事務所費の政務活動用携帯電話(平成 26 年度 整理番号 04 ほ
か 9 件、計 15 万 8,574 円)について
まず、監査請求の内容については前提となる事実が誤っております
ので、その点について述べます。
平成 24 年度の電話代金に関しては、ご指摘の月だけということはな
く、毎月、ソフトバンクモバイルから引き落とされる電話代金とイン
ターネット通信料を計上していました。【整理番号(政務調査費)3、6、
11、12、17、18、22、23、28、32、37、38、44、45、49、50、58、62、
66、67、(政務活動費)3】
なお、平成 25 年度も電話回線として、ソフトバンクへの支払いを計
上しています。この年度より、ソフトバンクの引き落としが、電話代
金とインターネット通信料がまとめて落とされるようになったので、
毎月 1 回電話回線として計上しています。【整理番号 3、11、15、21、
26、32、38、42、47、52、58、62】
また、私は、プライベートで使用する携帯電話と、政務活動用の携
帯電話の 2 台を所有していましたが、平成 24 年度は個人の携帯電話で
政務活動にかかる電話をしていることが多かったため、政務活動用の
携帯電話の電話料金が安かったのですが、平成 25 年度途中からは、政
務活動については、政務活動用の携帯電話に一本化したため、電話料
金が上がりました。
-- 28 --
ご指摘のかけ放題プランは、本年 7 月から利用しておりますが、そ
れ以前の料金についても、必要な範囲でのみの使用であり特別高い料
金であるとは考えていません。
また、監査請求書に、私が収支報告書に記載している携帯電話代金
に、家族名義の利用分が含まれているのではないかとのご指摘があり
ましたので、その点について回答いたします。
私は政務活動に使用する電話とプライベートで使用する電話を分け
ております。そして、プライベートで使用する電話の料金は、ファミ
リー割引の適用上、私の両親が使用している携帯電話の料金とまとめ
て、NTT ファイナンスに毎月利用料を支払う形となっています。したが
って、収支報告書記載の携帯電話料金(ソフトバンクモバイル)は、
私の家族の利用料金などは一切含まれていません。
以上のとおり、前記イ、カ及びクについては、政務調査費及び政務活
動費を充てることができない経費に該当する、ア、ウ、エ、オ、キ及び
ケについては、政務調査費及び政務活動費を充てることができる経費に
該当するという明確な説明ができるとの回答があった。
(2) 提出資料
平成 27 年 9 月 25 日、同年 10 月 2 日、5 日及び 8 日に、小林議員から、
文書回答とともに、同議員の平成 23 年度に初期構築したホームページの
写し、平成 24 年度に初期構築したホームページの写し(月別更新回数の
記載箇所を含む。)、ホームページ構築の方法説明及び他社の料金表等の
資料、名刺の発注書、A 氏の陳述書、同議員と A 氏の合意書、オフィスコ
ーヴァ黒瀬氏と A 氏の合意書、プライアントサービス発行のオフィスコ
ーヴァ宛てチラシ印刷費用の領収書、同議員と黒瀬氏の合意書、黒瀬氏
の陳述書、A 氏からの入金記録、チラシ維新プレス、雇用契約書、労働条
件通知書、電子メールの写し、ゴム印の印影及び実物の写真、封筒の写
し(同議員は現物を提出すると回答していたが、提出を受けたのは写し
であった。)、政務活動用携帯電話以外の電話料金請求書の提出を受けた。
なお、同議員に政務調査費及び政務活動費を管理する預金口座の通帳
の写しの提出を求めたが、提出されなかった。
(3) 対面による聴き取りについて
平成 27 年 10 月 5 日に、堺市役所高層館 19 階・監査室において、小林
議員に対し、聴き取り調査を行った。聴き取り調査には、同議員の代理
人も同席した。文書回答の内容等について確認したところ、次のような
-- 29 --
回答があった。
ア
広報・広聴費のホームページ初期構築費用等及びホームページ維持
管理費等について、支払は現金で行った。
また、平成 24 年度に二度目の初期構築を行ったホームページについ
て、平成 23 年度に初期構築したホームページのデータの再利用はして
いない。
ホームページの維持管理費等の内容とそれぞれの金額については、
月々固定のパッケージ料金であるため、金額の内訳はない。
ドメインは何に使用し、この管理費用はどこにいくら支払っている
のかについては、メールアドレスを引き続き使用していたため、ドメ
インの維持を行ってもらっていた。そのドメイン費用も全て含めた料
金で委託している。
ホームページ維持管理費等が 2 倍以上になっていることについては、
平成 23 年度のホームページ維持管理費の月額 3 万 5,000 円というのは、
モバロットで販売していたシステムのパッケージ価格である。量販目
的でシステム構築をしているものであるため、サービス料も非常に安
価で販売していたと聞いている。同等の内容を同議員一人のために行
うには、その金額が妥当であるとの説明を受け、納得してお願いして
いた。なお、黒瀬氏を信頼しており、黒瀬氏が莫大な利益を得るとは
考えられないので、他の業者の見積書は徴していない。
平成 25 年度までホームページ維持管理費等の按分率が 50%であった
ものが、平成 26 年度からは 80%となっている理由については、内容を
よく確認した結果、大部分が政務活動の内容を載せていると判断して
変更したものである。
平成 27 年 2 月及び 3 月支払のホームページ管理費等は、オフィスコ
ーヴァに月額 8 万円を支払っているものの、その他欄にホームページ
更新停止中につき、維持管理経費のみ計上との記載があり、その他の
月のホームページ管理費等の按分率が 80%であるにもかかわらず、按
分率を 40%としていることについては、この時期は同議員が産後で、
政務活動を休んでいた時期であり、休んでいるのにホームページだけ
更新されるというのはおかしいと感じたので、同議員の依頼によって
ホームページの更新を控えていた。しかし、契約期間は継続しており、
月々固定での契約であったため料金は発生しており、更新を控えてい
たため通常の半分の金額を政務活動費に計上するのが妥当だと判断し
た。
イ
広報・広聴費のチラシ印刷代及びポスティング費用について、支払
-- 30 --
は現金で行った。印刷されたチラシが配送された記録等、チラシがポ
スティング業者、同議員に配送されたことが確認できる書類はない。
平成 26 年 4 月 10 日付けのチラシ印刷代の領収書については、発注、
納品、請求の日は全て同日であり、同月 15 日付けのポスティング費用
の領収書について、発注、配布、請求の日は全て同日であると思う。
平成 25 年度までチラシ印刷代とポスティング費用の按分率が 50%で
あったものが、平成 26 年度からは 80%となっていることについては、
同議員の写真の範囲やチラシの内容を考えると大部分が政務活動費を
充当できる内容となっていたので、80%にした。
堺市にポスティングするにもかかわらず、西宮市のプライアントサ
ービスに依頼した理由については、同議員が黒瀬氏に相談したところ、
プライアントサービスが不動産関係のポスティング等を行っていると
いうことで、依頼することになった。今回、プライアントサービスの A
氏がチラシを配布していなかったという陳述を行っているが、同議員
は、前回の監査の際にはチラシを配布してもらっていると思っていた。
ウ
平成 23 年度の広報誌「維新プレス」を政務調査費で支出している理
由については、内容は堺市議会のことを前面に書いているので、政党
活動ではないと思っている。
エ
広報・広聴費の名刺代について、支払は現金で行った。平成 26 年度
の政務活動費に名刺代が計上されていない理由については、妊娠・出
産などで平成 25 年度は議員活動ができず名刺が余り、それを平成 26
年度に使っていた。平成 26 年度後半に名刺を作成したが、政務活動費
に計上していない。
発注量は 1 回 1,000 枚で、電話番号、ホームページの URL、メールア
ドレスなどを変更した場合は、刷り直しで新たに発注している。なお、
名刺の配送記録等、名刺を同議員が受け取ったことが確認できる書類
はない。
オ
人件費について、平成 27 年度は秘書を雇用していない。
カ
事務・事務所費の政務活動用携帯電話について、同議員はプライベ
ートで使用する携帯電話と政務活動用の携帯電話の 2 台を所有してお
り、平成 24 年度は、個人の携帯電話で政務活動に係る電話をしている
ことが多かったため安かったと思われる。平成 25 年度から、政務活動
に係る電話は政務活動用の携帯電話に一本化したため、電話料金が上
がったと考えている。政務活動用の電話と個人の携帯電話を別に契約
しており、使用実態に応じて按分率を 80%にしている。
-- 31 --
第3 監査の結果
1 本件の監査対象事項
住民監査請求書の記載から、請求人は、本件政務活動費等は、違法不当
に支出されたものであるとして、監査委員が市長に対し違法不当な支出の
返還を求めるなど必要な措置を講ずる勧告をするよう求めている。
以上のことから、本件政務活動費等は違法不当に支出されたものかどう
か、その結果、市長は同議員に返還請求をすべきかどうかを監査対象事項
とした。
また、請求人は、別の請求人の請求により平成 26 年 12 月 25 日に公表し
た監査結果を見て今回の監査請求に及んだものであるが、平成 25 年度の広
報・広聴費のホームページ管理費等、チラシ印刷代及びポスティング費に
ついては、新たな主張、事実証明書が認められたため、これらも監査対象
事項とした。
2 政務調査費及び政務活動費の制度について
(1) 法令等の改正について
ア
地方自治法の改正により、平成 25 年 3 月 1 日から政務調査費が政務
活動費と改められ、交付の名目が「調査研究」から「調査研究その他
の活動」になるとともに、地方自治法第 100 条第 16 項が新設され、議
長による透明性の確保が規定された。この改正に伴い、本市において、
平成 25 年 3 月 1 日から政務活動費交付条例が改正施行されている。
イ
地方自治制度において対等の立場で相互のチェック・アンド・バラ
ンスにより行政運営を行う首長と議会の関係からすると、議会や議員
の活動は、首長の支配、干渉を受けないことが保障されなければなら
ない。よって、地方議会の活性化のために、政務調査費にあっては議
員の調査研究活動の基盤、政務活動費にあっては議員の調査研究その
他の活動の基盤の充実を図る観点から制度化された政務調査費及び政
務活動費の使途については、会派や議員の自主的な判断に委ねられ、
広範な裁量が認められていると考えられる。
(2) 政務調査費の規定について
ア
政務調査費交付条例においては、(ア) 政務調査費は、本市議会議員
の調査研究に資するため必要な経費の一部として議会における会派
(所属する議員が 1 人の場合を含む。)又は議員に対して、議員 1 人
当たり月額 30 万円が交付されること(政務調査費交付条例第 1 条、第
2 条及び第 3 条第 1 項)、(イ) 会派及び議員は、政務調査費を、規則に
-- 32 --
定める使途基準に従って使用するものとし、市政に関する調査研究に
必要な経費以外のものに充ててはならないこと(政務調査費交付条例
第 4 条)が規定されていた。
使途基準については、堺市議会政務調査費の交付に関する条例施行
規則(以下「政務調査費交付規則」という。)第 6 条に規定があり、
政務調査費交付規則別表の項目・内容に該当する経費であるとともに、
交際費、選挙活動、政党活動、後援会活動及び私的活動に関する経費
に充ててはならないとされていた。
イ
そして、政務調査費の交付を受けた会派の代表者及び経理責任者並
びに議員は、政務調査費交付規則で定める様式により、政務調査費に
係る収入及び支出の報告書を作成し、その支出に係る領収書の写しそ
の他の証拠書類の写しとともに、議長に提出しなければならず(政務
調査費交付条例第 6 条第 1 項)、議長は速やかにその写しを市長に送
付しなければならない(政務調査費交付条例第 6 条第 4 項)とされて
いた。
ウ
市長は、政務調査費の交付を受けた会派又は議員がその年度におい
て交付を受けた政務調査費の総額からその年度に政務調査活動に必要
な経費として支出した総額を控除して残余の額がある場合は、当該額
に相当する額の政務調査費の返還を当該会派又は議員に命じなければ
ならない(政務調査費交付条例第 7 条第 1 項)とされていた。
また、市長は、政務調査費の交付を受けた会派又は議員の政務調査
費の使途が、政務調査費交付条例第 4 条の規定に明らかに違反してい
ると認める場合は、当該違反して支出された額に相当する額の政務調
査費の返還を当該会派又は議員に命じなければならない(政務調査費
交付条例第 7 条第 2 項)とされていた。
エ
平成 20 年 4 月 1 日に政務調査費交付条例及び政務調査費交付規則の
改正が施行されるにあたり、議会として一定の統一的基準を持つこと
が必要であることから、使途基準の基本指針や使途基準に関する細則
などを示した「政務調査費の運用指針」が平成 20 年 4 月 1 日から施行
され、平成 22 年 3 月 25 日から改正施行されている。
オ
これらの規定から、本市において政務調査費の支出が違法不当とな
るのは、政務調査費の使途が政務調査費交付条例第 4 条の規定に明ら
かに違反している場合であると考える。
(3) 政務活動費の規定について
ア
平成 25 年 3 月 1 日から政務活動費交付条例が改正施行されている。
-- 33 --
イ
政務活動費交付条例においては、(ア) 政務活動費は、本市議会議員
の調査研究その他の活動に資するため必要な経費の一部として議会に
おける会派(所属する議員が 1 人の場合を含む。)又は議員に対して、
議員 1 人当たり月額 30 万円が交付されること(政務活動費交付条例第
1 条、第 2 条及び第 3 条第 1 項)、(イ) 会派及び議員は、政務活動費を、
調査研究、研修、広報、広聴、住民相談、要請、陳情、各種会議への
参加等市政の課題及び市民の意思を把握し、市政に反映させる活動そ
の他住民福祉の増進を図るために必要な活動に要する経費に充てるこ
とができるものとし、交際費、選挙活動経費、政党活動経費、後援会
活動経費、私的活動経費に充ててはならないこと(政務活動費交付条
例第 5 条第 1 項、第 2 項及び第 3 項)が規定されている。
ウ
そして、政務活動費の交付を受けた会派の代表者及び経理責任者並
びに議員は、規則で定める様式により、前年度の交付に係る政務活動
費に係る収入及び支出の報告書を作成し、その支出に係る領収書の写
しその他の証拠書類の写しとともに、毎年 5 月 10 日までに議長に提出
しなければならず(政務活動費交付条例第 7 条第 1 項及び第 2 項)、
議長は速やかにその写しを市長に送付しなければならない(政務活動
費交付条例第 7 条第 4 項)とされている。
エ
市長は、政務活動費の交付を受けた会派又は議員がその年度におい
て交付を受けた政務活動費の総額からその年度において第 5 条に定め
る政務活動に充てることができる経費として支出した総額を控除して
残余の額がある場合は、当該額に相当する額の政務活動費の返還を当
該会派又は議員に命じなければならない(政務活動費交付条例第 8 条
第 1 項)とされている。
また、市長は、政務活動費の交付を受けた会派又は議員の政務活動
費の使途が、政務活動費交付条例第 5 条の規定に明らかに違反してい
ると認める場合は、当該違反して支出された額に相当する額の政務活
動費の返還を当該会派又は議員に命じなければならない(政務活動費
交付条例第 8 条第 2 項)とされている。
オ
なお、平成 25 年 3 月 1 日に政務活動費交付条例及び堺市政務活動費
の交付に関する条例施行規則の改正が施行されるに当たり、「政務活
動費の運用指針」が平成 25 年 3 月 1 日から改正施行されている。
カ
これらの規定から、本市において政務活動費の支出が違法不当とな
るのは、政務活動費の使途が政務活動費交付条例第 5 条の規定に明ら
かに違反している場合であると考える。
-- 34 --
3 本件政務活動費等について
(1) 本件政務活動費等の収支報告書等訂正の流れ
ア
平成 27 年 9 月 28 日
小林議員が市議会議長あて、収支報告書及びその支出に係る領収書
の写しその他の証拠書類の写し(以下「収支報告書等」という。)の訂
正報告書を提出
(訂正内容)
平成 23 年度(5 月分から 3 月分まで)及び平成 24 年度(4 月分から
2 月分まで)の政務調査費、平成 24 年度(3 月分)及び平成 25 年度の
政務活動費のうち、広報・広聴費のアルバイト代(平成 23 年度 整理
番号 05 ほか 35 件、計 140 万 6,000 円)及び事務・事務所費のスタン
プ作成代(平成 25 年度 整理番号 01、6,595 円)の支出を取消し
取消合計額 141 万 2,595 円
イ
同月 30 日
市議会議長から市長あて、収支報告書等の訂正報告書(写し)を送付
ウ
同年 10 月 6 日
同議員が市議会議長あて、収支報告書等の訂正報告書を提出
(訂正内容)
平成 23 年度(5 月分から 3 月分まで)及び平成 24 年度(4 月分から
2 月分まで)の政務調査費、平成 24 年度(3 月分)、平成 25 年度及び
平成 26 年度の政務活動費のうち、広報・広聴費のチラシ印刷代及びポ
スティング費用等(平成 23 年度 整理番号 11 ほか 18 件、計 285 万 5,334
円)の支出を取消し
エ
同月 7 日
市議会議長から市長あて、収支報告書等の訂正報告書(写し)を送付
(2) 本件政務活動費等についての検討
ア
広報・広聴費のホームページ初期構築費用及びホームページ維持管
理費ほか 9 件(合計 1,096 万 3,833 円)について
本件政務活動費等について、前記「第2 監査の実施 5 関係人調査」
に記載のとおり、小林議員から文書回答及び挙証資料の提出を平成 27
年 9 月 25 日、同年 10 月 2 日、5 日及び 8 日に受けるとともに、同年
10 月 5 日に対面による聴き取りを行った。
これらを確認した結果は以下のとおりである。
(ア) 広報・広聴費のホームページ初期構築費用(平成 23 年度 整理番
号 01、22 万 5,000 円)及びホームページ維持管理費(平成 23 年度 整
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理番号 02、06、12、18、24、31、36、41、46、51、55、計 19 万 2,500
円)について
広報・広聴費のホームページ初期構築費用については、モバロッ
トに対して 45 万円で発注しており、按分率 50%、政務調査費として
の支出額は 22 万 5,000 円となっていた。
また、ホームページ維持管理費については、モバロットに対して
月額 3 万 5,000 円の支払となっていた。平成 23 年 5 月分から平成 24
年 3 月分までの 11 か月分の按分率は 50%、政務調査費としての支出
額は月額 1 万 7,500 円となっていた。
同議員から、平成 27 年 9 月 25 日、同年 10 月 5 日及び 8 日の文書
回答とともに、平成 23 年度に初期構築したホームページの写しの提
出を受けた。
同議員によると、平成 23 年度のホームページ初期構築費用、ホー
ムページ維持管理費については、秘書である黒瀬氏が代表取締役で
あるモバロットが開発した政治家向けホームページ管理システムの
パッケージを利用したものであるが、黒瀬氏を信頼して、見積書を
検討することもなくモバロットに発注したとのことであった。なお、
実際にこのシステムを使用してホームページの開設・運営に至った
のは同議員のみとのことである。
しかし、黒瀬氏が当時モバロットの代表取締役であり、同時に同
議員の秘書でもあったというような契約関係であれば、通常の契約
関係と比較してより一層料金の比較検討、料金の内訳、購入するサ
ービスの品質等に関して十分な説明が同議員に求められるところで
あるが、同議員は見積書を取って検討しておらず、他者の料金との
比較を行うこともなくモバロットに発注している。また、ホームペ
ージ初期構築費用の内訳、ホームページ維持管理費の内訳、契約書
なども提出されなかった。政務調査費を充てることができる経費と
しての関連書類が保管されておらず、安易に秘書が代表取締役であ
る業者と契約しており、契約が不当であると考える。
以上のことから、広報・広聴費のホームページ初期構築費用(平
成 23 年度)及びホームページ維持管理費(平成 23 年度)について
は、同議員の説明及び提出資料によって政務調査費を充てることが
できる経費に支出していることが確認できなかった。
(イ) 広報・広聴費のホームページ初期構築費用・データ移管費用(平
成 24 年度(政務調査費) 整理番号 002、22 万 5,000 円)及びホー
ムページ管理費等(平成 24 年度(政務調査費) 整理番号 001、010、
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015、021、027、036、042、048、055、061、065、平成 24 年度(政
務活動費) 整理番号 01、平成 25 年度 整理番号 02、09、14、19、
25、31、36、41、46、51、57、61、平成 26 年度 整理番号 01、05、
07、10、12、14、18、20、22、26、28、29、計 166 万 4,000 円)に
ついて
広報・広聴費のホームページ初期構築費用・データ移管費用(平
成 24 年度)については、オフィスコーヴァに対して 45 万円で発注
しており、按分率 50%、政務調査費としての支出額は 22 万 5,000 円
となっていた。
また、ホームページ管理費等(平成 24 年度から平成 26 年度まで)
については、オフィスコーヴァに対して月額 8 万円の支払となって
いた。平成 24 年 4 月分から平成 26 年 3 月分までの按分率は 50%、
政務調査費及び政務活動費としての支出額は月額 4 万円、平成 26 年
4 月分から平成 27 年 1 月分までの按分率は 80%、政務活動費として
の支出額は月額 6 万 4,000 円、平成 27 年 2 月分及び 3 月分の按分率
は 40%、政務活動費としての支出額は月額 3 万 2,000 円となってい
た。
同議員から、平成 27 年 9 月 25 日、同年 10 月 5 日及び 8 日の文書
回答とともに、平成 24 年度に初期構築した現在のホームページの写
し(月別更新回数の記載箇所を含む。)、ホームページ構築の方法説
明及び他社の料金表等の資料の提出を受けた。
同議員によると、平成 23 年度に初期構築したホームページは、モ
バロットが業績不振により政治家向けホームページ管理の業務から
撤退したため、同社が外部委託により開発したシステムを利用する
ことができなくなった。そのため、ホームページを新たに構築せざ
るを得なくなり、平成 24 年度にホームページ作成をオフィスコーヴ
ァに依頼した。また、ホームページ維持管理費等については、平成
23 年度はモバロットが量販を視野に入れて設定した価格で安価(月
額 3 万 5,000 円)であったが、同等のサービス内容を同議員一人の
ために行うには月額 8 万円にならざるを得ないと考えていたとのこ
とであった。
請求人は、同議員のホームページ(ブログ)の管理には、年 2,000
円までの費用しか必要ないと主張している。このため、同議員にホ
ームページ管理費等の内容及び金額の内訳について説明を求めたが、
月々固定の金額でパッケージ料金としてお願いしており、内訳はな
いとのことであった。
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また、平成 27 年 2 月分及び 3 月分のホームページ管理費等(平成
26 年度 整理番号 28、29)については、領収書等貼付用紙のその他
欄に「ホームページ更新停止中につき、維持管理経費のみ計上。」と
の記載があり按分率を 40%としていたため、ホームページの更新を
停止しているにもかかわらず、なぜ維持管理経費が必要なのか具体
的な説明を求めたところ、40%が基本料金相当部分であるとのこと
であったが、契約内容にその内訳はないとのことであった。
オフィスコーヴァの個人事業主は黒瀬氏であるため、同議員は秘
書である黒瀬氏にこの業務を依頼したのであって、このような契約
関係であれば、通常の契約関係と比較してより一層料金の比較検討、
料金の内訳、購入するサービスの品質等に関して十分な説明が同議
員に求められるところであるが、同議員は見積書を取って検討して
おらず、他者の料金との比較を行うこともなくオフィスコーヴァに
発注している。また、ホームページ初期構築費用等の内訳、ホーム
ページ管理費等の内訳なども提出されなかった。
モバロットが業績不振によりホームページ管理業務から撤退した
にもかかわらず、その代表取締役であった黒瀬氏が個人事業主であ
るオフィスコーヴァにホームページ作成・管理業務を発注する理由、
及び月額料金が倍以上になるにもかかわらずホームページ管理を依
頼した理由につき、同議員から明確な説明はなかった。同議員から
の契約理由の説明内容は全て受注者(黒瀬氏)側の事情であり、同議
員がオフィスコーヴァに発注する理由にはなっていない。
以上のとおり、本契約には料金の比較検討が行われた形跡がなく、
安易に秘書である個人事業主と契約しており、契約が不当であると
考える。
以上のことから、広報・広聴費のホームページ初期構築費用(平成
24 年度)、ホームページ維持管理費(平成 24 年度から平成 26 年度ま
で)については、同議員の説明、提出資料によって政務調査費及び
政務活動費を充てることができる経費に支出していることが確認で
きなかった。
(ウ) 広報・広聴費のチラシ印刷代及びポスティング費用等(平成 23 年
度 整理番号 11、19、平成 24 年度(政務調査費) 整理番号 005、051、
平成 24 年度(政務活動費) 整理番号 02、平成 25 年度 整理番号 04、
08、53、56、平成 26 年度 整理番号 02、03、08、09、16、17、23、
24、30、31、計 285 万 5,334 円)について
同議員から、平成 27 年 10 月 2 日及び 5 日の文書回答とともに、A
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氏の陳述書、診断書、同議員と A 氏の合意書、黒瀬氏と A 氏の合意
書、プライアントサービスの発行したオフィスコーヴァ宛て領収書
(平成 26 年 4 月、6 月、9 月、12 月発行分)、同議員と黒瀬氏の合意
書、黒瀬氏の陳述書の提出を受けた。
同議員によると、平成 23 年度及び平成 24 年 4 月までのチラシ印
刷・配布については資料が残っておらず、配布した実態を証明でき
ないので、政務調査費については返還したいとのことであった。ま
た、平成 24 年 11 月以降、チラシの印刷については、オフィスコー
ヴァ(秘書である黒瀬氏が個人事業主である。)がプライアントサー
ビスに下請に出し、ポスティングについては、同議員がプライアン
トサービスに依頼していたが、実際の業務を行う予定であったプラ
イアントサービスの A 氏は、疾病により約束どおり業務を行ったこ
とはなく、特に直近の 3~4 回については、印刷もポスティングも全
く行っていないことが判明したという説明を受けた。このようなこ
とから平成 24 年 11 月以降の広報・広聴費のチラシ印刷代及びポス
ティング費用等についても返還するとのことであった。
その後、平成 27 年 10 月 6 日に同議員は、平成 23 年度から平成 26
年度までの収支報告書等の合計 285 万 5,334 円の減額訂正を行って
いる。
同議員は、昨年度の監査において、チラシの印刷・配布を行って
いたと説明していたにもかかわらず、行われていなかったことが今
回判明した。これは、同議員と黒瀬氏が、政務調査費及び政務活動
費を支出する上で、当然行うべき業務の履行確認を怠っていたもの
であり、少なくとも重大な過失があると考える。
よって、市長は本支出金相当額及び支出時(各領収書の日付け)
から支払済みまでの遅延損害金を請求すべきである。
なお、陳述書を提出し、同議員や黒瀬氏が合意書を交わしている A
氏は、商業登記簿によるとプライアントサービスの代表者ではなく、
昨年度の監査の結果既に返還された広報・広聴費に含まれるアルバ
イト代金の支出相手となっていた人物であることを申し添える。
(エ) 広報・広聴費のチラシ維新プレス印刷代(平成 23 年度 整理番号
25、3 万 9,018 円)について
広報・広聴費のチラシ維新プレス印刷代(平成 23 年度)について
は、ペーパーテックに対して 3 万 9,018 円で発注しており、按分率
100%、政務調査費としての支出額は 3 万 9,018 円となっていた。
同議員から、平成 27 年 9 月 25 日及び同年 10 月 2 日の文書回答と
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ともに、堺維新プレスの提出を受けた。
同議員によると、堺市議会のことを書いているので政党活動では
なく、維新プレス 2,000 枚の手配りはアルバイトが行っていたとの
ことであった。
しかし、今回、他のチラシの印刷で問題になったように、チラシ
については、誰を対象として、どのようにいつ配布されたのかが重
要である。同議員の事業報告書では市民を対象に、配布部数は 3 万
部で配布方法は手配りを用いたと記載されている。しかし、領収書
等貼付用紙に添付されている請求明細書では 2,000 枚しか作成され
ていなかった。また、維新プレス 2,000 枚の手配りはアルバイトが
行っていたとのことであるが、アルバイト代金については、勤務状
況を証明できる資料がなく、政務活動費等を充てることができない
経費であることを自らが認めている。これらのことから、政務調査
費を充てることができる経費としての配布方法や配布対象が明らか
にされているということはできない。また、同議員から関係人調査
において、具体的なチラシの配布に係る説明や資料の提出はなかっ
た。
よって、広報・広聴費のチラシ維新プレス印刷代については、同
議員の説明、提出資料によって政務調査費を充てることができる経
費に支出していることが確認できなかった。
(オ) 広報・広聴費の名刺印刷代等(平成 23 年度 整理番号 03、13、30、
48、56、平成 24 年度(政務調査費) 整理番号 004、016、029、043、
056、平成 25 年度 整理番号 07、20、計 16 万 8,000 円)について
広報広聴費の名刺印刷代等は、有限会社ジーピートレーディング
(以下「ジーピートレーディング」という。)に対して初回は名刺デ
ザイン料を含めて 4 万 7,250 円で発注し、その後 1 回 2 万 6,250 円
で 11 回発注しており、按分率 50%、政務調査費及び政務活動費とし
ての支出額は 16 万 8,000 円となっていた。平成 27 年 9 月 25 日及び
同年 10 月 5 日の文書回答とともに、名刺に係る初回の発注書の提出
を受けた。
平成 26 年 11 月 26 日に同議員が行った領収書等貼付用紙の訂正に
よると、ジーピートレーディングは、プライアントサービスの社名
変更(平成 23 年 8 月 30 日)する前の社名であり、ジーピートレー
ディングの名前による領収書は全て旧社名による古い領収書により
発行されており、その旨のお詫び文と領収書の再発行を受けている。
しかし、領収書等貼付用紙に貼付されていた領収書には、その受
-- 40 --
領時点では存在しない法人の名称及び所在地が記載されていたにも
かかわらず、同議員はこれを受領し、これをもって名刺印刷代等を
政務調査費及び政務活動費に充てることができる経費として支出し
ていたことになり、後日になって、変更後の社名の領収書へ差し替
えを行うことは不自然である。
よって、平成 23 年 8 月 30 日以降の日付けの領収書に係る支出に
ついてはこれを認めることができない。
また、平成 27 年 9 月 25 日の文書回答において提出を受けた名刺
に係る発注書(平成 23 年 5 月 11 日付け)には、プライアントサー
ビスが受注者である旨の記載があったが、商業登記簿によれば、ジ
ーピートレーディングからプライアントサービスに社名変更があっ
たのは平成 23 年 8 月 30 日であり、当該発注書については政務調査
費を充てることができる経費に支出していることを挙証する資料と
して採用することはできない。
よって、平成 23 年 5 月 25 日付けの領収書に係る支出についても、
これを認めることはできない。
次に、平成 23 年 7 月 25 日付けジーピートレーディングの領収書
に係る支出について検討する。
名刺については、ジーピートレーディングがこの印刷を行い、名
刺を黒瀬氏に渡し、黒瀬氏が同議員に渡していたとのことであった。
しかし、これらに係る書類がジーピートレーディングには残ってお
らず、同議員も納品書等を保管していないというのである。
よって、平成 23 年 7 月 25 日付けの領収書に係る支出についても、
これを認めることはできない。
以上のことから、広報・広聴費の名刺印刷代等については、同議
員の説明、提出資料によって政務調査費及び政務活動費を充てるこ
とができる経費に支出していることが確認できなかった。
(カ) 人件費(平成 23 年度 整理番号 04、09、17、20、26、33、39、44、
49、52、57、平成 24 年度(政務調査費) 整理番号 008、013、020、
024、033、041、047、052、059、064、070、平成 24 年度(政務活動
費) 整理番号 05、計 400 万 4,000 円)について
黒瀬氏への給与に係る人件費については、平成 23 年 5 月から平成
24 年 3 月までは月額 28 万円(按分率は 70%、政務調査費としての
支出額は月額 19 万 6,000 円)、平成 24 年 4 月から平成 25 年 3 月ま
では月額 22 万円(按分率は 70%、政務調査費及び政務活動費として
の支出額は月額 15 万 4,000 円)となっていた。
-- 41 --
平成 27 年 9 月 25 日、同年 10 月 5 日及び 8 日に、同議員から、文
書回答とともに、平成 23 年 4 月 28 日付け及び平成 24 年 3 月 30 日
付けの雇用契約書、平成 23 年 4 月 28 日付けの労働条件通知書、黒
瀬氏の陳述書、黒瀬氏と同議員との間で交わされた電子メールの写
しの提出を受けた。
同議員によると人件費については、黒瀬氏と雇用契約を締結の上、
調査研究活動を補助する業務を行ってもらっていたので、黒瀬氏へ
の給与は政務調査費及び政務活動費を充てることができる経費に該
当するとのことであった。また、平成 25 年度の状況と基本的に変わ
るところはないが、電子メールの写しを提出するとのことで、平成
27 年 10 月 8 日の文書回答とともに、平成 23 年 5 月 1 日から平成 25
年 3 月 31 日までの間に、「moballot.com」から送られてきたメール
の総数が 353 件であるということを示す資料、同期間中に小林よし
か事務所アドレスから送られてきたメールの総数が 127 件であると
いうことを示す資料、同期間中黒瀬氏の Gmail アドレスから送られ
てきたメールの総数が 10 件であることを示す資料及び黒瀬氏から送
られてきたメールの本文の各資料の提出を受けた。
しかし、
「moballot.com」からの黒瀬氏からのメールは、モバロッ
トの代表取締役の黒瀬氏からのメールであると考える。このため、
「moballot.com」からのメール総数 353 件や黒瀬氏から送られてき
たメールの本文のうち「moballot.com」からのものについては、秘
書の黒瀬氏の政務調査費及び政務活動費を充てることができる経費
に係るものとして検討することができない。
小林よしか事務所アドレスから送られてきたメールの総数が 127
件であるとのことであるが、メールの本文については、2012 年 4 月
11 日、2011 年 12 月 1 日、同年 11 月 18 日、同年 8 月 24 日分の 4 件
のみであり、メールの総数を示す資料には、件名が「こんな感じで
どうやろかー編集は頼む」となっているものがあり、雇用者と被雇
用者の指揮命令系統も明らかでなかった。
黒瀬氏の Gmail アドレスから送られてきたメールの総数が 10 件で
あるとのことであるが、件名が「小林よしか委員会用」となってい
るもの 1 件だけが、政務調査費との関連を示すのみであった。
以上のことから、平成 25 年度の人件費と状況が異なっていると認
めることはできない。
よって、人件費については、同議員の説明、提出資料によって政
務調査費及び政務活動費を充てることができる経費としての雇用実
-- 42 --
態、勤務実態等を確認することができなかった。
なお、同議員によると、平成 26 年度末まで黒瀬氏を秘書として雇
用していたが、平成 27 年度は秘書を誰も雇用していないとのことで
あった。
(キ) 広報・広聴費のアルバイト代(平成 23 年度 整理番号 05、10、14、
15、16、21、22、23、27、28、29、34、38、40、45、50、53、54、
58、平成 24 年度(政務調査費) 整理番号 007、014、019、025、026、
034、035、039、040、046、053、054、060、063、068、069、平成 24
年度(政務活動費) 整理番号 04、計 140 万 6,000 円)について
同議員からは平成 27 年 9 月 25 日の文書回答において、広報・広
聴費のアルバイト代については、勤務状況を証明できる資料がない
ので、これについては返還したいと考えているという回答があった。
その後、平成 27 年 9 月 28 日に同議員は、平成 23 年度から平成 24
年度の収支報告書等の減額訂正を行っている。
(ク) 事務・事務所費のゴム印代及び広報・広聴費の封筒作成代(平成
23 年度 整理番号 35、37、計 1 万 9,812 円)について
事務・事務所費のゴム印代は、ネットプロテクションズに対して
4,625 円で発注しており、按分率 50%、政務調査費としての支出額
は 2,312 円となっていた。
また、広報・広聴費の封筒作成代は、イングネットに対して 3 万
5,000 円で発注しており、按分率 50%、政務調査費としての支出額
は 1 万 7,500 円となっていた。
同議員からは平成 27 年 9 月 25 日の文書回答とともにゴム印の印
影とゴム印の写真、封筒については、文書回答では現物となってい
たが、写しの提出を受けた。
同議員によると、この時期に作成したことが分かる事実として、
封筒記載の URL が平成 24 年にホームページを新しく作り変える以前
のものであること、ゴム印についてはメールアドレスが現在使用し
ているアドレスとは異なるということが挙げられるとのことであっ
た。
政務調査費の運用指針によると、その他の証拠書類の留意事項と
して、銀行等の振込金受取書(ATM 利用明細書)の場合は、依頼人、
日付け、受取人、金額の記載に加え品名(内容)が記載された請求
書等を添付することにより可とします。請求書等がない場合は、品
名(内容)を領収書等貼付用紙のその他欄に追記することにより可
としますとされている。
-- 43 --
このため、平成 23 年度 整理番号 35、37 の領収書等貼付用紙のそ
の他欄にゴム印代、封筒作成代の記載があるのであるが、これのみ
では、ゴム印代、封筒作成代に支出した証明となっていない。
ATM 利用明細書では、どの業者にいついくら支払ったかが分かるの
みであり、納品書等が保管されていないことから、購入品が特定で
きなかった。
以上のことから、事務・事務所費のゴム印代及び広報・広聴費の
封筒作成代については、同議員の説明、提出資料によって政務調査
費を充てることができる経費に支出していることが確認できなかっ
た。
(ケ) 事務・事務所費のスタンプ作成代(平成 25 年度 整理番号 01、6,595
円)について
同議員からは平成 27 年 9 月 25 日の文書回答において、事務・事
務所費のスタンプ作成代については、見積書等が残っておらず、こ
れについては返金したいと考えているという回答があった。
その後、平成 27 年 9 月 28 日に同議員は、平成 25 年度の収支報告
書等の 6,595 円の減額訂正を行っている。
(コ) 事務・事務所費の政務活動用携帯電話(平成 26 年度 整理番号 04、
06、11、13、15、19、21、25、27、32、計 15 万 8,574 円)について
事務・事務所費の政務活動用携帯電話はソフトバンクモバイルと
契約しており、年間 19 万 8,224 円で按分率 80%、政務調査費として
の支出額は 15 万 8,574 円となっていた。
同議員からは平成 27 年 9 月 25 日及び同年 10 月 8 日の文書回答と
ともに、プライベートで使用する NTT ドコモの電話の請求書と請求
内訳(2015 年 7 月分)の提出を受けた。
同議員によると平成 24 年度の電話代金については、請求人の指摘
する部分以外に電話料金とインターネット通信料金を計上しており、
平成 25 年度も電話回線として計上している。また、政務活動に使用
する電話とプライベートで使用する電話を分けており、今回提出し
た資料がプライベートで使用する電話のもので、収支報告書記載の
携帯電話料金(ソフトバンクモバイル)は、家族の利用代金などは
一切含まれていないとのことであった。
しかし、同議員から政務活動に使用する電話(ソフトバンクモバ
イル)に係る契約状況等を示す書類の提出はなく、同議員の政務活
動に使用する電話(ソフトバンクモバイル)に係る契約状況を確認
することができなかった。
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以上のことから、事務・事務所費の政務活動用携帯電話について
は、同議員の説明、提出資料によって政務活動費を充てることがで
きる経費に支出していることが確認できなかった。
イ
小括
以上の検討の結果は、次のとおりである。
(ア) 同議員が、政務調査費及び政務活動費を充てることができる経費
としての計上を取り消したもの(前記ア(ウ)・(キ)・(ケ))
(計 426 万 7,929 円)
(イ) 政務調査費及び政務活動費を充てることができる経費に支出して
いることが確認できなかったもの(前記ア(ア)・(イ)・(エ)・(オ)・(カ)・
(ク)・(コ))
(計 669 万 5,904 円)
(ア)及び(イ)の合計額(本件請求の対象額) (合計 1,096 万 3,833 円)
ウ
各年度の同議員が、政務調査費及び政務活動費を充てることができ
る経費としての計上を取り消したもの、政務調査費及び政務活動費を
充てることができる経費に支出していることが確認できなかったもの
の内訳は以下のとおりである。
(ア) 平成 23 年度(政務調査費)
a
同議員が、政務調査費を充てることができる経費としての計上を
取り消したもの
95 万 3,000 円
広報・広聴費
チラシデザイン料及び印刷代(整理番号 11)ほか 1 件
25 万 5,000 円
アルバイト代(整理番号 05)ほか 18 件
b
69 万 8,000 円
政務調査費を充てることができる経費に支出していることが確
認できなかったもの
270 万 8,455 円
広報・広聴費
ホームページ初期構築費用(整理番号 01)
22 万 5,000 円
ホームページ維持管理費(整理番号 02)ほか 10 件
19 万 2,500 円
チラシ維新プレス印刷代(整理番号 25)
3 万 9,018 円
名刺印刷代(整理番号 13)ほか 4 件
7 万 6,125 円
封筒作成代(整理番号 37)
1 万 7,500 円
人件費
給料(整理番号 04)ほか 10 件
215 万 6,000 円
事務・事務所費
ゴム印代(整理番号 35)
-- 45 --
2,312 円
(イ) 平成 24 年度(政務調査費)
a
同議員が、政務調査費を充てることができる経費としての計上を
取り消したもの
89 万 2,935 円
広報・広聴費
b
チラシ印刷請負費(整理番号 005)ほか 1 件
23 万
935 円
アルバイト代(整理番号 007)ほか 15 件
66 万 2,000 円
政務調査費を充てることができる経費に支出していることが確
認できなかったもの
242 万 4,625 円
広報・広聴費
ホームページ初期構築費用(整理番号 002)
22 万 5,000 円
ホームページ管理費等(整理番号 001)ほか 10 件
44 万円
名刺印刷代(整理番号 004)ほか 4 件
6 万 5,625 円
人件費
給料(整理番号 008)ほか 10 件
169 万 4,000 円
(ウ) 平成 24 年度(政務活動費)
a
同議員が、政務活動費を充てることができる経費としての計上を
取り消したもの
12 万 1,000 円
広報・広聴費
b
ポスティング請負費(整理番号 02)
7 万 5,000 円
アルバイト代(整理番号 04)
4 万 6,000 円
政務活動費を充てることができる経費に支出していることが確
認できなかったもの
19 万 4,000 円
広報・広聴費
ホームページ管理費等(整理番号 01)
4 万円
人件費
給料(整理番号 05)
15 万 4,000 円
(エ) 平成 25 年度(政務活動費)
a
同議員が、政務活動費を充てることができる経費としての計上を
取り消したもの
49 万 4,765 円
広報・広聴費
チラシ印刷代(整理番号 04)ほか 3 件
48 万 8,170 円
事務・事務所費
スタンプ作成代(整理番号 01)
b
6,595 円
政務活動費を充てることができる経費に支出していることが確
認できなかったもの
50 万 6,250 円
-- 46 --
広報・広聴費
ホームページ管理費等(整理番号 02)ほか 11 件
48 万円
名刺印刷代(整理番号 07)ほか 1 件
2 万 6,250 円
(オ) 平成 26 年度(政務活動費)
a
同議員が、政務活動費を充てることができる経費としての計上を
取り消したもの
180 万 6,229 円
広報・広聴費
チラシ印刷代(整理番号 02)ほか 9 件
b
180 万 6,229 円
政務活動費を充てることができる経費に支出していることが確
認できなかったもの
86 万 2,574 円
広報・広聴費
ホームページ管理費等(整理番号 01)ほか 11 件
70 万 4,000 円
事務・事務所費
政務活動用携帯電話代(整理番号 04)ほか 9 件
エ
15 万 8,574 円
小林議員が、政務調査費及び政務活動費を充てることができる経費
としての計上を取り消したもののうち広報・広聴費のチラシ印刷代及
びポスティング費用等(計 285 万 5,334 円)について
広報・広聴費のチラシ印刷代及びポスティング費用等について、同
議員と黒瀬氏が業務の履行確認を怠っていたことは、少なくとも重大
な過失による不法行為に該当すると認められる。したがって市長は、
同議員に対し、民法第 709 条(不法行為)に基づく損害賠償請求とし
て、当該金額 285 万 5,334 円及びこれに対する遅延損害金を請求すべ
きである。遅延損害金の算出に当たっては、不法行為の日(各領収書
の日付け)から支払済みまで民法所定の年 5 分の割合による金員の支
払を求めるのが相当である。
オ
小林議員が、政務調査費及び政務活動費を充てることができる経費
としての計上を取り消したもののうち広報・広聴費のアルバイト代、
事務・事務所費のスタンプ作成代と政務調査費及び政務活動費を充て
ることができる経費に支出していることが確認できなかったものにつ
いて
同議員の収支報告書等の各年度の政務調査費及び政務活動費の支出
決算額は以下のとおりとなっている。ただし、計算上監査請求後の訂
正は反映していない。
平成 23 年度(政務調査費)
-- 47 --
374 万 7,540 円
平成 24 年度(政務調査費)
338 万 8,969 円
平成 24 年度(政務活動費)
31 万 9,153 円
平成 25 年度(政務活動費)
361 万 1,738 円
ただし、昨年度の監査結果に基づいて、248 万 5,125 円が減じら
れ 112 万 6,613 円が支出決算額となっている。
平成 26 年度(政務活動費)
266 万 8,803 円
また、同議員の収支報告書等の各年度の政務調査費及び政務活動費
の支出決算額のうち政務調査費充当額及び政務活動費充当額は、以下
のとおりとなっている。ただし、計算上監査請求後の訂正は反映して
いない。
平成 23 年度(政務調査費)
330 万円
平成 24 年度(政務調査費)
330 万円
平成 24 年度(政務活動費)
30 万円
平成 25 年度(政務活動費)
360 万円
ただし、昨年度の監査結果に基づいて、247 万 3,387 円が返還さ
れ 112 万 6,613 円が支出決算額のうち政務活動費充当額となって
いる。
平成 26 年度(政務活動費)
266 万 8,803 円
(ア) 平成 23 年度(政務調査費)について
平成 23 年度の小林議員の政務調査費充当額は 330 万円となってい
たが、まず、これから同議員が、政務調査費を充てることができる
経費としての計上を取り消したもののうち広報・広聴費のチラシデ
ザイン料及び印刷代等 25 万 5,000 円を減じるため、政務調査費充当
額は 304 万 5,000 円(支出決算額 349 万 2,540 円)となる。
同議員が、政務調査費を充てることができる経費としての計上を
取り消したもののうちアルバイト代 69 万 8,000 円及び 政務調査費
を充てることができる経費に支出していることが確認できなかった
もの 270 万 8,455 円の計 340 万 6,455 円については、政務調査費を
充てることができる経費として認めることができないので、同議員
が平成 23 年度の政務調査費に充当することができるのは、支出決算
額 349 万 2,540 円から 340 万 6,455 円を減じた 8 万 6,085 円となる。
このため政務調査費充当額 304 万 5,000 円から 8 万 6,085 円を減じ
た 295 万 8,915 円を市長に返還すべきこととなる。
(イ) 平成 24 年度(政務調査費)について
平成 24 年度の小林議員の政務調査費充当額は 330 万円となってい
-- 48 --
たが、まず、これから同議員が、政務調査費を充てることができる
経費としての計上を取り消したもののうち広報・広聴費のチラシ印
刷請負費等 23 万 935 円を減じるため、政務調査費充当額は 306 万
9,065 円(支出決算額 315 万 8,034 円)となる。
同議員が、政務調査費を充てることができる経費としての計上を
取り消したもののうちアルバイト代 66 万 2,000 円 及び 政務調査費
を充てることができる経費に支出していることが確認できなかった
もの 242 万 4,625 円の計 308 万 6,625 円については、政務調査費を
充てることができる経費として認めることができないので、同議員
が平成 24 年度の政務調査費に充当することができるのは、支出決算
額 315 万 8,034 円から 308 万 6,625 円を減じた 7 万 1,409 円となる。
このため政務調査費充当額 306 万 9,065 円から 7 万 1,409 円を減じ
た 299 万 7,656 円を市長に返還すべきこととなる。
(ウ) 平成 24 年度(政務活動費)について
平成 24 年度の小林議員の政務活動費充当額は 30 万円となってい
たが、まず、これから同議員が、政務活動費を充てることができる
経費としての計上を取り消したもののうち広報・広聴費のポスティ
ング請負費 7 万 5,000 円を減じるため、政務活動費充当額は 22 万
5,000 円(支出決算額 24 万 4,153 円)となる。
同議員が、政務活動費を充てることができる経費としての計上を
取り消したもののうちアルバイト代 4 万 6,000 円 及び 政務活動費
を充てることができる経費に支出していることが確認できなかった
もの 19 万 4,000 円の計 24 万円については、政務活動費を充てるこ
とができる経費として認めることができないので、同議員が平成 24
年度の政務活動費に充当することができるのは、支出決算額 24 万
4,153 円から 24 万円を減じた 4,153 円となる。このため政務活動費
充当額 22 万 5,000 円から 4,153 円を減じた 22 万 847 円を市長に返
還すべきこととなる。
(エ) 平成 25 年度(政務活動費)について
平成 25 年度の小林議員の政務活動費充当額は 112 万 6,613 円とな
っていたが、まず、これから同議員が、政務活動費を充てることが
できる経費としての計上を取り消したもののうち広報・広聴費のチ
ラシ印刷代等 48 万 8,170 円を減じるため、政務活動費充当額は 63
万 8,443 円(支出決算額 63 万 8,443 円)となる。
同議員が、政務活動費を充てることができる経費としての計上を
取り消したもののうちスタンプ作成代 6,595 円 及び 政務活動費を
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充てることができる経費に支出していることが確認できなかったも
の 50 万 6,250 円の計 51 万 2,845 円については、政務活動費を充て
ることができる経費として認めることができない。平成 25 年度の政
務活動費充当額と支出決算額は既に同額となっていることから 51 万
2,845 円を市長に返還すべきこととなる。
(オ) 平成 26 年度(政務活動費)について
平成 26 年度の小林議員の政務活動費充当額は 266 万 8,803 円とな
っていたが、まず、これから同議員が、政務活動費を充てることが
できる経費としての計上を取り消したもののうち広報・広聴費のチ
ラシ印刷代等 180 万 6,229 円を減じるため、政務活動費充当額は 86
万 2,574 円(支出決算額 86 万 2,574 円)となる。
同議員が、政務活動費を充てることができる経費に支出している
ことが確認できなかったもの 86 万 2,574 円については、政務活動費
を充てることができる経費として認めることができない。平成 26 年
度の政務活動費充当額と支出決算額は既に同額となっていることか
ら 86 万 2,574 円を市長に返還すべきこととなる。
(カ) 遅延損害金について
前記のとおり平成 23 年度から平成 26 年度まで同議員が政務調査
費及び政務活動費として認められない経費を政務調査費及び政務活
動費に充当した収支報告書等を提出したことは、少なくとも過失に
よる不法行為に該当すると認められる。したがって、市長は、同議
員に対し、民法第 709 条(不法行為)に基づく損害賠償請求として、
当該金額 755 万 2,837 円(平成 23 年度 295 万 8,915 円、平成 24 年
度(政務調査費)299 万 7,656 円、平成 24 年度(政務活動費)22 万
847 円、平成 25 年度 51 万 2,845 円、平成 26 年度 86 万 2,574 円)及
びこれに対する遅延損害金を請求すべきである。
なお、政務調査費交付条例及び政務活動費交付条例では、前年度
の交付に係る政務調査費及び政務活動費について、毎年 4 月 30 日又
は 5 月 10 日までに収支報告書等を提出しなければならいとされてお
り、収支報告書等の提出期限を課しているが、この提出期限までに
議員は収支報告等の内容を確定すべきであり、実際の支出から提出
期限までは、議員が市長に返還すべき金銭について一律に期限の利
益を与えたものと解することができる。よって、遅延損害金の算出
に当たっては、不法行為の後である提出期限の翌日から支払済みま
で民法所定の年 5 分の割合による金員の支払を求めるのが相当であ
る。
-- 50 --
4 結
論
以上のとおり検討した結果、請求人の主張に一部理由があるものと認め、
地方自治法第 242 条第 4 項の規定により、次のとおり勧告する。
なお、措置を講じたときは、地方自治法第 242 条第 9 項の規定により、
その旨を通知されたい。
勧
告
(1) 市長は、小林議員に、本件政務活動費等のうち、過払いとなっている
金額相当額のうちのチラシ印刷代及びポスティング費用等については、
285 万 5,334 円及びこれに対する費用の支出日(各領収書の日付け)から
支払済みまで民法所定の年 5 分の割合による遅延損害金を、また、過払
いとなっている金額相当額のうちのチラシ印刷代及びポスティング費用
等以外のものについては、755 万 2,837 円及びこれに対する収支報告書等
の提出期限の翌日から支払済みまで民法所定の年 5 分の割合による遅延
損害金を平成 27 年 12 月 28 日までに請求する措置を講じるよう勧告する。
(2) 市長は、小林議員の事務・事務所費の政務活動用携帯電話代について、
平成 24 年度分及び平成 25 年度分の契約状況を確認し、平成 26 年度分と
同様に確認できなければこれらの政務調査費及び政務活動費への充当を
認めず、過払いとなっている金額相当額及びこれに対する収支報告書等
の提出期限の翌日から支払済みまで民法所定の年 5 分の割合による遅延
損害金を平成 27 年 12 月 28 日までに請求する措置を講じるよう勧告する。
以上
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