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羽田空港の貿易概況
平成22年12月 東 京 税 関 特集 羽田空港の貿易概況 -32年ぶりに国際定期便が就航- 羽田空港(=東京国際空港)は、1978年5月、成田空港の開港に伴い、一部国際路線を除き国内専用空港として利用さ れてきました。その後、沖合展開、C滑走路の供用開始などにより離着陸回数が増加したことや国内外の情勢の変化により、 チャーター便の増加、一部路線の定期化など、徐々に国際線が増えてきました。 そして2010年10月、D滑走路の供用開始に伴い冬ダイヤから国際定期便が復活しました。 32年ぶりの国際定期便が就航して最初の1か月、羽田空港の貿易概況をまとめてみました。 1.2010年11月の概況 前年11月と比べ、 輸出 2.5倍 輸入 6.6倍 2010年11月の羽田空港の貿易額は、輸出は16,061百万円で前年同月に比べ2.5倍、輸入は31,687百万円で同6.6倍、総額 47,748百万円で4.2倍といずれも大幅に増加しました。 また、直前の2010年10月と比べても、輸出が2.6倍、輸入が10.0倍、総額では5.1倍と大幅に伸びました。 輸出額 輸入額 総 額 16,061百万円 31,687百万円 47,748百万円 -1- 対前年伸率 2.5倍 対前年伸率 6.6倍 対前年伸率 4.2倍 2.地域別輸出入動向 地域別では、輸出は2010年10月までは、アメリカのシェアが5割、次いでシンガポールが3割強で、2か国で8割強を占めていましたが、 11月は中国が5,521百万円、前年同月の11,087.2倍、シェアは34.4%と大幅に伸びました。アメリカは2,910百万円で対前年伸び率は 7.9%増と小幅にとどまっています。次いでシンガポール、台湾、フランスの順で、台湾、フランスは大きくシェアを伸ばしています。 輸入は、2010年10月まではアメリカがシェアのほとんどを占めていましたが、11月は、アメリカが19,240百万円で前年同月に比べ4倍 に伸びているもののシェアは6割と大きく落ち込んでいます。一方、中国が5,639百万円、前年同月の668.7倍でシェアは17.8%と大きく 伸びています。 【輸出】 2010年1~10月 輸出額 シェア 2010年11月 輸出額 対前年伸率 シェア アメリカ 30,198百万円 50.7% 中国 5,521百万円 11,087.2倍 34.4% シンガポール 19,664百万円 33.0% アメリカ 2,910百万円 7.9% 18.1% フランス 1,483百万円 2.5% シンガポール 2,907百万円 31.1% 18.1% イギリス 1,460百万円 2.5% 台湾 2,727百万円 163.2倍 17.0% 中国 1,077百万円 1.8% フランス 862百万円 8.6倍 5.4% 対前年伸率 シェア 【輸入】 2010年1~10月 輸入額 シェア アメリカ 62,111百万円 96.1% カナダ 2,338百万円 3.6% 韓国 39百万円 中国 フランス 2010年11月 アメリカ 輸入額 19,240百万円 4.0倍 60.7% 中国 5,639百万円 668.7倍 17.8% 0.1% カナダ 2,255百万円 全増 7.1% 32百万円 0.0% シンガポール 2,160百万円 2,413.7倍 6.8% 28百万円 0.0% オーストラリア 747百万円 全増 2.4% -2- 3.主要品目 主要品目は、輸出は2010年10月までは再輸出品(航空機がほとんど)、航空機のエンジンや部品などがほとんどを占めていました。 11月でも再輸出品が8割を超えていますが、これまでシェアが小さかったビデオカメラなどの映像記録・再生機器、音響・映像機器の部 分品のシェアが拡大しています。 輸入についても航空機が実績のほとんどを占めていましたが、11月は航空機のシェアが6割台に下がり、携帯電話などの通信機、IC が登場しました。 【輸出】 2010年1~10月 輸出額 シェア 2010年11月 輸出額 対前年伸率 シェア 13,795百万円 2.2倍 85.9% 再輸出品 56,589百万円 95.1% 内燃機関 1,128百万円 1.9% 映像記録・再生機器 900百万円 全増 5.6% 映像記録・再生機器 241百万円 0.4% 音響・映像機器の部分品 460百万円 264.5倍 2.9% 音響・映像機器の部分品 234百万円 0.4% 個別半導体 245百万円 全増 1.5% 電気回路等の機器 187百万円 0.3% 内燃機関 222百万円 14.2% 1.4% 対前年伸率 シェア 20,928百万円 4.4倍 66.0% 再輸出品 【輸入】 2010年1~10月 航空機類 通信機 くぎ・ねじ・ナット・ボルト類 輸入額 シェア 2010年11月 輸入額 63,894百万円 98.9% 274百万円 0.4% 通信機 4,573百万円 全増 14.4% 33百万円 0.1% IC 1,684百万円 全増 5.3% 医薬品 746百万円 全増 2.4% 時計・同部分品 569百万円 390.4倍 1.8% 航空機類 -3- 4.2010年11月の港別輸出入額 主要港の輸出入額は下表のとおりです。羽田空港は、総額、輸出額では福岡空港に次いで第5位、輸入額は中部に次いで第4位となっ ています。 輸出 価額(百万円) 全国総額 輸入 対前年伸率(%) シェア(%) 価額(百万円) 対前年伸率(%) シェア(%) 5,441,123 9.1 100.0 5,278,302 14.2 100.0 成田空港 877,606 6.9 16.1 830,962 8.7 15.7 関西空港 340,124 -0.0 6.3 217,194 0.9 4.1 中部空港 57,663 -7.7 1.1 55,337 -5.7 1.0 福岡空港 45,136 -4.9 0.8 29,471 2.5 0.6 羽田空港 16,061 148.5 0.3 31,687 562.5 0.6 仙台空港 1,455 36.4 0.0 6,780 267.1 0.1 名古屋港 746,031 14.3 13.7 306,306 9.9 5.8 東京港 361,775 11.6 6.6 684,161 15.0 13.0 横浜港 563,734 16.4 10.4 276,811 20.5 5.2 神戸港 409,355 17.5 7.5 200,236 4.9 3.8 大阪港 239,935 1.5 4.4 367,414 23.1 7.0 (注)成田空港の貿易額は、東京航空貨物出張所、成田航空貨物出張所及び成田南部航空貨物出張所の各官署の通関額による。 -4- 5.貿易額の推移 貿易額の月別の推移は下表のとおりです。2009年1月以降の月ベースでは、輸入は最高額を記録しました。 羽田における通関額は、輸出入とも航空機の実績(輸出の場合は再輸出品に分類)がある月は大きく、ない月は小さくなる傾向にあり ました。2010年11月もその傾向は強く出ていますが、輸入にあってはこれまでになかった通信機やICの実績があることから、今後の変化 に注目したいところです。 億円 -5- 【参考】貿易額の推移(再輸出品・航空機類抜き) 2010年10月までの主要品目(再輸出品・航空機類)を除いた貿易額の月別の推移は下表のとおりです。 億円 -6- 6.輸出入品あれこれ 32年ぶりの国際定期便就航に伴い、便数、路線が拡大しました。そのため、輸出・輸入ともにこれまでとは異なる 貨物の動きがありました。 この1か月、貿易額は少ないものの、これまでになかった輸出入品についてご紹介します。 【牛肉の輸出】 香港向けに牛肉(38百万円)が輸出されました。 関係者によると香港の食肉業者に輸出したもので、大手ホテル、有名レストラン、高級百貨店に卸しているほか、自 社の系列レストランでも使っているとのこと。これまで成田から輸出していましたが、便の都合や羽田の保税蔵置場の食 品庫が真新しいことなどから羽田を利用しているところだとか。香港では、和牛の人気が高いことから、当面、同様の輸 出を予定しているとのことです。 【生鮮のまぐろの輸入】 生鮮マグロ(5百万円)の輸入がありました。ほとんどがパラオからのものです。 【ボージョレー・ヌーボーの輸入】 成田空港では風物詩の一つとなっているボージョレ・ヌーボー(355百万円)がフランスから届きました。 【切り花の輸入】 量はまだ多くはありませんが、切り花(14百万円)の輸入がありました。ほとんどがマレーシアからの 菊で、日本向けに品質のいいものが生産されているそうです。 関係者によると羽田空港は切り花を扱う「大田市場」に近く国内輸送コストが抑えられるため、今後、 成田から羽田へのシフトを進めるとのことです。 -7-