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2.12 コロンビア - 石炭資源情報

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2.12 コロンビア - 石炭資源情報
2.12
2.12
コロンビア
コロンビア
1. 一般情勢
(1) 国名 (英語名)
(2) 首都 (英語名)
コロンビア共和国 (Republic of Colombia)
ボゴタ (Boguta)
(3) 面積
113.9万平方キロメートル(日本の約3倍)
(4) 民族
混血75%、ヨーロッパ系20%、アフリカ系4%、先住民1%
(5) 言語
スペイン語
(6) 宗教
キリスト教(カトリック)
(7) 政治体制
立憲共和制
(8) 人口
4,823万人(2015年 国連)
(9) 人口密度
(10) 名目GDP
42.3人/km 2
3,818億ドル(2013年 世銀)、3,778億ドル(2014年)
(11) 一人当たりGDP (名目)
7,833ドル(2014年)
(12) 経済成長率
4.9%(2013年コロンビア国家統計局)、4.55%(2014年)
(13) 物価上昇率
1.9%(2013年コロンビア国家統計局)、2.90%(2014年)
(14) 外貨準備高 (US$)
(15) 総貿易額 (US$)
465億ドル(2015年6月)
輸出 548億ドル(2014年)
輸入 640億ドル(2014)
(16) 日本との貿易
対日輸出:8.15億ドル、対日輸入:13.79億ドル(2014年、財務省統計)
(17) 使用通貨
ペソ
(18) 為替レート
対米ドル、3,132(2015年12月)
(19) 失業率 (%)
9.11%(2014年コロンビア国家統計局)
(20) 在留邦人数、在日コロンビア人数
1,355人(2014年10月現在)/2,324人(2013年7月、在留外国人統計)
出所:「外務省ホームページ」、「JETRO 情報」、但し、(9)は(3)と(8)からの計算値、(10),(11)は「国際通貨基金
(IMF)ホームページ」、(14)は「アメリカ中央情報局(CIA)ホームページ」より作成
出所:CIA ホームページ
- 618 -
2.12
2.
コロンビア
エネルギー情勢
2013 年の一次エネルギー消費量は、石油換算で 3,165 万トンと前年 2012 年の 3,159 万
トンよりも 0.2%増加した。2000 年以降、年率の伸びは 1.29%と大きな変化はない。一次
エネルギー消費量の内訳をみると、石油(38.1%)とガス(26.6%)が主体の国であり、
石炭の輸出国でありながら石炭のシェア(11.1%)はあまり高くない。水力(12.0%)が
重要なエネルギー源の一つになっている。電源別の発電電力量をみても、石炭火力は 9.9%
と低く、水力発電が 68.7%と極めて高い。
(1) エネルギー政策
かつて、麻薬や手と犯罪が頻発し、世界一危険な国と言われたコロンビアが、そのイメ
ージを拭い去りつつある。目覚ましい治安改善とともに年 5%前後の安定した成長を達成。
豊かな鉱物資源や市場開放路線に、日本も注目する。治安が改善するにつれ海外からの直
接投資は増え、この 10 年で 10 倍に。油田開発などに中国や韓国、インドなどの新興国
が次々と参入した(2014.9.2 朝日新聞)。
♦ コロンビアのエネルギー政策策定の基となる、「長期国家エネルギー計画」をエネルギ
ー鉱物計画局(Unidad de Planeación Minero Energética.、UPME)が 2007 年 6 月
に発表した。内容は、コロンビアのエネルギー分野における需要と供給能力について分
析し、2025 年までの基本方針を打ち出している。具体的には太平洋岸地域における製
油所建設プロジェクト、北部地域における液化天然ガスの再ガス化プロジェクト、石油
・石炭製品の輸出増加計画などが取り上げられている。また、計画ではバイオ燃料に注
目しており、国内外での市場開拓の必要性について述べられている。
♦ 2010 年 8 月に発足した現政権は、2011 年 4 月、成長戦略の 5 本柱を基軸とする「国家
開発計画 2010-2014 年」を策定し、そのうち鉱業エネルギーの開発に約 97 兆ペソ、道
路や輸送インフラの整備に約 33.7 兆ペソを投じる計画になっている。
(2)石炭政策
♦ 石炭は重要な外貨獲得手段となっており、エネルギー鉱物計画局(UPME)が長期計画
を作成している。
♦ コロンビアの石炭採掘は 2000 年に民営化され、民間企業により進められている。
♦ 外資が資源開発を行うに当たっては、原則として、事前承認を必要とする他は国内の企
業と同等の権利を認めており、その導入にも積極的である。
♦ 上記の「長期国家エネルギー計画」の中で、石炭関連の定量的な目標は
電力エネルギーの相互接続地域を、90%から 99.4%に増やす。
国内における発電容量を 13,398MW から 16,017MW に増やす。
石炭の輸出を、50 百万トンから 100 百万トンに増やす。
コロンビアにおける石炭政策の指針は、2007 年に鉱山エネルギー計画局(UPME:Unidad de
Planeación Minero Energética)により策定された国家鉱業開発計画(Colombia Pais Minero-Plan
Nacional para el Desarrollo Minero, visión al año 2019)で定められている。同計画はコロンビアの
鉱業開発に関する 2019 年までの長期的なビジョン、政策目標及びアクションプランの大枠を示
- 619 -
2.12
コロンビア
したものあり、国内炭に係る主要政策方針として次の 3 点が挙げられている。
① 投資家誘致の促進
② 鉱業分野における生産性と市場競争力の向上
③ 鉱山資源管理の制度面の向上
これらの具体的な政策目標およびアクションプランは次表の通りである。コロンビアの石炭輸
出増加に向けた課題は鉄道、港湾等の輸送インフラ整備であり、これに向けた取組みが行われて
いる。この他、石炭生産量の増加に向けた地質情報の更新、炭鉱における生産技術の高度化に向
けたアクションプランが定められている。
鉱業分野の長期開発計画における政策目標およびアクションプラン
政策目標
アクションプラン
物流インフラ整備プロジェクトを促進(詳細は第 5 章を参照)。具体例としては、
石炭輸出を 2019 年までに
2006 年比 2 倍
コロンビア北部ベネズエラ国境の Norte de Santander 県において、国内、ベ
ネズエラ国の港までの道路を整備。
SIMCO による国内全地域の石炭埋蔵量、地質情報の高度化(ボーリング情
報の共有、地層断面図の蓄積)。
ANM(2006 年当時は Ingeominas)はロイヤルティ徴収を厳格化。2006 年時
鉱業関連企業のロイヤルティ
点においてロイヤルティの支払いにあたり生産量の虚偽報告、不払い、違法
支払による国庫増収
採掘が見受けられたため、ANM はこの取締りを強化。また、過去の不払い分
についても訴求請求が可能となるよう、行政制度を改正。
炭鉱契約面積を 2019 年まで
調査地域の拡大を目的として、規制緩和により民間投資による掘削調査を拡
に 2006 年比 3 倍
大。
炭鉱開発投資の促進
ANM の掘削探査等による詳細な地図情報をはじめ、炭鉱開発に資する地理・
地質情報を公開。
効率的な生産管理手法の導入が遅れている炭鉱において、技術向上と管理
生産性向上により生産量を
方法の高度化を実現。
2019 年に 2006 年比 2 倍
生産性の低い掘削方法の効率化を図るため、グアチェタ (クンディナマルカ
県) とソチャ (ボヤカ県) に技術開発センターを設置し、掘削をサポート。
出所:UPME, Plan Nacional para el Desarrollo Minero, visión al año 2019
(3)環境政策
♦ コロンビアの環境政策は、1993 年に国家環境システム(SINA)によって整備された。
コロンビアにおける森林 1保護の歴史は長く、1959 年から保護区が設定されている。
水汚染については 1970 年代に、大気汚染については 1990 年代に規制が定められた 2。
♦ コロンビアの環境行政は、国家環境システム(SINA)という行政機構の中でとり行わ
れ、地方レベルでは地方環境公社や持続的開発地方公社が担当している 3。
(4)一次エネルギー消費量
1
2
3
国土の 50%近くが森林で覆われている。
宇佐見耕一 他「図説 ラテンアメリカ経済」日本評論社、2009 年 4 月、p.113.
JETRO ボゴタ事務所、平成 14 年度 中南米ビジネス機会発掘調査報告書「ウリベ政権の経済政策と 4 ヵ年
国家開発計画」2003 年 3 月、p.31.
- 620 -
2.12
コロンビア
(石油換算千トン)
2000
2005
2010
2011
2012
2013
年平均
伸び率
'00-'13
年平均
伸び率
'10-'13
2005年の
シェア
2013年の
シェア
石 炭
2,635
2,700
3,218
3,500
2,867
3,517
2.25%
3.01%
9.6%
11.1%
石 油
11,537
11,770
14,070
12,594
13,092
12,067
0.35%
-4.99%
42.1%
38.1%
ガ ス
5,456
6,119
8,227
7,569
7,917
8,406
3.34%
0.72%
21.9%
26.6%
原子力
0
0
0
0
0
0
0.00%
0.00%
0.0%
0.0%
12.0%
水 力
2,758
3,423
3,474
4,204
4,092
3,811
2.52%
3.13%
12.2%
その他
4,397
3,974
3,245
3,385
3,621
3,849
-1.01%
5.86%
14.2%
12.2%
合 計
26,783
27,987
32,235
31,252
31,590
31,650
1.29%
-0.61%
100.0%
100.0%
出所:IEA, “Energy Balances of Non-OECD Countries 2015”
(5)一人当たりエネルギー消費量
一次エネルギー消費量
(石油換算百万トン)
人口(百万人)
一人当たりエネルギー消費
(石油換算トン/人)
2000
2005
2010
2011
2012
2013
26.78
27.99
32.24
31.25
31.59
31.65
39.9
43.2
46.4
47.1
47.7
48.3
0.671
0.648
0.695
0.663
0.662
0.655
出所:IEA, “Energy Balances of Non-OECD Countries 2015”
(6)一次エネルギー需給バランス(2013 年)
石 炭
国内生産
55,572
石 油
ガ ス
52,345
原子力
9,859
0
水 力
3,811
電 力
-
(石油換算千トン)
その他
合 計
3,965
125,552
輸 入
0
3,775
0
0
0
0
0
3,775
輸 出
-53,109
-45,151
-1,453
0
0
-116
0
-99,829
0
-1,877
0
0
0
-
0
-1,877
バンカー
在庫変動
0
2,975
0
0
0
-
0
2,975
一次供給
3,517
12,067
8,406
0
3,811
-116
3,965
31,649
注: *バンカーとは、国際航空及び外航海運のための燃料
出所:IEA, “Energy Balances of Non-OECD Countries 2015”
(7)電力消費
(GWh)
2000
産 業
輸 送
家 庭
業 務
その他
合 計
2005
2009
11,243
12,571
14,265
43
43
60
14,470
16,254
19,076
7,794
9,179
11,142
1,640
879
1,816
35,190
38,926
46,359
2010
2011
2012
2013
14,693
62
19,648
11,476
1,871
47,750
16,156
63
20,041
11,706
1,908
49,874
15,585
65
20,819
12,160
2,236
50,865
16,123
77
21,443
12,525
2,727
52,895
出所:IEA, “Energy Statistics of Non-OECD Countries 2015”
- 621 -
年平均
伸び率
'00-'13
年平均
伸び率
'10-'13
2.81%
3.15%
4.58%
7.49%
3.07%
2.96%
3.72%
2.96%
3.99%
13.38%
3.19%
3.48%
コロンビア
2.12
(8)発電電力量
(GWh)
2000
石 炭
2005
2,221
2010
2,491
2011
3,754
2012
2,300
年平均
伸び率
'00-'13
年平均
伸び率
'10-'13
2005年
のシェア
2013年
のシェア
6,387
8.27%
19.38%
4.9%
9.9%
2013
3,411
石 油
101
114
502
145
343
454
10.26%
-3.29%
0.2%
0.7%
ガ ス
8,253
7,399
11,597
7,642
8,993
11,499
2.58%
-0.28%
14.7%
17.8%
原子力
0
0
0
0
0
0
-
-
0.0%
0.0%
水 力
32,074
39,803
40,401
48,878
47,582
44,312
2.52%
3.13%
79.0%
68.7%
その他
550
604
538
2,040
2,008
1,834
10.77%
55.78%
1.2%
2.9%
合 計
43,199
50,411
56,792
61,005
62,337
64,486
3.13%
4.33%
100.0%
100.0%
出所:IEA, “Energy Balances of Non-OECD Countries 2015”
(9)部門別エネルギー消費(2013 年)
部 門
(石油換算千トン)
最終エネルギー
消費量
産 業
6,561
輸 送
8,780
家 庭
5,291
業 務
1,596
農林漁業他
2,074
非エネルギー
350
その他
49
合 計
24,701
農林漁業他
8.4%
非エネルギー
その他
1.4%
0.2%
業 務
6.5%
産 業
26.6%
家 庭
21.4%
輸 送
35.5%
出所:IEA, “Energy Balances of Non-OECD Countries 2015”
(10)エネルギー需給の見通し
2009 年から 30 年の間に 205TJ 増加すると予測されている。2030 年の需要は 597TJ
の見通しで、うち 359TJ は水力、コジェネレーション、風力が占める。石炭火力発電のエ
ネルギー需要はおおむね横ばいで推移すると予測されている。
エネルギー需要の実績及び見通し
- 622 -
2.12
コロンビア
注)2000 年から 2009 年は実績値。2010 年以降は予測値。
出所:UPME, Proyección de Demanda de Energía Eléctrica en Colombia, Revision de Octubre 2010
3. 石炭生産、消費動向
2014 年の石炭生産量は 8,858 万トンで、14 年前の 2.32 倍に増加し、年間伸び率は 6.2%
と高い。うち原料炭が 510 万トン(5.8%)で、殆どが一般炭である。一般炭だけの生産量
をみると、世界第 9 位である。そして、国内消費量は 732 万トンと極めて少なく、生産量
の 9 割以上を輸出に廻しており、外貨獲得源となっている。
なお、
(8)に後述したように、2013 年の石炭生産量は炭鉱ストライキ等による影響で 2012
年よりも約 3%減少した。
(1)石炭埋蔵量
♦ World Energy Council(WEC)2013 の報告によれば、コロンビアの石炭可採埋蔵量は
67.5 億トン、うち瀝青炭(無煙炭を含む)は 63.7 億トンと総可採埋蔵量の 94%を占め
ている。
可採埋蔵量
(百万トン)
瀝青炭
無煙炭
6,746
(100.0%)
亜瀝青炭
褐 炭
計
6,746
(100.0%)
出所:WEC, “Survey of Energy Resources 2013”より作成
♦ 当該国が示す石炭埋蔵量は以下のとおりで、2012 年の調査では確認埋蔵量は 64.2 億ト
ンで、大規模炭鉱が存在するコロンビア北部のグアヒラ県、セサル県において多く、コ
ロンビア全体の 80%程度を占めている。
県別の石炭確認埋蔵量(2012 年)
単位:MT
Cundinam
Norte de
Valle del
Boyaca
Antioquia Santander
arca
Santander
Cauca
378
220
151
103
87
55
40
La Guajira Cesar Córdoba
確認埋蔵量
3,660
1,724
合計
6,419
出所:UPME 資料より作成
(2)炭田位置図、主要炭鉱位置図
♦ 石炭は北部のグアヒラ(Guajira)半島に多く分布しており、中でもセレホン(Cerrejon)
炭田がその代表である 4。
4
NEDO ホームページ掲載情報「国別石炭情報(コロンビア)」
- 623 -
2.12
コロンビア
出所:
(左図)SIMEC(SISTEMA DE INFORMATION MINERO ENERGETICO COLOMBIANO)ホームペ
ージ(http://www.simec.gov.co/Mapas/CatalogodeMapas/tabid/54/Default.aspx)
(右図)NEDO ホームページ掲載情報「国別石炭情報(コロンビア)」
(http://www.nedo.go.jp/sekitan/database/country/c0011.htm)
コロンビアの石炭生産地域と炭田位置
(3)石炭生産量
(千トン)
注:
年平均
伸び率
'00-'14
年平均
伸び率
'10-'14
83,474
6.10%
5.78%
4,239
5,104
7.65%
9.98%
89,024
85,496
88,578
6.18%
6.01%
0
0
0
0
-
-
85,803
89,024
85,496
88,578
6.18%
6.01%
2000
2005
2010
2011
2012
2013
一般炭
36,424
57,613
70,513
81,773
84,528
81,257
原料炭
1,818
1,451
3,837
4,030
4,496
計
38,242
59,064
74,350
85,803
褐 炭
0
0
0
合 計
38,242
59,064
74,350
*2013 年は見込み、出所:IEA, “Coal Information 2015”
(4)炭種別石炭消費量
- 624 -
2014*
2.12
コロンビア
(千トン)
注:
2011
2012
2013
2014*
年平均
伸び率
'10-'14
2005
一般炭
3,644
3,659
3,581
3,961
2,788
3,896
4,153
0.94%
5.06%
原料炭
587
514
2,621
2,569
2,941
3,069
3,170
12.80%
6.55%
4,231
4,173
6,202
6,530
5,729
6,965
7,323
4.00%
5.70%
計
2010
年平均
伸び率
'00-'14
2000
褐 炭
0
0
0
0
0
0
0
合 計
4,231
4,173
6,202
6,530
5,729
6,965
7,323
-
-
4.00%
5.70%
*2013 年は見込み、出所:IEA, “Coal Information 2015”
(5)分野別石炭消費量
(a)ハード・コール
(千トン)
2000
2005
2010
2011
2012
2013
鉄鋼用
1,200
1,000
2,894
2,924
3,193
3,326
電力用
800
1,000
1,581
895
1,242
2,331
1,230
2,600
1,138
1,152
民生用
100
100
80
110
110
110
その他
3,000
2,300
417
1
46
46
合 計
5,100
4,400
6,202
6,530
5,729
6,965
一般産業用
注:鉄鋼用にはコークス、高炉ガスへの転換分を含め、その他には産業用を含める。
出所:IEA, “Energy Statistics of Non-OECD Countries 2015”
当該国が示す 2011 年の石炭消費量は 610 万トンで、用途はコークス 43%、発電 14%、鉄
鋼業 12%、セメント業 12%の順となっている。セクター別石炭消費量を次図に示す。
食品・飲料・タ
バコ, 2.63%
ガラス・陶磁器,
1.94%
化学, 1.99%
ロス, 0.7%
その他, 0.7%
民生, 2.77%
織物, 4.26%
製紙・印刷,
5.93%
コークス,
43.21%
セメント, 11.88%
鉄鋼業, 11.62%
発電, 13.59%
セクター別石炭消費量(2011 年)
出所)CADENA DEL CARBON 2012, UPME をもとに三菱総合研究所作成
(6)炭鉱開発状況
♦ セレホン(Cerrejon)炭鉱拡張プロジェクト
セレホン炭鉱はコロンビア北東部に位置するラ・グアヒラ(La Guajira)県の露天掘り一般炭
- 625 -
2.12
コロンビア
炭鉱で BHP ビリトン、アングロ・アメリカン、グレンコア社の 3 社が各 33.3%の権益を
保有する。同炭鉱で生産された石炭はプエルト・ボリバー港から欧州や米国などに輸出さ
れている。セレホン炭鉱では拡張工事が 2013 年末に完了し、石炭生産能力が 3,200 万トン
/年から 4,000 万トン/年に拡大した。ただし、2013 年の生産量は 3,300 万トン/年にと
どまり、前年の実績を 164 万トン(4.7%)下回った。これは 2013 年 2 月 7 日に発生した
大規模ストライキによって、生産が 1 ヵ月以上中断したためである。2014 年の生産量は 3,420
万トン(前年比 2%増)であった。
♦ ドラモンド(Drummond)炭鉱の拡張プロジェクト
ドラモンドは、2011 年に伊藤忠商事が資本参加した後、生産量を伸ばし、2013 年で 2,300
万トン、2014 年で 2,680 万トンであった(10.「最近の生産状況」参照)
。
♦ エル・ハリロ(El Hatillo)炭鉱の拡張
エル・ハリロ炭鉱の石炭生産量は、2008 年約 180 万トンで、2011 年までに拡張によって
450 万トン/年に引き上げられる計画となっている(「8. 主要炭鉱の概要」参照)。
♦ セロ・ラルゴ(Cerro Largo)鉱区の開発
セロ・ラルゴ鉱区では現在、早期開発をめざして探査作業が進められている。同鉱区の可
採石炭埋蔵量は 5 億トン。ブラジルのヴァーレ(Vale)は 2009 年 3 月に、コロンビアの大
手セメント・メーカーのセメントス・アルゴス(Cementos Argos S.A.、Argos)から鉱区
権益を買収した。
(7)石炭需給見通し
♦ エネルギー鉱物計画局(UPME)が 2009 年に示したコロンビアの石炭生産計画の推移
は以下の通り。計画では 2010 年に 1 億トンを超え、2013 年には 1 億 2,000 万トンを
超えるとしていたが、計画値をかなり下回っており、現状はまだ 1 億トンに届いていな
い。改訂版の生産計画は示されていない。
♦ 三大石炭生産社の生産予測は次表のとおりで、Correjon は 2014 年で 4,000 万トン、
Drummond は 2017 年で 3,500 万トン、Prodeco は 2019 年で 2,100 万トンである。
コロンビアの石炭生産計画
出所:NEDO 平成 21 年度海外炭開発高度化等調査「コロンビアの輸出ポテンシャル」
- 626 -
2.12
コロンビア
コロンビア三大石炭生産者の生産予測
単位:MT
生産予測(想定年)
石炭生産地
2012 年生産量
Cerrejon
32
40(2014 年)
Drummond
26
35(2017 年)
Prodeco
14
21(2019 年)
出所)MinMinas ヒアリング、JOGMEC、「平成 24 年度海外炭開発高度化等調査」
(8)当該国が報告する消費・生産統計
(a)石炭消費
セクター別石炭消費量(2005-2011 年)
2005年
消費量
(Kt)
コークス
発電
鉄鋼業
セメント
製紙・印刷
織物
民生
食品・飲料・タバコ
化学
ガラス・陶磁器
その他
ロス
調整
合計
188
97
90
83
42
30
10
18
14
14
1
7
-252
341
比率
55%
28%
26%
24%
12%
9%
3%
5%
4%
4%
0%
2%
-74%
100%
2006年
消費量
(Kt)
188
114
75
46
23
16
10
10
8
8
0
7
-109
394
比率
48%
29%
19%
12%
6%
4%
2%
3%
2%
2%
0%
2%
-28%
100%
2007年
消費量
(Kt)
比率
244
121
77
49
24
17
10
11
8
8
0
8
-44
533
2008年
消費量
(Kt)
46%
23%
14%
9%
5%
3%
2%
2%
2%
2%
0%
1%
-8%
100%
418
115
69
52
26
19
9
12
9
9
0
8
-170
574
比率
73%
20%
12%
9%
5%
3%
2%
2%
2%
1%
0%
1%
-30%
100%
2009年
消費量
(Kt)
148
175
55
53
27
19
13
12
9
9
1
4
82
605
比率
24%
29%
9%
9%
4%
3%
2%
2%
1%
1%
0%
1%
14%
100%
2010年
消費量
(Kt)
315
158
49
34
17
12
8
8
6
6
0
4
3
620
比率
51%
25%
8%
6%
3%
2%
1%
1%
1%
1%
0%
1%
0%
100%
2011年
消費量
(Kt)
264
83
71
72
36
26
17
16
12
12
1
4
-4
610
比率
43%
14%
12%
12%
6%
4%
3%
3%
2%
2%
0%
1%
-1%
100%
出所:“Cadena del Carbon 2012 (UPME) を基に作成
(b)石炭生産
♦ 2014 年の石炭生産量は前年比 310 万トン(3.6%)増の 8,860 万トン(グアヒラ県で全
体の 34.3%、セザール県で 47.3%を占めた)であった。最高であった 2012 年の生産
量に接近している。
出所:IHS Energy 22nd Annual Coal Conference of the America
- 627 -
2.12
コロンビア
♦ コロンビアのエネルギー鉱物計画局(UPME)によると、次表のように石炭生産量は、
2011 年で 8,580 万トン、2012 年で 8,902 万トンと増加してきたが、2013 年は 8,550
万と減少した。グアヒラ(Guajira)県での生産が全体の 38.9%、セザール(Cesar)
県での生産が全体の 52.7%を占めている。
♦ 2015 年の第一四半期の生産量は 5%減の 2,320 万トンとなった。
減少した理由は Fenoco
鉄道の制約の問題である。ANM では、2015 年通期で 9.700 万トンを予測していたが、
少なくとも 8.700 万トンになると見ている。
(2015.5.26 PLATTS)。
コロンビア主要炭鉱の生産量の推移(2010-2013 年)
単位:百万トン
県名
出資者
(出資比率)
炭鉱名
生産量
2010
2011
2012
2013
15,353
16,499
19,744
21,717
5,623
4,661
5,082
3,114
1,227
1,398
772
651
5,178
5,997
6,624
6,469
3,717
4,802
2,871
1,345
北 部
Cerrejon Zone Norte
Consorcio Cerrejon-Patilla
La
Guajira
Carbones del Correjon-La
Comunidad
Carbones del CerrejonOreganal
Carbones Colombianos del
Cerejon-La Comunidad
BHPビリトン(33.3%)、アング
ロアメリカン(33.3%)、グレンコ
ア(33.3%)
Paciffic Coal
計
L a L om a -Dr um m ond
Dr u m m o n d Lt d- El De s c an s o
ドラモ ンド( 8 0 %) 、
伊藤忠( 2 0 %)
Carbones El Tesoro S.A.
Carbones de la Jagua
Cesar
グレンコア(100%)
33,356
35,093
33,296
18,116
17,177
14,492
2,952
4,926
8,828
8,293
1,416
1,167
297
119
1,573
2,994
2,088
2,770
Consorcio Minero Unido S.A.
1,753
2,845
2,145
4,147
C.I Prodeco S.A.
5,234
7380.00
10,184
11,581
ゴールドマン・サッ
クス(100%)
1,516
2,391
2,604
393
Norcarbon S.A.-area La Divisa
Paciffic Coal
509
298
376
303
Emcarbon S.A -Diamond
Ltda.Vale Coal Colombia Ltd
ゴールドマン・サッ
クス(100%)
2,991
3,571
2,980
2,970
36,016
43,688
46,679
45,069
100
312
224
16
100
312
224
16
Compania Carboned del Cesar S.A
Comercializadora Internacional
Colombian Natural Resources I SAS
計
Cordoba
31,098
18,073
Carboned del Caribe-area La
Guacamaya
計
内 陸 部
Antiquia
複数炭鉱
149
334
155
109
Boyaca
複数炭鉱
2,676
2,754
2,625
2,723
Cundinamarca
複数炭鉱
0
1
1
1
Norte de Santander
複数炭鉱
1
84
25
41
Santander
複数炭鉱
2,056
3,063
1,700
2,408
Valle de Cauca
複数炭鉱
136
202
92
139
Casanare
複数炭鉱
2,117
1,902
2,396
1,687
0
109
32
7
計
複数炭鉱
7,136
8,448
7,029
7,115
合 計
74,350
85,803
89,024
85,496
Cauca
注)内陸部は炭鉱が多数存在するため、炭鉱名の列に県名を記載した。
出所:Boletín Estadístico de Minas y Energía 2000-2013(UPME)より作成
- 628 -
2.12
コロンビア
コロンビアの石炭生産量、輸出量、輸出割合の推移(2003-2013 年)を次に示す。
コロンビアの石炭生産量は概ね増加傾向にある。2012 年の年間生産量は 8,902 万トンであり、
2011 年に比べ約 320 万トン増加した。一方で、国家鉱山庁(ANM)によると、2013 年はコロン
ビア革命軍(FARC)によるセレホン鉄道の爆破事件や、セレホン、ドラモンド等の大規模炭鉱
でのストライキの長期化等の問題により、年間生産量が 8,550 万トンと前年比で 4%減少した。
ANM によると 2013 年は国内の石炭生産量の 94.3%が輸出された。ここ数年は国内のエネルギ
ー需要の高まりと石炭エネルギー利用の促進に伴い、輸出比率は減少傾向にある。一方で、PEN
における需要予測では、国内の石炭需要は 2012 年の 800 万トン程度から 2025 年には 1,000 万ト
ン程度までしか増えない見込みである。このため、生産量が 1 億トン前後まで増加した場合、2025
年における輸出比率は 90%程度となると想定される。
生産量
99.9%
96.1% 95.6% 96.7%
石炭生産量、輸出量(MT)
90
80
70
60
53.953.8
50
59.7
57.3
66.2
63.3
88.9%
69.9
67.6
96.1% 98.0%
85.8
74.4
73.5
72.8
72.8
70.0
65.3
輸出比率
100%
95.3% 87.4% 94.3%
89.0
90%
85.5
80.6
81.8
77.8
80%
70%
60%
50%
40
40%
30
30%
20
20%
10
10%
0
0%
2004
輸出比率
100
輸出量
2005
2004年
2006
2005年
2007
2006年
2008
2007年
2009
2008年
2010
2009年
2011
2012
2010年
2011年
2013
2012年
2013年
生産量 (MT)
53.9
59.7
66.2
69.9
73.5
72.8
74.4
85.8
89.0
85.5
輸出量 (MT)
53.8
57.3
63.3
67.6
65.3
70.0
72.8
81.8
77.8
80.6
99.9%
96.1%
95.6%
96.7%
88.9%
96.1%
98.0%
95.3%
87.4%
94.3%
輸出比率
コロンビアにおける石炭生産量、輸出量、輸出割合の推移(2004-2013 年)
注)2013 年の生産量及び輸出比率は 2014 年 2 月 6 日付 ANM プレスリリースより抽出した。
出所:Produccion por Tipo de Carbon&Exportaciones - Período 01/01/2003 a 31/12/2013 - Grupo Carbones。ANM
コロンビアのアジア向けの石炭輸出は 2008 年以降増加しており、背景にはアジア向け輸出単
価が高いこと、米国への輸出量減少がある。2010 年のアジア向け輸出量は 920 万トンであり、
その内訳は比率の高い順に中国、韓国、日本、タイであった。輸出量は 2011 年には 280 万トン、
2012 年には 670 万トン、2013 年 9 月末で 110 万トンと増減を繰り返している。輸出の変動要因
としては、まず国際的な石炭価格の下落により輸送コストの高いコロンビア炭がアジアにおいて
取引されなくなっていることが考えられる。中国向け輸送コストについては、ケープサイズ船舶
がコストの関係上喜望峰回りとなることから、ヨーロッパ向けに比べ割高となると見られている。
国家鉱山庁(ANM:Agencia Nacional de Mineria)は、アジア輸出の増加にあたっては、現在
28US$/ton と見られている輸送コストの削減や現在 40 日を要する輸送時間の短縮が不可欠であ
- 629 -
2.12
コロンビア
るとしている。輸送コストについてはパナマ運河の拡張により削減されるものと見られている。
2012 年に中国政府とコロンビア政府はコロンビア石炭産業への投資とアジア向け石炭輸出の
促進を目的とした太平洋沿岸への鉄道敷設について協議を行った。コロンビアは、太平洋岸に
800 万トン規模の港湾を建設することを検討しており、これによりアジア向け輸出コストの削減
及び輸送日数の短縮が可能と見ている。しかし炭鉱から港湾までの石炭輸送手段が整備されてお
らず輸送コストがかさむため、現状では太平洋岸からアジアへの石炭輸出の実現性は懐疑的であ
る。
コロンビアの仕向け先別輸出価格推移を次図に示す。2013 年時点での輸出単価はトルコが最
も安く 72.4US$/ton であった。欧州各国の輸出単価はオランダの 82.5US$/ton からイタリアの
108.1US$/ton まで幅広く分布している。米国に対する輸出価格は 82.4US$/ton と欧米に比較し安
価に輸出されている。
一方、日本に対する輸出価格は 124.8US$/ton と他国に比べ高値である。2010 年時点でも対日
本の輸出価格は 2010 年時点で 162.2US$/ton と他国に比べ 70~90US$/ton 程度高くなっている。
輸出単価(FOB USD/ton)
180
Japan
Spain
Portugal
Denmark
Netherland
Italy
France
Turkey
United States
160
Japan, 124.8
140
Italy, 108.1
120
France, 107.1
Denmark, 90.1
100
Spain, 89.3
80
Portugal, 86.0
60
Netherland, 82.5
40
United States, 82.4
Turkey, 72.4
20
0
2003
Denmark
Spain
United States
France
Italy
Netherland
Portugal
Turkey
Japan
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011
26.3
31.7
43.9
45.4
46.5
60.7
91.1
69.4
99.9
27.5
33.1
46.4
45.0
48.8 105.6
78.7
80.7
95.2
28.4
34.1
45.6
47.6
49.7
70.5
67.2
74.8
96.0
28.5
34.8
46.4
48.0
49.3
73.6
86.1
81.9
89.0
27.5
33.5
46.0
48.3
47.9
77.1
77.3
90.2 102.8
26.6
37.7
45.8
44.1
48.3
71.6
76.3
78.2
93.3
26.7
35.9
44.8
44.5
47.2
84.6
68.9
78.1
98.5
26.2
36.4
44.7
44.0
46.4
61.2
98.5
70.3
95.7
27.6
‐
48.9
46.5
47.5 106.0
73.9 162.2 119.8
コロンビアの仕向け先別輸出価格推移
出所:SIMCO より作成
- 630 -
単位:USD/ton
2012 2013
92.5
90.1
98.1
89.3
90.5
82.4
115.0 107.1
99.4 108.1
97.1
82.5
95.6
86.0
90.9
72.4
99.0 124.8
2.12
コロンビア
4. 石炭輸出入動向
米国のドラモンド社
(Drummond Company Inc.)
は 2016 年に、コロンビアで操業す
るドラモンド炭鉱群からの石炭輸出を 3,400 万~3,500 万トンに拡大する計画だ。ドラモン
ド炭鉱群は、
ドラモンド社がコロンビアで操業するミナ・プリベロー (Mina Pribbenow)
炭
鉱やエル・デスカンソ (El Descanso) 炭鉱など 5 つの露天掘り炭鉱で構成される。生産炭
種は輸出向けの高品位一般炭(2015.12.11 テックスレポート)。
世界第 5 位の石炭輸出国(一般炭に限っては世界第 4 位)であり、IEA Coal Information
2015 に基づく 2014 年の石炭輸出量は 8,026 万トンで、前年よりも 11 万トン(0.1%)増加
した。しかし、2000 年よりも 2.3 倍増加し、年間平均 6.0%ずつ伸びている。うち、98%と
殆どが一般炭である。この 8,026 万トンは(2)当該国が報告する石炭輸出統計の 8,712 万
トンよりも少ない。2013 年については ANM が 8,060 万トン、IEA が 8,015 万トン、TEX
レポートが 7,476 万トンである。なお、輸出相手国はオランダが第 1 位で、トルコ、英国、
イスラエルと続く。
セレホン炭鉱の 2015 年の石炭輸出は 3,340 万トンとなり、前年より 80 万トン減少した。ま
た生産量は 3,320 万トンで前年より 50 万トン減少した(2016.01.18 テックスレポート)
。セレ
ホン炭鉱は大規模な拡張工事が 2013 年末に終了し、石炭生産能力が 3 千万から 4 千万トンに高
まった(2014.01.19 日刊産業新聞)。
日本勢コロンビアに商機。伊藤忠、コロンビア石炭輸入を検討。伊藤忠商事の会長は、日本コ
ロンビア経済合同委員会で講演し、コロンビア産石炭の日本への輸入を検討していくと表明した。
11 年に 1265 億円を投じて 20%出資した米ドラモンド社が持つ炭鉱。これまでは欧州に輸出し
ていた。生産量は 13 年の 2,300 万トンから 14 年には 2,800 万トンに増える見通し(2014.07.31
日刊産業新聞)。
コロンビアの石炭輸出先に変化、アジア向け拡大の可能性。世界 5 位の石炭輸出国であるコ
ロンビアが新たな輸出先の開拓に迫られている。石炭生産量は毎年増加しているが、主要輸出先
の米国やカナダがシェール革命の影響で取引を大幅に削減。同時に米国炭が欧州に流れたことも
あり、コロンビア炭の欧州向けも縮小している。今後、日本はじめアジア市場への輸出が急増す
る可能性もある(2014.06.19 電気新聞)。
ドラモンド社がコロンビア炭輸出再開へ。米国のドラモンド社はコロンビア炭の輸出を 3 月
下旬に再開する。サンタ・マルタ湾の自社石炭積み出し港で進めている密閉式ベルト・コンベア
の設置工事が完了するためである(2014.03.13 テックスレポート)。
石炭年鑑 2015 に基づく 2014 年の石炭輸出量は 8,712 万トンと前年比 16.5%増加した。IEA
の数値よりも 1 割多い。輸出相手国の順位を見ると、ヨーロッパや南米向けが殆どである。オ
ランダが全体の 20%を占め、トルコ、英国、イスラエル、米国、チリと続く。2010 年は中国が
第 3 位に急伸したことが目立ったが、2011 年には減少した。また、米国は 2009 年までは第 1
位の輸出相手先で 1,700 万トンも輸出していたが、2013 年には 540 万トンまで急減した。
2015 年の石炭輸出量は 7,279 万トンと前年比 16.4%減少した。オランダ、米国、英国、デン
マーク等が減少した。伊藤忠がドラモンド社の株式 20%を買収したため(第 9 節参照)、日本へ
は 2013 年は 13 万トン(日本貿易統計では 21 万トン)、2014 年は 11 万トン(日本貿易統計で
は 12 万トン)、2015 年は 28 万トン(日本貿易統計では 27 万トン)となっている。なお、パナ
マ運河の拡張により、日本への船舶の運航日数が約 6 割に短縮可能である(伊藤忠商事)。
- 631 -
コロンビア
2.12
(1) 石炭輸出量
(千トン)
2000
2005
2010
2011
2012
2013
2014*
年平均
伸び率
'00-'14
年平均
伸び率
'10-'14
一般炭
34,160
52,670
66,932
77,812
81,740
78,982
78,816
6.15%
4.17%
原料炭
1,231
937
1,216
1,461
1,555
1,170
1,447
1.16%
4.44%
計
35,391
53,607
68,148
79,273
83,295
80,152
80,263
6.02%
4.18%
褐 炭
0
0
0
0
0
0
0
-
-
合 計
35,391
53,607
68,148
79,273
83,295
80,152
80,263
6.02%
4.18%
注: *2013 年は見込み、出所:IEA, “Coal Information 2015”
(2) 当該国が報告する石炭輸出統計
国別石炭輸出量の推移
(千トン)
相手国
オランダ
2005
2006
7,915
2007
9,068
2008
12,408
7,392
伸び率
14/13
(%)
2009
2010
2011
2012
2013
2014
14,915
14,755
18,636
15,293
15,556
17,351
2015
11.5%
13,113
トルコ
2,416
2,781
2,761
2,745
3,078
2,708
5,768
8,175
8,163
9,908
21.4%
11,145
スペイン
1,835
1,687
2,283
1,367
2,413
2,503
3,134
4,966
3,370
5,970
77.2%
6,295
ブラジル
米 国
304
306
461
826
1,312
1,499
2,271
2,455
2,858
4,618
61.6%
5,605
17,379
21,733
22,495
16,507
17,109
12,320
7,959
5,585
5,405
6,510
20.4%
5,584
英 国
2,508
3,336
3,499
3,022
4,565
4,190
7,841
7,528
8,997
8,344
-7.3%
5,249
ポルトガル
2,498
2,755
2,869
1,760
1,994
1,212
2,805
3,310
3,690
4,026
9.1%
5,029
イスラエル
4,348
3,759
3,112
1,802
2,204
3,421
5,917
4,884
4,385
7,206
64.3%
4,852
674
459
2,109
3,689
4,270
3,620
3,954
4,823
7,614
6,272
-17.6%
4,166
2,575
1,865
2,190
1,489
2,315
1,851
1,849
1,588
1,529
2,138
39.9%
2,251
チ リ
イタリア
アイルランド
1,055
1,174
467
801
811
972
1,754
1,653
1,789
1,272
-28.9%
1,993
プエルトリコ
1,294
1,639
1,371
1,343
1,487
1,222
1,366
1,324
1,253
1,781
42.2%
1,461
カナダ
2,297
1,859
1,746
1,946
2,200
1,881
1,483
1,068
1,039
2,062
98.4%
982
365
378
293
444
327
604
526
584
535
1,368
156.0%
824
483
981
102.9%
589
931
1,398
2,731
1,564
1,814
1,352
4,035
1,807
2,797
2,126
-24.0%
572
2,164
2,538
2,971
2,044
1,307
2,805
1,826
982
1,165
527
-54.8%
416
クロアチア
76
339
126
348
326
504
684
690
663
182
-72.6%
275
日 本
36
28
29
31
30
60
374
220
132
112
-15.2%
275
19.7%
243
グアテマラ
ドイツ
デンマーク
フランス
中 国
0
0
0
57
0
4,656
1,517
3,637
759
909
韓 国
0
0
0
0
0
1,866
141
1,936
167
0
0
インド
0
0
0
0
140
0
208
208
78
0
0
台 湾
0
0
0
0
0
2,071
403
162
0
0
0
その他
2,992
2,951
4,054
11,915
5,249
4,459
3,269
2,740
2,332
3,459
1,875
75,618
74,759
(87.25)
87,122
(76.44)
72,794
16.5%
(61.04)
合 計
(US$/t)
53,662
60,053
67,975
61,092
67,866
70,531
77,720
出所:TEX レポート「石炭年鑑 2015(貿易統計)」
、2016.3.24 情報より作成
TEX レポートによると、
コークスを含む石炭の 2014 年の輸出量は 8,909 万トンと前年比 16.2%
増加した。うち、コークス 197 万トンを差し引くと石炭輸出量が 8,712 万トンで、上記表と合
- 632 -
2.12
コロンビア
致する。月ごとに見ると、3 月の最低値(333 万トン)と、5 月の最高値(1,246 万トン)とは
大きな開きがあるが、港湾の不都合等による在庫の変動と思われる。また、FOB 価格は 87.3 ド
ルから 76.4 ドルに約 12%下落した。速報によると、2015 年の輸出量は 7,471 万トン(うち、
コークスは 192 万トン)で前年よりも 16.1%減少した。平均 FOB 価格は 61.0 ドルと下落した。
4 月までは前年よりも増加傾向であったが 5 月以降減少した。Fenoco 鉄道の制約の問題で第一
四半期の生産量は 5%減となったことが影響している(PLATTS)。
月別石炭輸出量(コークスを含む)および FOB 価格の推移
2013
2014
2015
輸出量
千トン
FOB価格
US$/ton
輸出量
千トン
FOB価格
US$/ton
輸出量
千トン
FOB価格
US$/ton
1月
6,800
97.46
7,277
84.16
5,834
70.72
2月
3,534
94.57
4,068
76.71
6,161
66.53
3月
2,130
94.82
3,332
80.47
7,606
65.55
4月
6,055
92.33
5,403
73.87
6,757
63.55
5月
8,006
86.97
12,456
78.48
4,954
61.94
6月
6,347
86.28
6,844
79.51
6,268
61.47
7月
6,107
89.82
8,885
74.48
6,070
62.35
8月
7,430
80.20
8,629
75.47
7,089
63.32
9月
8,225
77.88
10,472
74.86
6,374
54.38
10月
6,356
87.45
8,216
75.75
4,799
57.43
11月
6,704
85.62
5,112
76.78
5,719
54.13
12月
8,957
86.08
8,400
69.62
7,081
50.60
合 計
76,653
87.25
89,095
76.44
74,711
61.04
出所:TEX レポート、2016.2.8 情報より作成
(千トン)
14,000
12,000
10,000
8,000
6,000
4,000
2,000
0
1月
2月
3月
4月
2013 輸出量
5月
6月
7月
2014 輸出量
- 633 -
8月
9月
10月
2015 輸出量
11月
12月
2.12
コロンビア
5.石炭輸出見通し
BREE 及び IEA による輸出量の予測を示すが、両予測ともに増加するとみている。2013
年の実績は 8,020 万トンであるが、BREE の短期予測では 2018 年に 1 億トンを超え 2020
年に 1 億 2,200 万トンとなる。IEA の長期予測も 2020 年に 1 億 1,900 万トン、2040 年に
は 1 億 2,800 万トンまで伸びる。
(百万トン)
コロンビア
BREE 2015
2013
一般炭
IEA WEO 2015
合計
2014
2015
2016
2017
2018
2019
2020
79
80
83
95
112
116
122
80.2
119
2040
128
出所:BREE, “Resources and Energy Quarterly”,September 2015, IEA, ”World Energy Outlook 2015”
6.鉱業法と関連法制度
(1)鉱業管轄官庁と関連政府機関
a)管轄官庁
• 鉱山・エネルギー省(Ministerio de Minas y Energía)、
http://www.minminas.gov.co/minminas/
エネルギー情報システム(SIMEC)の一部である鉱業情報システム(SIMCO)
を統括する。
b)関連政府機関
• エネルギー鉱物計画局(Unidad de Planeación Minero Energética、UPME)、
http://www.upme.gov.co/Index4.htm
• 鉱山地質研究所(Instituto Colombiano de Geología y Minería、
INGEOMINAS)、http://www.ingeominas.gov.co/
(2)鉱業法
♦ 鉱業法は 2001 年に改正され、国内と海外投資家は同レベルの権利及び義務を負うこと
が認められるようになった。また、採掘権については、これまで様々な契約が個別に必
要であったが、この改正法により、契約が一本化して手続きが簡素化した。
♦ 単一ライセンシング方式(探鉱期限 5 年、採掘期限 30 年)
(3)関連法制度
♦ ロイヤルティ
石炭ロイヤルティは、2002 年法律 756 号に基づき、生産量 300 万トン以上の炭鉱会社
は 10%、それ以下の生産量の炭鉱会社は 5%としている。
♦ 採掘段階では、環境影響評価調査を環境当局に提出し、承認を受ける必要がある(探鉱
段階では必要なし)
。
♦ 地表税(surface fee)コンセッションを付与された者は、探査・建設フェーズの間、地
表税(surface fee)を支払うこととなっている。税率については次表に示す。
- 634 -
2.12
コロンビア
地表税の税率
2010 年 2 月 9 日以前又は 2013 年 5 月 12 日以後にコンセッションを取得した場合
鉱区面積
地表税
1 ヘクタール当たり年間 1 MDW(Minimum daily wage:最低日給)相当
2,000 ヘクタール以内
2,000~5,000 ヘクタール
1 ヘクタール当たり年間 2 MDW 相当
5,000~10,000 ヘクタール
1 ヘクタール当たり年間 3 MDW 相当
2010 年 2 月 9 日~2013 年 5 月 12 日の間にコンセッションを取得した場合
探査フェーズ
年数
地表税
最初の 5 年間
1 ヘクタール当たり年間 1MDW 相当
6 年目以降
2 年毎に 1 ヘクタール当たり年間 0.25 MDW 相当ずつ増加
建設フェーズ
探査フェーズの最後の年と同じ税率
注)1 MDW は政府が発表する最低日給で、約 10.50 USD/日、出所)現地調査結果より作成
7.石炭輸送インフラ状況と整備計画
(1) 現状
石炭積出港の取扱量は以下の通りである。また、コロンビアとロッテルダム間のフレーと
コストは 2015 年に入って急激に下がっている。
出所:IHS Energy 22nd Annual Coal Conference of the America,March 2015
出所:IHS Energy 22nd Annual Coal Conference of the America,March 2015
- 635 -
2.12
コロンビア
コロンビアでは、一般炭の約 90%が国の北部に位置する La Guajira 県と Cesar 県の 2 つの地域
で生産されている。La Guajira 県で生産される石炭の大部分は Cerrejon により採掘され、カリブ
海沿岸の Cerrejon 専用の Puerto Bolivar に Cerrejon 所有の鉄道により運搬されている。同様に、
Cesar 県で生産される石炭は、Drummond、Glencore、Colombian Natural Resources(CNR)の 3
社で採掘され、個々が所有・運営する別々の港に 3 社共同所有の Fenoco 鉄道により運搬されて
いる。これらの港は、すべてカリブ海沿岸の Magdalena 県 Santa Marta 市近郊に立地している。
内陸部では、鉄道インフラが未整備あるいは全く整備されていないため、これらの地域で生産
される輸出用石炭は、トラックによりさまざまな道路を経由して大西洋沿岸の Barranquilla や
Cartagena、太平洋沿岸の Buenaventura に運搬されている。この他、バージ輸送も一部で行われ
ており、特に北部から西部を経由してカリブ海沿岸を結ぶ全長 1,500km の Magdalena 川は、内陸
部から大西洋沿岸への石炭輸送手段として将来重要なルートとなる可能性がある。
(2) 現状と拡張計画
【港湾】
(a) Cerrejon-Puerto Bolivar
Cerrejon が所有・運営している Puerto Bolivar の輸出能力は 2012 年後期で 3,500 万トンであっ
たが、炭鉱と港を結ぶ鉄道の輸送能力に限界があるため、実質的な輸出能力は 3,300 万トンであ
る。Puerto Bolivar では、18 万トン級ケープサイズの利用が可能で、これまでの最大積載量は 17
万 6,000 トンである。この港では、24 時間以内にケープサイズ船に石炭を積み込むことが可能で、
平均で 1 日に 1 隻(ケープサイズ船以外も含む)のペースで積み込みが行われている。
Drummond、Glencore、CNR とは異なり、Cerrejon の Puerto Bolivar では、1985 年以来、直接積
載を行っている。現在、第 2 の積載設備を建設中で、2013 年末に完成する予定である。2015~
2016 年を目処に行われている第 1 拡張工事が終了すると、4,000 万トンの輸出能力になる見込み
である。これは、鉄道輸送能力の限界を考慮に入れた積込能力で、港自体の理論上の積込能力は
6,000 万トンである。
(b) Carbosan-Puerto de Santa Marta
Puerto de Santa Marta は多目的港で、民間企業と自治体のコンソーシアム Carbosan が所有・運
営している。港の積込能力は 590 万トンであるが、石炭の利用はその一部のみである。Santa Marta
内の石炭ターミナルは Carbosan が運営を行っている。Glencore と CoalCorp も自社石炭の一部を
この港から輸出している。この港は鉄道へのアクセスを持っておらず、ストレージ容量も非常に
小さい。現時点では港湾の積込能力を拡張する予定はない模様である。
(c) Glencore-Puerto Prodeco
現在 Glencore は、Santa Marta 近隣の Simon Bolivar 空港のすぐ隣にある Puerto Prodeco を使用
しているが、Santa Marta 観光エリア付近の土地利用規制の変更に伴い 2014 年に閉鎖の予定とな
っている。そのため、現在建設中の Puerto Nuevo に移行する計画となっている。Puerto Prodeco
の積込能力は 1,550 万トンである。
(d) Drummond-Puerto Drummond
Drummond は、カリブ海沿岸の Cienaga にある 100%所有の Puerto Drummond を運営し、自社
生産による石炭の全てをこの港まで鉄道で運搬している。港の現在の積込能力は年間 3,000 万ト
ンであるが、4,000 万トンにするための拡張工事が進められている。
Drummond では、バージによるオフショアでの積込みから、直接積込みへの移行を進めており、
- 636 -
2.12
コロンビア
2014 年 1 月 1 日より開始予定となっている。運河は、すでに 21〜22 メートルの深さに浚渫され
ており、18 万~18 万 6,000 トンレベルの船舶に対して直接積込むことが可能になる予定である。
(e) Glencore-Puerto Nuevo
現在 Glencore が使用している Puerto Prodeco の閉鎖に伴い、その代替設備として建設されてい
る港である。工事は最終段階に入っており、2013 年後半には運営を開始する。直接積載が可能
で、公共港だが実際には 100%Glencore が使用予定で、2,100~2,300 万トンの積込能力を予定して
いる。
コロンビアの積み出し港の拡張計画
港 名
保有/運営企業
積出能力
(百万トン/年)
拡張計画
(百万トン/年)
Puerto Bolivar
Correjon
35.0
40 (2015-16年)
Puerto de Santa Marta
Carbosan
5.9
なし
Puerto Prodeco
Glencore Xstrata
15.5
2014年に閉港
Puerto Nuevoへ移行
Puerto Drummond
Drummond
30.0
40 (2015-16年)
Puerto de Barranquilla
Puerto de Barranquilla
3.4
4.1 (2020年までに)
Puerto de Cartagena
Portuaria Regional de Cartagena
5.4
なし
Puerto de Buenaventura Portuaria Regional de Buenaventura SA
1.9
2.7 (2020年までに)
Rio Cordoba
Colombian Natural Resources
7.5
12-15 (2015-16年)
Puerto Nuevo
Glencore Xstrata
2.1
2013年5月に新規開港
出所:JOGMEC、「平成 24 年度海外炭開発高度化等調査」
- 637 -
コロンビア
2.12
Puerto de Santa Marta
Puerto Prodeco
Company
Current Capacity
15.5MT
None; this port
will be closed by
Expansion Plans
2014 (shift to
Puerto Nuevo)
Puerto Drummond
Company
Drummond
Current Capacity
Expansion Plans
Glencore
30MT
40MT
by 2015-16
Cerrejon
Current Capacity
Expansion Plans
35MT
To 40MT
by 2015-16
Main Colombian Coal Rail Links;
Cerrejon
Company
Barranquilla
(Various)
Current Capacity
Expansion Plans
Company
Santa Marta
Barranquilla ports (Magdalena
River mouth)
Company
Puerto Bolivar
Coal terminal
Company
operated by
Carbosan
5.9MT
Current Capacity
(Multi-use port)
Expansion Plans
None
Puerto Nuevo
3.4MT
4.1MT by 2020
Company
Glencore
Cerrejon
Current Capacity
Expansion Plans
0MT
(not yet opened)
21-23MT
Expansion Plans
(from second
half of 2013)
33MT
40MT
by 2015-16
Current Capacity
Cartagena ports
Company
(Various)
Current Capacity
Expansion Plans
5.4MT
None
PANAMA
Sincelejo
Coal Basins
La Guajira
Rio Cordoba
Company
Monteria
Current Capacity
Expansion Plans
Colombian Natural
Resources (Goldman
Sachs)
7.5MT
12-15MT
by 2015-16
Cesar
Others
Railways
Active
Cucuta
Inactive
Main Colombian Coal Rail Links;
FENOCO
Current Capacity
Expansion Plans
Fenoco (jointly owned
by Drummond,
Glencore, and CNR)
~50MT
100MT by 2016
Current Capacity
Expansion Plans
Coal terminal
Future terminal
Medellin
Manizales
Buenaventura ports
Company
Coal Terminals
Bucaramanga
Cauca liver
Company
VENEZUELA
Pereira
(Various)
1.9MT
2.7MT by 2020
Tulua
Bogota
Ibague
COLOMBIA
Cali
Neiva
Popayan
Pasto
ECUADOR
BRAZIL
PERU
0
港湾拡張計画
- 638 -
100
200km
2.12
コロンビア
【鉄道】
コロンビアには石炭用の鉄道が 2 本あり、1 つが Fenoco 鉄道、もう 1 つが Cerrejon 所
有による鉄道である。
(a) Fenoco 鉄道
Fenoco 鉄道は、Drummond(41.6%)
、Glencore(41.6%)、および CNR(16.8%)による共同所
有だが、3 社それぞれが機関車と貨車から成る編成列車を個別に所有している。各企業は、Fenoco
鉄道線の南端から支線を引き、Cesar 県内の自社炭鉱と Fenoco 鉄道の北端に位置する Magdalena
県内の港を結んでいる。Fenoco 鉄道は Cesar 県からカリブ海沿岸までの約 225 キロの距離を走っ
ている。Fenoco 鉄道では、現在、既存の線路に平行して第 2 鉄道線を敷設している。現段階で
全 225 キロのうち、約 47 キロが未完成の状態である。Fenoco 所有企業による投資額は 2 億 5000
万ドル規模で、鉄道線完成後の Fenoco 鉄道輸送能力は、年間 1 億トン以上に増加する見込みで
ある(現状の 2 倍)。
(b) Cerrejon 鉄道
Cerrejon は、自社所有の専用鉄道により、La Guajira 県の炭鉱から採掘した一般炭をカリブ海
沿岸の Puerto Bolivar 港まで運搬している(約 150km)。現在の鉄道輸送能力は 3,300 万トン/年
である。1 編成は、貨車 107 両と機関車 2 両で構成されており、個々の貨車が 110 トンを運搬す
るため、1 編成あたりの輸送能力は 12,000 トンである。一日あたり平均 9 編成で鉱山と港の間の
往復し、積込みから積出までにかかる時間は往復で約 12 時間である。
♦ 別途に、中国による「パナマ運河代替鉄道計画」がある。
コロンビア、パナマ運河代替鉄道の建設を中国と協議(2011 年 2 月 14 日付
英フィナンシ
ャル・タイムズ紙)
■FTA 批准しない米議会にいらだち
コロンビアのサントス大統領はフィナンシャル・タイムズ紙に「現実的な提案でかなり進行してい
る。(中国側の)貨物 1 トンあたりの輸送コストや投資コストはすべて結果が出ている」と語った。
検討中の鉄道計画は、中国による発展途上国向けの積極的な融資活動の新たな一例だ。中国の銀行
は、過去 2 年間の発展途上国向け融資額で世界銀行を上回る。全長 220 キロメートルに及ぶ「地上
の運河」は、コロンビアの太平洋沿岸とカルタヘナ近郊の新都市を結ぶ予定だ。中国からの輸入品を
集積して南北アメリカに再輸出する。コロンビア産の原料は逆に中国へ輸出する。
サントス大統領は「過大な期待は禁物だが計画には合理性がある」と語り、「アジア地域は世界経
済の新たな推進力」と指摘した。コロンビアにとってパナマ運河に代わる輸送機関の建設は長年の夢
だった。同国は南米では米国の最も親密な同盟国だが、政府は 4 年前に米国と調印した FTA を米連
邦議会がいまだに批准しないことにいらだちを募らせている。中国とコロンビアの貿易額は、1980
年の 1000 万ドルから 2010 年には 50 億ドルを超えるに至り、中国はコロンビアにとって米国に次ぐ
第 2 の貿易相手国だ。
■中国向け石炭の輸送を優先か
中国国家開発銀行が出資し中国中鉄が請け負う総額 76 億ドルのプロジェクトは、コロンビア経済
の中心地から年間最大 4000 万トンの貨物を太平洋岸に輸送する計画だ。中でも中国向け石炭が優先
されることになりそうだ。コロンビアは世界第 5 位の石炭生産国だが、太平洋側の需要が最も急激に
伸びている今も殆どが大西洋岸の港湾を経由している。(2011 年 2 月 14 日 日本経済新聞)
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2.12
コロンビア
鉄道輸送の整備計画
(3) パナマ運河拡張の影響
【パナマ運河拡張計画概要】
・2016 年拡張終了予定。ポスト・パナマックスの通行が可能になる。
① 大西洋側入り口水路を拡張し、浚渫
② ポスト・パナマックス対応の閘門への新しいアクセス水路
③ ポスト・パナマックス対応の閘門の各閘室に3つの水量節約貯水槽を設ける
④ 最大操作可能水量レベルを上昇する
⑤ ガツン湖及びゲイラード・カットの水路を拡張し、深くする
⑥ ポスト・パナマックス対応の閘門への新しいアクセス水路
⑦ ポスト・パナマックス対応の閘門の各閘室に3つの水量節約貯水層を設ける
⑧ 太平洋側入り口の水路を拡張し浚渫
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2.12
コロンビア
【パナマ運河拡張後の輸送コスト】
・パナマ運河の拡張伴い通航料の上昇が予想される。拡張後のパナマ運河経由中国広州まで
の輸送コストと喜望峰経由の輸送コストとの比較を下図に示した。
・通行料が 50%上昇した場合、パナマ運河経由での輸送コストは喜望峰周りと同水準とな
る。しかし、通行料の上昇率が 50%を超えた場合、より時間のかかる喜望峰経由のほう
が割安となる。
石炭運搬船 7 万㌧級パナマックス通行料 30 万 US$ ⇒ 4.3US$/t
喜望峰経由中国広州までのケープ輸送コスト ⇒ 24.7US$/t
*パナマ運河経由のフレートは喜望峰経由(13,000 海里)とパナマ運河経由(9,700 海里)中国広州までの距離
割合から算出(推定値)、作成:三菱総合研究所
【パナマ運河への日本の融資】
パナマ運河拡張に追加支援、融資総額最大 900 億円に。
政府は拡張工事が遅れているパナ
マ運河に対し、早期完成を条件に追加支援する検討に入った。2017 年に米国から割安な「シェ
ールガス」を輸入する計画だが、パナマ運河を拡張しないと輸送船が通過できず、コストが大幅
に膨らむ懸念がある。運河の拡張日は 52 億ドルで、パナマは 23 億ドルを海外から調達してい
る。日本は JBIC が 8 億ドルを融資する最大の支援国。現在のパナマ運河は幅 32mまでの船舶
しか通れず。幅 40mを超す LNG 輸送船は航行できない。完成時期は当初の 14 年中から 16 年
初めに遅れる見通し。パナマ運河経由だと日本まで約 20 日、喜望峰ルートであれば 45 日かか
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2.12
コロンビア
る。LNG 輸送コストはパナマ運河経由の 6~7 割高くなる。
(2014 年 4 月 15 日 日本経済新聞)
♦ なお、日本までの輸送ルートと輸送距離は以下のとおりである。単純に輸送距離のみで
輸送費を比較すると、コロンビアからケープタウン軽油の場合、豪州からの輸送費の約
3 倍、パナマ運河経由の場合は約 2 倍となる。しかし、パナマの場合は運河通行料が加
算される。一般的に FOB 価格では豪州炭よりもコロンビア炭の方が安いため、CIF 価
格が競争力を決めることになる。
出所:NEDO 平成 21 年度海外炭開発高度化等調査「コロンビアの輸出ポテンシャル」
8.アジアの需給バランスに与える影響
パナマ運河拡張は需給バランスを激変させるほど影響力はない
・中国着ベースで見た場合、パナマ運河拡張によるコスト低減インパクトは 3US$/ton もない可
能性。拡張後も喜望峰経由が安価な可能性がある。
・むしろ、豪州炭のコスト上昇が続き、相対的にコロンビア炭がアジアで競争力を持つ可能性の
方を着目すべき。
・ただし、豪州からパナマックスで輸送した場合とコロンビアからポスト・パナマックスで輸送
した場合を比較すると、豪州炭よりも安くなる可能性がある。
供給サイド:①パナマ運河拡張のインパクトは限定的(通行料次第)
パナマ運河拡張は数ドル/ton のコストインパクトしか持たない。通行料が高くなれば、喜望
峰経由でケープを使用した方が安価であり、現状のコスト構造は変えない。ただし、パナマ
ックスで豪州炭を輸送する場合と比較すると競争力が高くなる可能性がある。
供給サイド:②豪州炭のコストがコロンビア炭を上回る可能性の方が着目点
豪州 QLD の新規炭鉱はインフラコストが高いため、コロンビア炭のほうが広州着の CIF 原
価は安くなる可能性がある。コロンビア側は、労働争議が労務費上昇を招く可能性、テロが
投資意欲を減退させる可能性がポイントに。
需要サイド:①中国需要が最大の不確定ファクター
中国の 2030 年時点の一般炭輸入需要予想は 2 億トンから 5 億トンとレンジが広い。上振れし
た際には、コロンビア炭のアジア市場への流入可能性が高まる。
需要サイド:②日本の新設石炭火力はアジアの需給バランスを確実にタイトにする
震災後の日本の石炭火力新設は、確実にアジアの石炭需給をタイトにする要因に。
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2.12
コロンビア
9.主要炭鉱の概要
(1)セレホン(Cerrejon)炭鉱
セレホンはコロンビア北部のグラヒラ県の炭鉱及び輸送インフラを運営する南米最大規模
の石炭事業会社である。セレホンの事業開始は、国営企業 Carbones de Colombia (Carbocol)
及び米エクソンモービル子会社 Intercor の合弁会社が 1976 年にセレホン炭鉱 Cerrejón North
Zone)
の権益を獲得した時点に遡る。
その後、2001 年にアングロ・アメリカン
(Anglo American)、
BHP ビリトン(BHP Billiton)及びグレンコア・エクストラータ(Glencore Xstrata)が Carbocol
社の持分(50%)を、更に 2002 年 2 月には Intercor 社の持分(50%)を取得し、2014 年時点
では 3 社が折半出資している(出資比率:各 33.33%)。
セレホンの石炭生産量は年間 32 百万トンであり、石炭輸送のための道路(150 キロメー
トル)及び港湾(積載重量 18 万トン)を運営している。同社は民間企業としてはコロンビ
ア国内最大の輸出事業者である。
セレホンの概要
出資者(出資比率)
BHP Billiton (33.33%)
Anglo American (同上)
Glencore Extrata (同上)
主な炭鉱(所在地)
Cerrejón(La Guajira)
石炭生産量(2014 年)
34.2 百万トン
出所)セレホンホームページ及び Reuter.com(2015 年 1 月 13 日付)より作成
セレホンの石炭輸出量推移
(2)ドラモンド(Drummond Ltd.)
米国のドラモンド社 (Drummond Company Inc.)
は 2016 年に、コロンビアで操業す
るドラモンド炭鉱群からの石炭輸出を 3,400 万~3,500 万トンに拡大する計画だ。ドラモン
ド炭鉱群は、
ドラモンド社がコロンビアで操業するミナ・プリベロー (Mina Pribbenow)
炭
鉱やエル・デスカンソ (El Descanso) 炭鉱など 5 つの露天掘り炭鉱で構成される。生産炭
種は輸出向けの高品位一般炭(2015.12.11 テックスレポート)。
ドラモンドはセザル県及びマグダレナ県を拠点に石炭の探査、採掘、輸送及び輸出を手が
ける民間事業会社である。ドラモンドは 90 年代前半に米国ドラモンド社(Drummond Company
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2.12
コロンビア
Inc.)のコロンビア事業として発足した。2011 年 6 月以降は、
伊藤忠商事が米国子会社 ITOCHU
Coal Americas Inc.を通じ 20%出資している
(投資額は同社にとっては過去最大の 1,300 億円)
。
伊藤忠商事はドラモンド社の炭鉱から産出される一般炭の日本向け独占販売権を有する。
ドラモンドは 1995 年以降、セザル県 La Loma 市の 5 鉱区(Mina Pribbenow、El Descanso 等)
で石炭生産を行っており、2009 年には El Descanso 炭鉱(セザル県、Becerril 市及び Agustin
Codazzii 市)での生産も開始した。同社は石炭生産事業のほか、ドラモンド港(カリブ海沿
岸シエナガ市)を運営している。炭鉱からドラモンド港への石炭輸送(輸送距離:約 120
キロメートル)は Fenoco 鉄道により行われる。
ドラモンドの概要
出資者(出資比率)
Drummond Company Inc./Drummond Associates Inc.(80%)
ITOCHU Coal Americas Inc.(20%)
主な炭鉱
La Lona(Cesar)
El Descanso(Cesar)
石炭生産量(2014 年)
26.8 百万トン
出所)ドラモンドホームページ、“El carbon colombiano, 2013”(SGC)及び Reuters.com(2014 年 12 月 20 日付)より作成
ドラモンドの石炭生産量推移
(3)プロデコ(C.I. Prodeco S.A.)
プロデコは 1974 年に設立された。1995 年にグレンコア社が買収して以降、同社のコロン
ビアにおける原料炭及び一般炭の生産・輸出事業及び関連インフラの運営を担う 100%子会
社となっている。
プロデコはセザル県の 2 件の炭鉱(Calenturitas および La Jagua)を運営している。Calenturitas
炭鉱での石炭生産は 2004 年に開始され、もう一方の La Jagua 炭鉱は 2005 年に親会社グレン
コアが取得した。このほか、石炭関連インフラとして、港湾(Prodeco 港及び Nuovo 港)を
運営しており、Fenoco 鉄道に 39.76%出資している。同社の石炭埋蔵量は 341 百万トン、2011
年末時点の従業員数は 7,323 名(正規雇用、契約、パートタイム含む)である。
プロデコの概要
出資者(出資比率)
Glencore Xtrata International Plc. (100%)
主な炭鉱
Calenturitas(Cesar)
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2.12
コロンビア
La Jagua(Cesar)
石炭生産量(2013 年)
18.6 百万トン
出所)Prodeco ホームページ、“El carbon colombiano, 2012”
(SGC)及び Platts(2014 年 2 月 11 日付)作成
(4)CNR(Colombian Natural Resources S.A.S.)
ゴールドマン・サックス社が炭鉱の経営が悪化してきたことを受け、CNR の売却を検討して
いることが 5 月初めに明らかになった。(2015.08.05 テックスレポート)
。
CNR は米投資銀行ゴールドマン・サックスの子会社であり、コロンビアでの石炭採掘・生産
事業を行っている。ゴールドマン・サックスは 2010 年 3 月にセザル県の La Francia 炭鉱を運
営する Compañía Carbones Del Cesar SA から La Francia I 炭鉱を取得し、コロンビアでの
石炭事業を開始した。更に 2012 年にはブラジル Vale 社から同社が所有するコロンビアの一般
炭事業を取得した。同事業には、El Hatillo 鉱山、Cerro Largo 石炭鉱床、カリブ海沿岸の港湾
施設(Sociedad Portuaria Rio Córdoba)及び炭鉱から港湾までの鉄道網への 8.4%の出資が含
まれている。
CNR の概要
出資者(出資比率)
主な炭鉱(所在地)
Goldman Sachs (100%)
El Hatillo(Cesar)
Cerro Largo(Cesar)
La Francia Ⅰ(Cesar)
石炭生産量(2013 年) 3.5 百万トン
出所)bmamrica.com、Reuters.com(2012 年 5 月 29 日付及び、2014 年 1 月 9 日付)等より作成
10.最近の生産状況および石炭に関する情報
日本勢コロンビアに商機。伊藤忠、コロンビア石炭輸入を検討。伊藤忠商事の会長は、日
本コロンビア経済合同委員会で講演し、コロンビア産石炭の日本への輸入を検討していくと
表明した。11 年に 1,265 億円を投じて 20%出資した米ドラモンド社が持つ炭鉱。これまで
は欧州に輸出していた。生産量は 13 年の 2,300 万トンから 14 年には 2,800 万トンに増える見
通し(2014.7.31 日経産業新聞)。実際は 2,680 万トン。
パナマ超す運河、中国資本の野心。ニカラグアでこの夏、パナマ運河を大きく上回る規模の運
河建設が動き出す。担うのは中国資本。運河の総延長は約 280 キロでパナマ運河の 3 倍以上。
全長 400m、幅約 60mの超大型船も通行可能となる。総工費は 5 兆円規模となる。一方で、運
河建設で大量の熱帯雨林が失われ水質汚染が進むと懸念される(2014.6.23 朝日新聞)。
パナマ運河、拡張費膨張。通行料上昇に懸念。パナマ運河の完成は 15 年末にずれ込む。現在
通行できる船舶は全長が 294m、全幅が 32m、喫水が 12m。これが拡張後に、全長が 366m、
全幅が 49m、喫水が 15m に広がり、現行比 2.6 倍の 1 万 3,000TEU(20 フィートコンテナ換算)
が通行できるようになる。しかし、コンテナ船通行料は上昇が続き、05 年の 1TEU 当たり
42 ドルから 11 年に 82 ドルまで引き上げられた。拡張事業費は約 52 億ドルに膨らみ、通
行料への転嫁が懸念される。LNG 船には大きな恩恵がある。東岸から日本に輸送するのに喜望
峰回りで約 45 日かかったのが約 20 日に縮まり運航コストの大幅削減に結び付く(2014.6.20 日
経産業新聞)。
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2.12
コロンビアの石炭輸出先に変化、アジア向け拡大の可能性。
コロンビア
世界 5 位の石炭輸出国である
コロンビアが新たな輸出先の開拓に迫られている。石炭生産量は毎年増加しているが、主要輸出
先の米国やカナダがシェール革命の影響で取引を大幅に削減。同時に米国炭が欧州に流れたこと
もあり、コロンビア炭の欧州向けも縮小している。今後、日本はじめアジア市場への輸出が急増
する可能性もある(2014.6.17 フジサンケイビジネスアイ)。
パナマ運河拡張に追加支援、融資総額最大 900 億円に。政府は拡張工事が遅れているパナ
マ運河に対し、早期完成を条件に追加支援する検討に入った。2017 年に米国から割安な「
シェールガス」を輸入する計画だが、パナマ運河を拡張しないと輸送船が通過できず、コス
トが大幅に膨らむ懸念がある。運河の拡張費は 52 億ドルで、パナマは 23 億ドルを海外か
ら調達している。日本は JBIC が 8 億ドルを融資する最大の支援国。現在のパナマ運河は幅
32mまでの船舶しか通れず。幅 40mを超す LNG 輸送船は航行できない。完成時期は当初
の 14 年中から 16 年初めに遅れる見通し。パナマ運河経由だと日本まで約 20 日、喜望峰ル
ートであれば 45 日かかる。LNG 輸送コストはパナマ運河経由の 6~7 割高くなる
(2014.4.15
日本経済新聞)。
ドラモンド社がコロンビア炭輸出再開へ。米国のドラモンド社はコロンビア炭の輸出を 3
月下旬に再開する。サンタ・マルタ湾の自社石炭積み出し港で進めている密閉式ベルト・コ
ンベアの設置工事が完了するためである(2014.3.13 テックスレポート)。
【ストライキ等の影響】
・石炭生産量は 2012 年で 8,910 万トンであったが、2013 年は 4.1%減の 8,550 万トンとなっ
た。2013 年 2 月には Cerrejon の炭鉱ストライキが発生し、港の 70%を閉鎖した。また第 3
四半期には Drummond のストライキが 52 日間続き、450 万トンが輸出されなくなった
(Argus
Coal Daily,2014.2.10)。
・2013 年第一四半期の石炭生産量は 1,840 万トンで、前年同期比で 21.4%の減少となった。
原因は港湾・鉄道の稼働停止によるものである。生産量第 1 位の Cerrejon は 2013 年の目標
である 3,400 万トンの達成は厳しくなったという見解を示している。
・第 2 位の
Drummond は、2 月に悪天候が原因でバージの石炭を海中投棄した関係で環境当
局から港の使用を制限された。また、停止していた輸出を 3 月下旬に再開する。サンタ・マ
ルタ湾の自社石炭積み出し港で進めている密閉式ベルト・コンベアの設置工事が完了するた
めである(2014.3.13 テックスレポート)。
・主要生産者はインフラの拡張を行っており、生産量は近いうち 1 億トンを突破する見込みで
ある(2013.5.28 JCOALMagazine、オリジナルは Mining Weekly)
11.炭鉱の権益獲得に関する最近の情報
・ゴールドマン・サックス社が炭鉱の経営が悪化してきたことを受け、CNR の売却を検
討していることが 5 月初めに明らかになった。
(2015.08.05 テックスレポート)
。
・伊藤忠商事は 2011 年 6 月に、ドラモンド社の株式 20%を US15 億 2,350 万ドル(約
1,300 億円)で買収した。この結果、2011 年度中に日本に輸出を始め、当初は年 500
万トンを調達し、その後 700 万トンに引き上げる(2011.6.16 日本経済新聞、2011.9.5
テックスレポート)
。
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