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安全管理体制構築 - KeiKnowledge INC

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安全管理体制構築 - KeiKnowledge INC
OM SMS部分
OM 2章の目次
2.0 定義
2.0.1 安全の定義
2.0.2 安全管理体制 SMSの定義
2.0.3 ハザード分析に係る用語の定義
2.1 安全管理一般
2.1.1 安全管理の目的
2.1.2 安全管理に係る責務 (アカウンタビリティー)
2.1.3 関連ドキュメント
2.1.3.1 SMS ガイダンス・マニュアル
2.1.3.2 SMS 実施要領- ABCホールディングス
2.2 安全管理の戦略
2.2.1 安全水準の達成目標
2.2.2 安全水準の達成目標に基づく年次の目標
2.3 安全リスク・プロフィール
2.3.1 オペレーションの概要と性質
2.3.2 重要ハザードとリスク軽減策
2.3.3 安全リスク・プロフィール
2.4 分析に基づく安全リスク・マネージメント
2.4.1 ハザード分析
2.4.2 フライト実施前に行うリスク分析
2.5 技術管理体制
2.6 日常業務におけるSMS活動
2.6.1 ハザードの特定と追跡様式(HITS)
2.6.2 様式 継続向上に向けての提起
2.7 変更管理プロセジャー
2.8 SMSの監査
2.8.1
内部監査
2.8.2
外部監査
2.9 SMSの評価
2.10 安全推進委員会
pg. 1
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OM SMS部分
2. 安全管理体制(SMS)
2.0 定義
2.0.1 安全の定義
安全とは、絶えずハザードを認識し、それに起因するリスクを管理するプロセスを通じて、人身
の死傷のリスク、又は財産毀損のリスクが低減され、許容できる安全レベル或いはそれ以下に維
持されている状態
2.0.2 安全管理体制 SMSの定義
予防的に安全リスクを管理する為に、運航と技術の管理、と財務や人事の管理を統合して行う
システム的かつ総合的なプロセス
2.0.3 ハザード分析に係る用語の定義

ハザード(Hazard) - 人身の傷害或いは財産の損傷に至る可能性がある状態又は状況

リスク(Risk) - ハザードが齎す結果で、蓋然性(likelihood)と.深刻度(severity)に於
いて客観的に評価されたもの

軽減策(Mitigation) -ハザードを取除く、或いはリスクの蓋然性や深刻度を低減する為の
対策

システム安全の欠陥(System Safety Deficiency) – ハザード或いはそれに類するものの
存在を放置している状態
2.1 安全管理一般
ABCホールディングス は運航部門が常に安全な航空運送を確実に提供できるよう本章に述べ
る安全管理体制(SMS)を以ってその運用に当たる。
2.1.1
安全管理の目的
安全管理の目的は先行的、且つ効果的に安全を管理することであり、具体的には:
a. 人と航空機のパーフォーマンスが常に最適に保たれること;
b. 会社の運航に特有な安全リスクを把握し、それを管理すること;
c. 積極的にフィードバックを求め、それを以って会社の安全管理活動を常に改善する事で
ある
pg. 2
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安全管理に係る責務(アカウンタビリティー)
2.1.2
社長は以下に責務を有する:
a. 会社の航空機の安全な運航が推進される体制を確立する;
b. 会社の航空機の安全な運航を確保するに必要な資源の提供する;
c. 積極的に会社の安全管理体制をサポートする。
運航部長は以下の責務を有する:
a. 運航が適合すべき法規の全てを満たし遂行されること;
b. 会社の安全管理体制の管理;
c. 安全リスク管理の欠点について、適切且つタイムリーに顕在化させ周知する。
運航部門従事者は以下の責務を有する
a. 運航に係わる規程や定められた手順の遵守
b. 先見的かつ積極的に安全管理活動に参画する
i. 危険な状況や安全リスク管理体制の欠点については積極的にこれを明確化し報告する
こと
ii. 会社の安全リスク・プロフィールを正確、且つ最新のものに維持するための管理者層
へのタイムリーな情報提供
iii. 飛行前、又は飛行中に正しい決断ができるよう、必要に応じてハザード・チェックリ
ストを使用すること。
詳細についてOM 1.0組織と権限 参照
2.1.3
関連ドキュメント
2.1.3.1
SMSガイダンス・マニュアル(IBAC-International Business Aviation Council)
2.1.3.2
SMS実施要領- ABCホールディングス
2.2
安全管理の戦略
2.2.1
安全水準の達成目標
安全はABCホールディングスの全てのフライト・オペレーションにおける至上命題であり、
それに従事する者の連帯した任務に於いて実現される。
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その達成目標は、あらかじめの防止が可能な人身事故或いは重大な損害の発生を限りなくゼロ
とする事に在る。これを実現すためにABCホールディングスは以下のパフォーマンス・ゴール
を設定する。
a. 安全は運航部門の全ての業務活動に組み込まれている、とマネージメント及び従事者
に認識されている;
b. 安全は至上命題であり、常に何事にも最優先される
c.
各従事者は任務を果たす上で、自分の安全と同時に、仲間の従事者の安全、我々の顧
客、財産や夫々に任されている機器の安全を第一として念頭に置く;
d. オペレーションの安全の直接の責任はスーパーバイザーに在る、飛行中に在っては PIC
がスーパーバイザーとして安全なオペレーションを目指す。
e. フライトの開始、及び着陸空港の選択については、オペレーション・マニュアル或い
は飛行規程の限界を守りつつ、機材や気象状態に関わる全ての要素を勘案して PIC に
よって判断が下される。 PIC はこの責務を遂行するに際し、適切、かつ効果的な決断
が下せるよう全ての入手可能はリソースを活用する。
f.
PIC は安全上或いは保安上の理由で、フライトを開始、或いは継続するべきでないと考
えた時に、飛行を中止、或いは拒否する最終的な権限を有する。
PIC はこの責務を遂行するに際し、適切、かつ効果的な決断が下せるよう全ての入手
可能はリソースを活用する。
g. 以上を達成する為 ABC ホールディングスの SMS は先行的で常に進化を遂げ、運航部
門とその全ての業務に組み込まれていなければならない。その為には下記の戦略が重
要である。
i. 運航部門の従事者と利用者は全て安全管理体制の下にあること;
ii. 従事者の自覚、遵守、検査、調査 、教育の各プログラムがオペレーションの全ての側
面に織り込まれていること
iii. 全ての従事者は安全性を阻害する要因を見出し、報告し、消滅させる努力をすること;
iv. 安全性を阻害する懼れのある出来事は全て報告され、調査され、根本原因が突き止め
られること;
v. 機材、施設、運航、プロセジャーを新しく導入する場合は安全面から入念に吟味され
ること
vi. 全ての従事者は全ての適用ある法規に適応していることを確認する事
2.2.2
安全水準の達成目標に基づく年次の目標
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ABCホールディングスの安全パフォーマンス戦略に従い、20xx.年の目標として以下を掲げる。
a. ABC ホールディングスの SMS を 20xx 年 x 月 x 日までに完全に導入定着させる。
b. 全てに管理者と運航部門の従事者は 20xx 年 x 月 x 日迄に eLearing SMS course を受講
する
c.
ABC ホールディングスの従事者が十分に会社の SMS に精通している事、及びその中で
の各人の責務に関する理解を確実化する為にワークショップを開催する。
そこでは以下がカバーされる。
i.
確認されたハザード、それに起因するリスク、及び適用される軽減策。
ii.
レポート制度を含むプロセジャー、プロセスとそれに関連した要件。
d. 全てのハザード・レポートとそれに対するフィードバック(2.61 HITS)は運航部門管
理者によって 5 日以内に承認され、その状況がリスク管理追跡様式に記述され、それが
ABC ホールディングスの WEB サイトに掲載される。
e. ハザード・レポートとそれに対するフィードバックの内容は四半期の安全推進委員会の
議題とする。
f.
ABC ホールディングスの(可能な限り)全ての従事者が参加する SMS 活動のレビュー・
ミーティングが尐なくも4半期に一度は行う。
g. ABC ホールディングスの SMS と安全カルチャーの評価を年度の終わりに実施する。
2.3
安全リスク・プロフィール
安全リスク・プロフィールは最も危険なリスクの輪郭を図で示した地図のようなものであり、そ
れに基づいて安全管理体制が開発、設定、評価される。
ABCホールディングス はIS-BAO (an International Standard for Business Aircraft Operations)の
AMC 3.2 安全管理体制に述べられているリスク・プロファイリングの手法を用いて安全リス
ク・プロフィールを作成、管理する。
ABCホール・ディングスの安全リスク・プロフィールを以下2.3.1 ~2.3.3に述べる。
安全リスク・プロフィールは尐なくも年毎に、そしてオペレーション、或いは航空機に重大な変
更が加えられる度に、レビューされる。
様式及び記入方法についてはSMS実施要領を参照。
2.3.1. オペレーションの概要と性質
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ABC ホールディングスは社の上級役員や管理者をヨーロッパ域内及び時折北米に 運ぶ目的
で1機の中型ビジネスジェットを運航している。その全ての運航はIFRで為されている。フラ
イト・プラン・サービスについては世界規模のネットワークを有するサービス提供者と契約を結
んでいる。
運航部門はパイロットである部長と他の2人のパイロットと一人の整備技術者で構成されて
いる。その他一人のパイロット、及び一人の技術者とパートタイム契約を結んでいる。パイロッ
トは全てATPLを有しており、且つ当該型式に1,000時間 を超える経験を有している。整備技術
者は15年を超える経験と当該型式に5年の経験を有している。 パイロットは年次のシミュレー
ター訓練を受けており、整備技術者は当該型式に関する年次の訓練を受けている。
サービシング、ライン整備、及び故障の修復は整備技術者が行うが、重整備は航空機製造者の
サービス・センターに委託している。
2.3.2
重要ハザードとリスク軽減策
安全リスク・プロフイール(2.3.3)で、リスク度合が“中”以上であると評価された項目に
ついては、技術管理体制、及び運航部門の日常の運営管理において、特別の注意が払われなけれ
ばならない。
以下に“中”以上であると評価された項目を列挙し、その軽減策としてのオペレーションの方
針、装備、SOP、訓練プログラムについて述べる。
ハザード
起因するリスク
軽減策
過密で輻輳した空域
他の航空機との衝突

運航は現実的に可能な限
り IFR で行う

ACAS 2 を装備し、操作手
順を SOP 及び訓練プログ
ラムに記述する。
フライトレベルの逸脱、その
全てのクリアランスを確認し、
他クリアランスのバイオレー
正確に従う為のプロセジャー
ションによる衝突。
をSOP及び訓練プログラムに
含める。
滑走路への侵入
ICAO マニュアルで推奨され

クリアランスの誤解でア
ている進入防止策をSOP及び
クティブな滑走路に進入
訓練プログラムに取り入れ、
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
低視程下で位置を見失う
TAXI開始前及びDescent 開始

空港の標識を見誤る
前ブリーフィングに含める

ABC ホールディングス機が
ICAO マニュアルで推奨
離着陸する際に他の航空機、
されている侵入防止策を
或いは車両が 侵入するリス
SOP 及び訓練プログラム
クがある。
に取り入れ、本件に係る注
意を喚起する。

EVS を航空機に装備し
低視程下で、滑走路上の他
の航空機や車両の存在の察
知をアシストする。
疲労の蓄積
疲労に伴うリスクとして以下
以下を含む疲労対策プログラ
が挙げられる
ムを実施する。:

長時間勤務の連続,


サーカディアン・リズムの
の運航及び整備従事者に
撹乱
訓練を実施する,

真夜中から早朝 0600 にか

けての勤務

疲労の管理について全て
運航乗務員に勤務時間制
限を設ける
早朝開始の勤務の連続

整備従事者の作業時間制
限を設け、作業スケジュー
ル上に配慮する。

運航スケジュールに疲労
管理上の配慮をする。

運航乗務員の休養時間を
管理する。
2.3.3. 安全リスク・プロフィール(様式)
社名
原版 X
ABCホールディング
改訂

評価者
H. Checkwell
改訂理由
リスク度合
低
影響度– 会社が受ける損害の程
日付
中
軽減策 参照事項


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Sept. 15, 08
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度
高
会社のキーパーソンの輸送。会社役員の輸送に係る方針として同
X
時に一機で輸送する人数を制限する
影響する要因
運航上の要因
 ATS – ルート上

中/低
オペレーションは高密度空域で行われるが、特にその他の重要な
ハザードは無い
 ATS – ターミナル
中
高密度かつ複雑なターミナル空域が存在する。OM及び訓練で問題
をカバーする
 進入着陸援助施設
低
精密進入援助施設、或いはFMS アプローチが利用できる
 気象情報
中/低
気象情報は契約によるサービスとして得られる。
 飛行場
中/高
幾つかの飛行場で滑走路への侵入ハザードが存在する。侵入防止
策をSOP及び訓練プログラムに取り入れ、TAXI開始前及び
Descent 開始前ブリーフィングに含める。EVS を装備する。
技術的な要因
 エンジンの型式
 エンジンの数
 与圧システム
 サービス及び整備施設
ヒューマン・ファクター要因
 運航乗務員の資格
 運航乗務員の数
 運航乗務員の経験
 慣熟度 – 機材
 慣熟度– ルート
 会社のカルチャー
 疲労
中/高
疲労は運航乗務員と整備従事者に係るハザードである。防御策と
して総合的な疲労対策プログラムを設定。
“影響する要因”全般
想定事故環境
 ERS
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 支配的な運航
 運航の行われる場所
 悪天候
 飛行中の乱気流
“想定事故環境”全般
分析に基づく安全リスク・マネージメント
2.4
ABC ホールディングスのSMSでは顕在化した、或いは顕在化が予測されるハザードに対して
リスク分析を行い、その軽減策を実行する事で、予防的で、絶え間ない安全の向上を図る。
2.4.1
ハザード分析
ハザード分析は以下の場合に実施する

新たにSMSを導入する場合

安全リスク・プロフィールを作成・改訂する場合

事業計画の変更により、新機材の導入やこれまでに無いタイプのオペレーションを行う場
合

年次等で定期的に実施する場合。
分析の為のチームを編成し,以下のステップで分析及び、リスク軽減策の策定を行う
プロセジャー詳細については”SMS、実施要領 第3章ハザード分析“を参照

ブレイン・ストームを行い、事故シナリオを想定する

シナリオに関係するハザードを確定する

ハザードに係るリスク(深刻度、及び蓋然性)を想定する

リスクの軽減策(ハザードを取り除く、蓋然性を低くする、或いは深刻度を弱める)を策
定する
2.4.2
フライト実施前に行うリスク分析
所定の様式に従い、フライトに先立ってリスク評価を行う。原則すべてのフライトに適用する
が、定常的に実施しているフライトを除き、新しい地域への最初のフライトにのみ適用する等の
オプションがある。
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評価は、飛行が決定された時点と、weather情報が入手されるフライト開始の12時間前の2度
にわたって運航管理者(或いは相当する者)が評価を行う。リスクが一定限度を超える場合は運
航部長又はチーフ・パイロットに具申され、ここでリスク軽減に必要なアクションが為される。
(様式及び実施手順詳細については”SMS、実施要領
3.3 フライト実施前に行うリスク分析の
実施手順“を参照)
フライト実施前に行うリスク認識チェックリスト
2.4.3
(ORA- Operational Risk Awareness Tool )
飛行のレグごとにパイロットが当該フライトに係るリスクの認識度を確認する目的で使用す
るチェックリストである。
パイロットが自己満足や独りよがりを排してリスク要素をリマインドする上では実践的かつ
効果的なツールである事が知られている。
確認したリスクに関し処置が必要な場合は、当該パイロットが行う或いは発動する。
(様式及び実施手順詳細については”SMS、実施要領
3.4 フライト実施前に行うリスク認識チ
ェックリスト“を参照)
技術管理体制
2.5
技術管理体制は以下で構成される:
a. 会社の運航規程の設定改廃;
b. 下記航空機の SOP(航空機運用規程)の設定・改廃:
i
xxx
ii
xxx
c. 整備プログラムの設定・改廃;(OM 第 9 章に述べられている)
d. 技倆管理体制の設定・改廃;(OM 第 7 章に述べられている)
e. 以下に述べる情報管理:
i
運航部長は適用を受ける民間航空法規を定期的にレビューし、関連の法律、規則、
基準、認可、承認、例外規定、免除事項を明らかにする。;
ii
運航乗務員が使用する、飛行計画情報に係わるドキュメントや情報の管理
iii
社外の事故やインシデントに係る情報
pg. 10
INC
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iv
航空機製造者の技術情報
ハザード分析に基づき策定された軽減策はシステム、プログラム、プロセジャー、マニュアル、
或いはドキュメントの改訂などが、技術管理体制の下で行われ、実行に移される。
2.6 日常業務におけるSMS活動
2.6.1
ハザードの特定と追跡様式(HITS)
SMSには会社が日常業務で経験したハザードやリスクに関する情報を提供する以下の仕組み
がある。 当該情報は新規のハザードやリスクに係るものである場合と、既に軽減策が実施され
た後のハザードやリスク、軽減策の再評価である場合がある

従事者が感知したハザード報告、

インシデント・レポート、

安全推進委員会、

監査或いは検査の所見
何れの場合も当該情報は吟味され、ハザードとリスクが顕在化した場合には評価の上軽減策が
講じられる。
報告又は所見は運航部長になされる。報告書である事が望ましいが、口頭報告の場合、運航部
長はその情報を基に報告書を作成する。
報告書の様式はSMS実施要領
第4章の“ハザードの特定と追跡様式” (HITS-Hazards
Identification & Tracking Tools -)を使用する。
運航部長はハザード報告を分析したうえ、処置の要否と処置の内容を報告者に回答しなければ
ならない。 もし手順の変更や修正処置が決定された場合は、その内容が対応処置完了まで追跡
される。又報告書は社内WEBに掲載され社内に公開される。
報告書は安全管理体制ファイル・システムで保管され、その対応処置の効果が四半期毎の安全
推進委員会の議題となる。
ハザードの特定と追跡様式を総合的に管理する上でSMS実施要領 “4.2 様式 ハザードの特
定と追跡の管理”を使用する。
(本様式は小規模オペレーションの場合、ハザードの特定と追跡様式に替えて使用する事が出来る)
pg. 11
INC
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OM SMS部分
2.6.2
4.3様式
継続向上に向けての提起
(Continuous Improvement Opportunity Form)
上述のハザードの特定と追跡システムを補強する為に、品質管理の観点からもさらに幅広く問
題を取り上げ、これを解決する為に
SMS実施要領
“4.3様式
継続向上に向けての提起”
を使用し日常活動におけるSMS活動に資する。
変更管理プロセジャー
2.7
効果的にSMSを実施するには、オペレーションに影響を及ぼす可能性のある重要な変更を実
施する場合、変更の副産物であるハザードの有無を事前に見出し、必要な軽減策を施す為のシス
テムが必要である。それが必要になると考えられる変更とは;

外的要因
a. 法的要件の変更
b. 保安要件の変更
c. 航空管制サービスの変更

内的要件
a. 新機種の導入;
b. 運航の性格に関する重要な変更 (例 ダイナミックな事業の成長、新しい運航環境、な
ど);
c. 雇用形態、或いは(乗務割など)スケジュール手順の変更;
d. 組織構造の変更;
e. 整備契約に関する重要な変更;
などである。
重要な変更を行う決定が為されれば、直ちに安全リスク・プロフィールの見直しが行われる。
その評価及びその他の情報に基づき、運航部長は変更管理プランを策定する。
変更管理プランは以下を含む:
a. 以下の見直しが必要となる変更に関してはハザード分析を行う。:
i
運航及び整備の処置や手順,
ii
訓練及び技能証明,
iii
運航規程,
iv
整備管理規定又は整備手順マニュアル,
v
航空機運用規程とその他 SOP
pg. 12
INC
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OM SMS部分
b. 変更に伴い要求される軽減策の設定プランを作成
c. 変更が実行に移される前にSMS監査(2.7参照)を実施。
d. ハザード分析を含む変更管理の経緯を記録する。
e. 変更後のプロセス、プロセジャー、或いは情報について運航部門従事者に運航部長から
e-mailで配信する。
f. OM又は他の関連マニュアルの改訂をマニュアルの保持者に配布する。
更に変更を実施の後、運航部長は定期的に変更に係わる安全の達成水準をレビューすると共に
関連したHITSをモニターする。
2.8
2.8.1
SMSの監査
内部監査
SMS内部監査は運航部長が指名する者によって行われる、会社のSMSからは独立した評価体
制である。 その主たる目的は安全の達成水準が評価され、更に向上され得るような領域を見出
すことにある。監査活動は以下を含む。
a. 複数の運航の現場調査;
b. 運航部長、スタッフ、社外関係者をインタビュー;
c. ドキュメント類を調査、(例えば完全性、有効期日、適切性. について);
d. 使用されている会社のSMSツールの運用評価を行う。
安全管理体制の監査の結果の所見は、2.51 ハザードの特定と追跡様式でその処置がトレース
される。
2.8.2
外部監査
ABCホールディングスの運航基準はIBACによりIS-BAO(an International Standard for
Business Aircraft Operations)の認証登録を受けており、その係わりに於いてIBAC accredited
auditorによる年次の外部監査を受けている。
2.9
SMS の評価
SMS に関わる外部監査の結論を待って、運航部長はSMSの適切性と効果度の評価を結論付
ける。この評価は2.2.1に述べる安全水準の達成目標とその為の戦略に照らして行われるが、
pg. 13
INC
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OM SMS部分
そこで明らかになった問題点については修正アクションプランが立案実行され、ハザード
の特定と追跡様式によってフォローが為される。評価は安全推進委員会の承認を受け完了
する。
2.10 安全推進委員会
全社的に安全運航を推進する場として、社長を委員長とし、役員及び関連部門長で構成する「安
全推進委員会」を設置して定例的(月1回)に開催し、日々の運航で発生した具体的問題やその
対策・処置のレビュー等を具体的に討議するとともに、安全に係わる方針、及び必要な施策を決
定する。
委員会の職務は以下のとおりである。
 安全に関する基本方針の策定。
 安全リスク・プロフィールの承認と年次のレビュー(2.3 安全リスク・プロフィール参
照)
 ハザードの特定と追跡様式による提議および処置に関するレビュー及び必要に応じた更
なる処置の指示。(SMS 実施要領
第4章の“ハザードの特定と追跡様式”)
 安全体制の強化、改善の為の内部及び外部監査結果の確認(2.8 参照)。
 SMS の評価の承認(2.8 参照)
 変更管理プランの確認(2.7 参照)
 安全カルチャーの醸成。(SMS 実施要領 第 6 章参照)
事務局は運航部とし、委員会は定期的(原則として月1回)及び、必要により随時開催する。
(詳細は運営要領「安全推進委員会規程」に定める)
pg. 14
INC
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SMS 実施要領
第一章
1.1
安全及び SMS の定義
安全の定義(IS-BAO)
安全とは
絶えずハザードを認識し、それに起因するリスクを管理するプロセスを通じて、人身の死傷のリスク、又
は財産毀損のリスクが低減され、許容できる安全レベル或いはそれ以下に維持されている状態
1.2 SMS の定義(IS-BAO)
予防的に安全リスクを管理する為に、運航と技術の管理、と財務や人事の管理を統合して行う
システム的かつ総合的なプロセス
1.3
SMS の定義(ICAO)
安全管理に必要な組織の構造と役割、運営のポリシーと手順等を包含したシステム的アプローチ。
1.4
SMS の機能面からの定義(IS-BAO)

ハザードを特定.

起因するリスクを分析する

ハザードを取り去る (可能な場合), 或いは

リスクを現実的に可能な限り低減する(蓋然性又は深刻度の低減により)

軽減策が適切かつ効果的であったかのトレース
Nov.2009 KeiKnowledge INC.
1
SMS 実施要領
第2章
安全リスク・プロフィール
安全リスク・プロフィールは最も危険なリスクの輪郭を図で示した地図のようなものであり、それに基づ
いて安全管理体制が設定される。
安全リスク・プロフィールは尐なくも年毎に、そしてオペレーション、或いは航空機に重大な変更が加え
られる度に、レビューされる。
2.1 安全リスク・プロフィールの構成
2.1.1
オペレーションの概要
このセクションの目的はそれに続く会社のオペレーションのリスク要素への文脈である。ここの情報に
含まれるものは;
1.
運用される機材の数とタイプ
2.
大凡の年間飛行時間
3.
フライト・オペレーションに従事する人数、任務及び資格
4.
代表的な旅客数或いは貨物重量,
5.
オペレーションを行うルートや一般的に飛行する地域(地理的)
6.
一般的に行うオペレーションのタイプ(IFR かVFR), 日常オペレーションを行う空域のクラス,
ディスパッチとフライト・フォロー方式、気象情報やフライト・プラン入手の設備、メンテナンスと
サービシングの施設
7.
2.2.2
その他オペレーションの性格に係る記述。
重要ハザードの記載
キー・ハザードが確認されているオペレーションの領域について述べる。この目的は会社のオペレーシ
ョンの問題点を示し、それが故の事故発生の可能性を低減する為の処置を実施している実態を説明する事
に在る。ここに含まれる情報はハザード分析のプロセスで得られたもので、とりわけ発生の蓋然性が高い、
或いはクリティカルなリスクや、オペレーションが直面している最も重要なハザードに係る情報から得ら
れたものである。
軽減策に関する記述
ここには重要リスクの軽減策の概要が記載される。これは安全パフォーマンスのターゲット、を示すベ
ースとなっている。
軽減策
このセクションには現実のリスクを低減させるための訓練、フライトディスパッチ要件、や客室安全要
件など軽減策が記述されるが、内容の詳細へリンクされている事が望ましい。
2.2.3
安全リスク・プロフィールの記述方法
 影響度
リスクプロファイルを設定する上で“影響度”は会社の航空機に事故が発生した場合の会社、搭乗者、
及び地上の公衆一般に与える影響の度合いを示す。
“ 低“は航空機が1人乃至4人の従業員を輸送する場合で、且つ仮に事故に遭遇しても地上の人間の生命
を脅かすことは先ず無いであろう場合に適用されるものである。
Nov.2009 KeiKnowledge INC.
2
SMS 実施要領
“ 高“ は航空機が、失われた場合に影響の重大な会社のキーパーソンを日常的に輸送している場合や、
その航空機のサイズからして、万一事故に遭遇した場合搭乗している或いは地上の多くの人間の生命が
失われるであろう場合に適用されるものである。
注;この影響は1機の航空機の事故を想定しただけのもの(たとえば;他の航空機との空中衝突は
想定外)である。もし2機或いはそれ以上の航空機による事故を想定するなら、影響度は“高”に
固定される,なんとなれば2機目の航空機は大型の旅客機である可能性が常にあるからである。
 軽減策
会社の航空機の事故に起因して発生し得る会社、及び公衆一般の損失を軽減する為の一般的対策。例え
ば“会社のキー・パーソンを同フライトでは多人数を運送せず、分乗を原則とする“など。
 影響する要因
事故発生の可能性は幾つかの運航上の、技術的な、或いはヒューマン・ファクター的要因に影響される。
以下は完全なものではないが、ある会社の運航上のリスクをその会社なりに評価する上でのガイドライ
ンである。
a. 運航上の要因
i. その会社の運航で利用する航行援助サービスのタイプ、以下を含む
A. ATS – ルート上
リスク要因が最も“低”とされるのは常時レーダー覆域内での,IFRの運航の場合である。
最も“高”とされるのは常時VFRの運航の場合である。“中”程度とされるのは限定的レ
ーダー覆域内,或いは覆域外でのIFRでの運航、及びIFRとVFRの組み合わせの場合である。
B. ATS – ターミナル
リスク要因が最も“低”いとされるのは常に能動的な管制支援がある場合である。最も
“高”いとされるのは殆どの時間帯で現地での定まった支援がない場合で、 “中”程度
とされるのは能動的な支援がある状態と管制或いは交通支援サービスがない状態が入り
混じった場合である
ii. 目的地の進入・着陸援助施設に関して、リスク要因が最も“低”いとされるのは精密進入着陸
ができる場合で、最も“高”いとされるのは計器進入施設或いはPAPI等の目視進入援助施設がな
い場合で、“中”程度とされるのは精密進入と非精密進入が入り混じったような場合や目視進入
援助施設による場合である。
iii. 気象情報の入手, リスク要因が最も“低”いとされるのはその飛行の気象状況に関するブリ
ーフィングが常時受けられる場合である。リスク要因が最も“高”とされるのは気象情報がまば
らでしかないか、全く無い(特に出発地と目的地の気象情報に関して)場合で、“中”程度とさ
れるのは気象情報サービスの確実さが変化している場合である。
iv. 飛行場の運航上の特性, リスク要因が最も“低”とされるのは易しい地形に位置し、且つ先進
的な施設・設備の整った空港から出入りする場合である。リスク要因が最も“高”いとされるの
は過疎地に位置し変化の激しい悪天候を前提としなければならない空港から出入りする場合で
ある(例えば、沿岸地域で山が迫っている、気象が変化しがちで、且つ好ましくない厳しい風が
ある等)。“中”程度とされるのはそう言った条件の交じり合ったような場合である。
b. 技術的な要因
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SMS 実施要領
i. エンジンの形式, リスク要因が最も“低”いとされるのはターボ・ジェットの場合で、最も“高”
いとされるのはピストン・エンジン機の場合、“中”程度とされるのはターボ・プロップ機の場
合である。 もしこれとは違ったカテゴリーの航空機を使用する会社の場合は、リスク要因の程
度については、この考えを準用する。
ii. エンジンの数, リスク要因が最も“低”いとされるのは2基或いはそれ以上、最も“高”いと
されるのは単発機の場合である。
iii. 与圧システムの有無, リスク要因が最も“低”いとされるのは与圧機、最も“高”いとされ
るのは非与圧機の場合である。
iv. ルート沿いのサービス及び整備施設、リスク要因が最も“低”いとされるのは常に完全なサー
ビスや整備の施設が整っている場合で、最も“高”いとされるのは日常的運航環境としては、サ
ービスや施設が僅かしかない,或いは無い場合である。
c. ヒューマン・ファクター上の要因
i. 運航乗務員については
A. 運航乗務員の資格について、 リスク要因が最も“低”いとされるのは、専任のコマーシャル・
パイロットにより運航される場合で、最も“高”いとされるのは唯一の運航者であるビジネス
マンによる運航の場合である。
B. 運航乗務員の数について、リスク要因が最も“低”いとされるのは、複数運航乗務員編成の
場合で、最も“高”いとされるのは一人のパイロットによる運航の場合である。
C.運航乗務員の経験 について、リスク要因が最も“低”いとされるのは全ての運航乗務員が経
験豊かで、かつその型式の航空機で十分な経験がある(例えばその型式での1000時間の経験)
場合で、最も“高”いとされるのは乗務員としてのの全般的経験が浅い,或いはその型式の
航空機での経験が尐ない(例えば100時間以下)場合で、“中”程度とされるのは経験につい
て、上記が入り交じっている場合である。
ⅱ. 運航乗務員の慣熟度について、
A. 当該機材への慣熟度について、,リスク要因が最も“低”いとされるのは、 全ての乗務員が
一般的に高い慣熟度を維持している場合で、最も“高”いとされるのは一人の乗務員により偶々
行うような運航の場合で、“中”程度とされるのはこの組合せの場合である。
B. ルートへの慣熟度について、リスク要因が最も“低”いとされるのは、複数人編成で日常的
に同じ目的地への同じルートを運航する場合で、最も“高”いとされるのは一人のパイロット
による乗務で不定期に数多くの目的地への運航がなされる場合である。
ⅲ. 会社のカルチャー, リスク要因が最も“低”いとされるのは、会社の経営者も乗客も運航の
安全が最重要で、これについての運航乗務員の決定に聊かの疑問をもたない場合で、最も“高”
いとされるのは会社の経営者も乗客も何かと要求が多く,遅延に対する許容性が無く、運航乗
務員に直接,間接に圧力を感じさせる場合。
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SMS 実施要領
ⅳ. 疲労 リスク要因が最も“低”いとされるのは、運航乗務員及び整備従事者に関して合理的疲
労対策が設定されている場合で、最も“高”いとされるのは疲労対策が殆ど設定されていない
か極めて甘いものである場合。

想定事故環境
“想定事故環境”はリスク評価手法の最後の部分であり、事故が発生した場合の搭乗者の生命の安
全に係わリスクの度合いを推定する上で使われる。
ⅰ.会社の航空機が通常飛行する飛行場の緊急対応サービス(ERS)の性格について、リスク要因が
最も“低”いとされるのは常時目的地或いは出発地として使用する飛行場の現地にERSが提供さ
れ得る運航の場合であり、最も“高”いとされるのは 日常的に目的地或いは出発地として使用
する飛行場近辺にERSがない場合、“中”程度とされるのはERSが現場にある,現場から離れてあ
る、或いは全く無い状況が交じり合っている場合である。
ⅱ. 支配的な運航のカテゴリー, リスク要因が最も“低”いとされるのはIFRでのみ飛行する会社の
場合である (ルート沿いで事故の発生通報がリレーされる)。最も“高”いとされるのはVFR運航
の場合で(VFRで飛行中にIMCに突入して起きる事故が起きたときに予期しない多数の死傷が発生
する), “中”程度とされるのはVFRとIFR運航が適度に交じり合っている場合である。
ⅲ. 運航の行われる場所, リスク要因が最も“低”いとされるのは事故発生の場合の捜索、救助や
医療サービスが直ちに受けられる場所での運航の場合である。リスク要因が最も“高”いとされ
るのは山岳地での運航の場合で(衝撃力が最も強くなり、捜索救助活動が展開し難い)、“中”
程度とされるのは運航環境について上記が交じり合っている場合である。
ⅳ. 悪天候, リスク要因が最も“低”いとされるのは事故発生後の天候が一般的に良いとされる地
域での運航の場合であり、最も“高”いとされるのは天候が悪い場合には事故後の生存が脅かさ
れる可能性がある場合で、“中”程度とされるのは気象環境について上記が交じり合っている場
合である。
ⅴ. 飛行中の乱気流(非致命的)の最大の原因である飛行中の乱気流に遭遇する可能性について、
リスク要因が最も“低”いとされるのは強度の飛行中の乱気流が殆ど予測されない気象状態で運
航を行う会社の場合である。 最も“高”いとされるのは垂直山岳風、晴天乱気流、ルート上の
渦巻き流、などに遭遇する可能性がある場合で、“中”程度とされるのは、それらが交じり合っ
ている場合である。
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SMS 実施要領
安全リスク・プロフィールの様式
2.2.4
会社
オリジナル
日時
評価者

改訂版

影響度 – 会社の損害の程度
改訂理由:
軽減策 参照事項
リスク度合
低

中

高

影響する要因
運航上の要因
ATS– ルート上
ATS – ターミナル
進入着陸援助施設
気象情報
飛行場
技術的な要因
エンジンの形式
エンジンの数
与圧システム
サービス及び整備施設
ヒューマン・ファクター上の要因
運航乗務員の資格
運航乗務員の数
運航乗務員の経験
慣熟度– 機材
慣熟度 – ルート
会社のカルチャー
疲労
“影響する要因”全般
想定事故環境
ERS
支配的な運航
運航の行われる場所
悪天候
飛行中の乱気流
“想定事故環境“全般
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SMS 実施要領
第3章ハザード分析
ハザードとリスクを理解する
3.1
3.1.1
用語の定義

ハザード(Hazard) - 人身の傷害或いは財産の損傷に至る可能性がある状態又は状況

リスク(Risk) - ハザードが齎す結果で、蓋然性(likelihood)と.深刻度(severity)に於いて客観
的に評価されたもの


軽減策(Mitigation) -ハザードを除去する、或いはリスクの蓋然性や深刻度を低減する為の対策
システム安全の欠陥(System Safety Deficiency) – ハザード或いはそれに類するものの存在を放
置している状態
例えば滑走路の端に存在する障害物はハザードである。これに起因するリスクはいくつかある。
最初の安全リスクは航空機が障害物に衝突するかもしれないというものであり、2番目のリスクはパイロ
ットが障害物の存在を認識していて、それを避けるために通常よりも深い角度で進入し着地をしたが“hot
and high”となり、更にそのまま着陸を継続したがオーバーランに至るというものである。3番目のリスク
は2番目のリスクシナリオと前半は同じであるが、着地が“hot and high”となったのでゴーアラウンドする
というものである。
安全システム欠陥の一例をあげると、財政的圧力や人員不足が理由で ATS の人員をトータルなリスク評
価なしに削減したような状態がそれに当たるもので、この場合当該 ATS 内では類似した多くのハザード
が存在するであろう。
3.1.2
深刻度及び蓋然性のクラス分類
過去の事故やインシデントのデータやオペレーション上の経験などから、上記夫々3 つのリスクの蓋然性
と深刻度の評価を行う事が出来る。
フライト中の障害物への衝突による深刻度は滑走路逸脱のそれよりも重く、ゴーアラウンドによる深刻度
は前2者よりも軽い。上述のように滑走路終端の障害物と言うハザードによるリスクは広汎にわたる事は
明らかであり、またリスク毎に深刻度及び蓋然性はそれぞれ異なっている。
そうしたハザードやリスクを取扱うには近似的なクラス分類を行うが下記はその一例である。
深刻度
内容
カテゴリー A
生命の喪失、或いは航空機損壊のポテンシャル
がある場合
カテゴリー B
重傷者又は航空機に重度の破損が発生するポテ
ンシャルがある場合
カテゴリー C
軽傷者、或いは軽度の航空機の損傷が発生する
ポテンシャルがある場合
カテゴリー D
乗客不便の発生など些細な影響
蓋然性
内容
High
しばしば発生
Medium
時々発生
Low
滅多には発生しない
Rare
先ずは発生しない
Very rare
殆ど発生する事は無い
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SMS 実施要領
3.1.3
軽減策と許容レベルの判断基準
ハザードと関連するリスクが理解された上は、次にそれらを管理する為の一連のアクションの候補が検討
される。 上述の例の場合、最初のアクションの候補はハザード(滑走路終端の障害物)自体を取り除く
ことである。
然しそれが不可能な場合、次のアクションの候補はハザードを回避する、即ち当該滑走
路を使用しない事で、ハザードは残るが離着陸時に航空機が衝突する蓋然性は殆どなくなる。
それも出来ない場合の3番目のアクションの候補は,考えられるリスクを許容できるレベルに引き下げる
軽減策を検討する事である。
この 3 番目のオプションを採る場合オペレーターは許容できるレベルの判断基準を定めておく必要があ
り、又オペレーションを実施するメリットとリスクとのバランスについても検討しておく必要がある。
リスクを評価し軽減策を策定する上で、リスクを3つのカテゴリー分ける。
1. リスクが極めて大きく、許容できない
2. リスクが極めて小さく明らかに許容可能
3. リスクがそのどちらカテゴリーでもないが、当該リスクを管理する有効な策が考慮されなけ
ればならない
若しリスクが完全には許容レベル以下に低減出来ない場合でも下記の場合は許容可能と見做す事が出来
る:

リスクがあらかじめ定められた許容できない限界以下であり;

リスクは合理的かつ現実的に可能な限界まで低減されており(ALARP“as low as reasonably
practicable”); そして

オペレーションを実行するベネフィットがリスクを許容するに十分なものがあること。
3.1.4
SMS リスク管理に必要な事

社員全員が会社のオペレーションに特有なハザードやリスクを理解し、社員全員にリスク・プロフィ
ールを説明し、毎月全てのハザード報告とその処置に関して全員でディスカッションを行う。

問題をオープンに報告するカルチャーを掲げる事で、社員によるハザード報告や問題追跡調査報告を
前向きに捉えて尐なくとも二週間以内には返事を行う。

“ジャスト・カルチャー”を掲げ、全ての社員が、何が許容できる行動で、何が出来ないかに共通の
認識を持つこと。その為にポリシー宣言が必要であるが、それは全社員が関与して作られる事が望ま
しい。
3.2
ハザード分析
3.2.1 ハザード分析を行なう為の準備
ハザードを確定し分析する前に踏むべき幾つかの基本的ステップがある
第一に“何の目的で分析しようとしているのか”を明確化しておく事である。 若しハザードの確定と分
析が当該オペレーションの セーフティー・リスク・プロフィールを作成する、或いは改訂する事が目的
で行われる場合はオペレーションの全ての局面が検討の対象になり、この場合はオペレーションに係る全
ての部門の人々の参加を得なければならない。
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SMS 実施要領
分析の実施、或いは文書化の段階で手近に参照出来る様、このプロセスのスコープ(範囲)を常に参照で
きるようにしておく事。
第二に“誰が分析に当たるか”を決定する。ここにはオペレーションを熟知する者が尐なくも 1 名以上参
加すべきである。 経験があり信頼出来る、そして現場の最新のオペレーションの状況についての知識を
有する事が望まれる。又既成概念にとらわれない思考の能力も問われる。 運航部門が極めて小規模であ
る場合、外部の適切な専門家を含める事も意味がある。
第三に、“分析のプロセスに当たる者には全ての情報を提供されているか“。この中には安全関連の具体
的情報以外に、分析プロセスに関するガイダンス、及び当該分析のスコープ(範囲)に係るものが含まれ
るべきである。
第四に“適切な施設を含めた準備が出来ているか“である。”適切な大きさの部屋が準備されているか、
分析の記録の手段は整っているか”等である。
いささかオールドファッションであるが日めくりタイプの模造紙ラック(フリップチャート)とマーカー
ペン、マスキングテープの組み合わせも適切であろう。 勿論情報は同時に電子的に記録される必要があ
る。 更に当該グループは分析を行っている間、或いは記録している間は外部から煩わせられる事の無い
環境に置かれなければならない
ハザードの確定の計画
終了日
Notes
1. スコープを決める
2. チームを編成する
3. ロジスティック関連

日時の決定

部屋の準備

フリップ・チャート etc

書式
4. チームへ情報を提供
5. その他
3.2.2
チームへのブリーフィング
これから行う分析の目的、範囲(スコープ)等についてブリーフィングを行う
3.2.3 アクシデント・シナリオのブレインストーム
対象となるオペレーションで発生し得る事故のシナリオをメンバーで奮って考える。あまり詳細に拘る
必要はなく、他のチームメンバーがイベントに至る状況を理解できればよい程度の情報を書き留める。
必要な時に参照できるようにフリップ・チャートに書いておく。
この時点で為すべき事はアクシデント・シナリオに含まれるハザードを見出す事であり、それに起因する
リスクについては後で分析する。
イベント・リストが完成したかを確認するには幾つかのオプションがある。最初のシナリオを描きだす
ラウンドが一通り終了したら今度はオペレーションの特定の側面或いは条件に目を凝らしてみる。特定の
側面或いは条件とは、分析の性格にもよるが、過去に経験したインシデントにフォーカスして掘り下げて
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SMS 実施要領
みる、特定の季節におけるオペレーシについて考える、特定の空港、管制されていない空域での異なるタ
イプのオペレーション、VFR オペレーション、RVSM, MNPS そして異なる型式の機材等々である。
3.2.4
優先度に応じて区分する
次に確定したシナリオについて現実に発生しやすいもの、及び最も深刻な結果を齎すものの順番で優先
度をつけカテゴリー分けをする。ここで当初の分類にはあまり時間をかけないのが得策である、つまり必
ず後刻改めてもっと正確なカテゴリー分けをする事になるからである。
3.2.5
ハザードを確定する
最初のイベントシナリオに戻ってポテンシャルな事故に問題の状態や状況がどのように繋がってゆく
のかを詳細に議論しコンセンサスを得ておく。この“問題の状態や状況”がハザードであり、議論対象の
イベントと共にフリップ・チャートに書きとめる。
引き続きイベント・シナリオを徹底的に洗い出したらこれら、これを以下の様式に従って整理する
アクシデント・シナリオ様式
イベント 番号
事故のシナリオ
ハザード #1
リスク #1
リスク #2
リスク # 3
ハザード #2
リスク #1
リスク #2
リスク # 3
ハザード #3
リスク #1
リスク #2
リスク # 3
3.2.6
類似のイベント及びハザードをカテゴリーに分ける
次のステップで類似のイベント及びハザードを気象、オペレーショナル、テクニカル、環境、ヒューマ
ンファクター等のカテゴリーに分ける、そして繰り返し何度も発生するキー・ハザードは無いか?もっと
も深刻なリスクは?もっとも起こり易いリスクは何か?を見出す。
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SMS 実施要領
ハザードを醸成するような背景的環境の有無についても調べる。これはシステム安全欠陥と称せられる
もので、ハザードの存在を先天的なものとして是認しており、オペレーションの行われる環境の前提とし
ている場合である。 以下のような例が挙げられる 。

性能上ギリギリの滑走路しかない地域に日常的に運航している

これに経験の浅いパイロットを雇用し充てている。

スキル・ベースの訓練が必要なのに知識・ベースの訓練で済ましている。
3.2.7
等である。
軽減策を策定する
3.2.7.1 軽減策とは、
A. ハザードを取り除きリスクをゼロにする、
B. 或いはリスクを合理的かつ現実的に出来る限り低減する
B-1 リスクの蓋然性(発生の確率)を抑える
B-2 リスクが発生してもその深刻度を和らげる
3.2.7.2 軽減策の種類は
プロセジャー、訓練、機材、限界或いは制限の4種類と、その組み合わせがある。以下に具体例を挙げ
る





障害物に接触する虞れのある場合は、ゴーアラウンドを励行する⇒プロセジャー
混雑飛行場で滑走路への侵入の恐れがある場合 ICAO マニュアルで推奨されている侵入防止策を
SOP 及び訓練プログラムに取り入れる⇒訓練
混雑飛行場で滑走路への侵入の恐れがある場合 EVS を航空機に装備し低視程下で、滑走路上の他の
航空機や車両の存在の察知をアシストする⇒機材
日中の往路は勤務時間を延長し、帰路は深夜となるような場合-疲労対策プログラムでそのようなオ
ペレーションを制限する⇒限界或いは制限
厳しいハザードが特定の地域で、夜間に、或いはマージナルな気象状況で顕在化するのであれば、そ
のようなオペレーションに特別な条件或いは制限を課す。⇒限界或いは制限
3.2.7.3 軽減策設定上のコツ

軽減策が新規のハザードを生まない事
軽減策が新規のハザードを生まないように注意を払う必要がある。例えば何か新規のプロシジャーを設
定すればその負荷が飛行のクリティカルなフェーズで悪影響を及ぼしたり、同時に実施するべき他のプロ
シジャーの邪魔になったりする事がある。

軽減策は現実的である事
全ての軽減策が適切と言うわけではない。例えば事故防止の道筋に於いて、終始一貫エラーの無いパフ
ォーマンスを期待するのは非現実的である。提起されている軽減策が現実の人員、機材、及びオペレーシ
ョンに適ったものであるかの見極めをつけるべくチームの挑戦が求められる。
ここで疑いが生じたら、現行の案に加えて、或いは替えて何が出来るかを考えなくてはならない

軽減策は首尾一貫して期待した結果を生むか?
全ての軽減策が有効であるとはいえない。 例えば提起されている軽減案が一定の熟練度を前提にして
いる場合、その技が如何なる環境でも発揮されるとするのは現実的でなない。
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SMS 実施要領
このような場合は補足の軽減策が必要となる。
繰り返しになるが検討チームは軽減策案が常に期待通りに作用するか、或いはハザードの危険度に見合っ
て機能するかを見極めておかなければならない。

深刻度の軽減に注目
場合によっては深刻度を低減する軽減策が求められる。例えば危険性のある過疎地域でのフライトウオ
ッチのプロシジャーをその特性に合わせて変更する事でサーチ.レスキュー警報サービスの質を向上させ、
ひいては人命の喪失の蓋然性を低減する事が出来るのである。
又サバイバル・キットや救急器具を充実すると同時に、乗務員に関連スキルに関する訓練を施す事によっ
て事故生存率を高める事が出来る。
3.2.7.4 軽減策設定に使用する様式
様式 ハザードシート
ハザードの内容:
顕在化する確率
(適用ある場合)
イベント・シナリオ番号 (○印) 1 2 3 4 5 6 7 8
ハザードに起因するリスク
軽減策:
想定条件:
深刻度のカテゴリー
蓋然性
ABCD
H M L R VR
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SMS 実施要領
3.2.8
軽減策の妥当性をレビュー
ハザード分析の最終段階で、リスクの蓋然性と深刻度が合理的かつ現実的に最低のレベルに低減されて
いるかをレビューし検証する。
又総合的レビューも行われる、例えば事故発生につながる蓋然性の低いハザードに、もっと頻繁に発生
するものに対するリソースの割り当てを削ってまでも、不釣り合いに多くのリソースを注ぎ込んでいない
かを検証する事が大切である。
3.2.9 検討事項のドキュメント化
様式を利用して検討内容をドキュメント化することは極めて重要である。 一連のプロセスには終了す
るまでに時間がかかるし場合によっては費用が必要となる。従ってこうした時間やや費用の投入は安全と
言うリターンに見合わなければならないのである。
正確なドキュメンテーション無しには”リスクは然るべく管理されているか”を確認する事は出来ない。
又. 正確なドキュメンテーション無しにはオペレーションの安全パフォーマンス目標の達成のために行っ
た投資が見合った結果を残したか否かの評価も出来ないのである。
後日、以前の分析で俎上に上がり検討対象となったハザードが引き合いになるような新しいハザード報
告が提出されたときに参照する事が出来る。そうした場合のハザード分析に際しては、かって行った分析
に立ち戻りその情報を利用すると共に当時の分析の妥当性についても検証する事が出来る。即ち新しいと
思われているハザードとリスクは既に知られていたものと同じではないか? イベントが発生した時す
でに実施されていた軽減策は事故を防ぐ効力を発生したか?或いは何か予期していなかった事が起きた
ものか?等である。
上記1~9項のハザード分析の実施を下記チェックリストに従って確認する。
ハザードを確定する
終了日
Notes
3.2.2 チームへのブリーフィング
3.2.3 アクシデント・シナリオをブレイ
ン・ストーミング
3.2.4 優先度に応じて区分する
3.2.5 ハザードを確定する
3.2.6 類似のイベントやハザードを束
ねる
3.2.7 軽減策を策定する
3.2.8 軽減策の妥当性をレビュー
3.2.9 ドキュメント化
- イベントの記述様式
- ハザードの記述様式
- 安全リスク・プロフィール
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SMS 実施要領
3.3
フライト実施前に行うリスク分析の実施手順

第 1 ステージの分析評価
フライトの実施が決定された時点で運航管理者(或いはそれに準じる者)が ハザード番号 #1 ~ #26
について、該当する value を initial score 欄に記入し、initial score の合計値を#41 に記入する。
このプロセスは 10 分以内に実施する程度の手軽さで良い。若し合計値が 7 を超える場合は運航部長、
又はチーフ・パイロットに具申される。
合計値が7以下であれば更なるアクションは不要である。

第 2 ステージの分析評価(12- Hour Analysis)
フライト開始予定時間の 12 時間前に担当運航管理者が入手した気象予報を加味して改めて評価を行う。
ハザード番号 #1 ~ #26 については第 1 ステージも参考に、あまり時間をかけることなく value を
12-Hour score 欄に記入する。
ハザード番号 #27 ~ #40 については入手した気象予報に従って 15 乃至 20 分程度をかけて 12-Hour
Score 欄に該当 value 記入する。
若し 12-Hour score の合計値(41 行目)が 18 を超える場合は運航部長、或いはチーフ・パイロット
に具申される。18 以下の場合は更なるアクションは不要である。

運航部長、或いはチーフ・パイロットによる分析評価とアクション
運航部長、或いはチーフ・パイロットは第 1 又は第 2 ステージから具申された評価様式の裏ページ(表
ページの灰色に塗りつぶされた部分)に probability と severity の値を記入する。記入方法は以下の通り。
1. Severity 及び Probability の値を記入する
Probability - アクシデント・インシデントの発生する可能性

可能性が高い = 0.8

可能性あり = 0.6

可能性が低い= 0.4

可能性は無視出来る= 0.2
Severity - アクシデント・インシデントの深刻度

人身或いは機材の損傷は無視できる程度 = 1

軽度の人身或いは機材の損傷 = 2

重度の人身或いは機材の損傷= 3

人命の喪失又は機体の損壊= 4
2.
Probability スコアと Severity スコアを掛け合わせて Risk 指数(Quotient)を算出する。
3.
全ての指数を合計して 41 行目の“Total Risk Assessment Quotient-評価指数合計欄”に記入する。
4.
評価指数の高い項目に着目してリスク軽減策を策定し様式の所定欄に記入する。
(軽減策の例としては、注意喚起、フライトのディレー、キャンセル、目的地の変更、乗員交替
等が挙げられる)
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14
SMS 実施要領
5. 12-Hour score 及び Risk 指数(Quotient)を再評価する
6. 運航部長、或いはチーフ・パイロットによる署名記入
様式
フライト実施前に行うリスク分析
日時
記入者
評価者
管理者
Trip Number
乗員
機材
空港
#
Remarks
Pre Flight
1
Pop-Up trip (< 4 hour Crew notice)
2
Poor Access to WX Information
Approach and Landing Facilities (Select best available approach)
3
ILS
4
VOR/GPS/LOC/ADF
5
Circling Approach
6
No Published Approaches
Departure/Destination Airport
7
Elevation (<4000=0/<5000=2/<6000=3/>6000=4>7000=5)
8
Useable Rwy Length < 5000 ft
9
Useable Rwy Length > 5000 ft but < 5500 ft
10
Mountainous Airport
11
High Density Airport
12
Control Tower Not Operational at ETA or ETD
13
Winter Operations
14
Twilight Operation
15
Night Operation
International Operations
16
Canada
17
Europe or Pacific
18
Mexico/Caribbean/South America
19
Africa
Maintenance Factors
20
Extended Service and/or Maintenance Items
21
MEL Items (Flight Safety Related)
Flight Crew Experience
22
Low Time Captain
23
SIC has less than 50 hours in Type
Flight Crew Duty Day
24
Duty Day greater than 12 hours less than 13
25
Duty Day greater than 13 hours less than 14
Additional Factors
26
Weather Forecast
27
No Weather Reporting
28
Thunder Storms
29
Turbulence (Light/Mod/Severe)
30
Ceiling & Vis < 1000/3, > 500/2
31
Ceiling & Vis < 500/2, > 300/1
32
Ceiling & Vis < 300/1
33
Rain (Light/Moderate/Heavy)
34
Snow (Light/Moderate/Heavy)
35
Sleet (Light/Moderate/Heavy)
36
Hail
37
Icing (Trace/Lt/Mod/Sev)
38
Surface Winds > 30 Knots
39
Runway Braking Action (Fair/Poor/Nil)
40
NOTAMS (Score 0-5, higher score = more risk)
41
Nov.2009 KeiKnowledge INC.
Value
3
3
0
3
4
4
0/2/3/4/5
5
3
5
3
3
3
2
3
2
3
3
4
2
2
3
2
2
3
4
3
0/2/4
2
3
5
1/3/5
1/3/5
1/3/5
4
0/1/3/5
3
1/3/5
0 thru 5
Total
15
Initial
Score
12-Hour
Score
Prob
Sev
Risk Quot
SMS 実施要領
以下の場合はチーフ・パイロットに具申する:
a. フライト実施決定直後の評価(10 分程度で済ませる)で評点(risk スコア)が 7 を超える場合
b. 出発前 12 時間時点での評点が 18 を超える場合(この時点で weather 評価がなされる)
2. 上記の.ケースに該当する場合、灰色部分に記入する
2. Severity 及び Probability の値を記入する
1.
Probability - アクシデント・インシデントの発生する可能性

可能性が高い = 0.8

可能性あり = 0.6

可能性が低い= 0.4

可能性は無視出来る= 0.2
Severity - アクシデント・インシデントの深刻度
3.

人身或いは機材の損傷は無視できる程度 = 1

軽度の人身或いは機材の損傷 = 2

重度の人身或いは機材の損傷= 3

人命の喪失又は機体の損壊= 4
Probability スコアと Severity スコアを掛け合わせて Risk スコアを算出する
3. 全ての Risk スコアを合計して下記に記入する
リスク評価指数合計= __________________
考えられる根本原因
軽減策の候補
取られた処置
署名 ____________________________
日付 ________________
Nov.2009 KeiKnowledge INC.
16
SMS 実施要領
3.4 フライト実施前に行うリスク認識チェックリスト
(ORA- Operational Risk Awareness Tool )
飛行のレグごとに乗務員が当該フライトに係るリスクの認識度を向上する目的で使用するチェック・リ
ストである。パイロットが自己満足や独りよがりを排してリスク要素をリマインドする上では実践的かつ
効果的なツールである事が知られている。
様式 Operational Risk Awareness Tool
Operational Risk Awareness
Checklist
Operational Risk Awareness
Checklist
Preflight Considerations
Approach & Landing Considerations
Leg Type
Normal/Shuttle/VIP/Reposition………..Considered
Leg Type
Normal/Shuttle/VIP/Reposition…..…..Considered
Flightcrew Status
Crew Composition/Currency…..………Considered
Fatigue/Stress/Health…………….….…Considered
Flightcrew Status
Crew Composition/Currency………....Considered
Fatigue/Stress/Health…………..……..Considered
Aircraft Status
Inoperative Equipment…………………Considered
Aircraft Weight/CG…..…………….…...Considered
Planned Configuration…………………Considered
De-icing…………………………….……Considered
Aircraft Status
Inoperative Equipment……………….Considered
Aircraft Weight/CG…………..…….....Considered
Planned Configuration…………….....Considered
Fuel Remaining………………….……Considered
Flight Environment
Familiarity……………………………....Considered
Day/Night……………………………….Considered
Weather Conditions……………………Considered
Birds/Wildlife Hazards…………………Considered
Terrain/Obstacles………………………Considered
Traffic Density……… ………………..Considered
Language Barriers…….……………….Considered
Flight Environment
Familiarity……………………………...Considered
Day/Night………………………...…....Considered
Weather Conditions….…………….....Considered
Birds/Wildlife Hazards…….…….…....Considered
Terrain/Obstacles………….………....Considered
Traffic Density………………………...Considered
Language Barriers……………………Considered
Airport Facilities
Controlled/ Uncontrolled………………Considered
Runway Length/Width………………...Considered
Runway Contaminants………………..Considered
Taxi Route/Incursion Hotspots……….Considered
Airport Facilities
Controlled/ Uncontrolled……………..Considered
Runway Length/Width………………..Considered
Runway Contaminants….……….......Considered
Taxi Route/Incursion Hotspots………Considered
Planned Procedure
Radar/Non-Radar……………………..Considered
Type of Departure……………………..Considered
Climb/Speed Restrictions…………….Considered
Emergency Return/Divert Plan……....Considered
Planned Procedure
Radar/Non-Radar……………………..Considered
Type of Approach …………………....Considered
Glideslope Angle……………..…..…..Considered
ALARS Targets……………………….Considered
Diversionary Plan………………….….Considered
このチェックリストはエンジンスタート前に実施する
Nov.2009 KeiKnowledge INC.
このチェックリストは initial descent 開始前に実施する
17
SMS Guidance Manual
Appendix F - Accident Scenario Form
第4章 ハザードの特定と追跡(HITS)
(Hazards Identification & Tracking Tools )
4.1 様式 ハザードの特定と追跡(HITS)
HITS(Hazards Identification & Tracking Tools )
(通常用いられる様式)
提起する事象の記述:
日付
時間
場所
氏名
日付
電話番号
分析結果の概要
氏名
日付
対応処置の提案
受理 
却下
Nov.2009 KeiKnowledge INC.
却下の場合理由及び代替処置を説明する
18
SMS Guidance Manual
Appendix F - Accident Scenario Form
運航部門管理責任者
日付
実行に移された処置
日付
実行後レビュー実施者名
日付
4.2 様式 ハザードの特定と追跡の管理
報告の対象(運
#
航、整備等)
Nov.2009 KeiKnowledge INC.
報告内容
リスク
リスク管理戦略
順位
(軽減策)
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実施日
評価日
効果の評価
SMS Guidance Manual
4.3 様式
Appendix F - Accident Scenario Form
継続向上に向けての提起
(Continuous Improvement opportunity Form)
管理番号:
概要:
提起した者:
日付:
問題の先取り
修正案
内部監査
安全問題 (示唆, インシデント, ハザード)
プロダクト又はサービスの不適合
顧客関連
示唆
当面の処置は行われたか?
Yes
No
概要:
完了日:
調査/原因の解明
アサイン:
完了予定:
概要:
完了日:
恒久処置
必要性?:
Yes
サ
Noア
イ
ン
:
完了予定:
概要:
完了日:
効果の検証
検証実施者:
最終確認者:
Nov.2009 KeiKnowledge INC.
完了日:
タイトル:
20
日付:
SMS Guidance Manual
第5章
Appendix F - Accident Scenario Form
緊急対応対策
緊急対応対策は緊急事態或いは事故が発生した場合に具体的に何を誰の責任で為すべきか、を記したもので、
SMS の一部をなす。緊急対応対策はスムースな非常時に対応した権限移行と、終了に伴う円滑な通常時への
復帰がキーとなる。
緊急対応対策のゴール
1. 整然かつ効率的に通常オペレーションから非常時オペレーションに移行する。
2. 非常時に対応した権限移行を行う。
3. 緊急時の任務のアサイン。
4. キーパーソンが当該プランのアクションを承認する
5. 初動及びそれ以降の非常時対応の活動を調整する。
6. 緊急対応諸活動の安全に進め、通常オペレーションへ出来るだけ早期に戻れるよう努力する
ABC ホールディングスの緊急対応対策をxxxxに示す。
緊急対応対策は組織変更その他不具合ある場合は直ちにアップデートされ、復習されなければならない。
Nov.2009 KeiKnowledge INC.
21
SMS Guidance Manual
第6章
Appendix F - Accident Scenario Form
安全カルチャーの醸成
会社の安全カルチャーはマネージメントにより醸成された雰囲気が形成する運航や整備部門の従事者の内
部的な安全に係る姿勢を反映している。次のようなファクターに影響を受ける。:

マネージメントの行動と優先度の置き方,

安全に係るポリシーとそれを反映したプロセジャー,

管理の行い方

安全水準の達成目標

不安全行為に対する処置

従業員の教育とモチベーション

従業員の参加とコミット
安全カルチャーに中庸は無く、ポジティブかネガティブのどちらかで、SMSの機能と会社の安全パフォーマ
ンスに大きな影響を与える
ポジティブな安全カルチャーが根付いているか?を示すものとして以下が挙げられる。
1. 経営者は何にもまして安全に重点を置いている。
2. デシジョンを下す者、及び従う者は組織の活動に内包されている短期及び長期のハザードに関し、現実的
な見通しを共有している。
3. 上位に在る者は
a. 安全上の問題について、組織の下位からの批判、コメント、及びフィードバックが闊達に行われる雰
囲気を醸成し、高揚する。
b. 上位である立場を利用して下位の者の考えに影響を及ぼさない
c.
明らかになった安全欠陥に起因する結果を阻止する対策を速やかに施す
4. 上級管理者はjust cultureを推進する. 但し non-punitiveなる用語は全面的免除を意味するものではない
5. 組織(内部及び外部の両方)の全てのレベルに亘り安全に関する情報をやりとりする事の大切さが共有さ
れている。
6. ハザード、安全、そしてダメージに発展する可能性に関して現実的で計測可能な尺度がある。
7. 従事者はよく訓練されていて、不安全行為が何を齎すかを熟知している。
8. リスキーな行為は滅多には無く、そうした行為を思いとどまらせる安全倫理が根付いている。
Nov.2009 KeiKnowledge INC.
22
SMS Guidance Manual
Appendix F - Accident Scenario Form
第7章 ・SMS 導入作業計画
7.0
チェックリスト導入作業計画
終了期日
アクション
コメント
目標
1. SMS コンセプトのスタディー
2. 上級管理者による導入決定
2.1 SMS の導入と参加のコミット
2.2 ポリシー、安全ターゲット・レベル、及
び目標に関する案の承認
2.3 必要なリソースの提供に関する同意
2.4 組織内での役割に関する同意
3. チームを編成
3.1 チームの構成個人及びグループの義務と
責任に関する同意
4. ギャップ分析の実施
4.1 現在あるものは何か、何が足りないかを
決める
4.2 導入計画の策定
5. ハザード分析、リスク評価の実施
5.1 ハザードと関連リスクの確定
5.2 リスク評価と軽減策の策定
5.3 Develop safety-risk profile
6. 安全管理戦略の設定
6.1 軽減策を該当するプログラム、システム、
又はプロセジャーに適用する上でのポリ
シーを立てる
6.2 安全のターゲットレベルの確認
6.3 安全パフォーマンスの目標、ゴール、及
び評価クライテリアの設定
6.4 日常発生するリスクの評価ツール、プロ
セジャーの選択と採用
7. マネージャー及びスタッフの安全上の役割の
明確化
7.1 ステップ 2.4 で設定した役割を必要に応
Nov.2009 KeiKnowledge INC.
23
完了日
SMS Guidance Manual
Appendix F - Accident Scenario Form
終了期日
アクション
コメント
目標
じて変更または追加
7.2 組織図、職務分掌、組織マニュアル等に
反映されているかの確認
7.3 前向きな安全カルチャーを醸成する上で
の問題を挙げる
8. ハザード確認とトレースシステム及びリスク
評価プロセジャーの設定
8.1 従事者に軽減策についてフィードバック
する、又従事者がハザードやインシデン
トを報告するプロセジャー及び様式を定
める。
8.2 分析プロセジャー、様式の採用と実施
8.3 レポート、分析、修正の過程がトレース
できるリスク登録システムを設定する
8.4 委員会の設立
8.5 フライトデータ・モニタリング・システ
ムの確立―採用している場合―
8.6 日常オペレーションにおけるリスク評価
ツールの導入-変更管理ツールを含む-
9. 緊急対応対策の設定
9.1 ERP を作成
9.2 関係者を訓練
9.3 ERP を復習する
10. プログラム、システム、プロセジャー関連ド
キュメントを改訂する
10.1 ここまでの活動をレビューし、改訂すべ
きプログラム、システム、プロセジャ
ー、関連ドキュメントの一覧表を作成
する
10.2 オペレーションマニュアルを含め関連
ドキュメントを改訂する
10.3 軽減策が適切にプログラム、システム、
プロセジャー、関連ドキュメントに反
Nov.2009 KeiKnowledge INC.
24
完了日
SMS Guidance Manual
Appendix F - Accident Scenario Form
終了期日
コメント
アクション
目標
映されたかの確認
10.4
適用ある法規や許可への適合を証明す
るシステムが適用されているかの確認
11. スタッフの訓練
11.1
SMS の原理及びその中での役割と責任
を理解する為の訓練を実施
11.2
全てのスタッフがそれぞれの持ち場に
おけるハザード、リスク、軽減策を理
解している事を確認
12. トレースと評価
12.1
SMS を評価し、安全性のターゲット・
レベル、及び安全目標とゴールの達成
を確認する為のツールの開発
12.2
欠陥の修正とその適切さ、効用を評価
するツールの開発
Nov.2009 KeiKnowledge INC.
25
完了日
Fly UP