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映画の読み解き方
談話会 第一回(平成 17 年4月 14 日) ○研究発表3 映画の読み解き方 -森田芳光『家族ゲーム』と黒澤明『椿三十郎』を例に- 柳澤 浩哉 (日本語教育学講座助教授) 映画と演劇のセリフは違う。 映画では演劇のような長く説明的なセリフは使えないため, 映画では常に言語情報が不足している。不足した情報を補うために,映画では画面にさま ざまな意味を盛り込む。映画を読み解く最大のポイントは画面に込められた情報を発見し 作品理解に使用することにある。多様な形で画面に読み込まれた情報を読み解く事例とし て,本発表では『家族ゲーム』と『椿三十郎』を取り上げた。 『家族ゲーム』は,記号的な形による意味の読み込みを特徴としており,発表では次の ような例について,それが表す意味を考察した。冒頭の不自然な食事シーンと不気味な食 事音,家庭教師が舟で来ること,家庭教師の服装と持ち物,彼の質問の不自然さ,等々。 『椿三十郎』では,人物の動きが能のように洗練されていること,そして,動きの意味 を考察した。たとえば,冒頭の若侍の動きが彼らの「成長」を表現していること,等。