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【オープンソース】<解説6> 流体解析ソフトウェア「OpenFOAM」
特集 設計環境を変える IT 活用最前線 【オープンソース】 解説6 流体解析ソフトウェア 「OpenFOAM」 ソフトフロー 呉 広鎬* *う くあんはお:代表取締役 〒 182−8585 東京都調布市調布ヶ丘 1−5−1 西 11 号館 5F URL:http://www.softflow.jp/ 同じ計算ができるのであれば,値段の高い汎用 った。同時に,Henry, Mattijs らは SGI 社支持の基 ソフトを使うか,それともただのフリーソフトを で The OpenFOAM Foundation という非営利組織 使うのか?回答は明らかに無料フリーソフトであ を立ち上げ,GNU GPL(General Public License) る。現在汎用ソフトを利用している大手企業のほ に従って,OpenFOAM の開発とバージョン管理 とんどがフリーソフトを利用あるいは検討してい を行っている。ソースコードは www.openfoam. る現状がその証でもある。 org からダウンロードできる。 しかしフリーと言っても,適切な導入・運用方 現在 OpenFOAM は欧米を中心に,世界中 1,000 法をしてないとコスト効果が得られない可能性が 以上の企業と研究所・大学ユーザーがあるとされ ある。以下,フリーソフトの中で最も利用者が多 る。日本でもこの数年間自動車・機械・精密機 い OpenFOAM を持ってその導入・運用方法につ 器・建築等の分野でユーザーが急激に増加してい いて述べる。 る。今は OpenFOAM コミュニティーが形成され, OpenFOAM とは 毎年下記のユーザー会を通じてその実用事例と新 機能開発結果が発表されている。 Open Source CFD International Conference FOAM は Field Operation And Manipulation の略 (英国) 称である。1990 年代イギリスの Imperial College OpenFOAM Workshop(欧米各地) の Gosman 研究室の学生であった Henry, Jasak, Open オープン CAE シンポジウム(日本) Mattijs 等により開発され始めた。当時研究室の プログラムは Fortran であったため,コードの再 汎用流体解析ソフトとの違いとメリット 利用が難しく,無駄になるケースが多かった。こ んな状況を変えようと,オブジェクト指向の C + 簡 単 に 言 う と, 汎 用 CFD ソ フ ト は OS で の +言語で CFD(computational fluid dynamics)コー Windows,OpenFOAM は Linux にそれぞれ分類で ドを書き出したのが,FOAM の発端である。 きるだろう。 2004 年 Henry, Mattijs らは OpenCFD 社を立ち上 汎用 CFD ソフトは企業が多額の開発費用と技 げ,名前を OpenFOAM と変え,全てのソースコ 術者を導入して長時間開発したものであるが故に, ー ド を 完 全 オ ー プ ン 化 し た。2011 年 に は すでに多数のユーザーから長い期間利用されてい OpenCFD 社はハードメーカーである米 SGI 社に て,信頼性が高く,使いやすく,そして安心した 買収され,OpenFOAM も SGI 社の登録商標とな 技術サポートがついている。ただし,コストが高 50 機 械 設 計