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特講(人間の環境適応を科学する) 人体環境適応論 第1回目
特講(人間の環境適応を科学する) 人体環境適応論 第1回目 ガイダンス 外部環境・内部環境・ホメオスタシス 環境と言えば CO2・温暖化 大気汚染… しかし,本講義では 環境生理学 生理学 Physiology 安静時の正常な人体に見られる種々の生命現象のメカニ ズムを明らかにする学問(Physio- 身体の) 自然現象の内, → 無生命的な現象を扱う学問が物理学 → 生命のある身体を扱う学問が生理学 pysical という形容詞は「物理的・肉体的」 環境生理学とは 外部環境が人体の内部状態にどのような影響を及ぼし, どのような適応変化を生み出すかを明らかにする学問 物理的条件 温度・気圧・光・音 化学的条件 空気・水・各種ガス 社会的条件 人間関係 外部環境の刺激 単独 or 複合 身 体 反応し調和することで 内部環境を維持 ホメオスタシス 外部環境とは 生物を取り巻くすべての条件を外部環境と 呼ぶ(皮膚の外側) それには自然環境と人工環境とがある 様々な外部環境は,絶えず心身に影響を与 える。身体はこれに反応・適応しながら生 きている 内部環境とは 生体の機能的構成単位であ る細胞は,その周囲の液体で ある細胞外液(血液・組織液・リンパ)に よって必要な物質や情報を与えられ,代 謝・老廃物を運び出して生きている。 すなわち,細胞外液は細胞の働きに必要 な条件を与えている細胞の直接の環境であ る。これを内部環境と呼ぶ ホメオスタシス A 外界 海 B 細胞外液 細胞 海外 内部環境 細胞 皮膚 細胞は,比較的一定の 環境にいる 細胞外液は海水に相当する 外界の変化:内界を一定に 細 胞 内 液 体 重 の 40 % 間 質 液 体 重 の 15 % 体液区分 血 液 体 重 の 5 % 胃 腸 腎 皮 臓 膚 免 疫 体 温 体 液 量 血 圧 色々なホメオスタシス調節系の相互作用が 「生きる」こと 関連する言葉 適応 変化する外部環境に対応して,生存にもっ とも適した反応体制を形成していく現象。適 応能を持つことが生物の基本的な特性。適応 能には個人差があるが,トレーニングによっ てその幅を拡大することができる。適応能の 大小は,生活能力の強弱ともいえる。人間は 火と衣服と住居で寒さをしのぐ技術を獲得 し,地球上に広く生活している。 適応には2つある 自然適応:人間が生理的に適応できる外部環境条 件には一定の限界がある。この限界内での適応を 自然適応という。 → 生理的適応と行動性適応がある 文化的適応:技術の開発によって新しい環境に働 きかけ,自分の生活に都合の良い環境を創造して いく。 → 生理的適応,行動性適応,精神文化的適 応,社会文化的適応が関与する 従合性適応:変温動物 → 広い範囲の内部環境変化に耐える 調節性適応:ほ乳類 → 広い範囲の外部環境変化に耐える 人が生きるためには,適切な環境が必要である。人は,自分 に都合の良い環境を創ることで地上で生き延びてきた。 空気 【大気】 いつでも 呼吸ができる 人と環境 太陽 【家】 外の環境と区別して 快適な環境を確保する 廃棄物処理系 食料系 【食料】 いつでも 食べられる 快適な 【居住設備】 【水】 水系 いつでも 飲める 【廃棄物】有害な物,不要な物は速やかに遠ざける 行動性適応 3月のある日 交叉適応:ある環境に長時間暴露して適応した時, 別の環境因子に対する適応能が強まったり弱まった りすること 順応:自然の気象条件,地理条件など複合環境条件 に対する適応 → 生理機能の季節変動など 順化:単一の環境条件に対する適応 → 寒冷順化,暑熱順化,低酸素順化など 慣れ:環境からの刺激が反復して加わった時,その 刺激に対する反応・感覚が次第に弱くなる現象 → 寒冷刺激による痛覚が次第に弱くなる 生理的適応の発現機構 持続性あるいは 反復性入力 自律神経系 中枢神経系 内分泌系 求心生興奮 遠心生興奮 液性調節 直接作用 受容統合 効果器官 制御対象 内部受容器 生体機能 環境刺激 外部受容器 に適応変化が生じ,対象となる生理機能のホメオスタシスが獲得される 生体は反応し調和することで内部環境を維持 社会的環境 人はどこまで高温に耐えられるか 厚着した人間が耐えた乾燥気温の最高記録は, 1960年アメリカ空軍の実験中に記録された 260℃ 人はどこまで低温に耐えられるか 人間が最も低い温度で生存したのは22℃。1994 年2月23日,カナダで2歳の子どもが戸外に6時間 閉め出され,体温が14.2℃まで下がった。 人間 ストレッサー ストレス反応 適応 健康 社会的 物理的 化学的 → 交感神経の働きが強まる → 副腎髄質からアドレナリン分泌 → 下垂体 前葉からACTHを介して副腎皮質ホルモンが分泌 ↓ 血圧上昇,心拍上昇,血糖値上昇など 不適応 治療 ストレス病 (再適応) 交感神経:感情と関係が深いことから命名 身体的疾患 精神的疾患 心身症 神経症 反社会的行動 人はどこまで高く登れるか 人はどこまで長く息止めできるか 江頭2:50,4分14秒 血液中の二酸化炭素濃度 が上昇するため,息こら えを我慢できなくなる 次回は内部環境の適応 自律神経・内分泌・血液