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平成26年度国際エネルギー使用合理化等対策事業 (機器分野の省エネ普及促進事業) 報 告 書 平成27年3月 目次 はじめに(背景と事業目的、取組みの概略) .........................................................................................................3 事業概要 ........................................................................................................................................................................................5 1. ASEAN 各国における機器分野の省エネルギー普及促進制度の構築支援の実施 ......................... 5 1.1. 事業背景 ............................................................................................................................................................................5 1.2. 活動概要 ............................................................................................................................................................................6 1.3. 今後の展開(課題など含む) ............................................................................................................................ 12 2.省エネシンポジウム(S&L 制度支援事業)~アジアにおける省エネ基準・ラベリング政策 の調和と国際協力の現状~) ................................................................................................................................. 16 2.1. 事業背景 ........................................................................................................................................................................ 16 2.2. 活動概要 ........................................................................................................................................................................ 16 2.3. 今後の展開(課題など含む) ............................................................................................................................ 17 資料編 ......................................................................................................................................................................................... 18 はじめに (背景と事業目的) エネルギー需要の急増が見込まれるアジアを中心とした新興国において、我が国のエネルギー セキュリティ確保、地球温暖化対策等の観点から、省エネルギー対策を促進する必要がある。そ のためには、我が国の優れた省エネルギー機器等がビジネスベースで同地域に広く普及すること が重要であり、各国において機器分野の省エネルギー普及促進制度を構築し、整備することが有 効な手段となる。 本事業では、省エネルギー性能の優れた機器が適正に評価され、ASEAN 各国に普及するこ とを目的に、アジア各国に対する省エネルギー政策・制度の整備や執行に関する能力育成などを 通じて当センターが培った省エネルギー普及促進制度に関する知見やネットワークを活用し、各 国の特性を踏まえ、かつ各国の省エネルギー普及促進制度調和も見据え、また ASEAN におけ る二国間・多国間での同種の取組と連携しつつ、機器分野の省エネルギー普及促進制度の構築支 援を実施してきた。また、こうした制度構築は短期にその成果が獲得できるものではなく、相手 国の事情を踏まえた継続的な支援の実施が必要不可欠であることから、国内外の機器分野の省エ ネルギー普及促進制度に関する国際的なイニシアティブとの連携と関係強化、ネットワークの拡 大も併せて実行してきた。 (取組みの概略) 本事業の平成 26 年度の取組みの概略については以下のとおりである。 ASEAN に対して本事業を進めていくにあたっては、当センターが平成 25 年度に経済産業 省から同事業を受託した際に、SOME-METI 高級事務レベル会合で了承され ASEAN エネルギ ーセンター(ACE)とエネルギー効率・保全に関するサブセクター・ネットワーク(EE&C-SSN) のもとで進められる公認の事業として位置付けることに成功した、日本の省エネ型機器普及促進 制度の基本概念をもとに構築された EMTIPS プログラム(Energy Efficiency Market Transformation with Information Provision Scheme Program:情報提供スキームによる エネルギー効率市場転換プログラム)を継続して実施することとした。 平成 26 年度の事業としては、ASEAN 各国における機器分野の省エネ普及促進の現状を把 握するため、ASEAN において最も関心の高い家電であるエアコンに関する「省エネ性能カタ ログ」の作成を目標にかかげた。また、普及促進の対象となる消費者の動向を知ることも重要で あることから、アンケート調査の実施を呼びかけた。ASEAN の現状としては、既に S&L 制度 (省エネ性能基準とラベル表示制度)を施行(6 カ国) 、間もなく施行予定(1 カ国)、目途がた っていない(3 カ国)と進捗には格差があり、かつ既に制度を施行している国々においても制度 内容や省エネ性能データの公開に対する考え方と方法に違いが存在している。しかしながら、 26 年度までの EMTIPS 活動の成果として、例えば、シンガポールでは効率基準に関する 4 段 階表示から 5 段階表示に改善したこと、インドネシアではエアコン(CFL は既実施)の MEPS (最低エネルギー効率基準)とラベルの規定を 2015 年 1 月 28 日に制定、ボランタリーで運 用し 2016 年 7 月以降は強制実施に切り替える、また、特に今年度活動を通じて、高効率市場 3 への転換に向けては消費者ニーズの把握が殊のほか重要と認識(最終会合)など、徐々にではあ るが一つの方向性への動きが見え始めている。 以上の事例のように、ASEAN 経済圏での基準調和に向けては、各国の事情を踏まえつつも、 日本の経験を活かし、一つ一つ成功事例を作り上げ、そのメリットを ASEAN 全体で確認しつ つ進めて行くことが肝要である。 一方、ASEAN 各国においてはノンインバーターエアコンが主流となっているが、家庭分野 の省エネルギーを進めるためには、高効率のエアコン、すなわちインバーターエアコンの普及が 期待されるところである。しかしながら、1.2~1.7 倍とも言われる価格差やノンインバーター 製造を主体とする国内メーカーの存在等により、S&L 制度整備が進む 5 カ国(インドネシア、 マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナム)におけるインバーターエアコンの普及率は、政府が 同機種を推奨するベトナムの 25%強を除き、およそ 5%から 15%の間に分布している現状に ある。このため、インバーターエアコンの省エネ性能に対する ASEAN 各国の理解を深め、 ASEAN 市場での普及を促進するために、上記 5 カ国を対象に、使用時間、設定温度、気候、 市場データなどの使用実態調査を弊センター独自に行った。本調査の結果を踏まえつつ、いくつ かのインバーターエアコン普及シナリオの設定のもとに、ノンインバーターエアコンをインバー ターエアコンに置換えた場合のエネルギー消費量削減効果の試算を行い、その結果及び、普及促 進につながると考えられる追加的施策の必要性について、ASEAN 各国に提言した。 最後に、本年 1 月末の ASEAN-JAPAN 国際省エネシンポジウム『アジアにおける省エネ基 準・ラベリング政策の調和と国際協力の現状』では、ASEAN5カ国からの招聘講師、日本の講 師により、各国の法制度の整備運用状況、今年度の EMTIPS 活動の実施結果、二国間・多国間 の協力事業等について、情報提供が行われた。ASEAN 経済共同体移行初年度においても、① 各国における機器の評価基準及びラベリング制度の整備状況は、法制度、運用上の課題など、そ れぞれの事情が反映され同一ではなく調和には時間がかかる、②高効率家電機器、特にインバー ターエアコンの普及に向けては、価格差の問題、低廉な電気料金、国内ステークホルダーの意向 など、各国にはそれぞれ解決しなければならない障害が依然として存在している、ということを 講師陣と来場者との間で認識・共有できる有意義な機会となったことを付け加えたい。 2015 年 3 月 (一財)省エネルギーセンター 4 事業概要 1. ASEAN 各国における機器分野の省エネルギー普及促進制度の構築支援の実施 1.1. 事業背景 ASEAN では機器分野における省エネ普及促進に関する様々な取り組みが ASEAN 各国や ASEAN 全体で進められている。これら取り組みの状況を踏まえつつ平成 26 年度の ASEAN に対する本事業は、次の活動を行った。 ①ASEAN-Japan EMTIPS プログラムの実施 平成 25 年度に経済産業省から本年度事業の前身となる事業を受託した際に、当センターは ASEAN に対して新規プロジェクトとして EMTIPS プログラム(Energy Efficiency Market Transformation with Information Provision Scheme Program)を提案し、SOME-METI 高級事務レベル会合で了承され ASEAN エネルギーセンター(ACE)とエネルギー効率・保全 に関するサブセクター・ネットワーク(EE&C-SSN)のもとで進められる公認の事業として位 置付けることに成功した。 ASEAN における EMTIPS プロジェクトの位置づけ SOME-METI 合意 EU 1. SOME 2. EE&C METI -SSN 各プログラム 3.ASEAN- EMTIPS AJEEP 4. SHINE ・25 年度に引き続き 26 年度事業内容についても EE&C-SSN の合意を獲得 1.SOME(Senior 2.EE&C-SSN Official Meeting on Energy)ASEAN10 か国のエネルギー次官会合。 (エネルギー効率・保全に関するサブセクター・ネットワーク)各国の実行責任者から構成 される、SOME のもとにある実行管理体。 3.ASEAN-SHINE エアコンに関する測定・評価指標・省エネ基準の調和に関する EU の多国間プログラム。 国際銅協会(ICA)が事務局(同種の二国間プログラムとしては、日本の IS-INOTEK 事業が存在) 。 4.AJEEP 研修および専門家派遣を通じた省エネ政策支援、省エネ人材育成を実施するプログラム。省エネ法 制度の整備支援や、省エネ技術の普及展開を目的とした人材育成事業を実施。 本枠組みを更に強固なものとするために、ACE を事務局として開催される ASEAN EE&C-SSN 年次会合(2014 年 5 月 30 日 於ラオス)に参加して昨年度の成果と本年度の 活動計画を発表し、本事業に対する理解と協力を求めた。EMTIPS プログラムは、日本の S&L 制度(省エネ性能基準とラベル表示制度)および省エネ型機器普及促進制度を基本概念に取り入 れて構築されたものであり、市場に対し省エネ性能を含めた機器の情報を公開・提供することに 5 より、省エネ型機器の普及を促進することをテーマとしている。日本において 1997 年より作 成されている「省エネ性能カタログ」を機器の情報を公開・提供する手法のひとつと位置づけ、 「省エネ性能カタログ」の ASEAN 版作成を主要な活動に掲げている。対象品目としては ASEAN における関心が最も高いエアコンを選択した。更に本年度は補助的活動としてアンケ ートによる消費者動向調査の試験的実施も試みている。 ②インバーターエアコンへの置き換えによるエネルギー消費量削減効果試算の実施 ASEAN 各国においては現在ノンインバーターエアコンが主流となっており、昨年度同事業 において ASEAN4 か国(インドネシア、フィリピン、マレーシア、シンガポール)を訪問し た際の店舗視察においても同様の傾向が見られた。民生部門における省エネは ASEAN 各国に おいても喫緊の課題となっていることから、より省エネ性能の優れたインバーターエアコンの更 なる普及が期待されている。今年度は、ASEAN におけるインバーターエアコンの普及にとも なう省エネ効果について具体的なイメージと目標感を持たせるために、エアコンに関する市場デ ータ及び各国の特性(気候、エアコン使用時間、設定温度、住宅条件等)を加味した、ノンイン バーターエアコンからインバーターエアコンに置換えた場合のエネルギー消費量削減効果の試 算を行った。 ③経済産業省が実施するその他関連事業との協働 なお本事業の実施においては、経済産業省による ASEAN に対するその他関連事業との協働 を図り、不要な業務重複を避けた効率的・効果的な実施が求められた。 1.2. 活動概要 ASEAN に対する本事業の活動概要を以下に示す。 ①ASEAN-Japan EMTIPS Program の実施 本年度の活動は、ASEAN からの参加者をより多く募り、また本プログラムに対する理解を 深めてもらうために、以下のスケジュール構成で実施した。さらに、エアコンに対する省エネ基 準及びラベル表示制度を有する(あるいは施行間近の)ASEAN の国々(インドネシア、マレ ーシア、フィリピン、タイ、ベトナム)を本取り組みの「賛同国」として位置づけることによっ て、より一層の参加協力を求めた。なお ASEAN 内の平等性を考慮し、 「賛同国」に該当しない 国々による本取り組みへの参加も受け入れ、ASEAN 全体による情報共有と総体的な省エネ水 準の向上を目指した。 表 1. ワークショップ等の会合開催一覧 日程 平成 26 年 目的 初回会合 開催・訪問国/政府機関 ベトナム(ホーチミン) 内容 • 8 月 14-15 日 本プログラムの主旨お よび本年度の活動を説 明。 • 6 フィリピンおよびシン ガポールを除いた 8 か 国の代表が出席。 平成 26 日 賛同国 フィリピン(マニラ) 10 月 13-14 訪問 エネルギー省(Department of Energy) 日 賛同国 インドネシア(ジャカルタ) 11 月 17-18 訪問 エネルギー鉱物資源省(Ministry of 平成 26 年 11 月 19-20 Energy and Mineral Resources)訪問 賛同国 訪問 日 交換。 • S&L 制度施行における 各国の現状把握。 • S&L 制度の改善に向け 訪問 た日本からの助言およ び提言。 平成 26 年 賛同国 ベトナム(ハノイ) 12 月 16 日 訪問 商工業省(Ministry of Industry and • S&L 分野における Trade)訪問 ASEAN 内調和に関す る意見交換。 平成 26 年 賛同国 タイ(バンコク) 12 月 18-19 訪問 エネルギー省 代替エネルギー・省エネルギ 日 活動実施における課題 と解決策に対する意見 マレーシア(クアラルンプール) エネルギー委員会(Energy Commission) 本年度の活動における 進捗状況の確認。 • 訪問 平成 26 年 日 • ー局(Department of Alternative Energy Department and Efficiency, Ministry of Energy)訪問 平成 27 年 最終会合 インドネシア(ボゴール) • 2 月 27 日 本年度の活動報告と今 後の課題等に関する意 見交換。 • ベトナムおよびシンガ ポールを除いた 8 か国 の代表が出席。 平成 26 年度の AJ-EMTIPS プログラムにおける主要な活動としては、エアコンの「省エネ 性能カタログ」作成のための情報として、ASEAN 各国政府が消費者向けに作成している「エ アコンの賢い使い方・選び方」ならびに各国で販売されているエアコンのデータ収集/リスト化 を提案し推進した。特にエアコンのデータリスト整備・改善に関しては、今年度の訪問対象に設 定した「賛同国」 (表1参照)に対して、将来の調和の方向性を見据え、日本の省エネ性能カタ ログの重ねての説明と同カタログに準拠したデータリストを提示し整備と改善を働きかけてき た。更に、省エネ型機器の普及を進めていくためには消費者への働きかけも重要であることから、 省エネ機器に関する消費者の実態を把握することを提案し、その手法として消費者アンケート調 査( 「購買時における消費者意識・動向」および「エアコンの使用実態」)を紹介して試験的に小 規模で実施することを ASEAN 各国に働きかけた。以下(表.2)に平成 26 年度 AJ-EMTIPS 事業における各国の活動状況をまとめる。なお、AJ-EMTIPS プログラムにおいて収集された 情報やデータ、また本活動を通じて得られた知見等については、本分野における ASEAN 全体 の底上げのため、最終会合時における各国からの発表を通じて ASEAN10 か国の共有情報とし て展開した。 7 表 2. 平成 26 年度 AJ-EMTIPS 事業における ASEAN 各国の活動内容および結果 国名 マレーシア 「省エネ性能カタログ作成」 • 「消費者アンケート調査」 • 「賢い使い方・選び方」 試験的に 100 名について実施。本事 事業を通じて掲載内容を他の 業を通じて調査結果を他の ASEAN ASEAN 加盟国に紹介するとともに、 加盟国に紹介。 入手した情報により本冊子の拡充を • 「エアコン使用実態」 試験的に 20 名について実施。本事業 検討中。 • 「消費者意識・動向」 冊子の形態で国内に配布しており、本 「製品リスト」 を通じて調査結果を他の ASEAN 加 現在、多段階評価(★の数)等の情報 盟国に紹介。 を加えたリストのウェブ公開に向け て内部調整中。 フィリピン • • • 「賢い使い方・選び方」 「消費者意識・動向」 消費者向けウェブサイトにて情報発 独自に消費者アンケート調査を実施 信しており、本事業を通じて掲載内容 しており、本事業を通じて調査結果を を他の ASEAN 加盟国に紹介。 他の ASEAN 加盟国に紹介。 • 「製品リスト」 登録製品のエネルギー消費効率を含 「エアコン使用実態」 本年度は実施せず。 む基本情報をウェブサイトに公開し ており、本事業における働きかけによ りデータの整理方法および公開情報 の拡充を検討中。 シンガポール タイ 本年度は実施せず。 本年度は実施せず。 • • 「賢い使い方・選び方」 ウェブサイトや冊子を介して情報発 • ベトナム インドネシア 試験的に 21 名について実施。本事業 信しており本事業を通じて掲載内容 を通じて調査結果を他の ASEAN 加 を他の ASEAN 加盟国に紹介。 盟国に紹介。 • 「製品リスト」 「エアコン使用実態」 本事業を通じてラベル情報に基づい 試験的に 21 名について実施。本事業 た製品リストがウェブ公開されてい を通じて調査結果を他の ASEAN 加 ることを確認。 盟国に紹介。 本年度は実施せず。 本年度は実施せず。 • • • 「賢い使い方・選び方」 「消費者意識・動向」 消費者向けに情報を発信するための 試験的に 90 名について実施。本事業 ウェブサイトを開発中。 を通じて調査結果を他の ASEAN 加 「製品リスト」 盟国に紹介。 MEPS*およびラベル表示制度策定の ブルネイ 「消費者意識・動向」 • 「エアコン使用実態」 ために製品データを収集しており、ウ 試験的に 20 名について実施。本事業 ェブサイトへの公開に向け内部調整 を通じて調査結果を他の ASEAN 加 中。 盟国に紹介。 本年度は実施せず(本年度はまず消費者 • アンケート調査から) 。 「消費者意識・動向」 試験的に 100 名程度で実施。本事業 を通じて調査結果を他の ASEAN 加 盟国に紹介。 • 「エアコン使用実態」 試験的に 20 名程度について実施。本 8 事業を通じて調査結果を他の ASEAN 加盟国に紹介。 カンボジア ラオス 本年度は実施せず。 本年度は実施せず。 • • 「賢い使い方・選び方」 タイ DEDE の協力を得て作成した冊 独自に消費者アンケート調査を実施 子を介して情報発信しており、本事業 しており、本事業を通じて調査結果を を通じて掲載内容を他の ASEAN 加 他の ASEAN 加盟国に紹介。 • 盟国にも紹介。 • 「消費者意識・動向」 「製品リスト」 「エアコン使用実態」 本年度は実施せず。 本事業において、市場で販売されてい るエアコン(輸入品のみ)のリストを、 メーカー等のウェブサイトや製品カ タログに公開されている情報を利用 して作成。 ミャンマー • • • 「賢い使い方・選び方」 消費者向けに情報を発信するための 試験的に 100 名について実施。本事 情報収集中。 業を通じて調査結果を他の ASEAN 「製品リスト」 加盟国に紹介。 本事業にて紹介した日本の製品リス * 「購買時動向」 • 「エアコン使用実態」 トの項目を参考に、消費者向け製品リ 試験的に 20 名について実施。本事業 ストの項目案を作成。 を通じて調査結果を他の ASEAN 加 盟国に紹介。 最低エネルギー消費効率基準値(MEPS:Minimum Energy Performance Standard) ②インバーターエアコンへの置き換えによるエネルギー消費量削減効果試算の実施 ECCJ による今回の試算については仕様書に基づき、ASEAN 全域ではなく制度整備が進み 改善も行おうとしている 5 カ国(インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナム) を対象に行った。削減量の計算に当たっては、まず、各国における平均的な一般家庭の家屋の広 さと構造、世帯構成、家族の在宅状況、エアコンの使用状況(一日の時間帯別・年間)、設定温 度、気象条件等について、エアコン製造会社の協力による使用実態調査等により、試算条件とな る基本情報を収集した。さらに、対象各国におけるエアコン需要実績と将来予測(フロー・スト ック)、冷房能力別代表機種の COP 推計、複数のインバーターエアコン普及シナリオ(表 3. 参照)の設定により、2020 年時点での各国のシナリオ別電力消費削減量の推計を行った。 表3.インバーター普及シナリオ 想定シナリオ インバーターRAC 増加率 前提条件(想定) ⅰ.BAUシナリオ 年率2%増 特段追加的な政策はなく、直近の普及増加率で推移 ⅱ.S1シナリオ 年率6%増 政府の推奨、メーカー・リテイラーからの適切な情報提供、富裕層でインバータ SBC購買が定着。 Market Transformationが始動。 ⅲ.S2シナリオ 年率1C%増 S1の条件に加えて、政府による補助金、TaR reductionなどインセンティブ政策 の導入。インバーター技術がメーカーに普及。ノンインバとの価格差も縮小。 Market Transformationが加速 ⅳ.S3シナリオ 年率15%増 S2の環境整備により消費者各層のAwarenessが向上。消費者ニーズが製造者やリ テイラーにも反映され、高効率な製品開発が定着する。 2C2C年度ではMarket Transformationがほぼ達成された状態 ⅴ.Rシナリオ リプレース 潜在削減可能量を推測するため 例えば、3125年以降インバータ機以外の販売を禁止 9 5 カ国計の試算結果については、下記グラフのとおりである。 ・2013 年度のインバーターエアコン普及率で固定したシナリオでの 2020 年の電力消費量 は 1,830 億 kWh で 2013 年度実績比約 79.4%の増加 ・BAU シナリオ(年率 2%増)では 1,758 億 kWh で固定シナリオと比較して 3.9%の削減 ・S1 シナリオ(年率 6%増)では 1,649 億 kWh で同比 9.8%の削減 ・S2 シナリオ(年率 10%増)では 1,548 億 kWh で同比 15.4%の削減 ・S3 シナリオ(年率 15%増)では 1,367 億 kWh で同比 25%の削減 ・R シナリオ(リプレース)では 1,104 億 kWh で同比 39%の削減 また、各国のシナリオ別削減量は、下記グラフのとおりである。 2014 年から 2020 年までの累計電力消費削減量を国別にみると、インドネシアが最も大き く、次いでマレーシア、タイ、ベトナム、フィリピンの順となっている。以上の試算結果につい ては、平成 27 年 2 月 27 日にインドネシアにて行われた EMTIPS 最終会合にて情報提供を行 10 った。インバーターエアコンなど高効率機器の普及率向上を加速し、家庭分野のエネルギー消費 量の削減を実現するためには、 ・EMTIPS 事業の主題である適切な機器情報の提供と消費者意識の向上 ・機器購入に関わる減税や補助金等政府による追加施策の実行 ・本報告でのシナリオ別削減量を参考に、目標感を持って進めること など により、高効率市場への転換(Market Transformation)が加速されることを提言し、各国と の間で活発な意見交換が行われた。 ③経済産業省が実施するその他関連事業との協働 平成 26 年度においては ASEAN に対する以下の関連事業との協働を図り、関係者との情報 交換を通じて効率的な事業実施に努めた。特に、各国訪問時に確認できた性能評価基準の検討状 況、ラベルの改善状況などは、適宜 IS-INOTEK に対して情報提供を行った。 表 4. 類似事業との協働・情報交換実績一覧 日程 1 関連事業名 協力活動概要 平成 26 年 「省エネルギー等普及基盤 5 月 14 日 構築支援調査事業 • 家庭用 左記事業を経済産業省より受託している基準 認証イノベーション技術研究組合 エアコン及び冷蔵庫の国際 (IS-INOTEK)と、本年度における協力活動に 標準化に関する支援調査事 ついて意見交換を行った。 業」 • 平成 26 年 「省エネルギー等普及基盤 • 6月6日 構築支援調査事業 双方の事業を認識し可能な場合においては協 働することを確認した。 2 家庭用 ECCJ が出席した ASEAN EE&C-SSN 会合 (5 月 30 日 於ラオス)において、世界銅協 エアコン及び冷蔵庫の国際 会(ICA)が EU ファンドで進めている 標準化に関する支援調査事 ASEAN SHINE プログラムの本年計画につ 業」 いて発表があったことから、本件に関して国 内関係者(経済産業省、基準認証イノベーシ ョン技術研究組合、日本エネルギー経済研究 所)と情報共有し、日本からの関わり方につ いて意見交換を行った。 3 平成 26 年 「国際エネルギー使用合理 8 月 14-15 日 化等対策事業 • 省エネルギ ECCJ は左記事業を経済産業省より受託して いることから、左記事業の平成 26 年度初回 ー人材育成事業」 会合と本事業(EMTIPS プログラム)の初回 会合を同地にて連続開催することにより、 ASEAN 及び日本側双方の不要な負担を軽減 し、効率的な会合開催を行った。 4 平成 26 年 「省エネルギー等普及基盤 9 月 25 日 構築支援調査事業 • 家庭用 ECCJ が受託している「省エネ人材育成事業」 における ASEAN 内の S&L 制度調和を主題 エアコン及び冷蔵庫の国際 とした招聘研修(11 月開催)において、日本 標準化に関する支援調査事 からの協力事業として左記の活動と本事業 業」 (EMTIPS)の講義を行うこととなった。そ のため、活動範囲の摺合せ等、事前確認を行 った。 11 5 平成 26 年 「国際エネルギー使用合理 11 月 20-28 化等対策事業 日 ー人材育成事業」 • 省エネルギ ASEAN 内の S&L 制度調和を主題とした招聘 研修(11 月開催)において、日本からの協力 事業として本事業(EMTIPS)の活動紹介と S&L 制度調和の考え方について講義を行い、 参加者等と意見交換を行った。また、基準調 和に向けて関連する事業としての IS-INOTEK の参加(講師)を実現させた。 6 平成 27 年 「省エネルギー等普及基盤 1 月 28-30 日 構築支援調査事業 • 左記事業において予定されているワークショ 家庭用 ップと本事業(EMTIPS)において予定され エアコン及び冷蔵庫の国際 ているシンポジウムを連続開催することによ 標準化に関する支援調査事 り、ASEAN 及び日本側双方の不要な負担を 業」 軽減、効率的な会合開催を行った。ワークシ ョップにオブザーバー出席、シンポジウムに は IS-INOTEK から講師を招聘。 7 8 平成 27 年 「省エネルギー等普及基盤 2 月 18 日 構築支援調査事業 • IS-INOTEK と ASEAN-SHINE との今後の 家庭用 連携について経済産業省、IS-INOTEK と意見 エアコン及び冷蔵庫の国際 交換。本事業(EMTIPS プログラム)最終会 標準化に関する支援調査事 合(2/27)の機会に、ECCJ が ACE との間で 業」 調整を行うことになった。 平成 27 年 「国際エネルギー使用合理 2 月 27 日 化等対策事業 • 省エネルギ 左記事業の平成 26 年度最終会合と本事業 (EMTIPS プログラム)の最終会合を同地に ー人材育成事業」 て連続開催することにより、ASEAN 及び日 本側双方の不要な負担を軽減し、効率的な会 合開催を行った。 ④ 関係者への定期的情報共有 平成 26 年 4 月 9 日に経済産業省資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部政策課国 際室の要請に基づき、通商政策局国際経済課、環境ユニット地球環境対策室と 25 年度までの本 事業の活動と ASEAN における S&L 関連制度の整備状況、26 年度の活動予定等について情報 共有を実施。以降、26 年度の各活動に関しては実施の都度、国際室に報告を行ってきている。 1.3. 今後の展開(課題など含む) ASEAN に対する本事業の今後見込まれる展開と課題に関する考察を以下に示す。 ① ASEAN-Japan EMTIPS プログラムの実施 平成 25 年度の本事業では各国の省エネ基準及びラベル表示制度を中心に調査を行い、その結 果、ASEAN10 か国のうち 5 か国(マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム) は既にエアコンに対する最低エネルギー効率基準(MEPS)およびラベル表示制度を施行し、2 か国(インドネシア・ブルネイ)については間もなく施行される予定であり、3 か国(カンボジ ア・ラオス・ミャンマー)については施行に向け省エネ法制度を含め策定中という現状が明らか となった。平成 26 年度の本事業では、昨年度の活動を通じて得られた ASEAN 各国における 12 機器分野の省エネ普及促進の現状に関する情報に基づき、各国の特性および状況に引き続き注視 して情報を収集し、これらに合わせた「エアコンの省エネ性能カタログ作成」および「消費者ア ンケート実施」を提案し事業を進めてきた。以下に平成 26 年度における各国の現状をまとめる。 表 5. 平成 26 年度における ASEAN 各国の エアコンに対する省エネ基準およびラベル表示(S&L)制度施行状況 国名 エアコンに対する 政府/関連機関による S&L 制度 エアコンの省エネ性能データ公開 マレーシア ○ △※ フィリピン ○ ○ シンガポール ○ ○ タイ ○ ○ ベトナム ○ ○ インドネシア △ △※ ブルネイ △ ? カンボジア × × ラオス × × ミャンマー × × ○=「施行済み」/「データ公開有り」 △=「間もなく施行」/「間もなくデータ公開」 ※=多段階評価(★の数)のみ公開 ×=「策定中/計画中」 (すなわち、現在施行されていない) ?=「不明」 個別に見た場合には平成 26 年度中に ASEAN 諸国において以下のような動きがあり、本事 業の活動を通じて、各国が機器の省エネ普及促進分野において関連制度策定および改善に意欲を 高め取り組んでいることが確認できた。 表 6. 平成 26 年度におけるエアコンの省エネ普及促進に関する ASEAN 諸国の動向 国名 マレーシア 内容 • 多段階評価ラベルが強制化された(平成 26 年 5 月に任意ラベルからの移行期間 終了) 。 シンガポール • 平成 26 年 9 月に多段階評価基準の見直しが行われ、実質 4 段階評価から 5 段階 評価に改定された。 • 多段階評価基準が引き上げられ、平成 25 年 10 月時点では大半が旧制度におけ る最高評価 4 を受けていたが、平成 27 年 3 月時点においては新制度における中 間評価 3 の製品が最も多い。シンガポール政府は、今後評価 4 および 5 の製品が 増加し、エアコン市場全体の省エネ水準が改善されると見込んでいる。 • 多段階評価基準と MEPS が整合化され、多段階評価の最低評価 1 の下限値が MEPS 値となった(以前は評価 2 の下限値が MEPS 値であるなど整合していな かった) 。 13 タイ • EGAT1 が運用する任意の多段階評価ラベルに関しては、平成 27 年 1 月 1 日よ りノンインバーター機とインバーター機を別区分にして評価が行われることとな った。ノンインバーター機については引き続き EER2 で評価し、インバーター機 については SEER3(CSPF4 と同義)で評価される。 • DEDE5 が定める HEPS6 基準を達成している機器は、現在市場の約 80%を占め ているが、今後上位 20%程度となるように HEPS 基準を厳しくすることが検討 されている。 インドネシア • 平成 25 年度末時点では強制 MEPS および任意ラベルとする計画であったが、平 成 26 年度に入りラベル表示についても強制化されることとなった。 • メーカー入力による機器の省エネ性能情報を公開するウェブサイトの構築を進め ている。 • 平成 27 年 1 月にエアコンに対する省エネ基準およびラベル表示制度の施行につ いて大臣の承認が下り、同年 8 月の施行が予定されている。 ブルネイ • 平成 25 年より関連する法律や規制の整備を進めており、平成 26 年中にエアコ ンに対する強制 MEPS および 5 段階評価によるラベルデザインを含む規定が策定 された。平成 27 年 3 月には告示され、1 年後に施行となる予定。 カンボジア 1 2 3 4 5 6 • 韓国エネルギー管理公団(KEMCO)の支援を受け S&L 制度の策定に着手。 タイ発電公社(EGAT:Electricity Generating Authority of Thailand) エネルギー消費効率指標の一種(EER:Energy Efficiency Rate) 。エアコンの場合には、 「冷房能力 /消費電力」で算出される。ASEAN において広く利用されている。 エネルギー消費効率指標の一種(SEER:Seasonal Energy Efficiency Rate) 。 「冷房期間における冷 房能力/同期間における消費電力量」で算出される。ISO 16358 において定義されている CSPF が 消費者にとって馴染みの薄い名称であることから、SEER が使用される傾向が見られる。 エネルギー消費効率指標の一種(CSPF:Cooling Seasonal Performance Factor) 。 「冷房期間にお ける冷房能力/同期間における消費電力量」で算出される。ISO 16358 において算出方法が定義され ている。 エネルギー省(MOE:Ministry of Energy)の代替エネルギー開発・効率化局(DEDE:Department of Alternative Energy Development and Efficiency) 最高エネルギー消費効率基準値(HEPS:High Energy Performance Standard) 。市販されている 製品のうち省エネ性能に関して優れているものを特定するための基準値。 しかしながら、機器の省エネ基準及びラベル表示制度の施行状況には、前出表 5.「平成 26 年度における ASEAN 各国のエアコンに対する省エネ基準およびラベル表示(S&L)制度施行 状況」を見ての通り、ASEAN 各国間には依然として格差が存在する。 既に当該制度を施行している国々においても制度内容や省エネ性能データの公開に対する考 え方と方法に違いがあるなど、ASEAN としての足並みは揃っていない。このため、先行事例 として、製品データリストの ACE の WEB への公開について、フィリピン、タイ等に打診した が、現時点では時期尚早との意見が強く、自国内での公開にとどまっている。 一方、ASEAN は 2015 年に経済面における「ASEAN 共同体」の実現を目指しており、将 来的には家電製品等の機器市場の統合も考えられることから、機器の省エネ制度や省エネ性能情 報の公開方法などを共通化・共有化することが ASEAN にとって有用であるという認識は高ま りつつある。ASEAN 各国並びに将来の ASEAN 統合市場において省エネ型機器の普及を促進 14 するためには、本年度の AJ-EMTIPS プログラムにおける主な活動である機器の省エネ性能カ タログ作成事業を ASEAN 全体の事業として継続し、ASEAN 内の消費者の省エネ意識向上や 各国の S&L 制度改善、将来的には ASEAN 共通データベースの開発を目指すことが望まれる。 ②インバーターエアコンへの置き換えによるエネルギー消費量削減効果試算の実施 26 年度の EMTIPS 事業の主要な活動のひとつに、ASEAN 各国でエアコン使用実態調査を 試行することが合意されている。インドネシア、タイ、マレーシア、ブルネイ、ミャンマーなど 各国において調査が行われたが、回答者数が少ないことや政府関係者を対象としていることなど により、当該国における一般的な傾向を把握するには至らず、またデータ分析にも苦慮している 状況であった。ECCJ による実態調査結果のとりまとめと、調査結果を踏まえた年間エネルギ ー消費量の計算とインバーターエアコン普及率に応じた電力消費削減量の試算は、各国に対して、 調査のあり方、調査結果の分析方法、更なる活用の方向性について、具体的なイメージを提供す ることにつながったと思われる。 今回の試算は、世界のエアコン市場をリードする日本の代表的メーカーの現地調査や負荷計算 ノウハウ、日本エネルギー経済研究所の経済モデル等を採用し、仕様書に指定された 5 カ国の 2020 年までのエアコン普及率とストック台数、消費電力量予測とシナリオ別電力削減量予測 を実施した。試算条件や普及シナリオは仮定に仮定を重ねたものとは言え、最終会合での報告で は、各国からは具体的な数字の提示により、強い興味を持って受けとめられている。 今後の展開については、本報告をもとに各国の追加的な政策採用の判断材料として生かしても らうよう、また、更に精緻な試算を各国が行っていく際、あるいは今回対象外の各国が試算を行 おうとする際のアドバイスなど、フォローを行っていくことが必要と思われる。 ③経済産業省が実施するその他関連事業との協働 平成 26 年度は、経済産業省による委託事業である「国際エネルギー使用合理化等対策事業 省エネルギー人材育成事業」及び「省エネルギー等普及基盤構築支援調査事業 家庭用エアコン 及び冷蔵庫の国際標準化に関する支援調査事業」 (IS-INOTEK 事業)と協働する機会を多く得 ることができた。前者は政府機関関係者を対象とした省エネ人材育成事業、後者はエアコンと冷 蔵庫に関する試験技能の向上や適切な試験方法並びに省エネ評価指標の導入を支援する事業で あり、双方とも ASEAN に対する支援を数年間にわたり継続している。 なお、日本が進める EMTIPS 事業(多国間プロジェクト)と IS-INOTEK 事業(二国間プロ ジェクト) 、EU ファンドにより進められる ASEAN-SHINE 事業(多国間プロジェクト)につ いては、いずれも基準や制度の調和に関わるプログラムのため、支援を受ける側の ASEAN 各 国や ACE から、活動の重複について憂慮されていた。このため、当センターが下表の通り、関 連事業者間の事業分担について整理を行い、ASEAN 各国、ACE、IS-INOTEK 事業との間で 事業の棲み分け(表7.参照)と協働関係について合意形成を行った。 15 表 7.機 器分野の省エネ普及促進のために必要な作業の体系図、及び関連事業の棲み分け EMTIPS事 業 ISJNOTEK事 業 凡例 :作 業分野 効率基準関係 IS‐ INOTEK 一部ASEAN‐ SHlNE と協働で実施 試験関係 ISJNOTEK 省エネ性能公開 EMTIPS ASEANに 対 し今後 も本年度事業 機器分野 における省エネ普及促進支援事業」)を 推進す る場合 には、 ASEAN各 国間における機器分野 の省エネ制度の整備格差や、 インバ ータ ー等 の (「 最新省 エ ネ技術 に対応 する試験設備及び試験技能 の不足な どの関連する問題 も考慮 しな くては な らないため、上述のような関連事業 との協働 は重要であ り、引き続 き関係者 FB3の 綿密な協力 が 必要 になる と考 え られ る。 2.省 エ ネ シ ンポ ジウム (S&L制 度 支 援 事 業 ) ∼ ア ジアにおける省 エ ネ基準 0ラ ベ リング政策 の調不□と国際協 力の現状 ∼ 2.1.事 業 背 景 現在各国では、機器の標準及びラベ リングの設定、あるいは整備 のための開発を実施 してきて いるが、制度の状況はエネルギ ーや法制度などそれぞれの事情により同一ではない。このような 状況下で、最終的な制度調和、具体 0旬 には、効率評価指標、評価基準、ラベ リング制度の各国間 の差異の縮小、または統 一に向けては、協力相手国 との継続的な関係の構築・ 維持や国内外の同 種取組みや関係機関との情報共有、ネ ッ トワ ーク拡大がとりわけ重要となる。このため、国際省 エネシンポジウムを開催 した。 2.2.活 動概 要 0日 程 :2015年 1月 30日 (金 )13時 30分 ∼ 17時 30分 ・ 開催場所 :東 京ビックサイ ト 会議棟 ・ プログラム :別 添資料参照 16 ・事前登録 132 名、当日参加者 96 名(講師、事務局含めると 115 名) ・Q&Aセッション議事録:別添資料参照 ◇シンポ会場風景 ◇海外招聘講師からの発表 Q&Aセッションの様子 ASEAN 諸国からは、域内エネルギー諸問題に関しての ASEAN イニシアティブでもある ASEAN エネルギーセンター(ASEAN 重要会議のため急遽欠席) 、制度整備が進んでいるマレ ーシア、フィリピン、タイ、インドネシア、ベトナムの政策担当を対象に、合わせて 5 人の講 師を招請し、各国のエネルギー事情、省エネ法制度の整備状況、S&L 制度構築状況、そして、 消費者購買行動調査やエアコン使用実態調査の結果等に関する発表を、また日本からは、 IS-INOTEK、当センターの 2 人の講師から、二国間および多国間の協力活動の現況や今後の展 開について発表を行った。また会場との活発な質疑応答も行われた。全体を通じて、各国は機器 の標準及びラベリングの設定を行い、ECCJ からのアドバイスを参考に運用の改善を計画して いるが、ASEAN 経済共同体発足初年度においても、なお、①各国の状況は法制度、運用上の 課題など、それぞれの事情を踏まえて同一ではない、②特に、高効率のインバーターエアコンの 普及加速に向けては、ノンインバーターとの価格差、国内各ステークホルダーとの調整、低廉な 電気料金など、解決しなければならない障害が依然として存在している、ということを各国講師 や S&L 事業推進に関係を持たれる来場者との間で改めて認識・共有できる有意義な機会につな がった。 2.3. 今後の展開(課題など含む) 今回のシンポジウムでは、ASEAN からの招聘講師および国内の招聘講師により、ASEAN 各国の機器の省エネ基準・ラベリング政策の整備運用状況、および日本からの二国間・多国間の 協力事業について情報提供が行われ、ASEAN 域内の本分野における調和は、各国により異な る事情をしっかりと理解したうえで協力して取り組んでいかなければならないということを、講 師陣およびシンポジウム来場者の方々と改めて認識・共有することができた。 その一方で、本事業において今後シンポジウムを開催していくことについては、いくつかの検 討課題があると思われる。 17 事前登録者 132 名の業種別内訳 今回のシンポジウムでは昨年と同様に公開での開催・参加募集を行い、参加率は事前登録 132 名に対して 104 名 78.8%の参加率で、直接的な関係者であるエアコンメーカー・関係団体は 申込者数の 17%(上記円グラフ:事前登録者 132 名の業種別内訳参照)である。 今回のテーマである ASEAN における省エネ基準・ラベリング政策に関心のある国内関係者 は上記のとおり限定的であり、一般公開のシンポジウムの形式をとることが最適であるかどうか 改めて検討が必要と思われる。エアコンメーカーや関連団体など日本のステークホルダーに対し ては日頃の接点で現地最新情報の提供や情報交換は可能であり、ASEAN 域内の関係者に対し ては、ASEAN に対する支援事業(ASEAN-Japan EMTIPS プログラム)が ASEAN 公認の 事業に位置づけられていることから、ASEAN エネルギーセンター(ACE)とエネルギー効率・ 保全に関するサブセクター・ネットワーク(EE&C-SSN)を通じて情報展開の経路が確立され ていることに加えて、年度末頃には ASEAN 実務担当者が参加する最終会合を開催し当該年度 の活動報告などで情報共有を行っている。これらを勘案すると、シンポジウムを日本で毎年開催 する特段の必要性は見られない。 今後もシンポジウムを開催するならば、ASEAN 諸国における省エネ政策は着実に構築され つつあるがその進展は緩やかであること、また、費用対効果の側面も考慮し、隔年開催とするな どの工夫を検討してもよいかもしれない。 【資料編】 1.ASEAN-JAPAN EMTIPS プログラム 1-1 ASEAN (201405_ECCJ 出張報告 EE&C-SSN 年次会合 @ ラオス) 1-2 ASEAN (201408_ECCJ 出張報告 初回会合 @ ベトナム) 18 1-3 ASEAN (201410_ECCJ 出張報告 賛同国訪問 @ フィリピン) 1-4 ASEAN (201411_ECCJ 出張報告 賛同国訪問 @ インドネシア) 1-5 ASEAN (201411_ECCJ 出張報告 賛同国訪問 @ マレーシア) 1-6 ASEAN (201412_ECCJ 出張報告 賛同国訪問 @ ベトナム) 1-7 ASEAN (201412_ECCJ 出張報告 賛同国訪問 @ タイ) 1-8 ASEAN (201502_ECCJ 出張報告 最終会合 @ インドネシア) 2.インバーターエアコンへの置き換えによるエネルギー消費量削減効果試算 3.省エネシンポジウム 3-1 シンポジウムプログラム(日本語版) 3-2 シンポジウムプログラム(英語版) 3-3 シンポジウムQ&Aセッション議事録 以上 19 平成 26 年度国際エネルギー使用合理化等対策事業 ラオス出張報告:機器分野の省エネ普及促進事業 ASEAN 省エネ部会(EE&C-SSN)会議出席 2014 年 6 月 6 日 一般財団法人 省エネルギーセンター・国際協力本部 澤田佳奈子 1.全体概要 1.1出張の目的 標記事業に関し、下記会議に出席するため、ビエンチャンに出張した。5 月 25 日~30 日にわたり 省エネに関する各種 ASEAN 会議(下記(1)~(5) )が開催され、会議(5)において 2013 年度 の METI 委託事業である「ASEAN 機器分野における省エネ普及促進支援事業(EMTIPS 事業) 」の 成果報告と H26 年度の計画発表を行うとともに、ASEAN の省エネ推進状況、省エネ分野における 他国の協力活動に関する情報を収集した。 (1) ASEAN+3 新エネ・省エネフォーラム (2) ASEAN エネルギー管理優秀事例表彰制度 第 9 回評価判定委員会(Board of Judges) (3) ASEAN 省エネ優秀ビル表彰制度 第 20 回評価判定委員会(Board of Judges) (4) ASEAN グリーンビル表彰制度 第 1 回評価判定委員会(Board of Judges) (5)ASEAN 省エネ部会(EE&C-SSN:Energy Efficiency and Conservation Sub-sector Network) の年次会合 1.2 出張日程 日程 5 月26 日 5 月27 日 5 月28 日 5 月29 日 5 月30 日 5 月31 日 業務内容 (月) (火) (水) (木) (金) (土) Lv. 羽田 Ar. ビエンチャン ASEAN 省エネ関係者と意見交換・情報収集 ASEAN 省エネ関係者と意見交換・情報収集 ASEAN EE&C- SSN 年次会合に出席 Lv.ビエンチャン(澤田) Ar. 羽田 1.3 会議出席者 ASEAN 省エネ部会(EE&C-SSN)の年次会合出席状況は以下のとおり。 • ASEAN EE&C-SSN の各国代表(カンボジア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、 ベトナムは不参加) • ACE (ASEAN Centre for Energy): Mr. Hardiv Situmeang (Managing Director)、 Mr. Chris Zamora, 他 1 名 • ASEAN との省エネ協力事業関係者:ECCJ、ICA (International Copper Association Ltd) 2.各会議の内容 本会議の内容を簡単に下記に報告するが、詳細は添付資料を参照。 1 平成 26 年度国際エネルギー使用合理化等対策事業 2.1 ASEAN 省エネ部会(EE&C-SSN)の第 18 回年次会合 本会議は、APAEC(ASEAN Plan of Action for Energy Cooperation)に従う ASEAN 地域 の省エネ協力活動の進捗を確認し、2014 - 2015 年の計画を協議し、SOME(Senior Official Meeting on Energy)に諮り AMEM で承認を得る実務者レベルの重要な会合である。今回は、 APAEC 2010-2015 の 5 年目の実施に向け、昨年の事業の実施状況及び成果の確認を行い、本年 度の事業の実施計画について協議を行った。さらに、次期 APAEC 2016-2020 の策定に向けた省 エネに関する草案委員会からの報告もあった。 会議の内容の詳細は添付資料に示すが、以下のような点が会議の主な議題となった。 (アジェンダ順) (1) EU の 支 援 に よ り 2013 年 か ら 実 施 し て い る ASEAN SHINE ( ASEAN Standards Harmonization Initiative for Energy Efficiency)の昨年度の活動成果と今年度の計画(ICA (International Cupper Association)による発表) (2) EU の支援により 2010 年から実施し先ごろ EU 資金によるプロジェクトが完了した AEMAS (ASEAN Energy Manager Accreditation System)のこれまでの活動成果と今後の計画 (ICA 及び UN-EP がコンサル。ACE による発表) (3) ASEAN 人材育成(AJEEP/ECAP)事業(METI からの委託事業)の昨年度の活動成果と今年 度の計画(ECCJ による発表) (4) ASEAN における機器分野の省エネ普及促進(EMTIPS)事業(METI からの受託事業)の昨年 度の活動成果と今年度の計画(ECCJ による発表) (5) ASEAN Energy Award(エネルギー管理、省エネビル、グリーンビル)の評価結果の報告 (6) タイが提案する 「省エネプロジェクト実施のための融資メカニズム設計に関する ASEAN 内協力」 の進捗状況(タイによる発表) (7) ASEAN におけるエネルギー強度データ収集方法、および長期省エネ目標(ACE による発表) (8) ASEAN からの今後の省エネ推進活動提案及び各国からの省エネ活動とその成果の報告 (9) 2014-2015 の ASEAN における省エネ推進事業計画 2.2 上記会議を踏まえた本年度の EMTIPS 内容について Inception Workshop を 7 月(8 月に変更)に実施し本年度の活動内容を早急に確定する。 EMTIPS については ASEAN で SOME-METI 会合での合意に基づいたものであることが確認さ れ 、 更 に 、 EU の Fund で 実 施 さ れ て い る エ ア コ ン の 省 エ ネ 基 準 の 調 和 の 目 的 と し た ASEAN-SHINE 事業と重複しないことが了承された。よって提案書に基づき EMTIPS の本年度 の事業を実施する。 3.結び 今回、ASEAN 省エネ部会(EE&C-SSN)主催の省エネ関連会議にオブザーバーとして出席し、 ASEAN 各国の省エネ方針や省エネ推進状況だけでなく、他ドナー(EU、米国、韓国等)の活動状況 もよく理解することが出来た。また、ASEAN 省エネ部会(EE&C-SSN)の年次会合においては昨 年度の成果および本年度の計画を説明し出席者からの賛同を得ることが出来た。 今回の出張で得た情報を今後の ASEAN 省エネ協力事業の実施に生かすとともに、国内において関係 団体にも発信していきたい。 以上 2 平成 26 年度国際エネルギー使用合理化等対策事業 写真:会議出席者と会議風景 ASEAN 省エネ部会(EE&C SSN)出席者 ASEAN省エネ部会の様子 3 【平成26年度 国際エネルギー使用合理化等対策事業】 機器分野の省エネ普及促進事業・ASEAN初回会合出張報告書 平成26年8月25日 国際協力本部 出張者: 国際計画部部長 国際調査普及部 及川 孝一(AJEEPに引き続き) 澤田 佳奈子 国際協力本部技術専門員 小川 史雄 国際計画部長 牛尾 好孝(オブザーバー) 出張期間:平成26年8月14日(木)~15日(金) 概要報告 1.出張目的 ASEAN各国のエネルギー関連省庁の次官級(SOME)とMETIとの会合にて承認されているA SEANに対する機器分野における省エネ普及促進支援事業(AJ-EMTIPS:ASEAN-Japan E nergy Efficiency Market Transformation with Information Provision Schemes)につ いて、26年度の初回会合(Inception Meeting)に出席し、各国の取組みの現状についての情報共 有を行うとともに、今年度事業の具体的な進め方について提案を行い、ASEAN各国からの合意 を得ること。具体的には (1) ASEAN各国及び日本からの当該分野に関する近況について情報を共有すること (2) 特に、日本からの以下の提案事項について、ASEAN各国からの賛同を得ること ① 将来の域内調和を意識し、国際標準(ISO5151・16358)を踏まえたエアコン省 エネランキングカタログ作成を進めること ② 各国省エネ制度の改善や将来計画に資する消費者購買行動調査やエアコン使用実態 調査等を実施すること なお、今回の出張日程と内容は下記の通りである。 日 程 業 務 内 容 8月 13日 (水) 移動:羽田 → ホーチミン(小川・澤田)ACEとの事前打合せ 8月 14日 (木) EMTIPS Inception Meeting Day 1 ・Basic Direction & Key Points of EMTIPS ・各国からの現状報告(Country Report) ・小売店視察・意見交換(グエン・キム・モール・センター) 8月 15日 (金) EMTIPS Inception Meeting Day 2 ・日本からの現状報告 1 8月 15日 (金) ・消費者購買行動調査の実施についての提案 ・エアコン使用実態調査実施についての提案 ・Inception Meeting まとめ 移動:ホーチミン → 成田(牛尾・及川・小川・澤田) 8月 16日 (土) 成田到着 2.ECCJ提案事項への反応 ASEAN8カ国のFocal Points及びACE(ASEAN Centre for Energy)の参加のもと日本 からの提案について議論が行われた。(フィリピン、シンガポールは欠席。フィリピンについて はACEが代行。各国からの報告(カントリーレポート)は「詳細報告」を参照) ① 省エネランキングカタログについて 日本での運用状況やカタログ作成の意義については各国とも理解している。エアコンデータ リストの各国作成は、EMTIPSプロジェクトにおいて中心に据えられる活動であること、また、 将来の“ONE ASEAN DATABASE”につながっていくものとして再確認された。しかしな がら、実際に活動を進めるにあたっては、エアコンメーカーの国内不在(輸入品依存)、メー カーのデータ公開に対する消極姿勢など、短期には解決できない事情を依然として抱えている。 今回の会議では、ACE からの働きかけにより、国内にメーカーがありS&L制度も整備されて いる5カ国(インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナム)を中心にリスト作成を進 めて行くことで調整。また、評価指標や単位(kW、Btu等)の統一と、リスト作成進捗が捗々 しい数国のリストをACEのWEBサイトに公開することを提案したが、まずはリスト作成がで きるかどうかの段階にあることから、ACEはじめ各国から明確な意思表示を得ることはできな かった。今後の各国訪問の機会を捉えて、個別に継続的に働きかけを行っていくことが必要。 ② 消費者購買行動調査、エアコン使用実態調査について 消費者購買行動調査については、既に同種調査を行っている(インドネシア、ベトナム、ブ ルネイ)ため経験と実績が活用できるが、サンプル数100件以上でさらに実施するには調査費 用の手当てが課題との意見。一方、ラオス・カンボジア等は国内メーカーがなく調査の意義も 直接的でないため実施に踏み切れないとの意見。 エアコン使用実態調査については、日本からの報告に記入事例を加え、かつ限定した調査件 数(10~20)であることから特段の意見は表明されなかった。 今会合での反応を見る限り、費用面や労力等の負担感から、各国が実行するかどうかについて は曖昧な印象が拭えない。このため、10月以降のFocused Country訪問時の更なる働きかけ が必要。 3.小売店視察 店頭の様子、販売員の対応、ラベリングの運用など、現地の実態を把握するためにグエン・キ ム・モールセンター(Nguyen Kim Mall Center)を視察した。 同センターは創業12年でベトナム国内に20店舗(モール)を展開、会長は顧客志向を貫いてい 2 る。店舗の構えや売り場レイアウトは日本の量販店のスタイルとほぼ同様。販売員への製品情報 等の教育については、新製品発売の際にメーカーからの派遣員が売り方含め研修を行っている。 インバーターエアコンもダイキンはじめ数多く展示されており、ノンインバーターとの間の1 0%程度の価格差は、省エネ性やライフサイクルコストの訴求で解消、エアコン全体の売り上げ の80%をインバーターが占めるとのこと。ラベリング運用状況については、ほぼすべての商品 にラベルが貼付されている状況。なお、5つ星が与えられる効率の幅がかなり広く設定されてお り、効率の違いによる差別化が難しく、運用上の改善の余地があると感じられた。 4.今後の展開 カタログリスト作成進捗状況確認、進める上での課題解決に向けた支援、消費者行動調査・エ アコン使用実態調査実施への働きかけ等を行い、2015年1月30日(金)のシンポジウムでの成 果発表に繋げて行く。このため、10月以降、Focused Countryに対する訪問を実行する。本会 合にて調整した今後のスケジュールは以下の通り。 【各国訪問】 ・10月 フィリピン(10/13、14)、ベトナム(10/16、17) ・11月 インドネシア(11/10、11)、マレーシア(11/13、14) ・12月 タイ(12/2、3) 【最終会合】 ・ 2月 Post Meeting(2/中旬) 参考:2015年春節-2/19(木) (参考)各国からの出席者 Brunei Darussalam EDPMO Mr. Abdul Salam Hj Abdul Wahab Mr. Asrul Sany Hj Muhammad Ali Cambodia MME Mr. Lieng Vuthy Indonesia MEMR Mr. Harris Muhammad Yahya Lao PDR MEM Mr. Thamanoune Nakhaviet Malaysia MEGTW Ms. Elissa Cornellia Ahmad Myanmar MOI Ms. Naing Naing Linn Thailand DEDE Mr. Borwornpong Sunipasa Vietnam MOIT Ms. Nguyen Phuong Mai Ms. Nguyen Thi Hua (ECC Ho Chi Minh) Mr. Diep Tlee Cuong (ECC Ho Chi Minh) ASEAN Center for Energy Mr. Christopher G. Zamora (Philippines) Mr. Rio Jon Piter Silitonga (Indonesia) Ms. Endang Tri Wahyuni (Indonesia) 以上 3 添付資料1:Inception Meetingの出席者 Ms. Nguyen Phuong Mai, Deputy Director, International Cooperation Department, General Directorate of Energy, Ministry of Industry and Trade of Vietnam, Vietnam(ホスト国政 府代表) Mr. Abdul Salam Haji Abdul Wahab, Head of Energy Efficiency & Conservation Unit, Ener gy Department Prime Minister’s office, Brunei Darussalam Mr. AsrulSany Haji Mohammad Ali, Sustainable Energy Division, Energy department, Prim e Minister’s Office, Brunei Darussalam Mr. Lieng Vuthy, Deputy Director, Department of Energy Technique, MINE, Cambodia Mr. Harris, Deputy Director for Clean and Efficient Energy Technology Application, Di rectorate of Energy Conservation, Directorate General of New Renewable Energy and Con servation, Ministry of Energy and Natural Resources, Indonesia Mr. Thammanoune Nakhavith, Acting Director of Division, Energy Enterprises Management Division, Department of Energy Management, Ministry of Energy & Mines, Lao PDR Ms. Ellissa Corniellia Ahmad, Assistant Secretary, Sustainable Energy Division, Energ y Sector, Ministry of Energy, Green Technology and Water, Malaysia Ms. Naing Naing Linn, Assistant Director, Directorate of Industrial Planning, Ministr y of Industry, Myanmar Mr. Borwornpong Sunipasa, Plan and Policy Analyst, Energy Efficiency Promotion for Pe ople and Business, Department of Alternative Energy Development and Efficiency, Minis try of Energy, Thailand Ms. Nguyen Thi Hua, Energy Conservation Center, Ho Chi Minh City, Vietnam Mr. Diep Tlee Cuong, Energy Conservation Center, Ho Chi Minh City, Vietnam Mr. Christopher Zamora, Acting Executive Director & Manager, ACE Mr. Rio Jon Piter Silitonga, Technical Officer of EE&C Programme, ACE Ms. Endang Tri Wahyuni, Accounting officer, ACE Mr. Yoshitaka Ushio, General Manager, ECCJ, Japan Mr. Takakazu Oikawa, General Manager, ECCJ, Japan Mr. Fumio Ogawa, Expert, ECCJ, Japan Ms. Kanako Sawata, Deputy Manager, ECCJ, Japan 4 添付資料2:写真 ■集合写真 ■会議の様子 ■訪問した家電量販店の入り口・外観 ■ベトナムのエアコンの省エネラベル 左:インバーター、右:ノンインバーター ■家電量販店視察の様子 ■家電量販店担当者を交えた質疑応答 ■会議中の司会・事務局側の様子 ■ホスト国代表(Ms. Mai)によるClosing Rem arks 5 添付資料3:Inception Meetingのアジェンダ Inception Meeting ASEAN-Japan Energy-Efficiency Market Transformation with Information Provision Scheme (EMTIPS) 14-15 August 2014, Ho chi minh, Vietnam DRAFT AGENDA Day 1: 14 August, 2014 08:30 09:00 REGISTRATION 09:00 09:15 Opening Statement -Welcome Remarks from MOIT, Vietnam -Opening Statement from ECCJ -Opening Speech by ACE 09:15 09:30 Basic Direction & Key Points of EMTIPS 2014-2015 ECCJ 09:30 09:40 Discussion / Q&A Session 1: Country Report on Updates of S&L and other Promotion Activities, Actual Status of Usage on ACs Presentation by ASEAN Member States (10 min each) 09:40 09:50 Brunei Darussalam 09:50 10:00 Cambodia 10:00 10:10 Indonesia 10:10 10:30 GROUP PHOTO SESSION AND COFFEE BREAK All Participants Presentation by ASEAN Member States (continuation) 10:30 10:40 Lao PDR 10:40 10:50 Malaysia 10:50 11:00 Myanmar 11:00 11:10 Philippines 11:10 11:20 Thailand 11:20 11:30 Vietnam 11:50 12:00 Presentation by Japan ECCJ 12:00 12:10 Discussion / Q&A 12:10 13:30 LUNCH All Participants Site Visit 13:50 17:00 Visit Retail Store to see how labels are actually used All Participants End of Day 1 Day 2: 15 August, 2014 Session 2: 6 Activity 1: Development of Energy Efficiency Performance Ranking Catalogue of Air Conditio ners 09:00 09:30 Basic direction & Instruction for Activity 1 ECCJ 09:30 10:00 Discussion / Q&A Activity2-1: Questionnaire Survey on Consumer Behavior at Retail Stores 10:00 10:30 Basic direction & Instruction for Activity 2-1 ECCJ 10:30 11:00 Discussion / Q&A 11:00 11:10 COFFEE BREAK All Participants Activity2-2: Questionnaire Survey on Actual Status of Usage of Air Conditioners at Home 11:10 11:40 Basic direction & Instruction for Activity 2-2 ECCJ 11:40 12:10 Discussion / Q&A 12:10 14:00 LUNCH All Participants Confirmation of Plans & Schedules of Activity 1 &2 in EMTIPS 2014-2015 14:00 14:10 Review of the morning session 14:10 15:10 Confirmation of Future Activities & Schedules ECCJ 15:10 15:40 Discussion / Q&A 15:40 16:00 Closing Remarks End of Inception Workshop 7 【平成 26 年度 国際エネルギー使用合理化等対策事業】 機器分野の省エネ普及促進事業・フィリピン(Country Visit)出張報告書 平成 26 年 10 月 20 日 国際協力本部 出張者: 国際協力本部 国際計画部部長 及川 孝一 国際協力本部 技術専門員 小川 史雄 出張期間:平成 26 年 10 月 12 日(日)~15 日(水) 概要報告 1.出張目的 経緯と目的 AJ-EMTIPS 初回会合(8/14、15 ベトナム・ホーチミン)にて、本年度の具体的実施事 項を提案し、特に、S&L の整備がされている 5 カ国(インドネシア、マレーシア、フィリ ピン、タイ、ベトナム)にフォーカスして作業を進めることが承認された。今回の出張は、 上記 5 カ国のうち、初回会合に欠席であったフィリピンを訪問し、今年度の提案事項(3 activities:①省エネ性能カタログの作成、②消費者購買行動調査、③エアコン使用実態調 査)について再度説明を行い、実行を促し、活動の成果を国際省エネシンポジウム(1/30) でのプレゼンに繋げて行く。 なお、今回の出張日程と内容は下記の通りである。 日 程 10 月 12 日(日) 羽田発 業 内 容 マニラ着 DOE ならびに ACE との事前打ち合わせ 10 月 13 日(月) Day1:DOE との会議 初回会合提案事項の情報共有、現状把握 10 月 14 日(火) Day2:DOE との会議 今後の進め方議論 10 月 15 日(水) マニラ発 → 務 → 店舗視察 成田着 2.フィリピン訪問の成果 ①省エネ性能カタログの作成(エアコンデータリストの作成) ◇フィリピンでは、既に DOE(Department of Energy)のデータリスト(PDF)、消 費者向けサイト“WATTMATTERS”が運営されていることを前回訪問時(2 月)に確認。 その後の動きとしては、2 者間のリンケージを計画しているが、どのような形に仕上げる かのイメージが未定であるという状態。 1 ◇このため今回訪問では、より消費者への情報提供を充実させるという観点からの修 正・改善について議論を行い、以下の方向性が確認された。 ・輸入・国産、インバーター・ノンインバ、ウィンドウ・スプリットタイプ等フィリピン 国内で流通するすべてのエアコンを網羅する統合リストを目指す。 ・エアコン評価基準としてノンインバは EER、インバは CSPF(導入は決定、時期は未定) となるが、当面は評価基準を明示した上で、同一リストに整理する ・ウィンドウ、スプリットもタイプを明示した上で、同一リストに整理する ・消費者にとって求めるエアコンに到達しやすいように、冷房能力別(部屋の広さ)に複 数のレンジを設け整理する(日本の省エネ性能カタログに準拠) ・効率がよい(MEPS 達成度が高い)ものから悪いもの(低いもの)の順で整理する(日本の 省エネ性能カタログに準拠) ◇未実施である多段階評価によるラベリングについては、5 つ星によるランキングのデザイ ンを複数考案(5.会議風景等参照)。来年春試行に向けて最終調整の段階。 ◇フィリピンは国際標準である ISO16358、5151 採用について適合し、評価基準 CSPF、 単位としてのkW(←HP)、kWh(←kJ/h)を採用することで決定している。しかし ながら、実施時期については、省庁間の調整に時間がかかる模様で予定が立っていない。 ◇また、ノンインバとインバを同一基準(CSPF)で測定する方法としての一点測定に ついては、技術上の疑問を持ち納得していない様子。このため、IS-INOTEK から の解説が必要か。 ◇メーカーのデータ公開について、タイ等は国内メーカーからの反対がありデータリ スト作成に及ばない、との意見があるが、フィリピンではデータ公開は強制。この ためメーカーは従うしかなく、実施にあたって何らの問題も無かったとのこと。 ②消費者購買調査の実施 ◇フィリピンでは、2004 年、2011 年に消費者調査を実施(日本の国勢調査並みに各世帯 を対象に実施)しており、現在は 2011 の調査結果を取りまとめ中。 ◇このため、更に調査を要求することはせず、EMTIPS/activity2-1 の質問事項に関係する データを抜き出し分析することで、実施に置き換えることとした。 ③エアコン使用実態調査の実施 ◇今回出席者 5 名+オフィスの方々で質問事項に回答し、結果を取りまとめること とした。 フィリピンは 5 カ国の中でも最も制度整備や運用の考え方が進んでいると考えられるため、 本プロジェクトが目指し ASEAN 経済統合の中でも望まれる“One Common ASEAN Datebase” に向けてリーダーシップを発揮してもらえるよう要請。また、以上の各活動の 進捗や成果については、11 月の ECAP06 のカントリーレポート、1 月末の国際省エネシン ポジウム(フィリピンを招聘)でのプレゼン、2 月の最終会合での成果報告につなげるよう依 頼。しかしながら、会議室での議論の結果を実行ベースに乗せるためには、なお、フォローが 2 必要。このため、上記①については、議論結果のサマリー(添付資料2参照)を作成し DOE 窓 口、ACE に送付済み(10/17)。 3.その他情報 ◇フィリピンでは電力不足が経済活動に影響を与えることが懸念されている。DOE は 2015 年の夏期にルソン島で 45 万~50 万kW の電力不足が発生し、このため、7 週間ほど計画 的に輪番停電・電圧低下が実行されることを予測している。 ◇表敬訪問時の DOE ディレクターMr.AQUINO の「来年の夏は、マニラは冷房設定温度が 25 度に上がり暑くなる。待機電力の存在も課題」との話、DOE/LATL の Mr. Isagani の 「ラボでの機器効率の計測には時間がかかる。来年は計測中に電圧低下が起きる恐れがあ るので、自衛措置を充実させないといけない」の言葉が上記を裏付けている。フィリピン においては高い電気料金と電力不足が省エネルギーを牽引していくことになると考えられ る。 4.フィリピン訪問時の出席者 (表敬訪問) Mr. ATTY. PATRICK T. AQUINO Directer Energy Utilization Management Bureau, DOE (会議出席者) Mr. Jesus C. Anunciacon, OIC- Assistant Director, Energy Utilization Management Bureau, (EUMB), DOE Ms. Mirna R. Campanano, Chief, Lighting & Appliances Testing Laboratory (LATL), DOE Mr. Isagani C. Soriano, Supervising Science Research Specialist, LATL, DOE Mr. Herbert S. Orencia, Senior Science Research Specialist, LATL, DOE Ms. Genevieve Almonares, Senior Science Research Specialist, Energy Efficiency & Conservation Division (EECD), DOE Mr. Rio Peter Siritonga, ASEAN Center for Energy (ACE) Mr. Fumio Ogawa, Technical Expert, ECCJ Mr. Takakazu Oikawa, General Manager, ECCJ 3 5.会議風景等 今回の Country Visit Meeting の参加者メンバー。左か DOE Director Mr. ATTY. PATRICK T. AQUINO ら、及川、Ms. Mirna, Mr. Isagani, Ms. Genevieve, Mr. を表敬訪問。ECCJ からは今回訪問の目的について説明。 アキノ氏からはフィリピンの電力事情と課題について概説。 Herbert, Mr. Jesus, Mr. Rio, 小川技術専門員 DOE/LATL Ms. Mirna から S&L 制度運営の現状、現 在検討中の多段階評価ラベル、2004 年の消費者調査 の結果等について紹介、そして議論へ。 現在検討中の 5 段階評価ラベル。以下に 4 つのデザイ ン案から 2 点を紹介。円の中央には CSPF の文字が。 フィリピン標準規格に採用。実施は来年早々(?) 上段の会議室の窓にもウィンド-タイプのエアコンが。 設置にあたって資格工事者が必要なスプリットタイプに 比べ、素人でも簡単に設置可能なこのタイプが主流。 ソーラー発電と組み合わされた RAC。一般のエアコン に比べて 6 割高価で市場投入の初期段階のとのこと。今 回議論されたエアコンデータリストにも対象外に。 4 添付資料 1:フィリピン訪問時のアジェンダ COUNTRY VISIT UNDER ASEAN – JAPAN ENERGY- EFFICIENCY MARKET TRANSFORMATION WITH INFORMATION PROVISION SCHEME Philippines, 13-14 October 2014 DRAFT AGENDA DAY 1 (Date 2014) 10:00 – 10:15 Courtesy Call with EE&C-SSN Focal Points 10:15 – 10:30 Greetings by host country, ECCJ and ACE 10:30 – 10:50 Presentation by ECCJ (Basic concept, Last year’s review, & This year’s activities) (Goals of this country visit meeting) 10:50 – 11:00 Q&A 11:00 – 11:15 Group Photo & Break 11:15 – 11:35 Presentation by Host Government ( Consultation on Activity 1: Development of EEP Catalogue of Air Conditioners) (Barriers to carry out Activity 1) 11:35 – 12:00 Q&A 12:00 – 14:00 14:00 – 14:20 Lunch Presentation by ECCJ ( Consultation on Activity 2-1: Questionnaire Survey on Consumer Awareness & Behavior when Purchasing Air Conditioners) (Barriers to carry out Activity 2-1) 14:20 – 14:50 Q&A 14:50 – 15:00 Break 15:00 – 15:20 Presentation by ECCJ ( Consultation on Activity 2-2: Questionnaire Survey on Actual Status of Usage of Air Conditioners at Home) (Barriers to carry out Activity 2-2) 15:20 – 15:50 Q&A 15:50 – 16:00 Closing of Day1 End of Day 1 5 DAY 2 (Date 2014) 10:00 – 10:30 Review by ACE (Review of yesterday’s discussion on barriers and this year’s goals for Activity 1, 2-1 and 2-2) 10:30 – 11:00 Q&A 11:00 – 11:20 Confirmation of following events (ECAP06 in November) (S&L Symposium in Jan 2015) (Wrap-up Meeting in Feb 2015) 11:20 – 11:30 Closing of Country Visit Meeting 12:00 – 14:00 14:00 – 16:00 Lunch (TBD) Site Visit to EE Residence (TBD) End of Day 2 NOTE: This is a tentative agenda. In case that we cannot finish Day 1 schedule on time, the unfinished sessions from Day 1 will be squeezed into Day 2. So, please be aware of that Day 2 schedule may be extended up to 16:00. 6 【平成26年度 国際エネルギー使用合理化等対策事業】 機器分野の省エネ普及促進・インドネシア(Country Visit)出張報告概要 平成26年11月25日 国際協力本部 出張者:国際協力本部 国際計画部長 牛尾好孝 家庭省エネ・人材本部 家庭・人材総括部 大國浩太郎 出張期間:平成26年11月16日(日)~18日(火) 1.出張の経緯と目的 AJ-EMTIPS 初回会合(8/14、15 ベトナム・ホーチミン)にて、本年度の具体的実施事項を 提案し、特に、S&L の整備がされている 5 カ国(インドネシア、マレーシア、フィリピン、タ イ、ベトナム)にフォーカスして作業を進めることが承認された。 今回の出張の目的は、インドネシアのエネルギー・資源省(Ministry of Energy and Mineral Resources: MEMR)を訪問し、初回会合以降の活動の進捗状況を確認の上、実行の妨げにな っている課題等があればその解決策を探り、本事業に対するインドネシアの到達目標を決定する とともに、活動の成果を国際省エネシンポジウム(1/30)での発表に繋げて行くことである。 なお、MEMR の都合により、2 日目の会合はキャンセルとなり、1 日目の時間を延長し、ラ ップアップまでを行うこととなった。修正した日程と業務内容は以下の通りである。 日 程 業 務 内 容 11 月 16 日(日) 成田発 → ジャカルタ着 11 月 17 日(月) Day1:MEMR との会議(情報共有、現状把握、ラップアップ等) 11 月 18 日(火) ジャカルタ発 → クアラルンプール着 2.インドネシア訪問の成果 会議は予定通り、ECCJ からの事業説明に続き、エネルギー・資源省の活動の進捗状況を確 認し、それを受けての意見交換などを行った。インドネシア側の取り組み状況としては、EEP カタログはまだこれから作成するという状況であったが、アンケート調査については完全ではな いものの、すでに中間的な結果を紹介するに至っており、作業が順調に進んでいることが伺えた。 また、今回のアンケート調査の結果から、WEB の効果について強い関心を示しており、データ ベースやそれを用いた WEB での情報公開の重要性について、改めて強く認識されている様子で あった。 ①EEP カタログ作成 1 インドネシアは、すでに EE tips に係る様々なパンフレットやステッカーなどを作成してお り、それらの資料をセミナーなどで配布しているということが紹介された。本事業においてはこ れらの資料をまとめて、次の会合での発表に向けて準備を進めるということであった。 家庭用エアコンについては強制 MEPS、及び強制ラベルで運用することを決定し、現在、メ ーカの直接入による機器のデータベースを作成中であり、12 月に運用を開始するとのことであ った。 このデータベースは利用者によってアクセスできる情報を制限している。MEMR は制限なく 全ての情報にアクセスでき、メーカは自社の情報には全てアクセス可能である。またそれ以外の 一般消費者等がアクセスできる情報はラベルのレイティングまでであり、具体的な効率値や消費 電力量などの情報は入手できない。これらの制限については省エネ機器の普及のために、メーカ との関係の中で今後検討していくとのことであった。 その他、EEP リストの作成に関連して、世界銅協会(ICA)がエアコンの大規模な調査を行 ったことがある旨紹介があった。日本メーカ、韓国メーカなど 6 社(パナソニック、東芝、富 士通、ダイキン、シャープ、サムソン)の情報を収集し、機器効率基準作成などの基礎情報とし た様子である。すでにラベルが運用されている照明(CFL)や ICA による情報収集などの状況 を経て、現在、MEMR とメーカとの間で情報交換が綿密に行われており、両者の関係は順調と のことである。 本事業での EEP リストの作成については、メーカ WEB 上でも多くの情報を収集することが 可能であり、日本においても省エネ性能カタログ作成当初はメーカのカタログから作成していた 旨を強調して説明した。インドネシアでは前述のとおり、エアコンのデータベース運用に向けて 準備が進められており、次回発表に向けて情報を整理するとのことであった。 ②アンケート調査 省内のスタッフと外部からの訪問者などの協力により購買意識調査は 60 名、使用実態調査 は 20 名について既にアンケートを実施済であり、これまでの把握状況について発表があった。 なお、モールではクレジットカードの勧誘などが多く、何かの勧誘と誤解されることが危惧され るため実行は難しいが、残り 40 名分の調査についてはどこで行うかも含めて検討し、引き続き 実施するとのことであった。 現時点での主要な集計結果としては、エアコンの購入時に WEB を利用して情報を収集する割 合が高いことに注目しており、この結果から今後 WEB による情報提供を充実させたいと考えて いる旨、発言があった。また、エアコンの使用実態では、4 人家族で平日も 2 人が昼も在宅と いう状況が平均的であり、エアコンの使用は就寝時のみという状況が多いことが分かった。寝室 のため部屋が狭く、比較的小さなエアコン(4.0kW 程度)が使用されているだろう、との説明 があった。 3.その他の情報 2 ・日本におけるデータベースの運用とその情報公開状況について興味を持っている。データベー スにもとづく情報公開の例として、省エネ性能カタログを提供したところ、その記載項目は日 本語であったが、インドネシア側の要望により一つ一つの項目を確認するほどであった。 ・ISO5151 には同意しており、エアコンの冷房能力には kW を使用しているとのことであっ た。ただし効率については Btu/Wh を使用している。 ・CSPF は ASEAN 各国との協調関係の中で次の課題として検討するとしており、まずは EER で基準運用を開始するとのことであった。 ・MEMR は次年度以降の本事業の展開に期待し、興味を持っているとのことであった。今回の 購買意識調査により、WEB での情報提供の効果に期待を持っており、具体的には WEB 構築 のための費用や、効果的な WEB 作りのためのノウハウの提供を期待している様子であった。 なお、現在の WEB はブリュッセル(EU)の予算で作成した様子であり、今年度でこの予算 が終了するとのことであった。 ・本会合の終了に際し、Harris 氏より、 「本事業から多くのことを学んでいる。我が国に合った 方向を見つけて、マーケットトランスフォーメーションを実現したい。これからも支援をお願 いしたい。 」との言葉をいただいた。 4.会合出席者 (インドネシア 8 名) Mr. Harris Muhammad Yahya, Directorate General of New Renewable Energy and Energy Conservation, MEMR Mr. Supriyadi, SE, Head of Section for Energy Efficiency Appliances Supervision, Directorate General of New Renewable Energy and Energy Conservation, MEMR 他6名 (ACE 1 名) Mr. Rio Peter Siritonga, ASEAN Center for Energy (ACE) (ECCJ 2 名) Mr. Yoshitaka Ushio, General Manager, ECCJ Mr. Kotaro Ohkuni, General Manager, ECCJ 以上 3 【平成26年度 国際エネルギー使用合理化等対策事業】 機器分野の省エネ普及促進・マレーシア(Country Visit)出張報告概要 平成26年11月25日 国際協力本部 出張者:国際協力本部 国際計画部長 牛尾好孝 家庭省エネ・人材本部 家庭・人材総括部 大國浩太郎 出張期間:平成26年11月18日(水)~21日(土) 1.出張の経緯と目的 AJ-EMTIPS 初回会合(8/14、15 ベトナム・ホーチミン)にて、本年度の具体的実施事項を 提案し、特に、S&L の整備がされている 5 カ国(インドネシア、マレーシア、フィリピン、タ イ、ベトナム)にフォーカスして作業を進めることが承認された。 今回の出張の目的は、マレーシアのエナジーコミッション(Energy Commission: EC)を訪 問し、初回会合以降の活動の進捗状況を確認の上、実行の妨げになっている課題等があればその 解決策を探り、本事業に対するマレーシアの到達目標を決定するとともに、活動の成果を国際省 エネシンポジウム(1/30)での発表に繋げて行くことである。 なお、会議進捗の状況から、1 日目にラップアップまでを完了し、2 日目は店舗視察と試験場 視察を行うこととした。修正した日程と業務内容は以下の通りである。 日 程 業 務 内 容 11 月 18 日(火) ジャカルタ発 → クアラルンプール着 11 月 19 日(水) Day1:EC との会議(情報共有、現状把握、ラップアップ等) 11 月 20 日(木) Day2:店舗視察、試験場視察 クアラルンプール発 → 成田着(翌 21 日) 2.マレーシア訪問の成果 冒頭、ACE より議事進行の紹介があると、EC は事業そのものについて承知しておらず、そ のため、作業状況報告のためのプレゼンの準備もできていないということであった。そこで、議 事予定を変更し、EC からのプレゼンは S&L に関する近況報告とし、ECCJ から本事業の目的 や実施方法などについて説明し、実行するための課題等についての意見交換を中心に行うことと した。このような状況の下、1日目にラップアップまで行うことができたため、2日目のスケジ ュールを変更し、店舗でのラベル等の貼付状況の確認、及びエアコン等の性能を試験する試験場 の視察を行うこととした。 1 本会合で事業の目的や実施方法などについて説明し、質疑応答などを経て、マレーシア政府等 における情報共有の問題など、本事業を遂行するにあたっての問題点なども明らかとなってきた。 なお、アンケート調査については Day2 の視察現場などですぐに実施するなど、EC が本事業に 前向きに取り組む姿勢が伺えた。 ①EEP カタログ作成 EEP カタログが、EE tips と EE performance list から成るものであり、消費者が効率の 良いエアコンを選択し、効率よく使用することを目的としたカタログであること、AJ-EMTIPS 初回会合以降、ASEAN 各国が自国のエアコンの情報を収集・整理していること等を説明し、 本事業への賛同を得ることができた。 マレーシアはすでに「Your Guide to Energy Efficiency at Home」という EE tips をまと めたパンフレットを作成しており、これに機器リストを追加することによって、目的とする EEP カタログが作成できるということを理解していただいた。EE tips についてはこのパンフレット をベースにまとめることとなった。 EEP リストの作成にあたり、EC が公開している WEB データベースについて確認し、ECCJ が集めたメーカ WEB サイトで公開されている情報の説明などを行った。EC は、MEPS やラベ リング対象機器の効率等のデータは、テストレポートを受領する別の部門が全て把握しているが、 WEB でデータを公開するためには2つの壁があると説明した。一つはこのデータを持っている 部門との調整、もう一つは WEB で公開するデータを決定する部門との調整であり、この2つの 調整に時間がかかるとのことであった。EC の本事業の担当者は、★の数、EER 値、年間消費 電力量なども公開すべきであると考えており、時間はかかるが、省エネに結び付けるためにより 多くのデータを WEB 上で公開すべく、努力しているとのことであった。なお、現在は単純に認 証された機器が列挙されているデータベースが公開されているが、来年には★評価も表示するこ とで合意しているとのことであった。 本事業での EEP リストの作成については、メーカ WEB 上でも多くの情報を収集することが 可能であり、日本においても省エネ性能カタログ作成当初はメーカのカタログから作成していた 旨を強調し、まずは WEB 上のデータを収集し、リスト作成を行っていくことを提案したところ、 どこまでできるか分からないが挑戦してみるとの回答を得た。 (ただし現実的には正式にレポー トされている数値があるため、わざわざメーカ WEB サイトから情報を拾うことは無駄が多く、 また、数値の不一致などが生じた場合に問題となることも危惧されるため、メーカ WEB 上で集 めた情報の公開はかえって難しいとも考えられる。よって引き続き情報公開の重要性を ECCJ と EC で共有し、省エネに資する情報の公開に向けての努力を促すことが肝要と思われる。 ) ②アンケート調査 今回の調査は、消費者行動の実態を把握することが政策検討の一助となることを認識するため の、ASEAN 各国が主体となって実施するパイロットプログラムであることを説明し、EC の理 解を得た。アンケート内容についても初めて確認するということであったが、Country Visit 2 2 日目には回答用のアンケート用紙を準備し、店舗や試験場などで実際にアンケート票を配布・回 収する状況を確認することができた。 3.その他の情報 ・MEPS 値が★2つという状況は過去からの経緯によるものである。つまり、★のレイティン グを決定してボランタリーで運用していたのちに、レイティングはそのままで MEPS 値をそ の時の現実的な値として設定したため、★2つが MEPS 値となっているのが現状である。こ のような状況のため、レイティングの変更には興味を持っており、日本の変更方法を確認した いとのことであったので、過去の発表資料を利用して日本の状況を説明した。 ・エアコンの試験方法である ISO5151 に同意し、区分を示す際の冷房能力に kW を使用する など、kW 表示を進めている。しかし消費者はまだ Btu/h、あるいは HP(ホースパワー)な どに慣れ親しんでおり、メーカもこの状況を無視できず、kW 以外の単位が使用されているこ とが多くなっている、とのことであった。EC は係数を掛けることで kW と Btu/h 間の変換 が可能であるため、どちらの使用も特段問題ないと考えている様子である。なお、本事業で kW を使用していくことに対して問題はないものと考えられる。 ・CSPF については、現在 MEPS とラベルの強制運用を開始したばかりであり、新しい基準を 作るためにはその基準に基づいたデータの収集や基準値の設定など、様々な作業が必要となる ため、すぐに対応するのは難しいと考えている。少なくとも 3 年程度で現在の EER 及び荷重 EER での運用が落ち着いた後の検討事項として考えている様子であった。 (これらの発言から、 CSPF の採用を促す際には、基準値策定のためのデータ収集などのサポートも必要であると 感じられる。) ・EC は店舗でのラベル貼付状況の調査を 2013 年に 5 店舗、2014 年に 7 店舗で実施してい る。ただしこの貼付状況の調査も、調査担当者は機器効率等の情報を把握していないため、ラ ベルに書かれている内容が正しいかどうか、という調査ではなく、ラベルの有無を確認すると いう調査である。 ・昨年 5 月にエアコン等の MEPS とラベルに関する法令が成立し、今年の 5 月から施行され ている。来年の 6 月にすべての規制が発効する。 ・家電の MEPS 及びラベルの対象は 5 品目であるが、今後 9 品目とすることを予定している。 なお、これ以外にモータとチラーの規制を行う予定である。 ・インバータ機は荷重 EER、ノンインバータ機は EER を使用しているが、MEPS 値や★のレ イティングはインバータ機もノンインバータ機も同じ値を使用している。 ・認証許可書(Certificate of Approval:COA)には2種類あり、一つは安全性(Safety) であり、もう一つが性能(Performance)である。 ・照明の試験分野での協力に興味を持っている様子であった。 3 4.会議出席者 (EC 3名) Mr. Zulkiflee bin Umar, Head, Demand Side management (EC) Ms. Hafiza binti Yob, Regulatory Officer, Demand Side Management (EC) 他1名 (ACE 1 名) Mr. Rio Peter Siritonga, ASEAN Center for Energy (ACE) (ECCJ 2 名) Mr. Yoshitaka Ushio, General Manager, ECCJ Mr. Kotaro Ohkuni, General Manager, ECCJ 以上 4 【平成 26 年度 国際エネルギー使用合理化等対策事業】 機器分野の省エネ普及促進事業・ベトナム・タイ(Country Visit)出張報告書 平成 26 年 12 月 22 日 国際協力本部 出張者: 国際協力本部 国際計画部部長 及川 孝一 国際協力本部 技術専門員 小川 史雄 国際協力本部 技術専門員 山川 文子 出張期間:平成 26 年 12 月 15 日(月)~20 日(土) 概要報告 1.出張目的 経緯と目的 AJ-EMTIPS 初回会合(8/14、15 ベトナム・ホーチミン)にて、本年度の具体的実施事 項を提案し、特に、S&L の整備がされている 5 カ国(インドネシア、マレーシア、フィリ ピン、タイ、ベトナム)にフォーカスして作業を進めることが承認された。今回の出張は、 上記 5 カ国のうち、ベトナム、タイを訪問し、今年度の提案事項(3つの activities:①省 エネ性能カタログの作成、②消費者購買行動調査、③エアコン使用実態調査)について、進 捗の確認、課題の解決、実行を促し、活動の成果を国際省エネシンポジウム(1/30)でのプ レゼンに繋げて行く。 なお、今回の出張日程と内容は下記の通りである。 日 程 業 12 月 15 日(月) 成田発→ハノイ着 務 内 容 MOIT ならびに ACE との事前打合せ 12 月 16 日(火) ベトナム MOIT との会議 初回会合提案事項の説明、現状把握 12 月 17日(水) ハノイ発→バンコク着 DEDE ならびに ACE との事前打合せ 12 月 18日(木) タイ DEDE との会議 初回会合提案事項の説明、現状把握 12 月 19 日(金) 小売店視察(AM))、EEI(エアコン等能力試験所)視察・会議(PM) 12 月 20 日(土) バンコク発→羽田着 2.訪問による確認事項 (1)タイ DEDE 副局長の Mr.Danai ほか 17 名が出席。 タイにおいて S&L 制度の責任箇所は分散しており、DEDE 単独では進められない。 1 このため、EGAT(電力公社、実施担当)、EEI(能力測定試験所、評価基準担当) TISI から多数の出席者が会議に参加。情報共有のため、InceptionMtg.での資料を再度説 明する。議論の中で、タイは既に製品データリストや立派な省エネガイドを保有している ことが確認できたこと、この事実を DEDE はじめ関係者間ではじめて共有されたことは、 今回訪問の大きな成果といえる。 ①省エネ性能カタログの作成(エアコンデータリストと省エネガイドの作成) ・これまでの DEDE 情報では、製品データリストはデータ公開(confidential 扱い) に反対するメーカーが存在するため作成はできないとされていたが、EGAT にて データリストを整備して既に WEB 公開中であることが判明。 ・本データリストは市場製品の 80%(5スターのみで全体の 80%)をカバーしている。現 在は 5 つ星だけの公開だが、来年度は4星、3星についても公開予定で、これにより市場 流通製品の 95%強がカバーされる見通し。 ・EE Tips についても、消費者向けガイドが 10 年前に作成されている。 ・アクティビティ1に関する事項は、タイとして大変進んでいることが本会議で確認できた が、DEDE の Mr.Asawin もこの事実を本会議で初めて知ることとなった。 ②消費者購買調査の実施 ・消費者購買行動調査については、既実施の同種調査結果を活用し、シンポや WrapUpMtg. で紹介することとした。 ③エアコン使用実態調査の実施 ・使用実態調査については、今回会議出席者等の間で実施を予定(ECAP06 出席の EGAT の Ms.Kritika が担当する模様)。 ④EEI(Electrical and Electronics Institute)視察 ・12/19EEI のエアコン等性能評価試験所(大西熱学製のバランス型カロリーメーター)を DEDE、EGAT とともに視察(DEDE から車で片道 1 時間 20 分) ・タイ国内には、第三者機関としての本試験所、民間メーカー試験所(自社製品のみ扱い) の 2 か所の計 3 試験所が存在。 ・EEI 試験所は、①試験所を持たないメーカー製品が MEPS 値をクリアしているかの測定、 ②HEPS 値をクリアしているか(5 つ星に相当)の測定を実施。MEPS 値クリアの場合は、 測定費用を国家で負担、クリアできない場合は製造者の負担。 ・インバーターAC に対する評価基準は SEER(CSPF と同義)の採用を決定している。タ イは SEER の名称にこだわっている。 ・評価基準の ASEAN 調和や試験所相互認証、輸入品の品質未表示に苦慮する CLM 宛輸出 品への認証支援については、即答がなかった。ASEAN 経済共同体におけ 2 る調和の優先順位は、1.安全、2.環境、3.以降が S&L 等の基準と考えている。 将来的には調和により CLM の悩みは解消するだろう、との説明。また、調和のイ ニシアティブは ASEAN-SHINE が握っているとの認識(IS-INOTEK は試験所建 設や測定技術者育成支援、CSPF の採用を Bilateral の活動で ASEAN 各国に働き かけてきたが、Multi のレベルでは受けとめられていない。) 【今後の展開】 今回のタイ訪問では、ECCJ を触媒として、 ・タイ国内の S&L 責任者間で、ハーモに関しての情報共有が図れたこと ・DEDE にとっても自国で実施されていることが初めて認識できたこと 等 の点で、DEDE にも貢献、日本側としても貴重な情報を確認できた。 日本の省エネ性能カタログを参考としつつも、同じ ASEAN という土壌での相溶性の観点 から ASEAN の中で最も進んだタイの事例を改善し 9 カ国に水平展開して行くことが、望 ましいのではないかと考えられる。 3.Country Visit 出席者 (1)タイ ◇12 月 18 日会議出席者 <DEDE: Department of Alternative Energy Development and Efficiency> Mr. Danai Egkamol Deputy Director General Mr. Poolsak Puwavichrenchai Director of Energy Conserevation Standard Ms. Veeravan Sangsawang Policy and Planning Analysis, Senior Professional Level Mr. Asawin Asawutmangkul Ms. Somnuek Sitthikranna Mr. Apisit Sonkosa Engineer, Senior Professional Level, Scientist, Professional Level Engineer 他4名 <EGAT: Electricity Generating Authority of Thailand> Ms. Kritika Rasisuddhi Chief, Evaluation and Database Department Mr. Watchara Thakaew Electrical Engineer <TISI: Thai Industrial Standards Institute> Mr. Tawaipornn Chachiemmjane Stanard Officer <EEI: Electrical and Electronics Institute> Mr. Niwat Phansilpakom Assistant Director, Industrial Development Department Mr. Jaruwut Varaporn Manager, Product Design and Development Promotion Division <ACE: ASEAN Centre for Energy> 3 Mr. Rio Jon Piter Silitonga Technical Officer of EE&C Programme <ECCJ> Mr. Fumio Ogawa, Technical Expert Ms. Ayako Yamakawa, Technical Expert Mr. Takakazu Oikawa, General Manager ◇12 月 19 日 EEI 視察出席者 <EEI> Mr. Ratsak Tongim Section Manager, Foundation for Industrial Develpment Mr. Theeraphol Somsiritham Senior Technical Officer, Foundation for Industrial Develpment Mr. Kuapong Leelanuch Senior Marketing Executive, Operation and Standards Department <DEDE> Mr. Asawin Asawutmangkul Engineer, Senior Professional Level, <EGAT> Ms. Kritika Rasisuddhi Chief, Evaluation and Database Department 他、タイ側から数名 <ACE> Mr. Rio Jon Piter Silitonga Technical Officer of EE&C Programme <ECCJ> Mr. Fumio Ogawa, Technical Expert Ms. Ayako Yamakawa, Technical Expert Mr. Takakazu Oikawa, General Manager 4 4.会 議 風景等 DEDE Da∩ al副 局長 帳 右倶」)よ り挨拶 ECC」 の説 明後、議論 7一 ﹁イ 一 欝 .L■ F ・ 今回の Cou∩ try∨ に忙MeeJ∩ gの 参加 メンバ ー DttDEの ビル にあるエア コン室外 機。左下 に MEPS認 ポスター (DED巨 会議室) Label No.5周 矢ロ 証ラ ベ ル 5 EEI での会議 バランス型カロリーメーター(EEI にて) EEI 訪問メンバー 店舗(Power Buy)視察 エアコン売り場。NO.5ラベル(HEPS ラベル)貼付はボランタリーであるが、1製品を除くすべての製品にラベ ルあり 製品によっては、適切な部屋面積・冷房能力の表示 (12~15m2、9,000Btu/h)も。 6 詳細報告 全体の進行は、添付資料1:Country Visit under ASEAN-Japan Project on Energy-Efficiency Market Transformation with Information Provision Scheme のアジェンダ及びプレゼン内容を参照。アジェンダは、会議前日のホテルでの DEDE Asawin 氏、ACE Rio 氏との打ち合わせの際、Asawin 氏からの要望により急きょ変更された。 訪問1日目は、EMTIPS について理解していない出席者が多数であるとの理由で、Inception WG とほぼ同内容の説明をし、その後議論を進めた。2日目は、エアコンの性能試験所である EEI(Electrical and Electronics Institute)の視察と、店舗でのラベルの貼付状況等を確認し た。 タイでは、エアコンの市場モデルの 80%をカバーするモデル(5レベルのモデル)の、EER を含めた製品リストを EGAT(Electricity Generating Authority of Thailand)が公開して おり、過去には製品選び・使い方の Tips を含んだ EEP カタログも作成していることが今回訪 問でわかった。議論の結果、製品リストは、すべてのモデルをカバーする(3,4レベルを含む) ものに今後改良するとのコメントを得ることができた。消費者の購買時意識・行動調査は、既存 調査があることがわかり、使用時意識・行動調査は、確実な実施が見込めることが確認できた。 アジェンダの変更により対応に苦慮したものの、今回訪問により、タイの S&L 関係者が一堂 に介したことで、EMTIPS および本年度の Activity についての理解が深まり、本年度および今 後のプロジェクトがスムーズに実行できる見込みである。 また、EGAT が製品リストを公開していることを DEDE は認識していなかった様子であった ことや、EEI 訪問時に DEDE や EGAT からの同行者も質問を重ねていたことなどから、タイ国 内での情報共有が図れていないことが改めてわかった。今回の訪問により関係者が一堂に介し、 情報共有・議論を行ったことにより、今後の EMTIPS の遂行にも有効に機能することが期待さ れる。 なお、今回訪問のタイ側のアレンジは、アジェンダの会議前日の見直し以外は、極めてスムー ズに行われた。アレンジは DEDE の Asawin 氏が行い、今後の関係者との調整も同氏が行うも のと思われる。また、本活動の EGAT の中核者は Kritika 氏と思われる。両者は ECAP6 参加 者であり、ECAP6で ECCJ が培った人脈が活きていることが伺えた。会議や EEI 視察の際も、 ECAP6 で得た情報を基にした発言や質問もあり、ECAP6 がタイの S&L の充実と ASEAN で の調和に向けて効果を与えていることが伺えた。 1. 前日のホテルでの打合せ 7 今回の会議を効率良く進め、 成果を上げるために、 前日、 ホテルで ACE の Rio 氏および DEDE の Asawin 氏と打合せをした。Asawin 氏より、本年度の Activity 実施のためには、DEDE だ けではなく、EGAT、TISI(Thai Industrial Standards Institute)、EEI の参加も必要である ため、今回会議に出席してもらうようにした、しかしながら、これら機関は EMTIPS および Activity について理解していないため、日本側から改めて説明をしてもらいたいとの要望があり、 アジェンダを見直した(添付資料1)。また、タイ側の都合により、会議は 1 日間とし、翌日 は EEI の視察となった。 2.挨拶 DEDE 会議室にて関係者(添付資料2)が集まり、DEDE Asawin 氏の司会・進行により会 議を行った。冒頭、タイ DEDE Danai 副局長、ECCJ 及川部長、ACE Rio 氏が挨拶した。 3.ECCJ からの説明(Basic Direction and Key Points of EMTIPS) ECCJ から別添の PowerPoint 資料(“Basic Direction and Key Points of EMTIPS”) に基づき、以下の事項を説明した。各 Activity の説明は別途行うことから、消費者への適切な 情報提供の必要性、EMTIPS の目的・全体像などを中心に説明した。 ―Basic Concept of EMTIPS and Japanese Experience ―Future Plans under EMTIPS program for ASEAN(ASEAN 統一データベース) ―Review of EMTIPS Pilot Program 2013-2014 ―Activities for EMTIPS Program 2014-2015 Activity 1 : エアコン EEP カタログ Activity 2-1 : 消費者エアコン購買時意識・行動調査 Activity 2-2 : 消費者エアコン使用時意識・行動調査 質疑応答は以下のとおり。 DEDE「日本では、ラベルに記載している内容をどのようにチェックしているのか?」 ECCJ「(ECAP6 で使用した PPT の一部を使って説明)エネルギー効率などの表示に関し ても、罰則を伴う規定がある。不当表示を取り締まる別の法律もある。日本では、メーカ ー間での競争があるため、不正な表示をお互いが監視するチェック機能が働いている。不 正な表示が疑われるときは、METI に連絡され、JATL が確認する。必要に応じ、勧告、 公表、命令、罰金の措置がとられる。日本では、社名の公表は会社の評判を著しく下げる ことから、メーカーはそうならないように対応する。」 DEDE Danai 副局長より、以下のコメントがあった。(Danai 副局長はここで退席) - 省エネ機器普及のために、消費者への情報提供は重要である。 8 省エネ性能が高い製品は価格が高く、低い製品は安い。タイは低所得者が多いため、 価格が安い(省エネ性能が低い)製品が購入される傾向がある。このような状況も考 慮する必要がある。 4.タイの S&L についての説明(Update the Current Situation of Draft New Energy Efficiency of Air Conditioners in Thailand) DEDE Asawin 氏から別添の PowerPoint 資料(“Update the Current Situation of Draft New Energy Efficiency of Air Conditioners in Thailand”)に基づき、タイの S&L の状況 について説明した。 - エアコンの HEPS 値を 2015 年に改正する予定(シート20)。エアコン以外に、冷 蔵庫、ライスクッカー、電気温水器、チラーについても見直す予定。 質疑応答は以下のとおり。 ECCJ「HEPS の見直しは、どのような基準(市場の状況、時期など)で見直すのか?」タ イ側「4,5年ごとに見直す」 ECCJ「エアコンの5レベルのモデルは市場全体でどの程度の割合を占めるか?」 タイ側「80%程度」 (補足)タイは3レベル(の下限)が MEPS 値。したがって、実質1、2レベルのモデルは ない。 ECCJ「5レベルのモデルが80%もあると、消費者にはどのモデルが省エネ性能が高いの か、わからないのでは?」 タイ側「ラベルには、年間消費電力量や電気代が示されているため、それでわかる」 5. 今年度の行動計画(Activities)の議論および結論 Country Visit では、本来は訪問国から Inception WS で説明・合意した今年度の Acitivity について進捗状況を訊く予定であったが、前述のとおり、関係者に改めて Activity の説明をし、 タイの現状確認と議論をした。 (1) Activity 1 (エアコンの EEP カタログの作成) ECCJ から Inception WS で使用した別添の PowerPoint 資料(“Basic Direction & Instruction for Activity 1”)に基づき説明した。 1)製品リスト 9 訪問前までは、DEDE の情報により、タイでは製品データはメーカーの反対があり、 confidential 扱いであり、製品リストは公開できないと把握していたが、EGAT が5レベ ルのモデルだけではあるが(ただし、市場の80%のモデルをカバー)、製品リストを EGAT のウェブサイトで既に公開していることがわかった。また、EER を含む製品情報に関する、 スマートフォンのアプリケーションも公開していた。なお、本情報は、DEDE Asawin 氏 も本会議で初めて知った模様。 *以下の内容の一部は、2日目の EEI への移動時に情報収集 [製品リストの概要] 〇ウェブサイト EGAT トップページ(http://www.egat.co.th/en/) →Sustainable Development → Demand Side Management → Project → Label NO.5 http://labelno5.egat.co.th/index.php?lang=th(タイ語) http://labelno5.egat.co.th/index.php?lang=en(英語) *ただし、英語ページは製品リストへのリンクが貼られていないため、実質機能し ていない。 掲載項目は、メーカー名、型番、タイプ(Wall-hung、Window など)、インバー ター/非インバーター、冷房能力(Btu/h)、EER(Btu/Wh)、年間消費電力量(kWh/y)、 年間電気料金(Baht/y)、Rating。メーカー名アルファベット順に掲載。月に1回、 EGAT が更新(新たに認証したモデルのデータを追加)。 エアコン 製品リスト メーカー名、シリーズ名、タイプ、インバ/非インバ、型番 10 エアコン 製品リスト 画面を右に 冷房能力、EER、kWh/y、Baht/y スクロール 〇スマートフォンのアプリケーション アプリケーション名:Label No.5 https://play.google.com/store/apps/details?id=com.intbizth.labelno5&hl=ja ブランド、価格帯、冷房能力(4段階)を選択して製品検索ができる。EER、価格など による並べ替えが可能。 主なやりとりは以下のとおりである。 ECCJ「5レベルだけでなく、3、4レベルも含めたすべてのモデルを閲覧できた方が消 費者にとって有効だと思うが、どう考えるか?」 EEI「5レベルのモデルだけで市場にあるモデルの約 80%を占めているので、5つ星モデ ルだけの閲覧でも十分である。」 (最終的に)EGAT「来年は、3、4レベルのモデルもリストに掲載する」 ECCJ「検索機能、並べ替え機能などがあると、消費者にとって使いやすいと思うが、ど う考えるか?」 EGAT「今後はそのようにしたい」 ECCJ「タイでは、冷房能力の単位に Btu/h、エネルギー効率に EER(単位:Btu/Wh) を使用しているが、表記の統一のため W の表記に変更することについて、どのように考 えるか?」 DEDE「MEPS、HEPS を規定する法律では、併記している。消費者にとっては、Btu の 方がなじみがあるため、こちらを使用している。ASEAN での統一を考える場合は、他 の国と話し合って決める必要がある。」 11 ECCJ「エネルギー効率評価を EER から CSPF に変える予定は?」 EGAT「インバーター機について、2015 年に CSPF に変える予定」 (7.参照) ECCJ「現在公開している製品リストには、過去に市場流通していた製品モデルも含まれ ているか? 1912 モデル(2014 年 12 月 18 日時)と多い。」 EGAT「古いモデルも含めて掲載している。」 ECCJ「日本では、データベースは過去のモデルも含めて掲載しているが、EEP カタログ は、そのときに市場流通しているモデルだけで作成している。」 関連資料として、EEI より、JETRO が行ったタイの S&L に関する調査報告書(英語版、 2013 年 3 月)の PDF を入手した。エアコンの製品データ一覧(冷房能力、EER、消費 電力含む)も掲載されている。 報告書名:Reserch Project on “Creating Green Demand: Evaluation of Standard and Labeling Program for Energy Efficient Appliances in Thailand” 2)Tips エアコンの賢い使い方、選び方に関する情報を掲載した冊子2種(EGAT 作成版と DEDE 作成版)、冊子 PDF(DEDE 作成版)を入手した(いずれもタイ語)。EGAT 作成の冊子 には、冊子作成時(2004 年)の製品リストも掲載されている。いずれの冊子も、エアコン の構造(圧縮機、熱交換器など)の解説も含んでいる。日本の「省エネ性能カタログ」には 掲載されていない内容であるが、消費者がエアコンの省エネ方法を理解する上で、重要な情 報である。ASEAN の EEP カタログの特徴の一つとなる。 製品リストと Tips について、現状と改良計画について整理し、発表してもらうこととした。 (2) Activity 2-1 (消費者エアコン購買時意識・行動調査) タイでの既存調査の有無について確認をしたところ、エアコンに特化したものではないが、 製品選択(効率、ブランド、価格など)に関する 100 人以上規模の調査を実施しているこ とがわかったため、新たな調査は行わず、その調査結果から本 Activity に関連するものを 整理して発表してもらうこととなった。 (3) Activity 2-2(消費者のエアコン使用時の意識・行動調査) ECCJ から Inception WS で使用した別添の PowerPoint 資料(“Basic Direction & Instruction for Activity 2-2”)に基づき説明した。“AJ-EMTIPS 2014-2015 Guideline for Activity 2”も渡した。 12 DEDE および EGAT スタッフなどから、 少なくとも 20 名の回答を集めることを確認した。 2日目の EEI への移動の車の中で、DEDE Asawin 氏から、EGAT Kritika 氏にガイドラ インとカエルの温度計が渡されたことを確認した。 エアコンの冷房能力と推奨部屋サイズについては、タイでは以下のとおり定めていることが わかった。 EGAT のウェブサイトにも掲載あり: http://labelno5.egat.co.th/index.php?option=com_content&view=article&id=91&I temid=262&lang=en (4) その他 DEDE Asawin 氏より、他の国への個別訪問の状況を聞かれたため、フィリピンとインドネ シアの状況を説明した。 6. 今後の予定 今後予定されている以下のイベントにタイが参加し発表することで、ACE の調整の基、関 係者が連携を取って進めることを確認した。 (1) EC Symposium by ECCJ coordination (in Jan. 2015 in Japan) (2) Wrap-up Meeting of AJ-EMTIPS Project (in Feb. 2015 in ASEAN country) 7. Testing Laboratory の見学 EEI(DEDE から車で1時間20分)を、DEDE、EGAT 同行の基、視察した。 会議室で DVD および PPT を使った説明を受けた後、バランス型カロリーメーター設備(大 西製)を見学した。(出席者:添付資料3) 主な説明内容は以下のとおり。 13 - EEI では、エアコンのエネルギー効率に関する、TISI の認証(MEPS 認証)、EGAT の認証(HEPS 認証)を行っている。タイには、第三者機関である本試験所以外に、 メーカー試験所(Bitwise Co., Ltd.および PPJ Engineering)2か所の計3試験所が ある。メーカー試験所は自社製品の MEPS 認証試験を行う。EEI は、自社の試験所を 持たないメーカーの MEPS 認証試験と、全ての製品の HEPS 認証試験を行う。 - HEPS 認証を受ける場合は、すべてのモデルについて計測をするが、MEPS 認証を受 ける場合は、すべてのモデルである必要がない(TISI によるプロセスの inspection が 行われているため、との説明)。 - HEPS 認証が得られた場合は、認証にかかる費用は EGAT が負担し、認証が得られな かった場合はメーカー負担となる。 - エアコンの試験設備は、以下3つを保有している。 AC-01:バランス型カロリーメーター 冷房・暖房能力:4,000~32,000 Btu/h、 スプリット、ウィンドウタイプ AC-02:冷房能力:5,000~40,944 Btu/h スプリットタイプ AC-03:冷房能力:10,000~80,000Btu/h、 暖房能力:11,000~80,000Btu/h スプリット、ウィンドウタイプ - 2015 年 1 月1日から、インバーター機の評価基準を SEER とする予定。具体的な HEPS 値は以下のとおりである。インバーター機のラベルには、 「2015 年」 「SEER」 と入る。SEER は CSPF と同義。 SEER 冷房能力 - No5 レベル(HEPS 値) 8kW 以下 15.00 Btu/Wh 8kW 超、12kW 以下 14.00 Btu/Wh IS-INOTEK、JEMA とのプロジェクトにより、試験に係る研修およびラウンドロビン テスト(RRT)を実施している。将来、KRAAC(韓国の試験所)との RRT をする予 定である。 質疑応答は以下のとおり。 ECCJ「TISI と EEI の関係は?」 EEI「以前は、EEI は TISI の一組織であったが、現在は別の組織である。TISI は認証機関で あり、EEI は試験所である。」 14 ECCJ「タイはエアコンの輸出も行っているが、タイが CLM に輸出する際に、エネルギー 効率の認証(計測)をしているか? ASEAN 経済共同体として、今後についてはどの ように考えているか?」 EEI「日本のメーカーは自社で試験をしていると思うが、タイのメーカーでは試験をしてい ない。 ASEAN 経済共同体における Criteria が準備されており、 Electric & Electoronic Sector でも、Certification Scheme by Harmonization の Criteria がある。一般的 に、調和の優先順位は、1.安全、2.環境であり、エネルギー効率の S&L は3.以 降である。基準調和については、EE&C-SSN のもと ASEAN SHINE において行わ れている」 8. 販売店の視察 12 月 19 日午前中にバンコク中心部のショッピングセンターCentral World 内にある、 家電販売店“Power Buy” を視察した(タイ側の同行なし)。地域的には、比較的裕福な 層が買い物をする場所である。 エアコンは、三菱電機、ダイキン、パナソニック、シャープ、サムソン、LG、SAIJO DENKI (タイのメーカー)製の、Wall-hung タイプが陳列されていた。一部、床置きタイプがあっ た。インバーター機、ノンインバーター機の割合はほぼ半々。インバーター機の価格は、ノ ンインバーター機の価格のおおよそ 1.2 から 1.7 倍であった。 タイの HEPS ラベル(5レベルラベル)の貼付はボランタリーであるが、LG の1製品 (EER11.78 のため、HEPS 達成)以外の製品に貼付されていた。 ほとんど全ての製品に HEPS ラベル貼られているため、省エネ性能が高い製品がどれかを 一目で認識することは難しく、ラベルに書かれている EER 値や年間消費電力量、年間電気代 の情報を見る必要がある。HEPS 基準を含めた、Rating 基準の見直しが必要と感じた。 店員へのヒアリングはできなかった。また、写真撮影禁止の掲示があったが、店員に許可 を得て、撮影させてもらった。 15 添付資料1:タイ訪問時のアジェンダ COUNTRY VISIT UNDER ASEAN – JAPAN ENERGY- EFFICIENCY MARKET TRANSFORMATION WITH INFORMATIONPROVISION SCHEME Thailand, Dec 18-19 2014 16 【平成 26 年度 国際エネルギー使用合理化等対策事業】 機器分野の省エネ普及促進事業・ベトナム・タイ(Country Visit)出張報告書 平成 26 年 12 月 22 日 国際協力本部 出張者: 国際協力本部 国際計画部部長 及川 孝一 国際協力本部 技術専門員 小川 史雄 国際協力本部 技術専門員 山川 文子 出張期間:平成 26 年 12 月 15 日(月)~20 日(土) 概要報告 1.出張目的 経緯と目的 AJ-EMTIPS 初回会合(8/14、15 ベトナム・ホーチミン)にて、本年度の具体的実施事 項を提案し、特に、S&L の整備がされている 5 カ国(インドネシア、マレーシア、フィリ ピン、タイ、ベトナム)にフォーカスして作業を進めることが承認された。今回の出張は、 上記 5 カ国のうち、ベトナム、タイを訪問し、今年度の提案事項(3つの activities:①省 エネ性能カタログの作成、②消費者購買行動調査、③エアコン使用実態調査)について、進 捗の確認、課題の解決、実行を促し、活動の成果を国際省エネシンポジウム(1/30)でのプ レゼンに繋げて行く。 なお、今回の出張日程と内容は下記の通りである。 日 程 業 12 月 15 日(月) 成田発→ハノイ着 務 内 容 MOIT ならびに ACE との事前打合せ 12 月 16 日(火) ベトナム MOIT との会議 初回会合提案事項の説明、現状把握 12 月 17日(水) ハノイ発→バンコク着 DEDE ならびに ACE との事前打合せ 12 月 18日(木) タイ DEDE との会議 初回会合提案事項の説明、現状把握 12 月 19 日(金) 小売店視察(AM))、EEI(エアコン等能力試験所)視察・会議(PM) 12 月 20 日(土) バンコク発→羽田着 2.訪問による確認事項 (1)ベトナム MOIT の Mr.Djung、Mr.Tuan の 2 名が出席。 1 本プロジェクトについて全く理解していないことが確認された。EMTIPS が SOME-METI、 EE&C-SSN(6 月)にて承認されたプログラムであり、 更に InceptionMeeting(8 月ホーチミン)にて、今年度の Activities 実施が合意されたも のであることを説明(ACE から資料提供しているが読んでいないので白紙の状態)。実施目 的について懐疑的であり、再三にわたる実施費用の負担要求等、ASEAN10 カ国の中でも特 異な存在である。Mr.Djung 個体の問題とも考えられる。活動結果や調査結果は、消費者へ の情報提供充実と政策反映につながれば良い事であり、日本として本件についての活動費負 担は考えていない旨強調。一定の理解は得られたと考える。 ①省エネ性能カタログの作成(エアコンデータリストと省エネガイドの作成) (◆:MOIT ◇:ECCJ) ◆リスト作成のための費用負担をしてもらいたい。データを必要としているのは日本ではな いのか。インバに CSPF を採用していると言っても値は正確ではない。正確でないものを リスト化しても意味はない。 ◇日本はベトナムのデータを必要としない。ベトナム自身と One ASEAN Database を目 指すステップとして必要なことを訴える。インドネシアでは、メーカーに対してフォーマ ットにデータ入力するよう指導しリスト整備を進めている、また、データ入力しないこと の不利益(市場に認められない等)も通告していることを紹介。 ◆エアコンデータリストの作成は、今年度は予算がないため不可能、来年 6 月に予 算計上できれば実施を考えても良い。省エネガイドについては、既にあるパンフレットを 日本の省エネ性能カタログのようにまとめる。←実行する可能性は低い ②消費者購買調査の実施 ◆100 名程度を調査対象とすることから、実施のための費用負担をしてもらいたい。 ◇ミャンマー等、予算措置を行い自助努力で進めようとしている政府もあることを紹介。既 に MOIT として消費者行動の特性を把握できているのであろうから、改めて実施する必要 はないとした。 ③エアコン使用実態調査の実施 ◇IEEJ やその他のプロジェクトで既に詳細な調査が行われているようなので、改めて実施す る必要はないとした。ただし、フィリピンやマレーシアなどでは FOCAL POINT とオフ ィスメンバー15 名~20名で実行していることを紹介。 ④その他 ◆前年度の活動成果はどうなっているのか、他国訪問の情報は提供しないのか。 ◇前年度 Wrap Up Mtg, Inception Mtg. Country Visit の際などの機会を捉えて情報共 有してきている。←ベトナムからの出席者は都度異なり、情報共有もなされていない。ACE 2 から配布された報告書にも目を通していない模様。EMTIPS 前年度報告書については ACE から Mr.Djung に再度送付することとした。 【今後の展開】 ・ベトナムについては、理解を得るために多大な時間を要し、実行に対しては費用負担を要求 されるため、本プロジェクトにおいて他の S&L 制度整備国と同様に扱う必要はないと考え る。(必要と自覚したら後からついて来てもらえば良い。) ・シンポジウムには参加の意向。EMTIPS を理解し、S&L の責任者として S&L の現状と将 来計画をプレゼンできる招聘講師を 12/19 までに決定するよう依頼。 3.Country Visit 出席者 (1)ベトナム <MOIT: Ministry Of Industry and Trade> Mr. Dang Hai Djung Deputy Director Science,Technology and Energy Efficiency Dept. Mr. Lai Duc Tuan Expert Science,Technology and Energy Efficiency Dept. <ACE: ASEAN Centre for Energy> Mr. Rio Jon Piter Silitonga Technical Officer of EE&C Programme <ECCJ> Mr. Fumio Ogawa, Technical Expert Ms. Ayako Yamakawa, Technical Expert Mr. Takakazu Oikawa, General Manager <通訳> Ms. Phan Thanh Nga 3 4.会 議風景等 4 詳細報告 今年度のインセプション WS のベトナムからの出席者(マイ氏)は S&L の担当者ではなく、 その後に関係者への情報共有がされていないこと、これまでの ACE との調整におけるやりとり の状況などから、EMTIPS および本年度の Activitiy について理解されていないことが、事前に 推察されていた。 前日の確認により、会議を午前中で終了してほしいとの要望があったため、予定していた、添 付資料1:Country Visit under ASEAN-Japan Energy-Efficiency Market Transformation with Information Provision Scheme のアジェンダを、半日に圧縮して実 施した。 ECCJ より、EMTIPS の経緯や目的、本年度の Activity につき説明をしたものの、MOIT の Djung 副局長は全く理解を示さず、活動をするには費用が必要であることを主張した。そのた め、可能な範囲で参画してもらうというスタンスに留めた。通訳のガー氏の印象では、Djung 副局長にはやる気が全く感じられないとのことであった。ベトナムは、S&L が進んだ国の一つ ではあるものの、他の進んだ国と同様の参画は期待できないと感じる。 1. 前日のホテルでの打合せ 前日のホテルでの打合せは、ベトナム側との調整がつかず、また、ACE の Rio 氏の到着が遅 かったため、通訳のガー氏とのみ行った。ガー氏が、Djung 副局長に翌日の会議の確認をした ところ、多忙を理由に午前中で終了して欲しいとの要望があり、半日で本訪問を終了させること となった。 2.挨拶 MOIT 会議室にて、関係者(添付資料2)が集まり会議を開始した。冒頭、ベトナム MOIT か ら Djung 副局長が、ECCJ から及川部長が挨拶した。 MOIT Djung 副局長の挨拶要旨は以下のとおり。 - ベトナムは 2013 年 7 月からラベル貼付を義務化。制度はまだ初期段階である。 - 日本のラベル貼付はボランタリーでありベトナムとは状況が異なるが、日本の経験を勉強 したい、特にトップランナー制度から勉強できることを期待している - ASEAN では既にラベル貼付をしている国もあるが、国によって方法が異なり、経済状況 も異なるため、各国が方法を合わせる(調和)ためには、さまざまなことを検討する必要 がある 3.ECCJ からの説明(Basic Direction and Key Points) ECCJ から別添の PowerPoint 資料(“Basic Concept of EMTIPS and Japanese Experience”)に基づき、以下の事項を説明した。 ―Basic Concept of EMTIPS and Japanese Experience 5 ―Future Plans under EMTIPS program for ASEAN(ASEAN 統一データベース) ―Review of EMTIPS Pilot Program 2013-2014 ―Activities for EMTIPS Program 2014-2015 Activity 1 : エアコンカタログ(リスト) Activity 2-1 : 消費者エアコン購買時意識・行動調査 Activity 2-2 : 消費者エアコン使用時意識・行動調査 質疑応答は以下のとおり。 MOIT「EMTIPS の 2013 年度のパイロットプロジェクトの結果報告書はあるか?」 ACE「2013 年度の Wrap Up Meeting で発表しているが、後ほど送付する。」 MOIT「日本のラベル貼付の費用は誰が負担しているのか?」 ECCJ「小売事業者である。小売事業者には、消費者に製品の省エネ性能に関する情報を提供 する義務がある。」 MOIT「ラベルの内容は誰が、どのように確認しているのか?」 ECCJ「メーカーが、自身で製品データベースに入力し、その内容がラベルに表示される。メ ーカー同士がチェック機能を果たしており、表示が不正確と感じた場合は、METI に連絡が 入る。METI は、JATL に調査を依頼する。(トップランナープログラムでは)省エネ性能 等の表示に関しても罰則規定があり、改善命令、公表、罰金が段階的に課される。」 4. 今年度の行動計画(Activities)の議論および結論 (1) Activity 1 (エアコンの EEP カタログの作成) 製品リスト作成の目的を、ベトナムの製品市場データを日本が入手することであると思い 込んでおり、日本が費用を負担するべきであると主張。ECCJ より、何度も経緯や目的、必 要性などを説明したが理解されなかった。結果として、MOIT が EEP カタログを作成する、 しかしながら今年度は予算がないのでできない、来年6月に予算計上ができれば実施すると のことだが、実現するかどうかは疑問である。エアコンの選び方・使い方に関する Tips につ いては、既存の冊子(ベトナム語)を入手した。 具体的な主なやりとりは以下のとおりである。 MOIT「製品リストを各国が同じ様式で作成した後はどうするのか? ASEAN で共有するの か? ベトナムは、他国の製品リストを見ることができるのか?」 ECCJ「最終的な目的はそうであるが、リストがない国、公開に消極的な国など状況が異な るため、すぐには難しい。また、効率の表し方も国によって異なる。まずは各国で作成す ることを今年度の活動としている。また、共有するための障害を明確にしたい。」 6 MOIT「ベトナムで収集した情報は、どうするのか? 製品リストは公開するのか?」 ECCJ「2月の Wrap-up Meeting で報告してもらい、ASEAN 各国で情報共有する。製品 リストは、国として可能であれば公開してもらいたいが、強制ではない。」 MOIT「ベトナムが公開するのであれば、他国も公開することが必要。」 ECCJ「将来的には、One ASEAN Database を構築したいが、順を追って実施したい。 各国でのカタログ作りは、消費者に対する情報提供を行い、効率の高い製品選択を進める ものであり、日本もそのための支援をしている。たとえば、フィリピンでの Country Visit では、既に公開されている製品リストは、政府が認定した製品リストであるが、効率や Rating などが含まれていなかったため、これら情報も含んだ消費者にとって有益なリス トとなるようアドバイスをした。」 ECCJ「ベトナムには、製品情報が掲載された既存のウェブサイトがあるが、掲載する製品 を増やす計画はあるか? サイトを改良する計画はあるか?」 MOIT「情報がばらばらにあり、データ入力をする人材も不足しているため、時間と費用が かかる。」 (2) Activity 2-1(消費者のエアコン購入時の意識・行動調査) 同様の調査を既に実施しているとの回答を得たため、新たな調査は必要ではないこと、既 存調査結果で公表できるものを Warp-up Meeting で発表して欲しい旨を依頼し、了解を 得た。しかしながら、一連のベトナム側の対応から、実際に行われるかどうか疑問である。 (3) Activity 2-2(消費者のエアコン使用時の意識・行動調査) ベトナムでは日本エネルギー経済研究所が実測調査を行っているため、追加の調査はせず、 その結果を整理してもらえばよい旨説明したところ、MOIT は報告書を受け取っていない、 新たな調査は費用およびマンパワーが必要とのことであった。実施は難しいとの感触を得た ので、実施は見合わせてよいこと、ECCJ が独自に日本メーカーを通じて収集したデータを 基に、日本側で調査・分析した結果を Wrau-up Meeting で情報提供することを説明した。 なお、MOIT は、ベトナムの気象データがないため、ベトナムにおける CSPF の値が正 確ではない(実態を反映していない)との認識を持っており、実測調査自体には関心を持っ ている様子。 (4) ベトナムのエアコン市場状況等 以下の情報を収集した。 ECCJ「ベトナムにあるエアコンの輸入品、国内メーカーの比率は?」 7 MOIT「データがないのでわからないが、輸入品がかなり多い。輸入品の中で、60%をパナ ソニックとダイキン製が占める。国内メーカーは、Har Fat(モデル名:Funiki)と、Ree (モデル名:Sumikura)の2社のみ。ただし、Ree は、正確にはベトナムと中国の会社。」 ECCJ「メーカーが出した効率データなどの確認体制は?」 MOIT「VINACOMIN(試験機関)がチェックしている。以前、LG が『省エネ60%』とい う不正確な広告を出し、(政府が)コメントを出したことがある。」 ECCJ「不当表示を取り締まる法律は?」 MOIT「TCVN(ベトナムの国家基準)に従っている。」 6. 今後の予定 今後予定されている以下のイベントにベトナムが参加し発表することで、ACE の調整の基、 関係者が連携を取って進めることを確認した。 (1) EC Symposium by ECCJ coordination (in Jan. 2015 in Japan) Djung 副局長は、1月29日に INOTEK との打合せのため来日しているため、別の人が 参加する。ベトナムの S&L の現状と将来計画を話せる人であることが要件であることを伝 えた。1月19日までに氏名を決め、ACE の Rio 氏に回答することについて了解された。 (2) Wrap-up Meeting of AJ-EMTIPS Project (in Feb. 2015 in ASEAN country) 8 添付資料 1:ベトナム訪問時のアジェンダ(実際は、午前で終了) COUNTRY VISIT UNDER ASEAN – JAPAN ENERGY- EFFICIENCY MARKET TRANSFORMATION WITH INFORMATIONPROVISION SCHEME Vietnam, 16 December 2014 DAY 1 (Dec16, 2014) 08:30 –08:45 Greetings by host country, ECCJ and ACE 08:45–09:00 Presentation by ECCJ (Basic concept, Last year’s review, &This year’s activities) (Goals of this country visit meeting) 09:00 –09:10 Q&A 09:10– 09:30 Presentation by Host GOvernment (Current status, Progress, &Consultation on Activity 1: Development of EEP Catalogue of Air Conditioners) (Barriers to carry out Activity 1) 09:30– 09:45 Q&A 09:45-10:00 Coffee Break 10:00-11:00 (Consultation on the Activity 2-1: Questionnaire Survey on Consumer Awareness & Behavior when Purchasing Air Conditioners) (Barriers to carry out Activity 2-1) (Lead by ECCJ) 11:00-12:00 (Consultation on the Activity 2-2: Questionnaire Survey on Consumer Awareness & Behavior when Purchasing Air Conditioners) (Barriers to carry out Activity 2-2) (Lead by ECCJ) 12:00 – 14:00 14:00 – 14:20 Lunch Review by ACE (Reivew of yesterday’s discussion on barriers and this year’s goals for Activity 1, 2-1 and 2-2) 14:20– 14:50 Confirmation of following events (S&L Symposium in 29 Jan 2015) (Wrap-up Meeting in Feb 2015) 14:50–15:00 Closing of Country Visit Meeting End of Country Visit in Vietnam 9 【平成 26 年度 国際エネルギー使用合理化等対策事業】 機器分野の省エネ普及促進事業・Wrap-Up Meeting 出張報告書 平成 27 年 3 月6日 国際協力本部 概要報告 1.出張者 国際協力本部 国際計画部部長 及川 孝一 国際協力本部 技術専門員 小川 史雄 国際協力本部 技術専門員 山川 文子 国際協力本部 国際計画部長 牛尾 好孝(オブザーバー) 渋谷 浩志(オブザーバー) 国際協力本部 2.出張期間:2015 年 2 月 26 日~3 月 1 日(4 日間) 但し、及川は AJEEP 事業(2015 年 2 月 24~26 日)に引き続き、27 日か ら本事業に出席。小川・山川は 26 日現地着、27 日から本事業出席。牛尾、渋 谷は AJEEP に引き続き、27 日は AJEEP 事業関連インドネシア MEMR との 打合せの合間にオブザーバー出席。 3.出張目的 26 年度 AJ-EMTIPS の活動である省エネ性能カタログの作成(Smart Guide と製品デ ータリスト作成)、消費者購買行動やエアコン使用実態調査の実施など活動実績と成果の確 認、加えて次年度活動の方向性についての協議を行う。なお、今回の出張日程と内容は下記 の通りである。 日程 業務内容 2月26日(木) 移動:成田→ジャカルタ→ボゴール(小川・山川) 2月27日(金) EMTIPS Wrap-up Meeting 2月28日(土) 移動:ボゴール→ジャカルタ→ 3月1日(日) →成田(及川・小川・山川・牛尾・渋谷) 4.最終会合での確認事項(主なポイント) 【今年度活動の総括】 ○ECCJ からの今年度全体の活動、ならびに成果報告については、活発な意見交換を通じ て内容確認が行われた。意見反映された PPT を ACE に再提出の予定。 1 ○賢い使い方(Smart Guide)については、9 カ国で作成済み(会議会場に展示。各国が 他国の内容・デザインを共有する絶好の機会に)。特にラオスではタイの DEDE の協力 を得て共同制作品を完成させている。 ○製品データリストについては、タイが DEDE と EGAT との連携(これまでは軋轢が存 在。今年度カントリービジットでの合同会議を機に協力関係に発展)により、リスト内 容を充実させ WEB に公開。またマレーシアは、メーカー・輸入事業者・税関との協力 関係構築によりデータ提出を可能としている(強制的)など、制度整備国においてリス ト整備と改善が進んでいる。 ○消費者行動調査・エアコン使用実態調査については、年度当初は費用負担・マンパワー の問題から各国とも消極的であったが、インドネシア、マレーシア、タイ、フィリピン (自国計画で既実施)、ブルネイ、ラオス、ミャンマーが実行。各国は回答者の協力を 得るため、ECCJ 提供のシール温度計に加えてボールペン等を用意。また、調査員の教 育や質問事項の現地語への翻訳など工夫を加えて実施している。調査を通じて多くの気 づきを得ることができたと報告。ただし、使用実態の調査項目については、答えに窮す る項目(部屋の広さ、向き等)も含まれ、もっと簡便な内容にすべきとの声も。 ○以上、各国とも今年度活動を通じて、消費者意識を把握することができ、意識向上、正 しい情報提供の重要性や消費者教育の必要性を認識し、market transformation の意 義についての理解を深めている。 ○ノンインバーターからインバーターエアコンへの置き換えによるエネルギー消費削減効 果試算結果の ECCJ 報告については、①実態調査結果の分析・活用方法に関して苦慮し ていたが本報告でこれらについて習得、②インバーター普及シナリオ別電力消費削減量 試算結果については、高効率機器普及の実効性とそれを可能せしめる条件(普及シナリ オの前提条件等)について、考え方の整理を促せた、との手ごたえを得た。 【全体を通じて】 ○AJEEP Scheme3 や ECAP にて法制度整備国(Developed Country)が未整備国 (Developing Country)をサポートする仕組みが採用されているが、今回会議の活発 な議論の中でもその機能が発揮されている。ASEAN の中で本仕組みが定着しているこ とを確認した。 5.今後の展開 ○今年度フォーカスされた 5 カ国はじめ制度整備が進んだ、ないし整備されつつある国、 計7カ国は引き続き、Smart Guide と製品データリストの改善を、26 年度 EMTIPS 活動を踏まえ進める。必要に応じ ECCJ はインターネット等による支援を行う。 ○ASEAN 全体のレベルを引き上げるべく、制度整備が遅れたカンボジア、ラオス、ミャ ンマーに対しての支援にフォーカスする。CLM3カ国それぞれで、国内ステークホルダ ーや整備進捗国からの招聘講師によるシンポジウムを開催する。 2 ○以上の方向性提示については、ACE より EE&C-SSN 初回会合(4/24)に提案するよ う要請された。また、同時期に開催される ASEAN-SHINE 会合への日本の関連事業で ある IS-INOTEK の運営委員会出席も確認できた(METI・IS-INOTEK からの依頼)。 以 上 (参考-1)2014-2015 年度各国訪問実績 ・10 月 フィリピン(10/13、14) ・11 月 マレーシア(11/17)、インドネシア(11/19、20) ・12 月 ベトナム(12/16)、タイ(12/18、19) (参考-2)Wrap-Up Meeting 出席者 ・Brunei Darussalam(EDPMO) Mr. Asrul Sany Hj Muhammad Ali ・Cambodia(MME) Mr. Gnan Bora ・Indonesia(MEMR) Mr. Harris Muhammad Yahya ・Lao PDR(MEM) Mr. Thamanoune Nakhaviet ・Malaysia(MEGTW) Ms. Hafiza Binti Yob ・Myanmar(MOI) Ms. Naing Naing Linn ・Philippines(DOE) Ms. Genevieve L. Almonares ・Thailand(DEDE) Mr. Asawin Asawutmangkul ・ASEAN Center for Energy Mr. Christopher G. Zamora Mr. Rio Jon Piter Silitonga (Singapore、Vietnam は欠席) 3 (参考-3) 会議風景 ○冒頭挨拶(左から ホスト国インドネシア Mr.Harris、ECCJ 及川、ACE Mr. Zamora) ○ECCJ 発表(左から 山川、及川、小川) ○各国発表(Country Report の一部)(左から、ブルネイ、インドネシア、フィリピン) ○各国の Smart Guide・製品リストの展示 4 (参考-4) アジェンダ 5 詳細報告 本会合は、アジェンダ(参考-4)に基づき、ECCJ が進行を務めた。各発表と質疑応答の概 要は以下のとおりである。 1.冒頭挨拶 ◇インドネシア:Mr. Harris Muhammad Yahya ◇ECCJ:及川 ◇ACE:Mr. Christopher Zamora 2.本年度の EMTIPS プログラムの概要・結果 ○発表者:ECCJ 山川 ○発表資料:別添2“Summary of AJ-EMTIPS Program 2014-2015” ○概要: EMTIPS プログラムの背景・概要に続き、今年度の活動内容・実施結果、成果の概要につ いて説明した。また、各国が作成したエアコンの使い方・選び方に関する Tips が収められ たパンフレットと各国のエアコン製品リスト(ウェブサイトからの出力)を会場内に展示し、 活動の成果を示すとともに、情報共有を図った(展示状況は、参考-3 参照)。 (活動内容) ・Activity 1:“Smart Guide”(エアコンの Smart Tips 及び製品リスト)の作成 ・Activity 2-1:機器購入時の消費者意識・行動に関するアンケート調査 ・Activity 2-2:エアコン消費実態に関するアンケート調査 (活動結果) Inception Meeting, 個別訪問 (フィリピン、インドネシア、マレーシア、ベトナム、タイ)、 日本における ASEAN-JAPAN 国際シンポジウム ○質疑応答等: 質問はなかったが、ACE より、本発表資料に記載されている個別訪問結果(訪問国の S&L の概要、活動進捗等)は、本プログラムの報告として SOME・METI 会合にも提出される ため、追加情報や誤りなどがあれば、この場で指摘して欲しい旨呼びかけがされ、次のよ うな追加情報等があった。 (フィリピン) 機器購入時の消費者意識・行動を含んだ 2011 年の全国調査の結果がまとまっている。 (インドネシア) エアコンの MEPS およびラベルの規定が、2015 年 1 月 28 日に制定。2016 年 7 月ま ではボランタリー、それ以降は強制での実施。 6 (マレーシア) 2013 年からの強制ラベルでは、そのモデルのエネルギー効率を 2 レベルの下限値(= MEPS 値)と比較した割合を表示。それまでは平均値と比較。 (タイ) 2015 年 1 月からの新たな Rating 基準は、ノンインバーターエアコンとインバーター エアコン別に設定。インバーターエアコンは評価指標に SEER を使用している。テスト 方法は CSPF と同じであるが、消費者に簡単にわかってもらうために、既に馴染がある EER に近い表記である SEER を使うこととなった。省エネ性能の高い家電製品の購入を 進めるポスターは作成しているが、発表資料(シート 22 右)に使われているポスターは、 家電製品用ではなく、工業設備の購入を進めるポスター。 3.ASEAN 各国からのカントリレポート発表 S&L プログラムの最新状況、活動結果、本年度のプログラムから得たもの、次年度活動へ の期待が発表された。 (1)ブルネイ ○発表者:Mr. Asrul Sany Haji Mohammad Ali ○発表資料:別添 3 ○概要: ・エアコンの S&L 制度は、2015 年 3 月末に議会承認、2015 年 4 月エネルギー大臣 告示、2015 年 8 月から 12 月までの間に対象機器の拡大が行われる予定。MEPS 値 は、EER2.9W/W、試験方法は ISO5151(2020)、ISO15042(2011)。ラベ ルの記載項目は、5 段階による星、年間消費電力量、冷房能力(kW 及び HP)、EER、 インバーターなど。 ・国全体の電力消費量のうち家庭分野が 48%、家庭の年間消費電力量のうち 61%がエ アコンによる。 ・アンケート調査結果 回答者の 57%が政府関係者。回答者に LED ペンライトを渡して協力を促した。主な 結果は以下のとおり。 【購入時意識・行動】 最も優先することは「価格」が最も多く、「機能」「デザイン」と続く。情報源は「デ ィスプレイ・表示」が最も多く、「店舗スタッフ」「家族・友人から」と続く。 【使用実態】 住宅は、2000~3500 平方フィート(約 186~325m2)、部屋数 3~6。インバー タータイプ 10%、1年中 18~22℃で使用。調査結果から、省エネ意識が低い(電気 料金が安いことも影響)、省エネタイプのエアコンは価格が高いため普及していないこ となどがわかる。 7 ・改訂された電気料金(政府補助あり)は、月 600kWh までは US6.0/月、1500kWh までは US$78/月。月 4,800kWh までの料金設定あり。平均使用量は月 2,050kWh (US$123/月)程度。 ・今年度の活動により、消費者意識を把握することができ、意識向上や正しい情報提供の 重要性や消費者教育の必要性を認識。 ・今後も本プログラムにおいて、日本からのアドバイスなどを必要としている。 (2)カンボジア ○発表者:Mr. Gnan Bora ○発表資料:別添4 ○概要: ・2013 年 5 月に、省エネ政策とアクションプラン案が完成。省エネに関する5つの優 先分野(産業、機器、建築物、地方での発電・配電、家庭・産業へのバイオマス資源) が決められた。 ・目標は、エネルギー需要を 2035 年までに自然体ケースに比べて 15%削減、CO2 排 出量を 2035 年までに 3 百万トン削減。 ・S&L については、数年前に製品にラベル表示をするパイロットプロジェクトを実施。 2015 年に規制の枠組みを構築し、データベース構築、テストラボ、Capacity Building を進め、2017 年にドラフトを作成する計画。そのために、さまざま情報が必要。 ・2014 年に KEMCO(韓国エネルギー管理公団)による Action Plan Meeting を実 施(ACE も協力)。 (3)インドネシア ○発表者:Mr. Harris Muhammad Yahya ○発表資料:別添5 ○概要: ・エアコン(27,000Btu/h=約 7.9kW)の S&L は、Ministerial Regulation 7/2015 が制定され、 2016年8月1日から MEPS、ラベリングとも強制措置として施行予定。 それまではボランタリーで実施。 ・その後、冷蔵庫、ファン、炊飯器、安定器、モーターの S&L についての規則がまとめ られる予定。 ・エアコンの“Smart Tips”についての情報は、パンフレットやステッカーなどを作成。 ・アンケート調査結果 主な結果は以下のとおり。 【購入時意識・行動】 90 名から回答を得た。48%が政府関係者。エアコン購入時に最も優先するのは「省 エネ性能」が最も多く、「価格」と続く。情報源は「メーカーのウェブサイト」が最も 多く、「店舗スタッフ」と続く。インドネシアは、スマートフォンの保有率が高く、イ 8 ンターネットアクセスが早いことが背景にある。 【使用実態】 20 名から回答者を得た。住宅は、34~480m2、部屋数1~6。ほとんどの世帯が1 年中、夜間に使用。設定温度は 20~27℃。毎月の電力使用量は、73.5~572kWh とばらつきがある。 ・今年度の活動により、多くの新しい情報と経験を得ることができた。自国の状況を他国 の状況と比較し、やるべきことがわかり、もっと加速させなければいけないことがわか った。個人的に、EMTIPS プログラム以前は、消費者への情報提供はもうやっている と思っていたため、活動の必要性をそれほど強く感じていなかったが、そうではなかっ たことがわかった。Market Transformation のための、製品リストや“Smart Guide” の役割が理解できた。 ・今後も本プログラムが継続することを希望するとともに、監視・モニタリングに関する 点を含んで欲しい。冷蔵庫や炊飯器など他の機器についても含んで欲しい。 (4)ラオス ○発表者:Mr. Thammanoune Nakhavith ○発表資料:別添6 ○概要: ・2013 年の国全体の電力消費量の内訳は、家庭 38%、業務 32%、産業 33%。現在 建設中の建物が多くあり、業務と産業は 2020 年に向け増加する見込み。 ・家庭部門では、CFL Exchange Program を実施している。S&L 制度構築を進める委 員会が組織された。 ・公共部門の電力消費量は全体の 6%であるが増加している。インバーター空調や照明の CFL 化などを進めている。 ・2009 年と 2014 年 6 月に一部の地域で実施した調査を比較すると、省エネ機器につ いての消費者の知識が向上していること、2014 年調査では省エネ機器を購入するこ とによるベネフィットについての意識が高いこともわかった。2009 年調査では、フ ァンと冷蔵庫の保有が髙かったが、2014 年調査ではテレビと照明の保有もあった。 ・エアコンの製品リストは、(ラオスが輸入している)タイの製品について、タイのウェ ブサイトで調べ作成した。 ・S&L はラオスにとって重要なトピックであり、構築しなければならない。 (5)マレーシア ○発表者:Ms. Hafiza Binti Yob ○発表資料:別添7 ○概要: 9 ・ラベリング制度は EU(デンマーク)の協力により、2003 年に冷蔵庫からスタートし、 対象機器を拡大していった。2013 年に、エアコン、冷蔵庫、テレビ、ファンについ て、MEPS とラベリングが強制となった。 ・2013 年以前のラベルでは、そのモデルの、モデル全体の平均値と比較した省エネ率 (%)を掲載していたが、2013 年からのラベルでは、最低値(2 レベルの下限)と の比較をしている(発表資料は旧情報の模様)。これは、メーカー・輸入事業者のリク エストによるもの。平均値と比較をすると、平均より低いモデルはマイナスの値となる から、という理由。個人的には平均値との比較をするべきだと思っている。 (補足)参考:EC(Energy Commission)のウェブサイト 省エネ率(%)は、省エネ率=100%-((100×(A/B))の式で求める。 A:そのモデルの年間消費電力量 B:2 レベルの最低値(以前は平均値) ・当初(義務化)は、特に輸入事業者の協力が得られなかったり、不満があったりしたが、 議論を重ねた。現在 EC は、メーカー、輸入事業者、税関などとよい関係を築いている。 ・製品データは、Rating など掲載内容を増やす必要がある。まもなく、ウェブサイトで 公表する予定。 ・Tips については、“Energy Efficiency at Home”を 2010 年から作っている。ウェ ブサイトからダウンロードもできる。この中には、Tips 以外にも、電気代の計算方法 も掲載している。 ・アンケート調査結果 主な結果は以下のとおり。 【購入時意識・行動】 2 か月を要し、100 名から回答を得た。エアコン購入時に最も優先するのは「省エネ 性能」が最も多く、「価格」と続く。情報源は、「ディスプレイ・ラベル」が最も多く、 「メーカーのカタログ」 「メーカーのウェブサイト」 「小売店のウェブサイト」と続く。 個別訪問の際に、小売店のスタッフから、消費者に対しラベルをどのように説明すれば よいかわからないため小売店に対しての研修をしてほしいと言われた。また、小売りの 業界団体と話した際に、小売店が使うパンフレットやチラシを作ってほしいと言われた。 省エネタイプのエアコンの購入結果については、57%が「購入したことがある」とな った。マレーシアでは、パナソニックがインバーターエアコンの価格を下げて販売を進 めている。他のメーカーも見習ってほしい。 【使用実態】 部屋数2~6。平日は夜、休日は終日使用。平日の使用が夜だけなのは、調査対象が都 市居住者(平日は仕事に出て不在)だったことが影響している。用意された Questionnaire は、回答者には難しかった(特に、住宅の広さ・方角)。今後もアン ケートがある場合は、もっとシンプルなものにして欲しい。 ・本プログラムにより、情報の重要性を認識。消費者へは、店舗での情報提供(店舗への 教育)が必要。 10 ・ラベリング制度を構築するまでには、さまざまな検討や作業などが必要(“Market transformation cannot be achieved in a blink of eyes.”)。すぐに結果が出るわ けではない。カンボジアやラオスなどに対しては喜んで支援する。わからないことがあ れば連絡して欲しい。 ・テストラボについても、自国で必ずしも持つ必要はない。マレーシアでは、海外から製 品を受け入れテストすることもできる。ただし、Harmonization の考えの基、テスト 基準は同じであることが必要。 ・今度も本プログラムで助言を得たり、情報共有をしたりしたい。日本からは、どのよう にしてすべてのメーカーと協同できているのか、どのように説得しているのかを学びた い。マレーシアでは、会議に呼んでも来ないことがある。 (6)ミャンマー ○発表者:Ms. Naing Naing Linn ○発表資料:別添8-1、8-2 ○概要: ・家電製品は、中国やインドからの省エネ性能表示のないものが多い。タイの製品はラベ ルがあるがシェアは小さい。このため、S&L 制度の構築が必要。消費者の省エネ機器 に対する意識も低く、意識向上が必要。 ・国全体の電力消費量の内訳は、家庭 42%、産業 36%、業務 21%。 ・アンケート調査結果 主な結果は以下のとおり。 【購入時意識・行動】 質問項目をミャンマー語に翻訳し、MOI の若いスタッフ男女各1名のチームに、ラベ ルなどについて教えた上で、店舗でアンケートをとってもらった。回答者には、ECCJ からの温度計以外に、ボールペンを渡した。最初は誰も答えてくれなかったが、1,2 人が答えると、集まってきて以降は簡単に集めることができた。ただし、最後まで答え てくれない人や、全部答えてくれない人などがいた。エアコン購入時に最も優先するの は「価格」で、「耐久性」(壊れないこと)と続く。「省エネ性能」は 2 番目に重視す る点で最も回答が多かった。購入時の情報源は、「家族や友人から」が最も多く、「デ ィスプレイ・ラベル」が続くが、それほど多くない。 【使用実態】(エクセルの集計シート(別添8-2)を使って説明) 回答者 20 名全員が MOI での同僚。住宅の広さが回答者で同一なのは、職位によって 住宅が決まっているため。ミャンマーでは部屋の広さを知らないため、メジャーで計測 してもらった。エアコンは、スプリットタイプのノンインバーター機を使用。設定温度 は 16℃~25℃で、暑いと下げ、寒いと上げるといった頻繁な変更が多い。タイマー の使用はなし、ファンの使用は1名を除いてなし。 ・製品リストは、ジュニアスタッフにインターネットで調査させたが、まだ確認ができて いないので、これから行う。 11 ・今後の本プログラムでは、調査結果の評価、家庭分野の総合的な調査、家電製品利用に 関するデータベースシステムの構築、公共建築物におけるエアコンの効率的利用につい てのパイロットプログラムを希望する。 (7)フィリピン ○発表者:Ms. Genevieve L. Almonares ○発表資料:別添9 ○概要: ・ラベル(Yellow Labels または Energy Guides)は、エアコン、冷蔵庫、安定器、蛍 光灯が対象。エアコンは、ラベルにそのモデルの EER 値と MEPS 値が記載されてい て、これらの比較により、そのモデルの省エネ性能がわかる。現在のエアコンの MEPS 値は、冷房能力 12,000kJ/h 未満が EER9.1、12,000kJ/h 以上が 8.6。 ・2011 年に家庭の電力消費量に関する全国調査を実施。世帯数は約 18 百万、1世帯 当たりの電力消費量 648kWh(年間と思われる)。冷房がある世帯が約 13 百万世帯 で、世帯の電力消費量の 31.1%を占める。 ・アンケート調査結果 主な結果は以下のとおり。 【購入時意識・行動】 回答者は7名。Window type6名/Split type1 名、インバータータイプ 1 名。イン バーターエアコンは使われ始めた段階。エアコン購入時に最も優先するのは「価格」、 「省エネ性能」は 3 番目。 【使用実態】 年間 300 日、1日 8 時間(夜 9 時~翌朝 5 時)まで使用。設定温度は 22~24℃(月 によって異なる)。電気料金は平均 300kWh/月(2011 年の全国調査結果(648kWh /年)と整合していないが、対象者の違いによるものか?)。単価 11peso/kWh(約 30 円/kWh)。 ・本プログラムにより、エアコンのテスト方法、評価方法、ラベリング方法、MEPS レ ベルの、ASEAN での調和や連携が必要であることを学んだ。S&L 分野の調和は、省 エネ意識を向上させ、機器購入時に省エネ性能について考慮することができるように なり、製品の選択肢も広げる。 (8)タイ ○発表者:Mr. Asawin Asawutmangkul ○発表資料:別添 10 ○概要: ・2015 年 1 月からの新しいラベル基準は、インバータータイプの方を高い(厳しい) 値に設定した。 12 ・No.5 レベルの製品リストは、EGAT のウェブサイトで公開。リストには、ラベル No. 以外に、ブランド、モデル、タイプ、冷房能力(Btu/h)、EER(Btu/Wh)、年間消 費電力量(kWh/y)、年間電気代(Baht/y)を掲載。 ・No.5 レベルの製品 PR は、有名人を使ったボスターなどで行っている。 ・エアコン購入時に関する Tips には、1)No.5 レベル製品、2)EER の高い製品、3)部屋 サイズに合った適切なサイズを選択すること、がある。使い方に関する Tips には、1) 部屋全体に冷気が行きわたるよう、ファンコイルユニット(室内機)を適切な場所に設 置する、2)圧縮機ユニット(室外機)を壁から最低 15cm 離して設置し、空気の流れ を妨げない、3)窓やドアを閉める、4)設定温度は 25℃または 26℃に。1 度上げると 10%の消費削減となる、5)室温が上がるため、エアコンを使用している部屋では調理 や衣類乾燥をしない、6)遮熱のために住宅の近くに木を植える、7)エアコンをつける 前に、換気をする、8)毎月フィルターを掃除、業者による大がかりな清掃は年に 2 回 行う、9)30 分以上不在にするときはエアコンをオフにする、がある。設定温度につ いては、数年前までは「25℃」としていた。 ・アンケート調査結果 主な結果は以下のとおり。DEDE および EGAT のスタッフに対して実施した。 【購入時意識・行動】 回答者は 21 名。9 割以上が省エネ機器の利用、省資源に関心がある。エアコン購入 時に最も優先するのは「省エネ性能」が最も多く、「価格」「ブランド」と続く。 購入時の情報源は、「メーカーのカタログ」が最も多く、「メーカーのウェブサイト」 「ディスプレイ・ラベル」が同率で 2 番目。エアコンを購入したことがある人全員が、 省エネタイプの製品を購入。 【使用実態】 回答者は 21 名。在宅人数は 3 名程度と少ない。少人数の家庭が増えている。住宅は、 集合住宅は 30~40m2、戸建住宅は 90~150m2 が最も多い。冷房能力は、リビン グルームは 3~4kW、ベッドルームは 2~2.5kW が最も多い。平日は、リビングル ームは日中、ベッドルームは夜中使用。タイマーの利用率は低い。タイのエアコンのリ モコンは小さく、機能も少ない。また、ファンの併用率も低い。電力使用量を減らした いからだと思われる。月別の電力消費量は、気温によっても異なるが、特に消費量が多 い 4 月は、祝日が多いため、在宅率が増加することも影響している。 (補足)ファンの併用により、エアコンの設定温度を上げることができトータルで省エネ になるが、設定温度を上げずにファンを使用すれば、当然ながら消費量は増加する。 ファン併用という Tips は認知されていないかもしれない。 ■質疑応答・意見交換 Q1(インドネシア):消費者がエアコンを購入する際、エネルギー効率の高い製品を選 ぶ人、価格が安いため、効率の低い製品を選ぶ人の2グループがあり、効率の高い機器 13 購入を促進するためのアプローチも異なると思う。EMTIPS で、どのようなアプローチ が適切かを議論したい。また、ASEAN の国は、エネルギー効率の程度が異なっている が、調和に向けて、今後どのように進めていけばよいだろうか。 A1(ECCJ):この後、ECCJ 小川さんから、今後の EMTIPS プログラムについての 発表があるので、その後に議論したい。 Q2(ミャンマー):ある年に調査をしても、市場の状況は毎年変わるが、毎年調査を しなければならないのか? 過去に収集したデータをどのようにして、将来の推計に利 用していくのか? どのようにデータを収集すればよいのか? A2(タイ):タイでは、市場からサンプリングをし、計測をして得たデータと、EGAT や TISI が別途収集・蓄積したローデータを合わせて統計的分析をする。EGAT が収集 したデータは、ステークホルダーの委員会に報告される。MEPS は、効率の低い方から 3%、HEPS は効率の高い方から 20%の値としているが、これについても過去との比 較ができる。現状データの収集は、将来の推計をする上でも重要。たとえば、輸入事業 者やローカルメーカーからのデータなど、さまざまなデータ・情報を得るべき。エアコ ンについてはすべてのモデルのデータが TISI に提出される。 A2(マレーシア):マレーシアでは「メーカー・輸入事業者は、要請があればデータを 提供しなければならない」と規定されている。EC は毎年、すべてのメーカーに、製造 数、販売数などのデータ提出を求めている。 A2(ECCJ):日本も同様に、法に基づきメーカーなどからの情報を収集し、将来推計 などに利用している。この後の ECCJ(及川)発表でも、分析・推計のプロセスなどの アイデアが得られると思う。 ◇本セッションのまとめとして、ACE より以下のコメントがあった。 ○今年度の活動により、各国の S&L プログラムが向上された。 ○今年度の活動に関しては、 Inception Meeting の時には、予算がないことや作業 (logistics) が大変であるなど、やや消極的な態度のようだったが、結果として多くの国が活動を行い、 成果を挙げることができた。 ○得られた結果を基に、何が重要なメッセージか、どのように展開していくか、来年度の プログラムにどう繋げていきたいかなどを考えて欲しい。 ○Tips が掲載された各国のパンフレットを1冊にまとめることを、ECCJ に提案したい。 本年度のプログラムの成果であり、SOME-METI 会合でも配布できる。←しかし、予算 の問題があると思う(ECCJ)。 4.ASEAN におけるインバーターエアコン普及による省エネ量試算 ○発表者:ECCJ 及川 ○発表資料:別添 11 “Trial Calculation of Energy Reduction Amount as a result of 14 Futher Penetration of Inverter-type Air Conditioners in ASEAN” ○概要: ・インドネシア、タイ、マレーシア、ベトナム、フィリピンを対象に、メーカーの協力に より実施したエアコン使用実態調査の結果、インバーターエアコンの普及による電力消 費量、CO2 排出量、電気料金の削減量(額)を、5つのシナリオの基で試算した結果 を紹介した。 ・2020 年の 5 か国合計のエアコン需要は、 2013 年時の約 2 倍の 1,000 万台を超過。 最も大きい伸びを示すのはベトナムで、207%に拡大。 ・固定ケース(2013 年のインバーターエアコン普及率で 2020 年まで固定)では、 2020 年の 5 か国合計の電力消費量は 2013 年比で約 179.4%に増加 ・各シナリオ(BAU:インバーターエアコン年率 2%増)、S1(6%増)、S2(10% 増)、S3(25%増)、SR(リプレース))による電力消費量は、固定ケースに比べ て、それぞれ 3.9%、9.8%、15.4%、25%、39%削減。 ・今年度 EMTIPS プログラムで収集したようなエアコン使用実態の把握に加えて、気象 条件、エアコンストック台数、GDP 成長予測指標により、将来の電力消費量の予測が 可能。 Market Transformation に向けた各 Key Player に対する施策は重要であるが、 それらの検討のためのデータにもなる。具体的な目標値を持った計画の策定と追加的な 政策の実行を提言した。 ・S2 シナリオに近いインバーターエアコン普及(5 年間で 6%→60%)が現実になさ れた事例として中国の施策(補助金等インセンティブ、価格差是正策、適切な評価基準 (APF)採用、など)を紹介。 ○質疑応答: Q1(タイ) :中国で行った補助金は、誰に対して行われたものか? A1(ECCJ):消費者に対して実施された。エアコンの効率レベルに従い US$50~ US$100 を、政府がペイバックした。 Q2(タイ):メーカーに対する補助金についてはどう考えるか? A2(ECCJ):一つのよい考え方であると思う。エンドユーザーへの販売価格に反映さ れれば良いと思う。 A2(フィリピン):メーカーへの補助金は、機器のエネルギー効率改善のための R&D に向けられる(即、販売価格に反映されるとは限らないかもしれないので、エンドユ ーザー対象の方が確実との意見)。 Q3(インドネシア):(情報として)インドネシアは、石炭火力発電を新設したため CO2 排出係数が増加し、0.855t/MWh になった。電気代も約 2 倍になり、現在 は 1,352 Rp/kWh(約 14 円/kWh)である。(←数値を採用すれば、シナリオ 別の削減量、節約額はさらに大きくなる) 15 Q4(タイ):(情報として)タイでは NAMA プロジェクトが始まったばかり。エアコ ン・冷凍設備をよりグリーンなものに更新していくもの。DEDE も参加している(← 有難い情報だが、今回の試算にその効果を反映することは不可能)。 (補足) NAMA(National Appropriate Mitigation Action(途上国における適切な緩和行 動))途上国における自主的な温室効果ガス緩和活動のことで、先進国が財政、技術、 人材育成の分野で NAMA に支援。 タイが述べたプロジェクトは、ドイツの Federal Ministry for the Environment、 Nature Conservation, Building and Nuclear Safety (BMUB) 、イギリスの Department of Energy and Climate Change (DECC)による、NAMA 支援プロ ジ ェ ク ト ( NAMA Facility ) の 一 つ で 、 Thailand Refrigeration and Air Conditioning NAMA (RAC NAMA)のこと。予算規模 EURO14.7 百万、期間 2015 ~2019 年。NAMA 支援プロジェクトがカバーするのは以下の活動。 グリーンな冷凍設備・エアコンの製造・販売、サービス・利用、政策・財政枠組みの 改正、意識向上。 参考:NAMA Facility ウェブサイト http://www.nama-facility.org/start.html http://www.nama-facility.org/?id=345 5.AJ-EMTIPS プログラム 2015-2016 の提案 ○発表者:ECCJ 小川 ○発表資料:別添 12 “Proposal from ECCJ on the future plan for the next round of AJ-EMTIPS Program” ○概要: 本年度の EMTIPS プログラムの成果の発表に続き、次年度の活動案について提案した。 ・次年度のコンセプト:S&L 制度が既にある国については、制度をよりよいものに改善し、 制度がない国については制度構築をすることでアセアン全体での S&L のレベルアップを 図り、Market Transformation を進める。 ・今年度の Activity1を継続し、エアコンの EE Tips、統一フォーマットによる製品リスト を作成し、“ASEAN Smart Guide”を作成する。 ・カンボジア、ラオス、ミャンマー各国において、S&L に関するシンポジウムを開催する。 S&L が既にある国がスピーカーとなり、自国の経験などについて情報提供し、意見交換 する。 ○質疑応答・意見交換: 時間の関係もあり特段の質問や異論はなかったが、ACE から以下のコメントがあった。 16 ACE:この案は初案であり、2015 年 7 月の Inception Meeting で充分議論し、コ ンセンサスを得たい。どのような活動がベストかそれぞれで検討して欲しい。 なお、2015 年の EE&C-SSN Meeting は、4 月 22 日から 24 日、マレー シア・クアラルンプールで実施される。 また、ECCJ から、S&L 関連事業である IS-INOTEK が、CSPF の推奨など評価基準 の調和に向けての活動において相乗効果を得ることを目的に、EU ファンドによる ASEAN-SHINE プロジェクト運営委員会の正式メンバーとしての参画を要望してい るため、この実現について ACE に要請した。ACE ザモーラ氏からは、これを歓迎し (ただし諸費用は IS-INOTEK 負担)、IS-INOTEK に対して運営委員会出席の招待 状を発信するとの言質を得た。また、ECCJ にも、情報共有を期待し同プロジェクト にオブザーバーとして参加してもらいたく、その旨 ASEAN-SHINE に提案したいと のコメントがあった。 なお、会議終了後ミャンマーより、ミャンマーでは 2015 年 12 月に選挙が行われ、 その前は多忙のため、国際シンポジウムの開催時期について考慮して欲しいとの依頼 があった。 6.閉会挨拶 挨拶:インドネシア:Mr. Harris Muhammad Yahya 7.所感 EMTIPS プログラムは 2 年目を終えた。各国が、Market Transformation の必要性やその ための各 Key Player の役割を理解し、プログラムにおける活動の意義を理解していることが伺 えた。プログラムを通じた各国 S&L 関係者の交流も図られ情報共有もスムーズに行われている。 今年度の活動の成果は、インドネシアの Mr. Harris が発表時に述べた「多くの新しい情報と 経験を得ることができた。自国の状況を他国の状況と比較し、やるべきことがわかり、もっと加 速させなければいけないことがわかった」「プログラム以前は、消費者への情報提供はもうやっ ていると思っていたため、活動の必要性をそれほど強く感じていなかったが、そうではなかった ことがわかった。Market Transformation のための、製品リストや“Smart Guide”の役割 が理解できた」の言葉に集約されていると言える。 今回会合では、ミャンマーがタイやマレーシアなどにアドバイスを求めたり、マレーシアの発 表では、カンボジアなどに対してアドバイスをしたりする場面があり、AJEEP3 や ECAP プ ログラムの中で採用してきた、制度整備が進む国が遅延している国をサポートする仕組みが定着 していることを認識できた。 17 カンボジア・ラオス・ミャンマー各国でのシンポジウムの開催を含む来年度の活動(本会議で は方向性を提示したレベル)は、S&L 制度のある国・ない国双方にとってメリットをもたらし、 ASEAN 全体の S&L 制度の向上に繋がるだろう。 以 上 18 インバーターエアコンへの置き換えによる エネルギー消費量削減効果の試算 ASEAN5カ国におけるエアコン高効率機種の普及による エネルギー消費量削減効果 平成27年3月末 1 目次 1. ASEAN5カ国におけるエアコン使用実態調査結果・・・・・・・・・・・・・・・・3 (メーカー協力によるエアコンを保有する家庭での使用実態アンケート調査) (1) (2) (3) (4) (5) (6) 2. ASEAN5カ国におけるエアコン需要の実績推定と将来予測・・・・・・19 (1) (2) (3) (4) (5) 3. RACの需要台数(2006~2020フローとストック)・・・・・・・ 20 年間稼働時間、各国電気料金、CO2排出係数・・・・・・・・・・・・・・・ 24 インバ・ノンインバのCOP予測・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・25 インバータ運転の削減効果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 26 インバータ機種の普及シナリオ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 27 エネルギー消費削減量試算結果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・32 (1) (2) (3) (4) (5) (6) 4. アンケート実施方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4 住宅の特徴・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5 空調機の使われ方・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6 各国での一日の使われ方・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7 各国の年間の稼働率と気象条件・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 14 アンケート調査のまとめ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17 電力消費削減量試算方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 33 電力消費量予測結果とシナリオ別削減率(5カ国計)・・・・・・・・ 34 各国別電力消費削減量・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 35 各国の電力消費削減量推移・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 36 ①インドネシア、②マレーシア、③フィリピン、④タイ、⑤ベトナム 各国別CO2排出削減量・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 41 各国別電気料金節約額・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 42 総括・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・43 2 1. ASEAN5カ国におけるエアコン使用実態調査結果 (1) アンケート実施方法 (2) 住宅の特徴 (3) 空調機の使われ方 (4) 各国での一日の使われ方 (5) 各国の年間の稼働率と気象条件 (6) アンケート調査のまとめ 3 1.1. ASEAN5カ国におけるエアコン使用実態調査結果 ASEAN5カ国におけるエアコン使用実態調査 (1) アンケート実施方法 エアコンを保有する家庭でのエアコンの使用実態をASEAN対象5か国のAメー カー販社社員に対して、以下によりアンケート調査を実施。 【アンケート調査対象】 COUNTRY CITY Number of Respondent *1 Indonesia ジャカルタ 126 Thailand バンコク 29 Malaysia クアラルンプール 20 Vietnam ハノイ/ホーチミン 8/12 Philippines マニラ *1 : アンケート回答して も空調機設置してい ない住宅は有効回答 数から除外 7 5ヶ国計 202 【アンケート項目】 ①. ③. ④. 居住地域 ②. 家族構成(人数/年代別人数/勤労者人数) 住居形態 (戸建/集合) ・建築面積 ・部屋数 ・建材種別 RAC使用実態 ・RAC設置場所(寝室/リビング他[リビング室/ダイニング室/その他室]) ・床面積 ・RACの種別(Split / Window) ・RAC(空調機)能力 ・空調機設置台数 ・空調設定温度 ・その他の設定項目 ・使用年数 ・RAC別(使用部屋別)の1日の平均使用時間帯(平日/休日)と滞在人数 ・月別空調機運転稼働率 4 1. 1. ASEAN5カ国におけるエアコン使用実態調査結果 ASEAN5カ国におけるエアコン使用実態調査 (2) 住宅の特徴 ①主な建物構造と平均断熱性能 (選定空調機能力からの換算値)※1平均断熱性能 =選定空調機能力/床面積 タイの平均断熱性能は、255 W/㎡、一方他国はすべて約200 W/㎡。 他国比で大きめの空調負荷で選定 がなされている。 (※タイでの ディーラの選定基準は 220~240w/㎡) ベトナムのレンガ住宅は、外壁のみレンガ。 柱や内壁はコンクリートが主流。 インドネシア含め戸建居住者が大部分。 結果として、住宅サイズが大きく、複数エアコンを保有する上位ユー ザ層へのアンケートとなった。 5 1. ASEAN5カ国におけるエアコン使用実態調査結果 (3)空調機の使われ方 ①エアコンの主な設置場所(部屋ごとの割合) と 平均設定室温、 平均使用年数 国名 インドネシア 部屋用途 エアコン種別 寝室 設置台数 平均 設定室温 276 (86%) 22.8℃ Split321台(100%) リビング他 タイ 寝室 Split88台 (100%) リビング他 マレーシア 寝室 Split66台 (100%) リビング他 ベトナム (ハノイ) ベトナム (ホーチミン) フィリピン 寝室 Split22台 (100%) リビング他 寝室 Split38台 (100%) リビング他 寝室 リビング他 Split13台 (65%) Window7台 (35%) 45 (14%) 22.8℃ 65 (74%) 25.0℃ 23 (26%) 25.4℃ 45 (68%) 23.3℃ 21 (32%) 23.3℃ 17 (79%) 26.5℃ 5 (21%) 26.0℃ 29 (76%) 25.3℃ 9 (24%) 24.4℃ 13 (65%) 24.3℃ 平均使用年数 9年以上の割合 15% 備考 ・リビング設置であっても、就寝時に使用している 場合あり。 12% 5% 5% 0% 0% 7 (35%) 24.4℃ ・リビング設置であっても、就寝時に使用している 場合あり。 空調機購入時に優先される設置場所は「寝室」が約70%~約85%。 就寝時の冷房運転が第一優先。 住宅において、リビングに空調機を1台のみ設置する事例などは、リビングで就寝している。 平均冷房設定温度は、23~25℃であり、 日本での一般的な設定温度より低めに設定されている。(ハノイのみ26℃程度) ※インドネシアは、アンケートで16~18℃の設定温度も散見され、結果として平均設定室温は約23℃となる。しかしながら、 住宅の電源容量の課題から、冷房能力不足のエアコンを意図して設置する事例も多く、実際の室内温度は約25℃と想定。 9年以上使用のユーザーは少ない。(多めのタイ・インドネシアで10%強、他国は5%以下) ⇒ エアコンのライフタイムは9年未満が主流 フィリピンのウィンドウエアコンの設置率は37%。 6 1. 1. ASEAN5カ国におけるエアコン使用実態調査 ASEAN5カ国におけるエアコン使用実態調査結果 (4)各国での一日の使われ方: Indonesia 稼働率 (%) 稼働率 (%) ※2 ※3 平日・寝室使用時間帯 ※3 ※2 ※1 平日・リビング他使用時間帯 ※4 稼働率 (%) 稼働率 (%) ※2 ※4 ※2 ※1 休日・リビング他使用時間帯 休日・寝室使用時間帯 ■寝室用RACの夜間の稼働率は高い(約80%以上)。 就寝時は必須。 基本的に夕方の帰宅後18:00から朝まで運転。 ■リビング用RACを就寝時に使用する場合もある。(※1) ⇒ 例: リビングのみRAC設置の場合(インドネシア) ■夕方は食事や団らんにより、メンバーが一部集まる場合あり、家のリビング用と寝室用の全RACが同時ONしていない。※2 ■老親のいる3世帯同居や、就学前の子供がいる場合、平日も寝室用・リビング用とも昼間に一定のRACが稼働。※3 ■休日の昼は生活パターンが家族により異なるが、一定割合の寝室用・リビング用RACが昼稼働。※4 7 1. ASEAN5カ国におけるエアコン使用実態調査結果 (4)各国での一日の使われ方: Thailand 稼働率 (%) 稼働率 (%) ※2 ※3 ※3 ※2 ※1 ※4 平日・寝室使用時間帯 平日・リビング他使用時間帯 ※5 ※4 稼働率 (%) 稼働率 (%) ※2 ※2 ※1 休日・寝室使用時間帯 休日・リビング他使用時間帯 ■寝室用RACの夜間の稼働率は高い(約80%以上)。 就寝時は必須。 基本的に夕方の帰宅後から朝まで運転。 ■タイではリビング用RACを就寝時に使用する事例はなかった。(※1) ■夕方は食事や団らんにより、メンバーが一部集まる場合あり、家のリビング用と寝室用の全RACが同時ONしていない。※2 ■老親のいる3世帯同居や、就学前の子供がいる場合、昼間に一定のRACが稼働。但し、タイでは寝室用は稼働していない※3 ■週末の朝は寝室用RACの運転時間は平日より約1時間長めに運転する家族が散見。※4 ■休日の昼は生活パターンが家族により異なるが、一定割合の寝室用・リビング用RACが昼稼働。※5 8 1. ASEAN5カ国におけるエアコン使用実態調査結果 (4)各国での一日の使われ方: Malaysia ※2 稼働率 (%) 稼働率 (%) ※2 ※3 ※3 ※1 ※4 平日・寝室使用時間帯 平日・リビング他使用時間帯 ※2 ※5 ※4 休日・寝室使用時間帯 稼働率 (%) 稼働率 (%) ※2 ※1 休日・リビング他使用時間帯 ■寝室用RACの夜間の稼働率は高い(約80%以上)。 就寝時は必須。 基本的に夕方の帰宅後から朝まで運転。 ■リビング用RACを就寝時に使用する場合もある。(※1) ⇒ リビングのみRAC設置住宅の場合(マレーシア) ■夕方は食事や団らんにより、メンバーが一部集まる場合あり、家のリビング用と寝室用の全RACが同時ONしていない。※2 ■老親のいる3世帯同居や、就学前の子供がいる場合、昼間に一定のRACが稼働 ※3 ■週末の朝は寝室用RACの運転時間は平日より長めに運転する家族が散見。※4 ■休日の昼は生活パターンが家族により異なるが、一定割合の寝室用・リビング用RACが昼稼働。※5 9 1. ASEAN5カ国におけるエアコン使用実態調査結果 ※2 ※3 稼働率 (%) 稼働率 (%) (4)各国での一日の使われ方: Hanoi Vietnam ※4 ※3 ※1 平日・リビング他使用時間帯 ※2 稼働率 (%) 稼働率 (%) 平日・寝室使用時間帯 ※2 ※4 ※2 ※1 休日・寝室使用時間帯 休日・リビング他使用時間帯 ■寝室用RACの夜間の稼働率は高い(約80%以上)。 就寝時は必須。 基本的に夕方の帰宅後から朝まで運転。 ■ハノイのアンケート対象者もリビング用RACを就寝時に使用する事例はなかった。(※1) ■夕方は食事や団らんにより、メンバーが一部集まる場合あり、家のリビング用と寝室用の全RACが同時ONしていない。※2 ■老親のいる3世帯同居や、就学前の子供がいる場合、昼間に一定のRACが稼働。但し、タイではリビング用のみ稼働※3 ■休日の昼は生活パターンが家族により異なるが、一定割合の寝室用・リビング用RACが昼稼働。※4 10 1. ASEAN5カ国におけるエアコン使用実態調査結果 ※3 ※2 稼働率 (%) 稼働率 (%) (4)各国での一日の使われ方: Ho Chi Minh Vietnam ※3 ※2 ※1 平日・リビング他使用時間帯 ※5 ※2 ※4 休日・寝室使用時間帯 稼働率 (%) 稼働率 (%) 平日・寝室使用時間帯 ※5 ※2 ※1 休日・リビング他使用時間帯 ■寝室用RACの夜間の稼働率は高い(約80%以上)。 就寝時は必須。 基本的に夕方の帰宅後から朝まで運転。 ■ホーチミンではリビング用RACを就寝時に使用する事例はなかった。(※1) ■夕方は食事や団らんにより、メンバーが一部集まる場合あり、家のリビング用と寝室用の全RACが同時ONしていない。※2 ■老親のいる3世帯同居や、就学前の子供がいる場合、昼間に一定のRACが稼働。※3 ■週末の朝は寝室用RACの運転時間は平日より約1時間長めに運転する家族が散見。※4 ■休日の昼は生活パターンが家族により異なるが、一定割合の寝室用・リビング用RACが昼稼働。※5 11 1. ASEAN5カ国におけるエアコン使用実態調査結果 ※2 ※3 稼働率 (%) 稼働率 (%) (4)各国での一日の使われ方: Philippines ※3 ※2 ※1 平日・リビング他使用時間帯 平日・寝室使用時間帯 ※4 稼働率 (%) 稼働率 (%) ※5 ※2 ※2 ※1 休日・寝室使用時間帯 休日・リビング他使用時間帯 ■寝室用RACの夜間の稼働率は高い(約80%以上)。 就寝時は必須。 基本的に夕方の帰宅後から朝まで運転。 ※アンケート数少なく、リビング室が実質寝室使いの事例(7人家族で寝室不足の住宅)を寝室用でカウント。(※1) ■夕方は食事や団らんにより、メンバー)一部集まる場合あり、家のリビング用と寝室用の全RACが同時ONしていない。※2 ■老親のいる3世帯同居や、就学前の子供がいる場合、昼間に一定のRACが稼働。但し、タイではリビング用のみ稼働※3 ■週末の朝は寝室用RACの運転時間は平日より約1時間長めに運転する家族が散見。※4 ■休日の昼は生活パターンが家族により異なるが、一定割合の寝室用・リビング用RACが昼稼働。※5 12 ASEAN5カ国におけるエアコン使用実態調査 1.1. ASEAN5カ国におけるエアコン使用実態調査結果 (4)各国での一日の使われ方:部屋別でのエアコンの使い方の特徴まとめ 生活 パターン ■一般的に共働きが大半。 仕事に行く 平日の昼間は家に不在で 通常は昼間はエアコンは停止。 ■老親のいる3世帯同居や、就学前の子供が家にいる場合のみ 昼間もエアコン運転。 比率は少ない。 ■休日朝は、平日より 少し遅くまで就寝(エアコン運転)する場合有。 ■休日の昼間は、外出や 買い物等の生活パターンが家族により異なり、典型的な運転パターンは示しにくい。 家にいる時間は、一定割合の寝室用・リビング用エアコンが運転。 寝室用 ■実際に就寝する寝室設置のエアコンは、基本的に 夜帰宅後から、朝まで運転。 平日の昼間は、通常 寝室設置のエアコンは停止。 老親のいる3世帯同居や、就学前の子供が家にいる場合のみ、昼の食事時間や午後を中心にエアコン運転。 ■平日の夜間は帰宅時間にばらつきあるが、遅くとも 20:00~21:00頃までに大半が運転開始。 就寝後の運転時間は、 スリープタイマーの使用も散見されるが、通常 朝6:00頃まで運転している。 ■休日の朝は、平日より少し遅い時間まで就寝。 エアコン運転時間も若干長い。 リビング室 他 用 ■ 平日の昼間は、通常 リビング室他に設置のエアコンは停止。 帰宅する 夕方 18-19:00頃から運転。 寝室へ移動する深夜まで 運転。 老親のいる3世帯同居や、就学前の子供が家にいる場合のみ、昼の食事時間や午後を中心にエアコン運転。 ■休日の昼間は、外出や 買い物等の生活パターンが家族により異なり、典型的な運転パターンは示しにくいが、 家にいる時間は、昼食時間帯や 夕方以降の帰宅後を中心に運転。 平日と同様に 寝室へ移動する深夜まで 運転 13 1. ASEAN5カ国におけるエアコン使用実態調査結果 (5)各国の年間の稼働率と気象条件:Indonesia(left), Thailand(right) ● アンケート結果と外気温の比較による検証と 消費電力試算用運転率の設定 ジャカルタ 運転率(設定値) 運転率(アンケート) 平均Max温(℃) 平均Min温(℃) バンコク 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 90% 95% 95% 95% 95% 95% 95% 95% 95% 95% 90% 90% 92.8% 92.8% 93.0% 93.0% 88.0% 88.3% 89.3% 89.3% 89.3% 85.8% 85.3% 1月 2月 運転率(設定値) 75% 85% 運転率(アンケート) 76.2% 85.5% 平均Max温(℃) 32 32.7 平均Min温(℃) 21 23.3 85.3% 29.9 30.3 31.5 32.5 32.5 31.4 32.3 32.0 33.0 32.7 31.3 32.0 24.2 24.3 25.2 25.1 25.4 24.8 25.1 24.9 25.5 25.5 24.9 24.7 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 95% 95% 95% 95% 95% 95% 90% 90% 80% 75% 95.2% 96.6% 96.6% 95.5% 93.8% 93.8% 87.9% 85.9% 72.1% 33.7 34.9 34.0 33.1 32.7 32.5 32.3 32.0 31.6 31.3 24.9 26.1 25.6 25.4 25.0 24.9 24.6 24.3 23.1 20.8 〔℃〕 〔℃〕 運転率 (%) 運転率 (%) 77.6% 月 月 ■月別のエアコン運転稼働率のアンケート結果を、 主流の寝室用で使われる夜間の外気温(MIN側気温)と比較すると、 ほぼ最低気温が 20℃へ近づくにつれて、運転稼働率も低下し、ほぼ最低気温に連動している。 ⇒ 最低気温のカーブも考慮し、上記グラフ(水色実線) のように 微調整した運転稼働率で消費電力量の試算を行う 14 1. ASEAN5カ国におけるエアコン使用実態調査結果 (5)各国の年間の稼働率と気象条件:Malaysia(left), Philippines(right) ● アンケート結果 と 外気温の比較による検証と 消費電力試算用運転率の設定 クアラルンプール 運転率(設定値) 運転率(アンケート) 平均Max温(℃) 平均Min温(℃) マニラ 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 85% 85% 85% 85% 85% 85% 85% 85% 85% 85% 85% 85% 83.5% 81.5% 82.0% 82.5% 79.5% 78.0% 77.0% 77.5% 78.5% 79.5% 82.0% 運転率(設定値) 運転率(アンケート) 平均Max温(℃) 平均Min温(℃) 83.0% 32.1 32.9 33.2 33.1 32.9 32.7 32.3 32.3 32.1 32.1 31.6 31.5 22.5 22.8 23.2 23.7 23.9 23.6 23.2 23.1 23.2 23.2 23.2 22.9 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 55% 60% 80% 95% 95% 95% 80% 75% 75% 75% 70% 60% 51.4% 55.7% 77.1% 91.4% 92.9% 91.4% 68.6% 68.6% 67.1% 57.1% 48.6% 44.3% 29.5 30.5 32.1 33.5 33.2 32.2 31.1 30.6 30.9 30.9 30.7 29.7 23.5 23.8 24.9 26.2 26.7 26.2 25.8 25.5 25.5 25.5 24.9 23.9 〔℃〕 運転率 (%) 運転率 (%) 〔℃〕 月 月 ■月別のエアコン運転稼働率のアンケート結果を、 主流の寝室用で使われる夜間の外気温(MIN側気温)と比較すると、 ほぼ最低気温が 20℃へ近づくにつれて、運転稼働率も低下し、ほぼ最低気温に連動している。 ⇒ 最低気温のカーブも考慮し、上記グラフ(水色実線) のように 微調整した運転稼働率で消費電力量の試算を行う 15 ASEAN5カ国におけるエアコン使用実態調査 1.1. ASEAN5カ国におけるエアコン使用実態調査結果 (5)各国の年間の稼働率と気象条件:Vietnam ● アンケート結果 と 外気温の比較による検証と 消費電力試算用運転率の設定 ハノイ 1月 2月 運転率(設定値) 10% 10% 5.0% 6.3% 運転率(アンケート) 平均Max温(℃) 19.3 19.9 平均Min温(℃) 13.7 15 ホーチミン 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 30% 65% 90% 90% 90% 85% 80% 65% 40% 20% 26.3% 56.3% 87.5% 88.8% 88.8% 72.5% 51.3% 33.8% 11.3% 運転率(設定値) 運転率(アンケート) 平均Max温(℃) 平均Min温(℃) 5.0% 22.8 27.0 31.5 32.6 32.9 31.9 30.9 28.6 25.2 21.8 18.1 21.4 24.3 25.8 26.1 25.7 24.7 21.9 18.5 15.3 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 50% 60% 70% 85% 80% 70% 65% 65% 65% 60% 55% 50% 44.6% 55.4% 65.0% 81.7% 75.8% 68.3% 63.8% 62.1% 52.5% 47.1% 31.3% 31.6 32.9 33.9 34.6 34.0 32.4 32.0 31.8 31.3 31.2 31.0 30.8 21.1 22.5 24.4 25.8 25.2 24.6 24.3 24.3 24.4 23.9 22.8 21.4 〔℃〕 〔℃〕 運転率 (%) 運転率 (%) 43.8% 月 月 ■月別のエアコン運転稼働率のアンケート結果を、 主流の寝室用で使われる夜間の外気温(MIN側気温)と比較すると、 ほぼ最低気温が 20℃へ近づくにつれて、運転稼働率も低下し、ほぼ最低気温に連動している。 ⇒ 最低気温のカーブも考慮し、上記グラフ(水色実線) のように 微調整した運転稼働率で消費電力量の試算を行う 16 ASEAN5カ国におけるエアコン使用実態調査結果 (6)アンケート調査のまとめ 1:各国の年間RAC稼働率 稼働率(%) 1. ■ 年中、ほぼ90%の冷房運転稼働率のインドネシアを除き、 各国、冷房運転の稼働率の変動がある。(10月~3月) 17 1. ASEAN5カ国におけるエアコン使用実態調査結果 (6)アンケート調査のまとめ 2:「年間空調負荷及び消費電力量計算」の為の条件設定 ① 室内設定温度 及び 空調運転時間 ※1 リビング 他 25℃DB / 18℃ WB 20:00 ~ 6:00 18:00 ~ 24:00 19:00 ~ 7:00 15:00 ~ 24:00 25℃DB / 18℃ WB 20:00 ~ 6:00 18:00 ~ 24:00 19:00 ~ 7:00 15:00 ~ 24:00 24℃DB / 18℃ WB 20:00 ~ 6:00 18:00 ~ 24:00 19:00 ~ 7:00 15:00 ~ 24:00 26℃DB / 18℃ WB 20:00 ~ 6:00 18:00 ~ 24:00 19:00 ~ 7:00 15:00 ~ 24:00 24℃DB / 18℃ WB 20:00 ~ 6:00 18:00 ~ 24:00 19:00 ~ 7:00 15:00 ~ 24:00 寝室 インドネシア タイ マレーシア ベトナム フィリピン 設定温度 空調 (平日) 運転時間 (休日) 設定温度 (平日) 空調 運転時間 (休日) 設定温度 (平日) 空調 運転時間 (休日) 設定温度 (平日) 空調 運転時間 (休日) 設定温度 (平日) 空調 運転時間 (休日) ※1 : インドネシアは、アンケートで16~18℃の設定温 度も散見され、結果として平均設定室温も約23℃ となっていたが、 電力容量を抑えるために能力不足のエアコンをあ えて設置する事例が多く、その場合の目標室温は 25℃のため、試算用の設定は 25℃とする ② 年間 月別での エアコン稼働率 (冷房運転稼働率) インドネシア ジャカルタ タイ バンコク マレーシア クアラルンプール ハノイ ベトナム ホーチミン フィリピン マニラ 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 90% 95% 95% 95% 95% 95% 95% 95% 95% 95% 90% 90% 75% 85% 95% 95% 95% 95% 95% 95% 90% 90% 80% 75% 85% 85% 85% 85% 85% 85% 85% 85% 85% 85% 85% 85% 10% 10% 30% 65% 90% 90% 90% 85% 80% 65% 40% 20% 50% 60% 70% 85% 80% 70% 65% 65% 65% 60% 55% 50% 55% 60% 80% 95% 95% 95% 80% 75% 75% 75% 70% 60% ③ エアコンストックの 平均ライフタイム エアコンの平均ライフタイムは10年以上の使用事実もあるが、ここでは8年間とする。 ⇒ 9年目に更新として 市場ストック台数は8年分販売数の合計とする。 18 2. ASEAN5カ国におけるエアコン需要の実績推定と将来予測 (1) RACの需要台数(2006~2020フローとストック) (2) 年間稼働時間、各国電気料金、CO2排出係数 (3) インバ・ノンインバのCOP予測 (4) インバータ運転の削減効果 (5) インバータ機種の普及シナリオ 19 2. ASEAN5カ国におけるエアコン需要の実績推定と将来予測 (1) RACの需要台数(2006~2020フロー) -1 2020年時の5カ国計RAC需要台数は2013年(576万台)から約2倍成長し1千万台を超える。 市場規模の大きいインドネシアの2020年の年間RAC需要は約434万台と2013年から200%に成長。 マレーシアは153%(82⇒126万台)、フィリピンは145%(61⇒88万台)、 タイは175%(107⇒187万台)とそれぞれ増加。 ベトナムは5カ国の中でもっとも増加が大きく、207%(110⇒229万台)に拡大。 RACの需要台数(フロー)は、2006年~2013年の実績値とGDPとの回帰式から推定 (推定値) (実績値) (単位:1,000台) 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 Indonesia 690 797 996 1,224 1,493 1,588 1,941 2,153 2,393 2,654 2,945 3,263 3,601 3,958 4,338 Malaysia 495 690 674 669 751 749 793 821 904 958 1,012 1,069 1,129 1,191 1,257 Philippines 460 460 419 449 481 515 563 608 626 664 702 743 786 832 881 Thailand 630 660 685 698 957 855 1,028 1,072 1,117 1,236 1,355 1,477 1,602 1,733 1,871 Vietnam 203 239 389 477 670 632 877 1,103 1,165 1,320 1,487 1,666 1,859 2,066 2,287 注1: IMFのWorld Economic Outlook (WEO)の経済成長率を参考にエアコン需要台数を推計 20 2. ASEAN5カ国におけるエアコン需要の実績推定と将来予測 2. ASEAN5カ国における電力消費量の実績推定と将来予測 (1) RACの需要台数(2006~2020フロー) -2 (単位:1,000台) 5,000 4,338 4,500 実績 4,000 推計 3,500 3,000 2,500 2,287 2,000 1,871 1,500 1,257 1,000 881 500 0 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 Indonesia インドネシア Malaysia マレーシア フィリピン Philippines Thailand タイ Vietnam ベトナム 21 2. ASEAN5カ国におけるエアコン需要の実績推定と将来予測 2. ASEAN5カ国における電力消費量の実績推定と将来予測 (1) RACの需要台数(2006~2020ストック) –3 エアコンは8年で買い替えると仮定(2013年時点で2005年以前に販売されたエアコンはすべて 買い替えられたと想定)。なお、2006年以前のデータが取得できなかったため、2006年~ 2013年のストック台数は過小評価である可能性有り。 インドネシアの2013年の推定ストックは約1,088万台、2020年には2,531万台に増加。マレ ーシアは564万台⇒834万台、フィリピンは396万台⇒584万台、タイは659万台⇒1,146万台 、ベトナムは459万台⇒1,295万台にそれぞれ増加。 もっとも伸び率が大きいのはベトナムで、2013年から2020年の7年間で約282%に急増。続い てインドネシアは233%増。 (単位:1,000台) 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 Indonesia 690 1,487 2,483 3,707 5,200 6,788 8,729 10,882 12,585 14,443 16,392 18,431 20,539 22,910 25,306 Malaysia 495 1,185 1,859 2,528 3,279 4,028 4,821 5,642 6,051 6,320 6,658 7,058 7,436 7,878 8,342 Philippines 460 920 1,339 1,788 2,269 2,784 3,347 3,955 4,121 4,325 4,608 4,902 5,208 5,525 5,843 Thailand 630 1,290 1,975 2,673 3,630 4,485 5,513 6,585 7,072 7,648 8,318 9,097 9,742 10,621 11,463 Vietnam 203 442 831 1,308 1,978 2,610 3,487 4,590 5,552 6,634 7,732 8,921 10,109 11,544 12,953 22 2. ASEAN5カ国におけるエアコン需要の実績推定と将来予測 2. ASEAN5カ国における電力消費量の実績推定と将来予測 (1) RACの需要台数(2006~2020ストック) –4 (単位:1,000台) 30,000 233%増 25,000 20,000 282%増 174%増 15,000 10,000 148%増 148%増 5,000 0 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 Indonesia インドネシア Malaysia マレーシア フィリピン Philippines Thailand タイ Vietnam ベトナム 23 2. ASEAN5カ国におけるエアコン需要の実績推定と将来予測 2. ASEAN5カ国における電力消費量の実績推定と将来予測 (2) 年間稼働時間、各国電気料金、CO2排出係数 年間稼働時間 (h) 電気料金単価※1 CO2排出係数 (gCO2/kWh) インドネシア 3,075 631.7 (2012年、ルピア/kWh) 754.6 マレーシア 3,701 0.3 (2011年、リンギ/kWh) 687.8 フィリピン 2,763 8.1 (2012年、peso/kWh) 491.5 タイ 2,492 3.5 (2011年、バーツ/kWh) 521.9 ベトナム 2,380 837.3 (2012年、ドン/kWh) 428.6 ※1 インドネシアは2012年の家庭用料金、マレーシアは2011年の3社平均料金、フィリピンは2012年の全国平 均料金、タイは2011年の家庭用(MEA)料金、ベトナムは一般用料金 出所) ・稼働時間:メーカー協力による実態調査結果から試算 ・電気料金: Indonesia:PLN, PLN Statistics 2012, Malaysia: EC(旧DEGSM): Statistics of Electricity Supply Industry in Malaysia, EC(旧DEGSM): Electricity Supply Industry in Malaysia Performance and Statistical Information, Philippines: DOE (2012), 21st EPIRA Implementation Status Report, Thailand: DEDE, Electric Power in Thailand, Vietnam: アジア主要都市・地域の投資関連コスト比較(JETRO、 2013年5月) ・CO2排出係数: International Energy Agency (IEA), Energy Balances of non-OECD countries 2013 24 2. ASEAN5カ国におけるエアコン需要の実績推定と将来予測 2. ASEAN5カ国における電力消費量の実績推定と将来予測 (3) インバ・ノンインバのCOP予測 Inverter RAC Capacity ~2.5Kw 3.5Kw 5.0Kw 6.0Kw 7.1Kw~ Country Indonesia Malaysia Philippines Thailand Vietnam Indonesia Malaysia Philippines Thailand Vietnam Indonesia Malaysia Philippines Thailand Vietnam Indonesia Malaysia Philippines Thailand Vietnam Indonesia Malaysia Philippines Thailand Vietnam Non Inverter RAC 2010-2012 2013-2015 2016-2018 2019-2020 3.3 3.3 3.2 3.35 3.3 3.3 3.3 3.2 3.35 3.3 3.25 3.25 3.15 3.3 3.25 3.35 3.35 3.3 3.65 3.35 3.35 3.35 3.3 3.65 3.35 3.3 3.3 3.25 3.55 3.3 5.27 5.27 5.27 5.27 5.27 4.90 4.90 4.90 4.90 4.90 3.65 3.65 3.65 3.65 3.65 5.27 5.27 5.27 5.27 5.27 4.90 4.90 4.90 4.90 4.90 3.65 3.65 3.65 3.65 3.65 2.95 2.95 2.85 3.25 2.95 2.9 2.9 2.8 3.2 2.9 3.25 3.25 2.95 3.45 3.25 3.2 3.2 2.9 3.4 3.2 3.35 3.35 3.05 3.55 3.35 3.3 3.3 3 3.5 3.3 3.45 3.45 3.15 3.65 3.45 3.4 3.4 3.1 3.6 3.4 Capacity ~2.5Kw 3.5Kw 5.0Kw 6.0Kw 7.1Kw~ Country Indonesia Malaysia Philippines Thailand Vietnam Indonesia Malaysia Philippines Thailand Vietnam Indonesia Malaysia Philippines Thailand Vietnam Indonesia Malaysia Philippines Thailand Vietnam Indonesia Malaysia Philippines Thailand Vietnam 2010-2012 3.1 3.1 2.9 3.3 3.1 3 3 2.9 3.3 3 2.85 2.85 2.75 3.25 2.85 2.75 2.75 2.65 3.2 2.75 2.7 2.7 2.6 3.15 2.7 2013-2015 3.15 3.15 3 3.45 3.15 3.15 3.15 3 3.45 3.15 3 3 2.85 3.4 3 2.9 2.9 2.75 3.35 2.9 2.8 2.8 2.7 3.3 2.8 2016-2018 3.25 3.25 3.1 3.55 3.25 3.25 3.25 3.1 3.55 3.25 3.1 3.1 2.95 3.5 3.1 3 3 2.85 3.45 3 2.9 2.9 2.8 3.4 2.9 2019-2020 25 3.35 3.35 3.2 3.65 3.35 3.35 3.35 3.2 3.65 3.35 3.2 3.2 3.05 3.6 3.2 3.1 3.1 2.95 3.55 3.1 3 3 2.9 3.5 3 25 2. ASEAN5カ国におけるエアコン需要の実績推定と将来予測 2. ASEAN5カ国における電力消費量の実績推定と将来予測 (4) インバータ運転の削減効果 インバータ運転による削減効果に関する仮定 今回の試算では、ノンインバーターからインバーターに置きかえた場合の削減効果について 実態調査結果を活用した計算に基づき、30%と設定している。 計算式は以下のとおりである。 ① 各冷房能力レンジ別に、代表機種の年間の電力消費量を計算する。 bedroom Installation portion Living room Installation portion ( X kWh ×5/7+X’kWh ×2/7)×0.8+ ( Y kWh ×5/7+Y’ kWh ×2/7) ×0.2 Weekday portion Weekend portion Weekday’s operating hour × RAC Capa. ×COP(considering operating time and outside temperature) ② 各能力レンジ別の計算結果と各能力レンジの全体の中での構成比を用いて、1台あたりの 平均値を計算する。 以上により、平均的な1台のエアコンの年間電力消費量を得ることができる。 ③ ①~②の計算についてインバーター、ノンインバーター別に実施する。消費削減効果は ③によるインバーターの計算結果をノンインバーターの計算結果で除する。 ③による計算結果であるインバーターの削減効果は-23%から-43%の間に分布。 今回の試算では計算を簡素化するため、削減効果として30%を採用した。 26 2. ASEAN5カ国におけるエアコン需要の実績推定と将来予測 2. ASEAN5カ国における電力消費量の実績推定と将来予測 (5) インバータ機種の普及シナリオ 予測にあたっては、以下の2013年度の各国のインバRAC普及率を起点とする。 Indonesia 5%、 Malaysia 15%、 Philippines 14%、 Thailand 11%、 Vietnam 27%(VietnamはインバRACに対する政府の推奨あり) 基準となる参照シナリオは、 2020年のインバータRAC普及率が 上記2013年水準で固定されるケースを設定。 2014年以降の普及シナリオは以下の5パターンを想定 想定シナリオ インバーター RAC増加率 前提条件(想定) ① BAUシナリオ 年率2%増 特段追加的な政策はなく、直近の普及増加率で推移 ② S1シナリオ 年率6%増 政府の推奨、メーカー・リテイラーからの適切な情報提供、富裕層で インバータRAC購買が定着。 Market Transformation が始動。 ③ S2シナリオ 年率10%増 S1の条件に加えて、政府による補助金、Tax reductionなどインセ ンティブ政策の導入。インバーター技術がメーカーに普及。ノンイン バとの価格差も縮小。Market Transformation が加速 ④ S3シナリオ 年率15%増 S2の環境整備により消費者各層のAwarenessが向上。消費者ニーズ が製造者やリテイラーにも反映され、高効率な製品開発が定着する。 2020年度ではMarket Transformation がほぼ達成された状態 ⑤ Rシナリオ リプレース 潜在削減可能量を推測するため 例えば、2014年以降インバータ機以外の販売を禁止 27 2. ASEAN5カ国におけるエアコン需要の実績推定と将来予測 2. ASEAN5カ国における電力消費量の実績推定と将来予測 (5) 100% 90% インバータ機種の普及シナリオ:BAUシナリオ=年率2%増 ・現状に対して、特段追加的な政策を打つことはなく、成り行きに任せたシナリオ ・2013年度の普及率を起点に、直近の普及増加率年2%増での推移を仮定 80% ・インバータRACの市場シェア(2006~2020) 70% 60% 実績 50% 想定 45% 40% 31% 29% 25% 30% 20% 18% 10% 0% 2006 2007 2008 2009 2010 Indonesia インドネシア 2011 2012 マレーシア Malaysia 2013 2014 2015 フィリピン Philippines 2016 2017 タイ Thailand 2018 2019 2020 ベトナム Vietnam 28 2. ASEAN5カ国におけるエアコン需要の実績推定と将来予測 2. ASEAN5カ国における電力消費量の実績推定と将来予測 (5) 100% 90% インバータ機種の普及シナリオ:S1シナリオ=年率6%増 ・政府の推奨、メーカー・リテイラーからの適切な情報提供、富裕層でインバータRAC購買 が定着。 Market Transformation が始動。 80% ・インバータRACの市場シェア(2006~2020) 70% 64% 60% 50% 実績 54% 53% 49% 想定 42% 40% 30% 20% 10% 0% 2006 2007 2008 2009 2010 Indonesia インドネシア 2011 2012 マレーシア Malaysia 2013 2014 2015 Philippines フィリピン 2016 2017 タイ Thailand 2018 2019 2020 Vietnam ベトナム 29 2. ASEAN5カ国におけるエアコン需要の実績推定と将来予測 2. ASEAN5カ国における電力消費量の実績推定と将来予測 (5) 100% 90% インバータ機種の普及シナリオ:S2シナリオ=年率10%増 ・政府の推奨、メーカー・リテイラーからの適切な情報提供、リテイラーの推奨、富裕層の 購買定着に加えて、政府による補助金、Tax reductionなどインセンティブ政策の導入 ・低効率製品淘汰され、インバーター技術がメーカーに普及。ノンインバとの価格差も縮小 ・Market Transformation が加速 80% 73% 73% 69% 64% 80% ・インバータRACの市場シェア(2006~2020) 70% 60% 実績 50% 想定 40% 30% 20% 10% 0% 2006 2007 2008 2009 2010 Indonesia インドネシア 2011 2012 マレーシア Malaysia 2013 2014 2015 フィリピン Philippines 2016 2017 Thailand タイ 2018 2019 2020 ベトナム Vietnam 30 2. ASEAN5カ国におけるエアコン需要の実績推定と将来予測 (5) 100% 90% インバータ機種の普及シナリオ:S3シナリオ=年率15%増 ・S2の環境整備によりAwareness向上が消費者各層に行きわたる。消費者ニーズが製造者 やリテイラーにも反映され、高効率な製品開発と消費者への適切な情報提供が定着する ・2020年度ではMarket Transformation がほぼ達成された状態 100% 95% 94% 92% 91% ・インバータRACの市場シェア(2006~2020) 80% 70% 60% 実績 想定 50% 40% 30% 20% 10% 0% 2006 2007 2008 2009 2010 Indonesia 2011 2012 Malaysia 2013 2014 Philippines 2015 Thailand 2016 2017 Vietnam 2018 2019 2020 31 3. エネルギー消費削減量試算結果 (1) 電力消費削減量試算方法 (2) 電力消費量予測結果とシナリオ別削減率(5カ国計) (3) 各国別電力消費削減量 (4) 各国の電力消費削減量推移 ①インドネシア、②マレーシア、③フィリピン、④タイ、⑤ベトナム (5) 各国別CO2排出削減量 (6) 各国別電気料金節約額 32 3. エネルギー消費削減量試算結果 4. 総括 (1) 電力消費削減量推定方法 電力消費削減量は以下の式を用いて推定した ・総電力消費削減量=各年INV普及シナリオ*電力消費量-現消費電力量(2013年) INV普及シナリオ* : 低、中、高レベル ・INV普及シナリオでの電力消費量 =①INVエアコンの電力消費量+②固定速エアコン電力消費量 =①INVエアコン台数×冷房能力×COP(冷房能力クラス別)×稼働時間×INV効果係数* + ②固定速エアコン台数×冷房能力×COP (冷房能力クラス別) ×稼働時間 INV効果係数*=70% 33 エネルギー消費削減量試算結果 160,000 110,428 102,053 -10% 80,000 60,000 -25% 40,000 -30% 20,000 -35% 2013 S1 S2 S3 リプレイス high BAU medium 固定 low BAU 0 実績 S1 S2 S3 R -3.98% -9.89% -15% -20% 実績 million KWh -5% 136,746 140,000 100,000 0% 154,889 BAU リプレイス 164,966 最大導入 180,000 120,000 シナリオ別削減率(対「固定」比) 183,079 175,800 high シナリオ別電力消費量 200,000 medium 5カ国の2020年の電力消費量は固定シナリオで、1,830億kWhで実績比約79.4%の増加。 BAUシナリオ(年率2%増)では1,758億kWhで固定シナリオと比較して3.9%の削減。 S1シナリオ(年率6%増)では1,649億kWhで同比9.8%の削減。 S2シナリオ(年率10%増)では1,548億kWhで同比15.4%の削減。 S3シナリオ(年率15%増)では1,367億kWhで同比25%の削減。 Rシナリオ(リプレース)では1,104億kWhで同比39%削減。 low 電力消費量予測結果とシナリオ別削減率(5カ国計) BAU (2) 最大導入 3. R -40% -15.40% -25.31% -39.68% -45% 2020 34 3. エネルギー消費削減量試算結果 3. エネルギー消費削減量試算結果 (3) 各国別電力消費削減量(2014~2020年、7年間の累積) 2014年から2020年までの累計電力消費削減量を国別にみると、インドネシアが最も 大きく、次いでマレーシア、タイ、ベトナム、フィリピンの順となっている 140,000 117,939 120,000 80,000 48,476 (参考):原子力発電所一基(100万kW、利用率80%)の7年間累積発電電力量(490億kWh) 37,880 Indonesia Malaysia Malaysia Philippines Philippines Thailand 37,399 high S2 medium S1 low BAU 21,161 12,736 8,762 4,477 BAU 固定 リプレイス R 最大導入 S3 high S2 medium S1 low BAU 18,708 10,389 6,669 2,790 BAU 固定 S3 最大導入 high S2 medium S1 BAU low 12,708 7,119 4,778 1,989 リプレイス R 最大導入 S3 リプレイス R high S2 medium S1 low BAU 7,062 最大導入 S3 13,392 8,608 3,630 BAU 固定 low BAU 20,000 25,372 24,438 BAU 固定 18,704 リプレイス R 30,216 medium S1 S2 high 40,000 0 (参考):太陽光発電所1万kW級100ヶ所(100万kW、利用率12%)の7年間累積発電電力量(70億kWh) 最大導入 S3 リプレイス R 58,776 60,000 BAU 固定 million KWh 100,000 Vietnam Vietnam 35 エネルギー消費削減量試算結果 3. エネルギー消費削減量試算結果 (4) 各国の電力消費削減量推移:Indonesia 2020年時点でのRACの電力消費量(インバ普及率固定)は、2013年の344億kWhから 746億kWhと2倍以上に増加。 BAUシナリオでは713億kWhで固定シナリオと比較して3.6%の削減。 S1シナリオでは666億kWhで同比9.9%の削減。 S2シナリオでは621億kWhで同比約16%の削減。 S3シナリオでは534億kWhで同比27.7%削減。 Rシナリオでは413億kWhで同比44.1%削減。電力消費量は横ばいに近い状態となる。 80,000 70,000 BAU Low S1 60,000 million KWh 3. High S2 S3 50,000 Replace R 40,000 30,000 20,000 10,000 0 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 36 エネルギー消費削減量試算結果 3. エネルギー消費削減量試算結果 (4) 各国の電力消費削減量推移:Malaysia 2020年時点でのRACの電力消費量(インバ普及率固定)は、2013年の256億kWhから 345億kWhに増加。 BAUシナリオでは332億kWhで固定シナリオと比較して3.6%の削減。 S1シナリオでは313億kWhで同比9.2%の削減。 S2シナリオでは、2020年インバータは73%に達し、295億kWhで同比14.4%の削減。 S3シナリオでは264億kWhで同比23.2%削減。 Rシナリオは218億kWhで同比36.8%削減。全てインバに置き換えられた場合、RACの電 力消費量はピークアウトする。 40,000 35,000 BAU Medium S1 30,000 million KWh 3. High S2 Max S3 25,000 Replace R 20,000 15,000 10,000 5,000 0 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 37 エネルギー消費削減量試算結果 (4) 各国の電力消費削減量推移:Philippines 2020年時点でのRACの電力消費量(インバ普及率固定)は、2013年の121億kWh から162億kWhに増加。 BAUシナリオでは155億kWhで固定シナリオと比較して4.4%の削減。 S1シナリオでは145億kWhで同比10.9%の削減。 S2シナリオでは、2020年の電力消費量は136億kWhとなり同比16.2%の削減。 S3シナリオでは120億kWhで同比25.8%削減。 Rシナリオでは96億kWhで同比31.1%削減。 18,000 16,000 BAU S1 14,000 S2 12,000 million KWh 3. S3 R 10,000 8,000 6,000 4,000 2,000 0 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 38 エネルギー消費削減量試算結果 (4) 各国の電力消費削減量推移:Thailand 2020年時点でのRACの電力消費量(インバ普及率固定)は、2013年の188億kWhから 303億kWhと63%増加。 BAUシナリオでは293億kWhで固定シナリオと比較して3.3%の削減。 S1シナリオでは278億kWhで同比8.3%の削減。 S2シナリオでの電力消費量は264億kWhで同比12.9%の削減。 S3シナリオでは240億kWhで同比20.7%削減。 Rシナリオでは201億kWhで同比33.5%削減。 35,000 30,000 BAU Low Medium S1 High S2 25,000 Max S3 million KWh 3. Replace R 20,000 15,000 10,000 5,000 0 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 39 エネルギー消費削減量試算結果 (4) 各国の電力消費削減量推移:Vietnam 2020年時点でのRACの電力消費量(インバ普及率固定)は、2013年の112億kWhから 279億kWhと249%の増加。 BAUシナリオでは262億kWhで固定シナリオと比較して5.9%の削減。 S1シナリオでは245億kWhで同比11.9%の削減。 S2シナリオでの電力消費量は230億kWhとなり同比約17.2%の削減。 S3シナリオでは205億kWhで同比26.2%削減。 Rシナリオでは174億kWhで同比37.5%削減。 30,000 BAU Low 25,000 Medium S1 High S2 20,000 million KWh 3. Max S3 Replace R 15,000 10,000 5,000 0 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 40 エネルギー消費削減量試算結果 (5) 各国別CO2排出削減量(2014~2020年、7年間の累積) 2014年から2020年の7年間で削減可能なCO2排出量の合計(二酸化炭素換算) 各国のCO2排出係数(全電源平均)をもとに計算 S1シナリオにおいては、5カ国で約2、962万トン S2シナリオにおいては、5カ国で約4、639万トン S3シナリオにおいては、5カ国で約8,623万トン Rシナリオについては、1億7,060万トン 100,000 88,994 90,000 2014年~2020年で削減できるCO2排出量 80,000 70,000 60,000 50,000 44,351 40,000 33,341 Malaysia Malaysia Philippines Philippines Thailand Thailand Vietnam Vietnam リプレイス R 最大導入 S3 high S2 16,029 9,069 5,459 3,755 1,919 BAU 固定 BAU low リプレイス R high S2 medium S1 low BAU リプレイス R 最大導入 S3 high S2 medium S1 low BAU BAU 固定 リプレイス R 3,499 6,246 2,349 9,765 5,422 3,481 1,456 BAU 固定 12,471 977 最大導入 S3 high S2 medium S1 リプレイス R 最大導入 S3 high S2 Indonesia Indonesia low BAU 9,211 5,921 2,497 5,329 medium S1 0 14,113 BAU low 10,000 19,771 16,808 BAU 固定 20,000 medium S1 22,800 最大導入 S3 30,000 固定 BAU thousand t-CO2 3. 41 エネルギー消費削減量試算結果 3. エネルギー消費削減量試算結果 (6) 各国別電気料金節約額(2014~2020年、7年間の累積) 2014年から2020年の7年間で節約可能な電気代の合計( US$) 9,000 年間電力消費量、各国の電気料金単価により推定しUS$に換算 S1シナリオにおいては、5カ国で約40億8,200万ドルの節約 S2シナリオにおいては、5カ国で約63億2,900万ドルの節約 S3シナリオにおいては、5カ国で約116億2,700万ドルの節約 Rシナリオは、5カ国で230億9,100 万ドル 7,937 8,000 7,000 6,000 4,436 4,348 3,955 Malaysia Malaysia Philippines Philippines Thailand Thailand Vietnam Vietnam リプレイス R 851 最大導入 S3 S2 high medium S1 low BAU BAU 固定 512 180 352 最大導入 S3 high S2 low BAU BAU 固定 リプレイス R BAU 固定 リプレイス R 最大導入 S3 medium S1 固定 BAU リプレイス R 最大導入 S3 S2 high Indonesia Indonesia 320 1,504 1,192 766 medium S1 381 332 S1 medium low BAU 475 low BAU 1,000 2,147 1,365 917 1,225 788 high S2 1,259 high S2 2,000 2,438 2,236 2,033 最大導入 S3 3,000 low BAU medium S1 4,000 0 4,867 リプレイス R 5,000 BAU 固定 millio US$ 3. 42 4. 総括 1/3 2014-2015EMTIPSの活動のSurvey2-2「エアコンの使用実態調査」の 実行と気象条件、RACのストック台数、GDP成長予測指数の入手により、 将来の電力消費量の予測が可能となる。 さらに、Market Transformationに向けて、重要なKey Player、すなわち 、Manufacturer, Retailer, Consumerに対する対策や政府による政策が実 行されることで、電力消費量の削減、CO2排出量の削減、電気料金の節約に つなげることができる。 今回のプレゼンでは、その対策・政策の採り方に応じてインバーター比率の 変化についてS1、S2、S3の3シナリオを設定し、将来への影響を試算してい る。 3シナリオはあくまでも仮説であるが、2020年までにインバーター比率を 60%~80%まで現実に引き上げたS2に近い事例が存在する(次頁)。 43 総括-2 4.4. 総括 2/3 5年間でインバRAC普及率6%から60%に向上させた中国の事例 ・2007年末:省エネ家電機器対象に補助金制度導入 ・2009年:日本のD社と国内企業K社がインバータRAC製造のため技術提携 ・2009年11月:共同開発の廉価なインバ販売開始 ・2010年4月:足切り値導入しノンインバRACとインバRACの価格差縮小 ・2012年6月:省エネ性能に応じたRAC等高効率機器を対象とした補助金制度実施 ・2013年3月:対象省エネ機器が普及したとの評価から補助金制度終了 ・2013年:期間消費効率の導入決定と施行 Reference : Introduction of exclusion criteria 70% Inverter diffusion rate transition of country X 60% 60% high 55% 50% 40% Noninverter 1 42% 2 30% 30% 3 20% 17% 10% 0% Evaluation below 3.25 by SEER Products are excluded from the Market 6% 2008 2009 2010 2011 2012 2013 grade 4 low 5 inverter 1 2 3 Expensive 4 5 SEER 3.25 Low price A reduction of price difference is achieved 44 総括-3 4.4. 総括 3/3 S&L制度が整備されている国々において、ENERGY EFFICIENCY PERFORMANCE LIST やSMART GUIDEの整備と改善によって、消費者に 対する適切な情報提供を行い、消費者のAwarenessを向上させていくことが Market Transformationを促進する上で、第一義的な取組みと考える。 さらに、前頁の事例は、高効率市場への転換とエネルギー節約を加速するために 以下のような手法が効果的であることを提示している。 ・良いものを適切に評価する基準への変更 ・補助金やTax Reduction のようなインセンティブ政策 ・Key PlayerであるManufacturerの戦略転換 今回の報告を機に、ASEAN各国において、 ・S&L制度の整備と改善を促進すること ・各国における新たな政策の導入を計画すること ・エネルギー削減の促進について、目標感をもって進めること が実行されることを期待する。 以上 45 【アジアにおける省エネ基準・ラベリング政策の調和と国際協力の現状】 ◇開催時期 : 2015 年 1 月 30 日(金) ・ 13:30 – 17:30 ◇開催場所 : 東京ビッグサイト(東京国際展示場)会議棟 6 階 608 会議室 東京都江東区有明 3-11-1 ・ http://www.bigsight.jp/english/ ◇主催 : 経済産業省 資源エネルギー庁 ・ 一般財団法人 省エネルギーセンター ***************************************************************************************** 開会挨拶 〈13:30~13:40〉 「アジア諸国の省エネ基準&ラベリング(S&L)制度構築に期待すること」 経済産業省 貴田 資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部 政策課 国際室長 仁郎氏 【セッションⅠ: S&L 分野の二国間・多国間協力】 講演 1 〈13:50 - 14:10〉 「ASEAN における S&L 制度調和にむけた日本の協力-1」 一般財団法人省エネルギーセンター 家庭・人材総括部 講演 2 〈14:10 - 1430〉 部長 大國浩太郎 「ASEAN における S&L 制度調和にむけた日本の協力-2」 一般社団法人日本冷凍空調工業会 参事 IS-INOTEK エアコン省エネ普及 WG 主査 〈14:30 – 14:50〉 【セッションⅠ 海原 誠氏 Q&A】 【セッションⅡ : 各国の省エネ S&L 政策の現状と課題】 講演 3 〈14:50~15:10〉 「インドネシアにおける S&L 政策の進捗状況と課題」 Mr. Harris Muhammad Yahya Directorate General of New Renewable Energy and Energy Conservation, MEMR 講演 4 〈15:10~15:30〉 「マレーシアにおける S&L 政策の進捗状況と課題」 Ms. Hafiza Binti Yob Demand Side Management, Energy Commission 【休憩】 〈15:30 - 15:45 〉 講演 5 〈15:45 - 16:05〉 「フィリピンにおける S&L 政策の進捗状況と課題」 Mr. Renante Macoy Sevilla Department of Energy 講演 6 〈16:05 - 16:25〉 「タイにおける S&L 政策の進捗状況と課題」 Mr. Asawin Asawutmangkul Department of Alternative Energy Development and Efficiency 講演 7 〈16:25 - 16:45〉 「ベトナムにおける S&L 政策の進捗状況と課題」 Mr. Nguyen Hoang Linh Energy Efficient Department, General Directorate of Energy 閉会挨拶 〈16:45 - 17:05〉 【セッションⅡ Q&A】 〈17:05 - 17:10〉 一般財団法人省エネルギーセンター 常務理事 祖川二郎 2015 ASEAN-JAPAN Energy Efficiency and Conservation Symposium on Standard and Labeling Policy in Asian Countries “Current Issues and Situation on S&L Policy in Each Country and the Trend toward International Cooperation and Harmonization” ◇Date ◇Venue 30th of January, 2015 : : Tokyo Big Sight(Tokyo International Exhibition Center) 3-11-1, Ariake, Koto-Ku, Tokyo, Japan ; “ http://www.bigsight.jp/english/ ” ◇Organized by : The Energy Conservation Center, Japan (ECCJ) ◇Sponsored by : Agency of Natural Resources and Energy, Ministry of Economy, Trade and Industry, Japan (METI) ***************************************************************************************** Welcome remarks 〈13:30~13:40〉 “Expectation for Development of Energy Conservation Standard & Labeling (S&L) System in Asian Member States” Mr. Jiro Kida, Director, International Affairs Office, Energy Conservation and Renewable Energy Dept. Agency for Natural Resources and Energy, METI 【Session Ⅰ : Bilateral / Multilateral Cooperation in the Field of S&L 】 1.〈13:50 - 14:10〉 “Japan’s Cooperation on S&L Systems in the ASEAN-1 ” Mr. Kotaro Ohkuni, Promotion Planning and Management Department, ECCJ 2.〈14:10 - 1430〉 “Japan’s Cooperation on S&L Systems in the ASEAN-2 ” Mr. Makoto Kaibara The Japan Refrigeration and Air Conditioning Industry Association International Standard Innovation Technology Research Association 〈14:30 – 14:50〉 “Q&A for Session Ⅰ” 【Session Ⅱ : Current Issues and Situation on S&L Policy in Each State 】 3.〈14:50~15:10〉 “Current Issues and Situation on S&L Policy in Indonesia” Mr. Harris Muhammad Yahya Directorate General of New Renewable Energy and Energy Conservation, MEMR, 4.〈15:10~15:30〉 “Current Issues and Situation on S&L Policy in Malaysia” Ms. Hafiza Binti Yob, Demand Side Management, Energy Commission *〈15:30 - 15:45 〉 ****** Break ****** 5.〈15:45 - 16:05〉 “Current Issues and Situation on S&L Policy in Philippines” Mr. Renante Macoy Sevilla, Department of Energy 6.〈16:05 - 16:25〉 “Current Issues and Situation on S&L Policy in Thailand” Mr. Asawin Asawutmangkul, Department of Alternative Energy Development and Efficiency 7.〈16:25 - 16:45〉 “Current Issues and Situation on S&L Policy in Vietnam” Mr. Nguyen Hoang Linh, Energy Efficient Department, General Directorate of Energy 〈16:45 - 17:05〉 Closing remarks 〈17:05 - 17:10〉 “Q&A for Session Ⅱ” Mr. Jiro Sogawa The Energy Conservation Center, Japan ASEAN-JAPAN 国際省エネシンポジウムQ&Aセッション議事録(主なもの) 1.シンポジウム参加状況 ・事前登録参加者(リスト分) :77 名 ・当日参加者 ・合計 (事前登録 132 名) :19 名 :96 名 (講師、事務局含め 115 名) 2.Q&A セッション (セッションⅠ) Q(リコーの方) :省エネ性能の高いエアコンがよいのは理解しているが、エアコンの使用時間や設定 温度は国や使用部屋などによって異なり、最適なエアコンは異なると思われる。例えば、長時間使用 するリビングルームはインバーターエアコンが、ベッドルームなど使用時間が短い部屋は非インバー ターエアコンなど。使用場所や時間によって最適なエアコンが選択できるようなツール開発が必要で はないか? A(海原氏):ご指摘のとおり、使用実態は国によって異なる。たとえば、シンガポールやマレーシア は1日 24 時間使用、フィリピンは暑い時だけ。インドネシアは、アンペアによって電気料金が異な るため、小さい能力のエアコンを使うなど。現在の ISO の標準(CSPF)では、35℃下の一点計測よ りも、気温が下がる夜も使用することから 29℃下も計測することになっている。調和や標準化はアセ アンにおいても重要なことであり、まずは基準の調和を重視した取り組みを行っている。個別の国に 対する対応については別途検討が必要と思われる。 A(大国氏):重要な点である。今回の各国からの発表の中で、リビングルームやベッドルームなど部 屋別の使用時間の調査結果も含まれるかもしれない。Regulation の観点で、ご指摘のようなことを含 むのは難しいが、インターネット上でさまざまな情報提供は行われており、製品データベースの活用 という点でも、ご指摘のような情報提供も可能と思う。 (セッションⅡ) Q1(各国に対して)省エネ機器普及の障害となっていることは何か? A1-1(インドネシア) :電気料金が安いことと、消費者の認知の低さである。本日発表した調査結果 では、省エネ意識が高いことが示されているが、インドネシア人口のほんの一部を調査したのみであ り、全国的にみればまだ意識が低いと思われる。 A1-2(マレーシア) :インドネシアと同じである。マレーシアでも電気料金に補助金が出ているため、 料金が比較的低い。見直しはしているが、他国と変わらない水準にしている。意識も低い。知ってい たとしても、実行されない。 A1-3(フィリピン) :発表したとおり、法的枠組みが欠如している。政府にとってそれが障壁のため、 法律の可決を目指している。 A1-4(タイ) :省エネのためには投資が必要である。投資によりランニングコストが下げられるが、 投資ができないところ(特に中小企業)が多い。インバーターエアコンの促進には、価格(の高さ) が障壁である。ラベリングについては、技術力が低い国内メーカーのこと(保護)を考えている。 A1-5(ベトナム):消費者の意識がまだ低い。メリットがないと思っている。政府予算が少なく、教 育プログラムやセミナーにかける予算がない。ラベルの申請にかかる時間が長いため、メーカーが申 請を躊躇してしまう。プログラム(規制)の存在とこれを遵守することに気づいてもらうことが必要。 Q2(インドネシアに対して) :インドネシアはこれからラベルの対象が増えるが、洗濯機などについ てはどうか? A2:洗濯機は 2016 年からだと思う。現在第6次案を議論している。モーター、ファン、冷蔵庫、 炊飯器、安定器は 2015 年中に規制を作ろうと思っている。 Q3(インドネシアに対して) :エアコンは、2016 年 8 月 1 日にラベル制度が施行されるとのこと であるが、評価指標は EER である。CSPF にする予定は? A3:インドネシアにとって S&L 制度はまだ新しい取り組みのため、施行については慎重に行う必要 があると考えている。エアコンに対する CSPF については海原氏と議論を行っている。エアコンに対 しエネルギー効率の仕組み(MEPS、ラベル)を導入するのがはじめてのため、全てのメーカーや輸 入事業者と話し合う必要がある。現在の規制でのターゲットに、CSPF による評価は入ってなく、具 体的なスケジュールはない。規制を始めた後に、CSPF のメリットを理解したら導入する。 Q4(インドネシアに対して) :電気料金への補助金導入をやめることについては? A4:昨年から、3か月で自動的に引き上げる仕組みはある。 3.所感 日本側および ASEAN 各国とも、与えられたテーマに応じて適切な発表が行われ、参加者に対して有 益な情報提供ができた。また、参加者それぞれの立場に基づいて、考える機会を提供できた。 日本側の発表は、最初に大国氏から省エネ機器普及のための“Market Transformation”という、日 本人にあまりなじみがない用語について説明され、さらに、そのために3者(メーカー、小売、消費 者)のプレーヤーに対する施策が必要であることが示されたことで、その後の各発表内容の位置づけ や関連を理解することができたと考える。日本の経験および ASEAN での省エネ機器普及のための制 度面・技術面双方の日本の取り組みについての理解が進んだ。 ASEAN 各国の発表は、各国の S&L の最新状況が把握できた。発表原稿作成に際しての事前のインス トラクションにより、 (ベトナムを除き)各国ともほぼ同じ項目の発表がなされたことで、比較検討も 容易であった。EMTIPS でのアンケート調査結果は、サンプル数も多くなく、属性に偏りはあるもの の、政策担当自らが汗を流し実行した結果であり、エアコンの使用実態や意識を知る貴重なものとな っている。 質疑応答も、省エネ機器普及や基準調和を進める上での課題を伺うことができる内容だった。 改善点をあえて挙げるとすると、今回の参加者のような積極的な対応を考慮すると、質疑応答の時間 がもう少しあれば、より参加者の満足度が上がったかもしれない。 以 上