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標準的な土壌水文プロパティ

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標準的な土壌水文プロパティ
2008年4月土木技術の役割と展望: 地盤工学
学部の授業の内容を超えた現実の課題及び大学院で学ぶこと
1.土のせん断強度と締固め問題:
剛完全塑性→ひずみ硬化・ひずみ軟化、ピーク/残留強度
→締固め管理と設計せん断強度の関連
5分:龍岡の背景解説/10分:原君の説明/10分:龍岡のまとめと質疑応答
2.土の圧密とクリープ変形:
弾塑性仮定に基づいた一次圧密→二次圧密、クリープ、粘性
5分:龍岡の背景解説/10分:前田君の説明/10分:龍岡のまとめと質疑応答
3.土圧、擁壁と橋台の構造形式の抜本的改革
従来式擁壁→ジオシンセティックス補強度盛土とGRS一体橋梁
10分:龍岡の背景解説/10分:相馬君の説明/10分:龍岡のまとめと質疑応答
土質力学: 地盤・斜面・土構造物の安定性の予測
設計・施工: 実際の工事をどのように行うのか?
擁壁・土圧問題
すべり面
斜面の安定問題
すべり面
杭・深い基礎の支持力問題
浅い基礎の支持力問題
すべり面
すべり面
2008年4月土木技術の役割と展望: 地盤工学
学部の授業の内容を超えた現実の課題及び大学院で学ぶこと
1.土のせん断強度と締固め問題:
剛完全塑性→ひずみ硬化・ひずみ軟化、ピーク/残留強度
→締固め管理と設計せん断強度の関連
5分:龍岡の背景解説/10分:原君の説明/10分:龍岡のまとめと質疑応答
擁壁・土圧問題
これらの課題の全てに
関連している
すべり面
斜面の安定問題
すべり面
杭・深い基礎の支持力問題
浅い基礎の支持力問題
すべり面
すべり面
良く締固めない盛土→建設費は低いが、弱い盛土ができる
→維持管理費が高い、地震時等で被害
→結局高いものになる
道路、鉄道、宅地
盛土の破壊により
被害を受けた住宅
排水性が悪く締固めが悪い
粘性土質の盛土
高さ5m程度の重力
式擁壁(水平地盤
でも地震時安定性
が低い。斜面上で
は更に不安定)
地震被害が
ほとんど無い住宅
道路(アスファ
ルト舗装)
盛土
切土
沢(集水地形)
安定な地山
排水暗渠が無い
基礎地盤の支持力が低いが、
基本的に基礎が無い
不織布による排水層
(これだけでは盛土からの排水は不十分)
2004年10月新潟県中越地震、長岡市高町団地、盛土・擁壁被害
道路
長距離滑働した
重力式擁壁
若干滑働した
重力式擁壁
重力式擁壁
沢(集水地形)
盛土
集水地形を
示す水溜り
地山
風化凝灰岩を掘削して得られた盛土材(実
質粘性土) 飽和度が高い!
縦貫道道路決壊No.9-下り車線
2007年3月25日
能登半島地震
縦貫道道路決壊No.9
-下り車線
良く締固めない盛土→建設費は低いが、弱い盛土ができる
→維持管理費が高い、地震時等で被害
→結局高いものになる
良く締固めた盛土→建設費は高くなるが、強い盛土ができる
→維持管理費が低い、地震時等で無被害
→結局安いものになる
道路、鉄道、宅地
建設中の富士山静岡空港
ジオテキスタイル
補強土擁壁
背後盛土
富士山静岡空港、一の谷、高さ16.7m のジオテキスタイ
ル補強土擁壁とその背後の高さ45mの盛土(2007年11月
2日筆者撮影)→自然環境の保全
高さ21 m
面状排水ジオテキスタイル
1:0
.3
3m
8 X 1.2 m= 9.6 m
16 X 0.6 m= 9.6 m
21.1 m
1.6m
補助補強材
グリッド状補強
ジオテキスタイル
技術的課題:
盛土の締固め管理
盛土のせん断強度の設計
1.5 m
14. 5 m
22 m
富士山静岡空港、二の谷、ジオテキスタイル補強土擁壁(静岡県の資料
128
123
118
20.8m
20.
8m
建設中と建設後の変
形は非常に小さい
盛土天端の標高
盛土標高(m) (m)
良く締固めた盛土:
133
盛土工事完了後
盛土完了
113
108
103
H17.12
H18.2
H18.4
H18.6
H18.8
H18.10
H18.12
H19.2
H18.10
H18.12
H19.2
盛土天端の
累計圧縮量(cm)
累積圧縮量
(cm)
0
5
10
15
20
盛土が進む毎
に直ちに設置
した層別沈下
計による計測
層別沈下計
盛土工事完了後
盛土完了
25
富士山静岡空港二の
谷ジオテキスタイル
補強土盛土の挙動
(静岡県の資料)
香水量
降水量(mm)
(mm)
200
150
100
50
0
H17.12
H18.2
H18.4
H18.6
H18.8
日付(日)
日付(平成年次、月)
良く締固めた盛土→建設費は高くなるが、強い盛土ができる
→維持管理費が低い、地震時等で無被害
→結局安いものになる
これが実現するためには、
1)良く締固めたら、どのように土が強くなるのかを知っている必要
がある。
2)現場で良く締固め場合は、増加した土のせん断強度を設計に
反映する必要がある。
これらは研究課題
道路、鉄道、宅地
締固め管理と設計せん断強度の関連
地盤工学研究室
修士一年 原 大地
○締固めについて
土構造物の造成では、強度、支持力、遮水性などの改善を目的
として、土の締固めが行われる。
例:突固めによる土の締固め試験
ランマーの
自由落下
モールド
試料
モールドと呼ばれる容器に試料を入れ、
この上にランマーと呼ばれる錘りを規
定の高さから繰り返し自由落下させて
締固めを行う。
試料の含水比を少なくとも6~8段階変
化させる。
○締固めについて
土構造物の造成では、強度、支持力、遮水性などの改善を目的
として、土の締固めが行われる。
例:突固めによる土の締固め試験
ランマーの
自由落下
モールド
試料
同じ土を同じ方法で締固めても
その程度は土の含水比により
異なり、締固め土の乾燥密度を
含水比に対してプロットすると
…..
○締固めについて
土構造物の造成では、強度、支持力、遮水性などの改善を目的
として、土の締固めが行われる。
例:突固めによる土の締固め試験
乾燥密度
上に凸な曲線を示す(締固め曲線)
最も効率的に締固めること
ができる含水比が存在
含水比
○締固めについて
土構造物の造成では、強度、支持力、遮水性などの改善を目的
として、土の締固めが行われる。
例:突固めによる土の締固め試験
乾燥密度
最も効率的に締固めことが
できる含水比が存在
ρdmax
その時の
含水比:最適含水比wopt
密度:最大乾燥密度ρdmax
wopt
含水比
○締固めについて
土構造物の造成では、強度、支持力、遮水性などの改善を目的
として、土の締固めが行われる。
例:突固めによる土の締固め試験
乾燥密度
最も効率的に締固めること
ができる含水比が存在
ρdmax
その時の
含水比:最適含水比wopt
密度:最大乾燥密度ρdmax
wopt
含水比
現場では、締固め試験によって土の締固め特性を把握した上で、
盛土を建設している。
○締固め管理について
現状での締固め管理は、通常、乾燥密度から求めた締固め度Dcの
許容下限値をDc=90%と規定
乾燥密度
Dc =
ρd(現場密度試験)
ρdmax(室内締固め試験)
ρdmax
×
100 〔%〕
位置A
含水比
○締固め管理について
現状での締固め管理は、通常、乾燥密度から求めた締固め度Dc
の許容下限値をDc=90%と規定
乾燥密度
ピーク強度
Dc =90%では、強度が低すぎる可能性があり、より締固めると強度
がどのように増加するのか不明な場合が多い。特に、礫質土では、
詳細なデータがほとんど無い。
90%
含水比
100%
締固め度
○設計における問題点
従来の設計:等方・剛・完全塑性、厚さゼロのすべり面を仮定
強度
σ
ひずみεの大きさによらないで
一定のせん断強度が発揮
ε
ひずみ
従来の設計:等方・剛・完全塑性、厚さゼロのすべり面を仮定
実際の挙動:異方・非線形・ひずみ硬化・ひずみ軟化
粒径に比例した厚さをもつせん断層
強度
σ
ピーク強度
ひずみ硬化
粒径効果
ひずみ軟化
ε
ひずみ
○粒径効果について
粒径が大きくなる
せん断応力レベル
ピーク強度
→せん断層が厚くなる
→残留状態に至るまでの
せん断変形量は増加する
粒径大
残留強度
せん断層のすべり量
平成19年度 卒業論文発表
大型三軸試験による礫質土の
変形強度特性
試料
円礫混じりの礫質土(静岡空港盛土材)
100
通過質量百分率
80
60
40
20
0
1E-3
0.01
0.1
1
粒径 [mm]
○最大粒径:50.8 mm
○土粒子密度:2.663 g/cm3
10
100
○平均粒径:8.1 mm
試料
円礫混じりの礫質土(静岡空港盛土材)
100
粒子形状:
比較的扁平で細長い
通過質量百分率
80
50.8~38.1
mm
100
mm
38.1~25.4
mm
60
40
100
mm
20
25.4~19.1
mm
0
1E-3
2 mm 以
下
0.01
0.1
1
粒径 [mm]
4.75~2
mm
1mm
50 mm
10
100
100
mm
9.52~4.75
mm
19.1~9.52
mm
100
100
礫質土の変形強度特性
→大型三軸圧縮試験が必要
しかし、大型三軸圧縮試験装置
は非常に少ない。
σ1
58cm
σ3
σ3
170cm
また、円礫混じり礫質土のデー
タはほとんど無い
σ1
30cm
実験方法
・湿潤締固めで作製
①含水比固定で締固め度を変化
乾燥密度
②等エネルギーで作製
ゼロ空気間隙曲線
②
①
含水比
試験方法
500
三軸圧縮
軸ひずみ速度
εv=0.1%/min
異方圧密 ・拘束圧σh’= 50kPa
(K=0.5)
供試体:
・不飽和のまま排気条件
・飽和化してから排水条件
(今回発表)
軸応力 , σ1 [kPa]
400
300
200
100
0
0
20
40
60
側方応力 , σ3 [kPa]
80
100
載荷パターン
・繰返し
・速度急変
・クリープ
偏差応力, q [kPa]
400
300
200
100
0
0.0
0.5
1.0
軸ひずみ, ε1 (LVDT) [%]
1.5
実験結果(①含水比固定で締固め度を変化)
2.4
4.5Ec締固め曲線
2.2
①
②
2.0
③
1.8
0
2
4
6
8
含水比 , w [%]
10
偏差応力,q=q1-q3[kPa]
乾燥密度 , ρd [g/cm3]
2.6
①
400
②
300
③
200
100
0
12
0
5
10
軸ひずみ(LVDT),ε 1 [%]
①
→圧縮強度と体積膨張性が
増加
体積ひずみ,εvol[%]
-6
締固め度を増加
15
体積膨張大
②
-4
③
-2
0
差圧計を用いて測定
0
5
10
軸ひずみ(LVDT),ε 1[%]
15
60
内部摩擦角, φpeak
ピーク強度,qmax[kPa]
400
300
200
100
55
50
45
40
0
90
95
締固め度,Dc[%]
100
90
従来の設計せん断強度
95
100
締固め度, Dc [%]
締固め度を増加→強度は増加
Dc =90%からDc=100%となるとqmaxは倍増
締固め度が増加→従来の一般的な礫質土の設計内部摩擦角40度
に比べて大きくなる
実際のDcが高くなる→実際のせん断強度を過度に過小評価
実験結果(②等エネルギー)
2.6
500
4.5Ec締固め曲線
2.2
③
④
②
2.0
1.8
①
0
2
偏差応力,q[kPa]
2.4
③
④
300
200
①
100
4
6
8
含水比 , w [%]
10
0
12
• 最適含水比よりやや乾燥
側で、密度が減少しても、
強度、初期体積膨張は最
大値(今回発見!)
0
5
10
15
軸ひずみ,ε1(LVDT)[%]
-6
体積ひずみ,εvol[%]
乾燥密度 , ρd [g/cm3]
②
400
④
体積膨張大
③
-4
②
①
-2
0
差圧計を用いて測定
0
5
10
軸ひずみ,ε 1(LVDT)[%]
15
等エネルギー、w変化
w=4.6%
400
300
60
w=5.5%
w=7.4%
w=3.6%
200
等含水比、Dc変化
100
内部摩擦角,φpeak
ピーク強度, qmax [kPa]
500
等エネルギー、w変化
55
50
45
40
0
90
95
100
締固め度, Dc [%]
等含水比、Dc変化
90
95
100
締固め度,Dc[%]
最適含水比よりもやや低い含水比で、強度は最大値。
これは、円礫材料の特徴か? (砂質土、角張った礫質土では、
ピーク強度は、常にDcが大きいほど大きい)
なぜ? 今後更なる研究が必要
まとめ
円礫混じり礫質土の変形強度特性は、
・締固め度Dcの影響が大きい(本研究で具体的なデータ)
Dc=90%は低い密度
→現行の締固め管理法は改善する必要がある
・締固め時含水比wの影響も強く受ける(本研究で発見)
最適含水比よりもやや乾燥側で最大の強度
→フィルダム以外では、現行では含水比管理をしていないが、
含水比管理すればより合理的な盛土建設が可能
稲城砂IVの偏差応力q~軸ひずみε1~体積ひずみεvol関係
Dc =96.7%
Dc =94.6%
Dc=94.1%
Dc =94.1%
Dc =92.7%
Dc =89.6%
Dc =88.0%
500
400
300
Dcが 90 %から増加する
と、強度は著しく増加
残留強度:
従来の設計せん断強度
200
-0.9
-0.6
-0.3
100
0
0.0
0.3
0
1
2
3
4
5
軸ひずみ, ε1(LVDT) [%]
6
7
体積ひずみ, εvol[%]
偏差応力, q [kPa]
600
圧縮強度比, q/qmax (Dc = 100 %,4.5 Ec)
締固め度の向上による排水三軸圧縮試験による圧縮強度の増加:
増加率は、土質(砂、礫)等が異なると異なる
1.5
1.0
排水圧縮試験
豊浦砂以外は締固めて供試体を作成
成田砂・稲城砂・豊浦砂:平面ひずみ圧縮試験
その他:三軸圧縮試験
静岡空港盛土砂礫
(不飽和)
(飽和)
破砕砂岩礫
(千葉礫:w/wopt = 0.8 - 1.2)
豊浦砂(空中落下法)
成田砂(洪積層)
(w~wopt)
0.5
0.0
75
破砕コンクリート
(w/wopt=0.8-1.2)
旧信濃川河床礫(新山本調整池:w=wn)
稲城砂(洪積層)(w~wopt)
80
85
90
締固め度, Dc
95
(4.5 Ec)
100
105
2008年4月土木技術の役割と展望: 地盤工学
学部の授業の内容を超えた現実の課題及び大学院で学ぶこと
1.土のせん断強度と締固め問題:
剛完全塑性→ひずみ硬化・ひずみ軟化、ピーク/残留強度
→締固め管理と設計せん断強度の関連
5分:龍岡の背景解説/10分:原君の説明/10分:龍岡のまとめと質疑応答
良く締固めた盛土→建設費は高くなるが、強い盛土ができる
→維持管理費が低い、地震時等で無被害
→結局安いものになる
この考え方を普及させて、現在の設計法を改善したい!
2008年4月土木技術の役割と展望: 地盤工学
学部の授業の内容を超えた現実の課題及び大学院で学ぶこと
2.土の圧密とクリープ変形:
弾塑性仮定に基づいた一次圧密→二次圧密、クリープ、粘性
5分:龍岡の背景解説/10分:前田君の説明/10分:龍岡のまとめと質疑応答
東京下町のゼロメータ地帯:
長年に亘る地下水のくみ上
げによる地盤沈下(最大
6m)のため
地球温暖化による海面上昇
の脅威
満潮時に海面以下
干潮時も海面以下
数字はAPか
らの高さ(m)
ゼロメートル地帯を守っているのも土木構造物
廃棄物海面処理
場(埋立地)
ゼロメートル地帯
護岸構造物(パ
ラペット)、水門
河川堤防
液状化しやすい飽
和した緩い砂層
内水護岸
軟弱地盤
表層地盤
なぜ、海面下より低い地域が広いのか?
地盤沈下が原因
東京下町での地盤沈下の記録
0
1
累
積
沈 2
下
量
(m) 3
昭和20年1945年
4
5
昭和39年1964年
上載圧σv
一次元圧縮試験
圧密試験
地表面
上載圧σv
c
間隙水の流れ
排水面
地下水位
b
a
飽和粘土地盤
(一次元圧縮状態)
間隙水圧 u= u0 + Δu
u0: 静水圧、Δu: 過剰間隙水圧
有効上載圧 σ’v=σv - u
粘性土地盤の一次元圧縮と圧密試験
東京下町での
地下水位の記録
地下水の過剰な汲み上げ
→地下水位の低下
→間隙水圧(u)が減少
→有効応力(σ’=σ-u)が増加
→土の圧縮→地盤沈下
昭和39年1964年
間隙比, e
異なるεvに対して
一つのe – logσ’v関係
A
この応力状態で、いくら時
間が経過しても間隙比は
変化しない。
単調載荷を再開
除荷・再載荷
(σ’v)0
(σ’v)0+ Δσ’v
Terzaghiの圧密理論
log(有効上載圧, σ’v)
間隙比, e
異なるεvに対して
一つのe – logσ’v関係
A
実際は、一定の有効応力状
態でも、時間経過とともにク
リープ変形が生じる
単調載荷を再開
除荷・再載荷
(σ’v)0
(σ’v)0+ Δσ’v
実際の挙動
log(有効上載圧, σ’v)
東京下町での地盤沈下の記録
0
1
累
積
沈 2
下
量
(m) 3
4
5
昭和39年以降、地下水位が上昇しはじ
めて、間隙水圧が増加しはじめて有
効応力が減少しはじめても、地盤沈
下が継続!
なぜ???
→粘土地盤のクリープ変形による二次
圧密のため
昭和39年1964年
土の圧密と地盤沈下
~テルツァギの圧密理論を越えて
今だに解明されていない
未知なる二次圧密の世界へ~
地盤沈下
~砂と粘土~
砂【粒径:0.075~2mm】
間隙比 e = 0.6~0.9
透水係数 k = 10-2~10-4cm/sec
砂
粘土【粒径:0.005mm以下】
粘土
間隙比 e = 3~5
透水係数 k = 10-5~10-7cm/sec
0.005
粘土
2
0.075
シルト
砂
mm 間隙比 小
礫
透水係数 大
沈下量
小
沈下時間
短
間隙比 大
透水係数 小
沈下量
大
沈下時間
長
地盤沈下
~砂と粘土~
砂【粒径:0.075~2mm】
間隙比 e = 0.6~0.9
透水係数 k = 10-2~10-4cm/sec
砂
粘土【粒径:0.005mm以下】
粘土
間隙比 e = 3~5
透水係数 k = 10-5~10-7cm/sec
2
mm 間隙比 小
0.005 0.075
沈下量が大きい
⇒ 安全性に問題
間隙比 大
砂
透水係数 小
透水係数 大
沈下にかかる時間が長い
⇒ 長期維持管理で経済性に問題
粘土
シルト
礫
沈下量
小
沈下時間
短
沈下量
大
沈下時間
長
圧密とは
圧
密
量
構造物の完成
沈下の途中
沈下完了
ゆっくり時間をかけて間隙水が押し出されて、地盤が圧縮する現象
圧密
特に、圧密時間が長く、
圧密量が大きい粘土が問題になる。
全応力 σ = 有効応力 σ’ + 間隙水圧 u
上載圧 = V
V
V
水
(間隙水)
バネ
(土粒子)
構造物の完成
・有効応力 σ’ :
沈下の途中
土粒子の部分で
受け持つ応力
全応力
σ=V
沈下完了
σ’
・過剰間隙水圧 u : 上載圧の増加に
伴って生じた水圧
u
時間
Terzaghiの圧密理論
V
圧密を「時間t」と「場所z」の関数
σ=V
砂層
② σ = σ’ + u
地下水面
有効応力
σ’
H
① 1次元圧密
u
粘土層
z
過剰間隙
水圧
③ 排水量 = 体積収縮
過剰間隙水圧がなくなるまで
体積収縮する
1 ∂ ⎛ ∂u ⎞
1 ∂e
=
k
⎜
⎟
γ w ∂ z ⎝ ∂ z ⎠ 1 + e0 ∂ t
不透水層
例として関西国際空港
地盤沈下
~関西国際空港~
◎関西国際空港
・埋立地に空港を建設
・海底の一番上に堆積しているものは、
柔らかい沖積粘土層(約1万年前に堆積した地層)
・その下に硬い洪積層
(約200万年前~1万年前に堆積した地層)
・空港の重さは約50t/m2
(手のひらに大人が8.5人くらいの圧力)
居住地域の騒音問題を引き起こさないために、
沖合5kmのところに人工島を建設
⇒ 公害解決の代償として、大きな沈下が生じている。
敷砂
空港盛土
沖積粘土層
砂層
盛土をすると、どうして沈
下するのか?
どうして、沈下がゆっくり
生じるのか?
10年目程度までの沈下は、
かなり正確に予測。
問題は、それ以降の長期
残留沈下!
砂杭(サンドパイル)
~沖積層の沈下~
砂杭で排水速度を早めた
→沈下量は大きいが沈下は早く収束
建設完了
沖積層
沈下量 (m)
洪積層
空港開港
~洪積層の沈下量~
砂杭は深いため打ち込めない
→沈下量は大きく、沈下の収束は非常に遅い
沖積層
沈下量 (m)
洪積層
建設完了
空港開港
空港が開港されてからも、大きな沈下が生じている。
⇒ 許容範囲を超えたら、かなり危険!!!
地盤沈下
~洪積層の沈下量~
洪積層の沈下量 (m)
0
1
Terzaghiの圧密理
論(粘性を無視)によ
る予測
2
3
洪積層
実測値
4
沖積層
5
6
2002
7
10
100
1000
10000
建設後の経過時間(1990年3月~) (day)
予測を超えた沈下
が生じている。
二次圧密対策
~ジャッキアップシステム~
・本館部分は大規模な地下室があるために、
ウイング部分より軽い。
⇒ 各場所の沈下量がバラバラ(不同沈下)
⇒ 地表面に凸凹ができてしまう。
凹んだ部分をジャッキ
で持ち上げる。
地盤沈下
~即時沈下と残留沈下~
盛土の高さ
建設完了
○即時沈下
時間
沈下量
荷重の増加に応じた沈下
一定
○残留沈下
間隙水圧の消散
鉛直荷重が一定の状態での沈下
【一次圧密】
過剰間隙水圧の消散に伴い、
有効応力増加で地盤が圧縮
【二次圧密】
有効応力一定状態で生じる
圧密現象
有効応力
即時沈下
残留沈下
深度
一次圧密
二次圧密
地盤沈下
~即時沈下と残留沈下~
盛土の高さ
建設完了
○即時沈下
時間
沈下量
荷重の増加に応じた沈下
一定
○残留沈下
間隙水圧の消散
鉛直荷重が一定の状態での沈下
【一次圧密】
過剰間隙水圧の消散に伴い、
有効応力増加で地盤が圧縮
【二次圧密】
有効応力一定状態で生じる
圧密現象
土に加わる荷重は一定
なのに、圧密が起こる?
有効応力
即時沈下
残留沈下
深度
一次圧密
二次圧密
Terzaghiの圧密理論
土の粘性
土の粘性
◎土の粘性とは
① σ
①有効応力一定で生じる二次圧密の要因
(クリープ変形)
有効応力一定で生じる
「クリープ」
②時間効果がある
⇒載荷速度による変形・強度特性の変化
(例:コンクリートは早くつぶすほど大きな強度が
出る)
構造物建設後の地盤沈下の
正確な予測には、土の粘性に
対する正確な理解が必要。
ε
② σ
10 ε 0
ε 0
10倍
1 10ε 0
1/10倍
ε
土の粘性
~粘土~
logσ’
◎粘土の一次元圧密試験
a
a
○現場の問題
b
地下水汲上げにより地下水位変
化や盛土の建設
d,e
d
c
→有効応力が変化する。
e
○圧密試験での再現
σ’
e
e
d
・地下水低下、盛土建設
⇒ 載荷・再載荷
b
・地下水位上昇、盛土撤去
⇒ 除荷
b,c
σ’ = σ - u
a
c
有効応力一定
→クリープが生じる。
time
土の粘性
~粘土~
◎クリープ(creep)【一定有効応力で生じる土の変形】
①載荷中 ⇒ 正のクリープ(収縮)
σ
・載荷が進むほど ⇒ 正のクリープ 大
有効応力一定で生じる
「クリープ」
σ
ε
①
ε
土の粘性
~粘土~
◎クリープ(creep)【一定有効応力で生じる土の変形】
①載荷中 ⇒ 正のクリープ(収縮)
σ
②除荷中 ⇒ 正(収縮)→0→負(膨張)
・除荷が進むほど ⇒ 負のクリープ大
有効応力一定で生じる
「クリープ」
σ
ε
クリープ量 = 0
②
ε
土の粘性
~粘土~
◎クリープ(creep)【一定有効応力で生じる土の変形】
①載荷中 ⇒ 正のクリープ(収縮)
σ
②除荷中 ⇒ 正(収縮)→0→負(膨張)
③再載荷中 ⇒ 正のクリープ(収縮)
σ
有効応力一定で生じる
「クリープ」
③
ε
ε
土の粘性
~粘土~
◎クリープ(creep)【一定有効応力で生じる土の変形】
σ
①載荷中 ⇒ 正のクリープ(収縮)
②除荷中 ⇒ 正(収縮)→0→負(膨張)
③再載荷中 ⇒ 正のクリープ(収縮)
有効応力一定で生じる
「クリープ」
σ
ε
同一応力でも、応力履歴
(載荷・除荷・再載荷)によって
クリープの方向が異なる。
ε
土の粘性
~砂質土~
◎土の粘性とは
① σ
①有効応力一定で生じる二次圧密の要因
(クリープ変形)
②時間効果がある
⇒載荷速度による変形・強度特性の変化
一次圧密(Terzaghi圧密理論)では、
砂はすぐに沈下が終わるのであまり
問題にはならない。
有効応力一定で生じる
「クリープ」
ε
② σ
土の粘性は、土粒子自体の粘性
10 ε 0
ε 0
10倍
1 10ε 0
⇒ 砂は二次圧密が問題となる。
⇒ しかも、けっこう厄介・・・
1/10倍
ε
土の粘性
◎砂の三軸圧縮試験
三軸試験: 拘束圧を加える
~砂質土~
① 載荷する速度を途中で速くしてみる。
σ
(地下水位以深を想定)
10ε・0
急増
ε・0
σ1
σ3 : 拘束圧
σ3
ε
土の粘性
◎砂の三軸圧縮試験
三軸試験: 拘束圧を加える
~砂質土~
② 載荷する速度を途中で遅くしてみる。
σ
(地下水位以深を想定)
急減
σ1
σ3 : 拘束圧
σ3
1/10ε・0
ε・0
ε
土の粘性
◎砂の三軸圧縮試験
三軸試験: 拘束圧を加える
~砂質土~
③ クリープを入れてみる。
σ
(地下水位以深を想定)
クリープ
ε・0
σ1
σ3 : 拘束圧
σ3
ε
土の粘性
~砂質土~
◎砂の三軸圧縮試験
三軸試験: 拘束圧を加える
(地下水位以深を想定)
①
σ1
σ3 : 拘束圧
②
○目的
応力ひずみ関係の
予測シュミレーション
の作成
σ3
③
①・②:粘性タイプ
③:クリープ
様々な地盤材料の多様な粘性タイプ
σ
1/10倍
10倍
10 ε 0
ε 0
1 10 ε 0
ε
Isotach粘性
(Iso=等しい、tach=速度)
・粘土
・補強材 (ポリマー)
・EPS
・堆積軟岩 (既知)
様々な地盤材料の多様な粘性タイプ
σ
1/10倍
10倍
10 ε 0
ε 0
σ
1/10倍
10倍
1 10 ε 0 , ε 0 ,10 ε 0
1 10 ε 0
ε
ε
Isotach粘性
TESRA粘性
(Iso=等しい、tach=速度) (Temporary effect of
・粘土
strain rate & acceleration)
・補強材 (ポリマー)
・EPS
・堆積軟岩 (既知)
・粒子形状が角ばっている、
貧配合の砂
(豊浦砂、珪砂) (最近発見)
様々な地盤材料の多様な粘性タイプ
σ
1/10倍
10倍
10 ε 0
ε 0
σ
σ
1/10倍
1/10倍
10倍
1 10 ε 0 , ε 0 ,10 ε 0
ε 0
10倍
1 10 ε 0
10 ε 0
ε
ε
Isotach粘性
1 10 ε 0
TESRA粘性
ε
P & N 粘性
(Iso=等しい、tach=速度) (Temporary effect of
(Positive & Negative)
・粘土
strain rate & acceleration) ・粒子形状が丸みを
・補強材 (ポリマー)
・EPS
・堆積軟岩 (既知)
・粒子形状が角ばっている、
貧配合の砂
(豊浦砂、珪砂) (最近発見)
帯びて貧配合の砂
(Albany珪砂)
(理科大で発見)
土の粘性
角張ってる
良配合
貧配合
~砂質土~
丸い
Isotach
TESRA
TESRA
P&N
2008年4月土木技術の役割と展望: 地盤工学
学部の授業の内容を超えた現実の課題及び大学院で学ぶこと
2.土の圧密とクリープ変形:
弾塑性仮定に基づいた一次圧密→二次圧密、クリープ、粘性
実測と予測
2020
2030
2010
2000
1995
1993
1
1992
0
1991
洪積世粘土の圧縮, d (m)
まとめ:
Calculated
粘性を考慮
(not
considering the
viscous
property)
しない解析
2
3
測定値
Measured
4
5
6
2002
7
10
100
1000
10000
1990年3月以降の経過時間 [日]
粘性による二次圧密を考慮し
ないと説明できない
2008年4月土木技術の役割と展望: 地盤工学
学部の授業の内容を超えた現実の課題
3. 土圧、擁壁と橋台の構造形式の抜本的改革
従来式擁壁→ジオシンセティックス補強度盛土とGRS一体橋梁
10分:龍岡の背景解説/10分:相馬君の説明/10分:龍岡のまとめと質疑応答
従来型擁壁
重力式 L型 RC 逆TRC (gravity) (cantilever) (T-shaped) 土圧
土圧
土圧
新しい擁壁技術
ジオテキスタイル補強土擁壁
・補強土(reinforced soil)
・ジオテキスタイル(geo-textile)
geo: 大地、 textile: 繊維
土圧
東京、新宿
- 中央線と山手線の交差する地点
- 山手線の 線路移動と中央線を越す新しい跨線橋への
取付け盛土
補強土擁壁
橋台
補強土擁壁
中央線
Box
JR
変電所
跨線橋
山の手線
橋台
新大久保
新宿
11k300m(A-A)
111,800(補強土擁壁)
11k390m(B-B)
75,000
11k460m(C-C)
7,400
84,100(補強土擁壁)
28,500
ジオテキスタイル補強土擁壁の最も重要な工事の一つ
(1995年~2000年、新宿)
- 見かけは、普通のRC擁壁
- しかし、全く新しい形式の擁壁
a) 剛な壁面工を持ち、裏込め盛土はジオテキスタイルによって補強。
b) 現在まで、我が国で 80 km 以上の長さに亘って建設。
山の手線
GRS一体橋梁の開発経緯
各種の技術的
問題がある
従来型橋梁
主に盛土の諸問題の解決
主にRC構造物の諸問題を解決
一体橋梁
GRS擁壁橋梁
結合
GRS一体橋梁
理科大地盤研究室
が新しく提案する橋
梁形式
2008/4/24 研究紹介
現代における土木技術の役割と展望
補強土擁壁を応用した
新しい橋梁形式の提案
地盤工学研究室
修士課程1年 相馬亮一
狭い国土を有効に活用するためには鉛直な擁壁が必要
斜面上に平地を建設
盛土・切土により緩い斜面を
建設すると、広大な建設用地
が必要
鉛直壁を建設
盛土量、掘削量を削減すること
により造成に必要な消費エネ
ルギーを抑制
狭い国土を有効に活用するためには鉛直な擁壁が必要
斜面上に平地を建設
盛土・切土により緩い斜面を
建設すると、広大な建設用地
が必要
鉛直壁を建設
盛土量、掘削量を削減すること
により造成に必要な消費エネ
ルギーを抑制
施工範囲
狭い国土を有効に活用するためには鉛直な擁壁が必要
斜面上に平地を建設
盛土・切土により緩い斜面を
建設すると、広大な建設用地
が必要
鉛直壁を建設
盛土量、掘削量を削減すること
により造成に必要な消費エネ
ルギーを抑制
施工範囲
狭い国土を有効に活用するためには鉛直な擁壁が必要
斜面上に平地を建設
施工範囲
盛土・切土により緩い斜面を
建設すると、広大な建設用地
が必要
鉛直壁を建設
盛土量、掘削量を削減すること
により造成に必要な消費エネ
ルギーを抑制
施工範囲
従来形式のRC擁壁
重力式擁壁
逆T型擁壁
L型擁壁
従来形式擁壁の特徴
土圧
H
片持ち梁形式
強硬な壁体及び杭基礎
が必要
応力集中
1
S = 総主働土圧 = KaγH 2
非経済的
2
⎛H⎞ 1
M = モーメント荷重 = S × ⎜ ⎟ = KaγH 3
⎝3⎠ 6
補強土擁壁
RC擁壁
ジオグリッド
10cm
ジオグリッド
土嚢
補強土擁壁@静岡空港
21m
補強土擁壁
ジオグリッド
10cm
土圧
補強土擁壁@静岡空港
21m
補強土擁壁
ジオグリッド
10cm
補強土擁壁@静岡空港
補強材張力
•壁面工・杭を簡略化できる→工期・工費の縮減
21m
•補強材により盛土の土塊が拘束→地震・交通荷重による大きな変
形が少ない
•壁面工が多支点連続梁構造→壁高が大きくても設計が可能
従来形式の橋梁
~重力式橋台橋梁~
支承
橋桁
背面盛土
(無補強)
背面盛土
RC橋台
(無補強)
杭
重力式橋台橋梁(日本の従来形式橋梁の例)
•橋台が片持ち梁構造→土圧に抵抗するため大きな橋台、杭が必要
•背面盛土が無補強→交通荷重、地震荷重により沈下、変位の虞
•支承の存在→支承の建設費・長期維持管理が必要
支承は地震時に弱い!
従来形式の橋梁
~一体橋梁~
一体化(支承なし)
橋桁
背面盛土
(無補強)
背面盛土
橋台
(無補強)
一体橋梁(英米での標準工法)
•橋桁が支補工の役割
•左右橋台及び橋桁が一体として地震荷重に抵抗→地震に強い
•橋桁の熱伸縮(夏と冬の温度差)により橋台が水平変位
→盛土の沈下及び橋台・杭頭部の損傷
•一体橋梁の長大化が困難
•盛土が無補強→交通荷重、地震荷重による盛土の変形、沈下
従来形式の橋梁
~一体橋梁~
Integration
girder
backfill
abutments
館山道
一体橋梁(英米での標準工法)
•橋桁が支補工の役割
•左右橋台及び橋桁が一体として地震荷重に抵抗→地震に強い
•橋桁の熱伸縮(夏と冬の温度差)により橋台が水平変位
→盛土の沈下及び橋台・杭頭部の損傷
•一体橋梁の長大化が困難
•盛土が無補強→交通荷重、地震荷重による盛土の変形、沈下
壁面工の繰返し水平載荷模型実験
主働側
載荷装置
模型壁面工
ヒンジ構造
受働側
奥行き: 40 cm
(%)
Lateral displacement of facing,d/H
d/H (%)
壁面工全体の土圧係数,
K K壁面工上端での水平変位比,
Total earth pressure coefficient,
無補強盛土で壁面工下端がヒンジ支持の場合の実験例
L
d/H
50.5
cm cm
H= 50.5
Settlement at the crest of backfill,
盛土の沈下比,
Sg/H (%)Sg/H (%)
無補強盛土
L= 35 cm
L= 35 cm
0.0
L= 20 cm
L= 20 cm
0.5
L= 10 cm
L= 10 cm
1.0
H= 50.5 cm
1.5
Distance from the back of facing, L= 5 cm
壁面工からL= 5 cmでの沈下
2.0
0
5000
10000
Elaplsed time, t (sec)
経過時間, t (秒)
15000
0.6
0.5
0.4
0.3
0.2
0.1
0.0
4
3
初期状態
Initial
state
(K0=0.5)
2
1
0
0
5000
10000
Elapsed time, t (sec)
経過時間, t (秒)
15000
無補強盛土内に発生した主働すべりと沈下(D/H= 0.4 %)
微小繰返し水平変位
主働すべり
壁面工下端
ヒンジ支持
せん断層
(主働すべり面)
無補強盛土
ジオシンセティックス補強土擁壁を橋台に応用
Geogrid
Geogrid
一体化
Geosynthetic-Reinforced Soil(GRS)一体橋梁
(理科大地盤工学研で新たに提案)
•支承が無い→建設費・維持管理費の縮減、耐震性の向上
•橋台が多支点連続梁構造→橋台を薄くでき、杭の必要性が軽減
•背面盛土を補強→交通荷重、地震荷重による変形・沈下は軽減で
きる
補強土擁壁の施工手順
②GRS一体橋梁
①重力式橋梁
支持地盤
補強土擁壁の施工手順
②GRS一体橋梁
①重力式橋梁
支持地盤
•盛土建設による支持地盤の沈下・
側方流動
→大きな擁壁・杭が必要
補強土擁壁の施工手順
②GRS一体橋梁
①重力式橋梁
支持地盤
•盛土建設による支持地盤の沈下・
側方流動
→大きな擁壁・杭が必要
補強土擁壁の施工手順
②GRS一体橋梁
①重力式橋梁
支持地盤
•盛土建設による支持地盤の沈下・
側方流動
→大きな擁壁・杭が必要
工費→大
補強土擁壁の施工手順
②GRS一体橋梁
①重力式橋梁
土嚢
支持地盤
•盛土建設による支持地盤の沈下・
側方流動
→大きな擁壁・杭が必要
工費→大
ジオグリッド
支持地盤
•盛土を建設し、支持地盤の
沈下・側方流動が完了後、
杭・擁壁の建設
•よりスリムな構造体になる
→工費の削減
補強土擁壁の施工手順
②GRS一体橋梁
①重力式橋梁
土嚢
ジオグリッド
支持地盤
•盛土建設による支持地盤の沈下・
側方流動
→大きな擁壁・杭が必要
工費→大
支持地盤
•盛土を建設し、支持地盤の
沈下・側方流動が完了後、
杭・擁壁の建設
•よりスリムな構造体になる
→工費の削減
補強土擁壁の施工手順
②GRS一体橋梁
①重力式橋梁
ジオグリッドと擁壁
を結合可能
ジオグリッド
支持地盤
•盛土建設による支持地盤の沈下・
側方流動
→大きな擁壁・杭が必要
工費→大
支持地盤
•盛土を建設し、支持地盤の
沈下・側方流動が完了後、
杭・擁壁の建設
•よりスリムな構造体になる
→工費の削減
振動台実験の概要 (縮尺比1/10)
GRS Integral
奥行き: 60 cm
橋桁:200 kg (等価橋桁長 = 2 m)
61 cm
想定している橋梁
Weight
20 m
5.1 m
51 cm
補強材: L= 35 cm
35 cm
空気乾燥豊浦砂
相対密度 = 90 %
入力加速度:サイン波 (f= 5 Hz; T= 4 sec; & 20 waves;
100 galずづ増加させる多段階加振)
981 gal = 1G
重力式橋台橋梁
一体橋梁
神戸波では最大加速度800 galが3波
GRS一体橋梁では1000 gal(1G以上)を20波
255 gal
641 gal
GRS 擁壁橋梁
GRS 一体橋梁
589 gal
1048 gal
GRS一体橋梁の地震時破壊メカニズム
地震時破壊メカニズム
慣性力
Passive failure
①盛土上部が橋桁慣性力により
受働破壊
→ 橋台の回転中心が下がる
Earth pressure
Tensile load
GRS一体橋梁の地震時破壊メカニズム
地震時破壊メカニズム
慣性力
Passive failure
①盛土上部が橋桁慣性力により
受働破壊
→ 橋台の回転中心が下がる
②橋桁と橋台の連結部が降伏を
開始
Start yielding
Earth pressure
Tensile load
GRS一体橋梁の地震時破壊メカニズム
地震時破壊メカニズム
慣性力
Passive failure
①盛土上部が橋桁慣性力により
受働破壊
→ 橋台の回転中心が下がる
Start yielding
Earth pressure
②橋桁と橋台の連結部が降伏を
開始
③橋台下部が主働側に変位し、
破壊に至る
Slide out
Tensile load
低い建設費で耐震性能をさらに向上する方法は?
改良されたGRS一体橋梁
1.背面盛土セメント改良
慣性力
Passive resistance
Cement-mixing
sand
2.短杭(壁高の1/3)の施工
慣性力
Passive failure
Earth pressure
張力
張力
Passive resistance
GRS一体橋梁(短杭あり)
GRS integral bridge
1048 gal
piles
1030 gal
cement-mixing
1136 gal
GRS integral bridge
cement-mixing
1048 gal
1136 gal
piles
•背面盛土を固化すると
破壊時加速度は約100 gal増加
•盛土上部が有効に橋桁慣性力
に抵抗
1030 gal
GRS integral bridge
1048 gal
cement-mixing
1136 gal
piles
短杭を施工すると、すべり面が
補強領域の後ろに下がる!
ジオグリッドと杭が同時に抵抗
していない!
1030 gal
CONCLUSIONS
1) 新しく提案されたGRS一体橋梁の耐震性
能は非常に高く、費用対効果が高い.
GRS Integral
2) GRS一体橋梁の耐震性能をさらに向上するためには,
a) 背面盛土をセメント固化し、盛土上部の受働抵抗を増加する
ことは有効である
b) 短い杭は効果が無い.
3) 最適なセメント改良域の検討と杭長の検討が今後必要
GRS一体橋梁の開発経緯
従来型橋梁
主にRC構造物の諸問題を解決
一体橋梁
橋桁と橋台を一体化した橋梁(Integral bridge)
コンクリート型枠
2. RC橋台
(壁面工/
竪壁)
1. 杭基礎
一体橋梁
3. 連続桁(竪壁と一体化)
4. 背面盛土
2. RC竪壁
1. 杭
一体橋梁
3. 連続桁(竪壁と一体化)
4. 背面盛土
2. RC竪壁
米国と英国で盛んに建設
a)支承の省略、 b)連続桁
→建設費と維持管理費の軽減
1. 杭
一体橋梁 における未解決の問題
6. 供用: 6a. 長期に自重・交通荷重で沈下
6b. 地震時に変形、沈下
4. 一体化
3. 橋桁
5. 盛土
2. RC橋台
(竪壁)
5b. 土圧作用に伴う竪
壁の変位
1. 杭基礎
5. 盛土
土圧(常時と
地震時)
5b. 支持地盤の沈下と
側方流動
一体橋梁での新しい問題
気温の季節変動による橋桁の熱伸縮
に伴う壁面工上端の繰返し水平変位
土圧の増加による壁面工の
構造被害と壁面工下部の前
方への押し出し
盛土の主働崩
壊に伴う沈下
GRS一体橋梁の開発経緯
従来型橋梁
主に盛土の諸問題の解決
GRS擁壁橋梁
東京大学(龍岡ら)
鉄道総合技術研究所
で長い間研究してきた
主にRC構造物の諸問題を解決
一体橋梁
ジオシンセティックス補強土(GRS)擁壁を活用した
橋梁形式(数字は施工順序)
3: 小橋台
1
2: RC橋台(壁面工)
1: ジオシンセティックス補強盛土
ジオシンセティックス補強土(GRS)擁壁を活用した
橋梁形式(数字は施工順序)
3
3: 小橋台
5. 橋桁
4. 固定・可動支承
1
2: RC橋台(壁面工)
1: ジオシンセティックス補強盛土
施工順序がポイント
3
5. 橋桁
3: 小橋台
4. 固定・可動支承
1
2: RCパラペット
- 数字は施工順序
1: ジオテキスタイル補強土擁壁
西武新宿線、桜台
GRS擁壁を活用した橋梁形式における諸問題
3
3: 小橋台:
3a: 残留沈下の可能性
3b: 耐震性における弱点
5. 橋桁
4. 固定・可動支承:
4a: 長期維持管理問題
4b: 耐震性のおける弱点
1
2: RC橋台(壁面工)
1: ジオシンセティックス補強盛土
GRS一体橋梁の開発経緯
従来型橋梁
主に盛土の諸問題の解決
・小橋台の低い耐震性
・支承があるための低
い耐震性
不合理な構造
・盛土が無補強
・橋台構造物が片持ち梁構造
・支承
そのため、C/P比が低い
・高い建設費・維持管理費
・盛土と橋梁の低い耐震性
主にRC構造物の諸問題を解決
一体橋梁
GRS擁壁橋梁
各種の技術的問題
各種の技術的問題
結合
GRS一体橋梁
各種の技術的問題
・橋桁の温度伸縮による
土圧増加と盛土沈下
・盛土の低い長期沈下と
低い耐震性
理科大地盤研究室
が新しく提案
GRS 一体橋梁(数字は施工順序)
1. ジオシンセティック
ス補強土擁壁
3. 剛な一体壁面工
壁面工とジオシンセティックス
補強盛土は一体化
地盤の変形が小さい
場合は、杭を先に施
行しても良い
2. 杭基礎
GRS 一体橋梁(数字は施工順序)
5. 一体化
1. ジオシンセティック
ス補強土擁壁
4. 橋桁
3. 剛な一体壁面工
壁面工とジオシンセティックス
補強盛土は一体化
2. 杭基礎
老朽化橋梁における諸問題(新しい研究テーマ)
支承: 長期維持管理が問題。老朽化し
て機能が不完全な場合が多い。耐震
上の弱点となっている。
橋桁: 構造的に強度不足
の場合がある。一般的に
地震時安定性が不足。
橋台: 過大に変位して
いる場合がある。地震
時に、一般的に駆体強
度は不足し、全体的に
不安定化。
長期に自重・交通荷重で沈下する傾向
地震時に変形、沈下
盛土:基本的に耐震設計
をしていない。地震時の
安定性が低い。
支持地盤
杭基礎: 盛土荷重による地盤沈下と側方流動に
伴う杭のネガティブフリクションと曲げモーメント
により過大に変位している場合がある。一般に、
耐震性が不十分。
③気温変化による桁の伸縮に伴う繰返し水平変位(橋高の0.1~1%)
①交通荷重によ
る繰返し載荷
補強材
遇角部
一体化した
橋桁と橋台
盛土
各部での変位と構造体
内部応力を詳細に測定
杭
②地震荷重
支持地盤
2008年4月土木技術の役割と展望: 地盤工学
学部の授業の内容を超えた現実の課題
3.土圧、擁壁: (相馬)
従来式擁壁→ジオシンセティックス補強度盛土とGRS一体橋梁
まとめ: ジオシンセティックスで補強することにより、
盛土は強くなり安定化する!
新しい世界
土圧
2008年4月土木技術の役割と展望: 地盤工学
学部の授業の内容を超えた現実の課題及び大学院で学ぶこと
1.土のせん断強度と締固め問題:
剛完全塑性→ひずみ硬化・ひずみ軟化、ピーク/残留強度
→締固め管理と設計せん断強度の関連
2.土の圧密とクリープ変形:
弾塑性仮定に基づいた一次圧密→二次圧密、クリープ、粘性
3.土圧、擁壁と橋台の構造形式の抜本的改革
従来式擁壁→ジオシンセティックス補強度盛土とGRS一体橋梁
学部で学ぶことは、学問の入り口!
学部を卒業しても、常に学問!
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