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「製品の高度化/金属関連技術の高度化」
技術情報 Q&Aコーナー IRI ・ ・「製品の高度化/金属関連技術の高度化」 Q&A・ Q 3Dプリンターの産業利用の可能性と 工業試験場での取り組みについて教え てください 3Dプリンターは、3次元CADデータ A から比較的手軽に実立体を得る手段とし て注目されています。3Dプリンターの主な 利用目的は、ものづくりの開発段階で実立体 を試作し、その後の設計に反映させることを 目的とした利用が多いようです。3Dプリン ターでの部品製作は、使用できる材料に制限 があったり、材料が高価だったり、また製作 に長時間を要するなど、ロット数の多い部品 の製作には、不向きと考えられています。そ の中で、金属製の粉末材料を使った積層造形 な複雑な内部構造を持つ金属部品などの高い 付加価値の製品製作が可能であることから、 国をあげて国産機開発が進められるなど、今 後の実製品への展開に期待が高まっています。 工業試験場では、早くから光造形装置が導 入され、道内企業にも広く利用していただい ています。その後、無機粉末(砂)や、金属 粉末、熱可塑性樹脂を材料とする3Dプリン ター装置の導入と、それらを使った技術開発 に取り組んでいます。特に、金属粉末積層造 形に関して、工業試験場では平成 28 年度か ら重点研究の一つとして、3Dプリンターに よる実用的な金属製品の製作を目指した研究 に取り組んでいます。 分野では、金型の製作や肉盛り補修、さらに、 3Dプリンターでなければ製作できないよう Q 金属材料の表面改質にレーザを使う メリットは何ですか? (製品技術部 戸羽 篤也) 向や製品形状による肉盛り品質の影響につい て研究に取り組んでおります。将来的には鋳 造用金型の部分補修や機械部品摺動部の高耐 金属材料の表面に母材と異なる性質のも のを付与して、材料の耐熱性や耐食性を 高める加工技術を表面改質と言います。表面 改質には、肉盛り溶接、溶射、めっき、蒸着 など様々な方法があり、これらは材料の厚さ や材質によって使い分けられます。 表面改質の熱源には、レーザの他にプラズ マ、アーク放電、ガスなどが用いられます。 レーザはプラズマなどより数百倍高密度の熱 エネルギーを供給できるため、タングステン 合金など融点の高い材料を溶かした肉盛り溶 接ができます。また、レーザは出力や波形を 細かく制御できるため、加工や熱影響の範囲 が必要最小限に絞られ、寸法精度を確保する ことができます。 当試験場では、溶接ワイヤを用いたレーザ 肉盛り溶接(図)について、ワイヤの供給方 A 久化など、精度と耐久性の両立が求められる 製品での実用化を目指しております。 金型や摺動部以外でも、高精度な機械部品 の表面改質でお困りの際には気軽にご相談く ださい。 (製品技術部 櫻庭 洋平)