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シリコンバレー視察訪問

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シリコンバレー視察訪問
シリコンバレー視察訪問
報告書
2013 年 4 ⽉月 15 ⽇日(⽉月)
⻘青⼭山学院⼤大学
国際マネジメント研究科
ペットワーク:
概要
‐
(⻘青⼭山ビジネススクール)
新原弘之・平井達⽮矢・前川⽣生⺠民
視察に⾄至る経緯、視察前の準備、スケジュールについて
本報告書では、ユニバーシティ・ベンチャーグランプリ 2012 最優秀賞受賞の⼀一環シリコン
バレー視察訪問の⽬目的・概要、並びに滞在時に得られた考察をまとめる。
私たちペットワークは、⻘青⼭山学院⼤大学⼤大学院・国際マネジメント研究科(⻘青⼭山ビジネススク
ール)の夜間コースで学ぶ授業の⼀一環で、「ペット無料健康診断」のビジネスモデルを考案した。
事業の実現に向けて、より多くの起業家、また有識者のご意⾒見見をいただく為に、ユニバーシテ
ィ・ベンチャーグランプリに応募、結果として最優秀賞という評価をいただいた。⼀一⽅方で、こ
の事業計画を実際のビジネスとして実現し、起業家としてどう成功に結びつけるかに関しては、
⾃自分たち⾃自⾝身も疑問を感じ、模索をしていた。
このシリコンバレー視察では、多くの起業家が集う同地域について学ぶと共に、ベンチャー
キャピタリストへの訪問を通じて事業計画を更に磨き上げることを⽬目的として準備を⾏行行った。
シリコンバレー視察訪問⽇日程概要
3 ⽉月 12 ⽇日
成⽥田発、サンフランシスコ着
AZCA オフィス訪問
⾯面談:
⽯石井⽒氏
主旨⽬目的:
・
シリコンバレーについてのヒアリング
・
ビジネスプランプレゼン実施、事業についての質疑応答
・
起業家との意⾒見見交換(Splurgy 社)
1
Excelforce オフィス訪問
⾯面談:
Shrinath Acharya ⽒氏
主旨⽬目的:
3 ⽉月 13 ⽇日
・
事業概要説明ヒアリング
・
シリコンバレー、起業についての意⾒見見交換
DFJ-JAIC Venture Partners オフィス訪問
⾯面談:
主旨⽬目的:
ビジネスプランプレゼン実施、事業についての質疑応答
Fenox Venture Capital
⾯面談:
主旨⽬目的:ビジネスプランプレゼン実施、事業についての質疑応答
3 ⽉月 14 ⽇日
スタンフォード⼤大学訪問
主旨⽬目的:
・
Dr. Everhert 講義シリコンバレーの起業家を⽣生み出す⽂文化について
・
キャンパス視察
・
早稲⽥田ビジネススクール訪問団合同のビジネスプラン発表、懇親会参加
PARC オフィス訪問
⾯面談:
Aki Ohashi ⽒氏
主旨⽬目的:
・
シリコンバレーの技術⾰革新、事業化についての動向についてのヒアリン
グ
3 ⽉月 15 ⽇日
Plug and Play オフィス訪問
主旨⽬目的:
・
Plug and Play プレゼンセッション⾒見見学
・
Executive-in-Residence(EIR)セッション出席、投資家との交流
・
インキュベーションオフィス⾒見見学
2
NEDO オフィス訪問
⾯面談:
宮本⽒氏
主旨⽬目的:
・
シリコンバレー動向、⽇日本の起業⽂文化との違いに関するヒアリング
・
ビジネスプランプレゼン実施、事業についての質疑応答
nest オフィス訪問
主旨⽬目的:
・
新しいインキュベーションオフィスの視察
3 ⽉月 16 ⽇日
終⽇日⾃自由⾏行行動
3 ⽉月 17 ⽇日
サンフランシスコ出発、成⽥田着(翌⽇日)
第 1 ⽇日⽬目:
訪問先①
3 ⽉月 12 ⽇日(⽕火)
AZCA,INC.
⾯面談者:⽯石井正純⽒氏
(レポート担当:平井)
福⾒見見誠⽒氏
(アテンド:野村総研・曽我⽒氏)
訪問先企業事業内容:シリコンバレーのイノベーションエコシステムを活⽤用したグローバル市
場での新規事業開発及び新規事業展開を有効に進めることの出来るグローバル⼈人材の育成を主
なテーマとしてクライアント企業にコンサルティング・サービスを提供している。主な投資先
業界は情報通信・エレクトロニクス、環境・エネルギー、ライフサイエンスである。
ミーティングスタイル:まず初めに現在のシリコンバレーの状況やシリコンバレーの概要につ
いて⽯石井⽒氏より講義形式にてご教授いただく。その後、私達のビジネスプランを 10 分でパワ
ーポイントにて発表、質疑応答及びフィードバックをいただく。
ディスカッションポイントと訪問での学び:
最初の学びは「どうしてシリコンバレーは優れているのか?」答えは、①多様性②⾼高い教育⽔水
準③豊富な資⾦金金源④ハイテク産業のメッカ、である。当然ながらシリコンバレー(半導体・丘)
という地名は存在しない。サンタクララバレー及びその周辺の俗称であり、その地域に半導体
3
関連の企業が集積し発展したことからそのように呼ばれるようになった。⼈人材と資⾦金金、⼤大学や
研究機関が集まる事で、イノベーションエコシステムが循環し、今のシリコンバレーを築き上
げている。現在世界中を⾒見見渡してもこのような特異な地域は存在しない。
また私達のビジネスプランの発表を⾏行行い、フィードバックをいただいた。全体としてまとま
っていると好評価を頂戴する。しかしキャッシュフローが明確でないと指摘。投資家に投資を
受けようと考えているのであれば、「いくら必要で、どのくらいのリターンがあるのか?」を表
現しなければならない。⾃自⾝身のあるプランをただ発表するだけではなく、ビジネスとして、投
資先、提携先に対して相⼿手に対するインセンティブやリターンを、相⼿手の⽴立立場にたって説明す
ることが重要であると学ぶ。
訪問先②
Excelforce
(レポート担当:新原)
⾯面談者:
CEO Shrinath Acharya ⽒氏
(アテンド:野村総研・曽我⽒氏)
Excelforce は、IT 系企業で、⽇日本企業との取引もあるとのこと。(ホンダなど)おもにクラ
ウドシステムを構築し、⾃自動⾞車車関連のサービスプロバイバーが主要な事業内容。従業員は 1020 名、オフィスは市街を離れた住宅街の住居を改築した2棟。訪問後、Petwork のビジネス
プランを 5 分で PPT にて発表、Acharya ⽒氏からのフィードバッグと質疑応答を⾏行行った。
Petwork のビジネスモデルについてはいくつかの質問で詳細説明から理解いただけたと感じ
た。シリコンバレー訪問初⽇日で、英語バージョンで⽇日本⼈人以外のプレゼンテーションだったが
その時に聞き⼿手の反応と発表内容の調整をデモンストレーション通して体験できたことは収穫。
ここでの⼤大きな学びは、私達のビジネスプランへのフィードバックよりむしろ⼼心構えのよう
なアドバイスであった。CEO の Acharya ⽒氏からの質問「起業や MBA を通して、あなたたちの
ゴールや夢は何か?」であり、短期
中⻑⾧長期的なゴールやビジョンの設定をもとに何事も進め
てゆくこと、ただしガチガチに設定するのでなく柔軟にプランの修正が必要なことを説明され
ていた点と考える。またビジネススクールでの学び、MBA 取得がどのように CEO の Acharya
⽒氏に⽣生かされているのか質問したが、重要なのはネットワークであり、もちろんビジネスに関
するフレームワークなどの知識は⽣生かせるが⼈人脈を作りそのネットワークのなかでリソースを
獲得することが重要な点も学びだった。
4
ミーティング後の記念撮影
事業概要を説明いただく
第 2 ⽇日⽬目:3 ⽉月 13 ⽇日(⽔水)
訪問先③
DFJ-JAIC Venture Partners, LLC
(レポート担当:前川)
⾯面談者:Tim Draper ⽒氏、他 3 名(アテンド:野村総研・⽯石綿⽒氏、曽我⽒氏)
DFJ-JAIC Venture Partners は、Draper Fisher Jurvetson(DFJ)、⽇日本アジア投資株式会
社、また JAIC America が共同出資し、アメリカと⽇日本で IT、ソフトウェア、環境技術事業な
どに投資をするベンチャーキャピタルである。DFJ の共同代表であり、シリコンバレーを代表
するベンチャーキャピタリストの Draper ⽒氏をはじめ、JAIC のアメリカオフィスの北村⽒氏、前
⽥田⽒氏、⽇日本オフィスの中垣⽒氏にお会いする機会を得た。中でも、ドレーパー⽒氏は、ベンチャー
キャピタリストの家系、過去にスカイプ、ほっとメール等への投資で有名な投資家で、近年は
テスラ・モーターズへ出資をしている。このミーティング以降の滞在においてその存在の⼤大き
さを知らされることになった。
早速、私たちのビジネスモデルの説明をさせていただいたが、直後に鋭い質問を⽮矢継ぎ早に
いただいた。 出発前に参加したビジネスコンテストなどとは違う投資家⽬目線での質問を多くい
ただき、議論のなかで多くの学びを得た。
5
中でも、マーケットサイズの定義、そしてその何割をとるつもりなのかという点に関しては、
最初ドレーパー⽒氏の質問の意味が理解できなかった。議論を通じ、マーケットの定義⼿手法に関
し、私たちの認識が、根本的に間違っていたことが分かった。私たちは縮⼩小する既存のペット
市場を活性化し、新たに⽣生み出した市場が私達の戦う場であると考えていたが、実際にドレー
パー⽒氏が私たちに問いかけたマーケット定義は、私達に広告費を払う「既存の事業主」が現在
⽀支払っている広告マーケティング費⽤用のことであった。マーケットの定義、そしてその定義さ
れた領域で展開する事業の可能性を判断して投資を⾏行行うベンチャーキャピタリスト視点に合わ
せた事業計画及び提案の準備が不⾜足していたことを痛感した。
この他にも、「収益予測は?この売上を 2 倍、10 倍にするためには何が必要か?」「健康診
断を⾃自宅で⼿手間をかけてやる消費者が本当にいると思うのか?」という点を含め、率直また私
たちの起業の意志を試す質問もいただいた。いくらビジネス計画が優れていても、経営者、投
資家の視点を持たない限り、投資に値するスケール感のある事業は起こせない。あらゆる⾓角度
から、⾃自らのビジネスプランを⾒見見直す必要性を学んだ。
ドレーパー⽒氏との議論の様⼦子
エントランスでの記念撮影
6
訪問先④
Fenox Venture Capital (レポート担当:前川)
⾯面談:Anis Uzzaman ⽒氏、他 3 名
(アテンド:野村総研・⽯石綿⽒氏)
Fenox Venture Capital は、同じくシリコンバレーを中⼼心に世界各国の事業に投資をするベ
ンチャーキャピタルである。共同創業者で、⽇日本に在住歴もあることから、驚くほどに⽇日本語
が流暢な代表 Anis Uzzaman ⽒氏、同社に所属し、スタンフォード⼤大学で教鞭をとる Eddy Lee
⽒氏、そして同時期にシリコンバレーを視察訪問されていた、⽇日本メーカーの新規事業担当者の
⽅方に、私たちのビジネスプランをアピールする機会をいただいた。
ここでもやはり、スケールとしての事業の魅⼒力力度が低い点、そして事業を実⾏行行に移す段階で
のライアビリティ、既存の業界内事業主との関係性を如何に構築するのか、そして⽇日本で起業
するよりも思い切ってアメリカではどうかなど、多くの意⾒見見やアドバイスをいただいた。ベン
チャーキャピタリストとしてアンテナの広い Uzzaman ⽒氏に、「投資をしたいと思う企業」につ
いて伺ったところ、事業の可能性と起業家⾃自⾝身との回答をいただいた。新しい技術、ユニーク
なアプローチ、売上を⽣生み出す可能性と共に、起業家の⼈人柄、これまでの経歴、そして複数⼈人
数であればそのチームメンバーの結束とそれぞれの役割が明確であるかどうかを⾒見見極めると⾔言
う。
Fenox Venture Capital のオフィスには、エントランスを⼊入るとすぐにインキュベーション
オフィスがある。同社が投資をしている起業家に、スタートアップ資⾦金金だけではなく、事業開
始後の成⻑⾧長の加速させるための環境を⽤用意している。各⾃自のスペースに境界の無いオープンス
ペースで、多くの起業家の卵が席を置き、ビジネスの成功に向けて切磋琢磨している様⼦子も拝
⾒見見した。
プレゼンの様⼦子
エントランスでの記念撮影
7
第 3 ⽇日⽬目:3 ⽉月 14 ⽇日(⽊木)
訪問先⑤
スタンフォード⼤大学訪問
(レポート担当:前川、平井)
スタンフォード⼤大学では、早稲⽥田⼤大学の訪問団⼀一⾏行行と共に、Dr. Everhert、William Miller ⽒氏
の講義に参加した。
Dr. Everhert からは、シリコンバレーでなぜイノベーションが起こるのか、⼀一⽅方で⽇日本での
起業⾵風⼟土について、⾃自⾝身の⽇日本での起業の経験を交えながらの講義をいただいた。シリコンバ
レーで多くのイノベーティブな事業が起こり、成功を収める理由は、その環境、そしてそれを
つくりあげてきた歴史に関係している。ゴールドラッシュ以降、⺠民間投資を歓迎し、移⺠民を積
極的に受け⼊入れ、新しいことに寛容な地域⾵風⼟土が出来上がった。Everhert ⽒氏⽈曰く、この地域の
起業家精神を育んだもっとも⼤大きな要因は「ネットワーク」だと⾔言う。学⽣生、起業家、ベンチ
ャーキャピタル、そしてそのつながりをより強固にするスタンフォード⼤大学に代表された教育
機関が、⾰革新的な事業を⽣生み出すエコシステムを形成している。
⼀一⽅方、⽇日本では毎年多くの会社が登記簿上⽣生まれているが、伝統的に地域や⼀一族のつながり
を重視する企業経営が根強く、新しい知識や考え⽅方、⼈人材を受け⼊入れる⾵風⼟土が弱い性質にある
と対照的に語られた。また、会社法が改正されて資本⾦金金が 1 円でも会社が設⽴立立できるようにな
って以降も、リスクを最⼩小限に抑えるために「⼀一定」の⽔水準を満たしていない企業は、資⾦金金調
達、事業運営、サービス展開の⾯面で不利な⽴立立場に⽴立立つことが多いとの指摘をされた。
講義後は、広⼤大で伝統的なスタンフォード⼤大学キャンパスを散策した。 スタンフォード⼤大学
の創始者リーランド・スタンフォード⽒氏は、多くの⼈人がゴールドラッシュでの成功を求めてこ
の地に押し寄せる中、主流の⾦金金鉱⼭山ではなく、労働者や産物を運ぶ鉄道業を起こした。成功へ
の近道は、他⼈人と同じことをするではなく、社会や市場に求められるビジネスを提供できるか
にあるとの話を伺った。「⾃自由の⾵風が吹く」の校訓のもとで学んだ卒業⽣生からは、多くの起業家
が⽣生まれている。Google、HP、サン・マイクロシステムズ、インテルなどが代表例である。
2011 年に新しく MBA の学び舎として完成した Knight Management Center の中央広場には、
ナイキ創始者の Knight ⽒氏の⾔言葉が記されている。
8
There comes a time in every life when the past recedes and the future opens.
Itʼ’s that moment when you turn to face the unknown. Some will turn back to
what they already know. Some will walk straight ahead into uncertainty. I
canʼ’t tell you which one is right. But I can tell you which one is more fun. Philip H. Knight MBA 1962
この⾔言葉の通り、シリコンバレーには起業家精神を後押しする⾵風⼟土が溢れている。学びを活
かし、失敗を恐れず、むしろ楽しむ⼼心構えで⼀一歩を踏み出すことの⼤大切さを教えてくれるのが
スタンフォード⼤大学であると感じた。
講義の様⼦子
スタンフォード⼤大学 MBA
Knight Management Center
スタンフォード⼤大学にて講義終了後昼⾷食を挟んで、⻘青⼭山学院⼤大学・早稲⽥田⼤大学の訪問団⼀一⾏行行
と共に、プレゼンテーション発表に臨んだ。評価メンバーは、Dr. Everhert、AZCA 福⾒見見⽒氏
早稲⽥田⼤大学教授陣⻘青⼭山学院⼤大学、早稲⽥田⼤大学の MBA メンバー代表によるプレゼンテーション
発表会である。各メンバーはチームを組成し、この場を⽬目指して半年近くの時間をかけ、その
成果を発表した。私達も 8 チームの⼀一員として、先陣を切ってプレゼンを⾏行行った。私達のプラ
ンに対しては下記のようなフィードバックを頂いた。
1.想定成⻑⾧長規模が⼩小さいため、リターンを享受出来ない。
9
2.最初の 30 秒で引きつけないといけない。
3.ビジネスモデルが複雑すぎる
もっとも印象深かった⾔言葉は、「多数のチームが発表を⾏行行う場で、評価者の敵は Facebook
やツイッターである。」この⾔言葉の表す意味は、評価者は多数のプランを聞かなければならない
場において、最初の 30 秒で判断を⾏行行うということである。そこで興味が持てなければ「後の
4 分 30 秒は Facebook と過ごす。」ということだ。彼らはこれまでも多数の起業を⽬目指す者た
ちからプランを聞いてきた経験からこのような⽅方法を取る。よって私達伝える側は、シンプル
で簡潔に伝える⽅方法を模索し、訓練し、その場に臨まなければ、評価を得られない事を学ばな
ければならない。
プレゼンテーション
訪問先⑥
質疑応答
Palo Alto Research Center Inc(PARC)
訪問先⾯面談者:
Aki Ohashi ⽒氏
(アテンド:
(レポート担当:新原)
野村総研・⽯石綿⽒氏)
PARC は、1970 年にゼロックスの研究部⾨門(Xerox PARC)として設⽴立立され、2002 年にゼロ
ックスの 100%⼦子会社として法⼈人化された。PARC は創⽴立立以来、数々の新技術を開発し企業と
連携しながらイノベーションを起こしレーザープリンター、PDF、グラフィカルユーザインタ
ーフェース(GUI)、イーサネットなど現在、世界で⼤大いに課⻑⾧長されている技術を開発し創業当
初のビルゲイツやスティーブ・ジョブスもたびたび訪問しインスピレーションを受けているこ
とで有名。PARC には、約 180 名の研究員(物理科学者、コンピュータ科学者、社会科学者、
10
エンジニアなど)と約 80 名のビジネススタッフが在籍し合計 4 つのラボ(ソフトウェアラボ
が 2 つ、ハードウェアラボが 2 つ)がありニーズに応じて専⾨門分野を超えたチームを形成し、
プロジェクトを⾏行行っている。
訪問に際し、⼤大橋⽒氏が PARC の歴史、現在の Parc の役割やフォーカスしているビジネス領
域などを説明され質疑応答を⾏行行う。ミーティングルームにて VIDEO で PARC の設⽴立立と変遷を
紹介いただき、現在の PARC は何を⾏行行っているのか詳細を質問交えながらレクチャーを受ける。
1970年当時では最先端の技術開発を⾏行行っていた PARC だが Xerox のコアビジネスと異な
る技術は流出し、他企業に活⽤用されて現在⼤大きなビジネスモデル、産業が形成されたことは歴
史にも評されているが、現在は Zerox 傘下の技術開発の為の研究所から Spin Out し独⽴立立採算
が他の⼦子会社として、市場調査、製品開発など起業⽀支援型のプロジェクトがコア事業を⾏行行われ
ている。
PARC でフォーカスしているビジネス領域は ICT+Big データにエスノグラフィーを MIX し
たマーケティング調査&市場分析や製品開発であり、P&G 社とのプロジェクトなどを⼿手掛けら
れている。エスノグラフィーとは⽂文化⼈人類学、社会学におけるフィールドワークから社会や集
団を調査する⼿手法、エスノ(ethno-)は「⺠民族」を、グラフィー(-graphy)は「記述」を指
し「⺠民族誌」と訳される⽂文化⼈人類学や社会学において集団や社会の⾏行行動様式を調査し、記録す
る⾏行行為やその調査書のことを指しアンケートなどで統計的にとらえる定量分析と対を成し、イ
ンタビューや観察から定性的に調べることが特⾊色です。
ICT も理系のリソースだけではなく
現在では⽂文系のリソースとしても⼤大いに活⽤用されていること、もはや独⾃自技術を開発して
Zerox への提供ではなくクライアント先へ⾃自⾝身のノウハウやリソースをカスタマイズして収益
をえながら、企業としての価値をもたれていることは驚きだった。
学びとしては歴史的な功績のある研究所を⽬目の当たりにして、時代の移り変わりを認識した
こと。よりビジネスニーズがあるところへ PARC の持っているリソースを活⽤用して事業を⾏行行っ
てる変化への対応はいかにビジネスにおいて重要かが理解できた。
11
第 4 ⽇日⽬目:
訪問先⑦
3 ⽉月 15 ⽇日(⾦金金)
Plug&Play Tech Center
アテンド:JETRO
(レポート担当:
新原)
岡⽥田所⻑⾧長、野村総研・⽯石綿⽒氏
Plug and Play(以下 PnP)は、スタートアップ企業(新企業を開始したい精⼒力力的な企業)を⽀支
援する Incubation(起業⽀支援)施設で startup の企業が約 200-300 社、⼊入居し startup をサ
ポートしている。数名で⽴立立ち上げたベンチャーがパパーティションで仕切られ多数雑居してい
るよう環境で家賃は⽉月額で約 500-600 ドルで⼊入居でき、定期的に VC から資⾦金金を調達できるよ
うな機会や他の startup と交流できる環境を通して⽴立立ち上げをサポートまた、施設⾃自体が有望
なスタートアップ企業への出資または Bayout もおこなっている。Google や Paypal は PnP か
ら出発した実績もありシリコンバレーでは有名な Incubation 施設とのこと。
今回の訪問では、⽉月に 1 回⾏行行われる、スタートアップを⽬目指す起業家、またはビジネスモデル
のレビューを希望するスタートアップ企業が参加してプレゼンテーションとフィードバックを
受けるセッション、Executives-in-Residence (EIR) session にオブザーバーとして参加する
こととなった。また、そのレビュー後に⾏行行われる審査員(起業家または VC)とのランチミー
ティングへの参加を通して現地でのリアルな起業へのステップを体験した。
プレゼンセッションの審査員は 20-30 名からなる企業経営者、⼀一般の⾒見見学者、そして 3 組の
プレゼンターで EIR セッションは構成され 5 分の発表持ち時間を過ぎると強制的に終了される。
レビューのスタイルは率直に審査員が聞きたいタイミングで質問が⾶飛び、内容によってはシビ
アな質問やフィードバックが⾶飛び交う場で、PetWork のモデルもレビューしてもらえればどの
ような評価がもらえたか?と思うぐらいに刺激的な場であった。ランチセッションは約 1 時間
ブッフェスタイルの丸テーブルに⾃自由に経営者やプレゼンターなどが座り⾃自由に意⾒見見交換が⾏行行
える、またチャレンジしたい参加者は地震のビジネスモデルの売り込みや、ネットワークづく
りの有効な場となると感じた。
12
外観
インキュベーションオフィス
協賛⽀支援企業
プレゼンセッションの様⼦子
プレゼンセッションの様⼦子
13
訪問先⑧
NEDO(独⽴立立⾏行行政法⼈人新エネルギー・産業技術総合開発機構)(レポート:平井)
⾯面談者:VentureClief,LLC
宮本⽒氏
BLUE JAY ENERGY,INC
曽我⽒氏
(アテンド:野村総研・⽯石綿⽒氏)
NEDO オフィスにて、VentureClief,LLC
宮本⽒氏、BLUE JAY ENERGY,INC
曽我⽒氏と⾯面談。
宮本⽒氏にシリコンバレーの最新状況について講義形式で教授いただく。宮本⽒氏はシリコンバレ
ーの現状をタイムリーに把握し、⽇日本企業にコンサルティングする会社を経営している。時を
別にして、曽我⽒氏に私達のビジネスプランを拝聴いただきフィードバックを受ける。曽我⽒氏は
⾃自⾝身がベンチャー起業家であり、過去、アップル社スティーブ・ジョブスに直接⾃自⾝身の会社を
売却、交渉した経験を持つ。現在も⽇日本においてテクノロジー系ベンチャーを起業。現在 CEO
として活躍されている。
ディスカッションポイントと訪問での学び:
シリコンバレーでは現在、リーマンショックによる世界的⼤大恐慌以降低迷していた投資動向
が回復基調にある。背景には IT、ソフトウェア、エネルギー関連のビジネスが増加、⼩小規模の
ベンチャーが活発になっている。500Startup のようなスーパーエンジェルが⽣生まれ、スター
トアップベンチャーへの⼩小規模投資が活発化している。宮本⽒氏が問題視している⽇日⽶米間の差は、
デザイン、マーケティングである。技術レベルに⽇日⽶米間の遜⾊色はなく、むしろその技術を活か
す⼈人材に差があるという。この⼈人材がシリコンバレーには多数おり、それがベンチャーを活発
化させるドライバーであるという。
曽我⽒氏には私達のビジネスプランに対してフィードバックをいただいた。15 分の⽇日本語によ
るパワーポイントによるプレゼンテーション形式である。フィードバック内容は以下の 3 点で
ある。これら 3 つを明確にしてビジネスを⾒見見つめ直すべきとのこと。
1. 売上規模がゼロ⼀一つ⾜足りない。
2. 最初から世界を視野に⼊入れたビジネスをプランするべき。
3. What is your problem?
4. What is your solution?
5. Who are your team?
14
まずは事業規模について指摘を受ける。世界を視野に⼊入れてビジネスを想定すれば⾃自ずとゼ
ロがもうひとつ増えるはずであるとのこと。また⾃自⾝身が考える問題点、解決策、チームについ
て考えなさいと指摘いただく。特にマネジメントチームについてフォーカス。優れたマネジメ
ントチームは多様性があり、それぞれが独⾃自の分野で優れている。そのようなメンバーを集め
てビジネスを展開するべきであると教授を受ける。
訪問先⑨
NestGSV
先⽅方⾯面談者:
CEO
(レポート:
Baroumand ⽒氏
新原)
(アテンド:JETRO
岡⽥田所⻑⾧長)
最後の訪問先は、最近オープンしたばかりのインキュベーション施設を、JETRO 岡⽥田所⻑⾧長の
アテンドもとに⾒見見学した。CEO の Baroumand ⽒氏による説明をうけてスタートアップ⽬目指す起
業 家 た ち 、 新 規 事 業 を 検 討 し て い る ⼤大 ⼿手 企 業 の 動 向 な ど の 情 報 を 得 る こ と が で き た 。
Barounmand ⽒氏は先⽇日訪問した Plug&Play Tech Center の共同経営者であったことからそこ
での経験とノウハウを⽣生かし独⽴立立され NestGSV を設⽴立立された。運営スタイルは Plug&Play と
同じく、スタートアップのサポートと投資がメインであった。もともとは企業の⼯工場であった
施設を改築して、快適な Work 環境を提供されていると実感した。現在は HP の新規事業のプ
ロジェクトやヨーロッパの複数国にまたがるプロジェクトを⽴立立ち上げるメンバーも⼊入居されて
いる。岡⽥田所⻑⾧長ももし私たちがシリコンバレーでスタートアップ始めるならばこちらでスター
トアップ⽀支援受けるのもよいのでは?という配慮もあり今回の⾒見見学となったが、⼊入居者も多く、
環境もジムが設置、提供される⾷食事、イベントも多いようで⾮非常に魅⼒力力的な施設だった。
外観
共有オフィススペース
15
まとめ
シリコンバレー視察研修では、ベンチャー企業そして投資を呼び込むこの地域の魅⼒力力と、現
在に⾄至るまでの歴史的背景を学ぶとともに、起業家としての持つべき知識、⼈人脈、⼼心構えに関
する多くの情報、⽰示唆を得ることができた。シリコンバレーの有数のベンチャーキャピタリス
トに⾯面会する機会を得、彼らの視点から私たちのビジネスプランの実現に向けての課題や将来
性を検証する機会が何よりもの収穫であった。
視察研修後の所感としては、事前にベンチャーキャピタリスト向けの「売り込み」の準備、
また⾃自分たちの事業計画の実現プランを明確に⽤用意するべきであったという思いをメンバー⼀一
同共有した。シリコンバレーでは、意思決定や実⾏行行のスピードが命であるということを多くの
⽅方から教えて頂いた。また、⾃自分たちのビジネスプランの⽅方向性がや実現時期を明確にして、
今回の視察研修に参加できていれば、より有意義な結果を得られたのではないかと考える。
最後に、本視察研修の実現に向け、多くの⽅方に多⼤大なご尽⼒力力をいただいた。視察研修の⽇日程
調整及び事前準備をお⼿手伝いいただた経済産業省・経済産業政策局新規産業室の皆さま、現地
での事前予定調整や訪問同⾏行行をいただいた、⽇日本貿易振興機構(ジェトロ)サンフランシスコ
事務局の岡⽥田所⻑⾧長、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)⼩小野寺様には、感謝を申
し上げる。また、シリコンバレーについての知識が不⾜足していた私たち⼀一⾏行行を率い、現地での
全⽇日程のサポートいただいた野村総研・⽯石綿⽒氏、同ニューヨークオフィスの曽我⽒氏の親切なア
テンドに、⼼心からの御礼を伝いたい。
ユニバーシティ・ベンチャーグランプリ第 1 回⽬目の受賞者として、この研修での学びを活か
し、事業の実現また個々⼈人としての成⻑⾧長を⽬目指したいと考えている。
16
Fly UP