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Windows XPの移行支援ツールを検証

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Windows XPの移行支援ツールを検証
Windows XPの移行支援ツールを検証
ウィザードで引越し先PCにデータを転送
台数が多い場合はコマンド版で自動処理
ザー・データとOSやアプリケーショ
ンの設定がある
(図1)
。
標準で転送対象となるユーザー・デ
ータは,マイドキュメント・フォルダ
● Windows
XPは,PCを入れ替える際,OS設定や文書ファイルなどを移行先
XPマシンに転送する機能を備える。
やデスクトップに置いたファイルやシ
ョートカット,アドレス帳などだ。
● ウィザードに従って簡単に処理できるツールと,多数のPCを導入するときに,
MS Office関連の拡張子が付いたファ
コマンドで処理を自動化するツールの2種類がある。
● 各ツールでは,分かりにくい場所にあるファイルやOS のレジストリ設定も移
行先PCに転送できる。
イルも対象になる。これら以外にも,
ユーザーが指定したフォルダなどを追
加指定できる。
ユーザー・データは,単なるファイ
システム刷新やリース切れなどのタ
イミングでPCを入れ替える際,移行
やOSなどの再設定は煩雑な手作業に
ル・コピー操作やコピー・コマンドで
なりがちでミスも生じやすい。
も新しいマシンに転送できる。ただ
元になるマシン上で作成した文書ファ
Windows XPは,マシンの移行時
し,転送したいファイルはディスク全
イルやメール・ソフトのメッセージな
に発生する上記作業を支援する新機能
体に散在し,場所が分かりにくい場合
どをどのようにして新しいPCに移す
「ファイルと設定の転送ウィザード」
が多い。詳しい知識がないと漏れなく
を備える。移行元として,Windows
移すのは困難である。また,OSの設
OSやアプリケーションのインスト
95/98/Me/NT 4.0/2000/XPマシン
定やメール・アカウントなどアプリケ
ールは,プリンストールPCを購入し
を,移行先としてWindows XPマシ
ーションの一部データは,単なるファ
たり,外部業者に作業委託したりすれ
ンを指定できる。転送対象は,大きく
イル・コピーでは移行できない。
ばよいが,ユーザー・データのコピー
分けてファイルやフォルダなどのユー
かは大きな悩みだ。
Windows NT/2000など
Windows XPの「ファイルと設定の
Windows XP
マイドキュメント・フォルダ
マイピクチャ・フォルダ
● デスク
トップ・フォルダ
● メールのメ
ッセージ
● Officeファイル
● アドレス帳 ・・・など
●
●
デ
ー
タ
メール・アカウント
(Outlook/Outlook Express)
Internet Explorerの設定
● スクリーン
・セーバー
● ネッ
トワーク・ドライブの割り当て
● ダイヤルアップ接続
● タスク
・バーの設定 ・・・など
●
●
設
定
アプリケーション
本体は移行できない
図1●Windows XPは従来の設定をコピーできる移行支援ツールを備える
ファイルやフォルダの内容,OSやメール・アカウントの設定などをWindows XPに移行できる。ただし,Officeなどのアプリケーション本体を移行することはできない。
11
日経 Windowsプロ 2001年12月(no.57)
図2●ウィザードに従って移行データを作成できる
Windows XP のCD-ROM にあるSetup.exeを実行し,
[追加のタスクを実行する]
[フ
- ァイルと設定を転送する]
を実行すると,ファイルと設定の転送ウィザードが起
動する。マイドキュメントやOfficeファイルなどデフォルトで設定されているもの以外に,ユーザーが移行したいデータを指定できる。
転送ウィザード」では,Outlook/Out-
アに抽出・保管して,移行先PCで取
ニュー一覧が起動するので,該当する
look Expressで受信したメッセージ
り出すものの2つを選べる。
ものを選び実行する。サーバーなどに
のように分かりにくい場所にあるファ
移行元PCをクリーン・インストー
抽出したデータをWindows XPマシ
イルを,詳しい知識がなくても転送で
*
ル してXPマシンにするときや移行元
ンで取り出すには,移行先マシンのス
きる。また,メール・アカウント情報
マシンを取り去ってからXPマシンを
タート・メニューで「ファイルと設定
やInternet Explorerで設定した内容,
設置するときは,サーバーなどにいっ
の転送ウィザード」を実行する
(図3)
。
ネットワーク・ドライブの割り当て,
たん保管する形態で行う。
タスク・バーの表示位置などを移行先
マシンで使用できるようにする。
移行元と移行先PCの両方を一時的
移行元PCにWindows XPのCD-
にでも同時に置ける場合は,LAN経
ROM をセットする,もしくはCD-
由が手っ取り早い。クロス・ケーブル
ROMのSetup.exeを実行すると,メ
で直結する必要はなく,ハブを挟んで
いても,お互いのパソコンをブラウズ*
ウィザードで簡単に転送できる
ツールの処理は,① 移行元PCで使
できる程度にネットワークの設定をし
っていたデータとアプリケーション設
ておけばよい。
定の収集,② 収集データを移行先PC
移行元と移行先マシンの両方でウィ
へ転送する,の以上2段階から成る。
ザードを起動すると,自動的に転送先
各処理の操作は簡単で,ウィザードに
を認識してデータを転送する。受信終
従うだけだ
(図2)
。
了後に再起動すると,以前のPCの設
転送形態としては,LANやシリア
ル・ケーブル経由で移行元PCのデー
タを移行先PCに直接転送するものと,
移行元PCのデータなどを一度ファイ
ル・サーバーやリムーバブル・メディ
12 日経Windowsプロ 2001年12月(no.57)
定が移行先PCに反映される。
図3 ●Windows XP マシンで
[ファイルと設定
の転送ウィザード]
を起動して移行データを取り
込む
スタート・メニューからウィザードを起動できる。移
行元と移行先のパソコンがネットワークで接続され
ている場合,両方でウィザードを動かしておけば,
ネットワーク経由で直接データを転送できる。
大量PCの設定用にコマンド版を用意
Windows XPのCD-ROMには,移
行データの作成とデータ転送を自動処
レポート
Windows XP の移行支援ツールを検証
理するコマンド「User State Migrationツール」
も入っている。スクリプ
Windows NT/2000など
移行ルールINFファイル
1 移行するデータを抽出
トを作成すれば,処理を自動化できる
(図4)
。大量PCの移行に便利である。
ユーザー状態データ
ScanState.exe
コマンドは2つある。移行元PCで
「ScanState.exe」を実行すると,転送
データの抽出と,ファイル・サーバー
LoadState.exe
などに抽出データを保存するまでを処
理する。次に移行先 P C で「L o a d State.exe」を実行すると,サーバーな
ファイル・サーバー
などに保管
移行するファイルやフォ
ルダの場所,
レジストリ設
定などを記述
Windows XP
2 ファイルのコピーと
レジストリなどの設定
どから抽出データを取り出すとともに
マシンに適用する処理が行われる。
標準設定では,ウィザード版ツール
と同様に,マイドキュメント・フォル
図4●Windows XPに標準添付のScanState.exeとLoadState.exeを使った移行スクリプトを作成
して実行することで処理を自動化できる
Windows XPに移行するパソコンの台数が多い場合に作業の手間を少なくできる。移行ルールINIファイル
(Migapp.inf やSysfiles.infなど)
をカスタマイズすることで,
レジストリの変更など,ファイルと設定の転送ウィザ
ードより詳細な設定ができる。Windows XP のCD-ROM のValueadd¥MSFT¥USMTフォルダにある。
ダやMS Office関連のファイルや設定
を転送できる。任意のファイルやフォ
ルダ,レジストリ*設定などを移行す
る場合は,移行ルールINFファイルを
カスタマイズして指定する。注意点
は,マシンがWindowsのドメイン*に
参加していないと使えないことだ。
図5●サード・パーティ製品の移
行ソフト「PC アップグレードコ
マンダー」
移行先のパソコンのハードディス
クを調査して,移行元にないファ
イルのほぼすべてをコピーできる。
アプリケーション本体も移行でき
るので,新しいパソコンで再イン
ストールする必要がない。
Windows 2000などへ移行するなら
サード・パーティ製ツールを選択
「ファイルと設定の転送ウィザード」
や「User State Migrationツール」は
ログラムの転送も可能だ。
便利な半面,いくつか制限がある。制
dows XPに限定されない。Windows
限が問題になり使えない場合は,ソフ
98からWindows 2000へ移行する場合
ただし,互換性のないアプリケーシ
トボートの「PCアップグレードコマン
などにも使える。転送対象も広く,2
ョンや他のマシンに移すとライセンス
ダー」
(図5)
のようなサード・パーティ
台のPCの中身を調査して,新しいPC
違反になるアプリケーションまで転送
製ソフトが便利である。
にないファイルやレジストリ設定をす
するので注意する。
この製品では,データ転送先がWin-
べて転送する。アプリケーション・プ
(伊藤 康生=[email protected])
用語解説
* クリーン・インストール
ハードディスクをフォーマットしたクリー
ンな状態からOSをインストールする方
法。以前のOSの状態やユーザー・デー
タを引き継がないが,互換性のないプ
ログラムや以前のOS の無用な設定を
一気に消去できるのでトラブルが少ない
ことが多い。
*ブラウズ
アクセス先となるサーバー・マシンなど
をクライアントで一覧できるように自動的
にリストアップするWindows の機能。
通常は自動的にリストを収集してクライ
アントに提供するが,ルーターを超えた
ところにある情報などは一定の設定を
行わないと取得できない。
*レジストリ
* Windowsのドメイン
Windows OSやそのアプリケーション
の各種設定などを記録しているデータ
ベース。Windowsのバージョンにより
少しずつ形式が異なる。動作に大きな
影響を与える重要なファイルなため,編
集するときには,レジストリ・エディタな
ど専用のツールを用いる。
ネットワークでWindowsマシンを管理
するための論理的なグループ。複数の
コンピュータで共通に利用するユーザ
ー・アカウントを登録するなど,セキュリ
ティ関係の設定を統合管理する。構築
には基本的にWindows NT/2000の
サーバー製品が必要になる。
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日経 Windowsプロ 2001年12月(no.57)
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