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セル市場 8 月度レポート

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セル市場 8 月度レポート
K INEMA JUNPO R ESEARCH
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セル市場
8 月度レポート
< 2 0 1 1 年 9 月 9 日>
洋画のリードタイトル不足で
前年割れとなった夏商戦
I NSTITUTE
K INEMA JUNPO R ESEARCH
【 パ ッ ケ ー ジ ソ フ ト 】
I NSTITUTE
セル市場
8 月度レポート
夏休みの 8 月。夏商戦に期待のかかる 8 月。だが、各販売店が声を揃えて「タイトル不足。特に
洋画のリード作品が不足した」と分析する結果となった。
調査会社 GfK の集計が 5 週間(7 月 25 日〜 8 月 28 日)集計となったため、7 月末発売の『KinKi
Kids / KinKi Kids 2010-2011 〜』など強力タイトルの初動を含むこととなって、各販売店の 8
月単月の実態とは若干異なる印象の統計となっている。8 月度の GfK トップ 300 の販売枚数合計
は 226 万 2693 枚。前月(4 週集計)を約 68 万枚上回ったものの、同じく 5 週集計だった 1 月に
比較すると 27 万枚弱少なく、4 週集計だった 4 月、6 月並みの販売枚数となった。ちなみに 7 月、
8 月の 9 週間合計=夏商戦で比較すると、前年の 425 万 2315 枚に対して今年は 384 万 7129 枚と、
枚数で 40 万枚も少なく、前年比 90.47%という厳しい数字になった。
GfK ランキングの上位は今月も音楽とアニメが強さを見せた。トップは常連ジャニーズの
『KinKi Kids / KinKi Kids 2010-2011 〜』初回盤 DVD で、7 万 6201 枚を記録した。が、前月
トップの『AKB48 / AKB がいっぱい〜』DVD が 10 万 6903 枚、前々月 1 位『嵐/ ARASHI1011TOUR 〜』DVD が 50 万 2578 枚をそれぞれ単月にセールスしたことと比較すると、かなり見
劣りする。
『KinKi 〜』の同作は、26 位に BD、34 位に DVD の通常盤が入り、その合計では 10 万
8869 枚となっている。音楽ジャンルからは、4 位『aiko /ポップとロック』DVD がこれに続く。
7 位に BD、96 位に DVD がランクインした『〜けいおん !! ライブイベント 〜 Come with Me!!
〜』は、アニメファンが購買者の中心と予測される。トップ 300 中音楽作品は 56 アイテム、50
万枚弱の販売枚数となった。
アニメジャンルでは、『魔法少女まどか☆マギカ』の強さが際立つ。BD の「5」が 2 位、「4」が 3
位に、DVD の「4」も 73 位、
「5」が 82 位に入った。コアなファンがついている TV アニメのシリー
ズものは同じようなチャート傾向を見せる。『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』は BD
の「2」が 15 位に、
「3」が 25 位に入り、それぞれの DVD も 300 位圏内に顔を出す。
『IS <インフィ
ニット・ストラトス>』も BD の「4」が 20 位、「5」が 24 位、DVD の「4」が 101 位、「5」が 127
位。ライト層に広がるアニメでは、当月タイトルではないが『塔の上のラプンツェル』DVD + BD
セットの5位が最上位。8月発売では『ONE PIECE Log Collection “BELL”』DVDが18位に入っ
ている。コアからライトまで、OVA から劇場公開アニメまで、アニメという大きな括りで見てし
まうと、アイテム数がほぼ 3 分の 1 で、販売枚数シェアは 36.67%と、他ジャンルを圧倒する。
「新譜のリード作品不足」と指摘された洋画ジャンルでは、
『ツーリスト』の DVD6 位、BD14 位、
合計販売枚数 5 万 4500 枚が最高位。以下、当月新譜では『エンジェル ウォーズ』の BD + DVD
が 2 枚組み通常盤が 27 位、3 枚組み限定版が 57 位に、『ガリバー旅行記』の 3 アイテムが 87 位、
112 位、229 位に入ったくらい。“ どれでも 3 枚 3000 円 ” などのキャンペーンに入る旧作が数量
的には稼いでいるため、これらを含めれば 300 位中 72 アイテム、売上枚数 49 万 2667 枚と堅調
なジャンルではあるが、当月新譜に限れば、わずか 300 位中 8 アイテム、10 万 4342 枚の売上で
終わっている。
邦画は『相棒 −劇場版Ⅱ− 警視庁占拠 ! 特命係の一番長い夜』
『SP 革命篇』
『あしたのジョー』
がトップ 3。『相棒』は、通常版 DVD の 19 位を筆頭に、50 位に DVD − BOX、56 位に BD −
BOX、77 位に通常版 BD が入り、4 アイテムで 4 万 9610 枚。『SP』は 23 位の DVD 特別版以下、
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42 位に DVD 通常版、44 位に BD 特別版、119 位に BD 通常版をチャートに連ね、トータルで 4
万 9612 枚を販売した。『あしたのジョー』は DVD プレミアム・エディションが 37 位、BD プレミ
アム・エディションが 70 位、DVD スタンダード・エディションが 123 位で、3 アイテム合計では
2 万 7256 枚のセールスとなっている。300 位以内の邦画ジャンルは、アイテム数 24、販売枚数
18 万 7801 枚。
その他のジャンルで目立った作品は、
『リンカーン DVD4』が 36 位、
『SP 革命前夜』が DVD41
位、BD68 位。『マジすか学園 2 DVD-BOX(5 枚組)』
『バーテンダー DVD-BOX(5 枚組)』とい
う重量級アイテムが、それぞれ 43 位、54 位に入った。
総合ランキングで見て、全体に低調で、特筆したいタイトルが少ない 8 月度は、当然ながら各
販売店も厳しい状況を異口同音に報告する。
CD、DVD を扱うソフト店の声を並べると「映像は弱々」
(A 社)、「映像作品はあまりよろしく
ない。8 掛け強」
(B 社)
、
「計画はやれたが、前年と比べると 7 〜 8%のダウン」
(C 社)
「リアル店
の数字のみだと映像ジャンルは前年 10%以上のマイナスとなった」
(D 社)。堅調なコアファン向
けアニメが、EC や家電量販に比べ弱いこともあって、音楽ソフトや洋画のリードタイトル不足が
ダイレクトに売上減に結びついたようだ。家電量販の 2 社は割れた。E 社は「映像はなんとか前年
並み」
、F 社は「厳しかった。映像ソフトは前年割れ」。
ソフト店 A 社——新譜が弱い分、カタログを一生懸命売ったことと『スター・ウォーズ』の予約
取りがこの夏の印象。枚数で出すと①『カーズ』②『塔の上のラプンツェル』③『トランスフォー
マー リベンジ』④『インセプション』⑤『トランスフォーマー』と、カタログばかりが並んでしま
う。新譜だと、
『SP 革命篇』
『相棒 −劇場版Ⅱ−〜』の邦画 2 タイトルと、単価の高い『マジすか
学園 2 DVD-BOX』が目立った。『ツーリスト』は期待ほど伸びなかった。
ソフト店 B 社——ランキングを出すと①『塔の上のラプンツェル』②『相棒 −劇場版Ⅱ− 〜』
で、以下『ハリー・ポッター』シリーズを筆頭としたカタログ廉価商材が並ぶ。新譜の弱さを見越
して、
邦画時代劇や紀伊國屋書店などの名作、ジブリ作品等のオフセールを連発した。こうしたキャ
ンペーンは結果を出した。BD がなかなか期待通り伸びてくれず、DVD の落ち込み分が「8 掛け」
という結果になってしまった。
ソフト店 C 社——J − POP の新作が弱かったこともあって、来店客数が減った夏だった。 “DVD
どれでも 3 枚 3000 円 ” や “BD2 枚 2980 円 ” はどうしても来店客数に比例する。新譜である程度
売れたのは『バーテンダー』
『SP 革命篇』
『相棒 −劇場版Ⅱ− 〜』くらい。恒例のキッズセールや
洋画の『トランスフォーマー/リベンジ』
『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1』
『ナイト&デイ』
『インセプション』、アニメの『〜ラプンツェル』
『カーズ』等々がんばったが、前年に届かなかった。
ソフト店 D 社——映画が弱かった。特に新譜が無かった。どれでも 3 枚 3000 円は落ち込みが
目立ってきた。BD は顕著に伸びたが、DVD の落ち込みをカバーしきれなかった。『ONE PIECE
Log Collection “BELL”』
『SP 革命篇』
『塔の上のラプンツェル』
『劇場版 BLEACH 地獄篇』
『漫才
ギャング』が目に付いた。『スター・ウォーズ』は予約を頑張ったが、EC に比較すると、リアル店
は数字がそれほど上がらなかった。
少しニュアンスが違うのが、EC や家電量販店。
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EC 大手 G 社——今月もアニメが強く、上位 30 位中 21 アイテムを占めた。コアファンの下支
えがあるので、洋画タイトルの貧弱さが売上に及ぼした影響は小さかったが、確かにランキング
には入ってこない。邦画大作は『SP 革命篇』
『相棒 −劇場版Ⅱ− 〜』ががんばった。両作品とも、
前作に比べると BD 比率が飛躍的に高まっており、一般層での BD 視聴環境が整ってきていること
を感じている。
家電量販店 F 社——BD のキャンペーンは 140%を記録するなど、BD は頑張った。それと、カ
タログ作品。
『魔法少女まどか☆マギカ』や『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』
『IS <
インフィニット・ストラトス>』などのシリーズアニメに強みがあるのでベースは支えてもらった
が、洋画新譜の弱さはやはり効いた。当店では『エンジェル ウォーズ』が売れた印象。邦画では、
もうひとつ期待に届かなかった『相棒 −劇場版Ⅱ− 〜』と、本当に適正数になってしまった『SP
革命篇』と、上ブレものがなかった。“DVD どれでも 3 枚 3000 円 ” の落ち込みを、BD でカバーし
きれなかった。
軒並み厳しい声となってしまった 8 月のセル市場。各店の年末への展望を聞いても、11 月まで
は我慢、という声が圧倒的だ。映像の新譜、特に映画作品にリードタイトルが少ない。これは CD
の新譜にも言えるようで、「来店者が減ることが予測される。CD の新譜発売が店に来る動機付け
となる部分は大きく、来店者が減るとカタログキャンペーンも生かせない。9 月、10 月は、本気で、
年末に向けて店を整備する期間と考えている」とこぼすソフト専門店もあるほどだ。
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