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Nearest-Neighbor法による河川水位予測の改良

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Nearest-Neighbor法による河川水位予測の改良
土木学会論文集B Vol.66 No.1,99-103,2010.3
Nearest-Neighbor法による河川水位予測の改良
平岡
透1・碇
正敬2・幸
弘美3
1非会員
株式会社東京建設コンサルタント 環境防災部(〒170-0004 東京都豊島区北大塚1-15-6)
E-mail:[email protected]
2正会員
株式会社東京建設コンサルタント 環境防災部(〒170-0004 東京都豊島区北大塚1-15-6)
E-mail:[email protected]
3正会員
株式会社東京建設コンサルタント 環境防災部(〒170-0004 東京都豊島区北大塚1-15-6)
E-mail:[email protected]
本ノートでは,河川の水位を予測するためにこれまで用いられてきたNearest-Neighbor法を拡張して,よ
り精度良く河川の水位を予測できる方法を提案する.まず本ノートの背景と目的を示し,次にNearestNeighbor法のアルゴリズムについて概説し,その後に提案法のアルゴリズムについて説明する.更に,実
データを用いた実験によって得られる従来のNearest-Neighbor法と提案法の結果を比較することで,提案法
の有効性を検証する.最後に,本ノートのまとめと今後の展望について示す.
Key Words : Nearest-Neighbor method, river water level prediction, rainfall
1. まえがき
タ)を比較し,類似した過去のデータから予測水位を求
める.ニューラルネットワークを用いる方法は,過去の
河川氾濫に伴う人命損失などの被害を軽減するために, データを用いてニューラルネットワークを学習させ,直
河川やダムの管理者は降雨量や河川水位などの洪水情報
近のデータをニューラルネットワークに入力して出力さ
を収集及び解析し,関係機関や地域住民に対して的確に
れた値から予測水位を求める.流出モデルを用いる方法
指示する必要がある.更に,関係機関や地域住民は,河
は,過去のデータを用いる方法と比較して,学習データ
川氾濫が起こる前に,出動準備や避難準備などを行って
として直近のデータ以外に過去のデータを必要としない
おく必要がある.このためには河川の水位を的確に予測
という利点があるが,実測降雨量から推定流量を求
する技術が必要となり,現在までに多くの河川水位予測
める際や推定流量から予測水位を求める際に多くの
の方法1) ,2),3),4),5),6),7),8) ,9)が提案されている.
手間を要するという欠点がある.過去のデータを用
河川水位予測の方法は,流出モデルを用いる方法1),2)
いる方法において,Nearest-Neighbor法は,ニューラル
と過去のデータを用いる方法3),4),5),6),7),8),9)に大別できる.
ネットワークを用いる方法と比較して,学習する時間を
流出モデルを用いる方法は,実績降雨量から合理式や貯
必要としないという利点があるが,両方法とも類似した
留関数法1)などを用いて水位観測所の推定流量を求め,
過去のデータがない場合には予測精度が低下する可能性
次に推定流量から予め設定しているH-Q式を用いて推定
がある.
水位を求め,その後直近の時刻の推定水位と実測水位か
本ノートでは,多くの河川水位予測の方法の中で
ら予測水位を求める.この予測水位を求める際,実績水
Nearest-Neighbor法 に 注 目し , Nearest-Neighbor 法 を
位を用いたフィードバック2)によって予測水位の精度の
拡張することで河川水位予測の精度向上を図れる方法
向上が図られている.一方,過去のデータを用いる方法
を提案する.また,実データを用いた実験を通して,
として,Nearest-Neighbor法 3),4),5),6)やニューラルネット
Karlsson and Yakowits3) の 方 法 に 準 拠 し た Nearest-
ワークを用いる方法7),8),9)がある.Nearest-Neighbor法は,
Neighbor法と提案法を比較することで,提案法の有
過去に起こった多数の洪水の実績降雨量や実績水位のデ
効性を検証する.Nearest-Neighbor法は,世界では
ータ(以下,過去のデータ)と,現在から数時間前まで
1987年にKarlsson and Yakowitsによって,また日本で
の実績降雨量や実績水位のデータ(以下,直近のデー
は1997年に藤村ら4)によって初めて河川水位予測に応用
99
土木学会論文集B Vol.66 No.1,99-103,2010.3
され,更に2005年に八田ら 6)によって数種類のデータ
Step3:Step2で求めた予測水位 H (1) も含めてStep1の処理
の重み付けを行うことで拡張されているが,提案法は
を行い,Step2で予測水位 H ( 2 ) を求める.この処理
八田らの拡張の方法とはアプローチが異なる.
を繰り返し行うことで,最終的な予測水位 H (l ) を
求める.
2. 方法
(3) 従来法と提案法の相違点
従来法と提案法は,大きく2つの点が異なる.
1点目は,過去のデータと直近のデータを比較する際,
本章では,まずKarlsson and Yakowitsの方法に準拠
したNearest-Neighbor法(以下,従来法)と提案法の
従来法は,実績降雨量間の差の自乗と実績水位間の差の
アルゴリズムをそれぞれ詳細に説明し,次に従来法
自乗をある比率で加えた値(式(1)参照)が小さい程,
と提案法の相違点を説明する.
過去のデータと直近のデータが類似していることになる.
以下,過去の実績降雨量と実績水位をそれぞれ ri , j と
一方,提案法は,従来法の評価値に-1を乗じた値をEXP
hi , j (i = 1,2,L, I ; j = 1,2,L, J ) とする.ここで, i は過去
に起こった洪水, j は時刻である.また,現在から数時
関数の指数部とした値(式(3)参照)が大きい程,過去
のデータと直近のデータが類似していることとなる.提
間前までの実績降雨量と実績水位をそれぞれ Rk と
案法は,従来法と比較して,過去のデータと比較した場
H k (k = 0,1,L, K ) とする.ここで, k は現在から過去
の時刻である.また,現在から数時間後の予測水位を
合に大きく異なる実績降雨量や実績水位からの影響がよ
り小さくなる10).つまり,より類似した過去のデータを
(l )
抽出することが可能になると考えられる.
H とする.ここで, l は現在から未来の時刻である.
2点目は,従来法は数時間先の水位予測を行う場合に
(1) 従来法のアルゴリズム
以下,従来法の手順を示す.
直近のデータのみを用いて過去のデータと比較するが,
Step1:式(1)の値が小さい方から M 個の i と j を求め,
im と jm (m = 1,2,L, M ) とする.式(1)は, N 時間
位も用いて過去のデータと比較する.従来法は,直近の
前までのデータを用いることを意味している.こ
間先までの間の類似性を比較していないため,予測水位
こで,α と β は正定数である.
が大きく実績水位と乖離する場合が生じ,これが予測水
∑ (α (r
N
n =0
提案法は直近のデータと現在から数時間先までの予測水
− Rk − n ) + β (hi , j − n − H k − n )
2
i, j −n
2
)
データと過去のデータは類似しているが,現在から数時
位の振動が生じる原因の1つと考えられる.一方,提案
(1)
法は,求められた予測水位を用いて現在から数時間先ま
での間の類似性も評価しているため,実績水位との乖離
Step2:式(2)より, l 時間後の予測水位 H
(l )
を求める.
を軽減することができ,予測水位の振動を軽減すること
ができるとも考えられる.
M
H (l ) =
∑h
m =0
im , j m + l
(2)
M
3. 実験
(2) 提案法のアルゴリズム
以下,提案法の手順を示す.
提案法の有効性を従来法と比較して検証するために,
Step1:式(3)の値が大きい方から M 個の i と j を求め,
im と jm (m = 1,2,L, M ) とする.式(3)は, N 時間
の流域の特徴として,土地利用率が建物用地1.7%,水田
前までのデータを用いることを意味している. こ
5.1%,森林89.6%,水域1.1%,その他2.5%であり,表層
こで,α と β は正定数である.
地質(岩石区分)が主に火山性岩石(凝灰岩質岩石)で
N
∑e
(
−α ri , j − n − Rk − n
流域面積が167.3km2の10洪水を用いて実験を行った.こ
ある.10洪水の実績降雨量と実績水位のグラフを図-1に
)2 − β (hi , j − n − H k − n )2
(3)
示す.図-1において,横軸が時間[h],左縦軸が水位
n =0
[m],右縦軸が降雨量[mm/h]であり,図-1の上部に
Step2:式(4)より,1時間後の予測水位 H (1) を求める.
∑∑ (h
M
H (1) = H k +
N
m=0 n =0
i m , j m − n +1
MN
− him , j m − n
流域平均降雨量を棒グラフで,下部に実績水位を折れ線
グラフで表現している.また,10洪水の降雨継続時間
)
[h]と総降雨量[mm]を表-1に示す.10洪水のうち,
(4)
図-1のNo.1からNo.7までの7洪水を過去のデータとして,
No.8からNo.10までの3洪水に対してそれぞれ水位予測を
100
土木学会論文集B Vol.66 No.1,99-103,2010.3
No.1(1998年9月15日~1998年9月17日)
No.2(1998年9月21日~1998年9月23日)
No.3(2002年7月13日~2002年7月18日)
表-2 従来法による予測水位と実績水位との誤差の絶対値の
0
7
10
6
20
60
70
2
40
50
3
60
70
2
80
20
30
40
50
60
0
10
20
30
40
50
60
5
60
60
70
2
4
40
50
3
60
0
30
流域平均降雨量 [mm/h]
実績水位 [m]
4
40
50
3
60
70
80
90
100
0
10
20
30
40
50
60
100
0
70
0
10
20
時間 [h]
No.7(2005年8月22日~2005年8月23日)
10
6
6
20
20
5
70
2
40
50
3
60
70
80
4
40
50
3
60
70
2
80
1
90
90
100
30
30
流域平均降雨量 [mm/h]
実績水位 [m]
80
1
20
水位 [m]
4
2
1
0
20
5
30
流域平均降雨量 [mm/h]
実績水位 [m]
降雨量 [mm/h]
60
水位 [m]
3
降雨量 [mm/h]
30
50
0
7
10
6
40
40
No.9(2006年9月6日~2006年9月8日)
0
7
10
流域平均降雨量 [mm/h]
実績水位 [m]
30
時間 [h]
No.8(2006年7月15日~2006年7月20日)
0
5
140
1
0
90
7
130
90
100
80
120
80
90
70
110
2
1
60
100
20
70
80
50
時間 [h]
90
5
30
流域平均降雨量 [mm/h]
実績水位 [m]
2
1
0
70
80
時間 [h]
10
水位 [m]
水位 [m]
50
降雨量 [mm/h]
40
3
10
50
20
30
流域平均降雨量 [mm/h]
実績水位 [m]
0
40
7
降雨量 [mm/h]
5
4
30
6
20
40
20
10
6
30
10
No.6(2005年8月15日~2005年8月16日)
0
7
6
20
100
0
No.5(2005年7月3日~2005年7月5日)
0
10
水位 [m]
90
0
70
時間 [h]
No.4(2004年10月19日~2004年10月22日)
10
70
80
100
0
70
7
0
60
1
時間 [h]
4
50
3
90
100
10
40
80
90
0
4
2
1
1
0
30
流域平均降雨量 [mm/h]
実績水位 [m]
100
0
40
降雨量 [mm/h]
3
4
水位 [m]
50
20
5
30
流域平均降雨量 [mm/h]
実績水位 [m]
降雨量 [mm/h]
40
水位 [m]
4
降雨量 [mm/h]
水位 [m]
5
30
流域平均降雨量 [mm/h]
実績水位 [m]
降雨量 [mm/h]
20
水位 [m]
10
6
6
5
0
7
10
降雨量 [mm/h]
0
7
0
10
20
30
40
50
60
時間 [h]
70
80
時間 [h]
90
100
110
120
130
140
90
100
0
0
10
20
30
40
50
60
70
時間 [h]
No.10(2008年6月28日~2008年6月30日)
0
7
10
6
20
30
流域平均降雨量 [mm/h]
実績水位 [m]
4
40
50
3
60
降雨量 [mm/h]
水位 [m]
5
70
2
80
1
90
100
0
0
10
20
30
40
50
60
70
時間 [h]
図-1 実験で使用した 10洪水の実績降雨量と実績水位
行った.図-1より,No.1からNo.7までの7洪水とNo.8から
表-1 実験で使用した10洪水の降雨継続時間と総降雨量
No.10までの3洪水を比較して,大きく類似したグラフの
洪水
降雨継続時間[h]
形状が存在しないことが分かる.これは,類似した過去
No.1
51.0
188.1
のデータが存在しない場合の検証も行なえることを意味
No.2
53.0
137.4
している.本実験では,降雨量と水位の影響を同程度受
No.3
133.0
158.2
けるようにするために,降雨量のピーク時の値
No.4
49.0
160.5
[mm/h]が水位のピーク時の値[m]よりも1桁大きい
No.5
56.0
108.0
No.6
42.0
114.5
No.7
20.0
75.9
No.8
98.0
436.3
No.9
36.0
158.6
No.10
35.0
98.8
値となることを考慮して,従来法と提案法の α と β を
それぞれ0.1と1.0とした.また, M を1とした.更に,
N を3,4,5,6,7とし, l を1と3として,全ての組み
合わせに対して実験を行った.つまり,従来法と提案法
の1地点に対して,3時間,4時間,5時間,6時間,7時間
前までのデータを用いたそれぞれの場合で,1時間と3時
間後の合計12通りの水位予測を行った.
総降雨量[mm]
は水位予測を行ったNo.8からNo.10までの3洪水の全てに
以上のような条件で従来法における実験によって得ら
おいての平均値と最大値である.表-2と表-3より,提案
れた平均誤差と最大誤差を表-2に示す.同様に,提案法
法の方が従来法よりも精度良く水位予測が行われている
による実験の結果を表-3に示す.ここでの誤差は予測水
ことが分かった.また,従来法と提案法はどちらも,
位と実績水位の差の絶対値であり,平均誤差と最大誤差
101
土木学会論文集B Vol.66 No.1,99-103,2010.3
表-2 従来法による予測水位と実績水位との誤差の絶対値の
N0.8(2006年7月15日~2006年7月20日)従来法
7
10
平均と最大値[m]
1時間
3時間
3
4
5
5
6
7
流域平均降雨量 [mm/h]
実績水位 [m]
1時間予測水位 [m]
3時間予測水位 [m]
4
30
40
50
3
平均
0.164
0.167
0.181
0.203
0.220
最大
1.120
1.120
1.700
1.990
1.990
1
平均
0.316
0.330
0.362
0.377
0.398
0
最大
2.570
2.570
2.900
3.370
3.370
60
降雨量 [mm/h]
誤差
20
N の値
水位 [m]
予測
0
6
70
2
80
90
100
0
10
20
30
40
50
60
70
80
時間 [h]
90
100
110
120
130
140
N0.9(2006年9月6日~2006年9月8日)従来法
0
7
※ 下線は,1時間予測及び3時間予測において平均誤差と
10
6
20
水位 [m]
5
表-3 提案法による予測水位と実績水位との誤差の絶対値の
流域平均降雨量 [mm/h]
実績水位 [m]
1時間予測水位 [m]
3時間予測水位 [m]
4
30
40
50
3
60
70
2
平均と最大値[m]
誤差
80
1
90
N の値
0
100
0
3
4
5
6
10
7
20
30
40
50
60
70
時間 [h]
N0.10(2008年6月28日~2008年6月30日)従来法
0
7
3時間
0.096
0.097
0.104
0.112
0.115
6
最大
0.983
0.994
0.997
0.997
1.041
5
平均
0.282
0.294
0.316
0.327
0.344
最大
2.480
2.321
2.059
2.720
2.736
10
20
水位 [m]
1時間
平均
流域平均降雨量 [mm/h]
実績水位 [m]
1時間予測水位 [m]
3時間予測水位 [m]
4
30
40
50
3
60
70
2
※ 下線は,1時間予測及び3時間予測において平均誤差と
降雨量 [mm/h]
予測
降雨量 [mm/h]
最大誤差がそれぞれ最小となる場合である.
80
1
90
最大誤差がそれぞれ最小となる場合である.
0
100
0
10
20
30
40
50
60
70
時間 [h]
図-2 従来法による1時間と3時間予測水位
N の値が3の場合の提案法による洪水毎の予測水位と
実績水位との誤差の絶対値の平均と最大値[m]
3時間
平均
0.111
0.115
最大
0.625
0.983
No.10
0
10
6
20
0.059
5
0.821
流域平均降雨量 [mm/h]
実績水位 [m]
1時間予測水位 [m]
3時間予測水位 [m]
4
30
40
50
3
平均
0.346
0.295
0.206
2
最大
2.480
2.105
1.570
1
60
降雨量 [mm/h]
1時間
誤差
No.9
水位 [m]
予測
No.8
N0.8(2006年7月15日~2006年7月20日)提案法
7
70
80
90
0
100
0
N の値が小さい程,平均誤差と最大誤差が小さくなる
10
20
30
40
50
60
70
80
時間 [h]
90
100
110
120
130
140
N0.9(2006年9月6日~2006年9月8日)提案法
7
傾向があることが分かった.
0
10
6
20
5
までの3洪水の各水位予測で得られた平均誤差と最大誤
4
水位 [m]
次に, N の値が3の場合の提案法によるNo.8からNo.10
差を表-4に示す.表-4より,洪水毎に大きく異なる洪水
流域平均降雨量 [mm/h]
実績水位 [m]
1時間予測水位 [m]
3時間予測水位 [m]
30
40
50
3
60
70
2
予測の結果とはならないことが分かった.
降雨量 [mm/h]
表-4
80
1
更に, N の値が3の場合の従来法と提案法によるNo.8
90
0
100
0
からNo.10までの3洪水の各水位予測の結果のグラフをそ
10
20
30
40
50
60
70
時間 [h]
N0.10(2008年6月28日~2008年6月30日)提案法
7
れぞれ図-2と図-3に示す.図-2と図-3において,1時間と
0
10
6
3時間後の予測水位をそれぞれ●と×の点で表現してい
20
る場合もあるが,提案法は予測水位の振動も小さくなり,
流域平均降雨量 [mm/h]
実績水位 [m]
1時間予測水位 [m]
3時間予測水位 [m]
4
30
40
50
3
安定した予測が行えることが分かった.また,ピーク部
2
の再現性も提案法の方が従来法よりも良いことが分かっ
1
60
70
80
90
0
た.これらの理由は,現在から数時間先までの予測水位
100
0
10
20
30
40
50
60
70
時間 [h]
を用いたためであると考える.しかし,図-2と図-3より,
102
図-3 提案法による1時間と3時間予測水位
降雨量 [mm/h]
る.図-2と図-3より,従来法は予測水位が大きく振動す
水位 [m]
5
土木学会論文集B Vol.66 No.1,99-103,2010.3
No.9の初めのピーク及びNo.10のピークが平らな場合は,
凸上の形状となった.この理由は,過去のデータにピー
クの平らな部分が広い場合が存在しなかったためである
と考える.
以上より,提案法は従来法よりも実績水位の形状をよ
く再現していると評価する.
4. 結論
Nearest-Neighbor法を拡張することで河川水位予測
の精度向上を図れる方法を提案し,実データを用いた実
験を通して,Karlsson and Yakowitsの方法に準拠した
従来法と提案法を比較することで,提案法の有効性
を検証した.従来法よりも提案法の方が精度の良い
結果が得られることが分かった.今後の課題は,よ
り多くのデータに適用することと,より精度良く水
位予測を行えるようにアルゴリズムを更に改良する
ことである.
参考文献
1)
2)
回年次学術講演会,pp.43-44,2003.
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4) 藤村達也,田中丸治哉,畑武志,多田明夫:NearestNeighbor 法による実時間洪水予測に関する研究,農
業土木学会大会講演要旨集,pp.188-189,1997.
5) 満倉誠,貞本均,中津川誠:Nearest-Neighbor 法によ
る大河川の洪水予測について,河川技術論文集,第 8
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の洪水予測への適用,土木学会北海道支部論文報告
集,第 61 号,II-12,2005.
7) 外山かおり,大阪忠史,藤間聡:ニューラルネット
ワークを用いた洪水予測について,土木学会北海道
支部論文報告集,第 53 号(B),pp.48-53,1997.
8) 瀬野英二,泉田正則,村上研二,松本晋:広域雨量
データを用いたニューラルネットワークによるダム
流入量予測,電気学会論文誌 B,Vol.124,No.4,
pp.561-568,2004.
9) 中村祥宏,三浦房紀,田中達雄:ニューラルネット
ワークを用いた河川水位予測システムの開発(A.被
害予測と緊急対応),地域安全学会梗概集,pp.15-18,
2004.
10) 平岡透,浦浜喜一:モードフィルタを用いた自己相
似性による欠損 DEM の補間法,写真測量とリモート
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3)
浅枝隆,鈴木篤,玉井信行,西川肇,安田実:大学
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天野卓三,三輪準二,水草浩一,金木誠:中小河川
における洪水予測手法に関する研究,土木学会第 58
(2009. 10. 27 受付)
RIVER WATER LEVEL PREDICTION BY IMPROVEMENT OF NEARESTNEIGHBOR METHOD
Toru HIRAOKA, Masataka IKARI and Hiromi YUKI
In this note, we propose a improvement for river water level prediction form amount of rainfall and actual survey river water level. First, we show a background and a purpose of this note. Next, we explain
the conventional Nearest-Neighbor method and the proposed method. Next, we prove that the proposed
method is effective in comparison with the conventional Nearest-Neighbor method through experiments
which is used of real data. Finally, we comment on a respects in which the proposed method is improved
and on a future prospects.
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