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前沢 夕夏主査/富士通(株) (PDF:4262KB

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前沢 夕夏主査/富士通(株) (PDF:4262KB
富士通グループの
ICTを活用した生物多様性保全の取組み
2012年9月27日
富士通株式会社 環境本部
マネージャー
前沢 夕夏
Copyright 2012 FUJITSU LIMITED
富士通グループの環境経営の原点
創業当時より環境に配慮した事業活動
「自然と共生するものづくり」
「外観が 工場 工場 せざること」
「構内は公園式にすること」
1935年 創設当初の川崎工場
2010年 現在の川崎工場
1980年頃 沼津工場
1
Copyright 2012 FUJITSU LIMITED
富士通グループの環境活動の歩み
「生物多様性統合指標」策定(10.08)
生物多様性e-learning 全社17万人実施(10.08)
お取引先向け「生物多様性ガイドライン」策定(10.06)
ICTを活用した生物多様性調査実施(10.05)
「生物多様性行動指針」策定(09)
2010
第6期計画制
定10.04)
生物多様性
目標の設定
中期環境ビジョン「Green Policy 2020」策定(08)
COP9ビジネスと生物多様性イニシアチブ署名(08)
グリーンIT活動「Green Policy Innovation」 (07)
富士通World-Wide ISO14001統合
認証(06)
スーパーグリーン製品の提供開始(05)
国内全13工場で廃棄物
ゼロエミッションを達成(03)
ITソリューションの環境影響評価手法導入(04)
環境活動コンセプト
「Green Policy 21」を策定(00)
環境会計導入(99)
世界初、植物性プラスチック部品をノートPCに
採用(02)
1935
東南アジアで熱帯雨林の再生活動開始 (98)
環境報告書導入(96)
ISO14001 環境マネジメントシステム導入(94)
環境行動計画制定(93)
環境委員会設置(89)
川崎工場(庭園型工場)竣工(1938)
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「富士通グループ生物多様性行動指針」
自らの事業活動における
生物多様性の保全と
持続可能な利用の実践
社内実践
テクノロジー
ノウハウ
社会貢献活動
生物多様性の保全と
持続可能な利用を実現する
社会づくりへの貢献
生物多様性保全へのICTの活用
重点施策
生物多様性の社会への普及に貢献
グローバル規模での展開
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ICTによる生物多様性保全への貢献の可能性
多くの情報を効率的に収集し、分析・評価(処理)
生物多様性の損失の回避・低減に貢献
保全・保護活動による生物多様性の維持・拡大に貢献
モニタリング(観測・監視)
情報収集
・センシング技術(リモートセンサー)
・測定技術
など
分析・評価
・生物多様性評価
・マネジメント評価
・経済性評価
・生態系評価
・事業活動のパフォーマンス評価
など
情報管理
・生物多様性評価データベース
・生態系、生物種データベース
・遺伝子データベース
・各種測定データベース
など
・センシング技術(リモートセンサー)
・トレーサビリティ(RFID)
・GPS
・赤外線サーモグラフィー
・赤外線カメラ
・観測技術
など
教育・普及・啓発
取引制度など、社会的施策の支援
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事例1
市民参加型の調査を支援
(川崎市 多摩川植生調査)
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川崎市 多摩川植生調査
川崎市多摩川プラン 「企業と育む環境づくり」 の一環としての環境学習の推進。
多摩川は流域ごとに異なった環境特性を見ることが出来ることから、
楽しみながら体験学習を行う環境学習が活発に行われている。
【対象地域】 多摩川右岸の川崎市域に属する河口原点から多摩川原橋手前までの
28kmの範囲
【実施団体】 ・NPO法人 多摩川エコミュージアム
・かわさき水辺の楽校、 ・とどろき水辺の楽校、 ・だいし水辺の楽校
【実施期間】 春(5月)、夏( 9月)、秋 (11月)
【調査対象生物】 春(ヒメオドリコソウ、オオイヌノフグリ、ハマダイコン)
夏(ヒガンバナ、キクイモ、ワルナスビ)
秋(セイタカアワダチソウ、ノコンギク、コセンダングサ)
・植生調査結果をインターネット上に公開し、市民へ多摩川の持つ魅力を紹介
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調査に利用するツール(携帯フォトシステム)
⑥生物情報の検索・閲覧
GPS
地図表示
①写真撮影
②位置情報の取得
③時刻の取得
市民
運用管理者
④メール送信
メール、
サーバ
生物情報
データベース
⑤分類・登録
携帯フォトシステム
オンデマンド仮想システムサービス
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多摩川流域を4区間に分けて調査を実施
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Copyright 2012 FUJITSU LIMITED
川崎市 多摩川での植生調査
既知の事象として感覚的に論じられてきた
分布等をデータで証明することが可能に。
例えば、ハマダイコン(汽水域に生息)について、
第三京浜道路の新多摩川橋の下流にのみ分布するこ
とが分かった。
一覧表示
ハマダコンの分布図
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その他の調査結果
セイタカアワダチソウ
全域に分布
ノギクの仲間
東急東横線の架橋の上流にのみ分布
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※ご参考 :全国タンポポ前線マップ
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事例2
山梨県ワインファームのグリーン農業支援
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きっかけは環境社会貢献活動
・山梨県が推進する「やまなし企業の農園づくり」制度を利用し、奥野田葡萄酒醸造と
2010年3月に協働協定を締結
・ブドウ農園の一画を「富士通GP2020ワインファーム」として社員やその家族がブドウの
育成を体験する活動を2010年度より開始。
枝誘引作業(2010.3.13)
富士通ワイン完成
(2011.3.3)
傘紙かけ作業(2010.6.5)
収穫作業(2010.9.17)
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富士通さん、こんなことができませんか
初年度に収穫したブドウで製造した「富士通GP2020ワイン」のお披露目会
(2011年3月3日開催)で、中村雅量社長より相談を受ける。
圃場に温度センサーを設置し、温度を監視することにより
その1:ブドウの収穫時期を知る
開花の日(6月中旬頃)より、1日の最高気温と最低気温の差を毎日足しこみ、
積算温度がたとえば1500℃になったときが、そのブドウの収穫時期となる。
その2:ブドウの色素の量を知る
真夏のピークが過ぎ、1日のうちの22℃を下回った時間を積算することに
より、ブドウの色素の量を知ることができる。赤ワインの赤みの調整のため。
2011年度より実証実験開始
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ワイン畑温度センシング実証実験の構成
2011年6月14日より特定小電力無線ネットワークを活用した、温度センシングを開始
桜沢ワインファーム
(品種:シャルドネ)
富士通
センサーボックスの監視
センサーボックス(子機)※
特定小電力
無線ネットワーク
インターネット
稼動状況データ
35
30
25
20
ワイン畑1
ワイン畑2
15
センサーボックス(親機)
センサーボックス(子機)※
富士通2020ワインファーム
(品種:カベルネ・ソーヴィニオン)
受信した温度データ
の集計・加工
10
5
0
6月
7月
8月
9月
圃場管理事務所
※ カメラ・温度センサー付で、24時間、10分間隔で測定
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薬剤散布と農作業のコスト・工数削減への貢献
温度センシングにより効率的な防除が実施でき、コスト・工数削減につながる
増減
圃場
薬剤散布
温度センシングなしの場合 温度センシングありの場合
量
比率(%)
GP2020ワインファーム 薬剤散布回数
20
12
▲ 8
▲ 40
(面積15a) 薬剤コスト(万円)
30
18
▲ 12
▲ 40
長門原ワインファーム
22
13
▲ 9
▲ 40
44
26
▲ 18
▲ 40
薬剤散布回数
42
25
▲ 17
▲ 40
薬剤コスト(万円)
74
44
▲ 30
▲ 40
薬剤散布回数
(面積20a) 薬剤コスト(万円)
合計
※薬剤コスト:1万円/10a/回
※散布工数:4人・時間/10a/回
・薬剤散布回数 : 17回削減
⇒ 環境への影響が減少、作業工数削減(10.5人日)
・薬剤コスト
: 30万円削減
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ワイン品質向上への貢献①
基礎データの算出
温度データの取得により収穫時期および色素の見極めのための累積値
(累積温度、累積時間)を算出
場所
計測開始日
計測終了日
カベルネ 収穫時期を知る
ソービニヨン 色素の量を知る
2011/6/14
2011/9/24
1336℃
2011/7/18
2011/9/24
520.7時間
収穫時期を知る
長門原
シャルドネ
ワインファーム
色素の量を知る
2011/6/14
2011/9/10
1113℃
2011/7/15
2011/9/10
455.5時間
GP2020
ワインファーム
品種
対象
17
累積値
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ワイン品質向上への貢献②
タイムリーな作業計画の見直しにより、ブドウの品質を確保
短時間に数十ミリの雨が降った後、気温が上昇し、カビ
の大発生を予見できたことから、防除計画を見直すきっ
かけとなった。
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過去最高レベルの高品質
のワインにつながった
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事例3
釧路湿原 タンチョウ保全活動の支援
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タンチョウ保全に向けたモニタリング支援
現状のタンチョウ保全・調査の課題
タンチョウ
・特別天然記念物(1967年)
・種の保存法:国内希少野生動植物種指定(1993年)
・環境省レッドリスト:絶滅危惧Ⅱ類(2006年)
・ワシントン条約:附属書Ⅰ指定
(絶滅のおそれのある種で取引による影響を受けている
又は受けるおそれのあるもの)
日本野鳥の会 鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリ
(北海道鶴居村:1987年~)
・生息数 383羽(1987年)⇒ 1300羽程度(2010年)
・冬の餌場に集中した際の伝染病等による絶滅を防ぐため
自然採食場の設置が不可欠
20
・自然採食場の有効性確認のためタンチョウの利用状況を確認する上での問題点
・採食場がサンクチャリ管理棟から離れた雪原にあるため、調査員の派遣が大変
・ビデオカメラを現地に仕掛け、回収してからの映像確認のため、手間がかかる
20
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マルチセンシング・ネットワークの構成
給餌場の利用から自然採食場の利用へ
直線距離1.9Km
ネイチャーセンター
受信したデータの収集・分析
自然採食地
画像などのデータを計測
中継機
無線を用いたデータ転送
富士通
マルチセンシング・ネットワーク
マルチセンシング・
ネットワークの監視
マルチセンシング・
ユニット
マルチセンシング・
ユニット
マルチセンシング・
ユニット
ソーラーパネル
ソーラーパネル
バッテリーボックス
バッテリーボックス
1
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センシング・ユニットが捉えた画像例
2011年12月28日11:06
2012年1月13日15:25
設置して13日目、タンチョウの利用を
はじめて記録。成鳥1羽幼鳥1羽。
1家族3羽のタンチョウが採食している
ところを確認。
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自然採食場の利用状況の把握と工数削減
・複数の群れが共同で採食場を利用するなど、従来詳細をつかめて
いなかったタンチョウの生態も見えてきた。
・2012年度はモニタリング地点を追加し、適正環境の比較分析に
つなげる。
[従来]
・ビデオ設置
45分
・ビデオ回収
45分
・データ取込み 30分
----------------------合計
120分
・調査頻度:1日/2週間
[適用後]
・ビデオ設置
不要
・ビデオ回収
不要
・データ取込み 10分
----------------------合計
10分
・調査頻度:毎日
自然採食場の利用状況
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ご清聴ありがとうございました。
24
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25
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