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写真・動画で学校をドローン撮影する需要が増加中

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写真・動画で学校をドローン撮影する需要が増加中
注目高まる一方で航空法が改正 。
導入ハードルは高いの? 低いの?
ドローン空撮の現状
フォトビジネス NOW!
写真・動画で学校をドローン撮影する需要が増加中
一方、飛行ルールとしては、①日中(日出
から日没まで)に飛行させること、②目視
(直接肉眼による)範囲内で無人航空機とそ
の周辺を常時監視して飛行させること、③
学校へのドローン空撮で
年間40∼50件を目指す
人(第三者)または物件(第三者の建物、車
両など)との間に 30 メートル以上の距離を
保って飛行させること、④祭礼、縁日など
航空法改正前から訓練を積み、法施行後
多数の人が集まる催しの上空で飛行させな
いこと、⑤爆発物など危険物を輸送しない
と、が定められている。
これらのルールに抵触するドローンの飛
行には、国土交通大臣の承認を受ける必要
がある。つまり現実的には現在、ドローン
空撮を行おうとする場合には、国土交通省
または航空局に申請して、国土交通大臣の
飛行許可および承認を受ける必要があると
同社については、本誌 2012 年 11 月号で
間で 40 ∼ 50 件程度の実績を目指してい
も紹介している。老舗写真館の跡継ぎだっ
るところ」という。
た藤武氏は、新たな写真事業の展開を見据
ドローン空撮は、藤武氏が自ら行う。2 年
えて、2009 年に同社を設立した。現在、ネ
ほど前からドローン操縦の腕を磨き、よう
ット販売は株式会社ラボネットワークの
を実施している会社がある。千葉県柏市・
やく昨年、ホームページで告知できるまで
「イベントフォトギャラリー」を活用する
柏の葉キャンパスに本社を置くフォトック
になった。航空法が改正されてからは、も
が、決済方法としてコンビニ決済とクレジ
マーケットパートナーズ株式会社もそのひ
ちろん正規の許可・承認を受けて撮影を行
ットカード決済を導入したことが好評で、
とつだ。同社代表取締役社長・藤武昌之氏
っている。柏市も市域の多くが人口集中地
ネット販売に慎重な中学や高校でも採用が
によると「ドローンによる学校の空撮は、
区であるうえ、人や建物から 30 メートル以
進んでいるという。
「何らかの取引がある
は許可を受けて、学校写真でドローン空撮
こと、⑥無人航空機から物を投下しないこ
ローン空撮の予約が入っている。まずは年
2015 年 10 月ごろから本格的に取り組み始
上離すと想定した写真が撮れないケースも
中学校は、ほぼ 100%ネット販売になった。
めた。校舎を新築した学校などからの引き
少なくないため、飛行の許可・承認を受け
プライバシー保護の徹底を理解してもらえ
合いが多い。ことし 5 月は、すでに 4 件のド
ることは必須要件となっている。
れば、学校側も省力化につながるネット販
いうことだ。この申請には、使用する機体
の機能・性能の基準適合確認書や、操縦者
の飛行経歴・知識・能力確認書なども合わ
せて提出する必要がある。審査に要する時
間は徐々に延びていて、申請から許可・承
国土交通省が定める無人航空機の飛行ルール。
認が下りるまで 1 ヵ月近くかかるケースも
出ているようだ。
さらに、東京都が都内すべての公園での
なっていない海や河川の上空であっても、
地方自治体が独自に定めるルールにより、
を制限している空域もある。そうした場合
なければ難しくなってきている。
「少しだけ
要がある。
厳禁だ。
管轄する機関などによってドローンの飛行
ドローンの飛行を禁止しているように、各
ドローンの飛行が禁止されている区域もあ
る。また、改正航空法では飛行禁止空域に
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なら大丈夫」と安易な考えで飛ばすことは
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は別途、該当する管理者の許可を受ける必
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国土交通大臣への飛行許可・承認の申請書。
/ 05・2016 /
フォトックマーケットパートナーズ株式会社が手がけたドローン空撮による学校写真。写
真上と左は同じ学校。撮影時の高さが変わると、校舎の見え方も違ってくるのがわかる。
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ドローン操縦者の飛行経歴・知識・能力確認書。
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使用するドローンの機体の機能・性能の基準適合確認書。
S T U D I O N O W / M AY・2 0 1 6 /
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注目高まる一方で航空法が改正 。
導入ハードルは高いの? 低いの?
ドローン空撮の現状
フォトビジネス NOW!
売への移行は決して難しくない」と藤武氏。
チェックする必要がなくなり、特定の生徒
供するいくつかの撮影業者のホームページ
ネット環境が利用できない父兄には、タブ
だけ登場回数が多い、または少ないと、学
を見てみると、15 分∼ 25 分のフライトで
レット端末を学校単位で貸し出すなどし
校側や父兄は気にせずにすむことから、評
50,000円前後の料金設定が多い。同社の料
て、教育現場が求める平等性にも配慮する。
判は上々のようである。
一方、卒業アルバムは、紙質や収納ケー
スの変更、ページの増加があってもアルバ
ム価格を変更しない「定額制」を貫く。通常
のアルバムに、約 800 点の画像データを収
破格の料金設定が魅力
写真から学校全般を対象に
金は破格といえるだろう。しかも卒業アル
新潟県新潟市に本社を置く株式会社ウイ
バムを同社に発注している学校については、
ンプラスは、県内屈指の空撮動画の撮影技
撮影料はすべて無料というから驚きだ。
術を持つ。企業 CM や自治体等の PR ビデを
この料金設定について藤武氏は、
「機体購
数多く手がけるほか、学校の空撮でも実績
入と、バッテリーや消耗部品などの買い替
を積んでいる。同社取締役社長の川内達也
めた DVD(以前は CD だった)を付けるのも
同社が設定しているドローン空撮の料金
え・買い増しにかかるランニングコストが
氏は、学校アルバム制作で知られる株式会
以前と変わりない。ただ今年度からは、希
は、基本撮影料が 30 分 20,000 円で、これ
償却できれば、そこから先は利益になる。あ
社博進堂がことし 2 月、新潟と東京で開催
望の学校については個人写真と集合写真、
に国土交通省への申請手続き費用として
と必要になるのは会社全体の固定費だが、1
した「2016 年 博進堂ゼミナール」で講演を
クラブ活動のメンバー写真などを紙のアル
5,000 円と、撮影地までの交通費(エリアご
件当たりの撮影にそこまで上乗せしなくと
行うなど、学校を対象にしたドローン空撮
バムとして製作し、それ以外は DVD フォト
とに定額設定)のみ。1 回のフライトで、写
も、十分収益は確保できる」という。要はド
について詳しい。川内氏を講演者に起用す
アルバムに収めて納品するというメニュー
真なら 40 ∼ 50 カットを撮影する。気象条
ローン空撮単体で損益を考えるのではなく、
るということは、学校アルバム制作会社も
も用意した。このタイプの卒業アルバムだ
件などにもよるが、30 分で 2 フライトする
会社全体の事業バランスのなかで個々のサ
ドローン空撮による学校写真に少なからぬ
と、担任教師は、自分が受け持つクラスの
ことが多いようだ。
ービスの損益をどう設定するか、ということ
関心を寄せている証だろう。
生徒がアルバム内の写真に登場する回数を
一般向けにドローン空撮サービスを提
だろう。藤武氏は、顧客から見て魅力あるサ
川内氏によると、校舎や設備を新築した
ービスかつ納得のいく料金に、会社の成長
学校、あるいは数年後に廃校になることが
戦略と収益アップをアジャストする能力に
決まった学校などから、ドローン空撮の依
フォトックマーケットパートナー
ズ株式会社が手がけたドローン空
撮による学校写真。
/ 05・2016 /
長けているようだ。
頼が多いらしい。
「全国的にもちょうど校舎
同社は、ことし 5 月1日付けで、学校教育
の建て替え期に入ったのではないか。しば
で航空機による空撮を依頼すると、富山県
ルのルールもいろいろとあるようだ。川内
の飛行場から飛来していたそうで、1 回の
氏は「これからドローン空撮を始めようと
フライトで 20 ∼ 30 万円の費用がかかって
しても、まず練習できる場所が都市部には
いたという。
「1 校ではとても負担しきれな
ない。申請も面倒なうえ、安全管理にはそ
い金額なので、数校でまとまって依頼して
れなりの経験も要する。加えて、地域ごと
いたが、そのために各校はスケジュールの
の規制もあって運用ハードルは高い。写真
調整を余儀なくされた。もし天候不順など
館・写真店であれば、ドローン空撮は信頼
で航空機が飛べないと、再度スケジュール
の置ける専門業者に任せて、自分たちは地
調整が必要になる。それがドローンでの空
上での撮影に注力するなど、タッグを組ん
撮に変わって、費用も格段に安くなり、何
で役割分担するほうが得策なのではない
より各学校が自分たちの都合に合わせて撮
か」とアドバイスしてくれた。
影日を決めて、個々に発注できるようにな
ドローンの自律航行機能は進化している
った。学校側にとってこの点はドローン空
ものの、まだまだトラブルレスとはいかな
撮の大きなメリットとなっているようだ」
いようだ。操縦に用いる電波が急に途絶し
と川内氏は語る。閉校する学校がたった 1
て、ドローンがコントロール不能に陥った
校で空撮を依頼できるのも、ドローンだか
り、充電量は十分なのになぜかバッテリー
ら可能になったことと言えるだろう。
の電圧が突然下がって、ドローンがシャッ
ドローン空撮は信頼できる
専門業者に任せたほうがいい
ただし改正航空法が施行されてからは、
事業のいくつかを連結子会社であるゴール
らくはドローン空撮の依頼も増えそうだ。
ドエデュケーション株式会社に移管する。
校舎だけでなく、周囲の街並みや周辺環境
「依頼があれば即撮影」とはいかなくなった
今後は、撮影サービス関連はフォトックマ
も含めた撮影をよく求められる。街と学校
ようだ。
「飛行許可・承認に時間がかかるた
ーケットパートナーズが担い、教育支援サ
の変遷を追うことができる写真や動画を
め、学校のほうには、撮影希望日の最低 2
ポート商品や教育関係のシステムソリュー
残しておきたいのだろう。ほかにも、
『四季
ヵ月前までにご相談いただくようお願いし
ションサービスなどはゴールドエデュケー
折々の学校を撮っておいてほしい』といっ
ている」と川内氏。天候も考慮して、撮影日
ションが提供するかたちで棲み分け、これ
た依頼もある」とのこと。また、写真だけで
には余裕を設けて申請を出すそうだが、飛
を両輪として学校教育事業全般へのサービ
なく、学校 PR ビデオに挿入するための動画
行経路まで細かく記載して申請する必要が
ス拡充を図っていく考え。
「写真」を入口に、
を空撮してほしいというニーズもある。
「航
あり、かなり手間がかかるらしい。また新
いわば学校のバックオフィス業務まで手が
空写真とは違った、低空からの迫力ある映
潟では、たとえば信濃川の上空は緊急時、
け始めた同社の今後に注目していきたい。
像が好評」なのだそうだ。
ドクターヘリの飛行ルートになっているた
ドローン空撮が普及する以前、新潟県内
め、ドローンは飛行できないなど、ローカ
トダウンしてしまったり、といったトラブ
ルがいまでもたまにあるらしい。こうなる
と十分な経験を積んでいなければ対処しき
れない。
「天候は言うに及ばす、地形、地下
の地質、建造物の材質や構造など、周辺に
予測不能な条件が多いのが日本。だから安
易にドローンを飛ばしてはならない」と川
内氏は戒める。
同社では今後、修学旅行に随行してドロ
ーン空撮を行うことや、職業体験、地域学
習などの教材となる映像を、ドローン空撮
を交えて制作することなどを構想中とい
う。
「沖縄など南のリゾート地で、パラセー
リングなどのマリンレジャーを楽しむ人
に、ドローンで空撮した映像を提供するの
はどうだろうか」と夢は膨らむ。
ことし 2 月に行われた
博進堂ゼミナールで講
演する、株式会社ウイ
ンプラス・取締役社長
の川内達也氏。
日本体育大学柏高等学校
16
新潟を拠点に全国で空撮
学校撮影はいまがまさに旬
ウインプラスがドローンで空撮した新潟県内の観
光名所の動画が、にいがた観光ナビで視聴できる。
http://win-niigata.com/niigata-soradori20151027
S T U D I O N O W / M AY・2 0 1 6 /
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