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[様式2(汚染水処理対策委員会に報告し、一般公開となるものです
201
[様式2(汚染水処理対策委員会に報告し、一般公開となるものです)]
提案書
技術分野
②
汚染水処理
提案件名
陽イオン吸着材(Vonnel WT)によるストロンチウム等の吸着除染
提案者
三菱レイヨン株式会社
1.技術等の概要(特徴、仕様、性能、保有者など)
1)特徴
Vonnel WT は、陽イオンを引き寄せ吸着する能力を持ったポリアクリロニトリル系ポリマ
ーを、三菱レイヨンで長年培った繊維賦形技術によりナノサイズ多孔質構造を実現するこ
とで吸着効率を高めた陽イオン吸着性繊維である。この特異な構造により、セシウム、ス
トロンチウム等の多様な陽イオンを吸着することが可能である。吸着能力は汚染水に対し
て十分な性能を有しているが、放射性物質吸着後のハンドリング性を考慮し、イナートな
繊維と組合せることで適度な吸着能力に調整することも可能である。さらに有機系合成繊
維のため、熱圧縮などにより容易に減容化が可能である。
2)仕様
・流通式吸着フィルター
3)性能(Vonnel WT 繊維単独)
・飽和吸着量(as Sr 90): 2.7 mg/g or 1.4×10^10 Bq/g
・
〃
(as Cs137): 5.0 mg/g or 1.6×10^10 Bq/g
<参考:Voonel WT の物性(繊維単独として)>
・比表面積 =154 m2/g
: 一般繊維の 800 倍以上
・みかけ比重=0.34 g/cc
: 綿状の形状の繊維
2.備考(以下の点など、可能な範囲で御記入いただけますようお願いします)
・開発・実用化の状況(国内外の現場や他産業での実績例、実用化見込み時期を含む)
①一般グレードの Vonnel は、衣類・産業資材等の用途向けに長年の工業生産実績がある。
Vonnel WT 繊維のサンプルは、一般グレードの設備を活用して生産を行っている。
②吸着フィルターでの検討実績は、ラボ・パイロットスケールまでである。
・開発・実用化に向けた課題・留意点
①実際の汚染水による検証 : 原理的には、放射性イオンと通常イオンとの吸着性能に
関する差異は無いと考えているが実液での検証は必要である。
②吸着フィルターの工業化スケールでの検証 :弊社および関係会社の日本錬水等で保有
する飲料水や廃水処理用のフィルターに関する豊富な経験と実績を駆使して迅速な開発が
可能である。
・その他(特許等を保有している場合の参照情報等)
①特許出願済(未公開)
②フィルター以外にも、吸着シート等の土木資材への応用開発も行っている。
201
(備考)技術提案募集の内容(6分野)
① 汚染水貯蔵(タンク等)
② 汚染水処理(トリチウム処理等)
③ 港湾内の海水の浄化(海水中の放射性物質の除去等)
④ 建屋内の汚染水管理(建屋内止水、地盤改良等)
⑤ 地下水流入抑制の敷地管理(遮水壁、フェーシング等)
⑥ 地下水等の挙動把握(地下水に係るデータ収集の手法、水質の分析技術等)
202
203
[様式2(汚染水処理対策委員会に報告し、一般公開となるものです)]
御提案書
技術分野
提案は①-②-③-④-⑤-⑥ 全てに関連する。
(「技術提案募集の内容」の該当番号を記載願います)
御提案件名
逆浸透膜処理と蒸発濃縮・固形処理のハイブリッド新案汚染水処理方式
御提案者
株式会社ダン企画
代表取締役社長
井上富夫
1.技術等の概要(特徴、仕様、性能、保有者など)
汚染水を逆浸透膜処理・蒸発凝縮・固形処理のハイブリット新案処理により問題を解決する。
提案する技術は既存技術の実用化であり、問題解決の結果は確実に且つ短期間に得られる。
現行の吸着方式は技術の完成が困難と想定される。
本立案は既存技術を応用した処理方法であり、早期に処理可能と提案するものである。
第一期
タンク滞留汚染水及び流入地下汚染水の処理
1.
①-②-④-⑤-⑥の解決に貢献。
タンク内の45万トンの汚染水減容・固形化
新規のタンクは不要になり、凝縮蒸発で数万トンに減容出来るので漏水問題は皆無になる。
2. 新たに発生する最大日量1000トンの流入地下水汚染水の減容・固形化
新たに発生する地下水は汚染水減容・固形化されるので、海洋への流出はなくなる。
3. 建屋内の汚染水約7万トンの減容・固形化
メルトダウンした核燃料を処理するには、建屋内の汚染水を除去することが求められる。
除去できれば、核燃料を細分化排除するなど廃炉処理が可能となる。
設備及び施設の設置期間
◆
設置期間:6ヶ月から8ヶ月
処理能力:日量5000トン・月間15万トン以上
◆
汚染水の処理期間
処理開始より6ヶ月から8ヶ月
①
②
③
全てをこの期間に、汚染水を凝縮処理する。
固形化はその後、2年間の程度要する。
※地下水汚染水は地下水停止時期まで継続処理。
停止方法は山側に溝を切り、建屋に流入する地下水を検査し、安全な地下水を海に排出する。
第二期
港湾内の海水汚染水処理
③の解決に貢献
現在、工事中の外洋との遮断壁が完了すれば、海水汚染水は処理が可能となる。
港湾内の海水量に対応する設備を設置する。設置した装置の稼動で3年から5年程度の処理を目
指す。計画では月間30万トン程度の処理量を設置。
◆例:仮に港湾内の汚染海水量1000万トンの場合(海水量は未把握であるため仮の量)
この条件下では3年から5年程度で処理が可能となる。固形放射線物質は4万トン程度。
203
2.備考(以下の点など、可能な範囲で御記◆入いただけますようお願いします)
本汚染水処理技術は逆浸透膜と蒸発のハイブリッド方式である。
装置の処理能力は月間15万トン程度とし、来年度中には固形化を残し全て凝縮処理する。
①―②-④-⑤-⑥は汚染水を蒸発処理する事で、汚染水の管理等は不要になる。
―解
説―
①の説明
◆
装置の稼動で、汚染水は数%程度に減容ができる。
タンク45万トン→当初数万トン程度になり、減容を開始すれば新たなタンクは不要になる。
漏水が懸念される塩水混入の汚染水タンクは、錆びて傷んだタンクは即座に破棄する。
②の説明
◆
放射線物質は、逆浸透膜で98%程度に削減する。トリチウムは更に蒸発処理で数千倍に希
釈して空間処理を行う。
(空間拡散により自然界程度の放射線量になり安全数値になる。
)
③の説明
◆
処理期間は港湾内の汚染海水量にもよるが、月間30万トンの処理能力の設備し、数年での解
決を図る。
④の説明
◆
建屋内の約7万トンは初期の段階で蒸発処理する。
(汚染水処理が実施でき、建屋内の汚染水管理は不要になる)
⑤の説明
◆
日量400トン以上の地下汚染水は翌日蒸発処理する。(新たなタンクは不要となる)
(地下水流入が抑制され、敷地管理は不要となる。)
⑥の説明
◆
時期を見て山側に堀切をつくり、流入する地下水分を検査して海に流す。
これで蒸発量も減容が可能となる。
(地下汚染水は流入が止まり地下水等の挙動把握も不要となる。)
・開発・実用化の状況(国内外の現場や他産業での実績例、実用化見込み時期を含む)
◆
既存技術であり、使用設備は決定から6ヶ月から8ヶ月で設置可能である。
・開発・実用化に向けた課題・留意点
◆
固形化の設備の設計が必要であるが、凝縮装置が既にあり設計は難しくは無い。
・その他(特許等を保有している場合の参照情報等)
◆
特にない
(備考)技術提案募集の内容(6分野)
①
汚染水貯蔵
②汚染水処理
④ 建屋内の汚染水管理地
③港湾内の海水の浄化
⑤下水流入抑制の敷地管理
⑥地下水等の挙動把握
204
[様式2(汚染水処理対策委員会に報告し、一般公開となるものです)]
提案書
技術分野
2.
汚染水処理
提案件名
トリチウム水の回収・検出システム
提案者
株式会社 エネルギー ソリューションズ
今仁和武
1.技術等の概要(特徴、仕様、性能、保有者など)
1. 特徴
大量600t/dのトリチウム T(THO、TDO、またはT2O)を含む汚染水を回収する
ため、1℃から 101℃に精密熱制御した間歇的に凍結吸着脱着法を使う。夜間寒気と太陽電
池と蓄電池を活用して、汚染水をフイルター兼前置冷却器で3℃近くに冷却した後、冷凍
吸着層で1℃から3℃にするため、ヒートパイプ CCHP を使用した間歇精密凍結法と共に、
合成ゼオライト MCM-41 にT水を重力で接触させて MCM-41 にT水を吸着させ、基準値
60Bq/cc を下回る水約400t/dはドレインし、残りは昼間に解凍脱着する。基準値
60Bq/cc を上回る水の約200t/dはは中間タンク移送して、再び凍結吸着する。脱着は
太陽熱コレクター熱と可変コンダクタンスヒートパイプ VCHP(作動媒体アンモニアのガス
封入型)を使い、吸着脱着塔又は精密蒸散塔で100℃から 101℃に約180t/d蒸散し、
トリチウムを含む重水を回収する。残りの約20t/dは、濃縮タンクでトリチウムを重水
から電解法濃縮し、濃縮トリチウム約1t/dは地下に貯蔵する。
図1 トリチウム水の回収・検出システム
トリチウム水からのベータ線量をモニターするために、水の浸透膜として芳香族ポリアミ
ドのセラミックハニカムを使った後に気化し、ガス CH4(1%Xe)シンチレーション比例計数
204
管を使う。
2.仕様
福島第一 F1 で貯蔵される ALPS 処理後の滞留水から、トリチウムを告示濃度以下 60Bq/cc
に分離する。処理水600t/dに含まれるトリチウム(約 1~5×106Bq/㍑)を告示濃度(6
×104Bq/㍑)以下へ分離できる。装置の設置面積当たりの処理能力は(Bq/日/m3)、設備が
コンパクト 1 t/d m2 である。投入エネルギーの電力 500kWe, 熱 400kWth は、大半は太陽か
らとし、福島の夜間寒気も活用する。低濃度のトリチウム線量 1 Bq/cc をモニターするた
め、浸透膜として芳香族ポリアミドを使い、CF4 ガスに混入して比例計数管でベータ線を
測定すると共に、一対の PMT でシンチレーションも同時に測定する。
3.性能
図1のように、トリチウムベータ線量が最大 5000 Bq/cc の汚染水の約 600t/d を、夜間
寒気と太陽電池と蓄電池を活用して、汚染水フイルターで3℃近くに冷却した後、表1を
参考にして、冷凍吸着層 MCM-41 を1℃から3℃にするため、NH3封入の定コンダクタン
スヒートパイプ CCHP を使用する。水 H2O 封入の可変コンダクタンスヒートパイプ VCHP を
使用して、1℃から 101℃に精密熱制御して、間歇的に凍結吸着脱着法を使う。
表1 軽 H2O、重水と三重水素水の性質
軽水
重水
三重水
密度
g/cc
1.00
1.11
1.22
拡散係数 A2p/s
0.229
0.234
0.244
粘性
mPa s
0.9
1.1
1.4
結合エネルギー
459 kJ/Mole
466 kJ/Mole
8481 keV
D-O-D
D-O-H
構造式
H-O-H
T-O-T
T-O-H
沸点
℃
100
101
100.7
101.5
100.8
凝固点
℃
0.0
3.8
2.1
4.5
2.4
図2のように、ゼオライト MCM-41 にT水(THO、TDO、またはT2O)を低温度で
接触させて、ゼオライトにT水を低温吸着させ、昼間に解凍・脱着して、図3のようにベ
ータ線量200 Bq/cc 以下で回収する。ベータ線量が 60 Bq/cc 以下の場合は、冷凍吸着層か
らの排水は約 400t/d ドレインできる。
204
図2
図3
トリチウム水の回収・検出システムの配置
トリチウム水の回収
ゼオライト MCM-41 にT水を低温吸着させる解析によると、図3のように初期通過水のベ
ータ線量 Y は低温吸着の位置 x に近似的による。
dy/dx = - a y -
b y / x
204
図4のように、冷凍吸着層を1℃から3℃にするため、定コンダクタンスヒートパイプ
CCHP を水平に使用して、冷凍吸着層の温度を一定にする。ゼオライトのトリチウム水吸脱
着特性に及ぼすシリカアルミナ構成比 SiO/AlO 比を 7.0 から 10.0 へ変えると細孔分布が変
わり、NaY10.0 の室温近傍の可動水分吸着量は NaA2.0 のおよそ 4 倍の値を示し、シリカア
ルミナ比が大きくなるにつれ水分脱着時の同位体差は顕著となる。
図3のように、トリチウムベータ線量が最大 5000 Bq/cc の汚染水を、冷凍吸着層で処理
してもベータ線量が60 Bq/cc 以上の場合は、さらに図2のように、太陽熱コレクターか
らの 101℃熱水と NH3 封入の VCHP を使用した蒸散塔で、100℃から 101℃の精密蒸留法に
より約 180t/d 蒸散し、トリチウムを含む重水をベータ線量20 Bq/cc 以下で約 20t/d 回収
する。 図4のように、アンモニア封入の可変コンダクタンスヒートパイプ VCHP を水平近く
で 使 用 し て 、 1 00 ℃ か ら 101 ℃ に ほ と ん ど 太 陽 熱 で 制 御 す る 。
図4
冷凍吸着層の定コンダクタンスヒートパイプ CCHP、蒸散塔の VCHP
図 5 のように、トリチウム水からのベータ線量18keV モニターとして、水の浸透膜を比
例計数管の窓とすることを考案した。水の浸透膜としては、アラミド(芳香族ポリアミド)
は全芳香族ポリアミドの芳香環をアミド結合で結んだ高分子で、非常に優れた耐熱性と強
度をもつ繊維が作られ、ポリ(p‐フェニレンテレフタルアミド)繊維はデュポン社のケブラ
ーKevlar などがある。汚染水が高濃度の場合は計数管窓に浸透膜を張り、低濃度の場合は
計数管作動ガスをセラミック浸透膜ハニカムに通して常時検出する。固体シンチレータと
しては、CaF2(Eu)や CsI(Tl)で 1 時間間隔でモニターする。
204
図 5 トリチウム水からのベータ線量モニター
図 6 のように、さらに低濃度のトリチウム線量 1 Bq/cc をモニターするため、浸透膜と
して芳香族ポリアミドのセラミックハニカムを使い、CF4(1%Xe)ガスに混入して比例計数
管でベータ線を測定すると共に、一対の PMT でシンチレーションも同時に測定する。
4. 保有者
図 6 ガスシンチレーション比例計数管
株式会社 エネルギー ソリューションズ
今仁和武
204
2.備考
・開発・実用化の状況(国内外の現場や他産業での実績例、実用化見込み時期を含む)
吸着層や蒸散塔は、米国では DOE のサバナリバー、フランスなどで、小規模な例はあるが、
ヒートパイプ CCHP VCHP 使用や、 吸着層にトリチウム凍結例の報告はない。
実用化工程管理
25 年度
10 月
11
試作機
設計
26年度 4 月 5
6
実機
設計
12
1
試作
7
8
9
製作
2
試験
10
11
運転
3
12
1
2
3
・開発・実用化に向けた課題・留意点
吸着トリチウム凍結層のゼオライト MCM-41
蒸散塔のアンモニア封入可変コンダクタンスヒートパイプ VCHP
トリチウム水ベータ線量18keV モニターとして、ガスシンチレーション比例計数管
・その他(特許等を保有している場合の参照情報等)
特許出願中
205
[様式2(汚染水処理対策委員会に報告し、一般公開となるものです)
]
提案書
技術分野
③
提案件名
水中分離カーテン、遮水シートによる港湾内閉鎖水域化技術
提案者
太陽工業株式会社
1.
技術等の概要(特徴、仕様、性能、保有者など)
港湾内の汚染水コントロールをより確実にする技術
第一段階
水中分離カーテンはフロートを有し、防水性を高めたカーテン(透水性がある一般的な汚
濁防止膜のカーテンではなく、防水性のあるもの)を取り付けた構造。汚染水が流出する
地点の前面海域に水中分離カーテンを設置し、陸と挟まれた海域を閉鎖水域化する。その
後、汚染水の漏出量と同量以上の海水をポンプアップして ALPS 等で浄化後、告知濃度以下
の水は海域へ放流する。漏出量以上の海水をポンプアップすることにより、閉鎖水域外へ
の流出をコントロールする。
第二段階
水中分離カーテンのみでは干満差により海底地盤や護岸との間隙等からの流出が懸念され
る。よって、閉鎖水域化をより確実にするため、内護岸の開口部または、外周護岸開口部
を新設護岸により閉鎖して内側の港湾内に遮水シートを敷設し、海面処分場のように外海
と遮断する。閉鎖水域内では第一段階同様、水中分離カーテン内側から漏水量以上の海水
をポンプアップし、汚染水の漏出による水位上昇を抑えた上、ALPS 等で浄化後に放流する。
遮水シートには例えば、従来の海面処分場で用いられている高比重低密度ポリエチレンシ
ートのほか、より高性能で高い安全・安心の確保ができる一体型複合遮水シートがある。
※一体型複合遮水シート工法は一般財団法人沿岸技術研究センターの技術確認審査・評価を得ている
2.備考(以下の点など、可能な範囲で御記入いただけますようお願いします)
・開発・実用化の状況(国内外の現場や他産業での実績例、実用化見込み時期を含む)
第一段階の技術は汚濁防止膜の応用技術である。第二段階は廃棄物海面処分場技術である。
共にこれまで多数の実績を有する技術であり、福島第一原発港湾での適用は可能
・開発・実用化に向けた課題・留意点
第一段階、第二段階とも閉鎖水域内に流入する汚染水量以上をポンプアップし、ALPS 等で
浄化することが前提。課題としては、
① 第二段階では港湾の一部または、全部を閉鎖水域化するためこの部分の港湾機能がなく
なる。必要に応じ、近傍に代替の物揚場等の整備が必要
② 施工時の安全管理(線量管理含む)と第二段階での遮水シート工の特殊作業員確保
・その他(特許等を保有している場合の参照情報等)
補足資料 NO.1 は第一~第二段階を合わせて説明したもの。NO.2、3 はそれぞれ個別に説明
したもの。NO.4 は低比重高密度ポリエチレンシート資料、NO.5 は一体型複合遮水シート資
料
205
(備考)技術提案募集の内容(6分野)
① 汚染水貯蔵(タンク等)
② 汚染水処理(トリチウム処理等)
③ 港湾内の海水の浄化(海水中の放射性物質の除去等)
④ 建屋内の汚染水管理(建屋内止水、地盤改良等)
⑤ 地下水流入抑制の敷地管理(遮水壁、フェーシング等)
⑥ 地下水等の挙動把握(地下水に係るデータ収集の手法、水質の分析技術等)
206
[様式2(汚染水処理対策委員会に報告し、一般公開となるものです)
]
提案書
技術分野
①
提案件名
汚染水貯留タンク漏水防止対策
提案者
太陽工業株式会社
1.
技術等の概要(特徴、仕様、性能、保有者など)
既設ボルト締め型タンク(以下、既設タンク)の内部に施す漏水防止技術
A案
より確実な品質管理が可能な工場等であらかじめ袋状に加工した遮水シートをタンク内面
に設置する方法。設置時は遮水シートの形状を維持させるために鉄筋カゴ等に取り付けた
状態で既設タンク内に設置する。遮水シートは既設タンク内寸よりやや大きめに作成し、
設置面の凹凸に対する保護目的で保護マット等を取り付けておく。
B案
既設タンク内面に液状遮水シートを吹き付け、遮水層を形成する。液状遮水シートは二液
混合型でスプレーガンにて既設タンク内面に直接吹き付けることにより硬化して遮水膜を
形成する。現場作業が必要。
2.備考(以下の点など、可能な範囲で御記入いただけますようお願いします)
・開発・実用化の状況(国内外の現場や他産業での実績例、実用化見込み時期を含む)
A 案は既存技術であるが、その設置方法を工夫したもの。あらかじめ、工場にて既設タンク
内面の大きさに工場加工して現場で設置する。
B 案も既存技術であるが、現地施工となるため既設タンク内に足場等が必要
・開発・実用化に向けた課題・留意点
A 案は現地施工を踏まえたモックアップによる施工技術の確認、既設タンク内の障害物に対
する養生や平坦化等の工夫が必要
B 案は既存技術であるが、既設タンク内での作業であり安全管理(線量管理含む)と吹付用
機材が必要で特殊作業員の確保が課題。線量が高い場合、施工性や安全性に難がある。
・その他(特許等を保有している場合の参照情報等)
補足資料 NO.6 は A・B 案を説明したもの。
206
(備考)技術提案募集の内容(6分野)
① 汚染水貯蔵(タンク等)
② 汚染水処理(トリチウム処理等)
③ 港湾内の海水の浄化(海水中の放射性物質の除去等)
④ 建屋内の汚染水管理(建屋内止水、地盤改良等)
⑤ 地下水流入抑制の敷地管理(遮水壁、フェーシング等)
⑥ 地下水等の挙動把握(地下水に係るデータ収集の手法、水質の分析技術等)
207
[様式2(汚染水処理対策委員会に報告し、一般公開となるものです)
]
提案書
技術分野
①
提案件名
汚染水貯蔵タンクの(雨水)膜材防護カバー
提案者
太陽工業株式会社
1.技術等の概要(特徴、仕様、性能、保有者など)
汚染水貯蔵タンクに膜構造のカバーをする技術。
この技術により、雨水との混在を防止し汚染水の漏水探知を確実に行う。
また、海岸線に近接している場所での汚染水貯蔵タンクを、塩害などでの早期老朽化を防
ぐことを目的とする。
□仕様概要
膜材:ガラス繊維に塩化ビニールのコーティングを施した膜材(不燃材)
□A 案
タンクを 1 基毎に独立した膜材カバーを被せる。カバーは組立可能なエリアで組み立て
を行い組立てたものを所定のタンクにクレーンで被せる手法をとることができる。この手
法により安全性の向上、作業効率の向上、作業員の放射線被ばくの低減を行う。カバー間
には谷樋を設け谷樋に膜材を定着することにより、タンク基礎への雨水の進水を防ぐ。
□B 案
タンクをエリアで膜材の棟屋を設置する。棟屋はタンクと接することがいため、タンク
への荷重負担もない。棟屋はタンクのエリア外で組立を行い、スライドさせ送り出すこと
によりタンク近接での作業を最小限にすることができる。この手法により安全性の向上、
作業効率の向上、作業員の放射線被ばくの低減を行う。
2.備考(以下の点など、可能な範囲で御記入いただけますようお願いします)
・開発・実用化の状況(国内外の現場や他産業での実績例、実用化見込み時期を含む)
A 案、B 案ともに既存技術で対応可能と考えます。但し、作業エリアでの使用クレーンの
制約などで対応が難しいエリアがある可能性がある。
・開発・実用化に向けた課題・留意点
設置位置周辺環境(障害物)
、施工重機の調達、A 案の場合の既存タンクの耐荷性、安全
管理(線量管理含む)等の課題
・その他(特許等を保有している場合の参照情報等)
補足資料 NO.1 は A・B 案のスケッチ、NO.2 は A 案図面、NO.3 は B 案図面、NO.4 は A 案施
工ステップ、NO.5 は B 案施工ステップを示す
207
(備考)技術提案募集の内容(6分野)
① 汚染水貯蔵(タンク等)
② 汚染水処理(トリチウム処理等)
③ 港湾内の海水の浄化(海水中の放射性物質の除去等)
④ 建屋内の汚染水管理(建屋内止水、地盤改良等)
⑤ 地下水流入抑制の敷地管理(遮水壁、フェーシング等)
⑥ 地下水等の挙動把握(地下水に係るデータ収集の手法、水質の分析技術等)
208
[様式2]
提案書
技術分野
⑤・⑥
提案件名
細密空間情報基盤の構築
提案者
国際航業株式会社
平山利晶
1.技術等の概要(特徴、仕様、性能、保有者など)
・特徴
地下水対策では、現地の状況を十分に踏まえて実施する必要がある。最も基本的な情報
は空間情報(地形、建物位置など)であるが、大震災により地形が変化しており、また大
破した建物や新設された施設等により、1F敷地内の状況は震災前から大きく変化してい
る。さらに、1F周辺でも広い範囲で立ち入り制限があるため、地質、地下水の調査地点
の計画に際しての現地確認は難しい。リスクの洗い出しや、予防的かつ重層的な対策検討
に当っては、現地確認に代るツールとして、細密空間情報基盤の作成をご提案する。
・仕様、及び、性能
細密空間情報基盤を構成する主なデータは、以下のとおり。
データ
取得方法
内容
主な成果・利用方法
DSM 航空レーザー計測、 建物を含めて空中から見える表 建物等の細密位置図
無 人 ヘ リ コ プ タ ー 面の高さデータ
(建物立体モデル含
(UAV)など
む)
DEM DSMの加工
建物を除いた地表面高さのメッ 細 密 地 形 図 ( 縮 尺
シュデータ(概ね2mメッシュ) 1/2,500 以下)、水循環
モデル等の入力データ
航空写 航空機搭載型デジタ 撮影時の機器の傾きを補正し、 細密地形図に重ね合わ
真
ルカメラ(DMC) 正射投影写真(真上から見たの せて、より詳細な状況
と同等の品質)とする。
の把握が可能
近赤外 上記画像と同時取得
画像
近赤外画像を利用し、画像解析 1/2,500 相当の土地利
処理を行い、植生や土地利用区 用区分図、植生活性度
分を行う。
図など
人工衛 人工衛星搭載の撮影 人工衛星によって各種の波長に
星画像 機器
対応する機器を有する。
可視光領域の解像度は 50cm 程
度。
細密地形図に重ね合わ
せて、より詳細な状況
の把握が可能。広域の
土地利用区分図など
全方位 車載型空間計測シス 車が通行可能な路線周辺の全方 調査地点や対策施工地
画像
テム(MMS)
位写真(類似としてグーグルの 点の選定のための基礎
ストリートビューの全方位版と 情報
ご理解いただきたい)
208
細密空間情報基盤の構築に係る作業の詳細は、1F及び周辺の地形・地質・地下水状況
を勘案して決定するが、各種調査・対策計画の基盤図として、まずDSM・DEMにより
1/2,500 程度の細密地形図を作製することが、最優先と考える。
・保有者
弊社、国際航業は、先に挙げた各空間データに係る技術を保有する。主なアウトプット
を以下に例示。
航空レーザー計測によるDEMを用いた細密地形図
の例(エルザマップ)。地表高と起伏を色及びコンタ
ーで表示。任意断面の地形データをグラフ化が可能。
DMCによる細密航空写真と近赤外画像の重
ね合わせた例。建物と樹木の位置関係を詳細に
把握できる。
DMC によるデ
ジタル画像と、
DEMによる地
形データを組み
合わせた正射と
投影画像の例。
MMS機材の
例。レーザース
キャナーは路面
性状の測定用。
2.備考
・開発・実用化の状況
上記技術を用いた業務は、国土交通省など発注されており、実用化されている。標高分
布と傾斜による地形の起伏を同時に把握できるエルザマップについて特許を保有。
・開発・実用化に向けた課題・留意点
高線量下での作業員及び機器の安全確保が懸念材料。
209
[様式2(汚染水処理対策委員会に報告し一般公開)]
提案書
技術分野
⑥
提案件名
地下水等の挙動把握
トリチウムとストロンチウムのシンチレーション比例計数管測定
提案者
今仁和武
1.技術等の概要
1. 特徴
地下水トリチウム T からのベータ線(<18 keV) 検出限界は 1 Bq/cc、ストロンチウム Sr90 のベータ線
( <2.3Mev) 検出限界は 0.8Bq/L を、数時間で測定する。汚染水中のストロンチウムに高検出効率の検出器
として、円筒形のガスシンチレーション比例計数管一対にアルミ化マイラー窓とし、速い電子ドリフト速
度をもつ作動ガス CF4(1%Xe)を用いて、一対の光電子増倍管で同期測定する。トリチウム水のベータ線量
をモニターするため、シンチレータ粒子を充填し一対の光センサで同期測定する。空気中 T は重水の選択
膜を透過して、CF4 に 1%Xe を混入して比例計数管でベータ線測定する。シンチレーションと比例計数管
の相関性は良く、図 1 のように現場でも測定できる重量 15 kg とする。
図1 トリチウムとストロンチウムの測定装置
2.仕様
209
地下サンプリング水に含まれる放射性物質濃度(分析対象:トリチウム、ストロンチウム)を数時間で測定
でき、サンプリング装置の取扱いが簡易で、現地で簡易にメンテナンスできる。ストロンチウム Sr90 水
のベータ線限界値 0.8 Bq/L を測定するため、Sr に高い検出効率をもつガスシンチレーション比例計数管
を、一対用い Sr 水をパンケーキ状態にし、作動ガスに CF4(1%Xe)を用いて、一対の光電子増倍管 PMT で
同期測定する。空気中のトリチウム線量をモニターするため、浸透膜として芳香族ポリアミドのセラミッ
クハニカムを使い、CF4 に混入して比例計数管でベータ線をガスシンチレーション測定する。空気中のト
リチウムを連続測定するため、シンチレータ粒子を充填して、一対の光センサで同期測定する。現場でも
測定できるように、重量は 15 kg 以下とする。
3.性能
表1のように、軽 H2O、重水と三重水素水の性質を活用し、水の浸透膜として芳香族ポリアミドのセラ
ミックハニカムを使い、空気中のトリチウムを CF4 に混入して比例計数管でベータ線を検出すると共に、
シンチレーション光でも測定する。作動ガスに CF4(1%Xe)を用いて、高い検出効率を Sr にもつ一対のガ
ス比例計数管の測定には、アルミ化マイラー窓を通して、一対の光電子増倍管 PMT でシンチレーション
を同期測定する。トリチウムからのベータ線(<18 keV) 検出限界値は 1 Bq/cc、ストロンチウム 90 のベー
タ線( 2.2 Mev) 検出限界値は 0.8 Bq/L を、数時間で測定できる見通しである。空気中のトリチウムを連続
測定するため、シンチレータ粒子を充填して、一対の光センサで同期測定する。
表1 軽 H2O、重水と三重水素水の性質
軽水
重水
三重水
密度
g/cc
1.00
1.11
1.22
拡散係数 A2p/s
0.229
0.234
0.244
粘性
mPa s
0.9
1.1
1.4
結合エネルギー
459 kJ/Mole
466 kJ/Mole
8481 keV
D-O-D
D-O-H
構造式
H-O-H
T-O-T
T-O-H
沸点
℃
100
101
100.7
101.5
100.8
凝固点
℃
0.0
3.8
2.1
4.5
2.4
さらに図2のように、PMT で測定されたシンチレーション数と、比例計数管でベータ線測定値とは比例
関係があるようにできる。
209
図2
シンチレーション・比例計数管の相関性、Sr90 スペクトラム
地下水のトリチウム測定法として図 3 のように、トリチウム水からのベータ線量18keV モニターとし
て、水の浸透膜を比例計数管の窓とすることを考案した。水の浸透膜としては、アラミド(芳香族ポリアミ
ド)は全芳香族ポリアミドの芳香環をアミド結合で結んだ高分子で、非常に優れた耐熱性と強度をもつ繊維
が作られ、ポリ(p‐フェニレンテレフタルアミド)繊維はデュポン社のケブラーKevlar などがある。汚染
が高濃度の場合は計数管窓に浸透膜を張り、低濃度の場合は計数管作動ガスをセラミック浸透膜ハニカム
に通して常時検出する。固体シンチレータとして、CaF2(Eu)や CsI(Tl)で連続モニターする。
209
図3
トリチウム水からのベータ線量モニター
4. 保有者
今仁和武
2.備考
・開発・実用化の状況(国内外の現場や他産業での実績例、実用化見込み時期を含む)
京都大学と陽子加速器施設 J-PARC は、ガスシンチレーション比例計数管を用いた高検出効率をもつ荷電粒
子検出器を開発中である。
実用化工程管理
25 年度
10 月
11
試作機
設計
26年度 4 月 5
6
実機
設計
12
1
試作
7
8
9
製作
2
試験
10
11
運転
3
12
1
2
3
・開発・実用化に向けた課題・留意点
トリチウム水ベータ線量18keV モニターとして、比例計数管やシンチレータ材料
・その他(特許等を保有している場合の参照情報等)
特許出願中
補足資料
1.「ガスシンチレーション比例計数管を用いた高い検出効率をもつ荷電粒子検出器の開発」
京都大学大学院理学研究科
物理学 修士論文
臼杵亨
2009 年
2. K.Imani, 1971 AIAA Conference on Sensing of Environmental
209
210
[様式2(汚染水処理対策委員会に報告し、一般公開となるものです)]
提案書
技術分野
① 汚染水貯蔵(タンク等)(「技術提案募集の内容」の該当番号を記載)
提案件名
ナノ純銀担持体の広範な放射性核種変換能力の活用
提案者
岩崎 信
1. 技術等の概要(特徴、仕様、性能、保有者など)
特徴:
最新ナノテクノロジーを用いたナノスケール純銀(以下文中、ナノ銀)担持体による広範な放射性
核種に対する高い核変換能力を活用して、ボルト締め型タンク内貯留水の含まれる放射性核種を、あ
るいは水を取り除いた後の残留放射性核種を核変換によって安定化させ線量を下げ、現場での点検環
境を改善し、既設のボルト締めタンクを使い続けるオプションを提供し、少しでも溶接タンクに置き
換える無駄を省く。応急的に必要な既設タンクの撤去作業の円滑化を実現する。
我々の提案する方法は、基本的に極めて簡易であり(電源を使う場合でも、仮に電源が落ちても最
低限の機能は果たす)、実験・小規模除染レベルのデータからは相当に効率的で革新的なものである。
仕様:
・
(1)ボルト締め型タンク内の水にナノ銀担持体溶液を適量注入・撹拌し、そのまま観測しながら待
機する、
(2)タンク内水中にナノ銀担持体(白御影石など)の適量を土嚢のように袋詰めにした塊を
沈め、あるいは一部宙釣り状態で適当な間隔に配置し、
(可能なら)内部の水を外部から強制循環させ
る、
(3)貯留水を細管で取り出してナノ銀担持体(白御影石など)を詰めた多段のフィルター装置(4
段の超小型機は実績あり)に連結し、タンク内の貯留水を循環処理する。
(4)以上の方法を併用する。
これにより、液中に残留している放射性核種を核変換して安定化させる。不純物などがナノ銀粒子
を覆うなどして変換機能が弱まってきた場合には、追加注入(投入)するか、新品のナノ純銀担持体
と交換する。取り出されたナノ純銀担持体は暫く別な場所で一定期間保管管理する。白御影石などの
濾材に吸着した放射性物質は、ナノ純銀の働きで、管理期間の間に減衰していき超長期管理の必要が
無くなると期待する。
・一応の処理が終了後、汚染水が排出された後のタンク内面の隅々にはおそらく放射性物がこびりつ
いた状態で残留しているであろう。例えば適当な濃度のナノ銀を担持させた溶液を内面に丁寧に遠隔
操作で噴霧塗布し、待機する。
性能:
・放射性セシウムでの実績からは、内面に丁寧に遠隔噴霧し、待機するだけで、概ね一ヶ月から数年
程度の期間で低減化することを期待する。
・その結果として、撤去作業時の被ばく低減(作業時間短縮)が期待する。
210
・除去した放射性物質の長期間保管はほとんど不要となることを期待する。
注:多数の「期待する」という表現は、我々は、これまで土壌+セシウム放射性物質の体系でしか
テストしていないので推測的表現である。理想反応系が形成できれば相当に早い反応となると考える。
保有者:
阿部宣男(東京都板橋区ホタル生態環境館主任主事)と岩崎信(個人)を代表とする「ナノ純銀に
よる放射能低減システム研究会」。
備考(以下の点など、可能範囲で記入)
・開発・実用化の状況(国内外の現場や他産業での実績例、実用化見込み時期を含む)
国内外の現場や他産業での実績例:
以下の地区で、現地でのセシウム放射能低減の試行・試験が実施された。 (3)(4)は関係自治体の多
大なご協力の下で実施されたことを付記する:
(1)
2011年3月末から4月中 東京都板橋区ホタル生態館建屋(館内を含む)および、その敷地土
壌に大量のナノ銀担持コラーゲン液を散布し、環境の線量がおよそ1/10に低下し、同館雨樋
下の採取土壌試料の場合も1カ月で放射性セシウムの線量がおよそ半分から1/10に低下.
(2)
2011年12月10日
郡山市内A保育園屋根除染作業における除染水処理で、汚染水をナノ銀担持
白御影石と骨炭の混合体を濾材とした4段濾過装置:愛称ルーシーを3回通過 <時間制限で最
大> させると1/3に低下し、濾材の残留放射能も10日間の保管管理だけでおよそ半分以下に
低下した.
(3)
2011年12月23日 千葉県我孫子市 クリーンセンターの汚泥土壌の試験でおよそ半分に低減。
(4)2012年3月27日 千葉県柏市南部クリーンセンターにおける焼却灰の放射能低減実験(対照処理
<水道水処理> ではほとんど変化ないのに比べて、ナノ銀担持体(骨炭+コラーゲン液)による処
理で約半減させた。
210
以上、主として二つの放射性セシウム(Cs-134、Cs-137)についてはほぼ同程度の線量低減に成功
しているが、他の核種については未確認である。
なお、小規模な試行は他にも多数あるが省略する。
ホタル生態環境館での数々の実験室レベルの検証実験等は付属資料を参照されたい。
実用化見込み時期:
我々の現在保有する知見・技術では、土壌や焼却灰等に残留する放射性セシウムに有効であること
は、数々の実績や実証実験から概ね明らかになっている。ただし、効果が対象の化学形態に依存する
可能性もあるので、福島F1サイトでそのまま直ぐに機能すること保証するものではない。
この作用は、世界において一部の科学者が別な視点からの数々の実験実績を基に研究領域を形成し
つつある低エネルギー核反応(LENR)による核変換の一種であろうと推測している。そうであれ
ば、その実績から相当に広い核種が対象となっているので、ナノ純銀の働きについても、その強度(反
応速度)はともかく、他の放射性核種についての有効性は論理的に否定する根拠は無い。換言すれば、
トリチウムやストロンチウム、その他の放射性核種への有効性は、実験によってのみ確認可能と考え
ている。
我々は、他の放射性核種への有効性については自然放射性物質を対象に調査を開始しつつある。
もとより、東電F1サイトで問題となっている多様な放射性核種の同定や有効性試験は国内の限ら
れた施設のみ可能であり、そこで試験をしてもらえれば幸甚である。サイトでの小規模の数々の試行・
試験がまずは最も簡易で効果的である考える。少しでもその有効性が見えれば関連設備の中規模化・
最適化研究を経て大規模化は各試験研究機関、研究組織での次の課題となる。
特記1:
ナノ銀の放射性セシウムの低減現象は、おそらく新奇で極めて特異な現象であり、専門家諸氏には
容易に理解しがたいものと思われるが、上述の理由から、我々の実験では確認されてはいないが敢え
て案件名に「核変換」*)という表現を入れた。
何れにしろ、我々のこれまでの検証方法や判断が無謬であると強弁するつもりは全く無く、現在も
種々の確認作業を続けている。多くの独立の検証実験、追試を望むものである。
特記2:
エンジニアリングの歴史を紐解くまでもなく、人間は無数の失敗を積み重ね、学んできた長い歴史
を持っており、現代も例外ではない。放射能対策についても、東電F1サイトは極めて貴重な人類の
学びの場である。この世に万能な装置やシステムなどというものは無いのであって、ある項目に特徴
のあるものは別な状況においてが弱点にさえなる。現場では応急的な処理の必要性が高い状況という
制約があることは十分承知をしているが、対応システムには冗長性を持たせることを是非望みたい。
211
[様式2(汚染水処理対策委員会に報告し、一般公開となるものです)]
提案書
技術分野
② 汚染水処理(トリチウム処理等)(「技術提案募集の内容」の該当番号を記載)
提案件名
ナノ純銀担持体の広範な放射性核種変換能力の活用
提案者
岩崎 信
1. 技術等の概要(特徴、仕様、性能、保有者など)
特徴:
最新ナノテクノロジーを用いたナノスケール純銀(以下文中、ナノ銀)担持体により、予想される
その広範な放射性核種に対する高い核変換能力を活用して、より効率的な汚染水処理(トリチウム処
理等)の実現に資する.
我々の提案する方法は、基本的に極めて簡易であり(電源を使う場合でも、仮に電源が落ちても最
低限の機能は果たす)、実験・小規模除染レベルのデータからは相当に効率的で革新的なものである。
仕様:
・例えば、ALPSから排出される処理水を、専用濾過装置を通過させて二次的に処理し、放流可能
な告示濃度(要求)の濃度に低減化することを期待する。
・専用濾過装置としては、汚染水処理の実績があるナノ銀坦持白御影石の濾材を用いた多段階濾過装
置の採用が考えられる。
・また、新開発の網状SUS製にナノ銀を坦持させたものも試す価値がある。
・補強として、ナノ銀坦持溶液を直接、処理水に投入することも容易に併用できる。
性能:
・我々は、これまで放射性セシウムという限られた対象について、極めて複雑な体系:土壌について、
実験や小規模な実地テストしかしていない。よって、処理水のトリチウムについてどの程度の処理速
度が実現できるか不明である。しかし、後で述べるように、ナノ銀の働きがLENRだと仮定すれば、
広い核種に適用可能と思われ、それ故トリチウムにも有効と考えるのは自然な発想である。そして、
理想的な反応系が構成出来れば、その半減期 12 年に比べて十倍以上速い速度で、減衰できるものと期
待する。
保有者:
阿部宣雄(東京都板橋区ホタル生態館主任)と岩崎信(個人)を代表とする「ナノ純銀による放射
能低減システム研究会」。
211
備考(以下の点など、可能な範囲で記入)
・開発・実用化の状況(国内外の現場や他産業での実績例、実用化見込み時期を含む)
国内外の現場や他産業での実績例:
以下の地区で、現地でのセシウム放射能低減の試行・試験が実施された。 (3)(4)は関係自治体の多
大なご協力の下で実施されたことを付記する:
(1)
2011年3月末から4月中 東京都板橋区ホタル生態館建屋(館内を含む)および、その敷地土
壌に大量のナノ銀担持コラーゲン液を散布し、環境の線量がおよそ1/10に低下し、同館雨樋
下の採取土壌試料の場合も1カ月で放射性セシウムの線量がおよそ半分から1/10に低下.
(2)
2011年12月10日
郡山市内A保育園屋根除染作業における除染水処理で、汚染水をナノ銀担持
白御影石と骨炭の混合体を濾材とした4段濾過装置:愛称ルーシーを3回通過 <時間制限で最
大> させると1/3に低下し、濾材の残留放射能も10日間の保管管理だけでおよそ半分以下に
低下した.
(3)
2011年12月23日 千葉県我孫子市 クリーンセンターの汚泥土壌の試験でおよそ半分に低減。
(4)2012年3月27日 千葉県柏市南部クリーンセンターにおける焼却灰の放射能低減実験(対照処理
<水道水処理> ではほとんど変化ないのに比べて、ナノ銀担持体(骨炭+コラーゲン液)による処
理で約半減させた。
実用化見込み時期:
我々の現在保有する知見・技術では、土壌や焼却灰等に残留する放射性セシウムに有効であること
は、数々の実績や実証実験から概ね明らかになっている。ただし、効果が対象の化学形態の依存する
可能性もあるので、福島F1サイトでもそのまま直ぐに機能すること保証するものではない。
この作用は、世界において一部の科学者が別な視点からの数々の実験実績を基に研究領域を形成し
つつある低エネルギー核反応(LENR)による核変換の一種であろうと推測する。そうであれば、
その実績からは相当に広い核種が対象となっているので、ナノ銀の働きについても、その強度(反応
速度)はともかく、他の放射性核種についての有効性は論理的を否定する根拠は無い。換言すれば、
トリチウムやストロンチウム、その他の放射性核種への有効性は、実験によってのみ確認可能と考え
ている。
我々は、他の放射性核種への有効性については自然放射性物質を対象に調査を開始しつつある。
もとより、多様な放射性核種の同定や有効性試験は国内の限られた施設のみ可能であり、そこで試
験をしてもらえれば幸甚である。東電F1サイトでの小規模の数々の試行・試験がまずはもっとも効
果的である考える。少しでもその有効性が見えれば基礎研究による方法の高度化、関連設備の中規模
211
化・最適化研究を経て大規模化は各試験研究機関、研究組織での次の課題となる。
特記1:
ナノ銀の放射性セシウムの低減現象は、おそらく新奇で極めて特異な現象であり、専門家諸氏には
容易に理解しがたいものと思われるが、上述の理由から、我々の実験では確認されてはいないが敢え
て案件名に「核変換」という表現を入れた。
何れにしろ、我々のこれまでの検証方法や判断が無謬であると強弁するつもりは全く無く、現在も
種々の確認作業を続けている。
多くの独立の検証実験、追試を望むものである。
特記2:
エンジニアリングの歴史を紐解くまでもなく、人間は無数の失敗を積み重ね学んできた長い歴史を
持っており、現代も例外ではない。放射能対策についても、東電F1サイトは極めて貴重な人類の学
びの場である。この世に万能な装置やシステムなどというものは無いのであって、ある項目に特徴の
あるものは別な状況においてが弱点にさえなる。現場では応急的な処理の必要性が高い状況という制
約があることは十分承知をしているが、対応システムには冗長性を持たせることを是非望みたい。
212
3
マグネシウム系吸着剤による海水中の放射性物質の固定化について
株式会社ティ・アイ・シー
(特徴)
マグネシウム系化合物が配合された放射性物質吸着剤です。特に海水のようなミネラル成分が多
量に溶解している状況でも、それらの阻害を極力抑えて、放射性物質を吸着することができます。
また、既存のゼオライト類と比べて、著しく速い吸着反応速度を有しています。この性能によって、
弊社放射性物質吸着剤が海底に沈降する短時間の間に放射性物質を吸着し、なおかつ海底へ
の固定化も可能にします。これは他社製品に比べて、散布量を抑えることができることを意味します。
(仕様)
形状は、粉末状の外観を有しています。
散布方法については、既にアオコ対策としてマグネシウム剤を海域に散布している実績があり、
同様の散布方法を採ることによって閉鎖海域に満遍なく弊社放射性物質吸着剤を確実に散布
することがができます。
(エリアA):散布頻度:最低1回/日(潮の干満を利用。満潮の約1時間前に散布開始)。
2
散布量概算:0.05kg/m 2×35000m =1750 kg/日1.75t×365日/年=640 t
(エリアA以外):散布頻度:10日に1回程度。
2
2
散布量概算:0.05 kg/m ×300,000 m =15,000 kg/回、15 t×365/10=550 t
(性能)
補足資料にて、各種試験データを添付しました。
(保有者)
㈱T.I.C、クニミネ工業㈱2社の共同開発品です。
平成23年度除染技術実証試験事業においてマグネシウム系化合物を配合した除染剤で実証試験
を行い評価を頂いております。
今回提案技術は上記技術をベースとして、より海中での性能について改善を施したものです。
試作品については既に性能実証試験の為に完成しています。また、実用化に向けての生産量、
品質の確保については体制が整備されており、いつでも実施工に向けた生産が可能です。
213
[様式2(汚染水処理対策委員会に報告し、一般公開となるものです)]
御提案書
技術分野
④、⑤
(「技術提案募集の内容」の該当番号を記載願います)
御提案件名
RC ガーデックスによる防水・止水工法
御提案者
日本躯体処理株式会社
1.技術等の概要(特徴、仕様、性能、保有者など)
RC ガーデックスは無機質・水系のけい酸塩系の表面含浸材である。この製品は通常はコ
ンクリートに浸透し以下の反応を引き起こし、コンクリートを緻密にして防水・止水する。
今回の場合、多量の地下水が流れ込んでいることやひび割れ幅が大きいことが予想され
るので通常の方法では止水・防水できない。
この提案は、流動性が高く、大量の施工が可能で安全性の高い工法を提案するものであ
る。けい酸ナトリウムとしては安全で反応性が高く、浸透性の高い「RC ガーデックス」を
使用する。カルシウム分としては、安全性が高いカルシウム塩水溶液を主成分とする「強
化材」を使用する。この他に、状況に応じて水分散性の良い短繊維や増粘剤を組み合わせ
るものとする。
建屋内については、RC ガーデックスとカルシウム塩水溶液の強化剤をポンプで輸送し、建
屋内に送る。2液は配管から建屋内の滞留水に送り込まれ、ゲル化する。
流動性があるので建屋内の水の流れにより、漏水箇所に反応生成物のゲルが集まり、コン
クリートのひび割れ部や地中で目詰まりし、止水される。当初はゲル状であるが、最終的
には、けい酸塩の当論量よりカルシウム量を多くすると、反応が進行しセメントの硬化体
である C-S-H(カルシウム-シリカ-水)系の結晶になり安定化する。(下図参照)
図1 RC ガーデックスと強化材
図2 RC ガーデックス 10ml
図3 強化材 10ml 添加後ゲル化
ゲルが約 40ml 生成した。
建屋内については、上記方法により漏水を止めた後に、必要に応じて、水中不分離コンク
リートを打設して、より防水・止水性を高め、更に RC ガーデックスと強化材を再度施工す
ることが望ましい。
213
図4
右試験管に水 90ml 投入
図5 右試験管に RC ガーデックスと
図6
1 分後にゲルが約 50ml 生成
強化材を各 5ml 投入
屋外については、RC ガーデックスと強化材を交互に数回散布することにより、地面に浸透
し、土や砂ごと硬化させることが期待できる。
深い部分については、金属パイプを地中に差し込んでポンプで圧入することで対応できる。
最後に RC ガーデックス表面保護用を散布すると、表層でガラス化・固化してさらに防水性
が高まる。
2.備考(以下の点など、可能な範囲で御記入いただけますようお願いします)
・開発・実用化の状況(国内外の現場や他産業での実績例、実用化見込み時期を含む)
国内のコンクリートピットや池等の止水・防水については実績が多数あり。
屋外の地面については検討中。
・開発・実用化に向けた課題・留意点
現場の建物の容積や屋外の地面の状況が不明なので、予備試験が必要と考えられる。
建物内に関しては、内部の容量や水量に応じた RC ガーデックスや強化材の濃度や投入量
などの最適化が必要と考えられる。
また、屋外の地面の防水については、現地の実際の土質で RC ガーデックスの濃度と強化材
の濃度や散布回数、散布量を確認する必要がある。
使用量が多いので、材料の手配・製造に1カ月程度の準備期間が必要である。
・その他(特許等を保有している場合の参照情報等)
国土交通省新技術(NETIS)に登録済。KT-060075-V
(備考)技術提案募集の内容(6分野)
① 汚染水貯蔵(タンク等)
② 汚染水処理(トリチウム処理等)
③ 港湾内の海水の浄化(海水中の放射性物質の除去等)
④ 建屋内の汚染水管理(建屋内止水、地盤改良等)
⑤ 地下水流入抑制の敷地管理(遮水壁、フェーシング等)
213
⑥ 地下水等の挙動把握(地下水に係るデータ収集の手法、水質の分析技術等)
214
[様式2(汚染水処理対策委員会に報告し、一般公開となるものです)]
提案書
技術分野
①汚染水貯蔵
提案件名
漏水を検知しやすい汚染水貯蔵タンクの基礎底盤
提案者
石井
卓
1.技術等の概要(特徴、仕様、性能、保有者など)
貯蔵タンクからの漏水の可能性をゼロにすることは困難である。漏水をいち早く検知し
て、対策を施すことが現実的であるので、貯水タンクを定置する基礎底盤を図 1,図2のよ
うに排水溝を多数配置する。廃棄物タンクを複数の凹凸部を有する底板の上に定置し、凹
部を流れる水を採取して測定することにより、廃棄物タンクからの漏水を検知することを
特徴とする。図3に鉛直断面図で示すように、底盤に設けた多数の突起部によってタンク
底面を支持するので、貯水タンクの剛性が低くても安定的に定置することができる。
図1
排水溝から図示せ
ぬ集水溝へ流下
図3
タンク支持構造の凹部を漏水が流下
図2
排水溝から図示せ
ぬ集水溝へ流下
2.備考(以下の点など、可能な範囲で御記入いただけますようお願いします)
・開発・実用化の状況(国内外の現場や他産業での実績例、実用化見込み時期を含む)
実施例はないが、基礎底盤コンクリートの設計の工夫であって、いつでも実現できる。
・開発・実用化に向けた課題・留意点
基礎底盤の設計(凹部の排水勾配,要所に設けるサンプリング用集水溝の配置)は必要
サンプリング計画(採取頻度と判断基準の作成)は策定が必要。
・特許出願中(未公開)
215
[様式2(汚染水処理対策委員会に報告し、一般公開となるものです)]
提案書
技術分野
①汚染水貯蔵
提案件名
漏水の検知と修復・移設しやすい汚染水貯蔵タンク定置方法
提案者
石井
卓
1.技術等の概要(特徴、仕様、性能、保有者など)
貯蔵タンクからの漏水の可能性をゼロにすることは困難である。基礎底盤に図1の支持
構造を設けることにより、図2,図3に示すように日常の漏水点検が容易となり、現地で
の修復を施すことができる。廃棄物タンクを移設してから修復する必要が生じた場合には、
図4に示す手順で移設することができる。
図1 タンク定置概念
図2 雨水・漏水の流れ
図3底部の点検方法
1対の支持台の内側に雨水
も漏水も集まるのでサンプ
リング監視可能。
図4
1対の支持台の内側に監視
員が点検入場可能。
貯水タンクの移設手順
2.備考(以下の点など、可能な範囲で御記入いただけますようお願いします)
・開発・実用化の状況(国内外の現場や他産業での実績例、実用化見込み時期を含む)
実施例はない。基礎底盤コンクリートの設計検討は必要。
・開発・実用化に向けた課題・留意点
貯水タンクの剛性増強の工夫とコストアップが課題。
基礎底盤の設計(排水勾配,サンプリング集水溝の配置)は必要
サンプリング計画(採取頻度と判断基準の作成)は策定が必要。
・特許出願中(未公開)
216
[様式2(汚染水処理対策委員会に報告し、一般公開となるものです)]
御提案書
技術分野
①
(「技術提案募集の内容」の該当番号を記載願います)
御提案件名
タンク in タンク(鋼製貯蔵タンク内にFRP製の内筒タンク据付)
御提案者
株式会社 カ ナ エ
1.技術等の概要(特徴、仕様、性能、保有者など)
現在、使用されているタンクの汚染水漏れ対策として、鋼製タンク内に FRP 製のタンク
を組み立て据え付けます。いわゆる「タンク in タンク」の形式を取る事により、既存
のタンクの強度を利用し、汚染水漏れの原因となっているフランジ部からの漏水防止を図
れます。
特長
仕様
1)分割したFRPを、工場製作し現地施工にて組立て、繋ぎ目も硝子繊維と
樹脂にて接着し、一体化させる事が出来ます。
組み立て後、漏水箇所が無いか容易に検査する事が出来ます。
2)組み立ての現地施工期間も短く、組み立て後の養生期間も1~2日と短い。
海路での運送納入が可能で有れば、分割の数を減らせ より施工期間の
短縮が可能になります。
3)国内での化学プラントや精錬工場などでの実績が有ります。
FRP製
2.備考(以下の点など、可能な範囲で御記入いただけますようお願いします)
・開発・実用化の状況(国内外の現場や他産業での実績例、実用化見込み時期を含む)
国内に於ける化学プラント、製錬工場など大型タンク(φ8000)にて
製作・納入実績が有ります。
・開発・実用化に向けた課題・留意点
高濃度汚染水に於けるFRP製品の使用例が有りませんので、FRP製品と
して有すべき耐用年数が希望されている10年以上の使用に適するか、検証
中です。
・その他(特許等を保有している場合の参照情報等)
217
[様式2(汚染水処理対策委員会に報告し、一般公開となるものです)]
御提案書
技術分野
① 汚染水貯蔵(タンク等)
御提案件名
大口径、超長尺ホースを用いた汚染水の貯留方法
御提案者
芦森工業株式会社
1.技術等の概要(特徴、仕様、性能、保有者など)
特徴
・シームレス補強体を用いた高耐圧ホース
・大口径、超長尺ホースで貯留量を確保する。
(図-1参照)
・耐外傷及び耐候性を考慮した材料を使用し、
腐食や強度低下を防ぐ。
・ダブルジャケット(二重補強体)構造
・注排水口は、金具からの漏水などを防止するための
特殊設置構造(添付図参照)
・廃棄は、ホース内部を除染することで可能。
仕様/性能
・Φ1000mm × L100m~500m
・耐圧0.6MPa ・使用圧力0.2MPa
・ホース材料は、合成繊維、 合成樹脂(ポリウレタン)
保有者
芦森工業株式会社
シームレス補強体:2 重(ポリエステル、他)
樹脂被膜(ウレタン)
図-1 大口径ホース
貯留量は、添付資料参照。
2.備考(以下の点など、可能な範囲で御記入いただけますようお願いします)
・開発・実用化の状況(国内外の現場や他産業での実績例、実用化見込み時期を含む)
・一般に合成繊維を用いたフレキシブルな水タンクがあるが、ホースを用いたものは見当
たらない。但し、ホースも口径を大きくすればタンクとして使用出来る。
・実用化時期に関しては、他用途で同サイズのホースを生産しているので、短期間での準
備が可能である。
・開発・実用化に向けた課題・留意点
・長尺化での現行可能サイズは、200mくらいで、それ以上は製造施設が必要。
・現地貯留地での使用は、長尺敷設場所が必要。
・高分子材料のため、仮設(1 年以内)での供用が望ましい。
・その他(特許等を保有している場合の参照情報等)
・シームレス補強体を用いた大口径・長尺ホースの製造設備を保有
・シームレス補強体はφ2000 まで製造可能。
(備考)技術提案募集の内容(6分野)
① 汚染水貯蔵(タンク等)
② 汚染水処理(トリチウム処理等)
217
③
④
⑤
⑥
港湾内の海水の浄化(海水中の放射性物質の除去等)
建屋内の汚染水管理(建屋内止水、地盤改良等)
地下水流入抑制の敷地管理(遮水壁、フェーシング等)
地下水等の挙動把握(地下水に係るデータ収集の手法、水質の分析技術等)
219
[様式2(汚染水処理対策委員会に報告し、一般公開となるものです)]
御提案書
技術分野
①
(「技術提案募集の内容」の該当番号を記載願います)
御提案件名
米国製の汚染水貯蔵特化タンク及び漏えい水遮蔽技術の御提案
御提案者
コールド・エナジー・システムズ株式会社
1.技術等の概要(特徴、仕様、性能、保有者など)
米国での歴史上、実際に起こった環境破壊的な土壌汚染、放射能問題など数々の事件の
改善と解決をしてきた経験から幅広い環境浄化、放射能や毒物の貯蔵タンク技術、および
汚染水遮蔽技術を下記に提案します。
これらの技術は既に米国の工業規格承認済のものであり米国政府や米軍などで使用実績
があり、汚染水を完全に安全に貯留できます。
既に生産、供給体制は米国内で弊社主導で進めているため、海上輸送日数を含めても、
納期/工期は短期間です。
1.
汚染水貯蔵タンク
放射能汚染水を完全に貯蔵、放射線等を遮蔽するタンクを更なる高い技術でのオプ
ションなども含めて、下記のように分類し、組み合わせて供給することが可能です。
なお、弊社が提案するタンクは全て溶接型タンクであります。
①
鋼性、ステンレス鋼製の選択
耐久性が大きく変わります。液体の内容にもよりますがステンレス鋼なら理論上、
100年、最低でも30年漏洩防止が実証されています。
②
一重構造、二重構造の選択
二重構造の場合、二重漏洩遮断に加え鉛を間に入れることによって制動X線を遮
蔽可能。下記コーティングも同様の効果を有します。
③
縦置型、横置型の選択
横置型の場合、地上設置工事不要の外箱型(漏洩二重遮断)の選択可能
(タンク製造技術上、縦置型の場合、横の径×2倍の高さが米国カリフォルニア
州の耐震基準であり、横置型の場合は全て完全に耐震仕様である)
219
④
対放射線コーティング、ライナー、ブラッダー・バッグの選択
○対放射線コーティング(漏洩遮断の性能と内側、外側の両方可能)
○ライナー(放射性物質、毒物、有害ゴミなどを密閉するフレキシブルな
高性能繊維を使用可能)
○ブラッダー・バッグ(タンク内に更なる上記繊維によるフレキシブルな袋形状
の密閉方式の貯蔵方法で漏洩を完全に遮断します)
⑤
防弾、防爆仕様の選択
対テロリスト、想定外の事故による外傷ダメージ対策の堅牢化。
⑥
積載の可能
横置型なら縦に積載可能。(耐震のために補足資料に図面を付記。
)
2.
ライナー、ブラッダー・バッグ・システム
また、上記、ライナー、ブラッダー・バッグ・システムを使用して現在、問題になって
いるフランジ接合型タンクを撤去せずに再使用、再利用が可能になり汚染水漏洩を完全に
防止できます。
ライナーは地上に敷くことによって漏えい水の土壌汚染も防ぎ、ブラッダー・バッグ・
システムは大型のものを地上、もしくは海上、海中に置くことによって一時的な貯蔵や入
れ替え時の貯蔵をフレキシブルに行うことが可能です。
弊社はこれらの製品の代理店であり迅速な供給体制を既に進めております。
製品の詳細な特徴、仕様、性能、実績資料、写真などは[補足資料(自由様式)]に詳細
記載しております
2.備考(以下の点など、可能な範囲で御記入いただけますようお願いします)
・開発・実用化の状況(国内外の現場や他産業での実績例、実用化見込み時期を含む)
実施、実証事例は米国国内国外に問わず実績があり詳細は補足資料にて説明しておりま
す。既に実用化しているものばかりで生産体制、供給体制は弊社主導で輸送方法も含めて
米国内にて進めております。
219
・開発・実用化に向けた課題・留意点
特に問題点はありません。不可能な点はありません。
・その他(特許等を保有している場合の参照情報等)
承認、特許の詳細情報等は、補足資料に記載しております。
(備考)技術提案募集の内容(6分野)
① 汚染水貯蔵(タンク等)
② 汚染水処理(トリチウム処理等)
③ 港湾内の海水の浄化(海水中の放射性物質の除去等)
④ 建屋内の汚染水管理(建屋内止水、地盤改良等)
⑤ 地下水流入抑制の敷地管理(遮水壁、フェーシング等)
⑥ 地下水等の挙動把握(地下水に係るデータ収集の手法、水質の分析技術等)
220
[様式2(汚染水処理対策委員会に報告し、一般公開となるものです]
ご提案書
技術分野
① ② ③ ④ ⑤ ⑥
提案件名
東京電力福島第一原子力発電所における汚染水対策を巡る新たな技術についての提案
東電福島の事故での、
「国際廃炉研究開発機構」
(以下、機構)による「汚染水問題への対
応についての技術提案」募集は、「現行の技術では有効な対策がない」現状で実施されるこ
とになりました(10 月 3 日、福島民報)。10 月 2 日に実施された事業者向け説明会の文書
をもとに、私どもも提案を準備させていただくことになりました。前提として現行の汚染水
対策、ひいては東電福島の重大事故についての考察も不可欠であると思われますので、以下
の順序で「汚染水新技術提案」としてまとめさせていただきます。
提案者
兵庫県南部大地震ボランティアセンター
代表
菅澤邦明
1、技術等の概要(特徴、仕様、性能、保有者など)
機構による本提案の募集にあたっての前提は「現行の技術では有効な対策がない」とされる事実であります
が、その徹底的な考察が不可欠であるのは言うまでもなく、以下順序を追って考察を深め、最後に「まとめの
提案」を付加させて頂きます。
1、汚染水対策の現状と考察
① 循環注水冷却施設
② 汚染水貯留
③ 多核種除去設備(ALPS)
④ 地下水及び、地下汚染水対策
イ、地下水の汲み上げ
ロ、海側遮水壁
ハ、凍土壁
2、汚染水対策には「現行の技術では有効な対策がない」とされる事実とその考察
① 東電福島の重大事故の事実と本質に立って
② 原子力発電所の重大事故で問われる技術
3、汚染水新技術提案
① 汚染水新技術に求められる課題
② 汚染水新技術提案
4、まとめの提案
1、汚染水対策の現状と考察
①循環注水冷却施設
事故で溶融した燃料で原子炉本体も溶融している、要するに原子力施設そのものが壊れているため、外
部から 1 日約 400 トンの注水で冷却する施設。注水した水に地下水が加わり 1 日約 800 トンの汚染水と
なって外部に漏れ出しており(必ずしも、この数字についての根拠が示されている訳ではない)、それを
浄化(塩分、セシウムを除去)し、400 トンは再冷却に使っているとされる。除去した超高濃度のセシウ
ムは汚染物質として東電福島敷地内に仮置きされ、セシウム以外の核種を含む高濃度の汚染水が、1 日約
1
220
400 トン分タンクに貯留され増え続けている。燃料が溶融し、原子炉本体も溶融しているため、冷却水が
汚染水となって漏れ出すことが止められない。「現行の技術では有効な対策がない」状況で、原子炉から
外部への流出が止められないため、イ、循環注水冷却施設で汲み上げ切れていない汚染水が海に流出して
いる。ロ、大量に増え続ける汚染水対策で仮置きした簡易タンクから汚染水漏れが起こってしまっている。
② 汚染水貯留
1 日 400 トンの汚染水(年間で、144,000 トン)対策として、貯留タンクで仮置きされているが、簡易
タンクであるため(450~1000 トンで耐用年数約 5 年、部品をボルトで繋ぐ)汚染水漏れが続いている。
別に、1万トン規模の地下貯留タンクを設置したが、汚染水漏れで現在は使われていない。
③ 多核種除去設備
セシウムを除去した汚染水から、残りの放射性物質(多核種)を吸着除去する設備で、現在 A~C の 3
系統が完成しているが、試験稼働の段階で処理用タンクが薬品で腐食し、汚染水漏れの事故を起こし、C
系統のみで試験稼働が行われている。多核種除去設備では、放射性物質の中のトリチウムは除去できない
ため、薄めた上で海に流すことが検討されている。
(「機構への注記」
)。また、除去された超高濃度の多核
種は容器に入れられ、東電福島の敷地内に仮置きされている。
「機構への注記」:東京電力など、電気事業者の放射性物質という毒の理解は、たとえ環境中に放出
されても法定限度以下に薄まれば(薄めるも含む)、放出も放出量も問題にならないというのが基本。
6基が稼働する東電福島の場合、東電が決めている年間の放出管理目標値は 2200 億ベクレル。2013
年 8 月 21 日に、海に漏れ出した放射性物質は東電の試算で 30 兆ベクレルで、目標値の 100 倍超。
しかし環境中で薄まった結果、「国の基準である濃度限度は下回っている」というのが東電の理解で
あり主張。
放射能汚染水の放出、汚染水漏れで、当の事業者に課されるのが、自主的放出管理目標値であり、
たとえそれを大幅に超えたとしても、環境中で薄まって、「国の基準である濃度限度を下回る」こと
になれば、放射能汚染水(物質)は、どんなに大量に放出しても許されることになる。8 月 21 日に
東電が自ら試算結果を発表している 30 兆ベクレルの放出についてもそれが管理目標の 100 倍を超え
ていたとしても「国の基準である濃度は下回っている」という、東電の説明で終わりになる。
東電福島の事故から 2 年半余り経って、汚染水漏れの問題が繰り返されるのは、事業者である東電
の上記のような理解に起因する。それが規制されることもない。だとすれば、この度の「機構」によ
る技術提案の募集は事故の当事者である東京電力に汚染水漏れの責任を問うことにはならないし、逆
に、責任の回避をうながすことになってしまう。
④ 地下水及び、地下水汚染水対策
イ、地下水の汲み上げ
汚染水を増やさないため、原子炉より西側に井戸を掘り汲み上げた地下水を、バイパスで海へ流
す計画は、放射性物質を含むため、漁業者の理解が得られていない。
ロ、海側遮水壁
汚染された地下水を止めるため、岸壁を掘り薬剤で土を固め、壁を作る。鋼矢板で壁を作るなど
の対策が取られているが、地下水を止めるだけの働きをしていない。
ハ、凍土壁
事故の原子炉周囲約 1.7km に深さ約 13m の穴を掘って埋め込んだ冷却設備で土を凍らせ、地下
水の流入と漏れ出すのを防ぐ壁を作ろうとしているが、着工はしていない。
2
220
2、汚染水対策には「現行の技術では有効な対策がない」とされる事実とその考察
① 東電福島の重大事故の事実と本質に立って
原子力発電所の重大事故は起こってしまった時には対策が困難である為、起こらないことを前提に稼働
させてきた。人間の技術である限り、完全はあり得ないことも認識されていて、加圧水型原子炉の場合、
「炉心損傷頻度が約 10-7/炉年(約 1000 万年に 1 回)格納容器機能喪失頻度が約 10-8/炉年(約 1 億年
に 1 回)」と考えられ、それを記載する「原子力防災概説」
(平成 21 年 9 月、独立行政法人原子力安全基
盤機構)、P12、
「図 3-2、アクシデントマネジメント策の概要」には、炉心溶融の場合の「回復」記載は
ない。対策は考えられないことになっているのに起こった事故、それが東電福島の重大事故。全く何一つ
対策が間に合わなかった訳ではなく、溶融した燃料、原子力容器・格納容器に外部から注水して冷やす応
急対策が循環注水冷却施設。しかし、溶融した原子力施設で取られた対策のすべては対症療法に過ぎない。
東電福島の重大事故は壊れたものを修復する対策ではなく、壊れた状態の最悪を継続するだけの対策。壊
れた原子炉を冷却するために注水した水は、高濃度の汚染水となって漏れ出し、それを止めることもでき
ない。その結果、超高濃度のセシウムは吸着除去したとしても、それを詰め込んでカートリッジは仮置き
され増え続け、汚染水もまた増え続け、それを貯留することと、貯留水が漏れ出す汚染水対策に追われて
いる。
② 原子力発電所の重大事故で問われる技術
原子力発電所の重大事故で、中でも漏れ出すことが止められない汚染水対策で、それが止められなくて
漏れ出す事故が続いている。何より必要な認識は、壊れた原子炉を冷やすために注入した水が漏れ出すの
は止められないという現実・事実である。このことは、原子力発電所の重大事故のあらゆる事故対策の出
発点となる。「汚染水が漏れ出すのを止める手立ては見つからない」は、いわゆる技術の限界ではなく、
人間の技術を無力化するのが、原子力発電所の重大事故であることを意味する。
東電福島の事故現場では、上記の意味で技術を無力化する力との闘いの現場である一方で、あらゆる意
味で技術の出し惜しみが、汚染水対策を難しくしている。あるいは汚染水漏れを続発させる結果になって
いる。前者の「技術を無力化する力との闘い」ということでは、その現場の放射線量によって、技術の行
使が全く困難であったり、汚染水対策で立ち向かう人たち(“作業員”と呼ばれたちする人たち)の被曝
の恐れが、どんな技術の行使も難しいものにしてしまっている。
何よりも厳しく指摘されなくてはならないのは、東電福島の重大事故の事故対策で使われてきた技術の
多くが、実は高濃度の(時には超高濃度の)放射性物質対策(汚染水対策)としては、間に合わせのもの
でしかない事実である。たとえば、港湾に流れ込んだ汚染水が港湾口から、海に流れ出すのを防ぐために
「シルトフェンス」という膜が使われてきたが、最近になってそれを透過して放射性物質が海に流れ込ん
でいることが指摘されている。これなどは、事故の事実を見くびった技術の行使であり、東京電力の事故
対策の多くが同じような、汚染水漏れを繰り返すことになっている。貯留タンクからの約 300 トンの汚染
水漏れも同様。もともと耐用年数が 5 年間の、部品をボルトで固定するタンクで強度、密閉度も低い為、
結果的にはボルトの緩みで汚染水漏れが起こってしまった。約 300 トン、20 兆ベクレルの汚染水の漏れ
が起こるタンクは、この場合の汚染水の貯留タンクとしてそもそも使いものにならない。技術の軽視と、
技術の出し惜しみがこんな事故になっているとしたら、作為的であるとのそしりを免れない。
3、汚染水新技術提案
「汚染水の問題への対応についての技術提案」は、全体を 6 項目に分け、それぞれについての「現状」を簡
単に分析し、その上で「求める技術」を具体的に募集する体裁になっています。以下、6 項目を便宜上①~⑥
3
220
とし、それぞれについて、具体的な技術及び、その可能性について提案することとします。
① 汚染水貯留
貯留タンクの多数を占める「ボルト締め型タンクからの汚染水漏れが発生している」ことを認め、
「全て
のボルト締めタンクを溶融型タンクにリプレイス」する技術。求められている技術・要求事項は(1)~
(4)まであげられていて、増え続ける汚染水、汚染水漏れの状況から、かなり切迫したかつ厳しい内容
になっている。しかし、
(1)溶融型タンクに求める要求事項が 6 つあって、その中でも、
「汚染水(Cs137:
104Bq/ℓ、Sr90:108Bq/ℓ)を貯留できること」となっている。それが、
「溶接型」の「鋼製タンク」で
あるとすれば、本体及び溶接部に発生する腐食を考慮すれば要求される耐用、耐久の「タンク内面からの
点検&補修せずに 10 年以上漏洩を防止できること」を満たすことは到底不可能であり、要求事項そのも
のが現実的とは言えない。即ち、前提の「汚染水(Cs137:104Bq/ℓ、Sr90:108Bq/ℓ)」という高濃度
の汚染水(放射性物質という極めて悪性の毒)を貯留する容器としては全く適さないものであり、それを
要求事項とする提案の提出者である機構「(国際廃炉研究開発機構)の見識を疑わざるを得ない。(2)以
降、中でも「(1)ボルト締め型タンクの撤去作業の円滑化」での「タンク水抜き後、タンク内壁面&底面
に付着した放射性物質を速やかに除去できること」
「作業時の被曝線量を低減できること(作業時間短縮ま
たは、遠隔操作)は、要求事項で示された汚染水を貯留したタンクであったとすれば、撤去作業時に求め
られる放射性物質の除去の際の、その拡散を防止するため、中でも、作業時の作業員の被曝線量を低減さ
せるためにも、慎重な上にも慎重でなくてはならない。
「円滑化」ということで求められる「タンク水抜き」
は、高濃度の汚染水を移送する配管、そして具体的な移送作業において、万一の事故も許されない。また
「タンク内壁面&底面に付着した放射性物質を速やかに除去」するのも、一つ一つ作業における作業員の
被曝を考慮する時、そしてそこが「作業時間の短縮」が要求される現場である時、
「速やかに除去」は、放
射性物質の拡散、作業員の被曝の可能性を高めることにもなり、現実の作業としてはあり得なくなる。
また、機構はこれら作業にあたる人材として、誰を想定しているのか明らかにする必要がある。たとえ
ば「作業時の被曝線量を低減できること(作業時間短縮…)」であるとすれば、かなりの人数の作業員の増
員が必要になる。果たして、事故の当時者である東京電力は、その作業に見合う作業員(社員)を増員す
る計画を持っているのであろうか。もし、提案側に、その作業をする人材を求めているのであるとすれば
機構も東京電力も余りにも無責任であると言わざるを得ない。
この度の技術提案募集に応募するにあたり、この点において、機構として東京電力に具体的に何人の社
員を充てるのかあるいは増員するのかを明確にするよう求める必要がある。
② 汚染水処理
機構が求める「求める技術」
「
(1)トリチウム分離技術に求める要求」は、技術的には困難であり」
「
(2)
その他処理に求める要求事項」も、「例)蒸散、地下貯蔵、コンクリート固定化」のいずれの場合よりも、
「溶接型」
「鋼製」ではない、小型(100 トン規模)のステンレス製タンクで貯留することが、あらゆる意
味で現実的である。
③ 港湾内の海水の浄化
「(1)海水中の放射性 Cs、Sr の除去」で、もしそれが「簡易な設備」であるとすれば、求められてい
る技術で除去も拡散を防ぐことは難しい。「(2)放射性物質を吸着するシルトフェンスの設置」について
も、現在設置している「簡易」なシルトフェンスで、港湾外への放射性物質の移動を防ぐとされていたが、
その機能を持っていなかったことが明らかになっている。港湾そして海へ出してしまった放射性物質の除
去は、あらゆる意味で技術的には不可能と考えるのが現実的で、とにかく外部に漏らさないことが条件で
あるとすれば、汚染水は小型(100 トン規模)のステンレス製のタンクで貯蔵する。小型のタンクであれ
4
220
ば「①汚染水貯蔵、求める技術(1)溶接型タンクに求める要求事項」
「相当程度(少なくとも 0.36G)以
上の地震に対し、漏えい防止機能を維持できること」に対応することも可能になる。
④ 建屋内の汚染水管理
「求める技術」「(2)地盤改良工事技術」「…建屋近傍は放射線レベルが高いことから」とあるように、
事故直後から事故の原子炉の建屋の多くは、最も放射線量が高く、あらゆる作業が難しいと考えるのが自
然。にも関わらず、建屋内の汚染水管理や止水工事を急ぐことは、いたずらに作業員の被爆事故を多くさ
せることになる。恐らく、事故の当事者である東京電力も、こうした工事を担えるだけの人材を、現時点
でそこに配置することは難しい。いわゆる協力企業などの作業員にその作業を期待するとしたら、事故を
起こした企業として社会的責任を果たすことにならない。従って、
「④建屋内の汚染水管理」は、現状維持
以外にはあり得ない。
⑤ 地下水流入抑制の敷地管理
⑥ 地下水等の挙動把握
東電福島の重大事故で、当初から汚染水の問題が最重要課題であった。その処理に当たっては、漏れ出
す汚染水に混入する地下水 400 トンをどうするかが大きな問題であった。難しいのは、原子炉の地下周辺
が高濃度に汚染されている為、実態の把握が難しく、事故から 2 年半余り、地下水と汚染水の混入・増加
問題で、東京電力はほとんど手付かずの状態で放置してきた。この問題は、「国内外から提案」ではなく、
東京電力にこそ、把握している(そして把握できていない)すべての情報を開示し、速やかかつ徹底的に
解明の為の方針を明示する責任がある。
4、まとめの提案
1、汚染水問題で、もし提案があり得るとしたら、東電福島の重大事故で汚染水が漏れ出すのを止めることは
できないという現実に冷静に立つことがこの提案の基本。
2、事故は、東電福島の重大事故であり、当然事故の責任と事故対策の中核となって働くのは東京電力の“社
員”でなければならない。そうでない事故理解も事故対策も、必ずどこかで破たんする。繰り返される汚
染水漏れの事故は、“社員”ではなく“作業員”に現場を任せることで起こっている。
3、従ってここで示す“まとめの提案”は、あくまでも提案であって、それを事故現場で実行するのは、東京
電力であり、東京電力の“社員”である。
4、注水冷却及び、地下水の流入によって漏れ出す汚染水、その問題の解決は当面それを“貯留”し続けるよ
り他の対策があり得ないとすれば、より安全な地上タンク以外にあり得ない。要求されている「信頼性の
高いタンク」があり得るとしたら、1000 トン級の鋼製タンクではなく、腐食や耐震性にも強いステンレ
ス製の小型(乾式キャスクのように放射性物質を閉じ込めるとされる材質の 100 トン程度のステンレス
製)のタンクなどしか考えられない。そのタンクを設置する場所の確保もまた、東京電力は全力で探す必
要がある。こうした確実で信頼するに足る、事故対策こそが、事故の当事者である東京電力に求められて
おり、それは誰も代行することはできない。
5、提案として求められているのは、“技術”であるが、技術の限界と技術の可能性を軽視し、技術を恣意的
にかつ私物化した結果が、この度の東電福島の事故であるとすれば、技術と人間との根源に立ち返ってし
か、要するに小さな一歩を積み重ねる働きでしか、この重大事故の対策はあり得ない。取り返しのつかな
いことが起こってしまっているのであり、その答えになる新たな技術などあり得ないし、起こってしまっ
たことの結果を、人間は生きるしかない。もちろん、だからと言って事故の当事者である東京電力の責任
が軽減されることはないし、どんなに厳しく問うとしても、厳し過ぎることもあり得ない。
5
220
2、備考
備考 3 項目については、「技術等の概要で、ほぼ全て触れておりますの略させていただきます。
6
221
[様式2(汚染水処理対策委員会に報告し、一般公開となるものです)]
提案書
技術分野
③
(「技術提案募集の内容」の該当番号を記載願います)
提案件名
港湾内放射能汚染水除染システムの提案
提案者
株式会社 TAMURA(営業担当
樋口 勝彦)
1.技術等の概要(特徴、仕様、性能、保有者など)
(1)港湾内海水の浄化システムの提案
①(株)TAMURA 製「エコスイジン」をベースに「改良型エコスイジ」を海水浄化
装置として使用する。
ア)1機当り処理能力:200 トン/日:25 日稼働で 5000 トン/月・機
◇処理対象量が膨大なため「10 機(5 万トン/月)」を提案
イ)トレーラー架台上設置:作業場所移動対応
ウ)1機当り製作コスト:4.5 億円/機+トレーラー2500 万円
エ)製作期間:発注後 90 日
オ)システムの特徴
ⅰ)発生スラッジの減容化:ドライスラッジ化
ⅱ)エコスイジン(活水器特許:第 4882024 号)による浄化
②(株)日本ドライの除染作業で実績のある「吸着剤」
(製品名:非公開)を使用
する。
ア)セシウム・ストロンチウム同時除去用吸着剤:除去率 99%以上
イ)海水・淡水対応吸着剤
ウ)吸着剤包装開梱後の使用期間延長:約 1 年間放置でも影響なし
エ)吸着剤使用コスト:原水1トン当り約 12,000 円
◇200 トン/日機ⅹ12,000 円/トン=2,400 千円/日機
(2)実証テスト結果
①日本ドライの吸着剤は福島県で除染作業として実績があり、セシウム除去として
の実績(別途添付資料「活動 NO-01~活動 NO-06」参照)がある。
②ストロンチウム除去に関しては、試験室レベルで除去テストを行った結果、除
去率 99%以上を達成している(別途添付資料「試験 NO-01~NO-04」参照)。
③セシウム・ストロンチウム同時除去に関しても、試験室レベルであるが除去され
ている。また除去テストにおいては海水中のセシウム・ストロンチウムも淡水と
変わらず除去可能である。
221
2.備考(以下の点など、可能な範囲で御記入いただけますようお願いします)
・開発・実用化の状況(国内外の現場や他産業での実績例、実用化見込み時期を含む)
① 当社提案採用意向が出次第、図面設計提出
◇エコシジンは実機で水質浄化テストは完了しており、製作機器の大型化の設
計を実施
・開発・実用化に向けた課題・留意点
①港湾近傍の道路事情確認
◇トレーラー架台上設置を考えているので、トレーラー通行可否判断のため
・その他(特許等を保有している場合の参照情報等)
◇TAMURA 製エコスイジンは、活水機として特許を取得しており、セシウム・ストロ
ンチウム除去後の「処理済水」に含まれる大腸菌・一般雑菌も除去され、放流海
域の魚群生育に良好な影響を与える。
(備考)技術提案募集の内容(6分野)
① 汚染水貯蔵(タンク等)
② 汚染水処理(トリチウム処理等)
③ 港湾内の海水の浄化(海水中の放射性物質の除去等)
④ 建屋内の汚染水管理(建屋内止水、地盤改良等)
⑤ 地下水流入抑制の敷地管理(遮水壁、フェーシング等)
⑥ 地下水等の挙動把握(地下水に係るデータ収集の手法、水質の分析技術等)
222
[様式2(汚染水処理対策委員会に報告し、一般公開となるものです)]
提案書
技術分野
②
(「技術提案募集の内容」の該当番号を記載願います)
提案件名
タンク内汚染水の除染の提案
提案者
株式会社 TAMURA
(営業担当
樋口 勝彦)
1.技術等の概要(特徴、仕様、性能、保有者など)
(1)タンク内汚染水の浄化システム
①(株)TAMURA 製「エコスイジン」をベースに「改良型エコスイジ」をタンク内
汚染水の除染装置として使用する。
ア)1機当り処理能力:200 トン/日:25 日稼働で 5000 トン/月・機
◇処理対象量が膨大なため「5 機(25,000 トン/月)」を提案
イ)トレーラー架台上設置:作業場所移動対応
ウ)1機当り製作コスト:4.5 億円/機+トレーラー2500 万円
エ)製作期間:発注後 90 日
オ)システムの特徴
ⅰ)発生スラッジの減容化:ドライスラッジ化
ⅱ)エコスイジン(活水器特許:第 4882024 号)による浄化
②(株)日本ドライの除染作業で実績のある「吸着剤」
(製品名:非公開)を使用
する。
ア)セシウム・ストロンチウム同時除去用吸着剤:除去率 99%以上
イ)海水・淡水対応吸着剤
ウ)吸着剤包装開梱後の使用期間延長:約 1 年間放置でも影響なし
エ)吸着剤使用コスト:原水1トン当り約 12,000 円
◇200 トン/日機ⅹ12,000 円/トン=2,400 千円/日機
(2)実証テスト結果
①現在、日本ドライは福島県で除染作業として実績があり、セシウム除去として
の実績(別途添付資料「活動 NO-01~活動 NO-06」参照)がある。
②ストロンチウム除去に関しては、試験室レベルで除去テストを行った結果、除
去率 99%以上を達成している(別途添付資料「試験 NO-01~NO-04」参照)。
③セシウム・ストロンチウム同時除去に関しても、試験室レベルであるが除去され
ている。また除去テストにおいては海水中のセシウム・ストロンチウムも淡水と
変わらず除去可能である。
222
2.備考(以下の点など、可能な範囲で御記入いただけますようお願いします)
・開発・実用化の状況(国内外の現場や他産業での実績例、実用化見込み時期を含む)
① 当社提案採用意向が出次第、図面設計提出:製造期間=受注後 90 日
◇エコシジンは実機で水質浄化テストは完了しており、製作機器の大型化の設
計を実施
・開発・実用化に向けた課題・留意点
①道路事情確認
◇トレーラー架台上設置を考えているので、トレーラー通行可否判断のため
② トリチウム汚染除去について
ア)トリチウム除去に関しては、
(株)TAMURA が保有する「ディレカ:特許番号 3678250
号」及び「エコスイジン:特許番号:4882024 号」にて除去できる可能性を秘
めているが、除染テストを実施したく考える。
イ)トリチウム除去テストのため、「汚染原水」の入手が難しく、原子力発電所か
らの汚染原水の提供を受けて除染テストを実施したく考えます。
◇除染テスト:汚染原水入手後 2 週間でテスト完了
◇テスト完了後、試験結果をレポートし報告
・その他(特許等を保有している場合の参照情報等)
◇TAMURA 製エコスイジンは、活水機として特許を取得しており、セシウム・ストロ
ンチウム除去後の「処理済水」に含まれる大腸菌・一般雑菌も除去され、放流海
域の魚群生育に良好な影響を与える。
(備考)技術提案募集の内容(6分野)
① 汚染水貯蔵(タンク等)
② 汚染水処理(トリチウム処理等)
③ 港湾内の海水の浄化(海水中の放射性物質の除去等)
④ 建屋内の汚染水管理(建屋内止水、地盤改良等)
⑤ 地下水流入抑制の敷地管理(遮水壁、フェーシング等)
⑥ 地下水等の挙動把握(地下水に係るデータ収集の手法、水質の分析技術等)
223
[様式2]
提案書
技術分野
①
提案件名
溶接式鋼製横置きタンクの多段式設置工法による貯留効率の向上
提案者
大成建設株式会社、玉田工業株式会社
1.技術等の概要
(特徴)
鋼製横置きタンクは、福島第1原子力発電所敷地内に 370 基が設置されている。本製品
は溶接構造であり、製品の完成まで工場生産が可能である事により容器としての性能に優
れているが、敷地面積あたりの貯水量が小さいことが課題であった。そこで、複数の鋼製
横置タンクを立体的・多段式に配置することで、貯水容量を大幅に増やし敷地を有効利用
する。この方法は新規設置箇所に加え、既設タンク設置箇所の改造にも対応できる。
鋼製横置きタンクの立体化イメージ(案)
タンク設置正面図(4 段積みの場合)
タンク設置平面図
タンク設置側面図(4 段積みの場合)
(仕様、性能)
・溶接式横置き 120t 地上設置型タンクを使用する。
タンク1基の寸法:直径約 3.4m、延長約 15m
タンクの中心離隔:幅 4.8m,長さ 17.06m,高さ 4.5m
タンクの内面塗装:FRP ライニング仕様
タンクの設計震度:Kh=0.3(現状)
タンク本体重量 :13.1t/基
120t 地上設置型タンクの運搬
223
本提案項目の鋼製横置きタンクの多段式設置工法は、タンクの設置段数の増加により
汚染水の貯蔵量が大幅に増加し、現状の鋼製横置きタンクより大幅に敷地を有効利用で
きる。4段積みの場合の汚染水の貯蔵量を下表に示す。
1km2 あたりの汚染水の概算貯蔵量一覧表(4 段積みの場合)
項目
単位
現状
鋼製横置きタンク
(本提案)立体化
鋼製横置きタンク
(参考)
1000m3 タンク
タンク数
基
12,410
48,250
5,100
貯蔵量
m3
1,489,200
5,790,000
備考(タンク数の算
定方法)
>
5,100,000
170 基(タンク数実績)× 1,000m/4.8m=208 基 タンク離隔を 2m とすると
1km2/13,690m2
1,000m/17.06m=58 基 14m×14m=196m2 で 1 基
(面積実績)
208×58×4 段
1km2/196m2=5100 基
(施工上の工夫、本技術の特徴)
・ 生産スピードの向上と搬送サイズを考慮して脚とタンクを分離して組立てる。
・ 工場で完成品迄の生産を行う事により品質管理を徹底出来る。
・ 鋼製タンク内面のFRP施工において長年の実績(施工ノウハウ)がある。
・ FRP樹脂材料は、地下埋設型の高濃度汚染水貯蔵タンクでの実績があることに加
え、耐放射線試験等により耐久性が確認されている。
樹脂の品番 TK-150(昭和電工製 タンク内面ライニング用軟質樹脂)
(保有者)玉田工業株式会社
2.備考
・開発・実用化の状況
・福島第一原子力発電所敷地内に 120t 地上設置型タンク
を 170 基、100t 地上設置型タンクを 100 基、100t 地下
埋設型タンクを 100 基設置済。(2011 年 5~8 月に施工)
・タンクの製作、運搬に関して安定供給が可能である。
・開発・実用化に向けた課題・留意点
横置きタンク設置状況
・耐震構造設計を実施して設置高さ及び段数を設定する。
構内で建設されている鋼製円形タンクと同様に耐震Bクラスで成立性を検討する。
・脚部の幅の変更、外リブを内リブへ変更する等の構造変更が必要となる。
・段数が高い箇所にあるタンクほど揺れが増幅されるため、低い箇所のタンクに比較し
て大きな耐震補強が必要となる場合がある。架構にタンクを載せた実績はない。
・柱部では地盤強度の検討が必要であり、場合により基礎杭や地盤改良工が必要となる。
・耐震性を向上させるため、一部を地中へ埋設した半地下式の構造形式の検討が可能で
ある。
・架台側面にコンクリートパネルを取り付けて遮へい構造とすることが可能である。
・連結管等の開口部をタンク上部に配置する事で、配管破断時の漏洩リスクが低減する。
・その他
本製品に関しての特許権の保有はない。FRPと鋼材の複合タンク製造技術のノウ
ハウは玉田工業㈱及び玉田工業㈱が技術供与を行った国内企業が保有している。
224
[様式2]
提案書
技術分野
①
提案件名
ロボットブラストを用いた遠隔施工による既設タンク側壁内面の除染方法
提案者
大成建設株式会社、三協興産株式会社
1.技術等の概要
(特徴)
既設ボルト締め型タンク内面にはタールエポキシ塗装がされており、放射性物質の付着
量が多いものと考えられ、撤去時には作業員の被ばくが懸念される。そこで、監視カメラ
で施工箇所を確認し、遠隔操作式バキュームブラスト(ロボットブラスト)装置により鉄
片等の研削材を側壁に投射し(叩き付け)て、側壁内面の既存塗装を除去・回収すること
で線量の低減を図り作業性の向上を図る。除染作業に起因する粉塵の飛散がないため、タ
ンク周辺への放射性物質の拡散による影響を無視できる。
~120m
運転監視ヤード
ホイスト
研削材
リサイクルユニット
監視
カメラ
放射性物質
の除去
バグフィルター
排気塔
で排気
タンク
壁面
研削材のリサイクル
ロボットブラスト
:研削材循環ライン
研削材(鉄片)
コンプレッサー
廃棄物
置き場
へ
フレコンパック
:ダスト排出ライン
遠隔監視
操作盤
廃棄物の回収
ロボットブラストシステム図
バグフィルター
タンク内板施工状況
排気塔
バグフィルターと排気塔(車上)
224
(具体的な施工方法)
当該タンクの上蓋を外し、タンク円周方向に沿って専用治具(ホイストレール)をタン
クの側壁上端部に設置する。このレールからホイストでロボットブラスト機を吊り下げ、
バキュームにより内壁に密着する。監視カメラは専用治具の中央部に下向きに設置する。
ブラスト作業は、まずロボットブラスト機が内壁を円周方向に走行し実施する。1周走
行後に、ロボットブラスト機をブラストの施工幅分ホイストにより下降させ、次の1周の
走行を逆回り(ホースの「より」防止のため)で行う。塗装を剥ぎ取った廃棄物は、バキ
ュームの吸引力により運転監視ヤードに運ばれバグフィルターにより完全に分離しフレキ
シブルコンテナに回収する。ロボットブラスト機及びホイストの運転・監視を運転監視ヤ
ードの操作盤にて遠隔操作することで、作業員の負荷低減と被ばく量の低減を行う。
なお、隣接するタンクへの仮設天井の移動は移動式クレーンにより行う。
10.6m
0°
270°
180°
90°
0°
ブラスト機状況監視
7.99m
5.37m
走行速度: 2.00 m/min
投射圧: 0.50 MPa
機内圧: -0.005 MPa
2.74m
位置
角度 210 °
高
8.30 m
0m
施工済エリア
遠隔運転監視画面(グラフィックオペレーションターミナル)
現場操作機
(仕様)
研削材投射圧 0.5MPa、研削材投射量 30 kg/分
除染廃棄物吸引圧 -0.04MPa、遠隔操作距離 120m まで
(性能) 放射線計数率の想定低減率 85~90%、施工速度 80m2/日程度(1 基/5 日)
(保有者)三宅建設株式会社(三協興産の協力会社)
2.備考
・開発・実用化の状況
ロボットブラスト機は開発済であり施工実績を有する。遠隔操作は新規技術である。
・タンク施工:電力会社・原油貯蔵タンク等リニューアル工事等 14 件(協力会社実績)
・環境省 平成 23 年度常磐自動車道警戒区域における除染モデル実証事業
・環境省 平成 24 年度常磐自動車道除染等工事(施工中)
・開発・実用化に向けた課題・留意点
・貝類や電気防食の陽極設置等の異物が見つかった場合の対処方法、内面塗装が柔軟又
は水潤し回収できない場合の対処方法、底板の除染作業やタンクの取り壊しスケジュ
ールとの調整、回収物の線量が高い場合の運搬方法。
・その他
関連する特許番号は第 3044606 号、第 3295341 号、第 2814228 号等である。
225
[様式2]
提案書
技術分野
①
提案件名
汚染水の着色による漏洩目視検知の追加
提案者
大成建設株式会社
1.技術等の概要
これまでは,タンク周辺の水溜り水の線量を測定して漏洩水か否かを識別してきたが,
タンク内の汚染水に蛍光染料を混ぜることで水溜り水が目視でも識別できるようにする。
 種類:汚染水が暗い茶色系の場合はウラニン(フルオレセインナトリウム),黄色系の場合はロー
ダミン WT が有効である。ローダミン WT は直射日光に抵抗性があるが,ウラニンは直
射日光により急激に減色するものの,日常の点検には支障ないと考えられる。ウラニ




ンは,pH5.5 未満で急激に減色するため,汚染水の pH 確認(pH6~10)が必要である。
識別方法:汚染水漏洩の識別が目的なので,水溜り水に汚染水が混じっているかを定
性的に判断すればよいことから,高出力の集光タイプのブラックライト(UV ライト)
を用いれば日中の現場でも 10ppb まで目視確認できる(下写真参照)。事前に検量線
を作成すれば,濃度の定性的な確認も可能である。
漏洩量の推定:水溜り水の濃度を蛍光光度計により定量的に測定するよりも,タンク
内の水位低下により漏洩量を測定する。
安全性:蛍光染料は,米国では EPA 認可品であり,濃度レベルが低い場合は飲料水へ
の使用が工認されており毒性は低い(日本では規格外)。また,生分解性があり,環
境に対して安全で,化学的に比較的不活性である。
脱色:塩素や漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム)と混ぜることにより脱色できる。ただ
し,塩素は殺菌作用があるため,放流する段階では生物や法令に注意が必要となる。
検出確認用野外ハンディライト
ウラニン含有水(左;発光前,右;発光後)(テクノインターナショナル㈱HP より)
2.備考
・開発・実用化の状況
漏水検知,流況・汚染の調査,地下水水みちの追跡等で実用化されている。
・開発・実用化に向けた課題・留意点
特になし。
・その他
特になし。
226
[様式2]
提案書
技術分野
④
提案件名
建屋内止水工に適した充塡材料
提案者
大成建設株式会社
1.技術等の概要
本提案技術は,水中不分離性,自己充塡性に優れた下記の 2 種類のセメント系材料を建
屋内の充塡材として適用するものです.水中不分離性コンクリート(モルタル)の適用を基
本としますが,充塡箇所を部分的に限定したい場合には,可塑性グラウト材を適用します.
1)水中不分離性コンクリート(モルタル)
水中不分離性コンクリートは水中不分離性に優れており,流水中でも施工可能です.セ
ルフレベリング性を有しているため自己充塡性にも優れた材料であり,充塡箇所が狭隘,
および複雑な構造部位の場合は粗骨材を除いた水中不分離性モルタルを適用します.
2)可塑性グラウト材
自立性を有しながらも若干の圧力で容易に変形する,いわゆる可塑性を有するグラウト
材であり,充塡箇所をある範囲に限定したい場合に適用します.水中不分離性に関しては,
水中不分離性コンクリートと同等の性能を有しています.
2.備考
・開発・実用化の状況
1)水中不分離性コンクリート:明石海峡大橋 3P 主塔工事ほか,実績多数あり.
2)可塑性グラウト材
:ボスポラス海峡横断沈埋函トンネルの基礎地盤構築など.
・開発・実用化に向けた課題・留意点
1)水中不分離性コンクリート
土木学会コンクリート標準示方書[施工編]において,水中不分離性コンクリートの水
中流動距離は 5m 以下を標準とされており,これを大きく超える長距離流動時の充塡性や硬
化後の品質等については,施工実験等により事前に確認する必要があります.
2)可塑性グラウト材
本材料の特性上,充塡中は加圧条件下となるように充塡箇所近傍にグラウト配管する必
要があります.また,圧縮強度は 1N/mm2 程度であり,コンクリートに比較して低強度な材
料であることに留意する必要があります.
・その他
1)水中不分離性コンクリート
関連特許は無し.補足資料として,関連資料 1 を添付.
2)可塑性グラウト材
・関連特許:特許 2001-008104,特開 2011-106178
・補足資料として,関連資料 2 を添付.
227
[様式2]
提案書
技術分野
④
提案件名
建屋近傍での効果的・効率的な地盤改良技術
提案者
大成建設株式会社
1.技術等の概要
1.高線量下における遠隔施工管理の薬液注入技術
建屋近傍における地盤改良技術としては、10 年以上の品質保証が期待できる恒久グラウ
ト材(「活性シリカコロイド」)を地盤内に注入し、耐久性の高い固結壁体の構築を行う。
その際、高線量環境下での施工が要求されるため、削孔、注入施工管理を遠隔操作で実施
できる「遠隔注入技術」を実施する。注入位置(平面位置)は注入プラント設備が設置さ
れた“遮蔽されたプラント制御エリア”内の“遠隔制御室”から“GPS 位置決めシステム”
にて決定し、注入計画図に従い削孔角度と各注入ステージ深度を“遠隔注入制御システム”
にて決定し、順次所定の箇所に施工していく。
「遠隔注入技術」イメージ
2.既設構造物,建屋近傍・直下への薬液注入技術
建屋近傍には、既設の構造物や障害物が存在し、施工ス
ペースが十分確保できない条件での施工が想定される。こ
のような場合、既設構造物や障害物を回避し、離れた位置
から所定の注入箇所に斜め方向から削孔し注入する「斜注
入工法」を適用する。また、既設構造物や障害物の範囲が
広く、離れた位置から削孔せざるを得ない場合や建屋直下
に注入の必要性が生じた場合には、斜め方向から削孔し、
曲線制御にて水平削孔に切り替え、削孔し注入が可能な
「斜注入工法」イメージ
「自在ボーリング注入技術」を適用する。注入先端部の位
置決めは発信機情報を検知する「電磁誘導方式」と削孔管に挿入したジャイロセンサーを
計測する「ジャイロ方式」がある。なお、掘削機は当該地盤のような岩盤でも削孔可能な
トルクを有する「自在ボーリングマシン」を適用する。
227
「自在ボーリング注入技術」イメージ
位置決めシステム
3.地下埋設物周りへの良好な注入改良技術
建屋近傍では地下トレンチ等多数の地下埋設物が存在しており、注入工事では地下埋設
物の境界面に沿って薬液が走りやすく、埋設物近傍地盤への良好な浸透注入が比較的難し
い。埋設物周りの地盤へ薬液を確実に浸透させるためには、低速度で薬液を注入し浸透さ
せる必要がある。このような場合には、低速度の注入を多数点同時に行い、地下埋設物周
りの狭隘箇所でも良好な浸透注入が可能な「超多点注入工法」
(液状化防止注入協会)が効
果的である。当工法には特殊な“注入細管”が用いられ、各注入細管とポンプユニット内
の各低吐出ポンプ(0.5~10 L/min)が直結し、多数点同時に注入することができるため、
良好な浸透注入形態が得られる。また、注入管理は専用の注入管理システムを用いて、注
入ポイント毎に注入管理を自動制御することができる。
「超多点注入工法」(日本基礎技術㈱ HP)
「超多点注入工法」施工イメージ
2.備考
・開発・実用化の状況
「遠隔注入技術」は、
“遠隔注入制御システム”を開発中であり、実用化までに約 1 年程
度を要する。
「自在ボーリング注入技術」は、十分な削孔能力(トルク)を有する自在ボー
リングマシンを選定し、注入技術との組み合わせ技術の開発に約 1 年程度を要する。
・開発・実用化に向けた課題・留意点
「遠隔注入技術」は“GPS 位置決めシステム”と“遠隔注入制御システム”の連動技術、
注入機械の姿勢制御技術および注入管の脱着方法の半自動化技術が課題である。
「自在ボー
リング注入技術」は、削孔管・ビットの選定と回収技術、注入外管・パッカーの選定と挿
入技術が検討課題である。
228
[様式2]
提案書
技術分野
⑤
提案件名
粘土系遮水壁による流入抑制および汚染拡大防止対策
提案者
大成建設株式会社
1.技術等の概要
陸側に設置が予定されている、凍土壁による地下水抑制対策が十分機能しないリスクを
低減する為に、陸側に新たに粘土系遮水壁を構築する。これにより、地下水流入量を大幅
に低減する。
(特徴)
・残土発生量が少ない工法を用いて粘性土の地中壁を構築
・海側遮水壁と一体化することで建屋周囲を閉合
・現地に即した設置位置の選定(高線量部と埋設物設置箇所の回避)
・構築後はメンテナンスフリーかつ撤去が不要
(仕様及び性能)
室内試験により、現地土で 1×10-9 m/s 以下の低透水性が得られており、地震時におけ
る地盤への追従性が高く、破断されるリスクがない利点を有する。
施工方法は、施工機械の制約から深度 35m まで対応可能な EC(エコクレイ)ウォールを、
それ以上の深度の場合はスラリーウォールを併用する。
228
スラリーウォール(低空頭 BMX)
EC ウォール(TRD)
粘土系遮水壁の設置個所は、
・案 1)凍土壁のバックアップ策として、遮水を目的とした凍土壁外側を対象とするルート
・案 2)案 1)+地下水汚染拡大防止を目的とした地下貯水槽および地上式タンクを含む
エリアを取り囲むルート
・案 3)山側からの地下水流経路を迂回させ、凍土壁施工エリア、地下貯水槽および地上式
タンクを含むエリアへの地下水流入量の低減を目的とするルート
の 3 案を想定しており、各案の併用も可能である。
228
2.備考
・開発・実用化の状況(国内外の現場や他産業での実績例、実用化見込み時期を含む)
スラリーウオール、EC ウオール共に国内での実績を数多く有し、技術的にも確立された
工法である。
・開発・実用化に向けた課題・留意点
1)地下埋設物との干渉部の施工方法(一部薬液注入工法併用の検討が必要)
2)粘土系遮水壁の施工範囲・施工深さの決定
現地の土質調査結果等の情報をもとに施工範囲、施工深さの決定を行う必要がある。
特に山側からの地下水低減を目的とする個所での施工範囲及び施工深さを決定する
際には、原子炉建屋への地下水流入量低減効果の検討をもとに実施する必要がある。
・その他
エコクレイウォール工法:(財)土木研究センター
建設技術審査証明(建技審証 第 0701 号)
審査証明依頼者 ライト工業株式会社
229
[様式2]
提案書
技術分野
⑤
提案件名
ストロンチウム汚染地下水を対象とした透過性浄化壁
提案者
大成建設株式会社、CH2MHILL
1.技術等の概要
(特徴)
提案技術は地下水中の汚染物質を吸着または分解する反応材料を混合した透水性の高い
壁を地中に設け、地下水の流れを妨げないパッシブな対策技術である。透過性浄化壁の構
築後には長期間メンテナンスが不要であることから、揮発性有機化合物や重金属などの汚
染地下水を対象に多数の実績がある。
(反応材料について)
地下水中の目的の汚染物質を確実に取り除くため、透過性浄化壁工法の適用には適切な
反応材料の選定が極めて重要である。ストロンチウムを対象に実際のプロジェクトで適用
実績がある反応材料は、アパタイトとゼオライトであり、CH2MHILL 社ではハンフォード中
央高原プロジェクトにおいて、アパタイトを地盤に注入する透過性浄化壁の適用実績を有
している。
アパタイトがストロンチウムを除去するメカニズムは、陽イオン交換、金属リン酸塩と
しての沈殿、表面錯体形成が挙げられる。また、ゼオライトによるストロンチウムの除去
は、陽イオン交換と選択的な吸着による。
(性能)
これらの材料による地下水からのストロンチウムの除去能力は、反応材料の種類、地下
水の水質によって大きく異なり、反応材料の配合量は除去能力と地下水の濃度及び流速に
依存する。ハンフォード中央高原プロジェクトでは、浄化壁下流側の井戸でのモニタリン
グの結果 90%を超えるストロンチウムの濃度低下が維持されていることを確認している。
2.備考
・開発・実用化の状況
CH2MHILL 社が有するストロンチウムを対象とした浄化壁の適用経験と、大成建設が有す
る日本国内での透過性浄化壁を計画し構築する技術を組み合わせることにより、反応材料
の適合試験を通して現地に適用可能することが可能。
・開発・実用化に向けた課題・留意点
透過性浄化壁に用いる材料は、大量に供給可能な材料を選定する必要がある。
長期間メンテナンスが不要な状態を保つため、反応性や耐久性の低下に及ぼす要因を取
り除く。
反応性が低下したときの交換方法についても作業環境を考慮して検討する必要がある。
・その他
特になし
230
[様式2]
提案書
技術分野
提案件名
⑤
トンネル及びボーリング孔による地下水流入抑制対策
提案者
大成建設株式会社
1.技術等の概要
原子炉建屋への地下水の流入を抑制するため、地下水の上流側にトンネル及びボーリング孔を
施工し、地下水を抜くことで地下水位を低下させる。(概念図参照)
また、ボーリング孔にパッカーを設置し、配管を接続してボーリング孔内の圧力をコントロー
ルすることで、過度に水位低下させることなく水位を制御する。
トンネル及びボーリングの施工は地下での作業となるため、被曝リスクが少ない。
地下水流入抑制対策の概念図
2.備考
・開発・実用化の状況
 既存技術の組み合わせであるため、施工上の問題はない。
 類似技術として、地下水位低下に関しては地すべり抑制対策工等で排水トンネル工・集水ボ
ーリング工の実績が多数ある。また、地下水位(水圧)制御に関しては菊間国家石油備蓄基
地及び波方国家石油ガス備蓄基地等の地下岩盤タンクで採用されている水封システムの実績
がある。
・開発・実用化に向けた課題・留意点
 本サイトの地盤条件に基づき、本工法の有効性を解析で確認する必要がある。
 解析に先立ち、現状データに加え現地調査を実施し、三次元地下水流動解析モデルの構築を
行う必要がある。
 現地調査結果及び解析結果を踏まえ、最適なトンネル配置及びボーリング配置を決定する必
要がある。
 トンネル下流側については、降雨等による表面水の浸透対策の必要性が考えられる。
 地下水位低下に伴う地盤沈下対策の検討が必要である。
 トンネル掘削ズリの処理方法の検討が必要である。
 地下水排水の処理方法の検討が必要である。
・その他
 特許出願済み:【出願番号】特願 2013-101681
【提 出 日】平成 25 年 5 月 13 日
【名
称】地下水位制御システム
231
[様式2]
提案書
技術分野
⑥
提案件名
地下水化学・地下水年代の測定による地下水流動場の検証
提案者
大成建設株式会社
1.技術等の概要
地下水の涵養域から流出域を包含する領域(水理境界で囲まれた流動系)を対象として,
基盤層までのボーリング調査により各地層内の地下水化学(水質,安定同位体比等)およ
び地下水年代を測定して,地下水の起源(流動経路)や流速等を把握する。また,ボーリ
ング調査等に基づいて水理地質構造モデルを構築して海水の影響を考慮した地下水流動解
析を実施し,先の地下水調査結果との対比によりモデルを修正して,発電所周辺の大局的
な地下水流動場を再現する。これにより,以下が達成される。
 広範な領域を対象とした大局的な地下水流動場(地下水の起源と流れ)の把握
 建屋周辺の局所的な地下水流動解析結果の妥当性の検証(信頼性の向上)
 地下貯水槽およびタンクエリア等を含む広範な領域を対象とした汚染拡大の予測
 広範な領域を対象とした諸対策(敷地上流側での止水対策等)の効果の検証および新
たな対策の立案
 今後設置される敷地内の諸施設(汚染水・汚染廃棄物・がれきの貯蔵施設等)の位置
検討およびリスク評価(万が一,汚染が生じた場合)
水理地質構造モデル例
解析結果例(左;地下水位等高線,右;地下水流動経路)
2.備考
・開発・実用化の状況
地下水化学(水質,安定同位体比)
・地下水年代等を用いた地下水流動場の評価は,海外
でも広く採用され,国内では,六ヶ所,幌延深地層研究施設等で既に実施されている。
・開発・実用化に向けた課題・留意点
課題は,地下水の流動系が小さく,各地層間(深度間),上下流間(涵養域と流出域)で
地下水化学・年代にあまり変化が見られない場合は,流動場を評価することができない。
そのため,留意点としては,まずは対象とする領域内の上流側と下流側でボーリング調
査を実施し,その結果から,調査を継続するか否かを判断することである。
・その他
特になし
232
[様式2]
提案書
技術分野
⑥
提案件名
汚染拡大予測シミュレーションによるリスクの抽出と低減
提案者
大成建設株式会社
1.技術等の概要
発電所周辺の水理地質構造モデル(下左図参照)を構築し,地下水流動解析および汚染
水を対象とした核種移行解析を実施して,地下貯水槽,タンク等から漏洩した汚染水の拡
大予測のシミュレーションを実施する(下右図参照)。本シミュレーション結果に基づいて,
以下のような成果が得られる。
 汚染水による環境への影響リスクを最大限に低減できる対策を選定できる。




重層的に採用される各対策の対象とすべき範囲および施工を完了すべき時期を明ら
かにできる。
想定しうるリスクの中から最大リスクを抽出できる。
今後設置される諸施設(汚染水・汚染廃棄物・がれきの貯蔵施設等)位置検討および
リスク評価(万が一,汚染が生じた場合)に活用できる。
パブリック・アクセプタンスに活用できる。
水理地質構造モデル例
タンクエリアからの汚染水流動解析例
2.備考
・開発・実用化の状況
3次元場における地下水流動解析の実績は多数ある。核種移行に関しては,解析誤差を
生じる問題から3次元場での解析事例は極端に少なく,国内では,大成建設が海外と同
等の技術を既に有し,JNES の委託業務等を通じて3次元解析の実績を有している。
・開発・実用化に向けた課題・留意点
別途実施されている地下水流動解析との整合性の調整が必要である。
これまでに漏洩,または漏洩した可能性のある汚染水量やインベントリ等の条件を調整
する必要がある。
・その他
特になし
233
[様式2]
御提案書
技術分野
①の分野
御提案件名
使用済汚染水貯蔵タンクの迅速な撤去・除染・解体処理技術
御提案者
原子力バックエンド推進センター(榎戸裕二、渋谷
進、菊池
孝)
1.技術等の概要(特徴、仕様、性能、保有者など)
特徴:
【提案目的】本技術提案は、汚染水の処理が進み、近々に処理された汚染水が海洋へ放出
可能となった際に発生する大量の使用済の汚染水貯蔵タンクの撤去・除染・解体処理を
迅速に実施するための技術構想を示す。
【技術の背景】不要となった汚染水貯蔵タンクは速やかに撤去し、設置場所を他の目的、
特に、本格的な廃炉作業(資材置き場、作業準備エリア、廃棄物一時保管場所等のため
に広大なスペースが必要)が行えるように確保する必要がある。しかしながら、汚染水
貯蔵タンクは、内容量が最大約 400m3、100 トン以上の重量があり、また内表面は高い
放射能汚染が予想されるため、原位置で大量に解体撤去を行うことは、機材の準備及び
除染・解体作業のスペース並びに解体部材の搬出ルートの確保等に鑑み困難である。ま
た、屋外での作業は気象に左右されるために、作業効率や作業員の作業性(被ばく、安
全管理、)の点からも困難が予想され、さらに、周辺の高いバックグランドレベルために、
解体物や作業員の放射能汚染の確認が極めて難しい。このため、撤去した貯蔵タンクを
新設する汚染水貯蔵タンクの解体ショップ(仮称)で解体することが不可欠である。
【提案の概要】本構想では、汚染水貯蔵タンクを原姿のまま大型クレーンで原位置から撤
去し、敷地の境界近傍(候補場所としてはタンク群の南側のスペース)に建設する汚染
水貯蔵タンクの解体ショップに搬入する。一方、タンクを撤去した場所は土壌の汚染除
去・検査後、更地化する。
解体ショップは汚染水貯蔵タンクの解体処理ができ、また、中期的には、1~4 号機の
事故処理で発生しサイト内で保管される膨大な量の鋼材を中心とする汚染金属廃棄物の
処理(除染・解体・減容)に利用できるものとし、汚染水貯蔵タンクの除染・解体・減
容等を迅速かつ安全に実施するホット施設である。
具体的には、原姿のまま遠隔操作により除染、放射能濃度検査、解体切断し、必要に
応じ部材の再利用(溶融による廃棄物キャスク製造等)までを集中管理できる機能を有
する。なお、本ショップでは、福島第一事故で発生した汚染金属に関しては、汚染レベ
ル、サイズ、重量等のすべてに対応して処理できるものとして計画する。なお、建設は
第一期(汚染水貯蔵タンクの解体)、第二期(1 号機~4 号機建屋整理で発生した汚染鋼
材の処理・処分)に分けることもできる。
233
仕様:貯蔵タンクの原位置(タンク群)から本ショップまでの輸送は走行及び横行できる
大型クレーンを設置して行う。本ショップは敷地の将来的利用を考慮したうえで設置場
所を決定すべきであるが、輸送の簡便さから見ればタンク群に隣接する南側エリア(サ
イト外も検討範囲)が適切である。クレーンの方式や設置に関する大きな課題はない。
本ショップに関しては、欧米の原子力発電所の廃止措置における原子炉圧力容器、蒸気
発生器、中間熱交換器等の大型機器の解体実績に係る当センターの調査によれば、これ
らの放射能レベル、処理対象のサイズや重量、適用する除染技術、解体技術、汚染測定
技術、溶融等の再利用技術、施設の運転管理技術等全てにおいて多くの経験があり総合
的技術は整っている。ただ、福島第一原子力発電所に適用する場合には対象金属廃棄物
の物量の膨大さに鑑み、減容化を中心とした処理能力の増大と処理の迅速化、自動化等
の技術開発が必要となる。
性能:大型クレーンはタンク群全域をカバーできるものとする。走行長の異なる並列2基
設置する。揚上重量は 200 トン程度で解体ショップ側では処理待ち汚染水タンクの保管
用スペースとして 20 基分程度の保管場所を設ける。タンク 1 基当たりの除染・解体処理
能力は 400m3級大型タンクで一日以内での処理が可能であるが、小中型タンク専用の処
理ラインの設置も必要である。作業はすべて遠隔・自動で行う。本手法によるドイツの
KGR 発電所の原子炉圧力容器の遠隔解体処理は 3 日程度と云われている。処理ラインの最
後尾では、除染された解体部材に関してクリアンス検査も行い、無条件開放を目指すと
ともに、条件付き開放にする場合は福島第一における今後の「高いレベルの放射能濃度」
(暫定的表現)の廃棄物の収納内容器を製造するための金属溶融・鋳造による製造を行
うこととする。
保有者:特許実用新案等に該当する特定の技術は不要である。今後のニーズに対する技術
開発において求められる技術に特定の保有者がいる場合には協力を仰ぐ。現段階では本
解体ショップ及び大型クレーンの実現においては特定の技術に依存する部分はない。な
お、RANDEC は、本ショップに関連する実績調査を長年実施してきており概念設計等を迅
速かつ適切に実施できる。
技術の利点:事故により発生した放射性廃棄物及び二次廃棄物のうち処理可能な廃棄物を
最大限減容し今後議論される中低レベ放射性廃棄物埋設処分場の負荷を低減することは
廃炉活動の円滑化の前提条件となる。本構想と解体ショップの早期の稼働を通して、こ
れらが確実に実現され、廃止措置活動を加速させることが可能である。
2.備考
・実用化の状況:使用済汚染水貯蔵タンクの原位置からの撤去、移動及び解体ショップに
おける解体・処理対象物の処理プロセスフローを添付表に示す。本ショップでは、福島
第一原子力発電所特有の核種(アルファ核種)の除染、二次放射性廃棄物の処理さらに
放射能濃度測定などの設備が加わるが、米国、英国、ドイツ等には個々に参考となる廃
233
棄物処理プラントがあり、すでに実用化のレベルにある。解体ショップ内の処理設備の
配置方法の一例を添付図1に示す。
本ショップの解体・処理の内容に関しては凡そ以下の通りとなる。
① 除染:特に、二次廃棄物発生が極小の手段(ドライアイス、高圧ジェット、液体窒素、
ショットブラスト等で媒体の廃棄、回収生成が容易なもの)
②解体:特に、遠隔・自動化及び迅速切断が可能な手段(400m3タンクを半日で解体でき
る、アーク、レーザ、爆破整形、ダイヤモンドソー、機械的切断、AWJ(ウオータアブレ
ーションジェット切断法)等。遠隔自動切断方法の一例を添付図2に示す。
③測定:ホットスポットを含む表面汚染核種の代表核種のクリアランス基準との比較によ
る。γスぺクトロメトリー、アルファ汚染濃度測定、必要によりベータ各種濃度のスケ
ーリング測定等を実施する。(核種が確定する際に再確認)
④廃棄体化処理:処分を考慮した大型コンテナへのセメント固化、利用方法があるクリア
ランス物は再使用、それ以外は無拘束、拘束を問わずアーク溶解によりインゴット化ま
たは廃棄物収納容器または最終処分キャスクの素材の鋳造を行う。
⑤今後のスケジュール:概念検討を 25 年度、基本設計 26 年 12 月、許認可取得 27 年 10 月、
建設 3 年として平成 30 年 10 月運転開始。
・開発・実用化に向けた課題・留意点
上述のように福島第一では過去に例を見ない放射性廃棄物の物量を迅速かつ確実に解
体・除染・処分又は再利用できるための遠隔・自動化と廃棄物処分場の立地・選定が求
められる。福島第一の全放射性廃棄物の処分分類化の中で解体ショップでの廃棄体確認
や最終製品の使途が決定されるため、それらの政策上及び規制上の迅速な判断が汚染水
貯蔵タンクの撤去・解体処理を含む廃炉活動全体に求められている。
・その他(特許等を保有している場合の参照情報等)
特になし
(備考)技術提案募集の内容(6分野)
① 汚染水貯蔵(タンク等)
② 汚染水処理(トリチウム処理等)
③ 港湾内の海水の浄化(海水中の放射性物質の除去等)
④ 建屋内の汚染水管理(建屋内止水、地盤改良等)
⑤ 地下水流入抑制の敷地管理(遮水壁、フェーシング等)
⑥ 地下水等の挙動把握(地下水に係るデータ収集の手法、水質の分析技術等)
234
[様式2(汚染水処理対策委員会に報告し、一般公開となるものです)]
提案書
技術分野
③
(「技術提案募集の内容」の該当番号を記載願います)
提案件名
多孔質ガラスを用いたセシウム・ストロンチウムイオン等の吸着除去
提案者
中部電力株式会社・ミカサ商事株式会社・株式会社ミカサナノテクノ
1.技術等の概要(特徴、仕様、性能、保有者など)
1)多孔質ガラスの特徴
多孔質ガラスは特殊なホウ珪酸ガラスを分相、粉砕、酸処理して得られるスポンジ状
のガラスで、 以下の特徴を有する。
①380m2/g 程度の大きな比表面積(吸着性能大)
②通液性が非常に良い(圧損が少なく、小さい駆動力で運転が可能)
③孔径を一定にでき、孔径の調整が可能(イオン選択性が向上)
④1000℃以下で焼結可能(ガラス固化して安定な状態で保管可能)
2)多孔質ガラスの吸着性能
基礎的な吸着性能は確認済み。
(添付参照:日本原子力学会 2013 秋の大会 N07「多孔
質ガラスの放射性物質吸着特性」)
①単一イオン吸着率
Csイオンで 99.7%、Srイオンで 99.9%(1ppm 溶液中)
なお、Csイオンの吸着能力は、多孔質ガラス1gあたり 0.05g
②妨害イオンを含む場合の吸着率
妨害イオンとしてモル比 500 倍のNa,K,Caを混入した場合、Csイオンの
吸着率は 92%
妨害イオンとしてモル比 500 倍のMg,Caを混入した場合、Srイオンの吸着
率は 38%
③模擬海水中での吸着率
模擬海水中に 1ppm のセシウムイオン混入した場合、Csイオンの吸着率は 56%
3)海水中の放射性物質(Cs,Sr)を除去する方法
多孔質ガラスは、粒径 70~200μmの粒状で通液性に優れ、圧力損失が少ないため、
ゼオライト等の多孔質吸着材に比べ、大きなポンプ動力を必要とせずに短時間で大量の
吸着除去が可能である。
また、海水ろ過装置の充填剤としても使用できるため、脱着が容易なカートリッジ構
造の吸着塔とすれば、交換が効率的に行え、作業負荷の大幅な軽減も可能となる。
4)保有者
中部電力、ミカサ商事、ミカサナノテクノ三社共同保有
234
2.備考(以下の点など、可能な範囲で御記入いただけますようお願いします)
・開発・実用化の状況(国内外の現場や他産業での実績例、実用化見込み時期を含む)
多孔質ガラスを充填剤にした放射性セシウム廃液の小型除染装置を開発し、環境省実
証事業で使用。
その結果、浄化後の廃液は基準値以下で、放流可能レベルに除染出来ることを確認し
た。今後、住宅除染などに伴う廃液処理を中心に実用化する予定。
・開発・実用化に向けた課題・留意点
港湾内の海水浄化の実現に向けた課題
①妨害イオンの影響を軽減するための手法確立(必要があれば)
②大量処理のための装置開発
③使用済多孔質ガラスの保管方法(焼結時および保管時の放射能挙動の評価)
・その他(特許等を保有している場合の参照情報等)
(備考)技術提案募集の内容(6分野)
① 汚染水貯蔵(タンク等)
② 汚染水処理(トリチウム処理等)
③ 港湾内の海水の浄化(海水中の放射性物質の除去等)
④ 建屋内の汚染水管理(建屋内止水、地盤改良等)
⑤ 地下水流入抑制の敷地管理(遮水壁、フェーシング等)
⑥ 地下水等の挙動把握(地下水に係るデータ収集の手法、水質の分析技術等)
235
[様式2]
提案書
技術分野
③
提案件名
港湾内の海水の浄化(海水中の放射性物質の除去等)
提案者
株式会社大林組、株式会社バイノス
1.技術等の概要(特徴、仕様、性能、保有者など)
(1)技術の特徴
・提案する技術は、放射性物質の吸着能力が高いバイノスフロックを使用して福島第一発
電所港湾内に賦存する汚染海水を浄化するものである。
・バイノスフロックとは、新種微細藻類(バイノス)の乾燥粉末を有効成分とした粉末状
の吸着沈殿剤で、伊達市や郡山市、柏市などの道路除染で回収した廃液の吸着凝集沈殿
に多く採用されており、被処理水の放射性物質は 20Bq/L 以下まで浄化されている。
・実験室においては高塩濃度中の放射性ストロンチウムの吸着能力が非常に高いことが実
証されており、高分子凝集剤では凝集し難い海水においても生長したフロックを生成す
ることが証明されている。
・海水における凝集効果を下記の写真に示す。
①
①
②
③
④
②
③
④
海水にベントナイトを 3,000 ㎎/L 添加した模擬廃水
バイノスフロックを 100 ㎎/L 添加後の凝集状態
PAC を 100 ㎎/L、アニオン系高分子凝集剤を 5 ㎎/L 添加した凝集状態
バイノスフロックを 100 ㎎/L 添加後の凝集状態
(2)仕様と性能
バイノスフロックで生成されたフロックの沈降速度とろ過速度は速いため、凝集沈殿設
備の省力化が可能である。一般的な凝集沈殿設備は凝集槽の後に沈殿槽が必ず必要で、沈
殿槽から引き抜かれた汚泥は汚泥濃縮槽を経由して脱水機で脱水される。しかし、バイノ
スフロックを用いた場合、沈殿槽と汚泥濃縮槽が不必要となり脱水機も簡易的なろ過設備
で良いため、設置スペースが小さく取り扱いが簡便となる。
道路除染で使用している凝集沈殿設備を下記の写真に示す。
235
①
①
②
③
④
②
③
④
バイノスフロックを添加後、10 分間撹拌
10 分間静置後の汚泥の沈降状態(10m/h)
汚泥の引抜とろ布による重力ろ過
ろ過後の汚泥の状態(含水率は 90%前後)
使用している凝集沈殿設備の解説図を右に示す。
写真に示した凝集沈殿設備は上段の凝集槽が沈殿槽を兼ねており、凝集から沈殿→ろ過ま
でを約 30 分で完結することが可能である。
道路除染におけるバイノスフロックの添加量は 0.5g~2g/L であり、廃棄物発生量は絶乾
状態で約 0.5g~2g/L となり含水率を 80%とした場合、2.5g~10g/L となる。但し、原水に
SS が含有している場合は、SS の重量が廃棄物に加算される。
(3)保有者
本技術は、大林組とバイノスとの共同開発で確立したものである。
2.備考(以下の点など、可能な範囲で御記入いただけますようお願いします)
・開発・実用化の状況(国内外の現場や他産業での実績例、実用化見込み時期を含む)
(除染現場における廃水処理での実績)
① 福島県 宅地コンクリートの洗浄廃水の浄化
② 福島県 道路除染の洗浄廃水の浄化
③ 千葉県 道路除染の洗浄廃水の浄化
・開発・実用化に向けた課題・留意点
既に実用化され、数多くの実績もあるため実用化に向けた課題・留意点は特になし
・その他(特許等を保有している場合の参照情報等)
① パラクロレラ sp バイノスに関する基本特許を出願済み
② パラクロレラ sp バイノスの培養方法に関する特許を出願済み
③ パラクロレラ sp バイノスを用いた汚泥削減方法に関する特許成立
236
[様式2]
提案書
技術分野
④
提案件名
建屋冠水環境への遮水に用いる土質系遮水材(アクアソイルF)
提案者
株式会社大林組
1.技術等の概要(特徴、仕様、性能、保有者など)
(1)特徴
提案する土質系遮水材「アクアソイルF」は、当社が開発した砕砂とベントナイトを主
材とする遮水材で、
「水中分離しない」、
「流動性を持つ」、
「固化しない(変形追随性をもつ)」、
「比重が水よりも重い」、
「圧送ポンプによる打設が可能」、
「狭い空隙への充填が可能」、
「大
量施工が可能」等の特徴をもった止水材料である。
(2)仕様
アクアソイルFは、専用ミキサーを使用
して製造し、製造時に用いる混練り水とし
て、海水を使用することも可能である。
アクアソイルFの材料諸元を、表および
写真に示す。
表
アクアソイルFの材料諸元
項目
主
材
性状・仕様
真水練り
砕砂、ベントナイト(一般)
海水練り
砕砂、耐塩性ベントナイト
透水係数
1×10-6cm/sec 以下
湿潤密度
1.8~2.0g/c ㎥
フロー値 10~16cm 前後
流動性
(φ8cm、H 8 cm の円筒を使
用した試験)
写真
ブリージング
ほとんど発生しない
性
変形追随性(固化しない)
質
アクアソイルFフロー値確認
(3)性能
アクアソイルFは、水中打設にも適してお
り、長期にわたり遮水性能を維持できる。
また、「固化しない」という特徴から、製
造後の長時間保存が可能であるため、遠隔地
で製造したものを、現場に運搬して使用する
こともできる。
写真
アクアソイルF水中打設実験
236
(4)用途
部屋への地下水流入出防止に適用することを提案する。
地下水の流入速度はアクアソイルFが材料分離を起こさない程度であり、流入出箇所の
クラック類が 5 ㎜程度以下であれば、流入出箇所の高さよりも上まで部屋内にアクアソイ
ルFを打設することで、地下水の流入出が抑え込めると思われる。
ただし、
「対応できる地下水の流入速度」、
「流入箇所のクラック等の大きさ」および、
「流
入出箇所の高さからどのくらい上までアクアソイルFを打設すれば地下水の流入出を抑え
込めるか」について、実験等により確認する必要がある。
アクアソイルF
打設床開口
圧送ポンプ
より
アクアソイルF
打設
流入止水
流出止水
部屋内残水
(組み上げ)
地下水位▽
アクアソイルF
流入箇所
隣部屋内残水
(組み上げ)
流出箇所
図
適用イメージ
(保有者)
大林組で開発してきた材料である。打設方法については既存工法を適用する。
2.備考
・開発・実用化の状況(国内外の現場や他産業での実績例、実用化見込み時期を含む)
現在のところ、施工実績はないが、アクアソイルFを鋼矢板の撤去跡に充填して、遮水
壁を構築する工事の予定がある。
また、以下の施工実験を実施している。
1.圧送試験 2.水中打設実験 3.鋼矢板引抜き跡充填実験 4.放射性廃棄物の隔離層構築
を目的とした実験
・開発・実用化に向けた課題・留意点
冠水部の水の流動速度が速い場合、硬化剤を含めた打設が必要となる。
・その他(特許等を保有している場合の参照情報等)
アクアソイルFについて、特許第 4655875 号(2011 年 1 月 7 日)がある。
237
[様式2]
提案書
技術分野
④
提案件名
常温硬化型超高強度繊維補強コンクリート「スリムクリート」
提案者
株式会社大林組
1.技術等の概要(特徴、仕様、性能、保有者など)
(1)特徴
・ 提案技術は、開発した材料を複雑で狭隘な建屋間に充填することで、建屋間の補強と遮
水性および遮へい効果を高めるものである。
・ 狭隘な空間に打設することより、特性値で圧縮強度 180N/mm2,引張強度 8.8N/mm2 の
超高強度繊維補強コンクリート(UFC)構造を構築できる。
・ 高い流動性を有することから、狭隘で複雑な形状の空間への充填が可能となる。
・ 鋼繊維が含まれているため,ひび割れの進展を抑制でき,鉄筋不使用で構造物を補強・
強靭化することが可能となる。
・ 密度が 2.5~2.6 と水よりも重く,遮へい効果が期待できる
・ 透水係数が 6.8×10-20m/s と極めて小さく、遮水効果が期待できる。
・ スリムクリートは、生コンプラントか専用ミキサーを使用して製造できる。
(2)仕様・性能
スリムクリートの仕様・性能を右表に示す。
表
スリムクリートの仕様・性能
項目
性状・仕様
ポルトランドセメント,ポゾラン材,無機粉体,粒
構成材料
径 5mm 以下の細骨材,鋼繊維,高性能減水剤,水
スリムクリートのフレッシュ性状
密度
2.5~2.6(硬化前 2.60,硬化後 2.55)
圧縮強度/引張強度
特性値:
透水係数
6.8×10-20m/s
流動性
落下なし 260±30 ㎜(JIS R 5201)
ブリーディング
発生しない。
圧縮 180N/mm2 ,引張 8.8N/mm2
鋼繊維が入ったモルタル材料。じん性があり,ひび
性質
割れの進展を抑制する。
スリムクリートのバケット打設状況
237
(3)保有者など
ここに提案する常温硬化型の超高強度繊維補強コンクリート「スリムクリート」は、当
社と宇部興産が共同開発した材料で、平成 24 年 1 月に土木学会技術推進機構の技術評価認
定(No.10)を受けている。
2.備考(以下の点など、可能な範囲で御記入いただけますようお願いします)
・開発・実用化の状況(国内外の現場や他産業での実績例、実用化見込み時期を含む)
実用段階。民間護岸工事、桟橋補修工事他、数件実施。
・開発・実用化に向けた課題・留意点
本材料は水中不分離性能は有していない。水中に打設する場合はトレミー打設となり、
強度(水中気中強度比)が低下するため、事前の確認が必要。
ポンプ圧送は困難な条件もあり、事前の確認が必要。ホッパーとシュートによる打設が
標準。一旦硬化すると、複雑な空間に打ち込んだ場合、その撤去は困難。
・その他(特許等を保有している場合の参照情報等)
スリムクリートに対して特許出願中(複数)
238
[様式2]
提案書
技術分野
④
提案件名
水中不分離性モルタル「アクアモルタル工法」
提案者
株式会社大林組
1.技術等の概要(特徴、仕様、性能、保有者など)
(1)特徴
・ 本提案技術は、建屋内に人が立ち入らなくても、既存の配管の利用、あるいは地上から
ボーリングを行い、ボーリング孔を使用して、地上から建屋内地下空間に打設・充填し、
冠水中の建屋補強や遮水および遮へい構造を構
築するものである。
・ 適用する材料は、水中での高い流動性、長い流動
性保持時間を有しており、複雑な形状の空間への
充填が可能である。
・ また、水中不分離性に優れているため、流水中へ
の打設が可能である。
・ 現地混練プラント、あるいは、現地の生コンクリ
図-1 シリンダーフロー試験での
ート工場を使用した製造が可能なため、大量施工
流動性状
ができる。
(2)仕様
・ アクアモルタルはセメント(高炉セメント B 種)、現地で入手可能な普通細骨材(砕砂
等)、水さらにメチルセルロースを主成分とする水中不分離性混和剤(信越化学社製ア
スカクリーン)、ポリカルボン酸塩を主成分とする高性能減水剤を混合して製造する。
・ 水セメント比 60%、水中不分離性混和剤の添加量を 3.0kg/m3 を標準とし、流動性の指
標であるシリンダーフロー(NEXCO 試験基準、JHS A313)を 200mm 以上とする。
なお、将来の充填材の撤去を容易にするため、圧縮強度 2N/mm2 程度まで低減させるこ
とも可能である。
(3)性能
・ モルタルの圧縮強度は 23.5N/mm2 であり、水
中作成による強度低下は 93%と少なく、また、
水中で流動させた際の水の pH の上昇もほと
んどないことから、高い水中不分離性を有し
ている。
・ モルタル密度は 2.05~2.15g/cm3 と水よりも
十分に大きく、流動性の保持時間は 3 時間以
上である。15m 水中を流動させても天端勾配
図-2 模擬設備・配管への充填状況
238
は 1%であり、非常に高い流動性を有している。また、図-2 に示す様に設備・配管の狭
い間隙への充填も可能である。
・ φ75mm の配管で距離 80m 程度のポンプ圧送の実績があり、細い配管を通して地下空
間へのポンプ注入が可能である。
・ 固化後の収縮が極めて小さいため、緻密な構造となり、低い透水性(10-10m/sec 以下)
が期待できる。
(4)保有者
当社単独技術である。
2.備考
・開発・実用化の状況(国内外の現場や他産業での実績例、実用化見込み時期を含む)
深度 50m の地下空洞充填、海中基礎下面の空隙充填などの実績があり、実施工が可能な
技術レベルである。
・開発・実用化に向けた課題・留意点
現地の状況を模した試験施工等を行い、材料配合、施工法などの検討が必要である。
・その他(特許等を保有している場合の参照情報等)
特許取得済みであるが(特許 01775630 号等)、他社施工の場合には実施を許諾する。
239
[様式2]
提案書
技術分野
⑤
提案件名
アスファルト系材料を用いた法面フェーシングによる浸透水抑制技術
提案者
株式会社大林組、関西電力株式会社
1.技術等の概要(特徴、仕様、性能、保有者など)
(1)特徴
・ 本提案技術は、海抜 10m エリアと海抜 35m エリア間の法面部からの雨水浸透を防止す
るためのアスファルト系材料現場吹付け遮水シートによるフェーシング技術である。
・ 吹付けによる遮水工法のため、連続した水密性のある継ぎ目なしの均質な遮水層を形成
できる。
・ ゴムアスファルトと特殊構造の合成繊維基布の組合せにより高強度・高伸度で、均一な
厚さの遮水層を形成できる。
・ 下地の凹凸によくなじみ、密着した遮水層を形成できる。
・ 吹付け材の硬化時間を制御できることで、施工時間を容易ん管理できる。
・ 火気、溶剤を使用しない工法であり、防護服に引火することなく、安全で無公害な工法
である。
・
(2)仕様
 浸透性の良い緩結型浸透性ゴムアスファルトエマルジョンを厚さ 3mm 以上の合成繊維
基布(材質ポリエステル 100%)の上から吹付けることにより、内部に含浸充填され、モル
タルやコンクリートなどの下地にも固着する(図-1)。
 表面にアクリル系トップコートを吹付けることにより紫外線劣化から保護する。
(3)性能
 適用する吹付けフェーシングは、通常、最終処分場の現場吹付け遮水シート工法として
「廃棄物最終処分場整備の計画・
使用しているもの(透水係数 k<1.0×10-11m/s)であり、
設計・監理要領 2010 改定版」に示された遮水シ-ト基本特性等を満足する(表-1)。
表-1 吹付け遮水シート性能
項目
図-1 吹付け遮水シートの構成
性能
厚み
4.0mm 以上
引張強さ
100N/cm 以上
伸び率
170%以上
引裂き強さ
250N/cm
239
(4)施工手順例
現場吹付け遮水シート
基布敷設
①法面部への基布の敷設
②基布へのゴムアスファルトの吹付け
トップコート吹付け
③吹付けシート表面への保護層の吹付け
④法面凹凸部への施工状況
(5)保有者
大林組で開発し、適用している。
2.備考
・ 開発・実用化の状況(国内外の現場や他産業での実績例、実用化見込み時期を含む)
国内の一般廃棄物最終処分場や人工池等の遮水シートとしての適用(施工済、施工中)
実績:70 件以上
・ 開発・実用化に向けた課題・留意点
水分が多い場所では、法面の湧水対策を行う。
紫外線劣化を防止するための保護層は機能維持のため、3 年/1 回の頻度でトップコート
の再吹付けを行う。
・ その他(特許等を保有している場合の参照情報等)
添付資料「現場吹付け遮水シート工法 プレノ-Fシート工法」
240
[様式2]
提案書
技術分野
⑤
提案件名
リードドリル工法を用いた地下導水管布設による地下水流入量の低減
提案者
株式会社大林組、関西電力株式会社
1.技術等の概要(特徴、仕様、性能、保有者など)
(1)特徴
 本提案技術は、実施中または実施が決定している陸側遮水壁(凍土壁)および地下水バ
イパスの上流側(山側)において地下水導管を敷設し、敷地内への地下水流入量を低減
するものである。
 地中導水管の布設はリードドリル工法を用いて行う。
 リードドリル工法は、パイロット孔の掘削、リーマーによる拡孔、管の引き込みの手順
で管布設を行う工法である。本工法はシールド工法・推進工法と比較して立坑を必要と
しないため、全工程を地上で行うことができ、工事を短期間で終わらせることができる。
 また OP+35m 盤エリア外における作業が可能であるため、他の工事との輻輳を避ける
ことができる。
 基本的にタンクより上流側での排水となるため、敷地外への汚染地下水のモニタリング
機能も果たすことができる。
(2)仕様及び性能
 図-1 に示す位置(OP+35m 盤のタンク群背面側)に地中導水管(有孔管)を敷設。
 OP+35m 盤外となる北側部分(下図左側)に関しては開削工法により導水路を設置。
 帯水層水位(OP+30~35m)と導水管設置位置(OP+15m)の水頭差を利用して集水
し、導水管の高低差(OP+15m→+10m)を利用し自然排水。それにより OP+35m 盤
全体の地下水位を低下させる。
図-1 地下導水管配置概要(イメージ)

図-2 に地下水導管を用いた上流側地下水の排水概念を示す。タンク群の上流側で地下
水を自然排水(汚染していない水として放流を予定)する。
240
図-2 地下導水管を用いた地下水排水概念
(3)保有者
本アイデアは大林組および関西電力に帰属する。
2.備考
・開発・実用化の状況(国内外の現場や他産業での実績例、実用化見込み時期を含む)
主にパイプラインの敷設工事において、山岳貫通や河川・海峡横断など国内外で多数の
施工実績あり。
・開発・実用化に向けた課題・留意点
現地の地盤状況および水理特性により施工位置や施工方法の詳細検討が必要。
現地において施工スペースを確認する必要。
・その他(特許等を保有している場合の参照情報等)
特になし。
241
[様式2]
提案書
技術分野
⑤
提案件名
塩水環境下での海水を使用した地盤注入による遮水ゾーン構築技術
提案者
株式会社大林組
1.技術等の概要(特徴、仕様、性能、保有者など)
(1)特徴
・ 本提案技術は、高炉スラグ微粉末系地盤注入材と海水、海水用特殊混和剤等を使用して
製造した地盤注入材を、透水性の高い砂岩層でのグラウトカーテンに適用し、建屋周辺
地盤の遮水効果を高めるものである。
・ 海水を用いることで真水を使用した場合に比べて透水性を大幅に低下でき、水密性の高
い遮水ゾーンを築造できる。
・ 海水を使用することで流動性が低下し、地盤へ均一に注入・浸透できない可能性がある
が、特殊混和剤を添加することにより、地盤への浸透性を改善できる。
・ 一軸圧縮強さは真水使用の場合よりも増加でき、耐震性にも優れる。
・ 通常の注入工法で施工が可能だが、さらに、動的注入工法を用いることにより、地盤へ
の浸透性を向上できる。
事務所
グラウト管理室
グラウト管理装置
パルサー
遠隔操作版
ミキサー
圧力伝送
表示盤
パルサー
制御盤
アジテーター
グラウト
パルサー
孔口圧力セン
サー
グラウトポンプ
流量・圧力検
出部
孔内圧力センサー
岩盤
図-1 海水を使用した地盤注入材による遮水壁の築造
図-2 動的注入システムの概念図
(3)性能
・ 室内試験において 5 号珪砂を間隙率
38%で充填した試験体に、注入圧力
0.1Mpa で充填率 150%まで注入を
行い、硬化後に透水係数、一軸圧縮
透水係数(m/s)
(2)仕様
・ 注入材には日鉄住金セメント社製スーパーファイン L
(高炉スラグ微粉末系地盤注入材、
密度 2.92g/cm3、平均粒径約 4μm)を使用し、練混ぜ水には海水を、添加剤として亜硝
酸カルシウム系特殊混和剤、ナフタレンスルフォン酸系分散剤を使用する。
1.0E‐03
・ 特殊混和剤の添加量は注入材量の
初期透水係数 7.2×10-4
1.5%を標準とする。
1.0E‐04
1.0E‐05
海水+特殊混和剤
1.0E‐06
真水
1.0E‐07
0‐10 10‐20 20‐30 30‐40 40‐50 50‐60 60‐70 70‐80 80‐90 90‐100
浸透距離(cm)
図-3 透水係数の真水練りとの比較
241
強さの試験を行った。
・ 真水を使用した場合と比べて、透水係数は 1/14 に低減でき、一軸圧縮強さは 2 倍に増
加する。
・ 遮水性能は、対象とする岩盤の透水特性に依存する。福島第一での砂岩層を対象とした
場合、透水係数は、10-10m/sec 以下が期待できる。
(4)保有者
本工法は㈱大林組、日特建設㈱、日鉄住金セメント㈱が共同開発した技術である。
2.備考
・開発・実用化の状況(国内外の現場や他産業での実績例、実用化見込み時期を含む)
室内試験を終了し、実フィールドでの試験施工の開発段階にある。
・開発・実用化に向けた課題・留意点
要求される透水係数、地盤条件、施工条件に応じた材料配合、施工方法の検討が必要で
ある。
実フィールドでの試験施工による施工性、品質等の確認が必要である。
・その他(特許等を保有している場合の参照情報等)
共同開発した3社で特許を出願中である(特開 2013-136700)。他社施工の場合には実施
契約を締結の上、実施許諾する。
242
[様式2]
提案書
技術分野
⑤
提案件名
高耐久海水練りコンクリートによる高性能遮水壁の構築
提案者
株式会社大林組
1.技術等の概要(特徴、仕様、性能、保有者など)
(1)特徴
・ 本提案技術は、海水と混合セメント等を使用することにより、建屋周辺岩盤内の塩水環
境下における遮水性および耐震性に優れた遮水構造を構築するものである。
・ 海水練りコンクリートを打設することで、従来の真水練りコンクリートと比べ、早期強
度発現、高い長期強度を発揮することができる。
・ コンクリートの製造・施工は従来のコンクリートと同様に行うことができる。
(2)仕様
・ 海水とともに高炉スラグやフライアッシュ等の混合セメント、シリカフューム等のポゾ
ラン、海水用特殊混和剤を使用する。未洗浄の海砂も使用できる。
(3)性能
・ 高炉セメントやフライアッシュセメント、さらに、特殊混和剤とポゾランを併用するこ
とで、水密性が大幅に向上する。高炉セメントを使用した場合、真水を用いた場合に比
べて、図-1 に示す透水係数を約 1/70 に低減できる。
・ 短期強度とともに長期強度も大幅に増加する。高炉セメントを使用した場合、圧縮強度
は真水を用いた場合に比べて約 60%増加する。
・ 海水と未洗浄な海砂を用い、築後 50 年以上経っても、健全な鉄筋コンクリート構造物
が現存しており、長期耐久性が実証されている。
・ 鉄筋コンクリートへ使用する場合、塩化物イオンによる鉄筋の腐食に対しては、非腐食
性補強材を用いることで耐久性を確保できる。
真水+高炉
海水+高炉
+特殊混和剤+ポゾラン
浸透深さ
浸透深さ
透水係数
3.3×10-12 (m/sec)
4.7×10-14 (m/sec)
図-1 透水試験結果
図-2 築後 50 年経過した海水・海砂を使用
した鉄筋コンクリート構造物
242
(4)保有者
当社単独技術だが、東京工業大学、港湾空港技術研究所等と共同研究を行っている。
2.備考
・開発・実用化の状況(国内外の現場や他産業での実績例、実用化見込み時期を含む)
室内試験での開発を経て、福島県相馬港の震災復興工事で使用され、実施工が可能な技
術レベルにある。
図-3 福島県相馬港震災復興工事で海水コンクリートを使用した
消波ブロック及び、海水コンクリート製造プラント
・開発・実用化に向けた課題・留意点
現地の条件に応じた、材料選定・配合、製造・施工法などの検討、及び、遮水壁の試験
施工による品質の確認が必要である。
・その他(特許等を保有している場合の参照情報等)
特許出願中である(特開 2012-126628 等)。他社施工の場合には実施契約を締結の上、
実施を許諾する。
243
[様式2]
提案書
技術分野
⑤
提案件名
多機能工学バリアシステム(底部の汚染水閉じ込めバリア)の構築
提案者
株式会社大林組
1.技術等の概要(特徴、仕様、性能、保有者など)
(1)特徴
・ 本提案技術は、建屋下部に浸透した汚染物質を長期
に閉じ込める底部のバリアを構築するものである。
・ 岩盤内に浸透した汚染箇所に対して連続した鋼管
パイプで構成する底面バリアを構築し、物理的に封
じ込めることができる(図1)。また、難透水層に
存在する水みちを遮断できる。
・ 鋼管の構造および鋼管内の充填方式により、汚染物
質の回収も可能となる。
・ 鋼管が不足した場合、鋼管内充填物(ベントナイト)
により放射性物質の移行を大幅に遅延できる。
・ 遮水構造ともなるため、バリア内部への地下水の流
入量を大幅に低減できる。
(2)仕様
・ 地上より小口径管推進機を用いてφ800 程度の継手
付鋼管を順次押し込みながら地中を掘削し、最終的
には地上に到達する。
・ 設置した鋼管の隣を、継手をガイドとして同様に鋼
管を押し込む(図3)ことで連続したバリアを構築
する。
・ 鋼管間は、注入管を用いて充填材(セメントベント
ナイトモルタル)で止水する。鋼管内も充填材で充
填する。
(3)性能
・ バリアの透水係数は米国環境保護庁(EPA)の要求
性能 k=1.0×10-9m/sec 以下を目標とする。
鉛直バリア
地表
汚染物質
底面バリア
図1
多機能工学バリア概念
透水層
R/B
T/B
人工岩盤
難透水層
図2
適用イメージ
注入管
充填材
図3
継手構造
(4)保有者
・ 大林組と米国アイダホ国立研究所(INL)が共同開発した技術である。
243
2.備考
・開発・実用化の状況(国内外の現場や他産業での実績例、実用化見込み時期を含む)
(財)地球環境産業技術研究機構「地球環境保全関係産業技術開発促進事業」
(2000~2003
年)の一環として、模擬地盤を対象とした実証試験を実施し、目標性能を確認している。
・開発・実用化に向けた課題・留意点
掘削延長距離として 100m 程度は実施可能であるが、長距離となった場合、適用性確認
の確認が必要となる。
・その他(特許等を保有している場合の参照情報等)
特許第 4914550「高度化封じ込めシステム」
特許第 4070592「鋼管継手部の止水材注入方法」
244
[様式2]
提案書
技術分野
⑥
提案件名
遠隔操作を用いた汚染物質を増やさない無人ボーリング工法
提案者
株式会社大林組
1.技術等の概要(特徴、仕様、性能、保有者など)
(1)特徴
・ 本提案技術は、遠隔操作による敷地内高線量化におけるボーリング工法を可能とし、今
後大量に必要となるボーリング施工時の作業員の被ばく等を大幅に削減するとともに
掘削ズリ低減をはかるものである。
・ 基本的に、ボーリングの設置撤去以外、掘削、ロッド継足し等すべて無人で実施するこ
とができる。
3D 映像と体感装置を用いた無線遠隔操作(当社東京機械工場)
・ ボーリングマシンの全操作を日本国内どこか
らでもコントロール可能となる。
遠隔操作重機
・ センサーとカメラを搭載し、リアルタイムで
マシンの状況把握ができる。
・ 特殊な無線回線により、電波が錯綜した現場
でも混線することなく連続運転ができる。
・ エアー掘削により汚染水がほとんど発生せ
ず、注水による汚染拡散を防ぐことができる。
・ 掘削クズを含んだエアーは、掘削クズとエア
カメラモニタ
ーに分けられ、フィルターを通り、きれいな
エアーだけが大気に排出する。
・ オプションとして、掘削クズを棒状に蓄積す
ることで地質構造を把握することが可能とな
る。
遠隔操作 運転席
(2)仕様と性能
・ 掘削方法:高圧エアー(0.7MPa・4.8 m3/min)
を使用したエアーハンマー工法を適用
・ 運転方法:ネットワーク経由でのリモートコ
ントロールシステムの導入
・ 掘削孔径:φ80mm
・ 掘削可能深度:30m 以上
・ システム構成:櫓なし、ヘッドドライブ掘削
機、高圧エアー用コンプレッサ、自動ロッド
継ぎ足し機、キャタピラー自走式、孔口には
回転式孔口装置、掘削クズ・排気集積用の密
シールドマシン遠隔操作システムの様子(当社シールド工事事務所 遠隔制御室)
244
閉集塵タンク(超音波レベル計)
・ ボーリングマシンの遠隔モニタリングシステムは、大林組が既に保有し、現場で稼働す
ることで性能を確認済みの技術である。
実際のボーリングマシン遠隔モニタリングの様子(当社品川本社オフィス)
(3)保有者
大林組で開発・実用化してきた技術
である
Web カメラによる監視
モバイル端末での
遠隔監視
ボーリングマシンの状態
プラントの状態
パソコンでの監視
2.備考
・開発・実用化の状況(国内外の現場や他産業での実績例、実用化見込み時期を含む)
概要調査技術に係わるボーリング調査(350m/510m/400m)
伊方深部地震観測に係るボーリング工事(2030m)
「ボーリング掘削モニタリングシステムの運用とデータの活用」(土木学会)
http://library.jsce.or.jp/jsce/open/00035/2009/64-cs/64-cs05-0089.pdf
「ボーリング工事における掘削モニタリングシステムの利用とモニタリングデータの活
用」(日本建設機械化協会)
http://jcma.heteml.jp/bunken-search/wp-content/uploads/ronbun/2009/032.pdf
・開発・実用化に向けた課題・留意点
シールドマシンの遠隔操作システムなどで要素技術は、実用化されており、全体のシス
テム統合と試運転が必要。
・その他(特許等を保有している場合の参照情報等)
平成24年 “コア生成装置およびコア生成方法” 特許出願中
平成25年 “ボーリングマシンを用いた地盤掘削システム” 特許出願中
245
[様式2]
提案書
技術分野
⑥
提案件名
汚染環境下の地下水流動特性評価およびモニタリング技術
提案者
株式会社大林組、University of Waterloo(加)
、University of Arizona(米)
1.技術等の概要(特徴、仕様、性能、保有者など)
(1)特徴
・ 提案する Hydraulic Tomography(以下、HT)技術は、対象地盤に空間的に配置した
複数点の地下水位または間隙水圧のモニタリング結果から、対象地盤の 3 次元水理特
性分布を評価・推定する手法である。地下水流の管理、汚染物質拡散をコントロールす
るためには、汚染水が賦存する評価対象地盤中の 3 次元水理特性分布を正確に評価・推
定する必要がある。その際、長期・短期的な降雨・蒸発散量の変動、日々繰り返す海水
準変動等(以下、各種天然現象)に伴うモニタリング結果への影響を適切に考慮するこ
とが重要である。さらに実施が決定している各種対策は人工的に水理場を改良するもの
であるため、定常的に実施されているモニタリング結果から、対策が計画通り実施され
ていること、地下水流動場に想定外の影響を与えていないことを日々確認しつつ段階的
に進めることが重要である。HT はこれらの課題に対する実行可能な解決手法として近
年着目されるようになってきている技術であり、本提案は HT の福島第一の汚染水評価
への適用を図るものである。
・ 本技術の適用先としては、以下の分野がある。
① 各種天然現象の影響を考慮した 3 次元透水場および 3 次元貯留係数場の評価
② 各種対策実施時の地下水位および間隙水圧のモニタリングデータの評価・推定
③ 各種対策実施時のモニタリング結果と予測結果の比較による対策の性能および
影響確認
(2)仕様と性能
・ 実施孔周辺地盤および孔-孔間の地層の水理特性を巨視的に確認する手法である従来
型の単孔式および孔間水理試験と比較して、HT は地盤中に複数点配置した地下水位ま
たは間隙水圧のモニタリング結果から、計測点間のモニタリング結果の差異(水圧値お
よび時間変動)が説明可能となるよう、地盤の水理特性の不均質性を 3 次元的に可視化
することができる。
・ 地質の局所的構造から間接的に水理特性を評価する物理探査と比較して、HT は地下水
変動から直接的に水理特性を決定することができる。
・ HT は坑井近傍の不均質性を高い解像度で表現することができ、さらに十分な期間の観
測データを取得することができれば、計測機器を広範囲に配置することなく地域スケー
ルでの不均質性を同定することができる。
・ HT は地球統計学的逆解析手法に基づいて開発されており、周囲の水頭、揚水試験およ
び観測孔における潮汐に起因する水頭変化も利用することができる。
245
・ HT のアルゴリズムは柔軟であり、継続的に新規取得データを取り込むことが可能であ
るため、特性分布や対応する不確実性を逐次更新することができ、得られた不確実性評
価結果はデータ収集戦略に対する方向性を示す材料とすることができる。
図1
段階的な調査の進展に伴う水理特性分布評価の高度化例
(3)技術の保有者および実施体制
本手法を適用する評価技術は大林組、University of Waterloo(加)、University of Arizona
(米)との共同提案であり、HT は公表された手法である。
2.備考
・開発・実用化の状況(国内外の現場や他産業での実績例、実用化見込み時期を含む)
過去 10 年間で HT は数値実験 (Yeh and Liu, 2000; Zhu and Yeh, 2005; Kuhlman et al.,
2008), 室内試験(Liu et al., 2002; Illman et al., 2007, 2008, 2010, 2012; Liu et al., 2007;
Berg and Illman, 2011a; Sharmeen et al., 2012) 、未固結地盤および亀裂性岩盤に対する
原位置試験(Illman et al., 2009; Huang et al., 2011; Berg and Illman, 2011b, 2013) を通
した試験が数多く実施されている。
・開発・実用化に向けた課題・留意点
現地において取得可能なデータの確認および取得可能データから想定される解析結果の
精度を検討する必要がある。
・その他(特許等を保有している場合の参照情報等)
特になし。
246
[様式2]
提案書
技術分野
⑥
提案件名
水文現象(開水路)および地下埋設構造を高精度で取り込む
地下水流動・物質移行解析
提案者
株式会社大林組、Aquanty(加)、University of Waterloo(加)
1.技術等の概要(特徴、仕様、性能、保有者など)
(1)特徴
・ 提案する解析手法は HydroGeoSphere と呼ばれるカナダの Aquanty、ウォータールー
大学およびラバル大学により共同開発された、地表および地下を含む水文サイクル全般
を評価するためのコントロールボリュームを用いた 3 次元有限要素シミュレータであ
る。
・ 気候変動、地表面形状および土地利用形態(河川、森林、道路等)を考慮した地表水流
および蒸発散より浸透量(涵養量)を数値解析的に算出し、従来の地下水解析手法に導
入することで、地下水位をより正確に捉えることができる。
・ 間隙や亀裂、排水路等の作用、さらに下水管や配水管などの 1 次元的な要素も組み込
むことができるため、複雑な地下埋設構造およびその中における水の流れを捉えること
ができる。
・ 正確な地下水位および地表/地下水流を捉えることで、各種汚染水対策の効果の事前予
測ができ、対策工設計に反映させることができる。
・ 地下水流動解析に併せて地表/地下水流の両方を考慮した物質移行解析を実施するこ
とができるため、タンク・建屋からの核種漏洩経路予測を行うことができる。
・ 潮汐の影響を考慮した塩淡境界の評価を伴う物質移行解析により、地表水もしくは地下
水を経た核種の海への流出予測を行うことができる。
図1
考慮する水文現象概念図
図2
地表/地下水流動概念図
246
(2)仕様および性能
今回提案する解析手法と従来の解析手法における主な性能の違いを以下の表に示す。
考慮する事象・現象
解析コード
方法
HydroGeoSphere
開水路を直接モデル化
評価
〇
開水路における水の流れ
水理的接点として評価もしくは高透水媒体として擬
従来手法
△
似的にモデル化
気候変動、地表面形状および土地利用形態(河川、
HydroGeoSphere
森林、道路等)を考慮した地表水流および蒸発散よ
〇
り浸透量(涵養量)を数値解析的に算出
地表からの涵養
降雨などの観測データより推定したものを入力パラ
従来手法
△
メータとして導入
(3)技術の保有者および実施体制
2.備考
・開発・実用化の状況(国内外の現場や他産業での実績例、実用化見込み時期を含む)
カナダ・オンタリオ州の Grand river の Laurel Creek 流域における汚染物質の拡散・移
行解析(Sudicky, E.A., Jones, J.P., Park, Y.-J., Brookfield, A.E. and Colautti, D., 2008.
Simulating complex flow and transport dynamics in an integrated surface-subsurface
modelling framework, Geosciences Journal, 12(2), 16 pp.,)
その他、諸外国にて河川流域の水文研究において多数の解析事例あり。
・開発・実用化に向けた課題・留意点
当該地点へ適用には複雑な地中埋設を表現するモデルの作成が必要となる。
地表水涵養量のモデル化には降雨量・蒸発散量・気温などのモニタリングデータの解釈
が必要となる。
・その他(特許等を保有している場合の参照情報等)
特になし。
247
[様式2(汚染水処理対策委員会に報告し、一般公開となるものです)]
御提案書
技術分野
1
(「技術提案募集の内容」の該当番号を記載願います)
提案件名
高機能ストロンチウム・セシウム等吸着剤を用いたタンク内放射性物質
固定と選別放流による、現行タンク有効利用と非増設によるタンク問題
解消法
提案者
株式会社 AGT
1.技術等の概要(特徴、仕様、性能、保有者など)
1、砂状高機能ストロンチウム・セシウム等吸着剤
2、これを用いた、簡易型ストロンチウム・セシウム等吸着処理装置
3、管理分別放流システム
これらを組み合わせる事による、汚染水保管量低減システム。
我々は、横浜国立大学及び横浜国立大学発ベンチャー 株式会社環境レジリエンス の
持つ高機能ストロンチウム・セシウム等吸着剤を利用でき、タンク内浸漬により、緊急的
なタンク内放射性物質固定化可能な技術を有する。
(仮計算で、先日汚染水漏れを起こした
1000 トンタンク1基当たり必要量 10Kg程度)
また、この高機能ストロンチウム・セシウム等吸着剤は、カラム型処理剤として、ゼオ
ライトなどと異なり、通液性に優れるので、現地設置型の簡易処理システムが安価で大量
に設置可能である。
この技術を用いて、現行タンク内放射性物質の大半が固定可能である。
これにより、タンク内汚染水を概ね以下の 3 種に分別する。
1、現在の堰内雨水等二次汚染水などの軽度汚染水、
2、トリチウムを含有しない、主にストロンチウム・セシウム汚染水
3、トリチウム高含有水
対策:全てのタンク内に高機能ストロンチウム・セシウム等吸着剤を浸漬した後、上澄
み水をこの高機能ストロンチウム・セシウム等吸着剤を用いた簡易水処理槽を用いて処理
する。
この際、上記の内、1 については、確認後放流、2 については、処理後アルプス処理後放
流、3 のみ処理後アルプス処理後再循環水として利用、若しくは、別途トリチウム処理を行
う。
247
2.備考(以下の点など、可能な範囲で御記入いただけますようお願いします)
・開発・実用化の状況(国内外の現場や他産業での実績例、実用化見込み時期を含む)
当方の提携先である、横浜国立大学発ベンチャー 株式会社環境レジリエンスは、当
ストロンチウム・セシウム等吸着剤を日経サイエンスに発表済みである。
本提案は、これを踏まえシステム化しており、ラボレベルでの理論検証は済んでいる。
・開発・実用化に向けた課題・留意点
本提案は、ALPS 等高度放射性物質処理を補完し、現場での速やかな一定の処理を
行うことを目的としており簡易処理で充分な信頼を得て放流できる低レベル汚染水の
迅速処理を主眼としている
・その他(特許等を保有している場合の参照情報等)
本技術は、ほぼ完全な国産技術であり、横浜国立大学及び横浜国立大学発ベンチャー
株式会社環境レジリエンス が基本アイデアを有している。
3.補足
添付補足
1.2.3.4をご参照下さい。
以上
(備考)技術提案募集の内容(6分野)
1 汚染水貯蔵(タンク等)
2 汚染水処理(トリチウム処理等)
3 港湾内の海水の浄化(海水中の放射性物質の除去等)
4 建屋内の汚染水管理(建屋内止水、地盤改良等)
5 地下水流入抑制の敷地管理(遮水壁、フェーシング等)
6 地下水等の挙動把握(地下水に係るデータ収集の手法、水質の分析技術等)
248
[様式2(汚染水処理対策委員会に報告し、一般公開となるものです)]
御提案書
技術分野
③
(「技術提案募集の内容」の該当番号を記載願います)
御提案件名
放射性物質を吸着するシルトフェンスの提案
御提案者
日本海洋整備株式会社
櫻井
實
1.技術等の概要(特徴、仕様、性能、保有者など)
【特徴・仕様】
提案する「放射性物質を吸着するシルトフェンス」
(補足資料①:一般外形図)は,
(財)
港湾空港技術サービスセンター・海洋工事汚濁防止協会の仕様条件(補足資料②:汚濁防
止膜技術資料)に準拠したものであり、シルトフェンスのカーテン部にゼオライトシート
(図-1、補足資料③:研究論文、国際ジオシンセティックス学会日本支部)からなる放射
性物質の吸着材を組み込み、放射性物質の付着した懸濁物の濾過とともに水溶性放射性物
質の吸着除去により、放射性物質の拡散防止を図るものである。ゼオライトシートは天然
ゼオライトの粉末(粒径 0.5mm 未満)をパルプにすき込むことにより厚さ 0.98mm のシ
ート状にしたものであり、乾燥重量の 70~90%が天然ゼオライト粉末(1m2 あたりの含有
量 550g)である。すなわち、シートの大部分が天然ゼオライトであり、さらに、比表面積
の大きい粉末を使用することによって吸着速度を高めたものである。天然ゼオライトをシ
ート状にした製品は他にも開発されているが、70~90%以上の高含有率のものは他に類を
見ない.
図-1 ゼオライトシート(天然ゼオライト粉末
図-2 提案するシルトフェンスの小型模型
(粒径0.5mm未満)を550g/m2含有)
【性能】
要求されている性能は以下に示す①~④の通りである。それぞれの項目に対する有効性
と実証データを以下に示す。
① 港湾内の海水中に含まれる放射性 Cs、Sr 除去(濃度低下)できること
ゼオライトシートにすき込まれている天然ゼオライトは、島根県産のモルデナイト(MG
イワミライト、三井金属資源開発(株))である。同一材料(粒径 0.35~0.7mm)の海水
中における Cs および Sr に対する除去率を図-3 に示す。この実証データは、日本原子力学
会バックエンド部会「福島第一原子力発電所内汚染水処理技術のための基礎データ収集」
248
より引用したものである。実験は、海水に Cs、Sr、I を添加し、24 時間振とうしたもので
ある。海水中の Cs に対する除去率は 84~98%程度であり、高い吸着効果を示す。一方、
Sr に対しては、Cs ほどの吸着効果はないが、5~24%程度の除去率である。
MGイワミライト(粒径0.35‐0.7mm)
添加量:1g/L,振とう時間:24時間
MGイワミライト(粒径0.35‐0.7mm)
添加量:1g/L,振とう時間:24時間
海水(100%) +Cs(1ppm),Sr(9ppm),I(0.1ppm)
海水(100%) +Cs(1ppm),Sr(9ppm),I(0.1ppm)
海水(10%希釈) +Cs(1ppm),Sr(1ppm),I(0.1ppm)
海水(10%希釈) +Cs(1ppm),Sr(1ppm),I(0.1ppm)
海水(100%) +Cs(10ppm),Sr(10ppm),I(1ppm)
海水(100%) +Cs(10ppm),Sr(10ppm),I(1ppm)
海水(10%希釈) +Cs(10ppm),Sr(2ppm),I(1ppm)
海水(10%希釈) +Cs(10ppm),Sr(2ppm),I(1ppm)
0
20
40
60
80
100
0
20
40
Csの除去率 (%)
60
80
100
Srの除去率 (%)
(a)Csの除去率
(b)Srの除去率
図-3 海水中におけるCsおよびSrの除去率(日本原子力学会バックエンド部会「福島第一原子力発電
所内汚染水処理技術のための基礎データ収集」より引用)
海水に含まれる主要なイオンを表-1
に示す。天然ゼオライトの陽イオン交換
優先順位は以下の通りである。
+
+
+
Cs+>Rb >K+>NH4 >Sr2+>Na >Ca2+
>Fe3+>Al3+>Mg2+> Li+
(1)
表-1 海水に含まれる主要なイオン
イオン 質量% 溶質% イオン 質量%
溶質%
Na+
1.0556
30.61
K+
0.0380
1.10
Mg2+
0.1272
3.69
Cl-
1.8980
55.05
Ca2+
0.0400
1.16
SO42-
0.2649
7.68
上式より、海水中の Cs の濃度が低い場
合は、図-3 の結果よりも Sr の除去率は
高くなると考える。
セシウムイオンの除去率 (%)
100
80
60
吸着試験(振とう)
吸着試験(浸漬)
イオンの除去率 (%)
② 除去する際に、Mg、Ca 等の目的外
40
ゼオライト機能紙:5×4cm
(天然ゼオライトの添加量:10g/L)
元素の吸着による除去効率低下が少
初期イオン濃度
20
Cs+:0.1mg/L
(a)
ないこと
+
+
2+
Na , K , Ca :1mg/L
0
複数の金属イオンを含む水溶液中に
0
20
40
60
80
100
120
経過時間 (min)
おけるゼオライトシートのセシウム(安
100
80
定同位体)イオンの吸着特性を図-4 に示
60
す(補足資料③)。ゼオライトシートへ
40
20
の Cs の吸着は短時間で生じる。イオン
0
の除去率は Cs、K、Ca の順に大きい。
-20
-40
式(1)と同じ傾向であり、Na、Ca、K が
-60
混在する場合においても、Cs を優先的
-80
-100
に吸着除去する。Mg よりも陽イオン交
換優先順位の高い Ca が混在しても、Cs 図-4 セシウム(安定同位体)イオンの除去率(補足
資料③)
に対する高い吸着効果を有しているこ
とから、Mg が混在する場合においても、Cs に対する高い吸着効果が発揮されると考える。
248
また、Sr を添加した場合のその除去率は、式(1)より K と Ca の中間であり、40~50%程度
であると考える。なお、水溶液中の Na が増加しているのは、天然ゼオライトに事前に吸
着されていた Na が、他のイオンで置換されて溶出したためであると考える。
アンモニウムイオンの除去率(%)
NH4+の除去率 (%)
③ 放射性 Cs、Sr を吸着した廃棄物の発生量が少ないこと
陽イオン交換優先順位が Cs と Sr の間に
100
天然ゼオライト(D<0.5mm)
+
ある NH4 に対する吸着試験の結果を図-5
80
に示す(補足資料③)。NH4+の吸着も短時
ゼオライトシート
60
(D<0.5mm)
間で生じる。ゼオライトシートは天然ゼオ
ライト粉末(粒径 0.5mm 未満)と同等の
40
初期濃度
NH4+:15mg/L
吸着性能を有しており、粒径の大きい天然
添加量
天然ゼオライト
20
天然ゼオライト:6g/L
ゼオライト(粒径 1~3mm)の 2~6 倍の
(D=1~3mm) 流速:22cm/s
0
吸着速度を有している。
0
20
40
60
80
100
120
撹拌時間 t (min)
厚さ 0.98mm のゼオライトシートの天
然ゼオライトは粉末(粒径 0.5mm 未満)
図-5 NH4+の除去率(補足資料③)
であり、重量比 70~90%と含有量も高く、
体積、重量に比べて少ない使用量で高い吸着効果が得られるので、廃棄物の発生量を格段
に少なくできる。さらに、シルトフェンスのフロート部とカーテン部を容易に切り離し、
放射性物質が吸着したカーテン部を小さく折り畳むことも容易である。このことにより、
発生した廃棄物の搬出、保管も容易である。一方、フロート部は繰り返し利用することが
可能である。
④ 簡易な設備であること
放射性物質を吸着するシルトフェンスの設置形態の一例を図-6 に示す(補足資料③)。シ
ルトフェンスは、天然ゼオライト粉末を高い割合で含有したゼオライトシートを一般的な
シルトフェンスのカーテン部材であるポリエステル織布で縫合したものであり、フロート
部と連結する。ゼオライトシートを用いたシルトフェンスは,薄くて軽く施工も簡易であ
るため,さまざまな設置形態に対応することができる。本提案における放射性物質を吸着
するシルトフェンスの具体的な設置および撤去の詳細は補足資料②に示している。
図-6 放射性物質を吸着するシルトフェンスの設置形態(補足資料③)
248
【技術提案に対する実施体制】
提案者
日本海洋整備(株) 櫻井 實(シルトフェンス技術監修、事務局)
協力者
信州大学工学部 梅崎健夫(技術監修)
旭化成ジオテック(株) 川井伸一、石井大悟(シルトフェンスに関する材料供給)
凸版印刷(株) 高畑勝人、早川 典、北村洋一(ゼオライトシートの製造供給)
2.備考(以下の点など、可能な範囲で御記入いただけますようお願いします)
・開発・実用化の状況(国内外の現場や他産業での実績例、実用化見込み時期を含む)
1) ゼオライトシートの開発および性能評価に関する論文発表(補足資料③)
2) ゼオライトシートを内袋として用いた土壌や廃棄物などに対する除染フレコンバッ
グの開発・製品化(補足資料④:除染用フレコンバッグ(ゼオコン)
、辰野(株)お
よび補足資料③の図-3(c))
3) ゼオライトシートを用いた水路に漏出した水溶性セシウムの簡易吸着ユニットの開
発(補足資料③の図-3(b))
・開発・実用化に向けた課題・留意点
1) 実海洋域での製品の耐久性と簡便な回収・廃棄方法の確認。
2) Sr やトリチウムなどに有効な他の吸着材についても、粒状や粉末状であれば、容易
にシート化する技術を有しており(凸版印刷(株))、それらを用いたシルトフェンス
の開発も可能である。
・その他(特許等を保有している場合の参照情報等)
1) 信州大学、旭化成ジオテック(株)、一般社団法人グリーンディール推進協会:水域
浄化フェンス、特開 2012-180733(補足資料⑤)
2) 信州大学、一般社団法人グリーンディール推進協会、旭化成ジオテック(株)、凸版
印刷(株)
:放射性汚染水の浄化装置及び浄化方法、特開 2013-186082(補足資料⑥)
(備考)技術提案募集の内容(6分野)
① 汚染水貯蔵(タンク等)
② 汚染水処理(トリチウム処理等)
③ 港湾内の海水の浄化(海水中の放射性物質の除去等)
④ 建屋内の汚染水管理(建屋内止水、地盤改良等)
⑤ 地下水流入抑制の敷地管理(遮水壁、フェーシング等)
⑥ 地下水等の挙動把握(地下水に係るデータ収集の手法、水質の分析技術等)
249
[様式2(汚染水処理対策委員会に報告し、一般公開となるものです)]
御提案書
技術分野
3
います)
(「技術提案募集の内容」の該当番号を記載願
御提案件名
港湾内海水中のセシウム及びストロンチウムの選択的除去シス
テム
御提案者
Dr. Valentin Avramenko、藤村
忠正
1.技術等の概要(特徴、仕様、性能、保有者など)
本提案で使用する海水中のストロンチウム吸着剤は提案者アブラメンコが15年かけて開発
した、特殊なナノ構造を持つ選択的無機系吸着剤である。海水の共存物にもよるが、吸着
平衡定数Kd=12600、Caに対する選択性Ks=74.2という高い性能を持つ。
一方Cs吸着剤としては、炭素ファイバー上の金属ナノ構造上にフェロシアン化物を合成
したものを使用している。Kdは920000、4.2M
NaMO3中におけるNa に対
する選択性Ksは8.9x104である。ストロンチウムの除去は下図のような装置で、セ
シウムの除去は一般の装置(図中に記載なし)で除去する。セシウムの除去には本提案の
除去剤あるいは一般の除去剤も使用可能であるが、海水中のストロンチウム除去には本提
案の除去剤を使用するしか他に方法がない。それほど本Sr吸着剤は優れた吸着性能と、
Caに対する高い選択性を持っている。
下図の装置では吸着剤1m3使用して海水そのままでは2m3を、また数倍希釈した場合
は10m3の海水を1日に処理できる。装置をさらに大きくすることが可能であれば、さら
に処理量を上げることが可能である。いずれの場合も処理水はSr,Csとも日本の規制
値をクリヤーしそのまま海洋放出できる。本システムにより洗浄水容積と2次放射性固体
廃棄物の量の比は10以上となる。装置はコンパクトである。下図は、Sr除去部分のみ
を示しているが、福島のSARRYやALPSと一体としたライン構成も使用可能である。
処理後の海水
[放出]
3
1
2
4
使用後の吸着剤
1.処理前海水容器 2.海水・吸着剤の攪拌反応吸着リアクター 3.吸着剤パイプ容器 4.フロースルー型遠心分離機 2.備考(以下の点など、可能な範囲で御記入いただけますようお願いします)
249
・開発・実用化の状況(国内外の現場や他産業での実績例、実用化見込み時
を含む)
本システムは既にロシアで長年実用実績がある。また、優れたロシア研究
者が開発や稼働を担当しており、日本で本システムが採用された際には来日し
て責任を持って設置・稼働に協力する。装置の設置稼働形態によっては日本企
業と共同でおこなうことを考えている。吸着剤の生産は現在年間15トン程度
可能であり、価格的に他国の従来品より格段に安く提供できる見込みである。
本システムはロシア以外にフィンランドの原発で使用されている。
・開発・実用化に向けた課題・留意点
現在のところシステムは完成しており、特に問題点はない。吸着剤の供給
にも問題はない。
・その他(特許等を保有している場合の参照情報等
ロシア特許を提案者(VA)が持っている。
(備考)技術提案募集の内容(6分野)
① 汚染水貯蔵(タンク等)
② 汚染水処理(トリチウム処理等)
③ 港湾内の海水の浄化(海水中の放射性物質の除去等)
④ 建屋内の汚染水管理(建屋内止水、地盤改良等)
⑤ 地下水流入抑制の敷地管理(遮水壁、フェーシング等)
⑥ 地下水等の挙動把握(地下水に係るデータ収集の手法、水質の分析技術等)
250
[様式2(汚染水処理対策委員会に報告し、一般公開となるものです)]
御提案書
技術分野
5
(「技術提案募集の内容」の該当番号を記載願います)
御提案件名
ロシア開発ストロンチウム吸着剤による汚染土壌の除染
御提案者
Prof. Dr. Marina S. Vilessova
藤村 忠正
1.技術等の概要(特徴、仕様、性能、保有者など)
本システムで用いるロシアで開発されたストロンチウム吸着剤は、下の表が示すように
油分や浮遊物を含む汚れた海水試料中でも Cs, Sr、Co等に対して高い吸着力を持ち、処
理後の海水は環境放出可能なレベルになる。
--線,
β-線
石油成分,
分散物
Bq/ L
Bq /L
g /L
g /L
処理前
550000
610000
0.4
2
処理後
70
 0.7
 0.0001
-
溶液
汚染海水
本吸着剤により β-線が効率よく除去されていることからSrに対しても高効率で除染可能であること
がわかる。吸着剤の最適pHは5-6であるが、その他のpHである海水でも表のように高
い吸着性を示す。本システムは上記の放射性金属イオンに限らず、より広く重金属のメッ
キ廃液等に使用されている。
本吸着剤を土壌中のSr除染に用いる際には専用の移動式装置を用いる。本方法はロシ
ア国内での土壌、肥沃土の除染及び、原子力発電所の防護壁や放射能廃棄物保管場所の除
染に用いられている。もちろん吸着剤を土壌に注入する方法でも使用可能である。
これまでの実績で数万Bq/kgの土壌が70Bq/kg以下に除染されている。
もちろん、本吸着剤の性能は土壌の成分(鉱物やフミン酸等の組成)によるため福島で
の実地テストが必要と考えられる。
2.備考(以下の点など、可能な範囲で御記入いただけますようお願いします)
・開発・実用化の状況(国内外の現場や他産業での実績例、実用化見込み時期を含む)
ロシア国内の原子力発電所の土壌で実施ずみ。本凝集剤の製造はロシア国内で行うので
凝集剤の価格は従来品に比べて格段に安い。大量に使用可能である。
・開発・実用化に向けた課題・留意点
土壌成分によって吸着特性が影響を受けるので、福島での実施に当たっては最適条件を
見つける必要がある。本凝集剤や装置を使用するにあたっては、日本の企業に製造等の
一部を委託する可能性がある。
・その他(特許等を保有している場合の参照情報等)
ロシア特許を保有している。
250
(備考)技術提案募集の内容(6分野)
① 汚染水貯蔵(タンク等)
② 汚染水処理(トリチウム処理等)
③ 港湾内の海水の浄化(海水中の放射性物質の除去等)
④ 建屋内の汚染水管理(建屋内止水、地盤改良等)
⑤ 地下水流入抑制の敷地管理(遮水壁、フェーシング等)
⑥ 地下水等の挙動把握(地下水に係るデータ収集の手法、水質の分析技術等)
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