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第3回地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会資料

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第3回地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会資料
資料1
平成 26 年 10 月 31 日(金)
14時00分~16時00分
厚生労働省9階省議室
第3回
地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会
議 事 次 第
○
2025 年の医療需要の推計方法について
○
有識者によるプレゼンテーション(在宅医療)
○
その他
【資料】
資料1 前回検討会における主な意見
資料2 2025 年の医療需要の推計の考え方について(案)
資料3 各 DPC の1日当たり医療資源投入量の分析について
資料4 新田参考人提出資料
【参考資料】
参考資料1 地域医療構想及び医療計画の基準病床数の算出に関する医療法の規定
参考資料2 都道府県別の標準化入院受療比
参考資料3 療養病棟入院基本料について
参考資料4 平成24年度在宅医療連携拠点事業について
第 3 回地域医療構想策定
ガイドライン等に関する検討会 資料
平成26年10月31日
前回検討会(第2回
平成 26 年 10 月 17 日)における主な意見
1.構想区域の設定の考え方について
○ 平成 24 年の医療計画作成指針で示されながら2次医療圏の見直しを行わな
かった県について、理由を分析した上で、本ガイドラインで見直しを行うよ
う記載することが必要ではないか。
○
様々な圏域があると住民が混乱する。厚労省は今後、圏域を統合していく
つもりか。
○
総務省の定住自立圏構想の取組のように、市町村単位をベースとした区域
設定の方が2次医療圏より良いのではないか。
○
2次医療圏内で入院医療をまかなうという考え方がおかしいのではないか。
2次医療圏で、ある医療機能が足りないからといって、本当にダメかという
とそうでもなく、隣の医療圏にその機能があって、それをうまく活用できて
いるということもあるのではないか。
○
そうはいっても、2次医療圏に代わるものもないので、2次医療圏を原則
とすることはやむを得ないのではないか。
○
2次医療圏を中心に考えるということであれば、今の2次医療圏の患者流
出入の計算式では役に立たないと思う。今後、病床を機能別に分けていくの
であるから、流出入についても、病床機能別で出すべき。例えば、急性期は
流出しているが、慢性期は流入しているということもある。
○
前回の2次医療圏を見直す際に、2次医療圏ごとに協力・協調しなさいと
いう指示を厚労省から都道府県に出しているはずだが、現実にはうまくいっ
ていないと思う。原因は、そこに行政区域というのがあるからだと思う。
解決のためには、データをきちんと示していく必要がある。どういう病態の患
者どこへ移動しているのか、きめ細かなデータが是非欲しい。
○
2次医療圏は病床規制の単位でもある。構想区域が2次医療圏とずれた場
合に、基準病床数と病床の必要量との関係はどう整合させるのか。
1
1
○ 必要量は 2025 年の推計であるから、基準病床数とは別という説明は理解し
にくい。2次医療圏と基準病床数と必要量とはしっかり関係する。ある医療
機関が増床又は新規開設するときに、構想区域と2次医療圏がずれていると、
一方の2次医療圏ではオーバーベッドだが、片方はアンダーベッドだという
ことがあり得る。この関係をどのように整理整頓するのかをきちんと説明し
ないといけない。
○ 平成 30 年度からの第7次医療計画では、2次医療圏を構想区域にあわせろ
ということか。第7次医療計画においては2次医療圏を構想区域に合わせる
ようメッセージを出すべきではないか。
○
総合確保区域、構想区域、2次医療圏と圏域がいくつもあるので、言葉を
正確に使って、議論を進めていただきたい。
○ 県に任せていると、県庁所在地にインフラ等が集まりがちになる。
○
尾張中部医療圏は、公的病院がほぼなくて、民間医療機関が中心でやって
いる。流出入は大きいが、介護との連携もよく、うまくいっている医療圏で
あると聞いている。
○ 介護施設との連携の視点も持って、構想区域を設定すべきではないか。
○
病院は、特に田舎では、今後増えない。だから、どこにどの病院があるの
か決定している。介護も、居宅サービスは増えるかもしれないが、施設は増
えない。そうすると、県のレベルでは、この病院はここに入れようと考えて、
区域を設定することができる。医療介護総合確保区域であるのだから、2次
医療圏とは合わせないと意味が無い。都道府県は、基本的に、全部2次医療
圏と合わせていくということを当たり前とすべき。
○
構想区域を定める際に勘案すべきとされている①から④の要素について、
そのデータや勘案の方法を示してほしい。
2
2.2025 年の医療需要と各医療機能の病床の必要量の推計方法について
○
本資料は、3年前の推計であると、ひとり歩きしないように明確に言って
いただきたい。
○
一体改革の推計の問題点は、まず、全国一律の入院受療率と外来受療率を
用いていること。次に、「DPC 及び DPC 準備病院を急性期の代表と仮定」とい
うのが重大な問題。我が国の急性期医療が DPC でいくのだといつ、どこで決
まったのか。それから、改革シナリオで、平均在院日数を2-3割短縮と書
いてあるが、平均在院日数を短縮することが改革なのか。平均在院日数の短
縮はもう限界を通り越していると思っている。平均在院日数を短縮すること
が改革だという間違った風潮は是非直していただきたい。
○
一般急性期の平均在院日数を3割短縮する根拠も分からない。実際に、現
場では、平均在院日数の短縮はかなり限界に来ていて、逆に、高齢者が増え
るとともに平均在院日数が延びている。これから伸びる可能性があるのに、
短縮するというのは、3年前の考え方は過去のものにしないといけないので
はないか。DPCデータを用いて高齢者の本当の平均在院日数の現状を出し
ていただきたい。
○
現在の医療提供体制は絶妙なバランスで限られた医療資源で見事に医療を
提供しているところがほとんど。一体改革の推計方法を用いて、全国の医療
機関の全部をこの算定式で改革しなければならないのだと聞こえる。
○ 23年の一体改革の推計の時とは時代が非常に大きく変わっている。今は、
ある程度、各地域で医療体制は保たれているが、財政審議会等では、医療費
がこのまま上がっていったら、どうしようもないだろうと言われており、財
務省からのプレッシャーもあって、効率化を図らなければならないというの
がベースにあるのだろうと思う。患者に迷惑がかからなければ、効率化にも
協力するが、23年とは事情が違っている。もう少しフレキシブルに考えて
いただけたらと思う。
○ また、今回の診療報酬改定で、DPC病院は全てデータを出せとなったが、
これは、保険局、医政局、厚労省どこの意見か。また、レセプト(NDB)
を用いても、慢性期は包括算定のため、細かいデータは出てこない。どのよ
うなデータを取るべきか、厚労省内で整理をしてほしい。
3
○ 新しいデータを使うのは良いが、使い方は今後議論が必要。
○ 一体改革推計は、急性期の平均在院日数が9日というのに皆、反発したが、
平均在院日数の短縮という効率化と、医療従事者数を増加させるという充実
がセットであった。医療従事者は1.6倍にする、高度急性期は2倍にする
と書いてあった。こういう全体像を見せていただき、もうちょっと考えてい
くべきだと思う。
○
一体改革推計で医療従事者増加が書かれていることは承知しているが、あ
れは現実的な人員配置ではないではないか。そういうことも含めて言ってい
る。一体改革の資料の再提出は不要。
○
推計の考え方が、医療提供者寄りであるように見える。市町村には介護保
険のデータがあって、要介護度なども分かる。医療サービス利用者側のデー
タの活用に留意すべきでないか。
○ 一体改革推計で、高度急性期・急性期の病床稼働率 70%は低く見積もり過ぎ
ではないか。
○
一体改革の改革シナリオのポイントは2つあって、1つは、急性期医療を
確立すること、もう1つは居住系を中心とした在宅ケアを拡充すること、こ
の両方をやっていこうということ。それから、急性期について、在院日数を
短縮するが、従来では医療費適正化という路線だったと思うが、ここでは、
むしろ、診療単価が上がったり、在宅ケアが拡充されて、全体としてのコス
トは上がるということだった。
○
色々とご意見はあると思うが、改革シナリオというのはそれなりに合理性
があると思うので、これをベースに議論することは賛成である。ただし、一
体改革の推計については、ほとんど国民には知られていない。生活に関わる
重要な問題であり、国民への説明をしっかり分かりやすくして、知ってもら
うことも大切だ。
○ 一体改革推計をする基本的なモデルとしては、これをまず重視して、ただ、
本日のメンバーの意見にもあったように、パラメーターというか、将来どう
いう値になるかというのは、DPC データやレセプトデータに基づいて実態把握
4
をきちんとやると。そして、地域差の要因分析をきちんと行うという方向で
良いのではないか。
将来の医療需要を、一体改革の推計の骨格と違う枠組みで計算するという
のはなかなか想像ができない。ほかの方法がなかなか容易に見つからないの
ではないかと思う。
○ DPC データやレセプトデータから、地域別の受療率は求められる。そういう
ものをまず明らかにする。また地域差があるので、その要因をきちんと分析
する。一体改革推計の時から少し年月が経っているので、その分、アップデ
ートを重ねながら、今後の必要な病床数のあり方を意識しながら、改めると
ころは改める。こういう方向で良いのではないかと思う。
○
一体改革推計は参考にして、資料4にある方向性に基づき必要量を推計し
ていくという方向に賛成。一体改革推計がひとり歩きしないようにした方が
良いとは思う。現状追認では改革は正直難しい。患者の病態に応じた病床で
きちんと医療が受けられるようにというのが改革の方向性であろうと思うの
で、データを見ながら議論するということでどうか。
○
NDBでは、2次医療圏ごとのデータが限界。できれば市町村ごとに分析
したい。レセプトに郵便番号を入れてほしい。
○
在宅医療の推計方法が難しい。訪問看護では、NICU退院後の患者や障
害者もたくさん診ている。一体改革の推計と現在のデータの乖離を示してほ
しい。
○
歯科の入院患者は入っているか。歯科のデータもできれば別立てで示して
ほしい。
○
訪問看護も歯科もNDBにデータが十分に入っておらず、推計は難しい。
ぜひNDBにデータを提供するよう協力してほしい。
○
町村の立場で申し上げると、医療従事者の確保が困難。ぜひ議論してほし
い。
5
第 3 回地域医療構想策定
ガイドライン等に関する検討会 資料
平成26年10月31日
2025年の医療需要の推計の考え方について(案)
1.推計に当たっての基本的な考え方
○ 以下の基本的な考え方に基づき、今回は、医療需要について検討する。
○ 入院については、医療需要を算出し、それを基に、病床数を推計する
というのが推計の基本的な方法。
よって、まず、医療需要について、医療機能(高度急性期機能・急性
期機能・回復期機能・慢性期機能。以下同じ。
)ごとに算出する。
○ 各医療機能の医療需要については、患者の性・年齢によって入院期間
に差があることなどを踏まえ、社会保障・税一体改革の推計よりも、で
きる限り、患者の状態や診療の実態を勘案して算出するよう、DPC デー
タや NDB のレセプトデータ(DPC の対象ではない医療機関のデータを含
む。以下同じ)を分析する。
○
また、2025 年の高齢化の進展により増加する医療需要に対応した推
計を行うが、その際、平均在院日数や在宅医療・外来等への移行につい
て、社会保障・税一体改革の推計よりも、できる限り、患者の状態や診
療の実態を勘案して算出するよう、DPC データや NDB のレセプトデータ
等を分析する。
○ さらに、都道府県及び構想区域ごとに医療需要を算出することから、
・ 患者の流出入
・ 入院受療率等の地域差
を考慮の対象とする。
※ なお、各医療機能の医療需要に基づく地域医療構想の病床数の推計
については、次回以降の本検討会において、検討を行うこととする。
1
2
2.入院の医療需要について
○ 入院の医療需要は、1日当たりの入院患者数であり、基本的には、人
口(性・年齢階級別)に、入院受療率(人口 10 万人対入院患者数。性・
年齢階級別)を乗じることで、算出する。
よって、2025 年の医療需要は、2025 年の人口に入院受療率を乗じる
ことで算出する。
※ 在宅医療については、後述。
○
その際、2025 年の人口としては、各都道府県及び構想区域の推計の
整合性をとるため、国立社会保障・人口問題研究所の「日本の地域別将
来推計人口(平成 25(2013)年 3 月発表の推計)
」を用いることとする。
○ その上で、医療需要の算出に当たっての以下の論点について、次のよ
うに対応する。
(1)疾病ごとの医療需要について
○ 各医療機能の医療需要を推計する際に、疾病ごと※の医療需要も推計
する。
※ 「5疾病とそれ以外」又は DPC の「主要診断群18分類」とする。
(2)都道府県及び構想区域における医療需要の考え方
○ 地域医療構想では、都道府県及び構想区域ごとに医療需要を算出する
が、これを基に、病床数を推計し、地域における医療機能の分化・連携
を考えるものである。
○ よって、医療需要は、患者の住所地を基に推計することとし、その上
で、患者の流出(他の区域の医療機関への入院)と流入(他の区域に住
所を有する者の入院)を加味する。
(3)患者の流出入の加味の仕方について
○ まず、例えば、急性期の患者は流出しているが、慢性期の患者は流入
しているなど、医療機能によって患者の流出入の状況は異なることから、
流出入を医療機能別に考えて、加味する。
2
○ ただし、現状の流出入状況が今後も続くと考えて推計すべきか、区域
内で入院医療を完結するという考え方に基づき、流出入を一定の枠にお
さめることを目指すべきか、という論点があるが、これについてどのよ
うに考えるか。
例えば、都市部への流出が大幅に多い区域について、今後もそのまま
の形で医療提供体制を考えるのか、医療提供体制の見直しを図っていく
べきか。
(4)入院受療率の地域差について
○ 入院受療率※については、現在、地域差が生じているが、単に現状の
入院受療率を用いるのではなく、地域差の要因分析を行った上で補正を
行う。
※ 入院受療率は、患者の新規発生数と平均在院日数に影響される。
○ その際には、平均在院日数等の差に伴う医療機能別の入院受療率の地
域差について、検証・分析を行った上で補正を行う。
3
3.各医療機能の医療需要について
○ 各医療機能の病床の必要量を算出するため、医療需要について、各医
療機能の患者数を算出する必要がある。
○ 各医療機能の患者数について、社会保障・税一体改革の推計では、平
均在院日数等によって、一定の仮定の下に推計していたが、DPC データ
や NDB のレセプトデータに基づいて診療実態を分析し、患者の状態を一
定程度推測することにより、より適切な推計を行うことができると考え
られる。
○ 具体的には、平均在院日数だけでなく、患者に対して行われた医療の
内容に着目することで、患者の状態や診療実態を勘案した推計になると
考えられる。そのため、患者に対して行われた診療行為について、診療
報酬の出来高点数で換算し、医療資源投入量の多寡を見ていくことが考
えられる。
※1
DPC データを分析することで、1入院について、1日当たりの
医療資源投入量と入院日数との関係を見ることが可能であり、既
に、厚生労働省の研究班で行われた分析は資料3のとおりである。
※2
今回の分析は、都道府県及び構想区域の医療需要を推計するた
めに過去の一定の期間のデータを使用することを検討するもので
ある。
(1)DPC データの分析から分かることについて
① 医療資源投入量の逓減
○ DPC データの分析による医療資源投入量と入院日数との関係を見てみ
ると、入院日数の経過につれて、医療資源投入量が逓減していく傾向が
あることが分かる。
具体的には、入院初期は、高密度な医療が提供され、医療資源投入量
が特に多い状態があるが、その後、医療資源投入量が減少し、一定の水
準で落ち着くという傾向があることが分かる。
○ 疾患によっては、数日程度で医療資源投入量が落ち着くものから、1
か月を超えて、医療資源投入量が高い状態が続くものもある。
4
② 在院患者数の減少と医療資源投入量との関係
○ 疾患ごとに入院経過日数ごとの在院患者数を見てみると、入院日数が
経過するにつれて減少するが、一定日数以上経過後であっても、少数の
患者は入院を継続していることが分かる。
○ こうした在院患者数の減少について、上記の医療資源投入量の傾向に
照らして見てみると、医療資源投入量が減少した後も、すぐには在院患
者は減少せず、少し日数が経過してから、徐々に在院患者数が減少して
いることが分かる。
(2)医療資源投入量と各医療機能の患者との関係
○ 上記の医療資源投入量の逓減の傾向を踏まえ、各医療機能の患者数の
推計に当たって、以下のような、一定の仮定をおいて区分することが考
えられる。
○ 2(4)のとおり、入院受療率については、現在、医療機能ごとにも
地域差が生じていると考えられるため、単に現状の入院受療率を用いる
のではなく、地域差の要因分析を行った上で補正を行う。
①
○
高度急性期機能・急性期機能について
急性期機能については、病床機能報告制度において、『急性期の患者
に対し、状態の早期安定化に向けて医療を提供する機能』と定義されて
いる。
○ 一方、上記の医療資源投入量の逓減の傾向を踏まえると、医療資源投
入量が一定程度、落ち着いた段階が患者の状態が安定した段階であると
考えられる。
○ これらを踏まえ、入院から医療資源投入量が落ち着く段階までの患者
数※を、高度急性期及び急性期の患者数とする。
※
出来高換算点数でみた医療資源投入量は落ち着いているが、引き
続き、状態の安定化に向けた医療提供が継続されている患者も存在
するのではないか。
5
○
また、高度急性期機能については、病床機能報告制度において、『急
性期の患者に対し、状態の早期安定化に向けて、診療密度が特に高い医
療を提供する機能』と定義されていることを踏まえ、医療資源投入量が
特に高い段階の患者数を高度急性期の患者数とする。
② 回復期機能・慢性期機能について
○ 入院から医療資源投入量が落ち着く段階までを、高度急性期及び急性
期であるという前提で、医療資源投入量が落ち着いた後、退院までの段
階の患者数を、回復期・慢性期の患者数とする。
○ また、回復期機能については、病床機能報告制度において
『・急性期を経過した患者への在宅復帰に向けた医療やリハビリテーシ
ョンを提供する機能。
・特に、急性期を経過した脳血管疾患や大腿骨頸部骨折等の患者に対
し、ADL の向上や在宅復帰を目的としたリハビリテーションを集中
的に提供する機能(回復期リハビリテーション機能)
』
と定義されていることから、回復期リハビリテーションが必要な患者数
は、回復期機能で対応する患者数とする。
○ 慢性期機能については、病床機能報告制度において
『・長期にわたり療養が必要な患者を入院させる機能。
・長期にわたり療養が必要な重度の障害者(重度の意識障害を含む)、
筋ジストロフィー患者又は難病患者等を入院させる機能。
』
と定義されていることから、まず、重度の障害者(重度の意識障害を含
む)・筋ジストロフィー患者・難病患者等の患者数は、慢性期機能で対
応する患者数とする。
○ 回復期リハビリテーションが必要な患者、重度の障害者(重度の意識
障害を含む)、筋ジストロフィー患者及び難病患者等以外の患者につい
て、回復期機能・慢性期機能で対応する患者数を医療資源投入量等によ
って、どのように区分できるか検討する。
③ 在宅医療の患者数について
○ 地域医療構想においては、在宅医療についても 2025 年の患者数を推
計する。
6
○ 2025 年の在宅医療の患者数については、基本的には、
・ 退院して在宅医療を受ける患者数(現状であれば入院しているが、
入院医療の機能強化と効率化によって、退院し在宅医療へ移行すると
考えられる患者数)
・ 現状において在宅医療を受けていると考えられる患者数
の合計として考える。
○ その際、必要な患者に過不足無く在宅医療が提供されるよう、
イ)地域の在宅医療提供体制の整備の状況、
ロ)上記イ)に係る地域差、
ハ)適正・効率的な在宅医療提供体制のあり方、
などをどのように反映するか検討する。
※ 在宅医療を実施する場所については、自宅のみならず、介護老人保
健施設以外の介護施設等が含まれる。
7
第 3 回地 域医 療構 想策 定
資料
ガイドライン等に関する検討会
平成26年10月31日
3
各DPCの1日当たり医療資源投入量
の分析について
分析の概要
1. 使用したデータ源について
一般社団法人 診断群分類研究支援機構において、約1,100病院から、個
別に守秘義務契約を結んだ上で、暗号化したDPC関連データを収集し、デー
タベースを構築している。これを分析対象とした。(対象となる患者は、平成
24年4月1日以降に入院し、平成25年3月31日以前に退院した患者)なお、
DPC病院は全部で約1,500病院ある。
2. 分析手法について
DPCにおいては、診療報酬の支払いは、1日ごとの包括払いとなっているが、
各患者について、行った医療行為を、包括されているかに関わらず、1日ご
とに全て記録している。この記録された情報に基づいて、患者に対して行わ
れた診療行為を診療報酬の出来高点数で換算し(医療資源投入量)一日ご
とに集計することができる。(支払った金額とは関係がない。)
スライド2以降:疾患(診断名)ごと、かつ、日ごとに、その日の平均医療資
源投入量(入院基本料を除く。)を集計し、入院経過日数順に並
べた。また、初日の患者を100%として、入院経過日ごとに、入
院継続している患者の割合を示している。
※ いずれも、手術ありとなしを分けて集計している。
1
肺がん(040040)
手術なし
手術あり
2
政策科学総合研究事業(H25ー政策ー指定010 研究代表者 伏見清秀 東京医科歯科大学教授)石川B光一分担研究者提供資料
に基づいて、事務局が作成
急性心筋梗塞(050030)
手術なし
手術あり
政策科学総合研究事業(H25ー政策ー指定010 研究代表者 伏見清秀 東京医科歯科大学教授)石川B光一分担研究者提供資料
に基づいて、事務局が作成
多部位外傷(160990)
手術なし
手術あり
政策科学総合研究事業(H25ー政策ー指定010 研究代表者 伏見清秀 東京医科歯科大学教授)石川B光一分担研究者提供資料
に基づいて、事務局が作成
急性白血病(130010)
手術なし
手術あり
政策科学総合研究事業(H25ー政策ー指定010 研究代表者 伏見清秀 東京医科歯科大学教授)石川B光一分担研究者提供資料 5
に基づいて、事務局が作成
4
第 3 回地 域医 療構 想策 定
資料
ガイドライン等に関する検討会
平成26年10月31日
地域医療提供体制・地域包括ケアシス
テムの構築に向けた在宅医療の役割
平成26年10月31日
新田 國夫
(全国在宅療養支援診療所連絡会会長)
1
医)つくし会新田クリニック

平成2年より国立市にて診療所を開設し、外来診療を行うとともに、在宅療養
患者に訪問診療を提供している。
 同法人内に訪問看護ステーションを持つ。
 近隣の3ヶ所の診療所と連携して連携機能強化型在支診となり、24時間365
日対応体制を確立。





医師 1人、非常勤医師5人、研修医1~2人
看護師 4人
外来患者 1250人/月(平成26年7月)
在宅療養患者 116人/月(実人数76人+介護施設40人)
※ 訪問診療194回 往診7回 緊急往診11回 訪問看護(診療所から)12回
つくし会訪問看護ステーションの訪問看護師 7人
要支援1~2
要介護1~2
要介護3~5
介護施設
患者数
褥瘡処置
麻薬
6人
22人
48人
40人
0人
0人
4人
0人
0人
0人
3人
0人
在宅酸素 経管栄養 気管切開
0人
0人
4人
0人
0人
0人
2人
3人
0人
0人
1人
0人
IVH
0人
0人
1人
0人
その他
創処置、
吸引、
点滴、
輸血 など
※看取り件数
2
4
国立市の周辺
○ 東京都国立市は、北多摩西部保健医療圏に所属。
○ JR中央線沿線上で国分寺市と立川市に隣接。
○ 京王線沿線の府中市とも隣接。
東京都国立市(くにたちし))
面積 約8.15㎢
人口 約74,385人
高齢化率 約21.15%
(平成26年4月現在)
3
国立市周辺の病院
○ 国立市内には小規模な病院が2ヶ所ある。
○ 周辺には都立多摩総合医療センター(789床)、共済立川病院(500床)、災害医療セ
ンター(455床)、立川相互病院(342床)、国分寺病院(158床)などの病院が点在。
●村山医療センター
(350)
●東大和病院
(274)
●武蔵村山病院
(300)
●多摩北部医療センター
(344)
●公立昭和病院(518)
●東京西徳洲会病院
(335)
★災害医療センター(455)
★国分寺病院(158)
●昭島病院
(199)
★立川相互病院(342)
★共済立川病院(500)
★多摩総合医療センター(789)
日野市
●日野市立病院
(300)
府中市
新田クリニック
4
在宅医療とは
在宅医療とは、自宅等の生活の場において提供される医療
医師
看護師
おおむね2週間毎
に訪問し、診察や
医療処置、医療に
関する助言等を行
う
歯科医師
多職種協働による
チーム医療が重要
主治医の指示に基
づき、週に1~3回
訪問して病状観察
や医療行為、リハ
ビリ等を行う
歯科訪問診療
介護職種
薬在
剤宅
管患
理者
訪
問
薬剤師
通院困難な患者
に対して口腔ケア、
う歯治療、入れ歯
調整、摂食嚥下指
導等を行う
ケアマネジャーの
計画に基づき、食
事や入浴などの介
護サービスを行う
主治医の指示
に基づき、副作
用のチェックや
服薬指導を行う
5
在宅医療の推進に関する各種制度の変遷
診
療
報
酬
1980年
1984年
1986年
1992年
1994年
1996年
2000年
2004年
2006年
2008年
2012年
創 イ在
設ン宅
ス医
リ療
ンに
在お
宅け
自る
己指
注導
射管
指理
導料
管の
理新
料設
の
緊
急
往
診
の
加
算
創
設
各寝訪
種た 問
のき診
指り 療
導老の
管人概
理訪念
料問導
の診入
新療
設料
の
新
設
寝在
た宅
き医
り療
老の
人包
在括
宅点
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「社会保障・税の一体改革と在宅医療」武田 俊彦氏より
在宅医療で診られる患者像
○老年病(脳卒中後遺症、認知症、整形疾患など)
○進行期や終末期のがん
○進行期の慢性疾患(神経難病、慢性呼吸不全、
慢性心疾患、慢性腎疾患、肝不全、膠原病など)
などにより通院困難な患者
「在宅医療バイブル」(川越正平、2014年)改変
現在の在宅医療の質は
病院医療にひけをとるものではない




医療機器 介護機器の発展
創薬
各種介護系サービスの充実
地域ネットワークの整備:地域ケア力の向上
(緊急通報システム・認知症見守りネット・虐待防止ネット等)
 情報ネットワークの整備:クラウドコンピューティングの活用
(電子カルテ スマートフォン テレ・メディスン)
日本医師会 在宅医リーダー研修(太田秀樹、2014年)より7
療養病床の医療区分
○ 療養病床に入院している患者の中には、体制さえ
整えば在宅療養が可能な者もいる(医療区分1など)。
医
療
区
分
3
医
療
区
分
2
【疾患・状態】
・スモン ・医師及び看護師により、常時監視・管理を実施している状態
【医療処置】
・24時間持続点滴 ・中心静脈栄養 ・人工呼吸器使用 ・ドレーン法 ・胸腹腔洗浄 ・発熱を伴う場合の気管切開、気管内挿管 ・感染隔離室における管理
・酸素療法(酸素を必要とする状態かを毎月確認)
【疾患・状態】
・筋ジストロフィー ・多発性硬化症 ・筋萎縮性側索硬化症 ・パーキンソン病関連疾患
・その他の難病(スモンを除く)
・脊髄損傷(頸随損傷) ・慢性閉塞性肺疾患(COPD)
・疼痛コントロールが必要な悪性腫瘍 ・肺炎 ・尿路感染症
・リハビリテーションが必要な疾患が発症してから30日以内 ・脱水かつ発熱を伴う状態
・体内出血 ・頻回の嘔吐かつ発熱を伴う状態 ・褥瘡 ・末梢循環障害による下肢末端開放創
・せん妄 ・うつ状態 ・暴行が毎日みられる状態(原因・治療方針を医師を含め検討)
【医療処置】
・透析 ・発熱又は嘔吐を伴う場合の経腸栄養 ・喀痰吸引(1日8回以上)
・気管切開・気管内挿管のケア ・頻回の血糖検査
・創傷(皮膚潰瘍 ・手術創 ・創傷処置)
医療区分1
医療区分2・3に該当しない者
8
慢性進行型疾患の対応モデル
生
活
機
能
生活習慣病予防
生活機能低下予防
集中的リハビリ
(回復期)
自立
間欠的リハビリ
(維持期)
老人保健事業
要支援
要介護1
病状の変化
要介護2
要介護3
介護保険サービス
○ 在宅療養中の病状は
徐々に変化するが、その予測
を家族に伝えることが重要。
訪問リハビリ・通所リハビリ
要介護4
要介護5
時間
9
急性発症型疾患の対応モデル
生
活
機
能
自立
要支援
要介護1
生活習慣病予防
生活機能低下予防
集中的リハビリ
(急性期)
老人保健事業
発症
○ 予期しない急激な
変化への対応も想定
する必要がある。
集中的リハビリ
(回復期)
発症
間欠的リハビリ
(維持期)
急変
訪問リハビリ
通所リハビリ
要介護2
要介護3
要介護4
急性期病棟
要介護5
(SCU)〔新〕
時間
10
出
動
件
数
平成21(2009)年
消防法の改正
「MC協議会」
新たな位置付け
東京も超高齢社会
65歳以上21%↑
2010 2015
万
件
2020 2025 2030 2035年
↑平成22年
1991年
救急救
命士制
度創設
≧65歳 7.1%
高齢化社会
2002年
東京都
MC協議
会設置
14.5%
高齢社会
21.5%
超高齢社会
↑
平成19年
↑
平成7年
↑
昭和45年
平成21(2009)年
消防法の改正
「MC協議会」
新たな位置付け
2002年
東京都
MC協議
会設置
1998 ‘99 2000 ‘01 ’02 ’03 ’04 ’05 ’06 ‘07 ’08 ’09年
救急医療における倫理的課題と今後の展望
日本臨床倫理学会 初級臨床倫理研修会 有賀 徹様
在宅医療の体制
日常の療養支援
退院支援
○
○入院医療機関と在宅医療
に係る機関との協働によ
る退院支援の実施
多職種協働による患者や家族の生活を支える観点からの
医療の提供
○
緩和ケアの提供
○
家族への支援
看取り
病院・診療所、訪問看護事業所、薬局、居宅介護支援事業
所、
○住み慣れた自宅や介護
施設等、患者が望む場
所での看取りの実施
地域包括支援センター、介護老人保健施設
・病院・診療所
短期入所サービス提供施設
・病院・診療所
・薬局
在宅医療において積極的役割を担う医療機関
・訪問看護事業所
・居宅介護支援事業所
在宅医療に必要な連携を担う拠点
・薬局
・訪問看護事業所
・地域包括支援センター
・在宅医療において積極
等
・居宅介護支援事業所
急
変
的役割を担う医療機関
・地域包括支援センター
急変時の対応
・在宅医療において積極
・在宅医療に必要な連携
を担う拠点
等
○ 在宅療養者の病状の急変時における緊急往診体制
的役割を担う医療機関
・在宅医療に必要な連携
及び入院病床の確保
を担う拠点
等
・病院・診療所
・訪問看護事業所
・薬局
・在宅医療において積極的役割を担う医療機関
・在宅医療に必要な連携を担う拠点
等
12
退院支援
退院支援とは、病気や障害のある方が自らの人生をどのように歩むかを選択し、
適切な医療やケアを受けながら住み慣れた地域で生活を送るための支援
急性期病院
入院48時間以内に患者
情報をアセスメント
●退院困難者の抽出
●患者や家族の意思・希望を
聴き、ニーズを把握
●退院支援計画の作成
ケアマネ(介護
サービス等)
医療ソーシャ
ルワーカー・
看護師
面接
在宅医療連携
の相談窓口
回復期リハ病棟
地域包括ケア病棟
効
果
在宅療養支援診療所
訪問看護ステーション 等
この先の
生き方の
分岐点
退院前カンファレンス
●在宅に向けての患者
の医療情報を提供
●在宅療養生活上の課
題を共有
●患者の意思・希望をつ
なぎ、ニーズに応えるた
めのネットワークを形成
退
院
何かあったら・・・
●在宅療養に関する患者や家族の理解が深まる
●退院困難と考えられた患者が退院可能になる
緊急時の対応
についての取
り決め
13
日常の療養支援
慢性の誤嚥が軽快した例
• 87歳女性。小脳梗塞後、誤嚥性肺炎を時々併発していた。
• 2014年6月に激しい咳嗽・心室頻拍発作のため、S病院へ救急搬送・入
院。検査にて嚥下機能の低下を認めた。
• 患者が在宅療養を希望したため、当診療所へ紹介され退院。
• 摂食・嚥下機能評価を行い、訪問歯科による口腔ケア・嚥下リハおよび
訪問ヘルパーによる食事介助を導入。
• その後、誤嚥を認めることなく経過し、家族との生活を楽しんでいる。
特別養護老人ホームから在宅へ移行した例
•
•
•
•
97歳女性。2014年7月、特別養護老人ホーム入居中に発熱・脱水症状
あり、T病院へ入院。しかし解熱後も経口摂取不良が続き、点滴の継続
が必要であった。
患者は、老人ホームではなく当診療所のもとでの在宅療養を希望。
中心静脈ポート留置術を施行し、9月に退院して在宅医療を開始。
現在もIVH及び持続導尿を継続。最期は家族と過ごせるよう関係者と合
意している。
14
急変時の対応・看取り
• 患者の急変時には、診療所の看護師に電話連絡が
入り、基本的に看護師が対応している。
• 医師が緊急往診に行く頻度は、月1回以下。
• 入院の必要性は日中に判断し、早期に連携する病院
と連絡を取っているため、夜間に慌てることはない。
• 入院等が必要な場合に入院できるよう、事前に病院
と連携体制を組んでいる。
• 緊急時の連絡先や蘇生の是非を記した書面を患者に
持たせている。
•
看取りのときは、家族が患者と十分な時間を過ごせ
るよう、看護師に指示している。医師は最期に死亡確
認に行くが、緊急搬送になることはまずない。
15
医療・介護サービスの提供体制改革後の姿(サービス提供体制から)
医師、歯科医師、薬剤師、看護師、介護支援専門員その他の専門職(※)の積極的な関
与のもと、患者・利用者の視点に立って、サービス提供体制を構築する。
入院医
療
【高度急性期
病院】
・いつでも必要な場合に往診してくれ
る医師が近くにいて、必要な訪問看
護サービスを受けることができる。
・医師・看護師を多く配置
・質の高い医療と手厚い
看護により、早期に「急性
期後の病院」や「リハビリ
病院」に転院可能
外来
医療
在宅
医療
発症
・病院の退院調整スタッフが連携
先の身近な病院を紹介
・自分で転院先を探す必要がない
【急性期病院】
介護
連携強化 【在宅介護サービス】
歯科
医療
薬局
住まい
(患者さん・家族)
【生活支援・介護予防】
有床
診療所
【回復期病院】
・早期の在宅復
帰、社会復帰が
可能
・24時間対応の訪問介護・
看護サービス、小規模多機
能型居宅介護等により、高
齢者の在宅生活を支援
・サービス付き高齢者向け住
宅や有料老人ホームなど高
齢者が安心して暮らせる多
様な住まい
・身近なところで集中的なリ
ハビリを受けることができる。
【慢性期病院】
※保健師、助産師、診療放射線技師、臨床検査技師、理学療法士、作業療法士、視能訓練士、臨床工学技士、義肢装具士、救
急救命士、言語聴覚士、歯科衛生士、歯科技工士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、栄養士、社会
福祉士、介護福祉士等
老人クラブ・自治会・ボランティア・NPO
等
・ボランティア、NPO等の多様な主体による見守り、
配食、買い物支援等の生活支援サービスが充実
・社会参加が推進され地域での介護予防活動が充
実
【特別養護老人ホーム・
老人保健施設】
・地域の拠点として在宅介護サービス等も積極的に
16
展開
平成19年までの国立市
•
•
•
市に在宅医療を担当する部署はなく、地域包括支援センターが医療の
相談に乗ることは困難であり、ケアマネジャーの在宅医療への理解不
足が見られた。
市内に大規模な病院はなく、在宅療養支援診療所は3ヶ所、訪問看護
ステーション3ヶ所あった。
以前からつくし会では、独自に在宅医療に関する多職種カンファレン
スを開いていた。
平成20年度に国立市で「在宅医療推進連絡協議会」を設置。
(東京都モデル事業)
• 市行政が地域の課題を把握し、主体的に在宅療養の基盤整備に取り
組んだ。
• 一方、近隣3病院の地域連携室長(医師)と協議したにもかかわら
ず、在宅療養患者が退院することはなかった。病院関係者の在宅医
療の知識が十分でないためと考えられた。
(参考)多職種へのアンケート
「病院から退院を迫られた場合、在宅医療を受けながら家で過ごした
いか」⇒「はい」57%/「いいえ・わからない」39%
17
在宅療養の支援体制づくり
平成23年度~国立市在宅療養推進事業を開始
国立市在宅療養推進連絡協議会
在宅療養について専門職と市民を含めた協議会を
設置。年5回開催。
市とつくし会が事務局を担当
【委員】
医師、歯科医師、薬剤師、看護師、学識経験者、
社会福祉協議会、歯科衛生士、介護職、市民、行
政(20名)
【内容】
・ネットワークの構築
・認知症に関する多職種連携研修会の企画・実施
・認知症独居や24時間対応の仕組みづくりの検討
・情報交換ツールの普及検討、
・多職種によるケーススタディの検討、
・「国立市認知症の日」計画、等。
都補助事業
○在宅医療相談窓口
•
社会福祉士により、在宅医療に関す
る相談、調整、及び助言を実施
(つくし会新田クリニック内)
• 市地域包括支援センターと定期的に
連携会議を実施。事例への対応検討、
助言等。
• 市報やチラシ、リーフレットで周知。
※平成23年度から認知症の施策が充実した
18
在宅医療相談窓口「在宅療養何でも相談窓口」
• 平成23年度よりつくし会にて「在宅療養何でも相談
窓口」を開設(市の委託)。
• 当初の相談件数は9ヶ月で41件で、ほとんどが地域
の認知症患者に関する相談だった。
• 平成26年度より、近隣の病院の医療連携室に勤め
ていた看護師を相談窓口に配置した。
⇒ 相談件数は6ヶ月で95件と増加。
• 病院との間に顔の見える関係が構築され、病院から
の退院支援が進み、病院を退院して在宅医療を受
ける患者は16名に上った(平成26年度)。
19
在宅療養何でも相談窓口(在宅療養連携室)
災害医療センター
☎ 042-526-XXXX
Fax 042-526-XXXX
多摩総合医療CE
☎ 042-323-XXXX
Fax 042-323-XXXX
共済立川病院
☎ 042-524-XXXX
Fax 042-523-XXXX
退
院
連
絡
地域包括支援センター
☎042-576-XXXX
連携
協力
病院
設置場所:
つくし会在宅療養連携室
職 員:
:看護師、社会福祉士
資格:
ケアマネジャー、介護福祉士、
認知症ケア専門士
在宅療養連携室
☎ 042-569-XXXX
Fax042-580-XXXX
相
談
調
整
立川相互病院
☎ 042-525-XXXX
Fax 042-525-XXXX
訪問
看護ST
ご家族
在宅医
ご自宅での
療養の方
歯科医
CM
薬局
介護保健
機関
20
在宅医療連携拠点事業(平成24年度まで)
【24年度要求額 :1804百万円 】
【背景】
平成23年度 10カ所
平成24年度 105カ所
○ 国民の60%以上が自宅での療養を望んでいる。
○ 特に都市部において急速な高齢化が進展しており、死亡者数は、2040年にかけて今よりも約40万人増加。
【在宅医療・介護における課題】
○ 在宅医療を推進するには、関係する機関が連携し、医療と介護のサービスが包括的かつ継続的に提供されることが
重要。しかし、これまで、医療側から働きかけての連携の取り組みが十分に行われてきたとはいえない。
【事業の概要】
○ 在宅医療を提供する機関等を連携拠点として、多職種協働による在宅医療の支援体制を構築し、医療と介護が連
携した地域における包括的かつ継続的な在宅医療の提供を目指す。
在宅医療連携拠点
地域包括支援センター
(療養支援診療所、病院、訪問看護ステーション、自治体、
医師会等)
複合型サービス
事業所等
医療と介護の協働
看護、介護サービス
情報共有・連携
人材の育成・普及啓発
情報共有・連携
情報共有・連携
連携拠点に配置されたケアマネジャーの資
格を持つ看護師等と医療ソーシャルワー
カーが地域の医療・介護を横断的にサポー
トすることで、病気をもちながらも住み慣れ
た地域で自分らしく過ごすことが可能となる。
【具体的な活動】
・地域の医療・介護関係者による協議の開催
・医療・介護関係機関の連携促進
・在宅医療に関する人材育成や普及啓発
退院支援のサポート
国立市は
平成24年度に実施
情報共有・連携
病院(急性期、亜急性期、回復期)
保健所
地域の診療所(有床・無床)、薬局、
訪問看護ステーション、等
21
24時間連携体制、チーム医療提供
平成24年度在宅医療連携拠点事業
○ 全国105ヶ所で
同様の取り組みを
実施する仲間がで
きました。
実施者一覧
実施主体
箇所数
自治体
14
病院
18
病院(在支病)
14
診療所
1
診療所(在支診)
28
医師会等職能団体
16
訪問看護ST
10
薬局
1
その他(NPO法人等)
3
合計
105
22
国立市の在宅医療の現状
• 市の高齢者支援課が在宅医療を担当するようになった。
• 在宅医療・介護連携のための相談窓口を設置した。
• 地域ケア会議ワーキンググループを通してケアマネの在宅医療への
理解が促進した。
• 在宅療養支援診療所は3ヶ所⇒6ヶ所(うち3ヶ所は連携機能強化
型)、訪問看護ステーションは3ヶ所⇒6ヶ所に増加。
• 市が開く在宅医療推進協議会で施策の協議が可能となった。
• 病院から退院して在宅療養を必要とする患者の情報は、適切に相談
窓口へ入るようになった。
• 在宅療養患者の困難事例については、地域包括支援センターが把握
してきめ細かい対応を行うことにより、患者と家族の満足につな
がった。
23
訪問看護の歴史(概要)
第1期(萌芽期)1970年代半ば
全国の医療機関や保健所で様々な訪問看護を試行
第2期(制度化)1983年
市区町村や保健所で「訪問看護指導事業」開始
医療機関からの訪問看護に「退院患者継続看護指導料」新設
第3期 1992年
老人保健法改正のもとで「老人訪問看護制度」による
訪問看護ステーション新設
第4期 2000年
介護保険制度が開始
「変わる地域医療 訪問看護ステーションの役割」(阿部智子様)より
訪問看護ステーションみけ 東京都墨田区
 事業所概要
◎墨田区人口 25.7万人
◎高齢化率
22.2%
◎隅田川沿いの向島
(最寄りの駅・・・無し!)
◎訪問範囲 半円1.5Km
◎自転車のみでの訪問
機能強化型訪問看護ステーション1※
東京都訪問看護教育ステーション
現在
開設時(2003年8月)
15名
5名
4名
3名
•
常勤看護師
•
非常勤看護師
•
理学療法士
10名
1名
•
作業療法士
1名
0名
•
事務
3名(常勤)
非常勤
•
介護支援専門員
8名
2名
•
訪問看護認定看護師
1名
※「機能強化型訪看1」は、常勤看護職員の数、24時間対応、ターミナルケア、重症度の高い患者の受け入れ、
ケアマネ事業所の設置等の条件を満たす必要がある。
入院患者さんの不安…訪問看護が支えます!
☝ 病院にいられなくなることは不安
在宅でも、訪問診療、訪問看護等を利用していただくことで、必要な医療処置が受けられます。
しかも、皆さんの生活ペースに合わせた、訪問看護を訪問看護師は提供します
☝ 自宅へ帰って、家族に迷惑をかけたくない…
お家での生活や介護の不安を、
Fun(愉しみ)に変えましょう!
ご家族の負担や不安も解消しつつ、
ご家族へ命の大切さを伝えていきます
住み慣れた地域で、安心して笑顔で
暮らしたい・・・
その為にも、介護予防や健康の維持
に、訪問看護の早期からのご利用を
☝ 一人暮らしなので、少しの変化でも不安になり、つい119番
そんな時はいつでもお電話ください
指定を受けた訪問看護ステーションは、24時間365日
皆さんからの電話を看護師がお受けします
訪問看護ステーションみけ 東京都墨田区
 利用者概要
 赤ちゃん~高齢者まで
 要支援~要介護5まで
ほぼ同率割合
 月平均200名
訪問延件数1500件
主な医療的処置(H26年9月)
訪問看護利用者全国平均
要支援
23%
1
要介護2
19%
要介護3
人工呼吸器
1
要介護4
永久気管孔
1
要介護5
気管カニューレ
3
在宅酸素
11
吸引
9
間欠導尿
2
尿管皮膚瘻
1
要介護2
留置カテ
11
要介護3
人工肛門
6
52
(189人中)
平成26年度9月みけ
要支援
要介護1
14%
20%
17%
8
経鼻栄養
要介護度別割合
14%
胃瘻
要介護1
16%
17%
人数
4
11%
14%
17%
18%
種類
IVH
要介護4
要介護5
計
26
訪問看護ステーションみけ 東京都墨田区
 訪問看護師確保、人材育成の取組
 訪問看護ステーションの数が伸びない
 訪問看護ステーションの休止・廃止理由は、人員
基準が満たない為が多い
 看護大学の増加
 実習に来た学生は、「訪問看護は楽しかった」と
言っている
新卒看護師の採用
教育プログラム(内部研修と外
部研修の組み合わせ)の開発
訪問看護ステーションの強み
• 勤務時間の変動が少ない
• 働くチームメンバーの変動が少ない
• ご利用者さんの変動が少ない
 ワークライフバランスの取組
“nothing about us without us”
(私たちのことは私たちで決めよう)
 勤務曜日、時間、休暇を柔軟に
 非常勤から常勤へ
 キャリアアップ支援
定着率アップ、事業所の規模拡大
東京都教育ステーションとしての取組
(東京都在宅医療推進協議会の提案による事業)
• 研修生の受け入れと研修生内訳 2013.11.29~2014.10.1
• 50名 延研修日数152日 延訪問件数 616件
• ステーション看護師 36名
• (うち新規訪問看護ステーション看護師31名)
• 医療機関看護師 10名
• 潜在看護師 4名(うち3名が訪問看護ステーションに就職)
• 毎月、地域のステーション等への研修会 9回・281名参加
• 地域の訪問看護ステーション等からの相談 120件
看護師には最適な教育・成長の場であり、訪問看
護を起点として専門性を高めていくことができる。
 ICT・事務職員の有効活用
 判断に迷ったときは、動画や画像を患家から送
り、管理者や先輩看護師、医師の助言を受ける
 画像で個々の利用者の医療処置マニュアル
 緊急電話対応などもクラウドで共有
看護職は看護・教育に専念するこ
とで、 スタッフの負担が軽減
災害時にも活用!
27
在宅医療と人生のナラティブ
○ 人間は、科学としての医学の対象であるとともに、その人が生きるという物
語(ナラティブ)の集合体でもある。
「人の生命史を語ることそのものも科学である」
河合隼雄先生(心理学者)「物語と自然科学」最終講義より
○ 生命の物語の中には自然科学が存在する。そのナラティブを解釈する医学
と、残存能力を見極める医学をマッチさせたものが、在宅医療の基本である。
○ 「学問が確立する前に現場が動いてきた」という歴史の中で、在宅医療は
「物語という視点」に立ち、生活する人間としての患者を診てきた。
○ 在宅医療は、その人の人生、価値観、死生観を大事にする。病気は、その
人の人生の全てではなく一部である。多くの方は病気にとらわれない自分自身
を生きている。その生きざまを支える医療が、在宅医療の本質である。
28
提言
病院に対して
① 療養病床で入院するような患者像であっても、病院と連携
することで在宅療養が可能になる患者がいることを知って
頂きたい。
② 患者の在宅復帰に向けて、早期から地域の在宅医療・介護
関係者との連携に努めて頂きたい。
③ 地域の病院には、在宅療養患者の急変時に対応する後方支
援機能を担って頂きたい。
地域包括ケアに関して
① 退院患者を受け入れるためには、地域包括ケアシステムの
構築が必要である。
② 訪問看護Stの充実のためには、大規模化が有効である。
③ 一般市民が人生のあり方について自ら考え、それに応える
形で地域包括ケアが提供されるべきである。
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