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バレエ DVD 鑑賞前後における態度・行動意図の変容

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バレエ DVD 鑑賞前後における態度・行動意図の変容
スポーツ科学研究, 12, 19-37, 2015 年
バレエ DVD 鑑賞前後における態度・行動意図の変容-大学バレエクラスを対象として-
Change of attitude and behavioral intention in appreciation of a ballet video:
a case of a university ballet class.
醍醐笑部 1), 木村和彦 2), 作野誠一
1)
早稲田大学スポーツ科学研究科
2)
早稲田大学スポーツ科学学術院
2)
Ebe Daigo 1), Kazuhiko Kimura 2), Seiichi Sakuno 2)
1)
Graduate School of Sport Sciences, Waseda University
2)
Faculty of Sport Sciences, Waseda University
キーワード: スポーツ鑑賞, 態度, 行動意図, 反復測定,解説
Key words: sport appreciation, attitude, behavioral intention, repeated measures, commentary
Abstract
To improve an audience’s attitude and behavioral intention, both how and what to appreciate must be discussed. The purpose of this study was to comprehend whether appreciation of a dance with different commentary influences an audience’s attitude and behavioral intention toward the relationship with dance.
The repetition measurement was used to examine differences between sports attitude and behavioral intention. A 3×2 experimental design was implemented: conditions of instruction (on movement and dancer, related to story and performed environment, and non-instruction) × different time (before and after appreciation). A t-test was used to analyze differences in the means of pre-post-tests and groups.
The results showed that the experimental group, which received commentary related to both movement
and dancer, had higher scores than other groups. These results were directly connected to attitude toward
watching ballet. Therefore, to improve an audience’s continuous intention to watch a sport, this study suggested that the audience must be educated on how to appreciate it.
Similarly, the experimental group which received commentary on the story and performed environment
had higher scores on behavior intention of playing than other groups. If the commentary only focuses on
knowledge of ballet, then the results may have less influence on attitude and behavioral intention in dimension of playing. In the control group, subjects continuously showed their interest in an impressive scene.
Regarding the duration of experience, beginners showed effective differences after receiving commentary
on the story and the performance itself while watching a ballet. For audiences with a long history of appreciating ballet, commentary on dancers’ skills and backgrounds had an influence on the degree of interest and
attitude toward participation. Appreciation with commentary enables these audience members to sympathize
with dancers’ experience and skills.
スポーツ科学研究, 12, 19-37, 2015年, 受付日:2014年9月7日, 受理日:2015年1月20日
連絡先:醍醐笑部 〒202-0021 東京都西東京市東伏見 2-7-5, e-mail:[email protected]
ルとのかかわりから生 まれる楽 しさ,つまり「行 う楽
I. 緒言
「生 涯 スポーツ」という言 葉 が浸 透 した今 日 ,
しさ」だけでなく,「見 る楽 しさ」「支 える楽 しさ」「読
人々は「する」だけでなく「みる」「支 える」「話 す」と
む楽 しさ」「知 る楽 しさ」が,今 日 的 なスポーツの魅
いった多様な形で自らのスポーツライフスタイルを
力 と考 えることもできる(小 泉 ら,2004).余 暇 開 発
築 いている.このような様 々なスポーツライフスタイ
センター(1998)の「スポーツライフ白 書 」において
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スポーツ科学研究, 12, 19-37, 2015 年
は,スポーツとの関 わりが「する」「観 る」「視 る」「読
い手 を育 てるしくみとしての学 校 体 育 の重 要 性 を
む」「支 える」「話 す」という6つのカテゴリーで捉 え
唱 えている.同 様 に,小 泉 ら(2004)は生 涯 スポー
られ,笹 川 スポーツ財 団 (2014)の「スポーツ白 書
ツを見 据 えた体 育 を行 ううえでは,「する」に限 らな
2014」では「スポーツ実 施 」「スポーツ観 戦 」「メデ
い授 業 の在 り方 が重 要 な意 味 をもつことを指 摘 し
ィア視 聴 」「スポーツボランティア」の各 参 与 形 態
ている.
についての具体的な実 施状況と今 後の希望につ
みることを具 体 的 な学 習 内 容 としているものの
いて調 査 報 告 がなされている.しかし,かかる報 告
一 つにダンス授 業 が挙 げられる.ダンスの授 業 は
以外にそれらの参与形態を個々に取り上げ,関係
「創 る・踊 る・観 る」を3つの大 きな学 習 内 容 として
性 や影 響 について明 らかにした研 究 はみられな
おり,中 村 ら (2006)によると,特 に創 作 ダンスの授
い.
業 ではグループ活 動 による創 作 学 習 を中 心 とし
従 来 の研 究 では,プログラム参 加 者 や観 戦 者 ,
て全 習 学 習 を確 立 している.ここで注 意 すべき点
ボランティア参加者といった参与形 態別の集団 を
は,「観る」機会のほとんどが生徒同士の発表の場
個 別 に対 象 としてきたが,個 人 の中 ではこうした
に限 られていることである.生 徒 同 士 の発 表 は友
「する」「みる」「支 える」が独 立 しているわけではな
人の意外な一面を発見し,観られる楽しさを感じる
い.な かでも 中 心 的 な参 与 形 態 と考 えら れる「 す
ことができるが,プロの舞 踊 家 の作 品 をみる,一 流
る」「みる」については,「するスポーツ」が「みるスポ
の感 性 に触 れるという意 味 において「みる」機 会
ーツ」(特にスタジアムなどでのスポーツ観戦)へと
に恵まれているとは言えないだろう. 小泉ら
つながることは観 戦 者 の過 去 の競 技 経 験 と観 戦
(2004)や亀山 (2010)の指 摘 に基 づき,学 校 体 育
行動との関係から実証されているものの(佐
が生 涯 スポーツの一 部 としてスポーツとの多 様 な
野 ,2006;2008),その逆 については先 験 的 に述 べ
関 わり方 を学 ぶ機 会 であるとすると,生 徒 同 士 の
られるにとどまっている(上 原 ,2002:林 ら,2003).
発 表 会 だけ でない「 みる」 機 会 の創 造 は学 校 教
つまり,人 々が素 晴 らしいものを見 て「やってみた
育 を終 えた後 のスポーツライフに繋 がる貴 重 な機
い」と思 うような事 象 については,研 究 としてほとん
会と捉えることが出来る.今後は,体育科教育全体
ど取り上げられてこなかったといえる.
の流 れとして「みる」側 面 を含 めた多 様 な参 与 形
スポーツをどのように見 せるか,あるいはスポー
態 を考 慮 した指 導 が期 待 されていることから,「観
ツの見 せ方 に関 する研 究 成 果 は,「するスポーツ」
る」ことを具体的学習内容としているダンス授業に
(参 加 者 サービス)を扱 う経 営 体 にとっては,その
おいて鑑賞 の場を設定 し,その方 法 や効果を明 ら
きっかけとして「みるスポーツ」の提 供 の仕 方 を提
かにすることは他 のスポーツへの示 唆 に富 むもの
示 するものとなり,一 方 「みるスポーツ」(観 戦 者 サ
となるだろう.
よりよいスポーツへの態度や行動意図(効果)
ービス・メディアスポーツサービス)を扱う経営体に
とっては,一 時 的 なスポーツサービスにとどまらず,
を持つようになるには,ただ試合を見せるだけでな
ス ポ ー ツ 観 戦 の 市 場 はも ち ろ んス ポー ツ 参 加 の
く,「どのようにみせるか」「何をみせるか」といった
市場への拡大に一定の貢献をなすものと考える.
「みせ方」(方法)が重要になるということは論を待
周知のように,わが国の学校体育は上述のような
たない.本研究では,大学保健体育授業の一つと
スポーツとの多 様 な関 わり方 を学 ぶ機 会 として捉
して開講されているバレエ授業を対象とし,解説を
えられる.亀 山 (2010)は,「体 育 授 業 において『運
つけたうえで DVD 鑑賞を行う.解説内容に変化を
動 文 化 理 解 をどう位 置 づけるのか』『身 体 活 動 に
つけ,どのような解説内容が,その後の態度・行動
おける自 己 有 能 感 をどう育 むか』『どのような運 動
意図を高めるかについて明らかにする.
経験 を重 ねていくのか』等が明 日 の身体 文 化・運
動 文 化 を生 成 し,生 涯 にわたって運 動 やスポーツ
II. 先行研究
に親 しむ素 養 を身 につけることにつながるのでは
1. 直 接 スポーツ参 与 (する)と間 接 スポーツ参 与
ないだろうか」(p.223)と述 べ,生 涯 スポーツの担
(みる)の関係
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スポーツ科学研究, 12, 19-37, 2015 年
直 接 スポーツ参 与 は一 次 参 与 ともいわれ,スポ
ポーツ」がどのような説 明 力 を持 つかについては
ーツの参与 形態の中心 である.スポーツをみること
触 れられていない.その後 ,プログラム参 加 要 因 で
も,スポーツを支 えることもすべてスポーツを直 接
は,「運 動 ・スポーツ参 加 に対 する価 値 志 向 」(山
する人 が存 在 していることで生 起 する参 与 形 態 と
口 ,1989),継 続 化 要 因 については「スポーツにつ
いえる.競 技 性 の高 いスポーツ活 動 において,競
いての意 識 の型 」(徳 永 ,1989)という要 因 が有 意
技者や指 導 者の技 術向 上,トレーニング支 援のた
に作用すると報告されている.スポーツ観戦がこれ
めに視 覚 教 材 を活 用 する例 は一 般 的 である.一
らのスポーツへの意 識 や価 値 観 に影 響 を与 える
方 ,生 涯 スポーツとしてのスポーツ参 与 について
ことは十 分 予 想 されるが,直 接 的 な影 響 について
は,金 崎 ら(1982)を嚆 矢 として社 会 学 あるいは社
は検 討 されていない.このようなスポーツ行 動 の予
会 心 理 学 の視 点 からスポーツ参 加の規 定 要 因が
測 モデルに関 わる研 究 は,その後 ,スポーツライフ
明 らかにされている.そこでは,スポーツ行 動 の予
スタイル研究,スポーツキャリア研究,スポーツコミッ
測変数として「スポーツとのかかわり」が取り上げら
トメント研 究 へ発 展 していった.スポーツとの関 わり
れ,この中 には「みるスポーツの好 嫌 」が含 まれて
方 の質 や多 様 性 には触 れるものの,直 接 スポーツ
いる.分析の結果,ほとんどの者は「スポーツをみる
参 与 以 外 の参 与 形 態 についてはほとんど言 及 さ
ことが好 き」であることが明 らかにされており(金 崎
れていない.
ら,1981),スポーツ参 与 の規 定 要 因 として「みるス
表 ⒈ 直 接 参 与 形 態 の研 究
著者(発行年)
従属変数
要因
結論
金崎ら(1981)
参与の規定要因
みるスポーツの好嫌
説明力を持たない
山口(1989)
プログラム参加の規定要因
運動スポーツ参加に対する価値志向
有意差が認められる
徳永(1989)
継続化要因
スポーツについての意識の型
有意差が認められる
ついて,基本的属性とは独立した形で分析を行い,
他 方 ,間 接 スポーツ参 与 は,直 接 スポーツ参 与
との関 連 を前 提 として研 究 がおこなわれてきた.そ
競 技 によってその割 合 は特 徴 付 けられていること
のため,例えば観戦者行動の研究においては,過
を明らかにしている.さらに,スポーツ観戦の形態が
去 のスポーツ実 施 経 験 ,同 一 種 目 のプレー経 験
多 様 化 してくると,テレビ視 聴 を対 象 とした研 究 も
などを属 性 のひとつとして検 討 している(池 田
おこなわれるようになり,例 えばプロ野 球 と高 校 野
ら ,1984 : 古 屋 ,1986 : 斎 藤 ,1991 : 藤 善 ,1994 : 上
球 の視 聴 者 について野 球 経 験 の違 いが充 足 様
原 ,2002:渡 辺 ,2005).佐 野 (2007)は,国 際 イベン
態 に及 ぼす影 響 (川 口 ,2004)などについても報
トの観 戦 者について調査 を行い,同一 種 目 のプレ
告がみられるようになっている.
ー経 験 とその他 のスポーツ種 目 のプレー経 験 に
表 2 間 接 参 与 形 態 の研 究 その1
著者(発行年)
従属変数
結論
池田ら(1984)
スポーツ消費行動の有無
川口(1990)
視聴者の充足様態
斉藤(1991)
観戦動機・観戦回数
藤善(1994)
観戦動機
観戦には学習、娯楽、応援、ドラマ、カタルシスといった心理適
用因果関係していることを示し、この心理的要因は性別、同種
目の経験、競技方法ルールの理解度、イベントの性格によって
異なる。
木佐貫(1996) ライブ観戦・TV観戦の観戦動機
佐野(2007)
満足度
観戦からサッカーを学んだり評価する傾向は男性に強い(する
スポーツと見るスポーツを結び付ける)
競技会の観戦者は種目ごとに経験の割合に差がある
間 接 スポーツ参 与 の結 果 として,直 接 スポーツ
参 与 への影 響 を取 り上 げた研 究 も散 見 される.林
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スポーツ科学研究, 12, 19-37, 2015 年
ら(2003)は,日本と韓国の W 杯前後にサッカー実
い可能性も考えられる.観戦者研究において質的
施 への態 度 ・意 図 ・行 動 を測 定 し,態 度 ・意 図 の
な調 査 は少 なく(肥 後 ,2010),個 人 のなかで両 参
向 上 を認 めた.上 原 (2002)も同 イベントについて
与 形 態 がどのように結 びついているのかについて
高校生のサッカーへの関心と J リーグへの興味が
は言及されていない.佐野(2007)が,観戦回数とい
高 まると述 べている.いずれの研 究 も「みるスポー
った量 的 分 析 では観 戦 者 の実 態 を十 分 に把 握
ツはするスポーツに影 響 する」と結 論 付 けてはい
できないと述 べているように,今 後 は,スポーツ観
るが,実 際 にサッカー実 施 率 が向 上 したかについ
戦 の有 無 だけでなく,何 を見 たのか,どのように見
ては確 認 できておらず,有 効 性 を検 討 する必 要 が
たのか(環 境 ),どのように見 せられたのか(修 辞 )
あると述 べている.さらに,この研 究 では観 戦 にお
を含めて,スポーツ実施 との関係を明らかにしてい
ける見方(見せ方)を考慮していないことから,ただ
く必要があるだろう.
見 せるだけでは直 接 スポーツ参 与 への影 響 が弱
表 3 間 接 参 与 形 態 の研 究 その2
著者(発行年)
上原(2002)
林ら(2003)
結論
従属変数
サッカーへの興味・関心、サッ
カーの話題
W杯後にサッカーに関する会話が増え、関心が増加するものは
女子に多かった。
みるスポーツはするスポーツに影響を与える
サッカーへの態度、意図、行動
W杯後にサッカー実施意図と態度は上昇する
本 研 究 で取 り上 げる舞 踊 についても,実 践 と鑑
あげられているが,ダンスジャンルによってやや相
賞 の視 点 から先 行 研 究 をまとめておきたい.有 馬
違 がある(中 村 ら,2003).多 くの研 究 対 象 校 では
( 2008 ) は , 学 生 ( 大 学 ・ 短 期 大 学 ・ 高 等 専 門 学
生 徒 同 士 の発 表 会 といったみる機 会 を鑑 賞 経 験
校 ・専 修 大 学 ・大 学 院 )が芸 術 鑑 賞 へと向 かう規
としている.宮 本 (2005)は,スポーツのように記 録 や
定要因について検討し,鑑賞対象のうち舞踊を含
勝 敗 という非 常 に判 りやすい評 価 の観 点 を持 た
む項 目 は過 去 の文 化 系 部 活 動 経 験 の有 無 に有
ないダンスについては,発 表 会 を使 って生 徒 自 身
意 に影 響 を受 けることを明 らかにしている.また,学
にも評 価 の機 会 をつくりだすことができると述 べて
校 体 育 におけるダンスを題 材 とした研 究 では「す
いる.しかし,同 じくみるという行 為 であっても,生 徒
る」「みる」という参 与 形 態 がついて「踊 る」「見 る
同 士 による評 価 の機 会 を作 り出 すことと,プロスポ
(観 る)(鑑 賞 )」という言 葉 によって扱 われてきた.
ーツを観戦 する,プロ選 手の動きをみることは同義
秦 (1995)によると,創 作 ダンスにおける課 題 授 業
ではない.さらに,授 業 の一 部 を用 い鑑 賞 や評 価
では,およそ 1~2 時間の学習単位内に「踊る・創
の場 を設 定 したとしても,その経 験 が授 業 の後 に
る・見 る」の要 素 をいずれもバランス良 く取 り入 れ
どのよう に習 慣 化 する の かにつ いて の検 討 は皆
ていけるよう展 開 されていると述 べている.ダンス
無である.
教 育 のねらいのひとつとして「鑑 賞 力 の向 上 」が
表 4 舞 踊 における両 参 与 形 態 の関 係
著者(発行年)
中村ら(2003)
宮本(2005)
有馬(2008)
結論
ジャンルによってダンス教育の狙いが異なる。鑑賞力の評価は
ダンス教育の狙い
創作ダンスにおいて高い値を示した
自らが授業のなかで聞いた指導言語を意識的に取り組み、他
パフォーマンス評価の基準
者のダンスを鑑賞する時の視点になる
舞踊を含む項目は女性、都市部在住、文化系の課外活動の有
政策やマーケティング基礎資料
る人ほど鑑賞経験を持つ
目的
今 日 では,スポーツ参 加 者 ,スポーツ観 戦 者 の
どちらも重 要 な研 究 対 象 となっているが, 早 川
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スポーツ科学研究, 12, 19-37, 2015 年
(1996)が「『する』,『みる』スポーツの分 離 論 が横
面 の結 びつきについては明 らかにすべき課 題 が
行 している」と述 べたように,未 だ「する」「みる」両
残っている.
直接スポーツ参与
間接スポーツ参与
参加を観戦動機にしているか(※1) 観戦を参加動機にしているか(※2)
参加をきっかけに観戦をするか(※3)観戦をきっかけに参加するか(※4)
スポーツ参加規定要因・参加動機
(※2は未検討
※4は不十分)
観戦動機・行動予測因
(※1を含む
※3は未検討)
図 1 直 接 スポーツ参 与 と間 接 スポーツ参 与 の関 係
ことに向いていること.
III. 研究方法
③
1.鑑賞ジャンルおよび調査対象の選定
古 典 作 品 と呼 ばれるバレエ作 品 は芸 術 とし
て確 立 されており「スポーツ鑑 賞 」を捉 えよう
本 研 究 では映 像 教 材 としてクラッシックバレエ
とする本研究の趣旨に適していること.
DVD を採用し,クラシックバレエを「バレエ」と表記
④
する.公益法人日本バレエ協会 HP によると「クラ
実験的方法を用いた本研究の結果を用いて
シックバレエのクラシックには『古 典 的 な』という意
実 際 に応 用 する際 ,教 材 として誰 にでも簡 単
味の他に『最高級の』という意味があるが,もっぱら
に手 に入 る媒 体 であり,作 品 が多 数 存 在 して
19 世紀末までに確立されたバレエ技法に忠実に
いること.
⑤
踊 られる踊 りを指 し,モダン・バレエやコンテンポラ
本 研 究 は,大 学 の全 学 部 の生 徒 が受 講 する
リー・ダンスとの対 比 を成 す」とされている.本 研 究
ことのできる一 般 保 健 体 育 授 業 バレエクラス
においてバレエを採 用 した理 由 (①~④)および
にて行 った.これは研 究 枠 組 みの中 に感 想
大 学 バレエクラスを実 践の場 とした理由 (⑤~⑥)
文 の記 述 や解 説 の理 解 といった作 業 を必 要
を以下に示す.
としており,その際 の言 語 能 力 や文 章 力 に大
① 平 成 24 年 度 から完 全 施 行 された新 学 習 指
きな差 異 が あることは望 ましくないこ と,比 較
導要領において体育分野では「武道」と「ダン
分析を行うにあたり対象者の年齢が幅広いこ
ス」が中 学 校 の男 女 に対 し必 修 化 となった.こ
とは好 ましい状 況 ではないことを考 慮 し,ひと
の指 導 要 領 の中 ではダンスのジャンルを,創
つの大 学 のおおよそ同 年 代 (20 歳 前 後 )を
作 ダンス,フォークダンス,現 代 的 リズムのダン
対象とした.
⑥
スの 3 つに分類しそれぞれの学習目標を定め
生涯スポーツを見据え,学校教育以降のバレ
ている.クラシックバレエはここに明 記 された学
エとの関 わりに繋 がることを期 待 し,中 高 校 生
習 内 容 ではないものの,それぞれのダンスとの
ではなく大学生への調査を行った.
動 きの共 通 点 ,及 び歴 史 的 関 わりを考 慮 すれ
2.調査手順
ば,今 後 中 学 校 においても鑑 賞 教 材 となり得
る
注 1)
みるスポーツの効 果 を測 る手 法 として,スポーツ
と判断されること.
② 身 体 の形 を 表 す言 葉 , 技 法 につい ての用 語
をみた前 後 に同 一人 物 の変 化を分 析した研究 は
定 義 が他 のダンスジャンルに比 べ統 一 されて
皆 無 である.さらに,スポーツ観 戦 者 に関 する先 行
おり,文 字 (テキスト)を通 して共 通 理 解 を得 る
研 究 の中 で,みる媒 体 (DVD 等 )の内 容 ,試 合 の
23
スポーツ科学研究, 12, 19-37, 2015 年
詳 細 ,解 説 についても触 れられているものもほとん
(2) 調査項目
どみられない.したがって,本 研 究 では調 査 手 順 と
調 査 項 目 の作 成 にあたっては,まずスポーツ観
して,以下のような 2 つのステップを設定した.
戦 をきっかけとした態 度 ・行 動 意 図 の変 容 に関 す
(1) 予備調査
本 調 査 において採 用 する方 法 を確 認 ・決 定 す
る先 行 研 究 を参 考 にした.上 原 (2002)は高 校 生
るための予 備 調 査 である.ここでは,まず調 査 の対
に対 し,サッカーワールドカップがもたらした影 響
象 者 となる大 学 生 に,介 入 方 法 として口 頭 による
について検 討 しているが,ここでは,「態 度 」の変
「解説」が有効であるかを確認する.さらに,先行研
数 として,「するスポーツ・みるスポーツどちらが好
究 (林 ,2004)において採 用 された「態 度 ・行 動 意
きか」「J リーグへの関心は増えたか」を用いている.
図」の 6 項目について,修正・改善すべき箇所 を
また,「意 図 」は,「今 後 スポーツ競 技 番 組 を見 た
確認する.
いか」「J リーグを観 に行 きたいか」,「行 動 」は,「ス
(2) 本調査
ポーツ競 技 番 組 をみているか」「ワールドカップを
どこで観 戦 したか」「友 人 ・家 族 とのサッカーの話
口 頭 で伝 える解 説 内 容 によって鑑 賞 における
視 点 の操 作 を行 い,その結 果 態 度 や行 動 意 図 に
題 が増 えたか」という項 目 で捉 えている.その結 果 ,
変 化 があるのかを明 らかにする.ここでは,対 象 者
「みる」スポーツは生 活 の中 にスポーツの楽 しみと
のバレエ・ダンス経 験 によって,鑑 賞 前 後 の態 度 ・
して取り入れられることが増え,さらに「する」スポー
行 動 意 図 の変 化 に差 がみられるかについても検
ツとしてのトップスポーツを支 える力 になる可 能 性
討する.
も有 していることが明 らかとなった.林 ら(2004)は,
「みる」スポーツが「する」スポーツに及ぼす影響に
3.予備調査
関 して,ワールドカップ観戦 とサッカー行 動 に着 目
(1) 調査概要
し,態 度 ,意 図 ,行 動 という行 動 予 測 モデルを用 い
予 備 調 査 では,教 師 による口 頭 の解 説 が,鑑 賞
検 討 するとともに,その影 響 の違 いについて日 本
者 の態 度 ・行 動 意 図 へ 影 響 を与 えることを確 認
と韓 国 で比 較 分 析 を行 っている.ここでは「態 度 」
することを目的とする.
について,「ワールドカップ大会 前後 ,サッカーをす
調査日: 2010 年 4 月 7 日
ることに対 してどのようなイメージ,考 えを持 ってい
対象者: W 大学オープン教育科目「バレエ基
ましたか」という質問に対し,6 項目(興味深い・有
礎」授業 受講生
益 ・役 に立 つ・面 白 い・楽 しい・積 極 的 )を設 定 し
回収数: 計 107 名 (有効回答率 100%)
た.「行 動 意 図 」については,「あなたは,ワールドカ
調査方法: 質問紙調査
ップ前 後 ,今 年 中 にサッカーをしたいと思 っていま
バ レ エ 作 品 ( DVD ) : 「 パ リ オ ペ ラ 座 バ レ エ
したか」という質 問 に対 しリッカート式 尺 度 で測 定
『ラ・シルフィード』」
注 2)
している.
(コロンビアミュージック
エンタテイメント)
表 5 態 度 ・行 動 意 図 に関 する研 究
著者(発行年)
態度
徳永ら(1989)
スポーツへの意識(快感情と不安感情)
賀川ら(1990)
行動規範得点
上原(2002)
林ら(2004)
行動意図
一週間以内のスポーツ活動へ
の行動意図
スポーツ競技番組視聴に対す
る行動意図
有益・無益/つまらない・興味深い/役に立つ・役に立たない サッカーをすることに対する行
/面白い・面白くない/楽しい・楽しくない/積極的・消極的 動意図
サッカーの好き嫌い・Jリーグへの関心
これらの先 行 研 究 をもとに,本 研 究 では「態 度 」
については林ら(2004)の 6 項目を採用した. 使
24
スポーツ科学研究, 12, 19-37, 2015 年
用 した項 目 は,「好 き-嫌 い」「興 味 深 い-つまら
備調査における解説内容は武隈(1991)示された
ない」「有 益 -無 益 」「役 に立 つ-役 に立 たない」
「プロダクトの便益 構 造」 注
「楽 しい-楽 しくない」「得 意 ―苦 手 」「積 極 的 -
形で設定した.かかるのちに 3 グループの群間,さ
消 極 的 」「身 近 -疎 遠 」である.それぞれについて
らにバレエ経 験 によって鑑 賞 前 後 の態 度 ・行 動
7 段 階 の SD 法 を用 いた.さらに本 研 究 では「行
意図にどのような差がみられるかを比 較した.DVD
動 」に至 るまでを追 うことが困 難 なため,「行 動 意
をみた自 由 記 述 式 の感 想 文 は,意 味 を成 すひと
図」を測定することとした.
まとまりの文節 ごとに区切 り,その内容 を解 説内容
3)
を,バレエに応用 する
として使 用した「身体 的 特徴」「技 術 」「ストーリー」
(3) 分析方法
「衣 装 や舞 台 装 置 など」を基 準 として出 現 数 を分
本研究では,DVD 鑑賞時に提示する解説内容
析 対 象 とした.対 象 者一 人 につき記 述 されている
により,対象者を 3 グループに分けた.各グループ
ものはいくつでも分析の対象とした.
の人数および,解説内容は表 6 のとおりである.予
表 6:解 説 内 容
1群
34 人
技術や、それを生みだす身体的特徴について
2群
38 人
表現力や作品のストーリーについて
3群
35 人
ダンサー、バレエ団、衣装、舞台美術について
幼 少 期 の習 い事 として人 気 があることと関 係 して
(4)結果
表 7 は対象者のこれまでのバレエ経験を示した
いる.同 じ継続 者 であっても幼 少期にバレエ教室
ものである.授 業 をきっかけに初 めてバレエを行 っ
でレッスンを受けた者と,大学入学後 にダンススク
た人 を「初 心 者 」,過 去 にバレエを習 っていたこと
ールのオープンクラス等でレッスンを受けた者とで
があり 2 年以上のブランクを経験したのち授業を
はバレエそのものはもちろん,そこで得られる教師
きっかけに再開した人を「再開者」,授業以前にバ
との関 係 ,生 徒 間 の関 係 ,レッスン内 容 ,環 境 が
レエを始 めている人 を「継 続 者 」とした.継 続 者 の
大 きく異 なると予 想 されるためである.全 てのグル
中には,3 歳~8 歳に開始し現在まで続けているも
ープで初心者が 40%台であった. 表 8 は対象者
のと,大 学 入 学 時 期 に始 めたものとに分 かれてい
のバレエ鑑 賞 経 験 の有 無 と鑑 賞 媒 体 について尋
たため,経験年数を 3 年以下のものを別途表記し
ねたものである.
た.こうした経 験 による対 象 者 の分 類 は,バレエが
表 7:対 象 者 のバレエ経 験
初心者
継続者
継続者
(3 年以下)
(4 年以上)
再開者
合計
1群
16(47.1)
13(38.2)
2(5.9)
3(8.8) 34(100.0)
2群
16(42.1)
16(42.1)
1(2.6)
4(10.5) 38(100.0)
3群
17(48.6)
10(28.6)
2(5.7)
7(20.0) 35(100.0)
各項目内の左は回答数,()内は各群内における割合(%)
25
スポーツ科学研究, 12, 19-37, 2015 年
表 8:対 象 者 のバレエ鑑 賞 経 験
直接舞台をみた
TV や DVD でのみみ
みたこと
ことがある
たことがある
はない
無記入
合計
1群
23(67.6)
6(17.6)
5(14.7)
0 34(100.0)
2群
27(71.1)
7(18.4)
3(7.9)
1(2.6) 38(100.0)
3群
27(77.1)
8(22.9)
1(2.9)
0 35(100.0)
各項目内の左は回答数,()内は各群内における割合(%)
各群における DVD 鑑賞前後での態度・行動
ったところ,態 度 1 項 目 (「身 近 」)と行 動 意 図
意図の平均値について t 検定を行ったところ 2
(「継 続 意 図 」)について初 心 者 の方 が有 意 に
群の対象者について態度 2 項目(「好き」「興味
向 上 していた. 「身 近 」については,2 群 の初 心
深 い」),行 動 意 図 (「継 続 意 図 」)について有 意
者 にお いて 前 後 の変 化 が有 意 で あ るとさ れ「,
な差がみられた(図 2).また,対象者のバレエ経
継続意図」については 2 群及び 3 群において
験 によって,初 心 者 と経 験 者 (再 開 者 と継 続 者
有意差が認められた.
を合わせたもの)に分類しそれぞれ t 検定を行
2.6
2.4
*
2.2
2
1.8
***
1.6
*
好き
興味深い
継続意図
1.4
1.2
(*p<0.05,***p<0.001)
1
授業前
授業後
図 2:鑑 賞 前 後 における態 度 変 化 (2 群 の平 均 値 )
表 9 は自由記述による感想文の内容を,解説
内 容 と感 想 内 容 との間 に関 係 性 がみられる記 述
内 容 として使 用 した「身 体 的 特 徴 」「技 術 」「ストー
が多数確認 された.このことから口頭の解説によっ
リー」「衣装や舞台装置など」を基準として分類し,
て鑑 賞 者 の意 識 や,注 目 箇 所 に影 響 を与 える可
その出 現 数をまとめたものである.その結 果 ,解 説
能性が示唆された.
表 9:感 想 文 の内 容
身体的特徴
技術
ストーリー
衣装など
その他
合計
1群
13
8
2
3
5
34
2群
3
2
23
3
1
38
3群
10
3
18
10
3
35
各項目内は回答数(複数回答あり )
26
スポーツ科学研究, 12, 19-37, 2015 年
(5)考察
調査方法: 質問紙調査
以上の予 備調査結果 から,教員による口頭の解
バレエ作品:「Le Corsaire
let Theatre」
説 を付 けることで,鑑 賞 者 の意 識 や注 目 する点 に
注 4)
with American Bal-
(ワーナー・ヴィジョン・ジャパン)
影 響 を与 える可 能 性 が示 唆 された.態 度 ・行 動 意
図 についても解 説 内 容 によるグループ間 の相 違
(2)調査項目
がみられ,その影 響 は初 心 者 の場 合 により顕 著 で
1.
あった.こうした映 像 や解 説 といった刺 激 が,初 心
基本属性
回 答 者 の基 本 属 性 について,鑑 賞 前 には性 別 ,
者 により強 く影 響 する先 行 研 究 (井 上 ら,2004)を
バレエ経 験 の有 無 と年 数 ,その他 ダンス経 験 の有
支持する結果であり,バレエの DVD 鑑賞について
無 とその年 数 ,クラシックバレエ鑑 賞 の有 無 とその
も同様であることが示された.
内容,その他ダンスの鑑賞経験の有無とその内容,
また,予備調査では態度について形容詞対を尺
バレエ用 語 の知 識 ,学 校 でのダンス体 験 の有 無 と
度 として用 いたが,調 査 対 象 者 からは,この尺 度 が
その時期について回答を求めた.
「するバレエ」について聞 いているのか,「みるバレ
エ」について聞 いているのか不 明 確 であると指 摘
2.
があった.これをうけ,本 調 査 では,態 度 尺 度 につ
態度・行動意図の尺度
態 度 ・行 動 意 図 尺 度 については, 予 備 調 査 の
いて若干の修正を施した.
結 果 をふまえて大 幅 に修 正 を行 った.まず,「する
バレエ」と「みるバレエ」を明 確 に分 離させた.各 質
4.本調査
問 文 に「バレエを踊 ること」や「バレエをみること」と
(1) 調査概要
いった言 葉 を用 い,参 与 形 態 を明 確 化 した.その
目的: 異なる解説によって DVD 視聴者の視点
後 ,「好 き」「楽 しい」「興 味 深 い」については,3 項
の操作を行い,その結果として態度や行動意図に
目 が共 通 して好 ましさを尋 ねていることから「好 感
変 化 が生 ずるかを明 らかにする.対 象 者 のバレ
度 」として統 一 し,「有 益 」「役 に立 つ」についても
エ・ダンス経 験 によって , 鑑 賞 前 後 の 態 度 ・ 行 動
「有 益 度 」として統 一 した.「積 極 的 」「身 近 」「得
意図の変化に差があるかについても考察する.
意」については 2 項目を形容詞対ではなく文章と
調査日時: 2010 年 9 月 29 日
して尋ねるように変更し「積極度」「身近度」「得意
対象 者: W 大 学オープン教 育科 目 バレエクラ
度 」とした.質 問 文 作 成 にあたっては,広 告 を見 た
ス(応用)受講生
後 の態 度 について測 定 した飽 戸 (2006)を参 考 に
回収数: 65 部(有効回答率 94.2%)
した.行 動 意 図 である「継 続 意 図 」について変 更
点はない.
表 10:態 度 ・行 動 意 図 の分 類
好感度
有益度
態度
積極度
身近度
得意度
行動意図 継続意図
バレエを観ることについてどのように感じますか?
バレエを踊ることについてどのように感じますか?
バレエを観ることが好きである
バレエを踊ることが好きである
芸術として観ること自体を楽しめる
動きそれ自体を楽しめる
バレエを観ることに興味がある
バレエを踊ることに興味がある
バレエを観ることは普段の生活に役に立つ
バレエを踊ることは普段の生活に役に立つ
バレエを観ることでバレエに役立つ情報が得られる バレエを踊ることでバレエに役立つ情報が得られる
バレエを観ることを人に薦めたい
バレエを踊ることを人に薦めたい
たくさんの作品を知りたい
たくさんの踊りを踊れるようになりたい
バレエを観ることに親しみを感じている
バレエを踊ることに親しみを感じている
バレエを観ることは幅広い層に受けそうだ
バレエを踊ることは幅広い層に受けそうだ
バレエ作品に詳しい
バレエを踊ることが得意である
バレエの特徴をよく理解できる
バレエの特徴をよく理解できる
今後、バレエを観に行きたい
これからもバレエを踊り続けたい
27
スポーツ科学研究, 12, 19-37, 2015 年
課 題 点 を修 正 ・改 善 し,最 終 的 な調 査 票 は表 11
注目点の尺度
鑑 賞 後 にどの程 度 普 段 と違 った視 点 でバレエ
のようになった.◆は予 備 調 査 の後 に加 えたもの
DVD をみたかについて測 定 するため,解 説 内 容
であり,★は担 当 教 師 が授 業 の指 導 にあたり必 要
の作成で用いたプロダクト構造の項目それぞれに
な項 目 である.■は,予 備 調 査 の課 題 から内 容 に
ついて「どの程度注目するか(したか)」を 5 段階リ
修正を加えたものである.
ッカート尺度で回答してもらった.
表 11:本 調 査 における調 査 票 の内 容
【鑑賞前】
★クラッシックバレエについてのイメージ(自由記述)
・クラッシックバレエの経験の有無と年数
・舞台鑑賞の有無とその内容
★バレエ用語の知識
◆学校でのダンス体験の有無とその内容
■バレエを踊ることへの態度
■バレエを観ることへの態度
バレエを踊ることへの行動意図(継続意図)
◆バレエを観ることへの行動意図(鑑賞意図)
【鑑賞後】
◆クラシックバレエのイメージ
・DVD 鑑賞の中で最も印象に残っている事はなんですか?(自由記述)
■バレエを踊ることへの態度
■バレエを観ることへの態度
バレエを踊ることへの行動意図(継続意図)
◆バレエを観ることへの行動意図(鑑賞意図)
◆視点操作がされているか?(DVD 鑑賞で○○について良く理解できるものでしたか?)
★この授業の受講理由(自由記述)
★授業への希望
いて解説を行った.対照群とは,DVD 鑑賞にあたり
(3)分析方法
調査対象者を異なる解説を行う 3 つのグルー
解 説 者 がシ ーンとシー ンの繋 ぎを理 解 するの に
プに分け,各群ごとにバレエ DVD を鑑賞した.バレ
必要であると思われる最低限のあらすじ等の情報
エ DVD のプロダクト構 造 (醍 醐 ,2011)をもとに作
のみを与 えた群である.各 群 における,注 目点 およ
成された解説内容は表 15 に示す「ダンサー・技
び態度・行動意図の変化は 5 段階リッカート型尺
術(1 群)」「物語・舞台環境(2 群)」「対照(3 群)」
度 を用 い測 定 した.3 つの群 の鑑 賞 前 後 の注 目
の 3 通りである. ダンサー・技術群では,ダンサー
点 および態 度 ・行 動 意 図 の変 化 の比 較 は,反 復
の手 足 の動 き,つま先 の形 ,ダンサーの表 現 力 や
測 定 を伴 う二 元 配 置 分 散 分 析 ( 群 <技 術 ・ダン
演 技 について,主 人 公 の美 しい動 きや柔 軟 性 つ
サー解説群,物語・環境解説群,統制群>×時間
いて解 説 を行 った.物 語 ・舞 台 環 境 群 では,他 の
<鑑賞 前後 >)を用いた.それぞれの群の鑑 賞前
群 に話 すあらすじよりもより詳 しい物 語 の内 容 に
後 の注 目 点 および態 度 ・行 動 意 図 の比 較 は,対
ついて触 れ,舞 台 装 置 や衣 装 ,マイムの意 味 につ
応のある t 検定を用いた.
28
スポーツ科学研究, 12, 19-37, 2015 年
表 12:解 説 内 容
1
ダンサー・技術解説群
ダンサー(主人公、有名ダンサー)と技術
(ジャンプ、回転、動き)について
2 物語・舞台環境解説群 物語性と環境(衣装、舞台装置)について
3
II.
対照群
最低限の情報のみ
各群におけるバレエ経験の年数を比較したとこ
結果
1.基本属性
ろ,群間に有意な差は見られずバレエ経験につい
(1) バレエ経験
てほぼ同質な対象者であることが分かった.
表 13:バレエ経 験 年 数
0-2年
解説群
3-5年
6年以上
合計
1 ダンサー・技術解説群
6
2
13
21
2 物語・舞台環境解説群
7
2
13
22
3
7
1
14
22
対照群
単位(人) χ2検定値(1.188) 自由度(6) 有意確率(p=0.977)
どを容 易 にみることができるため,鑑 賞 経 験 があ
(2) 鑑賞経験
図 3は対 象 者 のバレエ鑑 賞 の有 無 について尋
ると回 答 した生 徒 多 いのではないかと予 測 された
ねたものである.全ての群において約 8 割にあたる
が,テレビと異なり自ら検索する必要があることから
53 名 の対 象 者 は直 接 舞 台 を鑑 賞 したことがある
行動に至らないケースもみられるようである.全くみ
と回答した.さらに詳細な分析では,経験年数が 6
たことがない人は技術・ダンサー解説群(1 群)に
年 以 上 になるとすべての対 象 者 に鑑 賞 経 験 があ
1 名, 物語・舞台環境(2 群)に 3 名, 対照(3 群)
ると回 答 していることも明 らかとなった.近 年 では,
に 1 名であった.
インターネットを通じて作品やコンクールの様子な
20
18
16
14
12
10
ダンサー・技術解説群
8
物語・舞台環境解説群
6
対照群
4
2
0
あり
なし
直接舞台鑑賞
あり
なし
あり
テレビ・DVDでの鑑賞
なし
インターネットでの鑑賞経験
図 3:対 象 者 のバレエ鑑 賞 経 験
(3) 学校でのダンス体験
た.その結 果 ,中 学 校 ・高 校 では半 数 以 上 の人 が
体 育 のダンス以 外 で,何 らかの形 でダンスを体
そうした機会があったと回答した.
験 する機 会があったかどうかについて回 答 を求 め
29
スポーツ科学研究, 12, 19-37, 2015 年
20
18
16
14
12
10
8
6
4
2
0
ダンサー・技術解説群
物語・舞台環境解説群
対照群
あり
なし
小学校
あり
なし
あり
中学校
なし
高校
まったくな
かった
図 4:学 校 でのダンス体 験
ンス鑑 賞 の機 会 はそのほとんどが生 徒 同 士 の発
(4) 学校でのダンス鑑賞の種類
表会であった.
ダンスに触 れた機 会 のうち,「みる」機 会 としてど
のようなものがあるのか回 答 を求 めた.学 校 でのダ
18
16
14
12
10
ダンサー・技術解説群
物語・舞台環境解説群
8
対照群
6
4
2
0
生徒同士の発表会 教師の発表
生徒同士の発表会
教師の発表
プロによる鑑賞会 学外での鑑賞会
プ ロ によ る鑑賞会
学外に鑑賞に出向いた
ビデオやDVDでの鑑賞
ビ デオやDVDをみた
その他
その他
図 5:学 校 でのダンス鑑 賞 の種 類
うした内容は解説がある場合は特に注目をするが,
2.解説による注目点の変化
表 14 は,鑑賞前後における注目点の変化をま
そうでない場 合あまり注 目 されない内 容であること
とめた表である.バレエ DVD のプロダクト構成項目
が分 かる. 対 照 群 では「回 転 の美 しさ」「ジャンプ
(醍醐,2011)27 項目について,鑑賞前後における
の高 さ」について有 意 差 が認 められた.これは今
平 均 値 の差 の検 定 を行 ったところ,技 術 ・ダンサ
回採用されたバレエ作品に力強い男性の回 転 や
ー解 説 群 では,「手 足 の動 き」や「動 きの軽 さ」とい
ジャンプのシーンがあったため,解説の少なかった
った身 体 的 特 徴 により注 目 している一 方 ,「衣 装 」
群では映像から受ける影響や印象が相対的に大
「舞 台 装 置 」について注 目 しなくなっていることが
きくなったものと考 えられる. このように,有 意 差 が
分かる. 物語・環境解説群は「衣装」「舞台装置」
認められた項目については,解説の内容が反映さ
「ダンサーの経歴」により注目していることからも,こ
れているように思 われる. ここに記 載されている項
30
スポーツ科学研究, 12, 19-37, 2015 年
目 はすべて値 の増 減 があったものの有 意 差 は認
められなかった.
表 14:注 目 点 の変 化
注目点
変化のあった群
手足の動き
ダンサー・技術解説群
+
動きの軽さ
ダンサー・技術解説群
+
ダンサー・技術解説群
-
物語・舞台環境解説群
+
ダンサー・技術解説群
-
物語・舞台環境解説群
+
ダンサーの経歴
物語・舞台環境解説群
+
回転の美しさ
対照群
+
ジャンプの高さ
対照群
+
衣装
舞台装置
+:増加 -:減少 3.態度・行動意図の変化
いが態 度 ・行 動 意 図 に与 える影 響 については明
1)
らかにすることができなかった.(表 15)
DVD 鑑賞による態度・行動意図の変化
鑑賞前の「技術・ダンサー解説群」「物語・環境
4)
解 説 群 」「統 制 群 」の態 度 ・行 動 意 図 は全 ての群
バレエ経 験 による対 象 者 の分 類 と態 度 ・行
動意図の変化
間 で有 意 差 が認 められなかった.多 変 量 分 散 分
析 の結 果 ,態 度 尺 度 のうち「する好 感 度 」「する積
ここでは調 査 対 象 者 をバレエの経 験 年 数 によ
極 度 」「みる好 感 度 」「みる積 極 度 」「みる身 近 度 」
って分 類 した. 経 験 年 数 2 年 以 下 の初 心 者
「みる得 意 度」について時間 の主 効 果 が認 められ
( n=20 ) と経 験 年 数 10 年 以 上 の長 期 継 続 者
た.さらに,行 動 意 図 として「する継 続 意 図 」「みる
( n=33 ) の 変 化 を 比 較 す る た め , そ れ ぞ れ , 鑑 賞
継続意図」についても有意差が認められた.
前・鑑 賞 後 の平 均 点を算出 し,反復 測定 を行 った.
それぞれについて,鑑 賞 前 ,鑑 賞 後 の平 均 点 を算
2)
出し,反復測定を行った.鑑賞前,鑑賞後それぞれ
解説による態度・行動意図の変化
実験における 3 つの群は「技術・ダンサー解説
の群 間 について一 元 配 置 分 析 を行 ったが,有 意
群 」「物 語 ・環 境 解 説 群 」という特 定 の解 説 内 容
な差 は認 められなかった.したがって,鑑 賞 前 後 の
に絞った「解説群」と,授業として成り立たせるため
比 較 分 析 を行 った.まず,初 心 者 の態 度 ・行 動 意
の最小限の解説にとどめた「対照群」の 2 つにわ
図 の変 化 について分 析 した.「するバレエ」につい
けて分 析 を行 った.しかし両 群 ともに時 間 ・群 間 に
ては物 語・環 境解 説群 のみ好 感度 に有意 な差が
有 意 な差 は確 認 されなかった.このことは,対 照 群
認 めら れた . 「 みるバレエ 」 における 積 極 度 は ,物
としたものの最 小 限 の解 説 を併 せていること,全 く
語 ・環 境 解 説 群 の鑑 賞 前 後 に有 意 な差 が認 めら
解 説 の無 い群 を設 定 することができなかったこと
れ,物語や舞台上の環境について知識を与えるこ
からも教 育 現 場 においてこのような実 験 を行 う限
とで積 極 的 にみるようになったことが分 かる.次 に
界とも考えられる.
長 期 継 続 者 の態 度 行 動 意 図 の変 化 についてで
ある.こちらも,技 術 ・ダンサー解 説 群 および物 語 ・
3)
環 境 解 説 群 において「するバレエ」について有 意
解説内容による態度・行動意図の変化
DVD 鑑 賞 による変 容 が有 意 に認 められた態
な差 が認 められた.あら かじめバレエに関 する知
度 ・行 動 意 図 について,解 説 内 容 の効 果 を調 べ
識 のある継 続 者 は特 に新 しい情 報 の得 られない
たところ交 互 作 用 は認 められず,解 説 内 容 の違
対 照 群 で変 化 がみられなかったことにも注 目 した
31
スポーツ科学研究, 12, 19-37, 2015 年
い.「みるバレエ」では,積 極度,身近 度に有 意な差
変化している(表 16).
が認 められた.特 に身 近 度 は全 ての群 で有 意 に
表 15:鑑 賞 前 後 における時 間 による効 果 と解 説 による効 果
有意確率
す
る
バ
レ
エ
好感度
有益度
積極度
身近度
得意度
継続意図
好感度
有益度
積極度
身近度
得意度
継続意図
態度
行動意図
み
る
バ
レ
エ
態度
行動意図
主効果
交互作用
主効果
交互作用
(時間)
(時間×解説群)
(時間)
(時間×解説の有無)
0.445
0.967
0.785
0.139
0.265
0.917
0.454
0.912
0.805
0.915
0.706
0.150
0.000
0.784
0.010
0.167
0.063
0.009
0.000
0.228
0.000
0.000
0.005
0.004
0.000
0.708
0.012
0.435
0.090
0.004
0.000
0.169
0.000
0.000
0.002
0.010
***
n.s.
*
n.s.
n.s.
**
***
n.s.
***
***
**
*
n.s.
n.s.
n.s.
n.s.
n.s.
n.s.
n.s.
n.s.
n.s.
n.s.
n.s.
n.s.
n.s.:非有意, *:p<0.05,
n.s.:有意差なし
***
n.s.
*
n.s.
n.s.
***
***
n.s.
***
***
**
**
0.239
0.784
0.564
0.053
0.374
0.679
0.207
0.752
0.744
0.679
0.497
0.151
n.s.
n.s.
n.s.
n.s.
n.s.
n.s.
n.s.
n.s.
n.s.
n.s.
n.s.
n.s.
**:p<0.01, ***:p<0.001
表 16:バレエ経 験 による鑑 賞 前 後 の態 度 ・行 動 意 図 の変 化 の比 較
全体
初心者
長期継続者
1群
2群
3群
ダンサー・技術解説群
物語・舞台環境解説群
対照群
する 好感度(*) 継続意図(*)
好感度(*) 身近度(***)
みる
積極度(*) 継続意図(*)
する なし
好感度(*)
好感度(*) 身近度(***)
積極度(*)
好感度(*)
得意度(*) 継続意図(*)
好感度(*) 身近度(*)
積極度(*)
なし
みる なし
積極度(*)
なし
する 好感度(*)
好感度(*)
なし
みる 積極度(*) 身近度(*)
身近度(*)
身近度(*)
* p < .05, ** p < .01,***p < .001
が変 わったからといって,必 ずしもダンスに対 する
III. 考察
DVD 鑑賞による対象者全体の態度・行動意図
態度・行 動 意図 の変化 はつながらないことを示唆
において時 間の効 果がみられたものの,解説内 容
している.時 間 による変 化 はさまざまな態 度 ・行 動
による差 は認 められなかった.有 意 差 が認 められ
意 図 を変 化 させたことから授 業 の中 で,教 師 という
なかった理由として,解説内容と態度・行動意図と
身 近 な存 在が選 んできたバレエ作品 を見 ることは
の関 係 性 の把 握 が十 分 に行 われていなかったこ
それだけで 十 分 に興 味 深 い行 為 で あり, 鑑 賞 前
とが考 えられる.解 説 内 容 を決 定 する際 に参 考 に
後 における一 定 の効 果 を生 んだと考 えられる.今
したのは ,「 バレエ DVD の プロダクト構 造 」( 醍
回 は解 説 内 容 に対 する生 徒 側 からの質 問 や,自
醐 ,2011)であったが,これは観 客 が何 を見 ている
発 的 な問 題 提 起 ,教 師 と生 徒 間 のコミュニケーシ
か,どこに注 目 しているかを尋 ねたものである.そこ
ョンは一 切認 めておらず,こうした情報 を一 方 的に
では解 説 によってその注 目 箇 所 を変 えられること
受 け取 るだけの状 況 では解 説 内 容 がどのようなも
が予 備 調 査 及 び本 調 査 の注 目 点 の変 化 結 果 に
のであったとしても,鑑 賞 者 にとってはそのひとつ
よって証 明 されている.しかし,解 説 による交 互 作
ひとつの内容にまで関心をもちにくいものとなって
用が認められなかった点については,どこをみるか
しまうと捉えることもできるだろう.
32
スポーツ科学研究, 12, 19-37, 2015 年
パフォーマンスの向上を目的とした映 像を試合
エ」への影 響力 が弱 いという結 果 である.つまり,バ
前 に視 聴 し心 理 的 側 面 の変 化 を測 定 した山 﨑ら
レエ経 験 が無 い,もしくは短 いと「みるバレエ」から
(2009)らは,映 像 を実 践 場 面 でより効 果 的 に活 用
「するバレエ」へつなげて考 えることが困 難 なので
するためには「自 己 選 択 」ということが重 要 な要 素
はないだろう. 初 心 者 にとってバレエ鑑 賞 はバレ
になると指 摘 している.山 﨑らの研 究 は「するスポ
エを踊 ることと独 立 しており,それ自 体 に楽 しみを
ーツ」を対 象 としているものの,本 研 究 において解
見出す.観客 としての経験 と踊る経 験 がどのように
説 内 容 や鑑 賞 作 品 について鑑 賞 者 の選 択 余 地
関 係 するのか初 心 者 を追 うことで明 らかになるの
が全 くなかったことは同 様 の課 題 を残 すものと思
ではないだろうか.10 年 以上バレエ経験のある長
われる.今 後は,自 己 選 択的 な情 報 の得 かたや,コ
期 継 続 者 では,「するバレエ」への好 感 度 が「技
ミュニケーションを交 えた鑑 賞 の場 の設 定 などを
術 ・ダンサー解 説 群 (1 群 )」「物 語 ・環 境 解 説 群
検討する必要があるであろう.
(2 群 )」において上 昇 した.解 説 内 容 によって違
つまり,本 研究において解説の有 無や解説 内 容
いはみられなかったが,この結 果 は長 期 継 続 者 が
による違 いを明 らかにすることができなかったこと
鑑 賞 にあたって解 説 の内 容 を自 らの技 術 や身 体
の背 景 には,解 説 内 容 の設 定 ひいては鑑 賞 の場
に重 ね合 わせながら理 解 している可 能 性 を示 唆
の設 定 における手 続 きが大 きく関 与 している. 金
している.一定の期間(ここでは 10 年以上)バレエ
井(2001)は認知プロセスに関する研究において,
を踊っていることで,すでに「みる」「する」を結びつ
映 像 認 知 には,大 きく二 つのプロセス,すなわち①
ける思考が出来上がっている.
映 像 を観 る瞬 間 (本 研 究 における鑑 賞 者 の注 目
V. まとめ
点 )のプロセスと,②映 像 の認 知 をもとに理 解 (本
研究における鑑賞内容の処理)するプロセスが存
本研究では,生涯スポーツを見据え大学保健体
在 すると述 べている.また,これら二 つのプロセスの
育 授 業 (バレエ)を題 材 とした「みるスポーツ」と
どちらを重視するかによって,映像の修辞(本研究
「するスポーツ」の関係について検討した.
では解 説 )の持 つ目 的 が変 わってくるとも述 べて
バレエ DVD を用いた本調査では,解説内容が
いる.このことから,本 研 究 では映 像 をみる瞬 間 に
異なる 2 つの群(「技術・ダンサー解説群」「物語・
のみ作用 するような解説 であったと考 えられる. さ
環 境 解 説 群 」)と,授 業 に必 要 な最 低 限 の解 説 に
らに,本 研究 の態度尺 度 作成にあたって参考にし
留めた「対照群」の,計 3 群について鑑賞前後の
た広告 研 究 において最 も有名 な心 理学モデルは
態 度 ・行 動 意 図 の変 化 を分 析 した.その結 果 ,解
注 5)
と呼ばれるモデルである(桐
説を伴う DVD 鑑賞によって鑑賞者の注目点は変
谷ら,2002).このモデルを適用すれば,解説は主に
化 すること,そして対 照 群 では印 象 的 な映 像 場 面
「注意」に作用していたと思われる.現 在は「注意」
に引 きつけられていることが明 らかになった.態
のあとに「理解」を入れる場合もあるが,いずれにし
度 ・行 動 意 図 については,鑑 賞 による「みるバレ
ても解 説 が「記 憶 」や「行 為 」にまで影 響 を与 える
エ」への影 響 が「するバレエ」への影 響 に比 べて
ことはできなかったと考 えられる.生 涯 スポーツへ
大 きかった.つまり,鑑 賞 はその後 の「みる」ことに
の繋 がりを意 識 した本 研 究 においては,一 度 きり
対 する意 識 を変 化 させることはでき,「する」ことと
の授 業 における鑑 賞 に留 まらず,その後 のバレエ
の関係性について一部ではあるが明らかにするこ
や周 辺 知 識 への興 味 関 心 がより重 要 となり,「理
とができた.しかし,解 説 内 容 の違 いにまで及 ぶ議
解 」「記 憶 」「行 為 」についても考 慮 し今 後 の研 究
論 は本 研 究 において述 べることが出 来 なかった.
を進めていくべきであろう.
これまでのバレエ経 験 との関 係 では長 期 継 続 者
いわゆる AIDMA
経 験 年 数 別 の分 析 からは,初 心 者 ではバレエ
に比 べ初 心 者 は「みるバレエ」と「するバレエ」の
鑑 賞 の経 験がバレエを行 うことに対する好 意 的な
間に隔たりがあり,その影 響を確認するに至らなか
態 度 を形 成 しておらず,このことは,初 心 者 の鑑 賞
った.長 期 継 続 者 の「みるバレエ」 への好 感 度 が
前後の態度・行動意図の項目において「するバレ
増 したことからも,その隔たりを埋める一 助 としてバ
33
スポーツ科学研究, 12, 19-37, 2015 年
レエ経 験 が役 立 っているとも考 えられる.長 期 継
像 教 材 を用いる際に,どのような解 説を併 せ行うこ
続 者 は解 説 の中 でも技 術 ・ダンサー・身 体 といっ
とが高 い成 果 を生 むのかということについてもさら
た内 容 を自 らの経 験 に重 ね合 わせ,その後 の態
に検討が必要と思われる.
次 に,生 涯 スポーツとしての視 点 であ る.現 在 ,
度・行動意図へ影響を与えていた.
本 研 究 の結 果 は,いくつかの実 践 的 インプリケ
子 どもだけに限 らず一 般 の観 客 ,地 域 住 民 等 に
ーションを含 んでいるが,そのひとつとして,学校 体
向 け,スポーツをより楽 しくみるための様 々な講 座
育 において必 修 化 されたダンス授 業 への応 用 が
やイベントが行 われているが,本 研 究 はそうした場
あげられる.学 校 におけるダンス授 業 の特 徴 は,そ
にも一定 の示唆を与 えることが可能 であろう.講 座
のほとんどが初心 者であることである.本研 究 の予
やイベントでは,スポーツ観 戦 に関 する情 報 やそ
備 調 査 や先 行 研 究 から,初 心 者 は解 説 の影 響 を
の種 目 への理 解 が深 まるような策 がちりばめられ
受けやすいことが明らかにされた.また,解説を行う
ている.本 研 究 の結 果 からも,競 技 の歴 史 や選 手
者 が教 師 であればその影 響 力 はきわめて大 きい
のプロフィールなどをただ一 方 的 に伝 えるだけで
と予 想 される.本 調 査 の結 果 から,初 心 者 は物 語
は,観 客 の見 方 は変 わるものの,好 意 的 な態 度 や
性 ・舞 台 環 境 を解 説 した群 において鑑 賞 前 後 の
行 動 に結 び付 けていくことが難 しいと予 想 される.
態 度 変 化 がみられた.舞 踊 の映 像 を鑑 賞 する上
そして残 る問 題 はどのような内 容 と効 果 の測 定 に
で,物 語 性 を理 解 することは鑑 賞 対 象 である作 品
よって講 座 やイベントを行 えばよいかという点 であ
に一 貫 性 を与 えることができる.実 際 ,本 研 究 を行
る.そしてその解 決 法 は,理 論 的 検 討 に基 づき,実
うにあたりどのバレエ作 品 を教 材 として使 用 する
践し,改善する,を繰り返すほかない.
かについて何 度 も授 業 担 当 者 と検 討 を重 ねた.こ
本 研 究 の大 きなテーマは「する」「みる」の関 わ
れは,授業は時間が決まっており,ひとつの作品す
り合いと,「みるスポーツ」についてただ試合をみせ
べてを見 せることは不 可 能 である.さらに,初 めて
るだけでな く ,「どの よう に みせる か」「何 をみせる
鑑 賞 するバレエが長 く退 屈 な経 験 となることを避
か」といった「みせ方 」を議 論 することであった.つ
け,授 業 内 で一 貫 性 を持 たせるためであった.作
まり,観客を扱う経営体や研究が観戦や鑑賞の場
品 の一 貫 性 を感 じることと物 語 の理 解 ・授 業 の充
だけを効 果 の範 疇 と捉 えていることへの批 判 的 な
実 の関 係 は経 験 的 にも無 視 できない要 素 である.
検討でもあった.本 研 究 ではバレエを題材 としてこ
また,舞 台 環 境 については知 識 量 が増 え,積 極 的
の問 題 にアプローチしたが,分 析 結 果 を他 のスポ
な鑑 賞 態 度 に繋 がっていくのではないか.衣 装 や
ー ツ 種 目 に も 適 用 し て み る と , 「 み るス ポ ー ツ 」 が
舞 台 装 置 といった環 境 は,言 葉 として捉 えやすく,
「するスポーツ」の好 感 度 や継 続 意 図 に影 響 する
どこをみてよいか分 からずぼんやり見てしまう鑑 賞
ことが示 唆 されスポーツをみることが他 の参 与 形
者 に視 点 を定 めどこをみるべきか指 示 してくれる
態 へも一 部 ではあるが影 響 を与 えることが出 来 る
役割を持つ.有名な作品であれば,物 語性や舞台
と言える.本研究で用いた技術・ダンサー(選手)・
環 境 は専 門 家 に聞 く機 会 がなくとも資 料 をそろえ
物 語 性 ・舞 台 装 置 といった解 説 がただ試 合 を見
ることができる.しかし,偏 った解 説 内 容 には負 の
るだけではない「みるスポーツ」経 験 を作 り上 げて
影響があることも認識しておく必要がある.
いることは確 かであり, 今 後 は観 客 (鑑 賞 者 )との
対 象 者 の基本 的 属 性 の結 果 をみると,現 在 「み
双 方 向 的 なコミュニケーションを採 用 するような講
る」ために行う授 業 は生徒 同 士 の発表 会 がほとん
座 やイベントなども視 野に入 れて,より詳 細 な検 討
どを占 めていた.生 徒 同 士 の発 表 会 では数 あるダ
を行 っていくことが観 客 への情 報 提 供 ,知 識 や興
ンスジャンルの限 られた部 分 しか取 り扱 うことがで
味 関 心 の増 大 といった観 点 からも有 用 な知 見 と
きず,そのジャンルについてもプロの作 品 を通 した
なりえるだろう.
技 術 やその作 品 の背 景 を知 ることはできない.ま
たいくつかの学校では,ビデオや DVD の鑑賞授
(注 1)
業も行われていることが明らかになった.こうした映
バレエは回 転 やジャンプ,つま先 立 ちなど高 度
34
スポーツ科学研究, 12, 19-37, 2015 年
な技 術 を必 要 とする舞 踊 ジャンルである.しかし,
表 れるマイムや目 を引 くであろう回 転 やジャンプ
バレエを踊 るということは高 度 な技 術 の鍛 錬 だけ
のシーンをどのグループにも差 が出 ないよう一 部
ではなく、物 語 を進 めるためのマイムや舞 台 上 の
を早送りし授業時間内に収めた.
隊 形 移 動 など比 較 的 簡単 な動 作 を真 似 してみた
り,新 たに振 付 を創 造 し体 験 してみることも一 つの
(注 3)
方 法 である.またそうした実 践 がその後 の鑑 賞 の
武 隈 (1991) は 「 ス ポ ー ツ に 関 す る 運 動 者 の 便
理 解 を助 けることもつながる.また,フォークダンス
益 構 造 」において便 益 の構 造 とスポーツ参 加 者
は各 地 域 の地 域 性 に基 づいた踊 りの特 徴 を味 わ
のベネフィットセグメントの特 性 を図 式 化 している.
うことが学 習の中 心 であるが,バレエの中 にも時代
便益の構造は同心円状に拡大しており,3 つの層
背 景 や地 域 性 をもつ表 現 がありバレエ鑑 賞 を軸
によって捉えられている.その中心は技能向上とス
としつつも「踊 る・創 る・観 る」を扱 うことは十 分 可
ポーツの効 用 である.スポーツの効 用 はスポーツ
能であると考えた.しかし、本研究では大学生を対
それ自体の効用であり,スポーツによる効用とは別
象としているため今後中学生を対象とする場合に
である.本 研 究 ではスポーツそれ自 体 の効 用 であ
は更なる検討が必要である。
る技 術 ・試 合 ・競 争 を,バレエそれ自 体 の効 用 とし
て技 術 ・表 現 ・競 争 (選 手 ・物 語 )として解 説 内 容
に反映させた .
(注 2)
「ラ・シルフィード」や「ジゼル」は 19 世に前半に
創 られ,今 も上 演 されているバレエの中 で最 も古
(注 4)
い作 品 である(三 浦 ,2009).なかでも「ラ・シルフィ
日 本 でよく上 演 されるバレエは,チャイコフスキ
ード」は当 時のロマン主 義 を全 面 的 に反 映 してお
ー3 大 バレエを始 め,「ドン・キホーテ」・「ジゼル」,
り,衣装はロマティックチュチュとよばれるひざ下ま
そして こ の「 海 賊 」 が よく 観 ら れる . その 中 で 「 海
である真 っ白のスカートが特 徴である.現在 バレエ
賊」は,日本でも 2008 年 3 月に熊川哲也率いる K
の衣 装 と言 うと多 くの人 は「白 鳥 の湖 」「 ライモン
バレエカンパニーの公 演 がテレビ番 組 として特 集
ダ」で用 いられる,動 きやすい短 いチュチュ(クラシ
され(TBS「天 才 ダンサー熊 川 哲 也 ケガからの奇
ックチュチュ)を思い浮 かべるだろう.ロマンティック
跡 の復 活 」) 日 本 のバレエファンにはよく知 られ
チュチュからクラシックチュチュへの変 化 はバレエ
ている. 衣装についてもセクシーでエキゾチックな
の技 法 や歴 史 と大 いに関 係 しており,本 研 究 にお
魅 力 があり,技 術 については「男 性 ダンサーの魅
いて用 いるのに最 適 であると判 断 した.こうした
力 をすべて発 揮 している」(三 浦 ,2009) といわれ
「ラ・シルフィード」のもつ背 景 により,DVD の解 説
るほど回 転 と跳 躍 の見 せ場 の多 い作 品 である.
として衣 装 ,歴 史 ,技 術 を語 る興 味 深 い材 料 にな
日 本 では全 幕 公 演 されることは少 ないが,それは
った.
すなわち部 分 的 な鑑 賞 であっても十 分 楽 しむこと
また,DVD すべてを授 業 時 間 内 にみることは
ができるとも捉 えることができる.授 業 では,全 体 の
出 来 ないため,全 体 のあらすじを壊さないよう留 意
あらすじが理 解 できるよう1幕 2幕 3幕 に分 け登 場
し鑑 賞 箇 所 を決 定 した.「結 婚 を控 えた青 年 が,あ
人物とその役割を解説した.エキゾチックな魅力は
るとき美 しい妖 精 に魅 せられ,追 い求 めた末 に婚
海賊ならではの躍動感と衣装,男性の美しい肉体
約者も妖精もすべてを失ってしまう」というあらすじ
から感じられると考え 2 幕のパドトロワ,パドドゥを見
を全 てのグループに共 通 し映 像 開 始 時 に説 明 し
所の一つとした.
た.鑑賞した箇所は,1 幕ではスコットランドの農村,
ダンサーの登 場 シーンを流 し,ここでは作 品 設 定
(注 5)
やダンサーの印象が捉えられる.2 幕のシルフィー
「アイドマとは企業のプロモーション活動で消費
ドの戯 れる森 では,クラシックチュチュ(衣 装 )やコ
者がそのプロダクトを認知してから,実際に『購入
ールドバレエがみられる.そのほか,表 現 力 の特 に
する』までの過程を簡単にあらわしたもの」(久保
35
スポーツ科学研究, 12, 19-37, 2015 年
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