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第1章 材料編 - 一般社団法人石膏ボード工業会

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第1章 材料編 - 一般社団法人石膏ボード工業会
第1章 材料編
1.1
石膏について
石膏とは、天然鉱物としての鉱物名であるとともに、物質名である。その組成は、硫酸カルシ
ウム二水塩であり、古くは古代エジプトのピラミッドの目地処理材として使用された例があり、
現在に至るまで、私たちの日常生活に広くかかわっている。
中近東・地中海地域などの古代遺跡の内部から石膏のプラスター壁や彫刻品が発見されるな
ど、石膏は古くから建築資材や彫刻の素材として人々に利用されてきた。
1.1.1
石膏の種類
石膏には、その結晶水の存在形態により二水石膏、半水石膏、無水石膏がある。天然に存在す
るのは、二水石膏と無水石膏であるが、二水石膏を焼成して得られるものとして、半水石膏(通
称焼石膏)がある。
1.1.2
石膏ボード用原料石膏の種類別供給量
石膏ボード用原料として使用される石膏(二水石膏)は、わが国では現在天然石膏の生産がな
いので、主に化学石膏が用いられる。それを補う形で海外から天然石膏(原石)を輸入している。
化学石膏には、各工業から副産されるもの(副産石膏)
、火力発電所の排煙中の亜硫酸ガスを石
灰で捕集したもの(排煙脱硫石膏)、硫酸を石灰で中和したもの(中和石膏)等がある。また、
近年増加しつつあるのが、石膏ボード廃材を回収したものである。平成22(2010)年度の石膏使
用量及び石膏の種類別割合は図1−1の通りである。
輸入石膏(天然)
回収石膏
6%
23%
副産石膏
71%
図1−1
わが国における石膏ボード用石膏使用量 約4,076千t/年
(平成22年度経済産業省統計)
─5─
1.1.3
石膏の性状
天然石膏の多くは、白色塊状(写真1−1参照)
、白色砂状である。石膏を焼成すると半水石膏
を経て無水石膏となるが、焼成された半水石膏は、水と混合攪拌することで所定時間後に再び二
水石膏となり、硬化体となる性質がある。石膏ボードは、この性質に着目して製造したものであ
る。
→
CaSO4・2H2O → CaSO4・1/2H2O+3/2H2O
写真1−1
表1−1
原 石 産 地
エジプト
(ラスマラップ)
モロッコ
メキシコ
タイ
中国(応城)
オーストラリア
二 水
石 膏
(%)
98.47
96.98
97.19
96.00
99.07
95.80
輸入天然石膏性状例
無 水
石 膏
(%)
0.3
1.34
結 晶
二 水
石 膏
(%)
排 煙 脱 硫 石 膏
98.7
廃 酸 処 理 石 膏
90.5
りん酸石膏( 半水二水法 ) 97.8
フッ 酸 石 膏( 水 和 品 ) 76.7
チ
タ ン
石
膏
95.8
混水量
(%)
色
アラバスター アメ色
白
アラバスター
灰
アラバスター
灰
砂 岩 状
白
繊 維 状
セ レ ナ イ ト 白灰
0.34
表1−2
原 材 料
天然石膏
68
72
78
88
77
75
ヌレ引張 ヌレ圧縮
強度
強度
N/e
N/e
6.7
1.4
1.1
5.1
5.7
1.3
4.7
1.0
4.9
1.1
5.9
1.1
化学石膏性状例
pH
6.5
7.9
4.6
3.0
6.8
─6─
塩素
(%)
0.01
0.04
80
100
ヌレ引張
強 度
N/e
1.0
0.4
ヌレ圧縮
強 度
N/e
4.3
1.2
62
80
1.0
1.3
3.7
4.3
混水量
(%)
焼石膏は、水と接触して攪拌した当初は、スラリー状であり、その性状を利用して所定の型に
流込んでしまうとどのような形状にでも、その形のまま硬化する性質がある。硬化時間も数分か
ら数十分であり、この性質が石膏ボードの製造に大いに生かされている。
このようにして硬化した石膏は、建築材料として非常に優れた特性を発揮する。先ず第一に、
無機材料としての不燃性、防火性を持つ。また、界壁などに用いた場合の必要条件である遮音性、
成形後の体積変化が少ない寸法安定性は、建築物の耐久性に寄与するところが大きい。
さらに、建築材料として施工する場合の、釘、カッターなど日用大工道具が使える現場加工性、
取扱う上で有利な軽量性等の他、後述する種々の特長を持っている。
石膏自体は、これらの特長を生かして、セメント用、土木用、農業用、食品用など非常に広範
に使用されている。
1.1.4
石膏の用途
表1−3
業 種
石膏の用途と必要な性質
石膏の
形 態
用 途
必 要 な 性 質
石 膏 ボ ー ド 建
築
材
料
β・半水
接着性大
建
プ ラ ス タ ー 上
下
築
材
料
り
り
α・半水
β・半水
純白、微粒、作業性大
しみ、白華なし、作業性大
塗
塗
陶
磁
器
模 型
使 用 型
α・半水
β・半水
高温で発色不純物少なく、硬化体の強度大、膨張小、
耐磨耗性大、気泡少、肌面なめらか
ガ
ラ
ス
研 摩
る つ ぼ
α・半水
β・半水
粗粒なし、強度大、膨張小、流し込み時間大
医
療
歯 科 用 模 型
一般用
外科 ギブス
α・半水
β・半水
強度大、膨張小
適切な流し込み時間
機
械
模 型
鋳 型
α・半水
流し込み時間長い、強度大、膨張小
流し込み時間長い、強度大、膨張大
ト
凝 結 調 節
膨 張 セ メ ン ト
二 水
無 水
セメントの水和を妨害する不純物を含まないこと
セ
メ
ン
工
芸 塑
像
β・半水
純白、作業性大、しみ、白華なし
食
品 豆
腐
二 水
高純度、微細、有害物を含まない
農
業 特
料
二 水
中性で水に溶解し、植物に吸収されやすいこと
用 土 壌 改 質 材
β・半水
中性で、土壌と混合した際に強度を発現すること
土
木
殊
肥
─7─
1.1.5
わが国の石膏ボードへの原料の利用状況
わが国では、天然石膏の埋蔵量が少なく、採掘条件、品質がよくないところに、昭和40年代後
半から化学石膏が大量に発生するに至り、国内の天然石膏は、昭和52年を最後に利用されていな
い。昭和50年以後大量の排煙脱硫石膏が発生し、その後の石膏ボード生産量の拡大を支えること
となった。また、昭和60年以後の需要増に対しては、海外からの天然石膏の輸入で対応し、現在
に至っている。
平成22(2010)年のわが国の石膏ボード用の石膏使用量は、先述のようにおよそ408万トン、
生産量は4億4千万× であるが、北米ではわが国の約4倍が消費されている。同年には全世界で表
1−5にある通り石膏が1億4千6百万t生産され、そのうち石膏ボードの生産量は75億× である。
表1−4
石膏ボード原料使用割合
(単位:千t)
平成
年度
国産
原料
18
19
20
21
22
排脱石膏
1,704
(32%)
1,581
(32%)
1,717
(38%)
1,521
(40%)
1,689
(41%)
その他
1,475
(29%)
1,454
(30%)
1,339
(30%)
1,094
(28%)
1,193
(30%)
小計
3,179
(61%)
3,035
(62%)
3,056
(68%)
2,615
(68%)
2,882
(71%)
─8─
輸入
廃石膏
ボード
1,785
(34%)
1,538
(32%)
1,163
(26%)
985
(25%)
940
(23%)
285
(5%)
291
(6%)
263
(6%)
255
(7%)
254
(6%)
合計
5,249
4,864
4,482
3,855
4,076
表1−5
石膏;世界の生産量
生産量(単位:千t)
アメリカ
アルジェリア
アルゼンチン
オーストラリア
ブラジル
カナダ
中国
エジプト
フランス
ドイツ
インド
イラン
イタリア
日本
メキシコ
ポーランド
ロシア
サウジアラビア
スペイン
タイ
トルコ
イギリス
その他
合計
[2009年]
[2010年]
9,400
1,700
1,300
3,500
1,920
3,540
45,000
2,500
2,300
1,898
2,600
13,000
4,130
5,750
5,760
1,500
2,900
2,100
11,500
8,500
3,100
1,700
11,400
9,000
1,700
1,300
3,500
1,900
3,500
45,000
2,500
2,300
1,900
2,500
13,000
4,100
5,800
5,800
1,500
2,900
2,100
11,500
8,500
3,100
1,700
11,000
148,000
146,000
(米国地質調査協会資料)
─9─
1.2
建築材料としての石膏ボード
石膏ボードは、石膏を芯材としてその両面を石膏ボード用原紙で被覆し、板状に成形した内装
材で、建築材料としては、防火、耐火、遮音その他の非常に優れた特性を有している。第二次世
界大戦後の進駐軍用途に始まり、その後の生活様式の変化に伴い、急速に普及し、現在では、建
築物において不可欠な資材となっている。
火災の際には、石膏に含有される約21%の結晶水が、伝熱の防止、延焼の抑制に効果があるた
め、建築基準法に基く防火材料として不燃材料、準不燃材料に認定されている。さらに、石膏ボ
ードは、防火・耐火・遮音構造の主要構成材料として利用されている。
1.2.1
石膏ボードの製造
石膏ボードの製造設備は、石膏の焼成、成形したボードの乾燥及び加工設備があり、いずれも
装置化され、各設備は自動的に接続した形態となっている。
したがって、石膏ボードの製造は、石膏原料の受入れから石膏ボード製品の完成まで合理化さ
れた連続生産方式が用いられている。
(図1−2参照)
受入れた石膏原料は、焼成装置で焼石膏となり、サイロに貯蔵される。焼石膏と添加剤、混和
材料が自動供給装置によってミキサーに送込まれて、水と混合され、石膏スラリーとなり、これ
が、連続的に送り出される表紙と裏紙との間に流し込まれて、板状の形態に成形される。成形さ
れたボードは、コンベヤによって運ばれ、その終点において粗切断され、硬化終了時間に乾燥工
程に移される。
乾燥機は、成形された石膏ボードを自動的、連続的に乾燥する設備である。乾燥後は、所定の
長さに切断し、倉庫に格納する。
石膏ボードの加工は、成形工程において加工する方法と成形後に加工する方法がある。成形工
程中に加工するものとしては、石膏ラスボードの型押しなどがあり、成形後に加工するものとし
ては、化粧石膏ボードの化粧加工や吸音用あなあき石膏ボードの穴開けなどがある。
石膏ボードを貼合わせてパネルにしたり、他種建材と複合させて使用する場合なども成形後に
加工することになる。加工する際には、切断機、穴開け機、プレス機、塗装機などの加工装置及
び梱包機などを使用して製品化している。
─ 10 ─
焼成設備
成形設備
乾燥設備
ボード用裏紙(8)
原
料
石
膏
(1)
ド
ラ
イ
ヤ
ー
(2)
焼
粉
サ
成
砕
イ
炉
(3)
機
(4)
ロ
(5)
ミ
キ
ー
(7)
(2)
付着水分を取りのぞくため熱風をあて乾燥させる。
図1−2
機
(9)
ボ
ー
ド
用
表
剤 紙
(6)(8)
(3)
乾燥した原料を自動秤量機で計量しつ
つ焼成炉に原料を投入し焼成する。焼
成したものは、自動的に取り出される。
(1)石膏を原料として入手する。
原料検査など品質検査を行う。
形
サ
(5)
焼成された石膏は、混
サイロに入れられ 和
貯蔵され、ボード 材
の成形に必要なだ 料
・
けミキサーに送ら 添
加
れる。
(4)
焼成した石膏を微粒子
にするため粉砕する。
成
ベ
ル
ト
コ
ン
ベ
ヤ
ー
(10)
カ
乾
ッ
燥
タ
ー
(11)
検
機
(12)
(11)ボードの硬化
を待って粗切
断される。
(10)形成されたボードはベル
ト上で硬化される。
(9)サンドイッチされた石膏
ボードを形成する。
査
(13)
(13)製品は所定の寸法に
切断され製品検査を
待って倉庫に保管さ
れる。
(12)切断されたボードは
自動転送機によって、
乾燥機に送り込まれ、
乾燥される。乾燥温
度は120℃くらいから
徐々に引き下げられ、
取り出される段階で
は常温となる。
(8)ミキサーでつくられたスラリーを表裏
2枚のボード用原紙でサンドイッチする。
(7)ミキサーでは焼成された石膏と混和材料・添加剤を
水で混ぜスラリーをつくる。
(6)ボードの成形に必要な混和材料、添加剤が混合され、
自動秤量機によってミキサーに送られる。
石膏ボード製品製造工程例
─ 11 ─
表1−6及び図1−3にわが国の石膏ボードの品種別生産量と、製品厚の割合を示す。生産量は
4億× 台でやや増加傾向にあり、80%以上がレギュラーボードである。また、厚手化が着実に進
み、12.5mm以上のものが60%を超えていることが分かる。
表1−6
石膏ボードの品種別生産推移
(単位:m2,%)
品 種 別
適 用
平成19年
平成20年
平成21年
平成22年
平成23年
石 膏 ボ ー ド
合
計
生 産 量
対前年比
568,773,098 520,117,948 439,928,257 441,081,423 469,204,976
106.4 100.3 84.6 91.4 96.9 レギュラーボード
生 産 量
対前年比
生産割合
460,232,754 420,707,207 355,226,032 356,155,827 371,255,420
104.2 100.3 84.4 91.4 97.4 79.1 80.8 80.7 80.9 80.9 化
粧
石 膏 ボ ー ド
生 産 量
対前年比
生産割合
35,406,425
91.9 6.2 30,859,662
87.2 5.9 25,772,006
83.5 5.9 25,435,379
98.7 5.8 31,189,730
122.6 6.7 石
膏
ラ ス ボ ー ド
生 産 量
対前年比
生産割合
3,030,467
81.9 0.5 2,292,009
75.6 0.5 1,636,851
71.4 0.4 1,336,750
81.7 0.3 1,353,588
101.3 0.3 シ ー ジ ン グ
石 膏 ボ ー ド
生 産 量
対前年比
生産割合
23,512,254
95.0 4.2 20,242,082
86.1 3.9 15,377,663
76.0 3.5 14,282,698
92.9 3.2 14,684,434
102.8 3.1 強
化
石 膏 ボ ー ド
生 産 量
対前年比
生産割合
36,275,247
98.1 6.4 36,044,940
99.4 6.9 32,650,867
90.6 7.4 36,207,271
110.9 8.2 42,168,956
116.5 9.0 硬
質
石 膏 ボ ー ド
生 産 量
対前年比
生産割合
10,315,951
102.0 1.8 9,972,048
96.7 1.9 9,264,838
92.9 2.1 7,663,498
82.7 1.7 8,552,848
111.6 1.8 %
100
厚さ
80
15mm以上
60
12.5mm
40
9.5mm
7mm
20
0
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23
平成(年)
図1−3
石膏ボード製品厚手化傾向の推移
─ 12 ─
1.2.2
石膏ボードの規格および建築基準法上の扱い
1)石膏ボードの規格は、昭和26(1951)年にJIS A 6901(石コウボード)が制定されたが、そ
れ以来、製造技術と施工方法の進展、使用材料の変化に対応して、昭和35(1960)年JIS A
6906(セッコウラスボード)
、昭和41(1966)年JIS A 6301(吸音用あなあきせっこうボード)
、
昭和48(1973)年JIS A 6911(化粧せっこうボード)
、昭和53(1978)年JIS A 6912(シージン
グせっこうボード)
、昭和56(1981)年JIS A 6913(強化せっこうボード)が順次それぞれ制
定され、その後、数次の改正を経たが、平成6(1994)年には、使用、消費者の保護、規格相
互間の整合性の確保、国際規格との整合性などの必要性から、せっこうボード製品規格全般の
見直しを行い、規格全体としてはJIS A 6901を改正して、せっこうボード製品とし、その中に
せっこうボード、せっこうラスボード、化粧せっこうボード、シージングせっこうボード、強
化せっこうボードを種類として内含する形に統合され、平成9(1997)年に国際規格との整合
化が図られ今日に至っている。
更に平成17(2005)年には、建築製品の高機能化の時代的な要請にこたえて、JIS A 6901の
中に、新たに、普通硬質せっこうボード、シージング硬質せっこうボード、化粧硬質せっこう
ボード、構造用せっこうボード及び吸放湿せっこうボードの5種類が追加された。
また吸音材料であるJIS A 6301(吸音用あなあきせっこうボード)は、平成6(1994)年に
は吸音材料全体の規格が吸音材料として制定され、その中の一種として取り扱われることとな
った。
2)石膏ボードの建築基準法上の扱いは、昭和34(1959)年建築基準法の改正により、はじめて
建築材料に対する防火試験方法が定められ、準不燃材料、難燃材料に位置付けされた。さらに、
昭和44(1969)年の建築基準法の改正により、第1次防火材料として不燃材料、準不燃材料、難
燃材料の認定を取得、近年におよんでいるが、昭和54(1979年)
、防火性能上の見地から既認定
全難燃材料を全て取消し、工業会の認定は不燃材料8件、準不燃材料10件となった。
平成12(2000)年6月の建築基準法改正では、防火試験方法についてもISOとの整合が図ら
れ、認定番号も全面改訂されることとなった。また、石膏ボードは、ホルムアルデヒドを発散
する建築材料を定める告示(令20条の5)の規制対象外となっているため、内装仕上げの使用
面積の制限を受けることなく使用することができる。
─ 13 ─
1.2.3 石膏ボードの種類
表1−7に今日までに工業標準化された製品の種類と概要を示す。
表1−7
種 類
記 号
工業標準化法
石膏ボード製品の種類と概要
建築基準法の防火材料
規格番号 厚さ
(㎜) 認定番号
NM―8619
重量8.1kg/㎡以上
比重0.65以上
NM―8612
重量9.6kg/㎡以上
比重0.80以上
9.5
QM―9828
重量6.1kg/㎡以上
比重0.65以上
9.5
重量6.3kg/㎡以上、比
重0.7以上、有機質充填
NM―8618 材1%以下のボードに石
膏プラスターを3㎜以上
塗ったもの
12.5
15.0
石膏ボード
GB―R
シージング石膏ボード
GB―S
重量7.2kg/㎡以上、
QM―9826 比重0.8以上、
有機質充填材2%以下
9.5
12.5
15.0
16.0
QM―0493
*3
12.5
15.0
16.0
NM―9639*1
NM―9346*2
*3
*2
概 要 ・ 特 徴
主な使用部位・用途
重量等
壁・天井下地防火・
準耐火遮音構造の
構成材
石膏を芯として、
その両面及び
長さ方向の側面をボード用原
紙で被覆成形したもの
石膏プラスター塗装
の下地材
両面の石膏ボード用原紙及び
浴室など屋内
芯の石膏に防水処理を施した 台所、
天井及び外壁
もので、GB―Rに比較して吸水 の壁、
時の強度低下が生じにくいも の下地材
の
12.5
15.0
16.0
18.0
21.0
25.0
重量9.0kg/㎡以上、
NM―8615 比重0.75以上、
有機質充填材を混入
9.5
NM―8617
12.5
NM―0128*1
NM―1734*2
9.5
重量6.3kg/㎡以上、
QM―9824 比重0.7以上、
有機質充填材1%以下
9.5
QM―0524*1
QM―9072*1
*3
不燃積層石膏ボード
GB―NC
9.5
NM―1864*1
NM―0441*1
NM―2816*2
NM―2817*2
*3
GB―Rの表面紙を不燃性石膏 壁及び天井の下地材
ボード用原紙にしたもの
普通硬質石膏ボード
GB―R―H
9.5
12.5
15.0
NM―9645*1
NM―9692*1
NM―1908*1
NM―1139*2
*3
間仕切、通路、廊下
耐衝撃性がGB―Fの約1.2倍以
などの壁、腰壁及び
上、曲げ破壊荷重がGB―Rの
防耐火遮音各種構
約1.3倍以上硬質なもの
造材の下地材
シージング硬質石膏ボード
GB―S―H
9.5
12.0
15.0
16.0
NM―9364*1
NM―1139*2
*3
GB―R―Hの性能を保持したま 屋内の壁、
天井及び
ま、
防水処理を施したもの
外壁の下地材
強化石膏ボード
GB―F
JIS
A6901
石膏ラスボード
GB―L
化粧石膏ボード
GB―D
GB―Rの芯に無機質繊維など 壁及び天井の下地
準耐火・耐火・遮
を混入し、
耐火性、
耐衝撃性の 材、
音性構造の構成材
向上を図ったもの
厚さ7mm以上、重量4.6
∼5.3kg/㎡、比重0.7の GB―Rの表面に長方形の窪み 石膏プラスター塗装
の下地材
GB―Lに石膏プラスター をつけたもの
を8㎜以上塗ったもの
*3
─ 14 ─
GB―Rの表面を化粧加工したもの 壁及び天井の仕上材
化粧硬質石膏ボード
GB―D―H
12.5
15.0
重量9.6kg/㎡以上、
NM―8614 比重0.8以上、
有機質充填材混入せず
12.5
15.0
NM―1139*2
9.5
重量6.3kg/㎡以上、
QM―9824 比重0.7以上、
有機質充填材1%以下
9.5
NM―1139*2
GB―St―A
12.5
15.0
GB―St―B
12.5
15.0
16.0
18.0
21.0
25.0
構造用
石膏ボード
GB―R―Hc
JIS
A6901
GB―S―Hc
吸放湿
石膏ボード
*3
GB―R―Hの性能を保持したま 壁及び天井の仕上
げ材
ま、
表面化粧を施したもの
*3
く
GB―Fの性能を保持したまま、
ぎ側面抵抗を750N以上にした
もの
重量9.0kg/㎡以上、
NM―8615 比重0.75以上、
有機質充填材を混入
耐力壁用の面材
く
GB―Fの性能を保持したまま、
ぎ側面抵抗を500N以上にした
もの
12.5
15.0
NM―0530*1
NM―9417*2
*3
9.5
QM―0172*1
QM―9071*2
*3
12.5
15.0
16.0
NM―0530*1
*3
9.5
QM―0172*1
*3
12.5
15.0
NM―0530*1
NM―9455*2
*3
9.5
QM―0172*1
QM―9086*2
*3
吸放湿性能によって
GB―R、GB―S等の性能を保持 室内湿度を一定範
したまま、吸放湿性能を約3倍 囲内に保つ壁、
天井
に高めたもの
の下地材及び仕上
GB―D―Hc
09.5
12.5
15.0
16.0
18.0
21.0
25.0
GB―F―Hc
GB―S―Hc
その他
各品種(不燃、
準不燃)
の認定番号
吸音用あなあき石膏ボード
重量6.0kg/㎡以上、
QM―9827 不燃性シートを裏打ちし GB―Rに吸音用に貫通した穴
(φ
たもの
6㎜)
を22㎜ピッチに均等に加
工し不燃性シートなどで裏張り
重量6.0kg/㎡以上、
―
クラフト紙を裏打ちしたも したもの
の
化粧石膏吸音ボード
重量6.0kg/㎡以上、
(φ
QM―9822 不燃性シートを裏打ちし GB―Rに吸音用に貫通した穴
10㎜以内)
をランダムにまたは
たもの
等間隔に加工し、
不燃性シート
重量6.0kg/㎡以上、
などで裏張りしたもので、表面
クラフト紙を裏打ちしたも を化粧加工したもの
―
の
特殊石膏吸音ボード
JIS
A6301
9.5
12.5
天井の仕上げ材
重量5.0kg/㎡以上、
(φ
GB―Rに吸音用に貫通した穴
QM―9825 施工時に右記の充てん 13.4㎜)
を24.0㎜ピッチに均等
材料を裏張りしたもの
に加工したもので、裏面にロッ
クウールフェルトまたはグラスウ
重量5.0kg/㎡以上、
ール保温材を施工時に裏張り
―
充てん材料なし
したもの
*1:吉野石膏㈱の個別認定商品です。 *2:チヨダウーテ㈱の個別認定商品です。 *3:個別認定商品ですので、
認定条件は各社にお問合せ下さい。
※NM:不燃材料 QM:準不燃材料
─ 15 ─
a. 石膏ボード(GB-R)
●寸 法
石膏ボード(GB-R)に規定されている寸法には各種のものがあるが、普及しているものとし
て910×1,820、910×2,420、910×2,730などとなっている。これを適当な寸法に切断して使用する
場合もある。
厚さは、9.5mm、12.5mm、
石膏
15mm
ボード用原紙
図1−4
石膏ボード(GB-R)断面図
厚さは、9.5mm、12.5mm、15mmの3種類で、現在は12.5mmのものが最も多量に利用されてい
るが、用途によって、壁、間仕切りなどには、さらに厚いものを用いる方が有利な場合がある。
寸法については、幅が1,210mmのものまで、長さは3,600mm程度のものまでが、生産可能とな
っている。
表1−8
長 さ
石膏ボード(GB-R)の寸法
(単位:mm)
幅
606
910
1,210
1,820
−
○
−
2,420
○
○
○
2,730
−
○
−
3,030
−
○
−
表1−9
厚 さ
石膏ボード(GB-R)の厚さ、許容差
(単位:mm)
許 容 差
厚さ
幅
長さ
±0.5
0
−3
+3
0
9.5
12.5
15
─ 16 ─
●色 彩
色彩について特に規定はないが、現在市場に出回っている石膏ボード(GB-R)は、表面がク
リーム色である。クリーム色のものは、表面のみクリーム色で、裏面はグレーの紙を使用してい
るのが普通である。
下地材として使用するための特注品として、ボードの表裏両面ともグレー色のものがある。ク
リーム色のものは、建築物の塗装によく用いられるクリーム系統の塗装を行う際に、塗り重ね回
数を減らすことができる。
●形 状
現在市販されている石膏ボード(GB-R)の大部分は、表面と裏面及び長さ方向の側面がボー
ド用原紙で被覆されている。これを一般に縁折(へり折り)品と呼んでおり、この型のボードが
普通品となっている。形状として図1−5の通り3種類ある。長さ方向の側面がテーパー状になっ
ているテーパエッジ品は、継目処理工法において、ジョイントコンパウンド処理をおこなうため
のもので、仕上げは強固な1枚壁となるためのものである。
表紙面
①スクェアエッジ
(通常のへり折り)
裏紙面
②テーパエッジ
③べベルエッジ
図1−5
石膏ボード(GB-R)のエッジ
●防火性
石膏ボード(GB-R)は、国土交通大臣の指定性能評価機関が建築基準法に基いて定める試験
を行い、それぞれ所定の条件に合格し、国土交通大臣より不燃・準不燃材料に認定され、告示に
おいても12mm以上は不燃材料に、9mm以上は準不燃材料に指定されている。
●断熱性
住宅用断熱材の測定方法により、石膏ボード(GB-R)の表面温度を測定し、熱抵抗を求めて
いる。その熱遮断性能は、界壁に使用した場合に気密性の高い空間が得られることからも高く評
価されている。
─ 17 ─
b. シージング石膏ボード(GB-S)
両面の紙と、芯の石膏に防水加工が施されており、外壁下見板、屋根下地、洗面所、台所等の
下地として使用することができ、一般に防水ボードあるいは耐水ボードと呼ばれている。一般の
石膏ボードと同様に用いることも可能である。防水性については、吸水するまでに普通の石膏ボ
ード(GB-R)よりも、多少の湿度であれば強度の低下が少ないことも特徴である。
石膏
厚さは、9.5mm、12.5mm、
防水剤
15mm、16mm
シージング石膏ボード用原紙(防水処理)
図1−6
シージング石膏ボード(GB-S)断面図
●寸 法
シージング石膏ボードに規定されている寸法は各種あるが、普及しているものとして
910mm×1,820mm、910mm×2,420mmなどである。厚さは9.5mm、12.5mm、15mm、16mmとな
っている。
表1−10 シージング石膏ボード(GB-S)の
寸法 (単位:mm)
長 さ
幅
表1−11 シージング石膏ボード(GB-S)
の厚さ、許容差 (単位:mm)
厚 さ
910
1,210
1,820
○
−
9.5
2,420
○
○
12.5
2,730
○
−
15
3,030
○
−
16
許 容 差
厚さ
幅
長さ
±0.5
0
−3
+3
0
●色 彩
表面紙の色彩は、普通の石膏ボード(GB-R)と識別が容易であるように青緑色である。
●防火性
防火材料として準不燃材料に適合する。
12.5mm以上では、不燃材料もある。
●防水性
シージング石膏ボードを水中に浸し、または片面より水をあて、吸水時間と吸水量により防水
性を判別している。
●断熱性
住宅用断熱材の測定方法により、シージング石膏ボードの表面温度を測定し熱抵抗を求めてい
る。
─ 18 ─
c. 強化石膏ボード(GB-F)
石膏ボードの芯にあたる部分に無機繊維材料を混入したもので、欧米においては、一般にタイ
プX(Special fire-resistant)と呼ばれ、普通の石膏ボードより高い防火性能を有する。わが国で
は、一般に強化ボードと呼んでいる。
建築物の防火安全性を確保する上で、強化石膏ボードは、防火構造、準耐火構造、耐火構造材
料として使用されている製品である。
図1−7
強化石膏ボード(GB-F)断面図
●寸 法
普及しているものとしては、910mm×1,820mm、910mm×2,420mm、910mm×2,730mmなど
が多く使われているが、厚さ21mm以上品は606mm巾が標準となっている。厚さは、12.5mm、
15mm、16mm、18mm、21mmなどがある。
表1−12
長 さ
強化石膏ボード(GB-F)の寸法
(単位:mm)
幅
606
910
1,210
1,820
○
○
−
2,420
○
○
○
2,730
○
○
−
3,640
○
○
−
表1−13
厚 さ
強化石膏ボード(GB-F)の厚さ、許容差
(単位:mm)
許 容 差
厚さ
幅
長さ
±0.5
0
−3
+3
0
12.5
15
16
18
21
25
─ 19 ─
●色 彩
普通の石膏ボードと区分し、表面はサンドベージュ色、裏面はグレー色の紙を使用しているも
のが多い。
●耐衝撃性
JISに規定する球形おもりを落下させ、くぼみの直径が規格値以下で、かつ、貫通してはなら
ない。
●形 状
普通の石膏ボードと原則的には同じである。
●防火性
防火建築材料として不燃材料に適合する。
●耐火炎性
火災時の高温に耐えられるよう1000℃の火災をボード両面より当て材料の強度で耐火炎性を判
別している。
強化石膏ボード開発の背景
石膏ボードは、石膏自体の防火性、寸法安定性などの特性を効果的に活かした材料で、
建築物の内装用下地材及び仕上材として広く用いられている。そのため、石膏ボードは
使用目的、使用場所も多岐にわたっており、それぞれの用途に適した製品があり、それ
らは昭和40年代までには、石膏ボード、石膏ラスボード、化粧石膏ボード、シージング
石膏ボードなどとしてJIS規格が制定されている。
石膏ボードは、近年中高層ビルや木質系住宅などの建築物の防火性向上の観点から、
さらに防火性の高いボードの開発が望まれるようになってきた。
アメリカにおいては、石膏の中にガラス繊維や高温に耐える混和材料を混入させた石
膏ボード、すなわちタイプX(Special fire-resistant)と呼ばれる高い防火性能を有する石
膏ボードが開発され、規格化(ASTM)されている。わが国においても、このような海
外の情勢を踏まえ、また、建築物の防火性向上の背景より、約25年前から無機繊維材料
を混入した石膏ボードの開発が進められてきた。
強化石膏ボードは、以上の経緯を踏まえ建築物の防火性の向上を図るため、タイプXと
同等以上の防火性能を有するボードとして製造されることとなり、昭和56(1981)年にJIS
規格として制定された。
また、強化石膏ボードは、法定防火材料の認定を得ている他、防火構造、準耐火構造、
耐火構造及び遮音構造の主要な構成材料として活用されている。
─ 20 ─
d.
石膏ラスボード(GB-L)
石膏ラスボードは、石膏ボード用プラスターの塗下地として使いやすいように加工したもので
ある。
現在規格化されている石膏ラスボードの種類、寸法を表1−14、表1−15に示す。
表1−14 石膏ラスボード(GB-L)
の寸法 (単位:mm)
幅
長 さ
910
1,820
○
2,420
○
備考1
GB-Lのくぼみは、幅7mm、長さ20mm、深さ5mmを標準とし、面積
約90× につき1つ以上、全板におおむね均等に分布したものとする。
表1−15
石膏ラスボード(GB-L)の厚さ、許容差 (単位:mm)
種 類
厚 さ
型押しラスボード
9.5
許 容 差
厚 さ
±0.5
幅
長 さ
0
+3
−3
0
※JIS規格外で、型押しラスボードの厚さ7mm品、平ラスボード(型押されていないラス
ボード)の厚さ7mm品、9.5mm品もある。
●型押しの有無
石膏ラスボードは、加工の仕方で、型押しラスボードと平ラスボードとがあるが、現在用いら
れているものはほとんどが型押しラスボードで、一般にはニューラスボードと呼ばれている。平
ラスボードは、外観的には石膏ボードと称して市販されているものと同様で、薄塗り用石膏プラ
スターの塗下地に用いられる。
●寸 法
大きさは、JISにおいては各種の寸法があり、使用場所によって各種のものが用いられるが、
下地などの関係から910mm×1,820mmがもっとも多く使われている。もちろん切断も容易で、
任意の寸法に切断して使用できる。
厚さは現在の規格では9.5mmであるが、壁下地であるから、強度の点からいっても厚物を使用
することが望ましい。7mmは規格外品で9.5mmのものが規格品となっている。
8 mm
ボード用
石膏
プラスター
7 mm
石膏
ラスボード
3mm
9.5 mm
厚さは、7mm、9.5mm
図1−8
石膏ラスボード(GB-L)下地石膏プラスター塗断面図
─ 21 ─
薄塗用
石膏
プラスター
石膏平
ラスボード
●防火性
石膏ラスボードは、石膏プラスターとの組合せで、いずれの場合でも防火材料として不燃材料
に適合する。
e.
化粧石膏ボード(GB-D)
石膏ボードの表紙面にあらかじめ印刷加工した紙を用いたものや、化粧石膏ボード用原板とし
て製造した板に印刷加工した紙や樹脂を基材としたシートなどを張り合わせたもの、塗装、型押
し凹凸などで加工したもので、これらを総称して化粧石膏ボードと呼んでいる。
製造工程、形状、模様などメーカーごとに異なっているが、だいたいにおいてホワイト系統、
クリーム系統、グレイ系統、グリーン系統のものが多く、模様も小柄または無地に近いものがほ
とんどであるが、和室向けの木目、まさ目模様から洋室向けの虫食い模様、抽象柄まで、多種類
のものが出回っている。
いずれも特長は、石膏ボード施工後仕上げを要しないことであるが、そのため施工にはこの化
粧石膏ボードに適した色に着色したカラーネイル、カラースクリューを用いるか、接着材を用い
た施工を行なって、表面の美観を損わないようにする必要がある。
化粧石膏ボードは、それぞれ洋室、和室の壁、天井に向くように製造されているが、色彩、寸
法などにそれぞれ特長があり、使用に当たっては、その特長を生かして選択することが大切であ
る。
また天井、壁とも下地材がセットされているものもある。
●寸 法
厚さは、9.5mm、12.5mmが標準で、サイズは、壁、天井により異なるが、天井用でも和室向
の場合は、440mm×1,820mm、2,420、2,730、3,640mm、洋室向の場合は、455mm×910mm、
910mm×910、1,820mm、壁用では、606mm×2,420mm、910mm×1,820、2,420、2,730mmなど
となっている。
表1−16
長 さ
化粧石膏ボード(GB-D)の寸法
(単位:mm)
幅
440
455
606
910
1,210
910
−
○
−
○
−
1,820
○
○
−
○
−
2,420
−
○
○
○
○
2,730
○
○
−
○
−
3,640
○
−
−
−
−
─ 22 ─
表1−17
化粧石膏ボード(GB-D)の厚さ、許容差
(単位:mm)
許 容 差
厚 さ
厚 さ
幅
長 さ
±0.5
0
−3
+3
0
9.5
12.5
15
●防火性
防火材料として9.5mm品は準不燃材料に適合するが、9.5mm品の一部と12.5mm以上のものに
は不燃材料に適合するものもある。
●耐変退色性
化粧面の変退色性を紫外線カーボンフェードメーターを用い、変退色の度合を判別しているが、
一般に表面を二次加工したものの方が、普通プリントものより耐変退色性が高い。
●耐衝撃性
化粧石膏ボードはそのままで仕上材となり、壁面に用いられる場合衝撃の加わる場合もあるの
で、鋼球を所定の高さから落し、ボード面に与えた損傷により判別している。表面に型押しした
もの以外に適用する。
f.
不燃積層石膏ボード(GB-NC)
石膏ボードの表紙に不燃性の原紙を用いたもので、9.5mm厚で不燃材料に適合する。内装制限
で不燃を要求される壁・天井の下地材として、また型押し塗装加工した不燃化粧ボードは天井材
としても使用されている。平成9(1997)年にJIS規格として追加制定された。
不燃性原紙(表紙のみ)
石膏
図1−9
不燃積層石膏ボード(GB-NC)の断面図
●寸 法
厚さは9.5mmのみで、寸法は表1−18に示す。
─ 23 ─
表1−18
不燃積層石膏ボード(GB-NC)の寸法
(単位:mm)
長 さ
幅
455
606
910
1,210
910
○
−
○
−
1,820
−
−
○
−
2,420
−
○
○
○
2,730
−
−
○
−
g. 普通硬質石膏ボード(GB-R-H)
石膏ボード(GB-R)の性能を保持向上したもので耐衝撃性が強化石膏ボート(GB-F)の約1.2
倍以上、曲げ破壊荷重が石膏ボード(GB-R)の約1.3倍以上硬質な石膏ボードであり、間仕切壁、
通路、廊下などの壁、腰壁及び防・耐火・遮音の各構造体の下地材に適した製品である。寸法や
形状は石膏ボードと同じである。
h. シージング硬質石膏ボード(GB-S-H)
普通硬質石膏ボード(GB-R-H)の性能を保持したまま、防水処理を施した石膏ボードであり、
屋内の多湿箇所の壁、天井及び外壁の下地材に適した製品である。寸法や形状はシージング石膏
ボード(GB-S)と同じである。
i. 化粧硬質石膏ボード(GB-D-H)
普通硬質石膏ボード(GB-R-H)の性能を保持したまま、表面化粧を施した石膏ボードであり、壁
及び天井の仕上げに適した製品である。寸法や形状は化粧石膏ボード(GB-D)と同じである。
j. 構造用石膏ボード(GB-St-A、GB-St-B)
強化石膏ボード(GB-F)の性能を保持したまま、くぎ側面抵抗を強化したもので、くぎ側面
抵抗を石膏ボード(GB-R)の約2倍に強化したものが構造用石膏ボードB種(GB-St-B)
、約3倍に
強化したものが構造用石膏ボードA種(GB-St-A)であり、耐力壁用の面材に適した製品である。
寸法や形状は強化石膏ボード(GB-F)と同じである。
k. 吸放湿石膏ボード(GB-R-Hcなど)
各種石膏ボード(GB-R、GB-S、GB-F、GB-Dなど)の性能を保持したまま、吸放湿性能を約3
倍に高めた石膏ボードであり、記号は末尾に「Hc」を付けGB-R-Hc、GB-S-Hc、GB-F-Hc、GB-DHcなどとしている。吸放湿性能によって室内湿度を一定範囲内に保つのに適した壁、天井の下
地材及び仕上げ材に適した製品である。寸法や形状は各種石膏ボード(GB-R、GB-S、GB-F、
GB-Dなど)と同じである。
─ 24 ─
l. 吸音用あなあき石膏ボード
●形 状
現在普及している吸音用あなあき石膏ボードは、石膏ボードに吸音用のあなをほぼ均等にあけ
たもので、あなが裏面まで貫通したものとなっている。あな数、あな径の異なるものは、別に述
べる。
(単位:mm)
ボード用原紙
22
6
0.6
6
石膏
9.5
裏打ち材料
図1−10
吸音用あなあき石膏ボード
図1−11
ボード用原紙
吸音用あなあき石膏ボード断面図
●寸 法
普通あな径6mmでピッチ22mmにあなあけされたもので、厚さは9.5mm、12.5mm、サイズは、
最も小さいもので455mm×910mmから最大910mm×1,820mmまでのものがある。これらの他に
も、切断することによって、特殊な寸法のものを製造することはできるが、あなの位置との関係
を無視できないので、任意の寸法に切断することは避けたほうがよい。寸法によっては最外列の
あなと、ボードの端との距離(耳と呼ぶ)が極端に広くなったり、また逆に狭くなったりして、
外観や施工上に不都合を生じることがあり、ボードの端があなの列にかかったりすることがある
ので、規格品を用いるのが便利である。
表1−19
厚 さ
9.5
12.5
幅
長 さ
455
910
910
455
910
910
910
910
1,820
910
910
1,820
表1−20
あな径
(mm)
6
ピッチ
(mm)
22
吸音用あなあき石膏ボードの寸法、許容差
(単位:mm)
厚 さ
幅
長 さ
±0.5
0
−3
+3
0
吸音用あなあき石膏ボードのあな径、ピッチ
開孔率
(%)
5.8
許 容 差
許 容 差
あな径
(mm)ピッチ
(mm)開孔率
(%) (個)
幅×長さ
(mm)
20×40
455×910
40×40
910×910
40×80
910×1820
±0.5
±0.5
─ 25 ─
あなの数
±10
●裏打ち材料
吸音用あなあき石膏ボードは、裏面に不燃性のシートなどで裏張りを行って使用するのが普通
で、特に指定しない限り、必ず裏面は、裏打ち材料が張ってある。
裏張りの目的は、主として吸音目的、外観と天井からの塵埃の落下の防止であるが、裏張り材
によって、吸音効果に変化を与える材料もある。
グラスウール、ロックウールなどを裏側に挿入することによりさらに吸音効果をあげることが
できる。
●防火性
吸音材料としては数少ない防火性能を有するものの一つである。不燃性シートで裏張りを行なっ
たものは防火材料として準不燃材料に適合する。なお、裏打ち材料を張らない場合、またクラフ
ト紙を裏張りに張った場合は防火材料には適合しない。
m. 化粧石膏吸音ボード
石膏ボードに直径5mm∼10mm程度のあなを一定間隔にまたはランダムに開孔率5%程度にあ
け、表面は化粧石膏ボード同様白色系の塗装材で仕上げてある。他の吸音用あなあき石膏ボード
と同様不燃性シートを裏張りしたものは、準不燃材料である。
(単位:mm)
0.6
10
塗料
8
ボード用原紙
6
9.5
(注)あな径を一定
にあけたもの
0.6
図1−11参照
0.6
ボード用原紙
裏打ち材料
石膏
ボード原紙
塗料
10mm以内
0.6
9.5
0.6
図1−12
化粧石膏吸音ボード
0.6
ボード用原紙
裏打ち材料
石膏
図1−13 化粧石膏吸音ボード断面図
─ 26 ─
n. 特殊石膏吸音ボード
吸音用あなあき石膏ボードと同様、吸音を目的として特殊石膏吸音ボードがある。その代表的
な製品としては、あな径13.4mmピッチ24.0mmにあなあけされたもので厚さは9.5mm、寸法は
910mm×910mmのもので、裏面にはグラスウール吸音材またはロックウールフェルトを用いる
ことにより、準不燃材料となる。飛行場や高速道路周辺の騒音防止の必要性から、防衛施設庁、
文部科学省、国土交通省をはじめ地方自治体が、主に学校、病院、住宅の防音工事用に使用して
いる。
(単位:mm)
24.0
0.6
13.4
24.0
13.4
ボード用原紙
13.4
石膏
9.5
グラスウール吸音材(40)
またはロックウールフェルト
(25) ボード用原紙
図1−14
特殊石膏吸音ボード
表1−21
あな径
(mm)
ピッチ
(mm)
開孔率
(%)
13.4
24
24.5
図1−15 特殊石膏吸音ボードと他の
吸音材との組合せ
特殊石膏吸音ボードのあな径、ピッチ
許 容 差
あなの数
あな径
(mm)ピッチ
(mm)開孔率
(%) (個)
±0.5
±0.5
±10
32×36
幅×長さ
(mm)
910×910
o. その他の複合製品など
石膏ボードに他の特性を持った材料を張り合わせるなどして機能性を高めた2次製品がある。
表1−22
その他の機能性製品
複 合 製 品
機 能・用 途
ホルムアルデヒド吸収分解石膏ボード ホルムアルデヒド吸収分解
アルミ箔シート貼り石膏ボード 電磁波シールド、防湿、断熱
防 湿 シ ー ト 貼 り 石 膏 ボ ー ド 防湿
断 熱 材 貼 り 石 膏 ボ ー ド 断熱
遮音(制振)材貼り石膏ボード 遮音(制振)
鉛 シ ー ト 貼 り 石 膏 ボ ー ド 放射線遮蔽・遮音
金 属 板 貼 り 石 膏 ボ ー ド 外装パネル・パーティションなど
電 磁 波 吸 収 石 膏 ボ ー ド 電磁波吸収
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