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長期集団宿泊活動の 指導者の養成とマッチング
平成20年度 全国青少年体験活動全国フォーラム 生きる力を育成するために ~長期にわたる集団宿泊活動の推進 第五分科会 「長期集団宿泊活動の 指導者の養成とマッチング」 今井 正裕 はじめまして 今井 正裕(いまい まさひろ) 私の出身地:福井県生れ 大阪育ち(小学校~中学校~高校~大学) 財団法人大阪府青少年活動財団 企画推進室 勤務 大学時代 大阪府立総合青少年野外活動センターで 大学生ボランティアリーダーに従事 その縁で、現財団に奉職 事業部、研究開発部などの事務局 青少年海洋センター、野外活動センターの施設に勤務 現在に至る 1 折々での原体験 幼児期=福井県での野山、里山 小学校=愛知県稲沢市の田園風景 大阪府枚方市香里団地の防空壕跡 中学校~高校=野球漬けの毎日 大学=キャンプリーダーとの出会い 府立海洋センター時代=ヨットの競技スポーツへの挑戦 事業部に戻り、野外活動・キャンプ活動の指導者養成を 日本キャンプ協会 =平成12年度~ 専門委員 平成20年度~ 指導者養成委員長 今日の予定 1、分科会参加者の皆さんの情報・課題の共有 2、長期集団宿泊体験活動における 指導者の養成の事例 3、望ましい養成とは、 4、効果的なマッチングとは 5、まとめ 2 長期集団宿泊体験活動における 指導者の養成の事例 社団法人日本キャンプ協会の例 全国7会場で実施 福島・福岡・大阪・山口・静岡・千葉・愛知 受講料:6,000円~10,000円 参加定員:各回30名(各回満員) 使用テキスト:ディレクター必携 講師:日本キャンプ協会指導者養成委員 他専門委員 募集広報 全国会員 約20,000名に 広報誌(CAMPING=8月号)、HP、支部協会 を通じて 全国支部42協会を通じて(予告=5月頃より) 支部協会の会報、HP 支部協会での総会・研修会などの集まり 3 特色 野外教育の考え方をもとに 組織キャンプを中心としたキャンプの 普及振興、調査研究、指導者養成などに 取り組んできた、その実績を活かした講習 1、よいキャンプは、良い指導者から 2、キャンパーズ・ファーストの考え方 3、キャンプは社会的関わりの中で展開 4、アクティビティ指導から、全体コーディネートまで 5、グループワークの原理とレクリエーションの方法 長期体験活動の先行例 兵庫県 「自然学校」 昭和63年、全国に先駆けて、 県内全公立小学校5年生(約5万人)で実施(5泊6日間) 「学習の場を教室から豊かな自然の中へ移し様々な体験活動を」 千葉県千葉市 「農山村留学推進事業」 平成13年開始。 平成19年度は市内23校の6年生(約1,000人)が、 長野県内18市町村で実施。4泊5日のうち、2泊の民泊。 東京都武蔵野市「セカンドスクール」 平成4年、「夏季山村生活体験学習」として試行スタート。 長野県八坂村にて、夏休み期間中6泊7日、小6、中1、30名。 4 学校の課題 ①限られた人数での引率のためもあり “安全・安心”をとにかく最重要に考える ②変化のないプログラム=前年度踏襲 自分が子どもの頃の宿泊体験しか知らずに教員になってしまう ③専門的な指導ができる教職員の不足 ④教職員の経験不足 教員になってからも自分の支えになるような体験が少ない ⑤コーディネーターがいない 窓口になる先生、経験を蓄積した先生不在 学校が、自然体験活動指導者に期待するもの 1、安心して依頼できる指導者 ①(子ども達を指導するという点で)第一にどんな人か 人権教育の視点、言葉、対応 ②何ができる人か 教職員の足りない部分を指導して欲しい 子ども達への指導 プラス 教職員への指導 ③学校を知っている人か 学校独特の文化・価値観、学校の実情把握 ④確実な指導実績を有する人か 安定した組織・団体の所属を期待 5 学校が、自然体験活動指導者に期待するもの 2、成長の過程を理解している指導者 ①教職員は入学から卒業までの成長を考えている 発達課題という視点 ひとり一人の成長を支援する視点 ②青少年育成を考えている 地域に根ざした活動 地域の子どもの成長を支援する視点 懸念される課題 指導者の資質維持 限られた時間数、受講年齢 学校現場への導入促進 1週間の自然体験活動自体の導入 制度の浸透 構築システムの適切な運用ノウハウ蓄積 導入時の経費 指導者への謝礼、体験活動の経費 6 懸念される課題 受入側の準備 施設の整備、活動プログラムの開発、スタッフ教育 養成後の更新 社会状況に即応した指導者としてのスキルアップ 修了者の更新講習の有無 養成講習の内容 学校教育に関する部分の刷り合わせ 全体カリキュラム内容の改訂・見直し などなど 望ましい養成とは 1、連動性 養成 ⇒ 活用(配置) ⇒ 評価・検証 ⇒研修 2、品質性 上質で、均一で、しかし特色を持つ指導者 3、数量性 学校を支援するに足る、一定量の指導者 4、地域性 ⇒ 密着性 地域の実情(歴史、文化、風土、特徴) を理解する指導者 7 効果的なマッチングのためには 養成 ⇒ 活用(配置) ⇒ 評価・検証 ⇒ 研修 「どこが求めているのか」 「何を求めているのか」 「どこが養成しているのか」 「どこに存在しているのか」 「なにが問題なのか」 「なにが足りないのか」 これらの正しい把握と理解 これから学ばなくてはならないこと 1)対象者への対応 ○インストラクション →専門とする自然体験活動を究めていく 技術的なことはその指導方法を習得する ○カウンセリング →対象者の理解、状況の理解、積極的傾聴法 ○インタープリター →自然物、人と自然の関わりの解説 ○ファシリテーション →活動への興味関心を促す、一緒に楽しむ 8 2)学校との対応 ○プランナー・コーディネーター →学校の体験活動の目的・ねらいの理解 →学校があなたに求めている役割の理解 →現地に赴く先生方とのコミュニケーション ・事前準備での打ち合わせ ・現地の体験活動の組織での位置づけ ・緊急時の対応について →体験学習先の施設、環境の理解 →体験活動後のまとめ、報告⇒次年度にむけて マッチングのこれから 養成側・配置側による 連動性・品質性・数量性・地域密着性を 考えた養成 登録・紹介側による システムの効果的な周知(知らせる工夫) システムの一般化(単純化) システムの不具合を補うソフト面の充実 養成・配置・登録(紹介) 三者の綿密な連携 9 平成20年度 文部科学省委託事業 青少年体験活動総合プラン 小学校長期自然体験活動支援プロジェクト 自然体験活動指導者養成講習会 講習会の狙いと進め方 社団法人日本キャンプ協会 指導者養成委員会 自然体験活動指導者養成事業運営会議 日本キャンプ協会 今回の受講生の皆さん 自然体験活動指導者養成 21名 会員(有資格者)18名、会員以外3名 東京=5名、千葉=4名、神奈川=4名、埼玉=3名、 茨城=2名、福島・栃木・愛知=各1名 平均=49,6歳(最高齢70歳~30歳) ディレクター2級(PD) 9名 埼玉=3名、東京=2名、 新潟・神奈川・千葉・富山・=各1名 平均=31歳(41歳~21歳) 日本キャンプ協会 10 平成20年(2008年) 文部科学省 「青少年体験活動総合プラン」 「青少年の意欲向上・自立支援事業」 ・ 「省庁連携体験活動ネットワーク推進プロジェクト」を統合 農林水産省・総務省・文部科学省・環境省 連携 協力 支援 事業 「子ども農山漁村交流プロジェクト」 ~120万人・自然の中での体験活動の推進~ 小学校における農山漁村での長期宿泊体験活動を推進 3つのポイント ①長期の宿泊体験活動 ②農林漁家で民泊するなど農山漁村の生活体験 ③農林漁業体験を通して食の大切さを学ぶ 平成20年 青少年体験活動総合プランのスタート 【小学校長期自然体験活動支援プロジェクト】 1、自然体験活動指導者養成事業 今後 5年間で10万人を養成目標 全体指導者(24時間) ・ 補助指導者(4時間) 2、小学校長期自然体験活動プログラム開発事業 【青少年の課題に対応した体験活動推進プロジェクト】 1、意欲を育む自然体験推進事業 2、多様な場を活用した生活体験推進事業 11 自然体験活動指導者養成事業 指導者養成にあたっての文部科学省の指針(実施要領から) 1、募集対象 「学校が実施する長期自然体験活動を支援する意志がある者」 (募集案内などにその旨を明記) 2、修了時 「養成プログラム全体を適切に受講したと認める者に対し、 登録用紙記入後、修了証を発行する」 3、登録 修了者の氏名、及び連絡先情報は、文部科学省が指定する 期間・団体等に集約し、さらに都道府県教育委員会に情報提供 (独立行政法人国立青少年教育振興機構のHPでの紹介) 養成する指導者の種類は二種類 全体指導者(20歳以上) 小学校が実施する1週間の自然体験活動の計画に対して 助言を行う。 活動時に全体指導を行い、活動全体の様子を把握し、 終了後には 小学校が行う評価の際に助言を行う。 補助指導者(18歳以上) 全体指導者の指示で指導補助を行う。 12 「キャンプ」と「組織キャンプ」について 「キャンプ」 野外活動におけるキャンプとは、 ①自然環境の中で ②様々な野外活動や、自然体験活動等を目的に ③簡便な方法を用いて、 ④宿泊したり生活したりする、 ことである。 (キャンプ専門科目テキスト 1998 編:日本キャンプ協会) (キャンプディレクター必携 2006 編:日本キャンプ協会) 日本キャンプ協会 「組織キャンプ」とは ①社会的に責任のある組織・団体が、 ②何らかの教育的意図・目的を掲げ、 ③その目的が効果的に達成できるように ④十分な計画と準備を行い、 ⑤計画から実施にいたるプロセスにおいて ⑥キャンプの組織・責任・指導体制を明確にし ⑦キャンパーの正しい把握と理解に基づいて プログラムを展開し ⑧それら全てを統合してよりよく機能している キャンプ ~組織キャンプ研究会「キャンプその理論と実際」の定義より~ (キャンプディレクター必携 2006 編:日本キャンプ協会) 日本キャンプ協会 13 ここでの『自然体験活動』 『自然体験活動』とは 自然の中で、 自然を活用して行われる各種活動であり、 具体的には、 キャンプ、ハイキング、スキー、カヌーといった野外活動、 動植物や星の観察といった自然・環境学習活動、 自然物を使った工作や 自然の中での音楽会といった文化・芸術活動 などを含んだ総合的な活動である。 自然体験活動を取り扱う教育領域である野外教育を用いて 学校教育に関わると位置付けることもできる。 自然体験活動指導者養成事業 開催の趣旨(受講ブック2p) 次代を担う自立した青少年の育成を図るため、 小学校における長期自然体験活動の指導者養成など 必要な支援に取り組むとともに、 青少年の様々な課題に対応した体験活動を充実するため、 地域における経験豊かな人材や施設の協力を得て、 自然体験や生活体験等体験活動の機会を提供する モデルプログラムの開発や調査研究を実施し、 その成果や課題を全国に普及する。 そのために必要な、小学校が実施する1週間の自然体験活動 を支援するため指導者を養成する。 日本キャンプ協会 14 この講習会における到達目標 小学校が実施する1週間の自然体験活動の計画に対して 助言を行う。 活動時に全体指導を行い、活動全体の様子を把握する。 事前~活動時~終了後、補助指導者を掌握する。 終了後には 小学校が行う評価の際に助言を行う。 という、 このプロジェクトの趣旨・仕組みを理解し、 学校教育・学校現場を理解し、 このようなことができる知識・技術を習得する。 日本キャンプ協会 自然体験活動「全体指導者」養成では 24時間の講習時間があります プログラムディレクター(PD) 36時間 通信20時間 + 集合16時間(2泊3日) PD16時間 + 8時間=24時間を2泊3日で PDコースの受講科目に 「学校・学校教育の理解」 「安全管理の復習、最新情報」をプラス 日本キャンプ協会 15 『養成講習会』の基本コンセプト 講師を始めとして、 グループカウンセラー 受講生同士、 講習会スタッフ、施設スタッフ、ゲストなど 様々な人々により、 知識を習得し、役割を確認し、責任を自覚しながら、 『自然体験活動全体指導者として』 養成されていく三日間の養成講習会 日本キャンプ協会 講習の内容(24時間) 1、『学校教育における体験活動の意義』 (講義で2時間) ~今日の社会的環境、児童の現状、発達段階を踏まえ 体験活動の意義と必要性、教育的効果を理解する~ 2、『教育課程と体験活動の関連性』 (講義で2時間) ~教育課程における体験活動の意義と教育課程の 編成に体験活動を組み込む方法について理解する~ 3、『プログラムの企画立案』 (講義・演習で5時間) ~自然体験活動におけるプログラムの企画立案から 評価までの一連の流れや企画立案の方法を理解する~ 4、『自然体験活動の技術』 (実習で5時間) ~自然体験活動の技術を習得する~ 5、『体験活動の指導法』 (講義・演習で5時間) ~体験活動の基礎的な指導方法を理解する~ 6、『安全管理』 (講義で2時間、実習で3時間) ~安全管理の視点や安全計画の立案について理解するとともに 救急救命法の基本技術を習得する~ 日本キャンプ協会 16 本講習の進め方・学び方 ①講師による講義(レクチャー) ②講師による課題の提示 ③小集団(グループ)に分かれてのグループワーク (討議・合意形成・資料作成・発表・振返り など) ④グループカウンセラーによる 支援・指導・助言・補足・修正 + フィードバック ⑤受講生同士による自主研修・情報交換・交流交歓 ⑥宿泊施設・施設周辺での利用体験・活動体験 ⑦講習スタッフによる運営方法、指導方法からの学び ⑧受講生個人での、その日の『学び』・『気づき』の確認 日本キャンプ協会 学校に信頼される 『自然体験活動指導者』を、 皆さんと共に、創り出しましょう!! そして キャンプを通じて 学校教育を支援していきましょう 日本キャンプ協会 17