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久万高原林業参入森づくり協議会提案書 概 要 版 平成 22 年 3 月 26 日

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久万高原林業参入森づくり協議会提案書 概 要 版 平成 22 年 3 月 26 日
久万高原林業参入森づくり協議会提案書
概
要
版
(林業)
88
32
(参入)
平成 22 年 3 月 26 日
久万高原林業参入森づくり協議会
∼林業と建設業に明るい光が注ぎますように∼
写真は、久万高原町大川にて平成 21 年 11 月撮影
序文
久万高原町は古くから林業が盛んな地域であり、現在も地域住民の身近な生活環境と
して質・量ともに豊富な森林資源を有しています。しかし、近年の過疎・高齢化の進行
や木材価格の低迷などの影響により、森林整備が適正に行われていない状況も散見され、
大きな地域問題となっています。
一方、地域の主要産業である建設業は、社会基盤整備のみならず災害時の対応など防
災上の観点からも必要不可欠な産業ですが、住民ニーズの多様化、政権交代、公共事業
費の激減など、建設業を取り巻く社会情勢が大きく変化する中で、さらなる経営の合理
化や複業化への取り組みが求められています。
このため、厳しい経営環境となっている建設業者が、担い手不足が深刻化している林
業に参入することで、林業を活性化し地域の発展を促すことを目的として「久万高原林
業参入森づくり協議会」を設立し、検討、協議を重ねてまいりました。
その結果、久万高原地域における建設業者の林業参入の可能性は十分であり、参入を
促しその後も継続して施業できるよう支援する活動は、地域問題を解決するとともに、
低炭素社会の実現など地球環境問題にも資する有効な政策であるとの共通認識の下、本
提案書を作成いたしました。
この提案書は 6 項目の提案から成っており、その内容は、建設業者の施業に係る技術
力や意欲を向上させ、山林所有者、林業者との信頼関係を構築し、さらに木材の需要を
拡大するための具体的方策を載せています。
これらの提案について、久万高原町の多くの人々が地域を挙げて取り組むことにより、
建設業者と林業者が良きパートナーとなり、地域の主役として地域経済の活性化、次世
代に渡る雇用の受け皿となることを期待いたします。
久万高原林業参入森づくり協議会
久万高原林業参入森づくり協議会提案書
概要版
1 協議会の目的
○建設業者と林業者等が良きパートナーとなり、連携・協働することで
建設業と林業の活力再生や雇用の維持・拡大を行い地域の活性化を図ること
2 参入の可能性と課題の抽出
○建設業の経営環境は、公共事業費の激減などにより大変厳しい状況
○林業は、高齢化(率 43%)の進行や材価低迷により担い手不足が深刻化
○地球温暖化対策を含む森林の公益的機能を確保するためにも
持続性のある森林整備を行う体制づくりが求められており
早急に林業の担い手を確保する必要がある。
○建設業者が新しい担い手として林業に参入することで
両者の問題を補完することが可能となる。
○建設業者が異業種である林業に参入して施業を実施するための課題
・ 建設業者の森林施業技術力に対する不安の解消
・ 安定的な施業量を確保するため、木材の需要拡大方策を見つけること
・ 山林所有者の利益を確保するため、施業効率化等による施業コストの縮減
・ 初期投資の軽減、継続可能な施業形態など、建設業者の経営の安定化
2-1 木材市場の動向
○国内及び愛媛県において木材流通量が近年減少する中、
久万高原地域では、
・「久万林業活性化プロジェクト」を中心とする地域林業活性化策の効果で
・原木流通量は平成 20 年度に前年度から 2 万m3 の増加があり
安定した木材流通量を維持し、高い市場評価を受けている。
2-2 地域林業の産業ポテンシャル分析
○地域の森林整備計画において、今後 10 年間に
・植林・育林面積と作業路開設は、平成 19 年分の 6 倍強
・素材生産量は、平成 19 年分の 15∼40%増加するなど、
順調な増加が見込まれる。
○林業が地域経済に及ぼす影響について、詳細な調査に基づき分析の結果、
・平成 19 年度の森林施業事業 8 億円に対して、間伐、運送、販売、製材など
を含めた木材流通過程での1次的経済効果は、25 億円であり、
・地域内の個人や他産業への2次的経済効果は、7 億円と見込まれ、
・合わせて地域への経済効果は、32 億円と試算される。
1
○森林整備が計画どおり実施された場合、平成 29 年度には、森林施業事業費が
17 億円であることから、経済効果全体の試算額は、68 億円となる。
○このことから、地域内林業のポテンシャルは非常に高く
建設業者をはじめとした林業新規参入者の増加が期待されている。
2-3 林業参入に係る建設事業体の現状
○建設事業体にアンケート調査等を実施し、林業参入の期待や課題を知るとと
もに、経営規模、新規雇用の将来見込みなどを明らかにした。
・期待;余剰人員の活用、建設機械の活用、路網整備への建設業技術の活用
・課題;採算性に不安、初期投資が負担、作業単価の相違、作業の安全性、
仕事量の安定的確保
など
2-4 地域内素材生産業の現状と新規参入における課題
○地域内林業の担い手は、自伐林家から素材生産事業体へシフトする見込み
○したがって、建設業者の参入の可能性は高いが、
○路網に関する建設業と林業の概念の違いを理解した上で
施業規模、施業内容に見合った機械の選定が必要
3 成果目標の設定
○林業参入事業は今後も継続するので、平成 19 年度を基準年度とし、5 年後、10
年後の平成 24 年度、平成 29 年度を目標年度とした。
○地域内林業施業量は、中予山岳流域森林計画と久万林業活性化プロジェクト計
画による地域森林施業計画量の合計とし、この数値を基に新規雇用者数などの
目標値を算定した。
3-1 新規認定事業体数
○現時点(平成 21 年度末)での認定事業体数は 8 事業体、24 年度には 11 事業
体、29 年度には 14 事業体とする。(地域内の全建設事業体数 16 社)
3-2 新規雇用者数
○新規雇用可能者数は、平成 19 年度から平成 24 年度までで 104 人、平成 24 年
度から平成 29 年度までで 46 人の増加となる。
2
4 提案事項
4-1 施業基準マニュアルの策定
○久万地域の林業に新規参入する者は、伝統を尊重し自然との調和を図りつつ
活力ある森林を守り、それを次世代に継承しなければならない。
○具体的には、他人の山を預かっているという意識の下、山林所有者等との信
頼関係を構築するため、建設業者の施業技術力の向上が不可欠である。
○このため、建設業者の林業参入の入門書となる施業基準マニュアルを策定
○施業基準マニュアルは、林業の基本作業種を中心に施業に必要な基礎知識を
詳細に記載している。主な内容は次のとおり。
・施業の意義及び作業種別解説
・作業に必要な資格とその取得方法
・新規参入にあたって必要な作業システムの解説
・初期投資金額の目安
・林業に関する技術基準(ガイドライン施業技術解説)
4-2 講習・研修会の提案
○山林所有者等からの信頼、施業技術力の向上を図るための研修を提案
・選木、伐木研修
・市場動向を踏まえた造材技術研修
・高性能林業機械オペレーター養成研修
・コスト管理研修
・木材市場に関する知識向上研修
など
4-3 間伐材の有効活用策の提案
○森林の持つ公益的機能を増進するためにも間伐材の積極的な活用が必要
○公共施設、バイオマス、土木施設などへの積極的な間伐材利用を提案
○間伐材施設の修繕、改良、更新など継続利用計画を提案
○なお、本年、「木材利用促進法」が施行見込みであり、
間伐材の利用促進に一層拍車がかかるものと期待
4-4 間伐材の実用試験の提案
○平成 22 年度に久万高原土木事務所管内において、間伐材有効活用策を試験施
工し、その施工性、実用性等を検証することを提案
4-5 施業の評価検討会設置の提案
○久万高原土木事務所が事務局となり、施業の評価検討会設置を提案
3
(予定メンバー)
・愛媛大学農学部教授
・県農林水産研究所林業研究センター長
・上浮穴林業研究グループ連絡協議会会長
・久万広域森林組合代表理事組合長
・久万高原町森林林業課長
・中予地方局久万高原森林林業課長
○公平・中立な立場から施業基準マニュアルに基づいた建設業者の施業を評価、
検証する。
○建設業者が施業基準マニュアルを遵守し、自らが施工管理、評価できるよう
指導する。
○建設業者の技術力向上、林家等との信頼関係の構築を図る。
4-6 林業参入事業を将来的にも継続する方策の提案
○平成 23 年度以降も林業参入事業を継続して支援する方策として、
○関係者との連絡・調整や建設業者の技術力向上、林家とのコミュニケーショ
ンを図る建設業者が主体となった組織づくりを提案
(予定メンバー)
・久万高原町
・上浮穴建設業協同組合(建設業協会)
・久万広域森林組合
(必要に応じて、県もアドバイザーとして参加)
○業務内容は、建設業者相互の連絡・調整、情報の共有化、研修・講習会の計
画的実施による林業知識の習得、技術力の向上など
4
久万高原町内おける建設業と林業との関係図
久万高原町内おける建設業と林業との関係図
森林管理署
愛媛県中予地方局
事業体の認定・指導育成
久万高原土木事務所
久万高原森林林業課
連携
連携
工事発注・
災害時対応
施業発注
建設業の指導育成
︵
新規分野への進出支援︶
凡例
久万高原町
建設課
森林林業課
連携
工事発注
間伐等森林施業が必要な森林
5
※2 久万高原町、久万広
域森林組合、県とで平成
17年に組織化。主に、山
林の所有者登録を行い、
団地化を進めている。
※3 「林業労働力の確
保の促進に関する法律」
に基づき知事に認定され
た、林業(森林整備)活動
を担う中核的な事業体。
久万林業活性化センター※2
団地化の
とりまとめ
民有林
山林所有者
情報提供
久万広域
森林組合
山林所有者
山林所有者
※1 久万高原町内の森
林施業の団地化を図るこ
とによって、久万高原町
内の林業の活性化を目
的としたプロジェクト。
職員常駐
職員参画
職員常駐
建設業協会上浮穴支部
建設業者
久万林業活性化プロジェクト※1
国有林
森林施業
を実施
県有林
建設業者
民間林業会社
(株)いぶき
(第3セクター)
認定林業事業体※3
町有林
民間林業会社
林業事業体
新規参入
個人
建設業者林業参入支援モデル事業費
事業体系図
(建設業の林業への参入が求められる背景)
○ 建設業の経営環境は、公共事業の抑制等により非常に厳しい状況
○ 地域の防災力維持、地域振興等を図る上では、建設業の存続は地域の重要な課題
(課題) ○担い手不足の林業は山間部での建設業新規参入の有力な分野であるが、林業に関す
る知識の不足、林業従事経験の不足で参入が十分でない
平成20 年度
関係者に対するヒアリング調査
間伐材活用策の検討
(平成20∼22 年度)
(対象)建設業者、山林所有者、久万林業活性化センター、久万広
域森林組合、県森連等
既存公共土木事業内で間
(内容)林業参入に関して、建設業者が抱えている問題点、久万高
伐材の活用範囲拡大方策を
原町における林業の現状、山林所有者のニーズ調査等
検討
平成21 年度
久万高原林業参入森づくり協議会の開催
構成:建設業者、山林所有者、学識経験者、行政機関(県、久
万高原町)、林業者、木材加工業者
・ 建設業者の参入が見込まれる林業施業分野の検討
・ 建設業者、林業者及び山林所有者等との協働のあり方と相
互の連絡・調整
久万高原地域建設業者林
業参入支援研修の実施
林業へ新規参入を予定してい
る建設業者を対象に、林業への
就業に必要な知識・技術を習得
するための研修を開催
・ 間伐材の有効活用策の新規提案
平成22 年度
「林業参入評価・検討会」の設立
林業に新規参入する建設業者が行う施業について、施工管理及び評価の実施
モデル事業により発生する間伐材を利用した実用試験
林業施業により発生する間伐材を利用し、実際の山林において、久万高原林業参入森づくり協議会で提案のあっ
た間伐材活用方法の実用試験を実施し、施工性、実用性、汎用性を検証 ※検証は、学識経験者の助言を得る
平成23 年度以降
林業への参入
技術力向上、林業者等との信頼関係構築
林業新規参入意識の高まり
実用試験の検証(ゼロ予算)
・
引き続き検証が必要な活用
・
策の観測、汎用性の確認
学識経験者の助言
建設業者自ら
が主体となって実
施
建設業者の認定林業事業体数、建設業者による
森林施業面積 UP
建設業者の生き残り、林業の担い手不足解消
公共事業への活用
間伐の推進による建設業と林業の活性化による“元気な”地域創り
☆☆☆ 事業効果等を久万高原から県下・全国に発信 ☆☆☆
6
素材生産から製材加工まで(H19 年度経済効果)
久万地域の木材流通にかかわる経済効果
7
久万高原林業参入森づくり協議会提案書
概要版
発行日:平成 22 年 3 月
発
行:久万高原林業参入森づくり協議会
連絡先:〒791-1201 愛媛県上浮穴郡久万高原町久万 571−1
tel:0892-21-1210
fax:0892-21-0773
mail: [email protected]
※本提案書の作成にあたっては、㈱愛媛地域総合研究所のご協力を頂きました。
参考までに提案書本編の目次を掲載します
第Ⅰ章
目
次
-
提案書の概要
--------
1
1
協議会の目的
--------
1
2
参入の可能性と課題の抽出
--------
1
3
4
2-1
木材市場の動向
--------
1
2-2
地域林業の産業ポテンシャル分析
--------
1
2-3
林業参入に係る建設事業体の現状
--------
1
2-4
地域内素材生産業の現状と新規参入における課題
--------
2
--------
2
成果目標の設定
3-1
新規認定事業体数
--------
2
3-2
新規雇用者数
--------
2
3-3
地域内林業施業量の増加
--------
2
提案事項
4-1
施業基準マニュアルの策定
--------
2
4-2
講習・研修会の提案
--------
2
4-3
間伐材の有効活用策の提案
--------
3
4-4
間伐材の実用試験の提案
--------
3
4-5
施業の評価検討会設置の提案
--------
3
4-6
林業参入事業を将来的にも継続する方策の提案
--------
3
****************************************
第Ⅱ章
1
参入の可能性と課題の抽出
木材市場の動向
1-1
1-2
1-3
1-4
2
国内の木材流通量の推移と見通し
--------
1
--------
3
--------
4
1-1-1
主要丸太流通
--------
5
1-1-2
主要製材品流通
--------
7
--------
8
愛媛県の木材流通量の推移と見通し
1-2-1
丸太流通
--------
8
1-2-2
製材品流通
--------
8
地域内の木材流通量の推移と見通し
-------- 10
1-3-1
原木市売市場入荷量
-------- 10
1-3-2
原木市売市場出荷量
-------- 11
活性化プロジェクトの推移と見通し
地域林業の産業ポテンシャル分析
2-1地域の森林資源量
-------- 12
-------- 14
-------- 14
2-1-1
地域の森林資源構成
-------- 14
2-1-2
地域の森林資源における課題
-------- 15
2-2地域の木材流通および経済効果
-------- 17
2-2-1素材生産から製材加工まで(木材流通)
-------- 17
2-2-2素材生産から製材加工まで(H19年度経済効果)
-------- 18
2-3地域の潜在的森林施業量
-------- 20
2-3-1中予山岳流域森林計画に基づく地域森林施業量
-------- 20
2-3-2各種森林施業の生産性
-------- 21
2-3-3各種森林施業の雇用創出力
-------- 23
2-4地域林業の産業ポテンシャル
-------- 25
2-4-1中予山岳流域森林計画に基づく地域森林施業量からの試算 ---- 25
3
林業参入に係る建設事業体の現状
3-1調査の目的と方法
-------- 27
3-2林業への参入状況と属性
-------- 28
3-2-1従業員数
-------- 28
3-2-2事業取扱高
-------- 29
3-3林業参入に対するイメージ
-------- 31
3-3-1事業内容
-------- 31
3-3-2林業参入に対する期待
-------- 32
3-3-3林業参入における課題
-------- 32
3-4林業参入に対する意向
4
-------- 27
-------- 33
3-4-1年間事業規模
-------- 33
3-4-2林業参入期間
-------- 34
3-4-3人員確保について(割り振り・新規採用)
-------- 35
地域内素材生産業の現状と新規参入における課題
-------- 36
4-1地域内素材生産業の現状
-------- 37
4-2新規参入における課題
-------- 40
****************************************
第Ⅲ章
成果目標の設定
1
新規認定事業体数
--------- 1
2
新規雇用者数
--------- 1
3
地域内林業施業量の増加
--------- 2
第Ⅳ章
1
2
提案事項の内容
施業基準マニュアルの策定
--------
1
1-1目的
--------
3
1-2久万林業の特徴
--------
7
1-3林業の基本作業種
-------- 15
1-3-1作業道開設・改良の意義および作業種別解説
-------- 15
1-3-2間伐(皆伐)の意義および作業種別解説
-------- 28
1-3-3育林関係の意義および作業種別解説
-------- 43
1-3-4その他の作業林業で求められる基本事項
-------- 51
1-3-5参入に必要な資格・研修
-------- 52
1-3-6基本的な作業システムの解説
-------- 65
1-3-7林業に関する技術基準(ガイドライン施業基準解説)
-------- 70
講習・研修会の提案
-------- 95
2-1独自の現地研修による技術力向上研修の提案
-------- 95
2-2コスト管理研修に関する提案
-------- 96
2-3市場流通、市場動向を踏まえた
造材技術(システム)研修などの提案
3
間伐材の有効活用策の提案
-------- 96
-------- 97
3-1有効活用策の事例
-------- 97
3-2新規の有効活用策
--------103
3-3土木構造物での活用策
--------107
3-4既存間伐材施設等の修繕、改良、
更新など、継続利用計画の提案
--------114
4
間伐材の実用試験の提案
--------115
5
施業の評価検討会設置の提案
--------116
6
林業参入事業を将来的にも継続する方策の提案
--------119
****************************************
【巻末資料】
① 協議会規約・組織
--------1
② 協議会開催状況
--------3
③ 協議会での意見・検討事項
--------7
④ 研修・講習会の実施状況
--------9
⑤ 元気回復助成事業の活動状況
-------10
⑥ 施業標準仕様書
-------11
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