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燃料の自着火温度を越える高温気流中における ガス

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燃料の自着火温度を越える高温気流中における ガス
1
0
1号 :2
73
5, 1
9
9
5
燃焼研究
一
文
一
二富田-
一
一A冊
一
究
一
一
研
一
燃料の自着火温度を越える高温気流中における
ガス噴流火炎の挙動
天 谷 賢 児1
新 井 雅 隆I
での火炎特性を詳細に調べ た.
1 はじめに
ガスタービンの熱効率をさらに改善するため
2 実験装置および方法
に作動ガス温度の高温化が進められている.特
に,セラミックガスタービンでは一次空気の予
熱温度が燃料の自着火温度をはるかに越える状
態,たとえば,燃焼器入口温度が l
lOO.Cのも
Flame
のが計画されている (
1
) しかし,このような高
¥
温ふん囲気中に燃料が投入された場合の燃料と
空気の混合特性や燃焼特性については十分な知
H
o
ta
i
r
見が得られていないのが現状である .これまで
に,気流温度の高温化に伴うすす生成への影響
が調べられているが (
2
)府),これらの研究は気流
温度が燃料の自着火温度以下の場合である .ま
た,高温の燃焼ガスを用いその中での噴霧燃焼
特性が調べられているが (
4
) 厳密に空気の温度
を高温にした気流中での実験とはいえず.純粋
な高温場における燃焼現象の解明という点にお
いては慎重な評価が必要と考えられる.さらに,
電気炉を用いて空気を 1200K程度まで加熱し燃
P
r
o
p
a
n
eg
a
s
5
)は見られるも
料噴霧の着火特性を調べた研究 (
のの,ガス燃料を用いた火炎特性に関する研究
F
i
g
u
r
e1
は知見しない.そこで本研究では,最も基本的
E
x
p
e
r
i
r
n
e
n
t
a
la
p
p
a
r
a
t
u
s.
なガス定常噴流の拡散ならびに予混合火炎を対
実験装置の概略を図 lに 示 す 本 装 置 は 高 温
象に,燃料の自着火温度を上回 る高温空気流中
気流形成装置,燃料供給系および計測機器から
I群馬大学工学部
なる.高温気流形成装置の山口はセ ラミックス
2
7
製の円筒(直径 6
8
.
4mm)で,シ リコニッ ト発熱
体によって加熱された高温気流が鉛直上方に噴
出する.気流の最高温度は気流の平均速度 Vaが
1m
jsのときに 1200K である.今回の実験で
は 日 =1m
j
sで一定に固定し.気流温度
T
aを
常温から 1200K までの範囲で変化させた.燃
料としてはプロパンガスを用いた. ASTM法に
よるプロパンの自着火温度は 777K であり,本
装置を用いることによって自着火温度以上の高
温気流を形成することができる.燃焼形態とし
ては拡散火炎および空気との予混合火炎を対象
とした.燃料は気流出口中央に設置したノズル
(直径 D=2mm)から気流と平行に鉛直上方に
噴出した.燃料がノズル内で加熱されないよう
に水冷の二重管ノズルを用いた.また,ノズル
ρ
l
u
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PJU
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があるために中心部分が低温になるがその外部
1
1
を取った.気流出口の温度分布は,水冷ノズル
e
“
ヮ
r
σb
1
・
P1
先端から鉛直上方に z座標,半径方向に r座標
ではほぼ一定値となる.また ,z=300m m程
度まで十分高温状態が維持されていることを確
認した.本実験では ,z=0m m,l
'=
20m mの
度 V,噴出ガスの動粘性係数(で定義)に関し
て比較した写真である.総ての写真の露出条件
位置の温度を気流の代表温度九とした.火炎
は同ーとしてある.高温気流中の火炎は常温気
内の温度は白金
流中に比べて輝度が全体的に高いことが確認で
白金ロジウム熱電対(線径 0
.
1
mm)を用いて測定した.また,火炎内のラジカ
ル強度分布を測定するために分光計(大塚電子
きる.また,高温気流中では火炎の外縁に常温
気流中では見られない淡い発光層が観察された.
製フォトンラピッドスペクトロメータ PRAS~
Re
4900の場合には,常温気流中では火炎基
p=
5000)を使用した.また,
レンズとスリットを
部の浮き上がりが観察されることがあった. こ
用いて火炎内の一点に焦点をあわせ,火炎の自
れに対して高温気流中では火炎の浮き上がりが
発光を分光計の測定プロープに導いた.
発生せず,安定な火炎が形成された.
図 3は気流温度が Ta= 280K と 九 ニ 980K
3 高温気流中における拡散火炎
の特性
3
.
1 火炎構造および安定性
における火炎形態の Re
p に対する依存性を調べ
た結果である.図中の Lfはノズル先端から測
定した火炎長さ ,L61 および
L6
2 は火炎基部に
形成される青炎部の下端高さおよび上端高さを
拡散火炎について常温気流中と燃料の自着火
表している.ただし,これらの値が時間的に変
動している場合は,その平均値を示した Re
p
温度以上の高温気流中における燃焼形態の違い
の増加に伴い火炎長さ Lfは増加傾向にあるが,
を観察した.図 2 は 気 流 温 度 九 =300K と
常温気流中の場合 Re
900付近で火炎基部
p ニ4
990K における火炎基部のようすをいくつかの
の浮き上がりが観察され,気流温度の上昇に対
噴出レイノルズ数 Re
p (ノズル内径 D,噴出速
して火炎長さが不連続に減少した.また このと
28
nununununu
nununununU
54321
口、£ O C 2一
回
一
語
苛cg 白C O E壱coz
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子8000
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:
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D=2mm
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D=2mm
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10000
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p
200 400 600 800 1000
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r
e3
常
400
o
S
t
a
b
l
e
K
.
800
き,乱流燃焼的な変動が増加して燃焼状態、が不
気流中では火炎基部の浮き上がりが観察されず,
900までの
することがわかった.また. Re
p= 6
の長さ
Lb
2-Lbl は
Va=1
.
0
m
/
s
nt
実験では吹き飛びも観察されなかった.青炎部
﹃
Re
p の増加に伴いほぼ一定の傾向で Lfが増加
F08
炎の吹き飛びが観察された.これに対して高温
∞∞∞
EεJZHOEO-@E6E
安定になった.さらに. Re
800付近で火
p =6
Re
p の増加に対して若干長
くなり,常温と高温気流中での比較では,高温
気流中の方が短くなることがわかった.
o
以上の実験結果をもとに火炎の安定性を調べ
たものが図 4である.図中の S
t
a
b
l
eは火炎の浮
F
i
g
u
re5
き上がりが観察されず安定な火炎が形成された
500
1000
A
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p
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I
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eonf
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a
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e
n
g
t
h
.
領域. U
n
s
t
a
b
l
eは浮き上がりが生じ火炎全体が
大きく変動した領域. B
l
owo
f
fは吹き飛びが生
じた領域を意味している.これより,気流温度
図 5は燃料の噴出レイノルズ数 Repを一定
が高温化すると燃焼の安定な領域が高レイノル
にし気流温度九を変化させた場合の火炎長
ズ数側に広がることがわかった.また,気流温
さ Lfの変化を表したものである.図中の黒塗
度が約 800K を越えると吹き飛びが観察されず
りの記号は火炎基部の浮き上がりが生じている
安定な燃焼状態が保たれることがわかった.こ
場合を表している.この場合には,ノズルから
れより,気流温度が燃料の自着火温度を越える
噴出した燃料が周囲気流と混合した後に火炎が
と保炎の必要がなくなるものと考えられる.
形成されるために部分予混合火炎となり,ノ ズ
29
ルに付着した火炎と異なった特性を示す.ノ ズ
ルに付着した火炎についてみると ,R
e
1
0
0
0
pが "
2000
X
ド
以下の場合には Ta の増加にしたがって Lfが
Re
p=2200
Va=1.0m
/s
徐々に減少した.これに対して R
e
000を
p =5
言1500
境に高レイノルズ数側では九の増加に伴い Lf
0
的
C
(
1
)
も増加した.これらの結果は以下のように解釈
号1000
することができる.すなわち ,R
e
p が低く火炎
0
が層流である場合.気流の高温化に伴って熱拡
a
.
E
散や物質拡散が促進される.これによって,燃
。500
7
示 280K
6
E
m
焼反応が完了する領域が短縮され火炎長さが短
l
ム
くなる.これに対して,乱流火炎の場合には気
布一ι 1
言
。
O
流の高温化に伴う気体粘度の増加が乱流による
240
Axi
a
ld
i
s
t
a
n
c
e Z
マク ロな混合過程を抑制する.このため,燃焼
が完了するのに必要な空気との混合が妨げられ
F
i
g
u
r
e6
てしまい,火炎長さが増加するものと思われる.
3
2
0
円1m
F
la
.
metempera
.t
u
r
eonno~­
z
l
ea
.
xi
sa
t九 = 280K and
このように,燃焼場における気流温度の高温
980K
.
化は火炎が層流であるか乱流であるかによって
~心~寸
﹄
¥式ニ
性
O
前述のように,気流が高温化す ると分子拡散
5
0
0
1
0
0
0
A
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rt
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m
p
e
r
a
t
u
r
eT
aK
EEE
工︼Zoa-aE2.vaEoE9由工
3
.
2 火炎内温度およびラジカル発光特
ぬ=
1
.
0m
/
s
onζ41
応が緩慢になるものといえる.
Re
2200
p=
凋件。
拡散による混合気形成過程が抑制 され,燃焼反
RU
は分子拡散が促進されて火炎が短縮化されるが,
乱流火炎の場合には逆に高温粘性によって乱流
nununununu
nununununu
FCC-aEgk国三
v-E
ド的安田空﹄回一
わち,気流温度が上昇する場合のガス噴流拡散
火炎の一般的な性質として,層流火炎の場合に
nunu
nunu
nunu
21
異なった作用をもたらすことが示された.すな
O
1
5
0
0
が促進する ことが示唆された.こ こでは比較的
F
i
g
u
r
e7
低レイノルズ数の火炎を対象に火炎内部の温度
MaximUlllf
la
.met
el1lp
e
r
ι
-
Tm and
分布やラジカルの発光強度を測定し気流の高
t
l
l
r
eOIl no~~le
温化の効果をより詳細に調べる.以下では常温
1C
i
g
h
to
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Im
U
l
l
lt
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r
n
l
気流中で火炎の浮き上がりが生じない R勺 =
p
c
ra
.
t
u
r
ep
o
i
n
tI
J
m
2200の条件で実験を行った.常温気流中では,
temperatureT~.
札xis
V~.
a
.
i
r
この火炎はその上流側で定常な層流火炎を形成
しているが,後流部分では若干の不規則変動が
場合よりも最高温度点が上流側にあり, そのと
見られた.図 6はノズル軸上の温度分布を九=
き の 温 度 も 九 =980K の方が高くなる ことが
280K,980Kの場合に測定した結果である. こ
わかった.図 7 は軸上の最高温度 ~r,“およびそ
れより ,Ta= 980K の場合には九 = 280K の
の温度が得られるノズルからの高 さ I
ん を九
3
0
に対してまとめた結果である . これより,気流
示している .また,半径方向の測定範囲は約 1
0
が高温化すると最高温度は増加し ,その位置は
m mとした.測定には分光計を用い. OH
. CH.
上流側に移行することがわかる.これは高温気
C2 • H20 の各ラジカルについて波長 3
0
6
.4
31
.
流中で火炎が短縮化されることと対応しており,
5
1
7
.6
5
21
1
mの自発光強度を調べた .測定結果
気流の高温化が燃焼反応を促進している結果と
を図 8に示す.図の縦軸はこの発光強度を分光
思われる .ただし,ふん囲気温度の l
二昇割合に
計の フォトンカウン卜数で表示 しである.いず
対して火炎内最高温度の上昇割合が小さいのは,
8
0K において
れの ラジカルについても T“=9
開放火炎であるために周囲への輯射による熱損
は 九 =2
8
0K の場合に比べて信号強度が一桁
失が増大するためと,思われる .後述する C2ラ
以上大きくなっていることが確認できた.また,
ジカ ルの発光強度が増化することからも,輯射
T“ =9
8
0K の方がラジカル発光の強い部分が
半径方向に広がっていることが判明した .同図
熱損失の増大が予測される .また,最高温度点
のノズ‘ル側への移動量に比べて,図 5の火炎長
中には半径方向の温度分布も表不しであるが.
さの減少量が小さいことがわかる . これは,火
九 =2
8
0K の場合にはラジカル発光強度の最
炎の上流側では気流の高温化に伴って分子拡散
大値が最高温度点の若干内側にあるのに対して,
が促進され,最高温度点がノズル側に移動する
九 =9
8
0Kの場合 i
こは最高温度点より外側にラ
が,火炎の後流側では気流の高温粘性のために
ジカル発光の最高点があることがわかった.こ
乱流混合が抑制され.燃焼が完了するのに必要
の結果は写真観察で得られた火炎外縁の淡い発
な空気との混合が妨げられる ことで
, 火炎が短
こ対応したものと考えられる. これらより
光層 i
縮されないためと思われる .
気流の高温化に伴って火炎内のラジカル発光強
度は増大し,その領域も拡大される ことが示さ
ー
E
6
10
コ
O
れた.これはラジカルの半径方向への拡散が盛
T
a
=980K
T
a
=280K
<
.
>
め
_
g
んであることを示しており.気流の高温化が分
0
H2
a
10~
子拡散を促進している ことを裏付けるもの と考
C2
えられる .
0
H2
コ
可
CH
C2
国
』
O
1
0
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主
国
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OH
0
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500
z=40m打1
C
J
)
o-20
10
0
0
20
10
4 高温気流中における予混合火
炎の特性
由﹄三国﹄由aF﹄由ト
亡
50
11
"
'
。
2500:
.
:
:
CH
4
.
1 火炎構造および安定性
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C
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臼 H M'
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g
u
r
e8
拡散火炎に引き続き,燃料の自着火温度を越
える高温気流中でのプロパンと空気の予混合火
炎の特性を調べた.まず.安定な燃焼領域を調
べるために,予混合気のプロパンガスおよび空
気の質量流量およびをさまざまに変化させ.火
炎の吹き飛び限界を測定した .その結果を図 9
次に火炎中の ラジカル発光強度に及ぼす気流
に示す.図中の太線の下の部分がその気流温度
温度の影響を調べた.測定高さは z=40m mと
において火炎が安定に形成される領域である .
した . この高さでは火炎軸を中心とした温度分
また,同図中に当量比ゆが一定および噴 出レイ
布が鞍形となる典型的な噴流拡散火炎の構造を
e
ノルズ数 R
p が一定の線を記入した .図より 気
31
1
0
0
X 10-~
1
0,
Re
510 φ=3.36 Va=
1
.
0m
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l
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m
e
.
T
a が増加するのにしたがって吹き飛ぴ
1
0
0
限界が高レイノルズ数側.希薄側に急激に移行
していくことがわかった.
8
0
流温度
Re
p
=510φ =3.36 Va=1.0m/s
E
以上の結果をもとに.すべての温度範囲にお
~
6
0
いて常に火炎が形成される条件で火炎特性を調
.
3
6
べることにした.すなわち, ここ ではゆ =3
s
の部分予混合火炎で,R
e
1
0の場合を代表
pニ 5
コ
て
点(仇p
=0.25x10-5 kgfs,r
n
“
1
.2x1
0
-5
主
伺
2
0
k
g
f
s
)とした.
図 1
0は気流の高温化に伴う火炎形状の変化
o
を模式的に示したものである.常温ではノズル
のすぐ上部に育炎部分が現れ, その上に輝炎部
5
0
0
1
0
0
0
1
5
0
0
A
i
rt
e
m
p
e
r
a
t
u
r
e Ta K
分が見られた.火炎の輝度が最も高い部分はこ
F
i
g
u
r
・
巴 1
1
の輝炎のほぼ中央部に位置した.気流温度が上
Ch.
a
r
a
.c
t
e
r
i
s
ti
c
so
fl
fa
.me
s
h品pev
s
..
a
i
Itemper.
at
u
r
e
.
昇すると,火炎長さが徐々に減少するが,気流
温度が 700Kを越えたあたりから,いままであっ
に対してあまり変化しないが,Lmは T
“ニ700
た火炎の外部に新たにオレンジ色の炎が観察さ
れるようになり,気流温度の仁昇に伴い急激に
K を越えたあたりから顕著な減少が見られ,輝
成長することが観察された.図 1
1はこれらの特
炎部分の長さが小さくなることがわかった.ま
性を示すために育炎の上端位置 L
b
' 最高輝度位
た,これと同時にオレ ンジ 色の発光部分が成長
置 L叩および火炎長 さ Lfの九による変化をま
し,火炎長さが増大した.拡散火炎についても
とめたものである .こ れより ,L
bは 九 の 上 昇
高温場で火炎外部に薄い発光層が確認 されたが,
3
2
予混合火炎の場合にはオレ ンジ色の発光層が火
自体の構造が複雑に変化することがわかった.
宅
ド
市
兵
明
マ
括
。
E
E
.
5
:
E
5
0E
斗二
a
.
E
O
話
話
言
=
.
0
.
r
:
.
!
2
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芸
Ta
=1023K
4E
C00﹄コ窃﹄oaE20E6E
Re
p
=510
φ=3.36
v~=1.0 m
!
s
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60
Axi
a
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ezπ1円1
C
I
)
o
﹂ i寸
144
4111141寸
・
nununu
nununu
05o
L ド的交問
︺
qL4
O
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主
a
.
.
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l
11∞
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性
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1
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0m
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s
a
.
包
4
.
2 火炎内温度およびラジカル発光特
E
Re
p
=510φ=3.36
X
5
0
0
1
0
0
2000
炎全体をつつみこむように大きく成長し,火炎
F
i
g
u
r
e1
3
5
0
0
1
0
0
0
A
i
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e
m
p
e
r
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t
u
r
e TaK
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1
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3K
.
れる.
図 7と図 1
3を比較してみると .T
m の上昇割
拡散火炎の場合と同様に,火炎内部の温度お
合は両者で定量的にも一致しているが.Hmの
よびラジカル発光強度の分布を調べた.図 12は
減少割合に対しては拡散火炎の方が若干大きい
火炎内の軸上温度分布を気流温度九=2
8
0K
ことがわかる.これは.拡散火炎の場合には分
および 1
0
2
3Kの場合について比較したもので
子拡散による空気と燃料の混合過程が支配的で
あ る . 九 =2
8
0K の場合に比べて 1
0
2
3K の場
あり,気流の高温化に伴う分子拡散の促進効果
合にはノズル直上から温度の上昇がみられ,火
が顕著に現れているものと考えられる.これに
炎基部での燃焼反応が促進されているものと考
対して,ここで対象としている部分予混合火炎
えられる .
T.
“を変えた場合の Z軸上の最高温度
の場合には,火炎構造の決定に対して分子拡散
Tm とその位置 Hmをまとめた結果を図 1
3に
示す.気流の高温化に伴い Tm は徐々に増加し,
以外に火炎伝ぱ機構が介在しているので,拡散
Hmは上流側に移動した.この傾向は前述の拡
に現れないものと考えられる
火炎の場合と比べて最高温度位置の変化が顕著
散火炎の場合と一致しており,予混合火炎の場
拡散火炎の場合と同様に ,ラ ジカル発光強度
合にも気流温度の高温化によって分子拡散が促
の半径方向変化を調べた .た だ し 測 定 高 さ は
進されているものと考えられる.また,オレン
図 12で示した火炎中心軸上の最高温度点とし
ジ色の発光が観察されはじめる
Ta=700K 前
た.図 1
4は
後で温度分布や最高温度などに特別な変化は見
O
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.C
H
. C2 • H主O について波
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6
.4
3
1
.5
1
7
. 65211mのラジカル発光強度
長3
33
106
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L05
がわか った.
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=510 中=3',
36
Ta
=280K
3
. 拡散火炎および予混合火炎 ともに, 気流の
Va
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1
.
0m/s
i
高温化に伴って火炎内の最高温度点は上流
Ta
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側に移動し.その点の温度が高くなる こと
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. 高温気流中では火炎外縁に淡い発光層が観
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ハ
Ununu
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噌'
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察されるようになる
特に,予混合火炎で
気流温度が 700K 以
tの場合にオ レンジ
色の発光が火炎を取り囲むように成長す
ることが観察された
O
20
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u
.
拡散火炎および予混合火炎に対して高温気
流中では常温気流中に比べて火炎内 のラジ
カル発光強度が噌大することがわかった.
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0
4
3K
.
a
t,
最後に,本研究に協力してくれた当時本学学
生
,
1
I
J
上智行君,真柄隆志君 l
こ心より感謝する.
を分光計の信号強度として示したものである .
また,同図中に温度分布の測定結果も示した.
これらの結果からいずれのラジカルに対しても
参考文献
高温気流中の方が発光強度が増大することが示
された. この結果は,拡散火炎の場合と同様で
(
1
) 鳥越,川添 .
超高温技術, 日本機械学会誌,
あ った.
第9
5巻,第 887号
, 1
9
9
2年
, pp‘874 8
7
5
.
(
2
) 西国:乱流拡散火炎の火炎構造とすす生成・
分解特性に及ぼす空気温度の影響一数値シ
5 まとめ
ミュレ ーション,舶用機関誌,第 2
5巻
,
1
9
9
0年
, pp.209-218
燃料の自着火温度を上回る高温気流中におけ
るプロパンガス拡散および予混合火炎の特性に
O
.L
. :SootFormιtioni
n Lam
(
3
) Gulder,
ついて調べた.その結果.以下の知見が得られ
a
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7
4-8
2
.
気流温度の高温化に伴い,火炎が安定化さ
(
4
) Mizutaui,Y.,e
ta
.
1
.
れることが示された.特に,拡散火炎では
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気流温度が 800K を越えると吹き飛びが
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生じなくなることがわかった.また,予混
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)
合火炎の場合には安定な領域が高レイノ
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ルズ数および希薄側に大幅に広が ること
9
7
7,
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.6:H638.
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e,1
(
5
) 小沼.ほか 3名:定常高温気流中におけ
る燃料噴霧の着火(第 2報.物理的因子の
が確認でき た.
2. 拡散火炎において,層流火炎では気流の高
温化が火炎長さの短縮化をもたらすが,乱
影響), f::I本機械学会論文集 B 編.第 5
2
流火炎でが火炎長さの増加をもたらすこと
巻,第 4
8
1号
, 1986年
, pp.338033
8
5
.
34
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nHotAirStreamHigherthanS
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