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太陽光使った携帯電話充電器 - アフリカビジネス振興サポート

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太陽光使った携帯電話充電器 - アフリカビジネス振興サポート
企 業 の
国 際 貢 献
営業先から好評で受注も順調
アフリカ・アジアの無電化地域で普及目指すGSユアサ
太陽光使った携帯電話充電器
エチオピアでBOP協力準備調査
発展・成長が目立ってきたことから、アフリカや中
(株)GSユアサ(京都市南区)は、開発途上国の貧
拓が必要だと判断。2012年4月に国際事業部内に
困層(BOP)向けに太陽光を使った家庭用の小型電
「マーケティング部」を設置し、市場開拓を進める
源システムと携帯電話充電システムの普及を目指
こととした。
す。8月に採択された国際協力機構(JICA)の協力
そうした中、世界で10億人超が暮らすと言われる
準備調査(BOPビジネス連携促進)を通じてエチオ
無電化地域向けに、台湾メーカーとともに開発を進
ピアでの事業化や普及に向け調査を実施するのをは
めてきた太陽光発電装置と蓄電池の一体化製品が昨
じめ、アフリカやアジア、大洋州の島しょ国・地域
年完成。今年6月に開催された第5回アフリカ開発
などに展開する方針だ。
会議( TICAD V )などを通じて販売先や展開方法を
同社はこれまでにも、世界約40カ所に現地拠点を
模索していたところ、営業先から好評を得たため、
置き、主に欧米や中国向けに自動車や二輪車用の鉛
本格展開することに決めた。
蓄電池を展開してきた。しかし、これら市場や経済
製品は、小型の太陽光発電パネルと同社の強みで
の成長が頭打ちとなる一方、他の途上国・新興国の
ある5アンペアの高性能で長寿命なバッテリーを組
56 IDJ DECEMBER 2013
南米、中央アジアなど従来手薄だった地域の市場開
み合わせたもので、日中、太陽電池によって発電し
た電気を蓄電池にためておき、夜間にその電気を使
ってLED(発光ダイオード)ライトを点灯したり、
携帯電話を充電したりできる。LEDライトは類似品
に比べて2倍以上明るく、点灯すれば、夜間の室内
でも十分本を読むことができる明るさだという。1
回の充電で4時間半の点灯が可能。また、バッテリ
増産が進めば価格も引き下げる
ーからはUSB方式の接続口を通じて携帯電話の充電
機”に小規模のバッテリーを備えた“子機”10機程
のほか、電子蚊取り器や小型ファンも使用できる。
度をつなげることが可能な「コミュニティーキッ
JICAの協力準備調査には、創部早々「勉強」のた
ト」も用意。例えば子機を寡婦らに提供し、地域住
めに応募、2次審査まで通過したが、販売戦略などの
民向けに携帯電話の充電サービスを手掛けてもらう
詰めが甘くいったんは“落選”。その後市場調査を
などして、収入向上や自立につなげてもらう形での
重ね、今回、万全を期して応募した経緯がある。
展開・支援を検討中だ。さらに、事業が軌道に乗っ
「製品の耐久性や提供先での使用方法、レンタルや
たら、将来的には現地に組み立て工場を設置し、雇
マイクロファイナンスといった資金支援の仕方など
用創出につなげる計画も進めている。
マーケティング面を含めて、ビジネスだけの視点で
各国で年100万ドルの売上目標
はできない研究を進める」(マーケティング部の山
電子蚊取り器や小型ファンも接続可能
田初実部長)狙いもあった。
展開を予定する国や地域は、セネガルやカメルー
アフリカ地方部の農村地域では電化率が20%未満
ン、スーダン、ギニアなどアフリカ各国のほか、ミ
で、照明や灯油ランプ、調理は薪に頼っているのが
ャンマー、カンボジアなどアジア、さらにはウズベ
現状。そのため灯油や薪を使うことで引火によるや
キスタンやソロモン諸島、パプアニューギニアとい
けどや火災、煙の吸引による肺炎といった事故が生
った大洋州島しょ国など。こうした国・地域の現地
じているほか、最近では原油価格の高騰により灯油
企業とは、7月以降、相次ぎ代理店契約に結び付い
コスト上昇も課題となっている。
ているといい、これら企業を通じた受注も順調だ。
太陽光発電装置やバッテリー、照明器具を組み合
年末に掛けて順次、出荷が始まる見通し。
わせた他社製の類似品はすでに現地のスーパーマー
山田部長は「製品の単価は100ドル程度で類似品に
ケットなどで売られているものの、照明の点灯時間
比べると比較的高価ですが、増産が進めば順次引き
が30分ももたないなど性能が劣る製品が大半である
下げも可能です。各国・地域では提携先の現地代理
という。そこで、同社は自社製品の性能の高さを実
店に対し、『いずれ年100万ドルの売り上げを目指そ
感してもらうため、スーパーなどの店頭ではあえて
う』とそれぞれ呼び掛けています。現状ではあくま
販売せず、代理店を通じて一般家庭などに直接販売
で“努力目標”ですが、製品には手応えを感じてい
する方式を採る方針だ。
ますので、今後1∼2年のうちに目標を達成できる
また、太陽光発電装置と大型蓄電池を備えた“親
国や地域も出てくるでしょう。いずれは当社の主流
「IPS」が合言葉
BOPビジネスを担当するマーケティング部では、
アイデア、
パッション、
スピードの頭文字を取った
「IPS」
を合言葉に、一丸となって事業を進
めている。事業展開にあたり、創造的なアイデアを生み出し、熱いパッ
ションで課題や障害を乗り越え、
スピード感をもって意思決定する方針
だ。最近では社員の出張も多く、全員が顔を合わせる機会も少なくなっ
たという。今後の体制拡充により、
より一層活発な部署になりそうだ。
である通信用や産業用の蓄電池事業の受注にもつな
がる効果を期待しています」と話す。
同社はこの事業を「AKARi・ワールド・プロジェ
クト」と呼ぶ。好調な受注を反映し、忙しさも増し
てきた。来年度はマーケティング部の体制拡充も検
討するという。
2013.12 国際開発ジャーナル
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