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食の安全・安心ガイドブック

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食の安全・安心ガイドブック
食の安全・安心ガイドブック
平成27年2月
目 次
・・・・・ 1
■ トピックス(冬もこわい!ノロウイルスによる食中毒)
■ 食品表示の見方・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2
■ 健康食品と保健機能食品・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4
■ 食物アレルギー ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5
■ 食品添加物と残留農薬・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6
■ 食肉の安全性確保 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8
■ 生食用食肉の規格基準・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9
■ 食品中の放射性物質 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10
■ 家庭における食中毒の予防 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12
食中毒の分類と原因になりやすい食品及び食中毒菌等の生息場所の例
食肉、鶏卵/ペット
鮮魚介類、魚介類加工品
鶏肉、食肉/ペット
黄色ブドウ球菌
おにぎり/手指の化膿巣
いずし、缶詰
煮物、
カレー、
シチュー/土壌
焼飯、
スパゲティ
牛生レバー、食肉
カキ等二枚貝、二次汚染された食品
/下痢便や嘔吐物
毒キノコ、有毒植物
フグ、
毒化した貝類
油脂の酸化
揚げ物、揚げ菓子
赤身魚、みりん干し
鮮魚介類、馬肉
穀類、
ピーナッツ
冬もこわい!ノロウイルスによる食中毒
食中毒といえば、
じめじめした夏場を思い浮かべる方が多いでしょう。もちろん、夏場は食中毒に気をつけな
ければいけませんが、
実は食中毒は1年中発生しています。特に冬場に気をつけたいのがノロウイルスです。
ノロウイルスによる食中毒の特徴
◆患者数で第1位
◆冬期に多い
その他の月
111件
ノロウイルス
58%
その他
9,045人
11∼2月
68%
12,740人
原因別の食中毒患者数(年間)
◆大規模な食中毒になりやすい
235件
ノロウイルス
36.9人
その他 13.5人
ノロウイルス食中毒の発生時期別の件数(年間)
食中毒1件あたりの患者数
※出典:食中毒統計(平成21∼25年の平均 病因物質が判明している食中毒に限る)
潜伏期間
感染経路
24∼48時間
主な症状
吐き気、
嘔吐、下痢、
腹痛、発熱(軽度)
・汚染されていた二枚貝を生または十分に加熱調理しないで食べた場合
・調理を行った人から食品への汚染(食品の二次汚染)
・感染者の嘔吐物、糞便等により感染した場合(感染症)
■ 金沢市では、
過去5年間
(平成21∼25年)
でノロウイルスによる食中毒が7件発生し、
患者数は376名にも達しています。
ノロウイルスは感染力が強く、
10∼100個のウイルスが身体の中に入っただけで感染します。
また、
感染者の嘔吐物や糞便中には、
たくさんのウイルスが含まれます。感染すると下痢等の症状がなくなっても、
通常では1週間程度、
長いときには1ヶ月程度便と一緒に
ウイルスが排出され、
人が感染源となります。
ノロウイルスによる食中毒の約7割は原因食品が特定できていません。その中の多くは、
調理従事者を介して汚染された食品が原因だとされています。
ノロウイルスによる食中毒を予防するには
■ まず大切なのが手洗いです。
石けんによりノロウイルスを殺すことはできませんが、手の脂肪等の汚れを落とすことにより、
ウイルスを手指から剥がれやすく
する効果があります。石けんを十分に泡立て、丁寧に洗い、十分に泡をすすいだ後に、清潔なペーパータオルで水分を拭き取りまし
ょう。また、手拭きタオルを共用することは避けましょう。
ノロウイルスは、
感染しても発症しない場合や軽い風邪のような症状の場合もあります。特に注意が必要なのは、
自分が知らず知
らずのうちに家族などの身近な人たちの感染源になるおそれがあることです。普段から正しい方法の手洗いを習慣づけることが大
切です。
手洗い以外にも、
ノロウイルスによる食中毒の予防策として以下の点に気を付けましょう。
○食品は中心温度85℃以上で90秒以上の加熱を行う
○器具等は塩素系漂白剤
(次亜塩素酸ナトリウム)
や熱湯で消毒を行う
○嘔吐物は迅速に直接触らないように処理し、
処理後48時間は体調に変化がないか気にかけておく
(処理時に感染するおそれがあるため)
【過去10年間の大規模食中毒事件のワースト5】
発生年月
発生場所
患者数
病因物質
H24年12月
広島県
2,035名
ノロウイルス
仕出し弁当
H19年12月
奈良県
1,734名
ノロウイルス
仕出し弁当
H23年2月
北海道
1,522名
サルモネラ属菌
サラダ
(学校給食)
H24年12月
山梨県
1,442名
ノロウイルス
仕出し弁当
H23年1月
岡山県
1,197名
ノロウイルス
不明(原因施設:仕出屋)
1
原因食品
食品表示の見方
加工食品のうち、
パックや袋などで包装されているものには表示が義務づけられています。
包装されていないものや量り売りなどで対面販売されるものなどは、表示を省略できるため、知りたい情報
が書いてないことがあります。食物アレルギーのある方は、原材料の使用についてお店の人に確認しましょう。
食品表示の例
表示が義務付けられているもの
Point 1
名 称
原材料名
大根
(国産)
、漬け原材料(しょうゆ
(大豆、
原材料および食品添加物
小麦を含む)
、食塩)、調味料
(アミノ酸等)
Point 3
内 容 量
300g
賞味期限
H○.
○.○
保存方法
一般的な名称(商品名ではない)
大根しょうゆ漬 Point 2
重量・体積・数量
Point 4
期限表示(消費期限もしくは賞味期限)
直射日光・高温・多湿を避けて
期限表示の条件を具体的に記載
保存してください。
製 造 者
【国内製造の場合】
製造者氏名(法人の場合は法人名)
及び製造所所在地
△△漬物株式会社
金沢市○○町○番○号
【輸入の場合】
輸入業者氏名(法人の場合は法人名)
及びその住所
Point1
アレルギー物質の表示
〈5ページ参照〉
アレルギー物質の表示は食物アレルギーのある方にとっては、
健康と命に関わる重要な情報です。
表示は義務か
表示義務
アレルギーの原因となる食品の名称
表示させる理由
卵、乳、小麦、
えび、
かに
発症件数が多いため
落花生、そば
症状が重くなることが多く、生命に関わるため
いくら、
キウイフルーツ、
くるみ、
大豆、
バナナ、
表示を奨励
やまいも、
カシューナッツ、
もも、
ごま、
さば、
さけ、
過去に一定の頻度で
(任意表示)
いか、鶏肉、
りんご、
まつたけ、あわび、
オレンジ、
発症が報告されたもの
牛肉、
ゼラチン、豚肉
食物アレルギーは、食事をしたときに身体が食物に含まれるタンパク質を異物として認識し、
自分の身体を防御するために過敏
な反応を起こすことです。主な症状は、
「皮膚がかゆくなる」、
「咳がでる」、
「じんま疹がでる」などです。重い症状の場合には、
「意識
がなくなる」、
「血圧が低下してショック状態になる」
ということもあり、
非常に危険な場合もあります。
Point 2
原材料の「産地情報」
加工食品には、JAS法等によって一括表示欄に主な原材料の原産地名表示が義務づけられているものが多くあります。産
地が国内の場合は、
「国産」
としたり、都道府県名などが記載されます。外国産の場合は、国名が記載されます。
2
Point 3
消費期限と賞味期限
■ 消費期限は安全に食べられると認められる期限です。この
消費期限と賞味期限のイメージ
期限を過ぎて食べると健康を害する可能性があります。
品質
■ 賞味期限はおいしく食べることのできる期限です。この期限
を過ぎても、すぐに食べられなくなるわけではありません。味
安全に
食べられる▶
限界
やにおいを確認し、食品の無駄を減らすことも考えましょう。
■ 表示された期限は、開封せずに表示された方法で保存した
場合のものです。開封後は、期限が切れる前でも品質が劣化し
劣化が比較的遅いもの
(缶詰、
スナック菓子など)
劣化が早いもの
(弁当、惣菜など)
▲
▲
製造日 消費期限
ていることがあるので、味やにおいを確認した上で早めに食べ
▲
賞味期限
保存日数
ましょう。
Point 4
食品添加物の表示
〈6ページ参照〉
■ 食品をつくるときに使われた添加物は、原則としてすべて表示されます。
しかしながら、食品ができるまでに取り除かれるなどして
ほとんど残らないものや、
栄養強化の目的で使用されるものは表示が免除されています。
■ 卵、乳、小麦などアレルギーの原因となる食品からつくられた添加物が使われた場合には、
そのことが表示されます。
例)香料(乳成分、
卵を含む)、乳化剤(大豆由来)
遺伝子組換え食品
■ 遺伝子組換え食品には、表示が義務付けられています。
現在までに安全性審査が完了し、輸入が認められている
作物は、下記の8種類あります。
大豆
じゃがいも
なたね
とうもろこし
名称
○ ○
原材料
大豆(遺伝子組換え)
内容量
300g
製造者
てんさい
(砂糖大根)
アルファルファ
「遺伝子組換え不分別」
賞味期限 ○年○月△日
保存方法 10℃以下
わた
「遺伝子組換え」
遺伝子組換え農作物が含まれます。
パパイヤ
遺伝子組換え農作物が混ざっている可能性があります。
△△食品(株)
「遺伝子組換えでない」
(任意表示)
金沢市●●●
遺伝子組換え農作物は混入していません。
*国内では、遺伝子組換え作物は商業的に栽培されていません。
栄養成分表示
栄養成分表示
1袋
(10枚)あたり
エネルギー
たんぱく質
脂質
炭水化物
ナトリウム
550kcal
3.0g
11.2g
80.0g
180mg
栄養表示基準に従って、
加工食品などに栄養成分を表示することができます。
強調表示があるときは、必ず栄養成分表示が必要です。
■ エネルギー(カロリー)からナトリウムまでの5項目は必ず表示されます。含有量
が0でも省略できません。
■ 炭水化物は、
糖質と食物繊維として表示されることもあります。
強調表示
■ 「カロリーオフ」、
「カルシウム強化」などの表示を強調表示
■ 基準を満たしていれば表示ができるので、
「 無」
「ゼロ」
「ノ
といいます。栄養成分が高い旨(「たっぷり」
「多い」など)、含む
ン」と表示されていても、その成分がまったく入っていないと
旨(「入り」
「含有」など)、含まない旨(「無」
「ゼロ」など)、低い
は限りません。
旨(「控えめ」
「ライト」など)は、基準を満たしていないと表示
■ 「甘さ控えめ」
「うす塩味」
という表示は味覚に関する表現で
することはできません。
あり、
「糖分が少ない」
「塩分が少ない」
という意味ではないの
で注意してください。
3
健康食品と保健機能食品
健康食品は医薬品ではない
■ 健康食品は医薬品ではないことから、医薬品的な効能・効果や、事実
に基づかない虚偽・誇大な健康保持増進効果等の表示及び広告が禁止
されています。
禁止されている表示・広告の例
▽ 虚偽・誇大な効果が明らかであると判断できる表示
「医者にいかずにガンが治る」
「最高の○○」
「○○に効くと言われる」等
・「厚生労働省許可」
虚偽・誇大な効果であると判断できる表示
▽ 効果の確認ができないことにより、
「学会発表と同種の○○」
「効果と関係ない特許番号」等
・「存在しない体験談、タレントの推薦」
■ 平成14年の中国製ダイエット用健康食品など、
薬事法違反で回収される例が少なからず見られます。
■ 医薬品成分を含む健康食品では、消費者に医薬品を摂取している認識がないため、長期や過度の摂取により思わぬ健康障害が
現れることがあります。他の病気で処方された医薬品の効果が十分に現れない、逆に、副作用が強く現れるなど健康への重大な影
響をもたらすこともあります。
保健機能食品
■ 「保健機能食品」
と表示される一群の食品には、強化されている栄養成分や食品の機能性成分が持つ保健に関する機能について
表示することが認められています。保健機能食品には「特定保健用食品」
と
「栄養機能食品」の2種類があります。
特定保健用食品及び条件付特定保健用食品
▽ 特定保健用食品として販売するためには、食品の有効性や安全性について審査を受け、消費者
庁の許可を受ける必要があります。
▽ 条件付き特定保健用食品は、特定保健用食品のレベルには届かないものの、一定の有効性が
確認される食品を、限定的な科学的根拠である旨の表示をすることを条件に許可をしています。
栄養機能食品
▽ ビタミンやミネラルなどを強化した食品で、その1日摂取目安量が厚生労働省で定めた範囲に
ある場合は、その栄養素の機能を表示できます。
健康食品の利用
■ 人の健康は、特定の機能性成分のみによって維持されているわけではなく、
バランスのとれた食事
と運動、
生活習慣によって維持されています。
■ 健康食品等では、特定の食品や成分を一般に摂取する以上に摂取しがちです。その結果、肝臓等
に過度の負担を強いる場合もないとは言えません。
4
食物アレルギー
アレルギーは過剰な免疫反応
■ 人によっては、一部の食品成分を異物と認識する場合があります。
本来なら人に有効な「免疫機能」が、健康に害となるまでに過剰に現
れると
「アレルギー」
となります。
■ 食物アレルギーでは、下痢や嘔吐、
じんま疹などのほか「アナフィ
ラキシーショック」
と呼ばれる血圧低下や呼吸困難、意識消失などを
併発して重症化する場合もあり、
まれに死に至る例もあります。
食物アレルギーをひき起こす食品
■ これまでに判明している食物アレルギーの発生頻度や
その症状の重篤性から、食品衛生法では、下表のとおり、
原材料として含む食品には必ずその旨を表示しなければ
ならないものと、原材料として含む旨の表示を行うよう推
奨しているものがあります。
必ず表示しなければならないもの
発 生 症 例 数 が 多 い も の :卵、乳、小麦、
えび、
かに
発症した場合症状が重いもの:落花生、そば
いくら、
キウイフルーツ、
くるみ、
大豆、
バナナ、
やまいも、
表示するよう勧められているもの
カシューナッツ、
もも、
ごま、
さば、
さけ、いか、鶏肉、
りんご、
まつたけ、あわび、
オレンジ、牛肉、
ゼラチン、豚肉
アレルギー物質表示の見分け方
■ 食物アレルギーの原因となる原材料は、加工食品の原材料欄に、上表の品名又はこれに代わる名称である
「コムギ(小麦)、玉子
(卵)、
ピーナッツ
(落花生)」等や、
これらを原材料として製造されていることが一般に広く知られている加工食品である「パン
(小
麦)、
マヨネーズ
(卵)、
チーズ
(乳)」等で表示されます。
■ 原材料として使用した加工食品名からだけではアレルギーの原因となる食品が含まれているかどうか判りにくい場合には、
「(原
材料の一部に小麦、
大豆を含む)
」などのように、
まとめて表示されることもあります。
■ 原材料として使用していなくても、
食物アレルギーの原因となる原材料を使用した食品を同じ工場内で製造している場合で、意図
しない混入が予想されるときには、
「この製品は、そばを製造している工場で製造しています」などのように、注意喚起表示をするこ
とも認められています。
5
食品添加物と残留農薬
食品添加物とは?
■ 食品を製造するときに食品の加工、保存の目的で食品に加えられるものです。
食品添加物の種類
指定対象添加物
指定添加物
食品添加物
既存添加物
国が指定した添加物
例:クエン酸、
キシリトール、
ソルビン酸 など
長く食用として使用されてきた添加物
(既存添加物名簿に掲載)
例:にがり、
ステビア、
クチナシ色素、
カラメル など
指定対象外
天然香料
一般飲食物
添加物
動植物からとった香料
例:レモン、
ニンニク、
ハチミツ、
バニラ香料、
カニ香料 など
通常、食品として食べられているもの
例:いちごジュース、
イカ墨、寒天、抹茶、
ココア など
添加物の働きは?
製造・加工に必要
味をよくする
魅力を増し、食欲を増進させる
乳化剤、
かんすい、
にがり など
調味料、甘味料 など
着色料、発色剤 など
栄養分を強化
腐敗や変質、酸化を防ぐ
ミネラル類、
ビタミン類 など
保存料、酸化防止剤 など
食品添加物はどのように記載されているのか?
A)物質名表示
■ 食品添加物は、
原則として物質名で表示されます。
物質名の例
品名
別名
簡略名または類別名
物質名は、
品名のほか、
L-アスコルビン酸
ビタミンC
アスコルビン酸、V.C
その別名や簡略名で
硫酸アルミニウムカリウム
焼ミョウバン
ミョウバン
表示できます。
B)用途名の併記
■ 以下の8種類の用途に使用される食品添加物については、消費者に使用目的がわかるように、用途名を物質名と併せて表示しな
ければなりません。
甘味料 着色料 保存料 酸化防止剤 発色剤 漂白剤
例)保存料(ソルビン酸K) 着色料(赤102)など
増粘剤、安定剤、
ゲル化剤または糊料 防かび剤(防ばい剤)
C)一括名表示
■ 食品添加物を以下の14種類の用途で使用する場合については、
その使用目的を表す一括名で表示することができます。
イーストフード ガムベース かんすい 苦味料 酵素
※調味料にはアミノ酸、
核酸、有機酸、
光沢剤 香料又は合成香料 酸味料 チューインガム軟化剤
無機酸などのグループ名を併記する。 ※
例) 調味料
(アミノ酸)
調味料 乳化剤 豆腐用凝固剤 PH調整剤 膨張剤
6
野菜、果実等の残留農薬について
農薬の種類
殺菌剤
植物の病気を防ぐ。
殺虫剤
害虫を防除する。
除草剤
雑草を防ぐ。
植物成長調整剤
背丈を低くしたり、種なしブドウを作ったりする。
A)農薬の登録と適正使用
■ 農薬は、農薬取締法で登録されたものだけが使用できます。登録の際、その効果や残留性を考慮して使用できる作物、対象病害
虫、使用時期、使用量、使用回数などが決められます。
■ 農薬の散布後には、
使用した農薬名や散布した量などを記録しておくよう農協などが指導しています。
B)農薬の「ポジティブリスト制」について
■ ポジティブリスト制度は、全ての農薬に残留基準値を設けて、基準値以上の農薬が検出された食品の販売等を禁止する制度で
す。残留基準値を超える農薬が検出された場合は、
その農産物は食品衛生法違反となり、
回収、廃棄等が行われます。
C)ポストハーベスト農薬について
■ 世界各地から農産物を運んでくる場合、船の中で長期保存となるため、病害虫・カビ・腐敗防止対策として収穫後の農産物に農薬
が散布されています。これを「ポストハーベスト農薬」
といいます。
■ 日本国内ではポストハーベスト農薬は認められていませんが、
食品添加物として認可されています。
防かび剤として使用できる食品添加物は7種類で、
レモン、
オレンジなどの輸入かんきつ類やバナナ、
もも、
りんごなどに認
■ 現在、
められています。
化学物質の量と健康への影響
1
死亡
大・小
健康への影響
0.01
中毒
人と動物、個人の差などを考慮して
無毒性量の100分の1
摂取量
実際に摂る量
基準値
ADI(一日摂取許容量)
無毒性量
食事などを通じて実際に
摂る量はADIよりずっと
少ない
ADI未満になるように
決める量
人がある物質を一生にわたって
毎日摂取し続けても、健康に悪
影響が出ない量
多くの動物試験の結果、
毎日摂取してもまったく
影響が出なかった量
出典 内閣府 食品安全委員会「科学の目で見る食品安全」
7
食肉の安全性確保
食肉となる家畜(牛、豚等)
は、法律に基づき設置する
「と畜場」
で処理されます。食肉の安全性を確保するため家畜が食肉に処理
される過程で様々な検査
(と畜検査)
を厳密に行っています。
と畜検査の種類
■ と畜検査では1頭毎に健康状態を確認す
る生体検査から始まり、解体前検査、そして
解体後検査として内臓検査と枝肉検査を実
施します。異常を認めたものについては、精
密検査を行います。
BSE対策
■ 日本では平成14年2月以降に生まれた
48ヵ月超牛では
牛からはBSEは見つかっておらず、平成25
BSEスクリーニング検査
年5月に国際機関であるOIE(国際獣疫事務
局)からBSEの「リスクが無視できる国」に
認定されました。
■ 厚生労働省は、平成25年7月から検査対
象を48か月齢超の牛としました。金沢市も
これに従い、BSE検査対象を48か月齢超
の牛としています。
HACCPシステムを取り入れたと畜場『石川県金沢食肉流通センター』
■ 石川県金沢食肉流通センターは平成16年4月に新築・稼働し、家畜のうち「牛、豚、馬、山羊、
めん羊」を、食肉にするための処理を
行っています。
■ ここでは、牛や豚などの腸内や体表に常在する食中毒菌等によって枝肉が汚染されるのを防止し、安全で衛生的な枝肉を出荷す
るため、HACCPシステムを取り入れた衛生管理を行っています。
■ 家畜以外の鶏、あひる、七面鳥等の家きんは、類似の施設である食鳥処理場で処理されています。法律に定められた検査に合格
した食肉だけが店頭に並びます。
動物用飼料の安全対策
■ 平成13年9月に国内で初めてBSE感染牛が確認されて以降、
と畜場では特定部位の除去・焼却が義務化され、化製場において
も完全に分離処理されています。
■ 飼料製造工場でも、肉骨粉等の動物性タンパク質が牛の飼料中に混入するのを防止する対策が徹底して行われ、併せて、独立行
政法人 肥飼料検査所が牛の飼料中に肉骨粉が含まれていないかについて検査を行っています。
8
生食用食肉の規格基準
平成23年10月1日より、生食用食肉
(生食用として販売される牛の食肉
(内臓を除く。)
)
に、罰則を伴った強
制力のある
「成分規格」
や「表示基準」が設けられました。
これは、平成23年4月に、富山県等の焼肉チェーン店で提供されたユッケが原因で5名が亡くなった腸管出
血性大腸菌による集団食中毒を受けて設定されたものです。また、生食用食肉を加工・調理する施設には、石川
県条例により施設基準も設けられています。
成分規格
○生食用食肉は、腸内細菌科菌群が陰性でなければならないこと
○牛肉であること
○生食用であること
表示基準
○と畜場・加工施設の所在地の都道府県名及びと畜場の名称
○一般的に食肉の生食は食中毒のリスクがあること
○子供、高齢者その他食中毒に対する抵抗力の弱い者は食肉の生食を控えるべきこと
○生食用食肉の加工・調理を行う場所は、専用であること
・器具を洗浄するための専用の流水式洗浄設備
施設基準
・手指を洗浄するための消毒液を備えた専用の流水式手洗設備
・加熱殺菌を行う専用の設備(加工施設)
・加熱殺菌後の冷却を行う専用の設備
(加工施設)
☆それでも食肉の生食はリスクが大きい。
■ このように、成分規格や施設基準を設け、厳しく管理しているのですが、
これは決して生食を奨めるものではありません。
腸管出血性大腸菌やサルモネラ属菌等の一部の食中毒菌は、家畜の腸内に必ず存在することから、生食用食肉(牛肉)の加
工や調理の工程で、
これらの微生物を完全に除去することは困難です。
このため、
これら規格基準等に適合したものであっても、子ども、高齢者などの抵抗力の弱い方は、生肉を食べないよう、
また、食べさせないようにすることが必要です。
☆平成24年7月から、牛のレバー(肝臓)を生食用として
販売・提供することが法律で禁止されました。
■ 牛のレバーに限らず豚レバーをはじめとする豚、
イノシシ、
シカの肉を生で食べると、
E型肝炎ウイルスや寄生虫、
カンピロバクターなどの食中毒の危険性もあります。
しっ
かり加熱して食べることが必要です。
9
食品中の放射性物質
身の回りからの被ばく
■ 原発事故に関わらず、
日本では、宇宙や大地、建物などから年間約2.1ミリシーベルトの被ばくをしています。この数値には「カリ
ウム40」をはじめとする食品中に自然にある放射性物質の摂取による被ばく線量も含まれています。
自 然 放 射 線
人 工 放 射 線
10
胸部X線
コンピュータ
断層撮影検査
(CTスキャン)
10
ブラジル
ガラパリ市街地の
自然放射線量
(年間)
6.9
[世界平均]
1人当たりの自然放射線(年間)
2.4
3 胃のX線
集団検診
(1回の検査)
[日本平均]
1人当たりの自然放射線(年間)
2.1
1
空気中の
ラドンなどから
0.48
宇宙から
0.3
大地から0.33
食物から0.99
一般公衆の線量限度
[医療は除く]
1.0(年間)
0.1
0.05
胸のX線
集団検診
(1回の検査)
0.1
東京∼ニューヨーク航空機旅行
(高度による宇宙線の増加)
0.01
放射線の量
(単位:ミリシーベルト)
参考資料:消費者庁「食品と放射能Q&A(第8版)」
新たな基準値
■ 平成23年3月に発生した原子力発電所事故を受け、
平成24年4月に新たな基準が設定されました。
食品群
飲料水
乳児用食品
牛乳
一般食品
基準値
10ベクレル/kg
50ベクレル/kg
50ベクレル/kg
100ベクレル/kg
基準設定の考え方
■ この基準は、食品から受ける年間の被ばく線量が、
国際的な指標の「1ミリシーベルト」を超えないように設定されています。
一般の基準値は、年齢や性別などにより一般食品の摂取量等を考慮して算出した限度値を基にしており、乳児をはじめ、
すべての
世代に配慮したものとなっています。
ベクレルは放射性物質が出す放射能を表す単位のことです。シーベルトは生物学的影響の大きさを表す単位です。
10
子どもたちへの基準
■ 放射線からの影響が大きい可能性があるとされる子どもへの配慮から、
幼児が食べる
「乳児用食品」
と子どもの摂取量が多い「牛
乳」を特別な区分に設定し、一般食品の半分の50ベクレル/kgとしました。
★乳児用食品の範囲
粉ミルク
フルーツ
ジュース
のむ
ヨーグルト
6ヶ月ごろ∼
6ヶ月ごろ∼
ベビーフード
ソフト
せんべい
たまご
ボーロ
離乳食
乳児用調整粉乳
乳児向け飲料
離乳食
ベビーフード等
消費者が表示内容等で乳児向けと認識する可能性が高いものを対象とする。
★牛乳の範囲
牛乳に含めるもの
一般食品に含めるもの
牛乳、低脂肪乳、
加工乳、乳飲料
乳酸菌飲料、発酵乳、
チーズ
ヨーグルト
検体数、頻度などを増やして検査を行い、
基準を超えたものは地域ごとに出荷を止めています。
■ 出荷制限の解除は、
1か月間毎週の検査すべてで基準を下回った時に行われます。
これらの検査結果等は、毎日とりまとめて次のホームページで公表しています。
厚生労働省のホームページ
http://www.mhlw.go.jp/shinsai-jouhou/shokuhin.html#shokuhin
原発事故のために実際の食品から受ける線量を調べたところ、ごくわずかでした。
■ 平成23年秋に各地で購入した食品を検査し、含まれていた放射性セシウムから、その食品を1年間食べたときに受ける放射線の
線量を推計すると、0.003(東京)
∼0.019(福島)
ミリシーベルトでした。これは、同じ食品にもともと含まれる、天然の放射性物質
(カリウム40)
からの線量が、約0.2ミリシーベルトであったのと比べても、
ずっと少ない量です。
1
0.9
0.8
0.7
0.6
0.5
実効線量(ミリシーベルト / 年)
0.4
0.3
0.2
0.1
0
食品からの放射性物質の年間摂取量の推定値
カリウム 40
自然界に
もともとある
放射性物質
セシウム(134,137)
原発事故により
放出された
放射性物質
0.003
0.017
東京
宮城
0.019
福島
同じ線量であれば、原発事故による放射性物質も、
天然の放射性物質も、
そこから出る放射線による人体への影響は同じです。
■ 平成24年秋にも同様の検査を実施したところ、大きな減少が見られました。
福島県(中通り)では、
前回23年秋の0.019ミリシーベルトが、今回約5分の1の0.0038ミリシーベルトに。
厚生労働省では、
今後も継続してこうした調査を実施し、
食品の安全性の検証に努めていきます。
11
家庭における食中毒の予防
家庭での食中毒
■ 平成25年の全国の食中毒統計で、原因施設が判明した食中毒のうち、飲食店を原因とするものが約60%、次いで家庭を原因
とするものが約10%と家庭が原因の食中毒が意外と多いことが分かります。
■ 食中毒の原因物質の判明したもののうち、細菌によるものが約40%、
ウイルスによるものが約40%と、両者で全体の80%を占
めています。家庭での食中毒防止は、
細菌やウイルスによる食中毒防止であるといえます。
家庭での食中毒防止 ∼食中毒予防三原則∼
食品に付着したり食品中で増えたりし
た食中毒菌等を、十分な加熱により死
滅させる。
食中毒菌やウイルスは85℃以上で90
秒以上加熱するとほとんど死滅します。
食品を購入する際は
食品を保存する際は
12
下準備の際は
▽ 調理台の上はかたづいていますか?タオルやふきんは清潔なものと
交換してありますか?
▽ 下準備の前に手を洗いましょう。
▽ 肉や魚などの汁が、生で食べる果物やサラダ、調理の済んだ食品に
かからないようにしましょう。
▽ 包丁やまな板は、生の肉や魚を切った後には、洗って熱湯をかけて
から他のものに使いましょう。
▽ 生の肉、魚、殻付き卵を取り扱った後にも手を洗いましょう。
▽ フィルム包装をしてある野菜やカット野菜もよく洗いましょう。
▽ 冷凍食品などの解凍は冷蔵庫の中やレンジで行いましょう。
料理に使う分だけを解凍し、
解凍が終わったらすぐ調理しましょう。
▽ 使い終わった器具類は、
すぐに洗剤と流水でよく洗いましょう。
汚れがひどいふきんは、漂白剤に1晩つけ込むと消毒効果があります。
調理の際は
▽ 下準備で台所が汚れていませんか?タオルやふきんは乾いた清潔なものと交換しましょう。
そして、手を洗いましょう。
▽ 加熱して調理する食品は、中心部の温度が75℃以上で1分以上、二枚貝等ノロウイルス汚
染のおそれのある食品の場合は85℃以上で90秒以上になるように加熱しましょう。
▽ 電子レンジを使う場合は、電子レンジ用の容器、ふたを使い、調理時間に気を付け、熱の伝わ
りにくいものは、時々かき混ぜることも必要です。
食事の際は
▽ 食卓につく前に手を洗いましょう。
▽ 清潔な手で、
清潔な器具を使い、清潔な食器に盛りつけましょう。
▽ 温かく食べる料理は常に温かく
(65℃以上)、冷やして食べる料理は
常に冷たく
(10℃以下)
しておきましょう。
残った食品については
▽ 調理前の食品や調理後の食品は、
室温に長く放置してはいけません。
▽ 残った食品を扱う前にも手を洗いましょう。
▽ 清潔な器具と容器を使い、
早く冷えるよう小さく分けて保存しましょう。
▽ 時間が経ち過ぎたら、
思い切って捨てましょう。
▽ 残った食品を温め直す時も十分に加熱しましょう。
▽ ちょっとでも怪しいと思ったら、食べずに捨てましょう。
これらのポイントに気をつけて、家庭から食中毒をなくしましょう。
家族が下痢や嘔吐をしたときは、食中毒菌やウイルスが手に付着することがあります。
使い捨て手袋などをして後始末しましょう。そして、石けんで丁寧に手を洗い、流水で十分すすぎましょう。
それでも、もし、お腹が痛くなったり、下痢をしたり、気持ちが悪くなったりしたら、かかりつけの医師に相談しましょう。
13
食品の安全性に関するホームページ等
消費者行政・食品安全の総合案内 http://www.anzen.go.jp/
▼内閣府 消費者庁
▽食品表示
http://www.caa.go.jp/
http://www.caa.go.jp/foods/index.html
▼食品安全委員会
http://www.fsc.go.jp/index.html
▼消費者委員会
http://www.cao.go.jp/consumer/
厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/
▼食品
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/index.html
▽食品添加物
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuten/index.html
▽残留農薬等
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/zanryu/index.html
▽遺伝子組換え食品
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/idenshi/index.html
▽輸入食品
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/yunyu_kanshi/index.html
▽BSE
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/bse/index.html
▽健康食品
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/hokenkinou/index.html
農林水産省
http://www.maff.go.jp/
▼消費・安全
http://www.maff.go.jp/j/syouan/
▽消費者の部屋
http://www.maff.go.jp/j/heya/index.html
▽食品表示とJAS規格
http://www.maff.go.jp/j/jas/index.html
▽BSE関係
http://www.maff.go.jp/j/syouan/douei/bse/
▼生産
http://www.maff.go.jp/j/seisan/
▼水産庁
http://www.jfa.maff.go.jp/
家畜改良センター
http://www.nlbc.go.jp/index.asp
▼牛の個体識別情報検索
(牛肉のトレーサビリティ)
https://www.id.nlbc.go.jp/top.html
日本食品化学研究振興財団
http://www.ffcr.or.jp/
日本食品衛生協会
http://www.n-shokuei.jp/
日本食品添加物協会
http://www.jafaa.or.jp/
1076-234-5112
5076-220-2518
html
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