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パーツと語源で楽しむ英単語学習(PDF)

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パーツと語源で楽しむ英単語学習(PDF)
パーツと語源で楽しむ英単語学習
埼玉県立大学保健医療福祉学部 共通教育科
教授 飯島博之
1.はじめに
英単語の学習に際して、単語帳や単語カードを作る、繰り返し学習する、特定のトピッ
クの理解について必要な語彙をまとめて覚える、といった方法は基本的な学習方法ですが、
単語をパーツに分解し、個々のパーツの意味を覚えてゆく方法を併用することは語彙学習
にとって大変有効です。
2.語を構成する形態素
語 (word) よりも小さい、意味を持つ最少単位は形態素 (morpheme) と呼ばれます。例
えば、international (国際的な) という語は nation (国民・国家) の前後に接頭辞 (pref.:
prefix)の inter- (相互の・間の) と 接尾辞 (suf.: suffix) の -al (形容詞形語尾) がついたも
のです。接頭辞と接尾辞は合わせて 接辞 (affix) と呼ばれますが、これらは語 (word) や
語根 (root: 語から屈折形態素、派生形態素を取り除いた後のそれ以上分析できない要素)
の前後に添加して、語意の変更、修正、語の文法的特性の表示を行う要素です。接頭辞、
接尾辞の多くはギリシャ語(Gk)とラテン語(L)に由来しています。この接辞と非常によく似
た形態素に連結形 (CF: Combining Form) があり、連結形にも前部連結形 (ICF: Initial
Combining Form)と後部連結形 (FCF: Final Combining Form) の2種類があります
(Bauer 1983)。前部連結形は通常、連結母音 o で終わりますが (例:psych(o)- 精神)、後続
の要素が母音で始まる場合は連結母音 o が現れません。また、接頭辞や接尾辞と同様、ギ
リシャ語とラテン語に由来しており、それ自体で独立語となることはできません。しかし、
接頭辞や接尾辞が通常、直接互いに結合することはできないのに対し、連結形は連結形同
士で結合したり (例 psychology (心理学): psych(o)- (精神 Gk ICF) + -logy (学問 Gk
FCF))、接頭辞や接尾辞をとることも可能です (例 hyperpnea (過呼吸): hyper- (過度の Gk
pref.) + -pnea (呼吸 Gk FCF.)。新英和大辞典(2002)は combining form について“連結形
は接頭辞・接尾辞に比べて意味がより具象的であり、連結の関係も等位的である” (p.498)
と述べていますが、この説明自体が曖昧であることからもわかるように、接辞と連結形の
間に明確な境界線を引くことができません。ただし、連結形の方が語により近いというイ
メージを持っておくと良いでしょう。ちなみに、Bauer (1983)は一見すると接辞と似てい
るが振る舞いの異なる点があるギリシャ・ラテン語系の要素を combining form と名付けた
のは OED (The Oxford English Dictionary)であるとしています。The Oxford English
Dictionary Second edition on CD-ROM Version 4.0 (2009)によると 1884 年に aero- の定
義に用いた例が初出です。Oxford 大学出版局による他の主要辞書や Webster’s Third New
International Dictionary of the English Language Unabridged (2002) は両者を区別して
いますが、Cambridge Advanced Learner’s Dictionary (2008) の様に、連結形と接辞を区
別せず、接頭辞か接尾辞に2分類する立場をとる辞書も見られます。また、海外の医学用
語の参考書の中には語頭や語中の要素には連結形という用語を用いる一方で、語尾の要素
はすべて接尾辞として説明しているものも見られますので、連結形に関心を持った方は、
少し注意が必要です。本論では連結形と接辞を区別していますが、一般の学習者にとって
重要なのは、個々の形態素の意味ですので、それが接辞か、連結形かということに神経を
とがらせる必要はないでしょう。
3.単語のネットワーク
語の内部構造に関心が向くようになると、同じ形式を共有する語のグループが見えてく
るようになります。次の図は psych(o)-, -logy, bi(o)-, -opsy という 4 つの連結形を中心とし
た語彙の関係を示したものですが、辞書で意味を調べる際に語源欄を眺めつつ、下図の様
な語のネットワークを頭の中に作ってゆくことで語彙を効果的に習得してください。
図:語彙学習における単語のネットワーク
引用文献
Bauer, L. (1983). English Word-formation. Cambridge: Cambridge University Press.
新英和大辞典 第 6 版 (2002). 東京:研究社
参考文献
Cambridge Advanced Learner’s Dictionary (2008). Cambridge: Cambridge University
Press.
ジーニアス英和大辞典 (2001). 東京:大修館書店
林 弘之 木村明彦 飯島博之 成瀬秀夫 五味敏昭. (2012). 「医療系学生に必要な解剖
学用語 1000 ~英語解剖学用語は語源から覚えよう~」. 愛知:犀書房
Oxford Dictionary of English 2nd Edition revised (2005). Oxford: Oxford University
Press.
Shorter Oxford English Dictionary on Historical Principles 6th Edition (2007). Oxford:
Oxford University Press.
ランダムハウス英和大辞典 第 2 版 (1993). 東京:小学館
The Oxford English Dictionary Second edition on CD-ROM Version 4.0 (2009). Oxford:
Oxford University Press.
Webster’s Third New International Dictionary of the English Language Unabridged
(2002). Massachusetts: Merriam-Webster INC.
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