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Twinkle:Tokyo Women`s Medical University

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Twinkle:Tokyo Women`s Medical University
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化学物質による職業性障害について
石津, 澄子
東京女子医科大学雑誌, 50(7):633-634, 1980
http://hdl.handle.net/10470/4147
Twinkle:Tokyo Women's Medical University - Information & Knowledge Database.
http://ir.twmu.ac.jp/dspace/
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る.病理組織学的所見:真皮下層の皮膚付属器,主とし
(第二病院整形外科)
て汗線や汗管周囲に肥辟細胞が散発する.
○石上 宮子・菅原 幸子・
考察:われわれの症例のうち,症例1は若年型のUnna
大野 博子・上田 禮子
従来,筋力測定および筋力増強運動後どのくらい筋力
型,症例2は若年型のDe丘trelep ont−Jada3sohn型,症
例3は成人型のR6na型と思われる.現在3者とも,他
が改善しているかを調べるために徒手筋力テストやバネ
臓器には異常を認めない.
秤量等が用いられた.しかし,これらは筋力測定,筋
力改善および毎日の訓練がどのくらい行われているか
35.陰のう部落痛を訴えた糖尿病性神経障害の6例
を客観的に判定するのにはかなり困難があった.1967
(糖尿病センター)
○高橋 良当・匠
年,筋肉の収縮のi30kinetiC COntraCtiOn(等運動性等速
京子・竹居真知子・
性収縮)という概念のもとに,New York大学のRusk
大森 安恵・平田 幸正
れており,その大部分は下肢の帯下,錯感覚などの知覚
InstltuteのLowmannらにより,等運動性等速性の抵
抗運動器Cybex Machineが開発された.このCybex
障害であり,糖尿病性末梢神経障害によるものである.
Machineはダイナモメーター,スピード・出力調節器,
そして,この下肢の末梢神経障害と同時に,又は独立し
記録装置,ベヅドからなり,筋力測定,筋力改善のため
て陰のう部の耳痛やしびれ感を訴えることがあり,時に
の訓練方法および筋力の改善度等を客観的に診ることが
は性病の不安から症状を隠す場合もあり,見逃され易い
できるようになった.われわれは,このCybex Machine
糖尿病者に種々の神経障害を合併することはよく知ら
症状である.われわれは,約半年の間に6例の陰のう部
を約1年間筋力測定,筋力改善の訓練に使用し,いささ
疹痛を訴えた症例を経験したので報告する.
かの知見を得たので報告する.
症例は36歳から68歳まで(平均52歳)の男性6例であ
対象は整形外科釣疾患(神経・筋疾患は除く)で徒手
り,5∼15年の糖尿病歴を有し,1例の肥満した血糖コ
筋力テストで明らかに筋力が低下していると思われる患
ントロール良好な例のほか,5例はやせ(一10%∼一26
者であり,Cybex Machineは各測定部位により入力杵
%)のみられるコントロール不良の症例である.陰のう
の調整,関節のROMの範囲および筋力により角速度
部の症状のみを主訴に来院した症例が2例,他は下肢
の調整の後,筋力計測および訓練を行なった.
のしびれや早撃と同時に陰のう部の症状を訴えた.神経
結果は,1)健側に比べ徒手筋力テストで低下を認め
学的一こは5例に深部反射の低下∼消失,全例に振動覚低
た患側の筋力は,健側の2/3以下であった。2)患側にお
下,4例解3例に神経伝達速度の遅延を認めた.知覚異
ける最大筋力部での曲線の動揺がみられた.3)健側に
常は,ピリピリ感の部位に一致して触覚,痛覚過敏帯を
比べ患側は最大筋力部より急激におちる傾向があった.
みることが多い.6例全例にインポテンス,4例にアミ
4)健側に比べ患側では素速い運動の切り換えが困難で
オトロフィーと胃腸障害,1例ずつに膀胱障害と起立性
あった,5) 1∼3カ月間疾患のため固定を必要とした
低血圧等の糖尿病性自律神経障害も合併しており,その
ものは,筋力が213∼1/2になっていたが,cybex Machine
他の合併症として,網膜症はSc・tt O∼皿aと種々を示
の訓練で,約1ヵ月で健側と同程度の筋力の改善がみら
し,腎症を認める者はいなかった.
れた.
6例とも,入院治療を行い,経口糖尿病薬およびイン
〔特別講演〕
スリンによるコントロールの改善を図り,神経障害に対
する薬剤(ビタミンB剤,抗てんかん薬,Aldose reduc−
化学物質による職業性障害について
(第二衛生)石津 澄子
tase i抑hibitor)で症状の軽快をみた.特に, Aldose red−
uctase inhibitorで著効をみた3例が印象的であった.陰
(1)有害な化学物質による職業性障害は,かつては
のう部痺痛は左右差なく,コントロール不良の長い経過
皮膚障害,眼障害,中毒性貧血など体表面からみて,す
の糖尿病にみられ,徐々に発症し,顕著な神経障害を有
ぐ診断のつくものや,簡単な臨床検査でも容易に判定で
することにより,多発性末梢神経障害によるものであろ
きる典型的なものが大半を占めていた.
うと推i測された.
しかし,ここ十数年来,産業現場内外の環境規制がき
36.筋力測定,筋力改善に対するCyL眺Machine
びしく,右害物の漏洩がほとんどないため,そこに働く
の効用について
作業者の健康障害像も以前とは全く様相を異にするよう
一633一
130
1・2の症状に注目し本症を疑い,検査により診断をつ
になった.すなわち,顕在性の典型的な症状はみられな
ける事が早期発見の道である.本症の診断にも血清二
くなった代りに,
1)微量有害物による潜在性障害
丁4,T3, TSH, RSUの測定が有用である.それで診断困
2)過去の被曝または汚染が原因で一定の潜伏期間の
難な場合にはTRH試験を行なう.また1カ月ぐらい甲
状腺ホルモンを投与してその効果をみるのも一方法であ
のちの発病(がん)
3) 感作性物質によるアレルギー
る.
次に治療として甲状腺ホルモン剤の投与量と投与方法
等が注目されるようになった.
とくに2)の職業がんは疾病の性質上からも因果関係の
を述べる.橋本病は甲状腺の触診所見,抗甲状腺抗体の
決定の困難さの上からも,疑わしい化学物質の種類の多
測定によりほぼ診断がつく.治療としては甲状腺ホルモ
いこと等からも,労働衛生学上の重要課題の一つとなっ
ン剤を投与する.
た.現在,疫学的に,動物実験的に発がん性の明らかに
甲状腺に結節が認められる場合,それは甲状腺の腺
なった物質については製造および使用禁止措置や特定条
腫,腺腫様甲状腺腫,癌,悪性リンパ腫のいずれかに
件下での使用のみ許可される等法的にきびしく規制され
よる.臨床的に最も問題になるのは悪性腫瘍の診断であ
るようになった.
る.その鑑別診断には超音波,甲線撮影,シソチグラム
また3)の感作性化学物質によるアレルギーも感作源の
が用いられるが,いずれも絶対的なものではない.そこ
種類の多いことや,作業者の体質の問題があり,環境管
で触診所見や腫瘤の発達速度から,悪性の疑いのあるも
理として許容濃度設定に支障を来しているという実状で
のは手術により摘除した方がよい.
2)内分泌性高血圧
ある。
(ラジオアッセイ科)出村 博
ここに 1)の課題についてはべソゼソのニトロ・アミ
WHOの高血圧の基準(160/95以上)によれば,本邦
ド化合物中毒を中心に,2)の課題についてはべソゼン,
ベーターナフチルアミンなどの膀胱がんを中心に,3)の
では全人口のおよそ8%,絶対数で1千万人近く存在
課題についてはウレタンフォーム等の原料であるイソシ
する.高血圧症の大部分314は本態性高血圧症(EH)
であるが,そのうち約1/3は血漿レニン活性(PRA)が
アネート化合物を中心に,最近の状勢を紹介した.
抑制されている.いわゆる低レニン性本態性高血圧症
〔シンポジウム〕
(LREH)である.このLREHの成因として,アルド
「内分泌疾患の臨床」
ステロン以外の未知のミ「ネラルコルチコイド(MC)を
1)甲状腺疾患の臨床
想定する人もいる.高血圧症全体の残りの1/4は続発性
(内科2)鎮目 和夫
または二次性であり,その大部分は腎実質性病変による
が,数%はいわゆる治癒可能な高血圧(curable hype卜
甲状腺疾患のうち実地診療上比較的遭遇する事の多い
甲状腺機能充進症(パセドウ病),甲状腺機能低下症,
tension, CH)である. CHは腎または副腎に何らかのホ
橋本病および甲状腺の結節について述べる.
ルモン分泌の異常があって,このホルモンの異常を正し
甲状腺機能完進症は多くの症状が揃っている場合は診
く診断し,高血圧の病因をつきとめれば高血圧を完全に
断が容易である.しかし眼球突出がなく甲状腺腫が小さ
治癒させることができるという意味である.CHはおよ
い場合は見逃しやすい.そこで甲状腺機能充進症の症状
そ数十万人ぐらい存在すると考えられるが,最近のいく
のうち一つでもが認められた場合は本症を疑い,検査す
つかの調査集計によると,的確な診断がなされたのは,
る事が早期発見の道である.検査としては血清中T4(サ
その数分の1以下にすぎない.すなわち,CHの大部分
イロキシン),T3(トリ隅一ドサイロニソ),TSH(甲状
が見逃されていると考えられる.CHを正しく診断する
腺刺激ホルモン)およびRSU(レジンスポンジ摂取率)
ためには高血圧の一般検査の他に,ホルモンの検査を行
の測定をすれば大部分の例で診断がつく,それでも診断
なう必要がある.血圧を上昇させるホルモンのうち,最
困難な場合には,TRH試験や甲状腺抑制試験が有用で
も代表的なものはアルドステロン(Ald)で,副腎に原
ある。次に本症の治療法につき簡単に述べる.
発性の病変があって,A互dが過剰な状態すなわち原発性
甲状腺機能低下症も多くの症状が揃った場合には診断
は容易であるが,そうなるには数年以上を要するので,
アルドステロン症は高血圧症全体の0.5%ぐらいを占め
ている.コルチゾールはグルココルチコイドであるが,
一634一
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