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すざく衛星広帯域全天モニタとRHESSIによる 太陽マイクロ
すざく衛星広帯域全天モニタと RHESSI による 太陽マイクロフレアの非熱的電子の観測 石川真之介 (国立天文台) KRUCKER, Säm (カリフォルニア大学バークレー校) 大野雅功 太陽マイクロフレアにおいて、電子がどのぐらいのエネ 2005-11-17 03:13:45-03:14:01 ルギーまで加速されているか、その最高エネルギーはよく わかっていない。マイクロフレアでは大きな太陽フレアと 持つものがある。マイクロフレアの硬 X 線は継続時間が典 型的に 1 分以下と短いため [2]、マイクロフレアの高エネル ギー放射を捉えるためには、大きな有効面積が重要となる。 すざく衛星 [3] に搭載されている硬 X 線検出器(Hard X-ray Detector, HXD [4])の一部である広帯域全天モニタ(Wideband All-sky Monitor, WAM [5,6])は、現在運用中の太陽観 測が可能な硬 X 線・ガンマ線観測装置のうちで最大の有効 面積を誇る。本研究では、すざく /WAM と Reuven Ramaty High Energy Solar Spectroscopic Imager(RHESSI)で観測さ れた太陽マイクロフレアの硬 X 線スペクトルの解析を行っ た [7]。 WAM 観測リスト には、2005 年 7 月 のす ざく 打ち上げ 以降 2010 年 3 月までの間に、RHESSI と同時観測された 6 つの GOES B クラスのマイクロフレアが掲載されてい た。100 keV において、WAM で検出されたフラックスは X-ray spectrum [photons s-1 cm-2 keV-1] 比べてスペクトルがソフトであることがわかっているが [1]、マイクロフレアの中にも非常にハードなスペクトルを LIN, Robert P. (広島大学) (カリフォルニア大学バークレー校) 102 RHESSI detectors: 1, 3, 4, 5, 6, 7 and 9 100 10-2 10-4 RHESSI のバックグラウンドよりも約 20 倍も小さい(解析 したマイクロフレアのスペクトルの例を図 1 に示す)。 RHESSI と WAM の非熱的スペクトルは単一成分のべき 関数でよく表され、光子指数は 3.5 から 4.5 であった。 次に、我々は RHESSI の観測結果をみると WAM でも観 測可能と考えられるイベントを選び、そのイベント時間に おける WAM のデータを確認した。その結果、2005 年 7 月 から 2007 年 11 月までのデータのうちで、12 個の候補中 11 個のイベントで、WAM でもマイクロフレアからの放射が 10 energy [keV] 100 図 1.本研究で解析した WAM と RHESSI によるマイクロフレアスペクト ルの例.黒線は RHESSI,マゼンタのデータ点は WAM の観測デー タ.灰色の線は RHESSI の,茶色の線は WAM のバックグラウン ド.赤線及び青線は RHESSI のデータをフィッティングして得ら れた,熱的および非熱的成分. 検出されていることがわかった。この結果、マイクロフレ アでも、大きなフレアと同じく、電子を 100 keV まで加速 することができるという示唆を得た。 参考文献 [1] Battaglia, M., Grigis, P. C., Benz, A. O.: 2005, A&A, 439, 737. [2] Benz, A. O., Grigis, P. C.: 2002, Sol. Phys., 210, 431. [3] Mitsuda, K., et al.: 2007, PASJ, 59, 1. [4] Takahashi, T., et al.: 2007, PASJ, 59, S35. [5] Yamaoka, K., et al.: 2005, IEEE Trans. Nucl. Sci., 52, 2765. [6] Yamaoka, K., et al.: 2009, PASJ, 61, 35. [7] Ishikawa, S., Krucker, S., Ohno, M., Lin, R. P.: 2013, ApJ, 765, 143. 032 I Scientific Highlights