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日局一般試験法について
日局 般試験法について 日局一般試験法について -製薬企業の立場から 製薬企業の立場から東薬工・局方委員会 東薬工 局方委員会 柘植英哉 (第一三共) 1 内容 1.一般試験法はどうあってほしい 般試験法はどうあ てほし 2.どのように課題を取り上げるか 3.運用等におけるその他課題 2 1.一般試験法はどうあってほしい ◆ ◆ ◆ ◆ 標準的で簡便な方法の収載 汎用性が高く安価な機器の活用 性が高く安価な機器 活 先端的な試験法の収載 陳腐化した試験法は削除 (JP15:ろ紙クロマトグラフ法) ◆ EP,USPと同じ方法の採用 EP USPと同じ方法の採用 (研究開発型製薬企業、外資系企業) 3 一般試験法の改正方針と現状 ー第十六改正日本薬局方作成の5 ー第十六改正日本薬局方作成の 5本の柱ー ① 保健医療上重要な医薬品の全面的収載 ② 最新の学問・技術の積極的導入による 質的向上 ③ 国際化の推進 ④ 必要に応じた速やかな部分改正及び行政 要 部分改 によるその円滑な運用 ⑤ 日本薬局方改正過程における透明性の確 保及び日本薬局方の普及 (第十六改正日本薬局方作成基本方針から) 4 一般試験法の改正方針と 15局以降の追加試験法 15 局以降の追加試験法(1) 降 追加試験法(1) ア.汎用性があり、日本薬局方に未収載である試験法 ア 汎用性があり 日本薬局方に未収載である試験法 の積極的導入 中心静脈栄養剤中の微量アルミニウム試験法(15局,参考情報) 中心静脈栄養剤中の微量アルミニウム試験法(15局 参考情報) 近赤外吸収スペクトル測定法(15局第二追補,参考情報) 蛍光染色による細菌数の迅速測定法(15局第二追補,参考情報) システム適合性(15局第二追補 参考情報) システム適合性(15局第二追補,参考情報) イ.欧米薬局方等に収載され、かつ、日本薬局方に未 収載である試験法の積極的導入 ウ 国際調和が終了した試験法の導入 ウ.国際調和が終了した試験法の導入 製剤均一性試験法(15局,一般試験法) 粉体の流動性(15局,参考情報) レーザー回折法による粉体粒度測定法(15局,参考情報) 5 一般試験法の改正方針と 般試験法の改正方針と 15局以降の追加試験法 15 局以降の追加試験法(2) (2) エ.既収載の一般試験法の見直し 点眼剤の不溶性異物検査法(15局第一追補,一般試験法) オ.参考情報の一般試験法への移行 たん白質のアミノ酸分析法(15局第二追補,一般試験法) カ.試験実施に係る環境負荷の低減 などを中心に、最新の科学技術を反映した 試験法を設定するよう検討を行う。 6 2 どのように課題を取り上げるか 2.どのように課題を取り上げるか 1)新規測定法の収載(国際調和,業界提案等) 1)新規測定法の収載(国際調和 業界提案等) ・最新の技術の選択方法 2)既収載測定法の見直し ・委員会提案(国際調和事項の取り込み等) 委員会提案(国際調和事項の取り込み等) ・業界からの改正要望 業界からの改 要望 3)何を基準にして作成するのか ・ISO/JISからの取り込み / から 取り込 ・EP及びUSPとの国際的整合性 EP及びUSPとの国際的整合性 7 2-1) 一般試験法・参考情報への 新規収載の具体的な例 (原案審議委員会) ◆ 「ICP発光分光分析法」 ・業界からの要望 ・理化学試験法委員会の下に機器メーカーも含めた 理化学試験法委員会の下に機器メ カ も含めた WGを設置し対応中 ◆ 「レーザー光を用いる粒度測定法」(参考情報) ・アルプロスタジル注射剤(15局第一追補)に関連して プ 収載要望(2006年9月) ・東西WGから収載案のたたき台を提案 東西WGから収載案のたたき台を提案(2008年5月) ・物性試験法委員会の下に機器メーカーも含めた 検討会を設置して対応中 8 2-1) 一般試験法・参考情報への新規収載 製剤総則改正案(第二版)との関連(1) 製剤総則改正案(第二版)との関連 (1) 〈6.03〉製剤の粒度の試験 (承認規格) ・顆粒剤:10号ふるい(1700 μm)を全量通過・・・ レーザー回折法による粉体粒度測定法 粉 度 (工程管理)) ( ・数十nm~数mm(1~1000μm程度)の範囲まで 一度に測定可能 ・オンライン測定(PAT)にも使用可能 改正案 JP1 5 散剤 散剤 経口投与する粉末状の製剤 粉末又は微粒状に製したものである. 本 剤 は , 製 剤 の 粒 度 の 試 験 〈6.0 〈6 0 3〉を 行 うとき,18号 ふ る い を全 量 通 過 し, 3 0号 ふ る い に 残 留 す る も の は 全 量 の 5% 以 下 で あ る . 顆粒剤も 経口投与する粒状に造粒した製剤 粒度規定が削除! USP, EPに も 規 定 は な い . 細 粒 剤 に つ いては ,顆 粒 剤 と区 別 す るために 粒 度 規 定 を残 した. 9 2-1) 一般試験法・参考情報への新規収載 般試験法 参考情報への新規収載 製剤総則改正案(第二版)との関連(2) 製剤総則改正案(第二版)との関連 (2) 製剤通則(4):製剤各条及び生薬関連製剤各 条において,その剤形に応じた製剤特性を規 定する 製剤特性は 適切な試験により確認 定する.製剤特性は,適切な試験により確認 する. 一般試験法に規定のない製剤特性: 般試験法に規定のない製剤特性 「本剤は,・・・・ 適切な○○を有する」 10 日局に設定されていない製剤特性を 規定する試験法(1/2) 規定する試験法 (1/2) 本剤は、適切な送達量の均一性 送達量の均一性を有する 吸入エアゾール剤 吸入粉末剤 本剤の有効成分の粒子は、 空気力学的に適切な粒子径を有する 空気力学的に適切な粒子径 点鼻剤、スプレー剤 口腔用スプレー剤 本剤のうち定量噴霧式製剤は,別に規定する もののほか,適切な噴霧量の均一性 噴霧量の均一性を有する 透析用剤 本剤のうち用時溶解して用いるものは、適切な 製剤の均一性を有する 製剤の均一性 クリーム剤、ゲル剤、軟膏剤 口腔用半固形剤、眼軟膏剤 直腸用半固形剤 本剤は、○○に適用する上で適切な粘性 粘性を有 する 日局に設定されていない製剤特性を 規定 規定する試験法(2/2) 規定する試験法 試験法(2/2) 試験法( ( / ) 口腔内崩壊錠 本剤は,適切な崩壊性 崩壊性を有する. 口腔用錠剤 本剤は、適切な溶出性又は崩壊性 溶出性又は崩壊性を有 する 埋め込み注射剤、 持続性注射剤 坐剤、膣坐剤、膣錠 本剤は、(・・・・に適用する上で)適切な 放出特性 性を有する 貼付剤 本剤は、皮膚に適用する上で適切な粘 本剤は 皮膚に適用する上で適切な粘 粘 着性を有する 着性 本剤のうち,放出速度を調節した製剤 は、適切な放出特性 性を有する 12 2-2) 既収載測定法の見直し(1) 既収載測定法の見直し(1) ー業界要望の具体例ー 業界要望の具体例 公定書協会:日本薬局方の試験法に関する研究 (東薬工大薬協局方・技術研究委員会共同で実施) (東薬工大薬協 局方・技術研究委員会共同で実施) No. 研究年度 研究課題 1 平成17年度 窒素定量法への「自動装置の適用」 と「分解促進条件の追加」に関する検討 2 平成18年度 平成19年度 浸透圧測定法における 機種間差に関する研究 3 平成20年度 平成21年度 平成21年度 輸液用ゴム栓試験法の見直し 4 外用剤に対する粘度測定法の活用 2-2) 既収載測定法の見直し 既収載測定法の見直し(2) (2) 日本公定書協会 日本 公定書協会:日本薬局方の試験法に関する研究 公定書協会 :日本薬局方の試験法に関する研究 日本薬局方の試験法に関する研究 1)窒素定量法:自動化 ⇒ JP15-2で改正 2)浸透圧計の機種間差:装置校正用標準液(NaCl水 溶液) 溶液)では差を認めない を認 3)輸液用ゴム栓試験法:注射用ゴム栓試験法へ 動物愛護・国際調和・粗悪品の排除 4)外用剤の粘度測定: レオロジカルな物性に対する測定手順の標準化 14 2-3) 何を基準にして作成するのか 何を基準にして作成するのか(1) (1) ◆ ISOとJIS をJPに如何に取り入れていくか ・JIS化を待っていては対応が遅れる ・JIS,ISOの改定に対する迅速な対応 改定 対する 速な対応 「レーザー光を用いる粒度測定法」(参考情報):物性試験法委員会にて審議中 (アルプロスタジル注の規格としての粒子径の設定:15局第一追補収載:2007年) JIS Z8826:2005 粒子系解析 -光子相関法- (ISO 13321:1996 Particle size analysis -Photon correlation spectroscopy) ISO 22412:2008 Particle size analysis –Dynamic light scattering (DLS) 光子相関法 + 周波数解析法 15 最 最近のISOのJIS化課題 (東薬工局方委員会が使用者代表として関係) 平成19年度: Z8831-1:ガス吸着による粉体(固体)の細孔径分 布及び細孔特性の測定法 メソ細孔及び ク 細孔 布及び細孔特性の測定法ーメソ細孔及びマクロ細孔 (ISO15901-2:2007) 平成20年度: (1)ガス吸着による粉体(固体)の細孔径分布及び 細孔特性の測定法ーミクロ孔細孔(ISO15901-3:2007) 同 : (2) 粒子径分布測定方法ー電気的検知帯法 粒子径分布測定方法 電気的検知帯法 (ISO13319:2007) 平成21年度:粒子特性評価用試料の縮分 (ISO14488:2007) (社)日本粉体工業技術協会 JIS原案作成委員会 16 2-3) 何を基準にして作成するのか 何を基準にして作成するのか(2) (2) -JIS JIS化されていない 化されていないISO ISO- - 1) ISO11418 :Containers and accessories for pharmaceutical preparations Part1 Part1-7 7 2) ISO8871:Elastomeric parts for parenterals and for devices for pharmaceutical use Part1-5 3) ISO9187 ISO9187-1 1 2006:Injection equipment for medical use -- Part 1: Ampoules for injectables 4) ISO22413 2007:Transfer sets for pharmaceutical preparations -Requirements and test methods 17 3.運用等におけるその他課題 試験法の運用における課題(1) 試験法の運用における課題 (1) ◆ 新しい測定法への切替はうまくいっているのか 1)エンドトキシン試験 ← 発熱性物質試験 ・エンドトキシン負荷試験の薬物に依存しない部分は いつも必要か 2)採取容量試験 ← 実容量試験 ・製造における充てん量の変更 製造における充 ん量の変更 18 3 運用等におけるその他課題 3.運用等におけるその他課題 試験法の運用における課題(2) 試験法の運用における課題 (2) ◆ 試験方法,試験条件の変更に対する柔軟な対応 ・製剤総則改正への対応 (微生物限度試験,etc.) ・水各条等改正への対応(TOC計への変更) ・代替試験法(通則13, GMP/QMS事例集(2006)) → リスク管理:アセトニトリル需給問題 ・規格及び試験方法の軽微/一変の切り分け (製剤均一性試験: 質量偏差試験⇔含量均一性試験,etc) 19 3.運用等におけるその他課題 試験法の運用の課題(3) 試験法の運用の課題(3) ー微生物限度試験 微生物限度試験を例にー を例にー ◆ 製剤総則改正案 「無菌ではない製剤であっても 微生物による汚染 「無菌ではない製剤であっても,微生物による汚染 を避け,必要に応じて,微生物限度試験を適用す る 」 る.」 ◆ 参考情報:非無菌医薬品の微生物学的品質特性 ◆ ICHQ6A:新医薬品の規格及び試験方法の設定 新医薬品 規格及び試験方法 設定 について 製剤開発 / 製造承認書 / GMP管理 (規格及び試験方法) 20 3.運用等におけるその他課題 ーユーザーフレンドリーの実現ー ○ カテゴリー分類と固定番号表示(15局から) ○ 「原案作成要領」の活用 (東西:第十六改正日本薬局方医薬品各条原 案作成要領の実務ガイド(2008年1月)) ● 参考情報の有効利用 ● 日本薬局方技術情報(JPTI)の解説書とし 位置付け ての位置付け ● 局方用語の解釈:「別に規定するもののほ か」 「必要に応じて」 「適切な」 「通例」 か」,「必要に応じて」,「適切な」,「通例」 21 参考情報の有効利用 日本薬局方の附録として位置づけ(医薬局長通知) 1)通則等重要な部分の解説あるいは補足 2)新試験法,近い将来一般試験法収載予定の試験法 の収載 3)国際調和の結果及び重要な根拠の情報提供 4)その他,医薬品の品質確保に有用な情報を収載 “今後の日本薬局方のあり方について”(2002.12.10)から抜 粋 22 3.運用等におけるその他課題 .運用等 おけるその他課題 通則15 通則 15:常温の範囲の変更要望 :常温の範囲の変更要望 通則15:標準温度は20℃、常温は15~25℃ 通則 標準 度 ℃ 常 ℃ 通則25:医薬品の試験は,別に規定するもののほか常温で行 い,・・・・ 要望: 15~25℃ ⇒ 18~28℃(23±5℃) への変更 理由: 試験室の温度管理幅を上げたい. (地球温暖化対策:エネルギ コスト削減) (地球温暖化対策:エネルギーコスト削減) JIS K7117-2:1999 K7117 2:1999 「プラスチックー液状、乳濁状又は分散状の樹 「プラスチック 液状 乳濁状又は分散状の樹 脂ー回転粘度計による定せん断速度での粘度の測定方法」 “試験温度:周囲温度で測定する必要がある場合には、23.0 ±0.2℃ の温度が望ましい” との記述 23 まとめ ◆ どのように課題を取り上げるか(HOW) げ 1)新規測定法の収載 (業界提案) 2)既収載測定法の見直し (業界要望) 3)何を基準にして作成するのか (ISO,JIS) ◆ 運用等におけるその他の課題 1)試験方法の変更に対する柔軟な対応 2)ユーザーフレンドリーの実現 24