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4.輸送機関の棲み分けへの期待(PDF:2074KB)

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4.輸送機関の棲み分けへの期待(PDF:2074KB)
これからの道路交通システム①
2 始まった輸送機関の棲み分け
近年、その改革案として長距離輸送分野を積極的に鉄道輸送や海運輸送にふりわける動きが強まっています。
たとえば、トラックを鉄道貨車にそのまま積み込む方法など、具体的な輸送機関の棲み分けが進められてい
ます。
4.輸送機関の棲み分けへの期待
● 交通流対策の推進
1 陸上輸送網の構造的な改革
現在、陸上輸送の大半はトラックに依存していますが、とくに都市部では慢性化しつつある交通渋滞によっ
て経済効率の悪化が指摘されています。また、省エネや環境問題の観点からも、陸上輸送網の構造的な改革
が望まれています。
日本全国のトラックの保有台数は乗用車の半数近くに過ぎ
ませんが、その稼働状況を考えると、1台当たりの走行距
離は乗用車とは比較にならないくらい長く、日本の経済活
動を支える主要な輸送機関となっています。
指数
計
区分
年度末
トン数
● 道路整備等の推進
都市部の渋滞による平均走行速度の低下が自動車からの二酸化炭素、NOx、PMの排出量を増大させてい
る状況を踏まえ、環状道路等幹線道路ネットワークの整備や交差点立体化踏切道改良等を着実に行うととも
に、高度道路交通システム(ITS)の構築、路上工事の縮減、駐停車対策等が推進されています。
(単位:1,000トン)
● 高まるトラック輸送の役割
現在の我が国では、交通渋滞による経済的損失が年間12兆円と試算されているほか、CO2は全国の総排出量
の約2割、NOxでは大都市における総排出量の4割が、それぞれ自動車に起因しているなど、「クルマ社
会」の抱える問題が深刻化しています。
1975
1,251,482
100
● 交通需要マネジメント(TDM)の推進
1980
1,661,473
133
1985
1,891,937
151
1990
2,416,384
193
1995
2,633,277
210
1996
2,764,245
221
1997
2,760,452
221
1998
2,731,587
218
1999
2,857,581
228
渋滞緩和を図り自動車による環境負荷の低減等を進めてこのような問題の解決を図るには、自動車交通量の
調整を図るため、公共交通機関の利用促進や物流の効率化を図りつつ、併せて低公害車の導入等を一体的に
進めることが効果的です。しかしながら、関係者が多岐にわたることや経済的な負担が見込まれることによ
り、このような取り組みの実現が図られない場合があります。このような状況を踏まえ、国土交通省では警
察庁と連携し、
「交通需要マネジメント(TDM)実証実験制度」を2001年度に創設しました。この制度は、地域
における自動車交通量の調整、事業者による交通事業の改善等を行う実験事業について、渋滞緩和や環境面
の効果が見込まれるとして両省庁が認定したものに対して、国と地域で支援を行うものです。実験事業の一
環として、低公害車、低硫黄軽油等の導入も行う場合には、これらも助成の対象となります。
2000
2,916,222
233
資料:
「数字でみる自動車」2002 日本自動車会議所
● 国内貨物輸送に係る物流事業者間の流れ
● TDM(交通需要マネジメント)実証実験への支援
国土交通省では、「快適で環境にやさしい都市交通」の実現を目指し、関係機関とともにTDM実証実験を
行って自動車交通を調整する都市で、公共交通のサ−ビス水準向上、環境自動車の計画的導入、都市内物流
の効率化等の実験事業に助成しています。
自動車
19%
トラック
自動車41%
1.4
走行量
1.2 道路延長
1.0 施行速度
鉄 道
0.8
S58(=1)
(船 舶)
港湾運送
フロントユーザー
(生産者、卸売業者など)
内航海運
トラック
地球環境 渋滞損失 大都市のNOxの41%
を自動車が排出
日本のCO2の19%
を自動車が排出
渋滞により全国で年12兆円の損失、
道路整備を上回る走行量増加(資料:道路局)
公共交通のサービス
水準を向上
港湾輸送
トラック
H9
地球環境 都市内物流
を効率化
自動車交通の
流れを転換
エンドユーザー
(小売業者、消費者など)
フェリー
航空機
増便、値下げ(100円バス)等
共同集配の事業化等
渋滞道路からの迂回等
自家用車からバスに転換すると、
一人あたりCO2排出量は▲6割
福岡・天神地区ではトラック▲7割
東京・丸の内地区でも検討中。
走行速度が20→40km/hなら、
NOx、PMともに排出量▲3割
資料:「調査」第189号、1994 日本開発銀行
低公害車を
計画的に導入
各都市においてそれぞれの
実情に応じたメニューを
検討中です。
低公害車の導入、軽油の低硫黄化等
例えばCNGバス・トラックなら、
NOxは▲7∼9割、PMは▲10割
TDM実証実験は、
・警察
・道路行政
・都市行政
・公共交通・物流交通
が連携して支援します。
本ページ資料:交通エコロジー・モビリティ財団
● TDM実証実験の具体例
北海道札幌市
都心部で1 0 0 円バス(注1)を運行するとともに、併せて、インターネット等を通じたバス運行
情報の提供、当該バス路線上の道路での違法駐停車を抑制する取組み等を行う。
埼玉県さいたま市
2 0 0 2 年サッカーW杯開催時における環境にやさしいバス輸送の活用を視野に入れ、市内の路線
バスについて割引バスカードの販売、サイクルアンドバスライドの推進等を通じてバス利用の促進
を図るとともに、併せて、バス路線に係る道路での違法駐停車を抑制する取組みを進めるほか、
路線バスについては使用燃料の低硫黄軽油への転換及び DPF(ディーゼル微粒子除去装置)
の装着を行う。
神奈川県川崎市
臨海部地域においてPTPS(注2)を使用して路線バスの定時運行を確保するとともに、併せて、
路線バスの使用燃料を低公害の軽質軽油に転換する。また、貨物トラックについて、工場出荷
待ち車両の路上駐停車を抑制する取組みを行うとともに、併せて、軽質軽油利用への転換を促
進する。
愛知県名古屋市
名古屋市南部地域における渋滞緩和及び環境負荷低減を図るため、バスの定時運行が確保され
るよう道路管理者においてテラス型バス停を増設した上で、名古屋市交通局が市内路線バスに
CNGバスの導入及びDPF装着と併せた低硫黄軽油の導入を行う。
名古屋南部地域中心
とした愛知県
愛知県内の物流事業者のトラックを対象に、国道23号等から伊勢湾岸自動車道への迂回通行の
福岡県北九州市
北九州都市モノレール沿線の渋滞緩和を図るため、市によるマイカー自粛よびかけを実施した
■ 注1:100円バス
既存路線バスを低料金化(1 0 0 円)することにより、都心内の移動利便
性、回遊性の向上を図るとともに、適切な自動車利用へ誘導し、道路交
通の円滑化を図る施策です。札幌市では、買い物や通勤、仕事など日常
の足として路線バスをもっと便利にして、都心の魅力の向上や適度な
マイカー利用の抑制を目指し、2000年10月1日∼12月31日、2001年9月
1日∼12月31日に実施しました。好評のため2002年6月30日まで延長
されました。
資料:札幌市企画調整局
■ 注2:PTPS(公共車両優先システム) Public Transportation Priority System
バス専用・優先レーンを設置し、優先信号制御により
バスの優先運行を確保することにより、通行の定時
制確保、運行時間性短縮を目的とするシステムです。
バスに車載送信機を搭載し、道路上に設置された光
ビーコンに専用IDを送信し、これを交通管制セン
ターに転送し、交通管制センターでは、専用IDから
走行地点や行き先などを判断した上で、先の信号機
の制御を行います。
バスを先出しする信号で
右折や車線変更を容易に
バス専用信号機
光ビーコン
優先信号制御で連続する
信号をスムーズに通過
交通管制
交通管制
センター
センター
促進を図るとともに、併せて、CNG(圧縮天然ガス)使用車両の導入を促進する。
光ビーコン
上で、市及びモノレール事業者が、モノレール駅及び団地に駐輪場を整備し電気自転車をレン
タサイクルとして配備するサイクルアンドモノライドを、小倉都心部への通勤・通学者を対象
として実施する。
長崎県長崎市等
警告版
観光客がその手荷物のためにタクシー・レンタカーを用いた移動や手荷物を宿泊施設へ預ける
送信ユニット
(車載装置)
ため移動することに起因する交通渋滞を緩和するため、長崎県観光連盟等によるマイカー自粛
よびかけを実施した上で、長崎空港から観光地間、観光地から観光地間の公共交通機関の利用
が促進されるよう、宅配事業者が長崎空港に到着した観光客の手荷物を空港で受け取り宿泊先
のホテルまで割引料金で配送する事業を行う。
大分県日出町
テーマパーク(ハーモニーランド)周辺におけるマイカー来園者による交通渋滞を緩和するため、町
によるマイカー自粛よびかけを実施した上で、来園者の公共交通機関利用が促進されるよう、鉄道
事業者及びテーマパークが共同して入園料割引と鉄道割引等を組み合わせて販売するとともに、
警告版
資料:社団法人新交通管理システム
■ パークアンドライド Park and Ride
最寄駅や最寄のバス停においてマイカーや自転車を駐車/駐輪(Park)し、電車やバスに乗り換えて(Ride)通勤
するシステムです。マイカー通勤に起因する渋滞の緩和と、排気ガス、二酸化炭素などの環境問題に対応した
仕組みです。駅で電車に乗り換える場合をパークアンドトレインライド、バスに乗り換える場合をパークアンド
バスライド、マイカーでなく自転車で駅(バス停)まで来る場合をサイクルアンドライドなどとも呼びます。
バス事業者が駅から列車到着時刻に合わせた接続バスを運行する。
駅前駐車場に駐車
沖縄県那覇市、
浦添市、 宜野湾市に大規模な駐車場を設置した上で同駐車場から那覇市内へ路線バスを運行するパーク
宜野湾市
アンドライド(注3)の導入により自動車通勤者をバス利用へ誘導するとともに、併せて、当該バス
都市部
駅から電車に乗り換えて出勤
郊外
車/自転車で駅まで
駐輪場
・駐車場
路線上の道路で違法駐停車を抑制する取組みを行う。
駅
○上記以外に2001年度TDM実証実験が実施された都市
駐輪場
・駐車場
青森県青森市、宮城県仙台市、福島県会津若松市、福島県福島市、埼玉県桶川市、東京都千代田区丸の内、石川県金沢市、
マイカー通勤
愛媛県松山市、山口県山口市
駐輪場
・駐車場
車/自転車でバス停まで
渋滞・排ガス
CO2環境問題
バス停
駐輪場
・駐車場
駐輪場
バス停からバスに乗り換えて出勤
本ページ資料:交通エコロジー・モビリティ財団
3 モーダルシフトの推進をはじめとする物流の効率化
4 公共交通機関の利用促進
モーダルシフトとは、物流分野における二酸化炭素排出量の一層の削減を図るため、環境負荷の少ない大量輸
送機関である内航海運・鉄道貨物輸送の活用を図ることです。海上輸送へのモーダルシフトの推進や、そのため
の基盤となる内航海運の競争力強化について、船舶のエネルギー消費率を向上させるスーパーエコシップの開発
をはじめとする新技術の導入、規制の見直し、海上ハイウェイネットワークの構築を図ることにより実現しま
す。また、輸送力増強等の鉄道の利便性向上を図ることにより、鉄道輸送へのモーダルシフトを推進します。
さらに、物流効率化の一層の推進のため、規制の見直し、利便性向上、多目的国際ターミナル等交通基盤の整備
を通じて対策の強化を図ります。
大都市圏を中心とする鉄道新線・新交通システム等の整備や、鉄道・バスの利便性の向上は、従来自家用自動
車を利用していた旅客を、環境負荷のより少ない公共交通機関へとシフトさせ、自動車の走行量の削減につな
がり、地球温暖化対策の面からもその推進が求められています。このため、鉄道に関しては、1995年から2010年に
かけて、鉄道新線については約300km、新交通システム等については約100kmの延長を図るため、必要な助成が講
じられています。また、ICカード導入に対する支援措置等を通じた既存鉄道の利用促進策が推進されていま
す。バスに関しては、前にも触れたTDM施策と合わせてオムニバスタウン構想をはじめとするバス利用促進
事業、バス専用レーンの設置、違法駐車の排除等バスの走行環境改善に向けた諸施策が推進されています。
● 幹線物流の環境負荷低減に向けた実証実験
● オムニバスタウン構想のあらまし
オムニバスタウンとは
環境負荷の小さい幹線物流体系の構築
バスの有する多様(オムニ)な社会的意義(マイカーに比べて、人・まち・環境にやさしい)
が発揮されることによって快適な交通、生活の実現を目指すまち ★★★「オムニバス Omnibus」とは、★★★
乗合バスの語源でもともとは「何の御用にでも役立つ」という意味。
たまたま、フランスの乗合馬車の発着所の雑貨屋の看板に書かれていたことにちなむもの。
現代における、地域の足・まちづくり・環境問題等「多様な社会的課題の解決の御用に役立つ」という意義を込めています。
鉄道の活用
現状と問題点
モータリゼーションの進展
都市部
低公害車に
よる共同集配
幹線物流ルート
地域の足として
のバス路線の減
CO2
NOX
海運の活用
交通渋滞
交通事故の発生
排ガスによる環境汚染
バスの多様な
社会的意義発揮による
問題解消
幹線輸送共同化
低公害車への切替
すべてのひとが
利用しやすいバス
が走るまち
渋滞や事故のない
安全で移動しやすいまち
ひとが歩き集えるまち
モーダルシフト化率の向上
オムニバスタウン
帰荷紹介システム
等の構築
コンテナ管理システム
オムニバスタウン
をつくるために
排ガスに
汚染されない
きれいな空気のまち
地域の自主的な取り組み
エコシップ
モーダルシフト船
市町村が中心となって関係者の一体的取り組み……オムニバスタウン計画づくり
事業例
安全性・利便性等の向上
交通施設等の整備・改善
・バスロケーションシステム、
バス案内システム
・人と環境にやさしいバス車両導入
・コミュニティーバス運行
・停留所施設改良
・道路拡幅、交差点改良
・バスレーンカラー舗装化
・バスベイ整備
交通安全に配慮した
走行環境の改善
・バス専用、優先レーン
・バス優先信号
・公共車両優先システム
・トランジットモール
社会的意義の認識高揚
・新聞、テレビ、ラジオによ
る広報
・利用促進を図るための
イベント
・アンケート調査
関係省庁の連携による支援
警察庁・国土交通省の連携によるオムニバスタウン制度・支援
本ページ資料:交通エコロジー・モビリティ財団
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